Brexの22歳の創業者コンビが、2年未満で10億ドルのビジネスを構築した道のり

ブラジル生まれのHenrique Dubugras(写真右)とPedro Franceschiが、16歳で出会ったときに、彼らを結びつけたのはコーディングへの愛と、Mark Zuckerberg風の野心を理解してくれない厳しい母親に対するお互いの欲求不満だった。

まあ公正を期すならば、彼らの母親たちの心配が始まったのは、10代になったばかりの息子たちが、特許侵害を警告する通知を受け取ってからなのだが。FranceschiがiPhoneに対する最初の「脱獄」方法を発見した際に、Appleから受け取った法的警告は、少なくともそのことを裏付けている。

彼らの両親は、息子たちにハッキングをやめ、オンラインを徘徊することをやめるように懇願した。

だが彼らは聞き入れなかった。

本日(米国時間10月5日)、この22歳のコンビは、彼らの成功した2番めの有料ビジネスであるBrexに対して、1億2500万ドルのシリーズCを発表した(評価額は11億ドル)。Greenoaks Capital、DST GlobalそしてIVPがこのラウンドを主導しているが、これによって彼らがこれまでに調達した資金は2億ドルに達する。

サンフランシスコに拠点を置くBrexは、スタートアップの創業者たちに、個人保証や保証金の差し入れなしに、コーポレートクレジットカードへのアクセスを提供するサービスだ。同社はまた、PayPalの創業者であるPeter Thielや、Visa Carl Pascarellaの元CEOであったMax Levchin、その他いくつかの有名VCからの支援も受けている。

Brexはこれまで見た中で、最もエキサイティングなスタートを切ったものの1つです」と発表の中で語るのは、IVPのSomesh Dashだ。

今回のラウンドは、彼らを史上最も若いユニコーン創業者にして、猛烈な速さでユニコーンテリトリーに突入した例外的なスタートアップたちの仲間へと押し上げた。Brexは2017年の冬に創業され、2018年6月にサービスが公開されたばかりなのだ。

どのように成し遂げられたのか?

「私は過去2回失敗しています、そしてこれまでに1つに成功し、あと1つに現在成功しつつあります」と、BrexのCEOであるDubugrasは、長い経歴を並べながら、TechCrunchに語った。

私たちのほとんどが、高校1年の生活はどのようなものだろうと心配しているだけの14歳という年齢で、Dubugrasが抱いていた関心は、次のビジネスの試みをどのようなものにしようかというものだった。彼は既にオンラインゲームを成功させていたが、それに対する特許侵害通知を受け取った後に、それを終わらせることを余儀なくされた。

当然ながら、彼はゲームから得た現金を使って会社を設立した。ブラジルの学生が、アメリカの学校に入学申請をすることを助ける教育スタートアップである。彼自身はスタンフォードに入学することを望んでいたので、ブラジルの若い生徒たちが、どのように米国の大学に申請を行っているのかがすぐにわかった。

ある面では同社は成功した。それは80万人のユーザーを獲得したが、収益をあげることはできなかった。ビジネスをスケールアップできるほど、彼は幸運ではなかったのだ。

「ブラジルには、15歳の人間に喜んで資金を提供してくれるようなVCはあまりいないのです」とDubugrasはTechCrunchに語った。

このエデュテックを畳んだあと、彼はFranceschiと出会った。Rioからやってきた10代のブラジル人だ(なおDubugrasはサンパウロ出身である)。FranceschiはイノベーションへのDubugrasの渇望を理解し、彼もまた成功に飢えていた。2人は会話を始め、やがてFranceschiがもっていた決済への関心に基いて、彼らは「ブラジルのStripe」を目指すPagar.meを始めた。

Pagar.meは3000万ドルを調達し、100人のスタッフを集め、売却されたときには最高15億ドルの取引を処理していた。ついに彼らは本当の成功を手に入れたのだ。新しいことを始める時が巡ってきた。

「シリコンバレーにきて何かを作りたいと思っていたのです。なにしろここでは何もかもが大きくクールにみえましたから」とDubugrasは語る。

そして彼らはシリコンバレーにやってきた。2016年の秋に、2人はスタンフォード大学に入学した。ほどなくして彼らは、Beyondという名前の仮想現実スタートアップの大きな夢と共に、Y Combinatorに参加した。

「私たちは3週間でそれを諦めたと思います」とDubugrasは語った「私たちは、その事業を開始するための適切な創業者ではないことに気付いたのです」。

彼は、Y Combinatorが、彼らが何に向いているかを気付く手伝いをしてくれたと言う ―― それが決済だ。

自分たちも創業者であることから、DubugrasとFranceschiは、起業家たちが直面する巨大な問題を深く認識していた。それはクレジットカードへのアクセスだ。大手銀行は中小企業を、積極的には引き受けたくないリスク対象だとみなしているため、創業者はしばしば窮地に追い込まれる。DubugrasとFranceschiは、自分たちのアドレス帳に、スタートアップ起業家たちの大きなネットワークを持っていただけでなく、特に創業者たちのためにデザインされたクレジットカードビジネスを構築するために必要な、フィンテック上の洞察力を有していた。

そこで彼らは2017年4月にBeyondを廃業し、Brexが生まれたのだ。スタートアップはすぐに勢いを得ることができたので、2人はスタンフォードを退学し、ビジネスをフルタイムで進めることにした。

金融アクセスの簡素化

Brexは個人保証や保証金を必要とせず、サードパーティのレガシー技術も使用していない。そのソフトウェアプラットフォームはゼロから構築されたものだ。

それは、企業に対して出費に対する統合的な情報を提供することで、企業経費に関する面倒な部分を簡素化する。たとえば、各企業のCEOは毎月末に、全社でUberやAmazonに対して使われた金額がいくらかを簡単に知ることができる。

さらに、Brexは起業家に対して、他のものよりも10倍も高い与信限度額を与えることができ、カードを発行することができる。少なくとも仮想カードはオンライン申請が終わった直後から利用できるようになる。

「私たちは初期のStripeが提供していたものにとても似たものを提供します。ただしはるかに速く。なぜならシリコンバレーの企業はお金を稼ぐのは得意ではないのに、お金を使うのは得意だからです」とDubugrasは説明する。

資金調達の発表の一部として、Brexは、創業者たちの必要性と出費パターンを考慮した、リワードプログラムを始めることを明かした。その計画に続いて、彼らは手に入れた資本金を使ってエンジニアを雇用し、テクノロジー企業以外のクライアントに向けて、ビジネスを成長させる方法を探ろうとしている。

「企業向けクレジットカードの世界を席巻したいのです」とDubugrasは言う。「世界中のすべての企業に、ビジネス経費を使う際には、Brexカードを使って欲しいと思っています」。

[原文へ]
(翻訳:sako)

画像クレジット: Brex

日本のフィンテックPaidyにVisaが戦略的投資…仮想化クレジットカードに魅力?

日本のフィンテックスタートアップPaidyは、5500万ドルのシリーズC日本語記事)から1か月あまりの今日(米国時間8/24)、決済の巨人Visaからの戦略的投資を手にした

Paidyはその額を明らかにしていないが、同社はこれまで8000万ドルあまりを調達している。そして同社によると、このクレジットカードの巨人と共に、日本で“新しいデジタル決済体験”を開発したい、という。

Paidyは、日本のオンラインショッピングをもっと容易にしようとしている。日本はeコマースの市場としては世界で4番目に大きく、クレジットカードも普及しているが、代引きを利用する消費者がとても多い。

同社の試算では、eコマースの年間売上16.5兆円(1480億ドル)の約40%が現金で決済されている。クレジットカードは面倒だが、キャッシュは簡単だ。たしかに、カードを取り出してその番号をキー入力するのは苦痛だが、日本ではさらにそれ以外のセキュリティチェックもあるから、なおさら面倒くさい。

Paidyを利用すると、eコマースのチェックアウトにおいては顧客の電話番号やメールアドレスがアカウントのIDになり、決済時にはPaidyの確認コードを入力するだけだ。またPaidyにはさまざまな返金オプションがあるので、結果的にクレジットカードと同じ機能を利用できる。

同社によるとすでにアクティブアカウントは150万あり。2020年には1100万をねらっている。その目標に達するためにふかすべきエンジンは、大きな小売企業のネットショップに採用してもらうことだ。それはこれまでもうまく行っており、このたびVisaが関与したことにより、同社との共同プロダクトへと発展すれば、利用者は一挙に増えるだろう。

Visaのアジア太平洋地区を仕切るChris Clarkによれば、Paidyをプラスチックのカードを補う仮想クレジットカードとして位置づけることにより、Visaにとってのメリットも大きい。今回は、まさにそのための戦略的投資だ。

Clarkは声明文でこう述べている: “Paidyの成長と、同社が購入時に提供する便利なショッピング体験に前から着目していた。日本には、全額払いでも分割払いでも、消費者にさまざまな決済オプションを提供できる大きな機会がまだまだあり、とくに複数のチャネルにまたがってショッピングする場合は、一人の消費者が多様なオプションを持つことの意義が大きい”。

Paidyの現在の投資家は、Itochu Corporation(伊藤忠), Goldman Sachs, Eight Roads(Fidelityの投資部門), SBIのFinTech Business Innovation LPS, Arbor Ventures, SIG Asiaなどだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

世界銀行がオーストラリアの銀行とパートナーして初のブロックチェーン上の債券を立ち上げ

世界銀行がオーストラリアのCommonwealth Bank of Australia(CBA)と共に、初のブロックチェーン上の債券を発行することになった。

この1億1000万オーストラリアドル(8700万USドル)のbond-i(ブロックチェーンによって運用される新しい債務証券)は、分散台帳技術を使って作られ、割り当てられ、送金(振替)され、そして管理される、初めての債券だ。なお、bond-iという名前は、オーストラリアの有名なビーチ、Bondi Beachから取られたに違いない!(銀行家は意外とジョークが好きである)。

この投資は、オーストラリアの金融にとっては小さな一歩だが、世界中のブロックチェーンにとっては大きな跳躍だ(でもないか)。

このブロックチェーンボンドの投資家は、CBA, First State Super, NSW Treasury Corporation, Northern Trust, QBE, SAFA, Treasury Corporation of Victoriaなどだ。それはまるで、オーストラリアの公的金融機関のごった煮のようだが、その意味は大きい。オーストラリアのフィンテックコミュニティはかねてから強力だし、そしてブロックチェーンは、これらの金融機関が探究に向けて関心を持っていたテーマだからだ。

世界銀行の声明によると、これは同行がブロックチェーンに関して行っていくであろう多くの実験の、ひとつである。6月に世界銀行はBlockchain Innovation Labを立ち上げて、その技術を検討してきた。

世界銀行の財務部長Arunma Otehはこう言っている: “公的機関やファンドマネージャー、政府機関、および銀行から寄せられた幅広い関心にとりわけ感銘を受けている。私たちは疑いもなく、コンセプトの現実化に成功した。なぜならば、これらの質の高い投資家たちが、テクノロジーを資本市場のイノベーションに利用することの意義を、理解されたからである”。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

SquareがICチップ付カードを2秒で処理できるようになった

もしこれまでに、ICチップ付カードで支払いをしたことがあるなら、おそらく居心地の悪い時間を過ごしたことがあるだろう。あなたのカードが挿入されてから長い時間が経過し、後ろに並ぶ人たちが(文字通りあるいは比喩的に)足を踏み鳴らしながら、カードが処理するのを待っているあの時間のことだ。

そこでSquareは、しばらく前からこの問題に取り組んでいた。例えば、昨年の秋には、CEOであるJack Dorseyは、同社が処理時間を3秒以下に短縮することができたと語っている。

本日(米国時間8月15日)同社はその時間を更に短縮したことを発表した。Squareの非接触型チップリーダーならびにレジスターは、今やチップ付カードを2秒で処理することができる。これを達成するために、Squareは支払いパートナーと密接に協力していると言われている。そしてカードイシュアからの返信を待つこと無く、カードを読み取ったらすぐに取り除けるように、プロセスの合理化も行っている。

対照的に、ウォールストリートジャーナルが数年前に50回以上のトランザクションでチップ付カードの計測をしたときには、その平均処理時間は13秒だった。こう聞くと余計な秒数はそれほど大きなもののような気はしないが、しかし急いでいたり、人びとが後ろに並んでいるときには、この違いが苦痛をもたらすものとなる。

さらに、これはビジネスのための本当の差別化を生み出すことができるように思える。この発表の中で、ビール会社Local Brewing Co.の、共同創業者兼醸造責任者であるRegan Longは、ジャイアンツのサンフランシスコAT&Tパークの近くにある彼の醸造所では「ビールのお会計を済まそうとするお客さんが一気に押し寄せる」ことが常であると語っていた。

「Squareのチップ付カードリーダーのアップデートによって、お客さん1人をさばく時間を半分にすることができました。このことで早く最初の1杯を飲もうとするお客さんたちに、ハッピーな時間を過ごして貰いやすくなりました」と彼は付け加えた。

より速いチップ付カード処理に加えて、Squareはまた別の速度関係の発表を行った。最新のアップデートによって、Squareの無料POSアプリは、もし選択すれば、サインの収集をスキップすることができるようになる。

[原文へ]
(翻訳:sako)

何千もの暗号通貨プロジェクトがすでに死んだ、そして詐欺も多い

失敗した暗号通貨プロジェクトの目録を熱心に作り続けているCoinopsyDeadCoinsによると、2018年に失敗したプロジェクトは現時点(6月)で1000を超える。それらのプロジェクトは、本物のabandonware(アバンダンウェア)から単なる詐欺にいたるまでさまざまで、その中には、二人の“自称兄弟”Jack/Jay Brigによる詐欺BRIGや、SECによる捜査で終わったTitaniumなどもある。

どんな分野でも新人は自分たち独自のルールを作って新機軸を志向するが、ブロックチェーンの世界でもまさにそれが起きている。しかし彼らが相手にしているのは、トークン(私的代用通貨)による資金調達という、大きな可能性の世界だから、発生する諸問題も大きい。スタートアップに失敗はつきものでも、これらのプロジェクトを洪水のように押し流す膨大なキャッシュの量が、大きな問題だ。スタートアップが、あまりにも多くの燃料をあまりにも短期間で入手すると、それによって起きる大火災は会社とファウンダーの両方を焼きつくし、そのあとに、投資家の救いになるものは何もない。

そんな大火災は至るところで発生し、今やグローバルな現象だ。2017年には、詐欺と死んだICOの調達総額は10億ドルに達し、その中には、いかがわしいスタートアップが297社もいる

破綻したICOを“修復する”と称する、ケープタウンのCoinJanitorのような怪しげな企業もいるが、そんな、明日になったら夜逃げして行方不明のような企業が多いことは、この業界にとって良い前兆ではない。

ICOで資金調達をしたスタートアップは現在、結果的/実質的に、マルチ商法(multi-level marketing, MLM)のような策略で事業を構築している。そうではなくて彼らは、KickstarterやIndiegogoにページを持つべきだ。これらのクラウドファンディングプラットホームは、信頼をアートにした。お金を出した支援者たちは一種のチームであり、それがプロジェクトとリスクとアイデアの未来を定義する。多くの資金がなくても、容易にビジネスを構築できる。残念なことに、合理的な思考よりもむしろ貪欲を教唆するために現在のICO市場が使っているロックアップ(監禁、封じ込め)と詐欺的な価格設定は、業界を支えるのではなく、傷つけている。

ではどうすべきか? 失ってもよい額だけを投資し、どんなトークンにも失敗がありえることを覚悟しよう。そして究極の望みは、万一失敗しなかったときの嬉しい意外性だ。それ以外では、あなたは失望の世界へ向かって踏み出すのだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

アプリで作れるVisaプリペイドカード「バンドルカード」に後払い式「ポチッと」チャージ機能追加

スマホアプリからチャージ式のVisaプリペイドカードが発行できる「バンドルカード」。4月17日、カンムが提供するこのサービスに、カードへのチャージが後払いでできる「『ポチッと』チャージ」が新機能として追加された。

バンドルカードは、生年月日と電話番号さえアプリに登録すれば、誰でも“最速1分で”ネット決済専用のバーチャルカードが作れるサービスとして2016年7月に発表された。当初はiPhone版のみ、同年冬にAndroid版もリリースされた。クレジットカードと違って先にチャージを行うため、与信審査が不要。10代の学生や主婦、高齢者でもすぐにカードが発行できて、ネットでの買い物に使うことができる。また希望者は、リアル店舗で使えるプラスチックのカードを持つことも可能だ。

クレジットカードの加盟店で使えるプリペイドカードは「au WALLET」(Master)や「ソフトバンクカード」(Visa)、「LINE Payカード」(JCB)などの登場で知られるようになり、利用が広がっている。一方で「チャージが面倒という点がプリペイドタイプのカードの課題だ」とカンム代表取締役の八巻渉氏は言う。

「『1分でカードが作れる』とは言うものの、バンドルカードはチャージをしなければ使うことはできない。コンビニに行かなければチャージできない、という面倒さが、カードの発行や利用のハードルとなっている」(八巻氏)

そのハードルを取り払うために導入されたのが、今回の「ポチッと」チャージだ。バンドルカードアプリで生年月日・電話番号に加えて氏名とメールアドレスを登録することで、1回あたり最大2万円までならその場でチャージが完了。チャージした金額に手数料を加えた額を、後からコンビニやATMなどで払う、後払い方式のチャージサービスである。

「ポチッと」チャージの導入により、バンドルカード新規発行からチャージまでが180秒で完了するようになると八巻氏は話す。

「EC市場の伸びにより、カードでの支払いの機会は増えているが、20代の男性の75%はクレジットカードを持っていない。またクレジットカードを持っていても、あまり使わないという人も多く、日本のクレジットカード利用率は実は半分以下という調査もある。その理由は『使い過ぎが気になる』『セキュリティなど安全性に不安がある』など『クレジットカードは怖い』という認識から来ているものだ」(八巻氏)

八巻氏は「プリペイドタイプのカードなら、使い過ぎの心配がない。また支払いに利用するとアプリでプッシュ通知が来る仕組みにすることで、金額の管理も簡単になるし、他人に使われてもすぐに分かり、キャンセルや利用停止の届け出もすばやくできる」とバンドルカードのメリットを述べる。

さらに「ポチッと」チャージ導入により、シンプルな決済体験の提供と、日常で少し足りないお金のニーズを満たすことによる経済活性化への貢献を実現したい、と八巻氏は言う。

「バンドルカードの20〜34歳までのユーザーに調査を行ったところ、回答者の約6割が『月に自由に使えるお金は3万円以下』、そのうちの4割が『自由に使えるお金が足りていない』と回答している。足りない金額は2万円以下という少額ニーズが大半だ。このことから、2万円以下の足りないお金のニーズを即満たすことに意義があると考えた」(八巻氏)

また日本の最低賃金の平均は848円に上がり、失業率も3%を切る状況となっていることに触れ、八巻氏は「ほとんどの人が1日8時間、3日働けば2万円強のお金を手に入れることができるのが、今の日本の環境。『タイムセールで見つけた服を今買いたい』とか『すぐ売り切れるチケットや限定品を手に入れたい』といったニーズに対して、『ポチッと』チャージで背中を押すことで、お金の流れを健康的にして、経済の活性化に貢献することができると考える」と話している。

「ポチッと」チャージの手数料は、1万円までのチャージで500円、1万1000円から2万円までのチャージで800円。チャージした翌月末までにコンビニやATM、ネットバンキングで支払う必要がある。

「ポチッと」チャージの決済部分を提供するのは、フリークアウト・ホールディングスグループ傘下のリスク保証サービス企業、Gardiaだ。カンムは既に4億円の出資を受けているフリークアウト・ホールディングスと、1月31日に包括的資本・業務提携を締結。その際に業務提携内容のひとつとして「Gardiaによるカンムの事業にともなうリスクの保証」が挙げられていた。

(ちなみに同じ1月31日に経営統合が発表された、オンライン決済サービスのコイニーとオンラインストア運営のストアーズ・ドット・ジェイピー(旧ブラケット)の持株会社ヘイとも、フリークアウト・ホールディングスは資本業務提携を実施。フリークアウト、カンム、ヘイの3者でFinTechサービスに取り組むことを決めている)

Gardiaはカンムから手数料を受け取って、後払いのための与信・決済機能を提供する。バンドルカードでは、これまでにもNTT docomoやソフトバンク、ワイモバイルなどの携帯キャリア決済でチャージする手段を備えているが、これらキャリアと同じ立ち位置にGardiaが新たに加わる形となる。

Gardiaでは、同社の展開する保証サービスにまつわるデータが蓄積される中で、さまざまな傾向を分析し、新しい与信・決済システムの構築につなげることを目指している。「ポチッと」チャージでカンムと連携することで、その流れを加速させたい考えだ。

写真左からカンム取締役COO 竹谷直彦氏、代表取締役社長 八巻渉氏、Gardia代表取締役社長 小山裕氏

カンムは、4月現在で40万強のバンドルカードのダウンロード数を、2018年中に150万に伸ばすことを目指すとしている。

八巻氏は「長期的には、スマホ上のペイメント普及による『お財布2.0』を目指す」と語る。「アメリカの支払いでの現金比率は16.7%。また北京のコンビニでの支払いデータなのでバイアスはあるかもしれないが、中国ではAlipayやWeChat Payなどのスマートペイメントが普及しており、現金比率は11%となっている。一方、日本の現金での支払い比率は51.9%と過半数。まだまだスマートペイメントの伸びしろはある」(八巻氏)

「『お財布2.0』にはスマホ決済、個人間送金、信用保証の3つの領域があるが、カンムではたまったユーザーデータを活用し、信用保証の仕組みを提供していきたい」と八巻氏は将来の展望について述べている。

おつり投資の「トラノコ」が楽天、東海東京FHなどから資金調達、異業種間での連携進める

買い物のおつりで投資ができる「トラノコ」を運営するTORANOTECは4月12日、楽天キャピタル東海東京フィナンシャル・ホールディングスだいこう証券ビジネスパラカ東京電力エナジーパートナーを引受先とする第三者増資を実施したと発表した。金額は非公開(2017年6月のサービスリリース時の資本金1億3100万円から、現在は7億3788万円に増えている)。

先日、20代後半で同年代の友人たちと話していたら、「資産運用は、必要なのは分かるけど、難しいよね」という話になった。トラノコは、そんな資産運用のハードルを下げてくれるサービスだ。

トラノコでは、クレジットカードや電子マネーなどを使った買い物の“おつり”を、最低5円から1円単位で資産運用にまわすことができる。このおつりは仮想的なもので、サービスであらかじめ設定した金額(100円、500円、1000円)から、実際の支払額を引いた金額を資産運用に回せるという仕組み。たとえば、設定額が100円で、10円のお菓子を買ったら90円だ。

実際の資産運用は、100%子会社のTORANOTEC投資顧問が行う。同社はユーザーのリスク特性に応じて3種類のファンドを用意。組み入れアセットも米国株式や新興国債券など多岐にわたり、気軽に分散投資ができるようになっている。トラノコの利用料金は月額300円。そのほか、投資ファンドの運用に対する信託報酬の年率0.3%、ファンドの監査費用などの手数料(年率0.1%が上限)、ファンドの組み入れ証券の売買委託手数料がファンド資産から控除される。

事業会社との連携進める

今回の資金調達ラウンドで特徴的なのは、投資家リストに多くの事業会社を含む点だ。証券会社である東海東京フィナンシャル・ホールディングスなどをはじめ、コインパーキングのパラカ、東京電力エナジーパートナーなど、異業種の事業会社の名前もある。

TORANOTECはこれまでにも、ANAとのコラボレーションNTT東日本との提携など、異業種とのパートナーシップを積極的に推進し、トラノコユーザーに限定で割引特典を提供するなどのメリットを打ち出してきた。今回の資金調達後も、そのようなサービス連携がさらに進むことが予想される。

TORANOTEC代表取締役のジャスティン・バロック氏は、「「事業間協力および事業連携は、フィンテックの成功には欠かせない重要な要素。資産形成を人びとの日々の生活の一部にしていく上で、様々な業種の事業会社および金融機関との連携を幅広く深めていくことが大いなる力を発揮するものと確信している」と語る。

業界の異端児がイノベーションを生む――FinTechスタートアップたちの勝機とは

3月15日、16日で開催された「B Dash Camp 2018 Spring in Fukuoka」。2日目には、「フィンテックにいま参入その理由と勝機の可能性」と題して、フィンテックの第一線で活躍するプレイヤーたちが業界のいまを語った。登壇者は以下の通りだ。

モデレーターを務めたのは日経FinTech編集長の原隆氏だ。

幅広いフィンテック、どこに注目するか

Finance × Technologyだから「フィンテック」とひとくちに言っても、その領域はとても幅広い。本セッションではまず、各登壇者がフィンテック業界の中でもどの領域に注目しているのかという質問が飛んだ。

ソーシャルレンディング事業者の比較サイトを運営するクラウドポート代表取締役の藤田氏は、「注目しているのは中小企業のデットファイナンスと債権の流動化。中小企業の資金調達の選択肢が少ない。VCから出資を受けるのはひと握りだ。残りの大半は銀行融資を受けるが、審査が厳しい。それらの事業者から融資を受けられなかった企業に対してこれまで資金を供給していたのがノンバンクだ。しかし、1999年に3万社以上あったノンバンクは、2016年には2000社以下になっている。ここにビジネスチャンスがある」と語る。

メルペイ代表取締役の青柳氏は、「フィンテックのプレイヤーがひと通り揃ってきた。金融以外で活躍していた人たちが業界に参入するというのがグローバルなトレンドだと思う。そういうプレイヤーが入ったことで今後盛り上がると思うのが、まずは入口としての決済の部分。また、スコアリングやレンディングといった“信用を創造する”という分野が勃興すると思う」と話した。

青柳氏と同じく、スコアリングや与信の部分に注目するのがバンク代表取締役の光本氏だ。「企業でも個人でも、何かしらの取引をするときは必ず与信をとる。ただ、この与信はコストでしかない。そうであれば、それをとらずに成り立つビジネスができないかと僕たちは考えている。新しい与信のとり方、そして与信を使った新しいビジネスが今年はどんどん出てくると思う」(光本氏)

ところで、フィンテックという文脈でいつも話題にあがるのが、現金を使わないで買い物などを済ますキャッシュレス化の推進だ。日本は諸外国に比べてそのキャッシュレス化が遅れていると言われている。経済産業省が2017年に発表した資料によれば、米国、韓国、中国のキャッシュレス決済比率はそれぞれ40〜50%程度であるのに対し、日本は約18%と低い。なぜだろうか。

「日本の店員さんはまじめで、レジをちゃんと閉めるなど現金を扱うだけのモラルがある。他の国では現金を扱うとトラブルが起こるので、費用を払ってでもキャッシュレス化を進める動機がある」とヘイ代表取締役の佐藤氏は言う。

優秀な日本の金融インフラ、そこにイノベーションをどう生むか

日本が他国に比べてキャッシュレス化が遅れているのは、金融インフラが非常に整っているからだ、という意見もある。ただ、それは金融業界の既存プレイヤーにとってイノベーションの足かせになっているのかもしれない。

証券会社出身であるFOLIO代表取締役の甲斐氏は、「証券会社の反社チェックのシステムは、銀行に比べても厳しい。警察庁のデータを照合しなければならないが、リアルタイムでそれをしようとすると1回あたり数十件程度しか処理できない。もう少しそこを効率化するということは考えられる」と、現在の金融インフラの非効率性について述べた。

青柳氏は、「(イノベーションには)大きな社会インフラの組み換えが必要。既存プレイヤーはそこに大きな金額を投資してきて、それに合わせてオペレーションを最適化してきた。中国では色々なプレイヤーがインフラに大きな金額を投資をして、それを作り直した。そこから学べるのは、(金融インフラに対する)マッシブな投資はいずれにしろ必要で、それができたら色々なプレイヤーがどんどん出てくるということだ」と語る。

スーツ組と私服組が手を組むとき

金融インフラへの投資とともに、青柳氏が“必要なもの”として挙げたのが人材だ。「非金融業界の人が金融業界の人を引き込む採用力」が必要だと彼は話す。これまでスーツを着て毎日出社をしていた金融人からすると、スタートアップ業界というのは特異なものとして映るのかもしれない。でも、異業種の人間が交わることで生まれるイノベーションもある。

甲斐氏は、「FOLIOの場合、4割の社員が金融社員出身。基本的には、FOLIOでは金融用語は使わないということに非常にこだわっている。プロダクトの開発現場では、コンプラ担当と5人のデザイナーが毎日バチバチにやり合っています」と語った。些細なことかもしれないけれど、金融業界以外の人の視点で使いやすいUI/UXを金融商品に取り入れ、「冷たい」と言われがちなものに温かみをもたらす工夫だ。

一方、光本氏が率いるバンクには金融出身者が1人もいないという。「保守的な意見をすべてプロダクトに取り入れてしまうと、既存の金融機関のものと変わらないプロダクトが生まれてしまう。新しいサービスを作る場合、空気を読まずにやるのがちょうどいいのかもしれない」と光本氏は笑顔で話した。

どの業界もそうだけれど、お金を扱う金融業界は法令の順守が特に求められる領域だ。光本氏が言うように、まずは空気を読まずにプロダクトを作ってみるというイノベーションの方法論もあるが、法的なリスクに対しては気を配らざるを得ないのが現実だ。

それについて佐藤氏は、「ルール的にグレーな部分というのはトレードオフだと思っている。(多少プロダクトが不便になったとしても)それをやらなければ長期でみてユーザーの体験を毀損してしまうならやるべきだし、そうではないならユーザーのために取るべきリスクだと考える」と話す。

一方で、業界を取り巻く環境もここ数年で大きく変わったと青柳氏は話す。「フィンテックには追い風が吹いていると感じるようになった。ルールを作る金融庁などと話していても、20分間いろいろと話したあとに、『やりたいことっていうのは、例えばこういうものです』と直接UIを見せたりすると理解を得られることが多い」(青柳氏)。

世界中の金融業界にイノベーションが起こりつつある今、法的に可能な範囲で本当に便利なものは受け入れようという流れがあるのかもしれない。非金融と金融の視点を融合し、既存インフラの改善、または創造的破壊を起こすべきだと思っているのはスタートアップだけではないようだ。そのような流れのなかで、どのような新しいサービスが生まれるのか、注目したい。

LINEが仮想通貨事業などの金融事業への参入を本格化、新会社を設立

モバイル決済サービス「LINE Pay」がリリースされたのは、2014年12月のこと。3年を経過して、2017年には全世界での年間取引高が4500億円を超え、登録ユーザー数は4000万人となった。そのLINE Payに続き、LINEがついに、というか、ようやく、というべきか、仮想通貨取引所などをはじめとする金融事業に本格的に乗り出す。

1月31日、LINEは金融事業関連の新会社「LINE Financial」の設立を発表した。1月10日に資本金50億円で設立された新会社の代表取締役には、LINE代表取締役社長の出澤剛氏が就任している。

LINE Financialでは、仮想通貨交換や取引所、ローン、保険といった金融関連サービスを、コミュニケーションアプリのLINE上で提供すべく準備を進め、金融事業の拡大を図っていく。また、現在メッセンジャー運用で培ってきたセキュリティへの対応に加え、ブロックチェーン技術などの研究開発も推進することで、安全で便利な金融サービスの提供を目指すという。

仮想通貨事業関連に関して、同社は既に金融庁への仮想通貨交換業者登録のための手続きを開始し、審査中とのことだ。

ブロックチェーン活用のブラウザ「Brave」、ユーザーがサイトにチップする機能を提供

ブロックチェーンを基盤とするブラウザを制作するBraveは、今年の初めイニシャル・コイン・オファリング(ICO)で3500万ドルを調達した。そのBraveが今回、新しい方法でパブリッシャーに報酬を提供するエコシステムの確立に向け、一歩を踏み出した。

Braveの特徴の1つは、独自の通貨であるBAT(Basic Attention Token)を使い、従来のオンラインパブリッシングにおける資金の流れを大きく変えようとしている点だ。Braveはブラウザを使用するユーザーに対して報酬を与え、同時に目障りな広告を抑制し、より関連性の高い広告を促進する。もう1つのBraveの特徴は、読者がBATを使って、アクセスするウェブサイトのコンテンツ製作者に対し、報酬を提供できるようにすることだ。

今回のBraveの取り組みは、そのような施策だ。Braveは、合計30万BATトークン(約6万ドル相当)を今後30日間でユーザーに提供する。ユーザーは通常Braveを使用することでトークンを獲得する。しかし、今回のプロモーションでは追加のクレジットがユーザーのウォレットに配布され、ユーザーはそのクレジットをパブリッシャーやYouTubeチャンネルの運営者らに直接提供することができる。

Braveは月間100万人のユーザーを持ち、パブリッシャーには1100以上のウェブサイトと600以上のYouTubeチャンネルがあるという。この数字を考慮すると、これはかなり大きな動きと言えよう。YouTubeは先月Braveに加わった

トークンを提供する通知

今後30日間(もしくは割り当てられたトークンの配布が終了するまで)で、ユーザーは最大5ドル相当のBATを獲得し、Braveウォレットに追加される。ウォレット残高は、ウェブサイトで費やした時間に基づき、訪問したウェブサイトに対する「チップ」として使用できる。

デフォルトでは、Braveのユーザーが同社公認のウェブサイトやYouTubeチャンネルを閲覧した時間に基づき、チップを付与する。この設定を変えることも可能で、ユーザーは好きなウェブサイトにチップを多く割り当てることができる。

Brave Paymentsのデフォルト設定では、同社公認のウェブサイトで費やされた時間に基づき、ウォレットが配分される。

Braveはこの施策で、ユーザーのウォレット残高を底上げする。これによりユーザーはコンテンツ制作者により多くチップを提供することができるようになる。コンテンツ製作者は得たBATを法定通貨に換金できる。

「これは、公平な取引に向けてユーザーを支え、有害な中間業者を排除するために必要な多くの段階の1つだ」。Mozilla前CEOで現在BraveのCEOを務めるBrendan Eichは、声明の中でTechCrunchにそう述べた。

「我々は、善意の貢献からユーザー助成金、そして広告収入の大半をユーザーと共有するプライベート広告へと移行しており、外部関係者(Braveを含む)によるターゲット設定や追跡は行わない」とBrendanは付け加えた。

その他多くのICOプロジェクトとは異なり、Braveはブラウザというプロダクトを提供することができている。しかし、プロジェクトの全面的な展開には時間がかかるだろう。支払いのオプションやYouTubeは2ヶ月前に追加されたばかりだ。だがBraveは、トークンの販売を通して資金調達を行った多くのプロジェクトよりは進んだ段階にある。

ICOに先立ち、Braveは通常のベンチャーキャピタルからの投資により600万ドルを調達している。

 

[原文へ]
(翻訳:Keitaro Imoto / LinkedIn / Facebook

TransferWiseが巨額$280Mの資金調達を発表、既存株の現金化もあり

国際送金サービスのTransferWiseは、ヨーロッパでは名の知られたユニコーンのひとつだが、本日(米国時間11/1)、シリーズEのラウンドによる2億8000万ドルの資金調達を発表した。ラウンドをリードしたのは資産管理企業Old Mutual Global InvestorsとシリコンバレーのVC企業IVPで、私の理解では一部の既存株の買い上げも含まれるため、額面全額が同社のバランスシートに載るわけではない。

TransferWiseは2017年の前半以来黒字だが、情報筋によると、この創業7年の企業の評価額は16億ドルだった。

このラウンドに参加した新しい投資家は、シリコンバレーのSapphire Ventures、日本の Mitsui & Co, Ltd(三井物産)、そして米日ベンチャー企業World Innovation Labだ。既存の投資家Richard Branson, Andreessen Horowitz, Baillie Giffordも参加し、同社のこれまでの総調達額は3億9700万ドルとなった。

同社は送金手数料に関する顧客への透明性で評判が良いけど、今回の資金調達の、新たな授権資本と二次的投資(既存株売却)の比率は公表していない。

Sky Newsの前からの報道では、ファウンダーのTaavet HinrikusとKristo Kaarmannなど、一部の社員も持ち株の一部を売ることができた。それとは別にSeedcampが最近、その二つのファンドをロンドンのVC Draper Espritに売ることの一環としてTransferWiseの持ち株の残りを現金化した。このプレシードとシード段階の投資家は、すでに1月に同社の少数株主としての持ち株を売っている。

こういう話を総合すると、TransferWiseの上場の可能性は、まだまだ先のようだ。

非常に稀(まれ)な休暇でペルーにいたCEOのHinrikusは、今回の投資に社員の持ち株売りが含まれることは事実だが、このきわめて大きなラウンドの本意は、TransferWiseのバランスシートを健全化して今および近未来の機会追求に備えるためだ、と述べた。

機会として大きいのは、とくにアジア太平洋地区を中心とするグローバルな拡張だ。すでに同社はシンガポールにハブがあり、同社のBorderlessアカウントのさらなる開発に注力している。

5月にローンチしたBorderlessアカウントは、複数の通貨および複数の国でビジネスをする企業や個人が、TransferWiseの安い手数料で国際間振替/送金をする仕組みだ。

TransferWiseの、デビットカードなど消費者バージョンは、2018年の早期にイギリスとヨーロッパでローンチする。それによってTransferWiseは、Revolutなどの新進フィンテックスタートアップや、数多い中小銀行(challenger banks)と比べて優位に立つだろう。

しかし、前にも述べたように、そのほかのフィンテックスタートアップたちも、安い手数料の銀行口座を提供したりしているから、必ずしも安泰な機能の差ではない。私がふざけ半分でRevolutと比較すると、 Hinrikusは“重要なのはフォーカスだ”、と答えた。つまり彼が強調するのは、TransferWiseのコアビジネスがあくまでも、お金を世界中で移動すること、すなわち国際的な送金サービスであることだ。

同社にとっては、送金のニーズがどこでどう発生しても関係ない。同社のインフラストラクチャの上でお金の移動が増えれば、それで良いのだ。それには、消費者であれ中小企業であれ、TransferWiseのアプリやサービスが使われてもよいし、それらがサードパーティに統合されていてもよい。また、同社のBorderlessアカウントが使われてもよい。これら三つのケースで、どの場合でも同社の売上が発生する、とHinrikusは語る。

競合する中小銀行(challenger banks)と同社を比較すると、TransferWiseのBorderlessアカウントでは、複数通貨の口座が同社の中核ビジネスである国際送金サービスの機能であるのに対し、小銀行の場合は送金や通貨交換(両替)が銀行口座(単一通貨の口座)の機能であることだ。前者(TransferWise)では、銀行口座そのものは無関係だ。しかしHinrikusは、最近では銀行ともパートナーしているし、またフィンテックスタートアップに対しても、すでにN26と、そしてもうじきStarlingとも提携する、と言ってこの単純な比較を否定した。

彼がさらに強調するのは、TransferWiseが消費者や企業が直接利用する国際的送金サービスであり、まだまだ課題は大きいし多い、ということ。今彼が熱中しているのは、インドへの進出だ。でも最近彼はブラジルへ行ったから、そっちが先かもしれない。

一方、最新の数字では、同社のイギリスでのマーケットシェアが10%で、Hinrikusによるとほかの国もそれに近づきつつある。同社の現在のユーザー数は200万あまり、通貨交換(両替)ルートは750種、そして各月の送金額は10億ポンドを超える

その他記事

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

未払い請求書への対応を自動化するYayPayが$5.3Mを調達、新たに入金予報機能を導入

本誌TechCrunchのStartup Battlefieldに出てから2年になるYayPayが、530万ドルをQED Investors, Birchmere, Fifth Third Capital, それに500 Fintech Fund, Aspect Ventures, Gaingels, Techstars, Zelkovaなどから調達した。

YayPayは会社の経理部の仕事を最適化する。とりわけ、これまではあまりにも多くの中小企業が、未払い請求の催促をめぐって大量の時間を浪費していた。YayPayはそういう請求書の追跡を自動化し、状態のチェックや、リマインダー(この場合“督促状”)の送付を行う。

最近同社は、キャッシュフローの予報機能を導入した。YayPayは過去の請求〜支払い状況を見て、今の請求の支払日を予言する。そうやって入金の期日が分かれば、会社の銀行口座の近未来の残高も予測できる。

このサービスは既存のERPとの統合もでき、またチームでコラボレーションしながら利用できるから、今だれが何をやってるか分かり、放置されていた顧客にも対応できる。

また、このサービスの管理コンソール上で過去の請求書を調べ、履歴データを作れる。これまでYayPayが処理した請求書は15万あまり、それは1億ドル以上の売掛金(受取勘定)に相当する。

  1. screenshot-2017-09-11-15-51-14.png

  2. screenshot-2017-09-11-15-51-25.png

  3. screenshot-2017-09-11-15-51-35.png

  4. screenshot-2017-09-11-15-51-40.png

  5. screenshot-2017-09-11-15-52-07.png

  6. screenshot-2017-09-11-15-52-57.png

  7. screenshot-2017-09-11-15-53-06.png

  8. screenshot-2017-09-11-15-53-12.png

  9. screenshot-2017-09-11-15-53-21.png

  10. screenshot-2017-09-11-15-53-45.png

  11. screenshot-2017-09-11-15-53-56.png

  12. screenshot-2017-09-11-15-54-38.png

  13. screenshot-2017-09-11-15-54-48.png

  14. screenshot-2017-09-11-15-54-56.png

  15. screenshot-2017-09-11-15-59-08.png

  16. screenshot-2017-09-11-15-59-22.png

  17. screenshot-2017-09-11-16-01-16.png

  18. screenshot-2017-09-11-16-03-47.png

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Googleがインドでローカルモバイル決済サービスを始める模様

インドに本拠を置くニュースサイトKenのレポートによると、インドに焦点を当てつつあるGoogleは、来週早々にもローカライズされたデジタル決済サービスを導入する計画だ。

報告でGoogle ‘Tez’(「迅速」という意味)と呼ばれるこのサービスは、既存のGoogle WalletやAmdroid Pay以上に包括的な支払手段を提供する。例えば、Tezは、政府によって支えられた支払いシステムであるUnified Payments Interface(UPI)や、その他の消費者向け支払いサービスであるPaytmやMobiKwikなどへのサポートを提供する予定だ。明らかに最初から専用アプリとして提供されるようだ。

Googleはコメントを拒否した。

Googleは米国以外では支払いに対して大きな努力はしておらず、インドでの消費者のプレゼンスは強いものの、インドからの収益に関してはまだ特筆すべきものはない。そうした点を考慮すると、これは大変なことである。

強気に出る理由は沢山ある。インドのインターネットユーザーベースとスマートフォンセールスの急速な成長を受けて、同国は既に世界2番目の巨大スマートフォン市場になっている。そしてデジタルペイメントはロケットのように急速に上昇し2020年迄には年間5000億ドルにも達するだろうと言われている —— この予想はBCGと(…ここでドラムロール…)Googleによるものだ

その可能性は既にFlipkartWhatsAppTruecallerのようなテクノロジー企業を引き寄せ、その世界での展開が始まっている。しかしその消費者サービスと(インドでは支配的なスマートフォンOSである)Androidと組み合わさった徹底したプロダクトによって、Googleは優勢になる可能性がある。

情報源によれば、Kenは政府の書類を掘り起こして、GoogleがTezという名前のプロダクトをインドで公開する情報を掴んだのだと言う。また、興味深いことに、国際的な展開も計画されているように見える。なぜなら検索の巨人はTezの商標を少なくともインドネシアとフィリピンで登録しているのだ。

Googleは、インドで相当量の開発リソースを使っている。また最近では、それ以上に東南アジアに対してそのNext Billion Users (NBU:次の10億ユーザー)プログラムを通してリソースを投入している。この中には無料の公共/鉄道駅Wi-Fiデータ最適化バージョンのYouTube、そして手頃な価格の端末用のAndroid OneおよびAndroid Goオペレーティングシステムなどが含まれる。またNBUチーム立ち上げのためにインドシンガポールで人材を確保し地域の技術的才能を磨き上げようとしている。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

FEATURED IMAGE: JON RUSSELL/FLICKR UNDER A CC BY 2.0 LICENSE (IMAGE HAS BEEN MODIFIED)

銀行などのローンの申し込みを脱紙脱電話してネット化するOriginal TechがY Combinatorから巣立つ

アメリカ人は毎年、金融製品(主にローン)の申込を2億5000万件以上行っているが、その多くは紙の上や電話で完結している。そこでOriginal Techは、ローンの申込をオンラインで完結させるホワイトレーベル(==ユーザー各自が完全カスタマイズする)のソフトウェアを銀行等に提供して、この状況を変えようとしている。

大手金融機関の多くは、内部に技術者チームを抱えて、主に消費者製品の改良に努めているが、中小企業向けの製品や、小さな銀行、クレジットユニオン、ノンバンクの貸し方などの世界では、顧客と物理的に対面する営業方式にはなかなか勝てない。そこを、Original Techはなんとかしようとする。

貸し方がそのソフトウェアを利用すると、借り手はローンの申込をデスクトップコンピューターやタブレット、スマホなどからできるようになり、紙の書類やFAXの文書に手書きで何かを書き込む手間がなくなる。

ソフトの利用者である貸し手は、データの収集や詐欺の防止、コンプライアンスへの準拠などが、このソフトにより自動的にできる。しかもそれらは貸し手のそれまでのワークフローの一環としてでき、査定のルールなども従来のままである。

Original TechのファウンダーHeang ChanSean Li、そしてChris Blaserは全員が、住宅ローンの借り手にテクノロジーによるソリューションを提供してきたB2Bのフィンテク企業Blendの社員だった。そのBlendと同じくOriginal Techも、借り手の申し込みプロセスから苦痛を取り去り、申し込みの完結件数を増やし、それにより貸し手が認めるローンの件数を増加しようとする。

Blendはもっぱら、住宅ローンの申し込みをネット化するホワイトレーベルのツールを提供しているが、Original Techはローンの種類やタイプを限定しない。

またBlendが主に大手金融機関を顧客として、トップダウン的に利用者に対応するのに対し、Original Techは中小の金融機関を対象として、彼らのところにおける技術者不在を補完しようとする。その方が市場機会が大きい、とファウンダーたちは見ている。

Blendはこれまでに6000万ドルの資金を調達しているが、Original Techはエンジェルたちの資金でささやかにスタートしたばかりだ。同社は近く、Y CombinatorのSummer 2017の学期を卒業する。

しかしOriginal Techにはすでに10社の顧客がいる。それらは、Metropolitan Capital Bank, Rockhold Bank, Conventus Lending, Guarantee Mortgage, Loan Factory, Pacific Private Money, Clear Choice Creditなどだ。来週行われるデモデーでは、もっと資金を集め、関心を持つ顧客をもっと増やしたい、と考えている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ソフトバンク、小規模事業者向けローンプラットフォームKabbageに2.5億ドル投資

Kabbageは、種々のデータに基いた信用情報を使って小規模事業者や個人に少額の資金を自動で貸し出すプラットフォームを運営している。11万5000人の顧客と35億ドルのローン金額を誇る同社は、本日(現地時間8月3日)大型資金調達について発表した。

Kabbageはこの度開催されたシリーズFで、ソフトバンクから2億5000万ドルを調達。Kabbageの共同ファウンダーでCEOのRob Frohweinによれば、調達資金はアメリカ国内での事業拡大や各業種の状況にあったローンを提供するための分析ツールの開発、アジアをはじめとする新市場への進出、決済サービスのような新たなプロダクトを獲得するためのM&Aなどにあてられる計画だという。

これでKabbageの累計調達額は5億ドル(+35億ドル分の借入)に達し、同社の10億ドル超の評価額にもさらなるはずみがつくだろう。

Kabbageを知らない方のために説明すると、同社は2015年のシリーズEで1億3500万ドルを調達した際に、評価額が10億ドル超のいわゆる「ユニコーン」企業の仲間入りを果たした。今週本誌が行ったインタビューでは、CEOのFrohweinが具体的な評価額に触れることはなかったが、今回の資金調達が「有意義なアップラウンドだった」と彼は語っていることから、おそらく現在の評価額は12億5000万ドルから20億ドルの間といったところだろう。

アトランタで2009年に設立されたKabbageは、ビッグデータを使ったローンサービスを提供する企業の中では草分け的な存在だ。同社は企業や個人のソーシャルメディア上のプロフィールから、QuickBooks(会計ソフト)のアカウント情報、さらには大局的なマクロデータまで、何百という情報源から顧客のデータを入手し、貸出の可否やローン金額を決めている。

OnDeckCan Capitalをはじめとする小規模事業者向け貸出プラットフォームの疑わしいビジネスモデルが取り沙汰され、オンラインローン業界全体が揺れ動く中、Kabbageはそれをものともせずに成長を遂げた。Frohweinはビッグデータの活用をその理由に挙げ、150万以上のデータポイントをもとに借主の信用力を判断しているからこそKabbageのビジネスはうまくいっているのだと語った。

「少し前にオンラインローン業界が窮地に立たされたとき、Kabbageの社員はみんな不安な表情を浮かべていました。でも私はそこで『ようやくだな!』と言ったんです」とFrohweinは当時の状況を語る。「そのとき何が起きたかというと、自分たちのソリューションを差別化しようと努力していた企業とそうでない企業の間に明確なラインが引かれたんです。つまり、業界全体がむやみに持ち上げられる流行期を過ぎたということです。その結果、少数の優秀な企業だけが生き残ったと。Kabbageはその中に含まれると考えています」

また彼は、Kabbageのローン事業は黒字だが、プラットフォーム事業はまだ利益が出ていないと語った。後者は2015年にローンチされた新事業で、Kabbageを含むローン事業者にオンラインプラットフォームを提供するものだ(顧客にはKarrotと呼ばれる消費者向けローン事業を運営するKabbage自体に加え、ING、Santander、Scotiabankといった大手金融機関も含まれている)。「会社全体としては第4四半期にはGAAPベースで黒字になる計画です」とFrohweinは付け加えた。

Kabbage以外にもビッグデータ戦略を採用しているフィンテック企業が存在する。具体的にはKreditech(銀行のサービスを受けられない人に対してクレジットスコアを作る手助けをしており、Peter ThielとNaspersを株主に持つ)やFundbox(こちらもJeff Bezosを含む多くの面白い投資家を株主に持つ)、BlueVine(Citi Groupらの投資先)がその一例だ。しかしKabbageはデータの活用方法を次のレベルへ引き上げようとしている。

ひとつめの戦略が業種やビジネス形態に基づいたローン商品の開発だ。例えば建設業と飲食業では、キャッシュフローにかなり大きな違いがある。そこでKabbageは各企業の実態に合ったローンを提供し、不必要なデフォルトや障壁といった、借主に関する十分な情報があれば避けられるはずの問題を解消したいと考えているのだ。

また、Kabbageの顧客は他社に比べてロイヤルティが高いと同社は話す。Frohweinによれば、平均的なユーザーは3〜4年間に20回もKabaggeからローンを借りる一方、業界平均は2.2回だという。

調達資金の使途として挙げられた、M&Aや新プロダクトのローンチにも注目だ。Kabaggeが業界統合を狙ってOnDeckを買収するのではという話もあったが、情報筋によればこれは単なる憶測に過ぎず、M&Aの狙いは業界統合よりもプラットフォームに新たなサービスを追加することなのだという。

Frohweinから新プロダクトのローンチやM&Aに関して具体的な話はなかったが、彼は決済が現在興味を持っている分野であることは認めた。

「PayPalとSquareは単なる決済サービスから発展して、今では企業向けのローンサービスを提供しています」と彼は語る。「この2種類のサービスの間にはかなり深い関係がある、と考える企業が存在するのは間違いありません。そう考えると、私たちが決済事業を始めるのも全くの的はずれではありませんよね」

最近ソフトバンクは1000億ドル級の巨大な「ビジョン・ファンド」を通していくつかの大型投資を行っているが、今回のKabbageへの出資はソフトバンクグループが直接行ったものだ(不思議なことに1000億ドルと比較すると2億5000万ドルという額が大したことないように感じられてしまう)。将来的にはビジョン・ファンドとも関わるようになるかもしれないが、少なくとも今のところは、ソフトバンクによる投資がかなり面白いチャンスに繋がる可能性がある。

両者のコラボレーションは大きくふたつの形をとることになるだろう。ひとつめはKabbageのローン事業・プラットフォーム事業のさらなるアジア展開だ(現在アジアではホワイトラベルのプラットフォーム企業として営業している)。

ふたつめは、ソフトバンクグループの投資先との協業だ。この点に関してはまだ何も発表されていないが、ソフトバンクはSpring(多くの小規模事業者を顧客に持つ)、Lyftをはじめとするライドシェアリング企業各社(個人事業主という小規模事業者に依存)、SoFiなどさまざまな企業の株主を務めている。

そう考えると、Kabbgeへの出資は、ソフトバンクのネットワークを活かせそうな企業を狙った賢い投資だと言える。

「ソフトバンクは新しいテクノロジーやデータの力を使って、顧客体験を変え、市場を拡大しようとしているマーケットリーダーに投資しています」とソフトバンクグループで役員を務めるDavit Thevenonは声明の中で述べた。「Kabbageへの投資を決めた理由は、同社がオープンデータを利用したユニークな自動ローンプラットフォームを運営していること、そして世界中の小規模事業者を支える存在としてのポジションをうまく確立したことです」

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake

タイのフィンテクスタートアップOmise、”節度を持った”ICOで2500万ドル調達

さすがにICOという言葉を聞いたことがないという人の数は減ってきただろう。今年に入ってからだけでもICOによる調達金額は5億ドル以上にのぼる。その一方で、未完成のプロダクトや、まだ真価が問われていないチームに不相応なほど巨額な資金が集められているとも言われている。

そんな中、この度ある企業が、ICOにも良識あるやり方が存在するということを証明できたかもしれない。

タイに拠点を置くフィンテックスタートアップのOmiseは、トークンの販売を通じて新たに2500万ドルを調達したと発表した。本日(現地時間6月5日)トークンの販売を終了した同社は、これまでICOを行った企業の中ではもっとも実績のあるテック企業だ。

ICO以前にもVCから2000万ドル以上を調達していたOmiseは、既存の金融システムに革新を起こすべく、調達資金を使ってOmise Goと名付けられた分散型の決済プラットフォームを開発する構えだ。銀行口座を持っていない人でも、諸々の手数料なしにネットワーク上で資金のやりとりをできるようにするというのがOmise Goの根幹にあるアイディア。P2P決済以外にも小売企業とタッグを組んで、ものやサービスを購入できるようにしたり、他の決済サービスと接続したりということも同社は考えている。

Omise Goは現在開発中で、第一弾となるサービスやプロダクトは今年の第4四半期中にはリリースされる予定だが、全てが使えるようになるのは来年の後半くらいになると同社は話す。Omise Go上では、ICOで売りに出されたERC20準拠のトークン、OMG(Omise Go独自の仮想通貨)が使われることになる。さらにOMGの所有者は、ネットワークの運営を手伝うことで収入を得られるような仕組みになる予定だ。これは昔のソフトウェアライセンスの考え方に近く、イーサリアムを開発したVitalik Buterinの意向もここには反映されている。なお、Buterinは現在「Casper」と呼ばれる、プルーフ・オブ・ステーク機能(日本版注:プルーフ・オブ・ワークの代替システムにあたり、トークンの保有割合でブロックの承認割合を決めるというもの)をイーサリアムに導入しようとしている。

OmiseのコアビジネスはStripeのようなオンライン決済サービスで、現在はタイ、日本、インドネシアの3か国で営業しているが、数年前からブロックチェーン技術に興味を持ち始めたとCEOの長谷川潤氏は語る。同社は2015年にEthereum FoundationのDevgratsプログラムに10万ドル出資し、Microsoftらとともに最初の支援企業のひとつとなった。しかも、このときはまだブロックチェーン技術を使ってOmise Goのようなビジネスを立ち上げるというアイディアは生まれていなかった(OmiseはEthereum Foundation出身者をOMG開発のために雇い、Buterinも顧問として同社に参加している)。

なお、発行されたOMGの65.1%がICOで売りに出され、5%が”エアドロップ”としてイーサリアム保有者に、残りは一部がOMGとOmiseの開発・運営資金に使われ、あとは投資家とチームメンバーに分配される予定だ。

Omise Goのチームと顧問のButerin、Lightning Network開発者のJoseph Poon

OmiseのICOは色んな意味で注目に値するものだった。まず、これまでは設立間もない若い企業が、確立されていないプロダクトと野心だけで資金を調達するために採用されることが多かったICOだが、Omiseは既に名の通った企業だ。

また、今回のICOはプロセスがきちんと管理された初めての例だった。

ICOで大きなリターンを得られるという評判が広がるうちに、ゴールドラッシュのようにいくつもの企業がICOに飛びつき、それぞれ何千万ドルという資金を調達したが、Omiseは調達額に2500万ドルという上限を設けたのだ。ここ数か月だけでも、ブラウザを開発するBraveが1分以内に3500万ドルを調達し、無名のフィンテック企業TenXが8000万ドルを、そしてICOを支える技術を開発しているBancorも1億5000万ドルを調達した。さらに、物議を醸したEOSも1年間におよぶキャンペーンを経て、ICO最高額とも言われる1億8500万ドルを調達した。

OMGのICOでは、上記の例とは対照的に上限が設定されていた。当初Omiseは調達額を2000万ドル未満におさえるつもりだったが、投資家からの需要に応えるため2500万ドルまで調達額を引き上げることに。また、最初は400万ドル分のOMGを、仮想通貨に興味を持った従来の投資家に向けて一般販売開始前に売り出そうとしていたが、これもあまりの需要に不可能だということがすぐにわかった。

長谷川氏によれば、一般販売はおろか事前販売への反応だけを考えても、やろうと思えば簡単に1億ドル調達することもできたが、Omiseは金額をおさえて「節度を持った」資金調達を行うことに決めたのだという。さらに同社は、他社のICOで見られたように潤沢な資金を持つ少数の投資家がトークンを独占するようなことがないよう対策を練っていた。

結果的に、当初予定されていた一般販売はキャンセルされ、より安定的で管理された手段をとろうということになった。そこでOmiseは、購入希望者は指定された証券会社に情報を登録しなければいけないようにし、ひとり(1社)が購入できる量にも制限を設けることにした。

「KYC(本人確認)を済ませた人に対してのみOMGを売り出し、少数のお金持ちがトークンを買い占めてしまうことがないようにした。(Braveの)Basic Attention Token(BAT)では実際に買い占めが起きていた」と長谷川氏は声明の中で述べた。

「他社のICOとは違い、私たちは上限額の2500万ドル以上調達する気はなかった。というのも、現状の目標を達成する上で、それ以上の資金は必要ないと判断したのだ」と彼は付け加える。「必要以上の資金を調達するのは、無責任だし非生産的だと考えている」

EOSの件もあり、ICOは単に企業と投資家がお金をつかむための手段だという認識が広がっている中、Omiseがこのようなアプローチをとったのは興味深い。ICOが多大な可能性を秘めているというのは間違いないが、コンセプトとしてかなり新しいため、まだその実態はつかめていない。しかしOmiseのように責任感を持って、きちんとICOのプロセスを管理する企業が増えてくれば、疑いの目を向けている人たちも納得し、テックコミュニティはICOの真の力を発揮できるようになるかもしれない。”腐ったミカン”をそのままにしておくにはもったいないということだ。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake

チャレンジャーバンクの波が法人にも――仏Qontoが1130万ドルを調達

フランス発のスタートアップQontoが、既存株主のValar VenturesAlven Capitalから新たに1130万ドル(1000万ユーロ)を調達した。現在彼らは法人向けサービスも提供しており、ウェブサイトからフランスの法人口座を簡単に開設することができるようになっている。

Qontoの目標はN26の法人版のような存在になることだ。リテールバンキングはここ数年間そこまで大きな変化を見せていないが、ビジネスバンキングの状況はさらに悪く、昔からほとんど何も変わっていない。手数料は高く、何をするにも時間がかかってしまう。

同社のサービスはデスクトップ版とモバイル版の両方が準備されており、ユーザーは口座への送金・入金を含め全てを管理することができる。利用料はフランス銀行口座(IBANも付与される)にMasterCardが1枚付いて月額9ユーロだ。

もしも新しいカードが必要であれば、1枚あたり月額5ユーロ、さらにバーチャルカードであれば月額2ユーロで発行できる。ユーザーの管理も一括で行えるため、新しい営業担当者を雇った際には、新しいカードの発行を依頼するだけでよく、モバイル端末やパソコンからその明細を確認できる。

さらにモバイルアプリには、カードのブロックや解除、暗証番号の変更、カードが使われたときにリアルタイムで通知を送る機能が搭載されているほか、限度額の変更や会計会社との明細共有も簡単に行える。

レシートをアップロードして対応する経費に紐付ける機能などもこれから導入される予定のため、会計会社や経理担当者は大助かりだろう。他通貨での送金プロセスも今後簡素化されるようだ。

今後Qontoの口座はStripe、PayPal、GoCardlesといったサードパーティーのフィンテックサービスとも接続される予定で、ユーザーはさまざまなプラットフォームの支払情報を一括管理できるようになる。

Qontoはバックエンドの処理をパートナー企業のTreezorにアウトソースしており、彼らがユーザーのお金を実際に動かしている。また、当座預金口座の開設やデビットカードの発行もTreezorが行っており、Qontoはユーザーエクスペリエンスや顧客との関係維持など、フロントサイドの業務を担当している。

細かな違いはありながらも、フランスのiBanFirst やアメリカのSeed、イギリスのTideなども似たようなサービスを提供しており、Tideは昨日1400万ドルを調達したと発表したばかりだ。市場の細分化が進んでいるように見える一方で、このような大型資金調達のニュースを聞くということは、法人向け金融サービスに大きなチャンスが眠っているということなのだろう。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

モバイルウォレットのCurve:どのカードに請求するかを「時間を遡って」あとから変更できるようになった

モバイルウォレット兼all-in-card-in-one(全てのカードを一箇所に)アプリであるCurveは、支払いに使用したカードを、遡って切り替えることができる素敵な新機能の展開を始めた。

大胆にも「Financial Time Travel(金融タイムトラベル)」と呼ばれている、当初ユーザーたちの要求で始まり現在パテント出願中のこのオプションは、特定の買い物に対して、ユーザーがCurveに関連付けている銀行やクレジットカードの中からどれを使うかを、最大2週間以内なら変更できるというものだ。

たとえば、あなたの経費勘定のクレジットカードではなく、あなたの個人口座のデビットカードに誤って仕事の昼食を請求をした場合、単純に「時間を遡って」Curveが請求の取り消しや払い戻しを行い、正しいカードに請求し直してくれる。

なぜこれが重要で、本当に必要なものなのかを理解するために、Curveの中核サービスを要約しよう。このモバイルウォレットでは、デビットカードとクレジットカードを、MasterCardと提携したCurveカードと共にアプリにリンクすることができる。Curveアプリを使用すると、オフラインまたはオンラインで行う支払いのためにCurveカードを他のカードの代理として振る舞わせることが可能になる。つまり物理的に持ち歩くカードはCurveカード一枚で済むということだ。

しかし、問題は、Curveで何かの支払いを行なったものの、どのカードが現在請求先に設定されていたかを忘れていた場合だ。あるいは更に悪いことに、携帯電話の受信状態が悪い地域にいるために、購入前にCurveアプリを使って請求先カードを切り替えることができない場合もある。今回登場した新しい機能は、両方のケースを緩和するものだ。

もしあなたがこれまでに、Curveの共同創業者でCEOのShachar Bialickと時間を過ごしたことがあるならば、特に驚きはないかもしれないが(何しろ彼は1時間のうちに話が遥かに進み、常に3歩先を考えているのだ)、実はこの先には更に大きなビジョンが控えているのだ。「時間を戻り」遡及的に支払い元を変更する能力は、将来的には異なるクレジットカード提供者をお勧めするチャンスをもたらすのだ。

例えば、Curveは、ユーザーが高額商品(例えば新しいテレビ)を購入しようとする際に、クレジットカード枠が足りないことを検知して、他の低金利の「事前承認済み」ローンに切り替えることが可能だ。これは銀行や他のクレジットソースとの提携することで可能になる。

この先提供される予定のCurveの機能”Curve Connect”とうまく連携して、アプリは他のフィンテックもしくはデジタルファイナンスサービスとの接続を始めることになる。これはCurveのロードマップ上に載せられたフィンテック集約戦略(fintech convergence strategy)を実現するものだ。長期的には、Curveはお金に関する管理を一手に引き受けるプラットフォームになりたいと考えている。本質的には、ユーザーがコントロールを手にして、自由にパートナシップを結べるように、金融サービスを再バンドルしようということだ。

一方、Curveは最近、5万人を超える加入契約を締結したことを発表した。また、Curveアプリによって5千万ポンドの支払いが処理されていることも発表されたが、月間アクティブユーザー数は公開されていない。スタートアップのシリーズAは数週間以内に公開される筈だ。同社には既に、Seedcamp、送金スタートアップTranferWiseを共同創業したTaavet Hinrikus、Challenger Bank TandemのRicky Knoxといった多数の著名投資家が名を連ねている。

こうしたものが好きな人のために、最後にCurveのファンシーなプロモーションビデオを紹介しておこう:

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

Finalなら無制限にバーチャルクレジットカードを発行できる――登録後の即時利用も可

Finalと呼ばれるスタートアップがクレジットカードの使い方を変えようとしている。むしろ彼らは、消費者のライフスタイルに合うようにクレジットカード業界を変えようとしている、と言った方が正しいかもしれない。1%のキャッシュバックボーナスと年会費無料という金銭的なメリットも備えているFinalだが、1番の売りは利用場面に応じて複数のバーチャルカードを使えるというサービスの柔軟性にある。

もしもあなたが平均的なTechCrunchの読者であれば、恐らくSpotifyとNetflixのアカウントは持っているだろうし、他の動画配信サービスにも登録しているかもしれない。そしてAmazonにはクレジットカード情報が登録されていて、Amazon以外のECサイトでも買い物をしているだろう。もしかしたら、数年前に流行ったサブスクリプションボックスの料金も未だに毎月払っているかもしれない。

モノやサービスを購入する場はだんだんとオンラインに移行し、恐らくあなたは1枚のクレジットカードで全ての支払いを行っているだろう。

しかし、もしもそのカードを失くしたり、そのカードが盗まれてしまったら何が起きるだろうか? もちろん新しいカードを発行しなければいけないが、それは始まりに過ぎず、他にも面倒なことがある。新しいカードが発行されたら、自分が登録しているサービスやECサイト、月額制のソフトなどのカード情報をアップデートしなければいけないのだ。

では、それぞれのサービスに応じて、個別のカード番号を手に入れられるとしたらどうだろうか? しかも、それぞれの支払い金額を、月ごとにまとめて精算できるとしたら?

これこそ、Finalが提供しているサービスなのだ。FInalのユーザーは、さまざまなオンラインサービスで使えるバーチャルカードを無制限に発行することができる。そして、もしもバーチャルカードのひとつに問題が生じたときや、単にサービスをキャンセルしたいときには、そのバーチャルカードを削除するだけで済む。

Finalに登録すると一応プラスチックのカードも発行されるが、ユーザーがそれを使うことは一度もないかもしれない。また、プレスチックカードはユーザーがFinalから受け取る最後の郵送物になる。明細を含めた全ての情報はオンラインで提供されており、何か問題があったときのサポートもメールが中心だ。

つまり、Finalは今日の消費者が求めるような仕組みを備えたクレジットカードを作ろうとしているのだ。消費者はペーパーレスで柔軟性のあるサービスを求めており、さらにはオンラインサービスの登録やキャンセルをもっと手軽に行いたいと考えている。

また、申請後すぐにサービスを使いたいという消費者の要望に応えるため、Finalは必要な情報を受け取り次第、即時バーチャルカードを発行している。そのため、ユーザーはプラスチックのカードが郵送されてくるよりも先にバーチャルカードを利用できるようになる。

上記のサービス全てを実現するために、Finalのチームは2年以上の時間をかけてゼロからシステムを構築し、今ではほぼ無限にバーチャルカードを発行できるようになった。この強力なシステムをたずさえて、Finalは6兆ドルとも言われる消費者向けクレジットカード市場に乗り込もうとしている。その一方で、単独で使えるクレジットカードの発行・管理ソリューションを求めている企業も、Finalのサービスに興味を持つ可能性は十分にある。

同社はこれまでに400万ドルを調達しており、投資家には1776やCanyon Creek Capital、DRW Venture Capital、Kima Ventures、KPCB Edge、Ludlow Ventures、Michael Liou、Right Side Capital Management、T5 Capital、Wei Guo、Y Combinator、Zillionize Angelらが名を連ねている。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

フィンテック企業たちに、銀行への簡単なAPIを提供するTrueLayerが、シリーズAで300万ドルを調達

ロンドンのスタートアップTrueLayerがシリーズAで300万ドルを調達した。同社は、フィンテック企業たちに対して、銀行APIに簡単にアクセスし、PSD2で儲けるチャンスを掴むためのプラットフォームを提供する。今回のラウンドは、既存の投資家であるConnect Venturesの参加を受け、Anthemis Groupの主導で行われた。調達された資金は、TrueLayerによって、チームの拡充と、今年の後半に予定されているベータテスター以外への公開に向けて、カバーする銀行の数を増やすために用いられる。

欧州連合(EU)によるSecond Payment Services Directive(PSD2:決済サービス司令2)は、2018年1月までに各国の法律に組み込まれなければならないが、EUの中で営業する銀行たちに読み出しならびに書き込みアクセスの提供を強制するものになる。口座名義人の同意によりサードパーティアプリやサービスが銀行口座のデータにアクセスできるようになるのだ。この中には口座の持ち主に代わって、支払いを行なったり受け取ったりすることができる機能も含まれる。

当然のことながら、膨大な数のフィンテックスタートアップたちが、既ににPSD2の巻き起こす嵐の中に飛び込んで、様々なプロダクトを先行して開発している。そうしたものの例としては、パーソナルファイナンスマネージャー(PFM)アプリ、クレジットローン、カード関連のオファー、そしてキャッシュバックなどがあり、PSD2が最終的に法的に有効になった場合に備えている。一方、TrueLayerは、多くの人々がPSD2ゴールドラッシュと予想する事態に対して、(自分たちで金は掘らず、金を探す人たちのために道具を提供する)「ツルハシとシャベル」アプローチで臨もうとしている。

「私たちは、PSD2は新興企業たちにとって、既存の銀行や金融サービスプロバイダに取って代わることができる、生涯に一度のチャンスだと考えています」とTrueLayerの共同創業者であるFrancesco Simoneschiは語る。「私たちは、銀行インフラストラクチャにアクセスし、金融サービスの次のウェーブを実現するための、シンプルで安全でユニバーサルなAPIを、開発者たちに提供したいと考えています」。

2月にプライベートベータとして始まったTrueLayer開発者プラットフォームは、現在アカウントの認証、KYC(Know Your Customer、銀行口座開設時の顧客審査)プロセスをサポートし、加えて、口座の名寄せ、クレジットスコアリング、そしてリスクアセスメントのための、トランザクションデータへのアクセスサポートを提供している。現在英国で利用可能であり、2018年後半にはTrueLayerを他のEU諸国に展開すると、Simoneschiは述べている。

そしてもちろん、ロードマップ上にはPSD2の完全サポートが載せられている。「APIは、データを超えた追加の銀行サービスを提供することからスタートします。たとえば支払い開始(送金を行なうAPI)や、PSD2とオープンバンキングによって可能になるあらゆるチャンスなどです」と彼は言う。

最後には、TrueLayerが英国規制当局からPSD2関連の適切なライセンスを取得できたなら、SimoneschiはTrueLayerがそのライセンスを「傘のように」用いることで、フィンテックスタートアップたちやPSD2の金を探し求めるビジネスたちのために、技術だけでなく規制に対するゲートウェイの役割を果たせるようになりたいと期待している。

「私たちはPSD2と明快な規制の枠組みのもたらす恩恵について、とても前向きに考えています」とSimoneschiは付け加えた。「消費者向け金融と銀行業務に関しては、ヨーロッパ(そしてイギリス)がイノベーションに対して非常にオープンであることは素晴らしいことです。PSD2が解決しなければならない課題はまだまだありますが、これは金融サービス市場にとって真の意味での変革につながるのです」。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)