Googleマップが世界200都市でバスや電車の混雑予測を開始

Googleはマップの改善を続けている。米国時間6月27日のアップデートでマップが通勤にさらに便利になった。新機能の一つはバスや地下鉄などの遅延を予測する。これはリアルタイムで遅延情報が得られない場合に役立つ。もうひとつは過去のデータに基づいてこれらの交通機関の混雑状態を予測するものだ。

多くの通勤者にとって興味あるのは後者、混雑状況の予測だろう。これにはGoogleが過去半年かけて完成させた新しいアルゴリズムが用いられている。去年の10月からGoogleは午前6時から8時という通勤ラッシュ時間帯にマップを利用したユーザーに対して空席の有無など混雑状況を評価するアンケートを取り始めた。

tokyo crowdedness framed.max 1000x1000

Googleは通勤者が適切な交通機関を選択することを助けるために、クラウドソーシングによって得られた情報をベースにバス、地下鉄、電車の路線の混雑状況を予測するモデルを作成した。

ちなみにGoogleは世界で最も混雑する通勤路線の一覧を公開している。

リストではブラジルのブエノスアイレスとサンパウロが突出している。トップ10路線のうち1位から4位までを独占しているだけでなく、さらに2路線を加えて合計6路線が両都市のものだ。東京では中央線と日暮里・舎人ライナーの2路線がランクインしてる。米国の路線でトップ10入りしたのはニューヨークのマンハッタンとブルックリンを結ぶ地下鉄L系統だけだった。

Googleが膨大な利用人口を混雑予測に役立てたのはこれが最初ではない。すでにGoogleマップではレストラン他の一般ユーザー向け施設の混雑を予測している。

またGoogleはバスの遅延にも警告が出せるようにした。

ETTs

Googleは2017年12月に地域の公共交通機関の運営者からの運行情報をリアルタイムで提供するサービスを始めた。ただこの機能がカバーするのは一部の都市のみだった。アメリカでいえばジョージア州アトランタはカバーされていなかった。Googleではこの点を改善すべくクラウドソースによってリアルタイムで遅延情報を提供し始めた。

バスの遅延予測にはまず路線に関する詳細な情報が必要だ。Googleは個人が特定されないよう匿名化されるという条件で位置情報の提供に同意したユーザーから得られた情報を用いた。これレストランや店舗の混雑状況を予測するモデルと同様のメカニズムだ。Googleはマップを世界中で人々の移動状況を知るための非常に強力なツールに変えた。

もっとも、多くのマップユーザーはこのデータ収集がデフォルトでオンになっていることに気づいていないかもしれない。おそらく遅延情報や混雑状況のアラートは公共交通機関の運営者から得られているものと漠然と考えているユーザーも多いだろう。しかし実はデータは運営者からではなく、マップアプリをインストールしている無数のユーザー自身から来ている。

ともあれ、今やマップのユーザーはバスの運行状況を知ることができるようになる。どのくらいの遅れが出そうかリアルタイムで分かっていればそのぶん早めに家を出るなど対策できるわけだ。

Googleによればマップの新機能は世界の200都市をカバーし、Android版、iOS版の双方で本日から利用できるようになるという。

画像:TechCrunch

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

YouTubeの「勝手な推薦ビデオ」の推薦理由がややわかるようになった

【抄訳】
YouTubeは米国時間6月27日、ユーザーの「ホーム」ページや「次の動画」の推薦リストに現れるビデオを、ユーザー自身がもっとコントロールできるようにするための一連の変更を発表した。それらのビデオは、YouTubeのアルゴリズムが勝手に決めているものだ。YouTubeはまた、それらの推薦ビデオがなぜどうやって決まったのかをユーザーが理解できるようにする、と言っている。つまり、YouTubeのアルゴリズムの内部を見せると言うのだ。

新しい機能として、「ホーム」ページや「次の動画」に登場する推薦ビデオにどんなトピックが関連しているのか、これまでのどんなビデオが関連しているのかがわかるようになる。YouTubeアプリはこれからは、今見ているビデオに関連しているビデオや、ユーザーがウォッチしているチャネルのビデオなど、関心があるとYouTubeが判断したビデオの根拠になっている、個人化された提案を表示し、ユーザーがそれらを見られるようにする。

deviceFrame combined

この機能はAndroidのYouTubeアプリに英語でサインインしているユーザーにまず提供され、iOSやデスクトップ、そしてほかの言語は、もうじきサポートされるそうだ。

YouTubeの提案がいつものように的外れなら、これからは一連のコントロールにアクセスして、特定のチャネルからの提案をしないよう指示できる。

そのコントロールは、「ホーム」ページや「次の動画」のビデオの隣にある、点が3つのメニューから利用できる。そこで、推薦してほしくないチャネルを指定する。すると次回からは、そのチャネルのビデオが表示されなくなる。

しかし推薦を禁じたチャネルへのサブスクリプション(入会)や検索、そのチャネルのページへの直接の訪問などはできる。YouTubeからの勝手な推薦がないだけで、チャネルの利用方法は前とまったく変らない。そこのビデオがトレンドのタブに出ることもある。

dontRecommend featureImage 3

この機能は全世界で利用でき、YouTubeのAndroidアプリに次いで今日からはiOSでも利用可能、デスクトップももうすぐだ。

しかし一番面白いのは、YouTubeがそのアルゴリズムの仕組みをユーザーに少し見せてくれることだ。これまでユーザは、なんでこのビデオが自分に推薦されるのか、まったく理解できないこともあった。今度の新しい機能で、そのビデオがリストに載る理由が詳しくわかる。ビデオの提案の下に、それを選んだ理由が表示される。

YouTubeの発表によるとたとえば、そのユーザーが一度も訪れたことのないチャネルのビデオでも、「関心が共通するほかのユーザーが好きなビデオなら推薦する」というように。「我々の目標は、ビデオを『ホーム』ページで紹介する理由を説明して、ユーザーが気に入るかもしれない新しいチャネルを見つけるお手伝いをする」ことだそうだ。

例えば、その説明は「あなたのお気に入りのチャネルを見ているビューワーが、そのビデオの推薦をしているチャネルも見ている」、と言うかもしれない。YouTubeのアルゴリズムは本当はもっと複雑だが、この「お気に入りの連鎖」は、比較的単純な方だ。

endorsements featureImage iphone 1

YouTubeなどのソーシャルメディアは、プラットホームの管理について政府の規制当局からも圧力を受けている。プライバシーとセキュリティの問題だけでなくヘイトスピーチや偽情報の拡散などでプラットホームは、不透明なアルゴリズムでユーザーに見せるものを決めていることを批判されている。

【後略】

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

iOSとAndroidでGoogleのロケーション履歴を自動消去する設定が可能に

Google(グーグル)は「個人データを収集するのは広告事業だけでなく、ユーザーに提供するサービスの質を改善するのにも役立っているのだ」と主張してきた。しかしGoogleがありとあらゆる個人データを吸い上げ続けるのを好まないユーザーも少なからず存在する。

米国時間6月26日、Googleはユーザーが自分に関するデータをコントロールする能力を増やせるような機能を発表した。新機能を利用すればiOSとAndroidデバイスからロケーション履歴を自動的に消去できるよう設定できる。

Googleは去る5月、Google I/Oカンファレンスの直前にこの機能のリリースを予告していた。

ロケーション履歴はユーザーのお気に入りのレストランや店舗を記憶し、推薦するのに役立つという。しかし一部のユーザーは自分が訪問した場所をすべてGoogleに把握されていることを機能を気味悪いと感じており、同社もこのことを認めた。

新しいコントロールではGoogleのロケーション履歴を3カ月おきまたは18カ月おきに自動消去できるよう設定できる。

やり方はこうだ。まずGoogleアカウントにアクセスし、「アクティビティ管理」を開く。新機能が有効になっていれば「ロケーション履歴」の項目に「履歴を自動消去する」というオプションが表示されるはずだ。

次に表示される画面で履歴を消去する間隔を 3カ月、18カ月のどちらにするか選択できる。今までもその場でロケーション履歴を削除することは可能だった。

Googleによれば新機能は米国時間6月26日からiOSとAndroidで公開が始まるという。全ユーザーにロールアウトされるのには多少時間がかるのでまだ使えないユーザーもいるはずだ。

Googleが個人データを保存すること自体を好まないなら、これまでどおりGoogleアカウントの設定からデータ収集をオフにすることもできる。ロケーション履歴だけでなくYouTubeの検索、視聴履歴などについてもGoogleへの送信を停止できる。

【Japan編集部追記】一時的にウェブブラウズ履歴を保存したくない場合、Chromeにはシークレットモードが用意されている。これはChromeのハンバーガーメニューから「シークレットウィンドウを開く」を選べばよい。この機能を利用すれば情報はGoogleに保存されないが、デバイス、キャリヤ、訪問先サイトなどに何らかのデータが残る可能性はある。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

子供たちに誤報やフェイクニュースを見分ける方法を教えるGoogleのプログラム

Googleは米国時間6月24日、2年前から提供している子供向けのデジタルセーフティと市民権のためのカリキュラム「Be Internet Awesome」に、メディアリテラシーを取り入れることを発表した。特にいわゆる「フェイクニュース」やその他の偽のコンテンツを見分ける能力に的を絞っている。同社はカリキュラムとして6つの新しいメディアリテラシーアクティビティを用意している。それらは子供たちに、どのようにフィッシング攻撃を避ければ良いか、ボットとは何か、眼の前の情報が信用できるものかどうかをどのように検証すれば良いか、情報源をどのように評価すれば良いか、オンラインの誤報をどのように見分ければ良いか、そして偽URLを見分ける方法などを教える手助けをするものだ。

この新しいメディアリテラシークラスは、The Net Safety Collaborativeのエグゼクティブディレクターであるアン・コリアー(Anne Collier)氏、「The Teacher’s Guide to Media Literacy」(教師のためのメディアリテラシーガイド)の共同著者でありNational Association for Media Literacy Educationの共同創業であるフェイス・ローゴー(Faith Rogow)博士らの協力を得て開発された。率直に言って、この教材を一通り読むべき大人もいるだろう。

「子供たちがテクノロジーを最大限に活用するためには適切なツールとリソースが必要です。また家庭向けにはデジタルのセーフティと市民権のための優れたリソースが既に存在していますが、メディアリテラシーのためにも、さらにできることがあるのです」とGoogleのブログでの発表の中に書くのは、教育者でteachmama.comの創業者であるエイミー・マスコット(Amy Mascott)氏だ。「私は、メディアリテラシーがデジタル時代のセーフティと市民権に不可欠であると信じている多くの教育者たちと協力してきましたが、それは扱うのが難しいトピックであることには同意します」。

新しいコースは、子供たちに単純に知識を与えるだけでなく、オンラインリソースを扱う際に必要となる重要な思考スキルの育成を助ける、アクティビティと議論のネタの組み合わせも提供する。

コース資料が説明している全体テーマは、オンラインで見つけるコンテンツが必ずしも本当のものであったり信頼できるわけではない(さらには、子供たちの情報やIDを盗もうとする悪意のある活動もあるのだ)ということを、子供たちが理解することを助けるものだ。

子供たちは、フィッシングがどのような仕掛けなのか、なぜそれが脅威なのか、そしてどのようにそれを回避すれば良いかを学ぶ。そして、フィッシングに対抗するスキルを、疑わしいオンラインテキスト、投稿、友達申請、画像、そして電子メールなどに対する対応や議論を通して磨くのだ。

ボットセクションでは、AIがどのように機能するかについて学び、ボットと話すことと人間と話すことの違いを比較対照する。

それに続くメディアリテラシーセクションでは、子供たちは信頼できる情報源とは何か、情報源の動機をどのように理解すれば良いかを学び、そして「ある人が、ある分野の専門家だからといって、すべての事柄の専門家ということにはならない」ということを学ぶ。

関連する教室でのアクティビティでは、子供たちは自分がオンラインで見たことやクラスで学んでいることに関連した質問を選び、答えをオンラインで得ながら、同時に情報源が信頼できるかどうかを考えるのだ。

彼らはまた、さまざまな情報源を探す方法として、信頼できる情報源を他の信頼できる情報源と突き合わせて事実確認することを学ぶ。

「もしチェックしたい情報源の内容を裏付けることができる、信頼できる他の情報源が見つからない場合には、最初の情報源を信じるべきではありません」とカリキュラムは説明する。

子供たちはさらに、偽情報を見分けるために、情報源の信頼性をチェックするだけでなく、紛らわしいURLも参考にするように教えられる。子供たちは、こうした手段を知らないために偽情報をオンラインでシェアしてしまう人がいること、それが拡散の原因となることを教えられる。

「世の中にはあまりに自分たちの信じていることに熱中する余りに、真実を捻じ曲げて私たちを彼らに同意させようとする、たくさんの人やグループがあります。ねじれた情報がニュース記事に偽装されている場合には、それは偽情報にほかなりません」とカリキュラムは言う。

子供たちはまた、まるで本物のような名前を使っているために、フェイクニュース組織だと見破ることが難しいものもあると教えられる。

そして教材の中ではウェブサイトが使う様々なトリックを詳細に掘り下げる。例えばストーリーに関係のない写真を使うとか、あるいは「衝撃」「ゆるせない」といった人びとが興味をもつ「クリックベイトワード」に太字、下線、「!」、あるいはすべて大文字といった強調を行って、相手を説得しようとするといった手段を紹介している。

このセクションのまとめは、オンラインゲーム「Reality River」(真実の川)である。このゲームは子供たちに、川を速く渡れるように最良の判断をすることを迫る。これは、Googleのデジタルセーフティと市民権のカリキュラムのために開発された、(インターネットならぬ)Interland上で行われる。

メディアリテラシーコースの全体的な目標は、子供たちがすべてのニュースや情報をチェックする習慣を身に付けることを奨励することだ。

Googleは、新しいカリキュラムは教師と家庭の両方がオンラインで利用でき、英語、スペイン語、その他8つの言語で提供されると述べている。

Googleは、複数の都市でYMCAおよびNational PTAと提携して、オンラインセーフティに関するワークショップも開催している。

【日本版:残念ながらまだ日本語版は存在していない。サイトのFAQによれば、現在ローカル版が(部分的にでも)用意されているのは、アルゼンチン、ベルギー(オランダ語、英語、フランス語)、ブラジル、チリ、コロンビア、イタリア、メキシコ、ペルー、ポーランド、サウジアラビア、英国、そしてもちろん米国である。

現段階で提供されているのは主に英語版とスペイン語版である。記事中の「その他8つの言語」が何かは、Googleのサイト上にも説明がない】

[原文へ]

(翻訳:sako)

怪しいサイトにユーザーがフラグを付けるChrome拡張機能

Google(グーグル)は米国時間6月18日、怪しいサイトにユーザー自身がフラグを付けられるようにする新しいChrome拡張機能を発表した。そのサイトは、Chromeはもちろん、サードパーティ製のブラウザーも利用するGoogleのSafe Browsingインデックスに登録される。

またGoogleは、ユーザーを騙して資格証明書を読み取ろうとしたり、マルウェアをダウンロードさせようとするようなサイトを開く前に、アクセスをブロックする警告機能もChromeに装備した。

通常、Safe Browsing機能は自動的にウェブをクロールし、疑わしいサイトを探しまわる。この新たな拡張機能を使用すれば、まだSafe Browsingによって検出されていないサイトに、ユーザー自身がフラグを付けることが可能となる。そのための手順は非常にシンプルだ。この拡張機能には、レポートを送信する際のオプションとして、スクリーンショット、そのサイトにたどり着くまでのリファラーチェーン、またブラウザーのDOMの中身をレポートに含めるかどうかがある。これらのオプションは、個別にオンオフを選択できる。

またアドレスバーの右側に表示されるこの拡張機能のフラグ型のアイコンは、開いているサイトの正当性を判断して色が変わる。ただし、上位5000に含まれないサイトについては、すべてオレンジ色になってしまうため、この色の変化による警告機能はさほど役に立たない。

Chrome 75に新たに装備された警告機能についてGoogleは、たとえば「google.com」に対して「go0gle.com」のように、人の目を欺くようなURLによってユーザーを騙そうとするサイトへのアクセスを防ぐためのものだとしている。こうしたサイトに対してChromeは、ウィンドウいっぱいの障壁を表示して、ユーザーに警告するようになった。

「この新しい警告は、現在アクセスしているページと、最近アクセスしたページのURLを比較することによって機能します」とChromeチームは説明している。「見かけのURLが似ていて、混乱させられたり、騙されたりする可能性がある場合には、警告を出して、安全な場所に戻れるようにするのです」。

画像クレジット:Justin Sullivan/Getty Images

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

Google PayのPayPal統合がオンライン販売業者に拡張

GoogleとPayPalは、これまでも戦略的パートナーだった。両社は2017年にPayPalがAndroid Payの決済方法になると発表した。Android PayはのちにGoogle Payになった。昨年、Google Payの決済方法にPayPalを加えたユーザーは、Google PayのPayPalオプションでGmailやYouTube、Google PlayなどのサービスやGoogle Storeでの買い物に支払えるようになった。そしてこれからは、ウェブサイトやモバイルアプリでGoogle Payを受け入れているオンラインの販売業者が、同様の統合を享受できることになった。

Googleの説明によると、何億もの顧客がすでに自分のGoogleアカウントに決済方法を保存している。2018年の統合により、その一部はPayPalだ。

統合の今回の拡大により、オンラインの販売業者はGoogle Payの統合の設定の中でPayPalを決済方法に指定できる。彼らのWebサイトでGoogle Payがすでに実装されていれば、とても簡単なことだ。許される決済方法のリストを、下図のように一部書き換えるだけだ。

そうすると今後は、Google Payを使って支払いをするオンラインの買い物客は、PayPalを選んで決済できる。

この統合によりGoogle PayからPayPalを使おうとする消費者がいちいちPayPalにサインインしなくてもよくなり、チェックアウトまでにやるべきことが相当減る。そして、便利になればコンバージョンも増える。PayPalのPurchase ProtectionReturn Shippingにもアクセスできる。

オンラインの販売業者がPayPalを利用しているとき、顧客がGoogle PayからPayPalを選べば、その販売業者のPayPal Business Accountには数分後にお金が入る。

PayPalがかつてのコンペティターだったAppleやGoogleを受け入れるようになったのは、数年前からだ。それは今でも続いており、ますます多くのテクノロジープラットホームがそのサービスを統合している。

PayPalがライバルのVisaMastercardAppleGoogleSamsungWalmartなどとの提携を始めたのは、小売店のPOS(Point-of-Sale)と、人気のあるモバイルウォレット(Apple、Google、Samsungなど)の両方で利用者を増やしたいからだ。今日ではこれらのモバイルウォレットの中でPayPalは、他の決済カード–クレジットカードやデビットカードなど–と共存している。

販売業者は支払い方法をなるべく多様化したいから、自分でデジタルウォレットプラットホームのサポートを加えるが、いわばPayPalはそれにただ乗りしてやってくるのだ。

Google PayのPayPalオプションは、顧客がPayPalのアカウントをGoogle Payにリンクできる24の国で利用できる。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

日産のゼロエミッションのアイス販売車は古いEVの電池を再利用

アイスクリーム販売車は、実は「環境に重大な危害をもたらすとは誰も思わなかったけどもしかしたらそうかもしれない」モノの仲間だった。日産が開発した新しいコンセプトカーは、これまでのアイスクリーム販売車が作り出していたすべての排気ガスをなくし、特に古い車種ではアイスクリームが溶けないために停車中でもエンジンをアイドリングして作り出していた大量の温室効果ガスもなくしてしまう。

このプロジェクトのために日産がパートナーしたアイスクリーム企業であるMackie’s of Scotlandは、すでに原料の牛乳を、風や太陽などの再生可能エネルギーで操業している家族経営の自家農園から調達して、環境フットプリントの削減に一歩を踏み出している。製品の持続可能な生産方式と今回の日産が考案したゼロエミッションのデリバリーバンの組み合わせは、企業の炭素フットプリントを減らす最高の方法だ。

そのために日産が選んだ軽量級商用バンのe-NV200は、完全電動車で1回の充電で約200km走る。このアイスクリーム企業のコンセプトに合わせて日産が特製したリチウムイオン電池パック「Energy Roam」は、2010年以降に生産された日産の古いEVから回収したバッテリーセルを使っている。その再生電池パックはそれぞれ約0.7kWhを貯蔵し、1kWを出力する。うち2つはエンジン用ではなく、ソフトクリーム機や冷蔵庫、冷凍庫用だ。充電は通常の公衆電源(英国だから230V)でもいいし、またバンの屋根のソーラーを使えば2〜4時間で充電できる。

全電動であること以外に、この日産のコンセプトバンにはこれまでの移動アイスクリーム販売車になかった特徴がいくつかある。まず、バンの外に立つ売り子の頭上にはハッチが開いて、アイスクリームディスペンサーの面白さを子どもたちに見せる。Apple PayやGoogle Payで払えるから売り子はお金に手を触れない。What3Wordsを統合して、自分の位置をTwitterでブロードキャストしている。あの元気なベルの音が聞こえなくても、大丈夫。

そして、日産からのボーナスとして、冷菓の売れない季節には機器が使用するはずだった電池の電気を電力会社に売ることができる。ただしこれはまだ、構想の段階だ。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Googleマップ上の数百万件の企業情報がフェイクとの報道

Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル、WSJ)紙による調査が、Googleマップには偽の企業情報が数百万もあると結論したことに対して、Googleはその問題の対策を詳しく述べた返答を発表した。

WSJがアンケート調査をしたオンライン広告のエキスパートたちによると、「1日におよそ110万件の企業情報が載っており」、毎月新たに数十万件ずつ増えている。偽情報はそれを専門とする企業が作り、顧客は存在しない支社や子会社などをGoogleマップ上にたくさん載せて、検索結果などにおいて自社を競争上優位に見せかけようとする。

WSJがインタビューした検索のエキスパートによると、2017年にGoogleが研究者たちに金を払ってやらせた調査では、ローカル検索の結果のわずか0.5%がフェイク(偽)とされているが、元データが少なすぎるため、その調査結果自体がフェイクである。

今回の返答の中でGoogleマップのプロダクトディレクターであるEthan Russell(イーサン・ラッセル)氏は、ここ数年でGoogleマップに加えられた2億件あまりの企業情報のうち「わずかなパーセント」がフェイクだとコメントしている。彼によると昨年Googleは300万件あまりの偽の企業プロフィールを取り下げたが、その90%あまりはユーザーがそれらを目にする前に消された。削除した企業情報の85%はGoogleのシステムが見つけたもので、25万件はユーザーからの報告だった。悪質と見なされたユーザーアカウント15万件も無効にされた。それらは2017年に比べて50%増加している。

ラッセル氏は「さまざまな手作業や自動化システムにより、これらの悪質な情報と戦う有効な方法を探究している」とも述べている。詳細を述べられないのは、犯人たちがそれらを出し抜く方法を考案するおそれがあるからだ。

偽情報に関してはGoogleが保有するサービスYouTubeも、その対策の生ぬるさを問題視されている。YouTubeは昨年初めて悪用対策報告書を発表したが、ヘイトスピーチなど問題のあるコンテンツは根絶できず、批評家たちは、YouTubeはポリシーとその適用がでたらめだと指摘する。

AppleやAmazon、Facebookなどと並んでGoogleの親会社Alphabetも目下、連邦取引委員会と司法省による反トラストの調査に直面しており、Googleの場合は検索事業が精査されることになるだろう。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Googleが自社製タブレットを完全廃止

それは、かなり前から言われていた。昨年の今ごろTechCrunchは、Googleの販売サイトからタブレットがすべて消えたと報じた。そのときは正確ではなかったが、でもそれは、これから起きることの不吉な前兆のようだった。

Googleはその後昨年Pixel Slateをローンチして、ハイエンドのPixel Bookに代わる形状サイズを求める要望に応えようとした。でも結局、そのデバイスは無駄と受け取られ、タブレットとしての最後の機種になるか、と思われた。そして今週同社は、ハードウェアチームがタブレットの亡霊を退治した、と認めた。

各誌の初期の記事への応答として、同社は次のようにコメントしている。「Googleのファーストパーティ(=自社製)のハードウェアとしてはChrome OSのラップトップにフォーカスするがPixel Slateのサポートは続ける」。

そうだよ。Googleのハードウェアチームは今後ハードウェアにフォーカスするけど、間違えないでいただきたい。AndroidとChrome OSのチームはパートナーたちとの長期的で真剣な努力により、消費者、エンタープライズ、教育などさまざまな市場に向けたタブレットに取り組んでいくんだ。

Googleの上級副社長を務めるRick Osterloh氏は、Twitterで一連の「不明瞭な」記事の明瞭化に努めている。

タブレットは、Apple(アップル)以外の企業にとって売るのが難しい製品だった。Googleは自社製品でいろいろ努力はしたが、高級機のiPadと安価なAndroid/Chromebook機が支配する市場に自分の場所を見つけることができなかった。同社はそのNexus/Pixelデバイスを同社のソフトウェアの参照モデルと位置づけることで満足しているようでもあったが、最近では自社製デバイスの本格的なリストラに取り組むことになった。

というわけで、さようならGoogleのタブレット。少なくとも、当面は。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

検索結果ページで歌詞を紹介するGoogleは今後歌詞提供者のクレジットを明記へ

今週初めに、いろんな曲の歌詞をたくさん集積しているGeniusが、Googleを同サイトからコピーした歌詞を検索結果の中で無断流用していると非難した。GeniusはWall Street Journal紙(WSJ、ウォールストリートジャーナル)によって同社サイトへのトラフィックが減った、と言っている。Googleは最初、間違ったことは何もしていないと主張していたが、その後、問題を調査中であると述べ、その紛争を本日のブログ記事で取り上げている。その中で同社は、検索結果の情報ボックスの中の歌詞を提供しているサードパーティのパートナーの帰属(attribution)を、今後は含めるようにする、と言っている。

Googleが最初にWSJの取材を受けたとき、検索ページに表示される歌詞はパートナーからライセンスされたもので、Googleが作ったコンテンツではない、と言っている。しかし曲の検索結果のページの上部に表示される情報ボックスやカードの中の歌詞の一部には、モールス符号を使ったGenius特有の透かし模様がときどきある。Geniusはこれまで2年間、この件で何度もGoogleにコンタクトしたという。たとえば4月にGoogleに送った書簡は、そのやり方はサイトの利用規約に違反しているだけでなく、反トラストの法律にも違反している、と責めている。Googleなどの大手テク企業は、それでなくても政府の規制当局から反トラストで捜査されているから、それは重大な嫌疑だ。

WSJの記事のあとGoogleは声明で、この問題は調査中であり、やり方が良質でない歌詞提供者とは今後協働しない、と言った。

今日のブログ記事では、Google検索のグループプロダクトマネージャーSatyajeet Salgar氏がこう言っている。「会社は歌詞を表示する権利に関して音楽の出版者に支払っている。ソングライターのために歌詞の権利を管理しているのが彼らだからだ」。しかし音楽出版者の多くが歌詞のテキストをサードパーティの歌詞コンテンツプロバイダーからライセンスしているので、Googleは彼らとパートナーすることになる。(訳注:歌詞プロバイダーに協力するクラウドソーシングな書き起こし屋さんが多数いる。歌詞が最初から音楽商品に付随している場合も、それらの一般的な提供業務は既存音楽業界のどこも担当してない)。

Salgar氏は曰く、「たくさんのWebサイトをクロール(crawl、はいまわる)したりスクレープ(scrape、こそげる)したりして歌詞を得ているわけではない。検索ページの情報ボックスに出る歌詞は、歌詞コンテンツのプロバイダーから直接来ている。定期的に修正や新しい歌詞を受け取っているので、それらの歌詞は自動的に更新されている」。

そんなパートナーのひとつが、Googleが2016年に協定を結んだLyricFindだ。LyricFindのCEOはWSJに、歌詞をGeniusから得ていない、と言っている。

Salgar氏のブログ記事は社名を挙げていないが、紛争に関してはこう書いている。「今週のニュース記事によると、われわれの歌詞コンテンツプロバイダーのひとつが、彼らの歌詞の出所をめぐって、ある歌詞サイトと争議を起こしている。われわれはパートナーに問題の調査を求め、彼らのやり方が業界のベストプラクティスに確実に従っているようにしてほしい、と言っている」。

今後Googleは、検索結果のページに歌詞を提供したプロバイダー企業の帰属を含めるつもりだ。Salgar氏は曰く、「これからも権利保有者を尊敬し報酬が支払われるようなやり方を続けていく。音楽出版者とソングライターは彼らの作品に関し確実に支払われるべきである」。

Geniusは2009年にRap Geniusという名前でローンチし、Googleとは一貫して仲が悪い。2013年には検索結果の上位に自分を置くためにRap Geniusが使ったSEOの手法に、Googleのウェブスパム対策チームが文句をつけた。Googleは仕返しとして、Rap Geniusのリンクをほかの検索結果のページの下に置いた。その喧嘩は2週間足らずで解消したが、その間はRap Geniusのトラフィックが激しく落ち込んだ

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

GoogleのProject Euphoniaは発話障がい者の話し言葉の認識を目指す

発話障がいのある人は、AIを活用した音声認識テクノロジーを利用できない。Googleはこの課題に挑んでいる。

5月に開催されたGoogle I/Oで、GoogleはProject Euphoniaを公開した。これは発話障がいのある人などさまざまなタイプの話し言葉をAIによって認識できるようにしようというプロジェクトだ。

GoogleのCEO、Sundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏はGoogle I/Oで次のように語った。「発話障がいのある人や脳卒中の後遺症で発話に影響を受けている人、ALSの人たちをサポートしたいと考えている。Google ARの研究者たちが、一人ひとりに応じたコミュニケーションのモデルに関するアイデアを探っているところだ。そうしたモデルによりさまざまなタイプの話し言葉をもっと認識できるようになるし、AIは話し言葉でコミュニケーションをとることのできない人の助けにもなるだろう」。

Pichai氏は「現在は、発話障がいがあると音声認識のテクノロジーを利用できない。十分な量のデータセットを集めている人がいないからだ」と説明する。Project Euphoniaはこの領域に踏み込んでいく。

Googleは、非営利団体のALS Therapy Development InstituteやALS Residence Initiativeの協力を得て、ALSの神経変性疾患を発症している人の話し言葉を集めている。

「将来、こうした音声認識モデルをGoogle Assistantに取り入れられるよう、我々は懸命に取り組んでいる 」とPichai氏は語る。

しかしそれを実現するには、もっとたくさんのトレーニングデータが必要だ。Pichai氏は、発話が困難な人はここから音声のサンプルを提供してほしいと呼びかけている。

画像:Screenshot

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

Googleがスタートアップ支援の「Google for Startups Campus」を東京・渋谷ストリームに年内オープン

Google(グーグル)は6月18日、2019年内に「Google for Startups Campus」を渋谷ストリームにオープンすることを発表した。ロンドン、マドリード、サンパウロ、ソウル、テルアビブ、ワルシャワに続き、世界で7番目のキャンパスとなる。

Google for Startups Campusとは、アリーからグロースステージのスタートアップ企業に向けて、グローバルサポートとツールを提供する場所。ワークスペースやコラボレーションスペース、イベントスペースなどが併設される。同社のプログラムに参加するスタートアップはメンター制度も利用可能だ。なおスタートアップの募集は、キャンパス開設後を予定しているとのこと。

渋谷ストリームは、渋谷駅ホーム南部の線路跡地に建設された高層ビルで今秋にグランドオープンを迎える。上層はオフィス階になっており、今秋以降にグーグルの日本法人も六本木ヒルズから引っ越す予定だ。

Waymoがついに電動CUV車Jaguar I-Paceを公道上で自動運転

1年あまり前にWaymo(ウェイモ)は、同社の自動運転車事業の次の大きな一歩としてJaguar Land Rover(ジャガー・ランド・ローバー)をパートナーとし、その全電動クロスオーバー車であるI-Paceを自動運転化すると発表して業界を驚かせた。

その自動運転のJaguar I-Paceがついに、Waymoの本社のある米国カリフォルニア州マウンテンビューの公道でテストを始めたらしい。米国時間6月17日朝の目撃情報によると、セーフティードライバーが運転席にいる自動運転車Jaguar I-Paceが確かに公道を走行中でWaymoも試験を始めたことを認めた。

Googleの自動運転プロジェクトがAlphabet傘下の企業となったWaymoは、2018年7月に最初の3台のI-Paceを受け取った。それらが、道路のデータを集めるためにサンフランシスコのベイエリア周辺を走っているところが目撃されたが、それは自動運転ではなかった。Waymoの計画では、自動運転のI-Paceは2020年に同社のライドシェア事業に起用される予定だ。

WaymoとJLRの契約によると、最大で2万台のI-Paceが最初の2年間でロボタクシーサービスに利用される。そのパートナーシップの構造はWaymoとFiat Chrysler Automobiles(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)の関係に似ていて、FCAはハイブリッドミニバンであるChrysler Pacifica(パシフィカ)をWaymoに供給する。

そのミニバンはフェニックスの郊外周辺で、WaymoのテストとWaymo Oneライドシェアサービスの別名になった。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

GoogleのGame Builderはマルチプレイヤーゲーム開発自体をゲーム化する

GoogleのArea 120チームは、かなり実験的なプロジェクトに取り組む社内のインキュベーターだ。米国時間6月13日に、PCとmacOS上で無料で気軽に使えるGame Builder発表した。プログラミングができなくても、オリジナルの3Dゲームを開発できる。Game Builderは、今のところValveのSteamプラットフォームからのみ入手可能となっている。試してみるにはSteamのアカウントが必要だ。

Game Builderをダウンロードして起動すると、まず目的のゲームの画面サイズを聞いてくる。その後、新たなプロジェクトを作成するのか、既存のプロジェクト、あるいはサンプルプロジェクトを開くのかを選択すると、すぐにゲーム製作を始められる。付属するサンプルプロジェクトとしては、一人称視点のシューティングゲームやプラットフォーム型ゲームがある。また、より複雑な動作をプログラミングするための独自のカードシステムのデモも含まれている。

メニューシステムや、実際のゲーム構築操作には慣れが必要で、すぐに直感的な操作ができるわけではないが、しばらく使っているうちにはコツが分かってくるだろう。デフォルトでは、全体的なゲームデザインの雰囲気は、どうしてもMinecraft風のものとなってしまう。しかし、どのようなゲームを作るかは、完全にユーザーに委ねられている。ただこのツールは、小さな子供がゲームのプログラミングを始めるのに適したもののように感じられなかった。というのも、作業は比較的多くのテキスト情報を扱う複雑なものだからだ。

より複雑な動作を実現するには、Game Builderならではのカードベースのビジュアルプログラミング環境が使える。これはかなり直接的な方法だが、慣れるにはそれなりに時間がかかる。Googleによれば、3Dのレベルを構築するのは、それ自体ゲームで遊ぶようなものだという。ゲーム環境の中で何かを構築していくことを考えると、それにも一理あるだろう。しかし、ゲームで遊ぶようなものだとは言っても、必ずしも簡単なことだとは限らない。

このツールのすごいところは、マルチプレイヤーゲームを作ることができることで、しかも友達とリアルタイムの共同作業でゲームが作れることだ。

これまで、ドラッグ&ドロップのゲームビルダーは、かなり機能が限られるという印象があった。Area 120チームは、JavaScriptの使用を可能にすることで、これを限界を打ち破ろうとしている。あらかじめプログラムされた機能では実現できないことを、JavaScriptで記述できるようにしたのだ。また、Googleの3Dライブラリ、Polyのオブジェクトを利用して3Dレベルをデザインし、独自に構築できるようにしている。

このところGoogleがゲームをかなり重視するようになっているのは周知の事実だ。今年の後半には、Stadiaというゲームのストリーミングサービスを開始できるよう、準備を進めている。今のところ、両者の間には何の関係もないように見える。しかし、Stadia上でGame Builderが使えるようになっても、何の不思議もない。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

E3 2019のベストはProject Scarlettか?Gooigiか?

今年のE3の記事はどれもソニーの不在で始まるけど、これもまさにそうだ。ゲームの「ビッグスリー」のひとつが欠けていることはこの催し全体に大きな影を落とし、展示会場の空間感覚も何かがおかしい。

XboxのチーフPhil Spencer氏も同社の最大のコンペティターの不在を嘆き、ライブのストリーミングでは「ソニーがいないのは悲しいね」と言った

でもショウは滞りなく行われ、まるで大きなビーチのように、ゲーム産業の大小さまざまな波が打ち寄せ、そして引いた。ソニーも次世代コンテンツの隠し玉をたくさん用意していることは確実だから、その健康を疑う者は一人もいない。

一方、マイクロソフト(Microsoft)は元気はつらつ。膨大な量のゲームを披露し、トレーラーは全部で数十篇もあった。重要なニュースが二つあったはずだが、何もかもその盛大なゲームの発表に飲み込まれてしまい、肝心の次世代8KコンソールProject Scarlettや、同社のストリーミングサービスProject xCloudは時間が足りなくなった。

結局、そのサービスの詳細は週の後半になり、同社のコンソールへのストリーミングは無料で、より広範なxCloudの提供物ではないことになった。

マイクロソフトはいろいろ気にして(時間も足りなくて)xCloudやGame Passをステージで詳しく紹介しなかったが、しかしE3全体では明らかにストリーミングが最大の話題だった。その原因の一部は、Google(グーグル)が予定外の記者発表を行ってStadiaのトレーラーを見せたせいでもあるだろう。

任天堂の役員は取材に対して、ストリーミングは研究中と言ったが、具体的な話は何もなかった。任天堂がストリーミングを気にしていることは確実だが、E3では最新のどうぶつの森を見せ、次のゼルダのちょい見せをした。ちょっとした驚きはルイージのクローンとしてグーイジが登場したこと。でも個人的に興奮したのは、夢をみる島のリマスターが決まったことだ。

スクウェア・エニックスのビッグイベントはあまりパっとしなかったが、アベンジャーズのプレビューを見た。Ubisoft(ユービーアイソフト)はデモがクールで、「Watch Dogs: Legion」(ウォッチドッグス レギオン)や、「Assassin’s Creed」(アサシン クリード)のストーリーモードなどがあった。Ubisofotは、独自のストリーミングサービスをGoogle Stadiaの助けを借りてやるらしい。一方Bethesda(ベゼスダ)はFallout 76の新しいモードでバトロワ商戦に参戦するようだ。Fall Guysのほうがずっとかわいいが。

そのほか、Razerのエナジードリンク、Operaのゲーム用ブラウザーあり、ゲーム・オブ・スローンズ原作者の新しいゲームあり、It’s Always Sunnyのスターの登場もあり、そして任天堂Wiiのダンスゲームもあった。SwitchでもWii Uでもない、ただのWiiだ。まあまあだったかもしれない、E3 2019は。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

GoogleがAndroidのセキュリティキー技術をiPhoneやiPadに開放

Google(グーグル)は米国時間6月12日、iPhoneやiPadのオーナーがAndroidのセキュリティキーを利用し、サインインの認証が行えることを発表した。

先月、グーグルはAndroid 7.0以降を搭載したデバイスを2段階認証用のセキュリティキーとして使える、新たなBluetoothベースのプロトコルを開発したと発表した。それ以来、グーグルによれば10万人のユーザーが、すでにAndroidスマートフォンをセキュリティキーとして利用している。

ローンチ以来、この機能はChromeブラウザへのサインインへと限定されていた。しかしグーグルによれば、アップルデバイスの所有者も外部デバイスを利用せずに、同じ保護技術が利用できるという。

Android 7.0デバイスを利用し、iPad上でGoogleアカウントにサインインする様子

セキュリティキーは、高度なアタックの危険性が高いユーザーにとって重要な技術だ。これは、国家レベルのハッカーのような極めて賢く技術力の高い攻撃者でも阻止できるように設計されている。また物理的なセキュリティキーにかわり、新しいAndroidデバイスで利用できる。

まず自分のアカウントにログインした時、キーによる認証を求めるメッセージが表示される。もし誰かがあなたのパスワードを盗んでいたとしても、認証デバイスなしではログインできないのだ。また正規のウェブサイトだけがセキュリティキーをサポートするため、フィッシングページも有効ではない。

ほとんどの場合、セキュリティキーは防御の最終手段だ。グーグルは先月、セキュリティキーのTitanのペアリング機能のバグによる脆弱性が存在し、ハッキングのリスクがあることを認めた。同社は影響を受ける製品について、無料での交換を申し出ている。

また、セキュリティキーの技術はさまざまなデバイスや実行中の異なるOSが通信し、お互いを認証する安全かつ柔軟な技術のFIDO2に準拠している。

現時点では、グーグルによればAndroidのセキュリティキーはGoogleアカウントへのサインインに限定されている。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

Googleの次世代スマホPixel4はメインカメラは少なくとも2基に

Googleが準備中のPixel 4がどういうスマートフォンになるのか、今週に入って各種の噂が渦巻いている。 そこでGoogleはTwitterの公式アカウントで裏と表の外観写真をリークした。

下にエンベッドしたのが@MadeByGoogleによるそのツイートだ。Googleは「かなり注目を集めているようなので、写真をお目にかけよう!実機が出させるようになるまでしばし待たれよ」と書いている。

Pixel 4のデザインは今週、まずPricebabaというスマートフォンの情報を扱うブログに掲載された。

裏側のデザインが現行製品と比べて大きく変わっているのが目を引く。Pixel 3の場合、レンズ、センサー、フラッシュが1基ずつ横に並び、長方形の枠に囲まれている。これに対してリーク写真のデバイスではカメラ部分が正方形になっている。ここにカメラが少なくとも2基、フラッシュ、他のセンサー2基が収まるもようだ。さらに現行製品にある指紋センサーが見当たらない。

表側は下半分の写真しか公開されておらず、この部分には目立った変化はないようだ。

Pixel 3の場合、(カメラの夜景モード以外では)ハードウェアの能力にあまりこだわらず、Googleが力を入れていたのはもっぱら機械学習の成果を活かすソフトウェア面だった。

今回Googleは他社にかなり遅れてデュアル・カメラを採用した。Pixel 3でGoogleは「他の多くのデバイスが複数のカメラで実現する以上のレベルを機械学習アルゴリズムによって1台で達成している」と主張していた。もちろんこれはこれで事実だったが、カメラを追加できれば当然そのメリットがある。Googleも遅ればせながらデュアル・カメラの時代に参入するようだ。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

E3でMicrosoftがゲームストリーミングのxCloud発表、Google Stadiaとの違いは?

GDCとGoogle I/OでGoogleStadiaをデモした。今回E3でMicrosoftが以前から噂になっていたxCloudを正式発表した。十分な時間とは言えないが両方のクラウドゲームプラットフォームをテストする機会があったので簡単に比較してみたい。

ひとつ重要な点はxCloudについては今のところ情報が異常に乏しいことだ。 E3でMicrosoftはXbox Game Pass8K Xboxハードウェア、Scarlettの紹介に力を入れていた。こうしたXbox関連プロダクトには十分時間が割かれたのに、xCloudについてはほんのわずかしか触れられなかった。

料金、リリーススケジュール、サポートされるデバイス、ネット接続に必要な能力などすべて不明だ。今のところわかっているのは、xCloudは今年後半に一般公開されるということだけだ。つまりStadiaの公開スケジュールとほぼ同じだ。xCloudはゲームクラウドだということ以外、クェスチョンマークの山となっている。

とはいえStadia同様、xCloudもストリーミングサービスであるかぎり、特有の物理的制約を逃れることはできない。光の速度が有限である以上、サーバーからの距離に比例したレイテンシーが存在することになる。この伝達の遅れに対処する方法はMicrosoftもGoogleとほぼ同様だろう。人間の目は驚くほど微細な部分まで見分けることができる。しかしロサンゼルスのコンベンションの舞台にシリコンバレーからストリーミングしてる状態でははっきり感じられるような問題は起きなかった。

しかしシューティングゲームでガンを射ったとき、トリガーを引いた瞬間とマズルフラッシュが表示された瞬間を比較すればレイテンシーの見当がつく。自宅に戻ってテストしたときには遅れが顕著に感じられた。もっともこれは特に注意を払っていたせいもあるだろうし、自宅の接続環境も影響しているかもしれない。しかし十分準備を整えたコンベンションの壇上でのデモは一般ユーザーが実際に使う場合を正しく表現しているとは思えない。

Stadiaでは何度かシステムがクラッシュしたが、リスタートすると復帰した。xCloudではフリーズは経験しなかったが、双方の接続環境はまったく違うのでこれだけで比較はできない。

大きな疑問はXboxがxCloudをサポートする専用コントローラーを発表するかどうかだ。他のデバイスを介さず、コントローラーが直接クラウドに接続できればレイテンシーを減少させることができる。Stadiaはすでに専用コントローラーを準備している。しかしXbox Oneのユーザーは数ミリ秒のレイテンシーを減少させるためにはわざわざGoogleの新しいデバイスを買いそうにない。しかしXboxブランドでxCloud専用コントローラーが出れば事情は違ってくるかもしれない。

Stadiaで4Kゲームをプレイするには35Mbps以上の接続速度が必要だ。xCloudの要求については今のところ情報がないが、Stadiaと大きく変わらないだろうと予想する。

GoogleはStadiaを専用機を代替するものと位置づけているのに対し、xCloudのデモは専用機ゲームをあらゆる場所でプレイできるようにするためのサービスと考えているようだ。

Stadiaにせよ、xCloudにせよ、ストリーミングゲームという考え方はPS4をインターネットを使って遠隔操作するソニーのリモートプレイほど画期的なテクノロジーではない。しかしサポートされるユーザーベースはもっと大きいだろう。xCloudのデモはXbox OneコントローラーをSamsung Galaxyに接続して行われた。今のところこれ以外にどんなデバイスがサポートされるか情報がない。一方Google Stadiaは自社のPixel 3、Pixel 3aしかサポートしない。つまりデバイスの数でいえばMicrosoftはSamsung GalaxyをサポートするだけでGoogleに勝っているわけだ。

もうひとつ重要なのはコンソールゲームをスマートフォンの小さなスクリーンでプレイするとまったく違った体験になるという点だ。モバイルデバイスのプロセッサーは年々強化されてきた。それでもMicrosoftのゲームがスマートフォンの画面にもう少し最適化されていたら良かったのにと感じる瞬間があった。

次は料金の問題だ。ゲーム機の所有者はストリーミングを受けるのは無料だ。Stadiaの場合も、オンラインでゲームを購入した後は、1080pのストリーミングでゲームをプレイするのは無料だ。しかし4Kでプレイしようとすると月額9.99ドルの追加料金を支払う必要がある。xCloudにも同様の制限が設けられるのかどうはまだわからない。

ビジネス面で重要な点はxCloudがXboxのゲームタイトルすべてをサポートするかどうかだ。もしそうであれば、Stadiaが追いつくのは難しいだろう。ことにマルチプレイヤーゲームにはネットワーク効果が強く働く。ユーザーは既存プラットフォームから飛び出して友だちがほとんど入っていない新しいプラットフォームに移ろうとはしない。いかにGoogleといえどもネットワーク効果が十分に働く規模のユーザーをゼロから集めるのは至難の技だ。この点でXboxは何年も先行している。

まとめると、重要な疑問点はxCloudの料金、専用コンソールの有無、Xbox Game Passとの連携の詳細などだ。ただし、ストリーミングゲームはマーケットとしてまだニッチかもしれない。「今やゲームはストリーミングにシフトした、専用機は時代遅れだ」というのは少し早まった判斷だろう。しかしMicrosoftがxCoudを発表したことで、この分野でのStadiaの一人勝ちの可能性はなくなったと思う。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

ナビアプリのWazeにGoogle アシスタントが統合

Google(グーグル)がWazeを2013年に買収して以来、WazeとGoogle マップの機能がお互いに行き来するようになった。そして米国時間6月10日、WazeにGoogleアシスタントが統合されるアップグレードが発表された。これにより、アプリからスマートボイスアシスタントが利用できるようになる。

WazeアプリのGoogleアシスタントは、音楽やポッドキャストのコントロールといった通常のアシスタント機能を提供する。またそれだけでなく、交通状況をレポートしたり、目的地までの道順にて有料道路を通らないようにしたりといった、Waze特有の機能にもアクセスできる。

グーグルは車載ソフトウェアのAndroid Autoへと、Googleアシスタントのサポートを積極的に展開しており、今年初めには競合相手となるApple(アップル)のCarPlayのGoogleマップにも導入された。WazeにてGoogle アシスタントがネイティブに動作するメリットは多く、特に運転中にはその機能が役立つことだろう。

依然としてWazeはドライバーから最も人気があり、私が遭遇する多くのUberやLyftのドライバーは、Google マップを含む競合製品への優位性をいまだに信じている。

Googleアシスタントは本日から米国にて、Androidスマートフォンへと英語版がロールアウトされる。そして、少しずつその範囲が拡大されることだろう。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

Google Stadiaのパフォーマンスはインターネット接続のスピードでどう違う?

ゲームプレイを双方向ストリーミングで提供するGoogleのクラウドサービスStadiaは、米国時間6月6日のローンチに際してさまざまな情報や資料が提供された。バイスプレジデントのPhil Harrison氏が提供してくれたのは、ユーザーのインターネット接続のクオリティの違いによる、このサービスのパフォーマンスの違いに関するデータだ。そのトップにあるのは、4Kの解像度+HDRのカラー+60fpsのフレームレート+5.1サラウンドサウンドで、このクォリティを得るためには少なくとも35Mbpsの接続が必要だ。

4KでなくHD1080pでよければ、HDR+60fps+5.1サラウンドのままで20Mbpsもあれば十分だ。そしてGoogleはストリームの円滑性の最適化を60ftpの前提でずっと下のほう、10Mbpsからさらにその下まで行っている。そのレベルではストリームの解像度は720pとなり、サウンドはサラウンドではなくステレオになる。

Harrison氏は「Staidaではゲームを誰でも楽しめるようにしたかった」という。誰でもというのは、インターネットの接続のスピードだけでなく、使えるデバイスのこともある。今回のローンチの時点でStadiaは、テレビ(+Chromecast Ultra)、デスクトップ、ラップトップ、タブレット(+ブラウザー)、スマートフォンで使えるが、最後のスマートフォンは当面、Pixel 3とPixel 3aのみ(+Stadiaアプリ)のみだ。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa