Nianticが3D-LiDARスキャンアプリのScaniverseを買収

Nianticはこの世界の3Dマップを作るクエストを進めている。

米国時間8月10日、同社はオブジェクトと周囲を高解像度3DでスキャンするiPhoneおよびiPad用アプリのScaniverseを買収したと発表した。

Nianticの担当者は筆者に対し、Scaniverseアプリは今後もApp Storeで公開され、スタンドアローンのアプリとして引き続きサポートする予定だと述べた。高解像度の処理やモデルを他の3Dソフトウェアに書き出すなど、これまで年額17ドル(日本では1950円)だった「Pro」のサブスクリプションに限定されていた機能は無料になった。

2019年3月に筆者が初めて記事にしたとおり、Nianticのゴールの1つは詳細で無限に進化する3Dマップを作ることだ。3Dマップは、ARメガネのようなものが受け入れられるとすれば、そのときにリアルでリッチなAR体験を可能にするための基盤となるステップだと同社は考えている。相当大がかりな(そして終わることのない)タスクではあるが、「ポケモンGO」や「ハリー・ポッター:魔法同盟」、「Ingress Prime」といったゲームであちこち歩き回っているプレイヤーたちがいるので少しは実現しやすい。

この買収にともない、ScaniverseのクリエイターであるKeith Ito(キース・イトー)氏がNianticのARチームに加わる。その他の買収の条件は明らかにされていない。Nianticは2020年3月に金額非公開で6D.aiを買収しており、今回は3Dマッピング分野での最新の買収だ。

参考までに、Scaniverseアプリのデモ動画を紹介する。

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カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:NianticポケモンGO買収3D3DスキャンScaniverse拡張現実3D-LiDAR

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Kaori Koyama)

スマホ1つで作れるEC向けARサービスのカシカ、見る側は専用アプリ不要

AR(拡張現実)技術は10年以上前に登場したが、近年は大手スマホベンダーが特に力を入れ始めている。このような中、AR市場の拡大を見据え、商機をつかもうとしているのが、2017年5月に創業したカシカだ。

カシカはEC向けに商材をAR(拡張現実)化するサービス「カタチスペース」などを展開するスタートアップで、2021年7月から法人向けにカタチスペースの定額制プランを始めている。

そもそもARとは何か。カシカの奥健太郎代表は「カメラ映像にCGデータを重ねて表示する技術です。カメラの画面越しに見える風景に、実際には存在しないCGデータを重ねて表示することで、目の前にはない物体が見られるようになります」と説明した。

これまでにも何度かARブームはあった。直近では2016年に「ポケモンGO」、2019年には「ドラゴンクエストウォーク」などが世間を騒がせた。しかし、一般にはまだ浸透しているとは言えない状況だという。「問題点の1つは、ARを体験するには専用アプリが必要なことです。ARを見るためにアプリをインストールしなくてはいけないというハードルがありました」と奥氏は話す。

ただ、AR技術は日々進化している。近年ではアプリをインストールしなくてもARを見ることができる「ウェブAR」が登場し、海外ではアプリ開発なども進んでいる。ARについては、特にApple(アップル)が推進しているという。

アップルは2020年に、高精度のARカメラ機能LiDARセンサーをiPhone 12 Proに搭載している。2021年6月に行われたAppleのイベントでは、iPhone、iPadで撮影するだけで3Dデータを作ることができるmacOS機能「Object Capture」を発表。これにより、小売り向けに商品の3Dモデルが作れるようになるという。なお、Googleにおいても、スマホ版Googleマップの道案内機能でAR対応を進めるなど、AR推進の波は大きくなっているのだ。

「国内ではARを取り入れた展開が遅れていると言えるかもしれませんが、将来的にはAR撮影できるカメラを標準搭載したスマホが当たり前になると考えています」と奥氏は話した。

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専用アプリ不要で、手軽にARを見ることができる

各プランの3Dスキャン・AR化は、カシカが開発した無料の「カタチスペース」(iOS版のみ)アプリで撮影・アップロードするだけ。また、SNSやECサイトへの共有用QRコードやURLの生成もできる。

奥氏はカタチスペースアプリについて「iPhone X以上に対応しており、iPhone・iPadの顔認証でロック解除機能が付いているインカメラや、背面に2つ以上レンズが付いている機種でARの撮影ができます」と説明した。なお、アプリによる撮影でAR化できるのは物体の片面だけだが、背面も含めた360度を3Dデータ化する場合は専門チームによる3Dスキャン「カタチスキャン」(別途追加費用)などで対応する。

ECサイト訪問者はスマホからサイト上のQRコードなどを読み込むだけで、AR化した商品イメージを確認できる。専用アプリをインストールする必要はなく、ブラウザから、iPhone、androidからARを見ることができるのだ。

また、コロナ禍でいわゆる「巣ごもり需要」が高まったことで、ECサイトは活況となっており、ARを活用できる機会は増えている。しかし、課題もある。

ECサイトで買い物をする時、サイト上の商品写真や動画、サイズ表記、色見本などの概要情報だけでは、商品を具体的にイメージすることは難しい。「ECサイトの返品率はリアルのおよそ2倍で、20%が業界標準となります。最も多いのはアパレルで29%、次いで家電が16%となっています。業者側にかかるコストは検品返品にともなう人件費も加わり、大きな負担になります」と奥氏は述べた。

EC事業者側はカタチスペースアプリによって手軽にARを作成可能で、サイト訪問者は専用アプリ不要でARを見ることができるため、画面越しでは伝えづらい大きさや質感、形状を簡単に伝えられるようにした。「プロ」プランでAR表示中の画面から商品決済ページへ直接進むこともできるという。自宅から商品確認や設置シミュレーション、購入までのフローをスムーズに実現し、商品到着後にイメージとの齟齬(そご)をなくす手助けをする狙いだ。

また、EC事業者側はコスト面でもメリットがあるという。「商品の3Dモデル製作費用やAR表示するための専用アプリ・ECサイト開発費用など、見積もりで100万円以上かかることも少なくありません。我々はすでにAR化するアプリを開発しています。3Dモデルを作るという作業ではなく、スキャンするだけであり、AR表示するところまでシステム化して一貫して提供できます。高品質のARを利用したい場合に、月額の費用に加え、専門チームの3Dスキャンによる費用が追加されるだけなので、EC事業者側は予算組みをしやすいと考えています」と奥氏は説明した。

奥氏は「2021年内にカタチスペースを30社に導入し、売上を1000万円、2024年までに500社に導入し、5億円の売上を目指します」と意気込む。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AR / 拡張現実カシカ日本eコマース

フェイスブックの次期新製品は待望の「レイバン・スマートグラス」

好調なFacebookのビジネス、その中心はデジタル広告だが、同社はVR以外のハードウェアにも意欲を燃やしている。最新の決算発表の場で、CEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、次の製品はRay-Ban(レイバン)のスマートグラスになるだろうと述べた。

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Facebookの共同創設者であるマーク・ザッカーバーグ氏は「このメガネは象徴的な形状をしており、とてもすてきなことができます。だからこそ私は、多くの人にこのメガネを手にしてもらい、将来の完全なARグラスに向けて前進し続けることに興奮しています」と述べた。

Facebookのサングラスは、2019年から噂になっていた。当時、情報筋がCNBCに語ったところによると、FacebookはレイバンのオーナーであるEssilorLuxottica(エシロールルックスオティカ)と協力して「Orion」というニックネームのARアイウェアを開発しているという。このメガネは、電話を受けたり、情報を確認したり、さらにはライブストリームを配信したりすることができる、スマートフォンの本格的な代替品として宣伝されていた。必然的にこのメガネは、Snapのスマホと連動するSpectaclesではなく、Google Glass(Luxotticaとの共同開発)と比較された。2020年、Facebook Reality LabsのVR担当副社長であったHugo Barra(ウーゴ・バッラ)氏は、このメガネが2021年に登場することを認めていた。しかしそれ以降、ほとんど音沙汰がない。

Facebookにとって、このメガネは未来への鍵を握っています。ザッカーバーグ氏は、仮想現実(VR)と並んで、拡張現実(AR)は「メタバース」の構築に不可欠だと述べている。将来、Facebookは、VRやARを使ってさまざまなソーシャル体験間を「テレポート」できるような、共有された生き生きとしたプラットフォームに変化していくだろう、とザッカーバーグ氏は説明している。

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「メタバース」という言葉は、シリコンバレーや未来学者の間で流行している最新のバズワードだ。この概念は10年以上前から存在していましたが「Fortnite」や「Roblox」などのマルチプレイヤーゲーム制作プラットフォームが大ヒットしたことで、注目を集めるようになっている。今週初めには、Microsoft(マイクロソフト)のSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏は、同社の決算説明会で「エンタープライズ・メタバース」について言及している。

Facebookにとって、メタバースは単なる流行ではありません。ザッカーバーグ氏によると、同社は数十億ドル(数千億円)を投じて、Facebookのユーザーとデジタル広告で構成される「シェアードユニバース」を構築しようとしている。それを実現するためには、より多くの人々に同社のコンピューティングハードウェアを購入してもらう必要があるという。そのため、それらのデバイスをより手頃な価格で提供することを計画している。

ザッカーバーグ氏は「私たちの使命は、できるだけ多くの人々にサービスを提供することです。ですから、私たちが行うすべてのことをできるだけ手頃な価格で提供し、できるだけ多くの人々に利用してもらい、その中でデジタル経済の規模を拡大していきたいと考えています」。

Facebookが開発を進めているとされるハードウェアは、サングラスだけではない。複数の報道によると、Facebookは、携帯電話回線を内蔵し、取り外し可能なディスプレイを搭載したスマートウォッチを開発しているという。当初は、スマートウォッチが最初に発売されると考えられていたが、ザッカーバーグ氏には別の計画があったようだ。

編集部注:本記事はEngadgetに掲載されている。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Facebookマーク・ザッカーバーグメタバーススマートグラスレイバン仮想現実拡張現実

画像クレジット:Drew Angerer / Getty Images

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(文:Saqib Shah、翻訳:Katsuyuki Yasui)

消防隊がARヘッドセットで火災現場の作業状況を共有するQwake Technologiesのシステム

新技術の構築が難しい分野の中でも、消防は特に困難なものの1つだ。煙と熱はすぐに機器を損傷し、火災による障害はあらゆる種類の無線通信を妨害し、ソフトウェアを使用不可能にする。技術的観点からに見て、火災への対応方法を大きく変えたテクノロジーはほとんどない。

サンフランシスコ拠点のスタートアップQwake Technologies(クウェイク・テクノロジーズ)は、拡張現実(AR)ヘッドセットのC-THRUを使って消火活動をアップグレードしようとしている。消防士が着用するそのデバイスは、周囲をスキャンして得られた重要な環境データをクラウドにアップロードすることで、全消防隊員が現場の作業状況を共有できる。ゴールは、状況認識を改善して消防隊員の作業効率を高め、かつ負傷者や犠牲者を最小限にすることだ。

2015年に設立された同社は、今週約550万ドル(約6億円)の資金調達を終えたばかりだ。CEOのSam Cossman(サム・コスマン)氏は筆頭出資者の名前を明らかにせず、条件規定書の機密条項が理由だと述べた。同氏はその戦略的投資家が上場企業であり、Qwakeが初めての投資先であると説明した。

(通常私はこの種の詳細情報が不明な資金調達案件は無視するのだが、最近DisasterTech(ディザスターテック / 災害テクノロジー)で頭がいっぱいの私としては書かないわけにいかない)

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Qwakeは最近大型の政府契約を勝ち取り、2021年後半に製品展開の拡大を目指している。2020年同社は国土安全保障省と140万ドル(約1億5000万円)の契約を締結し、4月にはRSA社とともに米国空軍と提携を結んだ。さらに同社は少額のエンジェル資金を調達した他、Verizon(ベライゾン)の5G First Responder Lab(初期対応者研究プロジェクト)に初期コホートとして参加している(情報開示:TechCrunchは「まだ」Verizonが所有している)。

Qwakeを、John Long(ジョン・ロング)氏、Omer Haciomroglu(オマー・ハショムログル)氏とともに創業したコスマン氏は「火」、その中でも火山に関心を持っている。同氏は長年、探検映像作家・イノベーターとして、カルデラを探索し、視聴者と人道的対応と科学のギャップを橋渡ししようとしてきた。

「これまで私は、地球化学と火山に焦点を当てて数多く活動してきました」と彼は言った。「多くのプロジェクトが火山噴火の予測に焦点を当てたもので、センサーネットワークや自然界のさまざまな現象に注目することで、火山の脅威にさらされている地域住民の安全を守ることに役立てています」。

ニカラグアのあるプロジェクトで、彼のチームは活火山の煙の中で突然道に迷った。そこでは「厚くて濃厚な超高熱火山ガスが私たちの正しい移動を妨げていました」とコスマン氏は言った。そんな状況の中での移動を支援するテクノロジーを作りたかった同氏は、自社製品を消防隊員に利用してもらう方法を考えた。そして「『この人たちは、厳しい環境の中で何が見えるか、どうやって早く決断を下すのかをわかっている』ということを知りました」。

彼は落胆したが、同時に新たなビジョンを手に入れた。そのテクノロジーを自分で作ることだ。そうやってQwakeは生まれた。「私は誰よりも、間違いなく消費者よりもこれを必要としている人たちが手に入れる手段をもたないことに怒りを覚えました。それはまったく可能なことなのにです」と彼は言った。「しかし、それはSFの中だけで語られていたことだったので、私はこれを現実にするために過去6年間を捧げてきました」。

この種のプロダクトを作るには、ハードウェアエンジニアリングから神経科学、消火、プロダクトデザインなどさまざまな能力が必要だ。「まずこのプロトイプを作っていじることから始めました。すると消防コミュニティから非常に興味深い反響があったのです」とコスマン氏は言った。

Qwakeは消防士がヘルメットに装着して周囲のデータを集めるIoT製品を提供している(画像クレジット:Qwake Technologies)

当時Qwakeは消防士を誰も知らなかったので、ファウンダーたちが顧客訪問を行ったところ、センサーとカメラは初期対応者が本当に必要なものではないことがわかった。代わりに、欲しかったのは現場作業の透明性だった。入力データを増やすだけでなく、すべてのノイズを集め、合成し、現場で今起きていることや次に何をするべきかの正確な情報を彼らに伝えるシステムだ。

最終的に、Qwakeは完全のソリューションを作り上げた。消防士のヘルメットに装着するIoTデバイスと、入ってくるセンサーデータを処理してチーム全員から同時にやって来る情報を同期するタブレットベースのアプリケーションからなるシステムだ。そしてクラウドがすべてを結びつける。

これまでにカリフォルニア州メンロパークとマサチューセッツ州ボストンの消防署がモデルケースになっている。新たな資金を得て、チームはプロトタイプの段階を進め、2021年中の一般公開に向けてスケール可能な製造の準備をして販売領域を広げるつもりだ。

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カテゴリー:EnviroTech
タグ:Qwake Technologies火災拡張現実気候テック資金調達

画像クレジット:Qwake Technologies

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(文:Danny Crichton、翻訳:Nob Takahashi / facebook

技術的、機械的なメンテナンスや修理をより効果的にする拡張現実プラットフォーム「SightCall」

新型コロナウイルス(COVID-19)が企業にデジタルトランスフォーメーションの波を引き起こすはるか前から、カスタマーサービスやカスタマーサポートはオンライン上やバーチャル上で運用されるよう設計されてきた。それでもなお、この分野はテクノロジーの力を借りて引き続き進化し続けているようだ。

2021年5月、SightCallというスタートアップが4200万ドル(約46億円)の資金調達を発表した。同社はフィールドサービスチームやそのチームが所属する企業、そしてその顧客が技術的および機械的なメンテナンスや修理をより効果的に行うための拡張現実プラットフォームを構築している。今回の資金は人工知能ツールの追加や顧客基盤の拡大など、同社の技術スタックへの投資に充てられる予定だ。

CEO兼共同設立者のThomas Cottereau(トーマス・コテロー)氏によると、同社のサービスの中核となるのはAR技術であるという。この機能は同社のアプリや顧客が使用するサービスアプリに組み込まれており、またMicrosoft、SAP、Salesforce、ServiceNowなどの顧客サービス環境で使用される標準的なソフトウェアにも統合されている。この拡張現実では、ビデオストリーム上に追加情報やポインターなどさまざまなツールが重ねて表示される。

例えばフィールドサービスエンジニアが機器を修理する際に本社と連携したり、または緊急時や何かが故障した際にエンジニアを呼ぶよりも顧客自身で修理したほうが早い場合にメーカーが利用したり、あるいはコールセンターがAIの助けを借りて問題を診断したりする際などに、このテクノロジーが使用される。これまで作業指示書や急いで用意した図面、取扱説明書、口頭説明に頼って作業を進められてきた状況が、これにより大きく前進することになる。

「我々はフィールドサービス組織とお客様の間に存在する壁を打ち壊しているのだと自負しています」とコテロー氏は話している。

長年かけて構築された同テクノロジーはSightCall独自のもので、一般的なスマートフォンを使って通常のモバイルネットワークでも使用できるように設計されている。電波状況が悪かったり、離れた場所にいたりする際などに活躍するのだが、その仕組みについては後ほど詳しく説明したいと思う。

当初はフランスのパリで設立され、その後サンフランシスコに移転した同社だが、これまでに保険、電気通信、輸送、テレヘルス、製造、ユーティリティー、ライフサイエンスや医療機器など幅広い分野で大規模なビジネスを構築してきた。

SightCallはKraft-Heinz、Allianz、GE Healthcare、Lincoln Motor Companyなど約200社の有名企業の顧客を抱えており、B2Bベースでサービスを提供している他、現場に出て消費者顧客のために尽力するチームにもサービスを提供している。2019年と2020年の年間経常収益が前年比100%の伸び率を達成したSightCall。同社CEOは2021年もその伸び率を達成できそうだと話し、年間経常収益1億ドル(約110億円)を目標としている。

今回の資金調達は欧州のプライベートエクイティ企業であるInfraViaが主導し、またBpifranceも参加する。今回のラウンドの評価額は公表されていないが、ある投資家から聞いた話によると、PitchBookが発表したポストマネーの1億2200万ドル(約133億5000万円)という見積もりは正確ではないようだ(この件についてはまだ調査中のため、何か分かったら更新しようと思う)。

InfraViaは複数の産業ビジネスに投資しており、最近ではJobandtalentへの投資など産業ビジネスに関連したサービスを提供するテック企業への投資も行っている。これは戦略的な投資であり、SightCallはこれまでに6700万ドル(約73億円3000万円)を調達している。

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近年、最前線や現場で働く人々が使用する技術スタックを構築するスタートアップが続々と登場している。これは新世代のアプリケーションを構築するスタートアップが、ナレッジワーカーに注目しているから故の変化である。

WorkizJobberは中小企業のビジネスマンが仕事を入れたり管理したりするためのプラットフォームを構築しており、BigChangeは大規模なフリートマネジメントをサポート。Hoverは建設業者が自身や潜在顧客のスマートフォンのカメラで撮影した画像をAIで分析することで、工事のコストを評価して見積もることができるプラットフォームを構築している。

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Streemは比較的SightCallに似た競合企業で、同社はGoogleでのSightCallの検索結果に基づいてGoogle広告を取得しているようだ。新型コロナのパンデミックが始まる直前、General Catalystが支援するStreemがFrontdoorに買収され、Frontdoorのホームサービス事業の構築に貢献していることからも、こういった事業がいかに躍進を遂げているかよくわかる。

SightCallが他と比べて際立っている理由はその技術にある。2007年、現在は製品・エンジニアリング担当SVPのAntoine Vervoort(アントイン・ベルボー)氏コテロー氏とが共同で設立した同社だが、この2人は通信業界に長く身を置き、ともに次世代ネットワーク構築の技術面を担当してきた。

モバイルウェブやSMSアプリにリッチメディアサービスを導入しようと各社取り組んでいた当時、同社はWebRTCベースのフレームワーク上で動作するビデオチャットサービスを構築するWeemoという会社として事業を開始している。一般消費者や多くの企業にとって「オーバーザトップ」(携帯電話会社ではなく、携帯電話のOSを運営する企業が配信し、そのために一部をコントロールする)で動作する携帯電話アプリは、メッセージングやメッセージングにおけるイノベーションの市場をリードし、現在も優位に立っている。

その後Weemoは方向性を転換してSightCallに社名を変更し、自社で開発した技術を企業顧客が望むアプリ(ネイティブまたはモバイルウェブ)にパッケージ化することに注力した。

SightCallが構築された方法こそが、同社の仕組みのカギとなったとコテロー氏は説明する。同社は10年の歳月をかけて顧客に近いデータセンターにネットワークを構築、最適化してきた。このネットワークはTier 1の通信事業者と相互接続しており、アップタイムを確保するためにシステムには多くのレイテンシーを持たせている。「この接続性がミッションクリティカルな企業と仕事をしているため、ビデオソリューションは完璧でなければなりません」。

同氏の説明によると、SightCallが構築したハイブリッドシステムはテレコムハードウェアとソフトウェアの両方で動作する独自のIPを組み込んでおり、その結果、ビデオストリーミング向けの10種類の方法を提供するビデオサービスと、ユーザーがどこにいるかによって特定の環境下で最適なものを自動的に選択するというシステムを実現している。これにより、モバイルデータやブロードバンドの電波が届かなくてもビデオストリーミングが可能になるというわけだ。「通信業界とソフトウェア業界の間にはいまだに大きな壁があり、考え方も異なります。だからこそ我々の秘密兵器であるグローバルローミングメカニズムが重要になってくるのです」。

同社がこれまでに構築してきた技術は、この分野への参入を検討している他の企業に対して確固たる基盤を与えたと同時に、顧客からの強い支持も得ることができた。SightCallの技術をすでに使用している業界で採用されている自動化をより深く活用するため、その技術を継続的に構築していくというのが同社にとっての次のステップである。

InfraVia Capital PartnersのパートナーであるAlban Wyniecki(アルバン・ウィニエツキ)氏は声明の中で次のように述べている。「SightCallはARを利用したビジュアルアシスタンスの市場を開拓し、リモートサービスにおけるデジタルトランスフォーメーションを推進するためのベストポジションに立っています。グローバルリーダーとしての能力をさらに押し広げ、よりインテリジェントなサービスを提供するとともに、人々が最大限の力を発揮できるようにするため、今後もますます多くの自動化を実現してくれることでしょう」。

「今回の4200万ドルのシリーズBは、この分野では最大の資金調達ラウンドです。資本、R&Dリソース、業界をリードするテクノロジー企業とのパートナーシップにおいてSightCallは紛れもないリーダーとして確立し、同社のソリューションを企業の複雑なITに組み込むことを可能にしました。より大きなスケールでの顧客中心性を実現すると同時に、効率性を引き出し、継続的なパフォーマンスと利益をもたらす知識と専門性で技術者を増強する、SightCallのようなソリューションを企業は求めています」とBpifranceのAntoine Izak(アントイン・イザック)氏は付け加えている。

コテロー氏によると、同社はこれまでに何度も買収のオファーを受けてきたという。信頼性の低いネットワーク環境でも機能し、異なるキャリアやデータセンター間のビデオネットワークを構築する方法について同社が築き上げてきた基盤技術を考えれば、これはむしろ当然のことである。

「独立した存在であり続けたいと思っています。この先に巨大な市場があると信じているため、自分たちでこの旅を進め、リードしていきたいと思っています。それに、独立性を保ちながら皆とともに仕事を続けていく方法が私には見えているのです」。

カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:SightCall資金調達拡張現実フランス

画像クレジット:yoh4nn / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

5GとVR・AR技術、3Dプリンティング技術を活用し東京の指導医が大阪の若手歯科医による歯科手術を遠隔支援

5GとVR・AR技術、3Dプリンティング技術を活用し東京の指導医が大阪の若手歯科医による歯科手術を遠隔支援Holoeyesは、Dental Predictionとソフトバンクの協力のもと「5GネットワークにおけるXR歯科手術支援の有効性の検証」に関する実証実験を7月12日から実施します。

5GとXR技術、3Dプリンティング技術を活用した実験で、東京にいる指導医が大阪にいる若手歯科医に、VR・AR映像を通して診断・治療の指導と手術を支援をするといった内容です。

具体的には、歯が欠損した場合に行うインプラント手術の症例を扱います。インプラント手術は、知識的にも技術的にも比較的難易度の高い処置です。5GとXR技術、3Dプリンティング技術を活用して、物理的な場所の制約を受けずに若手歯科医への知識や技術の伝授ができるかを検証します。

5GとVR・AR技術、3Dプリンティング技術を活用し東京の指導医が大阪の若手歯科医による歯科手術を遠隔支援

3Dモデル/3Dプリンティング模型

実験では患者のデータを基に作成した頭蓋骨の3Dモデルを使い手術に必要な3次元の動きをVR空間で共有します。診断と検討の後、指導医は3DモデルをAR空間で操作しながら、同じ患者の顎骨の3Dプリンティング模型を使って指導します。

若手歯科医はAR映像を見ながら模型にドリルで穴を開けるなどの実習を行うことで、インプラント手術の一連の流れを体験できます。最終的には、指導医が東京からAR映像を通して支援しながら、若手歯科医が大阪市内の歯科クリニックで実際の患者の手術を行います。

なお、遠隔指導および遠隔手術支援に当たっては、現役の歯科医であるDental Prediction代表の宇野澤氏が、診断を行う上で重要なポイントや解剖に関する手順を解説します。

各種デバイスに対応したHoloeyesの医療用画像表示サービス「Holoeyes XR」と、オンライン遠隔共有カンファレンスサービス「Holoeyes VS」を活用し、ソフトバンクの5GネットワークでVR・AR映像を送受信することで、指導や手術支援を行います。

以降リリースより転載です。

実証実験の概要

  1. 名称:5GネットワークにおけるXR歯科手術支援の有効性の検証
  2. 実施期間(予定):2021年7月12日~9月
  3. 実施場所:東京会場:ソフトバンク本社(東京都港区海岸1-7-1 東京ポートシティ竹芝 オフィスタワー)、大阪会場:5G X LAB OSAKA(大阪市住之江区南港北2-1-10 ATCビルITM棟 6階「ソフト産業プラザTEQS」内)

実施の流れ

  • ステップ1(7月12日実施予定):過去に手術を受けた患者のデータを基に作成した3Dモデルで症例検討と解剖手順の確認を行った後、同じ患者の3Dプリンティング模型を使って、若手歯科医が手術の一連の流れを体験します。複数の若手歯科医へ同時に遠隔指導することで、その有用性を検証します。
  • ステップ2(8月実施予定):これから手術を受ける患者のデータを基に作成した3Dモデルで症例検討と解剖手順の確認を行った後、同じ患者の3Dプリンティング模型を使って、若手歯科医が手術の一連の流れを体験します。今後予定している手術を、複数の若手歯科医が同時に疑似体験できることを検証します。
  • ステップ3(9月実施予定):東京の指導医が遠隔支援しながら、若手歯科医が大阪市内の歯科クリニックで実際の患者(ステップ2の患者)の手術を実施します。若手歯科医が、指導医の遠隔支援の下で安全かつ確実に手術ができることを検証します。

(Source:ソフトバンクEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:医療(用語)XR / xR(用語)遠隔医療(用語)拡張現実 / AR(用語)仮想現実 / VR(用語)歯 / 歯科(用語)3D / 3Dモデル(用語)3Dプリント / 3Dプリンター(用語)ソフトバンク / SoftBank(企業)Dental Prediction(企業)5G(用語)HoloEyes(企業)日本(国・地域)

ゲーミングチャットアプリのDiscordがARスタートアップUbiquity6を買収

投資家から数千万ドル(数十億円)も調達し、2021年初めに実質的な方向転換を図った後、拡張現実(AR)のスタートアップUbiquity6とそのチームはゲーミングチャットアプリのDiscordに買収された。

野心的なUbiquity6はBenchmark、First Round、Kleiner Perkins、そしてARコンテンツをホストする消費者向けプラットフォームを構築するというビジョンに賭けていたGoogleのGradient Venturesなど一流の投資家からこれまでに3750万ドル(約41億円)を調達した。公開された直近の資金調達は2700万ドル(約30億円)を獲得した2018年10月のシリーズBだった。

Discordによる買収の条件は明らかにされなかった。しかしここ数カ月、Ubiquity6は構築に最初の数年を費やしたプロダクトの大半を放棄していたようで、これは同社が幅広いオーディエンスを見つけるのに苦労していたことをうかがわせる。

2017年創業のUbiquity6は携帯電話ユーザーがARコンテンツをブラウズするのに中心的な方法になるアプリの構築を描いていた。2019年後半に同社は、3Dスキャニングの物理的環境のプロセスをスマホのカメラでゲーム化することを目指すDisplaylandというプロダクトを立ち上げた

大衆に受け入れられるようにするという同社の取り組みは、AppleやGoogleなどを含むテック大手がかなり投資してきたにもかかわらずここ数年勢いを得るのにほぼ失敗していたモバイルARマーケットによって妨げられた。

2020年初め、CEOのAnjney Midha(アンジニー・ミドハ)氏はUbiquity6が従業員65人を雇用している、とTechCrunch に語った。

ここ数カ月でUbiquity6はかなり抜本的な方向転換を実行した。ユーザーがシンプルなオンラインパーティゲームをリモートで一緒に遊ぶことができるデスクトッププラットフォームを構築することを選び、ARを完全に捨てたのだ。Backyardというベータプラットフォームは米国がパンデミックから立ち直るにつれてなくなりつつあるパンデミック時代の習慣のためにデザインされていた。

買収を発表するMediumへの投稿の中で、ミドハ氏はUbiquity6のARテクノロジーがDiscordの中で生き続けるとの期待を控えめに述べた。

「Ubiquity6での我々のミッションは常に、人々が共有体験を通じてつながる新しい方法を見つけることでした」とミドハ氏は書いた。「Discordに加わることで我々はそのミッションを加速させることができます。Ubiquity6のチーム、プロダクトのBackyard、そしてマルチプレイヤーテクノロジーはDiscordに統合されます」。

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タグ:Discord買収拡張現実

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi

フェイスブックがネットショッピングに関連する4つの新機能を発表

Facebook(フェイスブック)は、高校時代の同級生が飼っていた犬の写真を見て商品を購入するようなことが、さらに簡単にできるように、ショッピング関連の新機能をいくつか導入する。もちろん、Instagram Shops(インスタグラム ショップ)や「Facebook Marketplace(フェイスブック マーケットプレイス)」は、すでにアプリの下部ナビゲーションタブに大きく表示されている。しかし今回、その他のアップデートとともに、WhatsApp(ワッツアップ)でもショッピングができるようになった。

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Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)CEOは米国時間6月22日、Facebookの音声チャット「Live Audio Room(ライブオーディオルーム)」で、同社のプラットフォームに新たに導入されるeコマース機能を発表した。「Shops on WhatsApp(ショップ・オン・ワッツアップ)」「Shops on Marketplace(ショップ・オン・マーケットプレイス)」「Shops Ads(ショップ・アド)」そして「Instagram Visual Search(インスタグラム・ビジュアル・サーチ)」の4つだ。

ザッカーバーグ氏はFacebookの投稿で「毎月10億人以上の人がMarketplaceを利用しています。そこで私たちは、企業が自分たちのShops(Facebookショップ)をもっと多くの人に利用してもらえるように、Marketplaceに導入できるようにします」と書いている。また、企業はWhatsAppでもFacebookショップを表示させることが可能になり、ユーザーは商品を購入する前にその企業とチャットできるようになる。

画像クレジット:WhatsApp

2021年6月初めに開催された「F8 Refresh(F8リフレッシュ)」の基調講演で、FacebookはWhatsApp Business(ワッツアップ・ビジネス)のアップデートを発表した。それまで、ビジネスアカウントの開設には数週間を要していたが、今ではわずか数分で登録できるようになった。WhatsAppには全世界で20億人以上のユーザーがいるが、カスタマーサポートなどのためにWhatsApp Businessアカウントで毎日メッセージを送っている人は約1億7500万人ほどしかいない。FacebookはInstagramなどのプラットフォームでeコマース向け機能の強化を推進しているため、この取り組みをWhatsAppにも拡大しようとするのは理に適っている。

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Shops on WhatsAppは間もなく導入が開始される予定で、Shops on Marketplaceはすでに米国ではオンサイトチェックアウトが可能になっている。

3つ目の機能であるShops Adsは、人々のそれぞれの買い物の傾向に基づき、より個人に合わせたショッピング体験を提供することを目的としている。「人々の買い物の行動に基づいて、企業が買い物客を最も購入する可能性の高い場所に送り込むことができる機能の提供を開始します」と、ザッカーバーグ氏は述べている。米国ではAR Dynamic Ads(ARダイナミック広告)の導入が始まっており、Huda Beauty(フーダ ビューティー)やLaura Mercier(ローラ メルシエ)などの企業は、この広告を利用して、顧客が購入する前にARで口紅の色合いを試せるようにしている。このようなAR試着体験は、Modiface(モディフェイス)やPerfect Corp(パーフェクト、玩美移動)とのAPI統合によって提供されるものだ。2021年初めには、Pinterest(ピンタレスト)がModiFaceと協力して、アイシャドウのAR試着を始めている。

画像クレジット:Facebook

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そして4つ目として、Instagramでは今後数カ月以内に、AIを活用したVisual Search機能のテスト導入を開始する。

「ショッピングディスカバリーは、多くの場合、ビジュアルディスカバリーから始まりますよね。良いなと思うものを見かけたら、同じような商品を他にも見たいと思ったり、その商品を手に入れる方法を知りたいと思ったりするでしょう」と、ザッカーバーグ氏は説明する。「そんな問題の解決を、AIが助けてくれるのです」。

このAIを使えば、人々は自分で写真をアップロードして(Instagramに投稿していない写真でもOK)、似たようなアイテムを見つけることができるようになる。この技術を採用したのはFacebookが初めてというわけではない。例えば、CadeeraDonde SearchStye.aiなどではすでに活用されている。しかし、Instagramのようなメジャーなプラットフォームにこの技術が導入されたら、我々の買い物の仕方が変わるかもしれない。それこそが、Facebookの現在の目標であるようだ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookショッピングeコマースSNSWhatsAppInstagramAR人工知能ソーシャルコマース

画像クレジット:Instagram

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

これで誰でもディズニープリンセス、ARアプリへの捧げ物はあなたの生体情報!?

先週末、あなたのお友達は、次々とみんなをピクサーのアニメーションキャラクターに変身しましたとさ。これは熱にうなされて見た夢ではなく、あなただけに起こったわけでもない。

Snapchatは米国時間6月10日、ARを使ってあなたを「アナ雪」のサブキャラクターのように見せる「Cartoon 3D Style Lens」をリリースした。Snapchat(スナップチャット)では、2億1500万人以上のユーザーが「Cartoon 3D」レンズを利用し、17億回以上再生されている。TikTok(ティックトック)独自のARアニメーション効果はSnapchatほど説得力があるわけではないが、人々はTikTokを利用して、自分がディズニープリンセスになっている動画を共有している。プリンセスになったのだから、当然の流れだ。

ディズニー風のARトレンドがバイラルに広まったのは今回が初めてではない。2020年8月、Snapchatの新規インストール数は2850万で、4120万だった2019年5月以来のヒット月となった。2020年8月初旬にSnapchatが「Cartoon Face」レンズをリリースし、ペットを「Disneyfy(ディズニーキャラ化)」するのにそれを使えるとユーザーが気づいたのは偶然の一致ではないかもしれない。TikTokでは「#disneydog」というタグがプラットフォーム間で4090万回再生された。その後Snapchatは同年12月に「Cartoon」レンズをリリースすることで、再びバイラルの金を掘り当てた。このレンズでは、以前よりも人間の顔がよりリアルに表現されるようになった。

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Sensor Towerによると、Snapchatの世界的なインストール数は2020年の残りの期間を通じて前月比で上昇し続けていたが、12月にはインストール数がわずかに減少した。それでも、同月のSnapchatのダウンロード数は3600万だった。現在、最新の「Cartoon Style 3D」レンズが再びバイラルになった後、SnapchatはApp Storeの無料アプリチャートで6位となった(TikTokは2位)。しかし、2021年5月のSnapchatのダウンロード数は3200万で、4月の3400万から減少している。一方、TikTokの2021年5月のインストール数は8030万で、4月の5930万から増加している。

画像クレジット:Snapchat(TechCrunchによるスクリーンショット)

しかし1位の枠には、先週末のアニメの爆発的ヒットにも影響を与えた新しいアプリがある。
2021年3月にリリースされた「Voilà AI Artist」は、私たちをアニメバージョンに変えるこれまた別のプラットフォームだ。SnapchatやTikTokのARを使ったエフェクトとは異なり、Voilàはフォトエディターだ。ユーザーはセルフィーをアップロードし、広告(広告なしバージョンは週3ドル、約330円)を見た後、自分がアニメの登場人物になったような姿を見られる。

「Voilà AI Artist」は、2021年3月には世界で400回しかダウンロードされなかった。それが5月には100万ダウンロードを突破し、今月の最初の2週間だけで1050万回以上ダウンロードされているとのこと。

ここでもまた「Disneyfy」トレンドで繰り返されたイテレーションと同様、Voilàのようなアプリは新しいものではない。2019年に流行した「FaceApp」は、自分が年老いて白髪やシワになったときの姿を人々に見せるものだった。同アプリは、AIでセルフィーを編集するためにユーザーの写真をクラウドにアップロードしていたため、プライバシー論争の中心となった。FaceAppは「パフォーマンスとトラフィック上の理由」から「更新された写真をクラウドに保存することがある」が「ほとんどの画像」は「48時間以内」に削除されると声明を出した。しかし、これらの曖昧な表現は私たちの頭の中で警鐘を鳴らし、60年後の自分の姿を見ることの裏にひょっとしたら悪意が潜んでいるのでは、と考えさせられた。その2年前にFaceAppは、ユーザーの肌の色を明るくする「hotness」フィルターを発表し、人種差別的なAIを使用したことを謝罪した。カナダのWemagine.AI LLPが所有するVoilàも、そのAIがヨーロッパ中心主義であると批判されている。これらのアプリは人気が高まるにつれ、私たちの文化が持つ最も有害な類のバイアスを支持することにもなりかねない。

画像クレジット:Voilà

FaceAppと同様、Voilàもインターネットへの接続を必要とする。また、Voilàの規約では、ユーザーはVoilàに対して「アップロードされたコンテンツおよび生成されたコンテンツをホスト、保存、任意の方法で使用、表示、複製、変更、適応、編集、公開、配布するための、非独占的、世界的、ロイヤリティフリー、サブライセンス可能、および譲渡可能なライセンス」を付与することになっている。基本的には、あなたが画像をプラットフォームにアップロードした場合、Voilàはその画像を使用する権利を得るが、所有権はないということだ。このようなアプリでは、珍しいことではない。例えば私たちがInstagram(インスタグラム)に写真をアップロードすると、その画像を使用する権利を同社に与えることになる。

それでも、Voilàのようなアプリは、私たちはかわいいディズニープリンセスになれるという知識と引き換えに、いったい何を放棄しているのか考えさせてくれるのでそれは良いことだと思う。2021年6月初め、TikTokは米国でのプライバシーポリシーを更新し、同アプリがユーザーのコンテンツから「バイオメトリック識別子および生体情報を収集することがある」と規定した。これには「faceprints and voiceprints(顔の記録と声紋)」が含まれているが、TikTokはこれらの用語を定義していない。TechCrunchはTiktokにコメントを求めたが、なぜ今になってバイオメトリックデータの自動収集を可能にするように規約が変更されたのかは確認できなかった。バイオメトリックデータとは私たちを識別する身体の特徴、測定値、特性を指し、それには指紋も含まれる。

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VoilàがApp StoreでNo.1の座に上り詰めたとき、SnapchatがピクサーにインスパイアされたARレンズを再発表したのも不思議ではない。Facebook(フェイスブック)のARプラットフォーム「Spark(スパーク)」も新機能を搭載し、先週のWWDCではApple(アップル)がARソフトウェア「RealityKit」の大幅なアップデートを発表した。しかし、これらのトレンドは、私たちがディズニーを懐かしんでいるというよりも、顔を変えるARに慣れてきていることを示している。

【更新】米国時間6月14日東部標準時午後3時40分にSnapchatの「Cartoon 3D」レンズの使用統計を追加した。

カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:Snapchat拡張現実生体情報

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

ポケGOスタイルの「トランスフォーマー」ARゲームをNianticがタカラトミー・Hasbroと開発中、事前登録開始

Niantic(ナイアンティック)は、ポケモントレーナーや魔法使いとして現実の街を歩き回ることを世界中にうながしてきた。次は何か?今度はトランスフォームする時がやってきた。

80年代に大ヒットとした変形ロボット玩具「Transformers(トランスフォーマー)」は、Nianticとのパートナーシップにより、マッピングを多用したジオロケーション中心のゲームを構築する最新のIPとなる。

詳細はまだ完全に明らかになっていないが、現時点でわかっている限りの情報をお伝えする。

  • タイトルは「TRANSFORMERS:Heavy Metal(トランスフォーマー:ヘビーメタル)」。事前登録のページはこちら
  • このゲームは、Hasbro(ハズブロ)、タカラトミー、そしてシアトルが拠点のゲーム開発スタジオ「Very Very Spaceship」とのコラボレーションで制作される。
  • 発表によると、プレイヤーは「ディセプティコンとの戦いで正義のオートボット(サイバトロン)と結束した人間のグループ」である「ガーディアンネットワーク」の一員となり、1人またはフレンドとともにターン制バトルでディセプティコンと戦う。
  • このゲームは、NianticのARプラットフォーム「Lightship Platform」上に構築されている。Lightshipプラットフォームは「Pokémon GO(ポケモンGO)」や「Harry Potter Wizards Unite(ハリー・ポッター:魔法同盟)」、そして現在開発中の「CATAN(カタンの開拓者たち)」などに使われているのと同じエンジンだ。
  • 発売日はいつ?まだ具体的には決まっていないが、近日中に「一部の市場」でソフトローンチし、その後「2021年の後半」に全世界でリリースする予定だという。このような段階的なリリースは、Nianticの典型的なアプローチだ。「ポケモンGO」はまず日本でスタートし「カタン」は2020年ニュージーランドでひっそりとリリースされた。

これまでに公開されたのはコンセプトアートのみだが、ポケモンGOや「魔法同盟」に似たゲーム性を示唆している。特に右側のバトル画面は、ポケモンGOのバトルによく似ている。

画像クレジット:Niantic

今作は、2016年の夏にポケモンGOが成し遂げたように、世界を席巻するだろうか?そうはいかないかもしれない。当時、斬新さと懐かしさが絶妙にブレンドされたポケモンGOは、ちょうどいいタイミングでツボにはまった。しかし「魔法同盟」は発売から2年経った今でも活発に開発が行われているほど多くのユーザーに支持されており、Nianticはマップを中心としたゲームを増やす余地がまだあると考えているようだ。Nianticの担当者は、このゲームが、同社が現在開発中の10本の現実世界タイトルのうちの1つであることに言及し、市場には多くの余地があると考えていることを示唆した。

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:NianticポケモンGO位置情報トランスフォーマーAR

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Aya Nakazato)

ショッピング体験の視覚化を進めるShopifyがARスタートアップPrimerを買収

Shopify(ショッピファイ)が米国時間6月11日に発表した買収のニュースの中で、同社は拡張現実(AR)のスタートアップPrimer(プライマー)のチームを獲得したことを明らかにした。Primerはユーザーがタイルや壁紙、ペンキで自分の家の中の壁がどのように変わるかを視覚化できるアプリを手がけている。

ブログへの投稿の中で、Primerの共同創業者のAdam Debreczeni(アダム・デブレチェニ)氏とRuss Maschmeyer(ラス・マッシュマイヤー)氏は、買収取引の一環としてPrimerのアプリとサービスが7月に終了すると明らかにした。買収後、Primerの8人のチームはShopifyに移る。

Primerは、ユーザーが iPhoneやiPadとAppleのARプラットフォームのARKitを使いながらデザインがどんなものになるのかを直接視覚化できるようにするために、何十ものタイルテキスタイルデザインブランドと提携した。PrimerのアプリはAppleに何回か取り上げられ、App Storeの編集チームが素敵な感じに紹介したりしている。

買収取引条件は明らかにされなかった。Primerの出資者はSlow Ventures、Abstract Ventures、Foundation Capital、Expaなどだ。

ARがいかにオンラインショッピングに影響を与えるかについての話はたくさん交わされてきた。しかしホームデザインでの統合はさておき、実際に消費者が活用する方法はそれほど多くなかった。Shopifyは自社でAR統合に取り組み、ユーザーが現実空間に商品を取り込めるよう、売り手による店舗への3Dモデルの統合を可能にしたが、開拓する余地がまだ多く残されているのは明らかだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Shopify拡張現実買収eコマース

画像クレジット:Primer

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップルのRealityKit 2で開発者はiPhone写真を使ったAR用3Dモデル作成が可能に

Apple(アップル)はWorldwide Developers Conferenceで、RealityKitの大きいアップデートを発表した。デベロッパーがAR(拡張現実)体験の開発を始めるためのテクノロジー群だ。RealityKit 2の公開によって、デベロッパーはAR体験を開発する際にビジュアル、オーディオ、アニメーションをより正確にコントロールできるようになる、とAppleは述べた。しかし最も注目すべきなのは、Appleの新しいObject Capture APIがアップデートされ、iPhoneだけを使って3Dモデルを数分で作成できるようになったことだ。

Appleはデベロッパー向けの講演で、すばらしいARをアプリを作る上で最も難しいのは3Dモデルを作るプロセスだと指摘した。これまでなら数千ドル(数十万円)と何時間もかかっていた作業だ。

新ツールを使うと、デベロッパーはiPhone(またはiPad、デジタル一眼、あるいはドローンでも)だけを使い、被写体を下からを含むあらゆる角度から撮影して2D画像シリーズを作ることができる。

次にmacOS Monterey(モントレー)上でObject Capture APIを使い、わずか数行のコードで3Dモデルを作れる、とAppleは説明している。

画像クレジット:Apple

まず、デベロッパーはReality Kitで新規のフォトグラメトリーセッションを開き、画像をキャプチャーしたフォルダーを指定する。次にプロセスファンクションを呼び出して3Dモデルを要求された精細度で生成する。Object CaptureはAR Quick Lookに最適化したUSDZファイルを生成することができる。デベロッパーがiPhoneとiPadのアプリやウェブサイトにバーチャルあるいは3Dオブジェクトを追加できるシステムだ。3Dモデルは、Xcodeを書いてReality ComposerのARシーンに追加することもできる。

Appleは、Wayfair(ウェイフェア)、Etsy(エッツィー)などのデベロッパーがObject Captureを使って現実世界に存在する物体の3Dモデルを作っていると語った。オンラインショッピングが大規模なARアップグレードを迎えつつある兆候だ。

たとえばWayfairは、Object Captureを使って同社の売り手が商品のバーチャル表現を作るためのツールを開発している。これでWayfairユーザーは今よりも多くの商品をARプレビューできるようになる。

画像クレジット:Apple(Wayfairのツールのスクリーンショット)

Appleは、Maxon(マクソン)、Unity(ユニティー)などのデベロッパーが、Cinema 4DやUnity MARSのような3Dコンテンツ作成アプリの中で、Object Captureを使って3Dコンテンツを作っていることも話した。

RealityKit 2のアップデートには他に、デベロッパーがレンダリングパイプラインを厳密にコントロールしてARオブジェクトのルック・アンド・フィールを微調整するカスタムシェーダー、資源のダイナミックローディング、ARシーンの資源を管理するEntity Component System、RealityKitベースのゲームでARワールドをジャンプしたりスケーリングしたり探検したりできる機能などがある。

Shopify(ショッピファイ)のMikko Haapoja(ミッコ・ハーポヤ)氏というデベロッパーは、新しいテクノロジー(下記参照)をテスト中で、iPhone 12 Maxを使って撮影したリアルワールドのテスト結果をTwitterでシェアした。

自分でテストしてみたいデベロッパーは、Appleのサンプルアプリを、MacにMontereyをインストールして試すことができる。Object Captureに必要な写真を撮るためには、カメラアプリのQloneやApp Storeからダウンロードしたどの画像キャプチャー・アプリケーションでも使うことができる、とAppleはいう。秋にはコンパニオンアプリのQlone MacもObject Capture APIを利用するようになる。

現在、App StoreにはARKitアプリが1万4000以上あり、9000以上のデベロッパーが開発している。全世界で10億台以上AR内蔵のiPhoneとiPadが使用されていることから、Appleは世界最大のARプラットフォームを提供していることになる。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleWWDC2021WWDCARRealityKit写真

画像クレジット:Apple

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

AppleマップがiOS 15アップグレードでより詳細な地図、交通機関ナビ、ARビューなど追加

iOS 15に搭載される数多くのアップデートの中でも、Apple Maps(マップ)は、より詳細な地図、交通機関利用者のための改善、AR体験など、さまざまなアップグレードが行われる。今回のアップグレードは、2年前にApple(アップル)が提供を開始した新しいマップをベースにしている。それはより詳細な情報に加え、ユーザーからのフィードバックや苦情に応えて、より正確なナビゲーションを提供することに重点を置いていた。

それ以来、Appleマップは着実に進化している。

新しいマップ体験は、米国、英国、アイルランド、カナダでローンチされた後、米国時間6月7日からスペインとポルトガルでも導入される。その後、2021年後半にはイタリアとオーストラリアにも到着する予定であると、Appleは7日に開催されたWorldwide Developer Conference(WWDC、世界開発者会議)の基調講演で発表した。

画像クレジット:Apple

さらにAppleによると、iOS 15のマップでは、商業地区、マリーナ、ビルなどの詳細情報が新たに追加されるとのこと。さらに同社は、標高、新しい道路の色とラベル、そして何百ものカスタムデザインされたランドマーク(例えばゴールデンゲートブリッジのような場所)といったものを追加した。

また、マップの新しい夜間モードとして「moonlit glow(月明かりグロー)」モードが追加された。

ドライバーのために、Appleはマップに新しい道路の詳細情報を追加した。これにより、ドライバーは街中を移動する際に、ターンレーン、中央分離帯、バスやタクシーレーンなどの注意を払うべき条件をより見やすく、理解しやすくなる。今回の変更は、Google(グーグル)が最近行ったGoogleマッププラットフォームのアップデートに匹敵するもので、そちらも一部の都市で道路レベルの詳細情報が提供されるようになった。これにより、徒歩、車イス、自転車、スクーターなどで移動する人々も、歩道や交差点などをより見やすくなっていた。

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Appleも今やっとそれに追いつき、横断歩道や自転車レーンなどを表示していくと述べている。

また、重なり合った複雑なインターチェンジなどを3D空間で表現し、今後の交通状況や車線の確認をより容易にするとのこと。これらの機能は、年内にCarPlayにも搭載される予定だ。

画像クレジット:Apple

一方、交通機関を利用するユーザーのために、マップは近くの駅を見つけやすいように改良された。

ユーザーは、お気に入りの路線をトップにピン留めしたり、Apple Watchで追跡できるようになり、わざわざ携帯電話を取り出す必要がなくなった。アップデートされたマップアプリは乗り換えルートを自動的に追跡し、降りる時間になると通知してくれるので、例えばCitymapperのような、交通機関利用者に人気のあるサードパーティ製アプリに対抗できるようになっている。

画像クレジット:Apple

また、駅を出たときにiPhoneをかざして周辺の建物をスキャンすると、マップが正確な位置を検出し、AR(拡張現実)で方向を提示することができるようになった。これは、Googleが2020年に発表した「Live View(ライブビュー)AR」による道案内と同様だ。

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この機能は2021年に一部の都市で開始され、今後1年間でさらに増えていくとAppleは述べている。

画像クレジット:Apple

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleWWDC 2021WWDCiOSiOS 15Appleマップ拡張現実

画像クレジット:Apple

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

アップルがiOS 15発表、「つながり続ける」「集中する」といった4つの柱を掲げFaceTime、通知などの新機能満載

Apple(アップル)は開発者会議「WWDC 2021」のバーチャル基調講演において、2021年後半にリリース予定の次期メジャーバージョンであるiOS 15の詳細を初めて公開した。2021年のリリースでは「つながり続ける」「気を散らさずに集中する」「インテリジェンスを活用する」「世界を探索する」という4つの柱を掲げている。

ソフトウェアエンジニアリング担当SVPのCraig Federighi(クレイグ・フェデリギ)氏は、次のように述べた。「多くの人にとって、iPhoneは必要不可欠なものとなっています。当社の新しいリリースはiOS 15です。大切な人とのつながりを大事にしたり、気を散らさずに集中できる空間を見つけたり、インテリジェンスを活用して必要な情報を見つけたり、自分の周りの世界を探索したりするなど、あなたのiPhoneの使い方にiOS体験を適応させ、補完する機能が満載です」。

FaceTimeにさまざまな新機能が加わり進化

Appleは、FaceTimeに空間オーディオを追加すると発表した。これにより、スクリーン上の友人・家族の位置に応じて声が広がるようになる。例えば、誰かの顔が左に見える場合、あなたの耳には彼らが左側にいるように聞こえる。FaceTimeの他のニュースとして、iOSはバックグラウンドノイズを検出し、友人や家族の声がより聞き取りやすくなるようにノイズを抑制するようになる。これはオプション機能で、例えばFaceTime通話中にコンサートを見せている場合などには、この機能を無効にすることができる。

もう1つのFaceTime機能は「ポートレートモード」だ。これは、ポートレートモードの写真のように、背景を自動的にぼかすことができるというもの。また、仕事の会議などでFaceTimeを使いたい場合、FaceTimeリンクを作成してカレンダーの招待状に追加することができるようになる。FaceTimeはウェブブラウザでも動作するため、Appleデバイスを持っていないユーザーでもリンクを通じFaceTimeの通話に参加できる。これらの機能により、FaceTimeはZoom(ズーム)やGoogle Meet( グーグル・ミート)などの他のビデオ通話サービスとの競争力を高めることになる。

Appleは「SharePlay」機能も発表し、FaceTimeに注力していることを示した。この同時再生機能を使うことで、FaceTimeで会話をしながら同じ曲や楽曲リストを一緒に聴くことができる。Apple Musicで再生ボタンを押すと、通話中の全員のデバイスで音楽が始まる。キューは共有されるので、参加している誰でも曲の追加や次の曲へのスキップなどが可能だ。

SharePlayでは、映画やテレビ番組を一緒に見ることもできる。通話中の誰かがビデオを開始すると、他の参加者のスマホやタブレットでも同じビデオが始まる。また、AirPlayやピクチャー・イン・ピクチャー(PIP)など、iOS動画に期待されるすべての機能に対応している。

これは、Apple TVアプリ内のビデオとの互換性だけではない。Appleは、動画をSharePlayに対応させるためのAPIを用意すると述べている。現在のパートナーは、Disney+、Hulu(フールー)、HBO Max、Twitch、TikTok(ティクトック)など。初期パートナーのスクリーンショットは下図のようになっている。

さて、Messages(メッセージ)に話を移そう。メッセージアプリは「News」「写真」「ミュージック」など、他のApple標準アプリとの連携が強化された。メッセージで共有されたアイテムは、これらのアプリに共有されたコンテンツとして表示される。つまり、メッセージ(およびiMessage)は、Appleアプリの上にあるソーシャルレイヤーとして機能するのだ。

新しい通知サマリー、フォーカスモード

Appleは、オンデバイスのインテリジェンスを使って通知のサマリーを作成する予定だという。これにより通知は、現在のようにアプリ別、日付別ではなく、優先度別に並べられる。例えば、友だちからの通知はトップに近い位置に表示される。

通知をサイレントモードにすると、iMessageの連絡先には、あなたが「Do not disturb(おやすみモード)」を有効にしていることが表示される。この機能はSlackの「Do not disturb」と少し似ている。しかし、新しい設定がある。Appleはこれを「Focus(フォーカス)モード」と呼んでいる。通知を受け取りたいアプリや人を選び、自分がその時していることに応じてフォーカスを変えることができるというものだ。

例えば仕事中であれば、個人的に使うアプリや個人的な電話・メッセージをサイレントにすることができる。逆に週末であれば、仕事のメールの通知をサイレントにできる。複数のAppleデバイスを持っている場合は、設定がiCloudアカウント間で同期される。さらに、モードによりアプリやウィジェットの表示・非表示を切り替えて、ホーム画面にも変化を与えられる。

新しいスマート機能

Appleは、あなたの写真をスキャンしてテキストを探す機能を導入する。「Live Text(ライブテキスト)」と呼ばれるこの機能により、ユーザーは写真の中のテキストをハイライトしたり、他のアプリにコピー・ペーストできるようになる。iOSはその情報をSpotlight(スポットライト)機能に活用する予定だ。ハイライトした写真の中のテキストは、Spotlightで直接検索することができる。これらの機能はデバイス上で直接処理される。

iOS 15では、Memories(メモリー)機能がアップグレードされる。「この新しい『メモリー』は、その場で生成されます。インタラクティブで、生きています」と、写真エンジニアリング担当シニアマネジャーのChelsea Burnette(チェルシー・バーネット)氏は語った。メモリーは、写真アプリで見ることのできるインタラクティブなムービーだ。今回、指でタップしてムービーを一時停止できるようになった。バックグラウンドでは音楽が流れ続け、指を離すとフォトモンタージュが再開される。

また、メモリーに合わせて特定の曲を検索できるようになる。写真アプリの新機能は、今後詳しく見ていきたい。

Wallet、天気、マップ

Apple Walletのすべての機能をおさらいした上で同社は、将来IDをスキャンしてWalletに保存できるようになることを発表した。これは(米国の)参加しているいくつかの州で利用可能になっていくとのことで、ゆっくりとした展開になるだろう。政府のサービス(空港の保安検査など)がIDから何らかの情報を必要とするとき、ユーザーはiPhone上で直接そのサービスとデータを共有することを選択できるという。

天気アプリに関して言えば、Appleが買収した人気の天気予報アプリ「Dark Sky」にあった機能の多くが含められアップデートされた。新しいデザインと、より多くのデータが期待される。

Apple Maps(マップ)については、新しい地図データがいくつかの国で展開されたところで、同社はまだ欧州でロールアウトしている最中だ。Appleはサンフランシスコなどの一部の地域に、大量の新しい詳細情報を追加した。バスやタクシーのレーン、横断歩道、自転車レーンなどを見られるようになった。高速道路では、複雑なインターチェンジを3Dで見ることができる。これらの機能は、2021年後半にCar Play(カープレイ)でも提供される予定だ。

公共交通機関を利用するユーザーは、お気に入りの路線をピンで固定して、Apple Watchで情報を見ることができる。地下鉄やバスに乗っているときは、リアルタイムで自分の位置を確認できる。また(地域によっては)、携帯電話を目の前にかざすと、AR(拡張現実)で道案内をすることも可能になる。

AirPodsソフトウェアアップデート

Appleは、AirPodsも持っているユーザーのために、多くの新機能を発表した。新しい会話モードでは、スマートな補聴器として会話の音量を上げることができる。また「通知をアナウンスする」設定を有効にしていれば、より多くの通知をAirPodsで受け取ることができる。その設定を微調整することで、特定のアプリに限定したり、フォーカスモードに応じて変更することができる。

また、AirPodsがケースに入っていても、オーディオ通知付きのFind My(探す)アプリでAirPodsを探すことができる。空間オーディオは、M1チップを搭載したApple TVとMacに搭載される。数週間前に発表されたように、Apple Musicの空間オーディオは現在利用できる。

ご覧の通り、iOS 15には新機能が満載されている。Appleは本日(米国時間6月7日)、最初のリリースとなる開発者ベータ版を発表すると思われる。公開ベータ版はその後にリリースが見込まれる。夏の間はベータ版のアップデートが行われ、2021年9月に最終版がリリースされることになる。

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

iOSアプリ開発者に訊く:LiDARで空間を演出するアプリ「Effectron」 (アフェクション)

iOSアプリ開発者に訊く:LiDARで空間を演出するEffectron (アフェクション)

AFFEXION

アップルの世界開発者会議 WWDC 2021 を前に、iOS開発者にアプリを巡るストーリーやWWDCへの期待について訊きました。

今回お話をうかがったのは、iPhone 12 Pro や iPad Pro のLiDARセンサを使い、カメラ映像にリアルタイムのARエフェクトをかけるアプリ Effectron の開発元、株式会社アフェクション(Affexion)。

Effectron はカメラを向けた方向の奥行きや三次元形状を取得できる LiDAR センサをエンタテインメントに活用した最初のアプリのひとつで、2020年8月に iPad Pro 版、10月に iPhone 12 Pro 対応をリリースしています。

リアルタイムARエフェクトのアプリは以前からありましたが、Effectron はLiDARで三次元認識した床や壁に光るグリッドを引いて古典的な「サイバースペース」風に変えるといったインパクトのある映像で、搭載されたばかりのLiDARセンサの機能を示すアプリとして話題になりました。

開発元の株式会社アフェクションは、群馬県高崎市に本社を構える社員10名の企業。WebからVR・ARまでデジタルコンテンツ制作を手掛けます。アフェクションの閑 代表と、同社 CG motion 開発室 室長の金井氏にお話をうかがいました。

──Effectron はアフェクションがリリースした最初のアプリだそうですが、そもそもどういった経緯でアプリをリリースすることになったのでしょうか

閑代表:「弊社は2007年にウェブ制作からスタートしました。デザインを基点に広告やウェブ制作を手掛けておりましたが、2年ほど前から社として第二、第三の柱をどうしようか、という話になりまして」

どういったアプリが良いか?を社内で50案ほど考えたなかで、金井氏からこのLiDAR技術を使ってみたいと提案があり、Effectronにつながったとのこと。

金井氏:「提案にはマーケティング的な面と、ビジュアル的なことをやりたかったという2点があります。マーケティングとしては、これまでアプリを出したことがない会社だったので、まず使ってもらう取っ掛かりが欲しかった。新しくLiDARを搭載したiPad Proが出たところで、新機能をアプリで使い新規性を出せればと考えました」

・もう一点は、前職で建築用の測定機器で取得した点群データを見て、これをビジュアル表現やエンタメに使えたら面白いなとは考えていたこと。ミュージックビデオなどでも使われていて、インスピレーションを受けた面もある。

・LiDARセンサは高価で、以前ならば手が出なかったが、WWDCでiPad Proに搭載されたことを知り、世界中のユーザーが身近な環境で使えれば面白いだろうと制作を決めた。

──WWDCで発表を見て一番乗りを狙ったとのことですが、結果的に一番になれましたか?

金井氏:「一番乗りくらい、ですね。LiDARを使ったアプリは他にもあるにはあったのですが、機能が限定的だったり。メッシュを取得して描画するエンタメ系アプリという意味では、確認する限り初めてだったと思います」

──他の開発者もLiDARアプリを一斉に作る中で、エンタメ系で一番乗りになれた理由はどのあたりだったんでしょう

金井氏:「意外とスキャンニングのアプリは出ていたので、アプリ開発者的には実用アプリのほうが安牌だったというか。LiDARに興味を持っていたのがもともと建築系などの層だったので、エンタメに使ったアプリは初期には意外とあんまりでなかったな、という感じです」

──狙いが良かった、ということですね。スケジュール的にはどうでしたか。

金井氏:「7月から開発をはじめて、たしか8月にはリリースしました。スケジュールを間に合わせるため心がけたのは、必要な機能に絞ること。機能を増やしすぎると覚えるのが大変といった面もありますので、できるかぎりシンプルに、背景のメッシュのエフェクト切り替えと、人物のエフェクト切り替えという二点だけに絞って。あとは録画とSNS共有くらいはつけておいて」

──LiDARセンサの利用は、一般の開発者にとって学習コストが高いものなんでしょうか。

金井氏:「作りたいものが決まっていれば、ある程度アップルはサンプルを用意してくれるので、そちらを見れば作りやすいのかなと思います。あとはある程度、映像や3Dに関する知見があればすぐに取りかかれるはずです」

──Effectron は3月時点で3万ダウンロード超だったそうですが、ビジネス的なインパクトはありましたか。

「直接にEffectron を使ったビジネスというよりは、アプリの新規性が話題になったことで、たとえばいま開発している教育向けARアプリなど、開発の案件をいくつもいただけるようになりました。そうした意味で会社のビジネスにつながっています」

──WWDCに向けて、次はこんな機能やデバイスがあったら、といった期待があれば教えてください

「あまり考えたことはなかったですが、ロケーションアンカーが日本中で使えたら良いな、というのはあります。まだ限られた地域でしか使えないので。あれが使えたら、活用はコロナ後になるでしょうが観光アプリだとか、面白いものが作れるかなと考えています」

──ありがとうございました!

iOSアプリ開発者に訊く:LiDARで空間を演出するEffectron (アフェクション)

Apple

WWDC 2021 は米国時間で6月7日から、日本時間では6月8日深夜2時からのキーノートで始まります。

「Effectron」をApp Storeで

株式会社アフェクション | AFFEXION Inc.

Engadget日本版より転載)

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フェイスブックのAR作成ソフト「Spark AR」がビデオ通話対応に

Facebook(フェイスブック)は、米国時間6月2日に開催された開発者会議「F8 Refresh(F8リフレッシュ)」で、同社の主力AR作成ソフトウェアである「Spark AR(スパークAR)」の新機能を発表した。Facebookによれば、Spark ARがF8 2017で発表されて以来、190カ国の60万を超えるクリエイターが200万以上のARエフェクトをFacebookやInstagram(インスタグラム)で公開しており、今や世界最大のモバイルARプラットフォームになっているという。Instagramの投稿で、自撮りした自分の髪が緑色になるエフェクトや、自分の顔を動かすことで犬の表情をコントロールできるエフェクトを使ったことがあるなら、Spark ARを使ったことがあるはずだ。

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今回発表されたMultipeer API(マルチピアAPI)の導入により、間もなくそのようなARエフェクトが、Messenger(メッセンジャー)やInstagram、そしてスマートディスプレイ「Portal(ポータル)」によるビデオ通話で利用できるようになる。クリエーターは、複数の通話参加者を共通のAR体験で結びつけるARエフェクトが作成できるようになる。公開されたプロモーションビデオでは、その一例として、ビデオ通話で行われる誕生日パーティーの様子が紹介されている。参加者の頭にはそれぞれARのパーティハットが現れる。

クリエイターは、ビデオ通話中に参加者がみんなで遊べるゲームを開発することもできる。Facebookのビデオ通話では、1分間に誰が最も多く空飛ぶARハンバーガーを口に入れられるかを競うゲームがすでに存在している。しかし、新しく軽いゲームを作れる機能が開発者に開放されれば、ビデオ通話中に友達同士で挑戦できる新しいゲームが数多く見られるようになるだろう。

このようなビデオ通話のエフェクトや複数の人が参加できるARゲームは、Sparkのプラットフォーム独自のMulti-Class Segmentation(マルチクラス・セグメンテーション)機能によって強化される。これによって、開発者は1つのエフェクトの中で、ユーザーの体を複数のセグメント(髪や肌など)ごと個別に拡張現実化することができる。

FacebookはARグラスの開発にも意欲を見せている。Spark ARのパートナーシップディレクターであるChris Barbour(クリス・バーバー)氏は、この目標はまだ「何年も先」のことだと述べながらも、革新的なウェアラブル技術の可能性をいくつか示唆している。

「友達の家のソファにテレポートして一緒に番組を見たり、ハイキング中に見かけた美しい景色の写真を共有したりできることを想像してみてください」と、バーバー氏はいう。何年か先に製品が発売される頃には、それほど未来的な話ではなくなっているのかもしれない。

2020年10月には最先端のクリエイターを対象としたプログラム「Spark AR Partner Network(スパークARパートナー・ネットワーク)」が起ち上げられ、2021年に入ってからは、Facebookの教育プログラム「Blueprint(ブループリント)」を通じて、クリエイターがARエフェクトを向上させる方法を学べるSpark ARカリキュラムも始まった。Spark AR Partner Networkの募集は、2021年の夏に再び始まる予定だ。現時点でクリエイターや開発者は、Spark AR Video Calling Beta(Spark ARビデオ通話ベータ版)を使って、ビデオ通話用エフェクトの作成を始めることができる。

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タグ:FacebookF8 RefreshSpark ARAR

画像クレジット:Facebook
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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

拡張現実でのNFTの閲覧・共有方法を模索する「Anima」がCoinbaseの支援を受ける

AR(拡張現実)とNFT(非代替性トークン)。これ以上いう必要があるだろうか?イエス?まあ、NFTが2021年にホットな瞬間を迎えたのは確かだ。しかし、投機的なゴールドラッシュがクールダウンし始め、人々がデジタル商品が将来どのように進化していくかを考え始めると、NFTが何の役に立つのか、NFTで何ができるのかという疑問がより頻繁に聞かれるようになってきた。

Animaは、Flipboardが2014年に買収した写真 / 動画アプリ「Ultravisual」の創業者たちによって設立された小規模なクリエイティブ系暗号スタートアップで、ARを利用してNFTアートやコレクターズアイテムの閲覧・共有方法を変えようとしている。同社の最新の取り組みは、アーティストがデジタル作品をより大きなデジタルステージに持っていくことを支援し、ARにおけるNFTの未来がどのようなものになるのかを見出そうとするものだ。

このスタートアップは、Coinbase Ventures、Divergence Ventures、Flamingo DAO、映画作家・写真家のLyle Owerko(ライル・オワーコ)氏、そして著作家Andrew Unger(アンドリュー・アンガー)氏から支援を得て50万ドル(約5500万円)の小規模なプレシードラウンドを実施した。

共同創業者のAlex Herrity(アレックス・ヘリティ)氏はこう語った。「NFTが、購入した商品のリターンを目的とした投機的な市場から離れていくのは健全なことだと思いますし、より親しみやすいものを作りたいと考えている私たちにとっても良いことだと思います」。

同社のより幅広いビジョンは、デジタルオブジェクトが現実世界と相互作用する方法を模索することだ。これはここ数年、ARの世界では最重要課題となっていたが、最近ではApple(アップル)やFacebook(フェイスブック)の新製品に対するクリエイターの様子見の姿勢により、開発が停滞していた。Animaの共同創業者たちは、ARとNFTの分野はどちらも非常に初期の段階にあることを認めているが、どちらの分野もギミックが明るみに出るくらいには成熟したと考えている。

共同創業者のNeil Voss(ニール・ヴォス)氏は、TechCrunchの取材に対しこう語った。「今は体験型のギミックが主流になっていますが、そうではなくARを、自分が集めたものまたはライフスタイルを彩るアクセサリーと触覚的な関係を築くための手段ととらえることで、コンテキストの変化が起こります」。

同社のチームはデジタルアートのオブジェクトをARに導入する初期の実験を行っており、すでに数名のアーティストと協力している。来月末には、ConsenSysのPalmプラットフォームをベースにしたマーケットプレイスを立ち上げ、今後のパートナーシップをより多く紹介していきたいとのこと。

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タグ:拡張現実NFTAnima資金調達アートマーケットプレイスCoinbase

画像クレジット:Anima

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(文:Lucas Matney、翻訳:Aya Nakazato)

BIMやCIMなどデジタルツインへの位置情報統合に道筋、Cellidが建設現場において独自ARによる3次元位置情報の取得に成功

Cellidは5月26日、大林組の建設現場において、独自のAR技術「Cellid SLAM」を用い、作業員の3次元位置情報の取得に成功したと発表した。

今回の実証実験の目的は、「屋内外の大規模・複雑な構造を備える建設現場において、汎用単眼カメラを装着して巡視する職員の移動経路を3次元の動線として把握できるか」「BIM/CIMを含むデジタルツイン・プラットフォームとSLAMで取得した3次元位置情報を統合することで、安全管理や労務管理のためのツールとして発展する可能性があるか」を検証するものだ。BIM(Building Information Modeling)は、3次元の形状情報、材料・部材の仕様・性能・コスト情報など建物の属性情報を備える建物情報モデル。CIM(Construction Information Modeling)は、土木分野において国交省が提言した建設業務の効率化を目的とした取り組み。計画・調査・設計段階から3次元モデルを導入し、施工・維持管理の各段階でも連携・発展させ、事業全体で関係者間で情報を共有するというもの。

一般に、レーザーや赤外線を活用するSLAM技術(自己位置推定と周辺環境の地図を同時に実行する技術。Simultaneous Localization and Mapping)は、専用センサーを必要とすることから、デバイス費用が高額、かつセンサーの設置のためのスペースや電源供給に課題があった。またセンサーの代わりに画像データを活用する研究も進められているものの、膨大な計算負荷に加え、現場での活用に耐える精度の確保が難しく、実装には至っていないという。

一方Cellid SLAMの空間認識アルゴリズムは、すでに現場に導入されている汎用単眼カメラの映像のみを入力情報とする。そして今回、非GNSS環境を含む大規模な建設現場において、GNSS(全球測位衛星システム)やビーコンといった従来の自己位置推定技術を上回る測位精度を発揮することが確認された。

Cellidは今後、BIM/CIMなどから構築されたデジタルツイン上にウェアラブルカメラを装着した作業員などの位置情報を反映し、情報の統合を進めるとしている。また、同一現場で同時に複数の作業員がウェアラブルカメラを装着・撮影することで、位置情報だけではなく、大規模な現場の点群データなどをスピーディに収集することも可能となる。

そして将来的には、位置測位技術とAR技術などとを組み合わせることで「AR付箋」などの早期実現も期待できるとしている。AR付箋は、現実空間の特定の3次元位置に「作業ガイド」や「注意事項」を、デジタルツイン側からの入力により、設置するサービスという。

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カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:拡張現実 / AR(用語)建設 / 建築(用語)コンピュータービジョン(用語)CIM(用語)Cellid(企業)SLAMデジタルツイン(用語)土木(用語)BIM(用語)日本(国・地域)

SnapchatにARとカメラを活用したコマース重視の新機能追加

Snap(スナップ)のパートナーサミットでは、数々の開発者向けツールやARクリエーター向けソフトウェア「Lens Studio(レンズ・スタジオ)」のアップデートが発表された。その中には、同社の「Snapchat(スナップチャット)」を使ったショッピング体験をより深める機能も含まれている。

中でも最もクールなアップデートの1つが、ユーザーのカメラを通して見たコンテンツを分析して、関連情報をすばやく表示するコンピュータビジョン「Scan」の新機能だ。月に約1億7千万人のユーザーに利用されているというScanは、アプリのカメラセクション内のより目立つ場所に配置されるようになり「Screenshop(スクリーンショップ)」と呼ばれる機能が統合されたことにより、ショッピング用途の性能がさらに高まった。

例えばユーザーが「Snap Camera」を使って友人が着ている服をスキャンすると、何百ものブランドからオススメのショッピング情報がすぐに表示される。また、これと同じ技術を使って、キッチンにある食材の写真を撮影すると、その食材を使った料理のレシピが、Allrecipes(オールレシピ)のサイトから表示される機能の導入も予定されている。

これらの機能は、ユーザーが現在カメラで撮影しているものを解析し、それに基づくインテリジェントな提案を行うという広範な取り組みの一部だ。

画像クレジット:Snap

企業はSnapchat内で公開プロフィールを作成することができ、ユーザーは各企業が「Shop」機能を通じて提供する販売アイテムをはじめ、Lenses(レンズ)、Highlights(ハイライト)、 Stories(ストーリーズ)などを見ることができる。

拡張現実の面では、レンズをよりスマートに統合するAPIを提供し、企業向けソリューションを引き続き重視していく。小売業者は、Business Manager(ビジネス・マネージャー)と呼ばれる機能を使って製品カタログを統合し、ユーザーが現在在庫のある製品の試着レンズにのみアクセスできるようにすることが可能になる。

ラグジュアリーファッションの販売プラットフォームであるFarfetch(ファーフェッチ)やPrada(プラダ)とのパートナーシップにより、ARプラットフォームはさらなるアップデートが施され、3Dメッシュの先進技術を使ったバーチャルな服の試着は一層リアルになる。ユーザーは、音声コマンドやジェスチャーを使って、試着しているアイテムを切り替えることもできるようになる。

「当社のカメラプラットフォームの力によって、Snapchatユーザーと彼らが好感を持っている企業を、有意義な方法で結びつけることができるものと期待しています」と、SnapのグローバルARプロダクト責任者であるCarolina Arguelles Navas(キャロライナ・アーグエレス・ナヴァス)氏は述べている。「これまで以上に、私たちのコミュニティは、自宅で新製品を体験したり、試着したり、触れたり、学んだりすることができるでしょう」。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:SnapSnapchatAReコマース アプリコンピュータービジョン

画像クレジット:Snap

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

SnapがARグラス「Spectacles」の新世代バージョンを発表

Snap(スナップ)が、事前録画されたPartner Summit(パートナーサミット)で、Snapchat(スナップチャット)のユーザー、クリエイター、企業向けの新しいツールをひと通り紹介した。そのプレゼンテーションの最後にSnapは「もう1つ」という言葉を投げかけて、数年前に手痛いスタートを味わった同社が、ハードウェアの野望をまだ諦めていないことを示した。

Snapが発表したのは最新世代のSpectacles(スペクタクルス)グラスだ。60年代風味の黒を基調とした最新式デザインで、これは同社がこれまでに開発してきた拡張現実技術(AR)の一部を、それに合う特定のデバイスに融合させる、これまでで最大の試みとなる。

Snapの共同創業者でCEOのEvan Spiegel(エバン・スピーゲル)氏は、Spectaclesのことを「拡張現実を生活にもたらす初のグラス(メガネ)」と表現している。もし以前のバージョンのグラスを所有したり試したりしたことがあるなら、今回のグラスはより直感的でシームレスなものになっているように思える。

第4世代のこのグラスは、一度の充電で30分間動作することができると彼はいう。デュアル3D導波路ディスプレイを搭載し、視野角は26.3度で「目の前の世界に自然に重なっているように感じる」没入感のあるレンズ体験を実現している。屋内外で使用できるようにディスプレイは明るいものとなっており、マイク、ステレオスピーカー、タッチパッドを内蔵している。また、134gと比較的軽量だ。

Snapはこのデバイスを、これまで同社のハードウェアがターゲットとしていたコンシューマー向けではなく、Snapプラットフォームを利用するクリエイター向けにマーケティングしていくようだ。今回のSnapのリリースは、その基礎となる技術がまだ大量に市場投入できる状態ではないにもかかわらず、公開してしまうという、他社も採用している戦略に沿ったものだ。

ハードウェア自体の性能は、先行したMagic Leap(マジックリープ)のようなARスタートアップがリリースしたものよりは劣るものの、Snapは機能性を犠牲にしてフォームファクターを追求し、他のARヘッドセットに比べて、ヘルメットのような外観が抑えられたデバイスの提供を選択したようだ。

スピーゲル氏によると、このグラスには同社の新しい空間エンジンが搭載されており「6つの自由度、ハンドトラッキング、サーフェストラッキングを活用し、デジタルオブジェクトを物理的な世界にリアルに置く」とのことで、より高い応答性を実現するために、動作から視覚への遅延は15ミリ秒になっているそうだ。また、このグラスはSnapのLens Studio(レンズスタジオ)と統合されており、クリエイターはこのデバイス用のカスタムレンズを作ることができる。すでに一部のアーリーユーザーにグラスは提供されているので、やがてさまざまなレンズやその他のカスタマイズが、あらかじめ組み込まれた状態で出荷されることになるだろう。

Snapは、拡張現実を大きなチャンスと捉えてきたが、巨大な競合他社の規模に比べると、この分野ではまだ劣勢だ。

今回のAR対応Spectaclesは、Facebook(フェイスブック)がRay Ban(レイバン)と提携して製造を予定しているスマートグラスに先駆けて登場する。そちらのグラスにはディスプレイは内蔵されず、他の入力手段に大きく依存することが予想されている。また、Appleも以前から拡張現実グラスの開発に取り組んでいると噂されており、何千人もの従業員がその製造に携わっていると伝えられている。

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カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:Snap拡張現実ARグラス

画像クレジット:Snap

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(文:Ingrid Lunden, Lucas Matney、翻訳:sako)