イーロン・マスク氏が「次のTwitterを作りたい」と熱望しても心配する必要はない

Elon Musk(イーロン・マスク)氏が先週末、地震のソーシャルメディアプラットフォームの構築について「真剣に考えている」とツイートした。

「Twitterが事実上、公共の広場として機能していることを考えると、言論の自由の原則を守らないことは民主主義を根本的に損なうことになる。では何をすべきでしょうか?」と、TeslaとSpaceXのCEOで億万長者、連続起業家である彼はツイートした。

このツイートを読んで血圧が上がった人は、あなただけではない。深呼吸をしよう。彼のDogeSociælXアプリが登場するのは、まだ先の話だ。

マスク氏はこれまでにも、Teslaに関するばかげたミームや考え、さらには重要情報までツイートし、米国の規制当局が眉をひそめる以上の反応を示すと、ショックを受けたように振る舞った過去がある。しかし、マスク氏がTwitterで彼の奇抜なアイデアを実行に移すとなると彼の実績はあまり芳しいものではない。

マスク氏が、次のJack Dorsey(ジャック・ドーシー)になるという幻想を公言するのは、これが初めてではない。

2018年にTeslaのおかしな経営を、ジャーナリストたちに批判されたとき、彼は「Pravda」というウェブサイトを立ち上げると明言した。Pravdaはロシア語で「真実」という意味で、ロシアの歴史的共産主義者新聞(旧:ロシア共産党機関紙)の名前だ。マスク氏によるそのウェブサイトでは、読者がジャーナリストや編集者やメディア紙誌の「真実度」や「信頼度」を格付けできる。ありがたいことに、この彼のアイデアは実現しなかったが、今ではTwitter自身がメディアを評価する場になっており、ジャーナリストたちもそのことをよく知っている。

E.W. Niedermeyer:メディア批評家として有名で、客観的なジャーナリズムの擁護者であるイーロン・マスクは、Washington Postを買えばそれが自分の個人的なPR攻撃部隊になる、考えている。そう考えれば、今回の件も理解できる。

Faiz Siddiqui:マスクの衝動的で頑固な性格は、他社と違って戦闘的な姿勢を持つ自動車メーカー(Tesla)からの買い埋めを確保するための特別な戦略を必要とした。彼の記事へのコメントの求めに応じてマスクは「これで100回目だが、きみの人形使いによろしく」と言った。

E.W. Niedermeyer:公共の広場としてのTwitterの公正に関するマスクによる突然の真剣で本気の懸念は、メディアの正確さと客観性に関する2018年の懸念と同じで、彼(と彼のフォロワー)の不条理な迫害幻想を補強するための深い偽善的な策略だ。

マスク氏のTwitter生まれのアイデアが離陸するとき、それは次のSpaceXのような本物になったためしがない。

また彼の道化ぶりが際立った年である2018年、マスク氏は彼自身の「銀河系メディア帝国」を発表した。それは「Thud」と呼ばれる(最後に感嘆符が付いてもよい)コメディカンパニーだ。2021年、イーロン・マスク氏がサタデー・ナイト・ライブでホストを務めたあと、私はユダヤ教的なジャーナリズムの仕事に着手した。マスク氏がコメディメディアへの進出を企てたことを忘れていたThudの元従業員13人全員に連絡を取ったのだ。

誰もオフレコで話してくれる人はいなかった。「The Onion」の元編集者たちによって運営されたThudは失敗し、その後、履歴書の会話のネタにされました(元Theranos社員なら共感できるはずでだ)。これらのライターやデザイナーが、Thudについて振り返りたくないのも無理はない。同社のミニマリスト向けウェブサイトでは、Thud(Thudとはモノが落ちるときの「ドサッ」という音のこと)は「短命」で「その名のとおり」といわれている。

当初、マスク氏ははThudに200万ドル(約2億5000万円)を注ぎ込んだが、彼は突然その会社を去り、残された編集者たちに収益化の計画はなかった。

当時編集者のCole Bolton(コール・ボルトン)氏はVergeに対して「億万長者がバックにいるプロジェクトが突然、独立のメディアになるんだ。どうなるかわかるだろ」と語る

これまでにも、ネット上で突拍子もない発言をしてはおもしろがっていたこともあり、マスク氏が突然ソーシャルメディア帝国を作ろうとしていることに慌てる必要はないだろう(この帝国は銀河系でもないのだ!)。さらに、新しいプラットフォームの背後に大物がいる場合でも、それが軌道に乗るという保証はない。Donald Trump(ドナルド・トランプ)自身の新しいアプリ「Truth Social」は、メインストリームである4chanになる準備が整っているように思うかもしれないが、ローンチから数週間経っても、97万6985番目の待ちのままだ。また、一度入場しても、パーティーはあまり盛り上がらないようだ(「セクシーな女の子とのゴルフ」が好きな人は別だが)。

kelsey weekman:やっとTruth Socialの待ち行列を抜けたわ。

仮にマスク氏が独自のソーシャルメディアプラットフォームを構築したとしても、Twitterのようなリーチ力はないだろう。彼は7940万人のフォロワーを誇りBarack Obama(バラク・オバマ)やJustin Bieber(ジャスティン・ビーバー)といった人物に負けず劣らず、同サイトで最もフォローされているユーザーのトップ10にしっかりと入っている。しかし、Taylor Swift(テイラー・スウィフト)やKaty Perry(ケイティ・ペリー)と違い、マスク氏はそのフォロワーを利用してヒトラーのジョークを口にしたり、Twitterの新CEOであるParag Agrawal(パラグ・アグラワル)氏をJoseph Stalin(ヨシフ・スターリン)に例えたりしている。注目すべきは、自由に発言することを許されないと不満を漏らしているマスク氏だが、これらの不適切なツイートはプラットフォームによって削除されなかった。ヒトラーのミームは彼自身が削除し、アグラワル氏への侮辱はまだ公開されている。

これは言論の自由の問題ではなく、あらゆるかたちの規制を嫌うマスク氏自身の姿勢に他ならない。マスク氏の約8000万人のフォロワーが彼の理論的な新プラットフォームに移行するかどうかは疑問だが、仮に移行したとしても、SECはマスク氏が共有するどのようなインサイダー情報についても責任を問うことができる。

Twitterは常にマスク氏の最も強力なツールであり、トランプ氏のように、SECがいずれ監視することになる新会社を立ち上げようとしても、何も得るものはないように思われるのだ。

これは、熱狂的な夢を実現できるほど裕福で自負心が強い権力者による脅威を心配することはない、ということではない。

結局のところ、マスク氏はトランプ氏より少しばかりビジネスが上手なのだろう。しかし、マスク氏のツイッターでの発言は、偏向的な対話しか生まず、マスク氏のツイートが市場を動かすことがあっても、とには、ただドスンと音を立てて落ちてしまうことを私たちは忘れている。

画像クレジット:Liesa Johannssen-Koppitz/Bloomberg/Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hiroshi Iwatani)

米証券取引委員会「誰かがイーロン・マスク氏のツイートを監視しなくてはならない」

米国時間3月22日、証券規制当局は、自分たちにはTesla(テスラ)のCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏を彼のツイートに関して召喚する権限があると発言し、連邦裁判所に対しこの会社幹部に好き勝手なツイートをさせないよう要請した。

マスク氏は、2018年にTeslaに関する特定のパブリックコミュニケーション、すなわち株価や株主価値に影響を与えるような乱暴なツイートについて事前承認を得るようマスク氏に求めた米国証券取引委員会(SEC)の行為を、「ハラスメント」「不当な行為」と呼んでいる。

当時マスク氏はSECの要求に従うことに同意したが、2021年同氏がTwitter(ツイッター)で自身のフォロワーに対してTeslaの持ち株の10%を売るべきかどうか質問し、その結果Tesla株が急落したことを受け、再び砲火を浴びた。その後マスク氏は160億ドル(約1兆9379億円)相当の株を売却した。そしてその直後の2021年11月にSECは、マスク氏が以前の合意に従っているかどうかを確認するために召喚状を発行している。

SECの調査に対し、マスク氏は2018年の同意判決を終了あるいは修正しようと試み、11月のTwitterでの問いかけに関する記録を要求する召喚状を破棄しようとした。

「2018年、SECによる処置を示談にするために、マスク氏は、Teslaに関連する公開発言の事前承認を必須にするTeslaの義務に従うことに同意しました」とSECのMelissa Armstrong(メリッサ・アームストロング)委員がニューヨーク市連邦裁判所に提出した書類に書いた。「マスク氏は、Teslaの義務が思っていたより不便であるとわかったから、あるいはTeslaの情報開示に関する制御と手続きが実際に維持、遵守されているかどうかをSECに調査されたくない、というだけの理由で修正最終決定を破棄することはできません」。

SECとの対立は2018年8月に遡る。当時マスク氏はTeslaを非公開化するための「資金を確保した」とツイートしたが、実際には買い戻しは行われず「数多くの不測の事態を招いた」とSECは説明している。規制当局は、Teslaの発言は詐欺的であり「虚偽で誤解を招く」ものであったと指摘した。マスク氏は潜在的財政パートナーとの契約条件や価格の交渉を一切しておらず、彼のツイートはTeslaの株価を6%以上急騰させ、著しい市場崩壊を招いたと規制当局は語った。

示談の結果、Teslaとマスク氏はそれぞれ2000万ドル(約24億円)の民事制裁金を支払い、マスク氏はTeslaの会長を辞任した。

その後マスク氏は、政府を批判し憲法修正第1項の下で言論の自由を行使した彼を罰したとしてSECを非難し、2018年から現在までのSECによる「数多くの要求」に対する不満を述べた。

「しかし主張された要求に関するマスク氏自身の歴史は信憑性に欠けるとともに、Teslaとマスク氏による新たな不法行為の可能性についても適切な審理が必要であります。これには、SECの2018年の要請行動を生じさせた行為も含まれます」とアームストロング氏は法廷提出書類で述べている。

それに加えて、同委員は、2018年の最終決定を修正してもマスク氏はTesla関連ツイートに対する監視から逃れられない、なぜなら同社の役員として「マスク氏は今もTeslaの開示に関する制御と手続きの対象だからです」と語った。

「マスク氏とTeslaがマスク氏のTwitterアカウントを使って投資家に情報を開示する限り、SECはTeslaの開示統制と手続きに関連する事項を合法的に捜査することが可能であり、マスク氏のTeslaに関するツイート、およびTeslaによる制御と手続きに関する公開発言の正確性もこれに含まれます」とアームストロング氏は語った。

関連記事:イーロン・マスク、TwitterでSECを挑発

画像クレジット:Yichuan Cao/NurPhoto / Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

マスク氏、テスラ事業を「極限サイズ」まで拡大する計画を明かす

Elon Musk(イーロン・マスク)氏は、Tesla(テスラ)初の欧州工場の開所を翌日に控えた現地時間3月21日、Twitterで同社の「マスタープラン・パート3」の発表を予告し、同社の事業を「極限」まで拡張する計画を示唆した。

マスク氏は同日、同社の長期計画の次の内容を支えるテーマ、すなわち人工知能と自動車メーカーの事業規模の拡大をTwitterで明らかにした。

「Teslaの主なテーマは、人類を化石燃料から解放するために必要な極限規模への拡大とAIです」とマスク氏はツイートした。「しかし、SpaceX(スペースエックス)、Tesla、The Boring Company(ザ・ボーリング・カンパニー)に関する項目も盛り込む予定です」。

この計画は、Teslaにとって「極限サイズ」がどのようなものかを詳述し、世界的なパンデミックとサプライチェーン逼迫の中で製造とサプライチェーンを拡大するための同社の戦略を概説する可能性がある。

同社は3月22日に欧州初の工場を開設し、そこで生産された初の量産車を引き渡す予定だ。50億ドル(約5970億円)を投じて建設したベルリンの工場では、欧州最大の自動車メーカーVolkswage(フォルクスワーゲン)と同社の1000億ドル(約11兆9500億円)ものEV投資に対抗するために、年50万台超の電気自動車を生産する予定だ。

Teslaは先週、中国のオミクロン新規感染者数の増加とサプライチェーンの制約を受けて、24時間稼動の上海ギガファクトリーを2日間閉鎖した。同工場は1日あたり約2000台を生産し、相当数のModel 3とModel Yを欧州に輸出している。

「マスタープラン」の第1章と第2章は、同社の製品と技術の開発に関する正確なロードマップであることが証明された。第1章は「The Secret Tesla Motors Master Plan(秘密のTesla Motors マスタープラン」と題した2006年のブログ投稿でTeslaの概念実証の概要を示した。

その10年後、「パート2」として更新されたマスク氏のマスタープランは、バッテリーストレージの開発、バッテリー電動ピックアップトラックとSUVを含む新モデルの発売の計画についてだった。第2章が終わりに近づいた今、マスクはTwitterでテスラの次の章を予告し始めた。

また、マスタープランがマスク氏の各会社に焦点を当てるのは今回が初めてで、同氏が親会社を作ってすべての会社を1つ屋根の下に置くつもりではないかとの憶測を呼んでいる。しかし、ツイートでのSpaceとThe Boring Companyへの言及は、将来における両社のコラボレーションを暗示している可能性もある。

画像クレジット:ROBYN BECK/AFP / Getty Images

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(文:Jaclyn Trop、翻訳:Nariko Mizoguchi

イーロン・マスク氏、テスラのカリフォルニア工場で組合投票を実施するよう全米自動車労働組合に挑む

Elon Musk(イーロン・マスク)氏は、Tesla(テスラ)がカリフォルニア州フリーモントの工場で全米自動車労働組合(UAW)が組合投票を行うことを阻止するために何もしないと述べた。マスク氏はツイートの中で、ベイエリアにおけるTeslaの真の課題は、求職者数より求人数が多いマイナスの失業率であり、そのため「(すばらしい)人々」をよく扱い、報酬を与えている、さもなければ彼らは去ってしまうだろう、と述べている。

マスク氏は、Biden(バイデン)大統領が一般教書演説でTeslaについて言及しなかったことを非難した際に、マスク氏の味方をしたKissのリード・シンガー、Gene Simmons(ジーン・シモンズ)氏に反応してこのツイートを投稿した。大統領は、Ford(フォード)とGeneral Mortors(ゼネラルモーターズ)が数十億ドル(数千億円)を投じて電気自動車を発売し、それによって何千人もの雇用を生み出していることを称賛しただけだった。Bloombergが指摘するように、大統領は労働組合の支持者であり、非組合員を抱えるTeslaを演説やインタビューの中でしばしば無視することがある。

マスク氏は、その後のツイートで、Teslaの工場労働者の報酬は自動車業界で最も高いと主張し、ソースとしてGMのMary Barra(メアリー・バーラ)CEOのインタビューを掲載した。そのインタビューでは、ニュースキャスターでジャーナリストのAndrew Sorkin(アンドリュー・ソーキン)氏が、Teslaの非組合員労働者は組合員労働者より多くの報酬を得ていると述べている。バーラ氏は、賃金だけでなく福利厚生も考慮しなければならないので、もっと情報を見なければならないが、ソーキン氏が言ったことは前回調べたときにはそうではなかったと答えている。

UAWは何年も前からTeslaの組合化に取り組んでおり、マスク氏は当初からそうした取り組みを批判してきた。2017年にフリーモントの労働者が劣悪な労働条件と低賃金を訴えたとき、マスク氏はUAWを攻撃すると同時に、要点を絞った手紙を従業員に送ったと伝えられている。彼は、組合の真の忠誠は「巨大な自動車会社にあり、従業員から会費で取る金はTeslaから稼ぐよりも莫大な額だ」と、述べている。

同年、全米労働関係委員会(NLRB)は、不当労働行為に関する苦情を調査した結果、同社を提訴した。NLRBによると、労働者はTeslaが組合結成について話し合えないような秘密保持契約を結んで「強制し、脅迫している」と述べた。2018年、NLRBは同社が組合活動家のRichard Ortiz(リチャード・オルティス)氏を解雇した際に労働法に違反したと認定し、逸失利益と福利厚生の補償を命じた。

また、労働委員会はマスク氏に対し、従業員への脅迫と思われるようなツイートの削除を命じた。このツイートでマスクは、同様に組合結成への取り組みを呼びかけていた。「我々の自動車工場のTeslaチームが組合に投票することを止めるものは何もない。彼らが望めば、(明日にでも)そうすることもできる」と彼は書いた。しかし、彼はこうも言っている。「だが、なぜ無駄に組合費を払い、ストックオプションをあきらめるのか?」NLRB議長のWilma Liebman(ウィルマ・リーブマン)氏は当時、従業員にとって、組合結成に投票したらストックオプションがなくなるように聞こえるかもしれないと説明した。Electrekが指摘するように、Teslaは、株式報酬制度をほとんどの従業員に提供しており、同社の株価上昇によって、この制度は非常に価値のある福利厚生となっている。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のMariella Monn(マリエラ・ムーン)氏はEngadgetのアソシエイト・エディター。

画像クレジット:Sam Hall / Bloomberg / Getty Images

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(文:Mariella Moon、翻訳:Yuta Kaminishi)

イーロン・マスク氏とテスラにはティム・クック氏が必要だ

同じ物語が何十年も演じられている。

スタートアップは偉大な個性のリーダーの下で開花し繁栄する。すぐに停滞が訪れる。会社の焦点は、無限に続く新製品を販売することから、顧客の要求を満たすものを作っていることの確認へと移り変わっていく。幸福な期間は終わり、新しい時代は、一貫して高品質な製品を大規模に出荷するために必要な退屈な日々から始まる。

ある時点で、あらゆる会社にTim Cook(ティム・クック)が必要になる。今、その会社はTesla(テスラ)だ。

たった今、Teslaの階層に明確な後継者はいない。もし、CEO(兼テクノキング)のElon Musk(イーロン・マスク)氏が潮時と判断して彼の別の会社か音楽活動に焦点を移すと決めたら、引き継ぐ人間は誰もいない。Teslaはマスク。すべては彼の手に導かれている。

マスク氏は広報部門を解体し、会社のニュースとTwitter経由で発信している。ファルコン・ウイングドアをModel Xに採用したのは彼の土壇場のアイデアだった。彼はほぼ完全自動化された自動車工場を作れることを頑なに貫いた。Teslaの車とサービスの購入を暗号資産で支払うしくみも実装し、後に取りやめ、また再び導入した。

マスク氏は、会社のほとんどの新規事業を自身が推し進めているのは、「そうしたいからではなく、しなければならないから」だと公に認めている。こうした深いレベルの関わりは、会社の創成期には有効だ。しかし、会社の未来が良質な製品をつくることにかかっているのであれば、1人の人物がすべてを支配していることは破滅的と言える。

[デーブ、君がファンなのは知っている、でもそれは愚問だ。私がプログラムを進めているのは、そうしたいからではなく、しなければならないからだ]

たとえば、マシンを作るマシンを作るという決断は、Model 3の生産を何ヶ月も遅らせ、CEO言うところの「生産地獄(production hell)」をもたらした。マスク氏は、完全自動に近い工場を作るのは間違いだったことを最終的に認めた。Model 3の生産はあの決断のために遅延した。

今のTeslaが好調であり、四半期黒字を達成し、出荷台数の新記録を打ち立てていることは事実だ。吉報にはそれ相応の問題がついてくる。1人の人間が成長する組織をこと細かく管理していると、生産の拡大とともに発生する問題に対処しきれなくなる。ある時点で、信頼された人たちに自分たちが仕事を成し遂げ、かつ問題を制御し、報復を恐れることなくCEOの思い付きのアイデアを阻止できる機会が与えられる必要がある。

たった今、Teslaは過去数ヶ月に発行した複数のリコールの対応に追われており、製造問題に見舞われている車のレポートに今も悩まされている。加えて、新型車(サイバートラックを含む)の出荷は少なくとも来年まで延期された。これらは、CEOが、個々に動くことのできるチームの力を借りて取り組むべき問題だ。

そして、あの一連のツイート。あまりにも多くのツイートがある。

マスク氏のTwitterでの存在に対する評価は二分されている。ブランドに害をもたらしている恐れも大きい。Teslaに広報部門というものはない。あらゆる情報が、Tesla公式アカウントまたはマスク氏から流れ出す。それは悪くはない、もしCEOの個人アカウントが標的となってTeslaを所有していることによる多くの利益を引き出すのであれば。実際にはそうではなく、それはミームと悪い冗談と侮辱とおべっかへの返信と政治色の強い見解と、それにときたまTeslaのニュースが入り混じったものだ。

CEOとして、Twitterで誰かをヒトラーと比較し、それが会社に悪影響を与えないと考えることはありえない。

会社のために、TeslaはCEOの次の気まぐれより先の未来を見据える必要がある。マスク氏が舵をとっていない時期のことを。最良の状態が、Appleで起きたことだろう。

長年、AppleのビジネスはCEO、Steve Jobs(スティーブ・ジョブズ)氏と深く撚り合わされていた。彼は会社を倒産の瀬戸際から引き上げ、率いるチームと共に、スマートフォン革命の一端を担った長続きする会社を作り上げた。ジョブズ氏なくしてAppleはなかった、と言って間違いない。しかし、企業は永久に1人の人物ではありえない。

ティム・クック氏は、1998年にワールドワイド・オペレーションズ担当上級副社長としてAppleに入った。具体的には、会社全体の日常業務を取り仕切る役割だ。2011年、かれはスティーブ・ジョブズが亡くなる前にCEOに指名された。クック氏の指揮の下、会社は売上と利益を2倍以上に伸ばした。クック氏に、ジョブズ氏のような虚勢やビジョンはない。代わりにクック氏は、自分の仕事を全うする賢い人々を雇い、Appleが利益を上げ良質の製品を届け続けることに専念した。

Teslaにはティム・クックが必要だ。この自動車メーカーには、おならの音やビデオゲームなどの楽しい機能を作り続けながら、自動車を予定通り問題なく顧客に出荷できるリーダー(あるいは訓練中のリーダー)が必要だ。Teslaは、この先ずっと、顧客がサービスセンターをいつでも呼び出し、タイムリーに車を交換できるしくみを確実に維持していく必要がある。否が応でも、追いかけてくる他の自動車メーカーがよろこんでModel 3オーナーに求愛して自社のEVを売り込むだろう。

会社の売上は好調だが、適切な育成がなければ、Tesla EVの優位性はいつでもライバルに取って代わられる。マスク氏は実際、育てるタイプではない。彼のルールの下、新車出荷台数は史上最高を記録しているが、今も製造品質に関わる問題の報告を受け続けている。これは数年前に解決すべきだった問題だ。

最近の報告によると、Teslaは冗長なステアリング・コントローラーを付けずに車を出荷しており、そのことを顧客に伝えていない。このコントローラーは、車がFSD(フルセルフ・ドライビング)対応になった際に必要になる。この種の判断は顧客の忠誠心を損ない、購入を考えている人たちを遠ざける。

現在の顧客がTesla車の問題に遭遇した時、未だにサービスを受けるためには不十分な伝達や長い待ち時間とイライラがともなう。修理を終えた顧客は、自分たちの経験をTwitterでシェアしようとするが、マスク氏にへつらうフォロワーたちから攻撃を受けて終わる。マスク氏自身でさえ扱いきれていない連中だ。

そしてリコールがある。過去数年、Teslaは米国幹線道路交通安全局の強い要請を受けて、FSDのソフトウェア問題に関する数々のリコールを発行した。Model 3とModel Yの予告なくブレーキが作動する問題、シートベルト警告音の不具合サスペンション問題、Model SおよびModel Xのパワーステアリング・ボルト腐食等々だ。最近では、Teslaが追加した機能が後に削除された例もある。このリコールがいちばん厄介だ。

どの自動車メーカーにもリコールはつきものだが、安全ではないとされたために元に戻さなければならなかったメーカーはあまり聞かない。マスク氏の下でTeslaは、路上走行中、ドライバーが望んだ音を外部スピーカーで鳴らてる機能を推奨した。歩行者への警告音を邪魔する可能性のある機能だ。さらに同社は、自動運転中に一時停止標識を通過(停止ではない!)させるアップデートを配信した。そして、運転中にメイン情報スクリーンでビデオゲームをプレイできる機能を削除するよう言い渡されなくてはならなかった。

一連のリコールについてマスク氏は、NHTSAは「たのしみ警察」だとツイートした。もちろん実際には同機関は安全警察であり、Tesla、および市民の一番の関心事は、自動車メーカーがNHTSAと協力して、道路を全員にとって安全に保つことであり、近隣を走りながらハンプティ・ダンスを流したいTeslaドライバーを喜ばすことではない。

マスク氏、Tesla、そして顧客にとって最善のシナリオは、誰かがCEOと何年か一緒に働き、社内と取締役会の信頼、そして何よりも大切なのは顧客の信頼を築き上げていくことだ。マスク氏を取り巻く個人崇拝は、マスク氏がこの人物をリーダーとして心から受け入れることを必要としている。そうすればマスク氏が会社を去るかCEOを辞任した時も、崇拝者の気持ちも和らぐだろう。

マスク氏が、所有する会社を完全支配するのをやめた前例はある。彼はSpaceX(スペースエックス)のCEOではあるが、経営責任はプレジデント兼COOのGwynne Shotwell(グウィン・ショットウェル)氏と分け合っている。SpaceXについてツイートするのはマスク氏でも、ショウを演出しているのはショットウェル氏だ。彼女は、カンファレンスやイベントでSpaceXを代表することの最も多い幹部でありStarlink(スターリンク)計画のビジョンと戦略を明確に述べる最適の人材であるが、会社の外向きの顔であるだけではない。プレジデント兼COOとして、ショットウェル氏は日々の実務をこなしている。もしマスク氏がCEOを降りると決めたなら、ショットウェル氏には後を引き継ぐ用意がある。

SpaceX、取締役会、米国政府、および提携企業にとって、それは救いの源だ。宇宙旅行を1人の人間に賭けるのは、恐ろしい博打だ、なぜならいずれその人はいなくなるのだから。

残念ながら、Teslaとマスク氏はひとつである。一般に知られている限り、現時点でプランBはなく、何かあった時、駆動装置とエネルギー工学担当上級副社長のAndrew Baglino(アンドリュー・バグリノ)氏がCEOを引き継ぐかもしれないことくらいだ。後継者育成計画が進められている可能性はある。しかし、透明性なくしてその計画を遂行することは混乱を呼ぶだけであり、株価に壊滅的打撃を与えかねない。

マスク氏は現在Teslaを動かしており、われわれの知る限り、今後も末永く続くだろう。しかし、彼は永遠には存在しない。仮に存在したとしても、蓄積された彼の不幸がついには会社に到達しない保証はない。社員のため、株主のため、そして顧客のためには何か計画が必要であり、即座に行動する必要がある。

画像クレジット:Britta Pedersen-Pool/Getty Images / Getty Images

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(文:Roberto Baldwin、翻訳:Nob Takahashi / facebook

イーロン・マスク氏率いるスペースX、ウクライナの要請に応じスターリンク通信と端末提供―ただし有効性に疑問の声も

イーロン・マスク氏率いるスペースX、ウクライナの要請に応じスターリンク通信と端末提供―ただし有効性に疑問の声も

ロシア軍が侵攻してその動向が世界に注目されているウクライナ情勢に絡んで、イーロン・マスク氏はSpaceXの衛星インターネットサービスStarlinkをウクライナに導入したことを明らかにしました。マスク氏いわく「すでにウクライナでStarlinkサービスは有効になっている」「さらに多くの端末を送る用意がある」とのこと。

ウクライナではロシアによるサイバー攻撃でインターネット環境が利用できなくなるとの観測が出ており、ウクライナ副首相兼デジタル担当相のムィハーイロ・フョードロフ氏はTwitterでマスク氏にStarlinkによる支援を呼びかけていました。

実際にすでにStarlinkはウクライナで利用可能になっており、この動きに対して、熱狂的なマスクファンなど一部の人々は反射的にSNSで称賛しているようすです。しかしその一方、専門家らからは、Starlinkの有効性について疑問の声もあがっています。

The VergeはStarlinkをレビューした際、安定した通信を得るにはヒマワリのようにアンテナを衛星の方に向け、さらに間に遮蔽物がないようにしなければならず「誇大に宣伝されたミリ波5Gと同様」に建物はおろか電柱や立木ですら、簡単に信号を遮断してしまうと報告していました。つまり、人々がインターネット環境を利用したいであろう都市部は、遮蔽物がそこかしこにあり、衛星インターネットが効果を発揮するのは難しいだろうということです。

また「さらに多くの端末を」とは言っても、それをどうやってキエフなど都心に持ち込むのかが問題です。ウクライナの主要な都市にはロシア軍が集結しており、持ち込む途中で奪われ、逆に利用される可能性も否定できません。

インターネットの通信状況を監視するサイバーセキュリティ企業NetBlocksは、ウクライナのバックボーンプロバイダーGigaTransの通信状況をTwitterで報告し、一時的にそのトラフィックが20%程度にまで落ち込んだと伝えました。しかしその直後には通常レベルまで復旧したことも報じているため、少なくともウクライナ国内ではまだインターネット通信は生きており、大規模な停電なども発生していない模様です。

もちろんStarlinkのサポートも、ないよりはあるに越したことはありません(トンガでもStarlinkが離島で開通したと報じられています。ただ海底ケーブルもすでに復旧していますが)。いずれにしても、ウクライナの人々が家族や大切な人々と連絡を取り合うのが困難になるかわからない状況に変わりはなさそうです。

(Source:Elon Musk(Twitter)Engadget日本版より転載)

画像クレジット:ANIRUDH on Unsplash

イーロン・マスク氏のインサイダー取引の可能性について米SECが調査開始

Elon Musk(イーロン・マスク)氏が待ち焦がれている、SECから解放される瞬間はまだ遠いようだ。The Wall Street Journalの情報筋によると、SECはマスク氏と弟のKimbal Musk(キンバル・マスク)氏が、最近の株式売却でインサイダー取引の規制に違反したか否かを捜査しているという。

Tesla株の売却についてイーロン氏はキンバル氏に対して、Twitterのフォロワーに尋ねるつもりだと話した可能性があり、その結果、キンバル氏は11月6日のツイートの前日に8万8500株を売却するよう仕向けたのではないかという点についてSECは調査している。もしそうなら、CEOハ従業員が非公開情報を取引することを禁止する規則を破ったかもしれない。

キンバル氏は、計画的にTesla株を一定期間ごとに頻繁に売買してきた。SECの提出書類によると、彼は11月5日にそうしなかった。

TechCrunchはSECにコメントを求めた。Teslaは、2020年の一時期に広報のチームを解体していたためコメントは得られなかった。マスク氏は当然、SECに対して友好的ではないが、彼によるとSECが始めた彼が思う戦いはそのうち終わるだろう、という。

しかし、この記事が正しければ、長年の確執にさらなる緊張が加わる。それは、2018年にSECが、同社を非上場にするとツイートしたマスク氏に対して動いたときに始まる。マスク氏はそのときの和解に合意して、ソーシャルメディア上の財務関連のポストには承認を要するという要求を飲んだが、それで両者の戦いが終わったわけではなかった。SECは過去数年間、生産関連のツイートが承認されていない懸念からマスク氏のツイートをチェックし、そしてほんの数日前には、2018年の和解の遵守過程に関する情報を求めてTeslaを召喚した

マスク氏はこれらと同時に、SECと大っぴらにやりあってきた。2022年彼はこの規制当局を、その「嫌がらせ作戦」が彼を不公平に特定し、モニタリングから法廷を除外したと非難した。SECは、その非難を否定した。これらの主張の背後にある真実が何であれ、マスク氏がいかなる新しい捜査を歓迎しないことは確実だ。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のJon FingasはEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Yichuan Cao/NurPhoto/Getty Images

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(文:Jon Fingas、翻訳:Hiroshi Iwatani)

テスラ取締役のキンバル・マスク氏、同社がビットコインを購入した際の環境影響について「無知だった」と発言

Tesla(テスラ)のCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏の弟で、同社取締役のKimbal Musk(キンバル・マスク)氏は、イーサリアム会議のステージ上でのTechCrunchとのインタビューで、Teslaが2021年に暗号資産のBitcoinを15億ドル(約1725億円)分購入し、この通貨で同社の車両を購入できるようにする予定だと発表したとき、同社は環境への影響について「非常に無知だった」と述べた。

「Bitcoinに投資したとき、我々ちはとても無知でした。環境への影響も知らず、文字通り何も知らず、良い価値の貯蔵庫で、資産を分散させる良い方法のようだ、といった感じでした。もちろん、我々が環境に何をしているかを伝える100万通の、冗談ではなくおそらく100万通のメッセージを受け取るのにそれほど時間はかかりませんでした」と、キンバル・マスク氏は筆者に語った。「もちろん、Teslaは代替エネルギーの未来を創造する会社です。その決断をしたときには、本当に十分な情報がなかったのです」。

キンバル・マスク氏は、TeslaがBitcoinの購入を「必ずしも後悔していない」一方で、ブロックチェーン業界がより環境に優しいインフラに移行できることを望んでおり、自身の慈善団体Big Greenが、さほどエネルギー集約型ではないブロックチェーン上で動作する暗号資産ネイティブのDAOガバナンス構造を採用したことに言及した。

テスラ取締役のキンバル・マスク氏は、イーサリアム2022カンファレンスにおいて、TechCrunchのルーカス・マトニーとのインタビューで慈善活動の将来について議論した(画像クレジット:Jesse Morgan / ETH Denver)

「私は本当に暗号資産の環境への影響には同意しませんが、暗号資産がしていることが大好きです」とキンバル・マスク氏は壇上で語った。「ですので、我々は、環境に影響を与えることなく行う方法を考えなければなりません。それは、この環境への影響を持つという選択肢ではありません」。

Bitcoinを購入するというTeslaの2021年の決定により、暗号資産に大きな追い風が吹いた。しかしその数カ月後、同社がBitcoinをすぐに売却する予定はないが、車両購入の支払いでBitcoinを受け入れないと発表したことで、事態が逆転したのは有名な話だ。

イーロン・マスク氏は2021年5月のツイートの中で「暗号資産はさまざまな面で良いアイデアであり、将来性があると信じていますが、しかしそのために環境を犠牲にするわけにはいきません」と述べている。「TeslaはBitcoinを一切売却せず、マイニングがより持続可能なエネルギーに移行し次第、取引に使用する予定です」。

Bitcoinのマイニングのネットワークがどれだけ再生可能エネルギーに依存しているかについては、まだデータがかなり不足しているが、ネットワークのエネルギー使用がいかに大きいかは明らかだ。Digiconomistのエネルギートラッカーによる試算では、2021年5月のイーロン・マスク氏のツイート以来、Bitcoinの採掘作業の年換算エネルギーの二酸化炭素排出量はほぼ倍増している。同サイトの推定では、Bitcoinのネットワークは、クウェートが1年間に排出するのと同程度の炭素を大気中に排出している。

キンバル・マスク氏は2004年からTeslaの取締役を務めている。

画像クレジット:Kevin Jones / ETH Denver

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi

イーロン・マスク氏、米証券取引委員会が「嫌がらせキャンペーン」を行ったと告発

Elon Musk(イーロン・マスク)氏がSEC(米証券取引委員会)から頻繁に注意を受けることに腹を立てていると思ったなら……それは正しい推測だ。マスク氏とTesla(テスラ)は、ニューヨーク州南部地区連邦裁判所に、SECが「ハラスメントキャンペーン」を行っていると非難する訴状を出した。SECは、Teslaの非公開化に関するマスク氏のツイートをめぐり、2018年のマスク氏との和解の一環としてTeslaの株主に4000万ドル(約46億円)を支払うという約束を破り、代わりにマスク氏とTeslaに対する「果てしない、根拠のない調査」にリソースを割いた、と主張している。

マスク氏とTeslaは、SECが「一方的に」召喚状を送っており、和解による同意協定をマスク氏が遵守しているかをSECだけでなく裁判所が監視するものだとしている。SECは、マスク氏が「政府に対する率直な批判者」であることを理由に報復しており、法律を公正に執行するよりも、憲法修正第1条の言論の自由を阻害することに関心がある、と主張した。訴状によると、不正行為の発見はない。

マスク氏とTeslaは、SECの不払い疑惑だけでなく、度重なる調査についても話し合う会議を含む「軌道修正」を裁判所に求めた。SECに株主への支払いを強制する一方で、マスク氏らが主張するハラスメントを裁判所が「終わらせる」ことを望んでいる。

我々はSECにコメントを求めた。SECは和解後の数年間、マスク氏のツイートについて何度も問い合わせを行い、2019年と2020年には、懸念される投稿をめぐってTeslaに書簡を送った。SECがそれらのツイートについてマスク氏に落ち度があるとは判断していないのは事実だが、それでもマスク氏が2018年の合意で義務付けられている事前承認なしに主要な財務トピック(生産水準や株式評価など)について議論していた、と主張している。Teslaはこれらのツイートは和解条件の対象外だと主張したが、状況は完全に明確ではない。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のJon FingasはEngadgetの寄稿者。

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(文:Jon Fingas、翻訳:Nariko Mizoguchi

テスラ、オランダのSuperchargerネットワークをすべてのEVに開放

Tesla(テスラ)は現地時間2月14日、同社製以外の車両の所有者がオランダのすべてのSupercharger(スーパーチャージャー)ステーションで電気自動車(EV)を充電できるようになったと発表した。

この措置は、2021年11月に10カ所のステーションで開始されたパイロットプログラムの拡大だ。CEOのElon Musk(イーロン・マスク) 氏はもともと、同年夏にSuperchargerネットワークを他のEVに開放することに関心を示していた。

他の自動車メーカーとは異なり、Teslaは広大な独自ネットワークを運用していて、これまでは他自動車メーカーのEVがSuperchargerの充電器を利用することはできなかった。Teslaが2012年に構築を開始したこのネットワークは、現在、全世界に3万カ所のSuperchargeステーションを有している。

Teslaのパイロットプログラムは、オランダとフランス、ノルウェー、ベルギーなど欧州の一部のステーションで、Tesla車両以外のEVのドライバーにTeslaのアプリを使って充電させるもので、同社はまだPlugShare(プラグシェア)など他のEVステーションプラットフォームと統合していない。

Teslaは、自社製車両にしか装着できない独自のプラグを使用しているため、試験ではCCS(コンバインド・チャージング・システム)対応車のみがアクセス可能だ。Superchargerには2本のケーブルがあり、Tesla製以外の車両はCCSコネクタを使用することができる。このコネクタはすべてのクルマに合わないかもしれず、その場合、ドライバーはカスタマーサポートセンターに問題を報告することになる。

同社によると「幅広い車種の充電をサポートするために発生する追加費用と、これらの車種に対応するためのサイトの調整」のため、Tesla製以外のEVはTesla施設での充電を享受するために、より多くの料金を請求される可能性がある。とはいえ、ドライバーが充電メンバーシップを購入すれば、1kWhあたりの充電価格は下がるかもしれない。

Teslaは「拡大する前にエクスペリエンスをレビューし、混雑を監視し、フィードバックを評価する」ために、一部の拠点から始めると述べた。将来設置される施設については、利用可能な容量がある場合にのみ、Tesla製以外の車両に開放される予定だ。

オランダには欧州で最も多くのEV充電ステーション(7万5000基)があり、Teslaがこのパイロットをさらにテストする上で競争的な環境となっている。ウェブサイトによると、Teslaはオランダにステーション33カ所を展開していて、18の新しいステーションが「近日オープン予定」だ。

画像クレジット:Jakub Porzycki/NurPhoto / Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

イーロン・マスク氏のSpaceX Starshipイベントで残る大型ロケットをめぐる多くの疑問

Elon Musk(イーロン・マスク)氏は、テキサス州ボカチカにあるStarship(スターシップ)開発現場から、同社の次世代打ち上げ宇宙船Starshipの進捗と計画について最新情報を提供した。StarshipとSuper Heavyブースターを組み合わせた高さ約400フィート(約121メートル)の打ち上げ機について、これまで印象的な説明があった。しかし今回、同氏がStarshipについて語ったことの多くは目新しいものではなかった。飛行試験と開発の次のステップに関してプロジェクトが置かれている実際の状況について同氏が共有できたことは、新しいコンセプトビデオに描かれた、空想上の惑星に向かうというビジョンに現状からどうやってたどり着くのかという疑問をいくつか投げかけた。

「ノアの方舟」の正当化

マスク氏は、人類を火星やその先に恒久的に到達させるというミッション実存の正当性に繰り返し言及してきたが、今回のアップデートでは、その目標に、地球の幅広い種の保存を中心とする補足を加えた。同氏はノアの方舟に触れなかったが、以下の通り、この類推は外れていない。

人類だけでなく、地球上のすべての生命を本当に大切に思う人たちにとって、長期的には、私たちが複数の惑星を持つ種になり、最終的には太陽系を越えて生命をもたらすことが非常に重要です。私たちは生命の管理人であり、生命の後見人です。私たちが愛する生物たちは宇宙船を作ることができませんが、私たちは彼らを連れて行くことができるのです。それは、環境を大切にする人、地球上のすべての生き物を大切にする人にとって、とても重要なことだと思います。

SpaceX(スペースエックス)のCEOであるマスク氏は、究極的にはこのプロジェクトの正当化を軽視し、第2の理由であるインスピレーションをより重要視している。同氏は以前、SpaceXの野心について語った際に、Starshipと文明の多惑星化は、人々を「未来について興奮」させることができるものの1つだと述べた。これは、マスク氏とSpaceXが地球上の問題解決に費やした方がよいはずの膨大な資金をプロジェクトに注いでいるという批判に対する長い回答の一部だった。批判に対して同氏は「リソースの99%超は地球上の問題解決に向けられるべき」ということに同意し、それはすでに行われていると述べた。

Starshipの打ち上げプロセスと迅速な再利用性

SpaceXは、これまでもStarshipの打ち上げプロセスについて語り、コンセプトアニメーションも公開してきたが、今回のアップデートでは、同社がイメージする最新のバージョンを映し出した。上に掲載した短い映像は、現在ボカチカに設置されている実際の打ち上げ施設をより忠実に再現しているが、タワーにブレードランナーの雰囲気を漂わせるビジュアルが施されている。

このアニメーションでは、2つのStarship宇宙船が軌道上でドッキングする様子も描かれている。これは、SpaceXが以前にモデル化したものではないが、火星への旅のために宇宙で燃料を補給する方法について同社は議論してきた。マスク氏は、ドッキングプロセスの詳細について同社がまだ解決しなければならないことだとしながらも、実際には「自分自身とドッキングするよりも宇宙ステーションとドッキングする方がずっと難しい」はずだと語り、SpaceXの宇宙船が常に宇宙ステーションとドッキングしていることに言及した。

打ち上げ場所と必要なクリアランス

もう1つの話題は、これまで共有された情報との相違が明確になった、Starshipの打ち上げ施設についてだ。マスク氏によると、打ち上げ場所の周辺には比較的人口の少ない広大なエリアが必要で、さらに人々をすばやく避難させることができること、打ち上げ傾斜角や宇宙船が宇宙に入る際の適切な位置取りが必要なことから、Starshipの打ち上げには2つのオプションしかないという。イベントが行われたテキサス州のStarship開発施設と、フロリダ州のケープカナベラルだ。

テキサスでの打ち上げのための米連邦航空局(FAA)による現場審査がどういう状況なのか、マスク氏は実際には把握していなかったが、3月中には承認が得られると予想しているという。とはいえ、ケープカナベラルには予備のためのStarshipの建設現場と発射台があり、テキサスで環境審査とFAAの審査が通らなければ、ケープカナベラルが第一の場所になる可能性もある。SpaceXが最初からフロリダのスペースコースト(ケネディ宇宙センターとケープカナベラル基地周辺)に決めてStarshipを打ち上げようとしなかった理由の1つは、そこではすでに多くのロケット打ち上げが行われており、既存のオペレーションを中断させたくなかったからだと、マスク氏は述べた。

質疑応答のセッションでマスク氏は、最終的にはSpaceXが古い石油プラットフォームを使って現在開発しているような、海上に浮かぶ宇宙港が「おそらく」いくつもできると考えている、と繰り返した。これは、ロケット発射が「かなりうるさい」こと、また混乱を最小限に抑えるために少なくとも「主要都市から20~30マイル(約32〜48キロメートル)」離れたところで発射を行わなければならないことに対処するためだ。このことは、地球を拠点としたポイント・ツー・ポイントの移動にとって重要なことだと同氏は話した。

軌道到達のタイムラインは不明

Starshipに関して次に期待されているのは、何といっても最初の軌道上テスト飛行だ。プロトタイプはすでに(Super Heavy除く)民間旅客機が飛行する高度まで飛んでいるが、地球の大気圏を超えたものはまだない。過去の発言でマスク氏はいつも楽観的なスケジュールを示してきた。例えば2019年9月の最初のStarship情報アップデートで同氏は、6カ月以内に軌道に到達し、2020年中には人を乗せることもできると予想していた。

明白だが、それは実現しなかった。

その代わり、タイムラインは2021年末から2022年1月に、そして現在は3月になる可能性もあるなど絶えず変化しており、マスク氏は実際に軌道テストに成功するいう点に関して「2022年中に軌道に到達すると強く確信している」とだけ発言している。

Starshipアップデートのプレゼンテーションの全容は、下の動画で閲覧できる。

画像クレジット:SpaceX

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

イーロン・マスクのツイートに関する和解をめぐり米SECがテスラに召喚状

ロイターCNBCによると、Tesla(テスラ)は2021年11月に証券取引委員会(SEC)から召喚状を受け取ったという。

同社が財務文書で公表した情報によると、SECが特に求めているのは「SEC修正和解案へのコンプライアンスをめぐるガバナンスのプロセスに関する」情報だ。11月の召喚状は、同社トップのElon Musk(イーロン・マスク)氏がTwitterのフォロワーに、現在、所有しているテスラの保有株の10%を手放すことになったらどうなるかなと尋ねた直後に発行された。同社の株価は、そのツイートの後で急落している

Teslaは、2018年にSECが「非公開化する」とツイートしたイーロン・マスク氏を訴えたことを皮切りに、何年もSECと対立している。同庁は、テスラが非公開化するための資金をすでに確保しているとツイートしたマスクが、「虚偽かつ誤解を招く」発言であるとして詐欺にあたるとした。

Teslaはその年にSECと和解し、マスク氏はソーシャルネットワークへの重大な情報のポストは、事前に法務が承認したもののみとするという和解条件を受け入れた。しかしそのすぐ後に彼は、それまで非公表だった2019年の生産台数を、その情報が最初にチェックされることなくツイートした。

SECは2018年の合意事項を侮辱したとして彼の拘禁を求めたが、結局、マスク氏が何をツイートできて、何をツイートできないかを正確に把握できるよう修正を加える必要があったた。

テスラのチーフは、Twitterを頻繁に使用することで知られている。彼はミームやランダムなツイートの合間に、彼の会社であるTeslaやSpace Xに関する新しい発表を織り交ぜてきた。Teslaの投資家集団が2019年の訴訟で、事前チェックのないTwitterの使い方をやめさせようとした。そして2021年は、もう1人の投資家がマスク氏と彼の企業を訴訟して、SECとの合意に違反していると非難した。

そのときの原告は、2020年5月の「Teslaの株価は高すぎると思う」という発言を含め、マスク氏はいい加減で未承認のポストをツイートし続けていると主張した。マスク氏はその後、Twitterを数回お休みし、自分のアカウントを削除したとも主張したが、現時点では相変わらずこのプラットフォーム上でとても元気だ。

編集者注記:本記事の初出はEngadget。執筆者のMariella MoonはEngadgetの副編集長。

画像クレジット:SOPA Images/Getty Images

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(文:Mariella Moon、翻訳:Hiroshi Iwatani)

テスラ株主、マスク氏がSolarCity買収を取締役会に強要と裁判で主張

Tesla(テスラ)の株主は、CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏が2016年に同社の取締役会にSolarCity(ソーラーシティ)を買収するよう強要したと裁判官に認定するよう求めている。この買収取引は、マスク氏が筆頭株主だった破綻したソーラー会社の「救済」だったというのが株主グループの主張だ。米国時間1月18日に行われたZoomでの公聴会で、株主らはマスク氏に買収取引で受け取った株式の返還とTeslaへの130億ドル(約1兆4918億円)の支払いを命じるよう求めた。

全株式による買収取引は当時26億ドル(約2983億円)と評価されたが、Teslaの株価はその後、大きく上昇した。

マスク氏は2021年7月に買収をめぐる10日間の訴訟で証言し、弁護団はマスク氏が当時85%の株主が承認したSolarCity買収に関連する取締役会の議論や交渉に関与しなかったと述べている。この買収についてマスク氏が不適切な影響力を行使したかどうか、また同氏や他の取締役が買収に関する情報を株主に隠していたかどうかが争点となっている。

関連記事:イーロン・マスク氏がSolarCity買収に関する訴訟で買収の正当性を主張

ロイター通信によると、株主側の弁護士Randy Baron(ランディ・バロン)氏は公聴会で「この訴訟は常に、SolarCityの買収がイーロン・マスク氏が巧妙に仕組んだ財政難からの救出、救済だったのかどうかが争点になっている」と述べたという。

組合の年金基金や資産運用会社による訴訟では、SolarCityは「一貫して利益を上げることができず、負債が膨らみ、持続不可能な速度で現金を使っていた」とし、同社が10年の歴史の中で30億ドル(約3442億円)超の負債を積み上げ、そのほぼ半分が2017年までに返済期限を迎えていたと指摘した。

マスク氏の弁護士は2021年7月、この買収はTeslaをエネルギー会社に変えるというマスク氏の長期ビジョンの一部だったと主張した。マスク氏は、SolarCityとTeslaを合体させることが、Teslaの蓄電製品「Powerwall(パワーウォール)」と太陽光発電パネルを組み合わせるというビジョンの鍵だった、と述べている

1月18日の公聴会で、マスク氏の弁護士の1人であるEvan Chesler(エヴァン・チェスラー)氏は、この取引は救済措置ではなく、SolarCityの財務は多くの高成長中のテック企業と同レベルだったと主張した。

ロイター通信によると、チェスラー氏は「SolarCityは何十億ドル(何千億円)もの長期的価値を築いていた」と述べた。

株主側の弁護士のLee Rudy(リー・ルディ)氏が、デラウェア州大法院のJoseph Slights(ジョセフ・スライツ)代理大法官に、宣誓証言と裁判の過程で株主側弁護士を繰り返し侮辱したマスク氏に対する侮辱罪を検討するよう求めたことから、その場は少し緊張した雰囲気になった。

スライツ氏は約3カ月後、自身の引退と同時期に判決を下す見込みだと述べた。マスク氏の巨額報酬に異議を唱える関連株主訴訟は、スライツ氏から別の判事に移管された

画像クレジット:Joshua Lott / Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

テスラの「完全自動運転」を激しく批判するニューヨーク・タイムズ紙の全面広告

米国時間1月16日日曜日のNew York Times(ニューヨーク・タイムズ)紙に掲載された全面広告は、Tesla(テスラ)の「Full Self-Driving(フルセルフ ドライビング)」を「フォーチュン500企業が販売した史上最悪のソフトウェア」と評し「フォーチュン500企業の他の商品で、8分ごとに致命的誤作動をするソフトウェアを見つけた最初の人物に、問題のソフトウェアの価格と同じ1万ドル(約114万5000円)を提供すると募った。

この広告を出稿したThe Dawn Project(ザ・ドーン・プロジェクト)は、最近設立された団体で、軍隊的ハッカーの標的になりうる重要システムの安全でないソフトウェアを禁止することを目的にしている。この広告はTeslaのFull Self-Driving(FSD)を「致命的誤作動が1000分の1以下になるまで」公道から排除するキャンペーンの一環だ。

反対運動団体の創設者であるDan O’Dowd(ダン・オダウド)氏は、Green Hill Software(グリーンヒル・ソフトウェア)という埋込み型安全およびセキュリティシステム向けオペレーティングシステムとツールを開発する会社のCEOでもある。同社はCESで、BMWの製品、iX は同社のリアルタイムOSと安全性ソフトシェアを使用していると話し、同社の新しい無線配信型ソフトウェア製品とデータサービスを自動車電子システム向けに提供することも発表した。

The Dawn Projectのファウンダーによる競合的バイアスの可能性はさておき、Teslaオーナーが都市道路で利用できる先進ドライバー支援システムであるTeslaのFSDベータソフトウェアは、システムの不具合を示す一連のYouTube動画が急速に広まったことで、ここ数カ月間監視の目を向けられている。

NYT紙の広告が掲載されたのは、カリフォルニア州DMV(自動車管理局)がTeslaに対し、専門のセーフティーオペレーター(非常時対応ドライバー)ではなく、一般消費者による同社のテストプログラムが自動運転規則の対象外であるという同局の意見を「再検討する」と伝えた数日後のことだった。カリフォルニア州DMVは、州内における自動運転試験を規制しており、Wyamo(ウェイモ)やCruise(クルーズ)などのロボタクシーの運用にむけて開発、テストを行っている他の企業に対して、衝突事故あるいは「disengagements(自動運転の解除)」と呼ばれるシステム障害を報告することを義務づけている。Teslaはこれらの報告書を一度も提出したことがない。

その後TeslaのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏はTwitter(ツイッター)で曖昧な反応を見せ、TeslaのFSDは公開以来事故も負傷者も出していないと主張した。現在、米国幹線道路交通安全局(NHTSA)は、Tesla Model Yのオーナーによる、自車がFSDモード作動中に左折した際誤った車線を走り、その結果他の車に衝突されたという報告書を精査している

仮にそれがFSDにとって初めての事故だったとしても、Teslaの全車両に標準搭載されているADAS(先進運転支援システム)、Autopilot(オートパイロット)は、すでに10件前後の衝突事故に関わっている

関連記事:米当局がテスラのオートパイロット機能を調査開始、駐車中の緊急車両との衝突事故受け

NYTの広告とともに、The Dawn Projectは、自身の主張のファクトチェック(事実検証)を公表し、21件計7時間のYouTube動画のデータを研究した独自のFSD安全分析を紹介している。

分析した動画は、ベータバージョン8(2020年12月公開)および10(2021年9月公開)のもので、著しくポジティブあるいはネガティブな動画は、偏りをは減らすために研究対象から排除している。それぞれの動画は、人間のドライバーが運転免許を所得するために合格する必要のあるカリフォルニア州DMV運転技能評価に基づいて採点された。カリフォルニア州のドライバーが運転試験に合格するためには、車線変更の際に方向指示器を使用する、あるいは他の車両との安全な車間距離を維持するなどの運転操作上の誤りが15回以下、衝突や赤信号無視などの致命的な過ちはゼロでなくてはならない。

同団体の調査によると、FSD v10は1時間以内に平均16回の操作誤り、8分ごとに致命的運転誤りを犯した。v8とv10の間の9カ月間に改善があったことを分析結果は示しているが、現在の改善ペースでは、人間ドライバーの事故頻度を達成するまでに、あと7.8年(AAAデータによる)から8.8年(交通局データによる)を要する。

Dawn Projectの広告には、割り引いて捉える大胆な主張がいくつかあり、それは真剣に受け止めるには統計的基準からよりはるかにサンプル数が少ないからだ。しかし、もしこの7時間のビデオ映像が、平均的FSD運転を代表しているとすれば、発見結果はTeslaのFSDソフトウェアの大規模な問題の兆候を示すものであり、果たしてTeslaはこのソフトウェアを規制されることなく公道でテストしてよいのか、というより大きな問題につながってくる。

「私たちは、家族を公道を走る数千台のTesla車の実験用ダミー人形にする申込みをしませんでした」。

国の規制当局は、Teslaおよび同社のAutopilotとFSDベータソフトウェアシステムに対して行動を起こし始めている。

2021年10月、NHTSAはTeslaに2通の書簡を送り、同社のFSDベータを早期利用するオーナーに対する秘密保持契約の使用、および標準Autopilotシステムで、本来リコール対象とすべき問題の解決に無線ソフトウェアアップデートを使用する決定に対して説明を要求した。また、Consumer Reports (コンシューマーレポート)は2021年夏に声明を発表し、FSDバージョン9ソフトウェアアップグレードは公道で使用するには十分安全ではなく、同氏が独自にソフトウェアをテストする予定であると語った。そして先週、同誌はテスト結果を公開し「Teslaのカメラベースのドライバー監視システムは、ドライバーを路上に注意を向けさせることに失敗している」ていることを指摘した。同誌は、それに対してFord(フォード)のBlueCruise(ブルークルーズ)はドライバーの視線がそれた際に警告を発行していると報告した。

関連記事:米道路交通安全局がテスラに対し、秘密保持契約と無線ソフトウェアアップデートについて説明を要求

それ以来、Teslaは同社v10ソフトウェアの数多くの異なるバージョンを公開した。まもなく10.9が登場するはずで「都市 / 幹線道路向け単一ソフトウェアスタック」および「数多くの構造上のアップグレード」をともなうバージョン11は2月に提供される予定だ。

最新バージョン10.8のレビューはさまざまで、ずっとスムーズになったというオンラインコメンターがいる一方、多くの人たちがこのシステムを使うこと自体に自信が持てないともいっている。RedditのTesla Motors subredditで最新FSDバージョンをレビューするスレッドでは、複数のオーナーがソフトウェアに対する苦情を書いていて「絶対に一般公開できる状態ではない」と書いた人さえいる。

別のコメント人は次のようにいう。「完全に誰もいない直線道路に右折するのに時間がかかりすぎる。その後左折する時には理由もなくためらい続けて走行レーンを妨害し、次の道に入ると突然加速したかと思うと、同じくらい急に減速して、それは制限速度45mph(約72.4km/h)の道路を25mph(約40.2 km/h)だと思って速度を考え直したからだった」。

このドライバーは、最終的に完全にシステムを切り離すしかなかった。なぜなら「信号があり全方向の見通しが良くてまったく交通のない」普通の交差点で行うべき左折をシステムが完全に無視したからだったと語った。

The Dawn Projectのキャンペーンは、FSDは「最悪の時に誤ったことをする可能性があります」というTeslaの警告を大きく取り上げた。

「最悪の時に誤ったことをするかもしれない安全最重要製品が市場に出回ることを許せる人などいるでしょうか」と同団体はいう。「それは欠陥の定義なのではありませんか?Full Self-Drivingはいますぐ私たちの路上から取り除かれるべきです」。

Teslaからも、The Dawn Projectからもコメントは得られていない。

画像クレジット:The Dawn Project

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

テクノロジーの最も「ダサかった」瞬間を振り返る

2021年、テクノロジーは大きく進歩した。mRNAワクチンの普及! 小惑星軌道変更ミッション!物議を醸すノッチ付きの非常にパワフルなノートパソコン!しかし室内農業ロボットに驚嘆したことを思い出すよりも、最も困惑するような出来事を思い出す方が残念ながら簡単だ。

さあ、チューチューチューギートレインに跳び乗ろう。なお、お断りしておくが以下話題にするのは、イーロン・マスク氏が2021年にツイートした内容をまとめたものではない。

(訳注:「チューギー/Cheugy」とはネットスラングだが、基本的には「ダサい」「時代遅れ」「単純」といったニュアンスがある、この記事ではもっぱら「ダサい」に近いニュアンスで使っている。しかし日本語の「ヤバい」が肯定的な意味も否定的な意味も持つように「チューギー」も文脈によって肯定的もしくは否定的な意味を持っている)。


FacebookはMetaへ

関連記事:フェイスブックが「Meta」に社名変更、メタバースを中核事業に

2021年、最大かつ最も愚かなリブランディングは争う余地なくFacebook(フェイスブック)のリブランディングだ。最も知名度の高い企業の1つが無数の人びとに与えた取り返しのつかない決定や損害から目をそらす「メタバース」に焦点を合わせるためにMeta(メタ)に社名を変更した。このようなことは誰も頼んでいないし、誰もFacebookに主導権を握らせたいとも思っていない。

これをBlockしよう

関連記事:元Twitter CEOドーシー氏のSquareが「Block」に社名変更

2021年、歯ぎしりしたくなるようなリブランディングを行ったのは、Metaだけではない。さて、次にご紹介するのは……Block(ブロック)だ。もともとはSquare(スクエア)という会社だったスモールビジネスの王者だが、同社の四角い(スクエアな)カード読み取り装置は有名だった。現在、Blockは、新しい名前とアイデンティティのためにブロックチェーンを利用しているが、どうやらBlockの狙いはそれだけではないようだ。同社によると、それはブロックパーティ(コミュニティ作り)、コード開発、克服すべき障害物、そして「もちろん、タングステンキューブ 」(詳しくはこちら) にも関係しているという。おいおいジャック(BlockのCEOであるジャック・ドーシー氏のこと)ちょっと待ってくれ!H&R Block(H&Rブロック)はすでにBlockを商標権侵害で訴えている。名前はもちろんロゴのブロック、グリーンの配色などが、どれもちょっと似すぎている気がするからだ。そしてなにより税務申告準備で有名なH&R Blockは、中小企業向けの会計サービスや消費者向けのモバイルバンキングなど、Squareの…もといBlockのようなフィンテックサービスも販売しているからだ。どちらが先に手を引くか、落ち着くことができるのかは想像がつかない。

サタデーナイトマスク

「みなさんは腰をおろした方が良いかもしれません、私のいうことで少し腰を抜かすかもしれませんので」このセリフは、マスク氏がサタデーナイトライブ(SNL)内のコント「Gen Z Hospital」で医師役を演じたときのものだが、彼にしてみれば精一杯頑張ったものだろう。イーロン・マスク氏は、彼の後を追って一攫千金を狙っている世界中のファンたちの大部分をうまく騙してきたかも知れないが、結局のところ、このやり方はサタデーナイトライブでは通用しなかった。彼は俳優ではないし、さほどおもしろいわけでもない。世界有数の大金持ちであり、ソーシャルメディア上の主要なセレブであるという大きな力を持ってしても、彼のSNLのホスト役は…独りよがりで、でくのぼうで、退屈で、気まずい不発弾だった。そもそも、なぜ/どのように彼が注目を集めることになったのかには、疑問が残る(とはいえ、私はいつでも彼についてはそう思っているのだが)。

NFTオーナーのみなさん、ご機嫌はいかが?

関連記事:始まる前から終わっていた6人のベストセラー作家によるNFTの世界「廃墟の王国」の顛末

NFTのゴールドラッシュは、普段なら頭のいい人たちに残念なやり方でNFTを導入させようとした。数多くの企業がNFTに関連したプロジェクトを発表した。例えば、ファン作成のストーリー、ゲーム内アイテム、Discord絡みの何か(?)などをトークン化するなどだ。だがこの興味深い、しかし現時点では非常に疑わしい技術に対する、インターネット上での一般的な懐疑的意見を読み取ることができていなかったため、各社は大慌てで、場合によっては発表や噂のわずか数時間後に後退した。文字通り、誰もがダメなアイデアだと言ったはずだ。次の機会があったら質問してみると良いだろう。

ベゾス氏は、宇宙に向けて発射したお金を払ってくれた全員に感謝している

画像クレジット:Joe Raedle / Getty Images

Blue Origin(ブルー・オリジン)とVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)による、初の「本物」の宇宙旅行をめぐる執拗な自己満足の騒動は、非常に疲れさせるものだった。ブランソン氏の会社が不透明な運用をしていたことで評判を落としたことや、ベゾス氏が巨大な帽子で不評を買ったことには多少溜飲も下がったが、ベゾス氏にとって最高の見せ場は、倫理的に破綻した彼の巨大企業で世界中の人に買い物をしてもらったことで、彼の自尊心を満たす旅の資金が得られたことを、トンチンカンな感謝の言葉として述べた瞬間だった。「Amazonの従業員のみなさん、そしてAmazonのお客様に感謝したいと思います。なにしろみなさんが、この費用を支払ってくれたのですからね」。彼はきっと一言一句を本気で言っているのだろうが、だからこそ最悪なのだ(また、ベゾス氏にイメージを台無しにされたカウボーイハットも哀れだ)。

Blue Originのイチャモンが次の月面着陸を遅らせることに

Blue Originは、ライバルのSpaceX(スペースX)にHuman Landing System(有人着陸システム)契約で大敗した後、不適切な行為があったとしてNASAを訴えた。同社の主張は非常に恥ずかしい形で却下されたが(NASAは業界全体を前にして同社を徹底的に非難した)、長大な手続きを経る必要に迫られたことで、2024年に予定されていた有人月面着陸は2025年に延期された。公平を期すために言っておくなら、皆がそうだと思ってはいたが、Blue Originは自身を完璧なスケープゴートに仕立てたのだ。この失態により、NASAとの関係は永久に悪化したかもしれない。これはBlue Originの唯一の資金源がNASAであることを考えると良い知らせではない(もちろん「Amazonの従業員のみなさん、そしてAmazonのお客様」は別勘定だが)。

OnlyFansの自粛

私たちはOnlyFansが何のためにあるのかを知っているが、とりわけセックスワーカーたちが自分自身で収益を上げることができるプラットフォームを手に入れることができたのはすばらしいことだ。しかし、プラットフォームをにぎやかな場所にしてくれた人たちが、今後は禁止されることが突然発表された。さようなら、お元気で!ということだ。だがその反発はすさまじく、上品ぶった銀行を理由としていたその決定は、納得が得られないまま1週間で覆された。教訓。自分を養ってくれている手を噛んではいけない(健全なファンタジーの一環としてその手が同意している場合は別だが)。

ドナルド・J・トランプ氏のデスクより

トランプ氏のソーシャルメディアとの激しい関係は、ここで扱うにはあまりにも重すぎる問題だが、その中でも知っておくことに価値がある一面がある。それは、短命に終わった「ソーシャル」プラットフォーム「From The Desk of Donald J. Trump」(ドナルド・トランプの机から)だ。この素朴なマイクロブログは、彼があらゆる主要なソーシャルメディア・ネットワークから排斥されたあと登場したが、最小限の機能しか持たず、アクセス数も少なかったために、1カ月も保たずに閉鎖されてしまった。それは明らかに、彼のメディアチームが、今度はMastodonのコードを借りて、次作のTruth Social(トゥルースソーシャル)を作ることに集中するためだった。しかしそれすらも、2021年の後半に私たちが見ることになった必死のピッチデッキやSPACの前段階に過ぎなかった。よく言われるように、最初に大失敗したら、あきらめず失敗して、また失敗せよだ。(訳注:英語には「最初に失敗しても、あきらめず挑戦して、また挑戦せよ」という諺があるのだがここではそれをもじって皮肉っている)。

上院議員が、Facebookの担当者に「フィンスタ(裏アカウント)をなくすと約束して欲しい」と要請

現在、Facebookの内部告発者として知られるFrances Haugen(フランシス・ハウゲン)氏は、雇用主だったFacebookから膨大な内部文書を流出させた。その中には、Instagram(インスタグラム)が10代の少女たちに悪影響を与えていることを認識していることを示す文書も含まれていた。その直後、Facebookのセキュリティ部門のグローバル責任者であるAntigone Davis(アンティゴーン・デイビス)氏が上院に召喚され、子どもたちのインターネットの安全性について証言を行った。

75歳のRichard Blumenthal (リチャード・ブルーメンタール)上院議員(民主党/コネチカット州)は、若者が親に隠した秘密のアカウントを使うことを心配していた。

上院議員は「フィンスタ(finsta、裏Instagramアカウントのこと)をなくすと約束できますか?」と問いかけた。

デイビス氏は辛抱強く「上院議員どの、説明させて下さい。私たちが実際にフィンスタというものを提供しているわけではありません。フィンスタとは、若い人たちがより強いプライバシーを確保したいと思って設定したアカウントのことなのです」と答えた。

Facebookの流出した福利厚生登録動画

2021年1月6日の暴動を止めるために十分なことをしなかったという大量の非難を受ける中で、Facebook(現在の呼び名はMetaだが)で働くのは大変だろう。しかし、福利厚生に加入しなければならない場合でも、Facebookで働くのは大変かもしれない。

ハウゲン氏がリークしたファイルには、かなりひどい内容が記されているが、メタバースの支配者に対する信じられない気持ちを少しでも味わってみたいひとは、このビデオを観て欲しい。Facebookには充実した福利厚生があるに違いない。なにしろ1兆ドル(約115兆円)の巨大テクノロジー企業なのだから。だがこんな振り付けダンスが関わっているとしたら、補助金を受けるだけの価値があるのだろうか?

NFTはゲートキーピングにも向いていない

Bored Apes Yacht Club(退屈している猿のヨットクラブ)とは、Coinbase(コインベース)を愛する人たちの友愛会(フラタニティ)のようなものだ。排他的なギリシャ式友愛会に参加するために会費を払う代わりに、52イーサリアム(出版時には約21万ドル[約2416万円])の「猿のNFT」を購入すれば、クールなクラブの一員になることができる。そう、タレントのJimmy Fallon(ジミー・ファロン)氏、プロバスケットボール選手のSteph Curry(ステフ・カリー)氏、ラッパーのPost Malone(ポスト・マローン)氏もYacht Club(ヨットクラブ)のメンバーだ。ちょうど、あなたが生まれる20年前にBリスト俳優(一瞬売れっ子になったが今ではそうでもない俳優)があなたの大学の友愛会に入っていたようなものだ。しかしそれは単なる猿ではない。派手なイベントや物品などにアクセスできるのがこのNFTの価値なのだ。そこで、ナイトライフ・ジャーナリストのAdlan Jackson(アドラン・ジャクソン)氏は、Bored Apesのパーティーに忍び込むために、巧妙な計画を立てた

結局、ある友人の上司が猿NFTを所有していて、ジャクソン氏にパーティーに参加できるQRコードのスクリーンショットを送ってくれた。しかし門番が、実際のNFTではなく、以前のイベントで使用したリストバンドの有無をチェックしていたため、彼は猿NFT(のQRコード)を持っていたにもかかわらず追い返されてしまった。夜遅くなって、ジャクソン氏は再び入場しようとして…今度はそのまま入場できた。リストバンドも、NFTも、何も必要なかった。排他性といってもそんなものだ!幸運なことに、ジャクソン氏は The Strokes(ザ・ストロークス)のフロントマン、Julian Casablancas(ジュリアン・カサブランカス)氏がステージ上でこんな発言をしているのを目にした「これはアートのようなものだよね?NFTだって?へえ、それって何かな。わかるのは…今夜はたくさんの男どもが集まっているということだけだね」。

こんなことはやめさせよう

もしいまNFTが、金融ソーシャルメディア(これにどうして短い名前がないのか。たとえばFiSoとか?)という投機バブルで吹き上がっているとしたら、その多くは、Gamestop(ゲームストップ)のおかげだ。ミーム銘柄と呼ぶこともできるだろう。テクノロジーの革新、消費者の習慣、エンターテインメントの嗜好の変化に押されて潰された他の多くの凡庸な小売業者と同じように、同社も忘却の彼方に向かっていたかもしれない。しかし、そうなる代わりに、同社はネットの過大な噂の波にさらわれて価格が成層圏まで押し上げられた。その結果、誰が取引の世界の門番になり、誰が金を稼ぎ、誰が最大の敗者になるのかという多くの疑問が生じたのだ。人が煽られるのを見るのは嫌だろうが、煽られて買った人たちが力のない貧乏人のように扱われるのを嫌がる理由も理解できるだろう。これでは誰も勝者にはなれない。しかし、驚くべきことに、この物語はまだ終わらないのだ。株価は2021年1月の成層圏ピークに比べて低いものの、現在でもそれほどかけ離れているわけではない

Spotifyまとめは「ダサい」

はい、はい、Spotifyまとめ(Spotify Wrapped)のシェアを行うことは基本的にSpotifyの無料PRになることはわかっている。しかし「Spotifyまとめ」のコピー文言は、40歳のコミュニケーションスタッフが姪っ子にZ世代(現在20〜30歳位の世代)が好きなフレーズを尋ねたように思える。Spotifyは、Mystic Michaela(ミスティック・ミカエラ)氏というオーラ鑑定士を雇うことまでしていて、音のオーラを生み出すための協力をしてもらっている。その結果は?チューギーだ。

「この1年、あなたの頭の中に住んでいるポッドキャストがありました」とそれはいう。

「あなたはいつも使命を理解していました」。

「他の人たちがみんなNFTとは何かを考えている間、あなたはある1曲を繰り返し聴いていましたね」。

「あなたにふさわしいのはスキンケアと同じくらいの時間のプレイリストです」。

Elizabeth Holmes(エリザベス・ホームズ)には熱狂的なファンがいる

Theranos(セラノス)の元創業者でCEOだったElizabeth Holmes(エリザベス・ホームズ)は、2021年に4カ月以上にわたり、刑事詐欺の容疑で裁判にかけられていた。しかし、裁判の初日、何人かのファン(間違いではない)が、エリザベス・ホームズに扮して登場したのだ。金髪ならば簡単だ。黒のタートルネックに赤の口紅をつけて、髪を低い位置でポニーテールにすればそれで一丁上がりだ!これでハロウィンパーティーの準備は万端!

しかしこのコスプレイヤーたちは、話を聞いた記者たちが見た限り、みな本気だった。虚偽の血液検査結果を出すことで、人びとの健康を積極的に脅かした会社を経営するという深刻な詐欺罪で起訴されたエリザベス・ホームズを、有罪かどうかはまだわからないものの彼らは心から称賛していた。だが、ひとそれぞれだ。

LinkedIn(リンクトイン)でさえTikTok(ティクトック)のようになりたいと思っている

基本的に、すべてのソーシャル / エンターテインメント・プラットフォームは、縦長のショートフォームビデオを組み込む方法を編み出している。TikTokの直接のライバルであるInstagramやSnapchat(スナップチャット)がこのようなことをするのは、非常に無機的で派生的な感じがするものの、理には適っている。しかし、2021年末になるころには、Netflix(ネットフリックス)、Spotify、Reddit(レディット)、Twitter(ツイッター)、Pinterest(ピンタレスト)といった企業までもが試行を始めていた。2022年にはLinkedInも加わる予定だ

プロフェッショナルネットワーキングプラットフォームのLinkedInは2021年、ストーリーを試みたが、Snapchatの丸パクリ機能を統合したInstagramほどの成功は収められなかった。

フリートよさらば

また、Twitterはフリートでもあまり良い結果を出せなかった。この件については、不吉な予感を感じることはできたのではないかと思う。まさにTwitterは、その名の通りフリートな運命を決定付けたのだ(英語のFleetは「束の間の」とか「はかない」という意味を持つ)。短くてすぐに消える動画に参入しようとした同社の試みは、Twitterユーザーの間で大きな反響を呼ぶことはなかった。Twitterユーザーたちは他のソーシャルメディアとは異なる機能を持つ従来のフォーマットを特に気に入っているからだ。すなわちユーザーのフォロー数に関係なく、鋭いユーモア、辛らつな批判、完璧なタイミングのフェイク、時折すばらしいものを垣間見させることができるテンポの速い単語や画像の応酬が好きなのだ。いまさらSnapchatやInstagramのストーリーのようなものを、一体誰がさらに必要としているというのだろうか?特にこの期に及んで、大した工夫もなく、簡単に利用できるものでもない機能を投入しているところは何をしたいのだろうか。

Instagramはウェブ上でティーン向けの安全機能をオンにし忘れていた

2021年7月にInstagramは、ユーザーの安全性を確保するために、これまでの欠点を覆うためのいくつかの新機能を導入した。そのうちの1つの機能は、16歳未満のユーザーが新規にアカウントを作成すると、デフォルトで非公開になるようにするというものだ。しかし、Marsha Blackburn(マーシャ・ブラックバーン)上院議員(共和党/テネシー州)は、何カ月も前から目の前にあったスクープを発掘してテックジャーナリストたちに恥をかかせた。10代の若者がウェブ上でInstagramのアカウントを作った場合、デフォルトでは公開になっていたのだ。

まあ公平な立場からみれば、Instagramをウェブで使う人はほぼいないだろう。しかし、これはかなり大きな見落としであると感じられたのだ。インスタグラムの責任者であるAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏は、自分のチームが失敗したことを認めなければならなかった。それ自身かなり困惑させるものだったが、同時に2021年の秋に上院で、10代の安全へのコミットメントを繰り返し主張してきた同社にとっては、憂慮すべき痛恨の間違いだった。

この記事の見出について

もとはDevin(デビン)のアイデアだったが、Amanda(アマンダ)に喜んで賛成してもらえた。まだまだチューギーだ。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Devin Coldewey、Amanda Silberling、Ingrid Lunden、翻訳:sako)

「誰かWeb3を見た人はいるか?」テスラ/SpaceXのイーロン・マスクと元Twitter CEOのジャック・ドーシーがWeb3を語る

「誰かWeb3を見た人はいるか?」イーロン・マスクとジャック・ドーシーがWeb3について語る

Handout . / reuters

元Twitter CEOのジャック・ドーシー氏と、テスラ/SpaceXのイーロン・マスク氏はともにBitcoinの信奉者ですが、月曜日にこの2人は「Web3」というキーワードで互いに意見を述べ合いました。

まず、Web3とは一体何なのかというところからですが、ざっくりいえば、次世代のインターネットの姿を漠然と現すために使われている単語ということです。2000年代中頃にはWeb 2.0という言葉がよく使われていましたが、Web3もそれと同じように、今の時点から見た将来のインターネットを指しています。

もう少し具体的に説明を付け加えると、Web3を考える人は現在のインターネットがGoogle(Alphabet)、Amazon、Facebook(Meta)、Appleによって大半のデータやコンテンツを握られ、支配されすぎていると考えています。実際われわれはインターネット上に共有した膨大な量のデータやコンテンツをこれら企業に蓄積、利用させています。またその弊害として行きすぎたターゲティング広告の氾濫などといった問題も表れています。

そして、未来のインターネットとなるWeb3では、こうした集中、集約型のネットワークとは違う、分散型のネットワークを基本にブロックチェーン技術に基づくインターネットが利用されるようになるとよく言われ、企業や起業家らがWeb3となるような技術やその他仕組みを設計、構築しようとしています。

現在のところ、Web3はまだ漠然としたものであり、流行のNFTや暗号資産を支えるブロックチェーン技術によってそれが実現されれば将来のインターネットはイケてる感じになるだろうと人々は夢想している、と言う段階の話です。

イーロン・マスク氏は、月曜日に1995年に当時マイクロソフトCEOだったビル・ゲイツ氏が人気司会者デイヴィッド・レターマン氏とインターネットに関して話している場面を使ったTikTok動画をツイートし「当時ほとんど想像できなかったような現在の状況を考えると、未来はどうなっているんだろう?」と述べました。

そして「今のところ、Web3が本物、現実のものというよりはマーケティングのためのバズワードのようだが、10年後、20年後または30年後の未来はどうなっているんだろう。 2051年なんてクレイジーなほど未来にじゃないか!」と続けました。さらに翌日、マスク氏は「誰かWeb3を見た人はいるか?私は見つけられないのだが」ツイートしました。

これを見たジャック・ドーシー氏は「それはきっとa~zの間のどこかにあるよ」と返答しました。これはWeb3の理想を追う人たちに向けたちょっとした皮肉で、Web3はすでに早くからFacebookを支援していたベンチャーキャピタル企業のAndreessen Horowitz(a16z。aで始まりzで終わる)が管理下に置いているとの意味を暗に示しました。ドーシー氏の考えは最終的にWeb3がどんな形になるのであれ、それを所有するのはベンチャーキャピタル(VC)とそのリミテッド・パートナーシップ企業(LP)であり「彼らの支配から逃れることはできないだろう」とツイート、結局は呼び方を変えただけの中央集権方式なのだと主張しています。

このドーシー氏のツイートには、大量のいいねやリツイートが付きましたが、一方で「大間違いだ」「まったくもって同意できない」といった否定的なコメントもあります。まあ、まだマスク氏ですら見つけられていないものがどんな風になるのか、いったい誰にわかろうかという話ではありますが、今のインターネットと、皆が思う理想のインターネットの形が違うのは間違いなさそうです。

(Source:Elon Musk(Twitter)Jack Dorsey(Twitter)Engadget日本版より転載)

【コラム】私たちが自律型ロボットを設計できなくても、ロボットが自らを設計できるかもしれない

Elon Musk(イーロン・マスク)氏が先に発表した、人間型で「人間レベルの手」と特徴的に楽観的な納期を備えたTesla Bot(テスラ・ボット)は、当然のことながらそれなりの批判を集めている。

関連記事:テスラはロボット「Tesla Bot」を開発中、2022年完成予定

このロボットは最終的に、単独で食料品店に行くなどの用事をこなすことができるようになるとマスク氏は述べている。Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)は、これまでで最も高度なヒューマノイドロボットを開発中だが、Atlas(アトラス)プラットフォームへの取り組みに10年以上を費やしてきた。Atlasは、何千万人ものYouTube視聴者の前で走ったり、ジャンプしたり、踊ったりするなど、目覚ましい進歩を遂げているものの、同社はこのロボットが複雑なタスクを自律的に実行するにはまだ長い道のりがあることを即座に認めている。

ロボットの進化のポテンシャル、そして果されていない約束に関する最も良い例の1つが、2010年にPLOS Biology(プロス・バイオロジー)誌に発表された研究である。この研究の執筆者たちは、モーターとセンサーを搭載した物理的なロボットを使って(単なるシミュレーションではなく)、衝突のないナビゲーション、ホーミング、捕食者と被食者間の共進化など、いくつかの進化モデルとフィットネス目標を実行した。

彼らは結論の中で「これらのロボットによる実験的進化の例は突然変異、組み換え、自然選択による進化の力を証明している。すべての場合において、ロボットはそのゲノムにランダムな値があるために、最初は完全に非協調的な行動を示した」と記している。

要約すると、この研究は「広範囲の環境条件下で効率的な行動の進化を促進するには、数百世代にわたるランダムな突然変異と選択的複製が必要にして十分である」と結論づけている。

この非常に多くの世代にわたる進化の必要性は、Alphabet(アルファベット)が最近リリースした、Google(グーグル)のオフィスの清掃作業を行う100台を超えるEveryday Robot(エブリデイ・ロボット)のプロトタイプに示されている。そのぎこちなく、たどたどしい動きは、依然として進歩途上の域を出ない

「進歩」対「完全」

マスク氏がロボティクスのフィールドで競争に勝つことは実際にあり得るかもしれないが、ロボット自身の助けが必要になるだろう。進化的コンピューター分野の多くの専門家によれば、一定のフィードバックや学習ループを必要とする複雑なタスクを実行できるロボットは、人間が自ら直接設計するには複雑すぎるという。それよりむしろ、ロボットによる開発と設計の未来は、特定の結果に最も役立つ機能をロボットが選定する「進化」の産物になる可能性を秘めている。

進化的ロボティクスはSFのように聞こえるが、新しいコンセプトではない。1950年代初頭でさえ、Alan Turing(アラン・チューリング)氏が、インテリジェントな機械の創造は人間の設計者には複雑すぎるだろうと考え、より良い方法はそのプロセスに「突然変異」と選択的複製を導入することかもしれないと仮定していた。もちろん、進化的ロボティクスの背景にあるアイデアはかなり前から形になっていたが、そのコンセプトを実行に移すために必要なツールが利用できるようになったのは最近のことにすぎない。

現代史上初めて、私たちは進化的ロボティクスを促進する上で必要なあらゆるビルディングブロックを手にしている。3Dプリンティングを使った迅速なプロトタイピングと物理的な複製、学習と訓練のためのニューラルネットワーク、改善されたバッテリー寿命と安価な材料などだ。

例えば、NASAはすでに人工進化技術を使って衛星用アンテナを開発している。それ以上にエキサイティングなのは、バーモント大学とタフツ大学のクリエイターが2020年に「xenobot(ゼノボット)」を発表したことだ。これは「進化的ロボティクスの技術を使ったコンピューターシミュレーションで初めて設計された小さな生物機械」である。

この自己修復型の生物機械はカエルの幹細胞を使って作られたもので、ペイロードを動かしたり押したりする能力を示している。この「ナノロボット」は、いつの日か血流に注入されて薬を運ぶことに使えるようになると考えられている。

しかし、これらすべてのブレークスルーが存在するとしても、物理的ロボットの進化的反復は依然として時間を要するものであり、その理由の一部は、それにともなうリスクに起因している。食料品を買いに行くような作業でさえ、信じられないほど複雑で、クルマが往来する道路を横断してしまうようなロボットのさまざまなミスが人間を危険にさらしかねない。

多くの可能性

マスク氏が既存のTesla(テスラ)車を単なる車輪付きロボットだとするのは間違ってはいないが、あまりにも単純化しすぎている。Teslaは1つのタスクに特化しており、直接的な監督なしでは複雑な世界をナビゲートする自己学習はできない。同氏はスーパーコンピューターを自由に使えるようにし、すでに高度なロボットと驚異的なAI専門家チームを手に入れているかもしれないが、独立して人前に出ることのできるヒューマノイドロボットの実現はまだ遠い先のことだろう。

自力で動けるロボットを作るためには、ロボットが突然変異を起こし、2つの異なる親の最も望ましい特性を組み合わせていく、数百「世代」の進化が必要となるであろう。

有用な現実世界のアプリケーションを空想するなら、セキュリティと偵察のラインに沿って想定してみよう。安全検査やコードコンプライアンスの構築、消防支援、さらには捜索救助支援なども考えらえる。

2021年6月、フロリダ州サーフサイドのビーチフロントにあるコンドミニアムの塔が崩壊し、100人近い命が奪われた。ドローンの大群が有用であることを示す好例は、建物の建築とコード検査かもしれない。老朽化したマンションの最上階から最下部、内部、外部まで、センサーやカメラを使って防水性の問題、コンクリートのはく離やひび割れ、沈下などの問題をチェックする、より定期的で頻度の高い検査を行うことができる。これは、人間のエンジニアチームの何分の1かのコストで実現可能である。

他にも、警備や医療支援など、イベントに役立つアプリケーションがある。ヒューストンのアストロワールドの悲劇を思い出して欲しい。10万人規模のイベントでは、人間の警備員が広大で混雑した地帯をカバーするのは難しいことが多い。ドローンやロボットの群れは、セキュリティ上の問題や闘争、発作を起こしている人あるいはその他の医療上の緊急事態を監視したり、自動体外式除細動器のような医療機器を人間のスタッフよりもはるかに迅速に運んだりするといった点で、極めて有用である。

なぜドローンは群れを成し、1機ではないのか。多くの理由があるが、主としてレジリエンスと冗長性が挙げられる。1機のドローンが故障しても、オペレーションは途切れることなく継続する。これは「ミッション」を中断できない高リスクの状況で特に有用である。

より良いロボットの創造

「進化的ロボティクス」という用語は、有機的な進化から学んだプロセスを非有機的なデバイスに複製することを意味しているため、少し誤解を招きやすい。より良い記述子は「人為的進化」あるいは「具現化進化」かもしれない。ロボットが進化しているというよりも、プロセスそのものが進化を生み出しているのである。

同じアプローチは、2つ以上の親由来の突然変異とそれに続く組み換えの両方を介して「子孫」を生成するニューラルネットワークと進化アルゴリズムを装備可能な、任意のエンティティに適用することができる。実際、進化には物理的な形さえ必要ない。これらと同様のプロセスをスーパーコンピューターの内部に配置して、大規模な問題を解決することもできる。進化のより良い理解は、私たちが何を成し遂げるのに役立つだろうか?

1つは、自律的な現実世界のインタラクションである。進化的ロボティクスは、複雑かつ自律的な現実世界でのインタラクションを可能にする唯一の方法だ。そのようなロボットの利点は列挙するには長すぎるが、ユースケースは、ロボット消防士、捜索救助ロボットから、核廃棄物浄化ロボットや在宅介護ロボットなどにまで及ぶ可能性がある。

私たちはまた、有機的進化についてもさらに理解を深めることができる。進化についてのより微細な知識は、推し量るのが難しいほど幅広いアプリケーションを生み出す可能性がある。病気の治療や免疫の確立、寿命の延長、生態系へのインパクトの軽減など、地球上の未来をより正確に把握するための最善の方法について、信じられないほどの洞察を得られるかもしれない。

生命の起源を知る手がかりを得る可能性も秘めている。人工的な進化を研究し、習得することにより、他の惑星で生命が形成され進化し得るあらゆる方法について理解を深めることができるだろう。科学の専門家の多くは、宇宙の他の場所に生命が存在する可能性は低いとしているが、進化に関するより深い理解と、ミクロスケールで大進化を再現する能力は、地球外生命の探索の指針となることは間違いない。

もろ刃の剣

最後に太陽系の探査について考えてみよう。完全に自動化され、自己複製し、進化するロボットがあれば、これまでの想定をはるかに超える距離で、宇宙の奥深くまで無人ミッションを送ることが可能になる。これらのロボットは、着地した惑星に適応し、コンポーネントを再利用し、環境に応じて進化し、最終的にはデータや子孫を地球に送り返すことができるかもしれない。

ロボットが街を歩き回るというアイデアが「ターミネーター」のようなロボットの蜂起のイメージを想起させるのであれば学習、再生、環境観察、進化が可能なロボットが現実からまだ遠いという事実に慰めを得ることができる。

むしろ、複雑な現実世界のインタラクションが可能で真に自律的なロボットを習得する上での最大の難点は、人間のワークフォースが必然的に移動することだ。マスク氏は、この問題の解決策はベーシックインカムの普及であり、将来の仕事は完全に任意だと考えている。

同意できそうにない。人間は仕事と創造から自尊心と価値を得ており、それを取り除くことは、潜在的な経済的影響に加えて、広範囲にわたる心理的インパクトが生じる可能性がある。これは複雑な問題だが、進化的ロボティクスは、最大の成果の1つとなり得るとともに、人類が直面しなければならない最大の課題にもなり得るだろう。

編集部注:本稿の執筆者Gideon Kimbrell(ギデオン・キンブレル)氏は、InListの共同設立者兼CEO。

画像クレジット:NanoStockk / Getty Images

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(文:Gideon Kimbrell、翻訳:Dragonfly)

内部告発者がらみのジョーク、または脅し?イーロン・マスク氏が約5600円の「サイバーホイッスル」を宣伝

Tesla(テスラ)はまだEVピックアップトラックの「Cybertruck(サイバートラック)」を生産していないが、期待されながらも発売が遅れている同モデルに関連した新しいグッズを手にしたいという熱烈なファンは、50ドル(約5600円)で「Cyberwhistle(サイバーホイッスル)」を購入することができる。そう、ホイッスルだ。

TeslaのElon Musk(イーロン・マスク)CEOは米国時間11月30日、6510万人のフォロワーが閲覧できるようウェブページへのリンクをツイートし「Blow the whistle on Tesla(訳者注:直訳するとテスラに警笛を、慣用句では、テスラについて内部告発してみろ)」というメッセージを添えた。このメッセージは、実際に内部告発を試みた元従業員たちを揶揄しているのか、それとも脅しているのかはわからない。同氏はその後、「あのくだらないApple Cloth(ポリッシングクロス)を買ってお金を無駄にする代わりに、当社のホイッスルを買ってください!」とツイートした。

リンクをクリックすると、このようなメッセージが表示される。

Cybertruckにインスパイアされた限定版Cyberwhistleは、医療グレードのステンレススチールにポリッシュ仕上げを施したプレミアムコレクティブルです。このホイッスルには、一体型アタッチメント機能を搭載し、汎用性を高めています。

注:サイバーホイッスルは返品不可となります。

画像クレジット:Tesla

この「一体型アタッチメント」が何を意味するのかは不明だが、TechCrunchは、ユーザーがこれを首から下げられるようにするためのランヤードホールを指しているのではないかと推測している。

Tesla愛好家なら誰もが期待するように、Cyberwhistleは、マスク氏が2019年11月に明らかにした全電動トラック「Cybertruck」の形をしている。Cybertruckは、2021年後半に生産を開始する予定だった。潜在的な顧客が100ドル(約1万1000円)の返金可能な予約金を払うことができる同社のウェブサイトによれば、同社はその日付を2022年のいつかに延期している。

Cyberwhistleは、150ドルのTeslaデカンタ(約1万7000円)、Teslaのスーパーチャージャーをモデルにした45ドル(約5000円)の「Desktop Supercharger」USBケーブルオーガナイザー、35ドル(約3950円)のS3XYマグカップ、そして2022年に生産開始が延期されたTesla Semi(テスラセミ)を含むいくつかのクルマのダイキャストモデルなどのアイテムを含む、Teslaのライフスタイル製品のカテゴリーに含められている。

画像クレジット:Tesla

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Aya Nakazato)

マスク氏、人類を他の惑星に送り出す大規模打ち上げシステム「Starship」の初軌道飛行は2022年1月が目標

SpaceXは、史上最大の超重量級打ち上げシステムStarshipの開発を、驚異的なペースで進めている。そして同社CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は、2022年中に軌道に達するあろうことに「安心」している。

マスク氏は、全米アカデミー初のSpace Studies Board(宇宙研究委員会)およびBoard on Physics and Astronomy(物理・天文学委員会)の合同バーチャル会議で、いつも哲学的方向に脱線しがちなコメントの数々を披露した。シンプルに「SpaceX Starship Discussion(SpaceX Starshipに関する議論)」と題された講演とその後の質疑応答で、同社の次世代システムの技術、運用面の詳細についてアカデミー会員からの質問に答えた。

マスク氏は、テキサス州ボカチカにある同社の広大な施設、Starbase(スターベース)の発射台と発射タワーを2021年11月中に完成させ、最初の軌道投入を2022年1月に行うことを目指している。その後、2022年中に10回あるいはそれ以上の打ち上げが続くだろうとマスク氏は述べた。

ただしそれは、Starshipが1月に軌道に到達するという意味ではないことをマスク氏が慎重に補足した。「最初の打ち上げには多くのリスクがともないます。成功する可能性が高いというつもりはありませんが、大きな進歩を遂げるだろうと私は考えています」と彼はいう。

1月の打ち上げを阻むもう1つの障壁は、当局の認可だ。SpaceXのStarbaseにおける打ち上げ事業は、現在、連邦航空局(FAA)の環境評価を受けている。FAAは今週、12月31日までに審査を終える予定だと語っているため、すべてがマスク氏の計画どおりに進めば、1月打ち上げは最速実行可能日となる。

マスク氏は、Starshipの打ち上げを約2年以内にFalcon 9よりも安い価格で販売開始することも予測した。これは、NASAの有人月面着陸システム(HLS)に関するSpaceXの提案に書かれた日程よりさらに早い(HLSはNASAのアルテミス計画の一環として、アボロ計画以来初めて人間を月に送り込むプログラムで、SpaceXが単独指名を勝ち取った。Artemis 3と呼ばれるその打ち上げは、現在、2025年に予定されている)。

Starshipの歩みは速い

Starshipのスケールを大げさに語ることは難しい。宇宙船Starshipと打ち上げロケットSuper Heavy(スーパーヘビー)からなる同システムは、歴史上どの打ち上げシステムよりも大規模だ。完成時の高さは120メートルになる(NASAが開発中のSpace Launch Systemと宇宙船Orionはフル装備で98メートル)。Starshipは100トン以上の積載物を繰り返し軌道に送り込む能力があり、マスク氏がいう「太陽系のための汎用輸送機構」として機能する。

しかしマスク氏の目標Starshipを1台か2台、いや10台作ることでもない。講演の中で同氏は、真に複数惑星の生活を送るためには、人類は約1000基の打ち上げシステムを必要とするだろうと推計した。そしてSpaceXは、それを大量(あるいは限りなくそれに近く)生産するための工場を作っている。

同社はStarshipの開発を高速で進めている。去る2021年5月、SpaceXはStarshipの15番目のプロトタイプを打ち上げ、ロケットは高度約9.1kmに達した後、垂直着陸に成功した。それは打ち上げ機が無傷のうちに終えた初めてのテストだった。

「SpaceXの最重要目標は、宇宙テクノロジーを進化させ、人間が複数惑星種に、究極的には宇宙を旅する文明となり、SFで読んだものごとを実現しフィクションではないものにすることです」と、マスク氏は全米アカデミー会員に語った。

「これは意識の光を長期的に維持するために、非常に重要なことだと思っています」。

マスク氏のトークは以下で確認することができる。

画像クレジット:National Academies

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nob Takahashi / facebook

イーロン・マスク氏のLas Vegas Loopはいまだ想定された移動速度を達成できていない

ラスベガス観光局(LVCVA)のCEO、Steve Hill(スティーブ・ヒル)氏は、市の広大なコンベンションセンター(LVCC)のキャンパスのさまざまな場所に乗客を運ぶ、The Boring Company(ボーリングカンパニー、TBC)による地下シャトルの計画を発表したとき、最も遠いステーション間の移動にかかる時間は2分弱だと予測していた。

ラスベガス・レビュー・ジャーナルによると、ヒル氏は2019年6月「もしシステムが機能しなければ、すべてのお金を返してもらいます」と述べたという。

TBCの担当者とLVCVAとの間で交わされたメールによると、その「2分間の約束」は、最近では4月にもメディアに対して繰り返している。そのメールは、Plainsiteが公文書法に基づいて入手した5051ページに及ぶ文書の一部だ。

今のところ、その2分間という目標は達成されていないようだ。

同じ記録請求で入手した詳細な運行報告書によると、LVCC LoopのTesla(テスラ)タクシーは、運行開始から6週間で、システムのステーション間の移動に平均4分近くかかっている。

3万回以上の無料乗車と7万5000人以上の乗客を対象としたデータによると、平均3分未満で移動した日はなく、平均5分かかった日もあった(TechCrunchは、システムの総輸送人数が1000人未満の日は除外している)。先週行われた大規模な自動車のカンファレンスの際に撮影されたビデオ(最近のものなので、今回の公開資料には含まれていない)でも、同様の所要時間が記録されている。

数分の遅れは、一般のコンベンション参加者にとってはもちろん大きな違いではないが、CESのような大規模な展示会の際にTBCが乗客数の目標を達成できない場合、多額の金銭的ペナルティが課される可能性がある。この目標と実績の乖離は、最近ゴーサインが出た、ラスベガスのより広い地域の公共Loopネットワークに対するTBCの約束にも疑問を投げかけている。結局のところ、LVCC Loopの実績は、マスク氏の地下タクシーが都市交通の手段として成り立つのか、それともテスラが支援するアミューズメントとしての性格なのかを示すものとなるだろう。

2021年4月9日、ネバダ州ラスベガスで開催されたLVCC Loop(ラスベガス・コンベンションセンター・ループ)のメディアプレビューで、セントラルステーションにデジタルマップが表示された(画像クレジット:Getty Images / Ethan Miller)

より大規模なVegas Loopシステムは、51のステーションと約29マイル(約46km)のトンネルで構成され、市内の多くの観光地を結ぶ計画だ。TBCはVegas Loopのプロジェクトページで、NFLスタジアムからコンベンションセンターまでの距離が、現在のLVCC Loopの4倍以上であるにもかかわらず、4分で移動できるとしている。

また、このままでは、LVCC Loopが1時間あたり4400人の会議参加者を輸送するという目標を達成できるかどうかについても、現実の運行データからは疑問が残る。

TBCは5月のデモイベントで、62台のTesla Model 3、X、Yに3人の乗客(荷物なし)を乗せて、その数字を達成した。しかし、実際には、6月初旬から7月中旬までの間に、それぞれのLoop車両に乗ったのは平均2人にすぎなかった。

2019年にTBCが締結した契約では、大規模なコンベンションでTBCが1時間あたり約4000人を移動できない場合、その度に30万ドル(約3420万円)のペナルティが規定されている。これほど大きな違約金が発生すると、Loopの存続に影響を与える可能性がある。Loopが6月の操業開始月に輸送サービスで稼いだのはわずか23万500ドル(約2630万円)だ。TBCは、運行台数にかかわらず、毎月16万7000ドル(約1900万円)の管理費も得ている。

また、LVCC Loopが7月中旬までに輸送した1時間当たりの最高乗客数は1355人だった。これは、LVCCがネバダ州の夏の暑い時期に最大規模の会議を行うことがあまりなく、輸送を必要とする乗客がそれほど多くなかったことが大きな理由だ。例えば、6月に開催された美容関係のコンベンションでは、Loopの運行エンジニアがLVCVAに「乗客数が極端に少ないので、車両数を減らしました」と書いていた。夕方に15分間乗客が入らなかったため、Loopの経営陣が早々にシステムを閉鎖したことも何回かあった。

Loopのサービスには3つのレベルがある。レベル2は、LVCCキャンパスで開催されるコンベンションがないときに、車両5台のみをアテンダントなしで運行する。レベル3は、23台の車両で最大2万人の来場者に対応する。レベル4は、30〜62台のTesla車を使い、最大規模のイベントに対応する。

大きな技術テスト

おそらく1月に開催されるCESには、18万5000人程度の来場者が集まる。Loopは先週、8月にTechCrunchが予測したとおり、70台の車両で運行する許可を得た。それでも、乗客数のペナルティを避けるには、所要時間を短縮するか、説得して1台の車両に少なくとも3人の乗客を乗せる必要がある。また、乗客を乗せずに走行する「ゴーストカー」を削減する必要もある。6月上旬に行われたLoopのオープニングイベントでは、ゴーストカーが大半を占めていた。

現在のトンネルでは、さらに多くの車両を入れることはできない。先週行われた70台のテストでは、市の検査官が「ステーション内のトンネルの中で、1~2秒の差で車両が出入りする場面が複数あった」と指摘した。Loopによる安全分析は、車間距離を6秒に保つことを前提としている。

ポジティブな評価

良いニュースはといえば、乗客はLoopを気に入っているようだということだ。「顧客はこのシステムをとても気に入っていて、キャンパス内の移動手段として利用しています。待ち時間は、最大の混雑時でも2分程度になるよう管理できます」と、Loop OperationsのディレクターSeth Hooper(セス・フーパー)氏は6月末に書いている。当初は15分ごとに2分間だけ点灯していたマルチカラーのトンネルライト「レインボーロード」も、利用者の要望に応えて現在ではほぼ常設となっている。

実は、このシステムの最大の問題の1つは、無許可の侵入者だ。Loopでは、10月にTechCrunchが報じた侵入車両に加え、コンベンションセンターの職員がのぞきに来たと思われる侵入が何度もあった。「無許可車両の最大の犯人は、LVCVAのカートです」とフーパー氏は書いている。

また、動物も侵入した。7月下旬、TBCの社員2名が、サウスステーション近くの雨水管に落ちた子猫を救出しようとした。

TBCとLVCVAは、この猫が最終的にどうなったのかという質問、また、運行データに関するその他の詳細な質問にはすぐに回答しなかった。しかし、TBCは、あらゆる交通機関が直面する安全に関わる事件をカタログ化している。少なくとも3回、Loopのドライバーがカーブを見誤ってフェンスかポールに衝突し、軽度の損傷を受けた。6月末までに発生した乗客のけがは、他の乗客が車両のドアを閉めた際、Loopの乗客が指に小さな裂傷と挫傷を負った1件のみだった。

こうしたデータは非常に貴重だ。TBCは1つの都市全体にサービスを提供するために、この技術を拡大する計画を立てているからだ。なお、LVCCとは異なり、Vegas Loopでは、子どもやペットの乗車が可能かどうか、また、有料の乗車券がいくらになるのかはまだわかっていない。

画像クレジット:Ethan Miller / Getty Images

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(文:Mark Harris、翻訳:Nariko Mizoguchi