Raspberry Piで野生動物を自動撮影するカメラロボットが子どもたちに電子工作とプログラミングを教える

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子どもにプログラミングを教えると称する製品が、このところとても多い。KanoのDIYコンピュータキットとか、ボードゲームのロボット亀さんなど、たくさんプログラマブルロボットや、科学教育風味の玩具が、市場を争っている。

ここでご紹介するイギリスのNaturebytesは、それらとは一味違う。同社のねらいは、子どもがいろいろハックできるテクノロジと、アウトドアへの関心を結びつけることだ。子ども用の辞書から「どんぐり」や「キンポウゲ」などの言葉が姿を消し、代わって「ブロードバンド」や「カットアンドペースト」が載りつつある今は、テクノロジがおちびさんたち全員を、単なるデジタルの消費者に変えてしまう危険性が、あるのかもしれない。

Naturebytesが今日(米国時間6/26)Kickstarterでローンチしたのは、野生動物をとらえるための罠だが、もちろん捕獲用の罠ではなく、Raspberry Piを搭載したカメラで彼らの姿を撮影するだけだ。子どもたちに自然を体験させつつ、電子工作やプログラミングも楽しんでもらう、という製品だ。テクノロジとアウトドアを結びつけるのは、何もなければ自然の中でただ走りまわるだけの子どもたちにとっても、良いことかもしれない。しかも自然環境の中にテクノロジを埋め込む同社の製品は、物のインターネットと呼ばれる近未来の技術動向にも合っている。

このカメラトラップ(“カメラ罠”)は全天候型で、風雨に耐える。Raspberry Pi Model Aプロセッサと電池とカメラと赤外線センサで構成され、もっと上位機種のPiを使ってもよい。センサが動きを感知すると撮影が行われて、走り去る野生動物などが撮れる。製品は組み立てキットなどで、子どもが自分で組み立てて構造などを理解する。今後のための拡張機能としては、撮った写真をWiFiで自動的にアップロードする機能などがある。

また子どもたちは、自分が撮った野生動物の写真をNaturebytesのWebサイトで共有でき、そこから、同好会のようなグループに参加できる。PiとPi用のカメラがすでにあるなら、45ポンドのキットを買ってケースを自分で3Dプリントする。全部入っているキットなら85ポンド、アクセサリ込みなら95ポンドだ。

現時点(日本時間6/27 09:20)で、目標額3万ポンドに対し6000ポンド集まっている。あと28日あるから、まずいけるだろう。発売予定は、今年の12月だ。

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オンラインのテクノロジ職業教育と公的資格の関係…ドイツのCareerFoundryの例

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オフラインのテクノロジ教育ではGeneral Assemblyが評価が高いが、ベルリンのCareerFoundryは昨年、エンジニアや新社員やスタートアップにテクノロジの職業的技能を身につけさせるための、オンラインでカスタマイズできる教育訓練事業を立ち上げた。その基本的な考え方は、一貫してピアツーピアの環境であること、人びとが互いに教えあうことだ。だから、ある面ではBloc.ioに似ている*。〔*: Bloc.ioはネット上(YouTubeなど)にリビューがとても多いが、CareerFoundryはまだ少ない。〕

協同ファウンダのMartin RamsinとRaffaela Reinは、外部資金なしで同社を立ち上げたが、最近シード資金を獲得した。その資金は運転資金ならびに各種業界向けの営業活動に充てられる。

シードラウンドをリードしたのはTengelmann Venturesで、Stefan GlänzerとMendeleyのPaul Föcklerが参加した。これでCareerFoundryの総資金は120万ユーロになった。

CareerFoundryは最近、ドイツの上位5つのビジネススクールのひとつであるEBS Business School Oestrich-Winkelと提携して、デジタルの職業技能に関する公的資格を生徒たちに提供できるようにした。これは、ドイツでは初めてのことだ。

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電子工作を積み木工作ふうにしたLittleBitsが$44.2Mを調達…企業ユーザも視野に

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[筆者: Connie Loizos]
【抄訳】
“電子部品積み木”(上図)LittleBitsは、部品をお互いにパチンパチンとはめてつないでいくだけで、子どもでも、そして大人の設計者同士でも、ロボットや、その他さまざまなプロダクトを作れる。同社はこのほど、DFJ GrowthがリードするシリーズBのラウンドで4420万ドルを調達し、DFJの専務取締役Barry Schulerを取締役会に迎えた。

このラウンドにはMorgan StanleyやAlternative Investment Partners、Grishin Robotics、Wamda Capitalなども参加し、これまでの投資家Foundry Group、True Ventures、VegasTechFund、Two Sigma Ventures、Khosla Venturesらも加わった。

社員90名の同社にとって今回の投資は、VCたちの同社に対する大きな確信を表している。小さな電子部品モジュールをいろんなサイズのキットにまとめて売ってきた同社は、これまでの4回のラウンドでわずか1560万ドルを獲得しただけだった。

ファウンダでCEOのAyah Bdeirによると、今回の資金は同社の今後の複数の成長プランに投じられる。ひとつは、SalesforceやSAPやTwilioなどの企業がすでに始めている、社内のクリエティビティワークショップにおける新製品開発の試行用に、LittleBitsの使いやすいコンポーネントをさらに積極的に提供して行くことだ。

今企業が研究開発用に買っているコンポーネント集は、LittleBitsの“pro library”と呼ばれる売価5000ドルのキットで、その中には304のモジュールが収められている。しかしLittleBitsは今後このやり方を改めて、会員制により、毎月いろんなコンポーネントを提供していくようにしたい。

“LittleBitsの企業顧客はまだ始まったばかりだけど、でも多方面から関心が寄せられている”、と彼女は語る。

今学校関係は70か国で8000名あまりの教師らがLittleBitsのキットを使っているが、この方面も今後もっと伸ばせる。ちなみに昨年の同社の売上の10%が学校だったが、今年は30%に達しそうだ。また、親が子どものために買ってやる100ドルから150ドル程度のキット(シンセサイザーを作れる!)も、今後まだ拡販の可能性があるので、同社は最近、Amazonに次いで Barnes & Nobleともパートナーした。

【後略】

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「学習ノートのGitHubを目指す」——ノートまとめアプリ「Clear」開発のアルクテラスが1億3000万円の資金調達

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アルクテラスは6月24日、電通デジタルホールディングス(DDH)のほか、スターティア(同社コーポレートベンチャーキャピタルの投資1号案件になる)、韓国のベンチャーキャピタルであるBon Angelsなどから合計1億3000万円の資金調達を実施した。

アルクテラスは2010年10月の設立。代表取締役社長の新井豪一郎氏は、新卒でNTTに入社。その後MBAを取得し、コンサルティングファームに3年間勤務、その後はコンサル時代から接点のあった星野リゾートに移り、スキーリゾート事業の責任者として同社子会社の代表を務めた。「もともと教育関連の事業で起業したいという思いがあった。コンサルティングファームで星野リゾートの星野(佳路)社長に知り合ってその話をしたところ、『起業に足りないのは経営者としての経験』だと言われ、星野リゾートのスキーリゾート開発に携わることになった。その後かねてからの思いもあり、アルクテラスを立ち上げた」(新井氏)

もともとEdtech関連の事業での起業を考えていたという新井氏。自身が小学校で「落ちこぼれ」だったという経験から「ITの力を使って1人1人に合わせた教育をすれば、本来のポテンシャルを引き出せると思っていた」とのことで、まずは個人の能力に最適化した教育を行う「アダプティブラーニング」を実現するツールの開発を進めた。

アダプティブラーニング向けのツールを開発

その結果誕生したのが、学習スタイル診断ツール「カイズ」だ。カイズでは、学生が100あまりのアンケートに回答すると、その学習スタイルを「視覚的に全体像を情報で把握させる」「言語的な情報で1つずつを把握させる」「パターンにあてはめて記憶させていく」という3つに分類。さらにそれぞれに最適な学習コンテンツを提供するのだという。

対象となるのは小学校高学年から中学3年生まで。現在販売代理店を通して個人指導塾に展開しており、6000人の生徒のデータがたまっているという(すでに事業単体では黒字化しているそうだ)。またこのカイズの仕組みを実証する場として、塾の経営も行っている。

学習ノートのGitHubを目指す

今回の調達で開発を進めるのは、学習ノートのまとめサービス「Clear」。ユーザー(中学生〜大学生を対象にしている)は、自分が授業で使ったノートの写真を撮影し、教科やそのテーマなどをつけて投稿・共有できるというもの。投稿内容は中学生、高校生、大学生で分かれており、科目事の表示が可能。投稿日時順、閲覧数順、お気に入りのノートにつけられる「いいね」の数でのソートができるほか、キーワードでの検索が可能。基本は今気になっているテーマを検索して、それに該当するノートを閲覧するという使い方をすることになる。ちなみに今の一番人気は高校生の数学および英語だそう。

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2013年12月にベータ版サービスを立ち上げ、2014年4月にサービスを正式公開。ユーザーは約55万人とのこと。ただしこれは一度でも起動したユーザーの数字で、アクティブユーザー数は聞くことができなかった。現在集まっているノートは3万5000冊に上る。

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機能については紹介したが、正直なところ現段階では「手書きノートを撮影して共有しただけ」なアプリだ。ではこのサービスが1億円以上の資金を調達できた理由はどういうところにあるのだろうか。新井氏はClearの将来像について「勉強ノートのGitHubやSlideShareを作る」と語る。つまり巨大な学習ノートのデータベースをCGMで作るのだという。

今後はノートに対してはOCRをかけてすべてテキスト化を行う。これで全文検索に対応するほか、そのノートが何について書かれているのかを分析して(ノートなので図形や絵文字なども入るが、周辺の認識できた文字列から内容を判断していくそうだ)データベース化。冒頭にあったカイズの仕組みと組み合わせて、アダプティブラーニングでより個人に最適化されたコンテンツを提供していくのだそうだ。「ノートは同じ教科書、授業を使っていても書き方が違う。1つのテーマに対して複数のアプローチがある。それを個人に最適化して見せていく。同じレベルの学生のノートで勉強するほうが(個人に最適化されていない教材より)はるかに役に立つ」(新井氏)。生徒にはいろんなタイプがいるし、最適な勉強の仕方はさまざま。だからこそまず様々なノートを集めて、そこからそれぞれの生徒に最適なものを提示すればいいということだ。

今後は広告や教材の販売などのコマースでマネタイズを進める。また4月にはタイでもサービスをローンチしており、今後はアジア圏を中心に海外展開も進める。

画一的な大量生産モデルの教育をパーソナライズしたものに変える

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「民主主義は政治の最悪の形だ。今までの試みられてきたものを除けば」。ウィンストン・チャーチルの有名な言葉だ。

最近の画一的な大量生産モデルの教育にも同じことが言える。プロイセンから輸入し、教育改革家のホーレス・マンが導入した、教育の大量生産モデルは、子どもを年齢別に教室に押し込み、席に座っていた時間を元に進学の時期を定めた。

このシステムが最悪なのには多くの理由がある。システムは、形式的かつ独断に基づき、個人に最適化されない。しかし現在、私たちが依存しているほぼ全ての現代的なイノベーションをもたらした立役者でもある。大量生産モデルは、教育を受けるために必要な生徒毎のコストを大幅に削減することに成功し、裕福な国では初めて全ての子供にK-12の13年間の義務教育を無料で提供することができるようになったのだ。

このモデルが存在しない地域の市民は切実にこの教育の形を求めている。現代の医療、住宅、エンターテイメント、交通手段、コミュニケーション手段、インターネット、その他の多くの現代社会を支えるものも大量生産モデルのおかげだ。これは素晴らしいことだ。

しかし悪い一面もある。

大量生産モデルは子供たちに対し、世界最大の官僚制度の無言のルールを読み取ることを要求している。明示されないルール、利害関係のあるステークホルダー、つじつまの合わないインセンティブといった複雑なルールの中で、組み立てラインのように一定の成果を求められる。そして、誰もこの巨大なからくりの中をどのように動けば良いかを教わることはない。

このシステムに上手く合う子どもたちもいるだろう。性格、躾、気質やその他の要因で合う子供たちも確かにいる。高度に構造化された環境でも成長することができ、教育のスピードもちょうど良いと感じる子供もいるだろう。しかし、少し違う考え方を持つ生徒の場合はどうだろうか?ルールを学んだり、集中する時間をコントロールするのが苦手だったり、世界の構造を独自の方法や時間をかけて理解するような子どもたちはどうだろうか?彼らは天才かもしれないし、ダイナミックなパーソナリティの持ち主なのかもしれない。しかし、彼らは大量生産モデルには適合しないかもしれないのだ。

このような生徒は、システムとたまたま上手く適応した同等の才能を持つ子どもたちと同じ結果を出すのに、より多くの努力が求められる。努力、知性、才能に関わらず、同じ結果を全く出すことができないこともあるだろう。彼らの脳はそのようには作られていないのだ。

子どもたちに合わせた教育システムが必要だ。今の教育システムは、ガイダンスもなしに子どもたちに強制的にシステムに適応させようとしている。適応しないようなら、リタリンやアデラルといった医薬品を与えている。そして、そのような子どもたちに私たちは、成績を低く付けることや期待をかけないことで、彼らの知性が足りない、あるいは努力が足りないということを、率直な方法でも暗示的な方法でも常に伝えているのだ。

これは少数の子どもたちに限ったことではない。このシステムに適応できないのは、大部分の子どもたちであると私は考えている。そもそも大量生産モデルは、最大数の生徒に最適になるように作られていない。どちらかというと大量生産モデルは、コストを抑えるように最適化されているのだ。

子どもたちにどのようなダメージを与えているのだろうか?システムは自己イメージに対してどのような影響があるのだろうか?例えば、自分には何ができるかについて考えた時だ。また、学習を深めていくことや成長にどのような影響があるだろうか?社会はこのようなコストを見ようとしない。なぜなら、これらのコストは見えずらいものだからだ。人は見えないコストに対して、全うな理由もなく、気づかなかったことにする傾向にある。しかし、このような精神へのダメージ、そして個々の才能が最大限活かされないことの機会損失は計り知れない。

私たちは教育の大量生産モデルで育った。これを全く普通のことのように思っているが、普通ではないのだ。この方法は、13年間の義務教育を無料で広く届けるために編み出された方法に過ぎない。

教師の負担

私たちは教師に対して既存の教育システムの穴埋めを暗黙の内に期待している。生徒にはもっと多くの異なる種類の教育コンテンツが必要だと教師が言っても、教師が作成することを期待している。指導者としてのトレーニングを受けたのであって、コンテンツは製作するのは難しいと訴えれば、「文句を言わないで、どこかから探してきてください」と言う。学習が思うように進まない生徒がいるとの訴えには、「彼らにも内容が伝わる方法を考えてください」と求める。州が義務化したカリキュラムに生徒はつまらなさを感じていると訴えれば、「もっとダイナミックな授業で生徒を楽しませてください」と言う。遅れを取っている生徒を助けたい、あるいは内容が簡単過ぎると感じている生徒を伸ばしたいと訴えれば、「それぞれに合った教育をしてください」と求めているのだ。

教師は、大量生産モデルの分かりやすい代表であるため、私たちはシステムの欠点と教師を不当に合わせて考えてしまいがちだ。教師は「システム」ではない。教師はシステムに毎日、出来る限り抗っている。生徒が授業で感じる温かみやエネルギーは教師が提供しているのだ。補助的な教材を作り、モチベーションやインスピレーションを与え、個別化するといったことは全て教師が行っていることだ。システムの欠点で教師を批判せず、彼らがそれを補うための手助けはできないだろうか。

システムを変える

教師を助ける方法はいくつもあるだろう。彼らの報酬は低い。まず報酬を上げることができる。高額なことは分かるが、GDPの底上げにつながれば、結果的に安いのではないか。研究によると、報酬が高い教師と生徒の成績には相関が見られたそうだ。報酬を高めることで十分な経験を持つ人を教育分野に呼び込み、リテンションを高めることもできるだろう。

生徒のニーズ、傾向や興味関心のある分野はそれぞれ違うのだ。教師が彼らに合った異なる指導ができるツールを提供しよう。

次に、教師により多くのトレーニングと準備期間、メンタリングと職業で昇進する機会を提供することができるだろう。アメリカの教師も日本や韓国の教師と同様の時間数働いている。しかし、日本の教師は勤務時間の26%の時間を教室で過ごしているのに対し、アメリカでは53%を教室で過ごしている。

キャリアを進める機会を優秀な教師に提供することで彼らが教育分野から去ることを防げないだろうか。The New Teacher Projectの2012年の調査によると、「とても優秀で、代替の効かない教師」と評価した教師の20%は、学校に「認められず、怠慢な対応」を理由に去っている。

Metlifeの2012年のアンケート調査 によると、自分の仕事に満足していると回答した教師の割合は、2009年の59%から15%も落ち、44%に留まった。「この割合は直近20年間の中で最も低い数値です。教師の仕事を辞めると思う、あるいは辞めると強く思うと回答した教師は2009年の17%から12%上昇し、29%に登った」としている。全ての教師が理事を目指しているわけではない。しかし多くの教師は、仕事で昇進する機会を求めているのだ。

教師は学期内で何十年も悪化し続ける社会的な不平等を正すことはできないことを認め、彼らに求めることを妥当なものにするべきだろう。テストの成績が全てを決める社会の圧力を削減しよう。学校をテスト対策の塾に変えてしまっている。

生徒のニーズ、傾向や興味関心のある分野はそれぞれ違うのだ。教師が彼らに合った異なる指導ができるツールを提供しよう。既存の教科書をデータ駆動のユーザーに合わせる学習ツールに変えることで、教室に集まる生徒の準備を整え、教師に生徒の学習状況に関する情報が集まるようになる。

本来子どもたちは、彼らを取り囲む世界に興味を持っている。彼らは学習している。毎日の時間の全てを学習に費やしているといると言える。彼らは学習すること自体に抵抗しているのではなく、学習の大量生産モデルに抵抗しているのだ。これは今まで試みられたシステムを除いたら、最悪のシステムだ。しかし、今ならもっと良いものが作ることができるだろう。

画像はDr. Seuss Enterprisesの商標

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

スキルのマーケットプレイス「ストリートアカデミー」、法人向けの教育サービスに進出

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社員向けに研修やトレーニングを提供している企業も多いが、成果のほどはいかがだろう。一方的な押し付けではモチベーションが保たれないし、そもそも社内でじっくり座って受講する時間がないという場合もある。そんな中、社員教育に新風を吹き込むサービスがストリートアカデミーから登場した。

ストリートアカデミーでは、スキルを持つ個人(または法人)が、スキルをもとにした講座を販売できるマーケットプレイス「ストリートアカデミー」を2012年8月より運営している。現在プログラミング講座やヨガ教室などが提供されており、その講師数は2000人。ユーザー数は3万8000人以上となっている。

これまでCtoCのサービスを提供していたが、法人ユーザーが受講しやすいよう機能を追加したのが6月18日にリリースした「ストアカ for Biz」だ。

ストアカ for Bizでは、Excelやロジカルシンキング、スピーチ、英会話から、ウェブデザイン、プログラミングなど、2500件以上の講座を受講できる。企業の管理者が社員に受けさせたい講座をレコメンドしたり、業務と無関係な講座(ストリートアカデミーには、手品やバック転なんかの講座もある)を受講しないようフィルタリングしたりできるほか、社員の受講状況をモニタリングできる管理機能を搭載する。

初期費用や月額費は無料、受講料をポイントパック(5万円/10万円/15万円)で購入するだけの料金体系となっている。今後は割安な定額制プランの導入も検討しているという。

ストリートアカデミーでスキルを売っている講師のうち8割は個人で、前述の通りCtoCのモデルとなっている。だが、当初想定した以上に会社員がビジネス向けの講座を受けるというケースが多く、「会社で導入して部署の活性化に利用したい」といった声もあったことからストアカ for Bizを企画した。「企業における需要に気付かせてくれたのはユーザーだった」(ストリートアカデミー代表取締役社長の藤本崇氏)

また藤本氏は「強制的になりがちな社内研修に対し、社外で、よりカジュアルな学びを提供できるので、スキル向上に活用してもらいたい」と期待を込める。レクリエーション的な講座も多いため、社内の交流イベントとしてチームボンディング(組織のチームワークを高めること)にも有効ではないかと語る。

直近では動画学習サービスの「schoo」なども新人研修向けのコンテンツを提供しているように、ネットのインフラを活かしたオンライン学習が人気を博している。しかし藤本氏は「場の重要性」を説く。「講師とのやりとりはオンラインでも再現できるが、他の生徒から得られる気付きや刺激は大きい。『出会う』ことにニーズがあると感じている」(藤本氏)。ちなみにストリートアカデミーでは、このサービスに先駆けて、2014年10月に講師の社内派遣サービス「オフィスク」も提供している。

NECやガイアックスといった上場企業のほか、ラクスルやLiB、ietty、ベストティーチャーなどのスタートアップが導入を決定しており、まず直近で100社への導入を目指すとしている。7月にはスマートフォン向けアプリも提供する予定で、年間売上1億円を目指す。

オンライン英語スクールのベストティーチャーがベネッセと提携、GTEC CBT対策コースを提供

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英語が苦手な日本人は多い。中学と高校の6年間で英語を履修しているにも関わらず、2013年度のTOEFL国別ランキングでは日本はアジア31カ国中26位だ。中でもスピーキングのスコアはアジア最下位であり、座学型カリキュラムの弊害と言えるだろう。インターネットの普及でグローバル言語としての英語が存在力を強める中、この英語力の低さは由々しき問題である。

文部科学省もこの点は認識しており、2020年の大学入試センター試験廃止に伴い英語試験もこれまでのリーディング、リスニング中心(2技能)のものから、英検やTOEFLなどの民間による試験を活用し、スピーキング、ライティングを含めた4技能評価を導入するとしている。

ベストティーチャーの提供する「ベストティーチャー」はそんな4技能を総合的に学ぶためのオンライン英語スクールだ。自分が話したいことを英文で書き、それをオンラインで講師が添削、正しい英文を読むことができる。さらに講師の録音する英文を聞いた上で、Skypeで実際に講師と会話をする。そんなベストティーチャーが6月15日、オンラインスクールで初めてとなる「GTEC CBT対策コース」を開講した。

GTEC CBTというのはベネッセコーポレーションが2014年8月より提供している4技能対応英語試験の名称。年間約73万人が受検する「GTEC for STUDENTS」をベースにしており、すでに多くの大学で入試に活用されている実績がある。2021年にはセンター試験が廃止されるなど大学入試改革が行われる。その際には4技能試験の重要性が増していくと考えられるが、ベストティーチャーはいち早くその流れに乗った形だ。

ベネッセ公認の対策コースとなっており、公式問題集に掲載されている問題を元に、トレーニングを受けたネイティブの講師から学ぶことができる。料金は月額1万6200円で、ベストティーチャーの通常コース(月額9800円)に加え、GTEC CBT対策用のカリキュラムを受講できる。

ベストティーチャー代表取締役社長の宮地俊充氏は、入試の改革に伴い勉強方法にも改革が必要な時代だと訴える。「親の世代には無かった方法でありコストをかける事に抵抗があるかも知れないが、『オンラインで話すのは当然』という世の中にしたい」(宮地氏)

なお、同社は英語4技能試験の対策情報サイト、4skillsもリリースしている。GTEC CBTのみならずIELTSやTEAP、TOEIC SWなど英語能力判定テストの情報を掲載する。

オンライン学習サービスのスクーがクラウドワークスと提携、「人材x教育」で地方創生に臨む

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人は誰しもキャリアアップしたいと願うものだろう。キャリアアップを実現するために学び、スキルを身に付け、自分の価値を高めていく。企業に勤めていればトレーニングも提供されるものだが、クラウドワーカーにとっては先行投資でありそのハードルは低くない。だがそれが無料で受講できるとしたらどうだろうか。

インターネットの動画配信を利用したオンライン学習サービス「schoo WEB-campus(スクー)」を運営するスクーは6月12日、クラウドソーシングサービス「クラウドワークス」を運営するクラウドワークスとの提携を発表した。提携第1弾のプロジェクトとして、クラウドワークスに所属するすべてのワーカーに対し、無料で特別カリキュラムを提供するという。

提供されるカリキュラムはデザイナー向けとライター向けの2種類。schooは通常、リアルタイムでの受講(視聴)は無料だが、録画での受講は有料となっている。だがクラウドワークスの会員であれば録画受講も無料になる。

スクー代表取締役の森健志郎氏は、今回の提携を「人材と教育の統合の第一歩」と話す。短期的にはクラウドワークスが抱える65万人もの利用者を取り込めるメリットがあるが、中長期的には利用者の学習データと就労データを結び付け、よりビジネスに直結するカリキュラムを提供することが狙いだ。今後はスクーのカリキュラムを一定時間受講したらクラウドワークスのサイトでバッジを表示するなど、ワーカーのスキルを担保する仕組みも作っていきたいという。

クラウドワークスにとってもメリットは大きい。同社では地方在住のワーカーが多い点を挙げ(約9割が東京都外)、オンライン学習によるスキルの底上げを目指す。また、ワーカーとして登録したものの仕事の実績がないうちは簡単に受注できない現実があるとし、スクーの受講履歴バッジでキャリアを担保し、これを解消したいと話す。

両社が共通して語っていたのが「地方創生」への思いだ。都市部への人口一極集中で都市消滅の問題が叫ばれる中、いつでもどこでも働けるクラウドソーシングは問題解決の糸口となる可能性がある。とはいえ、器を用意しただけでは足りず、仕事を受注できるレベルにまで教育する事が欠かせない。スクーのトレーニングでワーカーのスキルを上げ、将来的には国内だけでなく、海外からの案件も受注出来るレベルにまで育てたいと意気込む。

なおクラウドワークスは6月11日にサイバーエージェントを割当先とする約5億円の第三者割当増資などで合計約30億円の資金を調達すると発表している。今後は今回のような業務提携に加え、M&Aや資本提携などを加速させるとしている。

オンライン語学サイトのDuolingoがGoogle Capital他から4500万ドルを調達―評価額4億7000万ドルに

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reCAPTCHAの開発者Luis von Ahnが共同創立した無料のオンライン語学学習サービス、 Duolingoは、今日(米国時間6/10)、Google Capitalがリードしたラウンドで4500万ドルの資金を調達したことを発表した。Union Square Ventures、NEA、Kleiner Perkins Caufield & Byersに加えて、Tim Ferrisや俳優でベンチャーキャピタリストのAshton Kutcherなど前回のラウンドの参加者も今回のラウンドに加わっている。

今回のラウンドでDuolingoの調達した資金総額は8330万ドルとなり、同社によれば、会社評価額は4億7000万ドル程度だという。

Duolingoの発表によれば、無料語学学習コースのユーザーは世界で1億人に達し、アメリカにおけるDuolingoのユーザー数は全ての公立学校の生徒数より多いという。学校向け無料プログラム、platform for schoolsに登録している教師の数は10万人となっている。

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「Duolingoのモバイルに重点を置き、ゲーム化されたプラットフォームは世界中で言語学習の方法にイノベーショhンを起こしている。Duolingoの成長率、利用時間はわれわれを仰天させた。この会社と共に教育の未来を変えていく手助けができるのは喜ばしい」とGoogle Capitalのパートナー、Laela Sturdyは述べた。

実はvon Ahnは過去にGoogleと縁が深い。von Ahnは2009年にreCAPTCHAをGoogleに売却しており、またそれ以前にも彼のESPゲームがGoogleのImage Labelerに2006年に採用され、2011年まで用いられた。

Duolingoの翻訳事業はどうなる?

オンラインで無料の学習コースを提供するだけでビジネス―それも4億7000万ドルに評価されるビジネスを運営していくことはできない。複雑な文章も翻訳できるようになった上級課程の終了者による翻訳サービスによって収入を得るというのがDuolingoの当初のビジネスモデルだった。CNNはDuolingoの翻訳サービスをここしばらく利用している。

しかし奇妙なことに、Duolingoは今回の発表で翻訳サービス事業について全く触れなかった。私の取材に対して広報担当者は「われわれは1年半ほど前に翻訳事業を棚上げし、以来新規顧客の受付を中止している(ただしCNNの翻訳は続けている)」と語った。Duolingoは収益事業として 語学能力の検定を行うTest Center TOEFLに取って代る存在に育成しようと努力中だ(テストの料金は20ドル)。広報担当者は「それ以外にもマネタイズ手法を検討している」と語った。

広報担当者はこの方針変更の理由を次のように説明した。

「翻訳事業によって実際に収益を上げてみると、品質管理やセールスのために多くの人を採用しなければならなず、Duoingo自体が翻訳サービス会社になっていく危険を感じたからだ。企業は収益を上げている部門に注意を集中してしまうものだ。われわれはあくまで教育企業であり、世界の人々により効率的な学習手段を届けるのが使命だ」

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

誰もが何でも学べるUdemyが早くもシリーズDで$65Mを調達…企業のためのカスタム課程も提供

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多様なコースを提供して、誰もが何でも学べるオンラインの自主学習プラットホームUdemyが、このほどシリーズDで6500万ドルを調達した。このラウンドをリードしたニューヨークのレートステージ(late-stage, 成熟期)専門のVC Stripes Groupは、ほかにもGrubHubやElance/Odesk、Blue Apronなどマーケットプレース系スタートアップの大手をポートフォリオに抱えている。

既存の投資家NVPとVenture Partnersもこのラウンドに参加し、Stripe Groupの常勤パートナーKen FoxがUdemyの取締役会に加わる。これでUdemyの調達総額は、2010年のローンチ以来の累計で、1億1300万ドルになる

Excelのモデリングからラップの歌い方に至るまで、Udemyが今提供しているコースは3万以上あり、インストラクタは全世界から17000名、80の言語が使われている。料金はインストラクタ自身が決めるが、1コース20ドルから100ドルあたりがいちばん多い。

“すばらしい先生が世界中にいるけど、必ずしもその全員が教室で教えているわけではない”、とUdemyのCEO Dennis Yangは述べる。

“われわれを取り巻く世界はますます急速に変わりつつあるから、従来の教育システムは変化に追随できない”、と彼は言う。

とくにそう言えるのが、テクノロジ産業だ。Yangによると、Apple Watchのローンチから今日(こんにち)までの数か月で、Apple Watchのアプリ開発を教えるコースが130以上(6言語)Udemy上に登場した。物理的な建物のある学校や大学では、どうだっただろうか。

このプラットホームの人気トップのクラスが“The Complete Web Developer Course”(完全なWebデベロッパコース)で、今現在11万1000名の生徒が、この29時間のコースでさまざまなプログラミングスキルを学んでいる。

Udemyは同プラットホーム上に登場したコースを監視し、インストラクタが自分のコンテンツを良くするためのツールも提供しているが、実質的にコースのクォリティをコントロールしているのは700万人のユーザだ。良いコースは評価が上位になるし、リビューによる競争があるためインストラクタはつねに、自分のレッスンの改良に努めざるをえない。

Stripe GroupのKen Foxはこう言う、“Udemyがこれだけ強力なのは、レッスンの制作と開設を既存の教育機関に依存していないからだ。いわばUdemyは教えることの民主化であり、誰から教わるのがいちばん良いかを生徒自身が決める”。

このことは、合衆国以外の国々にいるUdemyの全ユーザの2/3にとって、とくに有益だ。それらの国では、教育へのアクセスが困難な場合もある。Udemyの売上の半分は合衆国以外からであり、Yangによると、英語以外を母国語とする人びとのためのコースが、このところますます増え、多様化しているという。

今回の資金の多くは、Udemy for Businessの拡充整備に充てられる。今ではおよそ200の企業が、自社の社員のための独自の教育ポータルをUdemy上に構築している。たとえばGoldman Sachsは、Udemyを使ってアナリストを教育訓練しており、そのために、自社製のコンテンツと、Udemyから選んだコースのミックスを使っている。

“この惑星の上には70億の人間がおり、そのほとんど全員が、教育の価値を認めている。うちは今700万人だから、その上っ面(うわっつら)をちょっとかすったにすぎない。だから、成長の余地がものすごく大きいと言っても、けっして過言ではない”、とYangは語る。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Googleがオンライン学習のUdacityとパートナーしてAndroid開発のナノ学位を立ち上げ、エジプト語へのローカライズも

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今日(米国時間5/28)サンフランシスコで行われたデベロッパカンファレンスI/OでGoogleは、Udacity とパートナーして6コースから成るAndroid開発のナノ学位日本語参考記事)をローンチする、と発表した。

これはビギナーのためのコースではなく、まだAndroid未経験のプロのデベロッパにAndroidモバイルアプリの“正しい書き方”を教える。コースが終了したらGoogleが彼/彼女を実際に雇うこともありえるほど、本格的な特訓教育を行う。

Udacityのそのほかの学位プログラムと同じく、ビデオ教材の視聴は無料だが、卒業証書や教育助手へのアクセスが必要なら、今回のコースでは月額200ドルの有料になる。

Udacityの協同ファウンダでCEOのSebastian Thrunによると、受講者は学位を得るために、6つのコースといくつかのプロジェクトを終了しなければならない。たとえばあるコースでは、アプリの中でSpotifyのAPIを使いなさい、と求められる。Udacityのそのほかの学習プログラムと同様に、実践的知識の獲得が最大の目的で、したがってコースよりもプロジェクトの意義がとても重要だ。

Thrunは曰く、“ねらいは、受講者が実践を通じて、Androidプログラミングに関して完全な自信を持てる状態になること。多項選択(三択四択〜〜)のテストなどは、やらない。いわばそれは、Googleが同社のデベロッパに持っていてもらいたいと願っている知識や技術をすべて叩き込む、というナノ学位コースだ”。

学位取得までの所要(許容)時間は6〜9か月、開始日は決まっているが、途中のペースは受講者が自由に決めてよい。

Google Play Services

Googleは、このプロジェクトに本気であることを示すために、年末に50名の学生を本社に招待して三日間のサミットを行う。その内容は、ハッカソン、雇用担当者とのミーティングなどだ。要するにGoogleは、実際に何名か雇うぞ、という姿勢を見せたいのだ。

さらにGoogleは、エジプト政府とパートナーしてこの学位の6つのコースを現代標準アラビア語(Modern Standard Arabic)にローカライズする。Udacityとしても、ここまでやるのはこれが初めてで、ビデオにアラビア語で字幕を入れるのではなくて、コースの全コンテンツをアラビア語化するのだ。

Googleはエジプトの学生2000名に奨学金を提供し、就職説明会や各種の集会を行う。Thrunによるとこれは、Udacityにとってもアラビア語圏に進出していくための好機であり、その地域に良質な教育を持ち込むと同時に、良質な就職機会も開拓していきたい、という。そして、“あそこらの戦争の数を減らしたいね”、とThrunは語る。

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GoogleのVRアプリ‘Expeditions’は学校で行う野外研究を仮想化する…教材としてはビデオや映画より良いか?

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Googleの今のVRの取り組みは、さまざまな実世界の様相をVRで再現することによって、ユーザの世界を広げることに重点がある。野外研究を仮想化するアプリExpeditionsも、そのひとつだ。このアプリの目的は、児童生徒が、実際には行けないかもしれない場所をVRで踏査することにある。

Expeditionsは、旅のリーダーが使うソフトウェアと、児童生徒と教師用のヘッドセットやハードウェアから成るキットで提供され、それだけあれば仮想の旅ができる。

Googleがねらっている仮想現実は、入門用の安価でやさしいものだ。ヘッドセットは安い、または無料のCardboardで十分だし、ユーザがすでに持っているスマートフォンを使う。仰天するような生々しい光景は見られないとしても、旅をしている感覚は十分に味わえる。

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Expeditionsにはサンプルの仮想旅行(ないし仮想遠足)が含まれているので、教師はクラスで準備にそれほど時間をかけずに仮想ツアーを開始できる。もちろん、利用するにあたって面倒な、団体利用の許可申請も要らない〔本物の植物園などでは必要な場合がある〕。

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プログラミングの教材ビデオを生徒が自作する高校のコンピュータクラブ…楽しくなければ身につかない

高校のときは、プログラミングを、体格のがっしりした髭男から習った。彼は生徒たちがPascalのコードを書いているとき、ゴルフのスィングの練習をしていた。教室では歌を歌ったりせずみんな静かにしていたが、彼のやり方ではプログラミングの能力も身につかなかっただろう。ネバダ州Zephyr Coveの高校Whittell High Schooのコンピュータクラブは、生徒全員がプログラミングを好きになる、秘密の方法を発明した。

そのコンピュータクラブとAP(Advanced Placement, 高校時の大学課程習得コース)のコンピュータ科学のクラスは、生徒のMadison Maloneがリーダーで、彼はBlank Codeの見事な替え歌を作った。データ構造に恋をして、週末に、悪いコードを良いコードに変える、という内容だ。その歌は、何人かのしろうとが歌っているが、Taylorが意図したように、ゲームのプログラミングとAPのテストが歌詞になっている。

[妹が、Taylor SwiftのBlank SpaceのすばらしいニューバージョンBlank Codeを書いた。YouTubeは<https://youtu.be/BpowWp9OoD8>だ。]

アカペラのバージョンはアレンジがやや薄い。もっと厚くて賑やかな方が良いと思うが、でも、歌詞にGoogle Web Servicesが登場して、Steve Jobsに向かって“ぼくのコードを見てよ”なんて歌う曲は、それだけでもサイコーだ。生徒たちはビデオを、学習ロボットDashの作者が主催するコンテストのために作った。コンピュータの勉強と人気アイドルTaylor Swift、この二つの合体はとってもいいセンスだね。

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今年のChromebookの売上予測は730万台、前年比で27%の増…学校が多いがUSでは一般消費者も

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GoogleのChrome OSノートブック機Chromebooksのニッチが、拡大を続けている。とくに学校などでは、児童生徒の集団がiPadの安価な代替機として重宝している。また合衆国では、一般消費者にも浸透しつつある。

アナリスト企業Gartnerがこのほど発表した最新の予測によると、今年の全世界のChromebookの売上は前年比で27%増加し、730万台となる。

昨年の8月にこの調査会社は、Chromebookは向こう5年間、ニッチ市場にとどまる、と予測し、2014年の売上台数を520万台としたが、それは過小評価となり、実際には昨年、570万台売れた。

PC市場全体に関しては、Gartnerの報告では今年第一四半期の世界のPCの売上はほぼ7200万台である(ただしGartnerの数字では、ChromebooksはPCに含まれていない)。

昨年のChromebookの売上の72%は、学校が買っている。ほぼ全世界的に学校がメインだが、学校の比率が最大の地域はEMEA地域(欧州・中東・アフリカ圏)だ。

昨年GoogleはGoogle Play for Educationを拡張して、そのeブックストアをAndroidタブレットからChromebookにも持ち込み、同機に教育用機材としての箔をつけようとしている。

Gartnerによると合衆国では、Chromebookが消費者市場でも成功を収めつつある。合衆国だけでは、全売上の1/3以上が一般消費者向けだ。ただし合衆国以外の消費者には、まだブランドとして定着していないようだ。

Gartner

GoogleはオフィスアプリケーションのスイートChromebook for WorkでChromebookの企業利用も積極的にプッシュしているが、効果はいまいちだ。でも同社は、倦むことなく、オフラインでも使えるアプリケーションやサービスの拡大に努めている。

Gartnerは、Googleのこういった努力がいずれは実を結ぶ、と見ている。企業が、現場用機器などにローコストと容易な管理を求めるなら、Chromebookは必ず選択肢の中に入るだろう、と。

Chromebookが市場に投入されたのは2011年だが、Googleはこの製品について長期戦の構えでいるようだ。長期というのは、たとえば、学校でChromebookを使ったユーザが、やがてどこかの企業の社員になる、というスパンだ。そのころには、企業におけるChromebookの採用が、一大飛躍期を迎えるかもしれない。

なお、2014年のChromebookの売上の84%は北米地区だ。次に大きい市場であるEMEA地区は11%だ。アジア太平洋地区は3%にも満たない…その主な国はオーストラリアとニュージーランドと日本である。

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子どもたちにプログラミングを教えるTynkerが、これからはロボットやドローンなどのデバイスも教材に

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子どもたちにゲームを作らせながらプログラミングを教えるTynkerが、今度はゲームを作るだけでなく、デバイスをコントロールするプログラミングの教程を加えた。デバイスは、ドローンやロボット、照明器具のような“スマートホーム”製品など、さまざまだ。同社はこの新しい教育課程を、今週サンマテオで行われたBay Area Maker Faireで発表し、またiPadとAndroidタブレットのアプリケーションの提供も開始する。

同社はこれまで、子どもたちがドラッグ&ドロップでキャラクターを動かしながらプレイするゲームを作り、それによってプログラミングの基本概念を習得するための、ツールやチュートリアルを主に作ってきた

過去3年間で、Tynkerでプログラミングを始めた子どもたちは2300万名を超え、合衆国とカナダとイギリスとオーストラリアで計2万あまりの学校が同社のカリキュラムを利用している。各月に100万から200万のユーザがTynkerにログインし、同社のユーザベースは1か月に50万ずつ増加している。

同社のiPadアプリはAppleのストアの展示商品にプレロードされていて、子どもたちが遊べるようになっている。Androidのアプリも、Googleの今度のDesigned for Familiesでローンチする。CEOのKrishna Vedatiによると、今年の同社の決算は黒字になりそうだ。

これからは“物のインターネット”へのプログラミングが加わるので、子どもたちはこれまでのように純粋にソフトウェアだけのプログラミングではなく、ドローンを飛ばせたり玩具をコントロールしたり、ロボットに命令するなど現実世界のオブジェクトの制御を体験することになる。立ち上げにあたってTynkerが協力を求めるのは、ドローンのParrotやロボットのSphero、照明システムHue/LuxのPhilips、などの企業だ。協力企業は今後さらに増える、と同社は言っている。

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子どもたちがTynkerのビジュアルなインタフェイスから、これらのオブジェクトをコントロールするプログラムを作れるために、新たなコードブロックが導入され、いくつかのサンプルコード的なテンプレートも提供される。たとえば”Flappy Drone”は、ドローンを障害物をよけながら飛ばせるプログラミングの例だ。人気のモバイルゲーム”Flappy Bird”に似ているので、この名前がつけられている。このほか、ロボットのレーシングゲームRobo Race、ドローンに曲芸飛行をやらせるStunt Pilot、インターネットに接続されている照明システムのコントロール、などが用意されている。

Vedatiによると今後Tynkerは、もっと多くの機種のドローンや、リモートコントロール玩具などをサポートし、AppleのApple HomeKitやParrotのFlower Powerなどとも統合し、またLegoやArduino、Raspberry Piなどのためのシンプルなプログラミングインタフェイスも提供して行く。

新たなコードブロックと学習用のパズルは、Google PlayiTunesで入手できる。

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地域社会のテクノロジからの疎外、日陰者化を防ぎ、地元の高校生プログラマを育てるBrooklyn On Tech

Disrupt NYでTechCrunch TVはニューヨークのスタートアップにたくさんインタビューしたが、その中にはNPOのBrooklyn on Techもいた。彼らは地域社会の中で、次世代のスタートアップのファウンダになるような人たちを育てている。

協同ファウンダのJessica SantanaとEvin Robinsonが上のビデオで説明しているが、二人ともブルックリン(Brooklyn)の出身だ。

“テクノロジには大いに関心があったけど、でも以前は、テクノロジが自分たちの仕事になるとは想像もしなかった”、とSantanaは語る。

それどころかSantanaとRobinsonは経営コンサルタントが本業で、でもブルックリンがスタートアップのハブになってくる伴って、地元の子どもたちをテクノロジ産業に触れさせたいと思うようになった。そこで彼らはブルックリンの高校生を対象とする期間1年の事業を立ち上げ、彼らにプログラミングと、そのほかの多様なプロフェッショナルなスキルを毎年教えようとしている。

Santanaによると、ブルックリンの地元の人たちのあいだには、テクノロジが彼らや子どもたちを疎外するのではないか、という疑念がある。でも彼女は、そんな不安があるから、地元の人たちとの真剣な会話が成り立つ。むしろ人びとはそれまで、そのような会話から疎外されていたのだ、と言う。

彼女によると、重要なのは、テクノロジ産業の隆盛の中で“物言わぬ日陰者”のような状態に置かれている人たちとのパイプラインを築き、彼らが前向きにブルックリンを、Brooklyn Tech Triangleに見られるような、雇用の場と見なしていくようにすることだ。テクノロジに疎外されていく場、ではなくて。

彼らは最初の年に20名の生徒を育てたが、今年の秋に始まる二年目には40〜50名に増やしたい、という。SantanaとRobinsonは今、次年度の生徒を募集中、そして先生を探し中だ。 Brooklyn on TechのWebサイトを見てみよう。

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唯一のハードウェアアクセラレータを自称するHaxlr8rがHaxに改名、卒業生たちの販売流通体制のための新事業を開始

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これまでHaxlr8rは、アイデアやプロトタイプ段階のハードウェアスタートアップがプロダクトの実際の製造に漕ぎ着けるまでの過程を支援してきたが、でも、製品が実際に完成してから、そのあとはどうするのだ? やっと物を作れるようになった企業は、今度は製品の販売や流通のための方法が必要だ。

そこでHaxlr8rは、社名をもっと分かりやすい覚えやすい”Hax”に改め、すでに製品が完成しているハードウェアスタートアップの、マーケティングと流通という厄介な問題の解決を支援する、新しい事業を立ち上げた。それはHax Boostと名づけた新しいアクセラレータで、9月に事業を開始し、ハードウェアスタートアップによる流通チャネルや小売パートナーの発見と開拓を支援する。

Hax Boostの6週間の特訓プログラムでハードウェアスタートアップは、流通チャネルの開拓や、サプライ・チェーンとロジスティクスの最適化、営業部門の作り方育て方、小売パートナーや流通企業とのコネの作り方、などを勉強する。多くのアクセラレータと同様に、その間、企業としての通常の操業時間もあり、またメンターたちから指導を受ける時間もある。今回のそれは、流通戦略とその改善について教えてくれる先生たちだ。

6週間はアクセラレータの事業期間としては短いが、ほとんどの企業が、その期間が終わったあとも指導やアドバイスを受けることになる。Hax Boostは全過程を終了した企業の持ち分の2%を取る。9月から始まる最初の‘学期’の受け付けは、7月11日が締め切りだ。

Hax Boostはサンフランシスコで‘開校’するが、従来どおりのハードウェアアクセラレータはHax Acceleratorと名を改めて継続する。こちらは、7月学期の申し込み受付が5月23日までだ。

また、〜Boostを‘卒業’したハードウェアスタートアップには、最大で20万ドルの開業資金が提供される。ただし資金の提供は、次の学期からだそうだ。

以上の発表が行われた翌日である今日(米国時間5/11)は、同社のデモデーが行われる。そこにどんなプロダクトが登場するか、詳しくはまた別の記事でご報告しよう。

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プログラミングを職業技能として教えるFlatiron Schoolが早くもシリーズBで$9Mを調達、教師育成に重点投資

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子ども、青少年、そして大人たちに、プログラミングの能力を読み書き算数なみのふつうの技能として身につけてもらうための教育プラットホームFlatiron Schoolが、シリーズBで900万ドルの資金を獲得した。ラウンドをリードしたのはThrive Capital、これにCRVとMatrixが参加した。

Flatiron Schoolは老若男女誰にでも、12週間のコースでプログラミングを教える。卒業したらすぐにプログラミングの職に就ける程度の、技能獲得を目指す。Flatiron Schoolによると、その大人課程では、終了者の99%がメジャーなテク企業(Google、Intelなどなど)で技術系の仕事に就いている。

“教育という仕事やビジネスには、量か質かというトレードオフがある。量と質を両立させるのはとても難しい”、と協同ファウンダのAdam Enbarは語る。“うちは、クラスのサイズを慎重な考慮に基づいて決めているし、生徒たちの良好な最終結果を保証するために、適性を判断したうえで入学を認めている”。

でも上で述べたように、Flatiron Schoolの対象は大人だけではない。2013年に同社は事業を拡大して高校生にも教えることになり、学校と提携して課外授業のカリキュラムに導入している。

ここ数十年における生徒たちのカリキュラムの最大の変化が、コンピュータ科学の導入だ。Flatiron Schoolは、コンピュータ科学がカリキュラムに正規にあるタイプの教育とそのためのインフラストラクチャを作り出す手伝いをしたい、と考えている。これまで多かったドラッグ&ドロップによる安易なプログラミング学習では、本当のプログラミング能力が身につかないし、一方、抽象的なコンピュータ科学の学科はプログラミング言語について現実性現実味のない教え方をする。両者のギャップをうめ、本当のプログラミング能力を身につけさせることが重要、とFlatiron Schoolは考えるのだ。

“教師をプログラマになるよう教育するのは比較的簡単だけど、ソフトウェア技術者に人に教える能力を身につけさせるのは、ものすごく難しい”、とEnbarは言う。“コンピュータ科学を教えられる教師がいないことが、最大のボトルネックだから、うちは教師を育てることに重点投資をしている”。

Flatiron Schoolは昨年の夏に、550万ドルを調達している。

Flatiron Schoolについて詳しく知りたい人はここへ

関連日本語記事(1)(2)。〕

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演奏を聴きながら自動的に楽譜をめくる音楽教育アプリTonaraが中国のインターネット大手Baiduから$5Mを調達

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イスラエル発のシートミュージックアプリTonaraが、中国の巨大インターネット企業Baiduとこれまでの投資家Carmel Venturesから500万ドルの資金を調達した。Lool Venturesも、この投資に参加した。

Baiduは中国最大の検索サービスだが、同社の企業開発担当シニアディレクターPeter Fangが、Tonaraの取締役会に入る。Tonaraによると、Baiduの支援により中国における事業拡大を加速できるという。

Baiduが投資している海外企業として、TonaraのほかにUberが挙げられる。同社はUberの、中国における戦略的パートナーでもある。

Tonaraアプリのそのほかのデジタルシートミュージックアプリとの違いは、演奏者の演奏にリアルタイムで“聴き入り”、練習や公演のときページを自動的にめくることにある。もうひとつの同社のアプリWolfieは、音楽を教える人のための教授と評価のツールだ。

Tonaraの新CEO Guy Baumanによると、中国ではBaiduとの協働により主にWolfieの販売促進に力を入れていく。

Baumanはこう述べる: “中国市場は単なるデジタルシートミュージックの市場にとどまらず、音楽教育市場としてのポテンシャルが大きい。中国でピアノを習っている人は5000万人以上おり、ヴァイオリンは1000万から2000万人が習っている”。

“Wolfiは教師が生徒を教え、やる気を出させることが主体で、ほかのアプリのように間違いの指摘や修正が主力ではない。このような、教えることに最適化されたツールを中国の巨大なオーディエンス人口に提供できることは、本当にすばらしい”。

中国でTonaraは、Wolfieのローンチに加え、中国の音楽学徒と教師のため専用のプロダクトとサービスも、今後提供して行く予定だ。

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LinkedIn、プロフェッショナル向け教育に参入―オンライン学習大手のLynda.comを15億ドルで買収

プロフェッショナル向けSNSのLinkedInはLynda.comを買収してプロフェッショナル向けオンライン教育分野に本格的に参入する。

Lynda.comは1995年にBruce Heavinとテクノロジー分野の学習書の著者、Lynda Weinmanによって共同創業された。Lynda.comは長年、Photoshop、HTML、CSSなどの入門、マネージメントの基礎知識などをオンラインで得ようとする場合の定番サイトとなってきた。

Lyndaにはエキスパートによって制作されたチュートリアル・ビデオやコースが多数用意されている。eラーニングという言葉が今日のように普及するはるか以前からそれを実践してきたこの分野のパイオニアだ。

買収価格は15億ドルで、52%がキャッシュ、48%が株式によって支払われる。買収手続きの完了は今年の第2四半期が予定されている。LinkedInのプレスリリースによればLynda.comの社員の「大部分」はLinkedInに加わる。

買収を発表した公式ブログ記事で、LinkedInのCEO、Jeff Weinerは「われわれの目的は職を探している人々が実際に職に就けるよう手助けすることだ。LinkedInはこの買収によって職探しに役立つ技能や知識へのアクセスを提供していく」と述べたLynda.comのCEO、Lynda Weinmanは「両社の企業文化は完璧にフィットする」とし、 有用なスキルの教育により、求職市場における需要と供給のギャップを埋めるために大きな貢献が期待できると述べた。 LinkedInのコンテンツ事業の責任者、Ryan Rolanksyは、「LinkedInのユーザーは希望している職に就くために必要な技能が欠けていると気づいた場合、われわれのオンライン・コースによって即刻その技能身に付けることができるようになる」と述べた。.

LinkedInはLyda.comとの統合の具体的な計画を明らかにしていないが、Rolanskyは「当面、Lynda.comは従来どおり運営される」と述べた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+