ロールス・ロイスが最高速度記録を目指す全電動飛行機Spirit of Innovationの初飛行に成功

  1. ロールス・ロイスが最高速度記録を目指す全電動飛行機Spirit of Innovationの初飛行に成功

    Rolls-Royce plc

英ロールス・ロイスが、オール電動飛行機Spirit of Innovation(スピリット・オブ・イノベーション)の初飛行に成功しました。Spirit of Innovationは1930年代のクラシックレース機を彷彿させるロングノーズなプロペラ機で、電動飛行機による最高飛行速度記録の樹立を目的として開発しています。

ロールス・ロイス社のCEOであるウォーレン・イースト氏は「Spirit of Innovationの初飛行は、開発チームとロールス・ロイスにとって大きな成果です。われわれは、空、陸、海の輸送の脱炭素化を目指し、(サプライヤーからエンドユーザーまで含めて炭素排出を削減する)ネットゼロへの移行による経済的機会を獲得するため、世の中に必要な技術革新を生み出すことに注力しています。このプログラムで開発した先進的なバッテリーと推進技術は、将来の都市航空モビリティに応用でき”ジェット・ゼロ “の実現にも貢献できます」と述べています。

初飛行は英国ウィルトシャー・エイムズベリー南東の英国空軍ボスコムダウンで約15分間に渡り行われました。Spirit of Innovationは、6000個のセルを詰め込んだバッテリーパックで、400kW(536bhp)のパワートレインを駆動します。機体には3機のYASA 750Rモーターを搭載しています。

このプロジェクトのための資金の半分は、英ビジネス・エネルギー・産業戦略省および政府支援の公共機関Innovate UKの協力により、Aerospace Technology Institute(ATI)によって提供されています。第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)に向けこのプログラムは、ゼロエミッション航空機革命の最前線にある英国の立場をアピールするものにもなっています。

なおロールス・ロイスは機体メーカーのTecnamとともに都市部のエアコミューター市場向けにオール電動式旅客機を開発中で、こちらは2026年には商用運行を開始したいとしています。

(Source:Rolls-Royce。Via APN NewsEngadget日本版より転載)

世界最速を目指す「風穴付き電動バイク」WMC250EVの初テスト走行が完了、動画公開

世界最速を目指す「風穴付き電動バイク」WMC250EVの初テスト走行が完了、動画公開

White Motorcycle Concepts

英国のWhite Motorcycle Concepts(WMC)が電動バイクの世界最高速を目指して開発する「風穴バイク」こと ” WMC250EV ” が、 英ブランティングソープのテストトラックで初のテスト走行を実施しました。この走行はあくまで各部が正常に機能することを確認するためで、走ればOKレベルのものでしたが、とくにトラブルもなく、順調にメニューを消化した模様です。

既報のとおりWMC250EVの最も目をひく特徴は、前から見たときにその中心に大きな空気の抜け穴が明けていること。WMCの創設者でチーフライダーのロブ・ホワイト氏いわく、通常のバイクなら燃料タンクやエンジンその他多くのものが詰め込まれている部分を、トンネルのように空っぽにすることで「世界をリードするバイク」と比較して69%もの空気抵抗を削減、Cd値はライダーが搭乗下状態で0.118を実現しているとのことです。

世界最速を目指す「風穴付き電動バイク」WMC250EVの初テスト走行が完了、動画公開

White Motorcycle Concepts

また最終的に250mph(約402km/h)を目指すバイクとしてのデザインをこの風穴ありきで考えることにより、バッテリーや前後輪を駆動する2基のモーター、電子機器やサスペンション、油圧ハブステアリングをすべて低い位置に搭載する格好となり、さらに風穴の効果かか、WMCによれば「速度が上がるほどより安定していく」とのこと。ちなみに、前から見ると風穴のせいで、また膝を極端に折り曲げて乗るスタイルから、ライダーが非常に高い位置に跨がっているように見えるものの、実際の着座位置は通常のバイクと高さはほとんど変わりません。説明ではヤマハYZF-R6と同じシート高だとしています。

WMC250EVの初走行は暫定的に60Vの低電圧パワートレインを搭載し、約100kW(137PS)の出力で行われましたが、来夏にボリビア・ウユニ塩原で計画する電動バイク世界最高速挑戦の本番仕様では、これに対して800Vの高電圧システムを搭載し、約2.5倍の出力を発揮するパワートレインを積み込む予定です。

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(Source:White Motorcycle Concepts(YouTube)。Via New AtlasEngadget日本版より転載)

EVは警察の任務に耐えうるか?ミシガン州がフォードの改造版マスタングMach-Eでテスト開始

今度ミシガン州でクルマを止められたら、それはSUVスタイルのEVに乗った警官かもしれない。Ford(フォード)の思惑通りに事が運べば、の話だが。米国の自動車メーカーである同社は、既存のモデルを法執行機関向けに改造する「Police Interceptor(ポリスインターセプター)」プログラムの加速を進めている。このプログラムでは、車両のサスペンションやブレーキ、馬力などが強化されている。

Fordはこのプログラムを英国の警察機関に提案しており、ミシガン州アナーバー市ではすでに2台の車両を発注している。また同社は米国時間9月17日、(通常版でも480hpのツインモーターを搭載する、Mach-E GTをベースにしていると思われる)Mustang Mach-E Interceptor(マスタング・マッハE・インターセプター)のプロトタイプのうち1台を、ミシガン州警察に近日中に提供すると発表した。この車は、Mach-EのようなEVが過酷な警察の仕事に耐えられるかどうかを確認するための実地テストになる。

Fordは、300億ドル(約3兆3000億円)規模の複数年にわたるEV技術への投資の一環として「今回のパイロットプログラムテストをベンチマークとしながら、将来的には専用の電気警察車両を検討していきたい」と述べている。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者Andrew Tarantola(アンドリュー・タラントーラ)氏は、Engadgetのシニアエディター。

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画像クレジット:Ford

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(文:Andrew Tarantola、翻訳:Aya Nakazato)

物流・輸送のRyderが自動運転トラックEmbarkと物流ネットワークを構築

サプライチェーンとフリートマネジメントのソリューション企業であるRyder(ライダー)が、またしても自動運転トラックによる物流企業と提携することになった。同社は現地時間9月16日、自動運転トラックを開発するEmbark(エンバーク)が所有・運営する、最大100カ所の中継地点の全国ネットワーク立ち上げを支援する計画を発表した。

Ryderが公にしている自動運転トラック企業との提携としては3番目となる。最近では、Waymo Viaの自動運転トラック事業の規模拡大を支援するため、車両のメンテナンスと管理の標準化を支援する計画を発表した。また、TuSimpleと共同で、自社施設をTuSimpleのターミナルとして活用している

「私たちは最先端を走っており、自動運転車が将来の物流において果たす非常に重要な役割をを深く理解し始めたところです。したがって、できるだけ早い段階で参入し、その技術で市場を支配しつつある企業と仕事を始めたいと思っています」とRyderの新製品イノベーション担当EVPであるKaren Jones(カレン・ジョーンズ)氏はTechCrunchに語った。

同社はKodiak、Aurora、Plusといった他の自動運転車の企業と協議はしているものの、ジョーンズ氏によれば、取引の予定はないと述べた。同氏によると、同社は、既存の提携によって得られるさまざまな事例から学び、成長するとともに、同社が早く市場に進出するため、複製可能な中継ハブモデルを構築したいと考えている。

「この技術を前進させるにあたり、どのようにメンテナンスを行い、サービスを提供し、運用するかについて、わからないことが未だに多くあります」とジョーンズ氏は話す。「Ryderは、メンテナンスのための広大な施設を保有しており、さらにサプライチェーンやロジスティクスのビジネスも展開しているため、提携相手として当然に適していると思います。私たちは、こうした施設がどのように機能するのか、また、大きな施設への配送のために車両を出し入れする際にどれほど複雑になるのかを熟知している本物のオペレーターです」。

Embarkとの提携の一環として、Ryderはヤードオペレーション、メンテナンス、フリートマネジメントを提供する。また、Embarkが戦略的に配置している中継地点のネットワークについても助言する。中継地点では、ドライバーレスの長距離トラックからドライバーが運転するトラックに貨物を移し、ファーストマイルとラストマイルの配送を行う。

「Ryderは、Embarkがそうした施設で何が必要かを理解する支援を行い、建設や用地探索を担うEmbarkのサードパーティーパートナーと協力しています」とジョーンズ氏はいう。まずは、カリフォルニア州、アリゾナ州、テキサス州、ジョージア州、テネシー州、フロリダ州の主要な貨物市場にある施設を選び、2024年の商業展開に向け、来年早々にもEmbarkがオペレーションを開始する予定だ。

画像クレジット:Embark

自動運転車企業がサンベルト地域をオペレーション開始の地に選ぶのは、雪やみぞれなどの悪天候をほぼ考慮に入れる必要がなく、テストに最適な環境だからだ。だが、EmbarkとRyderは今後5年間で、不動産事業者のネットワークと協力して、Embarkの中継地点を国内に100カ所開設することを目指している。

Embarkは現在、HPやバドワイザーのメーカーであるAB inBevなどの企業の他、Knight Swift Transportation、Werner Enterprisesなど「米国のトップ25のトラック輸送会社」の貨物を輸送していると、CEOのAlex Rodrigues(アレックス・ロドリゲス)氏は話す。同社は最近、SPACを利用した上場計画を発表した

ロドリゲス氏によると、Embarkの現在の貨物輸送会社との提携は、試験的なものか、将来立ち上げる小規模なものだという。同社は現在、16台のトラックを保有しており、ハイウェイを走行する際には、万一に備えて人間のセーフティーオペレーターを運転席に配置している。通常は、自動運転車が未知の事態に遭遇しても、オペレーターが交代する必要はない。

ハイウェイでの運行は、中継ハブのネットワークをオフハイウェイに構築することを意味する。これは、規模拡大に多くの資本と時間を要するものの、不可欠だと言えるものだ。それに比べてTuSimpleは、Embarkのように新しいターミナルを建設するのではなく、既存のRyderの拠点を利用し、TuSimpleのターミナルとして使えるように改修した。Waymo Viaも独自のハブを構築している。Ryderの車両メンテナンス、検査、ロードサイド・アシスタンスは、Waymoの自動運転トラック運送部門がこれらの拠点を拡張し、車両の稼働率と信頼性を最大化するのに役立つ。

Ryderは、このようにさまざまなケースで自社の多様な能力を提供しながら、物流にとどまらない、自動運転分野における自社の可能性を探っている。ジョーンズ氏は、いつか顧客に代わり自動運転車を運行することが意味をなすのであれば、自動運転車の運行を行う可能性もあると話した。また、ファーストマイルとラストマイルの配送サービスにも力を入れると語った。

「Ryderは、自動運転車分野の進化に合わせ、さまざまな役割を果たすことができます。しかし、この分野への最初の一歩は、サービスを提供し、技術やハブを運営するために必要なことを理解することです」とジョーンズ氏は述べた。

画像クレジット:Ryder

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

テスラの「フル セルフドライビング」のベータ版ソフトは運転成績が良い者だけが使える

Tesla(テスラ)のCEO、Elon Musk(イーロン・マスク)氏によると、同社は今後、個人の運転データを利用して、議論を呼んでいる同社の「フル セルフドライビング」(FSD)ソフトを購入したオーナーが、より多くの自動運転機能を約束する最新のベータ版にアクセスできるかどうかを判断するために、個人の運転データを使用するという。

米国時間9月16日夜のマスク氏のツイートによると、FSD Beta v10.0.1のソフトウェアアップデートはすでに一部の選ばれたオーナーに公開されているが、9月24日からより広く利用可能になるという。

現在1万ドル(約110万円)のFSDにお金を払っているオーナーは「ベータリクエストボタン」によりベータソフトウェアにアクセスできる。マスク氏のツイートによると、ベータソフトウェアをセレクトしたドライバーは、Teslaの保険計算アプリにより自分の運転行為にアクセスする許可を求められる。

「運転が7日間良好であれば、ベータ版へのアクセスが認められる」とツイートでは述べられている。

Teslaの車両には、「Autopilot(オートパイロット)」と運転支援システムが標準で装備されている。さらに1万ドルを払うと、オーナーは「フル・セルフドライビング」すなわちFSDを購入できる。FSDは、いつか完全な自律走行を実現するとマスク氏が繰り返し約束しているソフトウェア

絶えず値上げが行われているFSDは、その度に機能が増えている。これまで何年間もオプションとして提供されていたが、Teslaの車両は自動運転車ではない。FSDには駐車機能の「Smart Summon」と、オートパイロットにもある「Navigate」がある。これはハイウェイのオンランプやオフランプに導く常時動いているガイダンスシステムで、インターチェンジや車線変更のガイドもする。

最新のFSDベータ版は、高速道路や市街地での運転を自動化するという。しかし、これはレベル2の運転支援システムであり、ドライバーは常に注意を払い、ハンドルから手を離さず、コントロールする必要がある。このベータ版ソフトを使用したオーナーの体験談が投稿されているが、その能力についてはさまざまな意見がある。ある動画では、車両は市街地走行をこなしているが、多くの動画では、曲がり損ねたり、縁石に近づきすぎたり、前に進まなかったり、あるケースでは歩行者に向かって急に逸脱したりして、ドライバーがコントロールしている様子が見られる。

画像クレジット:Tesla

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hiroshi Iwatani)

GMがシボレー・ボルトEVの生産停止を10月中旬まで延長

General Motors(ゼネラルモーターズ)は、オリオン組立工場の操業停止を少なくとも10月中旬まで延長する。先日発表したシボレー・ボルトEVおよびEUVの安全性のためのリコールに関連したバッテリーパックの不足によるものだ。Bloomberg(ブルームバーグ)が最初に報じたところによると、同社は10月11日の週まで同工場を休止する意向だ。

同社は声明で「今回の直近のスケジュール調整は、新型コロナウイルスに関連した国際市場からの半導体供給の制約により、部品不足が続いていることが原因です」と述べた。「私たちのチームは、需要は高いものの生産能力に制約のある車両への影響を最小限に抑えるために、創造的な解決策を見つけられると確信しています。状況は依然として複雑で非常に流動的ですが、GMは引き続き、需要の高いフルサイズトラックの生産を優先します」。

GMは先週、8月23日に始まったミシガン州の組立工場(オリオン組立工場)の操業停止を9月20日まで延長すると発表したが、遅れの原因への解決策がまだ見つかっていないことは明らかだ。その一方で、バッテリーサプライヤーであるLG Chem(LG化学)と協力し、製造工程と生産スケジュールの更新を継続するとしている。

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GMがシボレー・ボルトEVの生産中断をさらに2週間延長
米幹線道路交通安全局が火災リスクのあるシボレー・ボルトを屋外に駐車するようオーナーに警告

同社は7月、火災の危険性があるとしてシボレー・ボルトのリコールを開始した。米高速道路交通安全局は同社の顧客に対し、予防措置として住宅や他の車両から離れた場所にクルマを駐車するよう勧告している

GMは先週、フルサイズトラックとフルサイズSUVの生産を今週までに開始すると発表したが、チップ不足のため、北米の他の5つの組立工場でも生産を減速すると発表した。同社によると、シボレー・シルバラード1500とGMCシエラ1500モデルを生産しているフォートウェイン組立工場およびシラオ組立工場のような一部の工場は、世界的な半導体不足の影響を一時的に受けた後、9月13日時点ですでにフル生産に戻っている。

シボレー・トラバースとビュイック・アンクレイブを製造しているミシガン州のランシング・デルタ・タウンシップ組立工場は、9月27日の週にさらに1週間の稼働停止を予定しており、10月4日の週に生産を再開する。同工場は7月19日から操業を停止している。シボレー・カマロとキャディラック・ブラックウイングの生産停止も27日の週まで延長され、以前に発表されたキャディラック CT4とCT5の生産停止も同様だ。カマロの生産停止は9月13日から、CT4とCT5の生産停止は5月10日からだ。

また、カナダのCAMI組立工場、メキシコのサン・ルイ・ポトシ組立工場、ラモス組立工場で生産しているエクイノックス、ブレイザー、GMCテレインの生産も10月11日の週に延期された。ブレイザーは8月23日、エクイノックスは8月16日から、それぞれ生産を停止している。

キャデラックXT4は、2月8日から生産を停止していたが、来週からカンザス州のフェアファックス組立工場で生産を再開する。GMによると、同じくフェアファックスで2月8日から生産を停止しているシボレー・マリブの生産は、10月25日の週まで停止する予定だ。

画像クレジット:Veanne Cao

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

高級感とテクノロジーが両立したデザインを追求する自動車メーカーたち、「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」開催

2021年の夏はモントレー、デトロイト、そして夏の終わりには英国オックスフォードで恒例のカーイベントが開催され、自動車コレクターが集結して高級車やビンテージカーを鑑賞し、オークションを楽しんだ。

2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの影響で多くのカーイベントが中止。2021年は屋外に高級車を集めたイベントが復活し、7月の「Goodwood Festival of Speed(グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード)」、8月の「Monterey Car Week(モントレー・カーウィーク)」「Woodward Dream Cruise(ウッドワード・ドリーム・クルーズ)」、そして9月上旬に開催された「Salon Privé(サロン・プリヴェ)」などのイベントでは、魅力的なクーペや派手なハイパーカーだけではなく、さまざまなクルマが展示された。

COVID-19の変異株「デルタ」の流行にもかかわらず集まった観客と、豪華な会場に並んだ自動車に対する彼らの反応は、ビンテージカー、そして未来の超高級車に対する抑えきれない興奮を反映したものだった。

Gooding & Company(グッディングアンドカンパニー)のオークション・スペシャリスト、Angus Dykman(アンガス・ダイクマン)氏は「現地で参加できるオークションの需要が高まっていました」「私たちは現地でのセールスに強い関心があり、ビジネスは活発です。皆がさまざまな自動車を応援してくれました」と話す。

カリフォルニア州ペブルビーチの「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス2021」に出品されたPorsche 917(2021年8月15日)(画像クレジット: Getty Images、撮影:David Paul Morris / Bloomberg)

この屋外の展示には、新興自動車メーカーも歴史あるブランドも、未来を反映させた最新の自動車を顧客に提示する必要がある、という緊迫感があった。高級車メーカーにとって、8月のモントレーは、次世代モデルのデザインをアピールできる重要なイベントだ。Bentley(ベントレー)、Bugatti Automobiles(ブガッティ・オートモービルズ)、Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)などの老舗の自動車メーカーに加え、新規参入のRimac Automobili(リマックアウトモビリ)やLucid Group(ルシードグループ)もモントレーでの存在感のアピールに資金を投じた。

ビンテージカーでもコンテンポラリーカーでも、その一貫したテーマは新しい顧客を惹きつける見事なデザインである。

マイクロチップが不足し、車両数も限られている中、カーコレクターは生産開始前から新型車の予約を行っていた。各ブランドのトップもコレクターたちと交流を図り、ペブルビーチでは、Ford Motor(フォード・モーター)のJim Farley(ジム・ファーレイ)CEO、メルセデス・ベンツ米国プレジデントのDimitris Psillakis(ディミトリス・プシラキス)氏、Aston Martin(アストンマーティン)のTobias Moers(トビアス・モアーズ)CEO、Lamborghini(ランボルギーニ)のMaurizio Reggiani(マウリツィオ・レッジャーニ)CTOなど、少なくとも十数名の経営幹部が目撃された。

現地時間2021年8月13日(金)、米国カリフォルニア州カーメルで開催された「The Quail, A Motorsports Gathering(ザ・クエイル、ア・モータースポーツギャザリング)」で、ブガッティ・オートモービルズのSAS Bolideを鑑賞する参加者たち(画像クレジット:David Paul Morris / Bloomberg via Getty Images)

モアーズ氏は、アストンが建設した大きなスタンドからビンテージカーショーを見下ろし「私たちのラグジュアリーカービジネスに関していえば、この場所が最適です」と話す。「ここでは、これまで会ったことのない新しい顧客に出会うことができます。私たちのブランドは、F1(フォーミュラワン)でかつてないほどの注目を集めています」。

同社は未来のレース仕様のアストンを展示。F1マシンを中心に、ValkyrieやValhallaなど、アストンの今後の方向性を示す指標となっている。

「これは私たちのメッセージです」とモアーズ氏。「2020年は、誰もがアストンは終わったと思っていたでしょう。そこにLawrence Stroll(ローレンス・ストロール)氏が乗り込んできて、多額の投資をしてくれました。私たちは復活し、お客様との関係はかつてなく強化されています」。英国で多くの地域がロックダウンされている中、同社はベントレー、フォード、Porsche(ポルシェ)から新しい部門長を採用した。

モアーズ氏自身もパンデミックの最中に新しいCEOとして就任しているが、同氏は北米の従業員、ディーラー、顧客と初めて顔合わせをした。

Mercedes-AMG(メルセデスAMG)出身のモアーズ氏は自信に満ちた経営者で、電動化の経験が自分の強みになると考えている。同氏は「アストンは超高級車を開発しており、その美しさは昔から有名でした。新しい技術を使えば、もうどこにも妥協する必要はありません」と語る。

ペブルビーチの観客を魅了することも重要だが、同氏はアストンの中国でのビジネス、そしてメルセデスのエンジニアリングをアストンの事業拡大にどのように利用するかという点にも注目している。

「中国では北米とは異なり、18歳~30代の若い顧客層に対応する必要があります。それから60代以上。その間の購買層は今のところ存在しません。中国のペースは信じられません。世界の富豪層の増加という点では、中国とアジアがトップだと思います」。

アストンにとっての未来とは、電動化と車内のユーザーエクスペリエンスの再考であり、これはメルセデス・ベンツの前世代の技術を採用するという過去の計画を破棄することを意味する。

「私たちは、メルセデスのインフォテイメント(情報とエンターテインメントを組み合わせた造語)やHMI(ヒューマンマシンインターフェース)を使用しないと決めました。未来を見据えてHMIを構築するなら、もう少し魅力的なものが必要です」とモアーズ氏。同社はメルセデスのMBUXインフォテイメントを取り入れずに、ランボルギーニやApple(アップル)と仕事をしているイタリアのサプライヤー、ART(アート)と一緒に新しいインフォテイメントシステムを構築しているという。

アストンマーティンは、電動化という業界の要求に応えるため、メルセデスのV8エンジン技術を利用して効率化を図る計画だ。

パワー、情熱、テクノロジー

Audi skysphere concept(画像クレジット:Tamara Warren)

ペブルビーチでは、自動車メーカーの経営者たちの間で、コンプライアンス基準を満たすために新しい動力源を開発する一方で、顧客の自動車に対する情熱を維持し、最新の車内エクスペリエンスで新しい顧客を惹きつけるというテーマが浮上した。

1社でできることではない。オーダーメイドの小さな超高級車ブランドは、エンジンや電子プラットフォームの供給を大手自動車メーカーや親会社の投資に頼っている。また、開発には競争力のある人材が必要だ。その上で、これらの小さなブランドは、大企業とは異なる独自性を強く打ち出す必要がある。

ランボルギーニのレッジャーニCTOは次のように話す。「将来に向けて一年前から開発が続けられている最も重要で高価なものの1つが、電子プラットフォームと呼ばれるものです」「ユーザーが電子プラットフォームに触ることはできません。電子プラットフォームはまさしく自動車の神経系(nervous system)です。私たちはグループ内でこれを使おうとしています。そうすれば、従来の車両に使用されていたパーツの多くや、識別できなかったシステムやコンポーネントを使用することが可能になります」。

ランボルギーニはVolkswagen Group(フォルクスワーゲングループ)の傘下にあり、ブガッティ、ベントレー、Audi(アウディ)、ポルシェなどの主要な競合車もフォルクスワーゲングループの企業である。

「グループで共有できるものは利用していますが、私たちは他とは違うことをしようとしています」とレッジャーニ氏。ランボルギーニはAmazon Alexaとのパートナーシップに着手した最初の自動車ブランドであり、顧客にAlexaが受け入れられたことで将来的な思考への扉が開かれたと話す。「『音』は、音声認識のフィルターを構成する手段です。未来を想像してみてください。トラブルが発生してランプが点灯しているときに、Alexaに『どうすればいいか教えて』と尋ねたとします。Alexaは、車を停め、サービスアシスタントを呼ぶようにと教えてくれます。そして人工知能が訓練されます」。同氏は、サウンドデザインと音声の新しい使い方を構築するためのデータ収集に取り組んでいるという。

しかし、目の肥えたランボルギーニの顧客には、高価なテクノロジーも時代遅れにならないような魅力的なデザインで魅せる必要がある。「デザインはランボルギーニを購入する1つ目の理由です」とレッジャーニ氏は話す。「しかし、従来のようにデザインが良ければそれでいい、というわけではありません。今や多くが、美学の中にエンジニアリングを統合したデザインになっています。車を構成する部品の1つ1つに機能性が求められます。そして空気力学と冷却の融合。PHEV(プラグインハイブリッドEV)の登場で、冷却系はますます複雑になりました。バッテリーマネジメントも今後ますます複雑になるでしょう。それらすべての要件を満足するクールなデザインが必要です」。

今という時代のテクノロジーとデザイン

モントレー・カーウィークに展示されたビンテージカーと比較すると、特にモータースポーツカーでは、空気力学と重量配分が常に車の設計原理を支配し、進歩を促してきたことがわかる。しかし、現代におけるテクノロジーとデザインとは、スピード、電動化、ADAS(先進運転支援システム)、コネクティビティなどが、時代を超越する洗練されたシステムに収められていることを意味する。レッジャーニ氏は「最も重要なポイントの1つは、必ず感動を呼び起こすデザインであることで、これは譲れない条件です」と話す。

未来をデザインするということは、その方向性を伝えることだ。急速に変化する世界で、高級車メーカーはそのペースに必死で追いつこうとしているが、これは非常に難しい課題である。モントレー・カーウィークに参加しなかったTesla(テスラ)は、同社のAIの発表をこの週に合わせて行った。テスラでさえも電動化を進化させようとしている。

モントレーで、完璧に手入れされ、限られた数しか生産されず、それゆえに数億円もの価値があるビンテージカーを運転することは魅惑的な体験だ。筆者は1957年式Mercedes-Benz 300 SLというエレガントなマニュアルトランスミッション(MT)オープンカーを太平洋沿いの道路で試乗し、(パンデミックにより入場料が高額な)この神聖な世界を少しだけ垣間見ることができた。

グッドウッド、ウッドワード、そして今週末に終了したサロン・プリヴェも同様に魅力的だったが、豪華な屋外イベントが終了した今、自動車業界は、輸送機関の未来に焦点を当てたショーに視線を移したようだ。

現地時間9月7日にミュンヘンで開幕したIAAモビリティ(旧フランクフルト・モーターショー)では、旧態依然の自動車ショーのイメージを一新しようとする自動車メーカーの姿勢が感じられ、より臨場感のある体験を楽しむことができる。展示されているEVのモデルやコンセプトの数々は、進化のスピードは金銭では予測できないものの1つであることを思い出させてくれる。

画像クレジット:David Paul Morris/Bloomberg / Getty Images

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(文:Tamara Warren、翻訳:Dragonfly)

Lucid Airが航続距離約837kmを達成、テスラを凌ぎ市販EVトップに

2021年中に上場を予定している電気自動車メーカーのLucid Group(ルシード・グループ)は、米国時間9月16日、同社が発売する高級セダン「Air(エアー)」の仕様の1つが、EPA(米国環境保護庁)による航続距離(一度のフル充電で走行可能な距離)で、520マイル(約837キロメートル)を達成したと発表した。この「Lucid Air Dream Edition Range(ルシード・エアー・ドリーム・エディション・レンジ)」の公的機関による評価は、長くこのカテゴリーで優位を保ってきたTesla(テスラ)を押しのけるものだ。

関連記事:EVのLucid MotorsがSPAC合併で上場へ、2021年下期に北米でLucid Airの販売開始

Lucid Airの公式EPA航続距離は、テスラのいくつかのモデルと同等かそれ以上になることが期待されてきた。今回の発表は、Lucidに自画自賛する権利を与えるだけでなく、77400ドル(約850万円)から16万9000ドル(約1860万円)の間でさまざまなバージョンのAirを提供するという同社の戦略についても、少しだけ明らかにしている。

Lucidは当初、実質的に最初のフラッグシップモデルとなる「Lucid Air Dream Edition」の1バージョンのみを販売する計画だった。だが、現在はこの「Dream Edition」にも、最高出力933馬力で19インチ・タイヤを装着した場合の航続距離が520マイルの「Dream Edition Range」と、よりパワフルな1111馬力を発生するものの、同じく19インチのタイヤ装着車で航続距離が471マイル(約758キロメートル)に留まる「Lucid Air Dream Edition Performance(ルシード・エアー・ドリーム・エディション・パフォーマンス)」という2種類の仕様が設定されている。

Lucid GroupのCTO兼CEOであるPeter Rawlinson(ピーター・ローリンソン)氏によれば、この航続距離は同社の900Vバッテリーとバッテリー管理システム、小型化されたドライブユニット、そして電気ドライブトレイン技術の組み合わせで実現したとのこと。ローリンソン氏は、この数値が他のあらゆるEVを凌ぐ新記録だと確信していると言及している。

現在はすでに予約が締め切られている2種類のDream Editionの他に、LucidはEPA航続距離516マイル(約830キロメートル)を記録した「Lucid Air Grand Touring(ルシード・エアー・グランド・ツーリング)」を含む、いくつかのバリエーションの生産・販売を計画している。Dream Editionの価格は両モデルとも16万9000ドル(約1860万円)、最高出力800馬力のGrand Touringは13万9000ドル(1530万円)からとなっている。他にも目標航続距離が406マイル(約653キロメートル)で620馬力の「Lucid Air Touring(ルシード・エアー・ツーリング)」が9万5000ドル(1040万円)から、さらに出力を480馬力に抑えた廉価版「Lucid Air Pure(ルシード・エアー・ピュア)」が7万7400ドル(約850万円)からという価格で発売になる予定だ。

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画像クレジット:Lucid Motors

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

電動ピックアップトラックのRivianが無料充電とLTE通信を利用できるメンバープログラムを発表

イリノイ州ノーマルの工場でピックアップトラック「R1T」の組立ラインが動き出したRivian(リビアン)は、2021年9月中のデビューに向けて同社初のEVの準備を進めている。米国時間9月16日、同社は近々設立予定の充電ネットワーク、Adventure Networkand WaypointsでRivianオーナーが無料充電できるメンバーシッププログラムを開始した。

さらに同社は、Rivianメンバーが1マイル走る毎に、相当する風力、太陽光などの再生可能エネルギーを購入するマッチングプログラム、および4G LTE接続の無制限アクセスを約束した。

プログラムには、山道で溝にはまった時や緊急充電が必要な時、会社が代車を手配するRivian off-Roadside Assistanceも含まれている。将来、新しいドライブモード、コミュニティ集会、車室内コンテンツなどの追加特典を提供することも約束している。Rivian新車にはサービスの12カ月間無料使用権がついてくる。その後特典を利用したい人は料金を払う必要がある。同社は料金をいくらにするつもりか言わなかったので、追加情報のために問い合わせている。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のIgor Bonifacic(イゴー・ボニファシック)氏はEngadgetのコントリビューティング・ライター。

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画像クレジット:Rivian

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フォードが15万件超の予約が入ったF-150 Lightning生産能力拡大のため約270億円追加投資

Ford(フォード)は米国時間9月16日、発売を予定している全電動トラックF-150 Lightningの生産能力を年8万台に増やすために追加で2億5000万ドル(約274億円)を投資し、450人を新規採用する。この発表は、15万件超のF-150 Lightning予約が入っていることを受けてのものだ。

追加の投資と雇用はミシガン州ディアボーンにある新設のRouge Electric Vehicle Center(ルージュEVセンター)、Van Dyke Electric Powertrain Center(ヴァン・ダイク電動パワートレインセンター)、Rawsonville Components Plant(ロウソンヴィル部品プラント)に振り分けられる、と同社は説明している。

このニュースはルージュEVセンターでのイベントで発表された。このセンターはRouge Complexへの7億ドル(約768億円)の投資の一環で50万平方フィートに拡張された。ガソリンで走るFシリーズのトラックもまたRouge Complexで組み立てられている。

そしてFordはLightningトラックの生産準備を開始したことも明らかにした。これらのプロトタイプは実世界でのテストに使われる。顧客への納車は2022年春の予定だ。

全電動ピックアップトラックは同社の電動化に向けた300億ドル(約3兆2920億円)の投資の重要な一部で、Mustang Mach-Eとともに18カ月以内に発売されるFord EVデビュー車種の1つだ。Lightningは収益という点で最も重要かもしれない。Ford F-150 Lightningの生産は全電動Mustang Mach-E、そして商業顧客にフォーカスした設定変更可能な全電動貨物バンE-Transitの導入に続く。

F-150 Lightningはベース、XLT、Lariat、そしてPlatinumシリーズの4つのトリム、2つのバッテリーオプションで提供される。ボディがアルミニウム合金製のこのトラックは搭載する2つの電動モーターで動き、四輪駆動が標準で独立した後輪サスペンションを備える。ベースバージョンは連邦あるいは州の税控除前で3万9974ドル(約438万円)、一方のXLTモデルは5万2974ドル(約580万円)からだ。この価格にはデスティネーションフィーと税金は含まれていない。

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画像クレジット:Ford

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

ウォルマートがフォード、Argo AIと共同で自律走行車の配送サービスを開始

米国時間9月16日、Walmart(ウォルマート)、Argo AI(アルゴAI)、Ford(フォード)は自律走行車による配送サービスをテキサス州オースティン、フロリダ州マイアミ、ワシントンD.C.で開始すると発表した。

顧客はWalmartの注文プラットフォームから食料品などをオンラインで注文する。ArgoのクラウドベースのインフラストラクチャがWalmartのオンラインプラットフォームと統合されて、注文が転送され顧客の自宅へ配送するスケジュールを決める。開始当初は商用サービスの提供は各都市の一部のエリアのみで、その後広げていく。テストは2021年中に開始する。

WalmartとFordは2018年秋に配送サービスのPostmatesとともに限定的なテストを実施した。このテストはマイアミでで実施され、自動運転車を想定した車を使って食品配送に関するユーザーエクスペリエンスを研究するものだった。Argo AIはこのテストには関わっていなかった。

今回の連携ではArgo AIの自動運転テクノロジーを統合したFordの車両が使われる。Argo AIの共同創業者でCEOのBryan Salesky(ブライアン・サレスキー)氏によれば、今回の目的は自律走行車による配送サービスの可能性を広く示すことだという。

今回の発表には、自律走行車を使って人や場合によっては荷物を運ぶ商用サービスを開始するための、Fordの研究と開発の方針が現れている。同社は専用の自律走行車を現実にどう運用するかについてビジネス面のテストをしてきた。2016年にはArgo AIを支援し、Argo AIとともに自動運転システムの開発とテストをしていた。

今回の発表から、オースティンとマイアミが初期の商用化計画の中心地となることもわかる。

2021年夏にArgo AIとFordは、マイアミとオースティンを皮切りに今後5年間で多くの都市でLyftの配車サービスネットワークに1000台以上の自動運転車を展開する計画を発表した。Argoの自律走行テクノロジーが搭載された初のFordの自動運転車は、2021年中にはマイアミでLyftのアプリから利用できるようになると予想される。

画像クレジット:Photo by Jared Wickerham/Argo AI

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Kaori Koyama)

台湾の電動スクーターと交換式バッテリーインフラ企業Gogoroが評価額2575億円のSPACを経てNASDAQへ上場

Gogoro(ゴゴロ)が上場する。電動のスマートスクーターと交換式バッテリーインフラで知られている同社は現地時間9月16日、Princeville Capital(プリンスビレキャピタル)傘下のSPAC(特別買収目的会社)Poema Global(ポエマグローバル)との合併を通じてNASDAQに上場すると発表した。この取引でのGogoroのバリュエーションは23億5000万ドル(約2575億円)で、2022年第1四半期の取引完了を目指している。合併会社の社名はGogoro Incとなり、ティッカーシンボル「GGR」で取引される。

発表によると、募集以上の申し込みがあったPIPE(上場企業の私募増資)での2億5000万ドル(約274億円)、そしてPoema Globalが信託で保有する3億4500万ドル(約378億円)を含め、Gogoroは上場の過程で5億5000万ドル(約603億円)を調達すると予想している。PIPEでの投資家には、Foxconn Technology Group(フォックスコン)や、GojekとTokopediaの合併で誕生したインドネシアのテック大企業GoToといった戦略的パートナー、Generation Investment Management、台湾の国家開発基金、Temasek、Ruentex GroupのSamuel Yin(サミュエル・イン)博士、Gogoroの創業投資家などの新規・既存投資家が含まれる。

資金はGogoroの中国、インド、東南アジアでの事業拡大と、テックエコシステムのさらなる開発に使われる。

台湾で10年前に創業されたGogoroのテクノロジーには、交換可能なスマートバッテリー、充電インフラ、車両やバッテリーの状態やパフォーマンスをモニターするクラウドソフトウェアが含まれる。Smartscooters、Eeyo電動自転車といった自前のブランドを手がけているだけでなく、Gogoroは自社のPowered by Gogoro Network(PBGN)プログラムを通じて利用できるプラットフォームを作り、パートナー企業がGogoroのバッテリーや交換ステーションを使う車両を製造できるようにしている。

SPAC取引の数カ月前に、Gogoroは中国とインドでの大きな提携を発表していた。中国ではバッテリー交換ネットワークの構築でYaeda、DCJと協業し、インドでは世界最大の二輪車メーカーの1つ、Hero MotoCorpがGogoroのテックをベースにしたスクーターを発売する。Gogoroはまた、ヤマハ、スズキ、AeonMotor、PGO、CMC eMOVINGなどのメーカーとも提携している。

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これらのパートナーシップが整ったことで「我々は現在、真に当社を次のレベルに持っていく必要があります」と創業者でCEOのHorace Luke(ホイレス・ルーク)氏はTechCrunchに語った。GogoroがSPACのルートを取った理由について、同氏は次のように説明した。「ビジネスチャンスやストラクチャー、提携とは何か、かなり掘り下げて語ることができるため、急ぎのロードショー(さまざまな機関投資家への会社説明会)よりも正しく会社を評価できます。当社の事業計画を考えると、SPAC上場は事業拡大にフォーカスする絶好の機会となります」。

GogoroがPoemaを選んだ理由の1つは「Poemaの持論が当社のものとかなり一致していたからです」とGogoroの最高財務責任者Bruce Aitken(ブルース・エイトケン)氏は述べた。「例えばPoemaは持続可能性の基金を持っていて、当社の環境と持続可能性に対する情熱はそれとうまく融合します」。

5年もしないうちに累計で売上高は10億ドル(約1097億円)に、バッテリー交換インフラの契約者は40万人超になる、とGogoroは話す。同社は2021年第4四半期に中国・杭州で試験プログラムを立ち上げ、2022年にはさらに6都市でも展開する。インドではHero MotoCorpが現在、Gogoroをベースにした初の車両を開発中で、2022年にニューデリーでバッテリー交換インフラの展開を開始する。

「想像したよりも中国での需要は大きく、これは当社にとって良いニュースです。そしてこれは上場する必要がある基本的な理由の1つでもあります。当社はこうしたマーケットに実際に大規模に貢献するのに必要な資金やリソースを調達しなければならないのです」とルーク氏は述べた。

Gogoroが東南アジアに進出するのにGoToと同様の提携を結ぶのか尋ねたところ「重要なのは東南アジアが二輪車マーケットとしては中国、インドの次に3番目に大きいことを認識することです。Gogoroはこうした大きなマーケットを追い求めるためのビジョンを常に持っています。GoToはインドネシアですばらしい成功を収めていて、GoToの当社への投資は会話のきっかけになりますが、GoToがPIPEに参加するということ以外、現時点で発表できることはありません」とルーク氏は話した。

発表資料の中で、Poema GlobalのCEOであるHomer Sun(ホーマー・サン)氏は「Gogoroが構築したワールドクラスの提携との組み合わせで開発したテクノロジーの差異化は、2つの世界最大の二輪車マーケットでかなりの成長機会をもたらすと確信しています。Gogoroの事業エリア拡大の計画とNASDAQ上場企業への移行をサポートすべく、同社の傑出した経営陣とともに取り組むことを約束します」。

画像クレジット:Gogoro

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(文:Catherine Shu、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾンも出資するRivianが電動ピックアップトラック「R1T」の量産第1号車を出荷

イリノイ州ノーマルにあるRivian(リヴィアン)の工場では、米国時間9月14日朝、「リヴィアンブルー」の電動ピックアップトラック「Rivian R1T」の量産第1号車が製造ラインからラインオフした。これは、同社とその創業者兼CEOであるRJ Scaringe(R・J・スカリンジ)氏にとっては、10年以上の歳月をかけて達成したマイルストーンだ。

2009年にMainstream Motorsとしてスタートし、2年後に「Rivian」に社名を改めた同社は、ここ数年で従業員、支援者、パートナーの面で爆発的な成長を遂げてきた。スカリンジ氏は14日にこのニュースと、リヴィアンブルーに塗られた最初の量産車の写真をツイートした。

「何カ月にもわたって試作車を作ってきましたが、今朝、最初のお客様の車がノーマルの製造ラインから走り出しました!」と彼は書いている。「この瞬間を迎えることができたのは、私たちのチームの努力の賜物です。お客様の手に渡るのが待ち遠しいです!」とも。

この1号車を誰が手にするのかは明らかにされていない。

Rivianは、2018年末のLAオートショーで電気トラック「R1T」と電気SUV「R1S」のプロトタイプを公開するまでの数年間、比較的無名のまま、いわゆるステルスモードで活動していた。

それ以来、Rivianは100億ドルを超える(2019年以降は105億ドル[約1兆1500億円])資金を調達し、イリノイ州ノーマルの工場を拡張し、数千人の従業員を雇用し、Amazon(アマゾン)を商用顧客として獲得し、最近ではIPOを内密に申請した。現在Rivianは、イリノイ州の工場に加えて、カリフォルニア州のパロアルトとアーバイン、ミシガン州のプリマスに施設を持ち、英国にもオフィスを構えている。

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2018年に2台の電気自動車を公開したとき、Rivianの従業員は約600人だった。現在では8000人になっている。

今回のスカリンジ氏の発表は、パンデミックと世界的なチップ不足による少なくとも2回の遅延を経て、同社が顧客向けにR1Tの生産を正式に開始したことを意味する。2021年夏の初め、同氏は顧客への手紙の中で、R1Tの納品は9月に開始され、R1Sはそれに「まもなく」続くと書いていた。

Rivianは、一般消費者向けのR1TとR1Sの準備と最終的な生産、およびAmazon向けの商用配送バンの生産という、相反する優先事項を両立させている。イリノイ州の工場には、車両を生産する2つの独立した製造ラインがある。1つはR1の生産ライン、もう1つは商用バンの製造ラインだ。

Amazonはこれらのバンを10万台発注しており、その納入は2021年に開始された。2021年初め、Amazonはロサンゼルスやサンフランシスコなどのいくつかの都市で、EV配送バンのテストを開始した。

9月初め、Rivianは、ピックアップトラック「R1T」の初期生産仕様車の航続距離がEPA(米国環境保護庁)基準で314マイル(505.3km)、電動SUV「R1T」の航続距離は316マイル(508.5km)を達成したと発表した。

EPAのウェブサイトに掲載された公式の航続距離と燃費の値は、Rivianが300マイル(482.8km)と宣伝していた以前の推定値と見合うものだ。

この瞬間は、Rivianが市場で最初の電気トラックとしてのメリットを得られるという意味でも重要だ。2022年春に発売予定のFord(フォード)「F-150 Lightning(F-150 ライトニング)」は、標準仕様で230マイル(370.1km)、拡張仕様で最大300マイル(482.8km)の航続距離を目標としている。EPAは、Ford Lightningの公式航続距離をまだ発表していない。

Rivianの「ローンチエディション」R1TトラックおよびR1S SUVは、「ラージパック」とブランディングされた135kWhのバッテリーパックを搭載している。ローンチエディション車両は、2021年9月中に納入を開始する予定だ。

【補足説明】Rivianは2019年以降105億ドルを調達したと記述したが、それは調達総額ではない。Rivianは総額を共有していないが、情報筋によると110億ドル(約1兆2030億円)前後だという。

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画像クレジット:Rivian

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Aya Nakazato)

トヨタとホンダは米自動車メーカーに有利なEV税制優遇措置拡大に反発

Toyota Motor(トヨタ自動車)とHonda(ホンダ)は、米国内で労働組合員が製造した電気自動車の税制優遇措置を拡大する法案を、否決するようにと議員たちに要請している。

この法案は、米国内で労働組合員によって製造された自動車に対する連邦税の優遇措置を7500ドル(約82万円)から最大1万2500ドル(約137万円)に拡大するというもので、トヨタは議会に提出した書簡の中で「明らかに偏っている」「法外だ」と非難している。さらに、米国内で製造されたバッテリー搭載車には優遇措置が500ドル(約5万5000円)上乗せされる。この法案が可決された場合、トヨタ、ホンダ、Tesla(テスラ)などの自動車メーカーの車両は優遇措置の対象外となるが、デトロイトの「ビッグ3」と呼ばれるメーカーはすべて対象となる。

トヨタは議員に宛てた書簡の中で、「現在の法案は、組合に加入しないという選択をした米国の自動車労働者を差別し、電動車両の普及を加速させるという目的を二の次にする」と述べ、「これは不公平であり、間違っています。この明らかに偏った提案を否決してくださることを求めます」と嘆願している。

さらにトヨタは、この法案は富裕層、つまり電気自動車の購入に公的資金を必要としない人々を優遇するものだと述べている。この法案には、調整後所得が40万ドル(約4400万円)までの個人、または80万ドル(約8800万円)までの世帯に、優遇措置の適用を制限するという所得調査の条項が設けられている。所得制限を設けるかどうか、あるいはその所得制限をどのようにするかは、議会の民主党と共和党の間で大きな争点となっている。

テスラのElon Musk(イーロン・マスク)CEOは、この法案を「メキシコで電気自動車を製造しているFord(フォード)  / UAW(全米自動車労働組合)のロビイストが書いたものだ。これがどれだけ米国の納税者のためになるのかはわからない」とツイッターで批判した。

Whole Mars Catalog

労働組合のために4500ドル(約49万円)に引き上げ、米国製に対してはたったの500ドルに減らしたことには、開いた口が塞がりません。

労働組合への2500ドル(約27万4000円)はすでに馬鹿げていました。しかし、新提案ではそれを4500ドルに拡大するとは?!? 彼らは明らかに1つの企業をターゲットにしています。

Elon Musk

メキシコで電気自動車を製造しているフォード / 全米自動車労働組合のロビイストが書いたものです。これがどれだけアメリカの納税者のためになるかはわかりません。

この法案は、EVに対する最大7500ドル(約82万円)の税額控除が10年以上前に施行されて以来、初めての増額となる可能性がある。また、この法案では20万台以上のEVを販売した自動車製造業者の車両を控除の対象外とする規定が廃止されるため、General Motors(ゼネラルモーターズ)やテスラのクルマも再び対象となる。

GM、フォード、そして旧クライスラー(Chrysler)のStellantis(ステランティス)という、全米自動車労働組合に代表される従業員が働く大手自動車メーカー3社は、この法案を賞賛している。

この法案は米国時間9月14日に下院歳入委員会で審議される。この税控除拡大は、現在議会で審議されている3兆5000億ドル(約383兆6000億円)規模の巨大な予算調整法案の一部に過ぎず、その中には他にも教育、医療、気候変動などを対象とした社会的に進歩的な提案が多数含まれている。

画像クレジット:Toyota

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テスラ共同創業者が設立したバッテリーリサイクルRedwood Materialsが事業拡大、バッテリーの材料も生産

元Tesla(テスラ)共同創業者のJB Straubel(JB・ストラウベル)氏がバッテリーの循環サプライチェーンを作ることを目的に興した会社Redwood Materials(レッドウッド・マテリアルズ)が事業を拡大する。主にリサイクル会社として知られてきたが、同社は米国で重要なバッテリー材料を生産することでサプライチェーンを単純化する計画だ。

そのために同社は現在、10億ドル(約1100億円)かけて新設する広さ100万平方フィート(9万3000平方メートル)の工場のための場所を探しているとBloombergは報じた。工場はリチウムイオンバッテリーの重要な構成要素である陰極箔と陽極箔の生産に特化する。年間生産量は2025年までに最大100ギガワットアワーとなる見込みで、これは電気自動車100万台に使うのに十分な量だ。

しかしそれですべてではない。2030年までに同社は年間のバッテリー材料生産を500ギガワットアワーに増やす計画で、これは電気自動車500万台を走らせるボリュームだ。

こうした数字は驚くほど野心的なものだ。Redwoodがそれをやってのけることができるなら、大半がアジアにある世界最大の材料企業と互角に張り合えることになる。カソードサプライチェーンを米国に集積し、一定割合でリサイクル材料を使用すれば、バッテリーパック生産にともなう二酸化炭素排出を41%抑制するかもしれない、とBloombergNEFは推計した。

画像クレジット:Redwood Materials

Redwoodはリサイクル事業の拡大を計画しているが、リサイクルだけで生産に関するこの数字は達成できない。同社はリサイクルされたバッテリーと、持続可能な方法で採掘された材料からカソードとアノードを生産する、と声明文で述べた。差し当たり、同社はこの新たな冒険のパートナーに関しては沈黙したままだが、今後、提携と事業拡大についての発表があるだろう。

今回のニュースは、何カ月もの間、積極的に拠点拡大に取り組んできた同社の最新の大胆な動きだ。2021年夏の初めにRedwoodは、ネバダ州カーソン・シティの広さ15万平方フィート(約1万4000平方メートル)のリサイクル施設の規模を3倍に拡大する、と述べた。同社はまた、ネバダ州スパークスに立地するTeslaとPanasonic(パナソニック)のギガファクトリーに近い100エーカー(約40万平方メートル)の土地を購入した。このニュースのすぐ前には、シリーズCラウンドで7億ドル(約770億円)をBill Gates(ビル・ゲイツ)氏のBreakthrough Energy Ventures、AmazonのClimate Pledge Fund、 Baillie Gifford、Goldman Sachs Asset Managementといった主要投資家から調達した。この資金調達によりRedwoodのバリュエーションは37億ドル(約4060億円)になった。

関連記事:バッテリーリサイクルRedwood Materialsが拡大の一環としてテスラギガファクトリーの近くに拠点設置

画像クレジット:Redwood Materials

同社はTesla、Amazon、電動バスメーカーのProterra、電動自転車メーカーのSpecialized Bicycle Componentsとリサイクル取引を結んでいる。Redwoodはリチウムや銅、ニッケル、コバルトなどの重要な材料の95〜98%をリサイクルバッテリーから回収することができる、と話している。

関連記事:リサイクルのRedwood MaterialsがProterraと提携しEV用バッテリーの原材料を持続可能なかたちで供給

画像クレジット:Redwood Materials

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

中国の検索エンジン大手Baiduが上海でApollo Goロボタクシーのテストを開始

中国の検索エンジン大手Baidu(バイドゥ、百度)は、上海でApollo Go(アポロ・ゴー)ロボタクシーモバイルプラットフォームの公的なテストを開始し、中国における勢力の継続的な拡大を続ける。

Baiduは、そのロボタクシーがレベル4の能力を達成したと述べているが、地域の規制に準拠するために、現地時間9月12日の時点で一般公開されたすべての運行に人間の安全オペレーターが同乗する。米国自動車技術者協会(SAE)は、レベル4の自動運転車の定義を、ほとんどの場合人間の相互作用を必要とせず、限られた地域だけで運用することができるものとしている。Waymo(ウェイモ)、Cruise(クルーズ)、Motional(モーショナル)、Pony.AI(ポニーAI)、Yandex(ヤンデックス)などの企業はすべて、レベル4の自律性を備えた車両の頭脳を構築するために、LiDAR(ライダー)、レーダー、カメラ、GPSの同様の組み合わせを使用している。

上海で展開する車両群は、中国第一汽车(FAW)によって生産されるBaiduの第4世代自動運転車「紅旗EV」で編成される。同社は最初に稼働する車両の数を明らかにしなかったが、Baiduの広報担当者はTechCrunchに対して、目標は上海で約200台の車両を展開することだと語った。Baiduによれば、30の都市で約500台の自動運転車をテストまたは公に運用しているという。

Baiduはカリフォルニアで無人運転技術をテストする認可を得ているが、まだカリフォルニアでは何のサービスも展開しておらず、代わりにそのリソースのほとんどを中国でのスケールアップに振り向けている。同社の広報担当者によれば、中国でのロボタクシーサービスの需要が大幅に増大しているために、Baiduはテクノロジーの改善、多数の車両の製造、優れたユーザーエクスペリエンスの確保に注力しているのだ。上海は長沙、滄州、北京、広州にならび、Apollo Go ロボットタクシーサービスが一般に公開される5番目の都市だ。

ほんの数週間前に、Baiduは北京の通州区にApollo Goサービスを拡大した。通州区は、北京の東の玄関口と見なされており、31マイル(約49.9km)以上にわたって22の新しい駅が追加されている。2021年4月には、同社は北京の首鋼公園で10台の完全自動運転ロボタクシーを運行した。首鋼公園は1.2平方マイル(3.11平方km)のエリアであり、今回中国で最初の商業化されたロボタクシー運用の試験場となった。これらのクルマのハンドルの後ろには人間の安全オペレーターは座っておらず、乗客に安心感を与えるために同乗しているのは助手席の安全スタッフだけだ。1回の乗車料金は30元(約512.5円)で、18〜60歳の乗客が利用できる。サービスはまだ試験段階にあるため、上海を含む他のすべての場所では、乗車は無料だ。

上海の乗客は、Apollo Goアプリを使用して、午前9時30分から午後11時までの間にロボタクシーを呼んで、上海大学、上海インターナショナルサーキットや多くの観光アトラクションが集まる江京地区の150の駅の1つで乗降することができる。

上海はまた、自動運転車のための運用、テスト、研究開発施設が置かれたBaiduのApollo Park(アポロパーク)のある場所だ。1万平方メートルのスペースは、Baiduが市内に持ち込むことを計画する200台の自動運転車が収容される、中国東部で最大の自動運転車両群のサイトとなる。

Baiduの長期的計画は、中国の30の都市に今後2〜3年で3000台の自動運転車を展開することだ。同社は2013年から自動運転技術の研究開発に投資しており、2017年からApolloプロジェクトを推進していることを考えると、Baiduはまさにそれを実行する準備ができているのだろう。6月、BaiduとBAIC Group(北汽集団)は、Apollo Moon(アポロ・ムーン)の計画を発表した。Apollo Moonは、1台あたりの製造価格が48万元(約819万円)で大量生産される設定になっている。さまざまなことを考慮するとこれは本当に安いといえるだろう。Baiduは、成長する車両群に追加を行うために、今後2、3年のうちに1000台のApollo Moobと、まだ発表されていないさまざまなモデルも生産すると述べている。

インフラストラクチャは、ApolloGoを拡張するというBaiduの目標の中の、大きな部分を占めている。Baiduの広報担当者は、同社は中国の主要都市のたくさんの交差点での、5Gを利用したV2X(車対何か)インフラストラクチャの構築にも投資していると語った。Baiduは、交通渋滞を軽減するために道路情報を自動運転システム転送できるエッジコンピューティングシステムを、カメラやLiDARなどのセンサーと組み合わせてすでにインストールしている。同社によれば、長期的には、スマートインフラストラクチャは、自動運転車のパフォーマンスを向上させ、車載センサーとコンピューティングパワーに必要な莫大なコストの一部を相殺するのに役立つという。

Baiduは、現在ロボタクシーはレベル4の自律性を実現するために車載機能に依存しているものの、大規模な展開を行うためにはV2Xが鍵だと考えている。

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画像クレジット:Baidu

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(文: Rebecca Bellan、翻訳:sako)

CuboRexがねこ車を電動化できる「E-Cat Kit」と独自開発の低重心ねこ車フレーム「Cat Frame」をセット販売、耐荷重100kg

CuboRexがねこ車を電動化できる「E-Cat Kit」と独自開発の低重心ねこ車フレーム「Cat Frame」をセット販売

農地や被災地など悪路環境で使える乗り物や運搬器具を製造開発するハードウェアスタートアップCuboRex(キューボレックス)は9月14日、低重心型の作業用一輪車を開発し、それに同社の一輪車電動化キット「E-Cat Kit」(イーキャット・キット)を組み合わせた「E-Catコンプリートパッケージ」の販売を開始した。同社販売ページで購入できる。

CuboRexは、作業用一輪車、いわゆる「ねこ車」を、ほぼタイヤ交換だけで電動化できるキット「E-Cat Kit」を2020年10月に正式リリース。和歌山県や広島県のJAや代理店をはじめ、傾斜地での作業が多いみかん農家を中心に300台以上を販売してきた。

そんななかでCuboRexは、和歌山県有田市で広く使われている低重心で安定性が高い「有田式アルミ製三つ積みねこ車」を電動化できれば、農家のさらなる作業効率の向上と負担軽減が実現できると考えた。そこでCuboRexは有田式ねこ車のフレーム「Cat Frame」を独自に製造することにした。これに「E-Cat Kit」を組み込んだものが「E-Catコンプリートパッケージ」だ。

今後は「Cat Frame」と「E-Cat Kit」の販売拡大とともに、「E-Cat Kit」の販路を農業以外の運搬に関わる仕事にも広げてゆくという。

「E-Cat コンプリートパッケージ」概要

  • 販売価格:19万7780円(税込。「E-Cat Kit」と「Cat Frame」のセットでの提供価格)
  • 対荷重量:最大100kg
  • 荷台サイズ:380×1120 mm
  • 重さ:12kg(一輪車単体5kg)
  • 商品詳細・販売:https://cuborex.base.shop/items/52127770

自動運転用にレーダーの性能をソフトウェアで向上させるOculiiにGMが数億円規模の出資

レーダーセンサーの空間分解能を最大100倍に向上させることを目標としているソフトウェア開発スタートアップ企業のOculii(オキュライ)は、General Motors(ゼネラル・モーターズ)から新たに投資を獲得した。両社によるとその額は数百万ドル(数億円)に上るという。数カ月前にOculiiは、5500万ドル(約60億5000万円)のシリーズB資金調達を完了させたばかりだ。

関連記事:長い歴史を持つ自律走行車用レーダーの機能向上を目指すOculiiが60億円調達

OculiiとGMは「しばらく前から」協力関係にあったと、CEOのSteven Hong(スティーヴン・ホン)氏はTechCrunchによる最近のインタビューで語っている。GMがOculiiのソフトウェアをどのように使用するつもりなのかということについて、同氏は具体的に明かそうとしなかったものの、GMのハンズフリー先進運転支援システム「Super Cruise(スーパークルーズ)」の機能を強化するために使用される可能性が高い。Oculiiは他にもいくつかの自動車メーカーと協力しており、その中の一社からも出資を受けていると、同氏は付け加えた。

「GMのような企業が、これはすばらしい技術だ、これは将来的に使いたいと言ってくれれば、サプライチェーン全体が注目し、そのソリューションや技術を採用するために、より密接に協力してくれるようになります。それが自動車メーカーに販売されるというわけです」と、ホン氏は語る。

Oculiiは顧客の自動車メーカーのためにハードウェアを製造するつもりはない(ただし、協業しているロボット企業のためにはセンサーを製造していると、同社の広報担当者は述べている)。その代わり、Oculiiはレーダーを製造している企業に、ソフトウェアのライセンスを提供したいと考えている。ホン氏によれば、低価格で市販されているレーダーセンサー(自動運転用に設計されたものではなく、緊急ブレーキや駐車支援などの限定されたシナリオ用に設計されたセンサー)に、同社のAIソフトウェアを使えば、より自動運転的な機能を実現させることができるというのが、Oculiiの主張だという。

「拡張性の高いものを提供する方法はソフトウェアによるものだと、私たちは強く確信しています。なぜなら、ソフトウェアはデータによって根本的に改善できるからです」と、ホン氏はいう。「ハードウェアの世代が新しくなれば、性能がより向上したハードウェアに合わせてソフトウェアは根本的に改善されます。また、ソフトウェアは基本的に、時間が経てばハードウェアよりもずっと早く、安価になっていきます」。

今回のニュースは、レーダーにとって間違いなく好材料になるだろう。レーダーは画像処理に限界があるため、一般的に補助的に使用されるセンサーだ。しかし、LiDARよりもはるかに安価に売られているレーダーの性能を、Oculiiが実際に向上させることができれば、自動車メーカーにとっては大幅なコスト削減につながる可能性がある。

世界で最も多くの電気自動車を販売しているTesla(テスラ)は最近、その先進運転支援システムからレーダーセンサーを外し、カメラと強力な車載コンピュータによるニューラルネットワークを使った「ピュアビジョン」と呼ばれるアプローチを採用することにした。しかしホン氏は、テスラが廃止したレーダーは非常に解像度が低く「既存のパイプラインに何も追加するものではない」と述べている。

しかし、技術が進歩すれば、テスラも必ずしもレーダーを排除しようとはしないだろうと、ホン氏は考えている。「基本的に、これらのセンサーはそれぞれがセーフティケースを改善し、それによって99.99999%の信頼性に近づくことができます。結局のところ、それが最も重要なことなのです。信頼性を、できるだけ多くの9が並ぶ確率まで近づけることです」。

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画像クレジット:Oculii

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フォードが最高デジタル情報責任者を新たに迎えてソフトウェアとサービスの充実を目指す

Ford Motor(フォード・モーター)はソフトウェア、サブスクリプション、車載コネクティビティの拡充を狙って、最高デジタル&情報責任者としてMike Amend(マイク・アメンド)氏を迎えた。同氏はLowe’sのオンライン事業の責任者を3年間務め、今後はFordの新しい戦略「Ford+」の中心的分野である「データ利用、ソフトウェア、テクノロジー」に取り組む。

この人事はFordが顧客向けデジタルサービスに真剣に取り組み、ハイテク分野にピボットしようとしていることの現れだ。同社は2021年前半に明らかにしたこのプランをFord+と呼んでいる。このプランの中心にあるのは電気自動車で、同社は2030年までに世界の販売台数のおよそ半分を電気自動車にしたいとしている。またサブスクリプションやデジタルサービスによる新たな収入源の拡大も目指す。

こうしたことから、アメンド氏はテクノロジーとソフトウェアのプラットフォーム関連やグローバルでのデータのインサイトと解析の部門など多くのチームを率いていく。

Fordで最近注目される人事はアメンド氏だけではない。同社は最近、Doug Field(ダグ・フィールド)氏も密かに獲得した。フィールド氏はApple(アップル)の特別プロジェクトチームを率いていた技術系エグゼクティブで、Tesla(テスラ)でも先進テクノロジーと埋め込みシステムの責任者としてModel 3のリーダーを務めた。Fordによれば、両氏は製品責任者のHau Thai-Tang(ハウ・タイ・タン)氏とともに緊密に連携していくという。

アメンド氏はこれまでLowe’s、The Home Depot、JCPenneyといった大手小売店のオンライン事業を成長させてきた。Fordの暫定最高情報責任者であるSakis Kitsopanidis(サキス・キッツォパニディス)氏は引き続き統合エンタープライズリソースプランニングの責任者を務める。

関連記事:フォードがアップルの秘密自動車開発プロジェクトを率いた幹部を採用

画像クレジット:Ford

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Kaori Koyama)

産直食材をマンション敷地などで販売する移動型八百屋「食べチョクカー」が始動、お気に入りをオンラインでリピート可

産直食材をマンション敷地などで販売する移動型八百屋「食べチョクカー」が始動、同じ生産者の商品をオンラインでリピート可

産直通販サイト「食べチョク」(Android版iOS版)を運営するビビッドガーデンは9月10日、モビリティビジネス・プラットフォーム「SHOP STOP」を展開するMellow(メロウ)との連携第1弾として、移動型の八百屋「食べチョクカー」を始動すると発表した。

また、買い物と同時に受け取るQRコードによって後日オンラインで同じ生産者の商品をリピート可能。この仕組みにより、オンラインの「食べチョク」サイトと、オフラインの食べチョクカーとを連動させる。産直食材をマンション敷地などで販売する移動型八百屋「食べチョクカー」が始動、同じ生産者の商品をオンラインでリピート可

食べチョクカーは、野菜など生産者から直接仕入れたこだわり食材をマンションの敷地内で販売するというプロジェクトで、都内2~3カ所のマンションにおいて、10月から3ヵ月間期間限定で開始する。順次場所の拡大を進める予定。

インターネットを介した買い物に抵抗がある方や食べチョクを使ったことのないという場合でも、少量(1個単位)から購入できるため、生産者のこだわり食材を気軽に楽しめる機会を提供するという。実際に商品を見て少量からお試しして、安心感、納得感を得てから、インターネットでも購入できる。

コロナ禍によりおうち時間の需要が増加し、変化した生活様式に対応するとともに、遠出せず混雑がない場所で買い物ができるようにした。マンションや公園・商業施設など生活の場所の近くで販売することで、人が集まる場所に移動せずにこだわり食材を直接見て買うという体験を提供する。産直食材をマンション敷地などで販売する移動型八百屋「食べチョクカー」が始動、同じ生産者の商品をオンラインでリピート可

また同プロジェクトは、メロウが提供する企業向け「店舗型モビリティ導入プラン」第1弾の取り組みにあたる。同プラン内容は、各企業のコンテンツに最適な店舗型モビリティのリース、オフィス街やマンション、商業施設、公園といった出店ロケーション調整をはじめ、モビリティ事業へ参入されるにあたり必要なリソースをワンパッケージでサポートするものとなっている。これにより、リスクをおさえたモビリティ事業立ち上げが可能としている。産直食材をマンション敷地などで販売する移動型八百屋「食べチョクカー」が始動、同じ生産者の商品をオンラインでリピート可

食べチョクによると、利用者の約48.3%が一都三県(東京・神奈川・千葉・埼玉)在住者という(2021年8月全注文のうち、送付先が一都三県となっている割合)。都心在住者の場合、新鮮で高品質な食材が身近で購入できない、自宅からスーパーまでが遠く通うのが大変という声があり、マンションの敷地内で販売することで、それら課題を解決する。

また、より生活に入り込んだ場所で産直食材に触れる機会を提供することによって、生産者のファン作りにつなげるという。

Mellowは、オフィス街、住宅街、病院といったロケーションを停留所として、移動型店舗「ショップ・モビリティ」を配車するプラットフォームサービス「SHOP STOP」を運営。キッチンカーを中心とした1200店以上と提携し、首都圏・関西・九州エリアで展開中という。フード以外には、「豊洲市場仲卸による鮮魚販売モビリティ」「保険の相談モビリティ」などのショップ・モビリティ運営ノウハウも有するそうだ。

キッチンカーの開業、経営に関する無料相談や、キッチンカー参入の障壁となる初期費用、営業場所の確保、保険などのリスクへの備え、営業ノウハウなどあらゆるサービスをワンパッケージにした日本初の飲食事業者向けMaaSサブスプリクション「フードトラックONE」を展開している。