ゲームやFacebookばかりで、空き時間を無駄に使ってしまったと感じる人も多いようだ。そんな人に使ってもらいたいと生み出されたのがHardboundだ。単なる時間つぶしでなく、空き時間を利用して、面白い情報を入手できるようにしようとするアプリケーションだ。リリースされて1ヵ月ほどとなるこのアプリケーションは、スマートフォン上でビジュアルを重視したインタラクティブコンテンツを提示し、それにより科学、歴史、テクノロジー、ビジネスなどのトピックスについての記事を読むことができるのだ。最新版では、人気のストーリーがわかりやすく表示されるようにもなった。
アプリケーションでは、複雑な物事もできるだけシンプルに伝えることを重視しているようだ。
たとえば最近、「How the Electoral College Became a Thing」(選挙人制度の仕組み)という記事が公開された。詳しい知識を得る機会がなかったが、今回の選挙をきっかけに調べてみようかと思う人に向けたコンテンツだ。
Hardboundは登場以来、上に記したような5分ほどで学習できるTipsを提供することを目的としている。コンテンツは写真、イラスト、および文書から構成されている。毎週木曜日に新しいコンテンツが通知されるようになっている。過去記事も読んでみたいという場合には、アプリケーション内購入で、購読申し込みをすることができる。
このアプリケーションのアイデアを思いついたのは共同ファウンダーのNathan Bashawだ。Ryan HooverやJoe NguyenとともにProduct Huntを生み出した人物で、General AssemblyでiOSエンジニアを務めていた経験があり、またHollerbackの共同ファウンダーでもある。
Full Tilt Capital、Betaworks、Maveron、およびエンジェル投資家からのシード資金を集め、そして今回のアプリケーションリリースにつながったそうだ。現在の読者数は、ウェブ版およびモバイルアプリケーション版をあわせて10万を数え、500万「ページ」が閲覧されたのだとのこと。
使ってみると、たしかにHardboundが提供するさまざまな情報は興味深いものばかりだ。ただ、週に一度、新規情報追加の通知を伝えるだけでは、多くの人の興味をかきたてるまでには至っていなかった。
そこで登場したのがHardbound 2.0だ。新着通知に伴って、「The Nightcap」と題して注目記事の要約なども通知するようにしたのだ。
通知は月曜日から木曜日の夜8時頃に送られ、注目記事のわかりやすいまとめが送信されるようになった。
注目記事のセレクションに独自性を持たせており、たとえばトランプ次期大統領の公約についてや、投票結果の再集計についての記事もあれば、マウスの脳をワイヤレスで制御する神経科学についての記事などが取り上げられる。切り口としては、「必須の情報」ではないものの、知っておくと「面白い情報」をメインに据えている様子。
さまざまなニュースを扱い、重大とは言わないまでも面白そうなニュースを提供するということに力を注いでいるようだ。
Nightcapのセクションにはいくつかメインのストーリーがあり、そして「おすすめ」記事や、簡単なハイライトなどが掲載されることもある。記事の内容はさまざまなメディアやブログ記事などを元にしたものが多い。
Nightcapの記事をいろいろと眺めてみるのは、SnapchatやTwitter Momentの楽しみ方と似ていると言えるかもしれない。そのおかげで、最初から親しみを感じる利用者も多いことだろう。ただ、それだけに他のアプリケーションでなくHardboundに注目してもらうということに難しさもある。
提供コンテンツのキュレーションについては、まだまだ試行錯誤の段階であるとのこと。記事自体は短いものの、簡単な内容を回りくどく記しているように感じられてしまうコンテンツもある。記事を短くするよりも、わかりやすさを重視することに着目すべきなのかもしれない。また「our take」と名付けたおすすめ記事についても、ただ機械的にコンテンツを列挙しているように見えるものもある。
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さまざまなニュース情報を短くまとめるということは、当然ながら難しいものだ。
そんな中、The Skimmなどは日々のニュースをニュースレターやアプリケーションにまとめて提供して、多くの読者を集めている。また、今のところ情報提供の観点からみると不満は多いものの、SnapchatのStoriesを活用しているパブリッシャーも多い。また、新しく参入してきたZoltなども注目を集めている。しかしYahooなどの大企業規模にて成功したニュースダイジェスト・サービスというのは未だ存在しないのだ。
そのような中にあっても、BashawはHardboundの可能性を信じているのだとのこと。
「私たちは”visual stories”というものを提供しており、こうしたコンテンツ提供の形を広く広げていきたいと考えがえているのです。たとえば過去5年のうちに、数多くの人々がポッドキャストを活用するようになりました。そのような広がりを目指したいと考えているのです」と述べている。
「私たちの提供するビジュアルなストーリーテリングは、読者のひととより密接なつながりを実現できると考えています。読者の人々も、より簡単に、かつわかりやすく身の回りのできごとを理解できるようになると思うのです。これまでのところは、そうした将来に向けた可能性を探っているところなのだと理解していただければと思います」。
コンテンツはすべてを内製するのではなく、パートナーに任せることにより規模の拡大を目指したいとのこと。コンテンツ自体よりも、コンテンツのフォーマットの方をウリにして、ビジネスを拡大していきたい考えだ。さらには情報の提供形式を広告にも使って行きたいという考えもある様子。
HardboundはiTunes App Storeより無料でダウンロードすることができるようになっている。
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(翻訳:Maeda, H)