マイクロソフトのXbox Adaptive Controllerは「インクルーシブデザイン」の刺激的なお手本

障害をもつゲーマーは、さまざまな理由で特有の課題に直面している。アクセシビリティー対応のゲーム機周辺装置の少なさもそのひとつだ。Microsoft は、Xbox Adaptive Controller(XAC)でこの問題の解決に向けて大きな一歩を踏み出した。このデバイスは通常のゲームパッドが選択肢にないゲーマーのニーズに答えるべく開発された。

XACは最近のイベントで正式公開されたが、数日前にリークもされていた。デバイスは2つの巨大なプログラマブルボタンと大型の十字ボタンからなっている。後部の3.5 mmポートには、ブローチューブ、ペダル、Microsoft製のアクセサリーなど実に様々な種類のデバイスを接続できる。

これはオールインワンのソリューションではなく、障害をもつゲーマーが最小限の手間で自分専用の操作環境をつくるためのハブのようなものだ。自分のもつ能力、心地よいもの、すでにもっている道具など、どんなものでもXACなら生かしてしてくれる。

本来なら私が詳しく紹介するところだが、Microsoftの驚くほど興味深くて詳細なXACの紹介記事を超えられそうにない。記事にはハードウェアの起源、テスト担当者や開発者の逸話などが満載されている。間違いなく時間を割いて読む価値がある。

このシステムについて、あるいはユーザーがどのように使うかについて追加情報をたのしみにしている。インクルーシブやアクセシビリティーがこのように実用的かつ慎重に研究された形で追求されるところを見るのはうれしいものだ。

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Microsoft、400ドルのSurfaceを発売か

MicrosoftはSurfaceに関して常に高級路線をとり、同社のオペレーティングシステムに何ができるかを、最上位ハードウェアでユーザーに知らしめてきた。サードパーティーのハードウェアメーカーとの結びつきがこれほど強いメーカーとして、意味のあるやり方だ。しかし、「クリエイティブ・プロフェッショナル」のハイエンドなニーズに焦点を絞ってきた商品路線に、近々お手頃バージョンが加わりそうだ。

Bloombergの最新記事によると、Microsoftは年内に400ドルバージョンのSurfaceを発売しようとしている。Appleのどこにであるタブレットと直接競合するための機種だ。もちろん、これまでに多くのメーカーがiPadに立ち向かっては殆どが失敗しており、Microsoftもそうだった。

5年ほど前に同社はSurface RTを発売したが、ほとんど評判にならなかった。近頃タブレット市場が縮小気味になるなか、Microsoftは高級純正ハードウェアのメーカーとしての地位を築いてきた。

新しいデバイスは画面サイズが10インチでAppleの低価格iPadとの直接競合を狙っている。Microsoftの入門機の400ドルという価格は最低価格のiPadよりまだ70ドル高いが、799ドルのSurface Proよりも大幅に安い。記事によれば端末にはSurface最大のセールスポイントと言われるキーボードカバーが付いてこない —— ただし、キックスタンドは付属しており充電にはUSB Cポートを利用する。

Microsoftはこのデバイスについての問い合わせに当然答えていないが、発売は今年の後半になると報じられている。同社が最近Windows 10Sを強く推していることを踏まえると、教育市場向けの低価格機戦略の一環としてこの製品はたしかに理にかなっている。

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Microsoft、Surface Hub 2を発表

Surface Hubを覚えているだろうか? 存在すら忘れているに違いない。しかしMicrosoftは、新バージョンのSurface Hubを発表した。仕様や価格は何も発表されておらず、発売は2019年以降だ —— 一部の顧客は今年中にSurface Hub 2のテストに参加する予定。

Surface Hubは超高価なデジタルホワイトボードで、ビデオ会議から文書作成の共同作業まであらゆる仕事をこなす。現在5000社がSurface Hubを使っていて、その中にはFortune 100企業の半数が含まれている、とMicrosoftは言っている。

それぞれの企業が1台ずつ買ったのか、1000台買ったのかはわからない。しかし、次期バージョンに取り組むだけの関心があることはたしかなようだ。つまるところこれは、タッチスクリーン付巨大ディスプレイにすぎない。Windows 10が動きSurface Penに対応している。

前のバージョンと比べてMicrosoftはベゼルを大幅に削減した。モダンなテレビのような外観になったがアスペクト比は3:2だ。ビデオカメラが本体からなくなったのには驚いた。ビデオ会議のためにはウェブカメラを接続する必要がある。

いちばん興味深いのはコンセプトビデオだ。さまざまな利用場面が紹介されている。壁にかけたり、カートに乗せたり、Surface Hubで壁を作ることもできる。

ユーザーは指紋センサーに指をおいてログインする。そうすることで、自分のアカウントの文書やデータを利用でき、通話も受信できる

Microsoftはことコンピューターにかけては力が入る。これは会社のワークフローによくフィットする革新的フォームファクターだ。この会社がじっとしていないところを見るのは楽しい。Macに劇的な進化が見られない中、Microsoftにはまだ大胆なアイデアがありそうだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

2018年Microsoft BuildカンファレンスのTechCrunch記事

今年のMicrosoft Buildカンファレンスの主要演し物を取り上げたTechCrunchの記事のタイトル集です。日本語がリンクになっているものは、日本語訳があります。これだけ大量の記事を、TechCrunchのFrederic Lardinois氏がほとんど一人で書いています。

Microsoft PayがOutlookに統合
Microsoft Pay comes to Outlook, integrating Stripe, Braintree, Sage, Wave and more

Visual Studioの協業機能、Live Shareが一般公開。デバッグセッションも共有可能
https://techcrunch.com/2018/05/07/live-share-in-visual-studio-lets-you-code-and-debug-together/

Amazon AlexaとMicrosoft Cortanaが統合
Microsoft shows off Alexa-Cortana integration, launches sign-up website for news

