若者に金を払い彼らをスパイするアプリをインストールさせるFacebook

競合他社のデータが欲しくてたまらないFacebookは、内密に人々に金を払い、Facebook ResearchというVPN(仮想プライベートネットワーク)をインストールさせていた。ユーザーのスマートフォンやウェブでの活動情報をすべて吸い上げるというものだ。これは、Appleによって6月に禁止され、8月に排除されたFacebookのOnavo Protectアプリとよく似ている。そこでFacebookはApp Storeから離れ、ティーンエイジャーや大人たちに報酬を支払ってResearchアプリをダウンロードさせるようになった。Facebookはこのアプリにルート権限を持たせ、おそらくAppleの規約に違反して、スマートフォンを使ったユーザーの活動の暗号解読と解析を行っていることがTechCrunchの調査で確認された。FacebookはTechCrunchに対して、Researchプログラムでユーザーの行動に関するデータを集めていたことを認めたが、止めるつもりはないとも話している。

2016年より、Facebookは、13歳から30歳までのユーザーに最大で月20ドルと紹介料を支払い、iOSまたはAndroid版の「Facebook Research」アプリをインストールさせて、彼らの個人情報を買い取っていた。Facebookは、Amazonの購入履歴のスクリーンショットの提出も要求していた。この計画は、ベータテストを請け負うApplause、BetaBound、uTestといった企業を通して運営され、Facebookの関与は隠されていた。一部の資料では、計画名が「プロジェクト・アトラス」とされていて、世界の流行やライバルをマッピングしようとするFacebookの思惑を見事に表現している。

我々が、Guardian Mobile Firewallのセキュリティー専門家であるWill StrafachにFacebook Researchアプリの解析を依頼したところ、彼はこう教えてくれた。「もしFacebookが、ユーザーにCertificate(証明書)のインストールを要求して、最高レベルまでアクセスを可能にした場合、次のようなデータを継続的に収集できるようになります。ソーシャルメディア・アプリでのプライベートなメッセージ、インスタントメッセージ・アプリでのチャット(互いにやりとりした写真や動画も含まれる)、電子メール、ウェブ検索、ウェブ閲覧、位置情報を追跡するアプリがいずれかでもインストールしてあれば、そこからリアルタイムの位置情報もわかります」 。この中でFacebookが本当に欲しい情報がどれなのかは不明だが、このアプリをインストールさせれば、ほぼ無制限にユーザーのデバイスにアクセスできるようになる。

この戦略から、Facebookが、その拠り所であるAppleのiOSプラットフォームの規約を破ってまでして、どこへ行こうとしているのか、また今の独占状態を保つためにどれだけ支払う気があるのかが見てとれる。Appleは、FacebookにResearchアプリの配布を止めさせる手段を講じたり、社内使用限定アプリの提供許可を取り消すなどしてきたが、両者の関係はどんどん悪化する恐れがある。AppleのTim Cookは、Facebookのデータ収集活動を再三批判してきた。iOSの規約に従わず、さらなる情報を吸い上げ続けるFacebookの問題は、新しい段階に入ろうとしている。TechCrunchは、この問題の認識についてAppleにコメントを求めたのだが、記者発表の前に話を聞くことはできなかった。

「とても専門的に聞こえますが、『私たちのRoot Certificate(ルート証明書)をインストールしてください』というステップにはゾッとします」とStrafachは私たちに話した。「これにより、Facebookは私たちのもっともセンシティブなデータに継続的にアクセスできるようになります。そしてほとんどのユーザーは、同意書にサインはしても、これに本当の意味で同意することはできません。同意した時点で、どれだけの権限をFacebookに譲り渡すのか、はっきりとわかる方法がないからです」

Facebookの調査アプリ

Facebookがデータを嗅ぎ回るビジネスを開始したのは、2014年に1200万ドル(約13億円)でOnavoを買収したときからだ。そのVPNアプリによって、ユーザーはモバイル機器のデータプランの利用状況を確認し節約することが可能になったのだが、同時に、ユーザーがどのようなアプリを使っているかという深いところまで解析する権利をFacebookに与えてしまった。BuzzFeed NewsのCharlie WarzelとRyan Macが入手した内部資料によれば、Facebookは、WhatsAppから1日に発信されるメッセージの量がFacebookのMessengerの2倍であることをOnavoを使うことで知ったという。OnavoはFacebookに、急速に成長するすスタートアップWhatsAppの存在を知らせ、2014年に同社を190億ドル(約2兆754億円)で買収する理由を与えた。それによりWhatsAppのユーザー基盤は3倍になり、Onavoはその優れた先見性を示すこととなった。

それから数年間、OnavoはFacebookに、どのアプリを真似するべきか、どのような機能を作り、どんな失敗を避けるべきかを提言してきた。2018年までFacebookは、メインのFacebookアプリのProtect」ボタンでOnavo Protectアプリを推奨し、情報源となるユーザーを増やそうとしていた。さらにFacebookは、監視中にパスコードや指紋でアプリをロックするOnavoのBolt App Lockアプリの配布を開始したが、プライバシー上の批判を受けてすぐに取り下げている。Onavoのメインのアプリは、今でもGoogle Playにあり、1000万回以上ダウンロードされている。

3月、ユーザーが画面をオンオフしたこと、またVPNがオフのときでもWi-Fiとスマートフォンのバイト単位のデータ利用状況をOnavo ProtectがどのようにFacebookに報告しているかをセキュリティーの専門家Strafachが詳しく解説すると、大きな反動が起きた。6月、Appleは開発者向けの規約を改定し、他のアプリの利用状況や、自身のアプリの機能とは関係のないユーザーの情報の収集を禁じた。8月、Appleは、Onavo Protectがデータ収集に関する規約に違反していること、そしてApp Storeでの配布を止めるようFacebookに伝え、Facebookはそれに従ったと、WSJのDeepa Seetharamanは伝えている。

しかし、それでもFacebookのデータ収集は終わらなかった。

プロジェクト・アトラス

TechCrunchがこのほど入手した情報から、Onavo ProtectがApp Storeから追い出されても、Facebookは似たようなVPNアプリを「Facebook Research」という別名で、ユーザーに報酬を支払う形でApp Storeとは別のところから配布していることがわかった。我々の調査で判明したのは、BetaBound、uTest、Applauseというベータテストを請け負う3つの企業に依頼して、FacebookがResearchアプリを配布しているということだ。Facebookは、2016年にResearch VPNアプリの配布を開始している。これは2018年中ごろから「プロジェクト・アトラス」と呼ばれるようになった。ちょうど、Onavo Protectの問題が騒がれ、AppleがOnavoを締め出すために規約を改定した時期だ。しかしFacebookは、一般ユーザーのスマートフォンの使用状況に関するデータの収集をあきらることはなく、Onavo ProtectがAppleによって排除された後も、Research計画を継続した。

uTestが運営するプログラムのInstagramとSnapchatの広告(下の写真)は、「有償ソーシャルメディア調査」と称して13歳から17歳の若者に参加を訴えかけている。Applauseが管理するFacebook Researchの申し込みページでは、Facebookの名前は出てこないが、「対象年齢:13-35(13-17歳の方は保護者の同意が必要です)」のユーザーを求めている。未成年者が申し込もうとすると、保護者の同意書の記入フォームが表示され、そこにはFacebookの関与がこう記されている。「当プロジェクトに参加することによるリスクは報告されてませんが、当プロジェクト固有の性質上、お子様がアプリをご使用になる際に個人情報が追跡されることをご理解ください。お子様のご参加には、Applauseより報酬をお支払いいたします」。お金が欲しい子どもたちは、報酬と聞けば自分のプライバシーをFacebookに売ってもいいと思うだろう。

Applauseのサイトでは、Facebook Researchアプリによって収集される可能性のあるデータの種類が次のように説明されている(私に該当する部分は太字にしてある)。

「このソフトウエアをインストールすることにより、あなたは私たちの依頼主に、あなたの携帯端末から収集したデータ、および、携帯端末にインストールしているアプリの機能の利用状況に関する情報の提供を許可したものとみなします。……つまり、あなたは以下のような情報の収集を、私たちの依頼主に許可します。あなたの携帯端末に入っているアプリは何か、いつどのようにそれを使っているか、あなたの利用状況およびそのアプリに含まれるコンテンツに関するデータ、それらのアプリを通じて、他の人たちがどのようにあなたやあなたのコンテンツに関わっているか。また、あなたは私たちの依頼主に、インターネットでの閲覧状況(どのウェブサイトを見たか、そして、あなたのデバイスとそれらのウェブサイトとの間で交わされたデータを含む)と、他のオンラインサービスの利用状況に関する情報の収集も許可することになります。私たちの依頼主は、アプリが暗号化されているとき、または保護されたブラウザーの利用中でも、これらの情報を収集することがあります

一方、URLの最後に「Atlas」と付いているBetaBoundの申し込みページでは、「アプリをあなたの携帯端末にインストールしてバックグラウンドで実行すると、1カ月に20ドル(eギフトカード)が支払われます」と説明されている。このサイトでも、最初にFacebookの名前は出てこないが、Facebook Researchのインストール説明書でFacebookの関与がわかる。

Facebookは、Appleの審査が必要で、参加者が1万人に限定されるApple公認のベータテスト・システムTestFlightは意図的に避けているようだ。その代りに、説明書では、ユーザーはアプリを「r.facebook-program.com」からダウンロードし、Enterprise Developer Certificate(企業向け開発者証明書)とVPNをインストールして、ユーザーのスマートフォンにFacebookがルートアクセスすることに加えて、大量のデータ転送を許可してFacebookを「信頼する」ことになっている。Appleでは、従業員に向けた社内用アプリの配布にのみこの証明書システムを使うよう、開発者に同意を求めている。テスターを無作為に募り、月額で報酬を支払うというのは、この規約の精神に反する。

インストールしても、VPNを常に実行状態にして、Facebookにデータを送り続けなければユーザーは報酬を受け取れない。Applauseが管理するプログラムでは、ユーザーのAmazonの注文履歴のスクリーンショットの提出も求めてくる。Facebookはこのデータを使って、ユーザーのネット閲覧の習慣とアプリの利用状況を、買い物の好みや買い方にが結びつけることができる。その情報は、ターゲットを絞ったピンポイントの広告を打ったり、どんなタイプのユーザーが何を買うのかを知る役に立つ。

TechCrunchは、Facebook Researchアプリの解析と、データの送り先の特定をStrafachに依頼した。彼は、データがOnavoのIPアドレスに関連付けられた「vpn-sjc1.v.facebook-program.com」にルーティングされていることを確認した。さらに、MarkMonitorによると、このfacebook-program.comドメインはFacebookに登録されているという。このアプリは、App Storeを介さなくても自動的に更新され、PeopleJourney@fb.comへのメールアドレスがリンクされている。さらに、企業向け証明書は、2018年6月27日にFacebookによって更新されていることをStrafachが突き止めた。これは、同類のOnavo ProtectアプリをAppleが禁止すると発表した数週間後だ。

「Facebookが実際にどのデータを(彼らのサーバーにアクセスせずに)保存しているかを探るのは困難です。今わかっている唯一の情報は、アプリのコードに基づいてFacebookが何にアクセスできるかだけです。それを見ると、とても不安になります」とStrafachは言う。「彼らの返答や主張によると、非常に限られた一部のデータのみを留め、または保存しているとのことです。それは本当かも知れません。どれだけFacebookの言葉を信じるかによりますが。この状況を、できる限り大目に見るなら、Facebookは自分たちに許しているアクセス権限の大きさを、あまり深く考えていないということになります。……もしそうであれば、衝撃的なまでに無責任な話です」

Appleの規約に対する目に余る反抗

TechCrunchの質問にFacebookの広報担当者は、これは人々がどのようにスマートフォンや他社のサービスを使っているかを調査するプログラムだと答えた。広報担当者はこう話している。「他の企業と同じように、私たちも事業の改善に役立つものを特定するために、人々に調査への協力をお願いしています。この調査は、人々がモバイル機器をどのように使っているかをFacebookが知るためのものなので、私たちがどのようなタイプのデータを収集するか、そしてどのように参加していただけるかに関する情報を、できる限り多く提供しています。ここで得られた情報を他者に漏らすことはありません。また、参加者はいつでも脱退できます」

Facebookの広報担当者は、Facebook ResearchアプリはAppleの企業向け証明書プログラムに準拠していると主張している。その逆であることを示す証拠を提示しても、弁解はなかった。彼らによると、Facebookが最初のResearchアプリを公開したのは2016年とのこと。このプログラムはフォーカスグループと同じだとの論を展開し、NielsenやcomScoreも同じことをしていると彼らは主張したが、NielsenもcomScoreも、VPNのインストールやルートアクセス権を求めたりしない。Facebook Researchプログラムは、たしかにティーンエイジャーを募っているが、世界中の他の年代の人々も募っていると広報担当者は語る。OnavoとFacebook Researchとは別物だと言うが、コードがそっくりだとの指摘に対して、どちらも同じ部署が担当ているからだと認めた。

Facebookは、Appleの企業向け証明書の規約には違反していないと言うが、規約の条件には真っ向から矛盾している。規約によれば、開発者は「プロビジョニング・プロファイルは貴社従業員の間でのみ、また開発およびテストの目的により社内で使用するアプリケーションと連結されている場合のみ配布できる」ことになっている。さらに「貴社の顧客に対して使用、配布、またはその他の形で提供してはならない」となっている。ただし、従業員の直接の管理下、あるいは会社の敷地内であればその限りではない。Facebookの顧客は、企業向け証明書に裏付けされたアプリを従業員が管理していない状況で使わせているので、Facebookが違反しているのは明らかだ。

Facebookは、これほどあからさまにAppleに反抗すれば、両社の関係は傷ついてしまう。「このiOSアプリに含まれるコードは、禁止されたOnavoアプリの単なる稚拙な焼き直しであることを強く示していて、Facebookは、Appleの規約に直接違反するFacebook所有の企業向け証明書を使い、このアプリをAppleの審査を受けないまま、好きなだけ多くの人に配布しています」とStrafachは我々に話した。ONVというプレフィックスと「graph.onavo.com」というメンション、そして「onavoApp://」や「onavoProtect://」というカスタムURLを使う手法で、彼らはアプリをばら撒いている。「これはいろいろな意味で甚だしい違反です。Appleは、署名した証明書を無効にして、このアプリを使えなくするために迅速に行動してくれるよう望みます」

ティーンエイジャーがソーシャルネットワークを離れ、SnapchatやYouTubeやFacebookが買収したInstagramに流れていく今、その年代がスマートフォンで何をしているのかは、Facebookが大いに知りたいところだ。中国の動画音楽アプリTikTokの人気の秘密と、そこでシェアされている話題(ミーム)を研究したFacebookは、Lassoというクローンアプリを立ち上げ、LOLというミームをブラウズする機能を開発していたことは、TechCrunchが最初に伝えている。しかし、Facebookがメディアで散々な批判を受けている最中も、ティーンエイジャーのデータを欲しがる同社に批評家たちはイライラを募らせている。明日のFacebookの収支報告会では、重要な情報を収集できる別の方法はないのかと、アナリストたちは質問すべきだ。

昨年、Tim Cookは、もしCambridge Analyticaスキャンダルの渦中にいるMark Zuckerbergの立場に立たされたらどうするかと聞かれたとき、こう答えている。「私は、そんな状況は決して招きません。……実際、お客様を金に替えれば、またはお客様が私たちの製品だったら、莫大な利益が得られます。私たちは、それをしないために任命されています」。ZuckerbergはジャーナリストのEzra Kleinに、Cookのコメントに対する感想として「まったく口先だけだ」と話している。

Appleが警告を発しても、Onavo Protectを排除しても、Facebookはそれでも貪欲にAppleのiOSプラットフォームを使って競合他社のデータを集めまくっている。「App Storeの開発者で、これほどあからさまなAppleの規約違反を見たことがありません」と、Strafachは締めくくった。AppleがResearchプログラムを排除しても、Facebookは、このプライバシーにうるさい状況下でまた別の方法で我々の行動を調査するか、あるいは闇に消えるかするだろう。

追加取材:Zack Whittaker

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(翻訳:金井哲夫)

FacebookのMomentsは来月閉鎖、ユーザーは早急にエクスポート作業が必要

写真やビデオを非公開で保存できるFacebookのスタンドアローン・アプリ、Momentsは来月閉鎖される。

FacebookではMomentsが2月25日で閉鎖されることを確認した。しばらく前からMomentsのアップデートは行われていなかったが、いよいよ運営そのものが停止される。

Momentsのユーザーは写真やビデオを他の場所に移転するよう促す下のようなメッセージが届いている。メッセージにはファイルのエクスポートを実行するための青いボタンが用意されている。

エクスポートのオプションは2つある。一つはFacebookアカウントを利用してFacebook本体に非公開のアルバムを作成し、Momentsのコンテンツをエクスポートする。もうひとつはローカル・デバイスにダウンロードする。FacebookによればMomentsウェブサイトからのエクスポートは2019年5月まで可能だという。

ユーザーはどんなデバイスからでもエクスポートを実行できる。 Facebookアルバムを作成することを選択した場合、Facebook側で準備ができるとリンクが表示される。

ダウンロードを」選択した場合、途中でFacebookアカウントのパスワードの入力を求められる。コンテンツのサイズが表示され、ユーザーは3種類の画質を選択できる。

Momentsは2015年にスタートしたサービスだったが、その後ストーリーズなどFacebookが新設した他のサービスと競合する場面も見られた。おそらく、これがサービス閉鎖の理由の一つだろう。【略】Facebookでは「Faqcebookはデバイスのメモリーを節約しながらユーザー体験を向上させるようなオプションを追求していく 」と述べている。

(日本版)日本のユーザーは次のようなメッセージを受け取っているはず。

エクスポートはどのデバイスからでも開始できます。非公開のFacebookアルバムを作成すると、以下のセクションでFacebookアルバムへのエクスポートの準備ができたモーメントの隣にリンクが表示されます。

ダウンロード可能なファイルがある場合は、ファイルサイズと一緒にこちらに表示されます。ファイルをダウンロードするには、Facebookパスワードを入力する必要があります。

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滑川海彦@Facebook Google+

Facebookがソーラー発電のインターネット・ドローンをテスト中。エアバスと提携

昨年Facebookは世界中にインターネットを広げるソーラー発電ドローンを開発するという野心的計画を中止したが、コンセプトは終わっていなかったようだ。ソーシャルメディアの巨人は、航空機の巨人Airbusと組みオーストラリアでドローンをテストしていると、ドイツのNetzPolitikの最新記事が伝えた。

NetzPolitikは、オーストラリアの情報公開法を利用して昨年両社が2018年11月と12月に協力してテスト飛行を実施する計画を検討していたという情報を掴んだ。以前にも両社は衛星ドローンの通信システムで協力したことがある

その実験(実際に行われたかどうか定かではない)には、「防衛、人道、および環境ミッション」のために設計されたAirbusのZephyrドローンが関わっている。ZephyrはFacebookの中止されたAquilaドローンによく似ている。ソーラー電力を用いて「数ヶ月間」飛行可能なHAPS(高高度疑似衛星)だ。

Facebookが選択したModel Sは翼長25メートルで高度20 kmまで操作可能。ミリ波無線を使用して地上ど通信する。

The Zephyr Model S and Model T as displayed on the Airbus website

FacebookとAirbusは、ソーシャルネットワーク側の貨物(インターネット通信機器に間違いない)をテストする計画だが、プロジェクト文書にはテスト飛行前の計画やミーティングについても書かれているが、成果や結果についてはわかっていない。

「当社は提携先と共に高高度プラットフォームシステム(HAPC)を利用した通信の作業を進めていく。現時点で公表できる詳細情報はない」とFacebook広報担当がNetzPolitikに語った。

TechCrunchはFacebookに追加コメントを要求したが(06:55 am EST)、本稿執筆時点で返答はまだない。

Facebookには全世界のインターネット利用を促進することを目的としたプロジェクトがたくさんある。このドローンプロジェクトはその中でもっとも野心的であり、遠隔地にインターネット接続を提供することが狙いだが、ソフトウェアと既存のインフラを使ってより低価格でインターネットを使えるようにする方法も推進している。

そこには賛否を呼んだInternet.org が関わっていて、同プロジェクトはインドで利用可能なウェブサイトとアプリを限定することがネット中立化に反するとして、違法となった。名称をFree Basicsに変更(インドでの敗北がきっかけに違いない)したあと一部の市場で規模が縮小されたが、それでもFacebookの昨年の発表によると、現在までに1億人近い人々をカバーしていると。この数字以外に同サービスの詳細はほとんどわかっていないが、有償プランもあるはずだ。

なお、Facebookはほかにも公衆プライベートWi-Fiプログラムを運用中で、インターネット利用者が外出したときのためのホットスポットを増やそうとしている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、請願機能を米国で展開へ

Facebookは今度は、政治的な要求ができる機能を展開する。ニュースフィード上で請願が行えるコミュニティ・アクションと呼ばれる機能を明日開始するにあたって、Facebookは多くの新たな難題に直面するだろう。コミュニティ・アクションは、地元あるいは国レベルの役人や政府機関にリクエストするために近所の人たちを結束させることができるかもしれない。しかしまた、主張をしたいグループの威張った説教者が極端論で政治家や官僚に圧力をかけることになるかもしれない。

コミュニティ・アクションはFacebookが直面している主要な課題を体現している。ポジティブな表現や結びつきのためにデザインされた全てのツールは、対立や誤情報で次第にその力を失うことになるかもしれない。Facebookの会員は、最悪の人間性を伴う利己的な利用の格好のターゲットになってきた。攻撃的で危険ですらあるが、一部の人は合理的と考えている“(マイノリティグループの)弾圧”のような誤使用を思い浮かべることがきるだろう。問題は、Facebookがこの新ツールに適切なポリシーと節度でもってその前後にセーフガードを敷けるかだ。

