米連邦通信委員会が子どもたちの「宿題格差」解消へ基金から1320億円を全米の学校に給付

FCC(米連邦通信委員会)は、Emergency Connectivity Fund(ECF、緊急接続基金)から最初の小切手を発送した。この基金は、コンピュータやインターネットサービスの費用を負担し、学校における「宿題格差」を解消する取り組みだ。最初の12億ドル(約1320億円)の小切手は、すべての州とワシントンDC、グアム、プエルトリコの数千の学区に分配され、さらに多くの給付が予定されている。

ECFが解決しようとしている問題は、勉強や宿題、そして今では授業もすべてオンラインで行われるこの時代に、それらに参加するためのデバイスや適切なインターネット接続がない多くの生徒らのことだ。この状況が、すでにある不平等を悪化させている。彼らは、他のリソースにアクセスできず、彼らには非がないのに遅れをとってしまうことが多いからだ。

ECFはこうした状況に対処するために用意され、2021年初めにパンデミック対策法案の一環として資金が積み立てられた。同基金は総額70億ドル(約7700億円)のプログラムだ。学校や図書館が「これだけのタブレット端末やワイヤレスホットスポット、ブロードバンド接続の費用が必要だ」と正式に申請すると、一定期間にわたり資金が分配される。要求が妥当であり、書類が整っていれば、費用を負担してくれるようだ。

関連記事:米FCCがネット接続支援に1.08兆円の緊急支出開始、パンデミックによる悪影響が最も深刻な人々を支援

「イリノイ州セッサーのセッサー図書館のような地方の小さな図書館から、ボルチモア市の公立学校のような大規模な学区まで、この第1弾の資金援助により、300万台以上の接続機器が遠隔学習のために提供されます。デジタル格差の最も残酷な部分の1つを解消する大きな一歩となるでしょう」と、FCC議長代理のJessica Rosenworcel(ジェシカ・ローゼンウォーセル)氏はニュースリリースで述べた。

均等に分配されるのではなく、受け取った申請書に応じて分配される。金額が最も大きいのはニューヨーク州で2億4300万ドル(約267億3000万円、うち211億2000万円はニューヨーク市)、次いでテキサス州が9700万ドル(約106億7000万円)、カリフォルニア州が7100万ドル(約78億1000万円)となっている。ワイオミング州とサウスダコタ州はそれぞれ10万ドル(約1100万円)以下だった。基金からの2回目の支給に対し書類を提出した地区があった可能性がある。

そのため、米国時間9月28日に、2021年の7月から2022年の6月までに使用される機器やサービスを対象とする新しい申請期間が設けられた。FCCは第1回目の申請をまだ処理していると述べているため、もしあなたの地区の申請に対し回答がなくても、心配する必要はない。まだ申請していない地区は、さっそく申請してみてはいかがだろうか。

地区別・金額別に分類された受領者の全リストは、このリンク先のスプレッドシートで確認できる。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】MPG(1ガロンあたり走行マイル)が電気自動車でも重要な理由

もし環境保護が単なるライフスタイルの選択肢の1つなら、自動車メーカーと彼らが作る最新電動自動車は役目を果たしている。Tesla(テスラ)のPlaid(プレイド)は性能が自慢だ。Leaf(リーフ)やPrius(プリウス)、Volt(ボルト)は謙虚さを説き、勧める。そしてFord(フォード)は電動Mustang(マスタング)とF-150を発売して力を見せつける。

しかし、もし消費者の選択がもっとグリーンな未来に向かっているなら、見せびらかしよりもエネルギー効率を重視するのなら、彼らには賢明な購入判断をできる能力が必要になる。そのために、昔ながらのガソリン時代の測定基準が役に立つ。MPG(ガロン当たりのマイル数)のコンセプトだ。

電気自動車(EV)時代になり、クルマの購入はMPGの高いクルマと安いガソリンを探すだけの簡単なものではなくなった。電気のコストはややこしい。価格と効率情報は見つけづらく、理解するのはもっと困難だ。そして最終的には、自分で計算しなくてはならない。

そのためにまず電気エネルギー単位を知る必要がある。「kWh」すなわち「キロワット時」、どちらかというとエンジニアリングの教科書の方が似合う単語だ。コストと炭素排出量を知るために、ドライバーはkWhをドルとマイルに変換する難問を解く必要がある。

それをしないのであれば、あなたは自動車メーカーがあなたと環境のために正しいことをすると信じることになる。

政府はこの問題を先導することができる。実際やってきたし、現在もやっている。ガソリンスタンドはガロン当たりの価格と給油したガロン数と総金額を表示することをが長年義務付けられている。クルマのEPA燃費(ダッシュボードとすべての新車のMPGステッカーに表示されている)はすべてを結びつけてくれる。

つまり、たぶん我々には、EV時代の共通単位がすでにある。コスト、効率、大気汚染について同じ土俵で比較できる親しみやすくて具体的なエネルギー単位だ。

わが同胞なる米国民のみなさん、もう一度、ガロンに「こんにちは」と言おう。たとえガソリン動力車を置き去りにしたとしても、そのエネルギー単位は使い続けることができる。それは具体的であり、ガソリンに含まれているエネルギーで使えるなら、電気にも使えるようにできる。

環境保護庁によれば、1ガロンの無鉛ガソリンにはおよそ34kWhのエネルギーが含まれている。それがわかれば、エネルギーの購入価格がいくらで、それがどこまで遠くへ自分を運んでくれるのかを簡単に計算できる。ガロンは他の電気使用量を理解するためにも役立つので、家庭のエネルギーコストを自動車のエネルギーコストと同列に比較できるようになる。

8月の光熱費をガロン化した結果、次のことがわかった。

  • わが家は56ガロン(212L/1888kWh)分の電気を使用した。
  • わが家の平均電気料金は6.34ドル/ガロン(185円/L)である。
  • Teslaの充電ステーションで、私は8.43ドル/ガロン(25セント[28円]/kWh)払った。

政府はすでに、電気自動車とハイブリッド車のMPG相当値を公開している。MPGを使うことで電気自動車が効率的であの高いガロン当たりコストを埋め合わせていることがはっきりする。中には100 MPG(42.5 km/L)を超えるものもある。

すでにMPGは自動車購入以外にも役立っている。ニューヨーク市のMPG基準は、タクシー燃費を2009年の2倍にすることを義務付けている(さらに同市は、タクシーライセンスの一部をハイブリッド車のために確保している)。Uber(ウーバー)とLyft(リフト)はグリーン政策を打ち出したが、規制状態の緩い彼らはMPG標準を回避することが可能だ。

スマートなエネルギーショッピングだけでは気候変動を解決できない。エネルギー監視団体も、業界の炭素排出への影響を、発電とEV関連ハードウェア生産の両面で監視する必要がある。

しかし、他の条件が同じなら、使用エネルギーが少ないことは大気汚染が少ないことを意味する。そして、共通する単位は、車だけでなはく、はるかに多くを網羅するスマートな選択肢へと我々を誘ってくれる。安いときに電気を貯めるためにバッテリーを買うべきか?ソーラーパネルに意味はあるのか? 断熱や効率のよい暖房器具はどうなのか?

MPGの高い自動車と、1ガロンがとても役立つ住宅。合わせれば確かなライフスタイルの選択肢になるだろう。

編集部注:本稿の執筆者Tom Rutledge(トム・ルトレッジ)氏は、タクシーとライドシェア業界における都市主導のイノベーション実現に特化したスタートアップWapanda(ワパンダ)の共同ファウンダー。

画像クレジット:Image Source / Getty Images

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(文:Tom Rutledge、翻訳:Nob Takahashi / facebook

【コラム】宇宙探査には助成金の支給と規制が必要だ

1989年、Tim Berners-Lee(ティム・バーナーズ=リー)氏は今日のインターネットが普及を促進したWorld Wide Webを発明した。しかし彼は、多くの人々がこの技術によるメリットを享受することを望んだために、この技術を保護することをよしとしなかった。30年後、インターネットのほとんどの力と多大な利益は、少数のテックビリオネアに独占され、インターネットが生まれた当初約束されていたことのほとんどは実現されていない。

宇宙に関して同じ轍を踏まないためにも、私たちは競争を生み出し、コストの削減を実現するために新規参入者に助成金を支給すべきである。また、宇宙への旅を安全なものにするための規制も必要である。

宇宙は重要である。宇宙は数え切れないほどの仕事と燃料経済を生み出し、また気候変動に対する解決策をもたらす可能性さえある。投資家たちはすでにこの可能性に目を付けている。宇宙産業は、2030年までに 1.4兆ドル(約154兆円)の市場価値を生み出す可能性があるとされているが、彼らはこの宇宙業界の企業に何億ドルもの資金を注ぎ込んでいるのだ。

宇宙は広大で、とても少数のテックビリオネアに独占されるとは思えない。しかし、1989年にはインターネットもそのように考えられていたのだ。私たちはこれをしっかり理解する必要がある。宇宙産業は機械工から宇宙航空エンジニア、マーケティング、情報、物流の労働者まで、世界規模で雇用を生み出し、経済成長を促進する可能性があるためだ。

そのためには競争が必要である。しかし現在は、少数の企業が、世界のためというよりは、その企業の創設者の利益のために事業活動しているという状況だ。

私たちはインターネットで犯した過ちを繰り返してはならないし、介入が必要なほどテクノロジーが乱用されるようになるのを座して待っていてはならない。例えば、ケンブリッジアナリティカのスキャンダルでは、民間のテクノロジー企業が、社会に害を与えること(これは規制当局が保護すべき分野である)をいとわずに自らの利益(これは彼らの株主に対する義務である)のために、非常に危険なソーシャルメディア操作を行った。

宇宙では利害はさらに大きくなるだろう。またそれらは少数の国というのではなく、人類全体に影響を及ぼす。環境に関わる危険があるし(私たちが徹底的な調査を行っているのは「地球」での飛行による二酸化炭素の負荷であって、宇宙飛行ではない)、また宇宙での事故は人命が奪われると同時に、危険な破片が地上に降ってくることにもつながる。

これらの危険は予期できないものではない。Virgin Galacticが初めて死者を出したのは2014年のことだった。Space X の発射は約300人の乗客を乗せた飛行機が 大西洋を横断するのに相当する 二酸化炭素を排出しる。また、2021年始め、中国のロケットからのスペースデブリが無制御の状態でモルジブに 落下したこともあった。

私たちは、こうした事故が、より大規模な形で再び引き起こされる前に行動を開始しなければならない。

宇宙旅行は、1%のごく限られた人々にインスタ映えする瞬間を与えたり、サービスを提供するビリオネアの富を増やす以上のものであることが可能であるし、またそうでなければなるまい。

宇宙産業は、最良のものを最大限の人々に届けられるよう運営されるべきである。これは助成金の支給から始まる。

つまり、私たちは宇宙旅行を他の交通手段と同じように取り扱うべきなのだ。宇宙旅行を経済的に持続可能なものにするには、政府によるある種の介入がほぼ絶対的に必要である。

こうした状況は以前にもあった。飛行機による旅行や高速道路の発達、人件費の上昇で米国の2大鉄道会社が破産に至った時、ニクソン政権が介入しアムトラックを発足させたのだ。

これは、思想的な側面から推進されたものではなく(それとは正反対である)、米国が州間移動による経済的恩恵を得るための決定だった。創設から50年たってもアムトラックは採算が取れていない状態が続くが、それでも他の多くの産業や何百万もの個人や家族が依存する重要な経済的インフラの一部である。

これと同様のやり方を宇宙旅行にも適用する必要がある。Virgin Galacticのチケットは25万ドル(約2750万円)と予測されており、このような超豪華な旅行市場から恩恵を得る個人はほとんどいないだろう(これはごく初歩的な宇宙旅行商品の値段で、Virginの競合他社はこの額の数倍の値段を付けている)。

今宇宙産業に助成金を支給したなら、宇宙産業における競争を促進しながら、宇宙産業の広範な利益をすべて実現することのできるクリティカルマスに到達することができるだろう。

今のうちにこの問題に取り組めば、寡占企業が出現してからなんとかしようと戦うより(これは今米国連邦取引委員会が何十年も遅れてビックテックに行おうとしていることである)ずっと楽に物事が進むだろう

宇宙旅行はビリオネアだけの興奮剤やおもちゃではない。これは物理的にも経済的にも私たちにとって最後のフロンティアなのだ。

これを成功させたいなら、地球上での成功や失敗から学び、それらを宇宙に適用しなければならない。

それは、助成金、支援、規制と安全を意味する。これらは地球上でも重要だが、宇宙では絶対に不可欠なものなのである。

編集部注:執筆者のJoshua Jahani(ジョシュア・ジャハニ)氏は、コーネル大学およびニューヨーク大学の講師。中東・アフリカを専門とする投資銀行ahani and Associatesのボードアドバイザー。

画像クレジット:Vertigo3d / Getty Images

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(文:Joshua Jahani、翻訳:Dragonfly)

FacebookはInstagramが10代に悪影響を及ぼすことを把握していながら子供向けアプリ立ち上げを計画、この計画はさらに有害だと考えられる

Facebookが再度苦しい立場に追い込まれる。

ウォール・ストリート・ジャーナルは先にFacebookに関する複数パートからなるシリーズ記事を発表した。この記事では、著名人をホワイトリストに登録して水面下で特別扱いする同社の慣行から、Instagramが10代の少女の精神衛生に重大な打撃を与えることをFacebookが把握していた、といったことまで、内部文書から得られた内容が報告されている。

相次ぐ調査記事により、Facebookがすでに指摘されていた問題について表向きに口にしてきた言葉と、裏で同社が実際に把握していたこととが、必ずしも一致していないことが明らかになった。Facebookは何年にもわたって自ら種を蒔いてきたさまざまな社会的病気について素知らぬふりをしてきたわけだが、それでも今回発表された記事は衝撃を与えた。Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏がFacebookが2016年の選挙に影響を与えたという考えを「ばかばかしい」として否定したことを覚えておられるだろうか?Facebookが長いこと取ってきたPR戦略は、仮に調査によって問題が社内で明るみに出ていても、その危険性を隠し、社会への負の影響を把握していることを表向きには否定する、というやり方である。

このやり方は、誰かが内部調査報告書を入手するまではまったく問題なかったかもしれない。

WSJのレポートで明らかになった重大な問題の1つは、 Instagramが10代の少女たちの精神衛生に重大な危険を及ぼしていることをFacebookが把握していたことである。2019年の内部調査結果を報告するスライドには「我々は、3人に1人の割合で10代の少女の身体イメージに関する問題を悪化させている」と書かれていた。同社は現在、さらに年若く影響を受けやすい年齢層にもサービスを拡大する計画 を立てており、こうした事実を知っていたことは衝撃的である。

ついこの間の5月、InstagramのAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏は、同アプリが10代のユーザーに与えるマイナスの影響について「ごくわずかである」として、懸念を否定したばかりである。

しかし、内部で把握していたことは、これとは異なるようである。WSJによると、2019年から2021年まで、同社はオンライン調査、日記研究、フォーカスグループ、大規模なアンケート調査などを通し、10代の若者の精神衛生について徹底的な調査を実施した。

ある内部スライドによると、この調査で、10代の少女の32%がInstagramによってマイナスの身体イメージを植え付けられたと報告していることがわかった。自殺念慮を持ったことのある調査参加者のうち、英国の10代の若者の13%、および米国の10代の若者の6%が、自殺への関心を直接Instagramと結びつけていた。

別の内部スライドには次のような記載があった。「10代の若者は、不安やうつ症状の増加に関しInstagramに原因があるとしている。この反応は自発的なもので、すべてのグループ層で同じ傾向が見られた」。

WSJのレポートを受け、Marsha Blackburn(マーシャ・ブラックバーン、共和党・テネシー州選出)上院議員およびRichard Blumenthal(リチャード・ブルメンタル、民主党・コネチカット州選出)上院議員が、Facebookについて、Instagramが10代の若者に与える深刻で致命的な危険について示した内部調査に対する同社の対応が透明性に欠けるとして、調査を実施することを発表した。上院の消費者保護・製品の安全・およびデータセキュリティ小委員会が調査を近々開始する。

「私達は、Facebookの内部告発者と連絡を取り合っており、Facebookがどのようなことをいつ頃知ったかについて、さらに詳しい文書を探すことや証人喚問も含め、あらゆるリソースを使って調査します。ウォール・ストリート・ジャーナルの衝撃的なレポートは氷山の一角に過ぎない可能性があります」と、ブラックバーン、ブルメンタル両上院議員は書いている。

ブラックバーン氏とブルメンタル氏だけがこのレポートに危機感を覚えた米国議員ではない。Ed Markey(エド・マーキー、民主党・マサチューセッツ州選出)上院議員、Kathy Castor(キャシー・カスター、民主党・フロリダ州選出)下院議員、Lori Trahan(ロリ・トゥラハン、民主党・マサチューセッツ州選出)下院議員もFacebookに別途書簡を送り、子ども向けのInstagramの立ち上げ計画を思いとどまるよう要求した。この書簡の中で「子どもと10代の若者は、オンラインによる害を特に受けやすい層であり、さまざまな知見により、Instagramが若者の心身の健康に著しい脅威をもたらすアプリであることを明確に衝撃的な形で示している」と彼らは述べている。

5月、44名の州検事総長が連名で書簡を送り、13歳未満の子どもにInstagramを提供する計画を放棄するよう同社に働きかけた。「Facebookはニーズに応えているのではないように見えるが、実はニーズを作り出しているのである。このプラットフォームは主にそれが存在しなければInstagramアカウントを持たない、または持たないであろう年齢層の子ども向けのものだからである」。と州検事総長らは書き、子ども向けInstagramは「有害だとする理由が数え切れないほどある」と警告している。

4月には、民主党の議員がやはり連名でInstagramが若年層のユーザーの心身の健康に与える影響について「深刻な懸念を」表明したほか、消費者擁護団体連合も子ども向けInstagramの立ち上げを再考するよう同社に要求している。

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WSJが入手した文書をもとに考えると、これらの懸念はすべて非常に妥当に思われる。広範な内部調査を実施しそこから重大な問題があることを把握していたにも関わらず、また規制当局が同社に対し何を実際に把握しているか知らせるよう定期的に求めていたにも関わらず、Facebookは表向き同社が持っている知識を過小に見せてきた。

Instagramのモセリ氏が先に、ソーシャルメディアと自動車についてしゃれにならない比較をしたことで、事態はさらに悪化したのではないかと思われる。モセリ氏はRecodeのポッドキャストでPeter Kafka(ピーター・カフカ)氏に「自動車があるために事故で亡くなる方がいますが、おしなべて考えれば、自動車はそうしたマイナスの要素よりもずっと大きな価値を世界にもたらしています。私はソーシャルメディアもこれに似ていると思います」と述べたのだ。

モセリ氏は、ソーシャルメディアの中毒性が十分な調査によって判明しているにもかかわらず、ソーシャルメディアと薬物、またはタバコとの類似性を否定し、かわりにソーシャルプラットフォームと自動車産業とを結びつけた。当然のことながら、同社を批判している人々はこの発言に飛びつき、ソーシャルメディアと死との関連性、および自動車産業はソーシャルメディアと異なり厳しい規制を受けているという事実を指摘した。

画像クレジット:Rafael Henrique/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Dragonfly)

メルセデス・ベンツが高級EVセダン「EQS」の米国価格を発表、ガソリン車の「Sクラス」より安い約1133万円から

Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)は、電気自動車の最上級モデル「EQS」の米国における販売価格を、ガソリンエンジン搭載車の「Sクラス」よりも8700ドル(約95万円)以上低く設定した。これは北米で高級EVの展開を確実に成功させるためにドイツの自動車メーカーが取った戦略的な動きと言える。

2021年秋より米国のディーラーで発売になるEQSの価格は、1050ドル(約11万5000円)の配送料込みで10万3360ドル(約1133万円)からとなっている。連邦政府の税額控除により、実質価格はさらに7500ドル(約82万2000円)安くなる。

メルセデス・ベンツはまず「EQS 450+」と「EQS 580 4MATIC」という2つのモデルを米国市場に導入する。2基のモーターを搭載するハイパワーで4輪駆動の後者は、ベース価格が12万160ドル(約1317万円)と高めに設定されている。さらにこの2つのモデルには、いずれも3種類のトリムが用意されており、最上級の「Pinnacle(頂点)」と呼ばれる仕様は、配送料込みでEQS 450+が10万9560ドル(約1200万円)、EQS 580 4MATICは12万6360ドル(約1385万円)になる。

配送料込みで11万2150ドル(約1229万円)からというSクラスよりも、電気自動車のEQSを低い価格で販売するというメルセデスの決断は、EVに賭けた将来の投資と見ることができる。Sクラスは長い間、メルセデスの伝統的な高級フラッグシップセダンだった。しかし、2020年代の終りまでにすべての新車販売を電気自動車のみにすると宣言し、そのために400億ユーロ(約5兆1420億円)を投資する計画を2021年7月に発表したメルセデスは、従来のSクラスのオーナーをEQSに移行させるか、あるいは新たな購買層を見つけなければならない。

この2022年モデルのメルセデス・ベンツは、期待される通り、超高級な雰囲気に溢れている。しかしEQSはそれだけでなく、56インチのハイパースクリーン、超強力なHEPAエアフィルター、ドライバーの要望や必要を直感的に学習するソフトウェアなど、最新技術も満載だ。おまけに「No.6 MOOD Linen」と名付けられた新しいフレグランスも用意されており、これは「イチジクとリネンの青葉のような香り」と表現されている。

関連記事:あらゆるテクノロジーが詰め込まれたメルセデス・ベンツEQS 2022年モデル、350ものセンサーで実現された数々の新機能

メルセデスは、これらの技術に加えて、パフォーマンス、デザイン、そして価格が買い手を惹きつけることに賭けている。TechCrunchが以前指摘したように、これはメルセデスにとって大きな賭けだ。このドイツの自動車メーカーは、北米でEQSの導入を成功させることで、かつてクロスオーバーEV「EQC」の米国導入につまずいた(そして今はもうなかったことになっている)記憶を消し去ろうとしているのだ。

画像クレジット:Mercedes-Benz

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Apple Storeのデザイナーが共同設立者となったJuno、アパートの持続可能な建設に約22億円を調達

より持続可能で手頃な価格のアパートを建設することを目的とする不動産テックJuno(ジュノ)が、シリーズA資金調達ラウンドで2000万ドル(約22億円)を調達した。

Comcast Ventures(コムキャスト・ベンチャーズ)、Khosla Ventures(コースラ・ベンチャーズ)、Real Estate Technology(リアル・エステート・テクノロジー、RET)ベンチャーズが共同で資金調達を率いた。これにより同社の調達額は2019年の開始時点から合計で3200万ドル(約35億円)に上る。JLL Spark(JLLスパーク)、Vertex Ventures(バーテックス・ベンチャーズ)、Anim(アニム)、K50(Kフィフティー)、Foundamental(ファンダメンタル)、Green D Alumni Ventures(グリーンDアルムナイ・ベンチャーズ)もシリーズA投資に参加した。

Junoの共同設立者でCEOのJonathan Scherr(ジョナサン・シェル)氏は、サンフランシスコを拠点とするこのスタートアップ企業が「ゼロからの開発に向けた初のOEMエコシステム」を構築し、オール電化施設を建設することを計画していると述べた。

同氏はTechCrunchに次のように話す。「私達は住宅開発を製品開発のように扱い『製品化』と呼んでいます。リピート価値のある建物を作ることにより、継続的な改善を実現して効率を上げるツールとシステムを作ることができます。建物が1回限りの文脈で検討、設計されたら、1つのプロジェクトから次のプロジェクトへの学びが途絶えてしまいます」。

Junoの製品化は、ある意味もっと一般的に使用される言葉「プレハブ工法」に似ていると考えることができる。プレハブ建設会社Katerra(カテラ)は失敗したがAbodu (アボドゥ)Mighty Buildings(マイティー・ビルディングス)を含めコースラが支援し付帯住宅や戸建て住宅にさら重点を置いたこの分野の他の多数の会社は資金調達して成長を続けている。また、ノースカロライナ州に拠点を置くPrescient(プレシャント)もプレハブ工法により集合住宅とホテルを建設している。

関連記事:ソフトバンクが支援する建設の巨人「Katerra」が約2200億円以上を使い果たし事業を閉鎖

オースティンプロジェクトのレンダリング(画像クレジット:Engraff Studio / Juno)

Junoの理論は「製品化」を通じて、設計のタイムラインの短縮、推定やスケジューリングの精度上昇「大幅に加速」した建設プロセスなどにつながるツール、システム、プロセスを作ることができるというものである。それにより、シェル氏は米国中の人々のためのより手頃な価格の住宅オプションを実現できると述べる。また、Junoはその設計プロセスの進捗が従来の不動産開発より60%速いと主張している。

同業他社と同じく、Junoは従来の建築方法よりはるかに持続可能な手法を謳っている。

「今日の建設ごみは、米国の全都市ごみの2倍あります。Junoのシステムはその設計、サプライチェーン、建物の建設に効率を生み、廃棄物とエネルギー使用量を減らします」。低炭素、完全木造建物、木材の露出増加(Junoは抗菌性と話す)、ガスをまったく出さない建物などを特徴とする。

都市部ではオール電化の建物に重点が置かれ、クリーンエネルギー生成へのロードマップが確立されたため、Junoの居住システムは集合住宅ユニットにおける内包カーボンのネットゼロ目標に向けて前進しているとシェル氏はいう。

シェル氏は元々Apple Storeのデザイナーであった BJ Siegel(BJ・シーゲル)氏と、現在同社のアドバイザーを務めるChester Chipperfield(チェスター・チッパーフィールド)氏とともにJunoを創設した。チッパーフィールド氏は、以前Tesla(テスラ)のグローバルクリエイティブディレクター、Appleのスペシャルプロジェクト統括、Burberry(バーバリー)のデジタル部門長を務めていた。シェル氏はベンチャー投資家や多数の会社のアドバイザーとしての経験がある。

「1999年にBJ (シーゲル)はAppleのリテールプログラムのコンセプト・アーキテクトとして、リピート価値のある建築環境のアイデンティティを作り出す方法を考えていました」。とシェル氏は語る。「それによって、彼とAppleの同僚はAppleのリテールを、サプライチェーン分散化に基づくAppleの製品として考えるようになったのです」。

(左から右)共同設立者でアドバイザーのチェスター・チッパーフィールド氏、共同設立者でCEOのジョナサン・シェル氏、共同設立者、設計部門長のBJ・シーゲル氏(画像クレジット:Juno)

父親が不動産開発業者のシェル氏によると、Junoは同じようなモデルを基に作られた。複製可能な「より良い」住宅を設計することにより、会社が「サプライチェーンを構築し、これまで不可能であった方法で学習システムの基礎を築く」ことを目標に掲げる。

Junoは米国の都市に大規模なオール電化木造アパート群の初の国内網を築くことから始めた。Swinerton(スワイナートン)Ennead Architects(エネアド・アーキテクツ)と提携し、そのモデルを実現している。このスタートアップ企業はその最初のプロジェクト、イーストオースティンでのアパート建築にも着工した。現在400棟を開発中である。イーストオースティンの建物は2022年にオープン予定。Junoはシアトルとデンバーでも開発を計画している。

今後同社はその新たな資本を使って製品を作り、最初のプロジェクトのコホートに着手し、さらに多くの開発業者と関わり続けることを計画している。

Junoの投資家は同社の事業と計画について当然楽観的である。

コースラ・ベンチャーズのパートナーであるEvan Moore(エヴァン・ムーア)氏は、普段は不動産開発会社、建設業者、建築家には投資しないと述べた。

「しかし強いチームが重要な業界で劇的に他とは違う製品に取り組んでいるなら、支持するでしょう」。と彼はメールで回答した。

ムーア氏は、これまでアパートは消費財で、使用されることにより価値が得られるという事実にも関わらず、アパート開発は製品主導ではなく資金主導の業界であったと付け加えた。

「顧客体験を第一に考えて建物を設計する機会は山ほどあります。Appleがアパートを建てたら?私からすると、それはみなさんが作り出したい体験とは逆方向に作用するもので、それをサポートする構成要素、サプライチェーン、システムを設計し、制約となる費用の中で作業することを意味します。野心的な考えですから、実験するに値します」。

Comcast Ventures (コムキャスト・ベンチャーズ)社長のSheena Jindal(シーナ・ジンダル)氏は、アメリカの住宅ストックがますます老朽化し不足しており、家を購入することが難しくなっていると指摘する。同社はすべての人が手頃な価格の住宅を手にするに値すると考えているという。

「初めてJunoのチームに会った時、第一原理アプローチに強い印象を受けました」と、ジンダル氏はメールで回答した。「Junoは集合住宅の生産で何が壊れていたか根本的に理解し、その設計およびOEMソース戦略をもって早期にバリューチェーンに焦点を当てて真正面から取り組みました。Junoはバリューチェーンの既存のプレイヤーに取って代わるのではなく、提携しているのです」。

画像クレジット:Engraff Studio / Juno

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Dragonfly)

州の中絶禁止法に対する解決策を提供、バーチャルクリニックのHey Janeが約2.4億円調達

より多くの州が人工妊娠中絶を禁止するある種の法案を可決する中、遠隔医療による妊娠中絶ケアを提供するバーチャルクリニックのスタートアップHey Janeは米国時間8月26日、220万ドル(約2億4000万円)の資金調達を発表した。オーバーサブスクライブとなったこのラウンドには、Koa Lab、Gaingels、Foursight Capital Partnersを含む投資家グループが参加した。

リモートファーストを目指すHey Janeのアイデアは、2019年に同社の創業者でCEOのKiki Freedman(キキ・フリードマン)氏が数人の友人と交わした、ミズーリ州は妊娠中絶クリニックが残り1つとなっている6つの州のうちの1つだという会話から生まれた。中絶医療提供者への攻撃を避けるために仮名を使うフリードマン氏は、実際にはこのクリニックはその夏に閉鎖が予定されており、それはミズーリ州が中絶ケアをまったく持たない最初の州になることを意味していたと説明する。同クリニックは最終的には開業を続けることができた

「当時、私が目にした新興の遠隔医療クリニックの多くは男性のウェルネスに焦点を当てており、女性の健康については語られていませんでした」とフリードマン氏はTechCrunchに述べている。「このバーチャルモデルは、安全かつ慎重な中絶ケアに使えると考えました」。

匿名を希望するHey Janeの投資家の1人は「フリードマン氏とHey Janeに投資することに大いに期待を抱いた」のは、女性の健康が十分なサービス提供を受けていないカテゴリーであることに同意したからだと話す。男性の医療とは異なり、女性の医療では中絶ケアが分離されている。これは、レーガン大統領が中絶ケアを病院と切り離すよう義務付けたことに端を発している。

Planned Parenthoodによると、女性の4人に1人が45歳までに中絶するという。しかし、米国では2021年だけで90件以上の中絶に関する規制が制定されており、その数は総計1320件にのぼることが、Guttmacher Institute(性と生殖に関する健康と権利の向上に取り組む非営利の研究・政策組織)により明らかにされている。アーカンソー州とオクラホマ州では現在、患者の生命が危険にさらされている場合を除いて、中絶をほぼ全面的に禁止している。一方、アイダホ州、サウスカロライナ州、テキサス州では、妊娠6週以降、あるいはごく限られた例外を設けて中絶を禁止している。

2020年7月、連邦判事は女性が医師の診察を受けずに妊娠中絶薬を入手することを認めた。このことは、Hey Janeやその他の企業が妊娠10週未満の人々に「非接触」サービスの提供を開始する道を開いた。

249ドル(約2万7000円)の同社の治療には、医師によるスクリーニング、FDAが承認した薬の処方と患者の自宅への翌日配送、フォローアップのためのバーチャル訪問、そしてプロセス全体における医師とのチャットが含まれる。Hey Janeのチームも、テキストメッセージを通じて患者を頻繁にチェックする。

同社によると、金銭的な障壁を取り除くことは「Hey Janeにとって極めて重要な優先事項」であるという。同社はまだ保険を受け付けていないが、非営利の妊娠中絶基金パートナーReprocareを通じて経済的援助を行っている。この組織は、患者の負担が139ドル(約1万5000円)に抑えられるよう、249ドルの治療費のうち最大110ドル(約1万2000円)を助成している。

今回の資金調達により、Hey Janeは新たな州への展開を図り、7人のチームを増強してプロダクトおよび自動化プロセスの構築と法的調査を進めて、各州における遠隔医療の法制と遠隔医療の妊娠中絶に関する法制の動向を常に把握し、対応できるようにしていく。

Hey Janeが従うべき規制要件は州ごとに複数あり、その中には、臨床医が診療を行うのはライセンスを受けている州の患者に限定されることなどが含まれている。このため、同社は事業を展開する各州でライセンスを取得した臨床医を擁しており、適切な時期に薬を処方する準備ができている。また、必要に応じて精神的な苦痛を和らげる専門家も待機している。

Hey Janeは8月下旬からカリフォルニア全域で活動を開始し、ニューヨークとワシントンでもサービスを展開している。つまり、Hey Janeのサービスエリアは現在、米国で年間に行われる人工中絶の34%をカバーしているとフリードマン氏はいう。「カリフォルニア州とニューヨーク州では年間の中絶件数が最も多いため、これらの州が最初に選ばれました」と同氏は言い添えた。

「これらの州の人々はクリニックへのアクセスが比較的容易になっているかもしれませんが、Hey Janeによるケアは安全で効果的であり、クリニックでのケアの半分の費用で済むため、彼らはHey Janeの治療からより大きな恩恵を受けることができるでしょう」とフリードマン氏。「移動や育児のための費用や時間を必要とせず、プライバシーと裁量を確保し、精神的なサポートを追加することができます」。

フリードマン氏は、2021年末までに10州への進出を果たし、今後数年のうちに50州すべてで治療を提供できるようになることを期待している。しかしながら、19の州で遠隔医療による中絶へのアクセスを制限する規制上の障壁が存在する。Hey Janeは、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のAdvancing New Standards in Reproductive Healthの研究グループと組んで、そのための情報を集めている。

「私たちは一流の研究者と協力して、この治療法が安全かつ効果的で、患者に好まれていることを示す、豊富にある既存の証拠の拡充に努めています」と同氏は続けた。「この研究が規制の厳しい州での議論をさらに前進させ、最終的には古い規制に対する、より必要とされる患者中心のアップデートにつながることを願っています。遠隔医療による中絶の安全性と有効性に関する既存のデータは、これが中絶医療の未来であることを明確に示しています」。

Hey Janeは現在、同サービスを利用する患者数を四半期ごとに250%増やしている。同社は成長に伴い、連携したケアや新プロダクトのための追加ツールに力を入れている。

妊娠中絶は、審判的な扱いや差別の心配から秘密にされることが多い。患者が慎重を期して自分の経験や感情を共有できるような、切望されていた手段をHey Janeは提供していくとフリードマン氏は語っている。

「私たちは利便性とプライバシーを重視しています。3分の2の女性が自分の経験について話すことを望んでいないため、私たちはそうした女性たちのためのスペースを提供したいと考えています」。

女性の健康問題は、極めて個人的なものである。あなたやあなたの知人が女性の健康に関する個人的な問題に悩んでいる場合は、主治医やかかりつけの地域医療クリニックに詳細を問い合わせて欲しい。

画像クレジット:Carol Yepes / Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Dragonfly)

米国でApple Walletに証明に使える新型コロナワクチン接種記録を保存可能に

米国では施設に入るのに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種を証明する書類が必要になる場合もある。Apple(アップル)は電子メールを探し出したり、ポケットにカード実物を携帯したりする手間をなくしたいと考えている。同社は今後行うiPhoneソフトウェアのアップデートの中で、証明として使える新型コロナウイルスのワクチン接種記録をWalletに導入する。この機能では、国際的なSMART Health Cards規格(すでにいくつかの州で採用されている)を利用して、予防接種の証明書を作成し、秘密鍵で署名し、公開鍵を作成して情報を検証します。

リリースされたばかりのiOS 15では、すでに検証可能な予防接種や検査結果を、同じ規格を使って「ヘルスケア」アプリに保存することができる。記録は、QRコードやダウンロード可能なファイル、あるいはiPhoneの「ヘルスケアレコード」を利用する医療機関を通じて受け取ることができる。

Appleは、ユーザーの全データに対して厳格なプライバシーを約束している。同社はユーザーのインポートされたり、共有されたりしたデータへのアクセスは持たず、どこか別のところに送られるときにはすべての情報は暗号化され、安全に保管されなければならない。Appleはまた、ユーザーのワクチン接種記録や、ユーザーがどのように記録を使ったかを確認することはできない。ユーザーは「承認した」サードパーティのアプリと情報を共有できるが、その時、1回限り有効というのが基本だ。

Appleはアップデートをいつリリースするのか明らかにしていない。もしあなたがワクチン接種の有無をコンサート会場やレストランと共有するというコンセプトについて懸念しているなら、この機能は楽しみではないだろう。しかし少なくとも会場に入るプロセスを合理化し、イベントに遅刻しているときには大事なものとなるはずだ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のJon FingasはEngadgetの寄稿者。

画像クレジット:Apple

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(文:Jon Fingas、翻訳:Nariko Mizoguchi

アウディが最新電動SUV「Q4 e-tron」の米国導入を発表、約493万円から

Audi(アウディ)は、2025年までに30台以上の電気自動車およびプラグインハイブリッド車を市場に投入する計画の一環として、拡大するポートフォリオの中で4番目および5番目の電気自動車となる「Q4 e-tron(Q4イートロン)」および「Q4 Sportback e-tron(Q4スポーツバック・イートロン)」の米国導入を発表した。

2019年のジュネーブ国際モーターショーでコンセプトモデルとして初公開されたQ4 e-tronは、アウディの電動SUVではエントリーモデルにあたり、価格もそれを反映したものとなっている。米国では1095ドル(約12万円)の運送費を含め、4万4995ドル(約493万円)からと設定されている。注目すべきは、電気自動車のQ4が、ガソリンエンジンを搭載する同社のSUV「Q5」よりも、約1000ドル(約11万円)安いことだ(現時点で日本仕様・価格は未発表)。

米国で販売されるQ4 e-tronファミリーには、全部で3車種が用意されている。「Q4 50 e-tron quattro(Q4 50 イートロン・クワトロ)」と「Q4 Sportback 50 quattro(Q4スポーツバック 50 イートロン・クワトロ)」は、2基の非同期モーターを搭載する四輪駆動で、EPA(米国環境保護庁)による推定航続距離(一度の満充電で走行可能な距離)は、どちらも241マイル(約388キロメートル)となっている。

もう1台の「Q4 40 e-tron(Q4 40 イートロン)」は、非同期モーターを1基のみ搭載した後輪駆動車だ。そのEPA推定航続距離はまだ発表されていない。基本的にスペックは以下のようになっている。

画像クレジット:Audi/スクリーンショット

新型Q4は、2021年3月にTechCrunchでも紹介したように、その頑強そうな外観のパッケージにアウディの技術が詰め込まれたクルマになっている。特に、オプションとして用意されるAR対応フロントガラスは注目に値する。

大きめのコンパクトSUVに属するQ4は、オーバーハングが短く、ホイールベースは2764ミリメートル。そのため、外側からはコンパクトに見える。しかし内部には、全長1.83メートルの室内空間があり、大型SUVに匹敵する広さだ。Q4 40 e-tronとQ4 50 e-tronはオールシーズンタイヤを装着した19インチのホイールが標準装備となり、Q4 Sportback 50 quattroはより大径のオールシーズンタイヤ付き20インチホイールを標準で装備する。

重要な点は、Q4 e-tronがアウディの親会社であるVW(フォルクスワーゲン)のモジュラー・エレクトリック・ドライブ(MEB)と呼ばれる車両アーキテクチャを共有していること。この柔軟性の高いモジュラーシステムは、VWが2016年に初めて公開したもので、さまざまなEVモデルを効率的かつ費用対効果の高い方法で作るために開発された。

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画像クレジット:Audi

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【コラム】気候変動を解決するのは米国のイノベーターであり規制当局ではない

Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領は米国の温室効果ガス排出を2030年までに半分に削減することを誓約した。大統領は相次ぐ新たな予算と政府事業計画によってこの野心的目標を達成しようとしている。

しかし、炭素排出削減で我々が最も期待しているのは新たな財政支出ではない。それはテクノロジーの大転換であり、実現できるのは民間セクターだけだ。

実際、政府は排出削減テクノロジーが市場に出ることを妨げる規制を設けることで、気候変動の進展を遅らせている。もし我々の指導者たちが本当にこの惑星を救いたければ、実際にそれを実行できる起業家たちの邪魔にならないようにする必要がある。

政府に期待するのは、炭素汚染を削減する可能性のあるテクノロジーを支援することだ。そもそもバイデン大統領は自身の気候変動政策の中で、米国の技術革新を促進することを約束している。

残念ながら、最も有望なグリーンテックのブレースクルーの数々は、誤った、あるいは時代遅れの政策によって、厳しい逆風に曝されている。

そんなテクノロジーの1つで、イノベーターと規制の関係を描いた新しいドキュメンタリー「They Say It Can’t Be Done(みんな出来ないと言った)」で紹介されているのが、人工樹木であり、アリゾナ州立大学の物理学者・エンジニアのKlaus Lackner(クラウス・ラクナー)氏が開発した。その人造の木に含まれる特別なプラスチック樹脂は、二酸化炭素を吸収し、水に浸されると排出する。天然の木と比べて大気から二酸化炭素を取り込む効果は1000倍以上だ。捕獲された二酸化炭素は回収されて燃料に変換される。

ラクナー氏のデザインは、1台で1日当たり1トンの二酸化炭素を除去できる規模に拡大できる。主な障害は炭素捕獲テクノロジーを巡る明確な規制の欠如であり、特に捕獲した炭素の輸送と貯蔵が問題だ。

統一された枠組みができるまで、このテクノロジーを市場に出すためのプロセスはありえないほど複雑で、かつリスクをともなう

あるいは、大規模な畜産農業の必要性を低下させるテクノロジーを考えてみよう。数十億の鶏や豚や畜牛を育てるためには膨大な水と餌と土地が必要だ。その結果の炭素排出量は膨大で、年間約7.1ギガトンの温室効果ガスを生み出す。

ここでも新たなテクノロジーが排出量削減にひと役買う。研究者らは細胞培養肉をつくっている。飼育場ではなく実験室で生まれた鶏肉、豚肉、牛肉だ。代替タンパク質は安全で健康的で、従来の飼育食肉よりも炭素排出が少ない。

代替肉をつくっているスタートアップであるEat Just(イート・ジャスト)は、最近シンガポールで細胞培養鶏肉を販売するための認可を取得した。しかし、今も米国では規制当局の青信号を待っている。同社のファウンダーによると、米国の承認を得るまでには1年あるいはそれ以上かかるという。

関連記事:Eat Justが世界初の認証を取得しシンガポールで培養肉の販売を開始

代替肉生産のように大きな資本を必要とする業界では、このゆっくりとした承認プロセスによって、スタートアップが開業し、製品を市場に出すことが不可能になりかねない。

このようなハイテクソリューションこそ、気候変動の脅威から地球を守るために必要だ。果たして、代替肉が将来の持続可能食料なのか、それとも大気中の二酸化炭素を固定する最高のソリューションが人工樹木なのかはわからないが、参加しやすく公正な戦いの場は、最高のイノベーションの繁栄を可能にするはずだ。

気候変動に関することは政府だけの仕事だと信じている米国人があまりにも多い。事実は、持続可能なテクノロジーの大規模な導入の主要な障壁は、政府の介入が無いことではなく、過剰な、あるいは少なくとも誤った介入だ。

国の炭素排出量削減の約束を遂行するためには、それを実現する可能性のあるテクノロジーの開発と展開を、政府がいかに妨害しているかを、大統領とチームは認識する必要がある。

編集部注:本稿の執筆者Quill Robinson(キル・ロビンソン)氏は環境保護団体、American Conservation Coalitionの政府業務担当副社長。

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画像クレジット:simpson33 / Getty Images

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(文:Quill Robinson、翻訳:Nob Takahashi / facebook

米国人の半数はSNSが情報源、ただしその割合は減少

Pew Research(ピュー・リサーチ)の最新レポートによると、米国成人の約3分の1は、現在もFacebook(フェイスブック)から定期的に情報を得ているが、割合は2020年の36%から2021年の31%に減っている。この減少は、情報を何らかのソーシャルメディアから得ていると答えた米国人の全体的数字のわずかな減少を反映している。その割合も2020年の53%から2021年の48%へと5ポイント下がっている。

ここでいう「定期的に」は、調査回答者が「often(頻繁に)」あるいは「sometimes(時々)」情報をデジタルニュースから得ていると答えたという意味で、他の選択肢は「rarely(まれに)」「never(一切ない)」、および「don’t get digital news(デジタルニュースを見ない)」だ。

この変化は、テック企業が自社プラットフォームで誤情報の拡散を許していることについて厳しい監視下にある状況の中で起きている、とPewは指摘している。こうした批判はパンデミック期間中に増加し、ワクチンの忌避や拒否につながり、その結果誤情報を受け入れた多くの米国人の健康状態の悪化を招いた。

こうした問題に関わらず、さまざまなソーシャルメディアから定期的に情報を得ている米国人の割合は前年からさほど大きくは変わっておらず、ネットで日々のニュースを見る一部の人たちの習慣を反映している。

画像クレジット:Pew Research

定期的にFacebookで情報を得ている米国成人の3分の1に続いて、22%がYouTube(ユーチューブ)から定期的に情報を取得している。Twitter(ツイッター)とInstagram(インスタグラム)はそれぞれ13%および11%の米国人の定期的情報源だ。

しかし、多くのサイトにおいて自身のサイトを定期的情報源としているユーザーの数字がわずかに減少している、とPewは指摘している。これは、各サイトをニュース源として使っている米国成人のずっと小さな割合とは意味が異なり、サイト自身のユーザーベースがどう認識しているかを示している。ある意味でこれは、具体的には概して若いソーシャルメディア・ユーザーのニュース消費行動の変化を測ったものだと言える。

現在Twitterユーザーの55%が同プラットフォームから定期的に情報を得ており2020年は59%だった。一方Reddit(レディット)ユーザーの情報源としての同サイトの利用は42%から39%に減少した。YouTubeは32%から30%、Snapchat(スナップチャット)は19%から16%に減少した。Instagram(インスタグラム)はほぼ変わらず2020年が28%、2021年が27%だった。

今回、唯一ニュース源として成長したソーシャルメディアプラットフォームは、TikTok(ティックトック)だ。

2020年、ショートビデオプラットフォームのユーザーで定期的にそこで情報を取得している答えた人は22%だった。2021年には29%に増加した。

しかし全体的に見ると、これらのサイトのほとんどが米国の成人人口全体にごくわずかしか掴んでいない。米国人でReddit(7%)、TikTok(6%)、LinkedIn(4%)、Snapchat(4%)、WhatsApp(3%)、Twitch(%)を情報源としている人はいずれも10人に1人以下だった。

画像クレジット:Pew Research

サイトを利用しているユーザーの人口属性による違いもある。

白人成人は情報源としてFacebookとRedditに目を向ける傾向がある(それぞれ60%と54%)。黒人およびラテンアメリカ系成人は、Instagramを定期的情報源としている人の割合がかなり大きい(それぞれ20%と33%)。若年成人はSnapchatとTikTokに頼る傾向が強く、LinkedInを情報源とする人の過半数が四年制大学の学位を持っている。

もちろん、2021年7月26日~8月8日に実施されたPewの最新調査は個人の申告データに基づいている。つまり、被験者の答えはさまざまなサイトを情報源として使っていることに関するその人自身の認識に基づいている。これは、現実世界でユーザーがどれほど頻繁にニュースを読みにサイトに訪れるかの測定値とは異なる結果を生むことがある。利用の割合を過小評価する人も過大評価する人もいるからだ。

また、人はソーシャルメディアでニュースを読むことの予期せぬ影響を正しく理解できていない。見出しや投稿は扇動的なクリックベイト(クリックを誘う餌)に隠されてリアクションやコメントによるエンゲージメントを誘発しようとしている。そうした手口はしばしば強いリアクションを誘うことがあるが、必ずしも聞く価値のある人によるものではない。Pewによる最近の調査で、ソーシャルメディアニュース利用者は、選挙や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などの重要な話題に関する事実の知識が少ない傾向があるという結果が出た。そしてソーシャルメディア消費者は過激な陰謀論に接する機会が多い(コメントを読んでいる人にとっては実に明らかだ)。

今回の調査の全標本数は、回答者1万1178名で、標本誤差範囲はプラス・マイナス1.4パーセンテージ・ポイントとなる。

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画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ツイッターのクリエイター向け機能「スーパーフォロー」、開始から2週間の売上はわずか66万円

Twitter(ツイッター)のクリエイター向けプラットフォーム「Super Follows(スーパーフォロー)」の幸先は芳しくない。公開から2週間の米国iOS売上は6000ドル(約66万円)ほどだった。Sensor Tower(センサータワー)提供のデータによる。そしてカナダでの売上はわずか600ドル(約6万6000円)ほどだった。収益のごく一部は、別のアプリ内購入の仕組みである「Ticketed Spaces(チケット制スペース)」による可能性もあるが、社外からこの部分を調べる方法はない。

Twitterが最初にスーパーフォローの計画を発表したのは、2月のAnalyst Dayイベントで、新たな収益ストリームを生み出す将来の取り組みの詳細を数多く予告していた。

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現在、Twitterのビジネスは大きく広告に依存しており、スーパーフォローは同社の収益多様化に向けた数少ない方法の1つだ。Twitterはクリエイターがライブイベントを 有料で提供するTicketed Spaces(チケット制スペース)を提供している他、米国外ではパワーユーザー向けのプレミアム商品、Twitter Blue(ツイッター・ブルー)のテストを開始している

画像クレジット:Twitte

しかしクリエイターがターゲットのスーパーフォローは、主要ユーザー層に最も強くアピールするはずだ。

これは、クリエイターがフォロワーを集め、サブスクリプションを通じて直接収益を生むクリエイター経済を育てることで、Twitter自身の広告やブランド契約への依存を減らす試みの一環でもある。クリエイターたちがこのビジネスのために使うプラットフォームは、収益のごく一部を受け取ってクリエイターツール開発費に宛てる(Twitterの場合、取り分はわずか3%)。

この機能は、すでに有名人と一般の人々が同じタイムラインで、親しく付き合い会話しているプラットフォームであるTwitterにとって理に適っているように思えた。スーパーフォローは、ファンがお気に入りのクリエイター(ミュージション、アーティスト、コメディアン、インフルエンサー、ライター、ゲーム、あるいはその他のエキスパート)にもっと近づけるようにすることでアクセスを増やす。クリエイターは月額サブスクリプション価格を2.99ドル(約330円)、4.99ドル(約550円)、9.99ドル(約1100円)のいずれかに設定して、ファンに「舞台裏」コンテンツなどのボーナスを提供する。それらは、追加のツイートやQ&Aその他サブスクライバーとのやり取りで受け渡される。

画像クレジット:Twitter

サービス開始時点でTwitterは、スーパーフォローを少数のクリエイターに開放した。美容・スキンケアに特化したアカウント、@MakeupforWOC、星占いのアカウント、@TarotByBronx、スポーツ専門の@KingJosiah54、ライターの@myeshachou、インターネットパーソナリティーでポッドキャスターの@MichaelaOkla、スピリチュアルヒーラー@kemimarie、ミュージックチャートをツイートする@chartdata、Twitchストリーマーの@FaZeMew@VelvetIsCake@MackWood1@GabeJRuizおよび@Saulsrevenge、ユーチューバーの@DoubleH_YT@LxckTVおよび@PowerGotNow,そして暗号トレーダーの@itsALLrisky@moon_shine15などの面々だ。Twitterは、スーパーフォローを利用できるクリエイターは100人以下がと言っている。

クリエイション側の利用は限定されているが、クリエイターのサブスクライブはそうではない。米国またはカナダのTwitter iOSユーザーなら、支援したいクリエイターのアカウントをいくつでも「スーパーフォロー」できる。米国には 2021年第2四半期時点で、収益可能なデイリーアクティブユーザーが3700万人いる。もちろんiOSユーザーはその一部にすぎない。

それでもTwitterには、スーパーフォローのプラットフォーム開始時点で数百数千万人の「潜在」顧客がいた。現在の収益は、アプリ内購入ランキング上位の多くが、低い価格設定でコンテンツを提供しているクリエイターのものであることを踏まえると、利用しているのはわずか数千人程度のようだ。

画像クレジット:Twitte

Sensor Towerは、TwitterのiOSにおける米国消費者利用額である6000ドルは、9月最初の2週間(9月1~14日)に測定されたという。この期間前の8月25~31日、米国のTwitter iOSユーザーは100ドル(約1万1000円)しか消費していない。これはユーザーがチケット制スペースに支払った金額を表す数字だ。言い換えると、iOS消費者の利用合計6000ドルに占めるチケット制スペースの割合はごくわずかである可能性が高い。

スーパーフォローをサブスクライバーが利用できるもう1つの市場であるカナダでは、9月1~14日のTwitterのiOSアプリ内購入収益はわずか600ドルだった(これにはカナダとオーストラリアでテスト中のTwitter Blueのサブスクリプション収益も含まれている)。

全世界では、同じ期間にiOSのTwitterユーザーは9000ドル(約98万9000円)を消費しており、これにもチケット制スペースとTwitter Blueのテストによる収益が含まれる(クリエイターに直接支払う方法であるTwitterのTip Jarはアプリ内購入を経由していない)。

ハッシュタグの利用やコンテンツのリツイートのように、元々ユーザーがやっていたことを観察して開発された他のプロダクトと異なり、最近のTwitterの新機能の多くは、プラットフォーム上でのユースケースを再定義しようとしている。数多く売り込んでいる製品ラッシュの中でTwitterは、クリエイター向けだけでなく、eコマース読むコンテンツの整理ニュースレターのサブスクリプションコミュニティのソーシャル化オーディオによるチャットコンテンツの事実検証トレンドのフォローよりプライベートな会話などを提供している。

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スーパーフォローの遅いスタートは、何かを決めるにはまだ早すぎるというTwitterのポジションを示している。それも一理あるが、利用状況を追跡して、新しいプロダクトが幸先の良いスタートを切ったかどうか確認する価値があるだろう。

「これはスーパーフォローの始まりにすぎません」とTwitterの広報担当者がSensor Towerの数字に関するコメント要求に答えて言った。「私たちの最終目標はクリエイターが成功するための準備を整えることです。そのためにこの1巡目のでは少人数のクリエイターたちと密に働くことで、スーパーフォローで最高の体験が得られることを、広く公開する前に確認します」。

さらに広報担当者は、Twitterのスーパーフォローはクリエイターがスケールに合わせて収益を増やせるように設定されていることも指摘した。

「スーパーフォローでは、クリエイターは生涯の収益が5万ドル(約549万6000円)になるまで、アプリ内購入手数料差し引き後収益の最大97%を受け取れます。5万ドルを超えてからは、アプリ内購入手数料差し引き後収益の最大80%%を受け取れます」と広報担当者はいう。

画像クレジット:Twitter

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

【コラム】9.11から20年、制限のないデータ収集がもたらす米国の新たな悲劇

2001年9月11日朝。米国の成人のほとんどは、自分がその時どこにいたかを鮮明に覚えているだろう。筆者はホワイトハウスのウェストウィング2階で、米国国家経済会議のスタッフ会議に出席していた。シークレットサービスが突然部屋に入ってきて「すぐに部屋を出てください。ご婦人方はハイヒールを脱いで!」と叫んだことは忘れられない。

そのちょうど1時間前、私は全米経済会議のホワイトハウス技術顧問として、9月13日にオーバルオフィスで予定されている大統領との会談に向けて最終的な詳細を副参謀長に説明していた。そして、米国政府のプライバシー保護法案を議会に提出するために、大統領のサインを得る準備が整った。カリフォルニア州のプライバシー保護法の国家版ともいえるこの法案は、それよりも強力で、情報を共有する際には対象となる市民の選択による同意を得て市民のデータを保護するなど、データの収集方法や使用方法を規定するものだった。

しかし、その日の朝、世界は一変した。私たちはホワイトハウスから避難し、その日は悲劇に次ぐ悲劇が発生した。米国、そして世界中に衝撃が走った。あの日、ワシントンD.C.にいた私たちは、悲しみ、連帯感、不信感、力強さ、決意、緊迫、そして希望など、人間の感情のすべてを目の当たりにし、自ら体験することとなった。

当日については多くのことが語られているが、筆者はその翌日のことを少し振り返ってみようと思う。

9月12日、オフィスに国家経済会議のスタッフが集まったとき、当時の上司であるLarry Lindsey(ラリー・リンゼイ、Lawrence Lindsey)が私たちに言った言葉を今でも覚えている。「今ここにいることを不安に思う人がいるかもしれません。私たちは全員が標的なのだから。愛国心や信仰心をアピールするつもりはありません。しかし、この部屋にいる皆が経済学者である以上、私はみなさんの合理的な自己利益に訴えます。今、私たちが逃げ出してしまえば、他の人たちも同じように逃げ出すでしょう。誰が私たちの社会の要を守ることができるでしょうか?私たちは国を守ります。この国の誇りとなるように行動してください。そして、安全と安心という自由への献身を放棄しないでください」。

9.11の悲劇に対して、国が一丸となったこと、そして米国政府の対応については多くのことを誇りに思っている。しかし、私はサイバーセキュリティとデータプライバシーの専門家として、まず、ラリーが言ったこと、その後の数年間で学んだ多くの重要な教訓、特に社会の要を守るということについて振り返りたい。

あの日の記憶は未だに鮮明だが、20年が経過し、9.11同時多発テロに至るまでの数カ月間にデータが果たした(果たさなかった)致命的ともいえる役割が解明されている。不幸なことに、すぐそばにあったはずの情報データはバラバラに保管されており、何千人もの命を救うことができたかもしれない点と点をつなぐことはできなかった。データのサイロ化によって、情報を安全に共有する仕組みがあれば見つけられたはずのパターンが見えなくなっていたのだ。

その後、私たちは「こんなことは二度とごめんだ」と自らに言い聞かせ、当局は、市民の自由だけでなくデータのセキュリティにも重大な影響を与えることを考慮せずに、収集できる情報の量を増やすことに邁進した。そして、CIAや法執行機関による20年間の監視要請が詰め込まれた愛国者法が施行された。司法省とともに愛国者法を交渉する場にいた私がはっきりと言えるのは、次のテロ攻撃を防ぎ、私たちの人々を保護するという意図は理解できるものの、その結果として広範囲に及んだ悪影響は明白であった、ということだ。

国内での盗聴や大規模な監視が当たり前になり、個人のプライバシーやデータの安全性、国民の信頼が少しずつ損なわれていった。これはデータプライバシーに対する危険な前例となったが、その一方で、このレベルの監視ではテロとの戦いにおいてわずかな成果しか得られなかった。

残念なことに、個人のプライバシー保護を強固にするはずであった、まさに9月11日の週に議会に提出する予定だった米国政府のプライバシー法案は、頓挫してしまった。

その後数年が経ち、大量の監視データを安価かつ簡単に収集・保管できるようになり、テクノロジー関連やクラウド関連の大手企業が急速に規模を拡大し、インターネットを支配するようになった。官民を問わずより多くのデータが収集されるようになり、個人の機密データが公に晒されるようになったが、このようなアクセスの拡大に対処できる、有効性のあるプライバシー保護措置は講じられなかった。

巨大なテクノロジー企業やIoTデバイスが、私たちの行動、会話、友人、家族、身体に関するデータポイントを集める20年後の現在、私たちは過剰なまでに野放図なデータ収集とアクセスに翻弄されている。原因がランサムウェアであろうとクラウドバケットの設定ミスであろうと、大規模で代償が大きいデータ漏えいでさえも新聞の一面で取り上げられないほど頻繁に発生している。この結果は社会の信頼の喪失だ。人権であるはずのプライバシーだが、それが守られていないことは誰もが知っている。

このことは、アフガニスタンでの人道的危機を見れば明らかだ。一例を挙げてみよう。連合軍を支援したアフガニスタン市民の生体情報データが入った米軍のデバイスがタリバンに奪われてしまった。このデータがあれば、タリバンは対象となる個人や家族を容易に特定し、追跡できる。機密性の高い個人情報が悪人の手に渡るという最悪のシナリオであり、私たちはそれを防ぐための十分な努力をしてこなかった。

決して許されることではない。20年経った今、私たちは再び「こんなことは二度とごめんだ」とつぶやいている。私たちは9.11の経験を、情報データをどのように管理、共有、保護したらいいかを再認識する機会とするべきだったが、未だにそれを正しく理解していない。20年前も現在も、データの管理方法は生死を決する。

進歩がないわけではない。2021年、ホワイトハウスと米国国防総省は、サイバーセキュリティとゼロトラスト(すべてが完全には信頼できないことを前提とする考え方)のデータ保護にスポットライトを当て、米国政府のデータシステムを強化する行動を促す大統領令を出した。私たちには、このような機密データを保護しながら共有もできるようにするために必要な技術がある、というのは良いニュースだろう。データが本来データを持つべきではない人の手に渡ることを防ぐ緊急時対応策も用意されている。しかし、残念なことに、私たちのアクションはまだ十分ではない。データの安全な管理という問題の解決が遅れれば遅れるほど、罪のない人々の命が失われていく。

私たちには、次の20年を見据えて信頼を回復し、データプライバシーの管理方法を変革する機会がある。何よりもまず、私たちは何らかのガードを設置することが必要だ。そのためには、個人に自分自身のデータ管理の自律性をデフォルトで持たせることのできるプライバシー保護の枠組みを構築しなければならない。

つまり、各個人による自らのデータの所有と管理を可能にするためには、公的機関や民間企業がIDとデータを結びつけ、データの所有権を各個人に戻すという技術的な裏方の作業を行う必要がある。簡単にできることではない……しかし、不可能なことではなく、米国市民、米国居住者、世界中の同盟国の人々を守るために必要なことだ。

このようなデータ保護の導入を促進するためには、相互運用性と柔軟性を備えた、無料でアクセスできるオープンソースソリューションのエコシステムが必要である。既存のプロセスやソリューションにデータ保護とプライバシーを重ね合わせることで、政府機関は、個人のプライバシーを損なうことなく、データを安全に収集・集計して全体像を明らかにすることができる。今の私たちはこのような技術がある。今こそそれを活用するときだ。

大量のデータが収集・保管されている現在、米国のデータが悪用される機会は格段に増えている。タリバンに奪われたデバイスは、現在危険に直面しているデータのごく一部に過ぎない。2021年に入ってからも、国家レベルのサイバー攻撃は増加の一途をたどっている。人命を脅かすこのサイバー攻撃は、決してなくなることはない。

2001年9月12日のラリーの言葉は、今でも心に残っている。今、私たちが手を引いたら、誰が社会の要を守れるだろうか。人々の自由を損なうことなく、プライバシーを守り抜くことができるかどうかは、官民のテクノロジーリーダーである私たちにかかっている。

まずはデータに対する国民の信頼を回復しよう。今からでも遅くはない。20年後、私たちはこの10年間を、個人のプライバシー権を保護・支持する上でのターニングポイントとして振り返ることになるだろうか。それとも、またしても「こんなことは二度とごめんだ」と思っているのだろうか。

編集部注:本稿の執筆者John Ackerly(ジョン・アッカーリー)氏はVirtru Corporationの共同創立者兼CEO。以前は、Lindsay Goldberg LLCの投資家、ホワイトハウスの技術政策アドバイザー、米国商務省の政策・戦略計画ディレクターを務めていた。

画像クレジット:Mark Rainwater/Eye Em / Getty Images

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(文:John Ackerly、翻訳:Dragonfly)

アップルは社内メモでテキサス州の妊娠中絶法に対する法的な異議申し立てを監視していると発表

米国時間9月16日、Apple(アップル)は社員専用のメッセージボードで、同社が最近テキサス州で成立した、同社のいう「特異な制限のある妊娠中絶法」に対する法的異議申し立てを監視していると述べた。AppleはTechCrunchに対して、そのメッセージは本物だと認めている。

「我々は、テキサス州独特の制限がある中絶法に異議を唱える法的手続きを積極的に監視しています。その間、Appleの福利厚生は包括的であり、従業員が自分の州で医療を受けられない場合は州外に出て医療を受けることができることを思い出してほしい」と、署名のないメモには書かれている。

この新法は、州内で行われる大部分の中絶を実質的に禁止するもので、現在、様々な方法で法的に争われている。ここ数日、テクノロジー業界内外の企業が相次いでこの法律に反対する姿勢を見せている。Salesforceは、テキサス州でのリプロダクティブケア(性と生殖に関するケア)へのアクセスに懸念を抱く従業員に対し、同法施行後の移動を提案している。また、テキサス州を拠点とするMatch GroupとBumbleは、州外でのケアを必要とする従業員の旅費を負担するという申し出を行っている。

このメッセージでは、法案に積極的に反対するためにAppleのさらなる行動については詳しく述べられていないが、Appleは「従業員がリプロダクティブヘルスに関して自分で決断する権利」を支持していると述べている。

Appleはテキサス州オースチンの数千人規模のキャンパスを持ち、その他にも州内にさまざまな製造工場やApple Storeを展開している。

メッセージの全文は以下のとおりだ。

女性のリプロダクティブヘルスケアについてのメッセージ

Appleでは、従業員がリプロダクティブヘルス(性と生殖に関する健康)について自ら決定する権利を支持しています。

私たちは、テキサス州の独特な制限のある人工妊娠中絶法に異議を唱える法的手続きを積極的に監視しています。一方で、Appleの福利厚生は包括的であり、従業員が自分の州で医療を受けられない場合は州外に出て医療を受けることができることをお伝えしたいと思います。あなた自身やあなたの扶養家族のケアについてサポートが必要な場合は、医療保険会社が秘密裏に支援してくれます。

みなさんの健康と幸福はAppleの最優先事項です。みなさんとみなさんの家族がAppleが提供する医療サービスを受けられるよう、今後もできる限りの努力を続けていきます。

画像クレジット:Olly Curtis/Future/Getty Images

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(文:Matthew Panzarino、翻訳:Hiroshi Iwatani)

新学期早々、学校の備品を盗むTikTok動画が米国で大人気

新学期が始まった。しかしなぜか、新学期はTikTokを使う子どもたちにとって、ネジ止めされていないものなら何でも盗んでいいシーズンなのだ。

TikTokの最新トレンドは社会的大混乱を招いており、「悪質ないたずら」で、ささやかな窃盗行為が相次いでいる。盗まれるのは手洗い所の石けん入れや、新型コロナウイルスの検査キット、手の消毒剤で、教室にあるハイテク製品など高価なものも盗まれている。

以下の動画は、Lil Bの「Ski Ski BasedGod」を編集したバージョンで、Mashableによると、米国時間9月13日にはTikTok上で約10万本の動画に登場し、#deviouslickというタグで1億7500万回以上の再生回数があった。

9月15日にはTikTok自身が動き出し、バイラルないたずらの検索結果を制限し、そのタグがついた動画を削除し「先生にはもっと優しくしよう」と呼びかけた。

TikTokの広報担当者は次のように語る。「コミュニティが安全性を維持し、責任ある創作を期待したい。犯罪的な行為をそそのかしたり、可能にするコンテンツは許可しない。このコンテンツは削除し、ハッシュタグと検索結果を弊社のコミュニティガイドラインへリダイレクトして、このような行為を阻止しています」。

どれが流されて、どれが正当なものなのかを知ることは困難だが、このトレンドは全米の教師や親がストレスを感じるほど大きなものだ。ラスベガスのある中学校では、生徒が制限速度の標識、火災報知器、石けん入れ、教室のプロジェクターなどを盗んだと学校管理者は報告している。また、オレゴン州のポートランドでは、少なくとも1つの高校で、建物全体の石けん入れがなくなった。

このトレンドは相当大きくて、国中の教師や親を困らせるに十分だった。ラスベガスの中学校では、速度制限の標識や火災報知器、石鹸入れ、教室のプロジェクターなどを盗んでいると学校管理者が報告している。オレゴン州ポートランドでは、少なくとも1つの高校で、全校の石鹸入れが消えた。パンデミックでみんなが苦しんでいる中での新学期として、良い光景とはいえない。

関連記事:TikTokが「牛乳ケースチャレンジ」の動画を禁止、危険性からユーザーを守るため

画像クレジット:CHANTAL VALERY/AFP via Getty Images/Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

トヨタとホンダは米自動車メーカーに有利なEV税制優遇措置拡大に反発

Toyota Motor(トヨタ自動車)とHonda(ホンダ)は、米国内で労働組合員が製造した電気自動車の税制優遇措置を拡大する法案を、否決するようにと議員たちに要請している。

この法案は、米国内で労働組合員によって製造された自動車に対する連邦税の優遇措置を7500ドル(約82万円)から最大1万2500ドル(約137万円)に拡大するというもので、トヨタは議会に提出した書簡の中で「明らかに偏っている」「法外だ」と非難している。さらに、米国内で製造されたバッテリー搭載車には優遇措置が500ドル(約5万5000円)上乗せされる。この法案が可決された場合、トヨタ、ホンダ、Tesla(テスラ)などの自動車メーカーの車両は優遇措置の対象外となるが、デトロイトの「ビッグ3」と呼ばれるメーカーはすべて対象となる。

トヨタは議員に宛てた書簡の中で、「現在の法案は、組合に加入しないという選択をした米国の自動車労働者を差別し、電動車両の普及を加速させるという目的を二の次にする」と述べ、「これは不公平であり、間違っています。この明らかに偏った提案を否決してくださることを求めます」と嘆願している。

さらにトヨタは、この法案は富裕層、つまり電気自動車の購入に公的資金を必要としない人々を優遇するものだと述べている。この法案には、調整後所得が40万ドル(約4400万円)までの個人、または80万ドル(約8800万円)までの世帯に、優遇措置の適用を制限するという所得調査の条項が設けられている。所得制限を設けるかどうか、あるいはその所得制限をどのようにするかは、議会の民主党と共和党の間で大きな争点となっている。

テスラのElon Musk(イーロン・マスク)CEOは、この法案を「メキシコで電気自動車を製造しているFord(フォード)  / UAW(全米自動車労働組合)のロビイストが書いたものだ。これがどれだけ米国の納税者のためになるのかはわからない」とツイッターで批判した。

Whole Mars Catalog

労働組合のために4500ドル(約49万円)に引き上げ、米国製に対してはたったの500ドルに減らしたことには、開いた口が塞がりません。

労働組合への2500ドル(約27万4000円)はすでに馬鹿げていました。しかし、新提案ではそれを4500ドルに拡大するとは?!? 彼らは明らかに1つの企業をターゲットにしています。

Elon Musk

メキシコで電気自動車を製造しているフォード / 全米自動車労働組合のロビイストが書いたものです。これがどれだけアメリカの納税者のためになるかはわかりません。

この法案は、EVに対する最大7500ドル(約82万円)の税額控除が10年以上前に施行されて以来、初めての増額となる可能性がある。また、この法案では20万台以上のEVを販売した自動車製造業者の車両を控除の対象外とする規定が廃止されるため、General Motors(ゼネラルモーターズ)やテスラのクルマも再び対象となる。

GM、フォード、そして旧クライスラー(Chrysler)のStellantis(ステランティス)という、全米自動車労働組合に代表される従業員が働く大手自動車メーカー3社は、この法案を賞賛している。

この法案は米国時間9月14日に下院歳入委員会で審議される。この税控除拡大は、現在議会で審議されている3兆5000億ドル(約383兆6000億円)規模の巨大な予算調整法案の一部に過ぎず、その中には他にも教育、医療、気候変動などを対象とした社会的に進歩的な提案が多数含まれている。

画像クレジット:Toyota

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テスラはテキサス州の中絶禁止法に対して声を上げるべきだ

9月第1週目の週末、ある読者が編集部に宛てて、テキサス州が先週可決した中絶禁止法について、なぜテック企業が声を上げるべきなのかを礼儀正しく尋ねてきた。

この読者は「アメリカン航空が中絶と何の関係があるのか」と述べ、企業が中絶賛成派と中絶反対派の両方に対応することは不可能であり、自分たちのビジネスとは無関係な問題に立ち向かうことを求めれば、米国の政治化を助長するだけだとの見方を示した。

この見方は広く受け入れられている。米司法省は米国時間9月10日、この法律に異議を唱える決定を下し、Merrick Garland(メリック・ガーランド)司法長官が「明らかに違憲である」と表現したことは、その見方を補強するものだ。結局のところ、ローンスター・ステート(テキサス州)で起こったことに反発すべきなのは、企業ではなく議員なのではないか、ということだ。

だが、テック企業、特にTesla(テスラ)が陰から現れ、この法律を打破すべき理由は他にもある。

妊娠中絶の制限が雇用側の医療費増加につながることは事実だが、テキサス州の法律がテック企業に特に大きな影響を与えるとすれば、雇用へのインパクトだ。社会的企業であるRhia Venturesの調査によると、女性の60%が、中絶へのアクセス制限を試みる州で職につくことを躊躇すると答えている。男性は、かろうじて過半数が同じ回答だった。

テキサス州の中絶禁止法はまた、テック企業に警鐘を鳴らす超法規的な執行メカニズムを生み出す。新法は、中絶手術を行った人だけでなく、故意か否かを問わず、女性が中絶をするのを手助けした人を、その中絶と直接の関わりをもつかどうかにかかわらず、私人が訴えることができる。さらに、原告が勝訴した場合、多額の金銭的な見返りを得る。各被告は1万ドル(約1億1000万円)に加え、関連費用や原告の弁護士報酬を負担することになる。

この判例が、消費者のプライバシーなど、テック企業が関わる問題に適用された場合を想像して欲しい。ヒューストン大学法律センターのSeth Chandler(セス・チャンドラー)教授は、米ABCニュースで今週次のように話した。「SB8(中絶禁止法)が開発したレシピは、妊娠中絶に限られるものではありません。人々が好まないあらゆる憲法上の権利に利用することができるのです」。

テック企業は、テキサス州の妊娠中絶の議論に横槍を入れることは、政治的には電線に触れるのと同じことだと主張するかもしれないし、その見方に共感するのは簡単だ。Pew Research(ピューリサーチ)によると、米国の約10人に6人が「すべての場合、またはほとんどの場合、中絶は合法であるべきだ」と答えているそうだが、どちらの側も感情が高まっている。

それでも、企業はこれまでも物議を醸すような問題に対し、自社の価値観を守るために安全を確保しつつも立ち上がってきたし、企業の圧力が有効であることも示してきた。2016年には、Apple(アップル)やCisco(シスコ)、そしてアメリカン航空を含む約70社の大手企業が、トランスジェンダーの人々が自分の性自認に合った公共トイレの使用を禁止するノースカロライナ州の法律を阻止する法的活動に参加した。この法律は「不当な差別」を容認するものであり、企業の多様な労働力を確保する能力を損なうと主張したのだ。厳しい経済的影響に直面し、2017年までにこの禁止法案は撤回された

Lyft(リフト)、Uber(ウーバー)、Yelp、(イェルプ)Bumble(バンブル)などのひと握りのCEOらは、すでにテキサス州の新法に反対する、公的にはっきりとした立場をとっている。一方、Salesforce(セールスフォース)は9月10日、Slackメッセージで従業員に、もし自分自身やその家族が今、リプロダクティブ・ケア(妊娠・出産・避妊などに関するケア)にアクセスできるかどうかを心配しているのであれば、会社は引っ越しを支援すると伝えた。

Teslaのような企業は、同州の政治にさらに大きな影響を与える可能性がある。Elon Musk(イーロン・マスク)氏による同州への移転は、当地のテックシーンにおける関心に火をつけた。テキサス州のGreg Abbott(グレッグ・アボット)知事は、マスク氏の影響力を強く認識しており、新法が成立した翌日には、マスク氏が同州の「社会政策」を支持していると述べた。

スターベースと呼ばれる新都市を建設する計画や、Tesraが地域の電力会社になる計画など、テキサス州で多くの金銭的な利害関係があるマスク氏は、これまでのところ、この法律についての見解を明らかにしていない。この問題について聞かれ「一般的に、政府は国民に自分の意志を押し付けることはまずすべきではなく、そうする場合には国民の累積的な幸福を最大化することを目指すべきだと考えています」と答えた。また「政治には関わりたくない」とも述べた。

その考えは間違っている可能性がある。フロリダ州やサウスダコタ州など、少なくとも7州の議員や幹部が、テキサス州の新法をクローズアップして検討しており、同様の法令を検討していると述べているからだ。

2019年5月には、Twitter(ツイッター)のJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏やBloomberg(ブルームバーグ)のPeter Grauer(ピーター・グラウアー)氏を含む200人近くのCEOが、中絶禁止はビジネスに悪影響を及ぼすと宣言するニューヨーク・タイムズ紙の全面広告に署名した。広告には「中絶を含む包括的なリプロダクティブ・ケアへのアクセスを制限することは、従業員や顧客の健康、自立、経済的安定を脅かす」とある。

もしマスク氏が、政府は「国民に自分の意思を押し付けることはない」と本当に信じているのなら、連邦政府が長期にわたる苦しい戦いをしている間に、テキサス州でも公の場に立つべきだ。そうすることで同氏が失うものはほとんどなく、得るものは大きい。

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画像クレジット:emptyclouds / Getty Images

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi

気候変動で増える水害を抑えるため、ただ成長を良しとする都市部に建築基準で待ったをかけるForerunner

市長は世界一大変な仕事であり、都市を引っ張っていくことは益々困難になっている。世界中の都心部で人口が膨れ上がっているが、その成長が起きる地域は気候変動の制約を受けている。住民に人気の高い海沿い地域も、海面上昇のリスクを負っている。成長のニーズと住民を災害から守る必要性をどう天秤にかけたらよいのだろう。

ほとんどのケースで、針は成長の方向に振りきっている。沿岸都市は大規模な広がりと開発をなすがままにし、より多くの固定資産税と住民を追い求めている。海面は恐ろしいほど上昇しているにもかかわらず。これは大惨事のレシピであり、それでも構わず多くの都市が選んだ献立だ。

Forerunner(フォアランナー)は針を反対側に振れさせようとしている。このプラットフォームは都市計画者や建物管理者が調査、研究を行い、将来の洪水被害の軽減に焦点をあてたより厳しい建築基準や土地利用基準を執行できるようにする。特に焦点の中心にあるのが、国の洪水保険制度の利用が多い米国都市で、Forerunnerは、各都市が同制度の複雑なルールをできるだけだけ遵守するための手助けをする。

画像クレジット:Forerunner

会社はFEMA(連邦緊急事態管理局)などからデータを入手して、各施設に義務づけられている最低床高基準を割り出し、建物がその基準を満たしているかどうかを調べる。さらに、洪水地帯の境界線を追跡し、水位認定証の作成、管理など国の洪水保険書類の処理手続きを支援する。

共同ファウンダーのJT White(JT・ホワイト)氏とSusanna Pho(スザンナ・フォ)氏は長年の友人同士で、MIT Media Lab(メディア・ラボ)で働いたあと、2019年初めにこの氾濫原管理プロダクトを一緒に作り上げた。「多くの自治体が『国の洪水』規則を守っていない問題はいくら強調しても足りません」とフォ氏はいう。「彼らは厳しい条例を元に戻すつもりです【略】多くの日常的な遵守確認が不可能だからです」。

洪水被害にあった沿岸都市は国の洪水保険で保護されるが、そこではしばしば倫理崩壊が起きる。なぜなら被害は補償されるので、そもそも災害を避けようというインセンティブが小さいからだ。連邦政府がこの基準を強化しようとしているのに加え、新しい世代の都市設計家や首長の間では、多くの都市の「建築-破壊-再建築」モデルは気候変動を踏まえてやめるべきだという認識が高まっている。洪水の後には「都市がより高い基準で再構築することを望んでいます」とホワイト氏は語った。「一種の再構築のサイクルや、同じことの繰り返しに私たちは憤慨しています」。

新たなモデルへの移行はもちろん容易ではない。「自治体は多くの難しい決断を迫られます」と彼はいう。しかし「当社のソフトウェアはそれを少しだけ簡単にします」。これまでに会社は早くも手応えを感じており、現在33の自治体がForerunnerを使用している、とファウンダーらは述べている。

顧客はルイジアナ州とニュージャージー州北部に集まっているが、同社最大の顧客はテキサス州ヒューストン市街地の大部分を含むハリス郡だ。郡は国基準の遵守を高めることによって洪水保険料を最大500万ドル(約5億5000万円)節約できる可能性がある、ホワイト氏はいう。「当社サービスの利点の1つは、自治体内の洪水保険契約者全員が来年からすぐに割引を受けられることです」と彼は語る。しかし、いずれFEMAはインセンティブよりも逆インセンティブに焦点を当てるだろう。「FEMAの持つ最強の武器は、自治体から洪水保険制度を取り上げられることです」とホワイト氏は指摘した。

会社は2019年に早期シードラウンドで資金調達し、現在プラットフォームの機能強化と売上を軌道に載せることに集中している。行政テック分野では難しい注文かもしれない。

住宅の増加と成長への要求が高まる中、気候変動は別の要求を都市に突きつける。市長や都市のリーダーたちは、過去のグロース(成長)モデルから、未来のレジリエント(適応)モデルへの転換を益々迫られている。

関連記事:テクノロジーと災害対応の未来1「世界で最も悲惨な緊急事態管理関連の販売サイクル」

画像クレジット:STR/AFP / Getty Images

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(文:Danny Crichton、翻訳:Nob Takahashi / facebook

【コラム】EVの充電ソリューションは電力網の資産になる

編集部注:本稿の執筆者Oren Ezer(オレン・イーザー)氏は、電気自動車にワイヤレス充電を提供する共有エネルギープラットフォーム「ElectReon」のCEO兼共同設立者。

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2030年までに米国の販売台数の約半分を電気自動車(EV)にするというJoe Biden(ジョー・バイデン)大統領の計画は、現在、米国の総排出量の約半分を占める交通システムの脱炭素化を進めようとしていることを意味している。

電気自動車の大量導入を促進するためには米国政府の支援が不可欠だが、一方で、何百万、何千万もの人々が頼りにしている劣化した電気インフラ、すなわち電力網を修復する必要にも迫られている。

社会がオール電化に移行し、EVの需要が高まる中、現代社会が直面する課題は、どうすれば電力網に負荷をかけ過ぎずに、増え続けるEVに充電できるかということである。EVは電力網に対して過負荷となるという予測がある一方で、ワイヤレス充電、V2G(Vehicle to Grid、自動車と地域電力網の間で電力を相互供給する技術やシステム)、再生可能エネルギーのより効率的な利用など、エネルギーインフラをバックアップする方法も研究されている。

不安定な電力網に対して信頼性の懸念が高まる現在、この重要なインフラを強化し、電力網の限界を超えないようにするためのソリューションを見つけることは急務となっている。

現在、電力網が直面している課題

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の気候変動報告書は、地球温暖化や人類が排出した二酸化炭素の影響により、以前は50年に1度だった激しい熱波が、今後は10年に1度あるいはそれ以上の頻度で起こると予想している。このことは、すでに2020年も太平洋岸北西部における記録的な熱波や大火災で確認されているが、電力会社や事業者、業界の専門家たちは、現在のエネルギーシステムが気候変動による温度上昇に耐えられるか懸念を示している。

熱波だけではない。2月にテキサス州で発生した寒波は、エネルギーインフラを麻痺させ、何百万もの住宅で停電が発生した。温暖化が進み、電力需要を満たすために電力網が過負荷になればなるほど、このようなことは増加し続けるだろう。

気温の変動に加え、今後数年のうちに市場に出回ると予想されるEVの増加をサポートできるかどうかについても多くの人が懸念している。交通機関の電化にともない、2050年までに米国の発電容量を2倍にする必要があるとの報告もあり、充電のピーク時に柔軟性を向上させ、稼働率を上げられるEV充電の技術が求められている。しかし、現状では、米国の電力網の能力は2028年までに2400万台のEVをサポートできるにとどまり、道路輸送による二酸化炭素排出量を抑制するために必要なEVの数を大幅に下回っている。

このような課題にもかかわらず、業界の専門家は、EVが電力需要管理に大きな役割を果たし、必要に応じて電力網の安定化に貢献する潜在能力があることを指摘している。しかし、全米でEVの普及が進めば、電力会社は、人々がいつEVを充電するのか、何人のユーザーがいつEVを充電し、どのような種類の充電器が使用されてどのような車両(乗用車や中型・大型トラックなど)が充電されているのかといった重要な問題を調査し、電力需要の増加と電力網のアップグレードを決定する必要がある。

EV充電ソリューションは負債ではなく資産になる

電力網インフラのアップグレードには長い時間がかかる上、自動車の電動化を希望する個人や企業が増加しているので、全米の自治体は、EVの増加に先んじて、電力網の安定性を確保しながら必要な充電インフラを展開する方法を必死に模索している。しかし、国際クリーン交通委員会(ICCT)の最近の分析では、米国のEV充電器の数は現在21万6000台で、EVの普及目標を達成するためには2030年までに240万台の公的および民間の充電システムが必要になると推定されている。

各都市は充電インフラの不足を解消するために、必要な充電インフラの導入を早め、電力網を保護するための従来の据え置き型充電器以外の充電オプションを検討し始めている。その1つがワイヤレス充電や走行中充電といったダイナミックチャージング(大電力充電)である。

ワイヤレスのEV充電は、充電レーンの配置や交通量によって充電時間が断片化され、需要の変動が大きくなり、既存の電力網インフラにさらなる負担をかけるという意見がある一方、ワイヤレス充電では、14~19時に多く発生するエネルギー需要をまかなうためにEVを固定式充電器に接続しておく必要がなく、24時間さまざまな場所に分散して充電できるため、実際には電力網の需要を減少させ、グリッド接続の増設やアップグレードの必要性を減らすことができるという主張も多くある。

また、ワイヤレス充電は、道路、商業施設の搬入口の真下、施設の出入り口、タクシーの行列、バスの駅やターミナルなど、導電式(プラグイン)充電ソリューションでは対応できない場所にも設置することができるので、1日のうちに一定の間隔でEVに「上乗せ」充電を行うことができる。

導電式のEV充電ステーションは主に夕方や夜間にのみ使用され、蓄電装置が必要だが、ワイヤレス充電では、主に日中に生産・利用される再生可能な太陽エネルギーをより効率的に利用することができるので、必要な蓄電装置の台数を減らすことができる。

これには、都市や電力会社がワイヤレス充電のような効率的なエネルギー利用戦略を活用することで、エネルギー需要を時間的・空間的に分散させ、電力網に柔軟性をもたせて保護することができるというメリットがある。このエネルギー利用戦略を、自家用車やタクシーだけでなく、中型・大型トラックに適用すれば、EV化が難しいトラック分野でもEVへの移行をより迅速化できるようになる。

電気自動車の普及を支える電力網にプラスとなるワイヤレス充電

電力網にとっては乗用EVだけでも課題を抱えているが、大規模なトラック充電は、電力会社が積極的に移行を準備しなければ、非常に困難な課題となる。2030年には商用や乗用の全車両の10〜15%をEVにすることが計画されている現在、EVへの移行で二酸化炭素排出量の削減目標を達成しようとしている事業者にとって、ワイヤレス充電は費用対効果の高いソリューションになる。大型車のプラグイン充電とワイヤレス充電の比較と、両者が電力網に与える影響は次のようになる。

  • プラグインの導電式充電:240kWhのバッテリーを搭載した100台のEVバスをバス停留所で夜間導電充電する場合、全車両が毎日の運行終了時に同時に充電するために、最低でも6メガワット(MW)のグリッド接続が必要となる。
  • 電磁誘導方式のワイヤレス充電:都心部のバスターミナル、駐車場、ステーションに設置したワイヤレス充電の定置充電技術を使用して、100台のEVバスを、1日を通して運行の合間に「上乗せ」充電することができる。この充電戦略では、蓄電容量を大幅に削減でき(正確な削減量は車両と車両のエネルギー需要によって異なる)、1日を通して充電が行われるので、必要なグリッド接続は(プラグイン充電と比べて)66%減の2MWになる。

道路に隣接するソーラーパネルフェンスを備えたワイヤレス電気道路システムは、発電を分散させ、電力網への負荷を減らすための究極のソリューションになるかもしれない。業界が行った計算によると、約1kmの電気フェンスは、1.3〜3.3MWの電力を供給することができる。太陽光発電と道路に埋め込まれたワイヤレス充電インフラを組み合わせることで、1日あたり1300台から3300台のバスを電力網に接続せずに走らせることができる(平均時速80km、日射量の季節変動を考慮)。

さらに、ワイヤレス電気道路システムはすべてのEVに共通で使用できる。同じ電気道路でトラックやバン、乗用車に充電でき、電力網に新たな負荷をかけることもない。

電力網の近代化に向けて重要な役割をもつ革新的な充電技術

ワイヤレス充電はまだ市場に出てきて間もない技術だが、そのメリットは次第に明らかになっている。交通機関の電化の促進、気温の上昇、異常気象などに直面する電力網の老朽化が懸念される中、革新的な充電技術は最適なソリューションだ。

1日を通してEVの充電を分散させて過負荷を回避し、乗用車と大規模なトラック輸送両方のエネルギー需要を同時にサポートするワイヤレス充電などの技術は、将来の全電化脱炭素社会に向かうための重要なリソースとなる。

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画像クレジット:Bloomberg Creative / Getty Images

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(文:Oren Ezer、翻訳:Dragonfly)

【コラム】音声認識が子供のために使えるようになった、今こそ活用する時だ

音声認識テクノロジーが、ようやく子どもたちのためにも使えるようになった。

1999年に私がScholastic Education(スカラスティック・エデュケーション)で同僚たちと音読支援プログラムのREAD 180(リード・ワンエイティー)を作ったときは違っていた。当時私たちは音声対応アプリの導入を考えていた。子どもがコンピュータープログラムに向かって読むと、流暢さと識字能力をリアルタイムでフィードバックする。そして教員は生徒の進歩状況を受け取る。

残念ながら私たちのアイデアはテクノロジーの20年先を行っていたので、音声認識機能を省いたREAD 180の開発を進めることになった。ドットコムバブルの絶頂期でさえ、教室向け音声認識はまだSF世界の産物だった。

人工知能や機械学習を使っても、騒がしい教室の周囲雑音を遮断するために必要なテラバイトのデータを作ることはできなかった。また、大人よりも声の高さやしゃべるパターンの多い子どもたちの複雑な音声を把握したり、さまざまな方言や訛りを認識し、何よりも、システムを使う子どもたちの予測不可能な行動を操るまでには進化していなかった。

Scholasticでは、子どもたちに彼らの知らない何かを習得しているとは言いたくなかったし、実際には正しいのに何かを間違えたと幼い生徒たちに感じさせてしまうことの奥深い意味を私たちは理解していた。

時は過ぎて今。音声認識は子どもたちの発話を認識、理解して、異なる訛りや方言にも対応できるところまで進歩している。たとえばダブリン拠点のSoapBox Labs(ソープボックス・ラボ)は、にぎやかな校庭や教室で聞こえてくる子どもたちの多様な声をモデルにした音声認識技術を開発した。テクノロジーの高い精度と性能のおかげで、小学校教員はこれを使って生徒の進歩を高い規則性をもって測ることが可能になり、個人にあわせた指導方法をとれるようになった。

こうした進歩は、この上なく重要な時期にやってきた。

パンデミック前においてさえ、経済的に恵まれない家族の子どもたちの80%以上が、小学4年生の読み方習熟度に達していなかった。熟練した教育者から1年間切り離され、大人向けに作られたテクノロジーやデジタル格差と戦いながら、生徒たちは例年の87%しか読み方を習得できていない、とMcKinsey & Co.(マッキンゼー・アンド・カンパニー)は報告している。春季の学校閉鎖によって、彼らは平均3カ月分の学習機会を失った。

想像できるように、読み方能力の欠如は有色人種生徒の多い学校で顕著であり、読み方スコアは過去の平均の77%でしかない。

生徒たちが教室に戻ってきた時、音声認識は教育に革命を起こせる。リモート学習や家庭でのエンターテインメントも含めて、子どもたちがテクノロジーとやり取りする方法を転換することによって変わる。音声を利用した読解、さらには数学、言語のプログラムが、子どもたちの習熟度の測定や基本知識の習得における事務的作業を肩代わりすることによって、現場は専門的作業に専念できるようになる。

例えば音声認識を使って生徒の読み方の進歩に関する有益な観察を定期的に生成し、パターンを見つけたり改善の必要な部分を特定したりできる。教師は音声対応ツールが生成した進捗や評価データを見て、それぞれの生徒にあった学習方法を適用し、失読症などの障害を見つけたり、必要な時に介助できるようにスケジュールを組むことができる。

音声利用読書ツールを使うと、授業時間中にすべての生徒が音読してフィードバックを受けることができる。こんなことは教師1人では実現不可能だった。例えば25人のクラスで生徒1人につき15分を費やすと、1人の教師の時間を6時間以上占める、毎日。この種の個人観察と評価は、新型コロナウイルス(以前から)教師にとって永遠の課題だった。自宅学習が導入され、生徒たちが教育的にも情緒的にも過去に類を見ない問題を抱えて学校に戻ってくることで、問題はいっそう深刻化している。

音声認識技術には、教室の公平性を高める可能性もある。人間による読み方能力の評価は、結局のところ極めて主観的であり、評価者の偏見によって最大18%の偏差が見られたという最近の研究報告もある。現在利用可能な子ども中心で精度の高い音声認識は、訛りや方言によらずどの子どもの声も理解することで、人間の必然的な偏見を排除することができる。

今後数年のうちには、このテクノロジーがあらゆる教室で授業の一部となり、年少者の読み方(および数学や言語)能力を高めるようになるだろう。教育者は、この技術をより戦略的に自らの授業に取り入れられることに気づくだろう。そしてこれは、新型コロナ時代に切実に求められているものへの期待を大きく高める。それは読解能力を著しく改善し、世界的な読み書き能力問題に、深く本格的に取り込むことのできるテクノロジーだ。

編集部注:本稿の執筆者Mergery Mayer(マージェリー・メイヤー)氏は、Scholasticで教育担当プレジデントを25年間務めている。

画像クレジット:Flashpop / Getty Images

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(文:Margery Mayer、翻訳:Nob Takahashi / facebook