Operaのブラウザーデータをシンクするサービスからユーザーデータが漏洩、詳細を調査中

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Operaは最近、そのブラウザー事業を中国のコンソーシアムに売ることに合意したが、今週はそのサービスの一つが、サーバーをハッカーに侵入されたため、ユーザーのパスワードをリセットした。

同社によると、犯人はOpera Syncへのアクセスを獲得した。これはユーザーがブラウザーのデータや設定を複数のプラットホーム間でシンク(同期化)できるためのサービスだ。現在まだ調査中だが、初期的な結論としては、犯行によりパスワードとログイン名などのユーザーデータが漏洩したようだ。

Operaはその幅広いプロダクト全体で3億5000万のユーザーを抱えているが、その中でSyncサービスのユーザーはごく少数だ。先月の時点でアクティブユーザーが170万だったが、もっと多くのノンアクティブの登録ユーザーも、Operaにパスワード等のデータを提供している。同社はすべてのパスワードをリセットし、Syncの全登録ユーザーにメールで詳細を伝えた。

またブログ記事では次のように説明している: “パスワードはすべて(同期化のためには)暗号化され、(認証のためには)ソルトされハッシュされて保存されていたが、それでもわれわれはOpera Syncのすべてのアカウントのパスワードを、念のためリセットした”。

Dropboxが、パスワードを2012年以降変えていないアカウントのパスワードをリセットすると発表したその翌日に、Operaがやられたというニュースが飛び込んできた。Dropboxの決定は、2012年に起きたLinkedInに対する大規模なハックへの懸念が契機だ。そのときは、1億1700万のアカウントの認証情報がネット上にポストされた。

Operaの事件はそれとは無関係なようだし、ハック攻撃の対象はたった一つのサービスに限定されているようだ。しかし調査がすべて終われば、詳しい実態がさらに明らかになるだろう。

攻撃の噂は1か月前からあった。そのころはOperaが、そのブラウザー事業とプライバシーアプリと中国の合弁事業を、中国のコンソーシアムに6億ドルで売る、と発表した直後だった。そのコンソーシアムのトップQihoo 360は、ウィルス対策の企業だ。最初の合意ではOpera全体を12億ドルで売るとなっていたが、株主たちの承認が期日内に得られなかったため、新たな合意案が作られた。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Verizonが車両管理のFleetmaticsを24億ドルで買収

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Verizonは7月25日にYahooを48億ドルで買収した。続けざまに、米国時間8月1日にアイルランドのダブリンに拠点を置く車両管理のテレマティクス企業Fleetmatics24億ドルの現金払いで買収すると発表した。これによりVerizonは物流や社外で働く従業員を管理する分野の企業向け製品の拡充を狙う。

この買収でFleetmaticsを車両管理、モバイルワーク(社外で働く従業員)のためのソリューションやIoTを事業とするVerizon子会社Verizon Telematicsに吸収することとなる。Verizonは6月21日にTelogisの買収を発表しており(買収額は公開されていない)、今回の買収は事業拡大のために行っている一連の買収に続くものだ。

一般的な観点から見て、VerizonによるFleetmaticsの買収は既存の電話サービス事業の失速を相殺するため、新興分野への投資に資金を充てるようバランスシートの資産配分を調整していることを示す。市場がよりコモディティ化し、ユーザーの関心は従来の音声サービスから遠のき、デジタルなコミュニケーションの方に向いている。その中で、Verizonはマージンを保ち収益を伸ばすためにも、土管化(通信のインフラしか取り扱っていない状況)から抜け出すべく新興分野への投資に意欲を持っている。

AOLの買収(そして今回のYahooの買収)がVerizonのメディア、広告、コンテンツの運用事業の拡充を後押しするのに対し、Fleetmaticsの買収は企業向けサービス、とりわけエンタープライズ・モビリティー(社外で働く従業員を管理する)分野におけるVerizonの野望を示している。

このような市場を俯瞰して見えてくる背景は興味深いものだ。

trucks一方、Fleetmaticsのサービスの既存顧客は、企業の広範な業務の一環に車両を常時運転する従業員を雇用している企業だ(Fleetmaticsの既存顧客にはTime Warner Cable 、DirecTVがいる)。

スマートフォンサービス、エンタープライズ・モビリティーの流行によって、既存顧客は自分たちの仕事を改善する幅広いツールを手に入れることができた。顧客がそれらのツールを購入する際に頼りにできる企業になることをVerizonは目指している。

その一方で、新たな成長市場が存在する。Uberのような企業は単なる人々の交通手段におさまらない物流事業を構築するために多くの投資を行ってきた。多くのスタートアップ(そして、Amazonのような大きな企業も)がA地点からB地点に物を運ぶ既存のプロバイダーの変革を目指している。Verizonも同様に顧客企業からの収益を増加させる手段としてそれらのサービスに利用されているテクノロジーを買収している。単なる通信ネットワーク接続事業におさまらないように。

Fleetmaticsは移動する従業員を抱える企業、車両に対してGPSやサービスを提供するSaaS型の事業を展開するプロバイダーだ。3万7000社の顧客、73万7000台の登録車両、1200人の従業員を持つ。Fleetmaticsのサービスは位置特定サービス、ドライバー、車のセキュリティーサービス、燃料の計測、派遣、発注や請求管理も含む。

2012年より株式の公開をしており、株式は一株60ドルの現金に相当する。Fleetmaticsの株式が未公開だった時にIVPなどの出資者から9300万ドルを資金調達している。

VerizonTelematicsのCEOであるAndres Irlando氏は今回の買収は中小企業向けのテレマティクス事業を強化するためだと語った。

「Fleetmaticsは北米のマーケット首位の企業です。また、国際的にもシェアを伸ばしつつあります。中小企業向けに多くの魅力的なSaaS型の製品とソリューションを開発してきました」とAndres Irlando氏は声明で語った。今後も引き続き同様の買収の予定があるかAndres Irlando氏に対して聞いていく予定だ。

「SaaS型の車両管理のソリューション市場は巨大でグローバル、ソリューションはわずかだけ浸透しており、細分化しており統合されていない状況です。VerizonとFleetmaticsはその市場において業界最高の製品、最大の流通チャネルで一緒になって勝負していくビジョンを共有しています」とFleetmaticsの代表取締役会長兼CEOのJim Travers氏は声明で語った。

Verizon TelematicsはAOL(TechCrunchも所有)も所有しているVerizonの子会社だ。ソフトウェア、ハードウェアのソリューションを40カ国以上の市場で展開している。

買収は2016年の第4四半期に完了する予定だ。

原文

(翻訳:Shinya Morimoto)

Twitch、人気ゲームコミュニティーを運営するCurseを買収

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ゲームのライブストリーミング・プラットフォームTwitchAmazonの子会社)は業界で有名なゲームコミュニティーを運営するCurseを買収することで攻勢をかける。買収の詳細は公開されておらず、Twitchは公式発表以上のコメントは差し控えた。

Curseは多様なウェブサイトとサービスを運営している。その内のいくつかはここ数年内に自社開発したもので、その他のものは買収で獲得したものだ。2006年、CurseはWorld of WarcraftのMOD(改造データ)を提供するウェブサイトとして始まった。

World of Warcraftの全盛期は過ぎ去ったが、Curseは最新ゲームでも巨大なオーディエンスを惹きつけ、新たなコミュニティーを構築することができた。例えば、CurseにはLeague of Legends、World of Warcraft、NFLのゲームなどのデータベース、ガイドとなるウェブサイト、ゲームのニュースサイト、高いトラフィックを誇るMinecraft、ポケモン、Diablo III、Hearthstoneなどのゲームフォーラム、ゲーム版ウィキぺディアのGamePediaなどを運営している。Curseはさらに様々なゲームのMODのデータベースも要している。これは結構な分量になる。Curseのサイトには毎月3000万人以上が訪れている。

それに加え、最近同社はシンプルに「Curse」と名付けたコンピューター向けのプロダクトをローンチした。これはTeamSpeakの競合サービスで、オンラインの友人と待ち合わせ、一緒にゲームを楽しむためサービスだ。これにはチーム内でやりとりできるIRCに似たチャット機能やゲームをしながらチームメイトと作戦を立てるVoIP機能、TwitchやYouTube Gamingなどでストリーム配信を助けるストリームツールなどがある。

Twitchは自社のゲーム動画配信ソリューションにおいて、これらのアプリを活用することができるかもしれない。現時点でTwitchは ユーザーに対してサード・パーティー製のソフトウェアをインストールすることを薦めている。

また、この買収にはもちろんTwitchは巨大なゲームコミュニティーとともに活発なコミュニティーを育てる方法を知っている人たちも含まれている。本質的にTwitchの生死は、ゲームのストリーミング配信をする人と視聴者のコミュニティーにかかっていると言える。興味深いことにCurseとTwitchは同じニッチなユーザーを共有しているのだ。

Curseはメインストリームにあるゲームのニュースサイトとは競合しない。Curseは、慎重に競争力の出せるオンラインゲームのみに事業を集中してきた。また、Twitchの上位ゲームを見てみると、その多くはCurseのコミュニティーと一致していることがわかる。 League of Legends、Hearthstone、Dota 2、Counter Strike、Overwatchなどだ。TwitchのCEO、Emmett Shearは来月のTechCrunch Disrupt SFに登壇するので、その時に買収について詳しく聞きたいと思う。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

Snapchatがモバイル検索アプリVurbを1億1000万ドルで買収予定

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Snapchatによるモバイル検索アプリを制作するVurbの買収により、Snapchatで友人と出かける予定を立てたり、1日のニュースダイジェストを得たりすることができるようになるかもしれない。TechCrunchでは週末に買収の噂を聞きつけ、現時点でThe Informationは、SnapchatがVurbを1億1000万ドルで最終的に合意する見込みであると報じている(75%を株式で、25%を現金で支払う予定という)。Snapchatはそれに加え、VurbのファウンダーでCEOのBobby Loを引き留めるために7500万ドルの残留手当を提供するという話だ。

Googleはモバイルのために制作されたものでないにも関わらず、人々の検索における行動パターンを変えることは残念ながら難しかったようだ。Vurbはマスを惹きつけることに苦戦し、売却に至った。Snapchatはこの案件に関してコメントを控えると私に伝えた。Loは、法的な制限のため何も話すことはできないと言った。買収案件に関わる制限なのだろう。

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VurbはTechCrunchが開催したDisrupt NY 2014のStartup Battlefieldで、永遠と続く検索結果の代わりに閲覧画面を軸とするモバイル検索アプリを発表して優勝した。Vurbでは見たい映画やその映画を上演している映画館を探し、さらにその近くで食事できる場所も見つけることができる。いくつかの候補はまとめて友人とシェアすることができる。Vurbはモバイルで友人と協力して予定を立てられるようにした。一般的な検索エンジンはそういった個別の情報の関連性まで認識していない。

Vurbのカードベースのインタフェースは、パートナーであるYelpやRotten Tomatoesから情報を引っ張っていて、さらにUberやGoogle Mapsとも連携している。Vurbは後に、予定を立てるために開発した新たなメッセージ機能にサードパーティーの機能を付け加えることで、 全てができるWeChat風アプリになることを目指した。先週には、パーソナライズしたレコメンド機能も追加していた。

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Vurbの機能はこの動画を見てほしい。

SnapchatでVurbが具体的にどのような役割を果たすのかはまだ明らかにされていないが、Snapchatでユーザーが友人と予定を立てるのに便利な機能を開発することはありうる話だろう。VurbはSnapchatの既存の機能に、住所を地図へのリンクに自動変換する機能などを加えることができる。ユーザーが映画、レストラン、場所についてチャットをしているなら、Snapchatはそれに関する情報を提供したり、そこで会う予定を立てるために役立つ機能を追加することも可能だろう。

また、Vurbは最近、モバイルユーザー向けに毎日のニュースダイジェストを届ける機能を開発していたが、これもSnapchatとどうにか統合することができるかもしれない。例えば、Discoverチャネルで企業が発信するコンテンツの横に現代人が好む端的な形で今世界で起きていることを伝える画面があったらどうだろうか。

最近の市場意識の修正により、資金調達が難しく、資金がショートしやすくなっている。Vurbにとってもそれは例外ではなかったようだ。このトレンドについては昨日記事にしている。単に蒸発したり、ゴーストタウンでアイディアを検証したりするより、Snapchatに売却することでVurbは実際に人々が使うアプリの中でモバイルの未来を育てることができるかもしれない。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

Microsoftがゲームのライブ配信サービスBeamを買収

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Microsoftがシアトルに拠点を置くゲームストリーミングサービスBeamを買収した。Beamでは、ゲームをプレイするストリーマーと一緒に視聴者もゲームをプレイすることができる。Beamの形式は、ストリーミングのファンにとってTwitchやYouTubeといったサービスでおなじみの受動的なインタラクションをベースに、さらに視聴者はクラウドソースのコントロール経由でストリーマーと交流することができる。

Beam経由のプレーヤーは、ストリーミングしている人を誘導し、例えばマルチプレイのショーティングゲームで戦いに持っていく武器の種類を設定したりすることが可能だ。BeamはTechCrunch Disrupt NY 2016でローンチし、Startup Battlefieldで優勝した。ヴィジュアルコントロールで視聴者は、プレーヤーのゲーム場面選択を助けたり、さらには通常にはない、ゲームを大きく変えるような設定をすることもできる。

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BeamはMicrosoftのXboxチームに加わる。「プラットフォームを超え、ユーザーとストリーマーを惹きつけるというこれまでのミッションを追求します」とMicrosoftは伝えている。

BeamのファウンダーでCEOを務めるMatt Salsamendiは、Xboxのコミュニティーに注力している点が、彼ら若い企業にとって良い相性であるとメールで答えた。

「Xboxがコミュニティーに注力している点にとてもわくわくしています」と彼は記している。「Beamは根本的に、熱心なゲーム好きの個人をグループにつなげています。Xboxはその理念に合致しています」。

このニュースを伝えるブログ投稿でSalsamendiは、すぐにBeamのプラットフォームが変わることはないと伝えたが、Microsoftの買収によりBeamはプラットフォームを成長させ、大企業のサポートのもと新機能やゲームの実装を進めるという。

「今のところ通常通りのビジネスです」とSalsamendiはプロダクトプランについて説明する。「私たちは3つの新しいインタラクティブな機能を実装したばかりで、今後もBeamのプラットフォームが視聴者と関わりたいと思うゲームコミュニティーにとって最適な場所になることに注力していきます」。

買収の詳細は公表されていない。Beamは今年の1月5日にローンチし、正式にこのインタラクティブなツールをデビューしたのは5月のDirsruptイベントでだった。 Salsamendiは、Microsoftのレドモンド本社でBeamのチームを率い、そこではXboxのエンジニア部門の下でサービスを運用する。

TechCrunch Disruptの優勝の他に、Beamのチームはシードラウンドで42万ドルを調達し、Techstarsのシアトル2016年のクラスに参加している。

Microsoftにとって、Beamを買収することはインハウスでプレーヤー参加型のストリーミングサービスを構築する助けとなるだろう。買収を発表したブログ投稿でMicrosoftは、Beamのソフトウェアがよりソーシャルなゲームプレイを促進する例としてMinecraftを挙げた。MinecraftはBeamが提供するインタラクティブな機能にもってこいのゲームだ。MicrosoftがLet’s Play動画が大好きな若いユーザーにコミュニティーの間でエンゲージメントを促進することができるなら、今回の買収はとても価値あるパートナーシップになると言えるだろう。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

SGI(元Silicon Graphic)をHewlett Packard Enterpriseが$275Mで買収

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この10年あまり、SGIは低迷を続けた。かつてSilicon Graphicsという名で知られた同社は2009年に破産を宣言し、その同じ年に二束三文でRackableに買収されたが、そのときに社名をSGI(Silicon Graphics Internationalの頭字語)に変えられ、世間を混乱させた。

昨年HPからスピンアウトしたHewlett Packard Enterpriseが、かつて(HP時代)の競合他社SGIのまるまるすべてを、約2億7500万ドルで買収することになった。この額には同社のキャッシュと債務の両方が含まれる。一株あたりでは、7ドル75セントだ。

SGIは今でも、サーバーマシンと高性能コンピューターのメーカーであり、全世界に1100名の社員がいる。買収の発表声明でHPEは、以前の競合相手であるSGIが、“わが社に新しい製品ジャンルとそれに伴う新たな市場機会もたらす”、と述べている。買収の完結…各種の規制をクリア…は来年のQ1を予定しているが、その後は同社のプロダクトが一つのポートフォリオに入れられる。

SGIのCEO Jorge Titingerはこう述べている: “弊社の高性能コンピューターと高性能なデータ技術および分析能力は、30有余年にわたるイノベーションの歴史を持ち、HPEの業界最高のエンタープライズソリューションを補完する。両社の組み合わせは、今日の複雑なビジネスの諸問題に対応し、必要とされるデータ分析能力と、大量のデータをセキュアに処理できるツールを提供する”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

RandstadがMonsterを4億2900万ドルで買収、採用分野での統合が相次ぐ

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オンライン採用業界で大型M&Aが相次いでいる。本日、アムステルダムを拠点とする人材と採用に特化したRandstad Holdingsは、仕事探しポータルのMonster Worldwideを4億2900万ドルをキャッシュで買収すると発表した。

この取引は、1株あたり3.40ドルでの買収となる。月曜日の市場での取引後の株価に上乗せした金額で、Monsterの時価総額は2億6200万ドルだ。しかし、それは1999年に創業したMonsterが、翌年には早くも上場した勢いのある時期の価格には遠く及ばない。Monsterは人材スタートアップ2社が統合して設立した会社だが、当時の株価は91ドルで、時価総額は80億ドルだった。2007年でも、株価は51ドル周辺で、Monsterの時価総額は最大55億ドルだった。(似たようなを他でも聞いたことがあるかもしれない。どこも同じ話があるのだ)。

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それでもMonsterにとっては興味深いエグジットだ。彼らは、最初のドットコムブームからのベテラン企業(そして生存者)だ。業界で多数のM&Aが活発に起きている中での買収だ。6月には、Monsterは「仕事のTinder」であるJobrを買収し、7月にはIndeed.comがSimple Hiredを買収した。Indeed自体は日本の採用と人材大手Recruit Holdingsが所有している。

Monsterはブランドを維持し、別会社として運営を継続する。しかしより大きな計画は、採用と雇用業界における異なる要素を統合し、Randstadが言うところの「人材サービスのポートフォリオ」における規模の経済の活かすことという。

「大規模な技術革新が起きる時代、雇用主は人材と関わり、獲得する最適な方法を見つけるという課題があります」とRandstadのCEOである Jacques van den Broekは声明で伝える。「Monsterは業界を牽引するテクノロジープラットフォームで、簡単に伝えるデジタルかつソーシャルなモバイルソリューションです。Randstadとは自然と補完しあえる会社です。この買収は、私たちのTech and Touchの成長戦略に合致し、労働力の供給と需要を近づけ、人材と最適な仕事とをつないでいく取り組みを促進するものです。私たちはMonsterチームを歓迎し、共にグローバルな採用業界を形作れることを楽しみにしています」。

Monsterにとってこれが重要な動きなのは、戦略的に他の近いビジネスと組む必要があるからだ。Recruitといった企業が採用分野に特化してサービスを展開している。Monsterは、40カ国以上でサービスを展開し、 Q1の発表では自社データベースに5万人の雇用者が登録しているという。しかし、Indeedが所有するSimple Hiredだけでも5万人が登録しているのだ。

「Randstadに参加することは、より多くの人を仕事とつなぐ事業を進めるためのまたとない機会です」とMonsterのCEOであるTim Yatesは声明で伝える。「Randstadと共にMonsterは、私たちの中核となるミッションを達成する立ち位置につけ、私たちの従業員は大きく、多様性のある企業の一員になることで得られることが多くあります。同様に重要なのは、この買収で私たちの株主に対してもすぐに価値を提供できることです。私たちは、継続的に最高の採用メディア、テクノロジー、プラットフォームを構築するにあたりRandstadに参加することで、彼らの支援が得られることを嬉しく思います。スムーズに事業を以降できるようRandstadチームと協力していきます」。

Monderの収益源と主力事業はウェブサイトで、一方のRandstadは採用センターに注力している。およそ4500の支店を持ち、200万人を仕事とつなげたという。Monsterの買収で、それを拡張するオンラインの要素を獲得した。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

ウォルマートがeコマースの有力スタートアップ、Jet.comを30億ドルのキャッシュで買収と発表

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このところ小売業はAmazonが君臨するeコマースが主戦場となっている。今日(米国時間8/8)、Walmartはデジタル・コマース・ビジネスにおける過去最大の買収を発表した。Walmartは運用開始後ちょうど1年のオンライン専門ショッピングサイト、Jet.comを30億ドルのキャッシュで買収する。またJet.comのファウンダーや関係者に最高3億ドル分のWalmart株式を与えるという。

Walmartの発表によれば買収後もJet.comは独立のブランドとして運営される。この買収は〔実店舗のスーパーマケットチェーンという〕Walmartのコア事業を多様化し、ターゲットの消費者を拡大する戦略に沿うものだという。

Jet.comの共同ファウンダー、CEOのMarc LoreはJet.comの責任者を続けるだけでなく、Walmartのオンライン事業のトップの地位をNeil Asheから引き継ぐ。Walmartの社長、CEOのDoug McMillonは買収についての電話記者会見で「われわれはeコマース事業にさらに注力していく。〔この人事は〕買収に伴う自然な成り行きだ」として次のように述べた。

「LoreがJetで確立した〔システム〕はWalmartでも採用される。Loreがこのポジションをは引き継ぐことは、Walmartをeコマースの世界にさらにコミットさせる役割を果たすだろう。これは理にかなったことだ」と述べた

2012年からグローバルeコマース部門のトップになったAsheは2016年からWalmart Technologyの責任者も兼ねているが、Asheが買収後も後者の地位に留まるのかは不明だ(取材中)。

McMillonは「Jet.comは「〔Jet.comは〕2020年までに黒字化を達成することになっているが、グループに入ったことで配送、人的資源、サプライチェーンなどにスケールメリットが活かせることになり、黒字化の目標達成は早められるだろう。ただし〔Jet.comに対して〕しばらく投資を続ける期間が必要必要だ。今日はWalamartのガイダンスの修正は行わないが、いずれにせよわれわれの企業文化は短期の損益に拘泥しない。われわれは消費者と共に勝利することに集中している」と述べた。

規制当局に承認されれば買収手続きの完了は年内を目標としている。【略】

WalmartとJet.comの買収交渉は1週間にわたって大きなビジネス・ニュースとなっていた。買収金額についてBoombergre/codeだけでなく、われわれTechCrunchも30億ドルになると報じたが、この情報は正しかったことになる。

今回の買収は急成長中のeコマース企業と世界最大の実店舗小売業の合併として大きなインパクトを与えている。現在Walmartは世界28ヶ国に1万1527店舗を展開し、会員制スーパーのSam’s Clubを始め63のグループ企業を展開している。1週あたり顧客は2億6000万人、会計年度の2016年には4820億ドルの売上を記録し、従業員は(なんと!)230万人に上る。

一方Walmartの発表によれば、Jet.comは事業を開始した最初の年に通年換算の流通総額 (Gross Merchandise Value=GMV)が10億ドルに達した。Jet.comの取扱商品は単品管理単位(Stock Keeping Unit=SKU)で1200万、月間新規顧客は40万、処理注文数は1日当たり2万5000、登録小売企業および提携企業数は2400となっている。

eコマース・ビジネスのインフラ構築のためにWalmartがこれほどの巨額を投じたことは強い関心を集めている。Walmartは世界最大の小売業だが、このところ採算性の悪い分野でのダウンサイジングにも努めている。たとえばWalmart Expressと名付けられたミニ・スーパーを実験的に開設している。

今日の電話記者会見で WalmartのCEO、McMillonは「Jet.comは「〔Walmartよりも〕都会的でありミレニアル世代を惹きつける力がある。現在われわれが扱っていないブランドにとっても魅力だ」と説明した。【略】

Jet.com―離陸したのか、滑走中か?

WalmartはJet.comのビジネスについは、売上総額、顧客総数、収益性など具体的な数字を発表していないが、買収以前にJet.comが発表したところによれば2019年までは赤字が続く見込みだ。

Jet.comは2013年に Lore、Mike Hanrahan、Nate Faustによって創立され、巨額のベンチャー資金を集めることに成功している。投資額は5億ドル以上と報じられているが、8億ドル以上の可能性もある。会社創立後、2015年7月に運用を開始するまで評価額上昇を続けた。30億ドルの買収額は、昨年末の資金調達ラウンドにおける評価額の1つとして報じられた額だ。

Jet.comはスタートアップとしても非常に若い会社で、事業の運営もアメリカに限定されている。しかしLoreはイギリスでドメイン名を登録しており、ヨーロッパ、少なくともイギリスには事業を拡張する計画かもしれない。

Walmartの広報担当者によれば、「JetはWalmartを助け、WalmartもJetを助けることができる」という。

この記事はアップデートでWalmartのCEO と広報担当の発言を追加している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Appleが機械学習とデータサイエンスの企業Turiを買収

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噂では、AppleがTuriを買収したらしい。Turiは、同社自身の言葉によると、“デベロッパーとデータサイエンティストのための機械学習プラットホーム”だ。

Appleに問い合わせたら、同社が買収を確認するときの、昔からワンパターンの、あまり内容のない答が返ってきた:

“Appleは小さなテクノロジー企業をときどき買収するが、一般的に、その目的や計画については議論しない”。

Appleは買収の財務的条件についてもコメントしなかったが、Geekwireは2億ドル以上、と言っている。

AppleがAIや機械学習の分野で買収をするのは、これが初めてではない。2015年には、機械学習と画像認識のPerceptioを買収している。

Turiは、機械学習関連のプロダクトを作っているだけでなく、Data Science Summitというカンファレンスも主催している。その名のとおり、データサイエンスのカンファレンスだ。

Turiは、前の社名が“Dato”、さらにその前は“GraphLab”だったが、商標争いが原因で今年の7月に今の名前になった。

Turiは顧客たちに、同社のプロダクトが可利用なのは7月末まで、と通知していた。それが、買収のサインだったのだ。またTuriのブログは、今やロードしない

しかしTuriのチームは、クパチーノのAppleの本社へ移るのではなく、シアトルにとどまるらしい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

カジノ会社Penn National、Zynga出身者が設立したRocket Gamesを最大1億7000万ドルで買収

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ソーシャルゲーム会社Zyngaによるリアルマネーギャンブルへの参入はスムーズとは呼べないかも知れないが、この度Zynga出身者が手がけた同ジャンル専門のスタートアップが最大1億7000万ドルで買収されることになった。サンフランシスコに本拠を置くソーシャルギャンブル会社Rocket Gamesは、スロットマシン、ビデオゲーム機、カジノを手がけるPenn National Gaming買収された。Penn Nationalは6000万ドルを現金で支払い、そのうえで業績に応じて1億1000万ドルまでのアーンアウト(追加の買収代金)を支払うとしている。

Rocket Gamesによれば、2015年の成長率は500%で、全ソーシャルカジノゲーム会社のうちトップ15に入るという。2016年6月30日までの6か月間における営業EBITDAとして560万ドルを計上したと同社は話す。

Penn Nationalにとって今回の買収は、カジノ等での実地提供型ゲームを継続的に提供し、実地以外でもオンラインでプレイヤーにブランドと顧客関係を浸透させる手段となる。

Penn National Gamingの会長兼CEO、Timothy J. Wilmottは「Penn NationalによるRocket Gamesの段階的買収は、自社を補完するような成長中の新興プラットフォームを買収するという私たちの継続的な戦略的イニシアチブを前面に押し出すもので、核となる地域型ゲーム事業と300万人のアクティブユーザーを擁するデータベースの活用を可能にするものです」と声明の中で語っている。「2013年にゲーム関連資産を不動産資産と分離して以来、私たちは成長と多角化に向けた幅広い施策に注力しています」とも述べる。

Penn Nationalは、オンラインでは既にHollywoodcasino.com および Hollywoodslots.com を展開しており、どちらも利益を上げているという。「私たちの内部分析によれば、データベース上の重要な顧客セグメントはソーシャルオンラインゲームにも積極的に参加しています。Penn Nationalの業務、Hollywoodcasino.comとHollywoodslots.comの提供するソーシャルカジノ、そしてRocket Gamesの活動の間には、経営と収益の点で価値あるシナジーが生まれ、株主に短・長期的な成長をもたらすと確信しています」とWilmottは語る。

Wilmottによる言及こそなかったが、このような新事業へのさらなる進出はPenn Nationalのビジネスニーズを今まさに押し上げる可能性も秘めている。Penn Nationalは最新の財務レポートで、6月30日までの3か月間における純利益として7億6940万ドルを計上したと報告しているが、この数字は自社利益予想の7億8680万ドルを下回った。

Android、iOS、Amazon、Facebook向けにアプリを開発するRocket Gamesは現在、約50種類のゲームを提供している。人気タイトルにはViva Slots Vegas、Downtown Deluxe Slots、Triple Double Slots、およびVegas Jackpot Casinoなどがある。Rocket GamesではZyngaと同様に、Popeye Classic Slotsなどのゲームタイトル開発用にブランドへのライセンス供与も行っている。

2013年に設立されたRocket Gamesがこれまでに調達したプライベート資金総額は不明だ。

Rocket Gamesのファウンダー、幹部メンバー、および30数名の従業員には、Zyngaで2012から2014年に大規模な離職の波起きた際に同社を去ったシニアスタッフたちが名前を連ねる。共同設立者3人のうちの1人、Bill Gelpi(Rocket GamesのCEO)はZyngaでプロダクト・ディレクターを務めていたし、Zyngaでプリンシパル・ソフトウェアエンジニアだったSteven Jian(同CTO)やスタジオ・ゼネラルマネージャーだったNiko Vuori(同COO)なども加わっている。幹部メンバーのJustin Cooper(同チーフコンテンツオフィサー)もZyngaのユーザーエクスペリエンスVPだった。Rocket Gamesチームは買収に伴いPenn Nationalに移籍となる。

「Rocket Gamesのチーム全員、Penn Nationalファミリーの一員となること、またPenn Nationalの培った専門性と米国全土にわたるリーチを活用することで私たちのゲーム開発力と成長力を次なるレベルへと導けることを光栄に思います」とGelpiは声明の中で述べている。「ソーシャルオンラインゲームは、モバイルオンラインゲームでも極めて魅力的なセグメントです。私たちの革新的で専門的なゲーム技術が、有用な顧客データベースを持つ正統派のカジノ運営者と手を組むことで、Rocket GamesとPenn Nationalの両社にとって、またとない機会が創出されるでしょう」。

Zyngaから流出した人材は、Survey Monkeyに買収されたRenzu社、VRゲーム会社のPlayful、モバイルEメール企業のWeMailなど、多数のベンチャー企業が受け皿となった。

法律事務所のDLA Piperは、今回の買収に際してPenn National Gamingに法的アドバイスを提供したと述べている。

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(翻訳:Ayako Teranishi)

DidiによるUber China買収で先行きが不安な「アンチUber同盟」

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メディアやテック業界にいる人の多くが、中国現地法人をライバルであるDidi Chuxingに売却するというUberの決断が失敗であったと捉えている。Uber Chinaを1番のライバル企業に売却するというのが、メンツを保つための行為であり、逆境に打ち勝って中国での成功を試みていたアメリカ企業にとって避けられない結末だったと考えるのは簡単だ。

しかし、取引の詳細についてもっと詳しく見てみると、今回の事業売却が、両社どちらにとっても上手く出来た話のように見えてくる。

まず、今回の話が急にまとまったものだと思わないでほしい。売却の噂は、両社が否定する中、1ヶ月に渡って広まっていた。さらに、交渉内容に詳しい情報筋によれば、この話はUberとDidiの間に既に2度も行われていたが、上手くいってなかった。つまり、今回の話が3度目の正直だったのだ。さらにもっと大切なことに、事業売却はUberがメンツを保とうとしているというよりも、両社がアライアンスを組もうとしていることを意味する。

同様に、Didiが親切心から買収をしようとしているとも思わないでほしい。Didiは、Uberが中国で数十億ドル規模の投資をし続け、弱っていくのを傍観することもできたのだ。Appleを投資家に含むラウンドで73億ドルもの膨大な資金を調達し、Didiはその資金調達力を見せつけたが、中国やその他の地域でのUberの脅威を取り除くために、彼らから何かを奪おうとしていたのだ。つまり、今回の話には、Uberの戦略的な撤退以外の双方にとっての利点がある。

それでは交渉はどのように進むのだろうか?

まず、もちろんUberは、同社のCEOいわく毎年10億ドルものコストがかかっているという中国事業と引き換えに、中国のライドシェアリング業界において支配的な立場にあり、評価額が350億ドルにおよぶDidiの(恐らく)20%近い株式を取得することになる。なお、350億ドルという評価額は、2015年の合併後にDidiが誕生したときから比べると、約11倍の額だ。

しかし、もっと大きな成長余地がそこにはある。

今年の夏のはじめに、Didiで国際戦略部門のシニアディレクターを務めるLi Zijianは、同社が中国のタクシー市場で1.1%しかシェアをとれていないとの推計を発表した中国の新たな規制により、UberやDidiのサービスは11月から合法化されることから、今回のUber Chinaとの統合と合わせるとDidiのビジネスが何倍にも成長することが見込まれる。さらにUberも同社の最大の単一株主として、その利益を享受することになる。

Didiの株式を保有することで、Uberはバランスシートから現金を食い荒らしていた中国事業を取り除くことができ、待望のIPOに向けて前進することができる。さらに、Didiは自社のIPOの計画に関するニュースをこれまで否定していたものの、膨大な成長可能性を持つDidiの株主となることが、今後大きな利益に繋がる可能性が高い。

中には、Uberがこのような潜在的な財務利益を求めていたなら、単純にもっと早い段階でDidiへ投資することで時間とお金を節約できていたのではないかと主張する人もいる。しかし、もっと早い段階でDidiへ投資するためには、まず合併前のDidi KuaidiとDidi Dacheどちらへ投資するのか選ばなければならなかった。また、もっと重要な点として、Uberとの競争が無くともDidi Chuxingは今日の姿にまで成長することができたと考えるのは賢明ではない。

一例として、Uberは2014年末にPeople’s Uberを発表し、中国におけるP2Pサービスの先駆者となった。それ以前には、Uberが行ったスケールのP2Pサービスは存在しなかったのだ。Didiはその当時まだ準備段階にあったためその波に乗り遅れてしまい、People’s Uberの発表から6ヶ月程経った後に自社のライドシェアリングサービスを発表した。Didiは、当初ライセンスを持ったタクシーのみを利用しており、この例から、Uberとの競争が明らかにDidiのビジネスを形作り、その成長を支えていたと分かる。

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Didi同盟に広がる不透明感

統合の本当にネガティブな影響は、アメリカのLyft、インドのOla、東南アジアのGrabからなるDidi同盟におよぶことになりそうだ。

これら4つの企業は、「アンチUber同盟」と呼ばれる同盟を昨年組み、ユーザーが旅行時に各企業のサービスを利用できるようにしたり、ノウハウを共有したりと、事業におけるシナジー効果を狙っていた。それと同時に、Didiは他3社に対して投資を行っており、Lyftへは1億ドルを出資し、昨年行われたOlaの5億ドルのラウンドと、1年前に行われたGrabの直近となる3億500万ドルのラウンドでは、それぞれ金額非公開のマイノリティ出資を行っていたのだ。

宣伝効果を狙ったものと見られることが多いが、この連合によって、Didiの同盟企業は結束力を高め、Didiからのサポートを受けることができ、さらには投資家を安心させることができたと考えられている。気まぐれに数10億ドル規模の資金調達ができるほどの力を持っているとされるUberのように、グローバルで活躍する大手企業と戦う上で、これらの要素は重要になってくる。

しかし、今回のUberとDidiの統合を受け、同盟関係は良くとも不安定、悪ければ混乱状態にあるように見える。

Didiが天敵であるUberと統合し、株式の相当量を渡してしまっただけではなく、Uberのグローバルビジネスに対しても、Bloombergが10億ドルにのぼると発表している詳細不明の投資を行ったのだ。Uberにとっては、これまでの調達資金額を考慮するとわずかな額でしかないが、Bloombergの数字が正しいとすると、これはDidiが同盟企業に対して出資した額の何倍にもなる。

それだけにとどまらず、Uber CEOのTravis KalanickがDidiの取締役に就任し、さらにはDidi CEOのCheng WeiもUberの取締役となったのだ。

私自身を含む多くの人が、同盟自体やDidiの同盟企業への出資を、海外進出に向けた買収の第一歩として見ており、当時の状況にもマッチしていた。しかし、Uberとの統合により、全てが論争に投げ込まれることとなる。つまり、東南アジアを例にすると、今やUberと同盟を組むことになったDidiは、Grabをどのようにサポートしていくのだろうか。両社を戦わせ合って、買った方と同盟を組むのかもしれない。

これはもちろん仮説だが、昨日までは考えることも出来ない話だった。

Didi同盟企業の反応

Grabはこのニュースを楽観的に捉えており、CEOのAnthony Tanは取引が確定する前から肯定的な態度を示していた。Tanは、TechCrunchが入手した社内向けのメモに、Uberの撤退は各地域のローカル企業でもUberを打ち負かすことができるという証拠だと述べていた。

「一度負けを味わったUberを、私たちがもう一度負かせよう」とTanは社員に向けて語った。

まさしくケンカの売り言葉のようだが、Uberを撤退に追いやった中国の状況と、東南アジアの状況は異なるため、単純比較はできない。ほぼ間違いなく、補助金合戦は中国に比べずっと穏やかなものになるであろうし、Uberは東南アジアへの進出を本格化しはじめたばかりだ。

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Tanは、公の場では社員たちを元気づけていたが、影では今回の出来事の成り行きにがっかりしていたことだろう。

一方Lyftは、UberとDidiの取引について、もっと落ち着いた様子のコメントを発表した。

「今後数週間の間に、Didiとのパートナーシップに関する評価を行っていきます。私たちは、中国の規制面から、Didiに大きなアドバンテージがあるといつも思っていました。」とLyftの広報担当者はWall Street Journalに語った

インドのOlaは、統合に関する公のコメントを求める度重なる依頼に応じなかった。

状況がハッキリして、今回の統合が世界のライドシェアリング経済にどのような影響をもたらすのか分かるまで様子を見ていきたいと思うが、現時点では、多くの人が考えるよりもUberは断然有利な立場にあるようだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

確定:DidiがUber Chinaを買収、Uberブランドは継続

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中国のDidi ChuxingとUberの両社は、DidiがUberの中国事業であるUber Chinaを買収することに合意したと認めた。損失を出している両方のオンデマンド交通ビジネスが利益を出す会社になるためだ。少し前からこの合意に関する噂が流れていた。

どちらも両社の独立したブランド、アプリ、ビジネスオペレーションを維持するが、バックエンドは統合するようだ。Didiは「マネジメントとテクノロジー体験、そして両チームの専門性を統合していく」としている。

Didiが発表した財政面での説明では、Uberは新しく統合した会社の5.89%、そして Didi Chuxingの経済的利益の17.7%に相当する優先株を保有する。既存のUber Chinaの投資家で、中国における主要格の検索企業Baiduは、新事業の2.3%を保有することになる。

一方、UberのCEOであるTravis Kalanickにとって、Uberがサービスを展開する市場の全てで勝者になることはできないと認めたのにかなり近い状態と言えるだろう。

「UberとDidi Chuxingは両社とも中国で何十億ドルもの資金を費やしていますが、どちらもまだ利益を確保できていません」と、ブログ投稿に記している。「利益が確保できる体制を構築することは、中国の乗客、ドライバー、都市にサービスを長期にわたって提供するための持続可能なビジネスを構築する唯一の方法です」。

Didi側の公式な発表でも、この取引における正確な金額は明示されていない。Didiは中国において1500万人のドライバー、3億人のユーザーがいるとし、「Uberの少量株主持分を取得することになります」と述べるにとどまった。

しかし、この取引について第一報を伝えたBloomberg によると、DidiはUberのグローバルビジネスに10億ドルを出資するという。参考までに書くと、Uber Chinaはこのセクターで「勝者」になるための全ての指標においてDidiに遅れをとっていた。Didiの方が調達金額が多く、評価額も高い上、彼らの主張によるとUber Chinaより広く普及しているという。

最後のポイントについて両社は議論しあっていたが、今回のニュースを受けて、PRにおける両社の緊張関係は解けたようだ。Kalanickが投稿した別のFacebookポストでは、直接的にDidiの数字と比較していないものの、Uberでは毎週4000万回の移動があり、Uberブログには月に1億5000万回の移動があると伝えている。

直近では、Uber Chinaの評価額はおよそ70億ドルで、Didiの評価額は280億ドルだった。

この取引は、少なくとも1ヶ月前から話し合われていた。もしかすると、それより前からかもしれない。7月の始めにはそのような噂が聞かれていたが、事実確認をすることはできなかった。

また、人事異動もある。 Didi Chuxingのファウンダーで会長のCheng Weiは、Uberの役員会に参加し、代わりにUberCEOのTravis KalanickはDidiの役員会に参加する。

ChengはUberとの熾烈で高額な競争期間を終え、落ち着きのある勝者となった。

「Didi ChuxingとUberは、急成長を遂げる中国経済の中で過去2年間、互いから多くのことを学びました。中国に深く根ざしたテクノロジーリーダーとしてDidi Chuxingは、常にイノベーションの最前線を突き進み、人々の交通手段の未来を構築してきました」と声明で伝える。「このUberとの合意は、モバイル交通業界をより健全な状態に整え、さらに高次の成長につながる持続的な道を開きます。Didi Chuxingは監督期間、ユーザー、パートナーと協力し、私たちの都市における交通、環境、雇用の課題を解決することに全力を注ぎます」。

Didiの会長であるJean Liuは、今回の合意についてDidiがグローバルな野望から遠ざかるものではないとした。

人、車、ライフスタイルをつなげるDidiのオープンなシェアベースのエコシステムには、1500万人のドライバー、3億人の登録ユーザーが参加しています。Uber Chinaの経験と優秀な人材が加わることで、Didi Chuxingは中国の人たちにサービスを提供するにあたり、確固たる地位を築くことができます。Didi Chuxingはまた、海外展開の戦略も拡張していきます。私たちは自国、そして国外のパートナーと協力し、ドライバー、乗客、コミュニティーに対してさらなる価値を創出していきます。

競争関係の行方

今回の発表は、この合意における直接的な影響、そして将来的にUberにどのような影響があるかに関して多くの疑問が浮かぶ。

まず気になるのが、UberのCEOがDidiの役員会にいて、DidiのCEOがUberの役員会にいることで、中国以外の市場における競争環境にどのような影響があるかということだ。Didiは、Uberがサービスを展開する主要地域の競合他社の全てに投資している。Lyft(アメリカ)、Ola(インド)、Grab(東南アジア)だ。現時点で分かっていることは、この中国企業はUberとの合意後も「グローバルパートナーと引き続き協力していく」と言っていることだ。

また、この取引に関してUberの部分的な投資家となる企業がある。Didiの投資家にはAlibaba、Apple、DST、Softbank、Tencentなどが含まれる

さらにこのような事業を構築するにあたり、ビジネスモデルに関しても疑問が湧く。Uberはグローバル市場でサービスを展開するために、何百億ドルもの資金を調達した。Uberは別会社としてUber Chinaを設立し、個別に調達を行ってきた。しかし、何十億ドルを費やしてもDidiとの競争に勝つのには十分ではなかった。

中国生まれのUberのライバルは、サービスを展開する200の地域で利益を出していると最近伝えた。だが、360の地域全てで利益を確保できているのではない。これは規模があっても、利益面で最終的につじつまが合うかどうかは時間が経たなければ分からないということだ。興味深いことに、主要なライバルを飲み込んでしまうことで、競争に伴う割引やマーケティング施策を削減し、投資額が少なくてすむようになる。

これがどのような結果をもたらすかは時間が経たなければ分からないが、Uberが苦戦を強いられている地域で、市場の勝者となるために投資しすぎていると判断した場合においてUberがどのように立ち回るかに関しても注目したい。

Uberは、食品配達などの新たなカテゴリーにも参入していて、荷物であれ人であれ、あらゆるものの輸送手段に対応するワンストップ・サービスとなるための野望に向かう施策を打っている。

Uberは各市場で圧倒的なライバルであると証明してきたが、Uberの戦略変更、そして競合を押しつぶすための投資が見合わないと判断した場合には、競合との合併を選んだことによる影響はどうだろうか?これは、投資額がエスカレートする競争で勝つのが不可能に思えたUberの競合にとって、活路となるかもしれない。交通手段のライバルの1社であるGrabは、Uberとのライバル競争は負け戦ではないという声明をすでに出している

<Uberの声明は原文をご参照ください>

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

髭剃り定期購買「Dollar Shave Club」のCEO、Michael DubinがUnilever による買収を語る

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編集部記:David Pakmanはニューヨークに拠点を置くベンチャーキャピタルVenrockのパートナーだ。アーリーステージのインターネット、デジタルメディア企業を中心に投資している。

Dollar Shave Clubのアーリーステージにおける投資家として私はDollar Shave ClubのCEOを務めるMichael DubinとUnileverによる買収、そしてこれまでの軌跡について話を聞いた。Venrockの「Running Through Walls」のポッドキャストでその様子を放送している。

この会社が初期の頃にローンチしたユーモアたっぷりのビデオを覚えている人も多いだろう。ネット上で大きな話題となったそのビデオは、会社のウェブサイトをクラッシュさせるほどの人気となった。「ビデオの人気が凄すぎて、もう会社が立ち直れないんじゃないかと思いました」とDubinは話す。

会社は見事に立ち直り、Dubinは男性の手入れの分野で確固たるブランドを築きあげた。彼は自社の物流センターを訪れたときに、ベルトコンベアを流れる大量の出荷待ち製品をみて、自社プロダクトがどれほど多くの人々の生活に役立っているかを目の当たりにし、会社の成功を確信したという。「アメリカ人の約3%は朝起きたらDollar Shave Clubの製品を使っているのです」。

Dubinはその昔、即興劇のクラスを取ったこともあり、ユーモアはいつでも会社のカルチャーで重要な役割を果たしてきた。彼はそのクラスで学んだことをCEOとしての仕事に生かしてきた。「台本なしでステージに立つことは、どんな困難にも立ち向かうための訓練になります。スタートアップ向けの最高のトレーニングでした」。

買収後もDubinは引き続きCEOとして新製品の開発と海外展開を中心とした「平常業務」を続けていく予定だ。Dublinによると「Unileverは世界で有数の先進的、革新的な一般消費材メーカー」で、Dollar Shave Clubの買収先として理想的な相手だという。

5年後には「ネットショッピングの概念に意味のある変化を与える」企業になることを目指しているとDubinは言う。

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(翻訳:Maki Itoi)

LeEco、米TVメーカーVizioを20億ドルで買収へ

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もし、LeEcoという名に聞き覚えがなかったとしても恥じることはない。つい最近までLeTVという名前だったこの企業は、それほど有名というわけではないからだ。しかし、同社の地元である中国では、多分野で活躍する精力的な企業として知られている。大規模なビデオストリーミングサービス、テレビやスマートフォンの製造、さらには自動車産業にも進出している

そして、さらなる成長を遂げようとするLeEcoは26日、Vizioを20億ドルで買収する計画を明らかにした。この計画によれば、カリフォルニアに拠点を置く格安テレビメーカーであるVizioのハードウェア部門およびソフトウェア部門がLeEcoの子会社となり、データ事業のInscapeは分社化して独立するという。

Vizioによると、同社の経営チームは据え置きとなり、カリフォルニア州アーバインの拠点も北米の販売チャネルも従来通りとなる。Vizioの創立者でCEOのWilliam Wang氏はInscapeを率いることになる。

同氏はまた、14年前に創立したVizioの売り上げについて振り返り、今回の買収により同社の世界的なリーチが広がると付け加えた。「LeEcoの世界的なリーチとリソースが、今後もVizioがお客様に優れた技術、イノベーション、そして価値をお届けしていく中でどのような効果をもたらすのか非常に楽しみです」と、同氏は声明文の中で述べた。

買収計画からは、ある意味においてアメリカ市場への参入をさらに進めようとするLeEcoの姿勢が垣間見える。同社はアメリカでの具体的なハードウェア販売開始時期を明かしていないが、2004年に同社を設立し、現在はCEOを務めるJia Yueting氏はCNBCに対してそのような動きが「遠い将来のこと」ではないことを願っている、と語っている。

今回の買収が計画通り進めば、間違いなくその方向への大きな一歩となるだろう。

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(翻訳:Nakabayashi)

Oracle、エンタープライズ向けクラウドサービスのNetSuiteを93億ドルで買収

The Oracle headquarters is shown in Redwood City, Calif., Monday, June 18, 2012.  Oracle reported Monday that it earned $3.45 billion, or 69 cents per share, for the three months ending in May. (AP Photo/Paul Sakuma)

今日(米国時間4/28)、Oracleは全額キャッシュで1株あたり109ドル、つまり総額93億ドル前後でNetSuiteを買収することを発表した。 OracleとNetSuiteの両者は買収後もエンタープライズ向けサービスの提供を継続する。「両者は同じ市場で今後永く共存する」とOracleのCEO、Mark Hurdは述べた。

HurdはNetSuiteの買収について「両社の関係は補完的だ。Oracleは今後とも両社の新しいプロダクトの開発と流通に投資していく」と付け加えた。

NetSuiteは創立後18年を超える企業で、クラウド市場におけるエンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)の分野で支配的な地位を占めているとされる。NetSuiteのサービスには需要、供給、在庫、会計、顧客関係管理(CRM)、人材管理(HR)などの処理が含まれる。近年ERP市場では活発なM&Aが行われ、全体として統合化が進んでいた。またOracleは2016年に入って小型の買収を積極的に行ってきた。買収した企業にはOpowerTexturaが含まれる。

これらに比べるとNetSuite買収は金額の点ではるかに大きい。もっとも歴代では2004年に103億ドルで買収したPeopleSoftが依然としてトップだ。現在でも巨額だが、大型買収の数が少なかった当時としてはさらに大きな衝撃を与える金額だった。

OracleとNetSuiteのサービスは似ているが、買収によって Oracleは現在の顧客よりもサイズが小さい企業にアクセスするチャンネルが開かれる。これはOracleの主要なライバルであるSalesforceとの競争上、有利な要素になるだろう。

画像: Paul Sakuma/AP

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Yahooに致命傷を与えた、プラットフォームの交代

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2000年、Yahooの価値は1250億ドルだった。2008年、Microsoftが提案した440億ドルでのバイアウトを拒否した。そして、本日Verizonに48億3000万ドルでの身売りに至った。ここでの学びは、前回のコンピューター・プラットフォームで勝利を収めても次のプラットフォームが到来する時、それに対応できないのなら会社は売り払った方が良いかもしれないということだ。

悪役にピアノが落ちてくるアニメのように、Yahooの予期していなかった「モバイル」が同社に降りかかった。Yahooはウェブポータルだった。ユーザーは数多ある多様なウェブサイトを検索したり、ブラウズしたりすることができた。しかし、2007年にiPhoneがローンチしたのと同時にモバイル時代がやってきて、ユーザーの行動が変わった。1つのオムニサイトから検索やブラウズをしてインターネットを巡るのではなく、用途ごとに専用のアプリをダウンロードして使うようになった。

それに加え、コンテンツ消費のパターンも変わった。デスクトップのコンピューターで拡張的なコンテンツやニュースサイトを長時間見るのではなく、生活の中のちょっとしたダウンタイムを埋めるために、ユーザーは細切れで楽しめるモバイルエンターテイメントを求めるようになった。

Yahooはそれらに対応できるよう作られたものではなかった。そして、順応することにも戸惑っていた。Yahoo SpotrsやYahoo Financeといったいくつかのプロダクトで食いしのげたのだ。しかし、中核となる資産は別の環境で生き抜くために進化してしまった。モバイル版のデザインはあったが、機能は乏しかった。人々の利用率はこぼれ落ち、Yahooの広告在庫は減少しただけでなく、ソーシャルネットワークによる広告ターゲットのための情報を得る機会も失った。

そして、Yahooは石のように海底へと沈んでいった。

Yahoo home page in 2008

この船を助けるためには、例えば積極的にモバイル会社を買収するなど、もっと早い段階から決定的な行動を取るべきだった。同社は危険な状況にあり、Yahooは社運を賭けた決断をしなければならなかった。しかし、その代わり価格は高いが、ウェブ・ファーストの小さなスタートアップであるFlickrやTumblrを買収した。それらの会社の基盤を正しい方向へと向かわせることに力を割いた。けれども、それらはあまりに小さく、あまりに間違っていて、あまりに遅かった。

より良い判断はなんだったのかを見るために、例えばFacebookを見てみよう。彼らの中核プロダクトはニュースフィードであり、ユーザーが投稿する短いステータスのアップデートや写真で構成される。彼らの初期のモバイルアプリは良いものではなく、ウォール街も不安を持っていたが、Facebookはモバイルに適応することに意欲的だった。

Facebook's app circa 2009 when it misunderstood mobile

まだモバイルを正しく理解していない2009年頃のFacebookアプリ

「ウェブサイトのように同時に色んなことをやる」という考えで作った一覧デザインを捨て、デフォルト画面をフィードにして、素早く使えるアプリに変更した時、ユーザーの利用が爆発的に増えた。彼らはInstagramやWhatsAppの買収に多額の資金を使ったが、それらの企業はモバイルで利用率が増えている機能を中心に置くモバイル・ファーストのプロダクトを手がけていた。

Yahooの終焉はMarissa Mayerの責任ではないだろう。Yahooが栄光を取り戻すには、先見の明、スキルも運も必要だが、最も必要だったのは、モバイルへの方向性をもっと早い段階から進めるためのタイムマシーンだ。もしかするとVerizonは、YahooのアドテクとAOLを組み合わせ、残骸から利益を絞り出す方法を見つけることができるかもしれない(情報開示:VerizonはTechCrunchも所有している)。

ただ重要なポイントは、テックチームはプラットフォームの交代に対して準備することに危機感を持たなければならないということだ。会社を殺すのは、競合他社であることは少ない。変化を目前に固まってしまうことが会社の終焉を招く。そして今、水平線には拡張現実、仮想現実、音声、人口知能といったものが夜明けを待っている。

気鋭のCEOは準備を整えている。GoogleはDeepMindのAIを買収し、社内のプロダクトに行き渡らせている。FacebookはOculusを買収し、VRとARに参入を目指す。Uberは自動運転車のラボを構えた。そしてAmazonはEchoの音声コントロールにリソースを投下している。もしこれらの戦略が結実すれば、会社がディスラプトされることを避けることができるだろう。

地殻変動が起きる中で会社が断層線の上を走り続けるなら、近いうちに揺れに耐えられなくなって地面に叩きつけられるだろう。

何十年も生き抜く巨大テクノロジー企業は、地面に飲み込まれるのを待っていたりはしない。彼らは、全面的なプロダクト変更、大胆な買収、落ち着かない状況でも必要なことを実行する意志を持ち、未来のある方向にビジネスの配置替えを行っている。復活することより、ピボットする方が簡単なのだから。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

Unileverが10億ドルでDollar Shave Clubを買収した理由

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【編集部注】執筆者のRyan Caldbeckは、消費財・小売企業の投資プラットフォームCircleUpの設立者兼CEO。

また新たな巨大消費財企業が、イノベーションではなく買収を頼りに成功を目論むという、デジャヴのような出来事だった。

今週、Unileverが設立5年のDollar Shave Clubを10億ドルで買収するというニュースが舞い込んできたのだ。先週は、設立から100年近く経っているDanoneによるWhiteWave Foodsの買収が発表された。Oreoを生産するMondelezHersheyCadburyの入札に参加するなど、今四半期だけとは言わずとも、今年中にはさらに同様のニュースを耳にすることになるだろう。

パーソナルケア用品、食料品、飲料品と、次々と異なるカテゴリーで同じパターンの現象が起きており、その様子はR&D機能をシステマチックに市場へアウトソースしているように映る。このモデルは、特に製薬業界でハッキリと見られ、The Economistが最近指摘していたように、大企業は自分たちで新薬の開発を行わず、他の企業を買収し、ディストリビューションや規制対応、統合処理などを行っている。

コスト削減:崩壊したシステムへの絆創膏

利益を生み出すためのコスト削減の分かりやすい例として、ブラジルでプライベート・エクイティ事業を行う投資会社3G Capital Partners LLPが、2013年にHeinzを買収し、その後HeinzがさらにKraftを490億ドルで買収していた。

昨年のHeinzによるKraftの買収以後、Kraft Heinzは15億ドル規模のコスト削減活動として、5000人以上の人員削減を行い、複数の工場を閉鎖したのだ。現在、3GはGeneral Millsの買収を目論んでいるとも噂されている。そして、Anheuser-Busch InBev NVがSABMiller Plcに対して行った買収提案も前進している。これらの企業は、成長ではなく、コスト削減による株主価値の最大化を狙っているのだ。

確かに、合併や統合によってコストを削減することで、短期的には株主価値が向上する。しかし、一度無駄を削減し終わったら、株主の手元には何が残るだろうか?そこには、イノベーションの欠如によるマーケットシェアの縮小という、買収や合併のきっかけと同じ問題が残り続けることになるのだ。株主価値の創造における重要な違いは、削減できるコストには(当然)限りがあるが、イノベーションには制限がない。

消費財・小売業界の大企業がイノベーションを生み出せていない状況は、Walmart対Amazonの戦いにハッキリと見てとれる。

Amazonは、今日の消費者のニーズをうまく満たすイノベーションで急成長を遂げている。洗濯用洗剤やコーヒーなどの商品を、文字通りボタンを押すだけで購入することができるDashがその好例だ。

一方Walmartは、低価格量販店のリーダーとしての歴史的な地位を保持するのに苦しんでおり、品質を落としたり、統合プロセスを省略したりと、既に削減されたコストをさらに削減しようとしている。例えば、最近Walmartはコストを減らすために、バタークリームアイシングの廃棄量を削減した

巨額買収:生み出せない企業が買いに走る

コスト削減の主な代替手段としての人気が増しているのが、イノベーションでの不利を埋め合わせるため、ダイナミックな新製品を持つ、設立間もない企業を買収するという戦略だ。この戦略は、実質的にR&D機能やイノベーションの創造を、リスクのとれる小さな企業へアウトソースしていることと同じだ。ここでのリスクとは、新製品を市場でテストすることや、ディストリビューション、パッケージを含めたブランドエクスペリエンス全体に関する面白いアイディアを考えだすことなどを指す。

短期間で株主利益を生み出さなければならないと企業にプレッシャーをかけている短期主義のせいで、単純に大企業にはリスクをとって失敗する余裕がないのだ。

現在いくつかの大企業は、アーリーステージでの投資を行うことでより良い道を模索している。

昨年6月末にKellogg Companyが、ベンチャーファンドを利用した大戦略の流行にのって、自社のベンチャー部門となるeighteen94を設立し、革新的な製品の取り込みのため、スタートアップへの投資活動を行っているのにもそのような背景がある。

他社もバランスのよい製品ラインナップのための買収を行っているが、往々にして買収額は高くついてしまう。最近の例としては、Coca-Colaによる持続可能な乳製品を製造するFair Oaks Farmsへの投資CampbellによるPlum Organicsの買収、Post Holdings Inc.による高タンパク飲料・食品の製造を行うPremier Nutrition Corp.の買収、そしてSteve MaddenによるDolce Vita Holdings Inc.の買収などがあげられる。

大企業:時間を稼いでいるだけ

イノベーションを生み出せずにいる消費財・小売大手企業のマーケットシェアは年々下がってきている。投資銀行Jefferiesの発表した調査レポート「Food: The Curse of the Large Brand」によると、過去5年間で54種類の主要食品カテゴリーのうち、42種類で大企業が小企業にマーケットシェアを奪われていた。同時に、Boston Consulting Groupは、2009年から2013年の間に消費財を扱う大企業のマーケットシェアが2.3%低下したとの推計を発表している。

巨大消費財企業は、日々変化する消費者の趣向に沿って市場の求める製品を生み出している革新的なスタートアップによってマーケットシェアを奪われていっているのだ。

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この背景には、人間が食べられるレベルのペットフードや、オーガニック製品、手軽で健康的なお菓子など、消費者がもっと自分にあった製品を求める中、新しい企業によって次々と製品カテゴリーが変化しているということがある。ヨーグルトを例にあげると、2008年から2013年の間に、Chobaniなどの新興企業が大企業からマーケットシェアの19%を奪いとっていた。

同様に、大手コーヒーブランドが7%ものマーケットシェアを失う一方、Blue BottleやArtisといった新しいコーヒーブランドが11%に及ぶマーケットシェアを獲得した。おふろ用品を見ると、大手企業のシェア低下幅と、The Seaweed Bath Co.やRock Your Hairなどの新興企業のシェア増加幅はそれぞれ3%だった。別の例が、Meridian Capitalの最近のレポートに掲載されていたScrub Daddyだ。Scrub Daddyは新しい種類のキッチン用スポンジを製造しており、人気番組Shark Tankへの出演の影響もあって、設立直後の状態から売上3500万ドルに到達するまで1年しかかからなかった。

大手消費財企業の経営数字を見ると、その真実が見えてくる。消費財業界における小企業にイノベーションの追い風が吹く中、Pepsicoは24億ドルをマーケティングに投入したものの、R&Dへの投資額はたった7億5400万ドルだった(2015年の数値)。Dollar Shave Clubのニュースを覚えているだろうか?2015年にUnileverは、80億ドルをマーケティングに投じた一方、R&Dへの投資額は10億ドルだったのだ。新鮮味に欠ける旧来の製品のマーケティングに、新しい製品の開発にかける金額の8倍ものお金を使っていることの意味を考えてみてほしい。新しくて快適な製品を生み出すということの優先順位が、単純に彼らの中で低かったのだ。

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そのため、マーケットシェアが減り、短期的な結果を求められ、イノベーションの創出に苦しんでいる消費財・小売大企業は、度重なるコスト削減やイノベーションの代替としての買収という危険な習慣に陥ってしまったのだ。

しかし、消費財業界でのディスラプションはまだはじまったばかりだ。コスト削減や巨額買収で時間を稼ぐことができたとしても、消費財・小売大企業は、本当の意味での成功を勝ち取るためには、イノベーションこそが前に進むための道だと気付かなければならない。

次回は、買収した企業のブランド価値を損なわずに統合していく方法について考えてみたい。ブランド価値の保護は、多くの上場企業において決定的な資産となるだろう。つまり、ブランド価値を上手く保てた企業が、市場全体のトップとしての地位も保つことができるのだ。詳しくは新しい記事に記していきたい。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

確定―VerizonがYahooのインターネット事業を48億3000万ドルで買収

2016-07-26-yahoo-verizon

何ヶ月にも渡った価格交渉数回にわたるレイオフの末、アメリカYahooはついに売却先を確定した。

Verizon(AOLの親会社。AOLはわれわれTechCrunchの親会社)はYahooの本体事業を48億3000万ドルのキャッシュで買収することを公式に発表した。買収される事業にはYahooの広告、コンテンツ、検索、モバイル活動の一切が含まれる。

Verizonの会長、CEOのLowell McAdamはプレスリリースで、「われわれは1年と少し前にAOLを買収し、あらゆるサイズのスクリーンを利用する消費者、クリエーター、広告主を結びつけるという戦略を一歩進めた。今回のYahoo買収でVerizonはトップクラスのグローバルなモバイル・メディア企業としての競争力をさらに高めることができた。同時にデジタル広告における売上の加速も期待される」と述べた。

YahooのAlibaba、Yahoo Japanの持株は今回の買収の対象となっていない。これらの資産には数百億ドルもの価値がある。7月22日現在、Yahooが保有するAlibabaの15%の持ち分は312億ドル、Yahoo Japanの34%の持ち分は83億ドルだった。 Yahooの特許ポートフォリオも今回の売却の対象外だが、10億ドル前後の価値があるとみられている。TechCrunchがつかんだところによるとサニーベールのYahoo本社は売却の対象だという。

Yahoは最終的にAOLと統合される。Verizonの執行副社長、プロダクト・イノベーションと新事業の責任者、Marni Waldenが買収プロセスを指揮する。AOLのCEO、ティム・アームストロングは社内向けメモの中で、マリッサ・メイヤーと緊密に協力していることについて触れている。メイヤーはYahooの社内向けメモの中で、「個人的には(Yahooに)留まるつもりだ。私はYahooとそのチームを愛し、信じている。Yahooを次の章に飛躍させることは私にとって重要だ」と書いている。メイヤーは買収手続が完了するのは2017年の第1四半期の末と予想している。【略】

昨年、Verizonは AOLを44億ドルで買収した。Verizonは現在でもトップクラスのテレコム企業だが、AOLとYahooを買収したことからすると、今後は事業とその売上の多様化を図っていくつもりのようだ。

買収手続が完了した後、YahooとAOLを統合すれば、巨大なメディアと広告の子会社が生まれる。AOLははるかに大きなスケールでウェブとモバイルのオーディエンスにリーチすることが可能になる。広告事業のターゲットは10億人単位になるかもしれない。

〔ティム・アームストロングのメモにあるように〕最終的にVerizonはデジタル広告事業でGoogle、Facebookと競争できる存在になるつもりらしい。オンライン広告は現在、シリコンバレーのこの2社にほぼ独占されたかたちだ。Verizonは3番目のプレイヤーになろうとしているようだ。

反トラスト法当局により買収が承認されるとして、Verizonはさらに2つのハードルを超えなければならない。直近の四半期決算の電話記者会見でYahooは社員8800人、契約社員700人を擁していると述べた。これに対してAOLの社員は6800人だ。どちらも数千人という規模の2つの会社を統合するのは誰にとっても容易な仕事ではない。第二に、 Yahooは近年相当の赤字を出し続けている。VerizonはYahooをまず黒字体質に変える必要がある。そうでなければYahooはAOLの足を引っ張る存在になってしまう。

プレスリリースで VerizonはYahoo買収の理由を説明し、同社には10億人のユーザー(うち6億はモバイル)がいることを挙げた。またYahooが数多くの優良ブランドを所有していることも指摘している。Verizonはニュース、スポーツ、Yahoo Mail(月間アクティブ・ユーザー2億2500万人)を例示した。広告媒体と広告テクノロジーではBrightrollFlurryGeminiを例に挙げている。面白いことに VerizonはTumblrについては触れなかった。

Yahooが公式に 事業売却の可能性を認めたのはこの2月だった。【略】マリッサ・マイヤーが 2012年にYahooに加わったとき、Yahooを再活性化するビッグ・プランがあるということだった。マイヤーやモバイル化の努力を倍加し、人材獲得のためのスタートアップ買収を10回以上実行した。Tumblrは11億ドル、Brightrollは6億4000万ドルだった。またYahoo Mail、Flickr、Yahoo Weather、Yahoo Messengerなど既存プロダクトのアップデートにも力を入れた。

しかしこうした努力もYahooの収益構造を目立って改善するには至らず、ついにオンライン事業の売却という結果になった。

今から考えれば、売却先は当初からVerizon以外なかったかと思えるがYahoo買収に関心を示した企業にはAT&T、TPGグループ、Dan GilbertのQuicken Loans関連の投資家などがある。Verizonはこの後電話記者会見を予定しており、さらに詳しい説明が聞けるかもしれない。このニュースが流れた後のVerizonの株価は、市場取引スタート前の数字だが、特に動きがない((+0.21%)。 この買収の情報は金曜日にリークし始め、株主、投資家は今日の発表を十分に予期していた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

MasterCardが11億ドルでVocaLinkを買収、イギリスの決済サービスへ参入

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イギリス企業の動向を追っている人向けに新たなニュースが入ってきた。新たに一社、イギリスで生まれ育った大手テック企業が外国企業に買収されることが分かったのだ。本日(米国時間7月21日)MasterCard Inc.は、VocaLinkと株式の92.4%を取得することで合意に至ったと発表した。VocaLinkは、イギリス国内のATM、ダイレクトデビット、そして大手モバイル決済ネットワークを支える一大テック企業だ。買収額は総額11億4000万ドルにのぼり、全額現金で支払われる予定。まず7億ポンド(9億2000万ドル)が支払われ、さらにアーンアウトとして、業績に応じて最大1億6900万ポンド(約2億2000万ドル)が現金で支払われる。

残りの7.6%の株式については、少なくとも向こう三年間は引き続きVocaLinkの株主が保有するとMasterCardは発表の中で述べた。

VocaLinkは、2015年に1億8200万ポンド(2億4000万ドル)の売上と、110億件以上の決済処理数を記録している。

今回の買収は、今週発表されたイギリス企業のエグジットで2番目となる規模で、1位はソフトバンクが月曜日に発表した、半導体チップのリファレンスデザイン事業を行うARM Holdingsの320億ドルでの買収だった。

イギリスのEU離脱を決定づけたBrexitよるポンド安の影響で、多くの人が今後このような買収案件が増加するのではと問題視している。ソフトバンクCEOの孫正義は、ARM買収へのポンド安の影響を否定しており、MasterCardも同様の回答をしている。

「ご想像の通り、買収には何ヶ月もの時間をかけてきました」とMasterCardの広報担当者は今回の買収について語った。「MasterCardは、Brexitの投票が行われる何ヶ月も前からVocaLinkを買収したいと考えていました。そのためBrexitは買収の要因にはなっていません」

今のところ、MasterCardはVocaLinkの買収で「全ての種類の電子決済や、決済の流れに積極的に参画し、顧客やパートナーのためのサービス向上を行う」戦略を固めていくつもりだと話す。さらにMasterCardは、イギリスの決済エコシステム内で、重要な役割を担っていきたいとも語っている。

「イギリスという私たちにとって重要な決済市場で大きな役割を担うことができるという、今回の買収によって得られたチャンスに私たちは興奮しています」とMasterCardの社長兼CEOのAjay Bangaは声明の中で述べた。「VocaLinkは、素晴らしいテクノロジー、資産、社員を持つ類まれな企業です。私たちは、VocaLinkのテクノロジーを投資を通じて最大化し、イギリスそして世界中の私たちの製品やソリューションへ組み込むことをとても楽しみにしています」

今回の買収から、さらに多くの外国企業が、イギリスの決済サービスや、イギリスにおけるコンシューマリズムや消費文化の受容を利用しようとしていることがわかる。昨日のTechCrunchのニュースでも、Squareがようやくイギリスでの営業開始に向けて動いていることを示す証拠について報じられていた。

VocaLinkは、2007年に設立後も特にベンチャー投資を受けず、今ではATM、BACをベースとしたダイレクトデビット、そしてFaster Payments(モバイルテクノロジー)の3大決済ネットワークを運営しており、ほぼイギリス居住者全員分の決済をカバーしているほか、外国市場向けにもその他のサービスを開発してきた。

Fast ACH(高速小口決済システム)を利用したモバイル決済アプリのZAPPがそのうちのひとつだ。VocaLinkはソフトウェアをライセンシングし、スウェーデン、シンガポール、タイ、アメリカといった国々の小口決済サービスのサポートも行っている。

MasterCardは、今後もVocaLinkのビジネスではイギリスに焦点を当てていくつもりではあるものの、上記から今後どのように同社のビジネスを発展させていこうとしているか読み取ることができる。

「本日の発表は、私たちのパートナー、顧客、社員にとって前向きなニュースです」とVocaLinkのCEO David Yatesは声明の中で語った。「今後も、最高レベルの品質を保ち、イギリスの決済システムがスムーズに機能するよう注力していきます。同時に、これからはさらなるイノベーションへの投資を行い、世界中の企業や消費者向けの、高い競争力を持つ決済ソリューションを生み出していきます」

MasterCardは、株式取得後から最大24ヶ月間は株式の希薄化への影響があると予測しており、「VocaLinkの株式取得が2017年初旬に完了すれば、2017年と2018年の一株あたり当期純利益が、5セント分希薄化することを見込んでいる」と述べた。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

UnileverがDollar Shave Clubを$1Bで買収か、たかがカミソリの刃とあなどるなかれ!

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巨大グローバル企業Unileverが、会員にカミソリの刃を定期的に郵送するだけ、というサービスDollar Shave Club買収することによって、一挙にユニコーンを作り、それを自分のものにしようとしている。

今夜(米国時間7/19)の発表(Fortune誌の記事)によると、売上1300億ドルの多国籍消費者製品企業Unileverは、このスタートアップに、全額キャッシュで10億ドルを払うことを考えている、という。

このお値段が真実なら、eコマーススタートアップの買収としてはzulilyとWayfairに次いで三番目に大きい。

eコマースは投資家が尻込みしがちな分野だが、Dollar Shave Clubに投資し、ロックフェラー系VC Venrockの取締役でもあるDavid Pakmanによると、今この分野はきわめて活況だそうだ。

Venrockおよびその他大勢の投資家たちは、この買収により、ベンチャーとしての正当なリターンを獲得する。‘その他’の中の著名な投資家としては、Andreessen Horowitz, Battery Ventures, KPCBなどがいる。彼らは、今年のQ3で買収が認められたら、Dollar Shave Club(DSC)のこれまでの急速な成長(創業2012年)を支えたことの正当な報酬として、投資額の10倍のリターンを得ることになるだろう。

Unileverは数年前にDSCとのパートナーシップを求めたが、そのときは買収の意図はなかった。話がエスカレートして交渉がまとまったのは、突然である。UnileverはDSCに、同社の国際的な市場と流通チャネルへのアクセスを与える。

DSCは2012年の創業以来、男性用身づくろいビジネスでトップ企業への道を驀進し、昨年の売上は1億5300万ドル、来年は2億を計画していた。買収額の売上に対する倍率という点では、これはeコマースの買収史上、最大である。

Unilieverにとっては、DSCの320万の会員が魅力であり、同社はいわば、成長著しい顧客層への露出を増すことになる。

DSCは髭剃り用品があまりにも有名だが、ほかに男性用の洗顔、スキンケア、整髪製品も扱っている。

Unileverにとっては、DSCが抱える顧客データも価値がある。買収後もDSCのCEO Michael Durbinの地位はそのままにして、特別の役員人事は行わない模様だ。

DurbinはいわばDSCの顔、ブランドイメージそのものであって、広告にも出演している。買収後も、彼らはロサンゼルスのDSC本社に居続ける。

今、関係各社に対して取材中なので、もうすぐこの記事をアップデートしたい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))