分散ファイル共有サービスの老舗BitTorrentをブロックチェーンの若手スタートアップTronが買収

ファイル共有サービスBitTorrentの今日(米国時間7/24)のブログ記事によると、同社はブロックチェーンのスタートアップTronの一部になった。買収の噂は先月の中ごろから流れていたが、これで確実となった。BitTorrentは詳細を述べていないが、Tronはブロックチェーンという未開の世界への比較的新しい参入者だ。買収額は1億2600万ドルと言われている。

BitTorrentはもちろん、そこらのひよっ子ではない。同社は2004年にサンフランシスコで生まれ、Napster以前の時代におけるファイルシェアリングの代名詞とも呼べるプロトコルを開発した。

BitTorrentによると、現在のアクティブユーザーは全世界で約1億、彼らはクライアントとして主にBitTorrentとBitTorrent Nowを使っている。後者はビデオや音楽の用途が多い。同社は今後も、これらクライアントのメンテナンスを継続し、Tronのサンフランシスコ・オフィスから“Tronのグローバルなビジネス開発とパートナーシップへの強力なサポートを提供し、また、世界最大の分散エコシステムとしてのビジョンを追求していく”、という。

Varietyの記事によると、BitTorrentは最近、買収をめぐるユーザーの懸念を解消するために、“今後もこれまでのサービスをそのまま継続する。将来的にも暗号通貨の採掘に弊社のサービスを提供する予定や計画はない”、と言っていた。

しかし今後の計画については、まだ何も発表されていない。

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HTCの「ブロックチェーン端末」は本物。年内発売へ

HTCはまだ消えていない。とはいうものの、今はこれまでになくそれに近い状態で、従業員数は全世界で5000人を切っている——2013年には1万9000人だった。しかし、こうした「市場競争や製品の多様化、価格、棚卸評価損」といったマイナス材料にもかかわらず、同社は前進を続けている。

同社の掲げる「スマートフォン端末のイノベーションのリーダー」いう主張には議論の余地があるとしても、この台湾メーカーは魅力的ギミックを作ることは避けて通ることがない。今年発表されたExodusがその期待に答えている。「世界初の本格的ブロックチェーン電話」は未だ謎に包まれているが、今週香港で行われたRISEカンファレンスで同社が重要の詳細を披露した。製品の最終調整をしながらも、人々の興味を引き続けなくてはならないからだ。

発表のなかでも目立ったのは、今年のQ3、といういかにも曖昧な発売日だ。とても具体的とは言えないが、それでもこの電話機を少しだけ現実のものにした。画像は上記の記者発表時のものからかわってない。

同社の最高暗号製品責任者による次の発言が、「本当に存在する」という立場を物語っている。

ニューインターネットエイジの人たちは、概して自分のデータに関してこれまで以上に敏感なので、今はユーザーにデジタルアイデンティティーの取得を推奨する絶好の機会だ。Exodusは良い出発点だと思う。なぜなら、携帯電話は最もパーソルなデバイスであるとともに、ユーザーのすべてのデータの源だからだ。このツールがインターネットを分散化して、現代人向けに再構成する機会をもたらすことを期待している。

今回の発表に先立ち、同社は人気ブロックチェーンゲームのCryptoKittesと提携している。このゲームはU12+をはじめとする同社のごく一部の端末で利用できる。「これはユニークなデジタルグッズを作るクリエイターたちのためのプラットフォームと配信チャンネルを作る大きな一歩だ」と同社がリリースに書いた。「モバイルは人類の歴史上もっとも普及した端末であり、デジタル資産やアプリを届けるためにもモバイルが配信の中心となる必要がある。Cryptokittiesとの提携は、代替の効かない収集物のマーケットプレースと、暗号ゲームアプリストアの始まりだ」。

もしHTCが、会社を立て直すための次期主力製品を探しているのであれば、これは断じてそれとは違う。それでも、暗号通貨分野に大きく投資をした人たちが興味をもつだけの魅力はあるだろう。

HTCは「数ヶ月以内に」端末の詳細情報を提供すると約束した。

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Linux Foundationのブロックチェーン支援事業Hyperledger Projectがコードベースを充実

【抄訳】
ブロックチェーン革命が近づいているが、でも、その姿は目に見えないかもしれない。Linux FoundationのHyperledger Projectの事務局長Brian Behlendorfは、そう見ている。

スイスのツークで行われた本誌TechCrunchのブロックチェーンイベントTC Sessions: BlockchainでBehlendorfは、ブロックチェーンの導入でもたらされるイノベーションの多くは、いわば舞台裏で、人に知られることなく起きるのだ、と説明した。

Behlendorfは曰く、“多くの消費者にとって、銀行や政府のWebサイトのWebフォームが背後でブロックチェーンを使ってることは、分からないしどうでもいいことだ。LinkedInのプロフィールで、学歴が詐称だったらそこにグリーンのチェックマークが表示されても、その機能がブロックチェーンを利用していることを一般消費者は知らない。すべてが、舞台裏でひそかに行われる”。

“でもこれは、ストレージとネットワーキングと消費者の革命なのだ”。

ブロックチェーンが大きなインパクトを与える分野は何か。Behlendorfの考えでは、真っ先に大きく変わるのはオンラインのアイデンティティの領域だ。今のFacebookやTwitterなどのように情報の保存を中央集権的なシステムに依存するのではなく、ブロックチェーンは情報をもっと安全に保存でき、またその自己証明型身分証明(self-sovereign identity, 自己主権型アイデンティティ)システムには、より多様な用途がありえる。〔参考記事

“ブロックチェーンにさまざまな用途がありえる中で、いちばん重要と思えるのが、アイデンティティ、自己証明、本人証明の分野だ”、とBehlendorfは語る。“しかしどんなに正しいソリューションも、エンドユーザーにおける自分のアイデンティティの管理や利用が、ちょうど財布から運転免許証を取り出すときのように簡単にならなければ、普及しない”。

Hyperledgerは、それらによってブロックチェーンの分野でイノベーションを可能にする、とLinux Foundationが期待する、フレームワークとツールを提供している。そしてBehlendorfによると、現在は10のコードベースがあり、うち2つはプロダクション(本番開発)ですでに利用され、8つはブロックチェーンを構築するためのフレームワークだ。Hyperledgerは“オーガニックな”開発過程を重視しているので、オプションは今後もっと増える、という。

【後略】

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広告をブロックするブラウザーBraveがDow Jones Media Groupとパートナーしてブロックチェーンを実験

Mozillaの前のCEOだったBrendan Eichが始めた広告をブロックするWebブラウザーBraveに、少なくとも一社の、大手ニュース発行者が味方についたようだ。

Brave Softwareと、Dow Jonesのメディア部門Dow Jones Media Groupが今日発表したパートナーシップにより、Media Groupのコンテンツ、具体的にはBarrons.comや有料のニューズレターMarketWatchへのフルアクセスが、Braveブラウザーをダウンロードしたユーザーの一定数に、早いもの勝ちで提供される。

さらに、Barron’sとMarketWatchは、BraveのBasic Attention Token(BAT)プラットホーム上の公認パブリッシャーになる。それは、消費者と、最終的には広告主たちがパブリッシャーに支払うための、ブロックチェーンを使ったシステムだ(Braveは昨年、ICOで大成功を収めた)。

そして両社は、メディアや広告の業界におけるブロックチェーンのさまざまな有効利用について今後実験を重ねていく。

Barron’sのSVP Daniel Bernardが、発表声明で述べている: “グローバルなデジタルパブリッシャーとして弊社は、高品質な顧客体験の構築に利用できる新しいテクノロジーを継続的に探求していくことが重要、と信じている”。

なお、パートナーシップの相手はDow Jones Media Groupであり、The Wall Street Journalなどを発行しているより大きなDow Jones本体*ではない。また両社の発言からは、実験が今回のパートナーシップの主な目的であることが伺われる。〔*: さらにそのオーナー企業がNews Corp.〕

でも、パブリッシャーたちはこれまでもっぱら、ブラウザーの広告ブロック機能を痛烈に批判してきたのだから、今回の動きは劇的な変化だ。たとえば2年前には、WSJ紙を含む新聞発行者のグループが、Braveのビジネスは“われわれのコンテンツを盗んでWebサイト上に載せることと同じだ”、とする書簡を発表した

Braveはまた、最近発表したリフェラルプログラム(referral program, 紹介制度)により、ファンをBraveブラウザーに切り替えさせたクリエイターに報奨としてBATを提供している。その発表声明の中では、当ブラウザーの月間アクティブユーザーが200万、と言っている。

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Twitterの創始者Jack Dorsey曰く、10年後にはbitcoinが世界で唯一の通貨になってる

Twitterの創始者Jack Dorseyがbitcoinを強力に推していることは周知の事実だが、 今日(米国時間3/21)は、彼がbitcoinに関してものすごく強気であることを伺わせる談話が飛び込んできた。

イギリスの有力紙The Timesのインタビューで、この、Twitterと簡易決済システムSquareのCEOは、bitcoinには成長痛に負けないだけの力があり、いずれは世界中で使われる普遍的なデジタル通貨になる、という信念を述べた。

“世界は最終的には単一の通貨を持ち、インターネットも単一の通貨を持つ。私の個人的な信条では、それはbitcoinだろう”、とDorseyは述べている。その変化に要する時間は、彼によると、“たぶん10年か、それよりもっと短いぐらい”、だそうだ。

今のbitcoinには“有効な貨幣になるための能力がない”、と認めるDorseyも、そのコア技術の改良によって、いずれは、より良質な貨幣に育つ、と考えている。

“今のbitcoinは遅いし高コストだが、もっと多くの人が持つようになると、その問題もなくなるだろう。ブロックチェーンの今後の新しい技術によって、bitcoinはもっと親しみやすいものになっていく”。DorseyはTimes紙にそう語っている

つい先週Dorseyは、bitcoinのような暗号通貨の処理を高速化できるプロトコルLightning Networkを扱うBay AreaのスタートアップLightning Labsに、250万ドルのシード資金を提供した。bitcoinなどの上にLightning Networkの層があることによって、独自の小さな台帳を持った二次的チャネルが作られ、それらが本体ブロックチェーンの過剰なトラフィックによる渋滞を緩和し、処理をスピードアップする。この技術に興味のある方には、Coindeskにあるこのドキュメントの一読をお勧めしたい。

Dorseyはまた、自分の企業Squareでも、そのモバイル決済システムでbitcoinのサポートを続けるつもりだ。Square Cashにbitcoinのサポートが加わったのは昨年で、今では Square Cashのすべてのユーザーが、そのサポートを利用できる

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IBM、どんな物にも内蔵できる「世界最小のコンピューター」を開発中

IBMは、ユビキタスコンピューティングに力を注いでいる。そしてそのアプローチは、コンピューターを砂粒と間違えるくらい小さくすることだ。将来この小さなコンピューターが普及すれば、製品の真偽確認や薬剤の追跡などに役立つだろう。

上の画像をよく見ると、砂山の上と人の指先の両方にチップがあるのがわかるだろう。その大きい方じゃない。もっとよく見ること!

これはIBMの “crypto anchor” プログラムから生まれた。製品のハイテク・ウォーターマークと呼ばれるもので、さまざまな方法を使って製品がメーカーが言う通りの工場で作られたものであり、偽物が混じったりしていない本物であることを証明するために使われる。

IBMが世界最小のコンピューターと言い続けるこのチップは、ブロックチェーンを導入することも目的のひとつだ。ブロックチェーンを利用したロジスティクスや追跡システムの高度なセキュリティーが、ワインボトルやシリアルの箱のようなものにも適用できるようになる。

A schematic shows the parts (you’ll want to view full size).

IBMはコンピューターを超小型にしただけではなく、これを非常に安く、おそらく1つ10セント程度にするつもりだ。つまり、このテクノロジーを装備する製品のタイプに下限はない。

それだけではない。これにはユビキタスコンピューティングの一般的な特徴もあてはまる。この賢い小粒はどこにでもいられて、ちょっとした計算をしたり周囲の状況を感知したり、他のデバイスやインターネットとつながる。あとは想像力次第だ。

これは小さい(約1 mm x 1 mm)ながら、一人前のコンピューター(最新型ではないが)の能力を持っている。数十万個のトランジスターとわずかなRAMと太陽電池と通信モジュールを備えたチップの能力は、おおむね1990年のチップと同じだ。当時はあれを使ってずいぶんいろんなことができていた。

もちろん現段階ではまだまだIBMの実験室内の研究プロジェクトであり、現実ではない。このプロジェクトは、同社が今後5年間のイノベーションを予言する “five in five” の一環だ。

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Bitcoinが10%暴落。ハッカーがBinanceのAPIキーを不正使用か

仮想通貨コミュニティーにまたまたジェットコースターの日がやってきた。わずか数分の間に、bitcoinの価格は1万0740ドルから9690ドルへと下落した。10.8%のダウンだ。

例によって、実際何が起きているのかを知ることは容易ではない。しかし、少なくともある会社はつらい一日を過ごしている。仮想通貨交換所のBinanceは不審な動きをいくつか発見し、出金業務を一時停止した。

Binanceは最大級規模の交換所のひとつだ。CoinMarketCapによると、有名仮想通貨の取引高でみた交換所のトップ4に名を連ねている。

クラッシュの直前、多くの人々がViacoinに関して極めて異常な動きを察知した。BinanceではViacoinsの膨大な買い注文が発生した。そのわずか数分後、Viacoinの時価総額は6400万ドルから1億5900万ドルに跳ね上がった。

Binanceが調査したところ未承認の売り注文を発見した。「一部のユーザーの資金に問題が起きているという報告を受け調査している。担当者は問題を認識しており現在調査を進めている」と同社がRedditに書いた。「現時点で確認されている被害者はAPIキー(取引きボットなどが使用する)を登録しているユーザーだけだ。Binanceのプラットフォームが不正使用された形跡はない」

このことからどこかのサードパーティーサービスまたはアプリが不正使用された可能性が高い。そのアプリのユーザーはBinanceアカウントの管理にAPIキーを使っていた。ハッカーは同時に注文を発行するボットを作っていたのかもしれない。

Binanceチームは出金を停止したが、すでに遅かったかもしれない。また、そのハッカーは別の交換所でViacoinを大量に保有していた可能性もある。Binanceで価格操作をした直後に大量のViacoinsを売り抜けたことが考えられる。

いずれのケースをとっても、セキュリティーが仮想通貨の大きな問題であることが再認識された。所有するコインは交換所に預けてはいけない。ハードウェアウォレットか、プライベートキーを自分で管理できるウォレットを使うべきだ。

情報開示:筆者は様々な仮想通貨を少量ずつ保有している。

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Lightning Networkで電気自動車充電の支払いを──中部電力、インフォテリア、Nayutaが実証実験

今回の実証実験の背景にあるEVオンデマンド販売の課題(中部電力プレスリリースより)

世界的に見ても、かっとんだ──失礼、非常に早い段階にある取り組みといえるだろう。ビットコインのパブリックブロックチェーンの2nd Layer(第2層)に当たるLightning Networkを使い、電気自動車に充電するための電力をオンデマンドで販売する実証実験が、この2018年3月1日から行われている。IoT(Internet of Things)とLightning Networkの組み合わせは、おそらく世界でも最も早い段階の取り組みとなる。

実証実験に取り組んでいるのは中部電力(プレスリリース)、インフォテリアNayutaの3社。Lightning Networkの実装は複数あるが、今回の実験ではNayutaが独自にオープンソースソフトウェアとして開発を進めているソフトウェアを利用する(同社の取り組みは以前に紹介しているが、今回はLightning Networkへの対応を果たしている点が大きく異なる。同社は2017年7月にジャフコらから1.4億円の資金調達を行っている)。

オンデマンドで電気自動車を充電する実証実験で実用性を確認

今回の実証実験の内容は、次のようになる。まず中部電力が電気自動車などの充電に関わる集合住宅向けの新サービスを構想。それを実現する形で、インフォテリアがビットコインのパブリックブロックチェーンを活用したスマートフォンアプリケーションを構築した。Nayutaは2種類のスマートコンセントを実験に提供する。スマートコンセントのうち1台は、ビットコインのパブリックブロックチェーンを活用して充電を制御、その履歴を管理する。もう1台は、Lightning Networkによる支払いを受けて充電を制御する。つまり1st Layer(パブリックブロックチェーン)と2nd Layer(Lightning Network)の2種類の実験が同時に行われている形となる。

実証実験での2種類の技術を使う意味だが、まずビットコインのパブリックブロックチェーンはすでに実用段階にあり、知識も普及しつつある点が開発者、利用者を集める上で有利だ。ただしパブリックブロックチェーンを普通に使う場合にはリアルタイム性は実現できない。そこでよく使われる手法は「Zero Confirmation」だ。この手法はビックカメラ店頭のビットコイン決済などですでに使われていて実績がある。ただし、Zero Confirmationではブロックチェーンの本来の性質である耐改ざん性(二重支払いの防止)のメリットを享受することはできず、別のやり方で安全性を保証することになる。

2nd LayerのLightning Networkは、複数の技術(マイクロペイメントチャネルと)の組み合わせにより、リアルタイムかつセキュアな決済を可能とする。まだ登場間もない新しい技術なので、今のところ複数の実装による相互運用性のテストが行われている段階である。新しい技術なので普及の前段階といえるが、ビットコインの将来動向を考える上では非常に重要な技術だ。登場後間もないこの段階で電気自動車への充電という実証実験を行う事例は、前述したように世界でも珍しい。

電気自動車への充電にLightning Networkを使うと、何がうれしいのか? Nayuta代表取締役の栗元憲一氏によれば「リアルタイム性と、膨大な取引をこなせる」ことだ。以下は、もう少し詳しく栗元氏の話を聞いてみた上で、筆者がまとめた内容となる。

Lightning Networkはブロックチェーンのジレンマを解決する

ブロックチェーン技術に関する技術的な議論はあちらこちらで繰り広げられている。だが、2nd Layerによって課題の種類と解決法が大きく変わることは、まだ周知が進んでいないようだ。

ブロックチェーン技術では、(1)セキュアかつ第三者への信頼を前提としない取引、(2)少額の手数料、(3)スケーラビリティ、(4)リアルタイム性(高速な取引の確定)、(5)P2Pの柔軟性、これらのすべての特性を満たすことは難しい。トレードオフの関係にある複数の要素のどれかを選ばないといけない。

これらの特性の中でも、リアルタイム性はブロックチェーン技術とは相性が悪いことで知られている。特にビットコインのパブリックブロックチェーン上の取引は、「取引が覆る確率が時間と共に0に収束する」という確率的な挙動をする。金融分野ではこの挙動を指して「決済の確定性(ファイナリティ)がない」と否定的に解釈される場合もある。IoT分野でもリアルタイム性は必ず求められる性質だ。

また、ブロックチェーン技術はスケーラビリティでも不利だ。現在のビットコインのブロックチェーンはすべての取引を1つの台帳に記録し、それをすべてのノード上で共有する。処理を分散する設計思想は取り入れられていない。したがってスケーラビリティ(規模拡大性)には限界がある。

Lightning Networkでは「取引に参加する者が、パブリックブロックチェーンの上で確率的な承認に合意し、Lightning Networkを構成する基本的なプロトコルであるMicro Payment ChannelとHTLc(Hashed Time-Lock contracts)に基づく手続きを行う」という条件のもとで、上記すべての条件を共存させることが可能となる。例えばビットコインのブロックチェーン上の支払いが「挙動は確率的であることを知った上で、6承認で決済確定とみなす」というルールに納得している人どうしであれば、Lightning Networkによる取引は事実上リアルタイムであるとみなすことができる。

そしてLightning Networkは、高速高頻度の取引をあちらこちらで独立に同時並行で進めることが可能だ。この仕組みは大きな可能性を秘めている。「IoT分野ではものすごい数のトランザクションが発生する。それをクラウドで処理するよりも、Lightning Networkを使う方が、より大きな数のトランザクションを処理できる可能性がある」(栗元氏)。ブロックチェーンは処理性能の上限が低いとよく指摘されるが、その2nd LayerであるLightning Networkではブロックチェーンどころか既存技術を上回るスケーラビリティを実現できる可能性があるというのだ。

このような可能性を秘めているLightning Networkだが、今回の実証実験で取り上げた電力系サービスへの活用には大きな期待がかかっている。「電力、シェアエリングエコノミー、ブロックチェーン」という3題噺は、世界中で検討が進んでいるテーマだ。太陽光発電の設備や大容量の充電池搭載の電気自動車などを結び、peer-to-peer(P2P)で電力売買を行う構想が世界中で同時並行で進んでいる。このような構想をVPP(Virtual Power Plant、分散したリソースを統合制御して一つの仮想的な発電所のように機能させるシステム)と呼ぶ。このVPPを作り上げるために「信用できる第三者機関を必要とせず取引する技術」であるブロックチェーン技術を使うアイデアが出てくるのは自然なことだ。実際、世界各地で同時並行的にブロックチェーンを利用したP2P電力プラットフォーム取り組みが進んでいる。そして、ここにリアルタイム性とスケーラビリティというブロックチェーンの弱点を解決できるLightning Networkを適用できたなら、世界を変える発明になるかもしれないのだ。

ジャパンネット銀行が2種ブロックチェーンの連携に挑戦、mijinとHyperledger Fabricで実証実験

ジャパンネット銀行は、2018年2月6日から2種類のプライベートブロックチェーン技術を連携させた業務システムの実証実験(PoC)を開始した。2種類のブロックチェーン技術のひとつは日本のスタートアップ企業テックビューロが開発するmijin。もうひとつは大手ITベンダー(後述)が推進するHyperledger Fabricである。この2種類のブロックチェーンの連携を実証するのはこれが初めてである。検証の対象となる業務は、社間の契約書管理のシステム化である(図を参照)。実証実験の期間は3月30日まで。

「実証実験」と聞いても、その意味づけをイメージしにくいと思われるかもしれない。今回の実証実験について、ジャパンネット銀行 執行役員 IT本部副本部長の坪川雅一氏は次のように話す。「オモチャを作っても検証にならない。今回の実証実験では実用化へ向けて課題を洗い出すことを目指す。個人的な意見だが、将来は契約管理のシステムだけでなく、見積もり、契約、発注、検収、請求・支払いまで一連の流れを効率化したい。商取引の透明性を劇的に高めることができる」。実験のための実験ではなく、現実のシステム開発に向けたステップとしての実証実験という位置づけだ。

同社によれば、業務効率化やペーパーレス化を進める上で、契約書をデータとして扱うことは以前から課題だった。そこにテックビューロから「ブロックチェーン製品を試してみて欲しい」との声がかかり、取引先として契約書のやりとりが多い富士通も一緒になって今回の実証実験を進める運びとなったとのことだ。

Hyperledger Fabricとmijinという対照的な2製品を連携

ブロックチェーンとは、利害を共にしない複数の当事者(企業など)が、信頼できる第三者を用いずに、信頼できる台帳を共有できる技術だ。今回の実証実験では、図にあるようにジャパンネット銀行と富士通という2者が契約書を交換する手続きをペーパーレス化、デジタル化することを想定している。これが発展すれば、複数の企業間の手続きの多くをデジタル化でき、効率化が図れる。

なぜ2種類のブロックチェーン技術を使うのだろうか。同社は大きく2つの理由を挙げている。1番目の理由は、契約先企業が使っているブロックチェーン技術に合わせるには複数のブロックチェーンを活用できた方がよいという考え方だ。2番目の理由は、複数のブロックチェーン技術に共通の情報を記録することで、万一障害が発生した場合にもバックアップの役割を果たすと期待できることだ。ブロックチェーン技術は可用性が高く障害が発生しにくいと期待されているが、実際のシステム運用ではなんらかの落とし穴が見つかるかもしれない。それを洗い出すことも同社は実証実験の目的としている。

実証実験で構築するシステムの内容は、まず契約書をデジタル化して、そのハッシュ値をブロックチェーンに記録し、「誰がいつ作成した契約書なのか」を改ざんできないようにする。従来はこのような処理には認定を受けたタイムスタンプサーバーを使うやり方があったが、ブロックチェーン活用を使うことで、より低コストに実現できると期待されている。

今回の実証実験は「絶妙」に見える部分がある。連携させる2製品、Hyperledger Fabricとmijinがきわめて対照的だからだ。大企業が推す製品とスタートアップが推進する製品という点でも性格が違うが、それだけではない。

Hyperledger Fabricは、IBMが開発したソフトウェアをLinux FoundationのHyperledgerプロジェクトに寄贈したものに基づき開発を進めている。富士通、日立、NTTデータ、アクセンチュアなどIT大手を巻き込んで普及推進活動を展開しており、世界中で多くの取り組みが進行中だ。その作りはブロックチェーンのビルディングブロックとも言うべきもので、必要な処理はGo言語やJava言語により開発するスマートコントラクト(Fabric用語では「チェーンコード」と呼ぶ)として開発することが基本となる。作り込みにより幅広い要求に対応できる可能性を秘めている半面で、システム構築の手間は大きくなる可能性がある。Hyperledger Fabricは認証局によりノードを管理する作りや、ファイナリティ(取引の確定)を重視する設計が特徴である。性能面はコンセンサスレイヤーをどう作り込むかで変わるが、Fabric v1.0では毎秒1000取引以上の性能を出せるとしている。

一方、mijinはテックビューロが開発、推進するプライベートブロックチェーン技術で、仮想通貨NEMの開発者らが参加していることで知られている。NEMと共通のAPIを備え、NEMと同じくマルチシグ、マルチアセットに対応する。最近ではmijinとNEM(つまりプライベートブロックチェーンとパブリックブロックチェーン)を連携させたシステム構成も視野に入っているもようだ。

mijinの特筆すべき点は早い段階で処理性能が高いことを実証していることだ。プライベート環境向けにチューニングすることにより毎秒4000取引以上の性能を出せることを、2016年12月時点で実証して発表している(プレスリリース)。mijinはブロックチェーンを操作するAPIを提供し、APIの機能範囲内であれば短期間でシステムを構築できるといわれている。半面、APIの範囲にない部分は新たに作り込む必要が出てくるともいえる。

このように対照的な2製品だが、特に意図して2製品を選んだという訳ではなく、たまたまこの組み合わせになったらしい。「複数のブロックチェーンの連携」は地味に聞こえるしれないが、実は最先端のニーズを取り入れた取り組みといえる。パブリックブロックチェーン上の仮想通貨の分野では、最新の話題として複数のブロックチェーンの間で価値を交換する「クロスチェーン技術」の試行が進んでいる。また、パブリックブロックチェーンとプライベートブロックチェーンを連動させたシステムの取り組みの機運もある。プライベートブロックチェーン2製品を連携させる今回の取り組みからは、はたしてどのような知見が得られるのか。

ブロックチェーン活用のブラウザ「Brave」、ユーザーがサイトにチップする機能を提供

ブロックチェーンを基盤とするブラウザを制作するBraveは、今年の初めイニシャル・コイン・オファリング(ICO)で3500万ドルを調達した。そのBraveが今回、新しい方法でパブリッシャーに報酬を提供するエコシステムの確立に向け、一歩を踏み出した。

Braveの特徴の1つは、独自の通貨であるBAT(Basic Attention Token)を使い、従来のオンラインパブリッシングにおける資金の流れを大きく変えようとしている点だ。Braveはブラウザを使用するユーザーに対して報酬を与え、同時に目障りな広告を抑制し、より関連性の高い広告を促進する。もう1つのBraveの特徴は、読者がBATを使って、アクセスするウェブサイトのコンテンツ製作者に対し、報酬を提供できるようにすることだ。

今回のBraveの取り組みは、そのような施策だ。Braveは、合計30万BATトークン(約6万ドル相当)を今後30日間でユーザーに提供する。ユーザーは通常Braveを使用することでトークンを獲得する。しかし、今回のプロモーションでは追加のクレジットがユーザーのウォレットに配布され、ユーザーはそのクレジットをパブリッシャーやYouTubeチャンネルの運営者らに直接提供することができる。

Braveは月間100万人のユーザーを持ち、パブリッシャーには1100以上のウェブサイトと600以上のYouTubeチャンネルがあるという。この数字を考慮すると、これはかなり大きな動きと言えよう。YouTubeは先月Braveに加わった

トークンを提供する通知

今後30日間(もしくは割り当てられたトークンの配布が終了するまで)で、ユーザーは最大5ドル相当のBATを獲得し、Braveウォレットに追加される。ウォレット残高は、ウェブサイトで費やした時間に基づき、訪問したウェブサイトに対する「チップ」として使用できる。

デフォルトでは、Braveのユーザーが同社公認のウェブサイトやYouTubeチャンネルを閲覧した時間に基づき、チップを付与する。この設定を変えることも可能で、ユーザーは好きなウェブサイトにチップを多く割り当てることができる。

Brave Paymentsのデフォルト設定では、同社公認のウェブサイトで費やされた時間に基づき、ウォレットが配分される。

Braveはこの施策で、ユーザーのウォレット残高を底上げする。これによりユーザーはコンテンツ制作者により多くチップを提供することができるようになる。コンテンツ製作者は得たBATを法定通貨に換金できる。

「これは、公平な取引に向けてユーザーを支え、有害な中間業者を排除するために必要な多くの段階の1つだ」。Mozilla前CEOで現在BraveのCEOを務めるBrendan Eichは、声明の中でTechCrunchにそう述べた。

「我々は、善意の貢献からユーザー助成金、そして広告収入の大半をユーザーと共有するプライベート広告へと移行しており、外部関係者(Braveを含む)によるターゲット設定や追跡は行わない」とBrendanは付け加えた。

その他多くのICOプロジェクトとは異なり、Braveはブラウザというプロダクトを提供することができている。しかし、プロジェクトの全面的な展開には時間がかかるだろう。支払いのオプションやYouTubeは2ヶ月前に追加されたばかりだ。だがBraveは、トークンの販売を通して資金調達を行った多くのプロジェクトよりは進んだ段階にある。

ICOに先立ち、Braveは通常のベンチャーキャピタルからの投資により600万ドルを調達している。

 

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(翻訳:Keitaro Imoto / LinkedIn / Facebook

AWSには当面、ブロックチェーンを利用するサービスを提供する意思がないようだ

Bitcoinがついに10000ドルの大台に乗せたが、そのベース技術であるブロックチェーンをAWSが何らかのサービスに利用することは、当分なさそうだ。ラスベガスで行われているAWSのデベロッパーカンファレンスre:InventでAWSのCEOAndy Jassyは、ブロックチェーンサービスの計画に関する記者たちの質問に、そう答えた。

Jassyは、今後の見通しについても、醒めた目で見ているようだ。彼によると、ブロックチェーンには、“分散台帳であること以上の”多様なユースケースがない。さらに彼は強調して、AWSは、特定の技術を、“それがクールだと思うから作ることはない”、と言う。

彼の見方では、ブロックチェーンが解決を目指してる問題は、ほかにも解決方法がたくさんある。それに、今使われている分散台帳の多くは、能力がきわめて限られている。

とは言え彼は、ブロックチェーンによるプロダクトの将来的な可能性を、まったく排除しているわけでもない。彼は曰く: “しかし今後の顧客の動向には、しっかり関心を持ち続けるだろう”。

AWSのコンペティターであるMicrosoftやIBMなどは、ブロックチェーンを用いるサービスや分散台帳に対して、かなり積極的だ。過去数か月の動きを見ても、彼らは既存の顧客を対象にさまざまなブロックチェーンサービスやパイロットプロジェクトを立ち上げている。しかし今のところAmazonに、その仲間に加わる気はないようだ。



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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ブロックチェーン技術mijinをジビエ食肉トレーサビリティに採用、試験運用を開始

野生の鳥獣の食肉「ジビエ」の流通を追跡確認するトレーサビリティのシステムが、中核技術としてテックビューロが開発したプライベートブロックチェーン技術mijinを採用した。システムは一般社団法人日本ジビエ振興協会が10月から試験運用を開始し、2018年1月からは実運用に入る予定。mijinを使った実証実験の報告例は多数あるが、実システムとして稼働した事例が発表されるのは初めてである。

mijinの採用理由は、開発工数と運用コストの削減が大きい。プライベートブロックチェーン技術は高い可用性を標準機能で実現できる。また耐改ざん性があり監査可能であることも、トレーサビリティと相性がいい。ざっくり言えば「信用できるデータ基盤」のニーズがある分野にはブロックチェーン技術の出番があるといっていい。

今回のシステムを運用する日本ジビエ振興協会は、ジビエ食肉の加工の統一規格や、販売先とのマッチングという課題に取り組んでいる。ジビエ食肉の加工、流通、消費までを追跡できるトレーサビリティシステムを構築した背景には、「野生鳥獣には病原菌や寄生虫のリスクがあることから、消費者や外食業界関係者は衛生面では家畜肉以上に厳しい目で見ている」(日本ジビエ振興協会)ことがある。

ジビエといえばもともとは狩猟で捕獲した鳥獣の食肉を指すが、狩猟以外にも背景がある。農林水産省は今、鳥獣被害対策とジビエ食肉の利活用をセットで進めている。年間200億円規模と見積もられている農林業への鳥獣被害を食い止めるとともに、捕獲した鳥獣の食肉を地域の資源として活用しようとするものだ。日本ジビエ振興協会は、この農林水産省の事業に協力しており、今回のシステム構築もその一環という形になる。

日本国内の食品分野のトレーサビリティのシステムとしては、牛肉トレーサビリティがすでに整備済みだ。これはBSE(狂牛病)のまん延を防ぐため牛肉のトレーサビリティが法律で義務付けられているためだ。

いっぽう、ジビエ食肉に関しては、制度、規格、システムなどはまだ整備の途中段階にある。今回のトレーサビリティシステムも、今までシステムが存在しなかったところに新規に構築するものだ。

ブロックチェーン技術の話題といえば、仮想通貨の発行、決済システムへの適用のような話題が多い。だがプライベートブロックチェーン技術は「信用できるデータ基盤」として、さまざまな局面で役に立つ可能性を秘めている。例えば複数の事業者から成るサプライチェーンの情報流通にブロックチェーン技術を使おうとする動きがある。

今回のトレーサビリティシステムは、信用できるデータ基盤を従来の情報システム技術に比べてより低コストで構築できる技術としてプライベートブロックチェーン技術を用いた事例だ。今までコスト面で見合わなかったシステムを作れる可能性があるという点でも、プライベートブロックチェーン技術は要注目の分野といえるだろう。

 

BitcoinウォレットのBlockchainがEthereumにも対応

Blockchainは世界で一番人気の高いbitcoinウォレットだ。そして今日からBlockchainユーザーは、Ethereumウォレットを作ってetherを保管できるようになった。

Blockchainは、CoinbaseやKrakenのような中央集権型取引所ではない。単なるウォレットでありユーザーは自分の所有する暗号化通貨を安全に保管できる。多くのサービスと比べてBlockchainは堅牢でハックされにくい。

ウェブまたはモバイルアプリを使ってBlockchainのウォレットを作る。ただし運営会社はユーザーの残高や取引内容を見ることができない。ウォレットのバックアップはBlockchainのサーバーに置かれるが、ウォレットの鍵はユーザーが自分で管理する。

この方法はかなり人気が高く、現在1400万件のBlockchainウォレットが作られている。また同スタートアップは、最近4000万ドルの資金調達を完了した。

bitcoinやetherを買いたいときは、Blockchainがいくつかの取引所と提携しているので、スムーズに手続きができる。米ドル、ユーロなどあらゆる通貨を送金して、bitcoinを受け取りBlockchainウォレットの中にいれることができる。

新たに加わったEthereumウォレットは、bitcoinウォレットとまったく同じように使えるようだ。同社は ShapeShiftと提携しており、Blockchainユーザーはbitcoinとetherを相互に両替できる。

これまでbitcoinウォレットに特化してきたBlockchainが、Ethereumを採用したのは興味深い動きだ。世界唯一の暗号化通貨などないことの証しとも言える。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Blockchainという「会社」がシリーズBで4000万ドルを調達

つい先ほどBlockchain(社名)は、4000万ドルのシリーズB調達ラウンドをLakestarのリードで完了した。Blockchainは、世界でいちばん人気のあるbitcoinウォレットを運用している会社だ。ウォレットは同社のウェブサイトまたはモバイルアプリで利用できる。

今日の調達ラウンドには、GV、Nokota Management、Digital Currency Group、およびすでに投資しているLightspeed Venture Partners、Mosaic Venture Partners、Prudence Holdings、Virgin、およびSir Richard Bransonも参加した。

これは、暗号通貨スタートアップとしてはかなり大きい調達ラウンドだ。Blockchainは、bitcoin、ether、litecoin、initial coinなどを巡るブームの波に乗っている。ほかの暗号通貨スタートアップも現在さらに資金を調達しているに違いない。

現在Blockchainは1400万個以上のウォレットを管理していると発表している。前回3000万ドルの調達ラウンドを発表したときは、bitcoinウォレット230万個を管理しているだけだった。

Coinbaseを始めとする多くの人気bitcoinサービスは、ウォレットの管理とともに取引の運用も行っている。つまり、アカウントを開いた同じプラットフォームでbitcoinの購入もできる。

Blockchainのアプローチはそれとは異なり、同社が利用者の残高や取引を見ることはできない。利用者はウォレットをBlockchainのサーバーにバックアップできるが、ウォレットの鍵は自分で管理する。

Blockchainは複数の交換取引所と提携しているので、プラットフォーム上で直接bitcoinを購入できる。もちろん、なじみの取引所でbitcoinを買ってからBlockchainのウォレットに送金しても構わない。

BlockchainはBlockchain.infoという人気のbitcoinブロック・エクスプローラーも運用している。Blockchain.infoには、月間1000万ページビューを生む数多くの視聴者がいるため、同サイトに掲載されているバナー広告はかなりの収入を生み出している。

Blockchainは今日のラウンドで得た資金を利用して、人員を増やし、サービスをローカライズし、デジタル通貨商品を増やす計画だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

トヨタ、ブロックチェーンを自動運転車開発に導入へ――MIT始め多数の企業と提携

Fordが新CEOを任命、経営陣を一新して車作りでの未来志向を明確化させたのと同じ日に、トヨタは次世代テクノロジーの採用に踏み切ったことを発表した。

Fordの人事は自動運転車、電気自動車製造でこれら分野のトップ企業に追いつこうとする努力だが、トヨタ、正確にはTRI(Toyota Research Institute)は自動運転車、電気自動車を現実化する上で非常に重要な選択を行ったといえる。

MIT〔マサチューセッツ工科大学〕のメディア・ラボと協力して、トヨタはブロックチェーン・テクノロジーを専門とする一連のソフトウェア・パートナーと提携したことを明らかにした。ブロックチェーンは分散暗号化台帳テクノロジーで、bitcoinのような暗号通貨のベースとなっている。トヨタはこの提携により、ブロックチェーン・テクノロジーを次世代自動車開発に適用する方法を探るとみられる。

トヨタは消費者が自動運転テクノロジーを信頼することを可能にするソフトウェアの開発を目的としたプロジェクトを複数発表した。これには安全性に関して個々の自動車をモニタリングし必要な情報の配信することや悪意ある試みを排除することなどが含まれる。

トヨタTRIの最高財務責任者で、モビリティー・サービスのディレクター、Chris Ballingerは声明で、.「安全かつ信頼性の高い自動運転車を実現するためには延べ何千億キロもの人間による運転データが必要になる。ブロックチェーン・テクノロジーを用いた分散台帳(distributed ledger)システムは個人オーナー、企業の運行管理者、自動車メーカー間での安全な情報共有を可能にするだろう。自動運転車の安全性、効率性、利便性が広く利用されるようになるという目標への到達を早めることが期待される」と述べた。

当面、自動運転車が走行するつど運転データを共有する点にブロックチェーン利用の努力が集中されるという。自動車共有を容易にし、ユーザーが望めば走行距離ベースの自動車保険も利用できるようなツールの開発が目標だ。

MITのメディアラボでデジタル通貨イニシアティブの責任者を務めるNeha Narulaは声明で 「ブロックチェーン・テクノロジーを用いてユーザーが自らの運転データを確実にコントロールできるプラットフォームを開発するプロジェクトにトヨタが深くコミットすることになったのは喜ばしい。安全かつ信頼性の高い自動運転車の実現に向けてさらに一歩を踏み出すために、業界の他のメンバーもこのプロジェクトに参加するようわれわれは期待している」と述べた。

TRIはMITと提携するにとどまらず、ブロックチェーン分野で有力な他のスタートアップや企業ともコンソーシアムを組む。 BigchainDBは柔軟かつ規模の拡大に対応できるブロックチェーン・ベースの元帳システムの開発で300万ドルの調達に成功している。ベルリンを本拠とするこのスタートアップはトヨタが必要とする分散暗号化データベースを提供する。一方、テキサス州ダラスのOaken InnovationとイスラエルのテルアビブのCommuterzはブロックチェーンを用いたカーシェアリングと関連する支払いなどを処理するアプリを開発する。

さらにトヨタはロサンゼルスを本拠するブロックチェーン・デベロッパー、Gemと提携し、同社がヘルスケア分野で開発した保険アプリを自動車保険に応用する。Gemはブロックチェーンを利用した暗号化元帳により、多種多数の分散した情報源からのインプットを記録し、保険金支払請求の自動処理に役立てるシステムを開発している。トヨタとの提携でGemは個別車両の使用の度合いに基づく従量制保険の開発にあたる。

TRIのパートナー企業には以下の各社が含まれる。自動運転車のテスト走行における運転データの交換のシステムを開発しているBigchainDB(ベルリン)、新しいテクノロジーにより自動車へのアクセスや費用精算を含めたP2Pカーシェアリング・アプリを開発しているOaken Innovations(ダラスとカナダのトロント)、TRIと共同でP2Pカープール方式を開発中のCommuterz(イスラエル)、 Gem(ロサンゼルス)、テレマティクス自動車保険のTIMS(Toyota Insurance Management Solutions)などだ。TIMSはトヨタ、トヨタファイナンシャルサービス、あいおいニッセイ同和損害保険のジョイントベンチャーで、ユーザーに利便性が高いテレマティクス自動車保険を開発している。

画像: chombosan/Shutterstock

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

コーヒー豆の等級分けロボットとブロックチェーンを使って生産農家に公正な支払いをするBext360

コーヒーは、石油に次いで世界で二番目に大きい貿易商品だ。Fairtrade Foundationの推計では、およそ1億2500万の人びとがコーヒーの栽培で生計を立てている。その多くが小農または農業労働者で、世界銀行の調査では家族が1日2ドル未満で生活している。そこで、デンバーのBext Holdings Inc.は、これらの農家が豆の公正な価格に見合う代金を容易にかつ迅速に得られるようにしたい、と考えた。

同社は、見たところ高級な秤(はかり)に見えるモバイルのロボットを作った。バイヤーはこのロボットを農家の農地で使ってコーヒー豆の品質を分析し、計量する。ロボットは一回分(30〜40ポンドの袋に詰める)の豆をサイズで選り分けて、良品の比率を計算する。そして優・良・可などのマークをつける。もちろんそのマークは、バイヤーと農家の両方に見える。そして彼らは、Bext360のモバイルアプリを使って公正価格を交渉する。

同社のアプリとクラウド上のソフトウェアは、Stellar.orgのブロックチェーン技術を使って、豆の生産者生産地、バイヤーと支払い金額、などを記録する。CEOのDaniel Jonesによると、コーヒーを飲む人も、カップ一杯ごとに、コーヒーの産地や、農家が公正な代金をもらったかどうかを、分かるべきだ、という。

“そうすれば、消費者はこれまでになく啓蒙される。そしてコーヒー業界の企業は、彼ら消費者の高いスタンダードを満たそうとする”、と彼は語る。“でも今日一般的には、フェアトレードを推進する人たちにとって、いろんな材料やデータを調べる仕事がたいへんすぎる。調べる方法も、原始的だ。だから精度も低い。そして産地の農民たちは、依然として搾取されている”。CEOの目標は、コーヒーのサプライチェーンに完全な透明性をもたらし、またカカオなどそのほかの産品にもそれを拡張することだ。

アグリテックを手掛ける前のJonesは、コンゴ民主共和国から金属をアメリカへ輸出する企業を創業した。その仕事を通じて、すべてのサプライチェーンの要件とトレーサビリティーを定めたDodd-Frank Act(ドッド-フランク法)の存在を知った。彼はまた国防情報局(Defense Intelligence Agency)でも働き、トップシークレットなネットワーク上で音声とビデオとデータを送信する通信システムを作った。というわけでJonesは、西側の顧客の利益のために途上国で事業をするやり方を、よく知っている。そして彼は、官僚主義との付き合いを恐れていない。

Bext360はローンチ時に、SKS Venture Partnersから120万ドルのシード資金を獲得している。SKSは主にフィンテックに投資している家族経営のVCだ。Bext360に投資したMark Spencerは曰く、“スマートフォンを利用して支払いを農家に直接行う。不当な中間搾取をする仲買がいない。この点に注目して投資をした”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

IBMがクラウド上のブロックチェーンサービス、SaaSとしてのブロックチェーンプラットホームを立ち上げ

IBMが今日(米国時間3/20)、クラウド上の汎用ブロックチェーンプラットホーム、いわば“Blockchain as a Service”を、The Linux FoundationのオープンソースプロジェクトHyperledger Fabricバージョン1.0をベースに構築し、公開した。

IBMのBlockchainは一般公開されるクラウドサービスで、ユーザーはこれを利用して安全なブロックチェーンネットワークを構築できる。同社がその計画を発表したのは昨年だったが、このほど最初の実用実装の供用にこぎつけた。

ブロックチェーンは2008年ごろに、デジタル通貨Bitcoinの取引記録方法としてその名が知られ始めた。ブロックチェーンは本質的に、透明で改ざん不能なデジタル台帳だ。Bitcoinの取引を安全かつ透明に記録できることが示しているように、そのほかのタイプのデータもプライベートなブロックチェーンに安全に保存したり取り出したりできる。

民間企業や政府機関は、ブロックチェーンを使って信頼性の高いネットワークを構成できる。それによりメンバーは自由に情報を共有でき、それはメンバーだけが見ることができ、いったん入力された情報は書き換えられない。

IBMでブロックチェーンを担当しているVP Jerry Cuomoによると、顧客は同社のこのクラウドサービスを利用して、ブロックチェーンのネットワークを作成、展開、そして管理できる。これは、いろんな種類のクラウドサービスを顧客に提供していきたいとするIBMの基本戦略の、一環だ。

ブロックチェーンそのものはオープンソースのHyperledger Fabricプロジェクトがベースで、IBMもこのプロジェクトに参加しているが、これに独自のセキュリティサービスを加えることによって、エンタープライズの顧客でも安心して利用できるようにしている。また複雑な技術をシンプルなクラウドサービスでくるんでいるので、企業が自前でブロックチェーンを実装するよりもずっと楽である。

Cuomoはこう語る: “かなり前から、わが社を中心とするテクノロジー企業のグループが、企業のためにブロックチェーンとその関連技術(管理など)の一式を、サービスとして提供することを検討していた”。

そして2015年の終わりにHyperledger Fabricプロジェクトが登場して、それが可能になった。このプロジェクトには、State Street Bank, Accenture, Fujitsu, Intel などもメンバーとして参加している。

Hyperledger Fabricを利用すると、顧客側には安全なネットワークを構築するという外見があるだけで、ネットワークのセットアップやメンバーの招待、認証情報の暗号化などはすべて楽屋裏で行われる。またIBMのクラウドでは、IBM独自のセキュリティも盛り込まれるから、なお一層安全になる、と同社は考えている。

IBMのブロックチェーンサービスが絶対不可侵とまではCuomoも言わないが、独自の安全対策は施している、という。たとえば、その台帳はそのほかの一般的なクラウドコンピューティング環境からは隔離され、特製のセキュリティコンテナに台帳を収めることによって、無資格アクセスを防止している。また、セキュリティ耐性の強い、専用のハードウェアを使用している。たとえばそのハードウェアは、ハックを検出すると直ちに自分で自分をシャットダウンする。

同じくIBM独自のセキュリティ対策として、ネットワーク内で起きるあらゆるアクティビティを仔細に監査できるようにしている。アドミニストレーターは、異変時に監査記録をすぐに見ることができる。

IBMはこのブロックチェーンサービス本体に加えて、顧客のアイデンティティと属性を安全にシェアするブロックチェーンの実装SecureKey Technologiesを発表した。同社はこれまで、ブロックチェーンの応用技術として消費者のアイデンティティネットワークを、カナダの銀行でテストしてきたが、これはその派生システムでもある。

それがIBMの主張どおりなら、デジタル世界におけるアイデンティティのメンテナンスと共有が、大幅に単純化されると同時に、安全にもなるだろう。そして、毎回不必要な情報を入力することはなくなり、また共有化を途中で拒否することも、容易にできるようになるはずだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

アララ、ブロックチェーン技術mijinの電子マネー分野への適用を表明、実証実験の成果を受けて

プリペイドカード/ポイントカードpoint+plus(ポイントプラス)」のサービスを運営するアララは、テックビューロが提供するプライベートブロックチェーン技術mijinを評価する実証実験を実施し、その結果を見て同社の実システムへの採用する方針を固めた。「1年以内に、世の中に出す新サービスにブロックチェーンを使っていく」と同社の代表取締役 Group CEOの岩井陽介氏は話している。なお、アララは2016年4月、テックビューロへ出資した会社の1社として名前が挙がっていた(関連記事)。point+plusにmijinを適用するプランはその時点で発表されていたものだ。

実証実験の結果、mijinを使い毎分3000取引(平均50取引/秒に相当)の取引を安全に実施できることを確認した。また、1取引あたりのコストを現行システムの30%程度まで削減できると見込んでいる。同社の報告書では「多対1で大量トランザクション(取引)が発生する当社point+plusのようなシステムにも(mijinを)十分適用が可能であるとの結論に達した」と記している。

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実証実験で用いたブロックチェーンのネットワーク。AWS上の4ノートにブロックチェーンをホストする。地理的に分散させたノードを使った実験も行っている。

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実証実験で構築したアプリケーションの概念図。

同社は、プリペイドカード/ポイントカードのpoint+plusをスーパーマーケットや外食チェーンなどに展開している。point+plusを活用したサービスには、例えば日本サブウェイの電子マネー付きポイントカード「SUB CLUB CARD」がある。このようなサービスの情報インフラとしてブロックチェーンを適用可能かどうか評価するため、電子マネー分野のユースケースを想定したアプリケーションをmijin上に構築し、性能、可用性、取引の整合性に注目した実証実験を実施した。実証実験の結果は報告書として公開する。

電子マネー系サービスへのブロックチェーン適用を表明

ブロックチェーンの実証実験は金融機関を中心に各所で進められているが、今回の取り組みは2つの点で注目したい。1点目は、比較的詳細な報告書が開示されること。2点目は、世の中に出すサービスでのブロックチェーン技術の適用を進める考えを明らかにしていることだ。ブロックチェーンの実証実験は日本企業でも多数多数行われているが、実システムへの適用を決めたことを表明している企業はまだ多くない。

同社の岩井CEOは「電子マネー事業を手がけているので、以前から仮想通貨には興味を持っていた。知れば知るほどビットコインは凄い。その仮想通貨を支えるブロックチェーンの有用性を我々のサービスにも取り込めばメリットがあると考えた」と語る。

同社が特に解決したかった課題の一つが可用性だ。「サーバーでアクシデントがあるとサービスが停止してしまう。例えばスーパーマーケットのレジで人が並んでいる状況でサーバーが落ちて決済できない状況が生じると、現場は大混乱をきたす。2重、3重の対策を取ってはいるが、より強固で安全性が高いシステムを作る技術としてブロックチェーンに期待している」(岩井氏)。

可用性とコストの両立、それにセキュリティの高さも魅力だった。「従来の情報システムのディザスタリカバリは高価につく。地理的に分散したノードに配置したブロックチェーンの場合、トランザクション処理系についてはディザスタリカバリが不要となる。それにマルチシグネチャ、複数の人が承認しないと取引を確定できない仕組みも、セキュリティ向上のために魅力的だった。内部犯行でも改ざんが困難となる」(執行役員 技術本部 本部長 開発部 部長の鳥居茂樹氏)。

実証実験では、mijinの機能であるMosaicを用いて仮想通貨トークン「アララコイン」を用意し、スマートフォン上のウォレットアプリにより社内電子マネーとして活用するユースケースを想定した。10万ユーザー、1024部門の組織を想定し、過去の取引の蓄積データとして560万取引の規模の環境を用意した。ブロックチェーンをホストする4ノードのうち2ノードを定期的にリブートして整合性に問題が出ないかを調べた。またAWSの東京とシンガポールの各リージョンにノードを分散し、地理的に離れたノード間通信のレイテンシが挙動に影響するかどうかにも注目して実験を行っている。

アプリケーションは内製

実証実験のアプリケーションはアララが内製していることは要注目といえる。「mijinの環境構築は(提供会社の)テックビューロに支援してもらい、それ以外はアララで用意した。mijinのアプリケーション開発に必要なNEM Core APIを使ってアプリケーションを構築した」(鳥居氏)。同社の報告書では、処理時間が極端に長かったAPI処理を発見して改善する一種のトラブルシューティングを実施したことも記している。ブロックチェーン上のアプリケーション開発ができるエンジニアの数はまだ少ない中、ブロックチェーン上のアプリケーションを自社開発する能力を育てつつあると見ることもできる。

「ゼロ承認」でmijinを使う場合の整合性を調べた

実証実験では整合性を重視している。その背景として、ノードの障害からの復旧、地理的に離れたノードの扱いがあるが、実はもうひとつ大事な話がある。同社はmijinをゼロ承認で使うやり方で問題が出ないかも調べたのだ。

このゼロ承認については少々の説明が必要となる。mijinや他の多くのブロックチェーン(ビットコインを含む)では「取引が確定するか否か」は厳密にいうと時間と共に0に収束していく確率値となる(この点を否定的に捉えて「ファイナリティがない」と表現する場合もある。なおORB1やHyperLedgerのようにファイナリティを重視する仕組みを取り入れたブロックチェーン技術も存在する)。そこでブロックチェーン上の取引では、ある一定数のブロックが生成されたことを確認した上で取引が確定したものとみなす慣習となっている。

だが、「一定数のブロックの生成を確認してから取引を承認する」やり方では、取引の実行から確定までに時間がかかりすぎる。だが、アララのサービスであるポイントカード/プリペイドカードのサービスでは、取引は瞬時に完結させることが求められる。「電子マネー分野では取引は瞬時に完結しないといけない」(岩井氏)。

そこで、今回の実証実験ではブロックチェーン上の承認を待たずに取引を確定させる「ゼロ承認」で取引を確定させる仕組みとした。厳密さを重視する考え方からは、このような仕組みにすると二重支払いのような不整合が発生する可能性をゼロにできないが、実証実験の結果では不整合は発生しなかったとしている。

なお、ブロックチェーン上の取引をゼロ承認で使う例は他にもある。例えばレジュプレスが展開するビットコイン決済システムのcoincheck paymentでは、ビットコインのパブリックブロックチェーンの上でゼロ承認で取引を確定させている。

今回アララが実施した実証実験は、いわばmijinのスペックが公称通りかどうかを確認した内容といえる。それだけでなく、アララがブロックチェーン上のアプリケーションの構築運用の経験を積む側面もある。ブロックチェーン技術への評価が定まっていない段階で、同社が実システムへの適用を目指して手を動かす経験を積んだことには敬意を表したい。

Blockai、ツイートするだけで著作権を主張できるツールを提供

blockai-homepage

Blockaiは、フォトグラファーやアーティストの知的財産権を守るために設立された。このたび同社は、その手続きを簡単にするための機能を公開した ― 少なくともTwitterとの整合性を高めた。

従来Blockaiのユーザーは、同社のウェブサイトに自分の作品をアップロードして公開データベース(具体的にはブロックチェーン)上にレコードを作成することで、自分が著作者であることを宣言していた。

しかしCEOのNathan Landsは、「アーティストがいつもBlockaiを使うとは考えにくい」ので、他のツールと統合することを考え、まずTwitterから始めた。登録したい画像を #blockai のハッシュタグを付けてツイートするだけで、自動的に登録される(既にBlockaiアカウントを持っている場合 ― ない場合はサインアップを促される)。

Blockai-Tweet

サービスがスタートした時のLandsの説明によると、面倒な議会図書館への登録手続をすることなく、著作権の証明を作る方法を提供することがこれを作った目的だった。

その後もし誰かが自分の写真やアートワークを無断利用しているのを見たら、Blockaiの証明書を送ることができる。証明書は、ソーシャルメディアのスクリーンショットより「ずっと本格的」に見える。(法廷証拠として使える可能性もあるが実際に試したことはない、とLandsは言った)。Blockaiはウェブ上の類似した画像の検索も行うので、著作権違反を事前に監視することもできる。

サービスをアーティストが利用する場合は無料。将来はメディア会社等の顧客相手に有償化する計画だ。

最終ゴールは「ウェブ上のあらゆるファイルについて、誰が著作権を持っているかを答えること」だとLandsは付け加えた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

銀行業務をブロックチェーンで支える基幹システムVault OSを元Google社員がローンチ

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銀行には世界の富の圧倒的に膨大な量があるにも関わらず、あるいはそれゆえにこそ、最先端のテクノロジーが育つ場所にはなっていない。むしろ何十年も前からのシステムに頼って、日々の業務をこなしている場合が多い。そこで、Google出身のエンジニアPaul Taylorが率いるThoughtMachineは、ブロックチェーンを使った現代的で総合的な銀行オペレーティングシステムVault OSで、この状況を変えようとしている。

同社の勇ましいプレスリリースが発表している、同システムの2年間のステルス状態からの脱皮は、たくさんの約束を並べている: 同社はフィンテックの最大の課題を解決した;“Vault OS”は完全に未来志向である;自由性(柔軟性)が非常に大きい;破綻に瀕している銀行業界を再生し永遠の命を与える。

Vault OSのこれらの大言壮語が真実かどうか、それは今すぐには分からないし、銀行のレガシーなシステムは一朝一夕に変わるものではない。でも同社が指摘している問題が現実であることは、否定のしようがないし、同社が提供すると称するソリューションには、関心を持たざるをえない。

Profile - Paul Taylor

ThoughtMachineのPaul Taylor

Vault OSのメインの仕事は、銀行の中核的な機能を実行することだ。それは、巨大な台帳(元帳)を維持管理することに帰結する。そのために適している唯一の技術がブロックチェーンであることに、Taylorは固執している。Googleでは彼は、同社が今使っている音声認識のソフトウェア開発を率いていたのだが。

このOSは、一つ一つのインスタンスが自分のプライベートなブロックチェーンと暗号化された台帳を持ち、ThoughtMachineのサービスとしてホストされる。銀行は自分のもっとも基盤的なオペレーションを恒久的にアウトソースすることになるから、それに対する抵抗感も克服しなければならない。

でも、その利点が克服の契機になるかもしれない: ブロックチェーンはセキュアであり、スケーラビリティに富み、そして多用途である。通常のオペレーションの限界や遅延の原因となっているレガシーシステムを置換する動機に、十分なりうる。どんなトランザクションもリアルタイムで行われ、安全に集中保存される。銀行と消費者の両方が、詳細で深いデータ分析(deep data dives)をできるようになり、しかもそのためのAPIが提供されるだろう。

まだまだ未解決の細かい部分が多いし、顧客が納得する確実性も重要、規制もクリアしなければならない。銀行が開業にこぎつけるまでの過程は、ものすごくたいへんである。ThoughtMachineはコードを公開するのか、ホワイトペーパーや監察はどうなるのか、データのマイグレーションはどうやるのか、どんなタイムスケールで展開するのか、などなど、今同社に提示している質問に回答が得られたら、この記事をアップデートしよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))