マイクロソフトがSurfaceイベントを10月2日に開催

Microsoft(マイクロソフト)が次の大型イベントの招待状を配布した。イベントは米国時間10月2日にニューヨークで開催される予定で、これは同社がSurfaceハードウェアを最後に刷新してからちょうど1年後となる。ホリデーシーズンを前に、最後の製品ラインアップを発表するタイミングで間違いないだろう。

昨年のイベントでは、Surface Pro 6、Surface Studio 2、ソフトウェア、そしてSurface Headphoneが発表された。Microsoftの製品ラインアップには、 ラップトップのSurfaceや小型タブレットのSurface Goなど刷新がありうる製品が数多く存在する。

同社はまた、これらの分野で少なくとも1つの新製品ラインを立ち上げるようだ。The Vergeが指摘しているように、長い間噂されてきた同社のデュアルスクリーンタブレットは、少なくとも2年間の開発期間を経ているので、発表される可能性がある。

上の招待状は本日記者に送られたもので、Windows 10のロゴに敬意を払いつつ、いくつかのコンバーチブルフォームファクタを含んでいることを微妙に暗示している。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

オラクル控訴で米国防省1兆円規模のJEDIクラウド入札勝者発表は延期

賞金が100億ドル(約1兆580億円)の場合Oracle(オラクル)の執念深さは見上げたものだ。米国防省が計画しているJEDIクラウドの調達プロセスについて、1年以上にわたってOracleは考えられるかぎりの法的手段を使って抗議を続けてきた 。しかしそのつどプロセスに問題があることの立証に失敗している。先月もOracleの訴えを連邦裁判所は棄却したが、それで諦めるOracleではなかった。

Oracleは米国を代表するコンピューティングサービスの1つだが、自分たちの利益が不当に脅かされていると感じれば泣き寝入りする会社ではない。特に連邦政府の調達が100億ドル規模とあればなおさらだ。米国時間8月26日に発表された訴訟は連邦請求裁判所(Federal Claims Court)の上級裁判官、Eric Bruggink(エリック・ブルッギンク)判事の判決に対する控訴だ。今回、Oracleの主張は1社の総取りとなるようなJEDIの調達プロセスそのものが違法だとしている。

Oracleの主席法律顧問、Dorian Daley(ドリアン・ダレイ)弁護士は声明で次のように述べている。

JEDI入札訴訟において、連邦請求裁判所はJEDI調達プロセスが違法であると判断したにもかかわらず、Oracleが当事者適格性を欠いているという極めて技術的な理由により訴えを棄却した。連邦調達法は、特定の必須の要件を満たしていないかぎり、JEDIのような単一勝者による調達を特に禁止している。

裁判所は判決付属意見で国防省がJEDI調達においてこの必要要件を満たしていないことを明確に判断した。また意見は、調達プロセスに多くの重大な利益相反が存在することも認めている。こうした利益相反は法律に違反し、国民の信頼を損うものだ。前例を形成すべき重大な例として、我々はOracleに当事者適格がないという結論は、法解釈として誤っていると信じる。判決意見自身がいくつもの点でプロセスの違法性を認めており、我々は控訴せざるを得ない。

昨年12月にOracleは連邦政府に対し、100億ドルの訴訟を起こした。この訴えは主にAmazonの元社員であるDeap Ubhi(ディープ・アブヒ)氏の調達プロセスへの関与が利益相反だとするものだった。アブヒ氏は国防省のプロジェクトに参加する前にAmazonで働いており、国防省の調達プロセスのRFP(仕様要件)を起草する委員会で働き、その後Amazonに戻った。国防省はこの問題を2回調査したが、いずれも連邦法の利益相反であった証拠はないと結論した。

先月、裁判所は最終的に国防省の結論に同意し 、Oracleは利益相反ないし利益相反が調達に影響を与えた証拠を示すことができなかったと判断した。 ブルッギンク判事は次のように述べている。

当裁判所はまた次のように結論する。すなわち調達プロセスを検討した国防省職員の判断、「組織的な利益相反は存在せず、個別人物における利益相反は(存在したものの)調達プロセスを損なうような影響は与えず、また恣意的その他合理性を欠くなど法の求める要件に適合しない要素はなかった」という結論に同意する。このため原告の訴えを棄却する。

OracleはJEDI調達のRFP仕様書が公開される前からあらゆる方法で不平を鳴らしてきた。ワシントン・ポスト紙の記事によれば、 2018年4月にOracleのプレジデント、Safra Catz(サフラ・キャッツ)氏はトランプ大統領に会ってJEDI調達の不正を訴えたという。 キャッツ氏はこのプロセスはクラウド事業のマーケットリーダーであるAmazonに不当に有利となっていると主張した。AWSは2位の Microsoftの2倍以上のシェアを誇っている。

その後OracleはGAO(会計検査院)に対しても検査要請を行ったが、GAOはRFP作成プロセスに問題はなかったと結論した。この間国防省は一貫して利益相反を否定し、内部調査でも違法性の証拠は発見されなかったと結論している。

トランプ大統領は先月、マーク・T・エスパー国防長官に「調達プロセスが不当にAWSに有利だ」という主張を再度調べるよう命じた。その調査は現在続いている。国防省は4月にAmazonとMicrosoftの2社をファイナリストとして発表した。8月末までに勝者を指名するはずだったが、抗議、訴訟、調査が続いているためまだ決定できない状況だ。

問題が困難である理由のひとつは調達契約の性格そのものだ。国防省向けクラウドインフラの構築は、10年がかりとなる国家的大事業であり、勝者となったベンダー(ただし契約には他のベンダーを利用できるオプトアウト条項も多数存在する)は100億ドルを独占するだけでなく、連邦政府、州政府が関連するテクノロジー系公共事業の獲得においても極めて有利な立場となる。米国のすべてのテクノロジー企業がこの契約によだれを流したのは不思議ではないが、いまだに激しく抗議を続けているのはOracleだけだ。

JEDI調達の勝者は今月発表されることになっていたが、上述のように国防省の調査及び各種の訴訟が進行中であるため、勝者を発表ができるまでにはまだ時間がかかるだろう。

画像:Getty Images

【Japan編集部追記】GAO(Government Accountability Office)は「政府説明責任局」と直訳されることもあるが、機能は日本の会計検査院に当たる。日本の会計検査院が憲法上の独立行政機関であるのに対しGAOは議会付属機関であり、連邦支出に関して民間からの検査要求も受け付ける。連邦請求裁判所(Federal Claims Court)は連邦政府に対する民事訴訟を管轄する。連邦裁判官のうち65歳以上で有給退職した裁判官が復職して事件を担当する場合、Senior Judgeと呼ばれる。上級裁判官と訳されることが多いがむしろ「年長、高齢」の意味。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

一部のWindows 7ユーザーにセキュリティアップデートを1年間無料提供へ

4カ月後にはWidnows 7はその寿命を終え、セキュリティーアップデートが提供されなくなる。

これは、10年前のオペレーティングシステムを運用している一部の企業にとって、問題となるだろう。2020年の1月14日より、Windows 7にはセキュリティアップデートが提供されなくなり、企業はマルウェアの脅威にさらされることになる。

最新のデータによると、一般消費者および企業向けデスクトップコンピューターの約37%が依然としてWindows 7を搭載しており、一方でWindows 10はわずか41%だ。

ただし、現在Windows 10のサブスクリプションを保有している企業の顧客には、いくらかの猶予が与えられる。

Microsoftのドキュメントによれば、「Windows E5」「Microsoft365E5」 「Government E5」のサブスクリプションを保有するトップティアの顧客には、1年間追加料金なしでセキュリティアップデートが提供されるという。その後は企業の各デバイスに対し、2年目のアップデートは50ドル(約5300円)、3年目のアップデートは100ドル(約1万1000円)が課金される。

文章によれば、サブスクリプションは年末まで有効にされていなければならず、またセキュリティアップデートを継続して受信するには、サブスクリプションが有効であり続ける必要がある。

他のWindowsサブスクリプションプランを利用しているその他のすべてのユーザーには、MicrosoftはWindows 7のサポートが終了する1月から課金を開始し、2023年1月までこれが続くことになる。

Microsoftは3月、重要かつ必須のセキュリティアップデートの提供をまもなく停止すると、ユーザーに警告し始めた。同社はユーザーにWindows 10にアップグレードするか、最後の手段として拡張セキュリティアップデートを入手するように推奨している。

セキュリティアップデートの拡張に関するこのニュースは、Computerworldが最初に報じた

[原文]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

Microsoftが開発中のChromiumベースの新しいEdgeブラウザがベータ版に

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間8月20日、WindowsおよびMac向けに、Chromiumベースの新しいEdgeブラウザーの最初のベータビルド公開した

およそ6週間ごとに新しいアップデートが公開される予定のこの新しいベータチャンネルは、それぞれ毎日あるいは毎週更新が行われている既存の開発者(dev)ならびにカナリア(canary)カナリアチャンネルに並ぶものだ。

過去数カ月のうちにMicrosoftは、既存のチャンネルで行われたプレビューリリースに対して、約14万件のフィードバックを収集した。この結果と、早期導入者たちから得た十分な量のデータによって、Microsoftはいまや、Edgeがどれくらい多くのマシンの上でうまく動作するのか、そしてより広いリリースを行う前に、愛好者、ウェブ開発者、そしてビジネスユーザーたちに使って貰える程度には安定しているのかどうかを認識しているのだ。

「ベータは最も安定したプレビューチャネルです。ベータ版に追加される機能は、最初にカナリアチャネル、次に開発者チャネルの品質テストをクリアしたものに限られています」とMicrosoftは本日の発表で説明している。「バグ修正とセキュリティのための定期的なマイナーアップデートに加えて、大きなバージョンアップデートはおよそ6週間ごとに行われることが予想されています」。

screen-shot-2016-10-07-at-11-57-06-am

現時点で、Microsoftはブラウザを更新するためのすべてのインフラも整備済だ、それは初期のプレビューフェーズで徹底的にテストされたものだ。すなわちチームは、必要に応じて、バグを見つけたときに行われる予定外のベータリリースを、自信をもって行うことができるということを意味している。

Chrome、Firefox、および他のほとんどのブラウザーと同様に、Microsoftは、新しい機能をベータビルドに投入する前に、それらをカナリアビルドおよび開発者ビルドの中でまずテストするという作業は継続する。例えば、現在のカナリアビルドには、タブを切り替える必要なくYouTube、Spotify、その他のビデオおよび音楽サービスを制御できる、非常に便利なグローバルメディアコントロールボタンが加わっている。このような機能は、今後数か月以内にベータチャネルに導入される。

ベータ版でも利用できる(ただしフラグ設定を通して)のがMicrosoftの提供するトラッキング防止機能だ。近日中に、ベータビルドにはコレクションのサポートも導入される、これはMicrosoftが提供するモダンなブックマーク機能である(現在カナリアチャンネルに導入されている)。まもなくベータ版に移行するその他の新機能には、いまだにMicrosoftの古いEdge以前のブラウザーに依存している企業のための、Internet Explorerモードもある。

今回のリリースでは、MicrosoftはEdgeを対象にしたセキュリティバウンティプログラムも開始している。ベータおよび開発者チャンネルのリリースに対して、影響の大きい脆弱性を見つけて開示したセキュリティ研究者は、最大1万5000ドルの報奨金を受け取る資格を得る。

Microsoftの広報担当者が本日のリリースに先立ってインタビューで強調したように、彼らのチームは、Chromiumプロジェクトへに対する1000件以上のコミットに貢献できたという事実に対しても、非常に満足している。Chromiumプロジェクトは主にGoogleのエンジニアたちによって主導されているが、Microsoftの、貢献拡大計画が結果を出しているのを見られるのは良いことだ。

Chromiumへの移行に伴い、Microsoftは独自のエンジンの開発をあきらめた。移行当時同社は、少数のユーザーしかいないエンジンに投資を続けることは、ウェブエコシステム全体を健全に保つという目的のためには必ずしも有用ではなく、代わりにChromiumに取り組むことで、より大きな影響を与えられる可能性があるのだと主張した。その仕事は、今では報われ始めているようだ。

チームが私に言ったように、これまでの多くの作業は、Edgeをベータステータスにして、すべてのコア機能が確かに機能するようにするために費やされてきた。つまり、Edgeを他の競合ブラウザと差別化するような機能をそれほどたくさん見ることはないだろう(コレクション機能はそうした中での差別化機能の一例である)。とはいえ、コア機能がさらに安定するにつれて、チームはEdgeをChromeのようなものと差別化するための、ツールと機能により重点を置くようになるだろう。

私個人は、最初の開発者ならびにカナリアリリースが行われてほどなく新しいEdgeに切り替えて、それ以降日々更新されるチャンネルを通して使い続けている。プレビューバージョンにもかかわらず、ブラウザはWindows 10とMacの両方で非常に安定している。他のバージョンよりも優れているバージョンもいくつかあったが、利用する中で深刻な障害バグを経験したことはなく、Edgeは高速で安定したブラウザーであることを証明してきている。それはベータプログラムにとって良い前兆だ。

[原文へ]

(翻訳:sako)

CircleCIの継続的インテグレーションをMicrosoftのプログラマーが初めて採用

CircleCIはかなり前からLinuxやMacのプログラマー向けに継続的インテグレーションのサービスを提供しているが、しかしこれまで、Microsoftのデベロッパーは蚊帳の外だった。しかし米国時間8月7日から同社は、Windows Server 2019を使っているMicrosoftのデベロッパーをサポートすることになった。

先月5600万ドル(約59億4500万円)のシリーズDを発表したCircleCIは当然、そのマーケットリーチを拡張する道を常時探しているはずだが、Microsoftのプログラマーをサポートすることになったのは、背後の市場が大きいという意味で同社にとって幸先がいい。

CircleCIのWindows担当プロダクトマネージャーであるAlexey Klochay(アレクセイ・クロチャイ)氏は「Windowsのサポートを発表できることは、とても嬉しい。顧客も、それを求めていた。Stack Overflowの今年初めの調査によると、ソフトウェア開発市場の40%をWindowsが占めているんだ」と述べている。

Microsoftのプログラマーたちは、これまでもCircleCIのような専門サービスに頼らずに継続的インテグレーションをやっていたが、それは相当困難だった。同氏によると、CircleCIならもっと総合的なソリューションを提供できる。まず、デベロッパーはエンジニアの助けを借りずに自力でCI/CDの流れを運用できる。「デベロッパーが自力で、自分たちのペースで、やりたいことができる。何かに縛られることもない。うちのサービスはとても使いやすいし、メンテナンスも楽だ」と彼は説明する。

CircleCIは、開発チームの全体に大きな可視性を提供する。「誰が今何をやっているのか、各人がシステムと今どんな対話をしているのか、それを一望にできる」とクロチャイ氏は語る。

その使いやすさには、昨年リリースされたWindows Server 2019のさまざまな改良も大きく貢献している。「最新のWindows Serverに導入された変化によって、1年前だったらありえなかったほど、円滑な仕事ができるようになった」とクロチャイ氏。

CircleCIのNathan Dintenfass(ネイサン・ディンテンファス)氏によると、一般的にMicrosoftの最近のエコシステムは、CircleCIがデベロッパーに提供しているアプローチを歓迎するような方向性に変わってきた。「我々はWindowsのエコシステムの成熟を目撃し、ソフトウェアのデリバリの自動化とスループットの向上に投資している彼らのチームに、前よりも引かれている。またそれと同時に、Windowsを提供している彼らのクラウドインフラストラクチャも成熟してきたから、我々のオペレーションも相当楽になっている」と同氏は語る。

関連記事
CircleCI closes $56M Series D investment as market for continuous delivery expands(継続的デリバリのCircleCIがシリーズDで5600万ドルを調達、未訳)
デベロッパーがデプロイの面倒から解放されるソフトウェア開発モデル(CircleCIのデベロッパーが関与)

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

サイバー攻撃をリアルタイムで止める「Confluera」が9億8000万円を調達

米国時間7月29日、またも大規模な侵害が明らかになった。Capital Oneが、ハッキングにより数年分のクレジットカードの申込の情報が流出したと発表したのだ。しょっちゅうハッキングがあるが、問題は企業はおびただしい数の攻撃からいかにして自社を守れるかということだ。2018年に設立されたパロアルトのスタートアップであるConflueraは、リアルタイムでこうした攻撃を止められるとする新しいツールを企業に提供しようとしている。

米国時間7月30日、ConflueraはLightspeed Venture Partnersが主導したシリーズAで900万ドル(約9億8000万円)を調達したと発表した。Microsoftの会長でSymantecのCEOだったJohn W. Thompson(ジョン・W・トンプソン)氏、SnowflakeのCEOでServiceNowのCEOだったFrank Slootman(フランク・スロートマン)氏、Palo Alto NetworksのCEOだったLane Bess(レーン・ベス)氏といった影響力のあるテック業界のエグゼクティブも支援している。

Conflueraのサイバーセキュリティに対するアプローチは注目を集めている。同社の共同設立者でCEOのAbhijit Ghosh(アビジット・ゴーシュ)氏はTechCrunchに「Conflueraはリアルタイムのサイバーセキュリティ企業だ。我々は決定論的にリアルタイムでサイバー攻撃を止める、業界初のプラットフォームだ」と語った。

ゴーシュ氏によれば、これを実現するために、同社のソリューションは顧客のインフラ全体を監視し、問題を見つけたら、攻撃を軽減する方法を推奨する。「我々は、使われているソリューションが多すぎることが問題だと考えている。必要なのは、インフラ全体を可視化し、複数のソースからのセキュリティ情報をもとに攻撃者の状況と対処方法を判断するプラットフォームだ」と同氏は説明する。

Conflueraに投資しているMicrosoft会長のトンプソン氏は、これはリアルタイムの検出、あるいはリアルタイムの対処以上のものだと語る。「これは単なる監査証跡ではなく、何をすべきかを教えてくれる。しかもリアルタイムで攻撃をブロックする。このことが、このプラットフォームのユニークな特徴であり、データサイエンスから得られる知見によって本当にリアルタイムで攻撃をブロックできる」。

Conflueraはまだ始まったばかりで、従業員は19人、このプラットフォームを使っている顧客は3社だ。まずは来週開催されるセキュリティ関連のイベントであるBlack Hatで正式に公開する。その後は、プロダクトの構築を続け、繰り返し発生するさまざまな攻撃を説明通りにブロックできることを証明する必要がある。

画像:sesame / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

マイクロソフトがデータプライバシーとガバナンスサービスのBlueTalonを買収

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間7月29日、従業員がデータにアクセスする方法のポリシーを企業が設定するのを助けるデータプライバシーとガバナンスサービスを提供するBlueTalonを買収したと発表した。このサービスは、一般的なデータ環境全体にポリシーを適応し、ポリシーとアクセスを監視するためのツールも提供する。

MicrosoftもBlueTalonも、今回の買収に関する金額は明らかにしていない。Crunchbaseによれば、今回の買収に先立ちBlueTalonは約2740万ドル(約30億円)を調達している。投資家にはBloomberg Beta、Maverick Ventures、Signia Venture Partners、Stanford’s StartX fundが含まれる。

 

MicrosoftのAzure Data担当コーポレート・バイスプレジデントのRohan Kumar(ローハン・クマール)氏は「BlueTalonを通じて獲得したIPと人材は、ビックデータ、セキュリティ、ガバナンスの頂点に独自の専門知識をもたらす」と語っている。「今回の買収によって、Azureをつうじた集中データガバナンスによってデータを適切に利用しながら、さまざまな企業がデジタルトランスフォームを向上させることができる」

当然のことながら、BlueTalonチームはAzure Data Governanceグループの一員となり、データプライバシーとガバナンスに関するMicrosoftの強化に取り組む。なお、MicrosoftはAzure向けにアクセス及びカバナンスコントロールツールを提供している。しかし、事実上すべてのビジネスがデータ中心になるにつれ、システム間で機能する一元的なアクセスコントロールの必要性は高まる一方であり、新しいデータプライバシー法はこのプロセスを容易にはしない。

BlueTalonでCEOを務めるEric Tilenius(エリック・ティレニウス)氏は、ブログ投稿「our incredible journey」にて、「顧客によりよいサービスを提供するために、さまざまな大規模クラウドプロバイダーとの提携の機会を模索する中で、Microsoftは我々に深い感銘を与えた」と述べている。「Azure Dataチームはデータガバナンスに関して独自の思慮深さと先見性を持っていた。そして、我々は彼らこそがミッションと文化の両方で最適であるとわかった。そこでMicrosoftが我々へ買収を持ちかけてきた時、我々はその機会に同意したのだ」

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

ソフトバンクが1080億ドルでAIフォーカスの第2ビジョンファンドを立ち上げ

ソフトバンクグループは7月25日、第2のビジョンファンドを立ち上げると発表した。これにはアップルやフォックスコン、マイクロソフトなどのテクノロジー企業と投資家が参加する。このファンドはVision Fund 2(ビジョンファンドツー)と呼ばれ、AIベースのテクノロジーにフォーカスする。ソフトバンクによるとファンドの資本金は、了解覚書ベースで約1080億ドル(約11兆7300億円)達している。そのうちソフトバンクグループ自身による投資は380億ドル(4兆1200億円)だ。

なお、この第2のビジョンファンドのリミテッド・パートナーの予想リストには現在、サウジアラビア政府からの参加者はまったく含まれていない。最初のビジョンファンドはモハメッド・ビン・サルマン皇太子などの人々との密接な結びつきがあり、皇太子は後にジャーナリストであったジャマル・カショギ氏の殺害に関与したとされた。そのことは当然ながら、投資家や企業や人権監視家などからの大きな懸念の原因になった。

しかしソフトバンクグループによると、まだ他の参加者とも話し合いを続けており、ファンドの総額は今後増加すると予想される。現在覚書に署名している参加者は、次のとおり。

  • アップル
  • フォクスコン・テクノロジーグループ
  • マイクロソフト
  • みずほ銀行
  • 住友三井銀行
  • 三菱UFJ銀行
  • 第一生命保険
  • 住友三井信託銀行
  • SMBC日興証券
  • 大和証券グループ
  • National Investment Corporation of National Bank of Kazakhstan
  • Standard Chartered Bank
  • 台湾の複数の投資家

ソフトバンクがこの第2ファンドを立ち上げる意図は、今週初めにWall Street Journalが報じた。その新たなファンドはサウジアラビアからの投資にあまり依存しないものになるとされ、そしてまた、スタートアップとマイクロソフトのような巨大企業と投資家三者の関係を変える可能性がある、と言われた。

この第2のビジョンファンドにより、世界で最も影響力の大きい投資家としてのソフトバンクの立ち位置がさらに強化されるだろう。最初の970億ドルのビジョンファンドにより同社は、数十社もの著名な成長企業に投資してきた。それらは、ライドシェア大手のDidi ChuxingGrab、インドのグロサリーデリバリーGrofers、決済企業Paytm、低料金ホテルのOyoなどだ。

最初のビジョンファンドは2016年10月に発表され、2017年の前半から投資を開始した。ソフトバンクの先月の発表によると、ファンドは62%のリターンを稼いだ。ソフトバンクの投資は一貫して額が大きい(多くが1億ドル以上)ことで知られ、調査企業CB Insightsによると、全世界で377社あるとされるユニコーン(評価額10億ドル以上の企業)のうち24社にも投資している。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ソフトバンクがマイクロソフトにビジョンファンド2号に参加を呼びかけ

ソフトバンクグループは、投資総額400億ドルというマンモス級のベンチャー投資となるビジョンファンド2号の組成を発表する準備を進めているとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。これに先立って、1号ファンドの運用成績が投資家を熱狂させるほどではなかったため、ソフトバンクグループは2号ファンドの資金集めに苦労しているという噂が数週間前から出ていた。

同社はコメントを控えている。

ビジョンファンド2号に出資することを確約した投資家の第一陣にはゴールドマン・サックスとStandard Carteredが含まれているが、ここにきてソフトバンクグループはMicrosoft(マイクロソフト)と話し合いを行っている情報が流れた。ソフトバンクグループがポートフォリオ企業に対し、クラウドインフラをAWSからMicrosoft Azure,に乗り換えるよう勧めることがMicrosoftがビジョンファンドに参加する条件だという。ビジョンファンドには台湾の年金基金や保険会社も興味を示しているという。Microsoftにも取材を申し込んでいるが、今のところ回答はない。

T-Mobileとソフトバンクグループが過半数の株式を握るSprintとの合併について、米司法省は早ければ来週にも承認を与える見込みだ。この合併が承認されれば、ソフトバンクグループは資金繰りに余裕が生まれ、ビジョンファンド2号に対する出資に追い風となる。

2016年に同社のビジョンファンド1号がデビューしてその規模で世界を驚かせて以来、同社のファウンダーでCEOの孫正義氏はメディアの注目集めてきた。2017年5月には第1回の投資締め切りで930億ドルを確保、さらに追加投資を得て、ファンドの総額は980億ドルとなった。ポートフォリオのターゲットは世界のテクノロジー・スタートアップで、特にIoT、AI、ロボティクス、mバイル、コンピューティング、クラウド・テクノロジー、コンシューマ向けテクノロジー、フィンテックに注力している。これまでのところ、大型投資先には、Brandless、WeWork、Ola、Grab、滴滴出行、Uber、Lemonadeなどが,含まれる。

1号ファンドに対する最大の出資者はサウジアラビアとアブダビの国営投資ファンドだった。サウジがこれまで数々の人権侵害を行ってきたことから、ビジョンファンドがサウジマネーを大規模に受け入れたことはシリコンバレーで倫理的問題に関する議論をよんだ。Apple(アップル)、Qualcomm(クアルコム)、Foxconn(フォックスコン)もビジョンファンドにLP(リミテッド・パートナー)として参加している。

画像:Alessandro Di Ciommo/NurPhoto / Getty Images[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook

Microsoftがイーロン・マスクらのOpenAIに1000億円超を投資、Azueクラウドの人工知能化を目指す

Microsoft(マイクロソフト)はOpenAIに10億ドル(約1080億円)を賭けた。3年前に創立されたこのAIスタートアップのファウンダーにはイーロン・マスク氏をはじめとしてY Combinatorの前プレジデント、サム・アルトマン氏(写真左)などシリコンバレーの著名人が多数いる。

OpenAIの目的は人工知能をユーザーフレンドリーな方向に導くための研究・開発だ。マスク氏は「現在のAI開発の方向は人類の生存を脅かす問題に発展しかねない」と警告してきた。OpenAIはAIの暴走を防ぎ、責任ある開発を目指すという。

現地時間7月22日にMicrosoftとOpenAIは複数年に渡る「実際のコンピューティングを含むパートナーシップ」契約を締結したことを発表した。つまりこの契約で両社はMicrosoftのAzureクラウド向けに新しいAIスーパーコンピューティングテクノロジーを開発する。加えてOpenAIは 現在稼働しているサービスをAzureにポーティングする。またこの契約でMicrosoftはOpenAIの優先パートナー(Preferred Partner)に加わった。これは今後OpenAIが開発するAIテクノロジーの商用化にあたってMicrosoftらが優先的な取扱を受けることを保証する。

今回の発表にちりばめられた「独占的」や「優先的」という単語は興味深い。実はOpenAが創立されたときの理念の1つは人工知能の研究にあたっての自由な協力体制だったからだ。AI研究者は共同でj研究を行い、成果物も自由にメンバーが利用できることを意味していた。しかしいくつかの留保事項があった。プロジェクトの中OpenAI Inc.はNPOだが、子会社のOpenAI LPは営利企業だ。同社の定款の一部は「セキュリティー上の理由により」 非公開となっている。つまり同社の事業の一部は今後も公開されない。

Microsoftにとって今回の提携の目的はAzureに広範囲にAIプラットフォームを確立することだろう。これにより、AzureのスーパーコンピューティングテクノロジーをAIや総合機械知能の開発に役立てることができるようになる。OpenAIは総合機械知能の発展の中心的グループにMicrosoftを迎え入れることができる。発表によれば提携はAIにおける「安全性やセキュリティー上の懸念」を解消することを念頭に置いているという。もちろん10億ドルという資金も念頭に置いているだろう。

投資資金の使い道など詳細については不明ながら、OpenAIの共同ファウンダーでCTO(最高技術責任者)、Greg Brockman(グレッグ・ブロックマン)氏のアカウントから のHackerNewsへの投稿は「キャッシュによる投資」だとしている。

Update記事公開後にOpenAIから連絡があり、投資の内容が多少明らかになった。OpenAIの共同ファウンダー、CTOのブロックマン氏のコメントは以下のとおり。

今回の投資は全額キャッシュでOpenAI LPに対するもので、リミテッドパートナーシップに対する標準的な出資確約(Capital Commitment)だ。すなわち今後複数年にわたって我々の求めに応じてMicrosoftが必要なを出資することとなる。我々はこれを5年以内と予定しているが、それより短い期間に出資が完了する可能性がある。

OpenAIは創立時に10億ドルをマスク氏、アルトマン氏らから確保している。共同ファウンダーには前述のブロックマン氏に加えて、LinkedInの共同ファウンダーであるリード・ホフマン氏、YCの共同ファウンダーであるジェシカ・リビングストン氏、ベンチャー投資家のピーター・ティール氏、AWSらが名前を揃えている。AWSの存在はAzureとの関係で興味深い。 Infosysと YC Researchは数年といった短い期間では出資金を全額使うのは難しいだろうと予測していた。

画像:Microsoft

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

Microsoft Azureの売上成長率はこのところやや低下

Microsoft(マイクロソフト)が米国時間7月18日に発表した2019会計年度第四四半期決算報告によると、同社のIaaSプロダクトであるAzureは64%成長した。大きな数字のように見えるかもしれないが実は、本会計年度全体を通して同製品の成長率は低下している。

すなわち2019会計年度の成長率は、Q1が76%、Q2が76%、Q3が73%で、最後の今四半期では64%にダウンした。成長率としては立派な数字だからレドモンドの廊下では誰もパニくっていないと思うし、大数の法則によれば、大きくなればなるほど成長は遅くなる。突出した数字は束の間なのだ。

Microsoft自身はクラウドインフラストラクチャ市場の第2位をしっかり確保しているから、束の間の突出とは言えない。Synergy ResearchのJohn Dinsdale(ジョン・ディンスデール)氏によると、成長率の低下よりもむしろ重要なのは、それでも市場全体の成長率よりは高いから、結果として同社のマーケットシェアが安定的に伸びていることだ。

ディンスデール氏はこう言っている。「Microsoftは明らかにクラウドインフラストラクチャサービス(IaaS、PaaS、プライベートクラウドのホスティング)のナンバーツーだ。AWSとの差は大きいが、その他大勢ははるか後方にいる。売上の増加率は市場全体の成長率–2016年9%、2017年11%、2018年14%、2019年Q1が16%–よりずっと高いから、マーケットシェアは徐々に増えている」。

CIS Q119

売上成長率が落ちても、今週のMicrosoftはAzureとOffice 365のサービスでAT&Tとの20億ドル(約2150億円)の契約を勝ち取った。Office 365はIaaSの市場とは無関係だが、同社が大きな顧客を獲得したことにはかわりない。

企業がワークロードをMicrosoftやAmazon、Googleなどのパブリッククラウドに移すというトレンドは、まだ始まったばかりの段階だから市場の成長率も大きい。そしてMicrosoftなどの前途には巨大な機会が待ち受けている。だから成長率がやや落ちたMicrosoftのAzureも、未来には大きな売上拡大の余地がある。

関連記事:マイクロソフトがOffice 365とAzureでAT&Tと2000億円超の契約

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

マイクロソフトがOffice 365とAzureでAT&Tと2000億円超の契約

クラウドインフラ業界はAWSが大きくリードしているが、第2位のMicrosoft(マイクロソフト)も健闘していて、シェアが2桁なのはAWSの他にはMicrosoftだけだ。そして今日、MicrosoftはAT&Tとの大きな契約を発表した。ここにはAzureクラウドインフラサービスとOffice 365が含まれる。

契約に詳しいとある人は、契約額は20億ドル(約2160億円)とみている。Microsoftのクラウドにとってなかなかの額だ。契約を発表したMicrosoftのブログ投稿によると、AT&Tは情報管理の大半を2024年までにクラウドに移行するという目標を持っていて、Microsoftはそのかなりの割合を手にした。もちろんこの契約はライバルのAWS、Google、そして先週340億ドル(約3.7兆円)ものRed HatのディールをクローズさせたIBMも喉から手が出るほど欲しかっただろう。

ご想像のとおり、MicrosoftのCEOであるSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏は高尚な言葉でこのディールについて述べた。「AT&Tの従業員がコラボする方法を変え、また万人のためにメディアやコミュニケーションの未来を形成できるよう、我々は手を携えてAzureとMicrosoft 365の力を活用していく」との声明文をブログに投稿した。

そのためにも彼らは5Gのような最新技術での提携を模索する。そしてAzureとAT&Tの5Gネットワークを組み合わせることで、顧客が新たなアプリケーションやソリューションをつくれるようサポートできると確信している。ブログでは例として、5GネットワークのスピードとAzureのAIを活用したライブ音声通訳を組み合わせることでファーストレスポンダー(消防や救急などの隊員)が異なる言語の人と即座にコミュニケーションがとれるというケースを示した。

25万人ものAT&T従業員にOffice 365を提供する今回の契約は素晴らしいものだが、ディールの一部はSaaSの範疇にある。そのため、Microsoftのクラウドインフラ業界におけるシェア拡大には貢献しないだろう。それでもやはり、今回の契約は大きなものだ。

イメージクレジット: Stephen Brashear

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

マイクロソフトのTeamsがDAU1300万人でSlack超えへ

Teamsは、Microsoftが2年前から提供しているSlackのライバル製品で、同社史上最も成長の速いアプリケーションだ。と、これまでMicrosoftは言ってきたが、来週行われるパートナー会議Inspireを前に、本日初めて実際のユーザー数を公表した。Teamsには現在1300万人のデイリー・アクティブユーザーがいる。週間アクティブユーザーは1900万人。またMicrosoftは、Fortune 100企業のうち91社でTeamsが利用されていることも本日発表した。

Microsoftはこれらの数字を、数週間前にIPOを果たしたばかりのSlackと比べられることを恐れていない。Microsoft 365担当副社長のJared Spataro氏は、ブログ記事でSlackの名前は挙げなかったものの、こうした数字を公表したい意向がよくわかるグラフを掲載した。

Slackが最後に発表した公式データは今年1月のデイリー・アクティブ・ユーザー数1000万人で、その後更新されていないので、現在Teamsのユーザー数の方が多いのかどうかはわからないが、Slackの成長率がこの数ヶ月間に加速していない限り、おそらくそういうことなのだろう。

2019 07 11 1047ユーザー数の公開に加えて、MicrosoftはTeamの最新情報をいくつか発表した。たとえば優先通知機能は、チャット通知の苛立たしさを次のレベルに引き上げるもので、応答するまで2分おきに呼び続ける。既読レシートや新しいモデレーション機能、Teamsチャンネルを横断するクロスポスト機能のほか、タイムレコーダーの出勤・退勤時刻もTeamsアプリから記録できる。

InspireはMicrosoftのパートナー向けのイベントなので、リセラーやパートナーに関係するTeams機能がここで発表されるのも当然だろう。ACS、NICE、Verint Verbaなどのコンプライアンス記録パートナーや、Five9、Nice InContactなどのコンタクトセンター・ソリューション・パートナーと統合する機能もある。しかしなによりも重要な発表は、Microsoftがパートナー主導のTeamsトライアル(PDF)をスタートすることで、Microsoft 365のパートナーはExchangeオンリーまたはOffice 365ビジネスプランを使っている顧客にTeamsの6ヶ月間無料トライアルを提供できる。これで今後Teamsのユーザー数が増えることは間違いないだろう。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

マイクロソフトからAzure Kinect AIカメラキットが約4.3万円で登場、まずは米国と中国で

今年のMWC(Mobile World Congress)でMicrosoft(マイクロソフト)は3次元認識能力があるAIカメラであるKinect(キネクト)をデベロッパー向けに復活させることを発表したAzure Kinect DKパッケージに含まれるのは100万画素の奥行きセンサーカメラ、360度マイク、1200万画素の通常のRGBカメラ、姿勢センサーなどで、全体は比較的小さくまとめられていた。DKパッケージは数カ月前から予約可能となっている。

米国時間7月11日、Microsoftは米国と中国で一般ユーザー向けにこのパッケージを市販することを明らかにし、399ドル(約4万3300円)で予約の受け付けを開始した。

オリジナルのKinectはXboxのゲーム用に開発されたアクセサリで、大きな注目を集めないまま終了していた。これに対してクラウド版のAzure Kinectはビジネスユースを念頭に置いている。つまり視覚認識能力があるAIツールを開発するデベロッパー向けにプラットフォームを提供するもので、名称のとおりAzureのエコシステムを全面的に利用できる。新しいKinectではMicrosoftの各種の機械学習サービスも利用できる(すべてのサービスがAzureの利用を必須としてるわけではない)。

Microsoftは、デベロッパー向けにXBox用Kinectを思いださせるボディートラッキングプレビューができるSDKなど多数のSDKを発表している。

kinect developers

新しいKnect DKのカメラはオリジナルのものとは異なり、むしろ同社が今年バルセロナのMWCで公開したHoloLens 2(ホロレンズ2)のカメラに近い。プレスリリースによれば、Azure Kinect DKには第2世代のHoloLens ARヘッドセットで利用されているToFセンサーが含まれている。ToF(Time-of-Flight)カメラはパルス光を照射し、画素ごとに反射時間を計測してフレーム全体の奥行きを一挙に認識する仕組みだ。DKのテクノロジーの中心となるのはこのToFカメラだが、Microsoftによればマイクロフォンアレイも発話者を聞き分けるなど高度な音声認識のために役立つという。

新しいKnectキットは生命科学、ヘルスケア、リテール、ロジスティクス、ロボティクスなどの分野で画像の奥行き認識を利用したAI、機械学習プロダクトを開発するプラットフォームとして役立つものとMicrosoftは期待している。同社のパートナーであるQualcommからも同種のキットが発表されているが、今回のKinect DKのような3次元認識カメラは含まれていない。

(Techcrunch Japan編集部追記)Azure Kinect DKは日本Microsoftのサイトから購入を申し込むことができる。サイトは日本語だが申し込みは英語でアカウントの取得が必要。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

任天堂、マイクロソフト、ソニーが3社連名でトランプ関税の「害」を訴える

業界で最大のライバル3社が力を合わせて、政府の行動を非難するのはそうそうあることではない。もちろん、トランプ大統領がこうした行動を誘発したのはこれが初めてではない。

任天堂、マイクロソフト、ソニーというゲーム界の「ビッグスリー」として知られているの3社は共同声明を発信し、トランプ政権の中国に対する関税によって業界が直面している損害を訴えた。米国通商代表部のJoseph Barloon(ジョセフ・バールーン)法律顧問宛てに送られた書簡は、現在の関税対象項目の変更を求めている。

「米国の知的財産を保護し、米国の先端技術におけるリーダーシップを維持しようとする政権の努力には敬意を表するが」という外交辞令に続き、「これらの関税が米国の消費者および企業に与える著しい損害は、そうした目的の達成を遅らせるこそすれ促進しない」と指摘した。

3社は、同法が最終的に引き起こすであろうさまざまな連鎖的影響を強調した。

  • 消費者、ビデオゲーム開発者、小売業者、およびゲーム機メーカーを苦しめる
  • 米国内の高価値、高収入の職が危機にさらされる
  • 本業界だけでなくさまざまな分野のイノベーションが抑制される

関税の影響はすでにさまざまな分野に打撃を与えており、アップルのTim Cook(ティム・クック)氏を始め、複数のリーダーが個人的にトランプ大統領に例外を要求している。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

マイクロソフトがOneDriveのセキュリティレイヤーを発表

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間6月25日、 オンラインファイルサービスのOneDriveの最上位に位置し、ファイルを保管する新しいセキュリティレイヤーとなるOneDrive Personal Vaultを発表した。

セキュリティ機能により、これらのファイルにアクセスするにはMicrosoft AuthenticatorやPINコードやワンタイムコードを含んだメール、SMS(これは最も安全な方法とはいえないが)、Window Hello互換デバイス、指紋認証、顔認証といった強力な認証や2段階認証を利用する必要がある。

さらにマイクロソフトは、月額1.99ドルのスタンドアロンOneDrive購読プランの容量を50GBから100GBへと拡大した。なお、無料プランでもPersonal Vaultは利用できるが、保存できるファイルの個数が制限される。

Personal Vault はOneDriveのウェブ版、Windows 10版、マイクロソフトのモバイルアプリにより提供される。今後はオーストラリア、ニュージーランド、カナダのユーザーへと提供され、年末までにはすべてのOneDriveユーザーが使用できるようになる。

デフォルトでは、OneDriveに転送されるファイルはすべて暗号化される。基本的にPersonal Vaultはオプションの機能として加わる。OneDriveアプリでは、これらは特別なPersonal Vaultフォルダとして表示され、最も重要あるいは機密性の高い情報を含むファイル(財務記録など)を保存するために使用できる。

Windows 10搭載PCでは、Personal VaultはローカルドライブにBitlockerで暗号化された領域を確保し、Personal Vaultファイルを同期できる。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

マイクロソフトがMac用Microsoft To-Doをリリース

Microsoft(マイクロソフト)は2017年に、いずれは買収済のWunderlist(ワンダーリスト)を閉鎖し、独自のTo-Doアプリの開発にまい進すると発表した。それ以来、To-Doという名前のアプリを、Windows、iOS、Android、そしてウェブ上でリリースして機能を拡充させてきた。そして米国時間6月17日、ついにMac版もリリースした。

マイクロソフトは同日、To-DoアプリがMac App Storeで公開されたことを発表した。タスクの作成と管理、オフライン作業、リストの共有、タグの利用など、主な機能は最初からサポートしている。さらに、Microsoft Outlookと連携して、フラグが立てられた電子メールリストを取得できる。近いうちにはMicrosoft Plannerとも連携して、自分に割り当てられた項目を確認できるようになる。

Mac版では、特にキーボードショートカットが強化されている。例えば、「command」+「2」ではアプリのウィンドウをリストビュー用に最小化する。そこから「command」+「2」を押せば、リスト全体が見えるサイズにウィンドウを復元する。また、リストビュー上のタスクのテキストをクリックすれば、その場で編集することもできる。

マイクロソフトが、このネイティブなMacアプリを100%AppKit(アップル純正のアプリ開発フレームワーク)によって開発したと述べていることは注目に値する。

今月のアップルのWorldwide Developer Conferenceで同社は、Project Catalystと呼ばれる新しいツールセットを発表した。デベロッパーが既存のコードベースを活用してiPadアプリをmacOSに移植できるようにするものだ。これにより、アップルのMac App Store上のMacアプリが徐々に充実していくことが期待できる。複数のアプリを、同時にさまざまなプラットフォーム上でメンテナンスする作業が簡略化されるからだ。例えばTwitterは、米国時間6月14日に、Project Catalystを利用してMac版のアプリを復活させると発表した。

しかし、マイクロソフトは別の道を進んだことになる。同社は、この新しいアプリを、古いバージョンのmacOS(High Sierra以降)でも動作するものにしたいと考えたようだ。Project Catalystは、そうした古いmacOSはサポートしていない。

現状での大きな疑問は、このニュースがWunderlistにとって何を意味するのかということ。なんと言ってもWunderlistは、MacApp Storeで満点の5に近い4.9の評価を受け、仕事効率化カテゴリで21番目に人気のある無料アプリなのだ。

リリースの当日時点で、Microsoft To-Doのダウンロード数は急増し、Wunderlistよりも上に来ている。この記事の執筆時点(米国時間6月17日)では、同じ仕事効率化のカテゴリで11番に位置している。

マイクロソフトは以前、「Wunderlistの最も優れた部分をTo-Doで実現できた」という確信が得られるまで、Wunderlistを廃止することはないと約束していた。同社が当初課題として挙げていたのは、To-Doにリスト共有機能を追加することや、すべてのプラットフォームをサポートすることなどだった。これらは、今回のMac版のリリースで両方とも解決している。

今回のリリースに絡んで、Wunderlistの今後の計画について、何かコメントがあるかどうか、マイクロソフトに質問してみた。

「私たちは現在、Microsoft To-Doという新しいアプリに集中していて、Wunderlistの新機能には取り組んでいません」と、広報担当者は回答した。「Wunderlistのもっとも優れた部分をMicrosoft To-Doで実現したと確信できたら、Wunderlistを引退させる予定です」と付け加えた。

この文面は、基本的にマイクロソフトが数年前に発表したのと同じだ。従って今の状況を十分に説明するものにはなっていない。

新しいMac版のTo-Doは、すでにMac App Storeから無料でダウンロードできる。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

PowerPointのAIツールは発表のやり方をコーチしてくれる

好む、好まざるにかかわらず、Microsoft(マイクロソフト) のPowerPointは企業の世界ではいたるところに使われているツールだ。ここ数年、マイクロソフトは同社のAI資源を投入し、PowerPointで見栄えのいいスライドを作るための機能を提供してきた。米国時間6月18日に同社は、その機能をさらに強化すべく、いくつかの新機能を公開する。最高にデザインされたプレゼンテーションであっても、発表者が話し下手では強いインパクトは与えられるない。そのためのスキルを身につけるためには多くの練習が必要だが、本日発表された新しいAiツール「Presenter Coach for PowerPoint」は、ユーザーがコンピューター相手にプレゼンテーションの練習をすると、フィードバックを返してくれる。

マイクロソフトのAIはユーザーのジョークがウケるかどうかはもちろん教えてくれないが、たとえば発表のペースについてリアルタイムにフィードバックを返したり、差別のない表現を使っていないか、「えー」「あー」などの言葉をどれだけ使っているかなどを教えたりする。さらにこのツールは、スライドを読むだけ、というプレゼンテーションにおける最大の罪を犯さないように監視する。

リハーサルセッションが終わると、PowerPointは発表パフォーマンスの概要を示し、スキルを改善するためにのポイントを教えてくれる。

本機能はまずウェブ版のPowerPointに、その後Office 365のデスクトップ版に導入される。

ビジュアルデザインに関しては、ユーザーがプレゼンテーションを作成する際に写真、スタイル、色などを推奨するデザイナー・テーマ・アイデアなどの新機能が追加された。この機能はWindows、Mac、およびウェブのOffice 365加入者が今すぐ利用できる。

大企業に勤めている人は、会社やブランドで決められたスタイルを使わなくてはならないことが多いだろう。「Designer for branded」テンプレートを使ってブランドのガイドラインやロゴを定義しておけば、PowerPointが新しいデザインを推奨するときにデザインアイデアがそれを考慮に入れる。この機能はWindows 10およびMacのOffice 365 Iniders加入者向けに本日から提供される。

マイクロソフトはバニティーメトリクス(虚栄の評価指標)の発表も忘れてはいない。同社はユーザーがPowerPointデザイナー機能を使って、2016年の提供開始以来10億枚のスライドを作成して保持していると発表した(作ってもさまざまな理由で捨てられたものもたくさんあったに違いない)。願わくばこれが、ここ数年世界からまずいプレゼンテーションが減ったという意味であってほしいものだが、今日コーチング機能が加わったことで、これからはまずいプレゼンテーションを「聞く」ことも減るのかもしれない。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Visual Studio CodeでJava開発がしやすくなるJDKインストーラー

マイクロソフト(Microsoft)の無料のVisual Studio Codeは、わずか数年で市場で人気最大のコードエディターになった。Visual Studio Codeのアドバンテージのひとつが、柔軟性だ。しかしその柔軟性は、複雑なセットアップに苦労してやっと得られるものだった。そこで米国時間6月14日、同社は、Visual Studio Codeで相当容易にJavaのコードを記述可能にするための新しいプロジェクトをローンチした。

最近、マイクロソフトのスポークスパーソンが本誌に語ったところによると、学生や新人プログラマーなど一部のデベロッパーにとってはJavaの開発環境をセットアップすることが依然として難しい。通常それは、いくつかのバイナリやVisual Studio Codeのエクステンションをインストールするなど、かなり面倒なプロセスであるという。

そんなデベロッパーを助けるためにマイクロソフトは本日、それらの面倒を一手に引き受けるインストーラーをローンチした。それはまず最初に、JDKがすでにインストールされているか調べる。インストールされていなければ、マイクロソフトがスポンサーでもあるAdoptOpenJDKからバイナリをインストールする。必要ならVS CodeとJava Extension Packもインストールする。AdoptOpenJDKは、Oracle JDKのベンダーニュートラルな代替製品であり、マイクロソフトもVisual Studio CodeのJavaエクステンションをインストールしているユーザーには、このJavaディストリビューションを推奨している。

現在のところ、インストーラーはWindows用のみだが、コミュニティの関心が高ければその可利用性を拡張する計画だ。

画像クレジット: JASON REDMOND/AFP/Getty Images

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

E3 2019のベストはProject Scarlettか?Gooigiか?

今年のE3の記事はどれもソニーの不在で始まるけど、これもまさにそうだ。ゲームの「ビッグスリー」のひとつが欠けていることはこの催し全体に大きな影を落とし、展示会場の空間感覚も何かがおかしい。

XboxのチーフPhil Spencer氏も同社の最大のコンペティターの不在を嘆き、ライブのストリーミングでは「ソニーがいないのは悲しいね」と言った

でもショウは滞りなく行われ、まるで大きなビーチのように、ゲーム産業の大小さまざまな波が打ち寄せ、そして引いた。ソニーも次世代コンテンツの隠し玉をたくさん用意していることは確実だから、その健康を疑う者は一人もいない。

一方、マイクロソフト(Microsoft)は元気はつらつ。膨大な量のゲームを披露し、トレーラーは全部で数十篇もあった。重要なニュースが二つあったはずだが、何もかもその盛大なゲームの発表に飲み込まれてしまい、肝心の次世代8KコンソールProject Scarlettや、同社のストリーミングサービスProject xCloudは時間が足りなくなった。

結局、そのサービスの詳細は週の後半になり、同社のコンソールへのストリーミングは無料で、より広範なxCloudの提供物ではないことになった。

マイクロソフトはいろいろ気にして(時間も足りなくて)xCloudやGame Passをステージで詳しく紹介しなかったが、しかしE3全体では明らかにストリーミングが最大の話題だった。その原因の一部は、Google(グーグル)が予定外の記者発表を行ってStadiaのトレーラーを見せたせいでもあるだろう。

任天堂の役員は取材に対して、ストリーミングは研究中と言ったが、具体的な話は何もなかった。任天堂がストリーミングを気にしていることは確実だが、E3では最新のどうぶつの森を見せ、次のゼルダのちょい見せをした。ちょっとした驚きはルイージのクローンとしてグーイジが登場したこと。でも個人的に興奮したのは、夢をみる島のリマスターが決まったことだ。

スクウェア・エニックスのビッグイベントはあまりパっとしなかったが、アベンジャーズのプレビューを見た。Ubisoft(ユービーアイソフト)はデモがクールで、「Watch Dogs: Legion」(ウォッチドッグス レギオン)や、「Assassin’s Creed」(アサシン クリード)のストーリーモードなどがあった。Ubisofotは、独自のストリーミングサービスをGoogle Stadiaの助けを借りてやるらしい。一方Bethesda(ベゼスダ)はFallout 76の新しいモードでバトロワ商戦に参戦するようだ。Fall Guysのほうがずっとかわいいが。

そのほか、Razerのエナジードリンク、Operaのゲーム用ブラウザーあり、ゲーム・オブ・スローンズ原作者の新しいゲームあり、It’s Always Sunnyのスターの登場もあり、そして任天堂Wiiのダンスゲームもあった。SwitchでもWii Uでもない、ただのWiiだ。まあまあだったかもしれない、E3 2019は。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa