世界的チップ不足の中、インテルは2.3兆円でオハイオ州に2つの半導体工場を建設

Intel(インテル)は米国時間1月21日、オハイオ州コロンバス郊外に2つのチップ製造施設を建設する計画を明らかにした。この計画はまだ初期段階だが、現在も続く世界的なチップ不足に対処するため、あるいは少なくとも将来起こりうる問題に対処するために、最終的に200億ドル(約2兆2750億円)を投じて工場を建設する。

同社は、最初の工場について、すぐさま計画に着手し、年内に建設を開始するという大まかなスケジュールを描いている。工場は2025年に稼働し、40年ぶりの新製造拠点となる予定だ。計画通りに進めば、このプロジェクトの敷地は1000エーカー(約4平方キロメートル)となる見込みで、最大で8つのチップ工場を建設できるほどの広さだ。

CEOのPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)氏はニュースリリースで「本日の投資は、米国が半導体製造のリーダーシップを回復するための取り組みをIntelが主導する、もう1つの重要な方法となります。Intelの取り組みは、より強靭なサプライチェーンの構築に役立ち、今後何年にもわたって高度な半導体への確実なアクセスを保証するものです。Intelは、世界の半導体産業を強化するために、最先端の機能と能力を米国に戻そうとしているのです」と述べた。

同社の発表によると、建設段階では7000人の雇用を創出し、稼働後は3000人を常時雇用する。バイデン政権下のホワイトハウスは、1月20日に発表した声明の中で、今回のニュースを「アメリカ経済の強さを示すもう1つのサイン」として宣伝している

オハイオ州リッキング郡に建設される2つの最先端Intelプロセッサー工場の初期計画を示す予想図。2022年1月21日に発表されたこの200億ドルのプロジェクトは、広さ約1000エーカーで、単一の民間投資としてはオハイオ州史上最大となる。2022年後半に着工し、2025年末に製造を開始する予定(画像クレジット:Intel)

ホワイトハウスはまた、機会に乗じて、新型コロナウイルス感染症によって世界的にサプライチェーンが逼迫する中で、国内の研究開発と製造の加速を目指す政策をアピールした。サプライチェーン逼迫は一部の人には政権の敗北として映っている。

「この進展を加速させるため、大統領は議会に対し、半導体を含む重要なサプライチェーンのための米国のR&Dおよび製造を強化する法案を可決するよう促しています」と政権は書いている。「上院は6月に米国イノベーション・競争法(USICA)を可決し、政権は上下両院と協力してこの法案を完成させているところです。この法案にはCHIPS for America Actへの全資金拠出が含まれており、民間部門の投資をさらに促進し、米国の技術面でのリーダーシップを継続させるために520億ドル(約5兆9110億円)を拠出します」。

両党はまた、米国でチップを製造することのセキュリティ上の利点を宣伝した。これは間違いなく、前政権の主要ターゲットとなったHuawei(ファーウェイ)などのメーカーに対する監視の強化にちなんだものだ。Intelは「オハイオ州の拠点はまた、米政府特有のセキュリティとインフラのニーズに対応する最先端のプロセス技術も提供します」と述べている。

今回のニュースは、IntelがSamsung(サムスン)などの企業との競争激化に対処する一方で、Apple(アップル)などの企業がファーストパーティーの設計を優先してIntel製チップの採用を取りやめることを選択した中でのものでもある。

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

スマホ出荷台数がサプライチェーン問題で伸び悩む中、アップルが1位に返り咲く

サプライチェーンの問題は、引き続きスマートフォンメーカー各社に大きな影響を与えていることが、アナリスト会社のCanalys(カナリス)が新たに発表した数字からわかった。2021年最終四半期の世界全体におけるスマートフォン出荷台数は、前年同期比でわずか1%の増加に留まっている。この数字は、部品供給をめぐる同様の問題から、全体で6%の減少を記録した同年第3四半期の報告に続くものだ。

Canalysは、オミクロン変異株の発生による新型コロナウイルス感染症の再燃をその要因と見ている。これによって多くの地域が、約2年前のウイルス感染流行初期を彷彿とさせる操業停止に陥っている。この影響は、新しいサプライヤーを見つけるのに最も苦労している市場の小さなメーカーが、最も大きく受けていることを、Canalysは指摘している。

「部品メーカーは辛うじて追加生産を行っていますが、大手チップメーカーが生産能力を大幅に向上させるには数年を要するでしょう」と、Canalysのモビリティ担当VPを務めるNicole Peng(ニコル・ペン)氏は、今回の発表に関連した声明の中で述べている。「スマートフォンブランドは、この状況を最大限に活用するため、すでに新しい取り組みを取り入れています。入手可能な素材に応じてデバイスの仕様を調整したり、ICの新しい供給源を確保するために新興のチップメーカーにアプローチしたり、ベストセラーモデルに製品ラインを集中させたり、新製品のリリース時期をずらしたりしています」。

画像クレジット:Canalys

より大規模な企業では、全体的に部品不足やボトルネックによる影響が少ない状態が続いている。当四半期には、Apple(アップル)が3四半期ぶりに世界市場の総合トップに返り咲いた。これはiPhone 13の成功と、世界最大のスマートフォン市場である中国本土での極めて堅調な業績によるものだ。

アップルの市場占有率は、前四半期の12%から23%に増加した。前四半期の落ち込みは、ここ数四半期に多くの地域で需要を満たすのが難しかったことにも一因がある。

「アップルのサプライチェーンは回復しつつありますが、それでも第4四半期には主要部品が不足して減産を余儀なくされ、需要に見合うだけのiPhoneを製造できませんでした」と、アナリストのSanyam Chaurasia(サンヤム・チャウラシア)氏は述べている。「優先順位の高い市場では適切な納期を維持していましたが、一部の市場では顧客が最新のiPhoneを手に入れるために待たなければなりませんでした」。

一方、Samsung(サムスン)は市場全体の23%から20%へ占有率を減らし、2位に順位を下げた。3位から5位は、中国メーカーのXiaomi(シャオミ)、Oppo(オッポ)、Vivo(ヴィーヴォ)が占めている。

画像クレジット:Apple event photo

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

規格外・余剰農産物の売却先をオンラインで農家とつなぎ食品ロスの削減を目指すFull Harvest

年間約40%の食料が廃棄されており、食料廃棄は世界で2兆6000億ドル(約294兆円)規模の問題になっている。Full Harvest(フルハーベスト)は、この問題は流通の問題であり、農産物のサプライチェーンをデジタル化することで解決できると考えている。

サンフランシスコに拠点を置く同社の農産物企業間取引市場は、農産物の買い手と売り手が、わずか数クリックで余剰または規格外の作物の取引を迅速に成立させる手段を提供する。農家にとっては新たな収入源となる。

創業者でCEOのChristine Moseley(クリスティン・モズレー)氏はTechCrunchに対し、生産者の大半はいまだにペンや紙、ファックスを使ってビジネスを行っていると語る。

「これは最も重要な産業の1つです。私たちはこの産業を自動化し、オンライン化することで、これまで解決されていなかったことを解決したかったのです」とモズレー氏は付け加えた。「例えば、売買には膨大な事務処理が必要ですが、オンボーディングプロセスを自動化することで、これまで数週間かかっていた作業が数分で済むようになります」。

そこでFull Harvestは、マッチングアルゴリズムや可視性を備えたスポットマーケットプレイスなど、バイヤーがサプライヤーの在庫を確認できる技術の開発に奔走した。また、第三者による監査・検証プロセスを構築し、一貫した仕様を提供することで、本来は救われるはずだが、廃棄されてしまう農産物の平均量を減らすことに成功した。拒否率は、業界平均10%に対し、同社は1〜2%だとモズレー氏はいう。

過去2年間で、Full Harvestの食品廃棄物削減効果は5倍になり、同社はこの勢いを維持するために追加資本を求めることになった。

同社は米国時間12月17日、シリーズBで2300万ドル(約26億円)の資金調達を発表した。Telus Venturesがこのラウンドをリードし、新規投資家からRethink Impact、Citi Impact、Doon Capital、Stardust Equity、Portfolia Food & AgTech Fund、および既存投資家からSpark Capital、Cultivian Sandbox、Astia Fund、Radicle Growthが参加した。今回の投資の一環として、Telusの投資ディレクターであるJay Crone(ジェイ・クローン)氏がFull Harvestの取締役に就任した。

Full Harvestを取材するのは久しぶりだ。TechCrunchは2016年、同社の旅が始まったときに紹介し、2017年に200万ドル(約2億2600万円)を調達した時に再び紹介した。2018年にはシリーズAで850万ドル(約9億6000万円)を追加で調達した。追加の資金調達をあわせると、現在の調達総額は3450万ドル(約39億円)だ。

同社は、Danone North America、SVZ、Tanimura & Antleなど、食品・飲料、加工業界や生産者業界のビッグネームと取引している。

「より持続可能なビジネスを構築することの重要性は、特に食品・飲料分野の企業にとって、かつてないほど明白になっています」とDanone North Americaのギリシャヨーグルト・機能性栄養食品担当副社長であるSurbhi Martin(スルビ・マーティン)氏は話した。「Full Harvestを通じてオンラインで農産物を調達し、通常であれば廃棄されてしまうような果物を当社の製品用に調達することで、より持続可能な食品を求める消費者の要望に応えています」。

Full Harvestのビジネスモデルは、同社のマーケットプレイスで行われるすべての取引の1%を取るというものだ。2020年から2021年にかけて、サプライチェーンに透明性を持たせた結果、売り上げは3倍になったとモズレー氏はいう。2018年当時、Full Harvestの従業員は約8人だったが、現在は35人にまで増えている。また、同社はカナダを含め地理的にも拡大した。

モズレー氏は、新しい資金で技術開発に投資する他、2022年には技術および製品チームの規模を3倍にし、北米での進出地域を引き続き拡大し、農産物の入手可能性、価格、仕様、持続可能性、品質、予測サポートなどのデータと市場インサイトの提供を進めるつもりだ。

食品廃棄物に取り組み、ベンチャーキャピタルから資金を調達しているのは、Full Harvestだけではない。2021年に限っても、企業から次のような発表があった。

このようにプロデュースの分野で技術革新を進めている企業もあるが、モズレー氏は、Full Harvestのユニークな点は、その専門性が持続可能な製品側にあることと、農産物サプライチェーンのデジタル化のリーダーとしての実績があることで、その両面で先行していると話す。

次は、物流技術に関する提携を確保し、さらなるスケールアップと提供可能なSKUの拡大を図る。

「これまで業界ではオフラインだったプロセスの自動化をある程度完了し、当社のテクノロジーとユーザーエクスペリエンスは大きく向上しました」とモズレー氏は付け加えた。

画像クレジット:Max / Unsplash

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

新興ブランドと小売業者を繋ぐPod Foodsが食料品のサプライチェーンを改革

Pod Foods(ポッドフーズ)は、消費者が求める新興の食品ブランドを小売店の棚に並べている企業間デジタル卸売市場だ。同社はそのサービスの開発を継続するため、シリーズAラウンドによる1000万ドル(約11億4000万円)と未発表のシードラウンドにおける300万ドル(約3億4000万円)、合わせて1300万ドル(約14億8000万円)の資金調達を行ったと、米国時間12月9日に発表した。

オースティンを拠点とする同社の創業者、Larissa Russell(ラリッサ・ラッセル)氏とFiona Lee(フィオナ・リー)氏については、2019年にMoment Ventures(モメント・ベンチャーズ)が主導し、M12も参加したラウンドで300万ドルを調達した際にTechCrunchでも紹介した。同社の技術は、データを活用したアプローチで、小売店がブランドから調達するプロセスを効率化するとともに、新進気鋭のブランドを含むより多様な商品と消費者を結びつけるものだ。

シードラウンド後、Pod Foodsはシカゴ、ニューヨーク、ロサンゼルスでサービスを開始。また、適切な商品を適切な小売店にマッチさせる在庫管理をより容易にするモバイルアプリも発表した。

その後、新型コロナウイルス感染流行が世界中を襲った。小売店では店頭の在庫を確保するために、Pod Foodsが注力しているニッチな新興ブランドの品が、有名ブランドに押されて店頭から消えていることに同社は気づいた。そこで同社は、ブランドの認知度を高めることに乗り出した。

「それは加速度を生み、私たちが変えようとしたすべてのことを増幅させました」と、ラッセル氏はTechCrunchの取材に語った。「私たちは2020年、ウイルス感染流行拡大の結果として生じた課題に取り組み、事業に邁進したのです」。

Industrious Ventures(インダストリアス・ベンチャーズ)が主導した今回のシリーズAでは、M12とMoment Venturesが再び参加した他、Unshackled Ventures(アンシャックルド・ベンチャーズ)、Barrel Ventures(バレル・ベンチャーズ)、Relish Works(レリッシュ・ワークス)、X Factor Ventures(Xファクター・ベンチャーズ)、XRC Labs(XRCラブズ)、K2 Global(K2グローバル)、Graphene Ventures(グラフェン・ベンチャーズ)などの投資家が参加。Pod Foodsが調達した資金の総額は1600万ドル(約18億2000万円)となった。

今回の投資は、Pod Foodsの成長軌道に沿ったものだとラッセル氏は述べている。同社はすでに7都市で展開しており、今後10都市に拡大する予定だ。ウイルス感染流行前のデータと比較すると、現在はブランドのリピート購入が20%増加しているという。

Pod FoodsはこのシリーズAで調達した資金を使って、2020年12月には33名だった従業員を58名に増員することができた。さらに同社は、Google(グーグル)、Amazon(アマゾン)、Walmart(ウォルマート)での経験を持つTimothy Wee(ティモシー・ウィー)氏という最高技術責任者も確保し、新しいサービスや製品を構築するためのデータにも投資していくと、リー氏は述べている。

デリバリーサービスは、より早く商品を届けて欲しいという消費者の期待を背景に、過去2年間で急速に成長し、小売業者が需要に追いつくのに苦労する原因となっている。その結果、Pod Foodsは2019年以降、売上高と顧客数の両方が前年比で3倍に増加したという。同社では、何が売れて何が売れないかというデータに基づき、小売業者がより早く商品をリセットできる状況が作れるように支援していると、ラッセル氏は述べている。

「私たちは適応する必要がありました」と、リー氏は付け加えた。「以前は買ったらそのまま食べられるような食品が売れていましたが、ウイルス感染流行の際には、冷凍食品や飲料などの商品が売れました。迅速に方向転換する必要がありましたが、私たちは小規模で機動力があるため、お客様の要望をすぐに伝え、ブランドを採用し、小売店の棚を確保することができました」。

Pod Foods 2021 from Blank Space Studio on Vimeo.

Pod Foodsは今後、太平洋岸北西部や、同社最大の市場であるニューヨークとシカゴの拠点周辺、さらにはフロリダでの事業拡大を計画している。

Industrious VenturesのパートナーであるChristian Gammill(クリスティアン・ガミル)氏は、Pod Foodsのアプローチについて「食料品のサプライチェーンを全面的に見直し、小売店とブランドの両方が繁栄できる真のエンド・ツー・エンドのシステムを構築するために必要な物流インフラを提供する初めての企業」であると述べている。

コマースがサプライチェーンの基調を決定づける中、Pod Foodsはデジタルを最優先し、データを活用したインテリジェントなオペレーションを構築することで、差し迫った変曲点を利用しようとしている。同社のような企業がデータプレーを正しく行うことができれば、顧客やブランドの助けになるだろうと、ガミル氏はいう。

「ラリッサとフィオナはすばらしい2人組で、互いに相性の良いスキルを持っています」と、ガミル氏は付け加えた。「この分野はあまり注目されていませんでしたが、他のサプライチェーンは多大な注目を集めています。だからこそ、私たちはこの分野に参入しようと思ったのです」。

画像クレジット:Pod Foods / Pod Foods co-founders Fiona Lee and Larissa Russell

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

新興ブランドと小売業者を繋ぐPod Foodsが食料品のサプライチェーンを改革

Pod Foods(ポッドフーズ)は、消費者が求める新興の食品ブランドを小売店の棚に並べている企業間デジタル卸売市場だ。同社はそのサービスの開発を継続するため、シリーズAラウンドによる1000万ドル(約11億4000万円)と未発表のシードラウンドにおける300万ドル(約3億4000万円)、合わせて1300万ドル(約14億8000万円)の資金調達を行ったと、米国時間12月9日に発表した。

オースティンを拠点とする同社の創業者、Larissa Russell(ラリッサ・ラッセル)氏とFiona Lee(フィオナ・リー)氏については、2019年にMoment Ventures(モメント・ベンチャーズ)が主導し、M12も参加したラウンドで300万ドルを調達した際にTechCrunchでも紹介した。同社の技術は、データを活用したアプローチで、小売店がブランドから調達するプロセスを効率化するとともに、新進気鋭のブランドを含むより多様な商品と消費者を結びつけるものだ。

シードラウンド後、Pod Foodsはシカゴ、ニューヨーク、ロサンゼルスでサービスを開始。また、適切な商品を適切な小売店にマッチさせる在庫管理をより容易にするモバイルアプリも発表した。

その後、新型コロナウイルス感染流行が世界中を襲った。小売店では店頭の在庫を確保するために、Pod Foodsが注力しているニッチな新興ブランドの品が、有名ブランドに押されて店頭から消えていることに同社は気づいた。そこで同社は、ブランドの認知度を高めることに乗り出した。

「それは加速度を生み、私たちが変えようとしたすべてのことを増幅させました」と、ラッセル氏はTechCrunchの取材に語った。「私たちは2020年、ウイルス感染流行拡大の結果として生じた課題に取り組み、事業に邁進したのです」。

Industrious Ventures(インダストリアス・ベンチャーズ)が主導した今回のシリーズAでは、M12とMoment Venturesが再び参加した他、Unshackled Ventures(アンシャックルド・ベンチャーズ)、Barrel Ventures(バレル・ベンチャーズ)、Relish Works(レリッシュ・ワークス)、X Factor Ventures(Xファクター・ベンチャーズ)、XRC Labs(XRCラブズ)、K2 Global(K2グローバル)、Graphene Ventures(グラフェン・ベンチャーズ)などの投資家が参加。Pod Foodsが調達した資金の総額は1600万ドル(約18億2000万円)となった。

今回の投資は、Pod Foodsの成長軌道に沿ったものだとラッセル氏は述べている。同社はすでに7都市で展開しており、今後10都市に拡大する予定だ。ウイルス感染流行前のデータと比較すると、現在はブランドのリピート購入が20%増加しているという。

Pod FoodsはこのシリーズAで調達した資金を使って、2020年12月には33名だった従業員を58名に増員することができた。さらに同社は、Google(グーグル)、Amazon(アマゾン)、Walmart(ウォルマート)での経験を持つTimothy Wee(ティモシー・ウィー)氏という最高技術責任者も確保し、新しいサービスや製品を構築するためのデータにも投資していくと、リー氏は述べている。

デリバリーサービスは、より早く商品を届けて欲しいという消費者の期待を背景に、過去2年間で急速に成長し、小売業者が需要に追いつくのに苦労する原因となっている。その結果、Pod Foodsは2019年以降、売上高と顧客数の両方が前年比で3倍に増加したという。同社では、何が売れて何が売れないかというデータに基づき、小売業者がより早く商品をリセットできる状況が作れるように支援していると、ラッセル氏は述べている。

「私たちは適応する必要がありました」と、リー氏は付け加えた。「以前は買ったらそのまま食べられるような食品が売れていましたが、ウイルス感染流行の際には、冷凍食品や飲料などの商品が売れました。迅速に方向転換する必要がありましたが、私たちは小規模で機動力があるため、お客様の要望をすぐに伝え、ブランドを採用し、小売店の棚を確保することができました」。

Pod Foods 2021 from Blank Space Studio on Vimeo.

Pod Foodsは今後、太平洋岸北西部や、同社最大の市場であるニューヨークとシカゴの拠点周辺、さらにはフロリダでの事業拡大を計画している。

Industrious VenturesのパートナーであるChristian Gammill(クリスティアン・ガミル)氏は、Pod Foodsのアプローチについて「食料品のサプライチェーンを全面的に見直し、小売店とブランドの両方が繁栄できる真のエンド・ツー・エンドのシステムを構築するために必要な物流インフラを提供する初めての企業」であると述べている。

コマースがサプライチェーンの基調を決定づける中、Pod Foodsはデジタルを最優先し、データを活用したインテリジェントなオペレーションを構築することで、差し迫った変曲点を利用しようとしている。同社のような企業がデータプレーを正しく行うことができれば、顧客やブランドの助けになるだろうと、ガミル氏はいう。

「ラリッサとフィオナはすばらしい2人組で、互いに相性の良いスキルを持っています」と、ガミル氏は付け加えた。「この分野はあまり注目されていませんでしたが、他のサプライチェーンは多大な注目を集めています。だからこそ、私たちはこの分野に参入しようと思ったのです」。

画像クレジット:Pod Foods / Pod Foods co-founders Fiona Lee and Larissa Russell

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

データ活用支援のDATAFLUCTが2.5億円の資金調達、マルチモーダルデータプラットフォーム開発を強化

画像や動画、音声、文書などの異なる様式のデータを統合的に処理する「マルチモーダルデータ」の活用サービスを提供するDATAFLUCT(データフラクト)は11月22日、日本政策金融公庫の融資により2億5000万円を資金調達したことを発表。今回の資金調達は、「新株予約権付融資制度」を活用した融資により実施した。同制度は、新たな事業に取り組み株式公開を目指すベンチャー企業を対象に、融資と同時に日本政策金融公庫が新株予約権を取得することで無担保で資金を供給するというもの。これによりDATAFLUCTの資本性および負債性資金の累計調達金額は6億9000万円となった。

DATAFLUCTは2019年の創業以来、「データを商いに」というビジョンのもと、社会課題の解決を軸に各業界に特化したデータサイエンスサービスを展開。11月時点で公開したサービス数は20を超える。スタートアップの活躍が期待されるESGやSDGsの視点からも新たな課題に取り組み、7月には「脱炭素」を事業機会に変えるアイデアとして、決済データから消費のカーボンフットプリントを可視化するサービスを公開し、事業化に向けた取り組みを進めている。

企業の9割以上の企業がDXに着手できていないという現状の中(経済産業省「DXレポート2(中間取りまとめ)」)、DATAFLUCTは多数の大手企業のDXを支援してきた。今回調達した資金は、マルチモーダルデータプラットフォームサービスを中心とした新規サービス開発および既存サービスの強化、マーケティング強化にあてられる。構造化・非構造化を問わず、あらゆる種類のデータをつなげて資産化し、ノーコード、エンドツーエンドで活用できる環境を提供する「マルチモーダルデータプラットフォーム構想」の実現に向け、新規サービスの投入および既存サービスの強化に順次取り組む予定。

11月下旬には、ノーコードのエンドツーエンド機械学習プラットフォーム(マルチクラウドAutoML)「DATAFLUCT cloud terminal.」をリニューアル。12月中旬には新規サービスとして、社内に散在するデータや外部のオープンデータの集約のほか、非構造化データの構造化などの前処理をAI技術で実行しカタログ化するデータレイク/データウェアハウス「AirLake」(エアーレイク)を提供開始する予定。データ活用支援のDATAFLUCTが2.5億円の資金調達、マルチモーダルデータプラットフォーム開発を強化

今後も、SCM(サプライチェーンマネジメント)のための需要予測プラットフォームサービスやノーコード対話型BIプラットフォームサービスを投入し、オールインワンでソリューションを提供するため事業の強化を目指す。これまでに分析の材料とされていなかったデータを利用したり、データ同士を新たに組み合わせられる環境を提供することで、これまでにない洞察を獲得できる「データの資産化」を推進するサービスを継続的に開発し、専門知識や技術の有無にかかわらず利用できるUI/UXの採用によってデータ活用人材の拡張を図りたいという。

CO2排出量算出・可視化クラウドのゼロボードが三菱UFJ銀行と協業、金融機関向けCO2データインフラ機能拡充など目指す

CO2排出量算出・可視化クラウドサービス「zeroboard」を開発・提供するゼロボードは11月5日、カーボンニュートラルの実現に向け、三菱UFJ銀行との協業について基本合意したことを発表した。三菱UFJ銀行の持つネットワークや総合金融グループとしての知見と、ゼロボードのクラウドサービスや辰炭素経営に関するノウハウをかけ合わせ、企業の脱炭素経営を後押しするソリューションを提供する。

具体的には、以下のような取り組みを進める。

  • 三菱UFJ銀行の顧客企業へzeroboardの提供
  • zeroboardのCO2排出量データ・サプライチェーンデータに基づく三菱UFJ銀行による金融ソリューションの開発・検討
  • 金融機関含めその他事業者までも含めたオープンかつインクルーシブ(包括的)なパートナシップの発展およびソリューションプラットフォームの共同開発・提供
  • アジアを中心としたグローバル製造業サプライチェーンのCO2排出量可視化・削減支援
  • CO2排出量以外の社会インパクト評価手法・可視化手段、ソリューション提供分野での初期検討

zeroboardは、企業活動により排出されたCO2量を算出したうえで、温室効果ガス(GreenHouse Gas)の排出量の算定と報告に関する国際基準「GHGプロトコル」における対象範囲区分(Scope1~3)を可視化できるクラウドサービス。Scope1は「自社の事業活動における直接的なCO2排出」、Scope2が「他社から供給された電気、熱・蒸気の使用により発生する間接的なCO2排出」。またScope3は「上記以外の事業活動に関わるサプライチェーンのCO2排出」を示す。

zeroboardでは、「サプライチェーンでの排出量や商品ごとのCO2排出量の算出」「CO2排出量の削減管理やコスト対効果のシミュレーション機能」「TCFDなどの国際的な開示形式に加え、国内既存環境法令にも対応するアウトプット」「専門的な知識を必要としないユーザーフレンドリーな操作性」などの機能を備えているという。

マイクロソフトが、サプライチェーンと製造業を近代化する新ツールを発表

新型コロナウイルス感染流行は、原材料の欠如や労働力の不足など、様々な理由で世界のサプライチェーンに大打撃を与えた。問題は依然として続いており、Microsoft(マイクロソフト)はサプライチェーンと製造業の近代化に、多大なリソースを投入することを決定した。

これらの問題に対処するために、同社は「Microsoft Cloud for Manufacturing(マイクロソフト・クラウド・フォー・マニュファクチャリング)」と呼ばれる新しい製造業向けソリューションと、「Dynamics 365 Supply Chain Insights(ダイナミクス365サプライチェーン・インサイト)」という、サプライチェーンのルート上で起こっていることをより可視化し、問題が発生したときに対処するためのインテリジェンスを提供するためのツールを発表した。米国時間11月2日に開催された「Microsoft Ignite(マイクロソフト・イグナイト)」で発表された両製品は、同日よりプレビュー版が提供されている。

マイクロソフトの製造・サプライチェーン担当VPを務めるCaglayan Arkan(カグラヤン・アルカン)氏によれば、同社はこれらの問題を企業が解決するのに役立つ方法を考えるのと同時に、製造業にとって課題となっている、よりデジタルに注力した企業への進化を支援する方法を考えてきたと述べている。

アルカン氏によると、この事態を調査したマイクロソフトは、新型コロナウイルスの圧力に直面した際に、持ち堪えることができない脆弱なシステムを目の当たりにしたという。「製造業やサプライチェーンは非常に確固とした状態にあり、非常に引き締まっています。おそらく引き締まり過ぎているのです。これらの業界では、非常に長いサイクルと手動でサイロ化されたデータの状態に大変満足してきました」。

新型コロナウイルス感染流行が起こるまで、製造業は何年もこの方法で仕事をしてきており、変える理由がなかったのだと、アルカン氏は付け加えた。「(新型コロナウイルス流行によって)すべてが止まりました。従業員を現場に送ることができなくなり、物資もそこにはありませんでした。サプライヤーの顔を見ることもできず、商品がどこにあるのかもわからず、大きな混乱に陥りました」と、アルカン氏は説明する。

マイクロソフトの製造業向けクラウドは、工場のデジタル化を支援し、従来の記録システムからアルカン氏の言う「現実のシステム」へ移行することによって、完全なデジタル化への道筋を提供する。

つまり、製造企業は、市場でどんな需要があるか、現場で何が生産されているか、世界で何が供給されているかをリンクさせて、全体像を把握できるようになる必要があり、それによって新型コロナウイルス流行の初期にトイレットペーパーやPPE(個人防護具)の需要が急増したときのような、不意打ちをくらわないようにすることができるということだ。

Cloud for Manufacturingは、このような徴候を収集し、追加の供給が必要になった場合には製造業者に警告を発するように設計されている。そしてSupply Chain Insightsツールは、サプライチェーンのルートをマッピングし、ボトルネックが発生する前に、主要な原材料の供給に影響を与える可能性のある問題を根絶するように設計されている。これらのツールを組み合わせることで、製造企業は俊敏性と柔軟性を向上させることができる。

Microsoft Dynamics 365 Supply Chain Insights 画像クレジット:Microsoft

マイクロソフトは、これまで非常にゆっくりと近代化を進めてきたこの種の企業が、既存のシステムを引き剥がして取り替えたり、大規模なプロジェクトを抱えたりすることは望んでいないと理解している。アーカン氏が言うように、まずは1つのプロジェクトを成功させてから、次のプロジェクトに移る必要があり、アーカン氏によれば、このソリューションはそれができるように設計されているという。

しかも、それぞれのプロジェクトは互いに積み重なり、節約とイノベーションによって、次のプロジェクトの資金源になると、アーカン氏は言う。「デジタルトランスフォーメーションにおけるすべてのステップ、当社とのすべてのエンゲージメントは、次のプロジェクトに資金を追加するための経済的余裕を生み出します。なぜなら、当社のソリューションは、8~12週間のうちに、総収入や生産能力を増やしたり、コスト削減や品質向上をもたらすからです」と、アーカン氏は述べている。

これは大胆な約束ではあるが、もしマイクロソフトが本当にそれを実現できるなら、伝統的にこのような大きな変化を拒んできた企業にも、モダナイゼーションへの快適な道が開かれることになる。

マイクロソフトをはじめ、SAPやSalesforce(セールスフォース)などの大企業がこれらの本質的な問題を解決できれば、今日見られるようなサプライチェーンの問題が緩和される可能性がある。ソフトウェアだけでは、不足している原材料を魔法のように生産したり、物資の製造や配送のために十分な人員を雇用したりすることはできないが、将来におけるこのような危機を緩和するために役立つソリューションの一部となることはできる。

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画像クレジット:xPACIFICA / Getty Images
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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

需要に対する工場の対応力向上のため金属加工の製造サプライチェーン見直すFractory

新型コロナウイルスのパンデミックで甚大な被害を受けた製造業界。しかし最近、その活気を取り戻す兆しがいくつか見えてきた。その1つは、変動する経済やウイルスの感染拡大など不安定な要素によって需要が上下するなか、需要に対する工場の対応力を高めるべく、新たに取り組みが進められている点だ。柔軟なカスタム製造で新たに頭角を現しつつあるスタートアップ企業のFractory(フラクトリー)は、2021年9月初旬、シリーズAで900万ドル(約9億8900万円)の資金調達をしたことを発表し、その傾向を改めて際立たせる結果となった。

この資金調達は、初期成長やポストプロダクション、ハイテクのスタートアップなどに注力する欧州の投資会社、OTB Ventures(OTBベンチャーズ)主導で進められた他、既存の投資会社であるTrind Ventures(トリンド・ベンチャーズ)Superhero Capital(スーパーヒーロー・キャピタル)United Angels VC(ユナイテッド・エンジェルズVC)Startup Wise Guys(スタートアップ・ワイズ・ガイズ)、そしてVerve Ventures(ヴェルヴェ・ベンチャーズ)もこの調達に参加した。

Fractoryはエストニアで設立され、現在は英国・マンチェスターを拠点とする会社だ。従来、国内の製造業向けの強力なハブとして存在し、顧客と緊密な協力体制を築いてきた。そのFractoryが、カスタムの金属加工品を必要とする顧客がより簡単にアップロードや発注ができるよう、そして工場側もそれらのリクエストに応じて新規の顧客や仕事を獲得できるように、プラットフォームを構築したのだ。

FractoryのシリーズAは、当社のテクノロジーを引き続き展開し、さらに多くのパートナーをエコシステムに取り込む目的で用いられる。

現在までに、Fractoryは2万4000人もの顧客を獲得し、何百もの製造業者や金属関連会社と連携してきた。合計すると、250万個以上もの金属部品の製造を支援してきたことになる。

ここで整理しておくと、Fractory自体は製造業者ではなく、同社にはそのプロセスに参入する計画もない。業種はエンタープライズ向けソフトウェアであり、製造(現在は金属加工)を担当できる会社向けにマーケットプレイスを提供し、金属加工品を必要とする会社とやり取りしている。インテリジェントなツールを活用して必要な加工品を特定し、該当の加工品を製造できる専門の製造業者にその潜在的な仕事を紹介するというわけだ。

Fractoryが解決しようとしている課題は、多くの業界のそれと同じである。さまざまな供給や需要が発生し、変動が多く、一般的に仕事の調達方法が非効率なケースだ。

Fractoryの創設者兼CEOのMartin Vares(マーティン・ヴァレス)氏は、筆者に対し、金属部品を必要とする企業は1つの工場を得意客にする傾向があるようだと話す。だが、これはつまり、その工場が仕事に対応できない場合は企業が自力で他の工場を探さないといけないということだ。時間がかかるうえ、費用も重なるプロセスとなる。

「製造業は非常に断片化した市場で、製品の製造方法も幅広くあるため、その2つの要素が複雑に絡まり合っているんです」ヴァレス氏は続ける。「昔は、何かをアウトソーシングするには何通ものメールを複数の工場に送る必要がありました。とはいえ、30社ものサプライヤーに個別に送ることは到底できません。そこで、ワンストップのショップを立ち上げたのです」。

一方で、工場はダウンタイムを最小化するため、仕事の工程を改善できないか常に模索している。工場としては、仕事がない時間帯に作業員を雇ったり、稼働していない機械のコストを払ったりする事態を避けたいのだ。

「アップタイムの平均キャパシティは50%ですね」とヴァレス氏は、Fractoryのプラットフォームにおける金属加工施設(さらには業界全般の施設)についてこのように述べている。「使用中の機械よりも、待機中の機械の方がずっと多いんです。そこで、余剰キャパシティの問題を何としても解決し、市場の機能性を高めて無駄を削減したいと考えています。工場の効率性を高めること、これが持続可能性にもつながるのです」。

Fractoryのアプローチは、顧客をプロセスに取り込むスタイルだ。現在、これらの顧客は一般的に建築業界をはじめ、造船、航空宇宙、自動車といった重機産業に多く存在し、これらの顧客に、必要な製品を規定したCADファイルをアップロードしてもらっている。これらのファイルは製造業者が集まるネットワークに送信され、そこで仕事の入札と引き受けが行われる。フリーランス向けマーケットプレイスの製造業版といったようなものだ。その後、これらの仕事のうちおよそ30%は完全に自動で進められ、残りの70%については、仕事の見積書や製造過程、配達などのアプローチに関してFractoryが関与する形で顧客にアドバイスを行っている。ヴァレス氏によると、今後はさらにテクノロジーを搭載し、自動化できる割合を増やしていくとのことだ。RPAへの投資を拡大するだけでなく、顧客の希望や最適な実行方法をより良く把握するためのコンピュータビジョンについても投資を拡大する。

現在、Fractoryのプラットフォームは、CNC加工などの仕事を含め、レーザー切断サービスや金属の曲げ加工のサービスについて発注の支援を行っている。次の目標は、産業向けの3D印刷に対応することだ。石細工やチップ製造など、他の素材についても検討を進める。

「製造業は、ある意味では最新化がいつまでたっても進まない業界ですが、それも驚くことではありません。設備が重く、コストも高いため「壊れるまで修理はするな(触らぬ神に祟りなし)」というモットーは通常この業界では通用しないからです。そのため、せめて従来からある設備をより効率的に運用しようと、よりインテリジェントなソフトウェアを構築している企業が、ある程度基盤を固めることができているのです。米国で生まれた大手企業のXometry(ゾメトリー)は、同じくカスタム部品を必要とする企業と製造業者の架け橋を築いた企業ですが、そのXometryは2021年初めに株式を公開し、今では時価総額が30億ドル(約3,292億円)以上にのぼっています。他にも、Hubs(ハブズ)(現在はProtolabsによって買収)やQimtek(キムテック)などが競合として存在します」。

Fractoryが売り込んでいるセールスポイントは、一般的に顧客の地域に根差した製造業者を重視することで、仕事における流通の側面を低減させ、炭素排出量を抑えられるよう取り組んでいる点だ。ただし、会社の成長に応じて当社がこのコミットメントに遵守しつづけるのかどうか、そうであればどのようにそれを実現するのかは今後に注目だ。

現在のところ、投資会社はFractoryのアプローチとその急速な成長を証拠に、これからも業界に影響を及ぼすだろうと見込んでいる。

「Fractoryは、他の製造環境では見られないエンタープライズ向けのソフトウェアプラットフォームを生み出しました。急速に顧客を獲得している事実から、Fractoryが製造サプライチェーンにもたらす価値は明らかに実証されています。これは、イノベーション対応できるエコシステムを自動化し、デジタル化するテクノロジーです」Marcin Hejka(マルチン・ヘイカ)氏は声明でこのように述べている。「私たちはすばらしい製品と才能あふれるソフトウェアエンジニアのみなさんに投資しました。彼らは、製品開発に全力を注ぎ、圧倒的なスピードで国際的に成長しつづけています」。

画像クレジット:Fractory

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

第3四半期のクラウドインフラ市場は年20兆円規模に、チップ不足でも減速せず

Amazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)のクラウドインフラベンダーのビッグ3が決算を発表した。お察しのとおり、業績は好調で、成長する市場は全世界で450億ドル(約5兆1300億円)を突破した。年換算で1800億ドル(約20兆5200億円)と、気が遠くなるような金額だ。過去12カ月の売上高は1640億ドル(約18兆6960億円)に達した。Synergy Researchによれば、当四半期の売上高は全体で37%増加した。

問題は、これらのベンダーが、スマートフォンからコンピュータまで、テクノロジーのサプライチェーン全体に影響を及ぼしているチップ不足に先手を打てるかどうかだ。

まずは、今期の市場シェアの70%を占めるトップ3のベンダーから見てみよう。Amazonは今回も市場をリードした。シェアは33%とここ数年安定しており、売上高成長率は39%と前四半期比では2%増加、前年同期比では10%増加し、目覚ましい成長を遂げた。

Amazonの売上高は161億ドル(約1兆8354億円)で、前年同期の116億ドル(約1兆3224億円)から増加した。少し計算してみれば、この数字が450億ドル(約5兆1300億円)の3分の1ではないことはわかるだろう。Synergy Researchは、インフラ、プラットフォームサービス、ホステッドプライベートクラウドの金額を集計しており、コンサルティングやハードウェアなど、純粋にクラウドインフラのカテゴリに属さない売上高を除いているためだ。

Microsoftがクラウドインフラ市場全体の把握をさらに難しくする。Synergy Researchのデータに基づいて計算すると、Azureインフラからの売上高は90億ドル(約1兆260億円)となり、前四半期の84億ドル(約9576億円)から増加した。同社によると、Azureおよびその他のクラウドサービスは50%成長した。前四半期の51%成長からわずかに減速した。前年同期比では2%増加した。

最後にGoogleだが、シェアは10%と安定しており、売上高は45億ドル(約5130億円)で前四半期の42億ドル(約4788億円)、前年同期の29億ドル(約3306億円)のいずれからも増加となった。Googleはクラウドインフラ市場で着実な進歩を続けている。

Canalysは、全体の売上高を494億ドル(約5兆6316億円)とさらに大きく見積もっており、年換算で2000億ドル(約22兆4000億円)近くになるとしている。成長率は少し低い35%を見込む。また、ビッグ3の市場シェアも若干異なり、Amazonが32%、Microsoftが21%、Googleが8%と見積もる。

どの数字を使うにせよ、いまだ高成長を続ける重要な市場だが、チップ不足により来年の成長が鈍化する可能性があるとCanalysは警告する。「全体的なコンピュート需要はチップ製造能力を上回っており、クラウドサービスプロバイダーによるインフラの拡張は制限される可能性があります」とCanalysのBlake Murray(ブレイク・マレー)氏は声明で述べた。

サプライチェーンの制約は、企業自身やアナリストらが決算説明会で気にしていたことでもある。MicrosoftのCFOであるAmy Hood(アミー・フッド)氏は、Goldman Sachs(ゴールドマンサックス)のアナリストであるKash Rangan(カッシュ・ランガン)氏から、サプライチェーンの問題がデータセンターの拡張に与える影響について具体的に質問され、次のように答えた

「第二に、サプライチェーンの影響、特にデータセンターに関する良い質問をいただきました。今期の支出を踏まえると、次へのガイダンスも似たようなものになると思います。カッシュ氏がいうことの多くは、リードタイムの長いものであると考えています。私たちは、観測したキャパシティのシグナルを満たすために必要なリードタイムをよく理解しています。複数のサプライヤーを利用することは、こうした状況に対応するために重要です。チームは非常に良い仕事をしたと感じています」とフッド氏は決算説明で語った。

Synergy ResearchのチーフアナリストであるJohn Dinsdale(ジョン・ディンスデール)氏は、これらの大手ベンダーが、チップ市場全体を覆う問題を横目に、その影響力により必要なものを入手できる可能性が高いと述べた。「これらの企業は、サプライチェーンの管理に長けており、巨大な顧客でもあるため、サプライヤーから優遇措置を受けられると考えるのが妥当だと思います」と同氏は話した。

「また、彼らが調整できる点がいくつかあります。建設とリースの意思決定、サーバーの寿命の若干の延長、ワークロードの異なる地域への切り替えなどです。今では、巨大で地理的に分散したデータセンターネットワークを持っているため、必要なものを手に入れる余裕が多くあります」と同氏は語る。

チップ市場の動向を注視しているMoor Insights and Strategiesの主席アナリストであるPatrick Moorhead(パトリック・ムーアヘッド)氏も、コストが上昇したとしてもハイパースケーラーはおそらく供給を受けることになると話す。

「今はまだその段階ではないと思います。不足がさらにひどくなればそうなるでしょうが、近々そうなるとは考えていません。チップメーカーは利益率の高いデータセンターを優先するため、コンシューマー向けのPCやスマートフォンよりも優先されるのです」とムーアヘッド氏は話した。

供給の問題がデータセンターの成長に短期的な影響を与えたとしても、長期的にはこの市場を減速させることはないようだ。企業はより多くのワークロードをクラウドに移行しようと準備しているため、成長は確実と思われるが、サプライチェーンの影響の有無については次の四半期にわかるだろう。

画像クレジット:Chris Clor / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

透明性が高く持続可能なサプライチェーンを作るためにPortcastが約3.5億円調達

Portcastの創業者であるシャ・リンシャオ博士とニディ・グプタ氏(画像クレジット:Portcast)

多くの製造業者や運送業者にとって、物流管理は未だに手作業ばかりのプロセスである。電話やオンライン照会での出荷追跡に、エクセルのスプレッドシートへのデータ入力。自社を「次世代の物流運営システム」と称するPortcast(ポートキャスト)は、無数の情報源からデータを集め、リアルタイムで出荷物を追跡するだけでなく大きな天候の変化、潮流やパンデック関連の問題など何がその進行に影響を与えるか予測することにより、プロセスを効率化する。

同社は2021年9月上旬、Imperial Venture Fund(インペリアル・ベンチャー・ファンド)を通じたNewtown Partners(ニュートン・パートナーズ)率いるプレシリーズA 資金調達で320万ドル(約3億5000万円)を集めたと発表した。参加したのはWavemaker Partners(ウェーブメーカー・パートナーズ)、TMV、Innoport(イノポート)、SGInnovate(SGイノベート)。シンガポールに拠点を置くPortcastは、アジアとヨーロッパの顧客にサービスを提供し、調達資金の一部はさらなる市場への拡大に充てる。

共同創設者のNidhi Gupta(ニディ・グプタ)とLingxiao Xia(シャ・リンシャオ)博士は、シンガポールのEntrepreneur First(アントレプレナー・ファースト)で出会った。Portcastを立ち上げる前、最高経営責任者  のグプタ氏はDHLのアジア全域でリーダー職に就いてきた。その間に、彼女は物流部門の「非効率は実際にはこの分野において何かを作り出す機会である」ことに気づいた。機械学習の博士号を持ち、製品開発とクラウドコンピューティングの背景を有するシャ博士は「すばらしく補完的に合っていた」ことから、現在Portcastの最高技術責任者を務めている。

Portcastは、外洋貨物船を使用した世界の取引額の90%以上、航空貨物の35%を追跡し、3万本の通商路への需要を予測できるという。情報源は船の場所、進行速度と方向、向かっている港、風速、波高を示す衛星データなどの地理空間データなどがある。また、Portcastは経済様式(例えば、Brexit(ブレグジット)の英国中の港への影響、世界中のワクチン接種の開始により航空機や船の定員がどれくらい変わるか)、台風など気象事項、スエズ運河が航路をふさいだ時のような混乱にも目を向ける。

他には大規模な船会社や運送業者を含む顧客の独占的な取引データなどのデータ源がある。

「私達の挑戦は、いかにこのすべてのデータに同じ言語をしゃべらせるかです」。グプタ氏はTechCrunchに話した。「このデータはさまざまな頻度、詳細度で入ってくるため、いかにそれを組み合わせて機械がそれを理解、解釈し始めるようにするか」。

Portcastの主な解決策は、現在リアルタイムで輸送コンテナを追跡するIntelligent Container Visibility(インテリジェント・コンテナ・ビジビリティ)と、予約形態を追跡するForecasting and Demand Management(フォーキャスティング・アンド・デマンド・マネジメント)の2つである。Portcastはコンテナの追跡にIoTを利用しない。1つ1つに装置を取り付けると桁違いの費用がかかるからである。しかしハイブリッドな解決策のためにIoTプロバイダと連携している。例えば、追跡装置を1つのコンテナに設置し、その後そのデータを使用して残りの出荷物の管理に役立てているのである。

このスタートアップ企業の目標は、企業が運営効率を向上させるのに役立つ予測を行い、手作業のプロセスへの依存を減らすことである。「毎週何百個もの貨物が到着する物流業者がいます。そこでは毎日手作業でそれを確認しているのです。情報はエクセルシートに入力され、それに基づいて下流業務の計画を立てます」。と、グプタ氏はいう。

しかし新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックは「緊急のデジタル化ニーズ」を生み出し「それはサプライチェーンを費用関数から時間通りに製品を入手することの中核へと形を変えました。そのため私達はいくつかの大規模な製造業者や運送業者と連携しています」。と、彼女は付け加えた。例えば、ヨーロッパのある食品および飲料会社は台北に輸送したが、通常は輸送に70日かかる。しかし到着まで3カ月以上もかかった。Portcastはさまざまな港や船を渡り歩く積荷を追跡し、顧客が遅延の原因を理解するのを助けた。

「中断が起きそうな時を予測するだけでなく、ピンポイントで、台風や積み替えが発生しそうだからX日遅れると伝えます。そうすればトラックや倉庫チームに何台のコンテナが到着するか知らせられるため力になれるのです」。と、グプタ氏はいう。「これにより港費、コンテナの延滞料金、手作業でさまざまな会社のウェブサイトを確認しサプライチェーンに何が起こったかを見つけ出そうとするのに要する時間を削減することができます」。

Portcastがサプライチェーンの可視性を正したい他の物流テックスタートアップ企業より勝る点は、船が通常複数の港を通り、熱帯暴風雨や台風などの気象事象を頻繁に回避しなければならないアジア太平洋地域で発売したことにある。シンガポールとマレーシア間(例えば)の航海を短くするためにPortcastが開発した技術は、アジアとヨーロッパ、またはアジアと米国などを結ぶ大陸間航路にも適用される。

「当社の技術は世界規模で、この市場の他のプレイヤーとの競争力を持ちます」。とグプタ氏は語った。「他に当社を差別化しているのは、製造業者とだけでなく、船会社、物流会社、貨物航空会社とも提携し、それによりネットワーク効果を作り出している点です。海上運送と航空運送で起きていることは非常に強い相乗効果があり、それを基に私達はその業界の型を理解することができ、当社のプラットフォームに移ってくる他社のためのレバレッジを生んでいる。

Portcastには予測型AIから処方型AIを含むよう移行する計画がある。現在、このプラットフォームは企業に遅延の原因を伝えることができているが、処方型AIは自動提案を行うこともできる。例えば、顧客にどの港が速いか、中断を回避するのに役立つ他の船や輸送方法、どうやって対応量を最適化するかを伝えることができる。

また、同社は年末までにOrder Visiblity(オーダー・ビジビリティ)を発売することも計画している。これは特定の品目を入れたコンテナを追跡する機能である。疲弊したサプライチェーンにより多くのさまざまな製品の消費者価格は上昇している。企業が特定のSKUをリアルタイムで追跡できるようにすることで、Portcastは物がもっと早く届くのを助けるだけでなく、各輸送で排出されるCO2量も可視化させることができる。

「カーボンオフセットやカーボントレードは、自分が実際にいくら支出しているか可視化できる場合にのみ生じます。そこに私達は関与することができます」とグプタ氏はいう。「例えば、早く到着すれば、船会社が船を減速させバンカー重油のような燃料費用を節約する機会となり、膨大な費用節約となるだけでなく、CO2排出量も削減することになります」。

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(文:Catherine Shu、翻訳:Dragonfly)

半導体不足でラズパイが初の値上げ、Raspberry Pi 4の2ギガモデルを2020年の値下げ前価格に戻し1GBモデル復活

半導体不足でラズパイが初の値上げ、Raspberry Pi 4の2ギガモデルを2020年の値下げ前価格に戻し1GBモデル復活

シングルボードコンピュータ Raspberry Pi が、創業以来初めての値上げを告知しました。理由は世界的に深刻な状況が続く半導体不足のため。

来年2022年も長い期間にわたってサプライチェーン上の課題が続くと予測されること、製造数は昨年と同じ700万個を維持できるものの需要は高まっていることなどから、ラズベリーパイに依存する既存顧客への影響を最小化するため、

  • Raspberry Pi 4(2GB RAMモデル)を35ドル(約3988円)から45ドル(約5127円)へ一時的に値上げ。昨年2月に実施した値下げ前の価格へ。
  • ディスコンになっていたRaspberry Pi 4 (1GB RAMモデル)を復活、35ドルで販売。

の二つの対応を発表しています。ラズベリーパイによればこれはあくまで一時的な措置であり、今後の状況に応じて見直す予定。

また産業用途などにラズベリーパイを利用する既存顧客に対して、他の製品で代替しやすいモデルは今後の製造の優先度を下げ、代えが効きにくいモデルを優先するなど、対応の方針もあわせて告知しています。

4K動画対応のRaspberry Pi 4発売。4コア1.5GHzプロセッサ搭載、USB 3.0、RAM1GB~4GB – (2019年)

Supply chain, shortages, and our first-ever price increase

Engadget日本版より転載)

ソフトバンクも支援するFlock Freightが運送・貨物業界で新たなユニコーンに

新型コロナウイルスの影響による混乱などが、サプライチェーンのボトルネック問題を浮き彫りにしたこともあり、国際的な運送・貨物業界はかつてないほどの注目を集めている。トラック輸送の物流企業であるFlock Freight(フロック・フレイト)は、世界的なサプライチェーンの危機を解決することはできないが、商品をより早く、より無駄を減らして目的地に届けることには貢献できるはずだ。

同社はシリーズC資金調達を終えてから1年も経たないうちに、SoftBank Vision Fund 2(ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)が主導するシリーズD投資ラウンドで2億1500万ドル(約245億円)を調達し、10億ドル(約1140億円)を超える評価額を得て、業界で最も新しいユニコーンとなった。

Flock Freightは「FlockDirect(フロックダイレクト)」と呼ばれるソフトウェアを活用した「シェアード・トラックロード(共有トラック積荷)」サービスを開発している会社だ。これはつまり、同じ方向に向かう荷物を集めて運ぶ、荷主のための相乗りサービスと考えればいいだろう。これによって荷主は、配送の途中で荷物をターミナルやハブで移動させるロスが減らせる。同社は確率的な価格決定アルゴリズムを用いて、同じ方向に向かう複数の荷主から中型貨物をプールする。

Flock Freighによると、このサービスは顧客と運送業者の双方にメリットがあるという。顧客は、積み降ろしの繰り返しや実際には必要のないトレーラーのスペースのために支払うコストを回避でき、運送業者は、自社のトラックの積載を満杯にすることができる。Flock Freightは、40フィート(約12.2メートル)、3万6000ポンド(約1万6330キログラム)以下の貨物を対象とした「プリベート」プログラムという段階的な割引プログラムを用意しており、荷主はさらにコストを削減することができる。

削減できるのはお金だけではない。Flock Freightによると、従来のハブ&スポーク方式輸送に比べて、二酸化炭素の排出量を40%も削減することができるという。同社の試算では、これまでに1万5000トン以上の排出ガスを削減したとのこと。

カリフォルニア州サンディエゴで設立されてから6年が経過したこのスタートアップ企業は、今回調達した資金を事業の拡大と雇用に使うことを目指しており、特にシカゴでは2021年中に新オフィスを開設する予定だ。

ソフトバンクは、Flock Freightの初期から投資しており、2020年の1億1350万ドル(約129億3000万円)を調達したシリーズCラウンドを主導した。今回のシリーズDラウンドでは、この日本の企業に加えて、新たな少数株主としてSusquehanna Private Equity Investments(サスケハナ・プライベート・エクイティ・インベストメンツ)とEden Global Partners(エデン・グローバル・パートナーズ)が参加。また、既存投資家であるSignalFire(シグナルファイア)、GLP Capital Partners(GLPキャピタル・パートナーズ)、Alphabet(アルファベット)傘下のベンチャーファンドであるGVも参加した。

関連記事:運送業者の積荷共有を手配するFlock Freightが119億円調達、ソフトバンクやボルボらが出資

画像クレジット:Shutterstock under a Shutterstock license.

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

デジタルサンプルとAI需要予測によりアパレル業界サプライチェーンの変革を目指すGOOD VIBES ONLYが5.5億円調達

デジタルサンプルとAI需要予測によりアパレル業界サプライチェーンの変革を目指すGOOD VIBES ONLYが5.5億円調達

GOOD VIBES ONLY(グッドバイブスオンリー)は10月8日、第三者割当増資および融資による総額約5億5000万円の資金調達を発表した。引受先はマルイグループ、SMBCベンチャーキャピタル、豊島株式CVC、Sun Asterisk、セレス、スタイレム瀧定大阪。

2018年4月設立のGOOD VIBES ONLYは、デジタルサンプルとAI需要予測を活用することで、アパレル業界におけるサプライチェーンの変革を目指すスタートアップ。アパレルにおける全商流を一気通貫させたビジネスモデルを構築し、自社D2Cブランドも6ブランド展開。他社のブランドプロデュースも多数請け負っているという。

調達した資金は、既存アパレル業界へのDX導入を加速させるためのデジタルサンプルプラットフォームの開発、中国、アジア圏内への展開を目的とした採用・マーケティング強化にあてる。来春には3Dデータを軸にしたアパレルのプラットフォームをスタートさせる。

デジタルサンプルは、サンプル費用の削減だけでなく、従来のサンプル生産方式から30日以上のリードタイムを短縮し、実物サンプルを生産することなくSNSなどでの訴求投稿、EC商品画像として活用することで撮影販管費の削減と効率化、サスティナブルな取り組みにもつながるという。

またSNSに投稿された画像は、AI需要予測により事前需要(予測点数)を可視化し、これまで人の感覚や前年比実績に基づく属人化された発注・生産体質を変革させ、シームレスに製品生産までを一気通貫したシステム提供を行うことが可能となるとしている。

 

米GMとGEがEV製造に使われるレアアース材料のサプライチェーン構築で提携合意

自動車メーカー各社がサプライチェーンの変化を先取りしようとしているさらにもう1つのサインとして、General Motors(GM、ゼネラルモーターズ)は、EV(電気自動車)やクリーンエネルギー機器の製造に使用されるレアアース材料の供給に関して、General Electric(GE、ゼネラル・エレクトリック)と了解覚書(MOU)を締結したと発表した。

拘束力のないこの契約は、GEのクリーンエネルギー部門であるGE Renewable Energyとのもの。レアアース希土類に加えて、磁石、銅、電気用鋼の供給を改善する方法も検討されている。

当初は、北米および欧州における磁石製造のためのサプライチェーンの確立に焦点を当てた協力関係を構築する予定だという。これは、磁石の主な生産国が中国、ブラジル、インドなどであることを考えると重要なことだ。また両社は、銅や、自動車用トラクションモーターや再生可能エネルギー発電に使用されるリサイクル素材「eSteel」についても、新たなサプライチェーンを検討していく。

今回の合意は、北米の自動車メーカーが重要鉱物の供給において海外に依存することを減らしたいと考えていることを示している。このニュースは、Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領とDonald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領が、あらゆるものの電動化を進めるにあたり競争力を維持するために、銅やリチウムなどの鉱物資源の国内調達を強化するよう求めてきたことを考えると、先見性がある動きといえる。

そのために、両社は公共政策面での協力も視野に入れており、北米や欧州を中心としたこれらの素材のサプライチェーンの構築を支援する政策を模索している。

GMのグローバル購買・サプライチェーン担当副社長であるShilpan Amin(シルパン・アミン)氏は、声明の中でこう説明している。「EV用素材の安全で持続可能なローカルサプライチェーンは、GMのビジョンである”オール・エレクトリック・フューチャー”を実現するために不可欠です。モーターは当社のアルティウム(Ultium)プラットフォームの最も重要なコンポーネントの一つであり、重希土類および軽希土類材料は当社のモーターマグネットに不可欠な成分です」。

画像クレジット:Jeffrey Sauger for Chevrolet

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

77社130工場が利用する製造業専門の現場向け工程管理SaaS「ものレボ」を手がけるものレボが1.8億円調達

77社130工場が利用する製造業専門の現場向け工程管理SaaS「ものレボ」を手がけるものレボが1.8億円調達

工場DXのための現場向け工程管理SaaS「ものレボ」を提供するものレボは10月5日、第三者割当増資による総額1億8000万円の資金調達を発表した。引受先はALL STAR SAAS FUND、京銀未来ファンドなど。

調達した資金は、製造業のサプライチェーンのデジタル化を推進すべく、ものレボの開発・販売、ものレボと連携する「サプライチェーンプラットフォーム」の事業化のための人材獲得にあてる。77社130工場が利用する製造業専門の現場向け工程管理SaaS「ものレボ」を手がけるものレボが1.8億円調達77社130工場が利用する製造業専門の現場向け工程管理SaaS「ものレボ」を手がけるものレボが1.8億円調達

サプライチェーンプラットフォームとは、ものレボを活用し製造現場のデジタル管理を実現できた顧客と、少量多品種・短納期の調達ニーズを持つ企業のマッチングを図る仕組み。

現在ものレボは、2019年1月より国内外の77社130工場(2021年8月31日時点)の製造現場において利用されているという。77社130工場が利用する製造業専門の現場向け工程管理SaaS「ものレボ」を手がけるものレボが1.8億円調達

多くの中小製造業は大手の系列からの下請けの仕事が多く、系列トップの業績に左右されやすく、安定した経営のための系列以外からも受注できるようにすることが課題となっている。同プラットフォームで受注することができれば、系列からの脱却、工場の稼働率アップと売上拡大が期待できるとしている。また発注側は、効率的に試作部品や治工具を調達することで事業のスピードが向上するという。77社130工場が利用する製造業専門の現場向け工程管理SaaS「ものレボ」を手がけるものレボが1.8億円調達

消費者やニーズの多様化により、従来の大量生産大量消費ではなく少量多品種・短納期の要求が高まってきており、同社はこの要求にいち早く応えるためサプライチェーンプラットフォームを形成し、様々なニーズに応える体制づくりをサポートする。

「To The Market」は女性のための倫理的で持続可能な職場環境の構築を支援する

Jane Mosbacher Morris(ジェーン・モスバッカー・モリス)氏は、国務省でテロと闘う女性を支援する仕事がキャリアのスタートだった。そして今、彼女は女性が適正な給与の仕事を見つける支援をしている。

女性が変化を推進するにはリソースへのアクセスが必要であることを認識した彼女は、農業をはじめとするいくつかの分野について学び、サプライチェーンに戦略的投資を行うことに興味を持った。

Curate Capitalの創業者でゼネラルパートナーのキャリー・コルバート氏(左)とTo The Marketの創業者ジェーン・モスバッカー・モリス氏(右)

「私が気づいたのは、小売製造業の経済規模は最大であり、サプライチェーンの中で女性が支配していることでした」とモスバッカー・モリス氏がTechCrunchに語った。「しかし、倫理的で持続可能な小売商品を推進するために十分な戦略的投資は存在していませんでした。私たちは、どうすればグローバルサプライチェーンに本格参入するきっかけや推進役になれるかを考えました」。

彼女は2016年にTo The Market(トゥー・ザ・マーケット)を設立し、グローバルサプライチェーンへのアクセスを民主化し、環境を保護し、特に女性が創業した企業を推進するというビジョンを掲げた。同社の独自プラットフォームは、倫理的で持続可能なビジネスとサプライチェーンを吟味し、IT技術を活用してブランドをサプライヤーのネットワークと結びつける。系列化されたサプライチェーンには現在50か国で200社のメーカーがいる。

同社は10月4日にシリーズAラウンドの調達を発表し、モスバッカー・モリス氏は金額が500万ドル(約5億6000万円)だったことを確認した。ラウンドをリードしたのはCurate Capitalで、Working Capital Fund、Spouting Rock、およびForward Venturesも参加し、Belle Fund、Knightsgate Venturesおよび戦略エンゼル投資家のグループが追加投資した。

「To The Marketは倫理的につくられた商品の証明書になろうとしています」とCurate Capitalの創業者でゼネラルパートナーのCarrie Colbert(キャリー・コルバート)氏はいう。「この会社は選ばれた会社にとって最も大切なものになるでしょう。2020年の彼らの成長に拍手を送ります。このチームはよい位置にいたことでパンデミックの嵐を乗り換えただけでなく、製造者が中国から品物を入手できなかったとき、ジェーン(モスバッカー・モリス氏)は彼らのニューズにすぐに答えられる広大なネットワークを持っていました」。

モスバッカー・モリス氏は、ベンダー基盤に投資したことによって同社が競合するどの仲介業者よりも「少なくとも10年先」にいると語った。それは持続可能性と倫理的な特徴についてだけでなく、事業成績においてでもだ。

To The Marketが仕事をしている小売業にはNordstrom Rack(ノードストローム・ラック)、TJ Maxx(TJマックス)、Burlington(バーリントン)、およびBloomingdates(ブルーミングデールズ)がいる。会社は獲得した資金を新たな成長に向けて使おうとしている。チームの拡大、技術開発、および市場開拓の推進などだ。現在従業員は20名ほどの「野心的のチーム」、とモスバッカー・モリス氏はいる呼んでいる。

「私たちは、中国以外のメーカーと提携することによって、グローバルサプライチェーンや米国企業、中でもかつて1つの国ので特別に注目を集めてきた企業に付加価値を与えます」とモスバッカー・モリス氏はいう。「このパンデミックは、多様性のある系列化されたサプライチェーンをもつことが不可欠であることを私たちに教えました。1つの工場と国に依存することは非常にリスキーです」。

画像クレジット:MediaGroup_BestForYou / Shutterstock

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(文:Christine Hall、翻訳:Nob Takahashi / facebook

インドネシアで卸売りマーケットプレイスを運営するUlaにアマゾン創業者が出資

インドネシアのeコマース企業であるUla(ウラ)は、2020年の創業以来、3000万ドル(約33億3000万円)以上の資金を調達し、多くの著名な投資家と関係を築いてきたが、さらにこの度、世界で最も裕福な人物の信頼を獲得したようだ。

Amazon(アマゾン)の創業者が、この1年半前に創業したスタートアップの新たな資金調達ラウンドに出資したと、関係者やこの件に詳しい多くの人物が語っている。

ジャカルタに本社を置くUlaには、B Capital Group(Bキャピタル・グループ)、Sequoia Capital India(セコイア・キャピタル・インディア)、Lightspeed Venture Partners(ライトスピード・ベンチャー・パトナーズ)、Quona Capital(クオナ・キャピタル)がすでに出資しているが、現在は8000万ドル(約88億8000万円)以上を調達する新ラウンドの確定に向け、交渉を進めているところだ。

アマゾン創業者のJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏は、自身のファミリーオフィスであるBezos Expeditions(ベゾス・エクスペディション)を通じてUlaに投資することに合意したと、関係者が語っている。B Capital Group、Tencent(テンセント)、Prosus Ventures(プロサス・ベンチャーズ)が主導するこのラウンドは、早ければ2021年10月中にもクローズする見込みだ。

ベゾス氏は、企業間電子商取引プラットフォームを運営するUlaに関心を示しているが、現在のところ、アマゾンはほとんどの東南アジア諸国には進出していないか、あるいは限定的なプレゼンスを維持しているのみである。

Ulaの広報担当者は、米国時間10月2日に求められたコメントの要請に応じなかった。

Ulaは、小規模な小売店が直面するサプライチェーン、在庫、運転資金などの非効率性を解決するための支援を行っている企業だ。卸売り電子商取引マーケットプレイスを運営し、店舗オーナーが必要な在庫だけを仕入れられるようにするとともに、運転資金も助成している。

このスタートアップは、インドのFlipkart(フリップカート)の元幹部で、Sequoia Capital Indiaの元パートナーであるNipun Mehra(ニプン・メーラ)氏、以前はアマゾンで働いていたAlan Wong(アラン・ウォン)氏、一般消費財大手P&Gのインドネシア事業を監督していたDerry Sakti(デリー・サクティ)氏、Lazada(ラザダ)とaCommerce(エーコマース)に勤務していた経歴を持つRiky Tenggara(リキー・テンガラ)氏によって設立された。

画像クレジット:Pradeep Gaur/Mint / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

提供メニューの「仕込み」を発注できる飲⾷店向けアプリ「シコメル」を運営するシコメルフードテックが1.5億円調達

提供メニューの「仕込み」を発注できる飲⾷店向けアプリ「シコメル」を運営するシコメルフードテックが1.5億円調達

飲食店の経営効率を上げる「シコメル」「タノメルbyシコメル」「タノメルクラファン」を提供するシコメルフードテックは9月21日、総額1億5000万円の資金調達を発表した。引受先は、ユナイテッド、セブンスターズキャピタル、グローウィング、塚本郵便逓送、個人投資家4名。

シコメルフードテックは、「食のサプライチェーンDXで世界をもっと美味しく豊かに簡単に」を事業ミッションとし、先に挙げた3つのサービスを展開。その1つであるシコメル(Android版iOS版)は、飲⾷店と⾷品⼯場間の仕込みレシピ共有や受発注データのAI解析を推進することで⼯数削減・受発注最適化を⾏うアプリとなっている。調達した資金により、シコメル業態の開発、アカウントの増加、アプリの機能開発を成長戦略とし、事業拡大に向け加速するとしている。提供メニューの「仕込み」を発注できる飲⾷店向けアプリ「シコメル」を運営するシコメルフードテックが1.5億円調達提供メニューの「仕込み」を発注できる飲⾷店向けアプリ「シコメル」を運営するシコメルフードテックが1.5億円調達

サプライチェーンのリスク管理プラットフォームを運営するResilireが1.5億円を調達

サプライチェーンのリスク管理プラットフォームを運営するResilireが1.5億円を調達

サプライチェーンのリスク管理を行うプラットフォーム「Resilire」(レジリア)を運営するResilireは9月1日、第三者割当増資による1億5000万円の資金調達を完了したことを発表した。引受先は、Archetype Ventures、DNX Ventures、DEEPCORE、STRIVE、みずほキャピタル、グロービスファンド。

2018年創業のResilireは、サプライチェーンの管理と、災害などの影響を受けたサプライヤーの状況把握・対応をひとつのプラットフォームで行えるリスク管理サービスとしてResilireを運営している。たとえば大手製薬企業は、これまで数百から数千件というサプライヤーや社内拠点の管理を表計算ソフトなどで行ってきたが管理が行き届かず、緊急時の対応に遅れが出てしまっていたという。

これに対してResilireは、サプライチェーン全体をクラウドで管理する。災害発生時には、影響のあるサプライヤーが自動的にリストアップされ、メールが送信される。サプライヤーがこれに回答することで、被災状況や影響する製品、関係企業が自動的に可視化されるという。

具体的に、Resilireは以下のように活用できる。

  • コントロールタワーの構築:サプライチェーンや拠点全体をツリーでマッピングし可視化
  • 災害情報の収集:24時間365日、気象庁と電力会社の情報を監視し即時に国内の災害情報を収集
  • マップで影響拠点を可視化:収集した災害情報から企業への影響範囲を可視化。
  • 被災状況の把握:社内メンバーやサプライヤーにメールやアンケートを送信し、情報を集約
  • コラボレーション:クラウド上で社内チームやサプライヤーとのコミュニケーションが可能。リスクアセスメント、サプライチェーンの見直しなども可能に
  • BCM体制の構築:BCP(事業継続マネージメント)を常にアップデートし続ける

2020年6月にクローズドベータとしてリリースして以来、製薬、製造、商社、卸などの大手企業に導入されているとのこと。今回の資金調達は、自然災害が増える中でのResilireの機能充実にあてられるという。

「イーロン・マスク、ジェフ・ベゾスは地球を救うために火星への移住計画を民間企業として達成しようとしています。それは気候変動による地球の持続性に危機感を持っているからだと考えています。私も同じく危機感を持つものとして、彼らに負けないようなイノベーションを起こしていきます」と、Resilire代表取締役の津田裕大氏は話している。