AIチャットツールConversational AIの大型アップデート
Microsoft overhauls its conversational AI chatbot tools

HoloLensのエンタープライズアプリ
Microsoft introduces a pair of new enterprise apps for HoloLens

Microsoft 365とその活用API Microsoft Graph
Microsoft wants developers to embrace Microsoft 365 and the Microsoft Graph

手書き文字認識API Project Ink Analysis
Microsoft’s Project Ink Analysis lets developers add handwriting recognition to their apps

MicrosoftとDJIでスマートドローン開発
Microsoft and DJI team up to bring smarter drones to the enterprise

AI音声認識サービスのAPIを統一
Microsoft launches a unified API for all of its AI speech services

ソフトウェア開発をAI化
Microsoft’s new IntelliCode is a smarter IntelliSense

センサーパッケージKinect
Microsoft Kinect lives on as a new sensor package for Azure

FPGAによるディープラーニング加速器Project Brainwave
Microsoft launches Project Brainwave, its deep learning acceleration platform

ライフサイクル管理Visual Studio App CenterをGitHubへ
Microsoft brings its Visual Studio App Center lifecycle management tool to GitHub

エッジコンピューティングのAI化
Microsoft brings more AI smarts to the edge

Microsoftの説では今Windows 10が動いているデバイスは全世界で7億台弱
Microsoft says nearly 700M devices now run Windows 10

AIでアクセシビリティ増強へ$25M投入
Microsoft commits $25M to its AI for Accessibility program

ExcelでJavaScriptファンクションとBI視覚化
Microsoft Excel gets custom JavaScript Functions and Power BI visualizations

Windowsデスクトップとスマホが連結
Without its own phone OS, Microsoft now focuses on its Android Launcher and new ‘Your Phone’ experience

Microsoft Build 2018:キーワードはAIとエッジ――Azure IoT Edgeを大幅アップデート

この月曜(米国時間5/7)からシアトルでBuild 2018デベロッパー・カンファレンスがスタートした。Microsoftはここで人工知能とエッジ・コンピューティングに多大な力を入れている。特に目立ったのは、倉庫管理用の大型産業機器や油井をリモートコントロールするツールなどを含むエッジ・デバイスで作動する多くの既存のAzureサービスへの機械学習の適用だ。

こうしたサービスはひっくるめてAzure IoT Edgeと呼ばれているが、Build 2018で大幅なアップデートが発表された。IoT EdgeはAI、Azure、IoTデバイス向けカスタムアプリ各種からなる。

Microsoftが今日発表したAzure IoT EdgeはMicrosoftのIoT Hubサービスをベースとしているが、Event Grid やKubernetesコンテナのサポートと同時に同社のCognitive Services APIのサポートが発表された。 加えてMicrosoftはAzure IoT Edgeのランタイムをオープンソース化した。つまりデベロッパーは必要に応じてランタイムをカスタマイズすることができるようになる。

今回のハイライトは、エッジ・コンピューティングに対するCognitive Servicesのサポート開始だろう。現在このサービスは限定版となっており、Custom Visionの視覚サービスのみが利用できる。しかし将来は他のCognitive Servicesに範囲を広げる計画だ。このサービスの魅力は明らかだ。大型の産業用機器からドローンまで各種のデバイスがインターネット接続なしに機械学習を応用したサービスを利用できる。視覚サービスの場合であれば、オフライン状態でも機械学習モデルを使った対象の認識が可能になる。

AIに関しては、エッジ・コンピューティングをリアルタイムAI化する新しいBrainwave深層ニューラルネットワーク・アクセラレータ・プラットフォームが発表された。

MicrosoftはQualcommと提携し、IoTデバイス上で機械学習に基づく推論を実行できるAIデベロッパー・キットを発表した。 最初のバージョンはカメラの利用を中心としたものとなる。
Qualcommが最近独自の ビジョン・インテリジェンス・プラットフォームをスタートさせたことを考えれば驚くには当たらない。

IoT Edgeは機械学習関連以外の分野でも多数のアップデートを受ける。Kubernetesのサポートが開始されるのは大きい。またスマートな決断でもある。デベロッパーはKubernetesクラスターをビルドすることによってエッジ・デバイスとクラウドサーバーの双方にまたがるソフトウェアを容易に開発できるようになる。

Microsoftのイベント・ルーティング・サービスであるEvent Gridがエッジでサポートされるのも順当だろう。サービスを協調動作させるためにいちいちリデータセンターのサーバーを経由するのでなしに、エッジで直接ルーティングができればレイテンシーははるかに少なくなるはずだ。

この他、 IoT Edgeではマーケットプレイスの開設も計画されている。このマーケットプレイスではMicrosoftパートナー、デベロッパーがエッジ・モジュールを共有し、収入を得ることができるようになる。また新しいハードウェア認証プログラムでは、デバイスがMicrosoftのプラットフォームと互換性があることをメーカーが保証できる。IoT Edge、 Windows 10 IoT、Azure Machine Learningでは近くDirextX 12 GPUによるハードウェア・アクセラレーション・モデルの評価をサポートするようになる。DirextX 12 GPUはほぼすべての最新のWindowsパソコンで利用可能だ。

〔日本版〕Build 2018のセッションのライブ配信はこちら。Kevin ScottはMicrosoftのCTO。上のアニメでは1982年、高校時代のKevinが登場してマイクロコンピューターこそ未来だと主張する。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Microsoftの説では今Windows 10が動いているデバイスは全世界で7億台弱

同社のデベロッパーカンファレンスBuildでMicrosoftは今日(米国時間5/7)、7億弱のデバイスがWindows 10で動いている、と発表した。ほぼ1年前には、この数字は5億だった。同じく今日の発表によると、Office 365の月間アクティブ商用ユーザーは1億3500万で、昨年10月の1億2000万から増加した。

2015年にWindows 10をローンチしたときの、Microsoftの最初の目標は、2018年に10億台のデバイスに達する、だった。しかしすぐにそれは、楽観的すぎることが明らかになった。Windows 10のユーザーは今も着実に増え続けているが、近日中に10億に達することはなさそうだ。

Microsoftが喜んでいるのはむしろ、Office 365と関連のMicrosoft 365の登録会員制がうまくいってることだろう。至近の二つの四半期では、Office 365のユーザー数は前年同期比で30%増加し、売上額はそれを上回る比率で増加した。

比較的新しいMicrosoft 365についてはまだ数字がないが、これはWindows 10とOffice 365とモバイルのデバイス管理と企業向けセキュリティツールをセットにした有料会員制サービスだ。しかし今年のBuildカンファレンスでMicrosoftはこの新しいサービスをとても強調していたから、そのうち会員数などの数字が出てくることだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Visual Studioの協業機能、Live Shareが一般公開。デバッグセッションも共有可能

今日(米国時間5/7)Microsoftは、同社主催のデベロッパー・カンファレンスBuildで、以前発表したVisual StudioおよびVisual Studio codeの協業開発機能、Live Shareを全デベロッパーに公開すると発表した。これまではプライベート・プレビューのみだった、今後は無料版Visual Studio codeエディターのユーザーを含め誰でも利用できる

Live Shareは、ある意味でGoogle Docsの協業機能と似ている。デベロッパーは全員のカーソル位置や、同僚がタイプしているところをプラットフォームによらず見ることができる。Live Shareセッションに参加しているデベロッパーは、自分の気に入った(カスタマイズされた)環境をそのまま利用できるため、従来の画面共有と比べて柔軟性がずっと高い。

MicrosoftがBuildで特に強調していたのが、デバッグセッションも共有できる機能だ。これは全員がブレークポイント設定してログを見ることができることを意味している。コードを書くことは重要だが、デバッグセッションを共有できることは、多くのデベロッパーにとってそれ以上に重要かもしれない。

Live Shareは、C#、Python、Java、Go、C++を含む主要プログラミング言語で利用できる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

雲の中(クラウド)に頭を突っ込んだMicrosoftは株主の頭上にドルの雨を降らす

クラウドビジネスの好調もあって、Microsoftの決算は株主たちをドル漬けにしている。

2018年3月31日で終わる四半期(2018Q3)でこのレドモンドの巨大テクノロジー企業は、売上が16%伸びて前期232億ドルから268億ドル、営業利益は23%伸びて67億ドルから83億ドルになった。

利益は55億ドルから74億ドルという巨額に増え、FactSetによると、希釈後の株式一株あたり利益はアナリストの予想85セントを上回る95セントだった。

利益が予想を上回ったにもかかわらず、Nasdaqにおける同社の時間外は1%下落した。

Microsoftを浮上させた本四半期の成功は、その多くを同社のクラウドビジネスの継続的な強さに負っている。この点についてCEOのSatya Nadellaは、声明でこう述べている:

“弊社の当四半期の結果は、人びとと企業がMicrosoft Cloudに置いている信頼を反映している。弊社は、インフラストラクチャやAI、生産性およびビジネスアプリケーションなどの主要な成長分野でも、イノベーションを続けている”。

同社はこの四半期(2018Q3)に、株主たちに配当と株式買い戻しで63億ドルを還付した。これは、37%の増である。

同社はそのほかの部門でも好調だった。93%の成長率を見せたAzureが引っ張るクラウドビジネスに加えて、LinkedInは売上37%増の13億ドル、Surfaceによるハードウェア部門の売上は32%増加した。

Microsoft Officeをクラウドからの提供に変えたことさえも、同社のかつてのドル箱製品の止血、という好結果をもたらした。同社によると、Office 365の企業ユーザーは1億3500万、消費者ユーザーは3060万人である。

Surfaceの数字は注目に値する。それは、同社のハードウェアの成功が必ずしもXboxに限定されないことを、初めて示したからだ(携帯音楽プレーヤーZuneに関するジョークをここに書きたかった)。

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Microsoft翻訳が新AIアルゴリズムでオフライン化――サードパーティーのデベロッパーも利用可能

外国に旅行するとき自動翻訳アプリをインストールしていく人は多いだろう。しかしいざというときにインターネット接続がなかったら? 旅行先ではありがちだ。たいていの翻訳アプリはオフラインでも作動する。しかし高度な、ということはつまり処理量の大きいクラウド上の機械学習アルゴリズムを利用することができない。これまではMicrosoft Translatorもその例にもれなかった。

しかし今日(米国時間4/18)からAmazon FireAndroidiOSのアプリはオフラインでも(多少の変更は行われているものの)ニューラルネットワークを用いた翻訳が実行できるようになる(iOSユーザーあと数日待つ必要あある。現在アプリをAppleがレビュー中)。

このアップデートで興味深いのはMicrosoftがどんなプラットフォームでもAI処理を実行できるということだ。これまでのようにAI処理専用のカスタムチップを必要としない。

Microsoftの Arul Menezesは私の取材に対して、「新しい翻訳アプリは劇的に改良されている」と答えた。従来のアプリが依拠していた古い機械学習が不自然な文を生成しがちだったのに対して、今回のバージョンで採用された新しい機械学習のアプローチははるかに優れているという。しかもアプリのサイズも従来の半分だ。現在対応言語はアラビア語、簡体字中国語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、日本語、韓国語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語、タイ語だが、今後さらに言語を増やしていくという。

Menezesによれば、Microsoftはこのローカルデバイス上のニューラルネット翻訳をHuaweiと共同で昨年から開発を始めたのだという。当初、Mate 10と Honor 10のAIコ・プロセッサを利用したが、Menezesによれば「細心の注意を払ったエンジニアリング」のおかげで開発チームはAI専用チップの必要を失くすことができた。

またデータセンターのサーバーに比べればモバイル・デバイスの能力は限定的なのでチームはモデルを多少スケールダウンせざるを得なかった。つまりオフラインで翻訳をさせた場合、オンラインの品質に達していない場合があり得る。しかしMicrosoftでは「オンラインとオフラインの翻訳品質の差はほとんど気づかれない程度だ」と述べている。「新しいニューラル翻訳はオフラインであってもわれわれの古いオンライン翻訳をはるかに上回っている。その差は大きい」という。MenezesはMicrosoft翻訳をGoogle翻訳と比べることもためらわなかった。

今回のアップデートでオフライン翻訳が可能になったが、同時に、Microsoftは他のAndroidアプリのデベロッパーにもこの能力を開放していく(もちろん有料だろう)。つまりサードパーティーのアプリはバックグラウンドでMicrosoftの翻訳アプリを呼び出し、翻訳を実行させ、表示することができる。オフラインであれば、アプリは翻訳アプリをオフラインで動かし、オンラインであればクラウド上で実行し、結果を受け取ることになる。

画像:Christophe Morin/IP3 / Getty Images

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Microsoftのデータ保護問題に決着――米最高裁、 CLOUD法成立により過去のデータ提出命令を無効と決定

ユーザーデータの保護をめぐってアメリカ政府とMicrosoftの間で長く続いていた法的紛争が終結した。最近CLOUD法が成立したことを受け、アメリカ最高裁はMicrosoftとアメリカ政府の紛争を無意味になったとして退けた (PDF) 。Microsoftは今後はCLOUD法に基づくデータ開示命令に従い、アイルランドのサーバーに保存されたユーザー・データを合衆国政府に引き渡すことになる。

これまでMicrosoftはアメリカ政府がアイルランドに所在するデータを入手するためにはアイルランド政府を通じるべきだと主張していた。

当初のデータ開示命令が発行されたのは2013年にさかのぼり、政治対テクノロジーのグローバル化を象徴する事件となっていた。アメリカの司法当局が麻薬取引事案に関連してMicrosoftに個人データの引き渡しを要求したのに対し、同社は問題のデータはアイルランドのサーバーのみに保管されているため、データへのアクセス要求はアイルランド当局を通じるべきだと反論していた。

これに対してアメリカ政府はMicrosoftはアメリカ企業であることを指摘し、法的論争が何年も続いた。 これまでのところMicrosoftの主張がやや優勢であり、一国の政府がグローバル企業の持つ個人データに簡単にアクセスできるようになることを快く思わないプライバシー保護主義者を喜ばせていた。

紛争が最高裁にまで持ち上げられる間、議会ではCLOUD法が可決された。これは何千ページにもなる多数の法案や予算案の中に紛れ込ませた法案で、トランプ大統領も全体があまりに大きくて拒否権を行使できなかった。CLOUD法は合衆国政府の企業のデータへのアクセス権を明示的に定めたもので、Microsoftの主張を事実上無効化していた。

新しいCLOUD法によれば、司法当局が裁判所を通じて適切に要求した場合、企業は当該データが「アメリカの国内にあると国外にあるとを問わず」命令に従わねばならない。

GoogleやAppleなどのグローバル・テクノロジー企業と並んでMicrosoft自身もCLOUD法を支持していたので、最高裁の今回の決定に驚いてはいないだろう。CLOUD法にいくつもの欠陥があるのは確かだが、重大犯罪について捜査が国際化するのが日常的になってきたため、そうしたデータへのアクセス方法を明文化する必要性があるとして、プライバシーと人権の擁護者側からも慎重ながら支持する声が上がっていた。

Microsoftは以下のように声明を発表した。

COUD法が大統領の署名を得て発効したことを受け、最高裁がわれわれとアメリカ政府との法的対立を無効として退けたことを歓迎する。従来からデジタル化された証拠の国際的な収集方法を律するする新しい法の制定と国際協定の締結がわれわれの目標だった。これは個人のプライバシー保護に十分に配慮したものでなくてはならない。イギリス、オーストラリアもこの点について留意しており、CLOUD法は国際協定を推進する趣旨なのでわれわれはアメリカ政府が速やかに各国政府と交渉を開始することを望む。

今回の決定やCLOUD法がプライバシー保護に与える影響を断定するのまだ早すぎるし、そうすることは軽率だろう。誰がどのように運用するか、法的疑義が生じた場合裁判所がどう判断するかによって大きな違いが生じるはずだ。おそらくは善悪入り交じった影響が出るだろう。今回のような法律的紛争が再び起きることも避けられない。議会、企業、プライバシー保護団体等、いずれも今後に注目している。

画像:Brooks Kraft LLC/Corbis

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Windows 10がYubicoのSecurity Keyでパスワード不要のログインをサポート

先週、パソコンなどのUSBポートに接続する人気の高い認証用ドングルYubiKeyを作っているYubicoが、同社の20ドルのSecurity Keyが、認証技術の新しいスタンダードFIDO2/WebAuthnをサポートする、と発表した。発表の中で同社は、FIDO2はパスワードの終焉の先駆けになるかもしれないと述べ、さらに、MicrosoftもWindows 10とAzure Active DirectoryのユーザーにYubico Security Keyをサポートすることによって、このスタンダードを強く推していく、とも述べた。

この新しい機能はプレビューの段階で、Windows Technology Adoption Programのユーザーだけが利用できる。しかしWindows 10の次のアップデートでは、FIDO2によるパスワード不要のログインが幅広くサポートされるだろう。それがいつになるかは不明だけど、でもそうなったら、Azure Active Directoryに管理されるデバイスにパスワードを入力せずにサインインできる。

YubicoのCEOでファウンダーのStina Ehrensvärdは、今日の発表でこう述べている: “YubicoのSecurity Keyを使用するMicrosoftのFIDO2の実装はまさに、パスワード不要の世界の始まりを告げるものである。しかしこの技術の展開は今後、至るところで見られるようになるだろう。パスワードは個人と企業の両方にとって長年の痛点であり、そして今ではついに、この問題を大きな規模で解決できる統一的なオープンスタンダードをわれわれは開発した”。

今のところ、対象は主にエンタープライズのユーザーだ。しかしMicrosoftはすでにWindows Helloで、Windows 10に顔認識や虹彩スキャン、指紋認識などによる、Windowsマシンへのパスワード不要ログインを提供している。

今日の発表に先駆けてYubicoは、同社のデベロッパープログラムも発表した。それは、同社のキーがサポートするFIDO2やU2Fのようなプロトコルのサポートを実装したいと考えている企業向けのサービスだ。

参考記事

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Microsoftが新しいIoTサービスのために独自のLinuxカーネルを作った

今日(米国時間4/16)サンフランシスコで行われた小規模なプレスイベントでMicrosoft は、マイコンを使用するデバイスを対象とする、安全なエンドツーエンドIoTプロダクトのローンチを発表した。それらは、小型で消費電力の少ないマイコン(micro control unit, MCU)を使って最小限のコントロールやネットへの接続を行うデバイスだ。そのようなデバイスは、玩具や家庭用品、産業向けアプリケーションなど、さまざまなところで使われているが、頻繁なアップデートは行われず、セキュリティに不安のあるものが多い。

今回のAzure Sphereと呼ばれるプロダクトは、機能性能等が一定の基準を満たす一連の証明済みのMCUsを対象とする。そしてMicrosoftの法務部門のトップBrad Smithが今日の発表で強調しているのは、チップに対するAzure Sphereの認定ライセンスを無料にして、そのエコシステムの立ち上げに勢いをつける、という点だ。

アップデートや遠隔測定が困難なデバイスはセキュリティも困難だから、まずそれがインターネット接続機能を内蔵していることが重要だ。そしてその接続機能により、Azure Sphereのクラウド上のセキュリティサービスにもアクセスする。

ということは、それらのデバイスではWindowsが動くのだろうか? いや、違う。Microsoftはこのプロダクトで初めて、独自のLinuxカーネルとディストリビューションを立ち上げる。そのAzure Sphere OSと呼ばれるオペレーティングシステムは、今日のMCUsの多くが使っているリアルタイムオペレーティングシステムの、Microsoft独自のアップデートだ。

Windowsのエンタープライズとセキュリティのためのパートナー担当部長Rob Leffertsは、今日の記者発表でこう述べた: “Azure SphereでMicrosoftはまったく新しい種類のIoTデバイス、すなわちMCUに対応する。Windows IoTはMCUの少なくとも100倍のパワーのあるマイクロプロセッサーユニット(microprocessor units, MPUs)〔通常のCPU〕の上で動くが、Azure Sphere IoT OSに使われているMicrosoftがセキュリティを強化したLinuxカーネルでは、OSSのライセンスのもとにチップレベルのパートナーたちが迅速に新しいイノベーションを実現できる”。

そしてそれらのパートナーたちも、オープンソースのリリースを自分たちの製品に組み込めるので、とても気が楽である。

このプロジェクトで最初にスタートを切るのが。MediaTekの一連のMCU新製品群だ。これらは、低電力消費シングルコアのARM-A7システムで、スピードは500MHz、Wi-Fi接続機能と、そのほかいくつかのI/Oオプションを備える。

オープンなエコシステム、という点では、Smithによると、それらのデバイスはAWSやAlibaba Cloudなど、そのほかのどんなクラウドの上で動くサービスからも使用できる。

実はAmazonのAWSも昨年のre:Inventデベロッパーカンファレンスで類似のプロジェクトを発表している。デバイスが特定のクラウドに縛られず、しかしクラウドサービスと組み合わさってこそ真価を発揮するのだから、これら大手のクラウドプロバイダーたちがMCUsに関心を寄せるのも当然だ。たとえば新しいデバイスの認証や、オペレーティングシステムのアップデート、それらデバイス上で動くソフトウェアの管理、などでAzure以外のクラウドが利用されることを、彼らは期待するだろう。

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Windows 10のCreators Update配布開始は遅れる――重大バグ発見との情報

昨日配布が開始されるはずだったWindows 10 Spring Creators Updateがまだやって来ないのはどうしたわけかといぶかっている読者も多いだろう。どうやら、かなり長く待つことになりそうだ。Windows CentralのZac Bowdenの記事によれば、Microsoft が今回のアップデートに重大なバグを発見したため、リリースは「2、3週間遅れる」可能性があるという。

Microsoftが今年の春のクリエーターズアップデートの日付は4月10日だと公式に発表したことはないので同社はアップデートをできるだけ早く出荷するよう強い圧力を受けているわけではない。

とはいえ、予定がこれほど遅れるというのはユーザービリティーかセキュリティー関係の重大なバグが発見されたのだろう。プレビュー版を試用したとき、私は特に不都合を感じなかったから問題はセキュリティー方面にあったのだと思う。

Microsoft自身はこの問題について異例なほど沈黙を守っている。もちろん同社としては不完全な製品版を急いでリリースするより、当面プレビュー版のアップデートを続けながらバグを潰していくほうよい。

情報をつかんだ。MicrosoftはCreators Updateのロールアウトを4/10に予定していた、しかしこの週末重大なバグが発見され、配布は延期された。7133.73で修正されているのか、新たなパッチがリリースされるのかは不明。RS4は2、3週間後に発表となる可能j性がが高い。

プレビュー版を利用した体験からいえば、今回のSpring Creators UpdateはWindows 10のアップデートとしてもっともエキサイティングなものだと思う。特にアプリの作業履歴を全デバイスで記録して即座に呼び出せるクロスプラットフォーム・タイムライン機能はすばらしい。

そういうわけでCreators Updateのリリースは各方面から強く期待されていたが、同時にやや奇妙な点もあった。 これはMicrosoftのWindowsの責任者、Terry MyersonがMicrosoftを去ることを発表した後、最初のメジャーアップデートになる。またメディアはそろって「春のクリエーターズ・アップデート」と呼んでいるものの、Microsoft自身はこのアップデートの名称を明らかにしていない。おそらく来週以降、各種の情報が入ってくるだろう。Microsoftとしては5月のBuildデベロッパー・カンファレンスまで、あるいは少なくとも春の終わりまでにはリリースする必要を感じているだろう。

読者がこの件に関して何か情報をお持ちならfrederic@techcrunch.comにメールするかTwitterでDMしていただきた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Skypeの通話をコンテンツにできる(録画、ストリーミング、他での利用、等)モード登場

Microsoftはポッドキャストやビデオの人気に乗じて、コンテンツの作者にとってのSkypeの魅力を高めようとしている。同社が今テストしている“Skype for Content Creators”というモードでは、今使っているSkypeそのものの能力で、通話中にビデオなどのコンテンツを入れたり、あるいは逆に通話を録音録画できる。また、通話中のビデオや音声をライブでストリーミングしたり、ほかのアプリケーションにインポートして編集しポストする、などのことができる。

この機能は現在“プレビュー”で、一部の選ばれたユーザーがテストしている段階だ。

同社のブログ記事によると、Skype for Content Creatorsにより、デジタルのブロードキャスターや、ストリーマー、ヴロガー(vlogger, ビデオブロガー) などが、ビデオ通話を録画したり、ふつうの通話をポッドキャストしたり、通話をライブでストリーミングしたりできる。そのために別途高価なスタジオ設備などを買う必要がない、とそのブログ記事は言っている。

すなわちWindows 10とMacのユーザーはSkypeのContent Creatorsモードを使って、通話を直接、NDI対応のソフトウェア、WirecastXsplitVmixなどへ入れたり録画録音したりできる。つまりこれからは、そのために別途、録画録音やスクリーンキャプチャのためのソフトウェアが必要ない、ということだ。通話をコンテンツとして扱うとき、そのルック&フィールもカスタマイズできる。

この機能がいちばん合っているのは、Skypeでやっているビデオチャットを録画することだ。それを、各週の視聴者参加番組にしたりするとよい。また、通話を他のプラットホームへライブでストリーミングしてもよい。FacebookやTwitterやYouTubeなどと同格に。

通話をライブでストリーミングしないときは、それを録画して他のアプリケーションから編集したりできる。たとえばAdobe Premier ProやAdobe Auditionが使える。

Skypeの多機能化は、これまでも試みられた。たとえば昨年はSkype Interviews立ち上げ、求人側が応募者のプログラミング能力をチャット中にテストできるようにした。

このように、新しい機能は特定のターゲットを想定している(求人側、コンテンツ作者、など)。Skypeの成長カーブはここ数年横ばいだから、新しいユーザー獲得のための新しい魅力を作り出していくことが、きわめて重要になっている。2016年のMicrosoft Buildでユーザー数3億と言われたが、それはそれより数年前のSkype 10周年記念で発表された数と同じだ。

ビデオをコンテンツ作者のためにストリーミングしているのはMicrosoftだけではなく、たとえばYouTubeもこの3月に、エンコーダー不要でライブストリーミングできる機能を加えた。

Skype for Content Creatorsは今年の夏に一般供用されるが、来週ラスベガスで行われるNAB(全米放送協会)カンファレンスでも、デモがある。

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Windows 3.0のFile ManagerがオープンソースになりWindows 10でコンパイルできる

Microsoftが1990年代のFile Manager(ファイルマネージャー)のソースコードを公開した。Windows 3.0の上でわれわれ全員がドラッグしたりドロップしたりした、あれだ。コードはGithub上で入手でき、Windows 10でコンパイルできる。

File Managerは、multiple-document interface(MDI)を使って一つのウィンドウ内に複数のフォルダーを表示する。このインタフェイスはその後のWindowsでは大幅に変わったが、Windowsの初期の10年ぐらいはスタンダードだった。

オープンソースコミュニティへのこの小さなギフトはたしかに楽しいけど、嬉しくない人もいる。Hacker Newsの上でこう述べている人も: “Microsoftがオープンソースにするのは、ごみかまたはまったくメンテナンスされてないものばかりだ。著名なプロジェクトが二つメンテナンスされているが、ユーザーに断りなく勝手にテレメトリー(遠隔測定)をやっている。やめろ、というコメントが数百もあるのにね。われわれの情報がどこへ行くか分からないようなプロジェクトに、Microsoftの人気プログラマーScott Hanselmanも関わっている。顧客に対する乱暴な姿勢は、相変わらずだね”。

でも、この“ギフト”だけは、ただ単純に懐かしくて楽しいだけだろう。コンパイルした結果を@johnbiggsへのツイートで教えてほしい。それがちゃんと動くか、知りたいんだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Microsoftがオンライン学習にAI上級コースとソフトウェア開発入門を新たに加える

Microsoftが今日(米国時間4/2)、デベロッパーのためのオンライン教育プログラムに二つの新しいコースを加えた。ソフトウェア開発入門コースと、機械学習の知識を増やしたいと願っている中級以上のデベロッパーのためのAIコースだ。

誰もが知ってるように、データサイエンティストと機械学習のデベロッパーは、需要に対して供給がきわめて少ない。そのために今、多くの企業では、社員の知識と技能を高めるための社内教育に力を入れているが、今日から始まる誰でも受講できるAIコースも、最初はMicrosoftが自社の社員のために開発したコースだ。

そのMicrosoft Professional Program for Artificial IntelligenceはedX.orgで無料で受講できるが、お金を払えば修了証ももらえる。コースの期間は3か月で、各四半期の頭に始まる。当然ながら、Microsoft AzureとMicrosoftのCognitive Servicesを多く使うからAzureのアカウントは必要だが、使用するオペレーティングシステムは特定しない。

全部で10の必修クラスがあり、それらはAI入門データサイエンスのためのPythonプログラミングAIデベロッパーの倫理などさまざまだ。訓練モデルを使った実習も多い。ひとつのクラスは所要時間が8ないし16時間だ。

AIコースだけでなく、同じく今日発表されたソフトウェア開発の入門コースは、これもedXのコースで13の必修クラスから成る。とくに、JavaScriptとPythonが中心のようだ。ただしこれらのプログラミング言語を学ぶだけでなく、データ構造の基礎や、GitHubの使い方、コードをプロフェッショナルに書くためのそのほかのツールなども教わる。

こういった学習コースをいろいろ集めたものを、Microsoftは“Professional Programと呼んでいる。Microsoft Academyの方が、分かりやすいんじゃないかなぁ。今あるコースは、フロントエンドの開発、クラウドのアドミン育成、ITサポートのプロフェッショナル育成などだ。

画像クレジット: 写真提供, Dan DeLong/Microsoft

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Microsoft Azureのアベイラビリティゾーンがやっとアベイラブルになった

どのクラウドを使う場合でも、あなたのアプリケーションの可利用性を高く維持するためには、そのアプリケーションとデータを物理的に異なる複数のリージョンに置きたいだろう。そうしないと、ひとつのリージョンがダウンするとアプリケーションもダウンする。しかし大手クラウドプラットホームはすべて、ひとつのリージョン内に‘アベイラビリティーゾーン(availability zone)’という概念を設けて、アプリケーションを同じリージョン内の二つのデータセンターでホストするオプションを提供している。すべて、と言ったが、Azureのアベイラビリティゾーンは昨年9月にベータでローンチし、今日(米国時間3/30)から一般供用される。

今日のローンチに先駆けてMicrosoftのAzure担当VP Julia Whiteは、データセンターのネットワークに関する同社の設計哲学はつねに、商用利用の顧客にできるかぎり広い圏域のリージョンを提供して、彼らの顧客との至近性を確保し、またローカルデータの独立性とプライバシーに関する法律を守ることにある、と述べた。たしかにAzureは競合他社に比べてリージョンの数が多く、今可利用なものが38、発表されているものが12ある。

“Microsoftのインフラストラクチャのアプローチはエンタープライズの組織を念頭に置いており、そのために多数のリージョンを設けている”、とWhiteは言っている。“このようなリージョンの設定は、容易でシンプルだからしているのではない。顧客が本当に望むものはこれだ、と信じているからだ”。

それぞれのアベイラビリティゾーンに独自のネットワーク接続と電力のバックアップがあり、リージョン内のひとつのゾーンがダウンしてもほかは無事だ。しかしリージョン全体に及ぶ災害はすべてのゾーンを遮断するだろうから多くの企業は、データを少なくともあとひとつの別のリージョンに保存したいだろう。

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マイクロソフト、利用規約改訂で攻撃的コンテンツや発言を禁止へ

CSOOnlineの報道によると、Microsoft は同社サービス上で攻撃的発言を禁止する方法を検討している。対象となるプラットフォームにはSkype、Xboxのほか、なぜかOfficeも含まれている。記事に取り上げられているMicrosoftの新しい利用規約には、ユーザーに「各種サービスを利用して不適切なコンテンツや資料(ヌード、残虐性、ポルノ、攻撃的言語、露骨な暴力、犯罪行為等)」を共有することを許さない」と記されている。つまり、ゲーム「オーバーウォッチ」で子供に罵詈雑言を浴びせるとXbox Liveのメンバー資格を失うことになるかもしれない。

「われわれは当社顧客が安全に安心してサービスを利用できることを約束する。最近改訂されたMicrosoft利用規約には、ユーザーから不適切な公開コンテンツについて通報を受けた際の当社の対応方法が明記されている」とMicrosoftの広報担当者は言った。同社は “Microsoft Agents” はSkype 通話を監視していないため、明らかな乱用の証拠を伴う苦情に対してのみ対処することも付け加えた。5月1日に発効される新規約では、Microsoftが不適切なコンテンツを発信したり攻撃的発言を行う行為を発見した場合、そのユーザーをサービスから排除できるようになる。

改訂された規約によって、Microsoftは悪質なユーザーに対処する大きな力を得る。同社サービス上での悪質行為の取り締まりに本腰を入れ始めたようだ。これはMicrosoft製品上のプライベートなコミュニケーションチャンネルで悪質行為の被害にあっている人たちにとって朗報だ。Xboxで相手の母親を罵るような言葉を発する「荒らし」たちに、考え直す機会を与えることを期待したい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple、Google、Microsoftの教育市場への取り組み

本日(米国時間3月27日)シカゴで開催されたAppleのイベントは、教室向けの新しいハードウェアとソフトウェアを発表しただけではなく、自らを教育における主要プレーヤーとして誇らしく再表明するものだった。このカテゴリは、Appleの戦略の中で長い間その中心を占めてきたものだ。Steve Jobsが近しく愛し続けてきたものである。

80年代に子供時代を過ごした人ならばAppleの重要性を認めないわけにはいかない。Appleのコンピューターは全米のコンピューター教室の中心に置かれていたのだ。クリエイターを支える企業にとっては常にお似合いの代物だったし、教室にもちょっとした格好良さを付け加えてくれていたのだ。しかし近年になって、大きな変化が訪れている。Cromebookがクラスの主役になったのだ。それは大部分、安価なハードウェアと、スペックに対する限定的な要求のおかげである。

Googleによるこのカテゴリの初期の位置付けから考えると、Cromebookが教室でこれほど受け入れられることになるとは、その作り手たちさえもあまり期待していなかった。ともあれ、同社はその成功を喜んで受け入れて来た。一方、MicrosoftはChrome OSの成功を見て、そのアプローチを変えてきたように思える。

これに比べるとApple自身の反応はこれまであまり直接的なものではなかった、だが今日のイベントは、iPadを教育への取り組みの中心とする、同社のコミットメントを再確認したものだったのだ。もしAppleが反応していると見なすことができるとすれば、それは製品の価格に表されている。学校のデジタル戦略全体が、埃っぽくて古臭いコンピュータ教室の中にある、据置デスクトップを中心に回っていた時代は終わった。

しかし、8年前に発売されたiPadは、当初から教育用途も狙ってきたものの、タブレットの高い価格がそれを阻んでいたのだ。Appleは、タブレット市場が停滞し始めたことで、学校に対する全体的なコストの引き下げに取り組んできたが、最新のアップグレードではその価格を遥かに手が届き易い299ドルへと引き下げてきたのだ。

子供1人当たり1台のiPadというアプローチは、まだ多くの公立学校では実現できるものではないが、iPadを教室に展開しようと考えている学校IT管理者たちにアピールするだろうであることは容易に想像できる。また、Managed Apple IDのような仕掛けが、複数の子供たちが同じデバイスを、コスト削減のために共有することを容易にしてくれる。

専用教育ソフトに加えて、Appleは既存のClipsやGarage Bandなどの既存のアプリケーションが、教育目的に利用可能であり、学習プロセスに高度なマルチメディア対話性を持ち込むことができることを示した。今日同社は、私たちを教室の中に座らせて、そうしたプロジェクトのいくつかを実際に見学させることさえしたのだ。

もちろん、現在市場はGoogleが優位である。同社は市場の約60%を占めていると言われている。Androidのように、Chrome OSのアプローチの中心は、コストを抑えるのに役立つサードパーティメーカーの取り込みだ。

一般に予算が厳しい学校は、格安のChromebookをiPadよりも100〜150ドル安く購入することができる。それが魅力的な提案であることは容易に分かる。特に、生徒たちの手に渡ることで壊れることが多い場合にはなおさらである。

その成功にもかかわらず、Googleは一人ぼっちではない。昨日発表された初めてのChromebookタブレットの発表は、Appleのこの分野への取り組みと今日のイベントに対する先制攻撃だった。もっとも新しいAcerデバイスは、実際にはAppleの教育ディスカウントよりも30ドルほど高価だったのだが。その意味でGoogleは墓穴を掘ったとも言えるが、それでも他のハードウェアパートナーたちから、より価格競争力のあるタブレットが登場することは期待できる。

マイクロソフトは昨年5月に独自の教育イベントを開催し、Chrome OSに対抗する同社のソリューションを発表した。しかし、これまでのところ、そのWindows 10 Sはかなり混乱したままだが、その大きな原因は同社の発する混乱したメッセージによるものだ。同社は、10 SをWindows 10の中のモードの1つにすることで、事態をもう少し整理する予定だ。

アイデアはどちらも基本的には同じで、外部のアプリケーションから保護することができる機能縮小版のOSを提供することで、教師たちが不適切なものがデバイスにインストールされることを防ごうというものだ。ハードウェアにかかる費用も抑えられている。同社は新しいPCシリーズの提供を189ドルから始める。明らかにGoogle支配への対抗である。

事実、Microsoftがプレスに配る資料では、その製品のことを「妥協のない製品を、Chromebookと同じ価格で」(the same price as Chromebooks, with none of the compromises.)と表現している。また、Googleのオンラインオフィスアプリケーションの人気は高まっているものの、マイクロソフトのソフトウェアはオフィス内ではまだ支配的であるため、そのアプリケーションを使うことで子供たちが実世界への準備をすることができるだろうとも語っている。

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(翻訳:sako)

マイクロソフト、時価総額1兆ドルを示唆する推奨コメントで株価8%アップ。

月曜日(米国時間3/26)、貿易摩擦の緊張が和らいだあと、ダウ平均は669ポイントの急上昇を見せ先週の低迷状態から抜け出した。

Amazon、Appleなどのテクノロジー株も軒並み上がった、中でも最大の勝者はMicrosoftだ。同社は7.54%アップの93.78ドルでこの日の取引き終えた。

ダウ30社にも入っているシアトルのIT巨人を後押ししたのは、市場全体の好調さだけではない。Morgan Stanleyのアナリストの好意的なコメントおかげでもある。

Keith Weissは顧客向けの書簡に、12カ月後の目標価格を130ドルに引き上げると書いた。先週の取引き価格87ドルより50%近く高い数字だ。そうなればMicrosoftの時価総額は1兆ドルになる。

同氏が特に強く推すのがMicrosoftのクラウドビジネスだ。AmazonやGoogleらのライバルを尻目に今後も堅調を続け利幅も改善されると信じている。彼はOffice 365製品も高く評価している。

時価総額1兆ドルを目指すレースはここ数年話題に上っている。現在Appleが時価総額8770億ドルでリードしている。Amazonは7530億ドルだ。Alphabetは7310億ドル。そしてこの日の強力な取引きの結果、Microsoftが7220億ドルで肉薄している。

全般的にここ数年株式市場は非常に好調であり、ダウ平均は5年前と比べて1万ポイント近く伸びている

Microsoftの株価は昨年だけで44%上昇した。

同社は2014年2月にSatya Nadellaが指揮をとって以来非常に好調だ。Nadellaは、ビル・ゲイツ、スティーブ・バルマーに続く3人目のMicrosoft CEOとなった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook