セールス業につきまとう悪いイメージを一掃するBravado、13億円を調達

あなたがご存知の営業成績トップの人って、どんな人?

その人は、あなたが尊敬している人?ではないだろう、たぶん。このほど、Redpoint VenturesやFreestyle Capital、Precursor Ventures、Village Global、Kindred Venturesなどから1200万ドル(約13億円)を獲得してステルス状態を卒業したBravadoは、今の社会に蔓延している営業軽視、ときには蔑視の風潮を変えようとしている。

BravadoのファウンダーでCEOのSahil Mansuri(サヒル・マンスーリ)氏は、最初の仕事がセールスだった。優秀な学生だったが、父親の健康問題のため、大学を出たらすぐに本格的に金を稼がなければならなかった。大学の就職相談員がセールスはどうかと勧めたとき彼は、うるさい電話セールスたちでいっぱいのオフィスを想像した。自分が生まれ育ったサンフランシスコのB2B企業で高い給料をもらっているセールスの姿は思い浮かばなかった。

マンスーリ氏はその後、セールスという仕事に愛着を持つようになり、その職業のイメージを高める企業Bravadoを創ることになる。しかしそうやって自分のベンチャーを始める前は、彼はeBayが買収したSalesPredictの副社長だった。そこは、データを利用して顧客の購入行動やセールスの成功率を予想する企業だ。そしてその前にいたGlassdoorでは、成績トップのセールスマンになった。そこは、求人求職情報の一環として匿名ないし口コミの企業レビューを集めているプラットホームだ(2018年に日本のリクルートが買収)。

マンスーリ氏の両親はインドからの移民で、彼がセールスというキャリアを選んだことに最初は反感を示した。でもその後は、考えを変えてくれた。彼の現在の望みは、一般社会がセールス、営業という仕事にもっと好イメージを持ってくれることだ。

彼は「僕の家族はセールスの見方を変えてくれたけど、でもぼくのこれまでの人生の中では、仕事がセールスであることはネガティブなスティグマだった。そのスティグマを抱えて生きることが、僕の人生だった」と語る。

「セールスは人が憧れる職業ではない。偉大なエンジニアやプロダクトマネージャーには誰もが憧れるけど、セールスで偉大になった人は一人もいない」。

Bravado Community

Bravadoは収益化の方法がまだ決まっていないが、当面はネットワークの構築に力を入れる計画だ。現在、営業のプロたちはBravado Credibility Scoreという評価システムを利用して自分の信用度を上げている。その元になるのは、彼らのBravadoプロフィールに記録されている顧客の証言だ。今後は、ネットワーキングのイベントやワークショップを通じてセールスのワーカーたちがキャリアを開発展開できるようにしていきたい。

次世代のセールスのプロを育てることも、Bravadoの重要な事業だ。マンスーリ氏によると、米国の上位100大学のどれにも、セールスの学部や学科がない。だから学生たちは、セールスのエキスパートになろうという意欲を持てない。しかしBravadoにはセールスのメンター事業があるので、その受講者たちにはセールスについて学ぶカリキュラムや、企業に営業として配置される機会、そして、目下成長中のセールスのプロたちのネットワークに加わる機会が提供される。マンスーリ氏はそれを、「セールスのプロフェッショナルになるための入門課程」と呼んでいる。

営業チームにとっては、ダイバーシティも重要だ。セールスという仕事が男子会的なイメージを持たれがちなのも、男が支配している世界だからだ。米国の場合、女性は25%未満であり、LGBTQの人たちはほとんどいない。Bravadoはコンテンツを工夫することによってこの問題に光を当て、セールスのコミュニティに新しい顔を招き入れようとしている。

マンスーリ氏は「最良の人材が、その外見がどうであっても、『私はセールスをやってみたい、今やそれは立派なキャリアだから』と言えるような世界を作りたい」と説明する。

Bravadoのコミュニティには現在、SalesforceやLinkedIn、Microsoft、Slack、WeWork、Uber、Oracle、IBMなどなどからの5万名のメンバーと1000のセールスチームが参加している。同社は最近、Redpoint VenturesのAlex Bard(アレックス・バード)氏とAnnie Kadavy(アニー・カダヴィー)氏がリードするシリーズAのラウンドで850万ドルを調達した。その大半は、コミュニティの拡大に使われる予定だ。収益化については、今後の一連の「有料プロダクト」に乞うご期待というところだそうだ。

Bravadoが上記のような目標を達成するには、一般社会が抱いている営業やセールスに対するステレオタイプなイメージを改める活動も重要だ。また、米国全土の学生たちに、セールスという分野を見直し、専攻課程として積極的に参加してもらう働きかけも必要である。

マンスーリ氏は曰く、「セールスは、就活落ちこぼれのキャリアだと思われている。私たちは、セールスという専門職に尊敬と信用をもたらし、すばらしいキャリアのひとつとして新たな定評を確立したい」。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

サッポログループがスタートアップと組んで新規事業創出へ

サッポロホールディングスは7月18日、サムライインキュベートと共同でスタートアップ共創型ビジネスコンテントの最終審査会を開催した。同コンテストは、スタートアップ企業とサッポログループ内の選抜メンバーが協力して、新規事業の創出から事業化までを取り組むオープンイノベーションプログラム。コンテストのメインテーマは「酒・食・飲事業の創造」で、サッポログループのアセットやサービスを活用した新規事業案を募集した。最終選考には以下の5グループが残った。

ふたりのみ(チーム:SAPPORON)
「NaniQuo」「Racook」「Amarimo」などの食事提案アプリを開発しているmeuron(ミューロン)と組み、クラフトビール6種類、おつまみレシピ3種類をレコメンドするサービスを提案。チャットボットにビールの好みや感想など送ることで、次回に飲むべきビール銘柄やお勧めのレシピを提案してくれる。クラフトビールとおつまみを月2回発送する定額3980円のサブスクリプションモデルを想定している。

AIを活用したパーソナルな健康食生活マネジメント(チーム:OJH)
食事の写真からカロリーを算出する「カロミル」アプリを開発しているライフログテクノロジーと組み、健康診断の結果と1週間の食事の写真を送ることでデータを解析し、その結果を基にした健康指導サービスを提案。健康指導時に病気になった場合に必要な医療費を換算して利用者に知らせてくれるのが特徴だ。マネタイズのポイントは1週間の食事データ。これまで蓄積されてこなかった個人の食事データを集めることで、レシピやコンビニ製品、宅配商品などをレコメンドできる。さらに、商品開発や食事指導、広告配信などに活用できるとしている。

クックパシャット(チーム:聖域なきキッチン改革)
音声を活用した広告の制作・配信などを手がけるオトナルと、冷蔵庫内の食材を写真に撮って送ることでレシピを提案してくれる「クックパシャット」を提案。主にどういった食材を使いたいかを書き加えることで、より具体的なレシピを提案してくれる。現在は人力で画像を解析しているが、将来的にはAI(edison.ai)を併用したサービスとして作り込んでいく予定とのこと。

みんぐる(チーム:five★flow)
IoT機器の開発などを手がけるイーフローと共同で、廃業を考えている店舗、もしくはそのレシピを継承できるサービスを提案。具体的には、レシピや店舗運営のノウハウを資産化して、継承したい人材を募集する。それぞれの店舗のファンサイトを運営することで、名物メニューの開発秘話などのコンテンツ配信やリアルイベントの開催を通じてコミュニティーを醸成し、継承者を発掘していく。継承者が決まったら経営ノウハウだけでなく設備面までサポートする。店舗運営については、イーフローの強みであるIoT機器を活用したシステム支援も行う。

全食品メーカーの食品ロスを無くし循環させるシステム(チーム:MAKE FUTURE)
外食産業のウェブマーケティング戦略、販売促進、業務改善、システムの開発、店内業務サポートなどを手がけるREARSと共同で、フードロスを軽減するマッチングサービスを提案。食品・飲料メーカーなどの賞味期限間近の製品や余剰食材を飲食店に格安で提供することで、廃棄される食材を減らす。消費者は月額980円を支払うことで、月10回までそれらの食材を活用した外食を楽しめる、B2B2Cのビジネスモデルを目指す。

最終的に事業化挑戦権を獲得したのは、SAPPORONチームの「ふたりのみ」と聖域なきキッチン改革チームの「クックパシャット」の2つの事業案となった。

サッポロホールディングスの代表取締役を務める尾賀真城氏は、今回の2チームの選考について「もう少しブラッシュアップが必要だが、いままでにない視点の事業案を重視した」とコメント。惜しくも事業化権を逃したチームについても、同社グループで飲食店事業を手がけているサッポロライオンや飲料系事業を手がけているポッカサッポロフード&ビバレッジが推していた事業案もあったとのこと。今後、形を変えて事業化される可能性もありそうだ。

今回のサッポロの取り組みは、あくまでもグループ内の事業活性化を目指したもので、スタートアップ企業が競うピッチコンテストに比べると事業内容やマネタイズ施策の点で少し物足りない部分も多かった。しかし、企業が持つアセットやサービスの一部を開放するという点では面白い取り組みではないか。

著名投資家がエリザベス・ウォーレン上院議員を「危険だ」と名指しで批判

エリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)上院議員にとって、投資家のピーター・ティール(Peter Thiel)氏によって「危険だ」とラベル付けされたことは、あまり気になってはいないようだ。

これまでに、PayPal、PalantirおよびFounders Fundを共同創業したティール氏は、 Fox Newsにおけるタッカー・カールソン(Tucker Carlson)氏とのインタビューの中で、民主党の大統領選挙の候補者たちは「みな印象的ではない人たちだが」、ウォーレン氏に関しては「最も危険な人物だ」とコメントしている。

「私はエリザベス・ウォーレンが一番怖いですね」と彼は語った。「彼女が経済に関して本気で発言しているからです、それはこれまで私がもっとも気にかけてきた問題なのです」。

ウォーレン氏は、ティール氏の発言に関するブルームバーグの記事へのリンクを、簡潔な「それで結構」(Good)という応答と共にツイートした

ティール氏は、自由主義の信奉者として有名であり、トランプ大統領の支持者でもある。よって多くの民主党支持者が、彼の意見に耳を傾けるとは考えにくい。確かに、ある人たちにとっては、ティール氏の批判は一種の支援と見なすことができる。

同じインタビューの中で、Facebookの取締役を務めているティール氏は、Googleの「反逆的な」行為を非難した以前の談話での指摘を繰り返し、米国政府は検索大手と中国の関係を調査するべきだと語った(中国はトランプ大統領の貿易戦争の主なターゲットである)。

最近の世論調査で支持率の伸びが示されているウォーレン氏は、Google、Amazon、そしてFacebookの分割を主張し、また少数派の起業家のためのエクイティファンドの提案も行っている

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(翻訳:sako)

昨年のGoogleのストライキを組織したホィッテカー氏が退社

GoogleのOpen Research Groupを創り、昨年の社員ストライキではリーダーの一人だったMeredith Whittaker(メレディス・ホィッテカー)氏が、同社を去る。Googleは今日(米国時間7/15)、彼女の退社をBloombergに確認し、それより前にはGoogleのエンジニアの一人がTwitterで開示した

ストを組織した者のうちWhittaker氏とClaire Stapleton氏は、自分たちがGoogleからの報復に直面していると言った。そのほかの社員たちも、彼らの参加の結果として不都合な体験をしたと主張したが、Googleはそれを否認した。

昨年の11月にはセクシャルハラスメントと不行跡の申し立てに対するGoogleの対応に抗議して、全世界で何千人もの社員が大規模なストライキに参加した。彼らは同社に、ハラスメントと差別に対する対策を取るよう求め、とくに強制仲裁をやめることと、セクシャルハラスメントに関する透明性レポートの公開、および性的不行跡を報告するときの報告者の安全性と匿名性を要求した。

そのストライキは、Androidの共同創作者Andy Rubin氏に性的不行跡の信ずるに足る申し立てがあったにもかかわらず、退社に際してGoogleは9000万ドルの退職金相当を払った、とするThe New York Timesの報道のあとで起きた。

昨年Googleの社員たちは、中国向けの検閲を伴う検索エンジンProject Dragonflyと、ドローンビデオの分析にAIを使うペンタゴンとの契約にも抗議した。昨年6月にGoogleは、その契約を更新しない(再契約しない)、と発表した。

ニューヨーク大学の倫理委員会AI Nowの共同ディレクターであるWhittaker氏はそのとき、「この決定はとても嬉しい。このためにリスクを冒して頑張った多くの方々を深く尊敬する。Googleは戦争のビジネスに関わるべきでない」、とツイートした

画像クレジット: Smith Collection/Gado/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米連邦通信委員会が海外からのロボコールを摘発可能にする法案を提出

FCC(連邦通信委員会)と議会は、ロボコール(自動発信勧誘電話)を絶滅させる(と期待される)法案を検討しているが、とりあえず役立つ短期的なソリューションもある。つい数週間前に提出されたFCCの新しい提案は、海外からの発信やその他の方法で法の目をかいくぐる詐欺業者を摘発できるようにする。

このルールは厳密には新しいものではなく、昨年成立したRay Baum法に続くもので、中でもTruth in Caller ID(番号通知の真実性)法の強化がポイントだ。

従来後者の法律は、電話番号の詐称というロボコールを容易にする手段を禁止しているが、これまでは国内から発信されたものだけが対象だった。その結果、多くの詐欺業者が海外からの通話を利用した。Ray Baum法は規則を修正して、海外からの通話やVoIPなど最新の通信基盤を利用するロボコールを禁止した。

しかし、行為を違法にするだけではFCCが犯罪者を摘発できることにはならない。新法の違反者を見つけて取り締まる方法を規定する公式な規則がなければ、効力を発揮しない。今回の新しい規則はそのためにある。

FCCの、アジット・パイ委員長による提案は、今週中に公開され、8月1日にFCCの公開会議で投票される。採用されれば、米国内だけでなく海外のロボコール業者を摘発できるようになる。

もちろん外国の、しかも決して協力的でない詐欺集団を捕まえることは、国内業者を捕えて罰するのとはまったく異なる。記者からの質問に答えたFCC担当者によると、業者のやり方は非常にに複雑であり、複数のダミー会社や巧妙な抜け道を駆使しているという(FTCも同様の問題に直面している)。

関連記事:FCC、ロボコール業者に罰金1億2000万ドルを科すも「海をスプーンで空っぽにするようなもの」

しかし、多くのロボコール業者は米国当局の捜査対象ではないという仮定のもとに行動してきた。ひとたび免責ではなくなれば、危険を冒して事業を続けるのをやめて、別のことを始める業者もいるだろう。

より長期的な解決策を実現するために、通信業者らはロボコールを実質的にブロックする新システムの準備を進めている。ただし、デフォルトでは有効にしない、あるいは料金がかかるかもしれないなどの懸念は残されている。木曜日(米国時間7/11)には業界の現状と意向を知るための会議が行われる予定だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ファンクラブ誰でも運営アプリ「fanicon」にチケット・グッズ販売機能が加わる

THECOOは、同社が運営するファンコミュニティアプリ「fanicon」に、チケット(ファニチケット)とグッズ(ファニマーケット)の販売機能を追加した。faniconは、会員制のファンコミュニティアプリ。ヴィジュアル系ロックバンドの「シド」でヴォーカルを務めるマオ、AKB48やSKE48で活躍した元メンバーの木﨑ゆりあなどをはじめ、1000グループ以上のファンコミュニティが運営されている。

特徴は、すべてのコミュニティが有料会員しか利用できない点。月額料金は、各コミュニティが100円から1万円までの11段階の価格から決められるほか、無料期間を7日間もしくは1カ月に設定可能だ。アプリには、限定のライブ配信、グループチャット、1on1トーク、タイムライン投稿などの機能があるが、有料会員限定なのでノイズやネガティブな発言に悩まされることが少なく、気軽にファァンクラブを運営できる。

同社代表取締役CEOの平良真人氏によると「一般的なファンクラブは3000〜5000人ほどが集まらないと運営が厳しいが、ネットを活用するfaniconを使えば100人程度でも十分にコミュニティを運営できる」とのこと。実際に、ライブや舞台を中心に活動しているミュージシャンや俳優など、テレビでは普段見られないが熱狂的なファンがいる人物のコミュニティが多数ある。

今回追加されたファニチケットは、手数料3.0%からチケットを販売できる機能。オフ会やライブのチケットをコアファンに優先的に提供することが可能だ。もちろん、どういったファンがチケットを購入したかをファンクラブの主催者本人が把握できる。チケット販売は、「ローソンチケット」「チケットぴあ」「イープラス」と連携しているので、その後にチケットを一般販売する際の移行もスムーズだ。

もう1つの新機能であるファニマーケットは、手数料1.5%でオンラインストアを開設できる機能。ファンクラブがマネタイズするために不可欠な、Tシャツやマグカップ、クリアファイルなどの限定グッズの販売などが可能になる。在庫管理や発注・発送はもちろん、グッズの作成までをfaniconに委託することもできる。こちらも購入したファンの情報を主催者本人が把握できるのがポイントだ。商品の発送には、固定費なしの従量課金で利用できる物流アウトソーシングサービス「オープンロジ」を利用可能だ。

既存機能としては、ポイント制のスクラッチ機能がある。3等は限定画像、2等はオリジナルボイス、1等はランチ会といった景品を指定して、コアファンの満足度高める施策を打てる。そのほか、東京都・神宮前になる同社の本社オフィスの半分程度占めるイベントスペースを無料で借りられるので、オンラインとオフラインを融合したファンクラブ運営が可能になる。

faniconは、有料会員の月額料金から手数料をとるマネタイズ手法で、通常は10%を超えると言われるチケットやグッズの販売手数料を低く抑えているのが特徴だ。主催者であるアイドルや俳優、声優などがファンの行動や購買の履歴までを把握できるので、一緒にファンクラブを盛り上げているのが強みだ。平良氏は「faniconを使えば、地元の料理人などコミュニティも簡単に作れます」とのこと。テクノロジーの進化によって、スマートフォン1台でファンクラブを運営できる時代になったのだ。

「ディープフェイク」リベンジポルノがバージニア州で禁止に

バージニア州は現行のリベンジポルノ法を拡張し、最近増え始めた機械学習を利用してビデオや画像を加工する「ディープフェイク」を対象に加えた。

米国時間7月1日に発効した同法は、本人の許可なく裸の写真やビデオをシェアすることを違法とするもので、本物であるかフェイクであるかを問わない。識別が困難なディープフェイク画像や動画だけでなく、Photoshopなどで加工されたものなどあらゆる加工済み画像や動画も含まれる。

バージニア州は、2014年以来リベンジポルノ法が施行されている。しかし、ソフトウェアの進歩によって普及した加工済みの画像や動画を適切に扱っていなかった。

驚くべき速度で進化する技術に、州や国の立法府はついて行けていない。ディープフェイクによるリベンジポルノの被害者は、現行法が対応していないために拠り所がなかった。そう、ディープフェイクポルノは実在するのだ。DeepNudeというアプリは、世間からの当然の非難を受けて作者が取り下げるまで、ニューラールネットワークを利用して着衣の女性を裸の画像に変換していた。

立法府もさまざまな形で対応している。例えば、米国議会ではDEEPFAKESの責任に関する法案が、Yvette Clarke(イベット・クラーク)下院議員(民主党・ニューヨーク州選出)によって提出された。 同法は、加工済みメディアを本物のビデオや画像として公開、シェアすることを禁止している。

提案されている連邦法は、人物を模倣したフェイクビデオやフェイク画像を広い範囲で規制している。合成メディア・コンテンツを公開する者は、それが加工あるいは生成されたものであることを「削除不可能なウォーターマークおよびテキストによる説明」によって告知する義務を負う。同法によって被害者は、作者を訴訟したり法廷で「自らの名誉を回復する」権利を得る。

英国政府は、悪質で侮辱的なデジタルコンテンツの高まりを受け、合意に基づかない性的画像の作成・公開に特化した法案を検討している。

同法を検討している委員会は、リベンジポルノだけでなく、ディープフェイクポルノや、Bluetoothなどを利用して近くにいる人に性的画像を送りつけるサイバーフラッシングなどの行為も対象にしている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

格闘技ジムでインクルーシブな文化の構築方法を伝授された話

いきなり、体全体が不安感の波に飲まれた。全身タトゥーの巨漢たちが重いサンドバッグにパンチをめり込ませるたびに、激しい息づかいと唸り声が周囲に響く。これが、数年前、ニューヨークの格闘技ジムFive Points Academyに初めて足を踏み入れたときの状況だ。温室育ちの私は(最後に喧嘩したのは幼稚園のときだった)、ここに溶け込めるのかと心配になった。

すぐにインストラクターのEmily(エミリー)が現れて、ムエタイの基本的な動きを見せてくれた。そのクラスはパッドワークが中心だったので、受講者はペアを組み、それぞれタイ式のパッドを装着して動きの練習をした。受講中、エミリーは、私を次々と違う相手と組ませ、パッドを叩くときの感触を味合わせてくれた。そして私は夢中になった。

1年前、私の友人Diane Wu(ダーニー・ウー)が書いた素晴らしい記事の中に、こう論じられている。「インクルージョン(包括性)は原因であり、ダイバーシティ(多様性)はその効果だ。インクルーシブな意識が備われば、ダイバーシティは自然に付いてくる」。Five Pointsでの経験には、この考え方が滲み出ている。伝統的に男社会であった格闘技の世界だが、インストラクターの40%、ファイターの半数、会員の半数は女性だった。そこはニューヨークでも、もっともインクルーシブで、いちばん男臭くない格闘技ジムとして広く知られているため、単なる偶然ではない。

技術業界が男の支配する世界であったのは、ここ数十年のことに過ぎない(1940年代の最初のプログラマーは女性だった)。それに対して、格闘技の世界は数千年間にわたり男が独占してきた。格闘技ジムが、そんな根深い障壁を乗り越えられたのだから、技術業界はもっとうまくやれるはずだ。私は、ジムのオーナー、コーチ、ファイター、会員たちから話を聞き、いかにして彼らがインクルーシブなコミュニティを構築できたかを学んだ。それを紹介しよう。

文化はトップから始まる

文化はリーダーシップから根を下ろしてゆくという調査結果があるが、それはFive Pointsの3人のオーナー、Steve(スティーブ)、Simon(サイモン)、Kevin(ケヴィン)が実際に体現している。Steveののんびりした態度、サイモンの英国風ユーモア、ケヴィンの常にフレンドリーな姿勢が、Five Pointsの家族的な雰囲気を大いに支えていると、多くの会員が口を揃える。スティーブは「脅されるのではなく、反対に励まされることで、人はより多くを学びます」と説明していた。この、トップを中心とした、誰でも快く受け入れる文化は、たしかに、幅広い人たち、とくに軽い気持ちで楽しんでいるファイターたちの参加と成長を促している。

トップから文化が築かれていくという点においては、企業も同じだ。もし、インクルージョンを一番に考えるなら、経営幹部たちが態度で示すべきだ。

私は、ある企業のCEOが企業の中心的な価値観の構築を支援する委員会を立ち上げたものの、対話は行われずCEOが個人的に思いついた文化的価値観の評価を従業員に求めるアンケートを行っただけというケースを見たことがある。すると次第に、考え方の異なる従業員は会社を去り、職歴、性別、民族の面で同じ背景を持つ圧倒的多数の人たちだけが残った。結論として、インクルーシブな文化を確立するためには、経営幹部が責任を持って引き受け、本当の意味で最後までやりとげることが必要だ。さもなければ、継続は難しい。

「インクルージョン」はすべての人を受け入れる

Five Pointsは、特定の性別の人たちを呼び込んだり、特定グループの市場を狙ってスタートしたわけではない。むしろ、あらゆる人たちを暖かく迎え入れるコミュニティを作ることに専念していた。サイモンが、そこをうまくまとめて話してくれた。「インクルーシブな文化は、あらゆる人を受け入れます。正しい文化を持っていなければ、人にそっぽを向かれます。女性だけではありません。男性もです。そこに、ジムを直接改善する力があります」。彼は、さらにこう説明した。「女性が嫌がるだけでなく、男性をも敬遠させてしまう愚にも付かない文化はいりません」

その違いは重要だ。例えば、友愛会的なジムの文化を押しつけようとすれば、女性を遠ざけることになる。しかし、そうした文化を嫌う男性も多い。人を十把一絡げにするのではなく、それぞれの個人をよく知り、こう自分に問うべきだ。「この人を受け入れるには、どんな環境を整えればいいか?」と。例を挙げるなら、ケヴィンは、会員になりそうな人のことを、時間をかけて知ろうと常に努力している。施設内を案内して、ジムとして、彼らの望みをどのように叶えられるかを話し合っている。

この考え方を発展させてみよう。表面的な特徴は、より深いところにある特性の仮の姿であることが多い。ならば、直接、本質と向き合うべきだ。他のジムのムエタイ教室に参加すると、インストラクターがよくこう言う。「男の人は、女の子と組んだときは手加減をするように」と。このように、性別で人の特性を一括りにしてしまうと、本来の特性、つまり体格を無視することになる。Five Pointsのインストラクターなら、こう言う。「男の人(そして女の人)たちは、自分よりずっと体の小さい人と組んだときは、相手の安全を考えて力を加減してください」と。自分よりも大きな人間と対戦するときは、自分が認識している自身の性別とは関係なく、誰だって身の安全が気になる。

技術業界では、あまり注目されない少数派のデモグラフィック属性の人々のための、よりインクルーシブな環境を確立しようという議論が数多く持たれてきた。そうした取り組みを強化することで、さらに効果を高めることができると私は信じている。「女性が会議にもっと貢献しやすくするにはどうしたらいいか?」と考えるのと同時に「すべての従業員が会議にもっと貢献しやすくするにはどうすればよいか?」と考える。これは、男性の考えに比べて女性の考えが軽視される傾向があることをその研究が示している。

その結果、多くの女性は会議のメンバーには選ばれず、自分の考えを男性社員に託して発表してもらっている。「どうしたら少数派を支援する仕組みを提供できるか」を話し合うのと同時に「どうしたら、米国の企業文化に不慣れな従業員を支援する仕組みを提供できるか」を話し合う。このようなハイブリッドなアプローチによって、より幅広い人々をカバーでき、それをもっとも必要としている人たちに、確実に支援の手が届くようになる。

例えばAscend Researchによれば、アジア系の幹部パリティ指数は最低で、黒人やヒスパニック系よりも低い。しかし、彼らは「過小評価された少数」とは見なされておらず、昇進に関して若いアジア系専門職にはほとんど指導が行われない。

みんなを平等に扱う

私が話を聞いた女性コーチと女性会員の共通した意見は、受講中は性別を意識することがなかったというものだ。インストラクターは全員を平等に扱っていると、何人もの会員は話していた。たとえば、遅刻したときは、デモグラフィック属性や技能レベルに関係なく、誰もが腕立て伏せ30回を言い渡される。なお、身体的な制約のある人は、膝を突いて腕立て伏せをしたり、他の運動で代替するなどの処置がとられる。

全員の基準を同じにすることで、「エイミーは女だから軽い罰で済んだ」などという非難や陰口を予防できる。

ムエタイの初心者向けクラスでは、パワーレベルを下げて、技術に焦点を当てている。エミリーのムエタイ初心者クラスにスティーブが参加して、パートナーを少し強く殴ってしまったことがある。エミリーはすぐさまスティーブにこう言った。「今のは強すぎよ」と。スティーブがオーナーでも、エミリーが雇われる側でも関係ない。クラスのインストラクターとして、すべての受講者に同じルールを当てはめるよう彼女は努めているのだ。

同様に、すべての人を最初から平等に扱うことが大切だ。例えば、就職審査のときからだ。私はよく「レベルを下げずにダイバーシティを高めるにはどうしたらいいか?」と聞かれる。そこで私が提案しているのは、すべての就職希望者が示すべき能力の種類を定めるという方法だ。例えば、生産性ソフトウェアのエンジニアは、アルゴリズム、システムデザイン、コミュニケーション、チームワーク、問題の解析力に長けていなければならない。審査では、この5つの能力を公平に評価する。

残念なことに、最初の2つしか評価していない企業が多い。それは、多様性に欠けるばかりか、仕事に必要な技能が完全に揃っていない従業員のグループを生み出してしまう。基準を透明にして伝えることで、すべての従業員が帰属意識を持ち、コミュニティの平等な一員であることを自覚できるようにしなければならない。

細部に気を配る

細かいところに、文化の創造に対する思慮深さが表れる。カリ(武器を使う武術)のインストラクターで元ファイターのティンは、こう説明する。「格闘技ジムは、汚くて汗臭いのが常ですが、Five Pointsは、細かいところに気をつけています。女性のロッカールームにはヘアタイや、何台ものヘヤードライヤーを置いています。マットは、クラスの合間に毎時間モップ掛けをしています。こうしたことが、格闘技を始めたいと思っている女性の、余計なストレスを取り除きます」

言うまでもなく、クラスそのものにも細かく気を配っている。新しい会員が私に話してくれた。「エミリーのムエタイのクラスが終わって、スティーブと個人レッスンをしようと準備を整えたとき、エミリーがスティーブのところにやってきて『もう少し左ラウンドハウスキックの練習をしたい』と告げました。もちろん、スティーブは私に、30分ぶっ続けの左ラウンドハウスキックの練習をさせてくれました」

内心不満を持っていたとき、エミリーの気遣いが有り難かったと言う会員もいた。長い間カリを習っていたソーニャも、特定の練習に不満を抱くと、サイモンがよくそれに気づいてくれたと話していた。古典的な英国風ユーモアで、彼はよく「バケツの中に水を入れすぎたかな?」と言い、習ったことがしっかり頭に入るように配慮し、練習が台無しになるのを防いでくれたという。

大切にされていると従業員に感じてもらうために、経費をひとつもかけずに企業が行えることがある。たとえば、以前私が務めていたPalantirの設立当初のころは、従業員にストックオプションの期限前行使を行うよう積極的に促していた。また、税理士を招いて、代替ミニマム税(AMT)の使い方の説明会を開いていた。しかし、60歳以上の従業員がいる会社でも、期限前行使できないところが多い。それを許したところで、企業の経済的負担は実質的にはゼロであるにも関わらずだ。

変化を受け入れ積極的に改善する

Five Pointsが誕生した当初は、一生懸命スパーリングするという西洋式ボクシングの考え方に従っていた。その精神論では、ファイターはタフな存在で、ボコボコにやられて帰ってきたときに、もっと強くなりたいと必死になるものと定義される。しかし時が経ち、スティーブとサイモンが体に旅行したとき、違う種類のスパーリングを目にした。ファイターたちのスパーリングは軽いもので、技術やタイミングに重点が置かれていた。

彼らは、スパーリングのクラスを基本的に「タイ式のテクニカルなスパーリング」に組み立て直し、それとは別に「ハードなスパーリング」のクラスをいくつか設けた。一部のファイターは混乱したが、スティーブとサイモンは、これが正しいアプローチなのだと彼らを説得した。スティーブは、「古いスタイルはタフな人たちを集めるのに役立ちますが、それが最高の人たちとは限りません」と話す。さらに、最高のファイターと言っても、体格も性別も背景もそれぞれだ。初日に戦いたいと訪れる「タフな人」ばかりとは限らない。

このような考え方が、それ以外の方法では埋もれていたであろう優秀なファイターを数多く掘り出すことになり、コミュニティのダイバーシティを高める。Five Pointsにやって来たファイターの中には元モデルで女優という人もいるが、戦うようになるとは夢にも思っていなかったという。居心地のいい環境と、技術を重視したスパーリングによって、彼女は技術が向上するごとに安全を実感できるようになった。そして彼女は格闘技の虜になり、全米キックボクシング協会国際選手権で何度も優勝するまでになった。

このような、人を受け入れる意識は、他の分野にも応用が利く。Googleの就職面接を受けたとき、面接官のひとりが、長い間Googleは超難問やアルゴリズムのパズルに重点を置いてきたと聞かせてくれた。その結果、チームの仲間とランチをすると、そこにいるのはプログラマーの職歴を持つ白人とアジア系の男性エンジニアばかりで、超難問やアルゴリズムのパズルの話に終始するとのことだった。

やがて、Googleの経営陣は、超難問やアルゴリズムのパズルと、人の能力とには相関関係がほとんどないことに気が付いた。そして彼らは、面接のやり方を改め、チームのダイバーシティが改善された。たしかに、まだ改良の余地はあるが、問題に気付き、新しい発見を受け入れることができる力は、インクルーシブな文化を育むうえで重要だ。

必要なときにルールを公正に適用する

多様でインクルーシブな格闘技コミュニティを構築する道のりは、決して平坦ではなかった。コミュニティが成長するに従い、どうしても悪役が現れる。そのときのリーダーの対応が、文化の発展の色合いを決める。

エミリーは、体が大きく経験も豊富なファイターが、自分よりも小さく経験の浅い受講生を叩きのめすような人物を、何度となく追い出している。その乱暴者が、いかに高い技術を持ち、ジムのために貢献してくれたとしても、関係ない。彼女はすべての人に公平にルールを適用する。また同じように、体重90kgを超える経験豊富な男性が、ムエタイのスパーリング中に他の会員を繰り返し殴り続け、ブラジリアン柔術のクラスでは絞め技を外そうとしなかったため、スティーブが彼にジムを脱会するよう要請した。

反対に、仕事環境では、会議中、経営幹部もいる中で、同僚をずっと怒鳴り続ける男がいたのを見たことがある。それはとても不快な出来事で、各部署から参加していた4人の社員からプロジェクトから外して欲しいと依頼があった。あの人間とは仕事をしたくないというのだ。経営幹部にとって従業員は大切な存在だとは言うものの、彼らは人を怒鳴り続ける彼を黙認して、会議の間、何の対処もしなかった。

文化は、会議室の壁に貼られた単なるスローガンではない。カリフォルニア大学ロサンゼルス校の精神医学教授であるCameron Sepa(キャメロン・セパ)氏は、こう言っている。「企業の文化とは、誰を雇い、誰をクビにし、誰を昇進させるかだ」と。先日、Googleを辞職した人の退社理由のひとつに、性的違法行為を申し立てられた元幹部に、その後も数千万ドルの報酬を支払っていたという問題があった。不適切な行為は迅速に公正に対処しなければならない。インクルーシブな文化を育てるうえで、それは絶対に欠かせない。

成功が成功を生む

新たな取り組みが早々に牽引力を発揮すれば、その勢いはずっと楽に保てるようになる。文化も同じだ。Five Pointsが2002年にオープンしてから、すでに3人のハイレベルな女性ファイターを生み出している。そのひとりがエミリーだ。ムエタイの世界選手権にも出場している。早期にダイバーシティを獲得したことで、ほとんど見向きもされない経歴の持ち主だが格闘技に興味があるという会員に、良い目標を示すことができた。

ひとたびインクルーシブな文化が確立されるや、コミュニティのメンバーは、その後もインクルージョンを重んじ、他の人たちも参加したいと思うようになる。コーチでファイターのジャンナはこう話していた。「新人のころも、私に嫌な思いをさせる人は、誰ひとりいませんでした。だから、他の新人たちにも嫌な思いをさせないように気をつけています」

カリのもうひとりの受講生ソーニャは、自分のことを「女々しい女」と呼んでいる。ほぼすべての会員はスポーツの経験があるのだが、彼女にはない。そのため、人一倍スキルを磨かなければならなかった。しかし、サイモンは根気よく彼女を指導した。彼女が理解するまで、何度も丁寧に技術を解説していた。当時を振り返り、会員が心地よくいられるよう細心の注意を払ってくれたサイモンに、彼女は最大の感謝の念を抱いている。今、彼女は、女友だち全員をカリに誘っている。なぜか?「女々しい女でも、ここなら歓迎してくれことを知って欲しいから」。

同じことが技術業界にも当てはまる。従業員の男女比がアンバランスだったので(女性が15%)、もっと多くの女性を雇いたいと奮闘していたシリーズAの50人規模の企業があった。しかし、会社が成長すると(10パーセント)、男女比はさらに悪くなった。一方、これも私がかつて務めていた企業のFlatiron Healthは、設立当初からダイバーシティとインクルージョンを重視して、早い時期に、あらゆる職種から年配の女性リーダーを雇い入れた。私が在籍していたころ、女性従業員の比率はおよそ50%、女性管理職もおよそ50%だった。

インクルージョンからダイバーシティへ

Five Points Academyは、最初から女性会員50%を目指し、あらゆる民族、社会経済的背景の人たちを集めようとしていたわけではない。実際のところ、オーナーたちは、誰でも入れて、誰でもコミュニティの一員として楽しめるジムを作りたいと考えていただけだ。インクルージョンでスタートしたら、ダイバーシティがついて来たわけだ。

私は何も、ダイバーシティへの取り組みを否定しているわけでは決してない。ダイバーシティに注目するのは大切なことであり、多くの企業がそれに取り組んでいる。しかし、Fibe Points Academyのように、インクルーシブな文化に投資して、企業で従業員たちが能力を伸ばし成長するのを手助けすることも大切だ。そうすることにより、さらに多様な従業員が集まってくる。

【編集部注】著者のKen Kao(ケン・カオ)氏は、Airbnbのエンジニアリングマネージャーとして、プラットフォーム上で起業家たちがホスピタリティを提供できるようにする製品の開発を行っている。私生活では、ムエタイ、ペキティ・ ティルシャ・カリ(フィリピンの棒とナイフを使う武術)、料理、執筆を楽しんでいる。

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(翻訳:金井哲夫)

アップルのティム・クック氏、WSJ報道への不満を「メール」に書く

Apple CEO Tim Cook氏は、The Wall Street Journalの報道をあまり喜んでいない。

Jony Ive氏がAppleを離れ、デザインチームのレベルが低下したとWall Street Journalが報じた翌日、Cook氏はNBCのレポーター宛のメールで、記事を書いた記者に直接反論するという異例の行動を起こした。

「あの記事はでたらめだ」とCook氏は書いた。「ほとんどの内容が、もちろん結末も現実と一致していない」

Cook氏が、彼の会社と彼自身についてネガティブなことを書いた記事に対してネガティブな反応をしているのはもちろんだ。彼のメールは、記事の誤りも示唆しているが、具体的に何が誤りかは指摘していない。

記事は、Ive氏が「CEO Tim Cook氏率いる経営第一の企業方針に苛立ちを募らせていた」ことを報じ、さらに「デザインチームのメンバーはほとんどCook氏と会っていない。Cook氏は製品開発のプロセスに興味がないように見えた。それがIve氏の意欲をそいだ」と書いている。

Cook氏にとってこのメールを送ることは、会社の評判を守るために報道を攻撃するという、少々スティーブ・ジョブズ的行動と言える。これまで不快な記事への対応は広報部にまかせていたと見られているCook氏としてはかなり異例だ。

昨年10月のSupermicroハッキング問題に関するBloombergの記事に対するCook氏の反論はもっと直接的で、当時も注目された。Bloombergの記事が同社の情報セキュリティに関わる核心に触れ、消費者の信頼を揺るがそうとするものだったのに対し、WSJの記事はAppleの伝承と事業中心の巨人としての同社の位置づけを脅かす内容だ」

本誌はThe Wall Street Journalにコメントを求めている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ペプシがミネラルウォーターをアルミ缶で販売へ

PepsiCo(ペプシコ)は米国地区を対象に、ミネラルウォーター製品Aquafinaのペットボトルをアルミ缶に切り替える計画であることを発表した。

これはプラスチック利用削減を目指す同社の大規模な取組みの一環であり、全米に広がりつつありるプラスチック利用に対する批判に答えるものだ。マイクロプラスチックは大気中海洋中いずれにおいても動物や昆虫の体内に蓄積し、海洋生態系に著しい害を及ぼす恐れがある。

こうした動きはLiquid Deathのように、アルミ缶入りの水を売ってうわべの環境保護責任を謳うスタートアップに打撃を与えるかもしれない。

関連記事:A brand called Liquid Death wants to sell mountain water to the cool kids

アルミニウムはほぼ100%再利用可能であり、容器としての総合的環境負荷はプラスチックよりも小さい、と擁護派は言っている。

現時点でペプシ缶入り水製品は、同社製品を扱っている食料品店でのみ販売されるが、いずれサプライチェーンを通じて広く普及させる計画だと会社は言っている。

また同社は、LIFEWTRブランドの製品は100%再生ペットボトルでのみ販売し、炭酸飲料はプラスチック容器で販売しないことも発表した。

この方針変更は来年から実施され、未使用プラスチック8000トン、および温室効果ガス約1万1000トンを削減すると同社は言っている。

ペプシは、2025年までにリサイクルあるいは堆肥化、生分解が可能な容器のみを使用するという目標を設定している。

「世界をリードする食品・飲料メーカーとして、ペプシコは社会がプラスチックを作り、利用し、廃棄する方法を変えるための大きな役割を持っていると認識している」とペプシコのチェアマンでCEOを務めるRamon Laguarta(ラモン・ラグアータ)氏が声明で語った。「当社はパッケージングを削減、再利用、再発明し維持可能性を高めることで、問題解決に真正面から取り組みわれわれの役割を担っている。すべてのプラスチックが再生、再利用される世界に住めるようになるまで、我々の努力は終わらない」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

YouTubeは悪質コメント対策としてコメントをデフォルトで隠す方式をテスト中

YouTubeのコメント欄は評判が悪い。「インターネット上で最悪」「YouTube全体の有毒な文化の反映」「クリエイターはむちゃくちゃなことをしないと報酬がない」などとも言われた。大騒ぎになったものの中には、児童虐待自殺者の実写ビデオ危険な「奇跡の治療」の宣伝共謀罪の仲間集めなどがある。そこでYouTubeは、デフォルトでコメントを隠すデザイン変更を検討している。

XDA DevelopersがインドのAndroidデバイスでそのテストを最初に目撃した。従来、YouTubeのiOSとAndroidのモバイルアプリではコメントが目立つ場所にない。ビデオは画面上部に出るが、その下には追加、共有、その他、評価などのエンゲージボタンがあるだけだ。さらにその下はYouTubeのアルゴリズムからの推奨ビデオ「次の動画」がある。本当にコメントを見たければ、ページの底までスクロールしなければならない。

テストでは、そのコメント欄すらまったくなかった。その代わり、ボタンをクリックして別の場所へ行かないとコメントは見られない。

その「コメント」(Comments)ボタンは、ビデオの直下の、低く評価と共有の両ボタンの間にある。これでコメントが今後増えるのか、減るのか、横ばいか、それもYouTubeは知りたいのだろう。

ユーザーは、スクロールしてもコメントは見られず、ボタンをタップする必要がある。とはいえ、これまでのように延々とスクロールしないとコメントを見られないのとは、どちらが使いやすいのか?ボタンのほうが楽かもしれない。

XDA Developersの記事によると、そうやって表示した新しいコメント欄は、ページをリフレッシュすれば新しく加わったコメントも見られる。ウィンドウ上部の「X」ボタンをタップすればコメント欄は閉じる。

インドのAndroidデバイスでテスト中とのことだが、現にiOSにもあるし、地域も特定されていない。つまりテストは広範囲に行われていて、インド向けにローカライズされたアプリの機能ではない。

このコメント欄の変更が登場した背景には、YouTubeのコメントがいじめや虐待、口論など、何の役にも立たないコンテンツの棲家になってるだけでなく、小児性愛者が悪用するツールになってることがある。彼らは徒党を組み、コメントでコミュニケーションして、ビデオやタイムスタンプを他と共有している。

YouTubeは最初、子どもが登場するビデオでコメントを無効にした。もっと最近では子どものいるコンテンツを別のアプリに移すことを検討している。子どもビデオをたくさん見られるプラットホームが全世界的に完全オープンになることのおそろしさを、まず検討してほしいところだ。

YouTubeのスポークスパーソンは「Comments」ボタンのテストの件を確認したが「小さな実験をたくさんやってる中の1つにすぎない」と軽視の態度を見せた。

そのスポークスパーソンはこう述べた。「人々にとって重要な意義のあるビデオの発見や視聴、共有、対話等がもっと容易にできるように常に実験を重ねております。ビデオを見るページにコメントをどのように表示すべきかについても、いくつかのオプションをテストしています。ご指摘の機能も、YouTubeが常に行っている小さな実験の1つです。実験のフィードバックに基づいて、機能の一般公開の是非を検討することになります」。

画像クレジット: TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

巨大EMS企業フォックスコン会長が台湾の總統選に出馬

Terry Gou(テリー・ゴウ、郭台銘)氏は自分が会長兼社長を務める巨大電子製品企業Foxconn(フォックスコン、鴻海科技集団、Hon Hai Precision Industry)の今年の総会で6月21日、会社を辞めて台湾の總統選挙への立候補の準備をすると発表した。彼はフォックスコンを45年前に創業。現在は最大の株主で、退社後も同社の取締役会に留まる。同社の半導体事業のトップYoung Liu(劉揚偉)氏が会長職を継ぎ、またこれを機に会社の経営形態を委員会方式に変えるという。

ゴウ氏は最初4月に、会長を辞めて野党Kuomintang(国民党)からの總統候補に指名されるための選挙戦に集中すると公式に発表した。彼が高雄市の市長韓國瑜(ハン・グオ・ユ)氏など国民党の他の候補を破ることができれば、1月に行われる總統選で与党民進党の現總統蔡英文(ツァイ・イン・ウェン)氏に挑戦することになる。

アップル(Apple)の最大のサプライヤーであるフォックスコンは中国最大の私企業であり、一方国民党は台湾と中国政府の友好関係を支持している。しかし当の中国は現在の台湾を、不正を行っている一地方と位置づけている。選挙戦では彼と中国との関係が問題視されるだろう。蔡と民進党は台湾の国家主権を主張している。この問題は最近香港で、犯罪容疑者の中国への引き渡しを認める法に反対する大規模なデモが起きて以降なお一層緊迫している

先月は行政院大陸委員会のトップChen Ming-Tung(チェン・ミン-トン)氏が、ゴウ氏が台湾は中国の一部だと言った、と主張した。殺到した批判をかわすためにゴウ氏は、彼はまだ政治家としての事務所を一度も持ったことはないが、自分は中国の習近平国家主席と会うつもりはないと言って人々をなだめようとした。ゴウ氏はまた、最近のドナルド・トランプ氏との会談で「三国の関係を改善するために協力してほしい」と表明した。

ゴウ氏の選挙戦はさらに別の騒動からも傷ついている。例えば彼は、妻のDelia Tseng(デリア・ツェン)氏が彼の立候補に反対したとき「女は政治に介入すべきでない」」とコメントした。のちにゴウ氏は、その発言を謝罪した。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

GoogleのProject Euphoniaは発話障がい者の話し言葉の認識を目指す

発話障がいのある人は、AIを活用した音声認識テクノロジーを利用できない。Googleはこの課題に挑んでいる。

5月に開催されたGoogle I/Oで、GoogleはProject Euphoniaを公開した。これは発話障がいのある人などさまざまなタイプの話し言葉をAIによって認識できるようにしようというプロジェクトだ。

GoogleのCEO、Sundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏はGoogle I/Oで次のように語った。「発話障がいのある人や脳卒中の後遺症で発話に影響を受けている人、ALSの人たちをサポートしたいと考えている。Google ARの研究者たちが、一人ひとりに応じたコミュニケーションのモデルに関するアイデアを探っているところだ。そうしたモデルによりさまざまなタイプの話し言葉をもっと認識できるようになるし、AIは話し言葉でコミュニケーションをとることのできない人の助けにもなるだろう」。

Pichai氏は「現在は、発話障がいがあると音声認識のテクノロジーを利用できない。十分な量のデータセットを集めている人がいないからだ」と説明する。Project Euphoniaはこの領域に踏み込んでいく。

Googleは、非営利団体のALS Therapy Development InstituteやALS Residence Initiativeの協力を得て、ALSの神経変性疾患を発症している人の話し言葉を集めている。

「将来、こうした音声認識モデルをGoogle Assistantに取り入れられるよう、我々は懸命に取り組んでいる 」とPichai氏は語る。

しかしそれを実現するには、もっとたくさんのトレーニングデータが必要だ。Pichai氏は、発話が困難な人はここから音声のサンプルを提供してほしいと呼びかけている。

画像:Screenshot

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(翻訳:Kaori Koyama)

Comcastがテレビを視線で制御できるリモコンソフトをリリース

Comcast(コムキャスト)のX1リモートソフトウェアの最新版では、一般的なクリック操作が難しい人にとってリモコンが使いやすくなった。身体に障がいのある人が、目の動きだけでテレビのチャンネルを変えるなどの操作ができるようになる。

テレビやケーブルテレビのセットトップボックスのインターフェイスは恐ろしい。テクノロジーに詳しい人でも恐怖を覚える。身体に障がいがなくても難しいし、ALSや四肢欠損、運動障がいの人にとってはなおさらだろう。

音声制御は有用だ。私たちを長年困らせてきた500個ものボタンのあるリモコン操作を変えた。しかし視線制御はまだ始まったばかりだ。アクセシビリティの向上のために視線制御がもっと広く使えるようになれば、よいオプションとなるだろう。

  1. eye-control-xi-ui

  2. eye-control-tv

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Comcastはユーザーを支援しようと意欲的にアクセシビリティの向上に努めているようだ。最新の機能では、Comcastの子会社であるXfinityのX1ウェブリモートを視線で制御できるようになる。互換性のあるコンピュータかタブレットにウェブリモートを読み込み、セットトップボックスと同期すれば、ウェブのインターフェイスがメインのリモコンになる。

ユーザ―は、チャンネルの変更、番組表の検索とブラウズ、録画のセットと検索、スポーツ中継アプリの起動、クローズドキャプションなどのアクセシビリティオプションの変更と、テレビの操作をほぼすべて視線でできるようになる。

ある人にとってテクノロジーがどう役に立つかというビデオがある。これは一見に値する。

ビデオに登場しているJimmy Curran氏は身体の状態に困難があるが、自分であらゆることをしようと取り組んできた。しかしテレビのチャンネルを変えることはできなかった。これは驚くべきことだ。おそらくややこしい方法でテレビのチャンネルを変えることはできたのだろうが、長年にわたってアクセシビリティに制限のあったテレビのインターフェイスにはまだ足りない部分がある。

発話に障がいがある人の音声制御も使いやすくなりそうだ。GoogleはProject Euphoniaで機械学習を活用している。

ユーザーは自分で視線制御をセットアップする必要がある(これは身体に障がいのある人にとってはよくあることだ)。その後、ブラウザでxfin.tv/accessにアクセスし、ペアリングを開始する。

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(翻訳:Kaori Koyama)

スタンフォード大学の卒業式でティム・クック曰く「シリコンバレーは数多くのカオスを生み出してきた」

Apple (アップル)の CEOを務めるTim Cook(ティム・クック)氏は、先週末スタンフォード大学の卒業式で講演した。いつものモチベーションについての話に加えて、クック氏は他の巨大IT企業を遠慮がちとは言えない表現で攻撃した。シリコンバレーの荒涼とした光景を描いた彼は、数多くの間違いの責任はここにあると語った。

「今、私たちは内省すべきときに来ている。スタンフォードの卒業生とドロップアウトたちは、カフェインとコード、楽観主義と理想主義、あるいは確信と創造性などに支えられ、テクノロジーを利用して私たちの社会を再構築してきた」とクック氏は話した。

「しかし、最近の状況は素晴らしいとも、単純明快あるともいえなくなっていることには、みなさんも同意すると思う。あなたがたがここにいたわずか4年の間に、物事はまるで急カーブを切ったように変わった。危機が楽観主義を抑え込み、結果が理想主義に疑問を呈し、現実がやみくもな信仰を揺るがしている。

自らの発言を埋め合わせるかのように、クック氏はシリコンバレーで生まれた偉大な発明をいくつか挙げた。Hewlett Packardのオーディオ発振器からiPhone、ソーシャルメディア、ビデオシェアリングにSnapchatのストーリーまで。なお、YouTubeとFacebookの名前は直接には言及しなかった。

「しかし、最近この業界はイノベーションに対する品格のなさで知られるようになった。責任を負うことなく功績を主張できるという発想のことだ。今や毎日のようにデータ漏洩やプライバシー侵害が起こり、ヘイトスピーチやフェイクニュースが国民の会話を汚すのを誰もが見て見ぬふりをしている。一滴の血液が奇跡を生むという嘘も蔓延した」。

「こんなことを誰かが言わなくてはならないのは何かがおかしいと私は思っているが、カオス製造機を作った者は、カオスの責任から逃れることができない。責任を取るということは、ものごとを考え抜く勇気を持つという意味だ」とクック氏は後に付け加えた。

そしてクック氏は、彼が大切に思っているプライバシーへと話題を移した。「もし、我々の生活のあらゆるものが集められ、販売され、さらにはハックされて漏洩されることが当たり前になったり避けられないとみんなが考えるようになれば、我々はデータよりはるかに大きいものを失う。人間であることの自由を奪われることになる」と彼は言った。「デジタル監視」の萎縮効果は深刻でありあらゆるものに影響を与えるのです」。

たしかに、アップルのCEOとしては言いやすいことだ。この会社は今も売上の大部分をハードウェアが生んでいる。そしてアップルはさまざまなビジネス手法について批判される立場にもある。それでも、この話題に関してクック氏に同意せずにはいられない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Uberの性差別的男子文化を暴いたスーザン・ファウラーの回想録

Uber内部のセクハラを明るみに出したSusan Fowler(スーザン・ファウラー)氏の回想録「内部告発者」(Whistleblower)は、2020年3月3日に書店に並ぶ予定だ。予約の受付は6月12日からだ。

2017年のおそくに、Penguin Random House傘下のViking Booksが権利を取得した回想録は、ウェブサイトの信頼性担当技術者としてUberに在職していた間にファウラー氏が直面したハラスメントと差別を記録している。

Vikingの前宣伝によると、彼女の回想録は「スタートアップの文化の中に蔓延している構造的欠陥を暴露し、特に彼女がUberで直面したハラスメントと差別を公表した後に起きた、これまで報道されなかった詳細を記述している」。

ほかにも同書は、米国経済における女性の役割や困難の多い職場環境の実態にも触れ、「女性がどんなに正しく振る舞っても巨大な障害物にぶつかってしまう労働文化を、読者がびっくりするほどの率直な筆致で描写し、幅広く告発している」。

28歳のファウラー氏は、2017年に発表した忌まわしいブログ記事「Reflecting On One Very, Very Strange Year At Uber,」(Uberにおけるとってもとっても奇妙な1年を振り返って)で一番よく知られている。その3000ワードのエッセイは、急成長しているライドシェア大手に蔓延している性差別的男子文化(Bro-CultureBro Culture)と、それに対する人事部門の怠慢を詳説している。意外にもその記述はファウラー氏をひと晩でテクノロジー世界の有名人にしてしまい、業界のリーダーたちは彼女の勇気を賞賛した。

そのブログ記事がきっかけとなり、紆余曲折を経てUberの創業者CEOであるTravis Kalanick(トラヴィス・カラニック)氏は排除され、およそ20名のUber社員はセクハラまたはそのほかの不適切行為で起訴された。カラニック氏に代わって元ExpadiaのCEOだったDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏が会社を率い、最近では大きく期待されたIPOをリードした。

ファウラーは、#Metoo運動のTarana Burke(タラナ・バーク)氏やレイプ後の妊娠中絶を敢行したAshley Judd(アシュレイ・ジャッド)氏らとともに、Time誌の2017年「今年の人」(Person of the Year)に選ばれ、Vanity Fair誌の新しい支配者リスト(New Establishment List)に載り、そのほか数多くの賞を受賞した。

書くことに目覚めたファウラー氏はStripeに参加し、季刊誌Incrementの編集長になった。そしてその後The New York Times紙にスカウトされ、今では同紙のオピニオン欄の編集者を務めている。なお、彼女にはコンピュータープログラミングに関する著作が2冊ある。

「内部告発者」の出版に加えて、ファウラー氏を扱ったドキュメンタリー映画も制作が進んでいる。脚本はアカデミー賞にノミネートされた「Hidden Figures」(邦題:ドリーム)のAllison Schroeder(アリソン・シュローダー)氏、契約プロデューサーは元ディズニーのKristin Burr(クリスティン・バー)氏、映画のタイトルは「創造的破壊者」(Disruptors)だ。

ディザスター・アーティスト」(The Disaster Artist)のプロデューサーであるErin Westerman(エリン・ウェスターマン)氏が、この映画のプロジェクトを独立系のプロダクションGood Universeに持ち込んだとしてクレジットされている。彼女が、実質的な総監督ないし執行プロデューサーになる。2017年の晩くにウェスターマン氏は、Deadline誌にこう語っている。「このプロジェクトは女性のための聖歌であり、一人の女性の声が持つ力を知るべきときに、必ず思い出される重要な映画になるだろう」。

関連記事: Uber ends policy of forced arbitration for individual sexual assault claims(Uberが性的暴行の訴えの強制仲裁=強制示談を廃止、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Fitbit Payもニューヨーク地下鉄でのモバイル支払いに対応

ニューヨーク市の地下鉄にて米国時間5月31日からコンタクトレス支払いへの対応が始まるが、その支払い方法がさらに広がる。Google(グーグル)Apple(Apple)に続き、Fitbit(フィットビット)も自社のモバイル支払いシステムがMTA(ニューヨーク州都市交通局)に対応すると発表した。

金曜日からは、Fitbit  Charge 3 Special Edition、Versa Special Edition、Fitbit Ionicのユーザーは一部の地下鉄駅やバスにて、モバイル支払いが可能になる。パイロットプログラムは4系統/5系統/6系統のマンハッタン・グランドセントラルからブルックリン・アトランティックアヴェニューバークレイセンターと、ステーテンアイランドのすべてのバスにて開始される。

このシステムは、スマートウォッチやヘルストラッカーのNFCチップを支払いに利用する。まずは片道の乗車だけでスタートするので、1日/週間/月間の乗車券で交通費を節約している地元民にとって、あまり興味を引くものではない。MTAは2021年までに乗車オプションを追加し、すべてのバスと地下鉄にて対応させる計画だ。

現時点では、この新システムが交通に与える影響への懸念もある。乗客が使い方に慣れるまで、改札口では渋滞ができるかもしれない。しかし将来的には、MetroCardを探す必要がなくなり、乗客の時間を節約してくれるはずだ。

Fitbit Payはシカゴやシンガポール、シドニー、台湾、バンクーバーとロンドンの交通システムでも利用できる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Lyftのアプリで車に乗ると自分の性に合った人称代名詞を使ってもらえる

6月に行われるLGBTQ Pride Monthに先駆けて、ライドシェアサービスのLyftが、そのユーザーアプリに性的に中立な人称代名詞を加えた。乗客は、以下から選んで設定できる。

  • They/them/theirs
  • She/her/hers
  • He/him/his
  • My pronoun isn’t listed(該当する代名詞がない)
  • Prefer not to say(言いたくない)

ドライバーには乗客の好みの代名詞が見えるが、ドライバーの代名詞は共有されない。一度指定するとその後はずっと、その人の好みの代名詞が常に使われる。

これによって、自分に合った代名詞をシェアするスペースが作られ、その習慣が日常化する。LyftはNational Center for Transgender Equality(全米トランスジェンダー平等センター)とパートナーして、自分の名前を変えたいと願っているドライバーの支援も行っている。

画像クレジット: Carl Juste/Miami Herald/TNS via Getty Images/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アマゾンCEOの元妻が資産370億ドルの半分超を慈善活動に寄付へ

Amazonの創業者でCEOJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏との離婚により世界で3番目にリッチな女性になったMacKenzie Bezos(マッケンジー・ベゾス)氏がGiving Pledge(ギビング・プレッジ)に署名した。これは、彼女が保有する資産の半分以上を生前、または遺言で慈善活動に寄付するという約束だ。

離婚に伴って彼女は最近、夫婦で保有していたAmazon株の75%と議決権、そしてワシントン・ポスト紙とBlue Originに関する権利を元夫のJeffに渡しニュースとなっていた。しかしそれでも彼女には少なくとも356億ドル分の持分が残された。BloombergBillionaires Indexは彼女の純資産を366億ドルと推測している。

「一連の無限の影響と、決して完全に理解することができない幸運により、私たちはそれぞれに提供すべきギフトを手に入れた」と、資産の寄付の意図を今日Giving Pledgeを通して発表した手紙に書いている。

「人生で得たあらゆる資産に加え、私には不釣り合いなほどの額の共有すべきお金がある。慈善活動に対し、私はこれまで通り思慮深い取り組みを続ける。それには時間と努力、そして配慮を要する。しかし、ただ待ってはいられない。金庫が空になるまで私は続ける」と述べている。

元夫のジェフは今朝、彼女を賞賛する言葉をツイートした。

Bill Gates(ビル・ゲイツ)氏やWarren Buffett(ウォーレン・バフェット)氏を抜いて今や世界一の富豪となったジェフ・ベゾス氏自身はGiving Pledgeに署名していない。ゲイツ夫妻とバフェット氏によって2010年に設立されたGiving Pledgeは世界の富豪に彼らの資産の半分を寄付するよう呼びかけている。

これまでに署名している著名人は、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏とPriscilla Chan(プリシラ・チャン)氏、Elon Musk(イーロン・マスク)氏、Richard Branson(リチャード・ブランソン)氏、Larry Ellison(ラリー・エリソン)氏、Michael R. Bloomberg(マイケル・R・ブルームバーグ)氏、Pierre Omidyar(ピエール・オミダイヤ)氏、その他多数だ。

今日、Giving Pledgeは新たに19人が署名し、トータルで204人となったことを明らかにした。

マッケンジー・ベゾス氏に加え、ほかにもテック業界の人が今日発表されたリストの中に含まれている。TeganBrian Acton(テーガン・アクトンとブライアン・アクトン)氏。ブライアン氏は2014年にFacebook190億ドルで買収したメッセージアプリWhatsAppの共同創業者だ。Coinbaseの共同創業者でCEOBrian Armstrong(ブライアン・アームストロング)氏。仮想通貨取引所BitMEXの共同創業者Ben Delo(ベン・デロ)氏。TwilioCEOを務めるJeff Lawson(ジェフ・ローソン)氏Erica Lawson(エリカ・ローソン)氏。Lowercase CapitalパートナーのChrisCrystal Sacca(クリス・サッカとクリスタル・サッカ)氏。そしてPinterestの共同創業者Paul Sciarra(ポール・シャラ)氏とJennifer Sciarra(ジェニファー・シャラ)氏。

署名している人は23カ国にまたがる。オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、キプロス、ドイツ、インド、インドネシア、イスラエル、マレーシア、モナコ、ノルウェー、ロシア、サウジアラビア、スロベニア、南アフリカ、スイス、タンザニア、トルコ、ウクライナ、アラブ首長国連邦、英国、そして米国だ。米国においてはニューヨークとカリフォルニアで署名者が多い。

詳細が述べられているマッケンジー・ベゾス氏の手紙全文は以下のとおりだ。

2019525

Giving Pledgeのことを考えたとき、私がかつて読んだ、書くことについて書かれた一節に思いを馳せた。その一節は、最良のアイデアを後章のために取っておくのではなく今使うというものだ。

私は今朝それを、棚にあった大学時代からの本の中に見つけた。Annie DillardThe Writing Lifeの最後の部分だ。その部分には下線が引いてあり、その言葉全てが長年にわたって私に感銘を与えてきたかのように輝いていた。その言葉は文章において真実であり、また人生においても真実である。

「後の章、または別の本によさそうなものを溜め込むな何か良さそうなものを後のために取っておくという衝動は今使うべきというサインだ。よりたくさんのものが後のために生まれるあなたが自由にそして十分に差し出さないものはあなたの中で失われる。金庫を開けてそこにあるのは灰だ」。

与えるべきという衝動に基づいて素早く行動に移すとき、途方もない価値が生まれると私は信じて疑わない。奉仕したいという願望ほど、ポジティブな波及効果を持つドライブはない。私たちがそれぞれに金庫から取り出して他人と共有できるものはたくさんある。時間、配慮、知識、忍耐力、創造性、才能、努力、ユーモア、同情。そして実に、私たちが与えるたびに、それ以上のものが生まれる。それぞれの道を歩みながらも隣り合って座る友人の安心感、我々の失敗を共有するときの子供の顔に浮かぶ安堵、泣いている誰かにタイミングを見計らってかけるジョークによる笑い、本を贈った学校の子供たちの興奮、資金を出したシェルターで眠る家族の安全。こうしたすでに見られている結果は始まりにすぎない。我々が決して知ることもない方法で価値は増え、広がっている。

一連の無限の影響と、決して完全に理解できない幸運により、私たちはそれぞれに提供すべきギフトを手にした。人生で得たあらゆる資産に加え、私には不釣り合いなほどの額の共有するべきお金がある。慈善活動に対し、私はこれまで通り思慮深い取り組みを続ける。それには時間と努力、そして配慮を要する。しかし、ただ待ってはいられない。金庫が空になるまで私は続ける。

マッケンジー・ベゾス

イメージクレジット: JORG CARSTENSEN/AFP / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

大統領選後の暴動でインドネシア政府がインスタなどFacebook系SNSをブロック

ソーシャルメディアに厳しい態度を取る国にインドネシアが加わった。大統領選挙後に起きた暴動で死傷者が出たことを受けてインドネシア政府はInstagram、WghatsAppの利用を一部制限した。

米国時間5月22日、インドネシア居住の多数のユーザーがテキスト以外の町メディアのメッセージをWhatsAppで送ることが難しくなっていると報告している。WhatsAppは同国でもっともポピュラーなチャットアプリだ。またFacebookのメディアも規制のターゲットなっている。#instagramdownというハッシュタグがTwitterユーザーの間で急上昇しているところをみるとInstagramもへの投稿も困難となっているようだ。

政治、法律、セキュリティー調整担当大臣のWiranto氏は記者会見でインドネシア政府はソーシャルメディアへのアクセスを制限しており、「事態の平静化を確保するため(SNSの)一部の機能を無効にしている」ことを確認したとCoconutsが報じている。

Rudiantaraコミュニケーション大臣は、以前からFacebookのメディアに批判的だったが、「ビデオや写真をWhatsAppにアップロードしようとすると相当時間がかかるだろう」と警告している。

WhatsAppとInstagramの双方を所有しているFacebookはまだインドネシア政府によるブロックを公式に確認していない。ただし「インドネシア政府と話し合いを続けている」ことは認めた。TechchCrunchの取材に対し政府のスポークスマンは次のように回答した。

インドネシア政府はジャカルタで治安上の問題が発生していることを認識しており、対処中だ。われわれはあらゆる機関を動員して家族友人との会話その他重要な情報への公衆のアクセスとコミュニケーションの確保に務めている。

インドネシア在住の多数のWhatsAppユーザーがTechCrunchに述べたところによれば、写真、ビデオ、ボイスメールなどテキスト以外のメッセージを投稿することができなくなっている。ただしWi-Fi網またはVPN経由ならこの制限にかからない。

インドネシアでは5月21日に、大統領選挙の結果が発表さた後政治的緊張が高まっていた。現職のジョコ・ウィドド氏がプラボウォ・スビアント氏を破ったことについて、スビアント氏はこの選挙結果を不当とてし憲法裁判所に訴えると述べた。

昨日、ジャカルタ州の抗議行動が暴動に発展し、少なくとも6人の死者と200人以上の負傷者が出た。地元メディアによれば、この暴動にはソーシャルメディアを利用して拡散されたフェイクニュースが大きな役割を果たしたという。

5月22日のジャカルタ暴動で警官隊に投石するデモ参加者(写真:ADEK BERRY / AFP)

サービスが当局によって強制的に遮断される経験はFacebookにとってもはや珍しいものではなくなっている。同社のサービスは多くの地域でフェイクニュース拡散の有力チャンネルの1つとなりっており、4月にはスリランカでも利用制限を受けた。 このときはテロリストの攻撃を防ぐためにサービスは数日間完全に遮断された。今週インド政府は、総選挙に関連して、Facebookがフェイクニュースの拡散防止に充分な努力を払っていないとして懸念を表明した。WhatsAppはインド最大のチャットサービスで月間ユーザーは2億人だという。

Jakarta Post(ジャカルタポスト)の記事によれば、先週、ルディアンタラ情報通信大臣は議会の委員会で次のように証言している。

Facebookは「政府の指示を遵守している」と言う。しかし我々が削除を要請した無数の記事のうち、実際にFacebookが削除した記事はほんのわずかだ。Facebookは間違いなく最悪だ。

画像: ARUN SANKAR / Getty Images(画像に編集あり)

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(翻訳:滑川海彦@Facebook