Microsoft Teamsのビデオ通話の利用は3月に1000%増加

COVID-19のパンデミックで在宅勤務が一部の企業ではデフォルトになり、そして当然のことく、Zoom、Google Meet、Teamsなどのビデオチャットツールの利用が急増している。ZoomとGoogleからはすでにアップデートがあったが、今日(米国時間4/9)はMicrosoft(マイクロソフト)からの報告が、在宅勤務が増えたことへのTeamsのユーザーの適応ぶりを伝えている。

さかのぼって3月16日に同社は、Teamsを使う会議が9億分に達した、と報告した。そして今度は、それから1か月足らずで、3月31日のたった一日で27億のミーティングを記録した。それらのミーティングでは、ビデオカメラを使うユーザーもこれまでより多かった。全体として、カメラを使ったユーザーは今回の危機が始まる前に比べて倍増し、Teamsのビデオ通話の数は3月に1000%以上増加した。

会議以外にも生産的な仕事はあるはずだが、とにかくTeamsによる会議の数としては膨大な数だ。

ビデオの利用率を国別に分類すると、ノルウェーとオランダがトップで、60%の通話がビデオを使っている。アメリカでは、38%だ。その差は高速ブロードバンドの普及率の差だ、と同社は言っている。

またこの報告によると、ユーザーが一日にTeamsを使う時間も増えている。3月には、人びとが初めてTeamsを使った時間と最後に使った時間の間には平均で1時間あまりの増加が見られるが、でも同社によると、それは必ずしも仕事をする時間がそれだけ増えたのではない、という。仕事以外の個人的用途や、コンピューターを点けたままほかのことをしている、と報告は主張している。

企業がリモートワークに使っているサービスが何であれ、興味深いのはこの危機が終わった後にそれがどれだけ定着するかだ。中国では一部の従業員が仕事に復帰しつつあるが、Microsoftのこの報告では、それでもTeamsのDAUは増加が続いている。しかし一方では、正常に戻ったら利用がたちまち落ちる国や地域もきっとあるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

米疾病対策管理センターは社会に必須のインフラ従業員に「コロナ疑いがあっても無症状なら業務継続すべき」

米CDC(疾病対策管理センター)は新型コロナウイルス(COVID-19)流行抑制に関するガイドラインをアップデートした。これにより「社会に必須のインフラ業務」に従事する人々については新型コロナウイルス患者に接触した後の予防的隔離が緩和される。 これは多数の労働者、特にギグエコノミーやテクノロジー企業の社員に大きな影響を与える可能性がある。

新ガイドラインは、新型コロナウイルスにさらされた可能性のある従業員の隔離を緩和し、以前のように自宅での隔離を強制するよりむしろ職場での予防策の徹底に重点を置いている。

CDCの発表によれば、新ガイドラインは「社会的に重要な機能の継続を確保する」こと目的としている。CDCは、社会的に必須な業務に従事している人々の場合、新型コロナウイルスにさらされた可能性があっても無症状であるなら職場に留まって業務を継続すべきであるとしている。「さらされた疑い」は家族が新型コロナウイルスに感染した場合、または感染したか感染の疑いがある人々から2m以内にいたことが確認された場合を含む。

もちろんCDCはそうした人々が通常どおり勤務していいと助言しているわけではない。 この種のリスクにさらされた人々は勤務に就く前に検温と症状の有無の確認の必要があり、自身でも健康状態に注意を払わねばならない。また少なくとも14日間、勤務先でマスクを着用する必要がある。適切な防護機能を備えたマスクが品不足のために入手できない場合は布マスクでもよいという。また他の従業員から物理的に距離をとる必要があり、使用したり接触した器具等は定期的に消毒される必要がある。

CDCはさらに雇用者に対して「勤務中に体調の悪化があった人々はただちに帰宅させること、 症状が現れる前の2日間にさかのぼって接触した可能性のある人のリストを報告すること」を求めている。

CDCのガイドラインの変更は、水曜日のホワイトハウスのコロナウイルス・タスクフォースの記者会見で発表され、インフラを機能させるために必要な措置だとされた。「新型コロナウイルスの流行中、社会的に必須な重要サービスの中断を防ぐことは極めて重要だ」とホワイトハウスは考えている。新ガイドラインは、常勤社員だけでなく「契約社員」にも適用される。これはAmazonのフルフィルメントセンターの従業員やInstacart、Uber Eatsなどの宅配サービスの配送スタッフなどが含まれるのだろう。

ガイドラインのアップデートに先立って、新型コロナウイルスに関連した多数の労働問題が起きていた。これには労働条件に対する契約労働者の抗議ストライキ重要なサービスの中断などが含まれている。

画像クレジット: CHRIS DELMAS/AFP / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Airbnbが新たに調達した資金で長期滞在の機能を強化

Airbnbは、ビジネスの成長部門に投資しようと、ランディングページに手を加え、長期滞在にフォーカスした新機能を導入する。

数日前にAirbnbのCEOであるBrian Chesky(ブライアン・チェスキー)氏は10億ドル(約1085億円)の資金調達や、3つのコアプロダクトに注力する計画を発表していた。コアプロダクトとはホスト、長期滞在、Airbnbエクスペリエンスだ。同社は10億ドル(約1085億円)をプライベートエクイティファンドのSilver LakeとSixth Street Partnersから債権と株式で調達した。

チェスキー氏は4月6日に、人々とつながり旅行したいという欲求は強まっており「それを具現化する方法は世界が変化するにつれて明らかになるだろう」との考えを示した。

Airbnbは人々の動きがどのように展開されるかを占っている。同社の予測では、その動きは長期滞在に向かう。Airbnbが公開した最近のデータがそうした考えを裏付けている。3月下旬の2週間、居住地と同じ町に長期滞在を予約したゲストの数は倍近くにのぼった。一方、Airbnbホストの80%が長期滞在を受け入れ、同社のリストにあるアクティブ物件の半数が1カ月以上の長期滞在を割引価格で提供している。

4月9日からAirbnbはランディングページで長期滞在をアピールする。同社はホスト向けに長期滞在の利点を案内する通知や、長期滞在の予約を受け付けるリスティングを更新するためのガイドを立ち上げた。ホストがリスティングを管理するのに使うポータルの中に機能を導入することも決めた。

同社によると、4月9日の新しいランディングページ立ち上げ時に、1カ月単位の滞在を提供する物件は100万件超となる見込みだ。これらの物件はキッチンや洗濯機、Wi-Fiなど長期滞在に必要なアメニティが備わっている。

新型コロナウイルス(COVID-19)は旅行産業を崩壊させ、と同時にヘルスケアワーカーや他の必要不可欠な職に従事する人が居住自治体に滞在するための場所を確保する必要性も生み出した。そして長期滞在分野の成長につながった。

しかしこの傾向はすでに2019年から見られていたようだ。Airbnbによると、2019年に予約された滞在7泊のうち1泊は長期滞在のものだった。

長期滞在の強化は、従来の1年単位での賃貸を扱う不動産管理会社との競合につながる。Airbnbの長期滞在は従来型の賃貸のようになっているという、いくつかの証拠がすでにある。

学生や医師、看護師、あるいは長期契約の仕事を請け負う人がAirbnbで6〜9カ月滞在できる物件を探すケースが増えている、とAirbnbは話した。2020年はすでに滞在600日以上の予約があり、今年これまでに予約されたものの中で最も長い滞在は700日超だったという。

長期貸しの促進が法的な措置につながるかどうかは不透明だ。同社は米国や欧州の自治体、観光協会と裁判で争ってきた。2019年12月に欧州の最高裁判所が、Airbnbは本格的な不動産エージェントというより、短期宿泊の設備を探す人々をつなげるオンラインプラットフォームだという考えを示し、同社は重要な法的ハードルをクリアした。この裁定によって、自治体当局はAirbnbに自治体の財産法遵守を強制するのが難しくなること考えられる。

画像クレジット: Phillip Faraone / Stringer / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Googleが公開した「COVID-19コミュニティモビリティレポート」のプライバシー保護の評価と問題点

Google(グーグル)は、同社が世界中の人々についてどれだけ多くのことを知っているかを、より明確に世界に垣間見せている。新型コロナウイルスの危機を契機に、パンデミック発生時における公共の利益に資するよう、ユーザーのロケーションおよび行動履歴の永続的追跡システムを再構成しているのだ。

Googleはこのほど「COVID-19 Community Mobility Reports」(COVID-19コミュニティモビリティレポート)を公開するとブログで発表した。このレポートは同社がマッピングし追跡している詳細なロケーションデータを社内で分析したもので、広告ターゲットの絞り込み、製品開発に利用される他、広範な商業戦略として世界中の人々の移動の変化を集計して提示する。

新型コロナウイルスのパンデミック発生により、世界各国では政府の対応を知らせるツールとデータを大至急用意する必要に迫られている。例えばEUの欧州委員会では、匿名化され集計されたロケーションデータを各電気通信事業者に依頼して入手し、新型コロナウイルスの感染拡大モデルを構築している。

今回のGoogleのデータ公開は、社会政策用ユーティリティと同様の考え方をちらつかせながら、世界中のユーザーから取得したデータから人の移動の変化について公開スナップショットを提供して注目を集めるという意図があるものと思われる。

政策立案者向けのユーティリティという面では、今回のGoogleの提案の効果はかなりあいまいだ。このレポートは政府と公衆衛生当局者向けに「生活に必要な訪問や外出の変化を把握して、推奨営業時間の設定や宅配サービスの提供状況の通知に利用していただく」ものであるという。

同レポートでは「同様に、交通の中心地に向かう人が減少していないことから、バスや電車の便を増やして、どうしても移動する人が間隔を開けて座れるようにする必要があるかもしれない。最終的には、人が移動しているかどうかだけでなく、行き先の傾向も把握することで、担当者が、公衆衛生を保護し、コミュニティの不可欠なニーズを満たすためのガイダンスを策定できるようする」と述べられている。

Googleが公開しているロケーションデータも同様にはっきりしないものだ。プライバシーの侵害を避ける必要があるからだ。同社によると同データには「Google製品で日常的に使用している世界クラスの匿名化テクノロジー」を使用しているという。

Googleは次のように述べている。「今回公開のレポートでは、差分プライバシーを使用している。これはデータセットに人工的なノイズを加えて、個人を特定することなく高品質の結果が得られるようにするものだ。ロケーション履歴の設定をオン(デフォルト設定ではオフ)にしているユーザーから取得したデータセットを集計および匿名化したものを元に、さまざまなインサイトを提供している」。

「Googleマップでは、特定のタイプの場所の混雑具合を示す匿名化された集計データを使用して、その地域の商業施設が最も混雑する時間帯を特定している。公衆衛生当局者の話によると、これと同じタイプの匿名化された集計データが新型コロナウイルスの感染を抑える上で重要な決定を下すのに役立つという」。Googleはこのように指摘し、Googleマップの既存の機能が新型コロナウイルス感染対策のために利用できることをほのめかした。

このレポートは、国または州ごとに用意されていて(当初は131カ国をカバー)さらに地域ごとのレポートも利用可能だ。レポートではコミュニティの動向が、新型コロナウイルス発生前の基準値平均と比較してどのように変わったかを分析している。

例えば米国全土を対象とする3月29日のレポートでは、娯楽関連施設の活動は新型コロナウイルス発生前に比べて47%低下しており、食料品店やドラッグストアへの来店は22%、公園やビーチへの外出は19%低下しているという(Googleのデータより)。

同日のカリフォルニア州を対象とするレポートでは、公園やビーチへの外出は大きく落ち込んでおり(地域の基準値より38%低い)、娯楽関連施設(50%低下)と食料品店やドラッグストア(24%低下)への外出も米国全土と比較して若干低下の度合いが大きい。

Googleによると上記レポートでは「集計の上、匿名化されたデータを使って地域別に、大分類された場所(娯楽関連施設、食料品店やドラッグストア、公園、公共交通機関、職場、住宅)における時系列の動向をグラフ化している」とのことだ。この動向は数週間単位で、48~72時間前の最新情報と一緒に表示される。

また、訪問の絶対数はプライバシー保護の観点から公開していないという。また「プライバシー保護のため、個人の場所、連絡先、移動先といった個人識別情報は、どの時点でも公開していない」とGoogleはいう。

ヨーロッパ諸国で新型コロナウイルスによる打撃が依然として最も大きいイタリアのレポートでは、全住民に対するロックダウン後の変化が示されている。娯楽関連施設の活動はGoogleの基準値と比べて97%、食料品店やドラッグストアへの来店は85%、公園やビーチへの外出は90%、それぞれ低下しているとのこと。

同じレポートから、公共交通機関の活動は87%、職場での活動は63%それぞれ低下しており、逆に住宅での活動は約4分の1(24%)増大していることがわかる。これは多くのイタリア人が通勤せずに自宅待機しているためだ。

イタリアと同様、新型コロナウイルスによって大打撃を被っているスペインでも状況は同じだ。ただ、フランスのデータには、自宅待機命令の影響がそれほど顕著に現れていないようだ。住宅地域での活動の増加は18%に過ぎず、職場での活動の低下も56%に留まっている(これはおそらく、フランスでは、確認されている感染者と死者の数は国全体で増え続けているものの、パンデミックの影響が比較的小さいためと思われる)。

政策立案者は新型コロナウイルス対策を知らせるためのデータとツールを用意するのに懸命になっているものの、プライバシー専門家と市民的自由の保護運動家たちは、こうしたデータを利用する手法が個人の権利に与える影響を懸念する声を上げると同時に、こうした追跡機能の広範な利用に疑問を呈している。

Wolfie Christl @WolfieChristl · 12時間
返信先: @WolfieChristl
Googleのデータの精度が低くなる理由はたくさんある。例えば測定方法、場所の座標へのマッピング、場所の分類など……。

いずれにしても、政府や研究者が今後もGoogleから非個人的な分析結果を取得する必要があるなら、少なくとも、すべてにおいて100%の透明性が確保されていなければならない。

Wolfie Christl @WolfieChristl
その通り。この免責条項の適用範囲は極めて広い。ほとんど宣伝活動でしかない。

これとは別に、Googleは同社のさまざまな二次的データ利用に対し責任を負う必要がある。Google/Alphabetのパワーはあまりに強大で、複数レベルでの対応を早急に実施する必要がある。

経済的なクラッシュを引き起こすロックダウンから西側諸国を救済する潜在的な解決策として、アプリの利用を叫ぶ声がどんどん強まっている。接触者追跡もそうした分野の1つだ。接触者追跡を行うと、中国で起こったように、モバイル端末がロックダウンを強制するツールとなる可能性がある。

「大規模な個人データの収集はすぐに大規模な監視につながる」と簡潔な言葉で警告するのは、ロンドンのインペリアル・カレッジ、コンピュータプライバシーグループに籍を置く3人の研究者たちだ。この3人は、新型コロナウイルス接触者追跡アプリに関するプライバシー上の懸念を、アプリ開発者が検討すべき8つの質問としてまとめている。

Googleが新型コロナウイルス対策としてモバイル端末ロケーションデータを公開したことについて、同グループのリーダーであるYves-Alexandre de Montjoye(イヴ-アレキサンドル・ドゥ・モンジョワイエ)氏は、同ロケーションデータ公開に際してプライバシー上のリスクを軽減するためにGoogleが行った手順を概ね評価する見解を示している。ただし外部の研究者が、Googleの主張するプライバシー保護の堅牢性を評価しやすくするために、使用された技術的プロセスの詳細情報も公開するようGoogleに要求している。

Googleが公開したロケーションデータの技術的側面について、ドゥ・モンジョワイエ氏は次のように語った。「このデータは集計されており、特定の日付セットに正規化されていて、人数が少なすぎる場合はしきい値によってふるいにかけられる。その上、データを差分プライバシーにするために(Googleによれば)ノイズが追加されている。従って純粋に匿名化という観点からすると、悪くない。この3点はプライバシー上のリスク軽減に使用できる主要な3つの手段だ。Googleのデータはいずれの点もよく処理されていると思う」。

「ただし、特に現在のように多くの人がデータを使用している状況では、より詳細な情報を公開して欲しかったというのが私の感想だ。しきい値によるふるいのかけ方、差分プライバシーの適用方法など、こちらで推測するしかない点がいろいろとあるからだ」。同氏はGoogleがどのくらいのノイズをデータに追加したのかという点についても疑問を呈している。「差分プライバシーを適用した方法がもう少し詳細にわかると良いのだが。特に現在のような状況では、透明性が高いに越したことはない」。

Googleのモバイル端末データの公開は、欧州委員会が新型コロナウイルス感染症追跡のため電気通信事業者にメタデータを要求したのと目的は同じだと思えるかもしれないが、データソースの違いによって重大な違いが生じている可能性があると、ドゥ・モンジョワイエ氏は指摘する。

ドゥ・モンジョワイエ氏は次のように述べている。「この2つのデータには常にトレードオフの関係がある。電気通信事業者のデータは基本的に粒度が粗くなる。GPSは携帯電話の場合より、空間的に非常に精度が高く、1日あたり、1人あたりのデータポイント数も断然多くなる。その一方で、電気通信事業者のデータは対象範囲が広い。GPSデータ収集の対象となるのはスマートフォンだけではない緯度の情報がオンになっているユーザーだけでもない。国内にいるユーザー(スマートフォン以外のユーザーも含む)すべてが対象になる」。

同氏は、地域の通信事業者を使った方が解決できる可能性の高い国特有の問題もあるとも指摘する(欧州委員会はEU加盟国あたり1社の通信事業者に、匿名化された集計メタデータを提供させる意向であると語った)。

ロケーションデータはそもそも本当に匿名化できるのかという今問題となっている点について、データ再特定化の専門家であるドゥ・モンジョワイエ氏は「どちらともいえない」と答え、元のロケーションデータを「匿名化するのは相当に難しい」と指摘する。

「このデータを処理して集計結果を匿名化できるかと聞かれたら、おそらくできると答えるだろう。要するに条件次第だ。ただ、元のデータは残っている。たいてい集計データが生成されるまでのプロセスでプライバシー上のリスクが発生しないように、さまざまな制御が適切に行われているかどうかという点が問題になる」(同氏)。

Googleの位置情報の提供についてはもっと大きな問題がある。そもそもユーザーを追跡することについて法的な同意が得られているのかという点だ。

Googleは位置情報の追跡はオプトイン方式に基づいている(つまりユーザー側の許可がなければ追跡できない)と主張しているものの、同社は2019年に、フランスのデータ監視機関により、ユーザーデータの使い方が不透明であるとして5,700万ドルの罰金を課せられた

関連記事:Googleに罰金5700万ドル命令、仏データ保護当局

その後、2020年初めに、欧州におけるGoogleのプライバシー規制を主導しているアイルランドのデータ保護委員会(DPC)は、Googleの位置情報追跡活動の正式な調査を行うことを認めた。これは、Googleが広告ターゲティングの目的でウェブユーザーの位置情報を追跡し続けるため巧妙な戦術を使用しているとするEUの消費者団体からの2018年の苦情を受けたものだ。

「懸案事項の中から提起された問題は、Googleの位置情報の処理の合法性とその処理を取り巻く透明性に関連している」と、DPCは2月の調査発表の声明の中で伝えている。

法的に問われ続けている人々の追跡についての同意に関して、Googleは「ユーザーはオプトインを選択しており、設定で位置情報の履歴をクリアにすることもできる」ことを同社のブログで繰り返し伝えているという弁明をする可能性が高い。(実際の記述例 「位置情報履歴をオンにしているユーザーは、Googleアカウントからいつでも設定をオフにすることができ、いつでもタイムラインから位置情報履歴データを直接削除することができる」)

Googleは今後もこの危機の間、新型コロナウイルスのモビリティポルノレポートの提供を継続していくと明記しているが、さらに同社は 「新型コロナウイルスに取り組んでいる選りすぐりの疫学者が、パンデミックをより明確に把握し感染予測に役立てられるよう、既存の匿名化されたデータセットを更新し、協力している 」と述べている。

また「この種のデータは研究者による疫病の流行予測や、都市や交通インフラの計画、人々の移動性、紛争や自然災害への対応の把握に活用されてきた」と付け加えている。

画像クレジット: 写真 Omar Marques / SOPA Images / LightRocket via Getty Images / Getty Images

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(翻訳:Dragonfly)

新型コロナで需要急増中の遠隔診療コンサルTyto Careが約54億円調達

在宅健康診断デバイスと遠隔診療コンサルテーションアプリのプロバイダーTyto Care(タイト・ケア)が、新たなラウンドで5000万ドル(約54億円)を調達した。

声明によると、本ラウンドは Insight Partners、Olive Tree Ventures、 Qualcomm Venturesがリードし、Tyto Careの累計調達額は1億500万ドル(約114億円)超となった。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的パンデミックにより、需要が急増する中での資金調達となった。Tyto Careのツールキットは遠隔診療の診断ソリューションとして使われており、2019年だけでも売上は3倍超となっている。

同社は2019にBest Buyと提携し、American WellやTeladocなど主要遠隔医療プロバイダーのほとんどと協業している。

既存投資家のOrbimed、Echo Health、Qure、Teuzaなどが本ラウンドに参加したとTyto Careは声明で述べた。

今回調達した資金で、Tyto Careはすでにある診断プラットフォームをベースに新たなツールを購入したり構築したりするとともに、在宅健康テストキットを新分野に拡大する。

Scanwell Healthのような企業は、尿路感染症などの病気の在宅診断テストを提供している。Tyto CareのCEOで創業者のDedi Gilad(デディ・ジラッド)氏は、在宅で行えるさまざまな種類のテストに新しいプロダクトを用意する、とインタビューで話した。

Tyto Careの遠隔診療は現在かなりの需要があり、インスラエルの全病院で新型コロナウイルスに感染した隔離中の患者をリモート診察するのに使われている。他の病院ネットワークもまた同様の使用目的でTyto Careの診断ツールに目を向けている、とのことだ。

遠隔の医療検査はCOVID-19を引き起こすウイルスSARS-Cov-2への曝露から医療関係者を守り、感染していない患者が実際に医療機関に足を運ぶことなく基礎的な健診を受けられるようする。

「過去2年間、Tyto Careはそれまでよりも成長を加速させ、ヘルスケアのあり方の変革をリードしている。遠隔診療は新型コロナパンデミックで注目を集めている。我々のソリューションが、ウイルスとの戦いでヘルスシステムや世界中の顧客を支援していることを誇りに思う」とジラッド氏は声明で述べた。「今回の資金調達は遠隔診療の進化に向けた転換期に行われたものであり、新たな資金で我々は引き続き、最善のバーチャルケアソリューションでもって世界のヘルスケア産業を変えていくことができる」

画像クレジット: Tyto Care

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(翻訳:Mizoguchi

パンデミックは我々が築き上げてきたテクノロジーに何を語るのか

機能不全は新しい日常ではない

チャットアプリで何度も繰り返しシェアされているジョーク*がある。そのジョークは選択式の質問になっていて、次のように問う。

「 職場のデジタルトランスフォーメーションの主役は誰か?」

正解は「A.CEO」でもなく「B.CTO」でもなく「C.COVID-19」だ。

この皮肉を裏付ける事実が少なからず存在する。新型コロナウイルス(COVID-19)は現在比喩的な意味で数多くのボタンを押している。世界中の多くの区域の人々が自宅軟禁にも似た隔離生活に直面している。これは人々や産業に対し多くの「一時停止」ボタンが押された状態だ。オフラインでのほとんどの社会活動および経済活動は突如として手の届かないものになった。

現代のライフスタイルにおけるこのような大規模な一時停止は、時間の経過とともに、物事の在りようを完全にリセットしてしまう可能性がある。今までは、通勤や気ままな旅行熱のために地球にかかる負荷は顧みられることなく、人々の移動は当たり前に受け取られていた。今までのこうした在り方が今後「平常通り」に戻ることはないだろう。

これを機会に世界のリーダーたちが立ち上がったとしたら、新型コロナウイルスによる危機は、二酸化炭素の排出を抑える方向へと舵を切るにはどう社会や経済を築くべきなのかを再考させてくれるきっかけとなるだろう。デジタル接続が利用可能で、またそれが信頼のおけるものである場合に、実際に会って行う必要がある会議はどれほどあるだろうか? 何百万ものオフィスワーカーが在宅勤務するようになりつつある現在、物理的な会議を行う必要性はほとんどなくなっているように思われる。

より多くの活動がオンラインで行われるようになっているなか、新型コロナウイルスは、ブロードバンドサービスを公益事業にするという主張を明らかに後押しする形になっている。全国的な危機に見舞われ、ごく近所の人にもリモートな手段を通じてしか会うことのできない現在、ソーシャルメディアでさえ、本当の意味で公共性のあるものに見える。

外出できない人々がデジタルな広場で思いのままにしゃべるために、再びFacebookに押し寄せているという報告がある。実際の目抜き通りが立ち入り禁止である今、年季の入ったソーシャルネットワークが新たな盛り上がりを見せている。

Facebookは当然この種の高度な社会的目的をすでに理解している。それゆえにFacebookは、自然災害、大事故、テロ攻撃などの異常事態の発生時に、ユーザーが自らを「無事だとマーク」するように誘導する機能を積極的に構築している(あるいは、それこそが民主主義を犠牲にしてでも、Facebookが政治家にそのデータプラットフォームを利用することを説得したそもそもの根拠である)。

平穏な時には、Facebookの「目的」は「暇つぶし」にくくることができるかもしれない。しかし、アテンションエコノミーに対する悪いイメージが増えている現在、Facebookの機能は、猛烈で持続的な攻撃にさらされている。

長期間に渡り、この大手のテック企業は、競合製品に対しスパイ行為買収を行ったり、あるいはクローン製品を作るなどといったエンジニアリング的手段を用い、社会的構造の頂点に立ち戻るように対応してきた。10年以上の間、Facebookはあらゆる手段を用いてこのやり方を成功させてきた。とはいえ、今回の利用の増加はFacebookの功績ではない。人々をだますダークパターンがパンデミックによって自然発生したからである。

ウイルスが蔓延する現在、最も興味深いのは、過去20年間にオンラインで構築されてきたデジタルテクノロジーのどれだけが、このようなディストピアを生き抜くためにうまく設計されてきたかである。

このレンズを通してみると、VRは決定的瞬間を迎えている。実際に目で見ることのできるものを、自ら選択するデジタルアドベンチャーと置き換えて、自宅にいながらにして仮想世界を探索させてくれるフェイスコンピューターはどうだろう。VRをもっと使えるようにするためにどんな工夫がされているか。パンデミック封鎖のためのロックダウンによる概念的な限界が、実際にはどのように影響しているか。

非常に特殊なニッチ的な用途以外では、バーチャルリアリティは豊かで質感のある現実の世界に匹敵する、説得力のある世界にはなれなかった。しかし突如として、我々は全員パンデミックに遭遇した。視野は劇的に狭まり、現実を伝えるニュースは常に悲惨だ。そこで、また皮肉たっぷりのジョークの登場となる。「次の休暇の行き先は?  A.ステイケーション(自宅や近場で過ごす)、B.(自宅の)空き部屋、C.VRによる逃避」

しかし、本当に脚光を浴びているのはビデオ会議だ。パンデミックの力を持ってしてもVRを普及させることはできないことがわかった。その代わりに、しばらく疎遠になっていた友情がZoomのグループチャットやGoogleのハングアウトを通じて再燃している。また、ビデオチャットアプリのHousepartyのダウンロード数が急増している。これはバーが閉まった今、毎晩飲み歩いていた人が別のナイトライフを探し求めているためだ。

関連記事:ビデオ会議アプリのダウンロードが新型コロナ需要で過去最多の週6200万回

退屈した有名人はTikTokアプリで楽しんでいる。InstagramやFacebookライブを通じて即席コンサートがリビングルームからライブストリーミングされている。あらゆる種類の人々が、社会的距離戦略や1人で(または家族とともに)家にこもらなければならないストレスを、リモートな手段による交流で紛らわせている。リモートブッククラブに入会したり、 バーチャルディスコに参加したり、エクササイズセッションにベッドルームから参加する人もいる。友人と過ごす静かなパブでの憩いの時間は、ボトル持参のグループビデオチャットにすんなり変わった。

これは決して通常ではないが、驚くべきことでもない。我々は未曾有の時を生きている。オンラインで人のぬくもりを求めることは、大量破壊と物理的分離(毎日数千人が亡くなるという、現在進行形の公衆衛生における緊急事態というトラウマはいうまでもなく)に対する人間の反応として、それが動くピクセルに過ぎなくても、当然の反応であるように感じられる。物理的接触のない交流でも、まったくないよりはましである。

しかし、これらのツールがすでに存在し、人々がログオンしストリーミングを開始できるよう準備を整えて待機しているという事実は、背筋を寒くさせる。

このことは、消費者向けテクノロジーが、招かれざる第三者の利益を追求する形で、我々の個別の、あるいはグループでの相互の交わり方を作り変えるよう、強力に設計されていることをはっきりと示している。

新型コロナウイルスに見舞われる前は、ソーシャルメディアの持つ、ユーザーを惹きつけフィード消費を受動的な形で行わせてしまう機能、つまり本当の人との付き合いを相手の生活を覗き見的に確認するという形に置き換えてしまう能力が、主な懸念の対象であった。複数の研究により、テクノロジーと孤独やうつ病との関連が明らかになっている。外出し、友人に会うことが文字通りできなくなった今、人との接触の喪失は現実的かつ深刻な問題である。従って、パンデミックの最中にオンライン上で人気が出たとしても、実際にはなんの成功の指標にもならない

関連記事:隔離中だからこそ、メディアが真に「ソーシャル」な存在に

例えば、Housepartyは自らを「対面のソーシャルネットワーク」と謳っているが、それは実際には正反対である。 アプリを通し仮想的に集まるということは、対面での接触を見合わせているということだからである。

Facebookへのアクセスが新型コロナウイルスの流行で急増しているという事実は、同社のビジネスモデルが社会の混乱や悲惨さの中でこそ成功するものであることを示唆している。正直にいえば、我々は既にこのことに気付いていた。データ駆動型の広告テクノロジーとは、人々が何をしているかをこっそりスパイし、広告を見せて購買欲求を掻き立てるよう仕向ける技術と言い換えることができる。コロナウイルスはただ問題の核心をはっきりさせただけである。

デジタルに繋がりを持つためのハイテクツールがこんなにも豊富に存在しているという事実は、この危機にあってはすばらしい偶然の発見のように感じられる。恐ろしい世界的トラウマへの対処を可能にするフリーミアムの大鉱脈を探り当てたというわけだ。しかし気前よく差し出されたこれらのツールは実にいやらしい裏面を持っている。感染性があり、油断ならない狡猾さをもっているのがアテンションエコノミーだ。「普通の生活」が突然中断される前は、この汚れたテクノロジーに付けられていたラベルは「平常時用」というラベルであり、「世界的緊急事態用」ではなかった。

人々の関心(アテンション)を貪るこれらのアプリやサービスの設計が今ほどはっきりしたことはない。つまり、我々を混乱させ収益化の対象とする。人間味を欠くような方法でさりげなく我々の友情や人間関係に入り込んでくる。感情と関係性の在り方をつなぎ替える。直接的な交流を、バーチャルな交流に変えるよう我々に指示する。そしてこのバーチャルな交流の場は、求められてもいないのに我々のプライバシーや社会生活に入り込んできた先ほどの第三者により、データマイニングおよび収益化のために設計されたものだ。

人との繋がりは、このように取り込まれ編集し直され、一連の希薄で無意味な電子的処理に成り下がる。これらのプラットフォームは、個人の犠牲を省みることなく、多数のエンジニアを擁して様々な手段を用いて広告の機会を最大化している。

また今までよりも広大で侵襲的な監視資本主義が出現しているのも偶然ではない。新型コロナウイルスによる緊急事態によって、平常時にはこれらのビジネスモデルを大勢の目から隔てるのに使用される難読化装置が一部取り外されているからである。データを漁るトラッカーたちはこの機会を逃すまいと殺到している。

テクノロジーおよび広告の大手企業は新型コロナウイルスを追跡するためのデータやアプリの提供に関与しようと熱心に取り組んでいる。政府は、命を救うためのツールとリソースを大いに求めている。その中で、すでに大衆を監視するビジネスに関与している大量データ産業のロビイストたちは、現在のパンデミックを絶好の機会として、人々はプライバシーにそれほど関心がないという嘘を押し通そうとしている。

まず、人々を追跡するプラットフォームは人々への攻撃を「関連広告」として潤色し、実際よりも美しく見せた。今や、データ産業複合体は、パンデミックを撲滅する企業の社会的責任として、警察国家並の大量監視を急回転させている。その回転のなんと早いことか。

しかし、プラットフォームは自らの行き先に気を付けるべきである。家に軟禁され自分の携帯電話がスパイ道具にされていることに気が付いた人々は、この奇妙な前例のない時期に親しみやすいビデオチャットにサインアップしたのと同じくらいあっという間に、ハイテク企業を急に非難し始めるかもしれない。

それと、Zoom (そしてその他のビデオチャットアプリ)に忠告。 多くの人が君の「プライバシーポリシー」を実際に読んでいるかもしれない。今人々はオンラインに費やす時間がたっぷりあるのだ。これは相当な危機ではないのか。

Zoomについて、プライバシー、セキュリティに関する新たなホラーストーリーを毎日目にする。なぜ今一時にこうしたことが起こっているのだろう?

答えは簡単。問題は別に新しいものではない。突然皆がZoomを使うよう強制されたからである。そのため、より多くの人が問題に気が付き、オプトアウトができないために、さらにフラストレーションを感じるようになる。

はっきり言おう。 Zoomはマルウェアなのだ。

*ソースは個人のTwitterアカウント「@MBA_ish」

画像クレジット:Bryce Durbin

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳: Dragonfly)

新型コロナによりリアルから仮想イベントのカレンダーアプリへ方向転換中のIRLがカテゴリー1位に

あなたの企業がイベントディスカバリー関連のスタートアップ企業だったとする。ところが突然法律によって人々がイベントに出席することが禁止された場合、どうするか。文化的シフトと転換を推し進めるのが正解だろう。資本金1100万ドル(約12億円)のカレンダーアプリIRLは現在、「In Real Life」から「In Remote Life」に変化を遂げつつある。IRLは今後、ライブストリーミングコンサートからeスポーツトーナメント、Zoomでのカクテルパーティーまで、ユーザーが仮想イベントの検索、招待、計画、共有、チャットできるよう注力していく。

新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により、IRLはより多くのユーザーに関わりのあるものとなった。以前はイベントがどこで開催されるかは非常に重要な点だったが、In Remote Lifeのコンテンツに地理的制限はない。IRLの共同設立者でCEOのAbe Shafi(エイブ・シャフィ)氏は「みなさんの日常生活がすっかり変わってしまったため、ニーズは飛躍的に拡大しています」と言う。4月3日現在、米国のApp StoreにおけるIRLのランクは第138位で、カレンダーアプリとしては第一位、Googleのカレンダーアプリ(第168位)よりも上位である。

IRL In Remote Life Calendar

RobinhoodのJosh ElmanがIRLに参画

この変化を推進するため、IRLは製品開発に携わる新しい人材を迎え入れた。株式取引アプリRobinhoodのプロダクト事業部長であるJosh Elman(ジョッシュ・エルマン)氏を雇用。同氏はGreylockの元インベスターでありFacebook、Twitter、LinkedInでの仕事を手掛けたことでよく知られている。エルマン氏は2018年の初めにRobinhoodに入社したものの、2019年後半に離職している。機能停止が急増しユーザーを激怒させた出来事が起こったのはその後である。

「私は会社が110%を捧げられる人材を何よりも必要としていることに気づきましたが、私がその人物に該当するか確信が持てませんでした」。エルマン氏は現在76億ドル(約8270億円)の価値があると評価され、拡大に苦心するRobinhoodについて語った。「私が第一に情熱を注ぎ、長年にわたって話してきたのは、ソーシャルとメディアでした」

今のところ、IRLは彼にとってパートタイムのギグワークであり、ここではシークレットプロジェクト部門を率いる予定だ。多くのアプリは「ユーザーの時間を奪おうとする」ものであるが、彼はIRLをこの貴重なリソースを人々に還元させることのできるチャンスと考えている。前職に関しては「Robinhoodはすばらしい企業です。私は株主としてとても満足しています」と付け加えた。

ボーダーレスなイベント

「当社は、実際のイベントに関連するアプリの使用率と成長で安定した状態に到達していました」と、Zoomでの会話中にシャフィ氏は話す。新型コロナウイルスによってもたらされたこの状況について「そして今回の出来事がおこったのです」と述べた。「イベントが開催できないため、すべてのコンテンツを回収せざるを得なかったのです」。

4月3日、IRLのiOSアプリは、ユーザーが自宅から参加できる仮想イベントを中心としたホーム画面コンテンツ「Discover」の新デザインをローンチした。ゲーム、ポッドキャスト、テレビ、教育、音楽、料理、ライフスタイル、「楽しいイベント」セクションのタブが追加された。 各イベントをカレンダーに追加してGoogleカレンダーと同期させたり、友人やファンがフォローできるよう「いいね」ボタンをユーザーのプロファイルに追加したりすることができる。また、IRLでイベントに関するグループチャットをすぐに開始したり、Instagram Storiesや他のメッセージングアプリでシェアすることも可能だ。

やりたいことが見つからない場合は、コンポーザーを使って「ビデオチャットをする」「Zoomワークアウト」「ゲームセッション」「Netflixパーティー」などの提案をし、友達とイベントの計画を立てることができる。これにより、他の人々を招待できるカレンダーイベントが自動的に設定される。また、イベントの開催日時がはっきりしない場合は、IRLの「Soon(まもなく)」オプションを使用すると、スケジュールは未定のままで、皆が参加できる時間を確認することができる。実際、シャフィ氏によるとIRLの計画の50%は「Soon」を利用して開始されるとのことだ。厳密な時間、日時カレンダーにニーズのギャップがあることがわかる。

IRLは個々のイベントだけでなく、ワークアウト、瞑想、その他の予定をユーザーがサブスクライブできるようにすることで、習慣として確立しやすくしたいと考えている。スポーツのシーズンは中断されたが、IRLを使用すると代わりにヒップホップアルバムのリリースなどの予定がカレンダーと同期できる。または、インフルエンサーの生活をサブスクライブし、デジタル上でイベントに同行することも可能だ。社会的距離戦略が収まってきたら、オフラインのイベントをIRLのコンテンツの推奨事項に少しずつ加えていくことが目標である。

IRLの最大の課題は、イベント推奨アルゴリズムを調整することである。イベントに対し従来使用されてきた関連性シグナル、例えばイベントが家にどれだけ近いか、費用がどれくらいか、イベントがユーザーの住んでいる都市で行われるかといったシグナルの多くが使用できなくなっている。 In Remote Lifeへの移行は、世界中のさまざまなイベントを誰もが利用できるようになることを意味している。また、無料でイベントを主催できることが多いため、参加するユーザーが少ない質の低いイベントが多数発生している。このためどのイベントを表示するかを決定することが非常に難しくなっている。

今のところ、IRLはホーム画面でユーザーの使用頻度に応じたリコメンド表示をしているが、それでは初期のユーザーエクスペリエンスにはかなり当たり外れがある。筆者が経験したところでは、各カテゴリーのトップイベントが面白そうだと感じることはほとんどなかった。しかし、IRLは、新規ユーザーが使い慣れていくプロセスを強化してユーザーが何に興味を持っているかを質問するとともに、Spotifyと統合することで、ユーザーがどのミュージシャンのオンラインコンサートに参加したいかを把握できるようにする予定である。

いずれにしても、シャフィ氏はIRLが他のソーシャルでない代替手段よりもすでに優れてたものになっていると考えている。「当社の主なユーザーの年齢幅は13歳から25歳で、大学生および大学卒業者のいる大都市圏、および大学のキャンパスで使用されています。IRLの一般的なユーザーは、これまでにカレンダーを使用したことがない人か、GoogleカレンダーやiCalなどのデフォルトのカレンダーを使用したことがあるだけの人です」。

孤独を癒やす

願わくば、自分と同じタイミングで友人に暇があり一緒に遊べるかどうかを把握できるようにする機能をIRLが発達させてくれることを望んでいる。 Down To Lunchがこの分野で失敗した一方、Facebook MessengerやInstagramは自動ステータス機能でその可能性を探っている。SnapMapやZenlyなどの位置情報アプリでは、ユーザーが自分がどこにいるかをシェアするだけでなく、交流する意図があるかをシェアすることができる。

「ほんの少しの刺激、透明性、サジェストによって、毎月のアクティビティを1つでも増やすにはどうすればよいのか」というのがシャフィ氏の問いだ。 IRLはユーザーが「自分は2時間空いている」ということを「相手が応答しない場合でも拒否されたと感じない」方法で、受動的に共有できる方法を見つけようとしている。

Facebookは2016年に独立したイベントカレンダーアプリを立ち上げたが、後にカレンダー機能を組み合わせて、レストランのおすすめに組み込み、Localという名前に変更した。 Facebookほど大きな企業でも、すぐ完璧にできることは限られています」とエルマン氏は以前自身が携わった企業について語った。「彼らは『イベント』機能でもっと多くのことができたのでしょうが、写真の投稿に関してほど絶対的な存在ではありませんでした」

シャフィ氏はこのような基盤となる分野でチャンスを得たことを喜び、カレンダーにおける同コンセプトが定着すると確信している。どれほど長く時間がかかっても、促進するため努力する価値があると考えている。一方で彼に投資しているGoodwater Capital、Founders Fund、Kleiner Perkins、Floodgateは、最終的に収益化につながるよう願っていることだろう。

アプリを介したイベントへのアクセス権の販売や、プロモーターや地元企業に対してディスカバリーを高めることで収益化できるだろう。だが今のところIRLは、イベントやコンテンツパブリッシャーとの深いつながりを構築しつつあり、サイトやメールに組み込むことができる無料の「カレンダーに追加」ボタンもまもなくリリースされる。エルマン氏によると、AppleやGoogleのカレンダーと連携するボタンは一部有料サービスとなるが、多くを無料で提供することで、アプリにイベントを増やし、ユーザーがより多くのことをできるようにしたいと考えている。

「当社のタグラインは『live your best life(自分にとって最高の人生を送る)』です。当社が誰かに価値観を押し付けることはありません。もしユーザーにとっての最高の生活がソファに座って友達とゲームをすることなら、それを楽しんでいただきたいのです」

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(翻訳:Dragonfly)

Twitterのジャック・ドーシーCEOが1000億円超の新型コロナ救済基金を設立

Jack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は米国時間4月7日、一連のツイートで自身が所有するSquare(スクウェア)株10億ドル(約1090億円)を使って新型コロナウイルス救済に特化した基金を設立することを発表した。TwitterとSquare両社のCEOである同氏は、新ファンドをStart Small(スタート・スモール、小さく始めろ)と名付け、支払額と受取人の記録を公開スプレッドシートに掲載している。

ドーシー氏は発表の中で、Start Smallは将来、新型コロナに打ち勝った後は目標を転換し、少女の健康と教育とuniversal basic income(ユニバーサル・ベーシックインカム)に向けるつもりだと語った。

Start Small最初の寄付として、10万ドル(約1090万円)がAmerica’s Food Fundに贈られる。Leonardo DiCaprio(レオナルド・デカプリオ)氏とLaurene Powell Jobs(ローレン・バウエル・ジョブズ)氏が率いる新型コロナ・パンデミックで困難な生活を送っている人たちに食料を提供する取組みだ。

America’s Food FundのGoFundMeページによると、同ファンドの高額寄付者には他に100万ドル(約1億900万円)のOprah Winfrey(オプラ・ウィンフリー)氏、500万ドル(約5億4000万円)のAppleらがいる。

1社ならず2社の上場企業を率いる米国のテック起業家が米国時間4月7日の午後に発信したツイートからわかったことは、とりあえず上記の通りだ。

Start Smallの資金にTwitterではなくSquare株を使った理由については「私はSquare株をずっとたくさん持っている。そして少し時間をかけて売る必要がある」とドーシー氏は後にツイートで説明している。

ドーシー氏の新たなプロジェクトについて、知るべきことがまだたくさんある。どう運営していくのか、(寄付の他に)投資もするのか、基金に興味のある人がどうやって申し込むのかなどだ。TechCrunchはSquareに詳細を質問しているので、情報が入り次第本稿を更新する予定だ。

画像クレジット:Drew Angerer / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

急反発翌日の米国株は高値で寄り付くも終値は微減

米国時間4月7日の米国株式市場は、値を下げて1日を終えた。主要インデックスは乱高下の後、下げ気味で引けた。4月6日月曜日の反発に続き、急上昇で明けた1日も終わってみれば利益は消えていた。何とも複雑な動きの一日だった。テック株重視のNasdaq Composite(ナスダック総合指数)は、3%以上の上昇を見せたこともあったが、終値は0.33%のマイナスだった。

昨今の株価の動きの正しい理由を予想することはほとんど無意味だ。しかし、今日の消えた利益の理由は少なくとも部分的には説明できる。おそらく史上最多となる新型コロナウイルス(COVID-19)による死亡者数だ。ある集計によると、本稿執筆時の死亡者数は1690名を数え、感染者の多い未報告の州がまだいくつか残っている。

今日の株式市場の数字は以下の通りだ。

  • ダウ平均株価:-26.13ドル、-0.12%
  • S&P 500:-4.27ポイント、-0.116%
  • ナスダック総合指数:-25.98ポイント、-0.33%

SaaSおよびクラウド関連株は急落し、この日ベッセマー・クラウドインデックスは1.88%下がった。石油株も下落し、WTI原油は執筆時点で7%以上値下がりしている。

あまりの変動ぶりに圧倒されている人のために、主要インデックスの最近の変化を示しておこう。

  • ダウ平均株価の直近52週高値との比較: -23.4%
  • S&P 500の直近52週高値との比較: -21.63%
  • ナスダック総合指数の直近52週高値との比較: -19.83%

付け加えると、ベッセマー・クラウドインデックスは直近の高値と比較して-24.09%だ。つまり、どこもかしこも下げ相場の領域にいるということだ。月曜日の急騰にもかかわらず。確定拠出年金(401k)を積み立てている人にとっては良いニュースとはいえないが、先週金曜日の方がもっと悪かった。

関連記事:How SaaS startups should plan for a turbulent Q2

今日は市場が上昇を試みたが失敗した。明日の新型コロナのデータが何を我々に見せてくれるのかを待とう。再び市場を押し上げてくれるかもしれない。

画像クレジット:Pixabay /under a CC0 license.

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

医療機器セキュリティ向上のCyberMDXが約22億円を調達

ヘルスケアセキュリティのスタートアップであるCyberMDXは、最新の資金調達ラウンドで2000万ドル(約22億円)を調達したことを米国時間4月7日に認めた。

ニューヨークに拠点を置くCyberMDXは、病院のネットワークに接続された資産とデバイスを管理し、リアルタイムで攻撃を監視するサイバーインテリジェンスプラットフォームを通じて、主に医療機器の保護と病院ネットワークのセキュリティ向上に取り組んでいる。

CyberMDXはわずか4年前に設立されたにもかかわらず、医療分野でより存在の知られたサイバーセキュリティスタートアップの1社となった。同社の研究部門はすでに、麻酔器や呼吸器に使用される輸液ポンプやネットワークプロトコルなど、広く使用されている医療機器に複数の脆弱性があることを発見しており、米国土安全保障省を通じて警告を発している。

2000万ドル(約22億円)の資金調達は、Relyens Groupの一部門かつヨーロッパ最大の保険とリスク管理プロバイダーであるShamが主導し、既存投資主であるPitango Venture CapitalとQure Venturesが参加した。

CyberMDXはこの2000万ドル(約22億円)により、新しい地域や市場に向けてプラットフォームを展開していく予定だと述べている。

今回の資金調達は極めて重要な時期に実施された。世界中の何千もの病院や医療施設が新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによる重圧の中で、CyberMDXは同社のプラットフォームが彼らの負担を軽減できることを望んでいる。

「今日の新型コロナウイルスや前例のない事案を考慮すると、この困難な時期に医療コミュニティを支援することが我々のミッションの一部であると考えている」と、CyberMDXの共同設立者かつCEOのAmir Magner(アミール・マグナー)氏は述べている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Facebookとカーネギーメロン大学が新型コロナ感染マップ作成のためのアンケートを実施

米国時間4月6日から米国の一部のFacebookユーザーは、画面上の小さなポップアップメッセージにより、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するアンケート調査への協力を求められる。カーネギーメロン大学のデルフィ疫学研究センターが行うこの調査は、新型コロナウイルスの世界的な広がりを予測するためのマッピングプロジェクトの一環となる。

どんな調査でも標本の質と量が重要となるが、この疾病地図の場合、多数の回答者による十分に大きな標本を得て、統計学的に有意なマップを作れることが必要だ。カーネギーメロン大学の調査はFacebookから大きな協力を得ることができた。今回の調査がうまくいけば、Facebookは今後、世界のさまざまな地域で同様のアンケートを行っていくかもしれない。

このような調査はユーザーにアプリをダウンロードさせたり、ウェブ上の怪しげなポータルにユーザーを誘導するものが多いが、Facebookの協力が得られれば、世界最大のソーシャルネットワークのユーザーに簡単にアクセスできる。Facebookはその数を明かさないが、米国のユーザーを18歳以上と限定しても、その数は相当なものになる。

2020年3月に新型コロナウイルスが爆発して以来、米国では多くの調査が行われている。例えばPinterestの共同創業者による新しいアプリハーバードやニューヨークのWeill Cornell Medicineなどの研究機関も調査を行なっている。それらのアイデアはいずれも、現在得られる限られた数の検査データを症状に関する自己申告で補っており、地理的な洞察を提供できるというものだ。

これまでの数多くの例に見られるように、ユーザーのプライバシーを大事にしないことが多いFacebookを利用して行われるアンケート調査に、うんざりしているユーザーも多いと思われるが、今回、大学が得るデータにはユーザーの名前などの個人情報はまったく含まれていないし、それらは必要ない。Facebookの発表によると、アンケート調査で得られたデータは、今後の保健医療施設の地理的配置計画に役に立ち、さらにまた外出禁止などの禁令を解除してもよい地域を見つけるためにも役に立つという。

Facebookはこのアンケート調査を同社の疾病予防地図作成というより大きな取り組みのひとつだと位置づけており、同社はその膨大な地図集合をいずれ、「Data for Good」プロジェクトの中で研究者たちに提供していくだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ボーイングが州の在宅命令に従い中型ジェット機787の生産を中断

米国時間4月6日の発表によると、Boeing(ボーイング)は知事の在宅命令に従って南カリフォルニア工場におけるボーイング787の生産工程をすべて中断し、実質的に同社の商用航空機の製造を完全に休止する。

休業は4月8日の第2シフトの終わりに始まる。

ボーイング787担当の同社副社長Brad Zaback(ブラッド・ザバック)氏は「我々のチームメイトの健康と安全を守り、州全体のウイルスの拡大と、我々のグローバルなサプライチェーンの信頼性に対するその影響、ひいてはそれらが787の事業にもたらす影響を評価することは、我々の責務である」。

ボーイングはすでに、シアトル地域の工場を閉鎖している。米国時間4月5日に同社は、ワシントン州のピュージェットサウンド地域とモーゼズレイクの工場における今後の生産も次の発表があるまで中断すると発表している。それらの閉鎖はワシントン州における新型コロナウイルス(COVID-19)の拡散と、それによるサプライチェーンの不安定化が原因だ。

787の生産再開の日程は発表されていないし、同社のその他のオペレーションに関するガイダンスもない。

Boeing South Carolina(BSC)の社員でリモートワークが可能な者は、それを継続する。それができない者は10日間の有給休暇になる。同社によると、それは規定の倍の期間という。閉鎖がさらに続くようなら、従業員は有給休暇の継続または、退社による緊急時失業保険のどちらかを選ぶことになる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米国株が新型コロナの懸念緩和で急反発

米国時間4月6日、米国株が元気を取り戻した。投資家が新型コロナウイルス(COVID-19)に関わるあらゆるプラス要因に飛びつき、主要インデックスはすべてプラス領域に転じた。

株式市場はもちろん経済ではない。そしてこれは、「デッド・キャット・バウンス」、大暴落の後の一時的な小幅回復にすぎない可能性が高い。問題はこれから先何回デッド・キャット・バウンスが起きるかだ。

そして、新型コロナ・パンデミックによる経済低迷が続いている中、新型コロナの新たな感染例の増加が減速しているというジョンズ・ホプキンス大学のデータを投資家は見逃さなかった。現在最も信頼されている同大学の新型コロナウイルスマップによると、3月31日に2万5200件だった米国内の新たな感染者数は、4月3日には3万3300件だった。そして4月4日はこの数字が2万8200に下がった。ただし、若干異なる結果を示している統計データもほかにはある。

今日の復調は、新型コロナの感染拡大が続き、最終的にピークを迎え安定するまで、今後数日、数週間で試されていくだろう。国立アレルギー感染症研究所の所長で政府の新型コロナ対策を指南するAnthony Fauci(アンソニー・ファウチ)博士は、感染者数と死者数は来週急増する可能性が高いと警告している。

今日の株式状況は以下の通りだ。

  • Dow Jones Industrial Average(ダウ平均株価):7.59%、1,597.21ドル高、終値2万2649.74ドル
  • S&P 500:6.95%、172.86ポイント高、終値2,661.51ポイント
  • Nasdaq composite(ナスダック総合指数):7.33%、540.15ポイント高、終値7,913.24

他にも、新たな売上ガイダンスやアナリストのコメントなどの間接的新型コロナ要因が、一部の株価を変動させた。

eBay(イーベイ)、Amazon(アマゾン)をはじめとするEコマース株もプラスの動きを見せた。中でもオンライン小売業のWayfair(ウェイフェア)はおそらくこの分野で最大の上昇だった。同社が3月末決算で粗利益が2倍以上に伸びたことを報告した後、36%高で寄り付いた。Wayfairの株価は41.7%高、終値は71.50ドルだった。

音楽ストリーミングのSpotify(スポティファイ)は、Raymond James(レイモンド・ジェームズ・ファイナンシャル)が同社株の投資判断を「strong by(強い買い)」から「market perform(中立)」に格下げし、新型コロナはエンゲージメント低下とダウンロード数減少を招き、ユーザーは室内で過ごす時間が増えたと説明したことで、株価は4%以上下落した。Spotify株はその日のうちになんとか回復し、終値は約0.33%高の122.52ドルだった。

この日はSaaS関連株も反発し、Bessemerのクラウドインデックスは6.79%上昇した。SaaSなどの新しいソフトウェアを扱う企業は、ここ数年大きく売上を伸ばしている。しかし、インデックス下落の後をたどり、未だに下げ相場の領域にいる。

我々は今、強い不安定経済期の中で決算発表シーズンに入ろうとしている。今後株式市場がどのように動くかは、企業が2020年第1四半期にどのような業績を上げ、将来をどう予測しているかに、少なくとも部分的には依存する。注目したい。

画像クレジット:Heye Jensen / Unsplash

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Modernaに続きゲイツ財団が支援するInovioの新型コロナのワクチンが臨床試験へ

米国時間4月7日、FDA(米国食品医薬品局)は新薬臨床試験(IND)プログラムに基づいて新しい新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンの候補を承認した。これにより直ちにINO-4800 DNAワクチンの臨床試験のフェーズ1が開始される。

開発元のバイオテック企業 InovioではINO-4800 DNAワクチンをボランティア被験者に接種する計画で、動物実験では免疫反応の増加が示されるなど有望な結果が得られている。

InovioのDNAワクチン候補は、特別にデザインされたプラスミド(細胞の核外に存在するDNA断片)を患者に注入する。プラスミドを受け取った細胞における、特定の感染源を標的とする抗体生成を増強させるのが目的だ。DNAワクチンは、獣医学においては各種動物の感染症に対して承認を受け、頻繁に利用されているが、人間への使用はまだ承認されていない。

Inovioの新型コロナウイルスのワクチン開発はゼロから始まったわけではない。これまでにも同社はMERS(中東呼吸器症候群)のDNAワクチン候補のフェーズ1臨床試験を完了し、有望な結果が出している。被験者は高レベルの抗体生産を示し、効果は長期間持続している。

Inovioには優れたスケールアップ能力があり、フェーズ1およびフェーズ2の試験を実施するためにわずか数週間で数千人分のワクチンを製造することができた。同社はこの実験にあたってMicrosoftのファウンダー、Bill Gates(ビル・ゲイツ)氏が創立したBill and Melinda Gates Foundationからの支援を受けている。プロジェクトには他の非営利団体からの資金提供もあった。Inovioでは「 臨床試験が成功した場合、追加試験と緊急使用(承認が必要)のために今年中に100万回分のワクチンを準備できる」と述べている。

INO-4800は、FDAから臨床試験のフェーズ1の承認を受けたたワクチンとして2番目となる。我々も報じたとおり、 Modernaも2020年秋の限定実用化を目指して臨床試験を行っている。Inovioの臨床試験に参加する40人のボランティアはすべて健康な成人で、ペンシルベニア大学フィラデルフィア校のペレルマン医学部、あるいはカンザスシティの製薬会社、Center for Pharmaceutical Researchによってスクリーニングされる。 フェーズ1の試験は向こう数週間続けられ、夏の終わりまでまでに被験者の免疫反応、副作用の有無に関するデータが得られるものと同社では期待している。

新しいワクチンの広範な使用の承認が得られるまでには、1年から1年半以上かかるのが通例だが、新型コロナウイルスに対するワクチンの臨床試験開始のペースは並外れて速い。あまり長く待たずにすむことを期待しよう。

画像クレジット:Alfred Pasieka / Science Photo Library / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

モバイル決済アプリのLydiaが医療機関などに寄付できる機能を導入

フィンテックスタートアップLydia(リディア)は本拠地のフランスで330万人ものユーザーを抱える、同国を代表するモバイル決済アプリだ。それゆえに同社は、当初2020年夏のデビューを予定していた機能のリリースにこの10日間ほど懸命に取り組んできた。その機能とは、チャリティーや病院への寄付を行うためのものだ。

Lydiaユーザーは米国時間4月6日、17のチャリティーから選んでお馴染みのLydia決済手順で送金できるようになった。友達や家族に送金するような流れだ。

寄付は0.5ユーロ(約59円)から可能で、そのつど完了する。定期的な寄付の設定やまとめた寄付は不可だ。

Lydiaはつい最近、少額融資や携帯電話保険、火災保険・公共料金支払いのための無料クレジットといった金融商品のマーケットプレイス「the market」を導入した。マーケットのメニューはプロフィールタブの中に埋もれていた。そして現在、同社はメニューをユーザーアカウントと決済履歴の横のタブに置かれており、その中に寄付のボタンが加わった。

別の方法で寄付することもできる。決済画面で金額を入力して「次へ」をタップするときに、いつもの受取手が並んでいるリストからチャリティを選んで送金することができる。この機能は現在Android端末で利用でき、間もなくiOS端末でも使えるようになる。iOSユーザーは目下、the marketのメニューからのみの利用となる。

Lydiaは17のチャリティを選んでいるが、今後さらに増える見込みだ。リストには公立病院(パリ、ナント、ストラスブール、グルノーブル、リール、ニース)、健康にフォーカスしているチャリティ、そして一般的な公益チャリティ(フランス財団、Fondation 101、世界の医療団、Epic、Action contre la Faim、フランス赤十字社、アベ・ピエール財団、対がん連盟、Réseau Entourage、La Maison des Femmes de Saint-Denis)がある。

もしあなたがLydiaユーザーでなくても、ウェブブラウザからクレジットカードやデビットカードでLydiaの決済を使うことができる(もちろんチャリティのウェブサイトから直接寄付しても構わない)。

また多額の寄付をし、所得税で控除を受けたい場合は、チャリティに直接依頼しなければならない。Lydiaは仲介するだけなので控除を受けるための書類を発行できない。

Lydiaは最終的にはチャリティに寄付する際、その額から手数料を差し引くつもりだ。しかし新型コロナウイルス(COVID-19)危機対応として6月30日まで手数料を免除する。

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(翻訳:Mizoguchi

DataStaxがCassandraデータベースのためのKubernetesオペレーターをローンチ

米国時間3月31日、オープンソースのApache Cassandraプロジェクトを支える商用企業DataStaxが、データベースのクラウドネイティブバージョンを動かすために同社が開発したKubernetesオペレーターをオープンソースで発表した。

DataStaxの最高戦略責任者である Sam Ramji(サム・ラムジ)氏が2019年にGoogleから来て最初に取り組んだのが、KubernetesとCassandraに関して顧客、パートナー、コミュニティメンバーの動向をつかむことだったが、そこでわかったのはサポートが驚くほど限定的だったことだった。

一部の企業はKubernetesのサポートを自分たちで構築していたが、DataStaxには自社サポートと呼べるものがなかった。KubernetesはGoogleで生まれ、そして現在、DataStaxはコンテナ化を熱心に推進している。そこでラムジ氏は、顧客がKubernetesの利用を始めやすくするためのオペレーターがDataStaxにあるべきだと考えた。

「オプションとしてコミュニティに提供しているKubeオペレーターの特別な点は、オペレーターをCassandra向けに一般化して、どこでそれを実装しても使えるようにしたことだ」とラムジ氏はいう。

ラムジ氏によると、多くの企業が独自にKubernetesを運用している企業の多くは、それらは各社の固有の要求に向けて独自化されている。それはそれで結構だが、同社がCassandra上に構築しているため、幅広いユースケースにアピールできる一般的なバージョンを開発したいと考えていたという。

Kubernetesでは、オペレーターはDevOpsチームによるパッケージングの仕方、アプリケーションの管理とデプロイの仕方、それを正しく動かすために必要なインストラクションなどの指示を与える。DataStaxが今回作ったオペレーターは、Cassandraを幅広い前提条件で実行するために特別に作成ししたものだ。

Cassandraは強力なデータベースで、他のデータベースがダウンしても動き続ける。そこでAppleやeBay、Netflixなども主要なサービスを実行するために使っている。この新しいKubernetesの実装により、コンテナ化したアプリケーションとしてCassandraを動かしたいという人は誰でも利用できるようになり、Cassandraをモダンな開発領域へと押し上げられるようになる。

同社はまた、新型コロナウイルス(COVID-19)のためデータベースの利用が増えて苦労している技術者を助ける無料のヘルプサービスを発表した。彼らはそのプログラムを「Keep calm and Cassandra on(落ち着いて、Cassandraを動かそう)」と呼んでいる。Cassandraのようなシステムの稼働の維持を任されている技術者をサイトリライアビリティエンジニア(SREs、サイトの信頼性を維持するエンジニア)と呼ぶ。

ラムジ氏の説明によると「この新しいサービスは完全無料のSRE間のサポート通話だ。我々のSREたちは世界中どこからのApache Cassandraユーザーからの電話に対応する。需要増に対応しようとしているCassandraのバージョンは何でもよい」という。

DataStaxは2010に創業され、PitchBookのデータによるとこれまで1億9000万ドル(約206億円)を調達している。

関連記事:DataStax Lands $106M In Series E Funding(未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ディズニー映画「Artemis Fowl」が新型コロナの影響で映画館をスルーしてDisney+へ直行

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックでほとんどの映画館が閉まっている中、ディズニーは今後の上映予定作品の封切りを遅らせようとしている。そんな中、まったく映画館で上映される予定のない映画も1つある。5月封切り予定だった「Artemis Fowl(アルテミスと妖精の身代金)」は、ストリーミングサービスへ直行する。

ディズニーは米国時間4月3日、この映画のデビューはDisney+でのみ、封切日は追ってお知らせする、と発表した。

ハリウッドのメジャーな映画会社のすべてが、映画館の閉鎖対策で苦戦している。NBCUniversalは「The Hunt」と「The Invisible Man」「Emma」をストリーミングサービスのレンタルで公開し、一応形だけだが映画館でも封切った。「Trolls World Tour(トロールズミュージック☆パワー)」は、公式の劇場封切り日である4月10日にデジタルで公開される(日本では2020年10月に公開)。

その他の映画会社も同じだ。報道によれば、 Paramount(パラマウント)はKumail Nanjiani(クメイル・ナンジアニ)とIssa Rae(イッサ・レイ)のコメディー「The Lovebirds」を、劇場ではなくNetflixで封切る契約をすでに結んだという。ただし、公式には発表されていない。

関連記事: NBCUniversal will break the theatrical window to release ‘The Invisible Man’ and other movies on-demand…NBCUniversalが「The Invisible Man」などをオンデマンドで公開(未訳)

一方ディズニーは、既に「アナと雪の女王2」をDisney+で配信し、さらにピクサーの「Onward(2分の1の魔法)」は劇場公開から数週間後にデジタル化され、米国時間4月3日にDisney+で公開されている。

Kenneth Branagh(ケネス・ブラナー)監督の「アルテミスと妖精の身代金」は、原題「Artemis Fowl」と同名の若い犯罪者の物語で、Eoin Colfer(オーエン・コルファー)のファンタジー小説シリーズが原作だ。当初の封切予定日は2019年8月9日だったが、遅れて2020年5月29日になっていた。

だから、また遅れても不思議ではない。ディズニーには他の映画もある。「Mulan(ムーラン)」や「Black Widow(ブラック・ウィドウ)」そして「Jungle Cruise(ジャングル・クルーズ)」ですら、もっと高い確率で映画館での上映はなくなるだろう。

Disney+のマーケティング担当社長Ricky Strauss(リッキー・ストラウス)氏は「ケネス・ブラナー監督と豪華キャストが観客を、多くの人に愛された本のわくわくするようなファンタジーの世界へ連れていく。読者は何年も前から、映画化を待っていた。家族向けのすばらしいエンターテインメントが、Disney+の夏のラインナップをさらに完璧にするだろう」と語っている。このとおり、ストラウス氏はDisney+の話しかしていない。

画像クレジット: The Walt Disney Company

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

血漿ベースの新型コロナ治療法開発に米政府が約16億円注入

先週我々はEmergent BioSolutions(エマージェント・バイオソリューションズ)の治療学事業部門の責任者Laura Saward(ローラ・サワード)博士に、同社の血漿をベースとする新型コロナウイルス(COVID-19)治療法の開発について話を聞いている。そして今、同社は米国生物医学先端研究開発局(BARDA)から1450万ドル(約16億円)の資金を得たと発表した。BARDAは米保健福祉省(HHS)の一部門で、今回調達した資金は、可能性がある治療法の開発のスピードアップに使う。

Emergent BioSolutionsは、新型コロナに感染し、それによって引き起こされる呼吸器疾患を抱える患者の処置に使う2種類の血漿ベース治療法の開発にすでに取り組んでいる。そのうちの1つは馬から採取した血漿をベースにしたもので、大量生産できることがメリットだ。もう1つは人間の血漿を使用していて、こちらは患者の拒絶反応を引き起こす可能性を抑えられる。

どちらの場合も、患者の免疫を高めることができる「高度免疫」治療製品を開発する1つの方法として回復期患者の血漿を使うというコンセプトに基づいている。研究者や衛生当局が調べている、回復期患者の血漿の他の使用法と似ている。しかし直接注入するアプローチではなく、Emergentはウイルスと戦うための多くの異なる種の抗体を含む血漿ベースのソリューション、しかも予想通りの効果を伴うものを作り出すことで状況を打破しようとしている。

同社はすでにこれらのソリューションの開発に取り組んでおり、似たような治療法を実用化させた以前の経験をフル活用しながら開発、認証、テストを急いでいる。しかし今回、特に人間の血漿を使ったプログラムの開発を加速させるためにBARDAから1450万ドル(約16億円)を得た。計画では、新型コロナウイルスから回復した人の血液を使って開発を行う。同社はまた、すでに献血の回収とスクリーニングを始めている。

次のステップとして、Emergent BioSolutionsのソリューションは米国立アレルギー感染症研究所との臨床試験で確かめられる。同研究所が治療の有効性を判断する。

画像クレジット:zhangshuang/Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Mizoguchi

Disney+が米国でのQ1ダウンロード数でNetflixを上回る

Netflixはまだグローバルのダウンロード数を独占しているかもしれない。しかしDisney+は、11月にサービス提供を開始した米国で大成功を収めている。

Disney+の成功はすでに明白だ。他のレポートではDisney+が2019年米国で最もダウンロードされたアプリで、検索トレンドでも最上位にきていると報告された。そしてモバイル分析会社Apptopiaと顧客管理プラットフォームBrazeの新たなレポートでは、Disneyのストリーミングサービスは2020年も引き続き好調としているとしている。

レポートではDisney+のサービスが米国で始まる前と始まった後を調べており、2020年1〜3月に最も人気だったストリーミングアプリのチャートも示している。

チャートによると、世界で最もダウンロードされたストリーミングアプリはNetflixで、5910万回だった。そして3940万回でYouTubeが続いた。Disney+(現在は欧州とインドでも提供されている)のダウンロード数は1750万回で7位だった。

しかし米国でのDisney+のダウンロード数は1410万回で、これに対しNetflixは1190万回(すでに米国マーケットでは飽和状態になっているのかもしれない)、Huluは810万回だった(主にDisneyが経営を支配している)。

ただ、NetflixとDisneyだけの争いではなく、このどちらも最も使用されたアプリではなかったことは記しておくに値するだろう。米国、そしてグローバルで最も使用時間が多かったのはYouTube Kidsだった。

画像クレジット: ApptopiaとBraze

もちろん新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がさらに人々をストリーミングに誘導している。レポートでは、3月のストリーミングセッションは30.7%増加したと指摘されている。

また、Disney+の成功は新たなストリーミングサービスが受け入れられる余地がまだあることを意味している、とレポートは指摘している(だが単にディズニーのエンターテインメント界独占を反映しているだけかもしれない。QuibiやNBCUniversalのPeacock、WarnerMediaのHBO Maxが今後数カ月以内にサービスを開始するが、同じように成功するかはわからない)。

加えてレポートは、デイリーアクティブユーザー(DAU)に基づく各サービスの使用量を増やすための戦略にも言及している。最も人気のブランドはプッシュ通知の使用が21%、アプリ内メッセージの送信も300%多かった。そして「ファンダム(大規模なコミュニティ)をつくったコンテンツが王様」と結んでいる。

Adult Swimの漫画シリーズ「RickとMorty」が、短期・長期の月間アクティブユーザー数を最も効率的に生み出しているコンテンツだ。「RickとMorty」の最新シーズン期間中、Adult SwimのアプリのDAUは504%増加した。Amazon Prime Videoの「The Marvelous Mrs. Maisel」、HBOの「Game of Thrones」、そしてスポーツイベントも効果的な方法でDAUを増やした。

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(翻訳:Mizoguchi

新型コロナ対策として空港の混雑などを監視するZensorsのコンピュータビジョン

新型コロナウイルスの感染が広がる中、商用のコンピュータビジョン技術が人々の行動を観測する有益なツールになりつつある。機械学習でレストランの空き状況や行列などを追跡するスタートアップのZensorsは、感染拡大防止のために測定のシステム化を必要としている空港などで、このプラットフォームを無料で利用できるようにする。

Zensorsが創業したのは2年前の2018年だが、TechCrunchは2016年に防犯カメラの映像などから有用なデータを抽出するコンピュータビジョンのアーリーアダプターの1つとして同社を紹介した。レストランを映すカメラでテーブルの空きを数え、時間の経過に伴うデータの変化を追跡するのは可能で当然のことのように思えるかもしれないが、数年前にはなかなか思いつかないことで、実現も簡単ではなかった。

それ以来Zensorsは、空港、オフィス、小売店などそれぞれの環境に合わせたツールを作ってきた。座席の埋まり具合やゴミ、行列の見込みなどを調べることができる。偶然ではあるが、人と人との距離を注意深く監視する必要がある現在の状況において、このようなデータは空港などの管理者にとってまさに必要なものだ。

Zensorsはカーネギーメロン大学から生まれた企業だ。Zensorsの共同創業者であるAnuraag Jain(アヌラーグ・ジェイン)氏は同大学に対し、Zensorsの技術を公衆衛生に生かしたいと考える空港などから多くの問い合わせを受けたと語っている

例えば、何人が行列に並んでいるかを数えるソフトウェアを応用すれば、簡単に人々の密集具合を推計し、人が集まり過ぎていたり狭い場所に集中したりしているときにアラートを送信できる。

「これで利益を得るのではなく、無償で支援しようと考えた」とジェイン氏は言う。そこで最短でも今後2カ月間、Zensorsは同社のプラットフォームを「我々のクライアントである空港など、現在の危機に最前線で対応している一部の組織」に対して無償で提供する。

特定のエリアにいる人が多すぎないか、ある場所が最後にいつ清掃されたか、急いで清掃する必要があるか、ある集団の中で何人がマスクをつけているかなど、新型コロナウイルスに関連して知りたい情報を提供する機能がすでに強化されている。

空港ではおそらくこうした情報をすでに追跡しているが、あまり体系化されてはいないだろう。このようなシステムは、清潔な環境を維持しリスクを減らすのに役立つはずだ。Zensorsとしては無償で試用した組織の一部が料金を支払うクライアントになることを期待していると思われる。関心を持った組織は、Zensorsの通常の問い合わせフォームから相談できる。

トップ画像クレジット:Zensors

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Kaori Koyama)