コミュニティ・アクションは明日、米国で提供が始まり、数週間のテストののち、さらにいくつかのマーケットでも展開される。ユーザーはタイトル、目的、そして画像をコミュニティ・アクションに加え、関連する政府機関や政治家をタグ付けできる。最終目標は、コミュニティ・アクションが口コミで広まり、人々に“サポート”ボタンをクリックさせることにある。コミュニティ・アクションには議論のフィードがあり、そこで人々はコメントしたり、資金を募ったり、FacebookイベントやCall Your Rep(代議士に電話しよう)キャンペーンを組織したりできる。Facebookはコミュニティ・アクションのサポーター数も表示するが、ユーザーは自分と友達の人の名前、ページ、有名人だけを目にすることになる。

Facebookは、無作為要因で暴走している政府の動きにこれまで以上に集中できるよう、意図的にコミュニティ・アクションにフォーカスしようとしている。これは、Facebookが一般的なものから不条理なものまで扱うChange.org請願をすぐには置き換えないことを意味している。しかしニュースフィードから直にできるサポートのクリックは、サインアップという壁を劇的に減らすかもしれず、それゆえに動員する人の数を最大限にしたい団体や個人をひきつける。

コミュニティ・アクションのサンプルをチェックしてほしい。ここでのサンプルは、コロラドの非営利団体Colorado Risingが石油・ガスの採掘停止を政府に要求するものや、市民がフロリダの市長や州の役人に舞台芸術センター建設を求めるもの、フィラデルフィアの町内会が図書館横に横断歩道設置をリクエストするものなどだ。私はコミュニティ・アクションの最初の大きなものの一つは、ソーシャルネットワークユーザーが上院議員にFacebookの閉鎖またはMark Zuckerbergの退陣を求めるものになる、ということを期待している。

今回の機能の導入は、Town Hallや、政治家の資質を扱うCandidate Info、災害後に援助を探すためのCommunity Help、ローカルニュースダイジェストのToday Inに続くものだ。コミュニティ・アクションの初見の画像を我々に提供したFacebookの広報は以下のような声明文を出した。

「見聞の広い、市民参加型のコミュニティの構築はFacebookのミッションの基幹だ。政治家に接触を図ったり、募金を募ったり、グループを形成したりと、人々は懸念を主張するためにFacebookに毎日集う。これらおよび他のツールを使って人々はサポートを獲得し、自身にかかわる問題についての結論を得ている。コミュニティ・アクションはコミュニティの改善を主張したり、政治家や行政当局と共に解決を探ったりするための別の手段となる」。

疑問なのは、Facebookのモデレーターたちがコミュニティ・アクションとして何が適当なのか、どこで線引きをするのかということだ。線引きが引き起こすバイアスがその後に続く。Facebookはこの機能の管理に、要注意ユーザーの監視やプロアクティブなアルゴリズム感知、監視人の配置などの組み合わせで対応する。しかしそれでもハラスメントがあったり、表現の自由を求める声も出てくるかもしれない。もしFacebookが物議をかもすような主張のコミュニティ・アクションを許せば、キャンペーン展開者と共謀したとみなされるかもしれない。しかし、そうした主張を除外したら、検閲だとして批判されるかもしれない。フェイクニュースや人気の話題のように、この新機能はFacebookの「まったく価値のないもの最新版」となる可能性がある。

Facebookは、地域のメンバーが真剣に取り組むローカルのアクションを優先させるつもりだ。ユーザーに“選挙権を有する”というバッジをつけさせ、これによりユーザーの地元選出の代議士は自らが民衆扇動家に近い存在であることを知ることになる。ゆえに、Facebookはコミュニティ・アクションでは大統領ドナルド・トランプや副大統領マイク・ペンスがタグ付けされることがないようにする。しかし、見てお分かりの通り、ヌード・パークの要求に全ての州議会議員をタグ付けするのは自由だ。

別の問題は、人々がいかにコミュニティ・アクションに対して立ち上がれるかということだ。サポートを表明した人だけが議論のフィードに参加できるが、これはコメントでトラブルを煽動するためだけに偽ってサポートを表明することにもつながりかねない。さもなければ、ユーザーはコミュニティ・アクションを自分のフィードで不賛成のメッセージ付きで扱ったり、抗議のアクションを立ち上げたりしなければならなくなる、とFacebookは説明する。私の懸念は、煽動されたニッチなグループがFacebookグループやメッセージスレッドを使って、多くのサポートが集まっているように見せかけるために嘘に近いあいまいな表現を展開することだ。政治家は隅に追いやられ、怠慢だと見られないよう過激論者または不誠実な人物だと認めさせられるかもしれない。

最初のテストではさほどトラブルはなかった、とFacebookの広報は言うが、同社は安全性と効率のバランスを取ろうとしている。そして新たに起こる動きへの対応として、いかに新機能を展開するかを検討する。問題なのは、オープンアクセスには社会を崩壊させる方策を探している輩やペテン師を伴うことだ。Facebookはこのプロダクトの見張りという困難の多い責任を引き受けなければならないだろう。もしこれが成功すれば、市民が政府に民意を示すために結束する素晴らしい機会となる。一人で声高に言うより共に訴える方が状況を打開できる。

原文へ 翻訳:Mizoguchi)

Facebook、追加でロシア関連の512フェイクアカウントを削除

米国大統領選挙から2年がたったが、Facebookはいまだにロシアのソーシャルツールを使った偽情報拡散に悩まされている。

今日のブログ投稿で、Facebookはロシア絡みの新たなフェイク活動を明らかにした。そして、プーチン政権が地政学的に眈々と興味を示している地域でプロパガンダを広めたとして、計471のFacebookページとアカウント、41のInstagramアカウントを削除した、としている。

“ごまかしを意図する行為”の最新の暴露で、Facebookはロシアを起点とする2つの運用を確認し、明確な直接的つながりはないものの2つとも似たような手法を使っていると明らかにした。“ごまかしを意図する行為”というのは、大量のシェアできる政治的プロパガンダを広めるために、信頼のおけるもっともな装飾を付け加えるツールに頼った誤情報キャンペーンについてFacebookが使った婉曲表現だ。

1つの運用は特にウクライナをターゲットとし、もう1つはバルト海、中央アジア、コーカサス地方、中東欧の多くの国で活動していた。

「我々はこうしたページやアカウントを、投稿したコンテンツではなく、彼ら行いに基づいて削除する」とFacebookのサイバーセキュリティポリシー責任者のNathaniel Gleicherはブログに書いている。「これらのケースでは、裏にいる人たちが互いに連携を取り、素性をごまかすためにフェイクアカウントを使っていた。これが今回の対応のベースにある」。

スプートニクとの関連

複数の国をターゲットとしたロシアの偽情報行為について、Facebookは無害、または普通に見えるページがロシア政権の広報部隊であるスプートニクの従業員とつながっていて、ページのいくつかは抗議活動とプーチンの方針を促進していることを発見した、とGleicherは語る。

「ページ管理者とアカウント保有者は初め、独立したニュースページ、または天気や旅行、スポーツ、経済、それからルーマニア、ラトビア、エストニア、リトアニア、アルメニア、アゼルバイジャン、グルジア、ダジキスタン、ウズベキスタン、カザフスタン、モルドバ、ロシア、キルギスタンの政治家といったトピックに関する一般的なページと称していた」と書いている。「彼らの身元詐称にもかかわらず、我々はこうしたページやアカウントがモスクワ拠点の通信社スプートニクの社員につながっていて、ページのいくつかは反NATOや抗議行動、反汚職行為のような話題で頻繁に投稿していたことを発見した」。

Facebookは、削除されたアカウントのいくつかのサンプル投稿もブログに示した。ロックコンサート、歴史的建造物、雪景色などの写真から、明らかに軍事的そして政治的な抗議を意図するイメージなどミックスして示している。

全部で、ロシアのネットワークに関連する289ページと75Facebookアカウントを削除した、とFacebookは説明している。こうしたページを少なくとも1つ以上フォローしていたアカウント数は約79万にのぼる。

Facebookはまた、ロシアのオペレーターによる広告で13万5000ドルを受け取っていたことも明らかにした(この代金はユーロ、ルーブル、米ドルで支払われた)。

「最初の広告は2013年10月に掲載され、直近のものは2019年1月だ」とし、さらに「我々はまだこうしたアカウントのコンテンツのレビューを終えていない」と付け加えている。

ロシアの政権につながったページはまた約190のイベント開催を掲示していた。Facebookによると一番最初のものは2015年8月に予定され、直近のものは2019年1月だ。「こうしたイベントの中で直近のものには1200人が興味を示した。これらイベントが実際に開催されたのか、我々は確認することができない」とも記している。

Facebookは、偽情報を調べるパートナーのオープンソースのレポートと作業により、このネットワークを特定した、としている。(オープンソースの調査についてもっとよく知りたい人は、DFRLabのこのブログ投稿を見てほしい)。

Facebookはまた、今回の調査の情報を、米国の司法当局、米国議会、他のテック企業、そして影響を受けた国々の議員と共有したことも明らかにした。

ウクライナ情報

ウクライナをターゲットとしたロシアのネットワークについては、Facebookは計107のFacebookページ、グループ、アカウントと、41のInstagramアカウントを削除したとしている。米国司法当局からの最初の情報により、そうした動きがあることを特定した。

18万のFacebookアカウントが、削除されたページを1つ以上フォローしていた、としている。またフェイクのInstagramアカウントについては、5万5000超のアカウントがフォローしていた。

ここでも再び、Facebookは偽情報供給者から金を受け取っていて、その金はFacebookとInstagramでの広告費として額にして約2万5000ドルだった、としている。これは全てルーブルで支払われ、最初の広告は2018年1月、直近のものは2018年12月だった。(そしてこちらも繰り返しになるが、そうしたアカウントのコンテンツのレビューはまだ終わっていない、としている)。

「こうしたアカウントを操っている個人は当初、ウクライナ人としていた。彼らはさまざまなフェイクアカウントを運用し、天気や抗議、NATO、生徒の健康状態といったさまざまな話題についてのウクライナのローカルニュースを共有していた」とGleicherは書いている。「我々は、米国中間選挙前に見られたロシア起点の活動とのテクニカル的な類似をとらえた。その類似点には、ロシアのInternet Research Agency(IRA)と特徴が似ている行動が含まれる」。

ウクライナのケースでは、ページが主催するイベントは見つからなかった、としている。

「セキュリティにおける我々の努力は、一歩先をいく取り組みになるよう、そしてこうした種の乱用を発見するために続けられていて、特に今年欧州で重要な政局や選挙があることを考慮している」とGleicherは加えた。「我々はさらなる改善を図り、こうした乱用を実際に感知して阻止するため、世界中で強いパートナーシップを構築することを約束する」。

1カ月前、Facebookは別の政治的フェイクアカウントを削除したことを発表した。そのケースでは、ページを管理するネットワークがバングラデシュの総選挙の10日前に同国で偽情報を広めていた。

今週Facebookは、今後大型選挙を控えているより多くの国々に、政治広告主の条件を適用するなどして選挙セキュリティの措置を厳格化することを明らかにした。その手法とは、政治広告主がその国にいるかどうかをチェックする、というものなどだ。

しかし、今年大きな投票が行われる他の国については、Facebookは政治的なフェイクに取り組む方策をまだ発表していない。

イメージクレジット: Max Ryazanov

原文へ 翻訳:Mizoguchi)

Facebook、Amazonに書いたPortalの好意的レビューを削除するよう社員に依頼

Facebook Portalの評判は、よく言って、賛否様々だ。進行中のプライバシー問題とパッとしない反響は、Facebookが初の自社開発ハードウェアに期待した結果ではなかったに違いない。それにも関わらず、PortalPortal PlusはAmazonで4つ星前後の評価を得ている。悪くない。

New York TimesのコラムニストKevin Rooseはこの状況にうさん臭さを感じ取り、「購入済みラベル」付きレビューの多くが、Facebook社員と同じ名前の投稿者によるものであることをTwitterで指摘した。「自社製品をレビューすることはAmazonのルールに間違いなく違反している」と彼は書いた。「そしてこれは、商品の売れ行きを正確に表す指標ではない!」

FacebookのAR/VR担当VP、Andrew Bosworthはすかさずこれに反応して次のようにツイートした。「会社が仕組んだり指示したりしたものではない。発売時に社内投稿で「Facebook社員にはAmazonで販売する当社製品のレビューを〈書いてほしくない〉」旨を伝えてある。投稿者には削除するよう依頼する」

これは発売から間もない同製品にまつわる多くの問題のひとつにすぎない。発売当初Bosworthは、Facebookがこの製品を使って通話を聞いたりデータを集めたりするのではないかという懸念を払拭する必要があると感じていた。そしてこれはFacebookが計算したことではなかっただろうが、同製品への否定的反響にまつわる社内分裂を予感させる結果となった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookが、GoogleのAR/VRエンジニアリングの責任者を引き抜きPortalチームに登用

Facebookが、GoogleのAR/VRチームを率いていたエンジニアリング責任者を、自社のPortalハードウェアに取り組ませるために引き抜いた。

Ryan Cairnsは12年に及ぶGoogle勤務を終えてFacebookに入社する。彼のLinkedInによれば、直近のGoogleにおける仕事は、AR/VRに取り組む500人以上のチームのエンジニアリング責任者を務めることだった。そのプロジェクトには、DaydreamやLens、そしてARCoreなどが含まれていた。

Cairnsの入社は、Facebookのハードウェアチームに、ある種の大変革が起きた後に行われた。先月同社は、Building 8のハードウェアチームを組み換えて、Facebook Reality Lab(AR/VR)チームとPortalチームに分割した。Business Insiderのレポートによれば、Rafa CamargoがPortalチームを引き継ぎ、一方Michael AbrashがFacebook Reality Labsを担当したということだった。しかし今日の異動によって、CamargoがAR/VRを引き継ぐ一方で、CairnsがPortalを引き継ぐことになった。

このことが、これまで同社のAR/VRの「顔」であったMichael Abrashの役割にどのような影響を与えるかについての言及はなされていない。詳細についてFacebookに問い合わせをしている最中だ(更新12:42PT:Facebookは、Abrashが変わらずFacebook Reality Labsを率いる主任研究員としての役割を担っていると回答した)。

これまでAR/VRを担当してきた技術者にPortalを担当させる一方で、Portalを率いていた人物をAR/VRに投入したことには、若干疑問を感じるかもしれない。だがFacebookは、どちらもコンピュータービジョン技術を駆使する両ハードウェアの試みの間に、大きなクロスオーバーを見ているのだ。Portalは、GoogleやAmazonによるスマートスクリーンたちと似たような形状を採用しているが、ユーザーたちがカメラから離れた場所にいる際に顔や身体を自動的に追跡してフレーム内に収める機能や、他の製品にも搭載されているARセルフィー機能によって差別化を図っている。

画像クレジット: JOSH EDELSON/AFP / Getty Images

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(翻訳:sako)

ザッカーバーグの2019年の目標はテックと社会に関する公開討論を開くこと

2018年の目標のようにFacebookの問題に注力するより、今年マーク・ザッカーバーグは彼の深い考えを見えるようにし、また他人の考えも取り込みたいようだ。今日、ザッカーバーグは2019年の目標が「社会におけるテクノロジーの未来ー機会、挑戦、希望、懸念などーをテーマにした公開討論を開催すること」と発表した。彼は、異なる分野のリーダーや専門家、地域社会の人とさまざまな形式や場所で討論の場を持つ計画だ。そうした討論は全てFacebookとInstagramのアカウント、そして従来のメディアを通じても視聴できるようにする。

ザッカーバーグは過去にも一連の公開討論を開催していて、今回初めてではない。彼は、ユーザーから直接質問を受けるために2014年と2015年にコミュニティQ&Aセッションを開いている。“いいね”のような感情を表現するためのFacebookのリアクションボタンのアイデアはそうした討論の場から出てきた。

だが、2019年の目標の初期構想から察するに、ザッカーバーグはFacebookを社会が抱えている多くの問題に対する答えとみなしているようだ。「我々が住み続けたいと考えている世界、そしてテクノロジーが取り込まれているこの世界については多くの大きな問題がある。我々はテクノロジーを使って多くの人が発言し続けられるようにしたいのか、それともどんな考えが表現されるべきかを従来の門番がコントロールするのか。暗号や他の手段でもって権力を人々により持たせることで、我々は当局を分権化させるべきか。現実社会の多くのコミュニティが弱くなっている世界で、社会組織を強化するのにインターネットはどんな役割を果たすのか」と彼は疑問を投げかけている。

ここで暗に示された答えは、「人々はFacebookを通じて発言すべきだ」「人々はFacebookの暗号化されたチャットアプリWhatsAppを使うべきだ」「人々はFacebookのGroupsを通じて協力するべきだ」となる。願わくば、討論でソーシャルメディアがいかに対立や自己イメージ中心に多大な影響を及ぼしているかも取り上げることを期待したい。

[アップデート:ザッカーバーグは、投稿へのコメントで私に形式や発言者についての提案を尋ねてきた。私のアイデアは以下の通りだ:

・ザッカーバーグと市民との、フォーマルだが忌憚のない討論

・事前打ち合わせや一般からの質問の選別なしに、独立したモデレーターがザッカーバーグに質問する

・社会やテクノロジーに関する大きな問題を議論するとき、ザッカーバーグが“Facebook”という言葉を決して発しないようにする討論

・ザッカーバーグがFacebook最大の陰謀論と呼んだ怪しい説についての討論。ザッカーバーグとジャック・ドーシーとの公開討論

・ザッカーバーグが質問を尋ねたり尋ねられたりする投票。この投票では市民は複数の選択肢から答えを選べるようにし、公にされた集計結果についてザッカーバーグと議論する

・Facebookのカルチャーや優先順位がいかに変わったかについて、Ruchi SanghviやLeah Pearlman、Naomi GleitといったFacebookの初期の従業員との議論

・慈善活動へのアプローチについてのBill GatesやWarren Buffetとのトーク

・次世代が抱えるプライバシーやインターネットについての懸念をテーマにした、優秀な高校生と膝を交えた話し合い

・Messengerの責任者(Stan Chudnovsky)、Instagramの責任者(Adam Mosseri)、WhatsAppの責任者(Chris Daniels)との、Facebookのそれぞれの部門がどのように協業するかについての話し合い

・FacebookのGroupとPageを管理するトップが登壇し、アプリの最も熱心なユーザーがこのプロダクトに求めていることについて語るパネルディスカッション]

世界の現職リーダーの一人が自身の考えをより明るみに出すというのは素晴らしい。しかし、ザッカーバーグが自身の論点にこだわる傾向があることを考えると、このCEOに事前に質問をバラさないモデレーターが仕切る討論の方が、人々が得るものは大きい。

「世界をより緊密なものにする」「世界をよりオープンでつながったものにする」という固有のトレードオフについてのザッカーバーグの率直な考えを聞くことで、ユーザーはザッカーバーグが心底でどんなことに関心を向けているのかを判断できるかもしれない。

ザッカーバーグの過去の新年の目標は以下の通りだ。

2009ー毎日ネクタイを着用する

2010ーマンダリン(中国語)を学ぶ

2011ー自分で殺した動物だけを食べる

2012ーコードを毎日書く

2013ーFacebookの従業員でない初対面の人と毎日会う

2014ー感謝のメモを毎日書く

2015ー2週間ごとに新しい本を読む

2016ーアイロンマンのJarvisのような人工知能を搭載したホームアシスタントを構築する

2017ー人々と会ったり話したりするために全50州に足を運ぶ

2018ーFacebookの問題を直す

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(翻訳:Mizoguchi)

Facebookがステーブルコインを始める? その前に知っておくべきこと

Bloombergが伝えるところによると、Facebookは、独自のステーブルコインの投入計画をひっさげて、ブロックチェーンの波に飛び乗ろうとしているようだ。

次から次へとプライバシー流出問題で騒がれ足元に火が点いた状態のソーシャルネットワークの大手Facebookは、5月にブロックチェーン部門を内部に設立したが、さまざまな憶測を呼びながらも、その本当の狙いは不明のままだ。

Bloomebergの記事は、その新部門から何が現れるのかを明確に示した最初のものとなった。さらに、それは「メッセージングアプリWhatsAppを使ってユーザー同士で金銭の移動ができ、最初はインドの送金市場にフォーカスをあてた」ステーブルコインであるという。

Facebookは、これに対して曖昧なコメントを返した。

「他の多くの企業と同様に、Facebookもブロックチェーン技術の力を役立てる方法を模索しています。この新しい小さなチームでは、さまざまな応用方法を探っています。私たちからは、これ以上は申し上げられません」と、FacebookはBloombergに対する声明の中で答えている。

もしこのアメリカの巨大企業が、Bloombergが報じたとおりの計画を実行した場合、それは時価総額3760億ドル(約41兆7600億円)、年間収入は400億ドル(約44億4000万円)にのぼり、事業規模においてもユーザー基盤においても、(たちまち)一般消費者向けブロックチェーン・サービスの最大手となる。Facebookには、その中核的ソーシャルネットワークに22億人以上、WhatsAppに15億人、Messengerに13億人、さらにInstagramに10億人のユーザーを擁している。

これは、しっかり知っておくべき話だ。

Facebookのブロックチェーン部門を率いるPayPalの元CEO、David Marcus。彼は、暗号通貨交換所Coinbaseの役員でもあった。

またひとつ新しいステーブルコイン

ステーブルコインは、今年の後半にブロックチェーンの世界で大流行した。数多くのプロジェクトが飛び出して、いろいろなソリューションを提示したのだが、まずその理由を考えてみよう。

ステーブルコインの考え方は簡単だ。法定通貨と連動する暗号通貨なので、価格の乱高下の影響を受けないというものだ。

プログラム可能で国境のない通貨としてのブロックチェーンには可能性があるが、安定性が大きな問題になっている。たとえばBitcoinは、1年前には2万ドル(約222万円)という高値をつけたが、現在は4000ドル(約44万4000円)をわずかに上回る程度だ。ただ注意すべきは、この数カ月間にそれよりも価格が下がっていたことだ。「アルトコイン」の場合は、さらに変動が激しい。

ステーブルコインは、Bitcoin、Ethereumなどのトークンを、銀行口座よりも早く買い入れることができる預け入れ方法を提供している。また、不安定なトークンからの利益の移動も可能になり、とくに、暗号通貨を他者(他の企業)に経費をかけずに送ることができることが大きい。

しかし、大変にシンプルな前提で、しかも多くの人たちが参入しているにも関わらず、実際に成功し、その価値を証明できたステーブルコインはいまだに存在しない。

もっとも注目を集めているTetherですら、経済的支援にまつわる心配に追い回されている。その背後にある組織は、そのトークンの価格が1ドルを下回っても、市場でその裏付けとするのに十分な法定通貨を用意しているか否かを明らかにしていない。

Tetherが苦戦する中、仮想通貨取引所がライバルのステーブルコインをローンチ


TechCrunchが11月に報告したとおり、いくつもの「Tetherキラー」が登場したが、王座を奪ったものはない。USD Coinは、CounbaseやBinanceなどの大手取引所で取引されるEthereumをベースとする暗号通貨で、時価総額2億3000万ドル(約255億5000万円)と二番目に広く利用されている。驚くべき規模だが、それでもTetherの180億ドル(約2兆円)の15パーセントにも満たない。そのギャップの大きさは明らかだ。

そして、規制の問題がある。

Andreessen HorowitzやBain Capitalといった大物投資家から1億3000万ドル(約144億4000万円)以上を調達したBasisは、設立から18カ月後の今月、廃業した。「ボンドトークンもシェアトークンも、有価証券ではないと認めざるを得ない」と判断したのが理由だ。

フィンテックのサービス

詳細はまだはっきりしないが、Facebookが推進するステーブルコインは、安定を強く望む暗号通貨の所有者に、技術を使ってそれ以上のものを提案することになりそうだ。

Facebookは、もしかしたら、膨大なユーザー数を誇るメッセージングサービスに、金融サービスや製品を追加する可能性がある。フィンテックは、信用力の調査方法が限られ、為替市場の価格が低いといった問題の改善にデジタル・プラットフォームやデータが有効な新興市場で急速に発達している。しかし、Facebookはそこに本格的に足を踏み入れたことがない。唯一あるのは、WhatsAppだ。インドではピア・トゥー・ピアの取り引きができるようになっているが、それを世界的に広げ、新しい金融機能を追加すると考えれば筋が通る。

安くて速い海外送金は、FacebookのCEO、Mark Zuckerbergがブロックチェーンの可能性に注目していると書いた1年前の記事で私が提唱したことだ。2017年の新年の抱負を聞いたとき、彼は暗号通貨とブロックチェーンを勉強して「我々のサービスにどう使うのがベストかを見たい」と話していた。

WhatsAppは、月間のアクティブユーザーが15億人を超える。そのうち約2億人を占めるインドでは、それは巨大な単一市場だ。インドはまた、世界銀行のデータによると、2017年には690億ドル(約7兆6660億円)を受け取った世界最大の送金先にもなっている。

送金以外にも、ステーブルコインはもっと多くの利点がある。デジタル製品やサービスの購入から、ピア・トゥー・ピアの支払い、もっと本格的な暗号通貨による取り引きや融資などだ。

明らかなのは、Facebookのブロックチェーン部門の仕事はまだ初期段階にあるということだ。現時点では、30名ほどの社員が配属されている。

チャットアプリが暗号通貨とブロックチェーンに参入

Bloombergが推測するようにプロジェクトが継続された場合でも、WhatsAppがブロックチェーン機能を持つ最初のメッセージングアプリとなるまでには時間がかかるだろう。しかし皮肉なことに、WhatsAppやFacebookのMessengerといった独占的地位にあるサービスに対抗するための手段として、他社が暗号通貨の機能を採り入れている。

カナダのチャットアプリKikは、2017年のICOを通じて1億ドル(約111億円)を調達して、独自のトークン「Kin」と、開発者用アプリをサポートするブロックチェーンを開発した。昨年、KikのCEO、Ted LivingstonがTechCrunchに話したところによれば、基本計画は、Facebookのような広告モデルではなく、ユーザーの注意や関わりを通して「ボジティブ」に利益をもたらすアプリを開発できるようにすることだという。収益は、さまざまなユーザー本位の基準で、Kinで支払われる。

Livingstonは、暗号通貨の弁明をするどころか、ブロックチェーン技術を「役立たず」だとする意見を批判した。Kikのアプリはまだブロックチェーン化されていないが、昨年の夏からベータ版のリリースを開始した。

KikのCEO、Ted Livingstonは、ブロックチェーンと暗号通貨が広告ベースのモデルに置き換わると信じている。つまり、より多くのアプリや製品が、金儲けのためではなく、消費者のために作られるようになるということだ。

日本のLINEアプリは、アジアの一部で人気が高いが、ブロックチェーンを導入し、独自の取引所暗号通貨投資ファンドを設け、「Link」というアプリ内トークンを使えるようにしている。ICOは行わず、Linkトークンをユーザーの間で流通させてさまざなに利用してもらい、売買も可能にしてゆく計画がある。Linkは、事実上LINEのサービスや製品の購入の手段となり、サードパーティーのサービスでも使えるようにしたいと同社は話している。

ロシアのFacebook的存在であるVKontakteの創設者Durov兄弟が開発したメッセージングアプリTelegramもそうだ。Telegramは暗号通貨業界で人気を高めており、ICOを通じて17億ドル(約1888億円)を調達した。大変に期待された公開だったが、結局のところ、対象は認定投資家に限られることになった。

しかし、非常に野心的な「非中央集権的」プラットフォームの目標について長々と書かれた白書に批判が集まっている。プロジェクトは目立たない形で進められ、一部には製品がリリースされる前に投資金を現金化した投資家もいると見られる混乱した現状は、ほとんど明かされていない。

もうひとつ、暗号通貨を採り入れたチャットアプリで注目すべきものが、Statusだ。非中央集権的チャットアプリとエコシステムを開発し、2017年にEthereumで1億ドル(約111億円)以上を調達した。Statusは現在使用可能だが、Coindeskによると、資金繰りがうまくいかず、100名いた写真のうち25パーセントを、今月、一時解雇したとのことだ。

その一方で、韓国最大のメッセージングアプリKakaoは、ブロックチェーン企業を所有している。将来の計画の詳細は不明だが、Kakaoはブロックチェーン企業に投資を行っている。

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(訳者:金井哲夫)

Facebook、サードパーティーによるユーザーメッセージ利用の正当性を主張

Facebookのプロダクト連携担当VP、Ime Archibongは最新のブログ記事で、最近の同社のユーザープライバシー問題に言及した。これは、Facebookが大手ID企業と特別な提携関係を結び広範囲なデータ共有を行っていると報じた火曜日(米国時間12/18)の New York Times記事に対する反論の第2ラウンドだ。

Archibongは最新の投稿で、Facebookはユーザーの許可なくプライベートメッセージをパートナーにアクセスさせたことはない、と明確に主張している。Facebookは実際にサードパーティーにユーザーメッセージを提供したことがあるが、それは「ユーザーがFacebookログインの利用を選択した場合」に限られると同社は言っている。Facebookログインを使うとユーザーは新たなログインIDを取得することなくサードパーティーサイトにログインできる。

Archibongはこう書いている:

「われわれはパートナー4社と密に協力して、先方の製品に統合し彼らのメッセージング機能を使ってFacebook友達にメッセージを送れるようにしてきた。これはわれわれの業界では一般的なやり方だ——Alexaがメールを読み上げたり、Appleのメールアプリでメールを読むところを想像してほしい。

さらに彼はこれらの機能は「実験的なものであり三年近く使っていない」と言った。Facebookがこの時間軸をかなり具体的に示したのは意図的だった。これはNew York Timesの記事に、Facebookがサードパーティーとのデータ共有に関して、この種の共有は数年前に中止したと公開声明していたにも関わらず、今年の夏まで何らかな「特別なアクセス」を許可していたと書かれていたためだ

ではなぜFacebookはパートナーにメッセージングの詳細なアクセスを許可していたのか:

「それがこの機能の核心だ——上記のメッセージングパートナーのユーザーがFacebookの友だちにメッセージを送れるように、われわれは協力して彼らのアプリに機能を統合した」

たとえば、SpotifyからFacebook友だちにメッセージを書けるようにするためには、Spotifyに “write access” を与える必要がある。送られてきたメッセージを読むためには “read access” が必要だ。”delete access” とは、Spotifyの中でメッセージを削除したとき、Facebookからもメッセージが削除されることを意味している。どのサードパーティーも、本人の許可なくユーザーのプライベートなメッセージを読んだり、友だちにメッセージを送ったりしていない」

Facebookの記事には、こうしたメッセージング統合のスクリーンショットが掲載されているが、それらはあまりに古くほとんどの人は覚えていない。一方Facebookがこの記事で提供していないのは、このアクセスを許可したときにユーザーが見る承認画面のスクリーンショットだ。それこそが、こうした統合を気軽に有効にした際、相手に何を引き渡しているかをユーザーがどう知らされていたかを決める鍵だ。

screenshot via Facebook

しかし、たとえFacebookが許可画面でどんなに明確な文言を書いていたとしても、ソーシャルメディアのユーザーがこのデータ共有全体について何か不安なことが起きているという事実に気付かされたのはたった今だ。たとえユーザーが自らクリックしてこの機能のために許可を与えたのだとしても、それによって起きうるプライバシーへの影響を理解していなかったという問題は残る。

これはFacebookだけの問題ではない。プライバシー規制の影が米国にも迫りはじめ、すでにEUではGDPRが消費者プライバシーの主流となりつつある今、ユーザーデータを広告主に貸し出しているあらゆる主要IT企業が、ビジネスのやり方を根本から変えかねない報いを受けるのは時間の問題だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ワシントンDC司法長官、FacebookのCambridge Analyticaスキャンダルを巡り訴訟

すでにユーザーたちの目は、Facebookの次の非道に向けられているかもしれないが、同社は今年前半のプライバシー問題の処理に今も追われている。

ワシントンDCのKarl Racine司法長官は水曜日(米国時間12/19)、Facebookを訴訟し,同社がユーザーデータ保護の責任を果たしていないと主張した。具体的にはCambridge Analyticaスキャンダルを取り上げ、Facebookの第三者とのデータ共有ポリシーが緩慢だったために、ユーザーの個人データが本人の許可なく金銭目的で収集されたと指摘した。

「Facebookはユーザーのプライバシー保護を怠り、データを誰がアクセスし、どのように使われるかを偽って伝えていた」と司法長官は訴訟理由を説明した。「Facebookは、Cambridge Analyticaなどの会社やその他のサードパーティーアプリケーションがユーザーの許可なく個人データを収集することを許し、ユーザーを危険にさらした。今日の訴訟はFacebookが約束を守り、ユーザーのプライバシーを保護することも求めるものだ」

発表によるとワシントンDCの司法長官事務局はFacebookに対して、ユーザーデータの共有を監視する「プロトコルとセーフガード」の実施と、ユーザー保護を容易にするプライバシーツールの実装を要求する強制命令の発行を見据えている。訴訟全文は以下に貼り付けてある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

FB版QVC? Facebookがライブビデオ・ショッピングをテスト中

自分だけにホームショッピング・ネットワークを作りたい人へ。Facebookは、売り手がライブビデオを使って商品の説明やデモを見せられる機能をテストしている。消費者は買いたい商品のスクリーンショットを撮ってMessengerで送れば売り手もチャットを通じて支払いを請求する。

Facebookは、新しいショッピング機能がタイの限られたFacebookページでテストされていることを認めた。同国はショッピング機能の実験場所として使われてきた。新機能を最初に見つけたのはソーシャルメディアと評判の推進者Jeff Higginsで、後にMatt NavarraSocial Media Todayが再シェアした。そして今Facebookがテストの存在を正式に認め、追加情報を提供した。

同社によると、タイのユーザーコミュニティーからのフィードバックで、商品の使い方や着こなしの説明にライブビデオを使うことで静止画像よりも深く商品を理解してもらえるようになったという反応があった。また、ライブの対話性のおかげで顧客はすぐに商品について質問して詳しい答えを得ることができる。Facebookは以前にもタイでMarketplaceを利用した家のレンタルのような新しい体験をテストしたことがあり、同国の人々はFacebookグループをピアツーピアショッピングに利用できることをいち早く証明した。「タイは当社のサービスでもっとも盛んなマーケットプレイス・コミュニティーだ」とFacebookのマーケットプレイス担当マネージャーMayank Yadavは言った。

現在テスト中のライブショッピングでは、Facebookページからファンに対して「商品を披露して客とつながる」ためにライブ放送していることを伝える通知を送ることができる。売り手は予約と支払いをMessenger経由で行うことができる。Facebookはすぐに新たな提携を結んだり機能を拡張する計画はないと言った。テストに参加できない売り手には、ウェイティングリストへの参加を呼びかけている。Facebookはテスト参加者と密に協力してフィードバックを得てライブビデオショッピング体験を改善していくと言っており、結果が良ければ広く展開していく予定であると思われる。

FacebookはMessengerを通じた売買の手数料は取らないが、新機能が同社の売上に貢献する可能性はある。ニュースフィードの広告スペースが枯渇し、ストーリーが最大のメディア形式になり、ユーザー成長が足踏み状態になる中、Facebookはニュースフィード広告以外の収益源を模索している。ユーザーをビデオに惹きつけられれば、Facebookは実入りの良いビデオ広告を多く流せる。Facebookアプリで売り買いすることにユーザーを慣れさせることができれば、企業のコンバージョン率は良くなり、もっと宣伝費を使うようになる。さらにFacebookは、ライブ中継をする会社に対して、商品の広告に新しいマーケットプレイス広告ユニットを使うよう説得することもできる。そしてFacebookは、インターネット中のユースケースを活用し、長時間のビデオ視聴でも求人応募でもショッピングでも、サイトの滞在時間を伸ばすことで広告視聴回数を増やすことができる。

最近Facebookは、CraigslistやEtsyやeBayに目を向け始めている。これらのコマースプラットフォームはビデオなどの新しいテクノロジーに乗り遅れ、Facebookの実名ポリシーやソーシャルグラフが生み出す信用もない。数年前、オンラインでものを売ることは商品説明をタイプし、せいぜい写真をアップロードするくらいのことを意味していた。あなただけのインフォマーシャルで主役を演じるようになる日は近い。

[追伸:Facebookのショッピングネットワークは、同社の新しい卓上スマートディスプレイ、Portalでも問題なく使える]。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、F8 2019デベロッパー・カンファレンスの日取りを発表

ソーシャル・メディアの巨人、Facebookは2018年を通していささか不本意な報道をされることが多かった。しかしそんなことにはくじけず、ユーザー、デベロッパーのために用意している新しい機能やサービスを発表する場が今年も設けられる。2019年のデベロッパー・カンファレンスの日取りが発表された。

Facebookは来る4月30日と5月1日の両日、サンノゼに戻ってくる。F8カンファレンスは「テクノロジーの進歩によって人々がいっしょにできることがどのように拡大するか、そのショーケースとなる」という短い記事が公式ブログで発表された。

ただ今年のF8は例年に比べて防御的色彩が強いものになるかもしれない。いつも挑戦的なマーク・ザッカーバーグだが、 今年はユーザーのプライバシーを守るためになすべきことが多々あるということが判明している。注目のデート機能、Facebook Datingもまだ慎重にテストを繰り返している段階だ。ハードウェア面でいえば、199ドルのOculus Go VRヘッドセットの評判は全体として悪くないようだ。

F8カンファレンスへの参加受付はまだ始まっていない。来年になってから始まるものと思われる。デベロッパー向けチケットの価格は昨年は595ドルだった。興味があるデベロッパーはこちらのF8サイトに登録しておけばメールで通知を受けることができる。

例年このカンファレンスでFacebookの今後の戦略が明らかにされてきた。では、今年秋のInstagramのトップ交代はどういう影響を与えるだろうか? ケビン・シストロムとマイク・クリーガーが去った後のInstagramはどこに向かうのだろう?  Facebookのブロックチェーン・チームはどんなプロダクトに取り組んでいるのか? Oculusから新しいAR/VRプロダクトは出るだろうか? われわれがあれこれ推測する時間はまだかなりある。

画像:Justin Sullivan / Getty Images

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滑川海彦@Facebook Google+

Instagramは、オブジェクト認識技術を使用して視覚障碍者のための写真説明を追加する

Instagramはビジュアルなサービスだ。利用者が撮影した写真や動画をフィードする。だが同社はいくつかの新しい機能を導入することで、視覚障碍をもつユーザーに向けてのサービスを充実させようと再検討を行っている。

本日行われたアクセシビリティに重点を置いたアップデートでは、視覚障碍のあるユーザーのために、投稿内容に関する代替テキスト説明を提供する2つのオプションが用意されている。1つはユーザーによる代替テキスト入力を利用するもので、もう1つはFacebookのオブジェクト認識技術を使って説明を生成させる方法だ。

入力/生成された説明は、画面読み上げ機能を利用しているユーザーは聞くことができる。写真を投稿する際には、「詳細設定」の中に、ユーザーによる代替テキスト入力オプション(英語版では”Write Alt Text”という項目)が提供される(もちろんそれは少しばかり遠回りの方法だが)。もちろん人間が記入することでしか達成できないレベルのビジュアルな説明がある一方で、同社によって使われているオブジェクト認識ソフトウェアが、メインフィード、検索、そしてプロフィールといったセクション内に対する、ほぼ全ての項目へのテキストによる説明を生成する。

これは、これまでビジュアルに熱中させるフィードを推進しながら、テキストや外部へのナビゲーションは避けて、ほぼ完全にビジュアルであることで有名になったサービスとしては興味深い方向性だ。これまでは、Instagramは主流ユーザーを相手にしており、視覚障碍者(この機能を発表したブログ記事によればその数は2億8500万人である)も相手にはしてこなかったからだ。

(訳注:日本時間2018年11月30日0時の時点では、訳者のiOSアプリケーションはまだアップデートされていない。全部に行き渡るにはある程度の時間がかかるものと思われる)

写真クレジット:Getty Images

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(翻訳:sako)

「問題はFacebookそのものだ」 9カ国の議員が非難

9カ国の議会の代表者による大委員会の公聴会は、Facebookのマーク・ザッカーバーグが欠席のまま今日開催された。Facebookの創業者は“フェイクニュース”と呼ばれる民主主義への悪影響を含め、悪意のある汚い、不適当なソーシャルメディアプラットフォームの使用についての質問に答えるよう、これまでに何回も議会に召喚されたが、にべなく断ってきた。

英国のDCMS委員会はFacebookにデータ誤使用スキャンダルと選挙干渉の責任をとらせようと非難を主導してきたーそうした動きに世界各国の議員が加わった。しかし、それでもザッカーバーグは欠席した。

計9カ国の議員が、ザッカーバーグの代理人でポリシー担当副社長Richard Allanに質問をぶつけるために集まったーその質問には以下のようなものが含まれる。南米で政治に関する偽情報を広めるのにWhatsAppが使われているのをやめさせるためにFacebookは何をしているのか。スリランカでかなり炎上した反ムスリムヘイトスピーチのコンテンツの削除を、同国がプラットフォームへのアクセスを封鎖するまでなぜ拒否したのか。ベルギーにおける非ユーザーをFacebookはどうやって追跡しているのか。また、そうした行為を欧州の厳しい新ルールGDPRのもとでどう正当化するのか。プライバシーと信用のスキャンダルを抱えているFacebookが言うことを現時点で人々がなぜ信用しなければならないのか。

選ばれた議員たちは、英国、アルゼンチン、ベルギー、ブラジル、カナダ、フランス、アイルランド、ラトビア、シンガポールの国民4億5000万人のために自由闊達に考えを述べた。彼らの口から最も多く繰り返された質問は、なぜザッカーバーグがここにいないのか、だ。

Allanは不在のボスの代理であることで居心地悪そうにみえた。そしてソーシャルメディアの反社会的、反民主的影響を統制する“正しい規制”を議員とともに模索したいと語った時など、あらゆるハンドジェスチャーを使っていた。

カナダの議員Bob Zimmerはその場を代表して、Allanが防衛の拠りどころとしていることに切り込んだ:「またしても我々はFacebookの謝罪を聞いているー‘ほら、我々を信用してください、みなさんは我々を規制しているでしょう、我々は実のところグローバルのスキームにさほど影響を与えていません’。この部屋にいる我々は4億人超の人々に関係する規制を扱っている。そこの席にCEOが座っていないというのは、この部屋にいる我々全員への攻撃であり、我々の市民への攻撃でもある」。

「[BlackBerry共同創業者の]Jim Balsilleは、我々の委員会で私が質問した時、監視資本主義に対処するためにカナダで法律を変えなければ、我々のデモクラシーは危機を迎えるのではないか、と述べた」。さらにZimmeは続けた。「彼は何の疑いもなく言った。あなたはどう思うか」ーこの発言に対し、Allanは時間を稼ぐために、「サービス利用規約が必要だ」と言い、そしてFacebookが多くの“ツール”で処理しようとしている“多くの問題を抱えるベクター”について語った。

今回の喚問は、かなり不満に満ちた曖昧な言葉で多くの時間が費やされた。というのもAllanが委員会の質問をそらし、牙を抜き、緊張をやわらげようとしたからだーAllanはNew York Timesが最近報道した“delay, deny, deflect(遅い、否定する、歪める)”戦略を何回も繰り返し、そうした態度は何回も議員に非難された。

Allanはそうではないと主張したー問題を“認めている”と主張した。しかし彼の横の空席はぶざまだった。

終わり間際には、カナダのCharlie Angusが、Allanは問題の根本的な原因から議員の目をそらそうとしていると非難し、Facebookの大風呂敷を吹き飛ばしたーAngusはその根本的原因はFacebookそのものだと鋭く定義した。

「我々がFacebookに関して抱えている問題は、責任のなさだーだから私は、我々が規制について語るとき、おそらくベストな規制は独占禁止だと言っておく」とAngusは述べた。「なぜならFacebookが嫌いな人はーWhatsAppが利用できる。しかし、WhatsAppは南米で問題を抱えている。アフリカでもだ。そして私たちは今日ここにいないマーク・ザッカーバーグに戻らざるをえないからだ」。

「私の娘たちはFacebookをやめることができる。しかし彼女たちはInstagramへと走る。しかし今やInstagramはFacebookがコントロールしている。おそらく最もシンプルな規制の形式は、Facebookを分解することだ」。

「だから我々が規制について議論するとき、あなたの友人のザッカーバーグ氏に独占禁止についてディスカッションできるか、と尋ねる気はあるだろうか」。

Allanは「我々が解決しようとしている問題にもよる」とだけ答えた。

「問題はFacebookだ」とAngusは言い返した。「我々は現在起こっていることについて語っているが、問題は社会的な議論やコミュニケーションのあらゆる形式にかかる前例のない経済コントロールだ。それがFacebookだ。これこそが我々が取り組む必要のある問題だ」。

委員会の委員長Damian Collinsはまた、Allanの質問の言葉を言い換えて混乱させようとする試みを、「私が思うに、我々はインターネットとFacebookが必ずしも同じ意味ではないと識別している」と言葉を挟むことで容赦なくやっつけたーAllanは議員が“インターネットをオフにしろ”と言っているとした(しかしAngusは実際にはこう主張した:信頼できる民主主義的な対応をFacebookから得る方法)。

会場はそれに賛同した。

公聴会の冒頭、Collinsは「そうする立場にない」と言いながら、2015年からFacebookを訴えていたスタートアップの創業者から週末にドラマチックに差し押さえた文書について、少なくとも今は公開するつもりはないと明らかにした。

しかしながらいくつかの点で、公聴会中にDCMS委員会のメンバーはこれらの文書から得た新たな詳細を“チラ見せ”した。たとえば、Facebookはデベロッパーがプラットフォーム上で広告がとれるように今までにAPIに手を加えたことがあるか、といった質問だ。

Allanはない、と答えたーそして、委員会が読んだかもしれない電子メールは、Facebookのデスクトップベースのビジネスモデルをいかにモバイルファースト時代に合わせて発展させるかについての“普通の”内部ディスカッションに伴うものだったと思わせようと試みているようにみえた。

Collinsもまた、差し押さえた文書から引っ張ってきたとわかる新たな情報ー特に2014年10月以降、Facebookエンジニアから送られた内部電子メールからだーの一部について、かなり公共の関心を引くだろうと表現した。

「Facebookのエンジニアが2014年10月に、ロシアのIPアドレスのエンティティが、フレンズAPIを通じて1日に30億のデータポイントを寄せるためにPinterestのAPIキーを使っている、と会社に報告した」と、彼は明らかにした。そしてAllanに、“当時これが外部に報告されたかどうか”を尋ねた。

Facebookの副社長は、“敵意のある訴訟当事者”経由の情報源であることを理由に、差し押さえた文書に含まれる情報は“部分的だ”とした。

Collinsは「訴訟当事者を攻撃するためだけにこの機会を活用してほしくない」と言い返した。「私はあなたに質問に答えてほしい…エンジニアから会社に報告されたとき、Facebookはどのような内部プロセスをとったのか。Facebookは外部の機関にこのことを知らせたのか。なぜなら、もしロシアのIPアドレスがプラットフォームからの膨大な量のデータを寄せていたとしたら、レポートするか、もしくはそのままにするかであり、多くの場合それは身内内にとどめ、そのことについては語らない、となる」。

Allanは「電子メールの中に含まれたあなたが見た情報は、せいぜい一部分であり、最悪の場合ミスリーディングしている」と答えた。

「信じるかどうかはさておき、ロシアによる活動があったという特定の問題については、継続中の我々の調査に基づいてあらためて回答したい」。

我々はPinterestに、PinterestのAPIキー乱用をFacebookが今までに知らせてきたかどうか問い合わせている。この記事を執筆している時点で、Pinterestからコメントはない。

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(翻訳:Mizoguchi)

‘フェイクニュース’に関する7カ国議会喚問、ザッカーバーグの代わりに副社長出席へ

Facebookに、オンラインフェイクニュース危機とデータ誤使用スキャンダルについて問いただすため、世界7カ国の議会の代表者22人で構成されるという前例のない国際大委員会は、来週ロンドンで開かれる。

しかしFacebookの創業者マーク・ザッカーバーグは何も答えない。同社はこれまで何回もザッカーバーグが議会で質問に答えることを拒んできた。

その代わり、EMEAポリシーに明るい、ロンドンを拠点とするポリシー担当副社長リチャード・アランが、部屋いっぱいのいらついた議員に対面することになる。

アランは来週、英国議会のデジタル・文化・メディア・スポーツ委員会(DCMS)と、アルゼンチン、ブラジル、カナダ、アイルランド、ラトビア、シンガポールの議会から選ばれた議員の前で証言する。

実は8カ国の議会が参加する予定だったが、7カ国になったーオーストラリアがロンドンに来れないためだ。

DCMS委員会の広報はFacebookがザッカーバーグ出席の要求を拒否したことを認め、TechCrunchに対し次のように述べた:「委員会はザッカーバーグ氏にビデオでの証言の機会も打診したが、こちらも拒否された。Facebookはポリシーソリューション担当の副社長リチャード・アランの出席を提案し、委員会はこれを受け入れた」。

「委員会はまだ、プライバシー、安全性、セキュリティ、シェアリングにかかる重要な質問に答えるのはマーク・ザッカーバーグが適切だと考えている」と広報は付け加えた。「最近のニューヨークタイムズ紙の調査で、このほどあったデータ流出がFacebook内でどのように対処されたのか、上級のリーダーシップチームがいつデータ流出とロシアの誤情報の拡散を把握したのかといったさらなる疑念が生じている」。

DCMS委員会は、Facebookに一連の大きなデータスキャンダルに関する説明責任を果たさせようと先頭に立ってきて、ここに同様の懸念を抱える世界中の議会が加わった。その懸念の一つは、今年DCMS委員会を忙しくしている、オンライン誤情報の民主主義への影響だ。

DCMS委員会は、Cambridge Analyticaの件が今年4月にグローバル規模の大スキャンダルになって以来、特に忙しい。しかしながら今年、Facebookの悪いニュースはそこでとどまらなかった。


アランの喚問は11月27日午前11時半(GMT)、英国議会で行われる(その様子は英国の議会テレビウェブサイトでライブ配信される予定だ)。

その後記者会見が予定されていて、DCMSによると、7議会の代表が‘インターネットにかかる法律の国際原則’に署名する見込みだ。

この原則は“参加する議会の将来の行動についての宣誓”となるーソーシャルメディア規制に関する国際的な動きと総意を形成する意思を表している。

今夏まとめられたDCMSのフェイクニュース危機に関する予備レポートでは、政府に対し緊急の対応を求めているーここには、民主主義を守るためにソーシャルメディアに課税するという案も含まれている。

しかしながら英国の大臣は行動に移すことはせず、‘様子を見る’という生ぬるい反応しか示していない。国際的な行動を先導するといのが、DCMSのもう一つのアクションプランとなっている。

来週の記者会見で、大委員会のメンバーはアランの喚問後に質問を受け付け、そこではFacebookのごまかし、誤った方向性、質問のはぐらかしについての非難が予想される(Facebookの回避的な態度パターンはすでにDCMSのメンバーに非難されている)。

先週のニューヨーク・タイムズ紙の報道ではまた、フェイクニュース危機に直面した2016年以降のFacebookの戦略を、‘遅い、否定する、ゆがめる’と特徴づけている。

大委員会はまた、他の参考人からも話を聞く。その参考人には、Cambridge Analyticaスキャンダル後に実施された幅広いエコシステム調査について最近レポートを行なったDCMSの前メンバーで、英国の情報コミッショナーであるElizabeth Denhamも含まれる。

Facebookはプラットフォームがどのように使われるのかについて“大きな責任”を負う必要がある、と彼女は述べていて、Facebookがプライバシーを犠牲にするビジネスモデルを徹底的に見直さない限り、ユーザーの信頼を永久に失うことになる、とも警告している。

そのほか、来週の証言者は次の通りだ:副情報委員Steve Wood;セントクリストファー・ネイビスの前首相Denzil L Douglas(Cambridge Analytica/SCL選挙が同国で行なったことに関して);PersonalData.IO共同創業者Paul-Olivier Dehaye。

Dehayeは以前にも委員会で証言しているーFacebookへのデータ主体のアクセス要求をした経験の詳細を語った。Dehayeは、Facebookが持つ自身に関するデータの入手を試みたが失敗に終わっている。

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(翻訳:Mizoguchi)

LinkedIn、新たなプライバシー設定でメールアドレスのエクスポートを禁止

LinkedInのプライバシーにとっての大きな勝利は、つながりのある人のメールアドレスをエクスポートしたい企業やリクルーターなどにとっては大きな損失だ。LinkdInは新たなプライバシー設定を密かに導入し、ユーザーのメールアドレスを他人がエクスポートすることをデフォルトで禁止した。これで一部のスパムや、つながっていることに気づいていなかったどこかのユーザーが自分のメールアドレスをダウンロードして巨大なスプレッドシートに貼り付けるのを防ぐことができる。しかし、この新しい設定を警告もアナウンスもなく導入したことで、プロフェッショナルネットワーキングサイトに多大な投資をして、つながった相手と外部で接触しようとしていた多くのユーザーの怒りを買う可能性がある。

TechCrunchは読者からの情報で、LinkedInのアーカイブツールでデータをエクスポートしたときメールアドレスが取れなくなったことを知らされた。その後LinkedINは本誌に対してこれを認め、「これは新しい設定で、メンバーはLinkedInに登録したメールアドレスの管理を強化できるようになった。『メールアドレスの公開設定』という項目を見ると、新たに詳細設定項目が追加されて、もっとも強いプライバシーオプションがデフォルトになっていることがわかる。メンバーはこの設定を好みに合わせて変更できる。これでメンバーは自分のアドレスを誰がダウンロードできるかを管理できるようになる」

新しいオプションは、設定とプライバシー -> プライバシー -> メールアドレスの公開設定の中にある。ここの「つながりがデータをエクスポートする際にメールnobuo.takahashi@nifty.comのダウンロードを許可しますか?」の トグルがデフォルトで「いいえ」 になっている。ほとんどのユーザーはこれを知らない。なぜならLinkedInはアナウンスしていないから。 ヘルプセンターにメールアドレス公開範囲の説明が折り畳まれたセクションとして追加されただけであり、「はい」に変更する人は、そうする理由の説明がないのでほとんどいないだろう。つまり、今後LinkedInでエクスポートしたアーカイブにほとんど誰のメールアドレスもないことを意味する。つながりのあるユーザーは、プロフィール画面にくればメールアドレスを見ることができるが、まとめてダウンロードすることはできない。

Facebookは2010年にGoogleとデータポータビリティーについてき戦ったとき、メールアドレスのエクスポートに関して同じ結論に達した。Facebookはユーザーが自分のGmail連絡先をインポートすることを推奨したが、友達のメールアドレスをエクスポートすることは禁止した。同社は、ユーザーは自分のアドレスは所有しているが友達のアドレスは自分のものではないのでダウンロードできない、と主張した——しかしこのスタンスは都合よく、ライバルアプリがFacebookの友達リストをインポートしてソーシャルグラフを作ることも阻止した。私は、Facebookは友達リストをインターオペラブルにして、ユーザーが使うアプリを選べるようにすべきだと提唱した。これは、それが正しい道であると同時に規制を遅らせることにもなるからだ。

Facebookのようなソーシャルネットワークでメールアドレスのエクスポートを禁止する意味は理解できる。しかしLinkedInのようなプロフェッショナルネットワークでは、人々は知らない人たちと意図的につながっていて、エクスポートは常に許可されていたので、黙ってそれを変えることは正しいやり方とは思えない。おそらくLinkedInは、つながっている人が誰でもメールアドレスをかき集められるという事実に注目を集めたくなかったのだろう。昨今のソーシャル分野における厳しいプライバシー監視というメディア事情を踏まえるとそれも無理はない。しかし、LinkedInに依存する企業に多大な影響を与える変更を隠そうすることは、コアユーザーの信頼を失墜させる事態になりかねない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、ブラックフライデーとサイバーマンデーをの前に広告システムが「断続的」中断

広告ネットワークの大規模なダウンの翌日、オンライン広告プラットフォーム最大手のFacebookは、広告主にとってもっとも重要なこの時期に今も広告システムの「断続的」問題を起こしている

同社広報担当者によると、ほとんどのシステムは復旧したが、断続的な問題が広告主に影響を与える可能性がある。

昨日(米国時間11/20)の大部分の時間、広告主はキャンペーンの作成や編集のためにAds ManagerやAds APIツールを使うことができなかった。

同社は既存の広告は配信されたと言ったが、広告主が新しいキャンペーンを設定したり、既存のキャンペーンに変更を加えることはできなかったと複数の広告ネットワークユーザーが言った。

Facebookによると、レポーティング機能は全インターフェースで復旧しているが、コンバージョン率のデータは米国では一日中、その他の地域では夕方に遅れがでていた。

ダウンの影響を受けたキャンペーンがいくつあったのか、広告プラットフォーム休止の補償や穴埋めをするかとうかについて、Facebookはコメントしなかった。

一部の広告主は今も機能停止状態にあり、不満を表わしている。

[メディアバイヤーがブロガーに費用を払うことをからかったり笑ったりするのは簡単だ。しかし私は違う。多くの中小ビジネス、なにやり私の生活はこのしくみに依存している。Facebookには説明責任がある。アドマネージャーが28時間停止していることで仲間の会社はすでに影響を受けている。]

これはほかにいくつもの部分に問題を抱えている会社にとって残念な状況だ。しかも、いじめやヘイトスピーチやFacebookの収益に影響を与えない誤情報などの問題と異なり、広告の販売はFacebookが金を稼ぐ手段そのものだ。

1年で一番忙しい買い物シーズン(すなわち1年で一番忙しい広告シーズン)に広告の反響を見ることができず、一部のデベロッパーが未だに断続的停止を経験しているのは悪い兆候だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookはプラットフォーム上での16才の花嫁オークションを防げなかった

Facebookは、同社が展開するプラットフォームで南スーダンの16才の少女が花嫁としてオークションにかけられるのを防ぐことができなかった。

戦争で荒廃した地域に住む思春期の少女が抱える多くのリスクについてまとめている国際NGOプランインターナショナルの最新レポートによると、子どもの強制結婚(Child early and forced marriage =CEFM)は南スーダンで最も多く報告されているジェンダーに基づく暴力なのだという。

そうした地域に住む少女はいま、ソーシャルメディアについても心配しなければならないようだ。

Viceがこの件について昨日詳細に報じた。それによると、Facebookは少女がすでに結婚してしまった後にオークションの投稿を削除した。この削除は、少女の家族が10月25日にFacebookのプラットフォームで子どもを売るとアナウンスしてから2週間以上たってのことだった。

オークションの投稿に気づいたのは11月9日で、気づいてから24時間以内に削除した、とFacebookは言っている。その24時間のうち、投稿を削除するとFacebookが決定するのに何時間かかったのかは不明だ。

オークションを落札したのは南スーダンの首都に住む大富豪のビジネスマンで、記録的な“値段”で競り落としたと報道されている。その少女Nyalong Ngong Deng Jalangと結婚するのに払われた値段とは、牛530頭、3台のランドクルーザーV8、そして1万ドルだ。

プランインターナショナルは、子どもの花嫁オークションにFacebookが使用されたと確認された初の事案だ、とViceに語っている。

「これはかなり憂慮すべき事案だ。というのも、かなりもうけのある取引で、多くの注意をひきつけた。今回の件が、他の人も後に続こうとインセンティブのように作用するのではと憂慮している」としている。

別の人権NGOは、削除されたオークション投稿のスクリーンキャプチャをTwitterに投稿し、こう書き込んでいる:人権グループによるさまざまな訴えにもかかわらず、16才の少女が南スーダンでFacebookが削除しなかったオンライン結婚オークション投稿の犠牲になった。

なぜオークションを防ぐことができなかったのか、我々がFacebookに説明を求めたところ、広報から次のような返事があった。

投稿、ページ、広告、グループといった全てのフォームにおいて、Facebookではいかなる人身売買も許されない。我々は投稿を削除し、この投稿を行なった人のアカウントを永久使用禁止にした。我々は、安全・セキュリティチームの人員を3万人超に倍増させ、またテクノロジーに投資するなど、我々のポリシーに反するコンテンツを特定するための方策改善に常に取り組んでいる。

オークションが投稿されてから、その投稿がFacebookによって削除されるまでに2週間以上も間があったというのは、モデレーションプロセスの改善にたっぷり投資してきたというFacebookの主張に深刻な疑念を生じさせる。

人権グループはこの投稿についてFacebookに直接注意を促そうとした。またこの投稿は、かなり地元のメディアの注意もひいたとされている。にもかかわらず、投稿を認識して行動に移すまで数週間もかかったーFacebookの対応は遅きに失し、行動したときにはすでに少女は売られ、結婚してしまっていた。

Facebookはプラットフォームについて国レベルでのデータは公開していないので、南スーダンにどのくらいのユーザーがいるのかは不明だ。

また、世界のコンテンツプラットフォーム(20億人超のユーザーを抱える)のコンテンツレビューを実行するためにFacebookが雇用、もしくは契約しているおおよそ1万5000人をどのように配置しているのかも明らかではない。

Facebookは、コンテンツをレビューする人がプラットフォームが使われている世界各地の言語を理解するわけではないことを認めている。彼らは世界で広く使われている言語ですら話すわけでもない。なので、南スーダンで使用されている言語をしっかり理解できるレビュー者がいる、というのはとても考えられない。

我々はFacebookに、南スーダンで使用されている言語(複数だ)のいずれかを話せるモデレーターを何人配置しているのか尋ねた。広報はすぐさま回答することはできなかった。

Facebookが少ない数のレビュー者(トータルのユーザー数と比較しての話だ)に頼り、遠くからのコンテンツレビューを行なっているということの結末が、人権リスクへの素早い対応がすべきときに行えていないということになる。

事業を展開する全てのマーケットにおいて、プラットフォームでつくられるリスクに直接、そして素早く対応できるよう、言語的そして文化的にセンシティブでならなければならないところにFacebookはレビューチームを配置できていない(かなり多くのレビュー者がドイツに配置されているードイツでは1年前にソーシャルメディアヘイトスピーチ法案が可決された)。

AIもまた、この難題を解決はしないー人間の時間の尺度でもだ。そのため、Facebookはこの作業を実際に人にさせている。

しかし少女花嫁オークションに気づいて削除するのに2週間というのは、いくらなんでも時間がかかりすぎた。

実に高いコストを伴うことになるかもしれないテクノロジーツールが人権に与える影響を監視し、管理するために、Facebookが国際事業全般にわたって十分に投資できていないという実態が鮮明になりつつある。

南スーダンにおいては、不十分な監視がハイテック奴隷マーケットと同等のことのためにプラットフォームが利用されるという事態を招いた。

Facebookはまたミャンマーでの深刻な過失でも窮地に立たされている。ミャンマーでは、Facebookのプラットフォームがヘイトスピーチを広め、民族抗争を激化させたとして非難されてきた。

チェックされていないソーシャルメディアツールにアクセスすることで、幇助されている他の人権侵害を我々はまたすぐ目にすることになる。

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(翻訳:Mizoguchi)

Facebook、司法省のシリコンバレー反トラスト法責任者を引き抜く

Facebookは米国司法省の古参でシリコンバレー反トラスト局長Kate Patchenを、訴訟責任者・法律副顧問に採用した。

Patchenは、 同社が進行中スキャンダル危機的評判問題の数々を抱える中、今月Facebookの一員になったことをLindedInプロフィールに書いている。

この人事をいち早く見つけたのはFinancial Timesで、2週間前にFacebookが、LinkedInで競争問題担当者としてワシントンの「主任弁護士」を募集していたことも報じている——社内の専門家体制を強化する取り組みの現れだ。

Patchenは、反トラスト問題の豊富な経験を新たな雇用主にもたらす。司法省で16年間の経験を持ち、法廷弁護士として活動を始めた後2014年に反トラスト部門の次席になった。そして2年後に部門長になった。

この採用について問い合わせたところ、Facebookは本誌のメール内容を認めたが、反トラスト法執行専門家を採用する決定についてのコメントは出さなかった。

ソーシャルメディアの巨人がこの問題に関して山ほど悩みを抱えていることは間違いない。

2016年、ロシアが支援する選挙妨害活動が最初に起きた際、Facebookは議員らのレーダーにはっきりと捕らえられ、政界の渦中に立たされた。以来、相次ぐセキュリティーやデータの不正スキャンダルによって、Facebookに対する議会の圧力は高まるばかりだ。

現在米国の議員たちはソーシャルメディアの規制化に向けてこれまでになく活発に動いている。不当競争の監視は大規模IT企業全般に対して厳しくなっており、被害の影響を緩和するために巨大プラットフォームの分割を要求する向きもある。

例えばFinancial Timesによると、最近民主党は「経済集中の脅威」に対処る法案を提出した。また、民主党が推進する競争法の強化は、同党とシリコンバレーのIT巨人らとの熱愛関係が完全に終わったことを示唆している。

欧州では、競争監視当局がすでにIT大手に対抗する動きを見せており、ここ数年の間にGoogleのサービスに対して2件の巨額な罰金を科し、捜査は今も続いている。

Amazonも現在当局の目に捕らえられている。EU規制当局は国家レベルで、IT広告業界がGoogleとFacebookの複占状態になっていることに対する監視を強めている。

一方PatchenがFacebookに入ると同時に、長年務めたベテランたちが社を去っていった——公開ポリシー責任者Elliot Schrageもその一人だ。

Schrageの退社は数ヶ月前から準備されていたが、本誌が今週入手した社内メモによると、同氏が最近発覚した広報スキャンダルのスケープゴートとして体よく追い出されたことを示唆している。

先月もFacebookは新勢力の採用を発表した。元英国副首相のニック・クレッグが国際ポリシーおよび報道の新しい責任者に就任した——当時Schrageは顧問として残る予定だった。

別の上級幹部人事では、Facebook CSO Alex Stamosもこの夏に会社を去り、最高法務責任者のColin Stretchは年末に退社すると表明した。

しかし今月のRecodeの記事によると、Strechは退社を保留——来年夏まで——しており、これは現在進行中の政治問題に対応するためだと思われる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook