NEC・OCC・住友電気工業が世界初マルチコアファイバーを収容した海底ケーブルを開発、通信の大容量高速化に対応

NEC・OCC・住友電気工業が世界で初めてマルチコアファイバーを収容した海底ケーブルを開発、通信の大容量高速化に対応

日本電気(NEC)は10月4日、OCC住友電気工業と共同で、非結合型マルチコアファイバーを収容した海底ケーブルを、世界で初めて開発したと発表した。これは、ファーバーケーブルの外径を変えずに伝送容量を拡大する空間分割多重技術のひとつ。1本のファイバーケーブルに複数の光伝送路を設けることができるというもの。5Gの普及や各国での相次ぐデータセンターの建設に伴い、国際的なデータ流通量の継続的な増大が予想される。そんな中、この技術による国際データ通信網の拡充が期待されている。

光ファイバーは、光の通り道となるコアの周りを屈折率の違うクラッドという被膜で覆うことで、ファイバーを曲げても光が外に漏れずに効率的に伝わる二重構造になっている。通常、コアは1本(シングルコアファイバー)だが、今回開発されたマルチコアファイバーは、4本のコアがクラッドの中に収められている。ケーブルには、この非結合型4コアファイバーが32本収められるため、最大128コアによる伝送が可能となる。

使用される海底ケーブルは、OCCが製造するOCC-SC500シリーズのLWケーブルと呼ばれるもので、水深8000mに対応する直径17mmの小径ケーブルだ。シングルコアの場合、伝送容量を大きくするにはケーブルを太くしてファイバー収容数を増やすことになるが、今回開発された技術を用いることで、17mmの直径のままで容量が4倍になる。外径が細くて荷重も小さいため、コストが削減でき、敷設の際にはより長いケーブルを船に積み込めるなど、効率が上がる。

NECは、実際の利用を想定した水中の長距離伝送試験を行ったところ、ファイバー単体の試験結果と比較して、光信号パワーの減衰量と、コア間クロストーク(隣接するコア同士の光の漏れ)の光学的特性に大きな変化はなかったとのこと。

今回の開発では、NECは長距離伝送試験の実施、OCCは海底ケーブルの製造、住友電気工業は非結合型4コアファイバーの製造をそれぞれ担当している。このプロジェクトは、総務省の「ICT重点技術の研究開発プロジェクト」における研究開発課題「新たな社会インフラを担う革新的光ネットワーク技術の研究開発」の技術課題「マルチコア大容量光伝送システム技術」の取り組みの一環として行われている。

新iPad miniの5Gを試す―高画質&大画面FaceTimeに感動

新iPad miniの5Gを試す。高画質&大画面FaceTimeに感動

9月24日に発売される第6世代のiPad miniは、5G対応iPadとして3機種目の端末。“Pro”のつかない一般ユーザーをターゲットにした無印のiPadとしては、iPadやiPad Airを差し置き、初の5G対応モデルになります。筆者が注目しているのも、この機能。そんなわけで一足先に実機を使い、iPad miniの通信関連機能をあれこれチェックしてみました。

フルモデルチェンジを果たしたiPad mini。5GやeSIM関連の機能をチェックした

フルモデルチェンジを果たしたiPad mini。5GやeSIM関連の機能をチェックした

まずはeSIMから。物理的なSIMカードを入れていない状態で「設定」の「モバイルデータ通信」をタップすると、auやソフトバンクを含む複数のキャリア名が表示されます。ただし、これはいわゆるApple SIMの名残。iPadのeSIMは、iPhoneとは異なり、eSIM以前から搭載していたApple SIMを統合した形になっています。第6世代のiPad miniでも、それは踏襲されています。

少々分かりづらいのはauやソフトバンクが残っているところで、ここをタップすると、Apple SIMとしてプリペイドプランを端末上から直接契約でる仕組みでした。QRコードの読み取りやアプリが必要なeSIMより進んでいるところではありますが、残念ながら両プリペイドプランは4Gまでの模様。しかもauは新規契約の受付をすでに終了しているため、既存のユーザーしか利用ができません。料金的にも1GB、1500円と高く、あまり利用価値は高くないサービスになってしまいました。

Apple SIMの名残が残る「モバイルデータ通信」のメニュー

Apple SIMの名残が残る「モバイルデータ通信」のメニュー

キャリア各社が提供するeSIMを利用する場合は、このメニューで「その他」を選択する必要があります。メニュー的に分かりづらいため、このユーザーインターフェイスはそろそろ見直した方がいいのでは……という気もしますが、後の手順は簡単。「その他」をタップするとカメラが立ち上がるので、キャリアから送られてきたeSIMのQRコードを読み込めばOKです。

「その他」をタップすると、QRコードリーダーが現れeSIMを設定できる

「その他」をタップすると、QRコードリーダーが現れeSIMを設定できる

今回は物理SIMで試しましたが、売りである5Gにもきちんと対応していました。5G関連の設定はiPhoneとほぼ同じ。消費電力を抑える「5Gオート」が用意されているほか、5G接続時のみ、FaceTimeなどのコンテンツの画質を上げる機能にも対応しています。ただし、初期設定でこれが有効になるのは一部キャリアのみ。オンになっていないと、せっかくの高速通信が生かせないので、忘れずに設定しておきましょう。

5Gと4Gを自動的に切り替え、バッテリーを節約する「5Gオート」に対応

5Gと4Gを自動的に切り替え、バッテリーを節約する「5Gオート」に対応

「データモード」で「5Gでより多くのデータを許容」にチェックをつけると、FaceTimeなどが高画質化される

「データモード」で「5Gでより多くのデータを許容」にチェックをつけると、FaceTimeなどが高画質化される

周波数的には、iPhoneと同様、4Gから転用したバンドも利用することができます。転用バンドで積極的にエリアを拡大しているKDDIやソフトバンクで使えば、アンテナピクトの横に5Gの文字を見かける機会が多くなるはずです。ただし、転用5Gは帯域幅が狭いこともあり、期待されているような爆速は出ないおそれもあります。例えば筆者の事務所周辺はソフトバンクの5Gエリアですが、スピードテストをすると、100Mbpsをやや超える程度。4G並みと言えば4G並みの速度です。

転用エリアでは、このように速度があまり出ないことも

転用エリアでは、このように速度があまり出ないことも

ここで生きてくるのが、先に挙げたコンテンツを高画質化する機能です。この自動判定機能は、接続している帯域を問わないため、爆速ではない5Gエリアでも有効になります。正直なところ、FaceTimeや動画の高画質化なら、100Mbpsを超えていれば十分。1Gbps超のスピードは必須ではありません。実際、iPad miniで5G接続時にFaceTimeを試してみましたが、その画質はご覧のとおり。肌のトーンや髪の毛の細かな部分までしっかり見えるほどになりました。思わず「おおっ」と声を出してしまったほどです。

速度的には100Mbps強のエリアだったが、高画質化が有効になり、FaceTimeの映像が精細になった。iPhoneより迫力もある

速度的には100Mbps強のエリアだったが、高画質化が有効になり、FaceTimeの映像が精細になった。iPhoneより迫力もある

このテストでは、筆者のiPad miniからFaceTimeを発信して、矢崎編集長がiPhoneで受けた格好ですが、両方が5Gに接続していたため、筆者の顔もかなり精細に表示されていたようです。ポロシャツに付着したチリまで写っているので、油断なりません(笑)。iPad miniはiPadの中では最小ですが、iPhoneと比べるとやはり大画面。ディテールまではっきり見えて、FaceTimeでも映像の迫力が増し増しになった印象を受けました。

筆者側から送信していた映像も、きちんと高画質になっていた。微妙な表情の変化まで、見逃さずに会話できそうだ

筆者側から送信していた映像も、きちんと高画質になっていた。微妙な表情の変化まで、見逃さずに会話できそうだ

特にこの機能は、iPad miniでこそ使いやすいと感じています。10インチ超のiPadの場合、利用シーンはどうしても室内が多くなり、5Gが届きにくいからです。片手でガシっと握れるiPad miniであれば、よりスマホに近い感覚で利用可能。出先でFaceTimeを着信して、そのまま通話するといったケースにも使いやすい端末だと感じました。iPad miniのモビリティがあってこそ、5Gが生かせるというわけです。

ただし当然ながら、iPadのため、VoLTEなどの音声回線を使った通話はできません。IP電話アプリはインストールできるものの、耳に当たる位置に通話用のスピーカーはなく、近接センサーも対応していないのでディスプレイも消灯しません。片手で持てるので、思わずやってしまいそうになりますが、耳に当てての通話はできないので注意してください。

思わず耳に当てたくなるが、こんな使い方はNG。スピーカーがないので、スマホのようには通話できない

思わず耳に当てたくなるが、こんな使い方はNG。スピーカーがないので、スマホのようには通話できない

ちなみに、5Gを有効化できるのは、アップルが認めたキャリアのみになります。iPadシリーズを取り扱っていない楽天モバイルのSIMカード/eSIMをセットすると、表示されるメニューが他3キャリアとは異なっていました。楽天モバイル回線だと5Gのメニュー自体が表示されなくなり、3GかLTEしか選択できません。そのため、上記のようなコンテンツ高画質化の恩恵にもあずかれません。段階制の料金プランはタブレットとの相性もよさそうなだけに、ここはちょっと残念です。

楽天モバイルのeSIMをセットしたところ、5Gを有効にできなかった

楽天モバイルのeSIMをセットしたところ、5Gを有効にできなかった

簡単な動画の編集もサクサクこなせて、コミュニケーションツールとしても使い勝手のいいiPad miniは、5G搭載のメリットが大きいと思います。FaceTimeなどの着信ができるのは、常時接続が可能なセルラーの特徴。このポータビリティを生かすのであれば、やはりWi-Fi+Cellular版一択な気がしています。

(石野純也。Engadget日本版より転載)

5G需要が高まる中、タワー設置場所を探す通信事業者と不動産所有者を効率的につなぐSitenna

5Gネットワークの構築は急速に進んでおり、先進国の多くで大規模な展開が行われている。しかし、カバレッジマップのギャップを埋める上での最大の課題の1つは、5G伝送に対する制約だ。5G技術は4Gに比べ高周波数の帯域を利用するため、通信事業者は、ユーザーが期待する同品質の信号で宣伝されているだけの帯域幅を提供するために、何倍もの数の通信塔を設置する必要がある。

しかし、セルタワーを設置するのは気が遠くなるような作業だ。通信事業者は、ユーザーへの見通し線を配慮してちょうどいい場所を探し、その場所に電源とインターネットアクセスがあることを確認し、さらに土地所有者と交渉して、10年以上にわたってタワーを設置し続ける契約を結ばなければならない。これを何万回(あるいはそれ以上)繰り返すことを想像して欲しい。

Sitenna(site+antenna=サイテナ)は、Y Combinator(Yコンビネータ)の「Summer 2021 Demo Day」で来週発表される予定のスタートアップだ。Sitennaは、タワーやアンテナの設置場所の選定と契約締結のプロセスを大幅に短縮し、不動産所有者、タワー運営者、通信事業者のためのマーケットプレイスを構築することを目指している。

タワーの立地やポールへのアクセスは、場合によっては国家的なインフラの優先課題として浮上している。米国では、トランプ政権下の連邦通信委員会(FCC)が、新たなタワーの設置、そしてそれらの迅速な確保にまつわる課題を最優先事項とし、タワー設置に関する規制を緩和しようと「5G FAST Plan」を立ち上げた。

Sitennaの創業者であるDaniel Campion(ダニエル・カンピオン)氏とBrian Sexton(ブライアン・セクストン)氏は、このようなプログラムにチャンスを見出し、この動きを支援することにした。彼らはこの1年間で、一方では不動産所有者が通信利用を検討する価値のある資産を持っているかどうか把握するのに役立ち、他方ではタワー事業者が設置のための契約を選択してデジタルで締結することを支援するマーケットプレイスを構築した。

Sitenna共同創業者兼CEOダニエル・カンピオン氏(画像クレジット:Sitenna)

同社は2021年6月に英国でサービスを開始したが「これが反響を呼びました」とカンピオン氏は語る。英国では6万5000件の不動産資産と、タワーの約15%がこのプラットフォームに登録されているという。同社は、Vodafone(ボーダフォン)とそのタワープロバイダーであるCornerstone(コーナーストーン)と協力し、2つのパイロットプロジェクトを開始した。また、2022年の第1四半期には米国市場への参入を予定しているとのこと。

Sitennaは今日の多くのスタートアップと同様にマーケットプレイスからスタートしているが、そのマーケットプレイスをB2B SaaSツールで補完している。同社の場合は、通信事業者が新しいタワーの設置場所を確保するプロセスと、その資産を管理するためのツールを意味する。カンピオン氏はこう述べている。「通信事業者はタワーの設置場所を見つけると、メールでピンポンのように行ったり来たりのやり取りをします。そこで、彼らのワークフローを支援するツールを開発しました」。

Sitennaのプラットフォームでは、土地所有者とタワー事業者がタワーの設置場所を検査し、取引することができる(画像クレジット:Sitenna)

現在5Gワイヤレスへの移行にともない、タワー設置の大きな波が起こっているのは確かだが、だからといって、数年後に突然タワーの設置がなくなるということではない。カンピオン氏は、利用パターンの変化やビルの再開発、標準的なハードウェアの交換などの理由から「キャリア側では15〜20%の継続的な更新が行われています」と指摘する。

そしてもちろん、6Gもある。現在はまだ完全に形になっていないコンセプトだが、筆者がカンファレンスに招待されるぐらい現実的なものだ。次世代のワイヤレスは常に存在しており、Sitennaはそのインフラを管理するセンターになりたいと考えている。

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画像クレジット:Pranav Mv / EyeEm / Getty Images

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(文:Danny Crichton、翻訳:Aya Nakazato)

GMとAT&Tが2024年モデルから一部の車両に5G接続機能を提供すると発表

General Motors(GM、ゼネラル・モーターズ)とAT&Tは、2024年モデルから、Chevrolet(シボレー)、Cadillac(キャデラック)、GMCの一部の車両に5G接続を導入する予定だと発表した。両社によると、これによりソフトウェアアップデートの信頼性が向上し、ナビゲーションやダウンロードが高速化され、道路上でのカバレッジも向上するとのこと。

5Gアーキテクチャーの導入は2019年モデル以降の4G LTE搭載のGM車にもメリットをもたらすと、経営陣はメディア向け説明会で述べている。一部のモデルの所有者は「利用可能になった時点で、新しいネットワークインフラに簡単に移行できる」と両社はニュースリリースで述べた。

GMのグローバルコネクテッドサービス担当VPであるSantiago Chamorro(サンティアゴ・チャモロ)氏は、米国時間8月18日に行われたメディア向け説明会で「AT&Tがインフラを改善することでパフォーマンスが底上げされ、2019年モデルイヤー以降の4G機能を搭載した車両も、パフォーマンス向上を実感できるようになるでしょう」と述べた。

5G技術は、さまざまな産業分野で速度の向上とレイテンシの低減を約束するものとして、多くの誇大広告を生み出した。この次世代技術は、今よりはるかに早く世界を変えるだろうと誰もが考えていた。しかし、ネットワークの展開が予想以上に遅かったこともあり、実際にはまだ実現していない。今回の発表は、少なくともAT&Tが、2024年までに「数百万台」のコネクテッドカーに対応できるだけの5Gネットワークを構築すると考えていることを示す明確なシグナルであるといえる。

GMのグローバルコネクテッドサービス担当エグゼクティブディレクターであるTom DeMaria(トム・デマリア)氏は、この性能向上のためにGMが車両に大幅なソフトウェアアップデートを強いる必要はなく、車両は「シームレスに移行される」と付け加えた。

多くの自動車メーカーの市場計画では、より高速で信頼性の高いコネクティビティが鍵を握っている。これらの計画では、オーディオシステムから(EVの場合は)バッテリーまで、すべての機能を維持するために、ほぼ全面的に複雑な車載ソフトウェア機能とワイヤレスネットワークでの無線アップデートが必要となる。また、先進運転支援システムのような、自動車メーカーがドライバーに対して差別化を図るためのもう1つの重要な手段となりつつある技術にとっても、コネクティビティは重要な鍵となる。

GMは、SAEレベル2の機能を備えた「Super Cruise(スーパークルーズ)」と呼ばれるシステムを開発中だ。このシステムは、一定の条件を満たし、ドライバーが常に注意を怠らなければ、一時的に車両をコントロールすることができる。これは、Tesla(テスラ)のAutopilot(オートパイロット)に対するGMの回答と考えられるが、Autopilotと同様、決して「自動運転」ではない。これらの技術に加え、インフォテインメントなどの機能はすべて、GMがビークルインテリジェンスプラットフォームと呼ぶ、基盤となるハードウェアアーキテクチャーの下で動作する。

「ネットワーク接続は、GMがハードウェアとソフトウェアの両面で行っていることをうまく補完してくれるイネーブラーです」とチャモロ氏は付け加えた。

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画像クレジット:zf L / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

グーグルの5G版Pixel 5aは防水性能強化しバッテリーを大型化、ヘッドフォンジャックもある

Google(グーグル)がPixel部門の大幅な見直しを行っていることは周知の事実だ。Pixel 6は、独自のカスタムチップ「Tensor」を搭載した同社ハードウェア部門にとって次の大きな変革のきっかけとなるプロダクトだ。

しかし今回は、その話ではない。新しいフラグシップモデルが手に入るのは今秋だ。ここには5aがある。本製品は「お買い得なフラグシップ」シリーズに最近追加された加わったモデルで、同社の悩めるハードウェア部門になかなかの売上増をもたらした。

画像クレジット:Google

Googleは4月に本モデルの存在を認めたが、それは未発表の携帯電話の死を勝手に予言したあまりにも早すぎる噂に対応してのものだった。当時同社は「Google Pixel 5a(5G)は廃版にしていない。米国と日本では2021年の後期に発売されるが、発表は2020年aシリーズを導入したときに行っている」と述べている。

まさにそのとおりになった。この端末は8月26日に449ドル(日本では税込5万1700円)で正式に発売される。Google Pixel 5a(5G)をひと言で表現すると、それは「安全」だ。最近のPixel 6発表時にも「安全」は強調されていた。世の中を騒がせる機種を毎回出さねばならない企業と違い、Pixel部門は、スマートフォン戦争のまっただ中で勝負することに満足していたところの生き残りであるため、安全性は悪くない。特にこの価格帯ではそう言える。Pixel 5a(5G)は防水性能IP67と頑丈で、仕事ができるスマートフォンだ。

関連記事:中止の噂を否定するためグーグルがPixel 5a 5G販売を突然発表、2021年中に米国と日本で

名前からわかるように、Pixel 5a(5G)は5万円前半の価格ながら5G対応だ。カメラは2台、Pixel 5の12 / 16メガピクセルのものを搭載している。Night Sight(夜景)やライブのHDR+、ポートレートライトなど、ソフトウェアで実現する撮影モードもたくさん用意されている。プロセッサーはミドルクラスのSnapdragon 765G、RAMは6GBと小さくなっている。

画像クレジット:Google

ストレージは5と同じく128GBだが、バッテリーはなぜか4080mAhから4680mAhになっている。ディスプレイも6.0から6.34インチに、解像度は同じだ。Pixel 5のワイヤレス充電はないが、おや、ヘッドフォン端子がある。

このGoogle Pixel 5a(5G)は、本日から予約販売が始まっている。

関連記事:グーグルがPixel 6用にカスタムチップを開発、AIとMLを自社スマホの差別化要因にする

カテゴリー:ハードウェア
タグ:GooglePixel5Gスマートフォン

画像クレジット:Google

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

​VRゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」開発のThirdverseが20億円調達、國光宏尚氏が代表取締役就任

​VRゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」開発のThirdverseが約20億円調達、國光宏尚氏が代表取締役就任

​VRゲーム「Swords of Gargantua」(ソード・オブ・ガルガンチュア)を手がけるThirdverseは8月10日、第三者割当増資(シリーズA、シリーズB)により、累計調達額20億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、ジャフコグループ、インキュベイトファンド、KDDI Open Innovation Fund、Presence Capital、Animoca Brands。今後は、ゲームクリエイターを中心に採用強化を行い、新作VRタイトルの開発に注力する。日米のスタジオにおいて2本の新作VRタイトル開発を開始するという。

また、代表取締役CEO・創業者にgumi創業者の國光宏尚が就任したと明らかにした。新たに米国子会社において北米ゲームスタジオを設立し、Microsoftのゲーム開発統括組織Xbox Game Studiosに所属する、inXile Entertainment創業者ブライアン・ファーゴ氏が、Thirdverseのアドバイザーに就任した。

國光氏は、「6年前にTokyo VR Startupsを立ち上げた日から、この日を夢みてきました。VR×メタバースは間違いなく『Next Big thing!』 心強い仲間と、頼もしい投資家の皆さんと共に、Thirdverse構想の実現に向けて全力で挑戦し続けたいと思います。 VR is Now!」とコメントしている。

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カテゴリー:ゲーム / eSports
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グリーが子会社REALITY中心とする「メタバース」事業参入を発表、グローバルで100億円を投資し数億ユーザーを目指す

グリーが子会社REALITY中心とする「メタバース」事業参入を発表、グローバルで100億円を投資し数億ユーザーを目指すグリーは8月6日、グリー100%子会社REALITYを中心に「メタバース事業」に参入すると発表した。今後2~3年で100億円規模の事業投資を行い、グローバルで数億ユーザーを目指す。

メタバース事業の加速に向け、バーチャルライブ配信アプリ「REALITY」(Android版iOS版)は、今後グローバルで数億人のユーザー獲得を目指す。その第1歩として、8種類のバーチャル空間の中で自由に歩き回り、アバター同士でコミュニケーションをとれる「ワールド」機能をアプリ内において、8月6日より期間限定で公開する。

グリーが子会社REALITY中心とする「メタバース」事業参入を発表、グローバルで100億円を投資し数億ユーザーを目指す

メタバースとは、同時に多くの人が参加してアバターを通じた交流や仕事、遊びなど実社会に近いレベルの自由な活動ができるデジタル世界のこと。現実と仮想の隔たりを超えて社会活動ができる、次のインターネット空間などとされる。

グリーでは、REALITYを通じスマートフォン向けバーチャルライブ配信アプリのサービスを展開し、全世界63の国・地域において数百万人にアバターを通じた自己表現とコミュニケーション体験を提供してきた。コロナ禍において世界中で生活のデジタルシフトが進んだことや、5GネットワークやVRデバイスの普及、ブロックチェーンをベースにした経済圏の拡大が加速している状況をかんがみ、REALITYが展開してきたライブエンターテインメント事業をメタバース事業と再定義し、さらに積極投資を行う。

REALITYが作るメタバースでは、REALITYアプリが提供してきた体験に加え、仮想空間を自身の手で創造・拡張し、オリジナルアイテムの作成や販売を通じて現実世界の収入を得られるクリエイターエコノミーの実現を目指す。

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倉庫用ドローンがいよいよ本格化

ドローンは、軍用の恐ろしいのを除けばかっこいいし、楽しいし、良いことだらけだ。しかし一般的にクワッドコプターには、その有用性に対して疑問もある。特に消費者製品の場合は、もっぱら趣味と映像撮影用に限られている。

これまでは、農場の監視用や不動産などの分野でのおもしろい使い方はあったが、それらはどれも映像機能の応用だ。しかしカメラと映像処理次第では、いろいろな仕事ができる。最近登場してきたものの中で特におもしろいのは、倉庫用ドローンだ。ドローンというとアウトドアしか想像しない人は「屋内」と「ドローン」の組み合わせに違和感を覚えるかもしれない。

さかのぼるとTechCrunch主催のスタートアップコンペであるDisrupt Battlefieldには、倉庫用ドローンの企業が2社登場した。2016年のIFM(Intelligent Flying Machines)と、それから2年後のVtrusだ。でもそれは、ドローンを倉庫や工場に持ち込もうとするスタートアップの巨大なリストに比べると、氷山の一角にすぎない。

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このリストに最近載ったCorvus Roboticsは、YCが支援するスタートアップで、おそらくその名前はカラスといった驚くほど知恵のある鳥にあやかっている。もちろん、ある種の推理小説のように、殺人を教えてくれるからすではない。少々議論の余地はあるだろうが、同社はその製品を「世界で初めての倉庫用在庫管理ドローン」と呼んでいる。

それでも、おもしろい製品ではある。それは倉庫の中を飛び回ってパレットをスキャンし、在庫を調べる。IEEE Spectrumの記事によると、同社のレベル4の自律ドローンのネットワークは、1時間に200〜400のパレットをスキャンし、飛ぶことは「鳥」にとって重労働であるため合間に充電も行なう。

画像クレジット:Third Wave Automation

倉庫業界には、倉庫の完全自動化という見果てぬ夢がある。この夢に、投資家たちも群がる。Third Wave Automationはこのほど、Norwest Venture Partnersがリードする4000万ドル(約44億円)のシリーズBを発表した。これにはInnovation EndeavorsやEclipse、それにToyota Venturesが加わった。後者は、このベイエリアのスタートアップと組んで自律型フォークリフトを開発している。フォークリフトは、毎年のように人身事故が多いからだ。

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CEOのArshan Poursohi(アーシャン・プルソヒ)氏はこう述べている。

私たちはあらゆる種類のロボットを開発してきましたが、そのロボットはすべて、どこかの物置に放り込まれています。現在の花形産業Google、私たちの時代のSun Microsystemsのようなテクノロジー企業が主役であり、ロボットはお呼びでないからです。

それでも同社は、2022年末までには100台の倉庫ロボットを販売する予定だ。

画像クレジット:InVia Robotics

一方、同じく倉庫の自動化を志向するinVia Roboticsは、2021年7月末に3000万ドル(約33億円)のシリーズCを発表した。テクノロジー超大手のMicrosoft(M12)とQualcomm(Qualcomm Ventures LLC)がラウンドをリードし、同社の総調達額は5900万ドル(約65億円)に達した。このラウンドには、Hitachi Venturesも参加した。同社によると、パンデミックのおかげで2020年には売上が600%成長したという。

 

今週のロボティクス記事は倉庫だけでまとめようと思ったが、そうもいかない。次はGeneral Electric(GE)の自律ロボットATVerだ。この何でも屋のテクノロジー企業は今、米国陸軍と一緒に自律ロボットの現場テストをしている。ロボティクスの進歩のためには、良かれ悪しかれ、軍による投資の役割が大きい。

GEのロボティクス担当Shiraj Sen(シラジュ・セン)氏がプレスリリースで「私たちのプロジェクトと米国陸軍とのパートナーシップにより、自律システムの重要な進歩を実現しました。このプロジェクトで実現した進歩は、未来の完全自動運転車の実用化を加速するだけでなく、エネルギーや航空やヘルスケアなど、人びとが毎日依存しているその他の産業の自律化をさらに促進するでしょう」と述べている。

Sarcos

といった矢先、今度はSarcosが米国時間8月5日、T-Mobileと提携して後者の5Gの遠隔操作を同社のGuardian XTロボットに行わせると発表した。5Gの低レイテンシーの接続の利点が話題になるときはもちろんロボティクスも引っ張り出されるが、むしろそれは率直に言って、プレスイベントのステージの方がふさわしい話題だ。違いますか、Verizonさん。なぜならロボットは、確実に人びとを楽しませるテーマだからだ。実在するシステムに使われるのも、良い見世物だ。

そのリリースは次のように述べている。

T-MobileとSarcosのコラボレーションは5Gの統合に始まり、T-Mobileの広帯域で低レイテンシーな5Gネットワークが駆動するリモート視聴システムの開発へ向かいます。これにより労働者や管理者、外部の専門家などがリモートのどこにいても、人間のオペレーターが現場で行っている仕事を確認することができる。開発の第2期において、T-Mobileの5Gワイヤレスネットワークの統合により、Guardian XTのテレオペレーションが5Gで可能になり、通信事業者の柔軟性が増して、遠距離からのタスクの実行が可能になります。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:ドローン倉庫Third Wave AutomationinVia Robotics資金調達General Electric5G遠隔操作SarcosT-Mobile

画像クレジット:Corvus Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ソフトバンクが2030年代の「Beyond 5G」「6G」のコンセプトと12の挑戦を公開

ソフトバンクが次世代移動体通信規格「Beyond 5G」「6G」に向けた12の挑戦を公開ソフトバンクは、2030年代の商用化が期待されている、次世代移動体通信規格「Beyond 5G」および「6G」に向けた12の挑戦を公開しました。

内容としては、5Gの「ミリ波」よりもさらに高い周波数帯「テラヘルツ波」の利用や、無人の電気飛行機を使って成層圏に携帯基地局を浮かべる「HAPS」、LEO(低軌道通信衛星)を活用した、100%のエリアカバレッジなどが紹介されています。全文は下記の通りです。

(1)ベストエフォートからの脱却

これまでのモバイルネットワークでは、スマートフォンをインターネットに接続するベストエフォートなサービスを提供してきました。例えば、ネットショッピングや動画のストリーミング視聴といった、多少の遅延やパケットロスが発生しても生活に支障が生じにくいアプリケーションを提供してきました。6Gのモバイルネットワークでは、さまざまな産業を支える社会インフラの実装が期待されており、各産業が要求するサービスレベルに見合った、品質の高いモバイルネットワークを提供する必要があります。ソフトバンクは、日本全国を網羅するモバイルネットワークに、MEC(Mobile Edge Computing)やネットワークスライシングなどの機能を実装して、産業を支える社会インフラを実現していきます。

(2)モバイルのウェブ化

インターネットは、これまで多くのIT企業によってシステムやプロトコルの改善がなされ、進化を続けてきました。一方、モバイルネットワークは、クローズドなネットワークであるため、世界的に標準化される以上に進化を遂げることはありません。今後、モバイルネットワークのサービスの幅を広げるために、より柔軟なアーキテクチャーに生まれ変わることが期待されます。6Gでは、ウェブサービスのアーキテクチャーを取り込むことで、さらにお客さまに便利なサービスを提供できると考えて、研究開発を進めていきます。

(3)AIのネットワーク

AI技術は、画像認識による物体の検知や、音声認識・翻訳だけではなく、ネットワークの最適化や運用の自動化など、幅広く適用されるようなりました。同時に、無線基地局を含むモバイル通信を支えるネットワーク装置では、汎用コンピューターによる仮想化も進んできました。AI技術と、ネットワーク装置の仮想化は、いずれもGPU(Graphic Processing Unit)によって効率的に処理できるソフトウエアです。モバイルネットワーク上にGPUを搭載したコンピューターを分散配置することで、低コストで高品質なネットワークとサービスの提供が可能になります。ソフトバンクは、2019年からGPUを活用した仮想基地局の技術検証に取り組んでおり、AI技術とネットワークが融合したMEC環境を実現していきます。

(4)エリア 100%

6Gでは、居住エリアで圏外をなくすことや、地球すべてをエリア化することが求められます。ソフトバンクは、HAPSやLEO(低軌道)衛星、GEO(静止軌道)衛星を活用した非地上系ネットワークソリューションを提供することで、この問題を解決します。これにより、世界中で30億を超えるインターネットに接続できない人々に、インターネットを提供することが可能になります。また、これまで基地局を設置できなかった海上や山間部、さらには上空を含むエリアにモバイルネットワークを提供することが可能になり、自動運転や空飛ぶタクシー、ドローンなど新しい産業を支えるインフラとなります。

(5)エリアの拡張

ソフトバンクの子会社であるHAPSモバイルは、2017年から成層圏プラットフォームと通信システムの開発に取り組んでいます。2020年にはソーラーパネルを搭載した成層圏通信プラットフォーム向け無人航空機「Sunglider」(サングライダー)が、ニューメキシコで成層圏フライトおよび成層圏からのLTE通信に成功し、HAPSが実現可能であることを証明しました。このフライトテストで得た膨大なデータを基に、商用化に向けて機体や無線機の開発、レギュレーションの整備などを進めていきます。

(6)周波数の拡張

5Gでは、これまで移動体通信で利用されることがなかったミリ波が利用できるようにしました。6Gでは、5Gの10倍の通信速度を実現するため、ミリ波よりも高い周波数のテラヘルツ波の活用が期待されています。一般的に、100GHzから10THzまでがテラヘルツ帯とされ、2019年に開催された世界無線通信会議(WRC-19)では、これまで割り当てられたことがなかった275GHz以上の周波数の中で、合計137GHzが通信用途として特定されました。この広大な周波数を移動通信で活用することで、さらなる超高速・大容量の通信の実現を目指します。

(7)電波によるセンシング

ソフトバンクは、これまで電波を主に通信用途で活用してきましたが、6G時代では通信以外の用途でも活用することが可能になります。例えば、Wi-Fiの電波を使用して、屋内で人の位置を特定する技術はすでに実用化されている他、Bluetoothを位置情報のトラッキングに利用するケースもあります。6G時代では、電波を活用して、通信と同時にセンシングやトラッキングなどを行うサービスの提供を目指します。

(8)電波による充電・給電

スマートフォンなどのデバイスは、Qi規格による無接点充電技術が多く使用されていますが、距離が離れてしまうと充電・給電ができないという欠点があります。6G時代には、電池交換や日々の充電から解放される未来がやってくると期待しており、距離が離れても電波を活用した充電・給電を行える技術の研究開発を進めていきます。

(9)周波数

周波数は、これまで各事業者が占有して利用することを前提に割り当てられてきましたが、IP技術を無線区間に応用することで、時間的・空間的に空いている帯域を複数事業者で共有することも可能になると考えます。Massive MIMOやDSS(Dynamic Spectrum Sharing)などの多重化技術がすでに確立されていますが、これらを含めた技術をさらに発展させて周波数の有効活用を進めていきます。

(10)超安全

2030年には、量子コンピューターの実用化まで開発が進むと言われています。量子コンピューターが実用化されると、現在インターネットの暗号化に使われているRSA暗号の解読ができるようになり、通信の中身を盗まれる可能性があります。将来、通信インフラの上に成り立つ産業全体を守るために、耐量子計算機暗号(PQC)や量子暗号通信(QKD)などの技術検証に取り組み、発展させることで、超安全なネットワークの実現を目指します。

(11)耐障害性

モバイルネットワークは、5G以降により一層社会インフラとしての役割が強くなってくると考えており、通信障害が発生した場合でも社会インフラとして維持し続ける必要があります。そこで、従来のネットワークアーキテクチャーを見直すことで、障害が起こりにくいネットワークを構築するとともに、万が一、障害が発生した場合でもサービスを維持できるようなネットワークの技術の研究開発を進めていきます。

(12)ネットゼロ

大量のセンサーやデバイスからのデータ、あらゆる計算機によるデータ処理によって、CO2排出量を常時監視・観察ができるようになると、温室効果ガスの排出を実質ゼロにするネットゼロの達成に大きく寄与できると考えられます。しかし、常にセンサーなどで監視されることになるため、プライバシー情報の取り扱いや情報セキュリティーといった課題を解決することも必要になります。また、基地局自体もカーボンニュートラルな運用を目指しています。現在、災害時でもネットワークを稼働させるため、基地局の予備電源の設置が義務付けられていますが、電源を普段から活用することや、日中に充電した電気を夜間に使うことで、温室効果ガスの排出量を抑えることができます。さらに、通信量に応じてリアルタイムな基地局の稼働制御を行うことで、消費電力を最小化することも可能になります。カーボンフリーな基地局の実現に向けて研究開発を進めていきます。

(Source:ソフトバンクEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:衛星コンステレーション(用語)エッジコンピューティング(用語)カーボンニュートラル(用語)GEO / 静止軌道(用語)ソフトバンク / SoftBank(企業)耐量子計算機暗号 / PQC(用語)テラヘルツ波(用語)ドローン(用語)ネットワーク(用語)HAPS / 成層圏通信プラットフォーム(用語)HAPSモバイル(企業)Beyond 5G / 6G(用語)5G(用語)量子暗号(用語)量子暗号通信 / QKD(用語)量子コンピューター(用語)LEO / 地球低軌道(用語)日本(国・地域)

Haloがユーザーまで遠隔地のオペレーターが運転して届ける5G利用の配車サービスをラスベガスで開始

5G技術は、遠隔オペレーターを使ってドライバーレスカーを動かすことができるという過剰な広告を振りまいてきたが、結局ここ数年はそれらは単なる誇大広告に過ぎなかった。この状況を変えるために、ラスベガスを拠点とするスタートアップHalo(ハロ)と通信事業者大手のT-Mobile(ティーモバイル)が提携し、ラスベガスで5Gを利用したドライバーレス電気自動車のサービスを2021年後半に開始する予定だ。

5台の車両でスタートするこのサービスは、ユーザーがアプリを使ってHaloの試験車両群に接続することで機能する。配車が注文されると、遠隔地のオペレーターがクルマを運転して待っているユーザーのもとへと向かう。クルマが到着したら、ユーザーはハンドルを握って、自分の旅行中普通にクルマを運転することができる。旅行が終わったら、遠隔地のオペレーターが運転を引き継ぎ、次の顧客のいる場所へ車を走らせる。

Haloのアプローチは、Waymo(ウェイモ)やCruise(クルーズ)のような、遠隔地もしくは車内の人間の関与を完全に排除することを目的とした、完全な自動運転技術スタックを開発している企業とは大きく異なる。その代わりに、Haloの車両には9台のカメラが搭載され、レーダーと超音波センサーが補助として搭載され(LiDARはなし)、T-MobileのUltra Capacity(ウルトラキャパシティ)ミッドバンド5Gネットワークを介して遠隔地のオペレーターと接続される。

HaloのCEOであるAnand Nandakumar(アナンド・ナンダクマール)は、TechCrunchに対し、このサービスは、拡張された範囲のローバンド5Gネットワークと、必要に応じてLTEでも運用できると述べている。

Haloのプレスリリースによると、同社の車両には「独自のフィードバックループを構築して、人間がクルマをコントロールしている間にバックグラウンドで学習し、時間をかけてレベル3の能力を達成できる」アルゴリズムが搭載されるとのことで、長期的には自動運転を視野に入れていることが伺える(なおレベル3とは、Society of Automotive Engineersが提唱する自動運転の5段階のレベルを意味している。レベル3は、非常に限定された条件下で人間のドライバーが運転を離れることを可能にするレベルだ)。

ナンダクマール氏はプレスリリースの中で「完全な自動運転は、技術的にも社会的信頼の観点からも大きな課題であり、今後数年間では解決できないでしょう」と述べている。「しかし、Haloのシステムはこれらの課題を解決するために、消費者のみなさまが今日から安心して使えるソリューションから始めて、時間をかけて自動化を実現できるようにデザインされています」。

また同社はその車両には、安全上の問題の可能性が検出された場合に、直ちに車両を完全に停止させる高度な安全停止メカニズムが搭載されると述べている。

Haloは2020年、T-Mobileが共同設立した5G Open Innovation Labに参加し、T-Mobileのエンジニアと対話したりミッドスペクトラム・ネットワークを利用したりできるようになった。ナンダクマール氏は、T-Mobileが同社に投資しているかどうかについては明言を避けた。

関連記事:For successful AI projects, celebrate your graveyard and be prepared to fail fast

カテゴリー:モビリティ
タグ:Halo5GT-Mobileラスベガス遠隔操作

画像クレジット:Halo

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:sako)

5GとVR・AR技術、3Dプリンティング技術を活用し東京の指導医が大阪の若手歯科医による歯科手術を遠隔支援

5GとVR・AR技術、3Dプリンティング技術を活用し東京の指導医が大阪の若手歯科医による歯科手術を遠隔支援Holoeyesは、Dental Predictionとソフトバンクの協力のもと「5GネットワークにおけるXR歯科手術支援の有効性の検証」に関する実証実験を7月12日から実施します。

5GとXR技術、3Dプリンティング技術を活用した実験で、東京にいる指導医が大阪にいる若手歯科医に、VR・AR映像を通して診断・治療の指導と手術を支援をするといった内容です。

具体的には、歯が欠損した場合に行うインプラント手術の症例を扱います。インプラント手術は、知識的にも技術的にも比較的難易度の高い処置です。5GとXR技術、3Dプリンティング技術を活用して、物理的な場所の制約を受けずに若手歯科医への知識や技術の伝授ができるかを検証します。

5GとVR・AR技術、3Dプリンティング技術を活用し東京の指導医が大阪の若手歯科医による歯科手術を遠隔支援

3Dモデル/3Dプリンティング模型

実験では患者のデータを基に作成した頭蓋骨の3Dモデルを使い手術に必要な3次元の動きをVR空間で共有します。診断と検討の後、指導医は3DモデルをAR空間で操作しながら、同じ患者の顎骨の3Dプリンティング模型を使って指導します。

若手歯科医はAR映像を見ながら模型にドリルで穴を開けるなどの実習を行うことで、インプラント手術の一連の流れを体験できます。最終的には、指導医が東京からAR映像を通して支援しながら、若手歯科医が大阪市内の歯科クリニックで実際の患者の手術を行います。

なお、遠隔指導および遠隔手術支援に当たっては、現役の歯科医であるDental Prediction代表の宇野澤氏が、診断を行う上で重要なポイントや解剖に関する手順を解説します。

各種デバイスに対応したHoloeyesの医療用画像表示サービス「Holoeyes XR」と、オンライン遠隔共有カンファレンスサービス「Holoeyes VS」を活用し、ソフトバンクの5GネットワークでVR・AR映像を送受信することで、指導や手術支援を行います。

以降リリースより転載です。

実証実験の概要

  1. 名称:5GネットワークにおけるXR歯科手術支援の有効性の検証
  2. 実施期間(予定):2021年7月12日~9月
  3. 実施場所:東京会場:ソフトバンク本社(東京都港区海岸1-7-1 東京ポートシティ竹芝 オフィスタワー)、大阪会場:5G X LAB OSAKA(大阪市住之江区南港北2-1-10 ATCビルITM棟 6階「ソフト産業プラザTEQS」内)

実施の流れ

  • ステップ1(7月12日実施予定):過去に手術を受けた患者のデータを基に作成した3Dモデルで症例検討と解剖手順の確認を行った後、同じ患者の3Dプリンティング模型を使って、若手歯科医が手術の一連の流れを体験します。複数の若手歯科医へ同時に遠隔指導することで、その有用性を検証します。
  • ステップ2(8月実施予定):これから手術を受ける患者のデータを基に作成した3Dモデルで症例検討と解剖手順の確認を行った後、同じ患者の3Dプリンティング模型を使って、若手歯科医が手術の一連の流れを体験します。今後予定している手術を、複数の若手歯科医が同時に疑似体験できることを検証します。
  • ステップ3(9月実施予定):東京の指導医が遠隔支援しながら、若手歯科医が大阪市内の歯科クリニックで実際の患者(ステップ2の患者)の手術を実施します。若手歯科医が、指導医の遠隔支援の下で安全かつ確実に手術ができることを検証します。

(Source:ソフトバンクEngadget日本版より転載)

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タグ:医療(用語)XR / xR(用語)遠隔医療(用語)拡張現実 / AR(用語)仮想現実 / VR(用語)歯 / 歯科(用語)3D / 3Dモデル(用語)3Dプリント / 3Dプリンター(用語)ソフトバンク / SoftBank(企業)Dental Prediction(企業)5G(用語)HoloEyes(企業)日本(国・地域)

災害地域で高速通信回線を確保するための移動基地局車「THOR」をベライゾンが発表

世界各地を襲う猛烈な暑さが、世界中で災害の数、規模、複雑さを加速させている。この数週間だけで、米国の太平洋岸北西部では、記録的な暑さのために数百人もの死者が出ており、今後もさらなる猛暑が予想されている。

熱波、山火事、ハリケーン、台風をはじめとするさまざまな気象災害は、エネルギー事業や通信事業などのインフラ事業者に大きな難題をもたらしている。これらの事業者は、人類がこれまでに経験したことのないような厳しい環境の中でも、顧客のために稼働率を可能な限り100%に近づけなければならない。

そのために、Verizon(ベライゾン、念の為に書き添えておくと、同社は今のところ、TechCrunchの最上位の親会社だ)は米国時間7月6日「Tactical Humanitarian Operations Response(戦術的人道主義活動対応)」のために作られた「THOR(トール)」と呼ばれる車両の最初のデモ機を発表した。Ford(フォード)の「F650」ピックアップトラックの車台をベースに設計されたTHORは、5G Ultra Wideband(超広帯域無線通信)や衛星アップリンクなどの無線技術を用いて、最前線の緊急対応要員や市民に、機動性と耐障害性に優れた通信回線を提供することを目的としている。

ベライゾンのTHORは、5Gや衛星アップリンクなどの無線技術を展開し、最前線のレスポンダーに通信回線を迅速に提供することができる(画像クレジット:Verizon)

ベライゾンは、国防総省のNavalX(ネーヴァルエックス)およびSoCal Tech Bridge(南カリフォルニア・テック・ブリッジ)と共同でプロトタイプを開発し、先週サンディエゴの北に位置するMarine Corps Air Station Miramar(海兵隊ミラマー空軍基地)で公開した。

THORは、無線通信に加えて、さまざまなドローン機能を展開できる可能性も備えている。例えば、捜索・救助活動のためにドローンを配備したり、時間とともに拡大する山火事の状況を把握して消防士を支援したりすることができるだろう。

数週間前にもご紹介したように、ベライゾン、AT&T、T-Mobile(Tモバイル)などの通信事業者は、モバイルワイヤレス機器の迅速な設置から、AT&TのLTE基地局として機能する飛行船「FirstNet One」のような斬新なソリューションまで、さまざまなレジリエンス(災害復旧力)施策への支出を増やしている。

政府、民間企業、保険会社、そして個人が、世界的に激化する自然災害に直面し、対応を求められる中「DisasterTech(災害テクノロジー)」は規模を問わず多くの投資家や企業から注目を集めている。

関連記事:テクノロジーと災害対応の未来3「接続性、地球が滅びてもインターネットは不滅」

カテゴリー:EnviroTech
タグ:気候変動自然災害5G通信網気候テックVerizon

画像クレジット:Verizon

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(文:Danny Crichton、翻訳:Hirokazu Kusakabe)a

ライブ会場の再開に合わせてMixhaloが対面式ライブイベント用音声ストリーミングの新技術を発表

全米各地のライブ会場が再開される中、Mixhalo(ミックスヘイロー)は、その対面式ライブイベント用のオーディオストリーミングプラットフォームに「Mixhalo Over Cellular(ミックスヘイロー・オーバー・セルラー)」と「Mixhalo Rodeo(ミックスヘイロー・ロデオ)」と呼ばれる2つの新機能を追加することを発表した。

1つ目の機能は、その名の通り。Wi-Fiに頼る代わりに5Gを活用する。これはMixhaloの初期のWi-Fi製品で魅力とされていた「超低遅延」を提供できると、同社では述べている。

Mixhaloはこの機能を展開するために、携帯電話会社と協力しているが、その社名は明らかにしていない。ただし、この機能はLTEでも利用できるものの、明らかな理由により、5Gの方が低遅延を実現できる機会が多いと言及している。

もう一方の「Rodeo」は、既存の会場の無線ネットワークと連動するように設計されているため、追加のオーバーレイシステムを導入する必要がない。

「Rodeoシステムでは、既存のアクセスポイントがMixhaloのトラフィックを認識し、それに応じてネットワークデータの準備やバッファリングを行うことができるため、実際にネットワークの負担を軽減することができます」と、CEOのJohn Vars(ジョン・ヴァース)氏はTechCrunchに語った。「2015年以降にワイヤレスシステムを導入した会場であれば、Rodeoをサポートするために必要なハードウェアを備えている可能性が高いです。会場のサーバールームにサーバーを設置する必要がありますが、これがRodeoの唯一のハードウェアコンポーネントです」。

画像クレジット:Mixhalo

Incubus(インキュバス)のギタリストであるMike Einziger(マイク・アインジガー)氏らが共同で設立したMixhaloは、Pharrell Williams(ファレル・ウィリアムス)氏の協力も得て、Disrupt 2017(ディスラプト2017)のステージでプロダクトを発表し、その超低遅延のストリーミング技術でライブイベントのサウンドを観客に届けることを約束した。

当然のことながら、2020年と2021年前半は、ライブイベントと結びついたスタートアップ企業にとって非常に大きな苦難の時となった。新型コロナウイルス感染流行の初期には、契約終了にともない人員削減を余儀なくされたとヴァース氏はTechCrunchに語ったが、その後は多くのパートナーシップのお陰もあり、なんとか成長していると付け加えた。

(左から)ファレル・ウィリアムス、Mixhaloの創業者でCEOのマイク・アインジガー、TechCrunchシニアライターのAnthony Ha。2017年5月17日にニューヨーク市のPier 36で開催されたTechCrunch Disrupt NY 2017 – Day 3のステージにて(画像クレジット:Noam Galai/Getty Images for TechCrunch)

「このような状況の中で明るい兆しが見られたのは、一歩下がって中核製品の改善に集中する機会が得られたからです」と、ヴァース氏は語る。「これらの改善には、今回発表したMixhalo RodeoやMixhalo over Cellularの他、会場内の物理的な位置に基づいて遅延を動的に調整する機能などが含まれています。新型コロナウイルス感染流行前のビジネスに全力投球していた中では、これらの改善に取り組む時間や機会が得られなかったかもしれません。これらの新機能により、スポーツ界のパートナーからの関心が高まり、Mixhaloの使用例が本格的に飛躍することを期待しています」。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Mixhaloライブストリーミングイベント音楽音楽ストリーミングエンターテインメント5Gアプリ

画像クレジット:WIN-Initiative

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テクノロジーと災害対応の未来3「接続性、地球が滅びてもインターネットは不滅」

インターネットは、神経系のように世界中で情報伝達を司っている。ストリーミングやショッピング、動画視聴や「いいね!」といった活動が絶えずオンラインで行われており、インターネットがない日常は考えられない。世界全体に広がるこの情報網は思考や感情の信号を絶え間なく送出しており、私たちの思考活動に不可欠なものとなっている。

では機械が停止したらどうなるだろうか。

この疑問は、1世紀以上前にE.M. Forster(E・M・フォースター)が短編小説で追求したテーマである。奇しくも「The Machine Stops(機械は止まる)」と題されたその小説は、すべて機械に繋がれた社会においてある日突然、機械が停止したときのことを描いている。

こうした停止の恐怖はもはやSFの中だけの話ではない。通信の途絶は単に人気のTikTok動画を見逃したというだけでは済まされない問題だ。接続性が保たれなければ、病院も警察も政府も民間企業も、文明を支える人間の組織は今やすべて機能しなくなっている。

災害対応においても世界は劇的に変化している。数十年前は災害時の対応といえば、人命救助と被害緩和がほぼすべてだった。被害を抑えながら、ただ救える人を救えばよかったとも言える。しかし現在は人命救助と被害緩和以外に、インターネットアクセスの確保が非常に重要視されるようになっているが、これにはもっともな理由がある。それは市民だけでなく、現場のファーストレスポンダー(初動対応要員)も、身の安全を確保したり、ミッション目的を随時把握したり、地上観測データをリアルタイムで取得して危険な地域や救援が必要な地域を割り出すため、インターネット接続を必要とすることが増えているからだ。

パート1で指摘したように、災害ビジネスの営業は骨が折れるものかもしれない。またパート2で見たように、この分野では従来細々と行われていたデータ活用がようやく本格化してきたばかりだ。しかし、そもそも接続が確保されない限り、どちらも現実的には意味をなさない。そこで「テクノロジーと災害対策の未来」シリーズ第3弾となる今回は、帯域幅と接続性の変遷ならびに災害対応との関係を分析し、気候変動対策と並行してネットワークのレジリエンス(災害復旧力)を向上させようとする通信事業者の取り組みや、接続の確保を活動内容に組み入れようとするファーストレスポンダーの試みを検証するとともに、5Gや衛星インターネット接続サービスなどの新たな技術がこうした重要な活動に与える影響を探ることとする。

地球温暖化とワイヤレスレジリエンス

気候変動は世界中で気象パターンの極端な変化を招いている。事業を行うために安定した環境を必要とする業界では、二次的・三次的影響も出ている。しかし、こうした状況の変化に関し、通信事業者ほどダイナミックな対応が求められる業界はほぼないだろう。通信事業者は、これまでも暴風雨によって何度も有線・無線インフラを破壊されている。こうしたネットワークのレジリエンスは顧客のために必要とされるだけではない。災害発生後の初期対応において被害を緩和し、ネットワークの復旧に努める者にとっても絶対的に必要なものである。

当然ながら、電力アクセスは通信事業者にとって最も頭を悩ませる問題だ。電気がなければ電波を届けることもできない。米国三大通信事業者のVerizon(ベライゾン、TechCrunchの親会社のVerizon Mediaを傘下に擁していたが、近く売却することを発表している)、AT&T、T-Mobile(Tモバイル)も近年、ワイヤレスニーズに応えるとともに、増え続ける気象災害の被害に対処するため、レジリエンス向上の取り組みを大幅に増強している。

Tモバイルにおいて国内テクノロジーサービス事業戦略を担当するJay Naillon(ジェイ・ナイロン)シニアディレクターによれば、同社は近年、レジリエンスをネットワーク構築の中心に据え、電力会社からの給電が停止した場合に備えて基地局に発電機を設置している。「ハリケーンの多い地域や電力供給が不安定な地域に設備投資を集中させている」という。

通信3社すべてに共通することだが、Tモバイルも災害の発生に備えて機器を事前に配備している。大西洋上でハリケーンが発生すると、停電の可能性に備えて戦略的に可搬型発電機や移動式基地局を運び入れている。「その年のストーム予報を見て、さまざまな予防計画を立てている」とナイロン氏は説明する。さらに、非常事態管理者と協力して「さまざまな訓練を一緒に行い、効果的に共同対応や連携」を図ることで、災害が発生した場合に被害を受ける可能性が最も高いネットワークを特定しているという。また、気象影響を正確に予測するため、2020年からStormGeo(ストームジオ)とも提携している。

災害予測AIはAT&Tでも重要となっている。公共部門と連携したAT&TのFirstNetファーストレスポンダーネットワークを指揮するJason Porter(ジェイソン・ポーター)氏によれば、AT&Tはアルゴンヌ国立研究所と提携し、今後30年にわたって基地局が「洪水、ハリケーン、干ばつ、森林火災」に対処するための方策と基地局の配置を評価する気候変動分析ツールを開発したという。「開発したアルゴリズムの予測に基づいて社内の開発計画を見直した」とポーター氏は述べ、少なくとも一定の気象条件に耐えられるよう「架台」に設置された1.2~2.4メートル高の脆弱な基地局を分析して補強していると語った。こうした取り組みによって「ある程度被害を緩和できるようになった」という。

またAT&Tは、気候変動によって不確実性が増す中で信頼性を高めるという、より複雑な問題にも対処している。近年の「設備展開の多くが気象関連現象に起因していることが判明するのにそれほど時間はかからなかった」とポーター氏は述べ、AT&Tが「この数年、発電機の設置範囲を拡大することに注力」していると説明した。また可搬式のインフラ構築も重点的に行っているという。「データセンターは実質すべて車両に搭載し、中央司令室を構築できるようにしている」とポーター氏は述べ、AT&T全国災害復旧チームが2020年、数千回出動したと付け加えた。

さらに、FirstNetサービスに関し、被災地の帯域幅を早急に確保する観点から、AT&Tは2種類の技術開発を進めている。1つは空から無線サービスを提供するドローンだ。2020年、記録的な風速を観測したハリケーン・ローラがルイジアナ州を通過した後、AT&Tの「基地局はリサイクルされたアルミ缶のように捻じ曲がってしまったため、持続可能なソリューションを展開することになった」とポーター氏は語る。そして導入されたのがFirstNet Oneと呼ばれる飛行船タイプの基地局だ。この「飛行船は車両タイプの基地局の2倍の範囲をカバーする。1時間弱の燃料補給で空に上がり、文字通り数週間空中に待機するため、長期的かつ持続可能なサービスエリアを提供できる」という。

ファーストレスポンダーのため空からインターネット通信サービスを提供するAT&TのFirstNet One(画像クレジット:AT&T/FirstNet)

AT&Tが開発を進めるもう1つの技術は、FirstNet MegaRangeと呼ばれるハイパワーワイヤレス機器である。2021年に入って発表されたこの機器は、沖合に停泊する船など、数キロメートル離れた場所からシグナルを発信でき、非常に被害の大きい被災地のファーストレスポンダーにも安定した接続を提供できる。

インターネットが日常生活に浸透していくにつれ、ネットワークレジリエンスの基準も非常に厳しくなっている。ちょっとした途絶であっても、ファーストレスポンダーだけでなく、オンライン授業を受ける子どもや遠隔手術を行う医師にとっては混乱の元となる。設置型・可搬型発電機から移動式基地局や空中基地局の即応配備に至るまで、通信事業者はネットワークの継続性を確保するために多額の資金を投資している。

さらに、こうした取り組みにかかる費用は、温暖化の進む世界に立ち向かう通信事業者が最終的に負担している。三大通信事業者の他、災害対応分野のサービスプロバイダーにインタビューしたところ、気候変動が進む世界において、ユーティリティ事業は自己完結型を目指さざるを得ない状況になっているという共通認識が見られた。例えば、先頃のテキサス大停電に示唆されるように、送配電網自体の信頼性が確保できなくなっていることから、基地局に独自の発電機を設置しなければならなくなっている。またインターネットアクセスの停止が必ずしも防げない以上、重要なソフトはオフラインでも機能するようにしておかなければならない。日頃動いている機械が停まることもあるのだ。

最前線のトレンドはデータライン

消費者である私たちはインターネットどっぷりの生活を送っているかもしれないが、災害対応要員はインターネットに接続されたサービスへの完全移行に対し、私たちよりもずっと慎重な姿勢を取っている。確かに、トルネードで基地局が倒れてしまったら、印刷版の地図を持っていればよかったと思うだろう。現場では、紙やペン、コンパスなど、サバイバル映画に出てくる昔ながらの道具が今も数十年前と変わらず重宝されている。

それでも、ソフトウェアやインターネットによって緊急対応に顕著な改善が見られる中、現場の通信の仕組みやテクノロジーの利用度合いの見直しが進んでいる。最前線からのデータは非常に有益だ。最前線からデータを伝達できれば、活動計画能力が向上し、安全かつ効率的な対応が可能となる。

AT&Tもベライゾンも、ファーストレスポンダー特有のニーズに直接対処するサービスに多額の投資を行っている。特にAT&Tに関してはFirstNetネットワークが注目に値する。これは商務省のファーストレスポンダーネットワーク局との官民連携を通して独自に運営されるもので、災害対応要員限定のネットワークを構築する代わりに政府から特別帯域免許(Band 14)を獲得している。これは、悲惨な同時多発テロの日、ファーストレスポンダーが互いに連絡を取れていなかったことが判明し、9.11委員会(同時多発テロに関する国家調査委員会)の重要提言としてまとめられた内容を踏まえた措置だ。AT&Tのポーター氏によれば、777万平方キロメートルをカバーするネットワークが「9割方完成」しているという。

なぜファーストレスポンダーばかり注目されるのだろうか。通信事業者の投資が集中する理由は、ファーストレスポンダーがいろいろな意味でテクノロジーの最前線にいるためだ。ファーストレスポンダーはエッジコンピューティング、AIや機械学習を活用した迅速な意思決定、5Gによる帯域幅やレイテンシー(遅延)の改善(後述)、高い信頼性を必要としており、利益性のかなり高い顧客なのだ。言い換えれば、ファーストレスポンダーが現在必要としていることは将来、一般の消費者も必要とすることなのだ。

ベライゾンで公共安全戦略・危機対応部長を務めるCory Davis(コリー・デイビス)氏は「ファーストレスポンダーによる災害出動・人命救助においてテクノロジーを利用する割合が高まっている」と説明する。同氏とともに働く公共部門向け製品管理責任者のNick Nilan(ニック・二ラン)氏も「社名がベライゾンに変わった当時、実際に重要だったのは音声通話だったが、この5年間でデータ通信の重要性が大きく変化した」と述べ、状況把握や地図作成など、現場で標準化しつつあるツールを例に挙げた。ファーストレスポンダーの活動はつまるところ「ネットワークに集約される。必要な場所でインターネットが使えるか、万一の時にネットワークにアクセスできるかが重要となっている」という。

通信事業者にとって頭の痛い問題は、災害発生時というネットワーク資源が最も枯渇する瞬間にすべての人がネットワークにアクセスしようとすることだ。ファーストレスポンダーが現場チームあるいは司令センターと連絡しようとしているとき、被災者も友人に無事を知らせようとしており(中には単に避難するクルマの中でテレビ番組の最新エピソードを見ているだけの者もいるかもしれない)、ネットワークが圧迫されることになる。

こうした接続の集中を考えれば、ファーストレスポンダーに専用帯域を割り当てるFirstNetのような完全分離型ネットワークの必要性も頷ける。「リモート授業やリモートワーク、日常的な回線の混雑」に対応する中で、通信事業者をはじめとするサービスプロバイダーは顧客の需要に圧倒されてきたとポーター氏はいう。そして「幸い、当社はFirstNetを通して、20MHzの帯域をファーストレスポンダーに確保している」と述べ、そのおかげで優先度の高い通信を確保しやすくなっていると指摘する。

FirstNetは専用帯域に重点を置いているが、これはファーストレスポンダーに常時かつ即時無線接続を確保する大きな戦略の1つに過ぎない。AT&Tとベライゾンは近年、優先順位付け機能と優先接続機能をネットワーク運営の中心に据えている。優先順位付け機能は公共安全部門の利用者に優先的にネットワークアクセスを提供する機能である。一方、優先接続機能には優先度の低い利用者を積極的にネットワークから排除することでファーストレスポンダーが即時アクセスできるようにする機能が含まれる。

ベライゾンのニラン氏は「ネットワークはすべての人のためのものだが、特定の状況においてネットワークアクセスが絶対に必要な人は誰かと考えるようになると、ファーストレスポンダーを優先することになる」と語る。ベライゾンは優先順位付け機能と優先接続機能に加え、現在はネットワークセグメント化機能も導入している。これは「一般利用者のトラフィックと分離する」ことで災害時に帯域が圧迫されてもファーストレスポンダーの通信が阻害されないようにするものだという。ニラン氏は、これら3つのアプローチが2018年以降すべて実用化されている上、2021年3月にはVerizon Frontline(ベライゾン・フロントライン)という新ブランドにおいてファーストレスポンダー専用の帯域とソフトウェアを組み合わせたパッケージが発売されていると話す。

帯域幅の信頼性が高まったことを受け、10年前には思いもよらなかった方法でインターネットを利用するファーストレスポンダーが増えている。タブレット、センサー、接続デバイスやツールなど、機材もマニュアルからデジタルへと移行している。

インフラも構築され、さまざまな可能性が広がっている。今回のインタビューで挙げられた例だけでも、対応チームの動きをGPSや5Gで分散制御するもの、最新のリスク分析によって災害の進展を予測し、リアルタイムで地図を更新するもの、随時変化する避難経路を探索するもの、復旧作業の開始前からAIを活用して被害評価を行うものなど、さまざまな用途が生まれている。実際、アイディアの熟成に関して言えば、これまで大げさな宣伝文句や技術的見込みでしかなかった可能性の多くが今後何年かのうちに実現することになるだろう。

5Gについて

5Gについては何年も前から話題になっている。ときには6Gの話が出てレポーターたちにショックを与えることさえある。では、災害対応の観点から見た場合、5Gはどんな意味を持つだろうか。何年もの憶測を経て、今ようやくその答えが見えてきている。

Tモバイルのナイロン氏は、5Gの最大の利点は標準規格で一部利用されている低周波数帯を利用することで「カバレッジエリアが拡大できること」だと力説する。とはいえ「緊急対応の観点からは、実用化のレベルはまだそこまで達していない」という。

一方、AT&Tのポーター氏は「5Gの特長に関し、私たちはスピードよりもレイテンシーに注目している」と語った。消費者向けのマーケティングでは帯域幅の大きさを喧伝することが多いが、ファーストレスポンダーの間ではレイテンシーやエッジコンピューティングといった特徴が歓迎される傾向にある。例えば、基幹ワイヤレスネットワークへのバックホールがなくとも、前線のデバイス同士で動画をリレーできるようになる。また、画像データのオンボード処理は、1秒を争う環境において迅速な意思決定を可能とする。

こうした柔軟性によって、災害対応分野における5Gの実用用途が大幅に広がっている。「AT&Tの5G展開の使用例は人々の度胆を抜くだろう。すでに(国防省と協力して)パイロットプログラムの一部をローンチしている」とポーター氏は述べ、一例として「爆弾解体や検査、復旧を行うロボット犬」を挙げた。

ベライゾンは、革新的応用を戦略的目標に掲げるとともに、5Gの登場という岐路において生まれる新世代のスタートアップを指導する5G First Responders Lab(5Gファーストレスポンダーラボ)をローンチした。ベライゾンのニラン氏によれば、育成プログラムには20社以上が参加し、4つの集団に分かれてVR(仮想現実)の教育環境や消防隊員のために「壁の透視」を可能とするAR(拡張現実)の適用など、さまざまな課題に取り組んでいるという。同社のデイビス氏も「AIはどんどん進化し続けている」と話す。

5Gファーストレスポンダーラボの第1集団に参加したBlueforce(ブルーフォース)は、最新のデータに基づき、できるかぎり適切な判断を下せるようファーストレスポンダーをサポートするため、5Gを利用してセンサーとデバイスを接続している。創業者であるMichael Helfrich(マイケル・ヘルフリッチ)CEOは「この新しいネットワークがあれば、指揮者は車を離れて現場に行っても、情報の信頼性を確保できる」と話す。従来、こうした信頼できる情報は司令センターでなければ受け取ることができなかった。ブルーフォースでは、従来のユーザーインターフェース以外にも、災害対応者に情報を提示する新たな方法を模索しているとヘルフリッチ氏は強調する。「もはやスクリーンを見る必要はない。音声、振動、ヘッドアップディスプレイといった認知手法を検討している」という。

5Gは、災害対応を改善するための新たな手段を数多く提供してくれるだろう。そうはいっても、現在の4Gネットワークが消えてなくなるわけではない。デイビス氏によれば、現場のセンサーの大半は5Gのレイテンシーや帯域幅を必要とするわけではないという。同氏は、IoTデバイス向けのLTE-M規格を活用するハードやソフトは将来にわたってこの分野で重要な要素になると指摘し「LTEの利用はこのさき何年も続くだろう」と述べた。

イーロン・マスクよ、星につないでくれ

緊急対応データプラットフォームのRapidSOS(ラピッドSOS)社のMichael Martin(マイケル・マーティン)氏は、災害対応市場において「根本的な問題を解決する新たなうねりが起きていると感じる」といい、これを「イーロン・マスク効果」と呼んでいる。接続性に関しては、SpaceX(スペースX、正式名称はスペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ)のブロードバンドコンステレーションプロジェクト「Starlink(スターリンク)」が稼働し始めていることからも、その効果は確かに存在することがわかる。

衛星通信はこれまでレイテンシーと帯域幅に大きな制約があり、災害対応で使用することは困難だった。また、災害の種類によっては、地上の状況から衛星通信接続が極めて困難だと判断せざるを得ないこともあった。しかし、こうした問題はスターリンクによって解決される可能性が高い。スターリンクの導入により、接続が容易になり、帯域幅とレイテンシーが改善され、全世界でサービスが利用できるようになるとされている。いずれも世界のファーストレスポンダーが切望していることだ。スターリンクのネットワークはいまだ鋭意構築中のため、災害対応市場にもたらす影響を現時点で正確に予測するのは難しい。しかし、スターリンクが期待通りに成功すれば、今世紀の災害対応の方法を根本的に変える可能性がある。今後数年の動きに注目していきたいと思う。

もっとも、スターリンクを抜きにしても、災害対応は今後10年で革命的に変化するだろう。接続性の高度化とレジリエンス強化が進み、旧式のツールに頼り切っていたファーストレスポンダーも今後はますます発展するデジタルコンピューティングを取り入れていくだろう。もはや機械が止まることはないのだ。

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カテゴリー:EnviroTech
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(文:Danny Crichton、翻訳:Dragonfly)

Intelが薄型軽量ノートPC向け第11世代Core新SKU2種と同社初の5Gモデム発表、バーチャルCOMPUTEX 2021で

Intel(インテル)は、2021年のバーチャルCOMPUTEXの基調講演で、薄型軽量ノートPC向けの第11世代Core Uシリーズ(開発コードネーム Tiger Lake-U)新SKU2種を発表した。また、MediaTekとの提携で設計された、同社初の5G製品となるM.2カード型5GモジュールもノートPC用に発表している(Intelは2019年にスマートフォン用モデム事業をAppleに売却している)。

Intelの新チップは、いずれもIntel Iris Xeグラフィックスを採用している。フラッグシップモデルは「Core i7-1195G7」で、ベースクロックは2.9GHzだが、InteのTurbo Boost Max 3.0技術を使えば、シングルコアで最大クロック5.0GHzに達する。もう1つのチップは「Core i5-1155G7」と呼ばれ、そちらのベースクロックは2.5GHz、シングルコア最大クロック4.5GHzとなっている。どちらのCPUも4コア8スレッドという点は変わらない。

インテルの新第11世代チップ比較表

「Intel 5G Solution 5000」と呼ばれるM.2拡張カード形状の5G通信モジュールは、5G NRミッドバンド、サブ6GHz帯、eSIM技術に対応している。Intelは、北米、EMEA(ヨーロッパ・中東・アフリカ)、APAC(アジア太平洋地域)、日本、そしてオーストラリアのテレコム業者とパートナーシップを結んでいる。このモジュールは、2021年末までにAcer(エイサー)、ASUS(エイスース)、HPなどのメーカーが製造するノートパソコンに搭載される予定。また、OEMメーカー各社も第11世代Uシリーズチップをベースにした250種類のデザインに取り組んでおり、2021年のホリデーシーズンまでに市場に投入される予定だという。

インテルの新しい5G M.2モジュールのスペック

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(文:Catherine Shu、翻訳:Aya Nakazato)

オリンパスやNTTドコモ他3医療機関が4K映像による消化器内視鏡映像のリアルタイム伝送の実証実験に成功

神戸大学、香川大学、高知赤十字病院、オリンパス、NTTドコモは5月24日、「モバイルを活用した遠隔医療支援を目的とし、高精細映像伝送システムを用いた4K映像による消化器内視鏡映像のリアルタイム伝送の実証実験」を2021年3月30日に行い成功したと発表した。

これは、NTTドコモが2020年10月からの一定期間、医療機関向けに遠隔医療支援のための高精細映像伝送システム50セットを無償で貸し出すという「5G を活用した映像伝送ソリューションの医療機関向けモニタープログラム」に参画した神戸大学医学部付属病院、香川大学医学部附属病院、高知赤十字病院によって行われたもの。オリンパスの内視鏡システム「EVIS X1」を、貸し出されたドコモの映像送受信機「LiveU」に接続し、高知赤十字病院消化器内科内視鏡室で行われた内視鏡検査の4K映像を、「4Gを6回線束ねた5Gと同朋レベルの携帯電話回線」で、神戸大学医学部附属病院国際がん医療・研究センター(ICCRC)、香川大学医学部附属病院、高知赤十字病院カンファレンスルームに伝送し、遠隔模擬トレーニングを実施した。その結果、内視鏡映像だけでなく、「内視鏡画像に合成した手技を行う医師の手元の映像」も遅延なく伝送できた。

オリンパスは「本実証実験に参加した3医療機関と2社は、今後、オリンパスが提供する消化器内視鏡を中心とした高精細医用映像機器と、ドコモが提供している閉域クラウドサービス、ドコモオープンイノベーションクラウドを活用し、セキュアな環境での医用映像の共有・蓄積による的確な医療提供の実現、さらに消化器内視鏡診断・治療における遠隔医療への応用に向けた検討を進め、次世代の医療向けソリューションの創出や、新規ビジネスモデルの可能性を探ってまいります」と語っている。

また、今回の実証実験をきっかけに、内視鏡先進医療機関同士の連携と、コロナ禍での質の高い遠隔医療の全国展開が期待されるとオリンパスは述べている。将来的には、5Gを活用して、さらなる低遅延、高精細な医用映像の伝送につなげてゆくとのことだ。

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:NTTドコモ(企業)遠隔医療(用語)オリンパス(企業)香川大学(組織)高知赤十字病院神戸大学(組織)内視鏡(用語)5G(用語)日本(国・地域)

インド通信省が5G試験を承認、中国企業は含まれず

インドの通信省は5月4日、通信サービスプロバイダーに6カ月にわたる5Gテクノロジー試験の実施を許可したと明らかにした。中国を除く複数の国の12以上の企業に承認を与えた。

承認された通信会社にはJio Platforms、Airtel、Vodafone Idea、MTNLが含まれる。これらの企業は元々の設備メーカーやテックプロバイダーのEricsson、Nokia、Samsung、C-Dotと協業する、と通信省は述べた。加えてJio Platformsは自社開発のテクノロジーを使っての試験実施も認められた。

プレスリリースで通信省は中国について特に言及はしなかったが、この件に詳しい人物は中国大手企業HuaweiとZTEは承認を与えられなかったと明らかにした。

同省は、インドの優先順位とテクノロジーパートナーを選んだ通信サービスプロバイダーに承認を与えた、と述べた。実験スペクトルはミッドバンド(3.2〜3.67GHz)、ミリ波帯(24.25〜28.5GHz)、サブGHz帯(700GHz)などさまざまな周波数帯域が与えられている。プロバイダーはまた、5Gの実験を行うのに自社が所有する既存のスペクトル(800MHz、900MHz、1800MHz、2500MHz)を使うことも認められる。

「承認のレターには、5Gテクノロジーの恩恵が都市部だけでなく国中に行き渡るよう、各通信サービスプロバイダーが都市部に加えて過疎地や準都市部でも実験を行わなければならないと明記されています。通信サービスプロバイダーはすでに知られている5Gテクノロジーに加えて、5Giテクノロジーを使った試験も行うことが推奨されています」と通信省は声明で述べた。

「5G実験実施の目的には、特にインドの状況を踏まえた5Gスペクトル伝搬の特性の試験が含まれます。モデルチューニング、選んだ設備やベンダーの評価、在来技術のテスト、(遠隔診療や通信教育、AR・VR、ドローンベースの農業モニタリングなどの)応用テスト、5Gのスマホやデバイスのテストなどです」。

2020年Airtelは世界の企業と部品で協業するという考えにオープンだと述べた。「過去10〜12年、Huaweiのプロダクトは少なくとも当社が使ってきた3G、4Gにおいては、EricssonやNokiaよりも大いに優れていると私が自信を持って言えるところにまできました。当社はこれら3社すべてのプロダクトを使っています」とAirtelの創業者であるSunil Mittal(スニル・ミタル)氏は2020年の会議で述べた。同じパネルで、米商務長官Wilbur Ross(ウィルバー・ロス)氏はインドや他の同盟国にHuaweiを避けるよう促した。

インドと中国の間では2020年、国境での小競り合いで地政学的緊張が高まった。同年初めに中国企業がインドの企業に投資しにくくなるよう法律を改正したインドはその後、TikTokやUC Browser、PUBG Mobileなど中国企業の200以上のアプリを禁止した。

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

ファーウェイは自動車メーカーになることを否定し一次サプライヤーを目指す

ここ数カ月、中国のハイテク企業が次々と自動車分野への進出計画を発表している。検索エンジンを提供するBaidu(バイドゥ)をはじめとするインターネット企業の中には、自動車を生産するために従来の自動車メーカーと協力することを決断した例もある。Xiaomi(シャオミ)は(自社でスマートフォンを製造しているにもかかわらず、)ソフトウェアサービスで収益を上げるライトアセット企業であることを何年も強調してきたが、ここに来て自動車製造に参入する。業界関係者の間で次は誰かという話になれば、Huawei(ファーウェイ)の名前が挙がるのは当然だろう。

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通信機器やスマートフォンのメーカーであるHuaweiは、製造業としての歴史やサプライチェーン管理の経験、ブランド認知度、広大な小売ネットワークなどの点で、いくつかの純粋なインターネット企業よりも自動車の製造に適しているはずだ。しかし、同社は自動車ブランドを立ち上げるという報道を繰り返し否定し、Huaweiの役割は、自動車メーカーやOEM(相手先ブランドによる製造)企業の一次(ティア1)サプライヤーであることだとしている。

同社の輪番制会長であるEric Xu(エリック・シュー)氏は、最近、深圳で開催された同社の年次アナリスト会議で、Huaweiは自動車メーカーではない、と繰り返し述べている。

「2012年以来、中国の主要な自動車OEM企業の会長やCEO、ドイツや日本の自動車メーカーの幹部と個人的に関わってきた過程で、自動車業界にはHuaweiが必要だと気づきました。Huaweiのブランドが必要なのではなく、彼らは未来志向の自動車を作るために私たちのICT(情報通信技術)を必要としているのです」とシュー氏は語り、2018年に発案されたこの戦略に変わりはないという。

自動車の製造業は主に3つの役割で構成されている。1つ目はAudi(アウディ)、本田技研工業、Tesla(テスラ)といったブランド力のある自動車メーカー。間もなくApple(アップル)もここに名を連ねるであろう。そしてBosch(ボッシュ)やContinental(コンチネンタル)などの老舗やここで取り上げているHuaweiなど、自動車の部品やシステムを自動車メーカーに直接供給するティア1企業。さらにNVIDIA(エヌビディア)、Intel(インテル)、NXP(エヌエックスピー)などのチップサプライヤーで、業界のプレイヤーたちが高度な自律運転車に向けて邁進する現在、その役割はますます重要になっている。Huaweiも自動車用チップを自社で製造している。

中国でロボタクシーを開発するスタートアップの幹部は「Huaweiは、次世代のBoschになることを狙っています」と、匿名でTechCrunchに話す。

Huaweiは、ティア1サプライヤーとしての地位を明確にしていて、これまでにBAIC(北汽集団)、Chang’an Automobile(長安汽車)、Guangzhou Automobile Group(広州汽車集団)という3つの主要な顧客を獲得している。

「このような綿密な協力関係は、あまり多くはないでしょう」とシュー氏は断言する。

レベル4の自律走行は実現したか?

画像クレジット:Arcfox Alpha S

中国国営自動車メーカーBAIC傘下の新しい電気自動車ブランド、Arcfox(アークフォックス、極狐)は、現時間4月17日、(「Powered by Intel」ではなく)Huawei Insideの略語であるHuaweiの「HI」システムを搭載したAlpha Sモデルを初公開した。価格は38万8900~42万9900元(約650万~720万円)で、HuaweiのKirinチップを搭載したOS、HarmonyOS上で動作するアプリ、自動運転、急速充電、クラウドコンピューティングなど、Huaweiの機能を複数搭載している。

おそらく最も注目されるのはAlpha Sがレベル4を達成したことで、この点はHuaweiがTechCrunchに断言している。

ほとんどの場面で人間の介入を必要としない、つまりドライバーがハンドルから手を離してうたた寝することができることを意味する大胆な発言だ。

しかし、この主張にはいくつかの含みが残る。Huaweiの自律走行担当ゼネラルマネージャーであるSu Qing(スー・チン)氏は、最近のインタビューで、Alpha Sは「スキル」の面ではレベル4だが「法的」責任の面ではレベル2だと話している。中国では、安全運転者のいない自律走行車のテストが許可されているのは、制限された地域でごく少数の企業に限られており、都市部の道路を走る消費者向け無人走行車にはほど遠い。

結局、Huaweiの「レベル4」機能はデモの中で示されたに過ぎない。デモでは、Arcfoxの車両が(安全を確保するためにドライバーを乗せた状態とはいえ)人の介入なしに中国の混雑した都市を1000km走行している。この車の自動化を実現するのは、3つのLiDAR、6つのミリ波レーダー、13の超音波レーダー、12のカメラなどのセンサー群と、Huawei独自の自動運転用チップセットだ。

シュー氏はこの車の能力について「Teslaよりもはるかに優れている」と語る。

Huaweiの車両は、厳密な意味ではレベル4ではないという意見もある。この議論は、言葉の問題のようにも見える。

シュー氏は「あなたが今見ているHuaweiの車はレベル4であると断言できますが、あえてドライバーを乗せています」と話す。「レベル4のことは、あなたが長距離のMPI(Miles per intervention、ドライバーの介入を必要としない平均走行距離)を達成してから議論しましょう。これはただのデモです」。

前述のロボタクシー企業の幹部は「ドライバーを排除できなければ、レベル4ではありません」と主張する。「デモは簡単ですが、ドライバーの排除は非常に難しいのです」。

「Huaweiが主張するテクノロジーは、レベル4の自律走行ではありません」と、別の中国自律走行車スタートアップの役員は話す。「レベル4の現在の課題は、ドライバー不在にできるかどうかではなく、どうすれば常時ドライバー不在にすることができるか、ということです」。

レベル4であろうとなかろうと、Huaweiは自動車の未来への投資を止めるつもりはないようだ。シュー氏はアナリスト会議で、2021年はスマートカーの部品や技術に10億ドル(約1080億円)以上を投じる予定だと話している。

5Gの未来

5Gが無人運転車の開発を加速する上で重要な役割を果たすと考える人も多く、世界最大の通信機器メーカーであるHuaweiは、世界各地の5Gの展開で多くの利益を上げるだろう。しかし、シュー氏は、5Gは自動運転車にとって必須ではないと主張する。

「自律走行を実現するためには、クルマ自体が自律的である必要があります。つまり、外部からのサポートなしに車両が自律的に走行できなければならない、ということです」とシュー氏。

「自律走行のために5Gや5.5Gに完全に依存すれば、必ず問題が生じます。5Gの基地局に問題が起きたらどうなるか、想像してみてください。モバイルネットワーク事業者は、自社のネットワークをエリア全域に隈なく広げ、どのような状況でも絶対に問題が起こらないようにして、高いレベルの耐障害性を確保しなければなりません。モバイルネットワーク事業者にとっては非常に高いハードルとなり、非現実的です」。

Huaweiは、Boschの市場を乗っ取ることができれば、ティア1サプライヤーとしては十分に満足なのかもしれない。多くの中国企業が、将来の制裁を見越して、あるいは単に堅牢性に劣らない安価な代替品を求めて、欧米の技術サプライヤーから中国国内のサプライヤーへとシフトしている現在において、ArcfoxはHuaweiの自動車分野における野心の切っ先に過ぎない。

カテゴリー:モビリティ
タグ:中国電気自動車Huawei自動運転5GBosch

画像クレジット:Baidu’s autonomous driving car

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(文:Rita Liao、翻訳:Dragonfly)

新iPad ProもApple M1チップ搭載

予想されたとおり、米国4月20日にあったApple(アップル)のSpring Loadedイベントでのビッグニュースは、ハイエンドなタブレットの新バージョンだ。新しいiPad Proは、同社のMacラインナップに導入されたM1チップを搭載した初の製品となる。新しいチップは8コアCPUを搭載し、前世代に使用されているA12Z Bionicよりパフォーマンスは最大50%速くなる。またグラフィック性能が最大40%高速になる8コアGPUも搭載する。RAMは最大16GB、ストレージは2TBだ。

新iPad Proは同社のタブレットとデスクトップの境界をさらに曖昧なものにし、バッテリーは「1日中」持つよう改善された。またUSB-CにThunderboltのサポートを追加し、これにより外部ディスプレイサポートや有線での最大40Gbpsでのデータトランスファーを含む数多くの新機能が利用できるようになる。

画像クレジット:Apple

新iPad Proは5Gに対応しているiPhoneのラインナップの仲間入りも果たした。新iMacのように、新iPad ProはAppleシリコンに搭載した新たなISPのおかげでイメージングが向上した。これは新しいウルトラワイドカメラと一体となっている。120度の視野角、新しい「センターステージ」機能などにより、電話会議能力の改善が図られるはずだ。「センターステージ」はユーザーを追いかけるというもので、一部のスマートディスプレイで見られるテックと似ている。Appleはそのエクスペリエンスを次のように表している。

ユーザーが動き回るとセンターステージはユーザーがショットに収まるよう自動でパンを調整します。他の人が加わると、カメラはそれを感知してみんながショットに入るようスムーズにズームアウトして、みんなが会話に参加できるようにします。ですので、同僚とホワイトボードを使っていると、あるいはバーチャルの家族の集まりに参加しているとき、つながる体験はこれまでよりもさらに没頭できるものになります。

Dolby Atmos(ドルビーアトモス)再生にも対応する4つのスピーカーを搭載している。

Appleのマーケティングチームによると、新しいiPad Pro(さしあたって12.9インチのみ)はグレードアップしたディスプレイLiquid Retina XDRを搭載する。これによりハイダイナミックレンジがかなり向上している。ディスプレイの光源は1万個のマイクロLEDで、バッテリー駆動時間を損なうことなくコントラスト比の大幅改善と輝度1000ニトを実現している。

11インチバージョンは799ドルから、Liquid Retinaディスプレイを搭載した12.9インチバージョンは1099ドルからだ(編集部注:日本では11インチが税込9万4800円から、12.9インチは税込12万9800円から)。本日発表された他のプロダクトとともに、プレオーダーの受け付けは4月30日に開始し、出荷は5月後半に始まる。

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

Google Pixel 5a 5Gは2021年中に米国と日本で発売、チップ不足による中止の噂を否定

時に、噂を鎮めるのに未発表のプロダクトを認める必要がある。それが、チップ不足で中価格帯のスマートフォンがボツになったというAndroid Centralが展開した先の噂を受け、Googleが米国時間4月9日午後に取ったその戦略をとった。

TechCrunchへのコメントで、Googleの広報担当は「Pixel 5a 5Gはキャンセルされていません。米国と日本で2021年後半に発売され、2020年のシリーズ端末と同様の時期に発表されます」と明らかにした。

そのスケジュール感でいくと端末の発売は夏の終わり頃になり、一部の推測の通り、2021年5月に開催されるGoogle I/Oには間に合わない。興味深いことに、Googleは少なくともPixel 5a 5G発売時は販売を2カ国に限定するようだ。それは先の報道にもあった部品不足のためかもしれない。

The Vergeの報道のように、Googleはプロダクトの発表について特に凝ってきたわけではない。同社はPixelのリリースに先立ち、似たようなアプローチを取ったことがある。いずれにせよこれは、噂に対応しないか、そらすかという大手企業が噂を否定するのに取る標準的なアプローチではない。

GoogleはこのところPixelのラインナップについて気が立っているのかもしれない。Pixel製品はモバイル界に旋風を巻き起こさず、これは同社がPixelを大改造することを検討していると長く続いている噂につながっている。それは部分的には何人かの幹部の退社によって確認されてきたようだ。

それでも高級スマホの方では問題があったが、同社の安価な「a」ラインは全体的な数字を押し上げるのに貢献してきた。具体的なスペックについて説明はまだないが、Pixel 5a 5Gは前モデルから大きく変わることはないようだ。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:GoogleGoogle Pixel5Gスマートフォン

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi