Adobe LightroomがMac App Storeにサブスクで登場

プロ用の写真編集ツールであるLightroom(ライトルーム)が、Mac App Storeで入手できるようになった。Adobe(アドビ)の主要なアプリとしては、模様替えしたMac App Store上で最初のものとなる。Mac App Store上のAdobe製アプリには、より手軽に使えるPhotoshop Elementsもあるが、プロ用アプリとしては今のところLightroomが唯一のものだ。

Photoshop Elementsには、70ドル(日本では8400円)という最初に1回だけ支払う買取価格が設定されているのに対し、Lightroomは同社製品の近年の傾向を反映して、サブスクリプションモデルを採用した。月額の料金は10ドル(日本では1100円。年払いでは1万2800円)となっている。Apple(アップル)も、Lightroomの登場を歓迎しているようで、現在Mac App Storeのホームページのトップで紹介している。

Appleは、デベロッパーが開発したアプリを、Appleが用意したチャンネル、つまりApp Storeを介して供給する仕組みを用意してきた。それも、現在押し進めているコンテンツ中心のアプローチにつながっている。しかしMac用のApp Storeについては、iOSデバイス用のApp Storeに比べて、それを徹底するのが難しかった。これまでのmacOSは、いろいろな意味で独自の環境を維持してきたからだ。とはいえ、Project Catalystの登場によって、複数のプラットフォーム上で動作するアプリを開発することも、デベロッパーにとってかなり簡単なものになるはずだ。

Lightroomも、Microsoft(マイクロソフト)のOffice 365など、Mac App Store上の大物アプリの仲間入りを果たした。ちなみにOffice 365も、同様にサブスクリプションとして課金するシステムを採用している。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

物の裏側をレーザー光の反射から像として求めるカーネギーメロン大らの研究

未来の自動運転車やそのほかのマシンインテリジェンスシステムは、視線の向かう先には見えないものからでも詳細な画像データを集められるだろう。カーネギーメロン大学(CMU)とトロント大学、およびユニバーシティカレッジロンドンの研究から生まれたテクニックを使うと、ここにいるまま「あの角を曲がった先」を見ることができる。

その方法は、特殊な光源とセンサー、そしてコンピュータービジョンの処理により、ここからは見えない場所の詳細な像を推測したり構築できる。それは、これまで写真や肉眼でしか得られなかった像よりもさらに詳細だ。

ただしこのテクニックには現状でやや制約があり、CMUのロボット研究所のSrinivasa Narasimhan教授によると「比較的狭い範囲内」でないと有効でない。

その制約はこのテクニックを、非視線型(non-line-of-site、NLOS)コンピュータービジョンの分野のテクニックと併用すれば緩和できる。そんなテクニックの一部はすでに商用化されており、たとえばテスラ(Tesla)のAutopilot(オートパイロット)システムは、反射ないし跳ね返ってきたレーダー信号を利用して、テスラ車の前面の、人の視線が届かない部分を見ている。

今回の新しい研究で使われたテクニックは、多くの自動運転車システムが利用しているライダーシステムと似た動作原理だ(ただしテスラはレーザー光線を使う視覚システムを嫌ってることで有名だ)。CMUとそのパートナーの研究機関は超高速のレーザー光線を使い、それの壁からの跳ねっ返りで、角の向こう側に隠れているオブジェクトを照らしている。

センサーが跳ね返ってくる光を捉え、そして反射光が原点に帰還するのに要した時間を計算する。そのほかのさまざまな測度も含め、ターゲットのオブジェクトのジオメトリー(幾何学的形状)の情報も使って、オブジェクトを正確かつ詳細に再構築する。その方法は、紙のような光を遮るものが介在していても有効なので、現実世界の環境センサーとしての有効な利用もありえそうだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

子ども専用ラズパイ開発の英国スタートアップがマイクロソフトと組んで300ドルPC販売へ

Kano(カノ)は、英国ロンドンに拠点を置き、子ども向けのコンピューティングおよびコーディング教育のためのハードウェアを製造するスタートアップ。米現地時間6月19日、大きな成長への一歩を踏み出した。同社はMicrosoft(マイクロソフト)と提携し、Kano PCを発売する。このマシンは、11.6インチのタッチパネル式ディスプレイ、Intel Atomプロセッサーを搭載し、同社製品として初めてWindows(厳密にはWindows10 S)が走る。今回の提携の一環として、マイクロソフトはKanoに非公開の投資も行う。

Kano PCは、現在、Kano.meおよびMicrosoft Storeで予約受付中。価格は299ドル99セントまたは299ポンド99ペンス。10月に出荷が始まる。2019年10月21日からは、英国、カナダ、英国の特定の小売業者からも販売される。Windows対応デバイスへの移行はKanoにとって非常に意味深い。

このスタートアップは、Raspberry Piを中核にしたデバイスを開発し、Kickstarterキャンペーンで人気を博したことで名を挙げた。これまでの数年間は、同社が標榜するDIY精神により形作られてきた。

Kanoの創設者でCEOのAlex Klein(アレックス・クライン)氏によれば、KanoはRaspberry Piベースのデバイスを今後もサポートしていくが、新たにRaspberry Piベースのハードウェアを開発するかどうか、まだそのロードマップは定まっていないという。

「Raspberry Piデバイスも、低価格帯のポートフォリオで存続しますが、このマシンは、より幅広い年齢層に向けてデザインされました。これは正式なWindows PCなのです」とクライン氏は言う。

Kanoのラインアップは、現在、6歳から13歳の子どもたちの間で広く使われ人気を集めている。クライン氏の説明によればKano PCはK-12(幼稚園年長から高校卒業まで)デバイスだが、現在の対象年齢層の前後に幅を広げるには「ブランディングに時間がかかるかも知れない」とも彼は認めている。
それを実現するために、マイクロソフトとの提携により提供される以下のソフトウェアがある。

Make Art
Coffeescriptで高品質な画像のコーディングを学ぶ。
Kano App
簡単な手順とプログラムを使って魔法の効果から冒険の世界まで、ほぼあらゆるものを作り出す。
Paint 3D
3Dモデルの製作、シェアができ、3Dプリンターに送ることもできる。
Minecraft: Education Edition
いくつもの賞に輝く創造的なゲームをベースにした学習プラットフォーム。
Microsoft Team
新しいプロジェクトやコンテンツの入手や、自分の作品をシェアができる(子ども向けのSlackみたいなものだ)。
Live Tiles
自分だけの創造的なプログラムを自分のダッシュボードに直接表示できる。

これまで中核的ユーザー層(コンピューターやコーディングに興味のある子どもたちと、コンピューターとコーディングへの興味を子どもたちに持たせたいと願う親たち)を惹きつけてきたKanoは、その人気に応えるべく、同社のシンプルなコンピューターと連動して使えるアクセサリーを数多く発売してきた。また、ユーザー層に応じたスマートなテクノロジーおもちゃも作っている。昨年、同社はハリー・ポッターの魔法の杖を販売した。自分で作って、プログラムして、遊べるというものだ。CEOのクライン氏はインタビューのなかで、この種の新製品が、Kanoから間もなく続々と発表されることをほのめかしていた。

マイクロソフトとの提携により、同社は当初の顧客層を超える幅広い人々の間にも、Kanoの高い評価を広めることになるだろう。またこれは、すでにマイクロソフトが大きく力を入れている教育環境に参入するための、新たな入口を開くことにもなりそうだ。

それは、今回の提携のもうひとつの興味深い側面でもある。マイクロソフトは教育環境にソフトウェアとハードウェアを販売してきた長い歴史を誇るが、これは、背後に控えた新たなブランド、つまり子どもに特化したブランドとしてその持ち札に多様性をもたらす。大人向けのブランドの機能を縮小して(でも値段はそのまま)子ども向けとしたようなものとはわけが違う。

「Kanoと提携してKano PCを販売できることで、私たちは大変に興奮しています。私たちはKanoと目標を共にして、教室での体験を、教師も生徒も同じく楽しめるものにして、未来を、想像するだけでなく、実際に作り上げる力を与えたいと思っています」とマイクロソフト教育担当副社長を務めるAnthony Salcito(アンソニー・サルチート)氏は声明の中で述べていた。

これまで、地味ながら大きな成功を遂げてきたKanoは、数多くの支援者から5000万ドル(約54億ドル)ほどの投資を集めてきた。そこには、Marc Benioff、Index Ventures、Breyer Capital、Troyをはじめとする投資家が名を連ねている。クライン氏は、近い将来、新しいエクイティ投資を検討する可能性があると話しているが、それ以上のコメントは聞けなかった。

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(翻訳:金井哲夫)

PowerPointのAIツールは発表のやり方をコーチしてくれる

好む、好まざるにかかわらず、Microsoft(マイクロソフト) のPowerPointは企業の世界ではいたるところに使われているツールだ。ここ数年、マイクロソフトは同社のAI資源を投入し、PowerPointで見栄えのいいスライドを作るための機能を提供してきた。米国時間6月18日に同社は、その機能をさらに強化すべく、いくつかの新機能を公開する。最高にデザインされたプレゼンテーションであっても、発表者が話し下手では強いインパクトは与えられるない。そのためのスキルを身につけるためには多くの練習が必要だが、本日発表された新しいAiツール「Presenter Coach for PowerPoint」は、ユーザーがコンピューター相手にプレゼンテーションの練習をすると、フィードバックを返してくれる。

マイクロソフトのAIはユーザーのジョークがウケるかどうかはもちろん教えてくれないが、たとえば発表のペースについてリアルタイムにフィードバックを返したり、差別のない表現を使っていないか、「えー」「あー」などの言葉をどれだけ使っているかなどを教えたりする。さらにこのツールは、スライドを読むだけ、というプレゼンテーションにおける最大の罪を犯さないように監視する。

リハーサルセッションが終わると、PowerPointは発表パフォーマンスの概要を示し、スキルを改善するためにのポイントを教えてくれる。

本機能はまずウェブ版のPowerPointに、その後Office 365のデスクトップ版に導入される。

ビジュアルデザインに関しては、ユーザーがプレゼンテーションを作成する際に写真、スタイル、色などを推奨するデザイナー・テーマ・アイデアなどの新機能が追加された。この機能はWindows、Mac、およびウェブのOffice 365加入者が今すぐ利用できる。

大企業に勤めている人は、会社やブランドで決められたスタイルを使わなくてはならないことが多いだろう。「Designer for branded」テンプレートを使ってブランドのガイドラインやロゴを定義しておけば、PowerPointが新しいデザインを推奨するときにデザインアイデアがそれを考慮に入れる。この機能はWindows 10およびMacのOffice 365 Iniders加入者向けに本日から提供される。

マイクロソフトはバニティーメトリクス(虚栄の評価指標)の発表も忘れてはいない。同社はユーザーがPowerPointデザイナー機能を使って、2016年の提供開始以来10億枚のスライドを作成して保持していると発表した(作ってもさまざまな理由で捨てられたものもたくさんあったに違いない)。願わくばこれが、ここ数年世界からまずいプレゼンテーションが減ったという意味であってほしいものだが、今日コーチング機能が加わったことで、これからはまずいプレゼンテーションを「聞く」ことも減るのかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

YouTubeがメイクアップAR実装、ユーザーはレビューを見ながら仮想メイクできる

メイクアップのチュートリアルとレビューは、新製品を教えてくれることはもちろん、どのように使えば良いかを教えてくれるので、YouTubeで最も人気のあるカテゴリーとなっている。

そのYouTubeが、今度はYouTubeアプリ自身の中に仮想メイクアップを行う拡張現実(AR)機能を導入し、その体験をさらに刺激的なものにしようとしている。この機能は「AR Beauty Try-On」(拡張現実美容トライ)という名前で、YouTubeの視聴者がメイクアップチュートリアルを視聴する際に、分割した画面上で体験できるようにデザインされている。

利用可能な場合には、画面の上部でYouTubeのメイクアップレビューやチュートリアルビデオが再生され、自分のフロントカメラからの映像が下半分に表示される。ここで、YouTubeの視聴者は、上半分でビデオを再生しながら、たとえば新しい口紅などの色のパレットをタップして、自分の顔に適用することができる。

現在は開発のごく初期段階(αテスト段階)であり、GoogleのインハウスブランドコンテンツプログラムであるFameBitを通じて、YouTubeのクリエイターたちに提供されている。このプログラムを通じて、ブランドは、自社製品をマーケティングしてくれるYouTubeインフルエンサーと有料スポンサーシップを通じてつながる。

YouTubeによれば、これまでAR Beauty Try-Onをいくつかの美容ブランドでテストしたところ、YouTube iOSアプリで利用可能な場合、視聴者の30%がこの機能を利用したということである。これは決して大多数ではないが、この機能を試した人たちは、仮想口紅を80秒以上試し続けるなど、十分に引きつけられていた。

M·A·C CosmeticsはAR Beauty Try-Onキャンペーンを開始した最初のブランドだ、その中では、試用の結果をリアルタイムで見せることも行われている。

AR Beauty Try-Onは、最近始まったGoogle検索内でのAR利用や、開発者向けプラットフォームであるARCoreへのアップデートなどの、Googleが提供するARへの複数の取り組みのうちの最新のものだ。

とはいえ、仮想メイクアップ試用体験を提供するのは、Googleが最初の企業というわけではない。さまざまなソーシャルネットワーキングアプリの楽しいメイクアップフィルター以外にも、YouTubeのAR Beauty Try-Onに似た体験を提供してくれる、YouCam MakeupSephoraVirtual ArtistUltaGLAMLabなどを含む多くのAR美容アプリが存在している。ロレアルはまた、自社のウェブサイトの上で、ライブ試用機能を提供しており、また仮想メイクアップ機能をサイトに追加するために、昨年Facebookと提携している。TargetのオンラインBeauty Studioは、多数のブランドや製品を使った仮想メイクアップも提供している。

YouTubeのAR Try-Onが提供する他との違いは、単に楽しい消費者向け製品やオンサイトのeコマースコンバージョンのためのツールというだけではなく、ARを活用した広告キャンペーンを実際に提供する点だ。

AR広告フォーマットの開始は、米国時間6月18日にGoogleが発表したいくつかの新しい広告プロダクトの1つである。

同社はまた、モバイルウェブ用のSwirl(スワール、単語としての意味は「渦」)と呼ばれる新しい没入型表示フォーマットを提供した。これによって消費者は360度の方向から製品を眺めることができる。Swirlは、商品の回転、ズームイン、ズームアウト、そしてアニメーション再生を可能にする。

このフォーマットは「ディスプレイ&ビデオ 360」を通してのみ利用可能だとGoogleは語っている。ブランドは、Googleの3DプラットフォームPoly上の新しいエディタを使用して、Swirlディスプレイ広告を作成することができる。すでに3Dアセットがある場合には、その代わりにGoogle Web Designerの中の 3D/Swirlコンポーネントを使用してSwirl広告を作成することができる。

香水メーカーのゲランは、消費者の注目を集めるために、動く広告にSwirlを利用している。

ディスプレイ&ビデオ 360のもう1つの新しいフォーマットは、広告表示中にYouTubeのライブストリームコンテンツを掲載することができる。これもまたGoogle Web Designerで構築することが可能だ。

新しいツールは今年の夏にブランドや広告主たちに提供される予定だとGoogleは述べている。

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(翻訳:sako)

検索結果ページで歌詞を紹介するGoogleは今後歌詞提供者のクレジットを明記へ

今週初めに、いろんな曲の歌詞をたくさん集積しているGeniusが、Googleを同サイトからコピーした歌詞を検索結果の中で無断流用していると非難した。GeniusはWall Street Journal紙(WSJ、ウォールストリートジャーナル)によって同社サイトへのトラフィックが減った、と言っている。Googleは最初、間違ったことは何もしていないと主張していたが、その後、問題を調査中であると述べ、その紛争を本日のブログ記事で取り上げている。その中で同社は、検索結果の情報ボックスの中の歌詞を提供しているサードパーティのパートナーの帰属(attribution)を、今後は含めるようにする、と言っている。

Googleが最初にWSJの取材を受けたとき、検索ページに表示される歌詞はパートナーからライセンスされたもので、Googleが作ったコンテンツではない、と言っている。しかし曲の検索結果のページの上部に表示される情報ボックスやカードの中の歌詞の一部には、モールス符号を使ったGenius特有の透かし模様がときどきある。Geniusはこれまで2年間、この件で何度もGoogleにコンタクトしたという。たとえば4月にGoogleに送った書簡は、そのやり方はサイトの利用規約に違反しているだけでなく、反トラストの法律にも違反している、と責めている。Googleなどの大手テク企業は、それでなくても政府の規制当局から反トラストで捜査されているから、それは重大な嫌疑だ。

WSJの記事のあとGoogleは声明で、この問題は調査中であり、やり方が良質でない歌詞提供者とは今後協働しない、と言った。

今日のブログ記事では、Google検索のグループプロダクトマネージャーSatyajeet Salgar氏がこう言っている。「会社は歌詞を表示する権利に関して音楽の出版者に支払っている。ソングライターのために歌詞の権利を管理しているのが彼らだからだ」。しかし音楽出版者の多くが歌詞のテキストをサードパーティの歌詞コンテンツプロバイダーからライセンスしているので、Googleは彼らとパートナーすることになる。(訳注:歌詞プロバイダーに協力するクラウドソーシングな書き起こし屋さんが多数いる。歌詞が最初から音楽商品に付随している場合も、それらの一般的な提供業務は既存音楽業界のどこも担当してない)。

Salgar氏は曰く、「たくさんのWebサイトをクロール(crawl、はいまわる)したりスクレープ(scrape、こそげる)したりして歌詞を得ているわけではない。検索ページの情報ボックスに出る歌詞は、歌詞コンテンツのプロバイダーから直接来ている。定期的に修正や新しい歌詞を受け取っているので、それらの歌詞は自動的に更新されている」。

そんなパートナーのひとつが、Googleが2016年に協定を結んだLyricFindだ。LyricFindのCEOはWSJに、歌詞をGeniusから得ていない、と言っている。

Salgar氏のブログ記事は社名を挙げていないが、紛争に関してはこう書いている。「今週のニュース記事によると、われわれの歌詞コンテンツプロバイダーのひとつが、彼らの歌詞の出所をめぐって、ある歌詞サイトと争議を起こしている。われわれはパートナーに問題の調査を求め、彼らのやり方が業界のベストプラクティスに確実に従っているようにしてほしい、と言っている」。

今後Googleは、検索結果のページに歌詞を提供したプロバイダー企業の帰属を含めるつもりだ。Salgar氏は曰く、「これからも権利保有者を尊敬し報酬が支払われるようなやり方を続けていく。音楽出版者とソングライターは彼らの作品に関し確実に支払われるべきである」。

Geniusは2009年にRap Geniusという名前でローンチし、Googleとは一貫して仲が悪い。2013年には検索結果の上位に自分を置くためにRap Geniusが使ったSEOの手法に、Googleのウェブスパム対策チームが文句をつけた。Googleは仕返しとして、Rap Geniusのリンクをほかの検索結果のページの下に置いた。その喧嘩は2週間足らずで解消したが、その間はRap Geniusのトラフィックが激しく落ち込んだ

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

翻訳ファイルが“魔法のように”自動生成されるクラウドストレージ「WOVN Workbox」発表

Wovn Technologies代表取締役社長 林鷹治氏

ウェブサイト、アプリの多言語化サービスを提供するWovn Technologies(ウォーブンテクノロジーズ)は6月19日に開催されたイベント「Globalized 2019」のオープニングセッションで、ドキュメントファイルの多言語化を実現する新サービス「WOVN Workbox」を発表した。同サービスは現在開発が進められているところで、8月ごろのリリースに向けて本日予約を開始している。

Wovn Technologiesではこれまで、既存の1言語のサイト・アプリがあれば、簡単に多言語化できるというソリューション「WOVN.io(ウォーブンドットアイオー)」、「WOVN.app(ウォーブンドットアップ)」を提供している。最大で40カ国語に翻訳が可能で、現在は大手企業を中心に約400社・1万5000サイトへと導入が進んでいるという。

新サービスのWOVN Workboxは、同社の「世界中の人が全てのデータに母国語でアクセスできる世界を目指す」というミッションを実現すべく開発されているものだ。サイトやアプリではなく「ファイル」の多言語化を、クラウドストレージ上で実現する。WOVN Workboxに保存すれば、自動的にWordやExcel、PowerPointなどの文書が翻訳され、ストレージにアクセスできるユーザーにファイルを別の言語で共有できる。

WOVN Workboxを利用することで、同じフォルダ内でも多言語で共同作業ができるため、外国人社員とのやり取りや、海外の顧客との取引、海外に拠点を持つ企業などでのファイルのやり取りに役立てることができる。

ファイル操作はDropboxやOneDriveなど、既存のクラウドストレージと同様、フォルダへのドラッグ&ドロップで行える。つまり「日本語ファイルをフォルダに入れる」と少し待つだけで「英語ファイルができる」、あるいは「英語ファイルを入れる」「待つ」「日本語ファイルができる」ということが相互にできる。フォルダ作成やファイル移動も反映され、ファイル内容を編集した場合も同期することで、自動的に変更部分が翻訳される。

WOVN Workboxを使ってWord文書を翻訳・共有するデモの様子

Wovn Technologies代表取締役社長の林鷹治氏は「保存するだけで多言語化される、魔法のようなクラウドストレージ」とその機能について表現していた。

利用者から見たファイルの翻訳は“自動的”だが、実際にはAIによる自動翻訳が施された後で、ネイティブの翻訳者が最終チェックを行うという。完全自動ではないが、しくみそのものは現在、同社のウェブ・アプリの多言語化サービスで採用されている翻訳フローと同じだ。

Wovn Technologiesでは、アルバイトも含め同社に所属する従業員のうち約半数が外国人で、国籍も17カ国にわたるという。営業資料、雇用契約など、言語別にファイルを用意することが「翻訳だけでなく、管理なども含め面倒なコストになっていた」と林氏は述べ、「全員が同じドキュメントを母国語で管理・編集できるようになればいいのに、と創業間もなくからずっと言っていた」と話している。

林氏はGAMEBOY開発者の横井軍平氏の言葉「枯れた技術の水平思考」を引用し、新サービスについて「クラウドストレージの技術に注目し、ファイル多言語化へと応用したもの」と説明していた。

WOVN Workboxの対応言語は、当初は日本語・英語間のみだが、近いうちに中国語にも対応していく予定だ。また利用できるファイルフォーマットは、Word文書(.docx)、PowerPointプレゼンテーション(.pptx)、Excelブック(.xlsx)、テキストファイル(.txt)の4種で、中国語対応と同じ頃にPDF対応も予定しているという。

Wovn Technologiesは2014年3月の設立。6月5日には総額14億円の資金調達を発表したばかりだ。

次のiOSではアプリを削除するときに購読をキャンセルできる

OSのアップデートには機能が追加されたと感じる程度だったり、特に役には立たないと思うものもある。デバイスの使い方がほんとうに変わるものもある。iOS 13のベータ2で追加されたこの機能は、後者だ。アプリをアンインストールするときにサブスクリプションをキャンセルするかどうかをユーザーに尋ねてくる。

MacStoriesのFederico Viticci氏が発見したこの新機能は、大変革ではないにしても、確実にお金の節約にはなる。App Storeのマネタイズのパラダイムは、ずいぶん前に前払いからサブスクリプションに移行している。サブスクリプションの多くは、ユーザーが以前に申し込んで単に忘れて繰り返し支払っているものであることは間違いないだろう。

次回の自動更新日を知らせて「登録の管理」へのリンクを示すこの機能は、そうした開発者にとってはがっかりだろう。しかし、使っていないサービスにお金を払うのは適切ではない。もちろん、アンインストールするアプリをほかのデバイスで使っていたり再インストールするつもりだったりするなら、あるいは困っているアプリ開発者に毎月支払い続けたいなら、「継続」をタップすればよい。

iOS 13は6月はじめのWWDCで大々的にお披露目された。特に注目されたのはダークモードやプライバシー関連の機能などだったが、このちょっとした新機能はもっとも便利なもののひとつになるかもしれない。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Apple WatchはwatchOS 6で内蔵アプリも削除できるようになる

Apple Watchを持ってるけど要らないアプリがたくさんあるのはいやだ、という方に朗報がある。新しいオペレーティングシステムwatchOS 6が今年後半にリリースされると、Apple Watchのオーナーは、デバイスに最初からあるファーストパーティ製のアプリをこれまでよりも多く削除できる。これまで削除できなかったアラーム、タイマー、ストップウォッチ、リモコン、カメラリモコン、ラジオなどに加えて、心電計や呼吸、ノイズ、生理の周期チェックなどの健康関連アプリも消せる。

Apple Watchのオーナーは現在、アプリストアからダウンロードしたサードパーティアプリは簡単に削除できる。アプリを押したままにすると表示される「X」をタップしてもよいし、あるいはApple Watchのアプリの設定へ行って「Show on Apple Watch」をオフにする。

また、多くの内蔵アプリをiPhoneから削除できるし、そうすると、それらに対応するApple Watchのアプリも削除される。

でもiOS側に何もないWatch専用アプリ、タイマーやラジオなどは削除できない。

それが、今秋ローンチされるwatchOS 6で変わるのだ。

今週Appleはこれらの、それまで削除できなかったアプリの一覧を、アプリストアのリストで発表した(下図)。

アプリのリリース日–画像提供: Sensor Tower

これらのアプリは、ユーザーが削除できるけど、気が変わったらアプリストアから再インストールできる。削除の仕方は、これまでのサードパーティアプリと同じく、アプリを押し続けると出る「X」をタップする。

内蔵のiOSアプリやWatchOSアプリでも、削除できないのがある。心拍やメッセージなどがそうだ。

Watchのデフォルトアプリの多くが削除可能になることは、オーナーにとって好評だろう。数年前にはiOSの内蔵アプリの一部も、iOS 10のリリースで削除可能になり、やはり好評だった。Stocks(株価アプリ)を削除できたときは、あなたも嬉しかったでしょ?

やはりApple Watchでも、最初からあるデフォルトアプリを全部使いたいユーザーはあまりいないのだ。

Apple WatchのBreathe(呼吸)アプリのセルフケアバイブなんて、全然関心のない人もいる。またもちろん、最近ローンチされたApple Watchの生理の周期チェックアプリは、女性にしか用がない。

この変更が発表される前には今月初めのWorldwide Developer Conference(WWDC)でアップルは、watchOS 6でApple Watchに専用のアプリストアを設けると初めて発表した。これで、WatchアプリのiOSからの独立性が強まる。iPhoneやiPadのアプリに同伴しなくてもよい。必要なければデベロッパーは、iOSバージョンを作らなくてもよい。

* 原注: 今提供されているwatchOS 6 betaにはこの機能はないが、Apple方面に詳しい情報筋によると、アプリは確かに「削除可能」になるようだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

タッチ画面でペイントとドローができる新アプリの名前はAdobe Frescoと判明

近くリリースされるペイント&ドローアプリの正式名称がAdobe Frescoとなることが発表された。 湿った漆喰の上に顔料ですばやく描くフレスコ画技法から取った名前だという。Adobe(アドビ)によれば、即興的でクリエーティブなインスピレーションを活かすアプリだ。

このソフトはProject Geminiというコードネームでしばらく前から開発が進められており、2018年のAdobe Maxカンファレンスで最初の発表が行われた。iPadアプリが最初のプロダクトとなり、続いてタッチやスタイラスの利用が可能な他のデバイス向けのバージョンが出る。

Frescoは水彩画、油絵などクリエーターがメディアの表面にタッチして製作する画法をデジタル化するのが狙いだ。Frescoで用いられるツールはライブブラシ(Live Brushes)と呼ばれる。

2017年からアドビに所属するアーティストであるKyle Webster(カイル・ウェブスター)氏が製作したPhotoshop用ブラシも利用できる。ベクターグラフィックスのファン向けにFrescoにはベクターブラシも用意されている。ライブブラシがピクセルベースであるのに対してベクターブラシは方向と長さを持った幾何学的な線を作り出すため、サイズを任意に変化させることができる。

Frescoにはレイヤー機能も含まれており、重ね合わせやマスキングも簡単にできる。成果物はPhotoshopで編集できる。Illustratorにエクスポートする場合はPDFで書き出す必要がある。

アドビは「近く」というだけで具体的なリリース期日は明かさなかった。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

TezLabアプリはテスラ車のためのFitbitだ

Tesla(テスラ)とその世界中の電気自動車群に対する、最も優れたリアルタイムの洞察が、シリコンバレーのテスラ本社以外で得られるとすれば、それはブルックリンの小さなスタートアップ、TezLabのレンズを通してかもしれない。

創業から2年余りが経ったTezLabは、創業者たちがユーザーの転換点であると考えている地点、すなわちついに収益化へと向かうことができるマイルストーンにたどり着こうとしている。そして同社は、その計画を加速することを助けるために、多くの新機能を追加している。

テスラ車を所有していない人にとっては、TezLabという名前はおそらくなじみのないものだろう。だが特定のコミュニティでは、すなわち自分の電気自動車がどのように振る舞っているかを知ることに夢中なテスラ車のオーナーたちの間では、TezLabはおなじみのものだ。

TezLabはテスラ車用の、Fitbitのような無料アプリ。アプリをダウンロードしたテスラ車のオーナーは、自分の車の効率性や総移動距離を追跡することが可能であり、またアプリを使って車両のいくつかの機能を制御することが可能である。例えばドアの施錠や解錠、エアコンの動作などを制御できる。さらにユーザーがマイルストーンを達成したり、タスクを完了すると、バッジを獲得できるといった、ゲーミフィケーションの要素さえ備えている。

同社は、収益化を目的とした長期計画の一環として、新しい機能を追加し始めた

そうした機能の1つとして、Wazeのようにデータをクラウドソーシングを行い、地図上でテスラ・スーパーチャージャーステーション(テスラ車のための充電ステーション)の状況とレーティングを提供するサービスが提供され始めた。以下のビデオは、このスーパーチャージャー機能がどのように機能するかを示したものだ。

スーパーチャージャーのWaze的機能は、同社のより広いクラウドソーシングとソーシャルコミュニティの計画の中では「第1段階」とみなされているものだ。

創業物語

TezLabを開発する6人のチームはHappyFunCorp(HFC)から生まれた。HFCは、モバイル、ウェブ、ウェアラブル、そしてIoTデバイスのためのアプリケーションを顧客から委託されて開発するソフトウェアエンジニアリング企業である。顧客には一連のスタートアップと並んでAmazonやFacebook、そしてTwitterも含まれている。

共同創業者のベン・シッパース(Ben Schippers)氏とウィリアム・シェンク(William Schenk)氏を含むHFCのエンジニアたちは、テスラの技術中心のアプローチと、1つの重要な点に引きつけられた。それはテスラのAPIエンドポイントが外部からアクセス可能だったということだ。

テスラのAPIは技術的には公開されていない。しかしそれは存在していて、テスラ自身が直接提供するアプリケーションが、車と通信して、バッテリ残量を読み取ったり、ドアのロックを行ったりするために使われている。これをリバースエンジニアリングすることで、サードパーティのアプリがこのAPIと直接通信することが可能になる。最近テスラのCEO、イーロン・マスク(Elon Musk)氏が、APIをサードパーティに公開する件に関して発言を行っている。

「基本的に、サーバーに接続するための配管は既に設置済なのです」とシッパース氏はTechCrunchに語っている。「これが私たちに行動を促すきっかけでした」。

テスラの購入ブームがHFC内で巻き起こった。シッパース氏、シェンク氏そしてたくさんのHFCのエンジニアたちや職員たちがModel 3のようなテスラ車を購入して、今でも所有している。そして最初のTezLabを開発するために35万ドル(約3800万円)の初期資金をHFCは用意した。

データリポジトリ

TezLabはすべてのテスラ車オーナーに使われているわけではない。だがシッパース氏は、アプリはユーザー数のクリティカルマスに近付いていると信じている。毎週200人以上のテスラ車オーナーがこのアプリをダウンロードしており、その割合は加速している、と彼は語った。

Sensor Towerによれば、TezLabはApple App StoreとGoogle Play上で、合計1万6000回インストールされている。この数字はユニークで新しいインストール数を示したものだ。同社は同じユーザーが再インストールした場合や、所有する複数のデバイスにインストールした場合には、重複したカウントは行わない。とは言えそのインストール数は1万8000に近い可能性がある。なぜならアプリのテストを行うオンラインサービスであるTestFlightでも多数登録されているからだ。

比較のために数字を挙げると、テスラは2018年に全世界で24万5506台の車両を出荷している。TezLabはすべてのテスラオーナーが彼らのアプリをダウンロードすることは期待していない。その代わりに、シッパース氏はまずオーナーの10%を狙っている(彼はそれが手の届く目標だと考えているのだ)。そして最終的にはより高いシェアを狙おうとしている。

現在の数でさえ、TezLabはテスラデータの大規模なリポジトリ(貯蔵所)となっている。同社は1日に85万から100万個のイベントを保存していて、その量は増え続けている。シッパース氏によれば、これは1日あたり1 GBを超えるデータに相当する。

「私たちは、車両群が何をしていて、何故それをしているのかに対する大規模な予想を始められる位に、十分なデータ量をシステム内に収集しています」と、HappyFunCorpのCEOであり、TezLabの製品責任者であるシッパース氏は語っている。

tezlab

データは集約され、匿名化されていて、そして公開されていない。また、それらのデータを販売する計画は存在しない。

「データを販売するというビジネスに参入することなく、本当に意味のあるものを開発できると考えています」とシッパース氏はTechCrunchに語った。

もちろん、理論的には、もしテスラがアクセス方法を変えてしまったら、シッパース氏と他のメンバーがTezLabで開発したものは、一夜にして使えなくなってしまう可能性がある。

「テスラは、FacebookZyngaに対して行った仕打ちを、私たちに対して行うことが可能です。もちろん私たちはそれを望んでいませんが」とシッパース氏は語った。

テスラはこの件に関するコメントは拒否している。

TezLabがそのウェブサイト上で公に提供しているのは、その処理データに基づく知見である。例えば、サイトにアクセスした人はだれでも、所有されているモデルの内訳や、平均走行時間、および充電間の平均時間などを知ることができる。

同社がアプリに機能を追加するにつれて、オーナーたちがどのように自分のテスラ車を使用しているかについての理解が深まるに違いない。

舞台裏ではもちろん、TezLabは自社のウェブサイトに表示されるもの以上のものを知っている。それはファントムドレイン問題(人間が使用していないのに充電残量が早く減っていく現象)や、テスラAPIがオフラインになっているかどうか、もしくは充電量が急増しているのかといった状況を素早く検出することができる。また例えばTezLabは、テスラのスーパーチャージャーステーションへの訪問が、メモリアルデー(戦没将兵追悼記念日。5月の最終月曜日)には、2019年の他の日の平均に比べて84%多かったということを発見することができる。

Stravaモデル

データを補足して保存することが、収益化を目指すTezLabの計画の中核だ。より多くの機能が追加されても、アプリは無料のまま提供される。

同社は、ソーシャルフィットネスネットワークであるStravaのビジネスモデルにならうことを計画している。それは機能ではなく容量に対して課金するモデルだ。新しい機能が追加されるにつれて、オーナーたちにとってデータは遥かに価値のあるものになる可能性がある。TezLabはオートパイロット走行の追跡を検討していて、その他にもテスラ車に現在搭載されているセキュリティ機能であるSentry mode(監視モード)で「面白いこと」を行うことも検討中だ。

この夏には、アプリはコミュニティを形成するためのクラブ(これはシッパース氏が特に望んでいる)機能を導入する予定だ。この機能を使うことで、テスラ車のオーナーたちは、例えばノルウェー、ブルックリン、あるいはサンフランシスコといった特定のクラブに参加することができる。それはオーナーが他のオーナーたちを簡単に見つけて会話を行うことができるようにデザインされる。ただしこのクラブに入ることができるのは、テスラ車を所有する人だけだ、とシッパース氏は付け加えた。

テスラに対しては、TezLabのスタッフは自らを「王国の守護者」と位置付けている。結局、彼らの活動すべてが、テスラの成功を助けることになるのだ、とシッパース氏は語っている。

「私たちが参考にしているのは、Fitbitがウォーキングとエクササイズとモチベーションのために行ったことなのです」と彼は言った。「私たちはそれを電気自動車の分野に持ち込みたいのです」。

画像クレジットBryce Durbin

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(翻訳:sako)

Visual Studio CodeでJava開発がしやすくなるJDKインストーラー

マイクロソフト(Microsoft)の無料のVisual Studio Codeは、わずか数年で市場で人気最大のコードエディターになった。Visual Studio Codeのアドバンテージのひとつが、柔軟性だ。しかしその柔軟性は、複雑なセットアップに苦労してやっと得られるものだった。そこで米国時間6月14日、同社は、Visual Studio Codeで相当容易にJavaのコードを記述可能にするための新しいプロジェクトをローンチした。

最近、マイクロソフトのスポークスパーソンが本誌に語ったところによると、学生や新人プログラマーなど一部のデベロッパーにとってはJavaの開発環境をセットアップすることが依然として難しい。通常それは、いくつかのバイナリやVisual Studio Codeのエクステンションをインストールするなど、かなり面倒なプロセスであるという。

そんなデベロッパーを助けるためにマイクロソフトは本日、それらの面倒を一手に引き受けるインストーラーをローンチした。それはまず最初に、JDKがすでにインストールされているか調べる。インストールされていなければ、マイクロソフトがスポンサーでもあるAdoptOpenJDKからバイナリをインストールする。必要ならVS CodeとJava Extension Packもインストールする。AdoptOpenJDKは、Oracle JDKのベンダーニュートラルな代替製品であり、マイクロソフトもVisual Studio CodeのJavaエクステンションをインストールしているユーザーには、このJavaディストリビューションを推奨している。

現在のところ、インストーラーはWindows用のみだが、コミュニティの関心が高ければその可利用性を拡張する計画だ。

画像クレジット: JASON REDMOND/AFP/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

iOS版iMovieが大幅アップデート、サウンドトラックを80本追加、画像オーバーレイも利用可能に

iOS 13上の登場に合わせて改訂される純正アプリの公式リリースに先駆けて、Apple(アップル)は人気の高いビデオ編集アプリ、iOS版iMovieの新バージョンをリリースした。今回のアップデートで、iMovieには数多くの新機能が追加された。中でも目立つのは、グリーンスクリーン効果をサポートしたこと。これにより、ビデオクリップから背景を簡単に削除することができる。また、さまざまなジャンルにわたる80もの新たなサウンドトラックも追加されている。

特にグリーンスクリーンをサポートしたことは、より高度な機能セットを提供することで優位に立とうとするサードパーティ製のビデオ編集アプリに対しても、iMovieの競争力を高めるものとなる。またその一方で、それほど機能にこだわらないユーザーにとっては、シンプルな使い方ができるという特長を保っている。

Appleによれば、新しいバージョン(2.2.7)では、ブルーまたはグリーンのスクリーンの前で撮影されたクリップから背景を削除できるようになり、さらに4ポイントマスクと「強さ」スライダーを使って効果のかかり具合を調整できるという。

80の新しいサウンドトラックには、ポップ、チル、センチメンタルといったジャンルが含まれている。サウンドトラックは、ムービーの長さに合わせて自動的に調整される。

新しいエフェクトに関しては、写真をオーバーレイとして追加して、ピクチャインピクチャ効果や、画面分割の効果を付けることが可能となった。その際、境界線を表示しないように設定することもできる。こうした機能は、iMovieに対する要望としてよく挙げられていたもの。実際、それがないことが、ユーザーが他のビデオ編集アプリを選んでしまう理由の1つに数えられていた。

その他の新機能は、iMovieをより使いやすくするためのもの。たとえば、他のアプリケーションからiMovieに切り替えたとき、作業中のプロジェクトの編集画面に戻るようになった。また、「…」のアイコンで示されるメニューからiMovie Theaterにはアクセスできなくなった。iMovieでは、ユーザーにムービーを直接iCloudに保存させる方向にシフトしているからだ。

また、iMovieをなんらかの教室で利用する場合に有効なアップデートとして、ClassKitのサポートが追加された。これにより、生徒は宿題として作成したビデオをApple純正の「スクールワーク」アプリを利用して先生に提出できる。

iMovieはApple製の各種プラットフォームで動作するように設計されているので、ユーザーはiPhone上でプロジェクトの編集を開始し、その後iPadやMacなど、他のデバイスに転送して編集を完了するといったこともできる。たとえば、グリーンスクリーン効果や色補正などは、大きな画面の方が作業しやすい。

新しいiMovieは、iPhone版、iPad版のいずれも、すでにApp Storeからダウンロード可能となっている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

VMwareがマルチクラウドロードバランシングのAvi Networksを買収

VMwareは、ユーザーのデータセンターの仮想マシンの構築と管理を助ける企業から、オンプレミスでもパブリッククラウドでも仮想マシンがどこにあってもそれらの管理を助ける企業へと変わる努力を続けてきた。米国時間6月13日に同社が買収を発表した設立6年のスタートアップであるAvi Networksは、クラウドとオンプレミスの全域にわたってアプリケーションのデリバリを均衡化するサービスで、まさに今のそんなVMwareに合ってる企業と言える。なお、買収の価額は公表されていない。

Aviは、うちは昔のロードバランサーの現代版だ、と主張する。彼らが昔と呼ぶ時代には、アプリケーションは頻繁に変わることもなく、企業のデータセンターにオンプレミスで棲息していた。しかし、企業がますます多くのワークロードをAWS、Azure、Google Cloud Platformなどのパブリッククラウドに移行させている今日では、Aviのような企業がもっと現代的なロードバランシングツールを提供しなければならない。それらのツールは、ロケーションやニーズに応じてソフトウェアのリソース要求を均衡化するだけでなく、要求の背後にあるデータを調べる必要がある。

図表提供: Avi Networks

VMwareもユーザー企業のインフラストラクチャを、それらがクラウドやオンプレミスのどこにあっても顧客企業が一貫したやり方で管理できるよう努めてきた。Aviの買収もその努力の一環であり、今回は主にモニタリングとロードバランシングのツールを手に入れたことになる。VMwareのネットワーキングとセキュリティ事業担当上級副社長を務めるTom Gillis氏は、この買収が同社のそういうビジョンによくフィットしている、と言う。「この買収は弊社のVirtual Cloud Network(仮想クラウドネットワーク)ビジョンをさらに前進させる。そこでは、ソフトウェア定義の分散ネットワークアーキテクチャがすべてのインフラストラクチャに行き渡り、そのすべてのパーツを、パブリッククラウドにあるオートメーションとプログラマビリティで統合する。Avi NetworksとVMware NSXが結びつけば、企業は新たな機会への対応力を増し、脅威に対して強く、新しいビジネスモデルを作ってすべてのアプリケーションとデータにサービスを届けられるようになる。それらがどこにあっても」。

Aviの共同創設者たちはブログ記事でこれと同様の気持ちを表明し、さらに強力に前進できる企業になる、と期待している。彼らは曰く、「VMwareとの合体を決意したのは、両者のビジョンとプロダクトと技術と強力なマーケティングと企業文化の相性がきわめて良いと判断したからだ。私たちはこれからも継続して弊社のミッション遂行に努め、マルチクラウドのデプロイメントをオートメーションとセルフサービスで加速化して、顧客のアプリケーションサービスの現代化を助けていきたい」。というわけなので今後に期待しよう。

今後はVMwareの一部になるAviの顧客の中には、Deutsche Bank、Telegraph Media Group、Hulu、Ciscoなどがいる。Aviは2012年に創業され、Crunchbaseによればこれまでに1億1500万ドルを調達している。主な投資家は、Greylock、Lightspeed Venture Partners、Menlo Venturesなどだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アップル製品の将来を占う新しいアプリ開発環境

開発ツールに関しては、デベロッパー向けのメディア以外で大きく扱われることはあまりない。しかし、Apple(アップル)がWWDCで発表した開発ツール類は、今後のアップル製品向けのアプリの数と質の両方に、多大な影響を与える可能性が高い。それはiPhoneだけに限らない。macOS、watchOS、tvOS、そして新たに加わったiPadOSを搭載する製品にすべて関わってくる。

今回のイベントの主役ではなかったが、デベロッパーがさかんに話題にしていたのはSwiftUIだった。

5年前、アップルはプログラミング言語Swiftを発表して、アプリ開発をできるだけ容易なものしようとする動きを見せた。そして今回のWWDCでは、SwiftUIと呼ばれるまったく新しいユーザーインターフェースのフレームワークを発表し、そのビジョンをさらに押し進めた。SwiftUIを利用することで、スムーズなアニメーションの付いたフル機能のユーザーインターフェースを、シンプルな宣言的コードによって実現できる。

デベロッパーにとっては、これは大幅な時間の節約につながる。SwiftUIが備える自動化の機能によって、アプリの設計を洗練されたものにできるだけでなく、バグを減らすことになるからだ。また、アップルがデベロッパーに説明したところによれば、「単にコードの量を減らせるだけでなく、より良いコードにできる」ということだ。

シンプルであることを目指したのは、そうでなければどうしても避けられない、さまざま種類の誤りの発生を防ぐことを意図したもの。SwiftUIのコードは、まるで他の人からユーザーインターフェースについて説明を受けているかのように読みやすい。さらに、デベロッパーは異なるプラットフォーム間で、より多くのコードを再利用できるようにもなる。

それによって、開発サイクルの大幅な短縮にもつながる。デベロッパーが、アプリのユーザーインターフェースの一部だけを変更したくなった場合でも、素早く、しかも簡単に変更できる。

SwiftUIのフレームワークは、インターフェースのレイアウトをはじめとして、さまざまな面に効果を発揮する。たとえば、iOS 13が装備するダークモードへの対応、アクセシビリティ、右から左へ向かって書く言語への対応を含む国際化などだ。しかもSwiftUIは、同じAPIをiOS、iPadOS、macOS、watchOS、さらにtvOSという複数のOSに共通のものとすることで、アップルのアプリのエコシステム全域にまたがって使えることも重要なポイントだ。

このような特徴によって、これまでiOSだけに注力していたデベロッパーも、既存のアプリをSwiftUIに対応させさえすれば、クロスプラットフォームの開発に着手しやすくなる。

もちろん、アプリの性格によって、どこまでSwiftUIに対応できるかの程度は異なるだろう。しかしSwiftUIは、新規のデベロッパーにとっても魅力的なだけでなく、初めてアプリ開発に取り組むような初心者をも惹きつけるものがある。

SwiftUIは、Xcodeの新バージョンとともに発表された。このXcode 11には、新しいグラフィカルなUIデザインツールが含まれている。それによってデベロッパーは、コードを書くことなく、SwiftUIを使ったユーザーインターフェースの開発が可能となる。

視覚的なデザインツール上でUIが変更されると、そのつど新たなSwiftコードが自動的に生成される。さらに、そのアプリがどのような表示になり、どのように動作するのか、iPhone、iPad、iPod Touch、Apple Watch、Apple TVなど、接続されたデバイス上のリアルタイムのプレビューで確認できる。

これによりデベロッパーは、各プラットフォームでコードがどのように機能するかをテストできる。たとえば、マルチタッチに対してどのように応答するか、カメラやセンサー類の動作はどうかなど、開発プロセスの中で確認できるのだ。

Watchアプリ

watchOSに関しては、SwiftUIによって、Watchアプリならではのアニメーションとエフェクトの開発の複雑さを解消することができる。これまでは、その難しさのせいで、Watchアプリに手を出すのを躊躇するデベロッパーもいた。

SwiftUIは、スワイプして削除、リストアイテムの並べ替え、カルーセルのスライド、デジタルクラウンへの直接アクセス、といった機能を備えたWatchアプリの開発をサポートする。

またApple Watchは、デバイスから直接App Storeに接続できるようになり、ペアとなるiOSデバイスやiPhoneがなくても、スタンドアローンのアプリをインストールできるようにもなった。

このスタンドアローンのWatchアプリは、iOSから独立して動作させることができるだけでなく、Apple Watchを独立したプッシュ通知のターゲットに設定することも可能となる。つまり、そのユーザーがログインしているすべてのデバイスにではなく、Watchにだけ通知を送信することができる。

Watchアプリは、CloudKitのサブスクリプションをサポートできるようになり、プッシュ通知をコンプリケーションとして表示することで、ユーザーに最新情報を伝える。Watchアプリは、対応するiPhoneアプリを使っていないユーザーをもターゲットにできるようになったので、ユーザー名とパスワードを入力するテキストフィールドを表示するようになった。そこに入力してサインアップするか、今回発表された「Sign in with Apple」ボタンを使うこともできる。状況によってはアップルでサインインが必須の場合もある。

Watchアプリは、オーディオのストリーミング再生もできるようになった。これにより、これまで可能だったものとは異なるタイプのアプリへの道が開かれる。デモで見たように、Pandoraのようなインターネットベースのストリーミングサービスを利用して、スポーツ中継や音楽をストリーミング再生するアプリを想像するのも難しいことではなくなった。

さらに、watchOSの新しい拡張ランタイムは、ユーザーが手首を下げた状態でも動き続ける、新たな種類のWatchアプリの開発を促すことにもなるだろう。

たとえば、セルフケア、マインドフルネス、理学療法、スマートアラーム、健康状態のモニタリング、といった分野のアプリは、このランタイムを利用することで、Apple Watchのユーザーにとって新たな体験を創出することができるだろう。

これまでのWatchアプリのエコシステムが停滞したのは、アプリ開発の複雑さによるものだけでなく、ユーザーが手首を持ち上げている状態でしか動作しないというような制限をデベロッパーに課してきたことにもよる。ユーザーの手首の上で何ができるかを考えることを止めても、たとえばセンサーやストリーミングオーディオを利用することで、デベロッパーは単純に普通のiOSアプリを移植することも可能となる。

驚くべきことではないが、これまでそうしたアプリの多くは失敗し、やがて削除されることになった。アップルは、Watchアプリのエコシステムの再起動を狙っている。

macOSアプリ

今回のWWDCで発表された新しい開発ツールは、iOSのデベロッパーが、1億人のアクティブなMacユーザーにアピールする機会を生むことになる。

アップルによれば、いくつかの純正iPadアプリは、Mac上でも十分通用するものであることを認識しているという。しかし、一般のデベロッパーは、macOSのAppKitを使ってiPadアプリを移植する時間的な余裕がない。そこで今年のWWDCでは、デベロッパーにとって「最小限」の労力でiPadOSアプリをMac用に移植できるような技術を発表した。

現在、iPad用には100万本を超えるアプリのエコシステムがあり、その多くはMac上で動かしても意味のあるものだと考えられるということだ。

この取り組みの一環として、アップルはiOSからMacに40個ものフレームワークを移植した。その結果、わずかな例外を除いて、ほぼすべてのiOSのAPIの移植が完了した。これは、UIKitをネイティブなフレームワークとして採用し、次期macOSのリリース、Catalinaに直接組み込むことによって実現した、とAppleは述べている。

さらにアップルは、iPadアプリをMacに移植するための3段階のプロセスを用意した。

その最初のステップは、Xcodeのプロジェクト設定で「Mac」と書かれたチェックボックスをオンにすること。

するとXcodeでは、ソースに変更を加えるたびに、iOS、iPadOS、そしてmacOS用のすべてのアプリが自動的に更新されるようになる。

またiPadアプリを優れたものにすることは、ベストプラクティスをサポートするところから始まるという考えに沿って、デベロッパーはMac用にカスタマイズすべき部分を示唆される。つまり、状況に応じてメニューバー、タッチバー、マウスホバーのイベントなどをサポートすべきことが示される。

チェックボックスをオンにするだけで優れたMacアプリが開発できるわけではないが、それによって作業量は軽減される。

ただし、アップルが(優れた」iPadアプリの条件として、どの程度のものを要求するかについては疑問も残る。アップルは最大の効果を得るためには、デベロッパーはiPadのベストプラクティスを採用すべきだとしている。たとえば、外部キーボードをサポートしたり、Metalのようなキーとなる技術を採用することなどだ。

とは言え、もしアップルが本当にMac App Storeの品揃えを充実させたいなら、そしてもっと利益を生み出すアプリを増やしたいと考えているなら、Macに移植されるiPadアプリに、それほど多くを強いることはないかもしれない。

アップルでは、WWDCで発表する前に、すでに10社程度のデベロッパーとこの移植プロセスを試している。その中には、アメリカン航空、Crew、DCユニバース、Post-It、ツイッター、Tripit、フェンダー、アスファルト9、Juraなどが含まれる。

iPadOS

ところで、iPad上で動作するiOSには、iPadOSという新たなブランディングが施されることになった。

これまでのiPadは、発売当初からずっとiOSを搭載してきた。しかし時が経つにつれ、iPadの大きな画面を活かすための独自の機能も実現してきた。たとえば、スライドオーバー、スプリットビュー、ドラッグ&ドロップや、Apple Pencilのサポートなどが挙げられる。

まずはじめに、iPadOSでは、ホーム画面のアイコンのグリッド間隔は狭くなる。これは、サードパーティアプリが使えるホーム画面のスペースが広くなることを意味する。また、ウィジェットはホーム画面に固定できるようになる。これも、iPadアプリがホーム画面に占めるスペースを確保することになり、それだけユーザーの注意を引くことになるだろう。

しかし、iPadが本当に優れているのは、ノートパソコンの代わりに使えること。生産性も高くなり、スケッチやデジタルアートなど、クリエイティブな使い方も可能なのだ。

仕事効率化アプリのデベロッパーにとっては、1つのアプリから独立した別ウィンドウを開けるようになるのは、パソコン的な使い方を可能にする便利な機能だ。さらにアプリExposeや、3本指によってコピー、カット、ペースト、取り消しを可能にするジェスチャーも使えるようになる。

デベロッパー向けのツールについては、PencilKitというAPIが新たに加わり、サードパーティのアプリでも、純正アプリと同様に新しいApple Pencilにアクセスすることが可能になる。

それでも、実際にiPadアプリの開発を促進するのは、iPadアプリを簡単にMacに移植できるようになることかもしれない。言い換えれば、iPadアプリを開発しようというデベロッパーのモチベーションを本当に高めるのは、以前よりもずっと少ない労力で、同じアプリをMacでも動かせるようになること、なのかもしれない。

tvOS

Apple TV用のtvOSは、SwiftUIとiPadアプリのMacへの移植の話題に比べると、ほとんど注目されなかった。それにはアップルは、Apple TVとそのストリーミングサービス、つまりApple TV+に関しての熱意を示すイベントを開催したばかりだったということもある。

とは言え、SwiftUIはここでも活躍する。tvOSアプリでも、コードの再利用が可能になるからだ。

拡張現実と機械学習

アップルが今回のWWDCで発表したのは、作業をシンプルにして開発を促進することを狙ったものばかりではない。他の技術としては、まずARKitをさらにアップデートしたARKit 3が挙げられる。これは、モーションキャプチャー機能を備え、フレームの中の人物も認識できるようになった。それによって、人物をARオブジェクトの後ろに配置したり、前に出したりすることなどが可能となる。

これもアップデートされたCore ML 3を使えば、デベロッパーが機械学習の専門知識を持っていなくても、自分のアプリで機械学習を構築し、学習させ、その結果を利用できるようになる。

他にも、MetalやCreateMLのような重要な技術に進化が見られる。そうした技術を利用することで、デベロッパーは、それぞれの領域で、より品質の高いアプリを開発できるようになるだろう。

それでも、もっとワクワクさせ、興味を引きつける部分は、やはりアップルが現在最も人気のあるアプリプラットフォームであるiOSにテコ入れして、アプリのエコシステム全体に活を入れようとしていることだろう。今回のWWDCで発表されたツールによって、アップルは開発とデザインを合理化し、よりシンプルなものにしようとしている。それにより、より多くの人にプログラミングに参加してもらい、アプリのデベロッパーのコミュニティがiPhoneを超えて発想してくれるよう促しているのだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

GoogleがAndroidのセキュリティキー技術をiPhoneやiPadに開放

Google(グーグル)は米国時間6月12日、iPhoneやiPadのオーナーがAndroidのセキュリティキーを利用し、サインインの認証が行えることを発表した。

先月、グーグルはAndroid 7.0以降を搭載したデバイスを2段階認証用のセキュリティキーとして使える、新たなBluetoothベースのプロトコルを開発したと発表した。それ以来、グーグルによれば10万人のユーザーが、すでにAndroidスマートフォンをセキュリティキーとして利用している。

ローンチ以来、この機能はChromeブラウザへのサインインへと限定されていた。しかしグーグルによれば、アップルデバイスの所有者も外部デバイスを利用せずに、同じ保護技術が利用できるという。

Android 7.0デバイスを利用し、iPad上でGoogleアカウントにサインインする様子

セキュリティキーは、高度なアタックの危険性が高いユーザーにとって重要な技術だ。これは、国家レベルのハッカーのような極めて賢く技術力の高い攻撃者でも阻止できるように設計されている。また物理的なセキュリティキーにかわり、新しいAndroidデバイスで利用できる。

まず自分のアカウントにログインした時、キーによる認証を求めるメッセージが表示される。もし誰かがあなたのパスワードを盗んでいたとしても、認証デバイスなしではログインできないのだ。また正規のウェブサイトだけがセキュリティキーをサポートするため、フィッシングページも有効ではない。

ほとんどの場合、セキュリティキーは防御の最終手段だ。グーグルは先月、セキュリティキーのTitanのペアリング機能のバグによる脆弱性が存在し、ハッキングのリスクがあることを認めた。同社は影響を受ける製品について、無料での交換を申し出ている。

また、セキュリティキーの技術はさまざまなデバイスや実行中の異なるOSが通信し、お互いを認証する安全かつ柔軟な技術のFIDO2に準拠している。

現時点では、グーグルによればAndroidのセキュリティキーはGoogleアカウントへのサインインに限定されている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

アップルがオープンソース団体Cloud Native Computing Foundationに参加

KubernetesなどのオープンソースプロジェクトのホームであるCloud Native Computing Foundation(CNCF)が今日(米国時間6/11)、Apple(アップル)がトップレベルの会員資格であるプラチナ会員(Platinum End User Member)として参加することを発表した。CNCFのエンドユーザー会員はAdidas、Atlassian、Box、GitHub、The New York Times、Reddit、Spotify、Walmartなど89社いる。

Appleは例によってこの発表に何のコメントもしないが、しかしCNCFによると、エンドユーザー会員とは「オープンソースのクラウドネイティブ技術のヘビーユーザー」である企業や団体であり、コミュニティに対し何らかの還元意思のある者たちだ。CNCFのエンドユーザー会員になると、自動的に上位組織であるLinux Foundationの会員にもなる。

会員になったことによってAppleは、CNCFの統治委員会(Governing Board)にも加わる。具体的に委員として加わるのは、AppleのシニアエンジニアリングマネージャーTomer Doron氏だ。

Cloud Native Computing FoundationのCTO Chris Aniszczyk氏は、こう語っている。「経験豊富な大企業であるAppleがエンドユーザー会員として仲間になったことは、インフラストラクチャとアプリケーション開発の未来にとってクラウドネイティブコンピューティングが持つ生きた力の大きな証(あかし)である。Appleが本会をサポートすることは、たいへんすばらしいし、今ますます大きくなりつつあるクラウドネイティブプロジェクトのコミュニティに今後得られるコントリビューションに、大いに期待したい」。

Appleをメジャーなオープンソース企業と思う人はあまりいないと思うが、実際には同社はDarwinオペレーティングシステムの一部であるXNUカーネルやプログラミング言語のSwiftをオープンソースにしている。オープンソースのクラウドインフラストラクチャコミュニティにはまだ積極的に参加していないが、今日のCNCFへの参加でそれも変わるだろう。当然ながらAppleは、自前のデータセンターを動かしている。しかしそこではきっと、さまざまなオープンソースのインフラストラクチャプロジェクトを多用しているだろう。例によって同社は、それについてもあまり語らないと思うが。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

モジラがFirefoxの新ロゴを発表、ブラウザーだけではないことを強調

Mozilla(モジラ)の「Firefox」がロゴを改訂し、ブラウザーだけのブランドではないことを押し出そうとしている。

パスワードマネージャーの「Lockwise」や、プライベートファイル共有サービスの「Send」、「Firefox Monitor」をはじめとするセキュリティーツールなど、Mozillaは大きくブランドを拡大している。これは、ブランディングの専門家にとって抗うことのできない挑戦だ。よってMozillaが新しいロゴの探求に没頭し、象徴であるFirefoxブランドの一新をはかろうとするのも当然のことだ。

発表の中でMozillaは、世の中のブランドシステムが、「インターネットの将来を楽観視するのは急進的な行為」であるとか「透明性とグローバルな視点をブランドに盛り込み、多くの言語を話して優位な点をすべて反映させる」などという発想に傾いていることについて多くを語った。

今回の改訂でMozillaは、Firefoxのロゴからfox(キツネ)を取り除き、尻尾だけを残した。少々ややこしいことに、これはFirefoxブランド全体のロゴであり、ブラウザー本体のロゴにはボールを包み込むキツネの図案が描かれている。

これはFirefoxブランドがここ数年経てきた進化を表すものであり、急進的な変化ではない。その他のMozilla製品も同じ色使いだが異なる系統の形状で書体も変わった。

「生きているブランドとして、Firefoxに完成はない」とMozillaが今日(米国時間6/11)書いた。「われわれが変わり、世界がわれわれのまわりを変えるにつれ、進化は続くだろう」

しかし、おそらくもっと重要なのは、Firefoxブラウザーの技術がライバルらと共に進化を続けていることだ。長年の苦労を経て、Firefoxは再び競争力のあるブラウザーになった。最後にこれが起きたとき、MozillaはモバイルOSやその他多くのサイドプロジェクト開発に集中して目標を見失った。今回は、プライバシーを中心とした明確なミッションがあるので、ブラウザー以外に手を広げすぎて落とし穴にはまることがないよう祈っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ShazamのAndroid版でヘッドホン再生中の楽曲認識が可能に

Apple(アップル)が所有するShazam(シャザム)は、周囲で再生されている音楽を識別でき、さらにAndroidスマートフォンやタブレットを使っていればヘッドホンにて再生している楽曲が認識できるようになった。

昨年アップルにより4億ドル(約430億円)で買収されたShazamは、Android版アプリに「Pop-Up Shazam」という機能を導入した。これを有効にすると、他のAndroidアプリによりスマートフォン内部、あるいは外部にて再生されている楽曲を追跡・認識できる。

この機能は、多くのユーザー長年求めていたものだ。これまでは、ユーザーがYouTubeの動画などで楽曲を見つけた場合、Shazamでは2つの不便の方法しか利用できなかった。ヘッドホンを取り外して内蔵スピーカーで音楽を再生するか、あるいはヘッドホンをスマートフォンのマイク近くに持っていくかだ。

この新機能により、Shazamは他のアプリからの楽曲を追跡することができ、それにより周囲の音やスマートフォンのスピーカーに完全に依存する必要がなくなる。まるでFacebook Messengerのように浮遊しドラッグできる通知をタップすることで、この機能が利用できる。

TechCrunchのテストでは、この機能は有線、無線イヤホンの両方(さらにAirPodsでも)で、InstagramやTiktok、YouTubeなどのアプリにて宣伝どおりに動作した。AppleのモバイルOSではこの通知がサポートされていないため、iPhoneユーザーが同じ機能を利用したいと思っても辛抱強く待つ必要があるだろう。アップルは2014年にShazamをSiriに統合しており、いつの日かなんらかの方法で、iPhoneにおける楽曲の認識機能が拡張される可能性はある。

GoogleはPixel 3シリーズのスマートフォンに「Now Playing」機能を導入して以来、楽曲認識に近年注力している。これは、周囲の楽曲を自動で検索し、認識してログに残すという機能だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

セールスフォースのタブロー買収は大規模だが史上最大ではなかった

160億ドル(約1兆7382億円)というような金額の話をしていると、数の感覚が麻痺してくる。今日(米国時間6/10)Salesforce(セールスフォース)がTableau(タブロー)を157億ドル(約1兆7056億円)で買収した。それが巨大な企業買収であったことは間違いないが、史上最大ではなかった。

2017年に新たしい税法が施行されたとき、大手IT企業は巨額の資金を海外に保管して税を逃れ、一方ではM&Aの波がやってくるだろうと、多くの人々が憶測した。たしかにそれは起こった。

BoxのCEO Aaron Levie氏がTwitterで指摘したように、これは既存の支配的なツールを打ち負かすような最高のツールを開発すれば、マルチビリオン企業を作れることの証明でもある。われわれはこれまでに何度もそれを見てきた。150億ドル(約1.6兆円)企業までいかなくても、マルチビリオンの値札のついた巨大企業がたくさん生まれた。

昨年だけで、10件の買収が行われ総額は870億ドル(約9兆4517億円)に上った。最高金額の称号はRed Hatを340億ドル(3兆6938億円)で買ったIBMが勝ち取ったが、それでさえ史上最大の企業買収ではなかった。そこで本誌は、歴代の巨大企業買収のベストテンを作ることにした。これで、今回の契約の位置づけが感じ取れるかもしれない。

SalesforceがMuleSoftを65億ドル(約7062億円)で買収(2018年)

当時これはSalesforce史上最大の買収であり、今も続いている。それまでも同社は買収を繰り返していたが、その多くは比較的コンパクトなものだった。しかし、なんとしても企業データにアクセスしたい同社はMuleSoftが欲しくなり、そのための費用を払う決断を下した。

MicrosoftがGitHubを75億ドル(約8148億円)で買収(2018年)

ライバルに遅れを取るまいと、Microsoftはちょうど一年前にGitHubを大枚75億ドルで買収した。当時デベロッパー・コミュニティーには心配する向きもあったが、これまでのところMicrosoftはGitHubが独立子会社として活動することを許している。

SAPがQualtricsを80億ドル(約8691億円)で買収(2018年)

SAPは、QualtricsがまさにIPOしようとしていたところに割り込み、断れない条件を提示した。Qualtricsは、顧客満足度を測るツールをSAPにもたらした。それはSAPに欠けていたものであり、大金を払うことに躊躇はなかった。

OracleがNetSuiteを93億ドル(約1兆104億円)で買収(2016年)

OracleがNetSuiteを買収したことは驚きではなかった。当時Oracleはクラウドへの移行を進めていたときであり、すぐれたSaaSツールを必要としていた。NetSuiteは、すぐに使えるパッケージ化されたクラウドサービスをOracleにもたらし、Oracleが喉から手が出るほど欲しかった顧客も一緒についてきた。

Oracle、エンタープライズ向けクラウドサービスのNetSuiteを93億ドルで買収

SalesforceがTableauを157億ドル(約1兆7056億円)で買収(2019年)

ここが今日の案件。Salesforceはふたたびすばやい動きを見せ、巨額を支払ってデータビジュアル化ツールを買い、顧客がSalesforceに限らずどんなデータでもビジュアル的に見られるようにした。さらに言えば、これは昨年のMuleSoft買収を非常にうまく補完するものでもある。

BroadcomがCA Technologiesを189億ドル(約2兆532億円)で買収(2018年)

巨大買収の年の巨額の案件。Broadcomは、半導体メーカーが伝統的ソフトウェア開発・ITサービス会社にこんな金額を払ったことで一部の人々を驚かせた。189億ドルは時価総額の20%に相当した。

MicrosoftがLinkedInを260億ドル(約2兆8246億円)で買収(2016年)

これは当時Salesforceが欲しくてたまらなかった会社だが、Microsoftが財力を生かして勝ち取った。LinkedInの大きな贈り物はデータだった。以来Microsoftはそのデータを製品に変える作業を続けている。

IBMがRed Hatを340億ドル(約3兆6938億円)で買収(2018年)

昨年の終わり近くなってIBMが大きく動き、Red Hatを340億ドルで買収した。IBMは何年も前からハイブリッドクラウドの方式を説いてきたが、Red Hatの買収によってハイブリッドストーリーの説得力がぐっと増した。

DellがEMCを670億ドル(約7兆2789億円)で買収(2016年)

これが全体のトップ。今日の案件をはるかに上回る。この買収は契約締結までにさまざまな障害を超えなくてはならず何ヶ月もニュースに取り上げられた。中でもこの契約に入っていた宝物はVMwareとPivotalで、後者は その後IPOを果たした。この買収のあと、Dell自身も上場した

画像クレジット: Madmaxer / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook