2017年9月19日にiOS 11がリリースされて以来、AppleのARKitを使用して開発された拡張現実感(AR)アプリケーションたちが、1300万回以上ダウンロードされてきた。これはアプリ情報会社Sensor Towerからの新しいデータによるものだ。それはARアプリのエコシステムを調査したもので、いまやしっかりと根付きつつあるようだ。その調査によれば、アプリの世界における新しい開発に一般に見られるように、ARKitの適用という点でもゲームが牽引力を発揮していることが明らかになった。
最初の6ヶ月間に世界中でダウンロードされたARKitネイティブアプリケーション(ARKitを最初から使って開発されたアプリ)のうち、半分近く(47%)がゲームで、もっとも大きな割合を占めている。
iOS 11がリリースされてから1ヵ月後には、ARKitネイティブアプリは300万ダウンロードを超え、そのうちの35%がゲームだった。そして6ヵ月後、ARKitネイティブアプリのダウンロード数は1300万にのぼり、ゲームの割合は47%に増加した。
もちろん、ゲームはARKitの発表以前でも、拡張現実を普及させるのに役立っていた。PokémonGoの世界的な流行のおかげで、モバイルユーザーたちは、ゲームを強化してくれるARの可能性に親むことができた。そこではスマートフォンカメラのビューファインダーを通してしか見ることのできない現実世界で、動くポケモンを捕まえることができたのだ。
無料で最も多くダウンロードされているのが、仮想ペットシミュレーターのAR Dragon(オーストラリアのPlaySide Studio製)である。有料で最も人気が高いARKitネイティブアプリは、Tasmanic Editionの有料ARメジャーアプリのCamToPlan Proだ。
トップアプリがPokémon Goになっていないのか疑問かもしれないが、Sensor Towerの分析はARKitネイティブアプリケーションに焦点を当てたもので、ここ半年のうちに何らかのAR機能を追加したARKit 互換アプリケーションではないからだ。Pokémon Goは後者のグループに属する。
しかし、Sensor Towerによれば、ARKitネイティブアプリと、ARKitがリリースされた後で新しいAR機能を追加したアプリをすべて合わせると、現在2000以上のARアプリがApp Storeにはあるという。これはAppleが正式にリリースした数字とも一致している。
他の人気のあるARKitネイティブアプリカテゴリには、ユーティリティ(ARメジャーテープや適切な大きさの発送ボックスを見つけるeBayのツール)、エンターテイメント(AR子供本であるMy Very Hungry Caterpillarなど)、ライフスタイルアプリ(家具を買おうとする消費者がアイテムをARを使って部屋の中に置いてみることを助ける沢山のアプリ)、Holoのような写真やビデオアプリ、そして教育用アプリなどがある。
ゲームに加えて、ARKitネイティブのライフスタイルアプリもダウンロード数が大いに増加している。IKEA、Houzz、Wayfairその他のリリースに続いて、インストールされるARアプリの比率は5から11%に倍増している。なお、ユーティリティソフト全体のダウンロードシェアは19%から15%に低下している。
ARKitネイティブのゲームチャートは6ヶ月前とほぼ同じだが、Fruit NinjaとJetpack Joyrideを制作したゲームスタジオHalfbrickがリリースしたShadows Remainなどが登場している。その他の新顔にはAR Smash Tanks!、Playground AR、Orbuなどが含まれるが、これはAppleのプロモーションの恩恵を受けている。
AR Dragonは何ヵ月もの間、無料ゲームチャートのトップに立っているが、The Machinesが有料ダウンロード数ならびに収益(Grossing)でトップを占めている。
ゲーム以外では、子供が親しみやすいARKitアプリが主流だ。無料アプリのナンバーワンはLEGO AR Studioである。その後に、Dr. Panda AR Christmas Tree(3位)、Meow!(4位)、Math Ninja AR(9位)、そしてFollow Me Dragon(10位)が続く。
その他のトップアプリにはIKEA Place(2位)とGIPHY World(5位)などがある。これに対して、有料アプリや、収益アプリのチャートトップは、定規やメジャーといったユーティリティが散らばっている。
Appleは、ARKitの採用を推進する上で大きな役割を果たしてきた。それはステージ上のデモからApp Storeでの特集にも及んでいるが、最近では子供向けのAppleのコード学習アプリケーション、Swift Playgroundsへの統合さえ行われている。
しかし、ARアプリケーション業界はまだ黎明期にあり、ARKit自体が発展するにつれて、より多くの種類のARアプリケーションが出現する余地もある。
1月に開発者にベータ版が公開されたARKit 1.5における興味深いアップグレードの1つは、壁検出のサポートの追加である。この機能によって、ARKitは垂直面を認識し、その面にオブジェクトを配置できるようになった。またこのARKitは、水平プロット、1080pビデオ、コンピュータビジョンベースの画像認識性能が向上している、すなわち今やARKitアプリケーションは壁面のポスターや壁画などの2Dオブジェクトなどを「見る」ことが可能になり、関連するオブジェクトを近くに配置できるようになったということだ。
ARアプリケーションを推進するのは、Appleだけではない。Googleも今年初めに、ARKitへの回答として、ARCoreを発表した。それから数ヶ月を経て、多くのARKitネイティブアプリが、Android版ARCore互換となるように改修を急いでいる。先週Googleは、既にPlayストアには60以上のARCoreアプリがあり、その多くはゲームだと語った。
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(翻訳:sako)