影響力の強いAppleアナリストMing-Chi Kuoが来年のiPhoneの販売台数を低めに予想

TF International Securitiesの著名なAppleアナリストMing-Chi Kuoが今週、iPhoneに関するあまり芳しくない予測を発表した。タイトルもずばり、“2019 iPhone shipments likely to be under 190 million units”(2019年のiPhoneの販売台数は1億9000万台に達しない)、この書簡によると来年のAppleのハンドセットの売上は、先にアナリストたちが予測していた2億2100万台をかなり下回る。

KuoのApple予測は株価などへの影響力が大きいことで知られていて、とくに売上の台数や今後の新製品に関してはよく当たる。それには、彼とAppleのサプライヤーたちとの特別な関係も原因している、といわれる。前四半期も、彼の予測で株価が動いた。〔今回もAppleの株価下げを起因…12/15現在〕。

“iPhoneの旧機種の受注増は季節要因が弱いためXRとXSシリーズの減少をオフセットしない”、とKuoは書いている。低価格製品だから伸びる、と一般的に期待されたXRに対しても否定的なのが、彼独特の見方だ。

でもそれは、Appleだけの話ではない。今年はスマートフォン全体が落ち込んでいる。数年間爆発的な成長を続けたあと、多くの企業でペースは鈍っている。2月にGartnerは、スマートフォンに関しては初めて、前年比の減少を指摘した。強力な魅力を持つアップグレード要因がないことも、低迷に貢献している。

でも5Gは、また新たな起爆剤になるかもしれない。来年は少数の企業が5Gのハンドセットを出すが、Appleの5Gハンドセットは2020年と予想されている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Amazonが再びGoogle Chromecastsを売っているが後者はPrime Videoをサポートせず

GoogleとAmazonの長年の抗争が休憩モードに入ったようだ。Amazonは今再び、GoogleのChromecastデバイスを売っている。そのデバイスはAmazonが2015年に同店から閉め出して、Prime Videoをサポートしているデバイスしか売らないという方針を掲げた。1年前に同社は、Chromecastを扱うと言ったがそれは長続きせず、両社は再び喧嘩モードに入った。今回はAmazonのEcho Showの、YouTubeプレーヤーが争点になった。

でも今、事態は再び鎮静モードに入ったようだ。

Android Policeが、ChomecastsがAmazon.comで再び売られていることを見つけた。

その記事は、35ドルの第三世代Chromecastと、69ドルのChromecast Ultraが売られている、と言っている。

Amazonはこの件で何も発表していないが、本誌TechCrunchが確認したところによると、Amazonはこれら二つのデバイスを公式に扱っており、店頭に出たのは偶然でも間違いでもない。

Amazonが昨年Appleと仲直りをしてApple TVを扱うようになったのも、Prime Videoがサポートされたからだから、Chromecastのユーザーが同じくPrime Videoのサポートを期待するのは無理もない。でも少なくとも今日(米国時間12/14)の時点では、それはない。

迷惑するのは消費者だから、AmazonとGoogleが仲良くできないのは、みっともないことである。

これまでAmazonの買い物客が、あの人気の高いストリーマーを見つけられなかっただけでなく、ChromecastにPrime VideoがなければFire TVにGoogleのYouTube TVがない、という不毛なやり合いになっている。これらのストリーミングサービスのどちらにもアクセスできることは、どんなメディアプレーヤーにとっても重要なセールスポイントだ。Rokuのような、どちらか片方だけに与(くみ)しないプラットホームに人気集中するのも、当然だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Googleアシスタント、オーストラリア英語とイギリス英語を米国内でも利用可能に

本日(米国時間12/13)Googleは、Assistantが米国在住ユーザーのために新たなアクセントでしゃべるようになったと発表した。

対応する端末の設定タブに行き、標準のアメリカ英語をオーストラリアまたはイギリスのアクセントに切り替えられる(オーストラリアは”Sydney Harbour Blue”、イギリスは “British Racing Green”を選択)。

Googleのブログ記事に詳細が、必然的にフィッシュ・アンド・チップスの店の例と共に書かれている。なぜアメリカにこの機能がやってきたのかの説明はないが、ポンドの為替レートが正しいアクセントで発音されるのを聞くのは悪くない。

「これらの声はDeepMindの音声合成モデルWaveNetで作られている。層の深いニューラルネットワークを使って原始的な音声波形を作ることで、Assistantの声がいっそうリアルで自然に聞こえるようになった」」とGoogleは言っている。

海外居住者だけでなく米国アクセント全般を耳障りに感じている人たちにとっては癒やしになるだろう。実際、私は生涯このように話してきた。 この人たちは、自分のデバイスが暗黙のうちにアメリカ英語に切り替わることに苛立っていたに違いない。音声はそれぞれの母国のものと同じだが、米国市場向けにローカライズされているとGoogleは言っている。

この機能がやってきたタイミングが、GalaxyのBixbyが英国アクセントを覚えた直後だというのも興味深い。これで二人のスマートアシスタントがいい感じにチャットできそうだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Tempow、AirPodsクローン用Bluetoothプロファイルを発表――複数スピーカー駆動が可能

TempowはBluetoothの利用範囲を拡大するソフトウェアを開発してきた。このフランスのスタートアップがTrue Wireless BluetoothとよばれるBluetoothプロファイルを発表した。これによりAppleのAirPodsのクローンを作ることが誰でもできるようになる。

多くの企業が左右のイアフォンをケーブルで接続しないイアフォンを作ろうとしてきたが、どれもAppleのAirPodsほどの優秀さを達成できていない。理由はAppleが独自のチップとソフトウェアを搭載しているためだ。そのため他のメーカーはAirPods同様の体験を再現できずにいる。

左右のイアフォンを魔法のように接続している点を別にすれば、AirPodsの使い勝手の良さは通常のBluetoothオーディオ(A2DP)規格を利用しているところにある。標準的規格の採用により、iPhoneばかりでなく、Androidや古いWindowsノーPCとも接続が可能になっている。

しかしA2DPは通常、一つのデバイスと一組のイアフォンしか接続できない。この点はAirPodsでも同様だ。AirPodsをあるデバイスとペアリングした場合、BluetoothはAirPodsの片方と接続する。反対側のイアフォンはこの最初のリンクを利用する。

他のメーカーもワイヤレス・イアフォンを作ろうとしてきたがハードルが高かった。たとえばNFMI(Near Field Magnetic Induction)テクノロジーは左右のイアフォンを接続することできるがバッテリー消費量が大きくレイテンシーの問題が発生する。

今回Tempowが提供を始めたマルチ・ストリーミング・オーディオは新しいBluetoothプロファイルであり、これを利用すると通常のBluetoothチップセットを搭載したデバイスで複数のスピーカーを駆動できる。さまざまな応用範囲が考えられるが、まず完全ワイヤレスなイヤフォンの製造に使われそうだ。。

原文へ

滑川海彦@Facebook Google+

Nvidia、時価総額半減で厳しい局面に――暗号通貨、ライバル、中国、いずれも逆風

Nvidiaの株価は上場以来の最高値を付けた後、数週間後に最安値に転落した。

これほど短い期間に時価総額の半分近くを失うというのは容易ならざる事態だ。テクノロジー分野では瞬きするくらいのあいだに鉄壁とみえたビジネスが消え失せるという例の一つをNvidiaは実証した形だ。Nvidiaはチップ・メーカーとして確固たる地位を確立するためにビジネスのコアとなるプロダクトを拡大する長期計画を実行に移してきたが、ここに来て強烈な逆風に苦しめられている。

振り返ってみると、NvidiaはまずGPU(グラフィカル・プロセス・ユニット)の有力メーカーだった。Nvidiaの優秀なGPUはゲームからCADまでさまざまな並列処理に用いられた。プロダクトは機能、信頼性ともに高く、NvidiaがGPUマーケットで大きなシェアを得ることを助けた。

しかし高度ななグラフィカル・レンダリングを必要とするマーケットは比較的小さく、ここ数年Nvidiaは新しい応用分野の開発に熱心だった。この分野には人工知能、機械学習、自動走行車、暗号通貨などが含まれていた。これらはすべて強力な並列処理を必要とし、Nvidiaの得意とする分野だった。

この戦略はおおむね成功した。ここ数年、Nvidiaのチップは暗号通貨スタートアップでひっぱりだことなり、世界的なチップの供給不足を引き起こし、 コアなゲーマーの間に不満が高まったほどだった。

これはNvidiaの収入を大きく押し上げた。 2013年の8-10月の四半期の収入が10.5億ドルだったのに対し、2年後の同期は2015年は13.1億ドルと伸びはゆっくりしていた。これは成熟した市場のトップメーカーの場合珍しいことではない。しかしNvidiaが精力的に新応用分野の開拓を始めると成長は一気に加速した。今年の直近の四半期の収入は32億ドルと2013年の3倍になっている。これにともなって株価も急伸した。

ところがNvidiaの新分野への進出は多方面で障害に突き当たっている。中でも最悪の影響を与えたのがここ数ヶ月の暗号通貨価格のクラッシュだ。これによって暗号通貨市場そのものから火が消えた。打撃を受けたのはNvidiaだけではない。暗号通貨のマイニング処理に最適化したチップを製造していたBitmain暗号通貨バブルの破裂でいきなり失速している。今週、同社はイスラエル・オフィスの閉鎖を発表した。

Nvidiaの今年の収入を見ればこの問題の影響は明らかだ。今年、収入はこの3期続けて31億ドルから32億ドルであり、ほとんどフラットだった。一部ではこの状態はクリプト二日酔いと呼んでいるらしい。しかし暗号通貨はNvidiaが対処を求められている問題の一つに過ぎない。

高度な並列処理を必要とする次世代コンピューティング分野でNvidiaはスタートアップも大企業も含まれる強力なライバルの出現に悩まされている。ライバルには本来Nvidiaのユーザーと目される企業も入っている。たとえば、Facebookは独自の並列処理チップを開発中だと報じられたAppleは何年も前からそうしているし、Googleもこの分野に参入した。Amazonも精力的だ。Nvidiaにもちろんライバルと戦うノウハウがあるが、ライバル各社はそれぞれの応用分野を熟知しており、きめて優秀なアプリケーションを開発できる。このマーケットでトップを維持するには非常に激しい競争に勝ち抜かねばならない。

新分野におけるアプリケーションの開発競争に加えて、地政学的緊張の高まりもNvidiaに打撃となっている。2週間前にDan StrumpfとWenxin FanがWall Street Journalに書いているとおり、Nvidiaは米中貿易摩擦の高まりに直接影響を受けている。

…Nvidiaの昨年の収入、97億ドルのうち20%は中国からのものだった。 Nvidiaのチップは急成長中の中国のAI産業における各種プロダクト〔を始め〕各種のプロダクトに組み込まれて利用されている。

Nvidiaは両大国の緊張の高まりは…中国がアメリカ製品に対する依存度を下げるために独自チップの開発に力を入れる結果となり…Nvidiaの長期計画にとってマイナスの要素となると懸念している。

暗号、ライバル、中国。この三重苦がこの半月でNvidiaの時価総額の半分を失わせた理由だ。中国問題については次に述べる。

山積する中国問題

ハロン湾(ベトナム) 撮影:Andrea Schaffer/Flickr (Creative Commons)

South China Mornng Postによれば、アメリカを中心とするインターネット企業に現地法人の設立を要求する新しい法律をベトナムが制定したため、Googleが対応を検討しているという。Googleはベトナムの新法に対応すべく現地オフィスを開設しようとしていると報じられていた。同様の問題は中国でも起きるはずだ。

昨日、GoogleのCEO、スンダル・ピチャイが「当面中国に再参入する計画はない」と議会で証言したことは興味深い。ベトナムは、他の多くの国と同様、国家主権が個人情報にも及ぶことを明確にした法律を制定した。これによれば、ベトナムで得られたデータはベトナム国内に保存される必要がある。Googleの手は縛られることになる。中国は当面の悪役だが、ローカル・データへのアクセスを制限しようとする保護主義的動きは中国だけに限られたものではない。

報道によれば、日本の携帯大手3社がHuaweiとZTEの製品を、通信設備から排除する方針を固めたという。これにHuaweiの副会長の逮捕というニュースが続いた。これで日本のキャリヤの中国企業の製品の排除の方針はますます固まったはずだ。 Huaweiの排除はもともとFive Eyesと呼ばれる情報交換協定に加盟している英語圏5ヵ国(アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)が決定したものだが、日本はこれに加入していない。日本がHuawei、ZTEを排除することになれば、他のアジア諸国にも波及する可能性が出てくる。そうなれば影響は大きい。

一方、Baidu(百度)は中国を代表する検索エンジンを提供する企業だが、中国政府の監査により、他の80以上の中国企業と共に企業情報を偽っていたことが判明している。 これはBaiduにとって極めて思わしくないニュースであり、 ここ数日、株価は最低水準に落ちた。過去52週の最高値は284.22ドルだったものが、今日の寄り付きは180.50ドルだった。

情報を求む

パートナーのArmanと私は引き続きシリコンバレーのビジネスを取材している。過去数日、投資家やサプライチェーン関係者に取材した結果を上にまとめた。ただしNvidiaの状況は氷山の一角に過ぎない。さらなる情報や分析があれば、danny@techcrunch.comにご連絡いただきたい。

このコラムの執筆にあたってはニューヨークのArman Tabatabaiが協力した。

原文へ

滑川海彦@Facebook Google+

Puma、1986年の最高にマニアックなシューズRS-Computerを再発売

今どき自分の歩数を測定するのに困ることはない。しかし、自分がそうしていることを他の人に確実にわからせるにはどうすればいいだろうか? これみよがしにスマホや時計を5分毎に見るのは面倒だ。では、今ここに歩数管理コンピュータが靴の外に飛び出していて誰が見てもわかるようになっている靴があると言ったらどうだろうか? それはPuma。1986年に生まれ、2018年に再び生まれる——ほんの少し。

RS Computerはパーソナルコンピューター時代初期に起きたつまづきのひとつだ。みんなAmigaやMacを買っているのだから、コンピューターシューズも買うに違いないと誰もが思った。そうはならなかった。言うまでもなく。

しかし、1986年にまったくクールでなかったものが、30数年たった今、不思議と人を引きつける。しかも、歩数をチェックしたくなるたびにコマンドラインインターフェースのパソコンと専用16ピンケーブルでつなぐ必要がなくなった。

そう。再発売されたRS Computer(RSは “running system”の意味で “robo-shoe” ではない)は明後日、限定小売店舗でごく限られた数だけ販売される。エレクトロニクスは小さくするのではなく(その気になれば実際完全に隠すこともできた)、現代のデバイスで使えるようにするためにのみ変更された。そのとおり——Apple IIeやCommodore 64を引っ張り出す必要はない。

  1. puma-rs-computer-4

  2. puma-rs-computer-3

  3. puma-rs-computer-2

あのケーブルの代わりにBluetoothがあり、ユニットの中にある加速度センサーば歩数や距離をもっと正確に測ってくれるだろう。最大30日分のデータを保存可能で、micro USB経由で充電する。

私はこの巨大コンピューターに文字通りネジがついていているのが気に入っている、赤と黒のボタン(バッテリーの端子に似ている)はおそらく何の役目も果たしていないだろうがそこにある。これは間違いなく人々の注目を集める靴だ。調子に乗ってCasioの電卓時計をはめてZack Morrisの巨大携帯電話を持ったりしないこと。それはやりすぎと言うもの。限度を知ることが大切だ。

86足のRS Computerが明後日(米国時間12月13日)、ロンドン、ベルリン、東京のPumaストアおよびKithを始めとする少数の小売店で販売される。今すぐ地元の店に電話をして在庫を確認すべきだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

QualcommがSnapdragon 855と新しいアンダーディスプレイ指紋センサーを発表

今週Qualcommは、マウイで今年のSnapdragon Summitを開催して、プレスやアナリストたちももてなしている。残念ながら行けなかったわれわれにも、Qualcommは2週間前にそのニュースのプレビューをくれている。その三日間を同社は、5Gへのフォーカスで幕開けすることに決め、また新製品Snapdragon 855モバイルプラットホームのプレビューもあった。そのほか同社は、ディスプレイの裏に実装する超音波利用の指紋判読センサーの発表も行った。

おたくのご近所に5Gのタワーが出現するのはまだ先の話だと思うが、その話題は数年前から過熱しているから、そろそろ5Gが現実になる、と言っても過言ではないだろう。AT&TとVerizonは今週マウイで5Gのネットワークをデモしている。Qualcommによるとそのイベントは、“5Gのお披露目パーティー”だそうだ。今後数か月間はたくさんの参入企業が、これと同じ言葉を使うだろうね。

短期的にそれよりおもしろいと思われるのは、同社が同じく今日(米国時間12/3)発表した新たなフラグシップ、855モバイルプラットホームだ。記者やアナリストたちに詳細は提供されなかったが、同社は855が“世界初のマルチギガビット5Gをサポートする商用のモバイルプラットホームだ”、と強調した。

また855は新しいマルチコアAIエンジンも目玉で、前のモバイルプラットホームに比べ3倍のAIパフォーマンスを提供、さらにまた、コンピュータービジョン専用シリコンにより、高性能なコンピューテーショナルフォトグラフィー(GoogleのNight Light的なもの)やビデオキャプチャーがサポートされる。

この新しいプラットホームはゲーム用に最適化されている、と同社は言う。そのプロダクト名
は“Snapdragon Elite Gaming,”だが、詳細は不明。さらにARの追究も継続し、Qualcommはそれを“extended reality”という独自のブランドで呼んでいる。

でも今回いちばんおもしろいのは、ニュースの最後に登場した脇役かもしれない。すなわち指紋センサーが今やスタンダードになり、中級機のスマートフォンにも載る。その新しい3D Sonic SensorsでQualcommは、ディスプレイの裏に鎮座する高性能超音波指紋ソリューションを約束する。ある意味でこれは、Qualcommの既存のディスプレイ直下型センサーの新しいブランド名だが、新しい技術もある。そこで今回の売りは、指紋スキャナーが、汚れたディスプレイや、ユーザーが画面保護膜を使っていても、十分に機能するという点だ。目の前に迫っているMobile World Congressには、この新しい指紋スキャナーを搭載した新しいフラグシップスマートフォンが、かなりの数、登場するのかもしれない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

E Inkが書き込みテクノロジーを発表――JustWriteは安価で消費電力最小

電子ペーパーの代名詞となっているE InkがJustWriteという新しいテクノロジーを発表した。ディスプレイは見慣れたモノクロのままだが、書き込みの場合は黒地に白に反転する。

他のE Inkのテクノロジー同様、JustWriteのキーポイントは消費電力が最小で低価格であることだ。低価格化に関しては高価なTFT液晶を使わず、会議室や教室の内壁に普通に用いられている安価な紙状のプラスティック・フィルムををディスプレイに用いている。これにより快適な感触を維持したままほとんど遅延なしに書き込みができる(GIF参照)。E Inkはプレスリリースで次のように述べている。

JustWriteフィルムはE Ink独自の電子インク・テクノロジーを用いることにより E Inkの他の製品同様のメリットを得ている。すなわち、紙によく似た質感、高いコントラスト、バックライトの必要がない反射光表示などだ。JustWriteフィルムはプラスティック製ディスプレイで、極めて強靭で耐久性が高く、軽量かつどんな場所にも用意に脱着できる。これによりさまざまな表面が書き込み可能となることが期待される

このテクノロジーはソニーやreMarkableの書き込み可能な電子書籍リーダーのライバルとなる。ただしE Inkでは従来はまったく書き込みが考えられなかった場所への応用を強く意識しているようだ。JustWriteを用いたプロダクトがいつ、どのような形で市場に投入されるのかは明かされていない。

〔日本版〕Vimeo動画のオリジナルはこちら。このテクノロジーは11月30日に東京でワコムが主催したデジタルインクとデジタル文具のイベント、Connected Ink 2018で公開、デモが行われた。

原文へ

滑川海彦@Facebook Google+

Googleのタブレット、Pixel Slate、今週出荷へ――エントリーモデルは600ドル

今年Googleが発表した最後のハードウェアがいよいよ今週出荷の運びだ。Pixel Slateの販売開始はすでに発表されていたが、今日(米国時間11/27)、Googleのブログ記事で11月29日から出荷が開始されることが分かった。

Pixel Slateは先月、Pixel 3やGoogle Home Hubと共に発表されたキーボードが分離できるタイプのタブレットだ。 Chromebookファミリーの製品で去年発表されたPixelbookの上位モデルとなる。われわれの詳しい製品レビューはこちら。「長すぎて読む時間がない」という向きに結論だけ述べるなら「OSもアップグレードされた優秀な製品。ただしプロ・ユースにはさらに若干の改良が必要」というものだ。

特に興味深かったのはOSの改良だ。SlateのOSのスペックは基本的にPixelbookと同様だが、ディスプレイの精細度が高く、キーボードを外付けできる点が大きな違いだ。Pixelbookのディスプレイも背面まで360度開くのでタブレット的な使い方は可能だ。しかし必要なときだけキーボードを接続できるというフォームファクターがPixel 3のセールスポイントだ。

Intel Celeron、4GB RAM、 32GBストレージの本体価格は599ドルだ。最上位モデルはIntel Core i7、16GBRAM、256GBストレージで1599ドルとなる。ケースを兼ねるキーボードは199ドル、ペンは99ドル。最上位モデルにキーボードとペンを追加すると2000ドルとなる計算だ。

〔日本版〕日本のGoogleストアにはまだ情報がない。

原文へ

滑川海彦@Facebook Google+

米Logitech、22億ドルでヘッドセットのPlantronics買収か

キーボードやウェブカムなどの周辺機器の大手メーカー、米Logitech〔日本ではロジクール〕はbluetooth接続のヘッドフォン、ヘッドセットの有力メーカー、Plantronicsを買収する交渉に入っているという。 Reutersによれば、Logitecは買収価格として22億ドルを提示しているという。 これはLogitechとして過去最大の買収になる。

安価のデバイスの津波が中国から押し寄せ、アメリカのメーカーの利益率を削る中、買収による経営統合は両者のコスト削減に役立つだろう。Reutersの記事では買収交渉は早ければ来週にもの結果が出るという。

TechCrunchでは両社にコメントを求めている。何か分かり次第アップデートするつもりだ。

買収のニュースが流れるとNYSEの時間外取引のPlantronicsの株価はアップした。

Logitech、Plantronicは両社ともこのところ企業買収を積極的に進めてきた。 最近ではLogitechはポッドキャスティング用マイクロフォンのYetiとSnowballで知られているBlue Microphoneを買収した。

一方、カリフォルニア州サンタクルスに本拠を置くPlantronicsは今年Polycomを20億ドルで買収している。Plantornicsはジェット旅客機のパイロットであった共同ファウンダーが小型のヘッドセットの開発を試み、これにNASAが加わったことで急速にこの分野を代表するメーカーに成長した。しかしApple始め高品質で手頃な価格のプロダクトを提供するライバルの参入によって地位が脅かされる事態となっていた。

原文へ

滑川海彦@Facebook Google+

阪大のロボット・ヘッド、Affettoの表情は不気味なまでに人間そっくり

Affettoは魂の底を見通すような視線をこちらに向けたまま微笑することができる。大阪大学の研究グループが開発したこの子供の頭のロボットは人間の表情を巧みに模倣することができる。微笑するだけでなく、鼻をうごめかしたり、 目を閉じて物思いにふけったりする。総じていえば、正気では目を覚ますことができない悪夢ができあがりそうだ。

大阪大学の石原尚助教は研究のリリースで「アンドロイドの表情は、柔らかい顔被覆の内部に搭載された機構の動きを操ることで作り出されます。これまでは、顔表面の変形の特性が調べられていなかったため、変形の作り分けは大まかにしか実現されていませんでした。…〔この研究の成果により〕ぱっと開く笑顔や恐る恐る出す笑顔など、ニュアンスを含んだ生き生きとした表情をアンドロイドで表現できるようになることが期待されます」と述べている。

実はTechCrunchでは2011年にも開発初期のAffettoを取り上げている。このときは今よりもさらに怖かった。研究グループはロボットの顔に皮膚を貼り、髪を乗せたのでAffettoの表情のない目にじっと睨まれたときの恐怖がほんのわずかだが減った。未来バンザイだ。

Affettoが頭だけでなく身体を得たらわれわれの支配者になってしまうのではないと心配だが、ともあれ研究グループはこう述べている。

〔石原助教らの〕研究グループでは、アンドロイドの顔表面に多数の三次元位置計測(モーションキャプチャ)用マーカを貼り付け、各内部機構の動きに伴う表面の動きを精密に計測し、表面の操りやすさと変形の特性を機構毎に評価しました。…各機構に対して表面の変形の特性を考慮に入れた制御器を設けることで、無表情から笑顔に至る5パターンの表情の変化を作り分けることに成功しました。…このような研究によって、コミュニケーションロボットが状況に応じてより効果的な情報を、より豊かに人と交わすことができるようになると期待されます。

このロボット・ヘッドをルンバに載せて家の中を掃除させてみよう。子供たちは大喜びだろうが、ネコは心臓マヒを起こすかもしれない。

原文へ

滑川海彦@Facebook Google+

耳栓型の双方向翻訳機WT2が1月に発売、リアルタイム翻訳の実現も近い

Timekettleは、昨年のTechCrunch Shenzhen(深圳)で披露した翻訳をするウェアラブルWT2のその後の進歩を、われわれにどうしても見せたいようだった。昨年の3Dプリントしたプロトタイプと違って、このクラウドファンディングされた耳あては、今や発売可能だ。

すでに初期支援者には現物を送り始めており、1月には予約購入者にも送り始める。そのハードウェアは、しっかり作られている。外見は大きすぎるAirPodケースのようで、二つを磁石で閉じる。使い方は、開いた状態で片方を話す相手に渡す〔下のビデオ参照〕。

アプリで言語を選び、各自が一つ耳につける。二つの翻訳機は区別できないが、光っているロゴの上に細い線(“まゆげ”)がある方が二号機だ。

GoogleのPixel Budsなどのウェアラブル翻訳器はあまり売れなかったが、こいつはそれらよりもずっと巧妙だ。着用者がお互いにアイコンタクト(視線を交わす)したり、ボディーランゲージ(身振り手振り)を使えたりするところが、ミソだ。それらは、言葉が違う者同士のコミュニケーションでは、とても重要だ。

しかし、でも、それが障害になるかもしれない。多くの場合、見知らぬ人に片方の耳あての装着をお願いすることになるだろう。それが、つらい。でも、まじめなビジネスの場面なら、とっても便利なツールだ。

でも前者のような場合には、アプリとその画面でコミュニケーションできる(下図)。お互いにロゴをタップしてから話す、という、ウォーキートーキー(トランシーバー)的な使い方もできる。それは、まわりの騒音を拾わないための工夫だ。

全体的にぼくは、かなり感銘を受けた。同社のCEOとの会話を書き起こした上図の例でお分かりのように、翻訳は完璧ではない。でも、あたりのノイズと、上質でないセル接続と、会話の相手が‘歩きながら’にこだわったことを考えると、WT2の仕事は賞賛に値する。

現在は、翻訳に遅延がある。話終わってから数秒後に、相手の耳に翻訳が行く。これは、言葉の勉強を助けるためかもしれない。でも、発売までにはリアルタイム翻訳に近い性能にしたい、と同社は言っている。

〔訳注: WTはたぶん、Wearable Translatorの頭字語。〕

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ニューモデルRaspberry Pi 3 Model A+はコンパクトで強力なRaspberry Pi

Raspberry Pi Foundationが、新しい機種を発表した。そのRaspberry Pi 3 Model A+は、基本的にはRaspberry Piの中心的機種Bシリーズの、回路基板を小さくしたものだ。定価は25ドルで、Raspberry Pi 3 Model B+よりも10ドル安い。

機種についての記述は少々ややこしいが、しばらくご辛抱を。最良のRaspberry Piをお求めなら、3 Model B+を買うべきだ。それはプロセッサーが1.4GHzのARMv8クワドコアで、Wi-Fi, Bluetooth, Ethernet(最大300Mbps), USB 2.0, そしてHDMIがある。

今度のPi 3 Model A+は小型の機種のようで、Model B+の利点の多くを備えていて仕様も似ているが、RAMは1GBではなく512MB、ポートはUSB 2.0のみでEthernetポートはない。

しかし大量のRAMもEthernetも要らないニーズなら、それ自身としては実にまともなミニコンピューターだ。前にRaspberry Piで遊んだ人が見ても、最近のモデルは長足の進歩を遂げている。相当ヘビーなタスクでもこなせる、強力なプロセッサーだ。

たしかに、ビデオのトランスコードや大きな圧縮ファイルの解凍、ゲームのエミュレーションなどはラップトップの方が速いかもしれないが、24/7動きっぱなしのファンのないコンピューターなら、ほかにもっと安いのはない。Dockerはその上で快調に動くから、コンテナを使った方がメンテナンスは楽だろう。

もっと厳しい場所でRaspberry Piを使いたいなら、スリムなデザインで低電力型のRaspberry Pi Zeroが良い。ただしかなり遅い。Raspberry Pi Foundationは、同じ機種が必要なユーザーのために古い機種も売っている。でもそれらを買うことは、あまりお勧めしない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

日本発売間近!中国でもコピー不可能なSpireのヘルスタグとは——#tctokyo 2018レポート

左からEngadget中文版編集長のRichard Lai氏、Spire CEOのJonathan Palley氏

TechCrunch Japanは2018年11月15日から2日間、スタートアップイベント「TechCrunch Tokyo 2018」を都内で開催した。本稿ではDay2のFireside Chat「充電不要、洗濯可能——-Appleも認めるスゴいヘルスタグ」で語られた内容を紹介する。モデレーターはEngadget中文版編集長のRichard Lai氏が務めた。

本誌でも既報のとおり、各国のAppleストアを通じて「Spire Health Tag」の販売を開始している。日本でも数週間後となる12月からの発売を予定していることから、Spire CEOのJonathan Palley氏が当日15日に来日し、TechCrunch Tokyo 2018に登壇した。Palley氏は既存のウェアラブルデバイスを「1.0」と定義しつつ、「ヘルスモニタリングやウェアラブル1.0は期待どおりに提供されなかった」と語る。読者諸氏もご承知のとおり、人の活動をモニタリングするデバイスは数多く登場した。だが、充電や取り外し、見た目といった課題が山積すると同時に、センサーの低精度に伴う取得データの限定性や洞察の難易度といった課題がある。筆者も多くの腕時計型ウェアラブルデバイスを試してきたが、特に精度の問題から四六時中身に付けることを諦めてしまった。

これらの課題に対する回答が、Spire Health TagだとPalley氏は語る。「医者から(従来型の腕時計型ウェアラブルデバイスを)身に付けろと言われても患者は受け入れない。医者に言われるとやりたくなるのが人間だ。さらに(既存デバイスで取得できる)データの価値が低い。健康を維持するには歩数にとどまらず、呼吸パターンや睡眠、心拍数などメトリクス(測定基準)を持ったリッチなデータが必要だ。例えば呼吸の変化から病気を未然に防ぐといったソリューションに活用できる」(Palley氏)。さらに前述した”見た目の問題”に対しては、”見えないデバイス”という解決策を示した。「洋服1つ取っても皆異なるスタイルのため、スマートシャツでは毎日取り替えることは難しい。Spire Health Tagは男性なら下着、女性ならブラウスなどに取り付けるだけだ。そのまま洗濯機や乾燥機に入れても問題ない」(Palley氏)という。なお、Spire Health Tagは胸部の動きを測定するが、モデレーターの設置場所に対する疑問について、Spireは「腰につけても構わない。深く呼吸するときは腹筋が緊張する。このわずかな動きをセンサーで取得し、アルゴリズムで検知できる」(Palley氏)と回答した。

Spire Health TagからBluetooth LE経由で取得したデータは一度スマートフォン上のアプリで取り込み、その後クラウドにアップロードする。アプリは取得データを元に睡眠やストレス、心拍数や活動を可視化し、利用者に洞察や特定の活動を提示。このあたりはウェアラブル 1.0と同じだが、気になるのはバッテリー駆動時間である。「バッテリーの寿命は1年半から約2年。バッテリーが切れたらサブスクリプションの『Spire+Membership』加入者(10ドル/月)には無償でお送りする」(Palley氏)という。米国ではSpire Health Tag単体(49ドル)ではなく、8つ入りのフルパック(299ドル)を購入する利用者が多いらしいが、モデレーターの「複数のSpire Health Tagを検知した場合は」の質問にSpireは、「呼吸や心拍数をPPG(反射型光電脈波)で計測して判断する。例えば呼吸しているのに心拍数が計測されないタグは除外する仕組みだ」(Palley氏)。

Spireは本製品を通じて2つのビジネスモデル展開を目指している。1つは消費者だ。4年前に発売したSpire Stoneは日本のAppleストアでも販売中だが、Spire Health Tagも前述のとおり発売される。モデレーターがApple Watchとの競合について尋ねると、Spireは「我々とAppleは競合関係にはない。私の立場では推測の域を出ないが、腕時計型ウェアラブルデバイスとSpire Health Tagは相互補完の関係にある」(Palley氏)と、2014年にAppleがFitbitの販売を停止した例を引用しつつ勝算を語った。

もう1つはヘルスケア市場である。同社技術はスタンフォード大学における7年間の研究が基盤となり、「米国政府からインフルエンザの流行を予防するプロジェクトに参加した。150人前後の被験者に身に付けてもらい、就寝中の呼吸変化を測定して、その変化で感染したか否かを報告している」(Palley氏)。また、米最大規模の某ヘルスケア企業と協業し、研究や次の展開を進めているという。「日本でも先月の発表以降、数社からの関心をいただいた。新たな協業の可能性にワクワクしている」(Palley氏)。

Spireは「人々は病気のことを考えたくない。テクノロジーを活用して人々のあり方を変えたい」(Palley氏)と目標を語りつつ、今後も身に付けることを意識させないウェアラブルデバイスの実現に取り組むことを表明。最後にモデレーターが「類似品登場のリスク」について尋ねると、「我々が4年前に(Spire Health Tagの)アイデアを話すと『クレイジー』と言われてきた。だが、各分野のエキスパートによる知見を持ち寄り、Spire Health Tagを作り上げた。仮に中国の方が持ち帰って分析しても、同様のセンサー精度やバッテリー寿命を再現するのは無理。(Spire Health Tagの)強みはアルゴリズムにある」(Palley氏)と強い自信を見せた。

(文/写真 阿久津良和/Cactus

ギフトガイド:旅行向け携行グッズ10選

TechCrunchの2018年ホリデーギフトガイドへようこそ!ギフトアイデアがさらに必要?ギフトガイドハブもご覧あれ。

今年は出張の多い年だった、実際これまでで一番多かった。それは楽しみと苦しみの両面を伴った。その状況を与えてくれたTechCrunchには感謝したい。実際のところ、この記事を書いている場合ではなく、おそらくアジアに向かうために荷造りを始めなければならないのだが、読者のために調べることにしよう。

普通のトラベルガイドとホリデーギフトガイドを書くのではなく、それらを1つにまとめることにした。なぜなら効率性こそが、読者の時間を最大に活用させるための鍵だからだ。技術は、荷造のプロセスを合理化し、旅行を最大限に活用する上で重要な役割を果たすことができる。

もちろん、全ての場合と同様に、過剰な技術は悪いものになるかもしれない。私は、自分自身があまりにも多くのガジェットを詰め込んでいることや、持ち込み手荷物の中で絡み合うケーブルが、事態を悪化させていることを知っている。

以下に紹介するのは、旅行から最大の苦痛のいくつかを取り除くためにデザインされたガジェット、アクセサリーなどだ。一泊でもそれ以上でも読者の旅行を便利にしてくれるだろう。

Amazon Kindle Oasis

オーケー、おそらくここにKindleを含めるのは少々インチキかもしれない。しかし電子書籍リーダーほど私の旅をより良いものにしてくれるデバイスもない。そしてOasisは現在入手できる最善のものなのだ。私が機内持ち込み手荷物の中に、ペーパーバックを何冊も詰め込んでいたのはそれほど遠い昔ではない。私は時々本物の本の手触りを恋しく思うことがあるが、しかし旅行をする際には、数千冊の書籍を座席の背ポケットに詰め込むことのできる能力に代えられるものはない。

価格: 249〜279ドル
入手先: Amazon


Anker 40W 4ポートUSBウォールチャージャ

近代的なホテルの多くは、USBポートについて改善されている。私は最近、iPhoneを充電できる場所が各部屋についているLAのホテルに滞在していた。しかし、それはまだ危険な賭けだ。特に知らない街へ出張するときには。それに、個人のデバイスを正体のわからないポートに差し込むことを避けられるなら、ますます良いことだ。

数年前から私は別途購入したミニタップ兼USBハブを使って来たが、Ankerの40W 4-Port USBウォールチャージャーはそれよりもはるかにコンパクトなソリューションだ。壁に直接4つのUSBポートを設置することができる。何より素晴らしいのは、他の全てのAnker製品のように、それはとても安価だ。

価格: 26ドル
入手先: Amazon


BUBMケーブルバッグ

私は何年もの間、ガジェットのブログ内で本当に数多くのケーブルオーガナイザーを試してきた。それを使うことでやっと、私の旅行カバンがインディアナジョーンズのヘビの穴になるのを防ぐことができる。結局のところ、それらは最終的には同じ種類のジレンマで悩むことになった。様々なガジェットを詰め込むための沢山のポケットを持つか、よりコンパクトなものを選んでカバンの中に余裕をもたせるかだ。

結局のところ、私は後者の方向に向かう傾向がある。特に機内持ち込み手荷物となると、スペースを空けることができるものが基本的には何でも望ましい。最近私は、BUBMのこれを見つけた。それはしゃれた外観で、その折りたたみデザインによって貴重なバッグの中の空間をより広く使うことができる。

価格:12ドル
入手先: Amazon


Calmサブスクリプション

これは確かに奇妙な選択だ。確かに旅行専門のアプリは、世間に沢山存在しているが、旅のストレスを和らげる役に立つという観点から見た場合には、Calmアプリは手始めとしては良いものだ。これは実はとても心配性の旅行者から届いたものだ。恐れるべきは飛行の部分ではない、その部分は大丈夫だ。問題はその他の全てなのだ。空港に向かうことから、長蛇の列、3ドルの空港の水、そしてたまに遭遇する両側を挟まれた座席に至るまで。

私は熱心な瞑想者ではないが、スマートフォン上でマインドフルネスを追求するために、それこそ沢山のアプリを試した。その結果Calmがすば抜けて私好みだったのだ。ガイドされる瞑想セッションは素晴らしく、より自由度の高いものも同様に素晴らしいのだ。知らない都市のホテルの部屋で目を覚ました後に、気持ちを整えるための素晴らしい手段も与えてくれる。

1年間のサブスクリプションは60ドルだが、心の平安のためには安い買い物だ。

価格: 60ドル
入手先: Calm


Harman KardonのTravelerスピーカー

この品物は、間違いなく他のものに比べて贅沢なものに感じられるが、小さなBluetoothスピーカーがどれほどホテルでの滞在生活を改善してくれるかを過小評価してはならない。大多数のラップトップの組み込みスピーカーは酷いものが多いため、たとえ中級のBluetoothスピーカーでも改善効果は大きい。

Harman KardonのTravelerは、十分な機能を備えている上に、手荷物に対してそれほど嵩張ったり重かったりすることもない。また、テレカンファレンス(遠隔会議)のためのマイクも内蔵されている(出張者のためには有り難いボーナスだ)。またデバイスを充電するための電池としても利用可能だ。2500mAhのバッテリーはそれほど大きくはないが、移動中の場合には、小さな一滴でも有り難いものだ。

価格: 150ドル
入手先: Harman Kardon


HyperDrive USB-C Hub Attach

私はたくさんのガジェットを持って旅行する。それが私の仕事のようなものだ。このように、充電ポートが不足していることが、常に一貫したテーマであるという事実は間違いない。HyperDrive USB-C Hub Attachは、Twelve Southを象徴するPlugBugを使ってMacbookの充電アダプタに直接複数のUSBポートを追加する巧みな仕掛けだ。3番目のUSB-Cポートはデータ転送に利用することも可能だ。より大きいバージョンを50ドルで買うことができる、これはTwelveSouthの価格と同じだ。
価格: 50ドル
入手先: HYPER


Luna Display

私が先月書いたように、Luna Displayは万人向けのものではない。しかしそれを必要とする人にとっては、まさしく救命用具となるだろう。この親指の先サイズの80ドルのデバイスをMacBookに差し込めば、近くのiPadにWi-Fiを通して接続し、タブレットを第2画面として使えるようになる。

私は移動中でも自宅でも、これを使っていることがしばしばである。仕事中は完全にモニターに依存するようになってしまった。現在はコーヒーショップのテーブルの上にラップトップとタブレットの両方を広げる奴になってしまっている。記事を執筆中に、RSSフィードを同時に眺めることができることには大きな価値がある。

価格: 80ドル
入手先: Luna


RAVPowerワイヤレスポータブル充電器

最近のバッテリは安いものだが、RevPowerはその中でも最も巧みなものを作っている。それらの中から絞り込むことは難しいが、これはQiチャージパッドを内蔵するという点で私のリストに残ったものだ。これを使えば互換性のある機器をこのデバイスの上に置くことで充電することができる。

いくつかの航空会社と空港では、バッグに入れることができるバッテリーのサイズが制限されているので、もし贈ろうと思っている相手が例えば中国へ頻繁に行くような人の場合には、制限についてよく調べること。まあ多くの場合この10400mAhのバッテリーは問題ないのだが。

価格: 50ドル
入手先: Amazon


Timbuk2 Never Check拡張可能バックパック

私はいつでももうバックパックからは卒業したいと考えていたが、2000年になった最初の10年の間に少々メッセンジャーバッグに浮気した位で、ずっとバックパックを使い続けてきた。もちろんどの2つも同じではなく、もし知り合いに頻繁に旅行をする人がいるならば、信頼できるバックパックは世界中で役に立つだろう。

Timbuk2は真に素晴らしいバッグを作った。Never Checkは確かにその要件を満たしている。一泊の旅行に必要な衣類、靴、その他のものを収納する余裕がありながら、頭上の収納場所や前席の下に入れることができるほどの小ささを実現しているのだ。

価格: 200ドル
入手先: Timbuk2


Twelve South AirFly

本当にそれに直面するまで本当には理解できない旅の懸念がある。Bluetoothイヤフォンは好きだろうか?素晴らしい。しかしもし飛行機の中で映画の音声も聞けたら素晴らしい。Twelve Southは、その無限の知恵を使って、ヘッドフォンジャックに差し込むことのできる小さなワイヤレストランスミッターをデザインした。これを使えば飛行機のエンターテイメントシステムを自分のワイヤレスヘッドフォンで楽しむことができる。それはまた、テレビやホテルのジムでも便利に使うことができる。

ここで最大の欠点は価格設定だ。30ドルという価格はそれほど高いもののようには思えないが、現在有線のヘッドフォンはとても安価に購入できるのだ。

価格: 30ドル
入手先: Amazon

TechCrunchギフトガイド2018 banner


[原文へ]
(翻訳:sako)

Mozillaがギフト用のスマート製品のプライバシーとセキュリティを評価して格付け

そろそろ今年のホリデーシーズン、家族その他愛する人にクールなスマートデバイスの新製品をプレゼントしたいと思ってる人なら、新製品だからなおさら、その品物の良し悪しが気になるだろう。カメラや歩行計の性能ばかりでなく、製品が生成する顧客データを集めているであろう物については、セキュリティとプライバシーも気になる。そこで、Firefoxブラウザーを作っているMozillaが、70種の最新製品のランキングを発表した。そこには、Amazon Echoもあればお利口なテディベアもある。

それらの玩具やデバイスのランキングに使われた測度や基準は、1)何のデータを集めるか、2)データは送信時に暗号化されるか、3)データは誰と共有されるか、4)デフォルトパスワード*を変えることを要求されるか、5)エラーなどで起こりうる最悪のシナリオは何か。〔*: デフォルトパスワードは製品が最初から持っている簡単なパスワード、セキュリティのためにはユーザーがパスワードを変えるべきである。〕

一部のセキュリティリスクは製品が本質的に持っている。たとえばセキュリティカメラは、ユーザー以外の誰かが見るかもしれない。企業の見過ごしによるリスクもある。たとえば、アカウントの削除ができなかったり、データを第三者と共有したりしている企業もある。

リストのトップにあるのは、多くのことを正しくやっているMycroftのスマートスピーカーだ。オープンソースのソフトウェアを使っているし、メーカー企業はいろんなことを正しく選んでいる。読みやすいプライバシーポリシーなんて、ありそうでなかなかない!。ガジェットの多くが、とくに問題ないようだが、このリストは良い製品も積極的に取り上げている。

しかしDobbyのドローンのような製品もある。これには、プライバシーポリシーすらないようだ。アプリをインストールすると、ユーザーの位置やHDの長さまで記録するのは最悪! またこの、Frediの赤ちゃんモニターには、ユーザーが変えなくてもそのまま使われるパスワード〔デフォルトパスワード〕がある。セキュリティの自動アップデートもない。おいおい、人をバカにしとんのか? 近づかないようにしよう。

約半分の33の製品が、Mozillaが最近提案した、スマートデバイスの“セキュリティの最小基準”に合格している(すてきなバッジをもらってる)。不合格は7つで、あとはどっちつかずだ。これらMozillaによる公式の評価のほかに、まじめに使ってほしいクラウドソーシングな“creep-o-meter”(製品のcreepy度…気持ち悪さ…の評価)がある。でも、BB-8が気持ち悪いなんて、おかしいと思うけどな。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Luna DispayはiPadをMac Miniのメインディスプレイにできる――WiFiアダプターに便利な機能があった

AstropadLuna DisplayはMacbook用のWiFiディスプレイ・アダプターだが、使いみちはノートだけではなかった。この小さなガジェットをMac Miniのポートに挿すとiPadをメインディスプレイにできる。

Luna DisplayはMacbookの画面を拡張するのが主たる目的だ。デスクトップの大きな画面に慣れているユーザーは出先でMacbookを使うと、13インチだろうと15インチだろうと、狭さを感じてしまう。Luna DisplayをMacbookのポートに接続すればiPadを第2のモニターにできる。われわれもテストしてみたが非常に便利だった。

しかしLunaの開発チームはさらに面白いことを考えていた。Mac Miniのユーザーの多くは単独でテレビの下、戸棚の奥、ルーターの近所などにしまってミニサーバーとして使っている。この場合Mac Miniにはディスプレイもキーボードも接続されていない。

操作の必要があるときはスクリーン共有かVNCクライアントの機能を利用することになる。安全な接続のためには情報を暗号化してやりとりするSSHアクセスを利用する必要がある。

しかしLuna DisplayはMac Miniでも期待されるとおり動作する。iPadにLunaアプリをインストールしてからMac MiniのThunderbolt 3ポートにドングルを挿すと、iPadがメインのディスプレイとして機能する。Mac MiniにキーボードとマウスがBluetoothで接続されていれば、その動作もiPad上で見ることができる。

さらにWi-Fi経由でソファに寝転がってMac Miniを操作することも可能だ。iPadがmacOSで動くようになったような使用感だ。Luna Displayは当初、Kickstarterのプロジェクトとして始まったが、現在は80ドルで市販されている。

もちろんMac Miniを毎日何時間も使う予定なら専用のディスプレイを接続すべきだろう。しかしMac Miniの動作をチェックし、簡単な修正を加える程度ならLunaは十分な機能がある。

原文へ

滑川海彦@Facebook Google+

SONYがPS用タッチスクリーン付きコントローラーの特許を出願

2017年に出願され最近公開された継続特許によると、Sonyはタッチスクリーン付きのプレイステーションコントローラーを作る試案をもっているかもしれない。

コントローラー自身にタッチスクリーンを付けることがコストアップに値するかどうかは不明だ。

現在プレイステーションのコントローラーにはタッチ対応のセンターボタンがあり、ユーザーはメニューその他のアクティビティーをタッチ方式で操作できる。このセンターボタンは、クリックするとゲーマーがゲームデータなどの追加情報を見ることもできる。

この特許出願は、いったいどんなタイプのコンテンツがタッチスクリーン上に表示されるのかというわれわれの想像もかきたてる。コントローラー向けコンテンツとしては、通常はメイン画面に表示されているゲーム内情報などが考えられる。

しかし、タッチスクリーン付きプレイステーションコントローラーが、ビデオの発信や友達申請の対応といった新しいインターフェースを提供することは考えにくい。

ちなみにNintendoによるタッチスクリーン対応コントローラーの実験は悲惨な結果に終わった。Wii Uを覚えているだろうか? Nintendoはその後誤りを正してSwitchを発売した。Switchはカジュアルゲーマーの間にハイブリッドコンソールとしての居場所を見つけ発売以来2000万台以上売れている。

もちろんSonyのタッチスクリーンコントローラーはまだ特許出願以上の何ものでもないので、次世代プレイステーションがわれわれの慣れ親しんだのと同じコントローラーと共に出荷される可能性は十分にある。しかし、万が一Sonyの誰かが創造性を発揮したときは、会社がタッチスクリーンコントローラーを考えるための特許は取得済みだ。

記事によると、次世代Sonyゲーム機の登場は、早ければ2019年、遅くて2021年とのこと。

[via DualShockers]

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

iPad Proレビュー:Appleの新しいタブレットは、成熟の予兆を見せ始めた

iPad Proがラップトップに取って代わるだけの説得力を持つものなのかどうか、ユーザーはすでにかなり長い間注目してきた。

その答えは、Appleを含めて、誰の言うことを信じるかによる。すでにある時点でラップトップを置き換え得るデバイスだと見なされていたのか、アプリの開発者コミュニティしだいでどのような機能をも持ちうる純粋なタブレットなのか、あるいはiPad独自の世界を築いているのか。

しかし、新しいiPad Pro、Smart Keyboard Folio、Apple Pencilの新バージョンの登場によって、ついに明らかになってきたことがある。

いよいよPhotoshopの完全なフル機能版が巨大なファイルも扱えるようになり、デスクトップ版と同じツールやブラシも装備した。それを発売するAdobeのような会社の能力と意欲が、新しいハードウェアと組み合わさったことで、iPad Proによって可能なことの領域には、新たな扉が開かれた。あとは、その機会に乗ずる準備がAppleにできているかどうかだ。

Pencil

ダブルタップのジェスチャーは自然に使えるかって? もちろん。私はシリアルポートで接続するタイプの第一世代のワコムの製品から、電子式のドローイングタブレットを使ってきた。それらの多くは、伝統的に、いわゆる「アクションボタン」を装備している。クリックすることで描画モードを切り替えて消しゴムにしたり、パレットを表示するものだ。それによって、作業中にタブレットから離れることを極力減らすことができる。

Apple Pencilの新しいダブルタップ操作が目指すのも、まさにそれだ。内部にある部品の多くは、第1世代のPencilとほとんど変わらない。ただし、新たに静電容量を検知するバンドが内蔵され、ペン先側の1/3ほどの領域をカバーしている。このバンドがダブルタップを可能にしている。感度もちょうどいい。有機的な感覚で、スムーズに操作できる。ダブルタップの間隔なども、Pencilのコントロールパネルで調整可能だ。

コントロールパネルを使えば、消しゴムではなくパレットを出すように設定したり、画面をPencilでタップすることで「メモ」アプリを直ちに開く機能をオフにしたりもできる。その設定では、写真と同じように現在のメモに留まることになる。そのうちに、タップしてスリープ解除する機能も変更できるようになれば嬉しいが、もちろんまずはそれで起動しなければ始まらない。

誤ってダブルタップしてしまったことは1度もなかった。それがデフォルトの設定だが、作業モードを抜けることなく消しゴムに切り替えられるのは、本当に使いやすいと感じられた。

ただし、Appleは開発者に、ダブルタップに異なった機能を与えることについて、かなりの自由を許している。たとえばProcreateは、私のお気に入りのドローイングアプリの1つだが、1つのツールやモードから別のツール、モードに直接切り替えるラジアルメニューなど、多くのオプションを用意している。Appleのガイドラインは、ダブルタップの使い方には慎重になるよう開発者に指示している。しかし同時に、ダブルタップがユーザーにとって意味のある実装となるにはどうすればよいのか考えるように促してもいる。

新しいApple Pencilは、トラッキングの正確さや応答については進化していない。基本的には、以前のiPad Pro用に開発された最初のPencilと同じトラッキング機構を採用している。しかし残念ながら、新旧のPencilには互換性がない。新しいPencilは古いiPad Proでは動作せず、古いPencilは新しいiPad Proでは動作しない。それは、ペアリングと充電のしくみがまったく異なるからだ。

第1世代のものとは異なり、新しいPencilは非接触でペアリングと充電ができる。これは大きな進歩だ。すぐになくしてしまいそうな小さなキャップは、もはや存在しない。直腸用体温計のように、iPadのお尻に差し込んで充電する必要もないし、充電と同時にペアリングもされる。

iPad Proを横向きにしたとき、上部の側面には中の見えない小さな窓が付けられた。その窓の内側に、Pencilを充電するためのコイルがあるのだ。またPencilの中にも、それに対応するコイルがあり、2列のフェライト磁石に囲まれている。これらの磁石は、iPadのシャーシ内にあるハルバッハ配列の磁石と対向している。こうして整形された磁場によって、ちょっとしたギミックが実現されている。ちょうど充電用のコイルが完璧に向き合う位置に、Pencilが自動的にスナップされるのだ。これによって、位置合わせのことなど何も考えなくても、Pencilを所定の位置に素早くくっつけることができる。

この磁力による接続はかなり強力で、Pencil部分だけをつかんで、iPad Proを持ち上げることができそうなほどだ。それでも、外そうと思えば簡単に外れる。横方向にずらしたり、前方に引くようにすればいい。

充電レベルを示す、見やすいオンスクリーン表示も用意された。

最初にApple Pencilが発売されたとき、私は父親に使わせてみた。父は創作活動の一環として、私が知る誰よりも多くのスケッチを描く素晴らしいアーティストだ。父はトラッキング性能と、デジタルツールへのアクセスの良さは気に入ったものの、ツルツルの表面がマット仕上げに比べて使いにくいことと、指を置くための平らな面がない点を指摘した。

新しいPencilは、マット仕上げになり、平らな面も新設された。そう、この平らな面によって、Pencilが転がってしまうことを防ぎ、充電のためにiPadの側面にくっつけることもできる。しかし、それによってドローイング用道具の一方のエッジを、効き指の方向に固定できることは、アーチストではない人からは完全に過小評価される効果だろう。これはスケッチ作業でのコントロールにとって非常に重要なのだ。一般的に鉛筆はたいてい丸いが、ほとんどの場合、オーバーハンドグリップ(訳注:掌を被せるような握り方)で握るように考えられている。ちょうど、シェードを付けるために使うポインティングデバイスのように。標準的なトライポッドグリップ(訳注:3本の指で支えるような握り方)は、少なくとも1つの平らな面を持つPencilに適している。

トライポッドグリップでは、動きの範囲は限られるものの、より正確に操作できる。一方、オーバーハンドグリップは、より機能的で汎用性があるものの、正確な動きは難しい。新しいPencilが、この広く利用されている2種類の握り方のどちらにもうまく対応できることは、アーティストにとってありがたい。

グリップなどどちらでもよい些細なことと思われるかもしれないが、私としては、そして私の指にできたタコは、ここは重要なところだと主張したい。スケッチにとってグリップはすべてなのだ。

このPencilは、Appleがこれ発売した第2世代の製品の中で、最も印象的なものの1つだ。ユーザーが第1世代のデバイスで抱えていた問題をすべて解消した。それによってドローイングでも、ノート取り、スケッチでも、iPad Proの使い勝手を大幅に向上させることに成功した。唯一の欠点は、これが別売りだということくらいだ。

新しいPencilを使ったドローイングやスケッチは、とても楽しい。Wacom Cintiqのような専用デバイスさえも吹き飛ぶような、際立った感覚で使える。Surface Proのスタイラスなど足下にも及ばない。

さらに、新しいPencilのダブルタップについても、すでに興味深いことが起こりつつある。たとえばProcreateでは、異なるツールごとに、あるいは必要に応じて、さまざまなダブルタップの操作を選択できる。状況に応じて柔軟に対応できるのだ。ユーザーが何をしているか、というコンテキストにリンクさせることもできるし、ユーザーあるいは開発者による設定によっては、リンクさせないことも可能だ。

あるときは、ラジアルメニューをポップアップしてレイヤー全体を操作したり、またあるときは描画ツールと消しゴムを入れ替えたりできる。それでもまったく戸惑うことなく操作できるのは、そのとき使っているツールに応じた機能が発揮されるからだ。

特にポートレートモードで使ってみると、ラップトップやハイブリッドでは、なぜ指で直接画面に触れるのが良くないか、すぐに分かる。このPencilは、太い不器用な指で画面上の小さなボタンをタップしようとするのとはまったく違った、精密でデリケートなタッチが要求される場面に応えることができる。リーチの問題もあるだろう。Pencilなら、キーボードから2、30センチ離れた場所に届かせるのにも苦労はいらない。

このPencilは、単なるドローイング用のアクセサリから、iPadユーザーにとって不可欠なポインティングデバイス兼操作ツールになるための階段を着実に登りつつある。まだ完全にそこに達してはいないとしても、Procreate用の非常にフレキシブルなオプションとして、大きな潜在能力を備えていることは確かだ。

Apple Pencil、さらにはiPadに対しては、非常に多くの議論が進行している。このPencilとAirPodは、他のどんなメーカーと比べても、ハードウェアとソフトウェア、両方の製品を抱え、それに責任を持つ意思と能力を持つAppleも、もはや魔法のような体験をユーザーに提供することはできないのではないか、という議論に対する十分な反証をぶつけた。

スピーカーとマイク

iPad Proは、今では5つのマイクを備えている。とはいえ、録音はステレオでしかできない。2つのマイクの組み合わせて録音し、必要に応じてダイナミックにノイズキャンセリング機能も働く。

スピーカーは強力で、これだけ薄いデバイスにしては、かなり良好なステレオサウンドを生み出す。このスピーカーは、FaceTime通話では4つが同時に機能するなど、より賢く使われるようになった。以前は、ハウリングが発生するためにできなかったことだ。これも5つのマイクを備えたことによって可能になった。

ポートについて語ろうぜ。そう、USB-Cのことさ

私はUSB-Cの規格は、あまり好きではない。もちろん、従来のUSBに比べて、さらにLightiningポートに比べても、規格としていろいろな利点を持っているのは確かだ。理想的ではないにしても、そこそこいい線はいっている。だから、Appleが、高解像度の外部モニタを使い、iPhoneを充電しながら写真を高速で転送したいというユーザーの声を聞く方が、Lightningに固執することよりも重要だと認めたのは、良い意味で驚きだった。

Lightningについては、コンパクトで、用途が広く、iOSデバイスにぴったりだ、ということがずっと変わらずに宣伝されてきた。今は、iPad Proのサイズに合わせた選択だと説明されているが、それば別にいいだろう。簡単に拡張できないプラットフォームは、Proという名前にはふさわしくないからだ。

今や、AppleのラップトップとiPad Proが、いずれもUSB-Cを備えるようになったのは偶然ではない。これは他のデバイスにも波及するかもしれない。しかし今のところは、ユーザーがそれらのデバイスに何を求めるかということ対するAppleの考えを反映したものだ。外部モニターが、Appleにとってもっとも優先順位の高い課題であったことは、Appleの発表会での話からも、その後に私が直接聞いたことからも確かだ。単なるミラーリングではなく、拡張モードでも使える最大5Kの解像度から、大いに恩恵を受けるプロユーザーが少なからずいることが分かっていた。

さらに言えば、現時点でも直接USB-Cポートに接続できる楽器やミュージシャン用の周辺機器は山ほどある。公式ではないものの、外部電源を必要とするアクセサリに対して、動作するのに十分な電力を供給できる可能性もある。

このUSB-Cポートは、充電のために接続されたデバイスに対して、最大7.5Wの電力を供給できる。またマイクやその他のアクセサリも接続可能だ。とはいえ、これまで外部電源を必要としていたデバイスが、そのポートから十分な電力を得られるかどうかは保証の限りではない。

ちなみに、MacBook用のドングル類は、ほとんどiPad Proでも使えるだろう。何か新たな組み合わせを思い付けば、そこに新たな用途が生まれるだろう。

このポートは、USB 3.1 Gen2規格に準拠していて、最大で10Gbpsのデータ転送が可能だ。実際には、ほとんどの人にとって、これはカメラやSDカードリーダーからの写真転送がより速くなることを意味している。しかしiPad Proの「ファイル」アプリは、マスストレージや、外付けハードドライブを直接サポートしていない。ファイルに直接アクセスできる機能を備えた一般のアプリは、引き続きハードディスクから読み込むことができ、その転送速度はより速くなるというわけだ。

これも別売りで、USB-C用のヘッドフォンアダプターも用意されている。興味があるかどうか分からないが、それはMacでも使える。ところで、ヘッドフォンジャックをなくした理由として私が受けた説明では、画面の端からベゼルの幅には収まらないから、というものだった。さらに他の部品を納めるためのスペースも必要になるというのだ。

新しいiPad Proには、新しい電源アダプターも付属している。もちろん、iPad Proにとっては初となるUSB-Cタイプだ。

A12Xとパフォーマンス

1TBのストレージを装備した大きい方のiPad Proは、そしておそらく同様に1TBの小さい方のモデルも、6GBのRAMを実装している。ただし私の知る限り、1TBに満たないストレージのモデルのRAMは、それより少なく、合計4GB程度となっている。それがどの程度パフォーマンスに影響するかは、そうしたモデルを使う機会がなかったので分からない。

とはいえ、このiPad ProのA12Xの全体的なパフォーマンスはトップレベルだ。複数のアプリを画面分割して動かしたり、Slide Overするのも、まったく問題なく、アプリ間の切り替えも非常にスムーズだ。Procreateで、大量のファイルを開いてドローイングしたりスケッチしたりするのも超簡単だ。ARアプリでも、バタつくことはまったくなく、滑らかに動かせた。一般的なiPadアプリ、重いクリエイティブ系のツールでも同様だった。Lightroomで大きな写真を編集したり、iMovieで長大なビデオファイルを編集するユーザーも、かなり満足するはずだ。

このiPadのGeekbenchのベンチマークは、予想通り、常軌を逸している。

これを見れば分かるように、デスクトップクラスの性能を持つARMプロセッサーがiPad Proに搭載されるのを待つ時代は終わった。それはすでに実現されたのだ。しかも、他のAppleの設計によるチップと、システム全体で密接に統合されており、Appleの目標を達成することができた。

ARMへの切り替えに関しては言えば、基本的に2つの有力な考え方がある。1つは、まずARM版のMacBookのモデルを1つ(たぶん文字通りのMacBook)を出すことでゆっくりと始め、そこから他のモデルにも徐々に広げていくというもの。私は、ずっとこの考えを支持してきた。しかし、このiPad Proを使ってみて、数々のプロ用アプリの瞬発的な、そして持続的なパフォーマンスを目の当たりにした後では、その考えにも疑いが生じた。

すでに結果は出ている。Appleがそうしたいと思いさえすればいつでも、そのすべての製品ラインでARMプロセッサーを採用できることを、このiPad Proのパフォーマンスが明確にしたのだ。

Intelのサプライチェーンや優先順位の気まぐれのせいで、Appleの新製品が登場するのをただただ待ち続ける、ということもよくある。Apple自身も、それにはうんざりしているのだ。Appleの内部から、そうしたグチが漏れてくるのを、私は何年も前から耳にしている。それでも彼らはIntelとパートナーとしての関係を維持してきた。それも、Appleが飛躍を遂げるまでの話だ。

ここまで来れば、あとは時間の問題であり、その時間は短いだろう。

カメラとFace ID

iPad Proのカメラは、まったく新しくなった。新しいセンサーと、新たな5枚構成のレンズを使ったものだ。この新しいカメラは、ゼロから設計し直す必要があった。というのも、iPad Proは薄すぎて、iPhone XRやXS、あるいは従来のiPadのカメラを流用できなかったからだ。

この新しいカメラの画質は素晴らしい。高速なセンサーと、A12Xチップのニューラルエンジンによって実現されたスマートHDRも搭載している。Appleのカメラチームが、単にセンサーを小さくしたり、厚みが足りなくても動作するような古い設計に戻るのではなく、それなりのカメラ体験が実現できるよう、仕事を増やす決意をしたのは興味深い。

面白いことに、この新しいカメラシステムは、iPhone XRのようなリアカメラによるポートレートモードを提供していない。ポートレートは、フロントのTrueDepthカメラでだけ撮ることができる。

iPadによる写真撮影は、いつも評判が悪い。サッカーの試合やテーマパークで、パパがタブレットを構えることが、ジョークのネタにされてきた。それでも、iPad Proの画面は、ファインダーとしては、おそらくこれまでで最高のものだ。

いつの日か、それがiPhoneに対する優位な特徴として認められる日が来ることを願っている。そうすれば私も気兼ねなくパパとして行動する言い訳ができるから。

もう1つ付け加えれば、iPad ProのフロントのTrueDepthカメラシステムには、薄くなったケースの中で動作するように、ハードウェアとソフトウェア両面のアップデートが施された。それに加えて、ニューラルネットのトレーニングと調整もあり、Face IDは、iPad Proを4方向どの向きで持っても動作するようになっている。どの側面が上を向いていても、とても素早くロックが解除される。その早さは、文句なくiPhone XS世代のFace IDシステムと同等だ。

私の思い込みかもしれないが、Face IDは、わずかながら従来より広い角度で動作するようになった。基本的に、iPhoneを使うときよりも、iPadに向かうときの方が、顔は画面からより離れた位置にある。その上、カメラの光軸から余計にずれた位置にいると感じられるときでも、着実にアンロックしてくれるのだ。これはiPadの美点だろう。どんな作業姿勢でも大丈夫なのだから。

キーボード

Apple Pencilと同様、Smart Keyboard Folioもオプションとなっている。そしてPencilと同じように、これなしでは、iPad Proをフルに活用することはできないと思われる。私は、かなり集中的なプロジェクトで、iPadで一気に1万1000語以上の文章を書いたことも何度かある。そんなとき、気を散らさずに文章を入力できる装置として使用できる能力は、いくら強調してもしたりないほどだと感じている。何者にもじゃまされずに、ただひたすら単語を入力できるというだけでも、良いテキストエディタを入れて使うiPadより優れた電子機器は、そうそうない。

しかし、編集について言えば、混沌とした状況もある。最新のiPad Proが一定の水準に達しているかどうか、よく分からないが、様々な作業が混在するような状況では、かなり有望だろう。Pencilと物理的なキーボードのおかげで、掛け合いのようなフィードバックを必要とする異なる作業の組み合わせや、それらの頻繁な切り替えが要求される仕事をする人にとっても、だいぶやりやすくなってきたと言える。

キーボード自体はよくできている。感触は、従来のiPadのApple純正キーボードとほとんど同じだ。キーを押して戻ってくる感覚は理想的とは言えないまでも、慣れれば及第点が与えられる選択肢となる。

このFolioのデザインは、また別の話だ。これは非常にクールで、安定感も抜群。賢い実装によって唖然とさせるほどの良さを引き出すAppleの意欲のたまものだ。

ケースの中には120個もの磁石が仕込まれていて、Pencilを保持するのと同じハルバッハ配列を形成している。基本的に、磁石は磁力が外側に向くように配置されている。こうした配列によって、ケースは何の苦もなくiPadにくっつき、しかもキーボードに対する電源の供給と通信に必要な細かな位置合わせも自動的に片付けられる。

iPadを立てて使う場合の、2通りのポジションを可能にする溝にも磁石が仕込まれている。それがiPad Pro本体内部の磁石と結合するのだ。

この効果によって、Smart Keyboard Folioは、以前の世代のものよりもはるかに安定した。実際に膝の上に乗せて使えるようになったのは、正直嬉しいところだ。ラップトップ機と同じくらい安定しているとまでは言えないものの、電車や飛行機でも、無理なくぽんと膝の上に乗せて作業することが可能だ。これは、へなへなした前世代のものでは、まったく不可能だったことだ。

このFolioに対する強い希望は、ドローイング作業に適した角度でも使えるようにして欲しいということだ。それがこのデバイスが特に目指したところでないことは理解しているつもりだが、Pencilによって非常にうまく使えることが分かっているだけに、iPadを15〜20度の角度で固定できる仕組みがないことは、大きな欠点のようにすら感じられるのだ。それができれば、スケッチでもドローイング作業でも、ずっと使いやすくなる。Folioの裏側の端から1/3あたりの位置に新たな溝と磁石を追加すれば、これも可能になると思われる。近い将来実現して欲しいと願っているものの、そのようなアーティストやイラストレーター向けのケースを、間違いなくサードパーティが割とすぐに発売するだろう。

デザイン

iPad Pro本体の角の丸みと、対応する画面の角の丸みについては、すでに色々言われてきたが、実際のところこのデバイスは形状に関してかなりアグレッシブだと感じられる。エッジは角が取れたようにはなっておらず、すべて真っ直ぐに交わっていて、引き締まったアールの付いたコーナーとマッチしている。

背面のカメラの出っ張りは、背面を下にして台の上に置いて動かそうとしても、ガタガタしない。それが心配だった人のために言えば、一種の三脚効果によって、何か書こうとしても問題ない。

全体としての見栄えは、よりビジネスっぽくなり、いわゆるApple流のカーブによる親しみやすさは陰を潜めている。でも私は気に入っている。徹底して直線的なエッジによって、すべてのエッジの近辺の何ミリかの利用できないスペースに譲歩することなく、Appleも内部のスペースをより効率的に使えるようになった。これまでの曲線で構成されたiPadでは、周囲の無駄な空間を合わせれば、それなりの体積になるだろう。iPad Proの顎と額を切り捨てたことで、デザインのバランスを整え、持ちやすくもなっている。

MicrosoftのSurface Proのデザインと新しいiPad Proのブロック状のデザインを比べたくなるのは、無理もないことだと思われる。しかしiPadは、ライバルとなるほとんどのタブレットよりもずっと洗練された印象を与える。それは、コーナーのアールの組み合わせ、最高レベルのアルミニウム仕上げ、そしてSmart Keyboard Folioなどのアクセサリを取り付ける際にも、非常に賢く磁石を利用することで、ホックやラッチを無用にしていることなどのディテールに現れている。

新しいiPad Proの大きい方か、小さい方かで迷っているとしても、私にはその片側についてのアドバイスしかできない。というのも、まだこれまでに新しい12.9インチモデルしかテストできていないからだ。それは、以前の大きい方のiPadよりも確実にバランスが良いものに感じられるし、この画面サイズにしては、これまでで最も小さなものに仕上がっている。それによって両者の本体サイズがこれまでにないほど近いものになり、どちらを選ぶかの決断を難しくしている。先日のイベントで、小さい方のProを実際に触ってみた印象は良かった。しかし、それといっしょにどうやって暮らしていこうかというイメージはわかなかった。こちらも感触はかなりよく、クジラのように大きく、連れて歩くのがためらわれた以前の大きい方のiPad Proでは決してかなわないほどポータブルであることには違いない。そして13インチのMacBook Proよりも小さく、ずっと薄いのだ。

画面

iPhone XRのピクセルマスキング技術は、このiPad Proにも採用され、丸い角を実現している。このLCD画面には、「タップしてスリープ解除」の機能も組み込まれている。これはPencilで絶大な効果を発揮するが、指で画面に触れて生き返らせることも可能だ。ProMotionと呼ばれるAppleの120Hzリフレッシュ技術(訳注:表示内容やユーザーの操作に応じてリフレッシュレートを自動調整する機能)は、最高の効果を発揮し、高速化されたプロセッサーと相まって、可能な限り1:1に近いタッチ体験を常に実現している。

このLCDの色再現性とシャープネスは、ただ優れているという以上のものであり、OLEDに比べても黒レベルが劣るだけだ。それは物理法則によるのでしかたがない。私がiPhone XRで最初に気づいた問題だが、このiPadでもエッジに近い部分がわずかに暗く見える。これはAppleが縁なしのLCDを実現するために採用しているピクセルゲート技術の局所的な減光効果によるものだ。それを別にすれば、これまでに製造された中でもかなり優れたLDCの1つに数えられると私は思う。しかもベゼルの幅は狭く、角が丸いという面白さもあり、さらにノッチもない。気に入らない点が何かあるだろうか?

結論

私の意見としては、純粋なタッチデバイスとして軽い作業のためのiPadを欲しいなら、普通のiPadを手に入れるべきだと思う。iPad Proは優れたタブレットだが、Pencilとキーボードと組み合わせて使うことで、本領を発揮する。長文のテキストを打ち込んだり、画面に直接殴り書きするような作業に対応できることは、iPad本来の能力に対する本当に素晴らしい付加価値となっている。

しかし、iPad Proのパワーと実用性は、Pencilと組み合わせることで、際立った高みに達する。

あらゆるコンピューティングデバイスの中で、キーボードを備えたタブレットの果たすべき役割については、終わりのない議論が繰り返されてきた。それはラップトップの代わりになるのか? それとも崇高な夢を持ったタブレットなのか? やがて「2in1」という呼び方を、誰もしなくなるのか?

iPad自体は、そうした混乱を収めるようなことは、ほとんど何もしてこなかった。というのも、誕生してからこれまでの発展過程で、そうしたさまざまな役割を果たしてきたからだ。実際に新製品として発売される際に装備してきた機能においても、Appleのマーケティング部門によるメッセージや、入念に準備された発表会のプレゼンテーションにおいてもそうだった。

この分野の基本的な動きを要約すると、Microsoftはラップトップをタブレットにしようとしているのに対し、Appleは逆にタブレットをラップトップにしようとしている。そして、その他は訳の分からないことをやっている、ということになるだろう。

Microsoftは、最初にOSの頭部を切り離してタブレットから作り始め、そこから逆戻りする必要があったということを、まだ完全に理解できていないように、私には思われる。現在のMicrosoftは、当時のMicrosoftよりもずっと有能だとは思うが、それはたぶんまたまったく別の議論だろう。

Appleは最初からOS Xの頭部を切り離すことにして、それ以来ずっとゆっくりと別の方向に進んでいる。しかし、タブレットとしてのユーザー体験の満足度では、Surface ProがいまだにiPadの足下にも及ばないものであることは動かない事実だ。

柔軟性には優れるかもしれないが、統一感と信頼感の高い機能性を犠牲にしている。ちょうど、冷蔵庫とトースターをいっしょにしたようなものだ。

そうは言っても、Appleもまだソフトウェアについては十分な仕事をしておらず、このiPad Proのハードウェアが提供している速度と多様性を十分に享受できるようなものになっているとは思えない。アプリの画面を分割して、アプリを切り替えられる固定的なスペースを作ったりできるようになったのは、iPad用OSのけっこうな進化ではあるものの、それはまだ可能性のほんの一部に過ぎないだろう。

そしてハードウェア以上に、AppleのiPadのユーザーこそが過小評価されているのではないかと思われる。すでにiPadが出てから8年、iPhoneからは10年が経過した。世代を問わず、すでに多くの人がこれらのデバイスを唯一のコンピュータとして使っている。私の妻は、iPadとスマホ以外のコンピュータをもう15年も持ったことがないが、特にモバイルファーストの急進的な実践者というわけではない。

Appleは、単一のiOSという足かせから自分自身を解き放つ必要がある。ユーザーベースは未熟なものではないのだから、もはや同じだと感じられるものである必要はない。ユーザーはすでに乳離れしたのだから、まともな食事を与えるべきだ。

私にとってこのPencilは、すべての中で明るい光として際立っている。確かにAppleは、ダブルタップジェスチャーの採用については予想されたとおり遅かった。しかし、Procreateのようなサードパーティのアプリは、長期的にはPencilがタブレット世代のマウスになるための、途方もない機会があることを示している。

この一種のスタイラスは、iPadの誕生から最初の10年近くの間は、決して正しい選択ではなかったし、多くのユーザーにとっては、いまだに必須というわけではないと思われる。しかし、コンテキストによって変化するラジアルメニューや、適切​​なタイミングで適切なオプションが得られるという能力は、確実にこのPencilが新たなインターフェースへの扉を開く鍵となるものであることを意味している。それは、マウスによる確実な処理と、ジェスチャーによる柔軟性のあるタッチ操作を融合したようなものになるだろう。

Surfaceペンを持ちながら、目を白黒させているSurface Proのユーザーがいるはずだ。それはPencilではないのだから、それも当然のことだろう。そしてさらに重要なのは、それはAppleが、Pencilを本物以上の感覚で使えるようにするためにiPadに施した、尋常ではない仕事によって生み出されたものではないからだ。

そして、Appleがここに到達するまでの、時には遠回りで退屈な道のおかげで、ユーザーはキーボードを外してPencilを手放してしまっても、iPad Proの素晴らしいタブレットとしての体験を味わうことができるのだ。

もしAppleが、そのソフトウェアをハードウェアと同じくらいフレキシブルで先進的なものと感じられるよう、さらに良い仕事をすれば、iPad Proには羽が生えるだろう。もしそれができないなら、iPadは行き止まりに突き当たる。しかし私には希望がある。高過ぎるPencilのような形の…

[原文へ]

(翻訳:Fumihiko Shibata)

Samsungの折りたたみディスプレイの開閉動画はこちら

噂されていた通り、本日(米国時間11/7)Samsungは 折りたたみディスプレイのプロトタイプを披露した。たたむとスマートフォン。開くとタブレット。すばらしい!

あまりすばらしくないこと:Samsungは本当の意味で見せるつもりがなかった。プロトタイプがステージにいたのは45秒間で、意図的に背面から光を当てられてほぼシルエット状態になっていた。彼らは「デザイン要素を偽る」ことで、秘密の調味料がなんであるかを隠していた。

プロトタイプが開閉する映像を探すためには2時間にわたるSamsungのデベロッパー向け基調講演を掘り起こす必要があるので、読者のためにGIF動画にしたものを貼っておく。

これがスマホモードからタブレットモードに変わる瞬間だ:

そしてこちらがタブレットモードからポケットに優しいスマホモードに戻るところ:

これは初めての折りたたみ端末ではないが、最後でもないだろう。本日Googleが折りたたみディスプレイ対応機能をAndroidに追加したということは、複数のメーカーがこのコンセプトを試そうとしていると考えたに違いない——少なくとも、Androidのコードベース本体にこの変更を加える価値があると判断できる数のメーカーが。

Samsungが基調講演で話した関連部分を見たい人は、下に貼り付けたストリームの1時間25分の少し前から始まっている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook