近い将来、すべてのブロックチェーン企業が暗号投機家になる

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター、The TechCrunch Exchangeへようこそ。

ロシアが間もなくウクライナに侵攻するというニュースが流れたばかりの時に、落ち着いてテクノロジースタートアップ市場の現状について活き活きとした原稿を書くのは、ちょっと難しい。独裁政治よりも民主主義を信じている人にとっては、かなり暗い一日になるだろう。そして、すぐ近くの地平線上にある、迫りくる地政学的な雲は、さらに悪いニュースを約束している。

それでも、ニュースエンジンは前進していて、自分の分野で何かをしなければならない。そこで、暗号市場での資本リサイクルについて話すことで仕事の手を止めないことにしよう。

それは、ぐるぐると回っていいる

現在、テクノロジーの世界で徐々に勢いを増しているイノベーションの1つが、企業が創立後のより早い段階からベンチャーキャピタル活動(防御的なものも攻撃的なものも)を始めるようになっているということだ。

OpenSea(オープンシー)は、その最新の例だ。同社は米国時間2月12日に、OpenSea Ventures(オープンシー・ベンチャーズ)という組織と「Ecosystem Grants」(エコシステム・グランツ)という名のプログラムを立ち上げることを発表した。どちらも「Web3とNFTの世界的な成長を促進するクリエイター、チーム、新技術を支援することを目的としている」という触れ込みだ。

OpenSeaから資金を得る企業は「OpenSeaのリーダーシップへのアクセス」を行うことが可能で、当然ながらa16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)を含むOpenSeaの投資家へもアクセスすることができる。

The Block(ザ・ブロック)が指摘するように「OpenSeaは、ユニコーンのAlchemy(アルケミー)やFTXなどの、独自のベンチャーユニットを立ち上げた数多くの暗号スタートアップの一員になる」のだ。いずれも非公開企業であることをお断りしておく。ともあれ、急成長したブロックチェーン企業が余剰資金を得て、その資金を他のグループに再投資し始めることはよくある話だ。

Intel Capitalが企業のベンチャー取引のパラダイムだった時代は終わった。現在は、Coinbaseがおそらく最近最も尊敬されている企業投資チームだが、ライバルたちはそれに挑戦しようとしている。

だが、本当にそうなのだろうか?この近辺には奇妙なニュアンスがある。

  • Coinbaseは非公開の時代、a16zがバックアップしていた
  • Marc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏は、最近自身の暗号ファンドを立ち上げたKatie Haun(ケイティハウン)氏とともに、Coinbaseの役員として残っている
  • Coinbase VenturesがOpenSeaを支援
  • a16zもOpenSeaを支援
  • OpenSeaは現在、独自の投資を行っているが、理論的にはある程度はa16zとの共同投資となっているはずだ

a16zはまた、独自の投資を行っているAlchemyにも出資しているが、これはなかなかのからみ具合だ。OpenSeaはAlchemyの技術を使用しており、すべてが統合されている(このような中央集権化とファミリー化が、分権化すなわち民主化と正反対であることはいうまでもない)。

資本が暗号を追い、暗号が資本を追うこの渦巻は、いつほど収まり始めるのだろうか、そしていつ内部での競争が強まるのだろうか?もしCoinbaseがかねての計画通り独自のNFTプロダクトをローンチしたら、OpenSeaはいつまで共通の投資家に寄り添っていたいだろうか?Coinbaseがインフラを売りたいと思って、Alchemyのスペースに入ってきたらどうなるのだろうか?Alchemyがどれだけの活動をしているかを考えると、率直に言って、Coinbaseがそれをしない理由はない。

現在、OpenSeaが自らのイグジットの前に、資本を他のベンチャーに再投資しているのは奇妙なことだ。しかし、より大きな暗号資産市場の変化のペースが、単純なビジネスモデルである投機を行う企業を、多数ではないにしても少なくともある程度の数以上生み出したようだ。すごい!そして奇妙だ!

私は、主要な暗号資産プレイヤーとその財政スポンサーのクローズドネットワークを監視しようとしている。私にとっては、他のベンチャーカテゴリーよりも中央集権的で、ちょっと奇妙な感じを受けている。Web 2.0で大金を稼いだ人たちが、この先Web3が何になろうとほとんどの利益を手にしようとしているように見える中で、同じ人たちが、分散型の自律組織やゼロトラスト体制などを推進している話を読み続けていると、口の中にこみ上げる苦みを拭い去ることができない。

さて、私はもう消えて、今は自由な社会と民主主義の運命について心配することにしよう。月曜日までにロシアがウクライナに侵攻していないことを祈る。

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

アダルト系SNS「OnlyFans」が認証済みNFTをプロフィール画像にできる機能を提供

Twitter(ツイッター)に続き、NFTプロフィール画像の波に乗るのは誰になるとあなたは考えていただろうか。アダルトコンテンツで成長したにも関わらず妙にイメージをクリーンアップしようとしている、NSFW(職場閲覧注意)クリエーター収益化プラットフォームであるOnlyFans(オンリーファンズ)と予想していたなら、大当たり!……と喜ぶのは、今はOnlyFansまでもがNFTをプロフィール画像に使うのかと認識するまでの話で、誰も勝者はいないのかもしれない(暗号資産を愛するとともに、NSFWクリエイターの仕事に報酬を与えたいと思っている人々を除けば)。

OnlyFansは、ユーザーが認証済みNFTをプロフィール画像として表示できるようになったと、英国時間2月10日に発表した。Reutersの報道によると、OnlyFansは2021年12月にこの機能を導入したという。TechCrunchはOnlyFansに連絡を取り、この報道を確認することができた。

OnlyFansでは、Ethereum(イーサリアム)ブロックチェーン上で鋳造されたNFTのみがサポートされ、Ethereumアイコンが表示される。ユーザーはNFTのプロフィール画像をクリックすると、OpenSea(オープンシー)によるそのデジタル資産に関する詳細情報を見ることができる。

新たに就任したOnlyFansのCEO、Ami Gan(アミ・ガン)氏はこう述べている。「この機能は、NFTが当社のプラットフォームで果たすことのできる役割を模索するための第一歩です」。

OnlyFansは2021年、NSFWコンテンツをプラットフォーム上で禁止すると発表し、クリエイターの生活を根底からくつがえす事態になりかけた。このニュースは、MastercardとVisaの規制が変更されたことを受けてのものだった。しかしその後、同社は「OnlyFansがあらゆるジャンルのクリエイターをサポートできることを銀行パートナーが保証したため、変更の必要がなくなった」ことを明らかにし、この決定を撤回した。それでも、OnlyFansのクリエイターたちにとっては、クレジットカード会社の気まぐれによって、いつプラットフォームが崩壊するかわからないという警鐘を鳴らした出来事になった。

セックスワーカーが安定した収入を得られるよう支援することは、実は暗号資産のユースケースとしては悪くない。元OnlyFansのクリエイターであるAllie Rae(アリー・レイ)氏は、現在、暗号資産を中心としたOnlyFansの代替サービスであるWetSpace(ウェットスペース)に取り組んでいる。

クレジットカード会社とは異なり、パブリックブロックチェーンは、気まぐれに変更してポルノの購入を禁止することはできない。しかし、これまで見てきたように、十分な勢いのある中央集権型取引所は、特定の種類のトークンへのアクセスや市場活動を減らすことができる。もちろん、変動が激しく、時には詐欺まがいのこともあるこの分野に手を出したくないファンとクリエイターの両方にとって、暗号資産は障害にもなり得る。しかし、それはともかく、NFTのプロフィール画像を可能にすることで、OnlyFansは暗号資産を含む将来に向けたジェスチャーをしているのかもしれないし、それはポルノビジネスを続ける未来を意味するかもしれない。

TwitterやOnlyFansのほか、Reddit(レディット)もNFTプロフィール画像機能をテストしており、YouTubeも公的にこのアイデアを検討している。

YouTubeのチーフプロダクトオフィサーであるNeal Mohan(ニール・モーハン)氏は10日、Reutersへのアミ・ガン氏の発言を受けて「ブロックチェーンやNFTのような新しい技術によって、クリエイターはファンとより深い関係を築くことができると考えています」と書いている。

「当社の使命は、クリエーターが自分の可能性を最大限に発揮できるようにすることです」とOnlyFansのガンCEOは述べた。

画像クレジット:NurPhoto / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

YouTubeがNFTやライブショッピングなどクリエイターツールを拡充へ、TikTokやInstagramに対抗

YouTube(ユーチューブ)のCEOであるSusan Wojcicki(スーザン・ウォジスキ)氏は2022年初め、クリエイターがファンと異なる方法でつながるためのNFT(非代替性トークン)の導入を検討していることを強く示唆するなど、動画界の巨人である同社が今後1年間に計画していることの概要を明らかにした。そして米国時間2月10日、同社の最高製品責任者Neal Mohan(ニール・モナハン)氏は、このアイデアに賭けることをブログに投稿し、2022年全体としてクリエイターのためのツールをより多く構築するというYouTubeの大きな目標について詳細に説明している。

このブログ投稿は多くの項目からなる本当に長いリストだが、YouTubeがいかに大企業になったか、そしてYouTubeの最大の競合他社がビデオによる広告事業を補完するものとしてNFTに独自に取り組んでいるという事実を考えたとき、NFTがおそらくリストの最も興味深い部分であるように思われる。

「NFTは、共通の趣味を持つコミュニティの運営に利用されたり、クリエイターのためのより良い資金調達を可能にしたり、アーティストが自分の作品を検証可能な方法で作って販売し、将来の売上に対するレベニューシェアを獲得できるようにするなど、多くの興味深い応用例を目にしています」と広報担当者は語った。「当社は、この分野で人々がすでに行っていることに、YouTubeが多くのユニークな価値を加えることができると考えています」。

他の新機能には、買い物ができるビデオLive Shopping(ライブショッピング)と「アプリ全体で」多くのショッピングの機会を導入するなど、ショッピングに関するより多くの機能が含まれる、とモナハン氏は書いている。YouTubeの動きを注視している人は驚かないだろう。同社はここ数カ月、こうした機能をテストしている。Walmart(ウォルマート)などとのテストでは、200万回以上の再生と140万件のLive ChatメッセージがあったとYouTubeは説明した。

ライブストリーミングは、新しいひねりが加えられるもう1つの分野だ。そのひねりとは、コラボレーションだ。クリエイターがインタラクティブなストリームで一緒にライブすることができるようになり、これは、非常に型通りのビデオフォーマットになったものを一新したり、新鮮味を加えるための1つの方法だ。

また、クリエイターにとって重要なアップデートとなるのが、ビデオエフェクトとアナリティクスの分野で、ビデオエフェクトは自分の作品をより良いものにするため、そしてアナリティクスは人々が見ているものが好きかどうかを知るためのものだ。モナハン氏は、2022年の新しいツールには、より多くのビデオエフェクトや編集ツールが含まれると話した。これらのツールの多くはすでにYouTubeで構築されているため驚くものではなく、クリエイターがコンテンツを別のところに投稿するもう1つの口実を与えている。YouTubeのネットワークにクリエイターを確実に留めておく興味深い工夫の1つは、近々Shorts(TikTok、Snapchat、Instagramに対抗するYouTubeの短編動画)において動画上でコメントに返信できるようになることだ。

クリエイター経済、そしてより一般的なユーザー生成コンテンツは、今日すべてのアクションがある場所であり、ますますお金がともなうようになっている。YouTubeがこれを追求し、クリエイターを魅了し続けるツールを構築する明確な理由がある。有名なクリエイターだけでなく、より大衆的なユーザー生成ビデオの拠点として非常に人気があるTikTok(ティクトック)は、eコマース企業と緊密に連携しているあるフィンテック企業によると、リファラル数ですでにPinterest(ピンタレスト)やSnapchat(スナップチャット)を上回っていて、そこにYouTubeとMetaのアプリ軍団が続くようだ。

YouTubeにとって、今はまさに板挟み状態だ。というのも、競争の反対側では、Instagram(インスタグラム)とその親会社のMeta(メタ)が、NFTを中心とした大きなビジネスの構築と、それをサポートするための通貨について本腰を入れているとされている(ファイナンシャル・タイムズは1月にこの取り組みが進行中だと報じたが、TechCrunchはこの報道が氷山の一角だと聞いている。いずれにせよ、Metaは問題を抱えたNoviプロジェクトのためにすでに行ってきたすべての仕事にホームを与える)。

広報担当者によると、Google(グーグル)は「クリエイターと視聴者のための最高の場所であるという使命を深めるのに役立つ」NFTやWeb3のような新しい技術を模索しているのだという。「YouTubeの特徴は、クリエイターとファンの関係であり、これらの新しい技術は、それを補強する役割を果たすことができると考えています」。

広報担当者は、Googleがパートナーと協力するか、またはゼロからマーケットプレイスを構築しようとしているかどうかについての「現時点の」コメントを却下した。しかし、アイコン的なYouTubeのコンテンツがすでにNFTの波に乗って、YouTube広告以外でのさらなる収益化に成功している例は非常に多いため、Googleが既存のマーケットプレイスなどと組むのはおもしろいかもしれない。

「我々のクリエイターはすでにNFTと関わっているので、この分野を理解し、クリエイターと視聴者にとって良い方向に導く手助けをすることが重要だと考えています」と広報担当者は述べた。「当社はすでに代替の収益化製品でこれを行いました。人々がアイテムを販売しているのを見て、製品を作りました。クリエイターはすでにNFTと関わっており、我々はそれをより簡単に、より良くする手助けをしたいのです」。

導入されればNFTは、Super ChatやSuper Stickerなど、YouTubeの有料デジタルグッズを含む、広告の代替としてすでに存在する収益化ツールの小さな下支えの輪に加わる。「これらはクリエイターやファンの間で非常に人気があることがわかりました」と広報担当者は話した。「そして、この多くは、支援と、お気に入りのクリエイターを財政的にサポートしたいと考えているファンのためのものです。ですので当社は、クリエイターにお金を稼ぐ新しい方法を提供しつつ、クリエイターとファンとのつながりを深めるもう1つの方法として、NFTを検討しています」。

画像クレジット:Olly Curtis/Future / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

Republicのメタバース不動産部門が分離独立、Everyrealmにリブランド

2021年にメタバースプラットフォームの上位4社で5億ドル(約580億円)以上の不動産が売却されたことがデータで明らかになっている。DecentralandやSandboxのような仮想世界の土地の区画に権利を主張するために集まっている多くの投資家の中には、従来の不動産会社が含まれている。メタバースブームにおいて、どのプラットフォームやユースケースが勝利を収めるのか、重要な疑問が残るが、1つはっきりしていることは、メタバースに資本が急速に流入しており、いわば「非現実的な不動産」も例外ではない、ということだ。

代替資産クラウドファンディングプラットフォームのRepublic(リパブリック)は、Janine Yorio(ジャニン・ヨリオ)氏が2020年6月から率いるRepublic Realm部門を通じて、メタバース不動産物件への投資を積極的に行ってきた。そして現在、ヨリオ氏はRepublic Realmを独立させ、Everyrealm(エブリリアルム)という私企業にしたが、Republicは少数株主として残るとヨリオ氏はTechCrunchとのインタビューで述べた。

関連記事:デジタル証券の第二取引市場を目指す投資プラットフォームRepublicが171億円超を追加調達

Everyrealmは「メタバースのエコシステム全体へのゲートウェイ」になることを望んでいるという。同社は25の異なるメタバースに投資しており、現在3000以上のNFT(非代替性トークン)を所有しているとヨリオ氏は話した。

「当初はメタバースに投資していましたが、今ではそれ以上のことをするようになりました。自社をメタバースコンテンツの開発者だと考えていて、ただ受動的に投資して他の人が何かを作るのをじっと待っているわけではありません」と同氏は話す。例えば、2週間前にDecentralandで小売店のコンセプトを立ち上げたが、これは他のメタバースプラットフォームにも拡大する予定だという。実際、この店舗では1万点のバーチャルアイテムが1時間で売り切れたと同氏は付け加えた。

Everyrealmはまた、Somnium SpaceメタバースでRealm Academyというバーチャルキャンパスを運営しており、ユーザーはオンラインコースを通じてWeb3のコンセプトについて多くを学ぶことができる。同氏によると、初回のクラスには1000ドル(約11万6000円)を支払った生徒500人が参加しているとのことだ。

ヨリオ氏は、このような例は、ユーザーがメタバースでの体験に喜んでお金を払うことを証明していると話す。また、同氏はEveryrealmが販売した資産がOpenSeaのようなセカンダリーマーケットのプラットフォームでどのように評価されているかも牽引力の指標として見ている。

メタバースにおけるコンテンツ開発は、そのインタラクティブかつ無限の性質から「ほとんどの場合、ビデオゲームよりもさらに複雑」だと、ヨリオ氏は指摘する。

「これらのプラットフォームがスタートし、成熟するのを待つ間、我々はオンラインコミュニティを構築し、メタバースとは何か、またメタバースでどのように仕事を得ることができるか人々を教育し、彼らが実際に構築者になれるようにしたいのです。というのも、 Web3はコンテンツクリエイターがコンテンツ消費者になることが目的だからです」。

Everyrealmは独立企業となり、成長資金として6000万ドル(約69億円)を調達した。同社によると、これは女性のCEOが率いる企業のシリーズA調達としては最大規模だという。Andreessen HorowitのArianna Simpson(アリアナ・シンプソン)氏が新規投資家としてこのラウンドをリードし、ベンチャー企業のCoinbase Ventures、Lightspeed、Dapper Labs、さらにParis Hilton(パリス・ヒルトン)氏、Lil Baby(リル・ベイビー)氏、Nas(ナス)氏といった有名エンジェル投資家を含む新旧の投資家が参加した。

画像クレジット:Vadmary / Getty Images

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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:Nariko Mizoguchi

アーティストに大きなチャンスをもたらすはずだったWeb3、蔓延する作品の盗難や肖像権の侵害で評価に傷

Jillian C. York(ジリアン・C・ヨーク)氏はNFT(非代替性トークン)にはなりたくなかった。

ベルリン在住の作家で活動家ヨーク氏は、電子フロンティア財団のInternational Freedom of Expression(言論の自由を守り促進することを目的とするNGO)でも中核を担っている。どういうわけか、彼女の名前はいわゆるCypherpunk(サイファーパンク)の1人としてウィキペディアにも掲載されている。Cypherpunkはセキュリティ、暗号技術、プライバシーを推奨する活動家だ。ヨーク氏はこの3つを支持してるが、それらを自身の最も重要な関心事としたことはない。

「もちろん、ウィキペディアのリストから自分を削除することはできません。ですが私は、暗号技術を支持してはいますが、自分をCypherpunkだと思ったことはありません」と同氏はいう。同氏はウィキペディアの編集ルールを尊重しているため、自身が参加したくもないグループに強制的に参加させられてしまったわけだ。

ところが、2021年のクリスマスイブに、ウィキペディアに掲載されているヨーク氏と多数のセキュリティ賛同者およびCypherpunkたちがトークンマーケットOpenSea(オープンシー)にNFTとして登場したのだ。これらのトークンには、そのCypherpunkの想像画が含まれている。ヨーク氏のトレーディングカードには、回路や指紋とおぼしき背景から彼女の署名のトレードマークである坊主頭がちらっとのぞいている。またヨーク氏は、自分が参加したくないもう1つのグループにも属してしまっている。自分のアートや作品を盗まれてNFTを作成されてしまった人たちのグループだ。同氏は激怒している。理由は2つある。1つは、クリエイターが使用した写真は著作権保護されており、実は彼女の資産ではなかったこと。

もう1つは、名前のスペルが間違っていたことだ。

トレーディングカードはプロの写真家が撮影した写真をもとにしたもので、Jillion Yorkという名前が入っていた。また、こうしたNFTコレクションには、ヨーク氏と同氏の仲間たちに加えて、セキュリティ界隈ではすでに忘れ去られたRichard Stallman(リチャード・ストールマン)やJacob Appelbaum(ジェイコブ・アッペルバウム)などの名前もあった。トレーディングカードに描かれたヨーク氏と数人の人たちは、そうした人たちと一切関わりたくないという考えだった。

「私はこうしたものを一切認めていませんし、削除して欲しいと思っています」とヨーク氏は12月26日にツイートしている。他の多くの支持者や被害者も同様のコメントを寄せている。OpenSeaとNFTクリエーターの間で何度もやり取りが行われた末、ItsBlockchain(イッツブロックチェイン)という会社が要求に応え、すべてのNFTを削除した。

分散化資産を破壊するために中央の管理会社にアクセスする必要があるという現実を多くの人達が皮肉だと感じている。

「まったくばかげているし、疲れます。Web3のデジタル資産という新たな領域では、他人のアイデンティティーをその人の許可なくトークン化し、取引可能な商品として営利目的で販売できるというのですから」とNew Republic(ニュー・リパブリック)の編集者Jacob Silverman(ジェイコブ・シルバーマン)は書いている

ヨーク氏の試練は始まるのとほぼ同時に終わった。NFTのクリエーターHitesh Malviya(ヒテシュ・マルビヤ)氏がヨーク氏や他の被害者たちと連絡を取り、NFT画像を取り下げることに同意したのだ。数日後、これらの画像は削除され、代わりにMedium(ミディアム)の投稿が掲載された。この投稿でマルビヤ氏は次のように述べている。「我々のチームは暗号技術に関する若者達のコミュニティに、Cypherpunkという存在が、今日までにブロックチェーンテクノロジーの発展において果たした重要な役割について知ってほしかったのです」。

「残念ながら、多くのCypherpunkたちがこの考えに反対し、どのような形であれ参加を拒否しました。ですから我々はすべてのCypherpunkたちに、彼らに無許可でNFTを作成したことを謝罪しました」と同氏は説明した。

筆者がNFTについて、また個人の写真と情報、とりわけ他人のアートを金もうけに使うことができると思った理由を尋ねると、マルビヤ氏は不機嫌そうに次のように語った。

「我々はNFTにおける肖像権保護法については認識していませんでした。市場は規制されていないからです」と同氏は直接のメッセージで語った。「我々は3カ月間、人手と時間をかけて教育用のシリーズとこのNFTコレクションを作成しました。今回のことはいい教訓になりました。質問の答えになっていれば幸いです。コメントは以上です」。

今回の事態とそれに関するさまざまなコメントは、拡大しつつも混乱を招いているWeb3の一側面を表している。すべてのものが許可を必要としないなら、誰かの肖像、アート、データを使う際に許可を必要とするのは一体どのような場合だろうか?何より、Tシャツのデザインから裸体まで、何でもNFTに変えようとする輩に歯止めをかけるにはどうすればよいのだろうか?

関連記事:【コラム】NFTと未来美術史「NFTに最も近いのはウォーホルたちのポップアート」

残念ながら、ヨーク氏のようなケースは決して今始まったことではなく、クリエーターを一攫千金狙いのNFTクリエーターから守ることを目的とするまったく新しい産業とツールチェーンが作成されている。

2021年4月、NFTを使った別の大規模な窃盗事件が発生した。アーティストQing Han(ここではQuinni[クイニー])の作品が盗まれ、ヨーク氏のケースと同じプラットフォーム、OpenSeaに再投稿されたのだ。クイニーは健康と慢性病に対する芸術的な見方でファンから愛されていたが、2020年2月にがんで亡くなった。クイニーの死後も、彼女の兄と仲間のアーティストZe Han(ツェ・ハン)氏がクイニーのソーシャルメディアアカウントを維持し、彼女の作品を投稿した。

1年後、泥棒たちがクイニーの作品を匿名で投稿した。ファンからの激しい抗議の後、作品はOpenSeaを含むさまざまなNFTをサイトから取り下げられ、表面上はすべての作品がブロックチェーンから削除された。クイニーの兄はこの件の後、NFTサイトへの参加を拒否している。

「今回の件では、クイニーのアート作品が無許可で販売されていたことを確認のため申し上げておきます」とハン氏はTwitterに書いている。「クイニーのアートが販売されている合法的な場所はありません」(これは今後変わるかもしれないが)。

今回の件で、多くのクリエーターたちがNFTに関して教訓を学んだ。デベロッパーたちは暗号資産にまったく興味のない多くのクリエーター向けにたくさんのツールを作成した。こうしたツールは、彼らが盗まれたアートに気づけるように、窃盗が発生していることを強調するTwitterのフィードをポップアップ表示する

オンライン共有コミュニティDeviantArt(デヴィアントアート)のある重要人物は、大規模なアート盗難に詳しい。

「当社はこのプラットフォーム上で5億点を超えるアートをホスティングしています」とDeviantArtのCMOであるLiat Karpel Gurwicz(カーペル・ガーイッジュ)氏はいう。「当社は何年にも渡って、盗難事件を扱ってきました。別に今始まったことではありません。実際の規制がかけられる前から、オンラインアートコミュニティとして、盗難には常に対処してきました」。

最近同社はブロックチェーン上のユーザーアートを検索するボットを開発した。このボットは、OpenSeaなどの人気のNFTサイトに掲載されているアートを、登録済みユーザーの画像と比較する。また、機械学習を使用して、DeviantArtのサーバーにすでに投稿されているアートに似たアートを見つける。さらには、アーティストにOpenSeaやその他のプロバイダーへの連絡方法を表示することで、削除プロセスも簡素化する。

DeviantArtのCOOであるMoti Levy(モティ・レビー)氏によると、このシステムはまだ、正規所有者によって投稿されたアートと窃盗犯によって投稿されたアートを識別しないという。

「ほぼ完全に一致するアートを見つけた場合は、ユーザーに最新情報を伝えます」と同氏はいう。「そのアートが、そのユーザーのNFTである場合もあります。誰が作成したのかはわかりません」。

このDeviantArt Protect(デヴィアントアートプロテクト)というツールは成功しつつある。すでに8万件の著作権侵害ケースを見つけており、2021年11月から12月半ばまでに送信された通知は4倍増となっている。DeviantArtは、NFTクリエーターたちがすべてのアートをまとめて盗むことができないようにボット対策ツールも追加した。

皮肉にも、NFTを販売している分散化市場は1つまたは2つのプロバイダーの周りに集約され始めている。最も人気のあるプロバイダーOpenSeaでは、ヨーク氏やクイニーのようなケースに専念する完全削除チームを設置した。

DeviantArtは、2022年1月初めの3億ドル(約346億円)のラウンドの後、評価額が130億ドル(約1兆5592億円)に達し、軌道に乗った。同社はNFT市場では並外れた最大のプレイヤーで、アクティブユーザー数は推計126万人、NFTの数は8000万点を超える。DappRadar(ダップレーダー)によると、DeviantArtで過去30日間に行われた取引の総額は32億7000万ドル(約3776億7000万円)、取引件数は2億3300万件に達する。ライバル会社Rarible(ラリブル)の同期間の取引総額は1492万ドル(約17億2000万円)だった。

関連記事:NFTマーケット大手OpenSeaの評価額が約1.5兆円へ、わずか半年で約9倍に

OpenSeaはエコシステムにおける自社の立場をオープンにしており、アーティストからの取り下げ要求にもできる限り迅速に対応していると主張している。

「他人のパブリシティー権を侵害するNFTを販売するのは、当社のポリシーに反しています」とOpenSeaの広報担当者はいう。「当社は、肖像権の侵害であるという通知を受けた場合にアカウントを停止したり使用禁止にするなど、こうした違法行為に対して定期的に複数の方法で対応してきました」。

興味深いことに、OpenSeaはディープフェイクについても断固たる措置を取っているようだ。同社はディープフェイクを同意なしの私的画像(NCII、non-consensual intimate imagery)と呼んでいる。この問題はまだ広く表面化していないが、インフルエンサーやメディア界のスターにとっては有害なものになる可能性がある。

「当社はNCIIに対しては一切容認しない方針で対処しています」と同社はいう。「NCIIまたはその類の画像(ある人物に故意に似せて修正された画像も含む)を使用したNFTは禁止しています。またそうした作品を投稿したアカウントは迅速に使用禁止にしています。当社は顧客サポート、信頼性、安全性、サイト保全性を維持するための取り組みを積極的に拡充し、コミュニティとクリエーターを保護し支援できるように迅速に対応しています」。

しかし、こうしたOpenSeaの取り組みに対し、多くのアーティストたちは満足していない。アーティストたちの多くは、自分たちの作品や仲間の作品がNFTプラットフォーム上で盗まれる事態になる前から、NFTに対して懐疑的だった。多くのユーザーたちが依然としてOpenSea上に自分たちの作品を見つけており、これに対して公に苦情を申し立てると、OpenSeaなどのプラットフォームの正式な窓口担当者と称するサポート詐欺師たちが押し寄せてくるという。

こうした混乱のため、DeviantArtのレビー氏によると、同社はNFTを探索してはいるものの提供するのは断っているという。実際、同氏はユーザーはNFTを欲しがっているとは思わないと考えている。

「長期的には、Web3は興味深いですし可能性もあると思いますが、アーティストを保護し支持するようなもっと良い方法で展開すべきです。アーティストを危険にさらすような方法には絶対に賛成できません」。

関連記事:NFTはアーティストとミュージシャンだけでなくマネーロンダリングの分野でも注目を浴びる

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(文:John Biggs、翻訳:Dragonfly)

Dapper LabsのFlowブロックチェーン活用、ミクシィとDAZNがスポーツ特化型NFTマーケットプレイスを今春提供開始

Dapper LabsのFlowブロックチェーン活用、ミクシィとDAZNがスポーツ特化型NFTマーケットプレイスDAZN MOMENTS発表

ミクシィは2月4日、スポーツ・チャンネル「DAZN」(ダゾーン)を運営するDAZN Japan Investmentと共同で様々なスポーツのスーパープレイやメモリアルシーンをコレクションできるスポーツ特化型NFTマーケットプレイス「DAZN MOMENTS」を開始することを発表した。開始時期は今年春頃を予定。

また開発においては、「Cryptokitties」(クリプトキティ)や「NBA Top Shot」(NBAトップショット)を手がけるDapper Labsのブロックチェーン「Flow」(フロー)を基盤にサービス構築を行う。

DAZN MOMENTSは、日本国内で展開するスポーツ特化型NFTマーケットプレイスで、スポーツ選手のスーパープレイやメモリアルシーンといった貴重な動画映像をNFTコンテンツ(すべて動画)として提供する。コンテンツにはそれぞれシリアルナンバーが記されており、Flowブロックチェーン上にデータが記録される。

サービス開始時は、NFTコンテンツの収集をメインとして提供。その後、段階的にユーザー同士でコンテンツを売買できるマーケットプレイス機能や、コミュニティとして集まれる場を作るなど、同じ興味・関心を持つユーザー同士がコミュニケーションを取りながら楽しめるサービスにアップデートする予定。正式な提供開始日やDAZN MOMENTSで実際に展開するNFTコンテンツについては、公式サイトで随時発表する。

SNS「mixi」やスマートフォンゲーム「モンスターストライク」などを展開するミクシィは、「エンタメ×テクノロジーの力で、世界のコミュニケーションを豊かに」を中期経営方針として掲げている。その中で、Dapper Labsと業務提携に関する基本合意書を締結するなど、最新テクノロジーを駆使したエンターテインメントやスポーツ領域での事業創出に注力している。また2020年12月には、DAZNの「商業施設利用契約サービス」提供開始に合わせて、セールスエージェントパートナーとしてDAZNと協業を開始した。

今回の取り組みでは、ミクシィの最新テクノロジーを活用したサービス開発のノウハウと、DAZNが持つ豊富なスポーツコンテンツを掛け合わせた新規事業を創出することで、多くのスポーツファンが楽しめるサービスを提供できると考え、両社の強みを活かしたDAZN MOMENTSを開発・提供を開始するという。

DAZN MOMENTSでは、DAZNがコンテンツマネジメントやマーケティングを行い、ミクシィはサービス開発・運用を担う。

手持ちのモノを売り支払いに充てられる決済プラットフォームTwigが約40.3億円調達、「グリーン」を謳うがそのサステナビリティにはほころびが見える

Z世代と若いミレニアル世代の消費者をターゲットとし、電子マネーアカウントで衣類や電子機器を売って即座に換金できるロンドン本拠のフィンテックTwig(トゥイグ)が3500万ドル(約40億3000万円)のシリーズAラウンドをクローズした。

今回のラウンドを率いたのは、フィンテック投資専門のFasanara Capital(ファサナラキャピタル)で、Twigによると、LVMH、Valentino(バレンチーノ)、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)の現幹部や旧幹部など、他にも数多くの匿名の戦略投資家たちが参加したという。

Twigは2020年創業の新興スタートアップで2021年7月に英国でサービスを開始したばかりだが、英国内で急速に成長しており(Twigのアプリのダウンロード回数は月間10万回を超えており、iOSのApp Storeでファイナンス関連アプリの第6位にランキングされた)、すでに海外進出に向けて準備を開始している。

Twigは、シリーズAで獲得した資金で、米国(2022年第1四半期)およびEU(第2四半期。まずはイタリア、フランス、ドイツを予定)に進出すると目されている。また、Web3とデジタル収集品の流行に注目して製品の機能拡張も予定している。

現時点では、Twigのアカウントは英国内でのみ使用できる。創業者兼CEOのGeri Cupi(ゲリー・クピ)氏によると、現段階で約25万人のユーザーを確保しているという。

同氏によると、典型的なユーザーは大学を卒業したばかりの22歳の働く女性だ。こうした女性は、おそらくワードローブに着れなくなった衣類が山のようにあり、いつでも売りたいと考えているからだ。

Twigでは、他の金融機関のアカウントに送金すると1ユーロの手数料を請求されるが、Twigアカウント同士の送金では手数料はかからないため、口コミで広がり成長したことが初期段階での急成長を加速させたようだ。

また「your bank of things(モノの銀行)」というマーケティングスローガンを掲げているものの、Twigは実際には銀行ではないことも指摘しておく必要がある。Twigのアカウントは「電子マネーアカウント」だ。このため適用される規制に関して銀行とは大きな違いがある(例えばTwigのアカウントは英国の預金保証制度の対象にはならない)。

正式な銀行ではないため、Twigは新市場でいち早く成長することができる。銀行業務ライセンスを取得する必要がある場合に比べて、提供サービスに適用される規制が軽減されるからだ。クピ氏によると、現時点では性急に正式な銀行になるつもりはないという。

数十年前、インターネットおよびオープンバンキングを背景とするフィンテックブームなど存在しない時代の昔ながらの銀行は、バッグ、文房具、音楽などの無料のおまけをつけることで学校を出たばかりの新社会人に営業して口座を作ってもらっていた。最近のフィンテックスタートアップは、最も魅力的な機能セットを競って提供することで若い年齢層の顧客を捕まえようとしている。

ただし、お金を口座に入れてもらうことが依然として主たる目的であることは間違いない。

とは言え、TwigはB Corp認証を取得申請中だ。B Corp認証は社会的目的と環境への配慮、透明性、説明責任を重視していると認められる企業に与えられる。クピ氏によると、同社は、申請の最終段階にあり、現時点では保留状態だが、第一四半期には完全な認証を受けられる見込みであるといい、ユーザーにブランド品を捨てる代わりに売るよう勧めることでサステナビリティと経済循環性を実現していることを強くPRしている。

Twigのウェブサイトでも、環境への影響を抑えるためにカーボンオフセットの取り組みを行っており、その他のイニシアチブにも参加していることが掲載されている。

要するに、人類が気候災害を回避するには、世界レベルでのCO2排出量、つまりは全体的な消費の削減が必要となる。そこで疑問視されるのが「サステナビリティ」を再販売というコンセプトに無理矢理結びつける主張の信憑性だ。再販売には、すぐに査定してもらって現金が手に入るため、逆に消費量が増すリスクがあるからだ。

現在所有しているモノを売って現金が手に入るなら、一度購入したアイテムを手放さずに長く使う場合に比べて、消費者はお金をどんどん使って新しいモノを買うよう仕向けられる可能性がある。別の言い方をすれば、消費を削減してCO2排出量を削減するつもりなら、循環経済とモノの寿命をセットで考える必要があるということだ。再販売に必要な面倒な手続きが削減されることで消費者がモノを買わなくなるかどうかはわからない。逆にもっとモノを買うようになる可能性もある。

これがTwigの謳うサステナビリティにほころびが見える点の1つだ。

この難題をクピ氏にぶつけたところ、同氏は次のような議論(いくらか循環論法的ではあるが)を展開して巧妙に解決して見せた。「中古品の流動性を高めるというTwigの目的はサステナビリティの向上と消費量削減の推進を実現します。というのは、より多くの中古品が買えるようになるからです。その結果新しいモノに対する需要が減り、より多くのアイテムがこの(より活発な)中古品経済を介して循環するようになる。

「基本的に、当社のビジネスは、消費者が自分が持っている古いアイテムをお金に変えられるようにすることで、その古いアイテムに新しい命を与えるというものです。これによって、少なくとも中古市場の供給が増大します」と同氏はいう。「中古市場の需要はずっと増え続けています。当社が中古市場の供給側だけでやっていけるのは、現在、中古市場には供給の追加を求める大きなニーズがあるからです。消費者が手持ちの中古品を売ってお金を得たとしても、そのお金で別のモノを購入するとは限りません」。

「これは当社のユーザーの行動からわかることですが、Twigに送られてくる資金のうち約42%は新しい経験、つまり旅行や経験主導の活動に使われています。ですから、流動性が向上したからといって、必ずしもモノの消費が増大して環境に悪影響を与えるとは限りません。それがこれまでのユーザーの行動から分かっていることです」。

クピ氏はTwigのビジネスを非常にシンプルな次の宣伝文句に集約させている。「当社は資産をトークン化します」。

「Twigでは、例えばGucci Marmont(グッチ・マーモント)のハンドバッグをプラットフォーム上にアップロードします。そして、アップロードされた資産をトークン化して、その価格を提示します」と同氏は説明する。

「当社の目標はこの仕組を外部でも使えるようにすることです。そこで役に立つのが、ブロックチェーンです。当社は資産の流動性を向上させて、消費者が物理的なモノを売って仮想的なモノを入手し、その仮想的なモノを使って物理的なモノや体験を購入するという行為を簡単に行えるようにします」。

「基本的に、ユーザーが簡単に取引できるようにすることが目的です」。

クピ氏にはブロックチェーンと循環経済に関するバックグラウンドがある。例えば、2018年には、デニムのアップサイクルビジネスをLevi’s Albania(リーバイス・アルバニア)に売却している

Twigのホワイトペーパーによると、よく売れる物理的なモノとしては、Nike(ナイキ)、Gucci(グッチ)Chanel(シャネル)、Hermes(エルメス)、その他の高級品メーカーのブランド品などがあるという。このペーパーには「所有の未来の再定義」と「 循環型ライフスタイルで生活を送るためのパワーをZ世代に付与」という内容が記載されている。

クピ氏によると、Appleの電子機器も中古市場で高値がついているという。同氏は、購入対象中古品に、不要になった衣類だけでなく電子機器も追加したところ、それまで女性が9割以上だったTwigの利用者構成が、女性7割男性3割くらいに変化したと指摘する。

Twigは中古品の再販売に関する手続きを代行する。具体的には、中古品を即座に査定して、Twigがその中古品の購入を承諾するとすぐに現金が手に入るので何でも好きなものを買える(Twigでは極めて詳細な購入対象品リストを用意している)。

Twigまでの配送料は無料なので、Twigのサービスを利用することで、Vinted(ヴィンテッド)Depop(ディポップ)といった中古品マーケットプレイスにアイテムを自分で直接販売する場合に発生する面倒な手続きやリスクは基本的に排除される(ただし、自分で直接販売した場合よりも売値は低くなる)。

Twigの倉庫に到着したアイテムが品質チェックに引っかかると、ユーザーは返送料を請求される(そして、おそらく即金で支払われた代金も全額Twigに返金される)。アイテムが売れなかった場合は、アップサイクルとリサイクルが適切に行われているかどうかが確認され、どちらの方法でも対処できない場合は、慈善団体に寄付される。環境に悪いため、ごみ廃棄場送りにはしない。

クピ氏によると、Twigは現在成長重視フェーズであるため、再販ビジネスで大きな利益を出すことは考えていないという。

提示する買取価格は、動的に変化するさまざまな要因によって変わる。前述のホワイトペーパーによると、Twigは「市場ベースの価格設定アルゴリズム」を使用して、中古市場の100万点を超える商品を分析し「ブランド、アイテムのカテゴリー、市場セグメントに応じた適切な再販価格を提示している」という。

その前提の中核をなすのは、消費者にとっての総所有コストという概念を再販価値の変化に織り込むという考え方だ。これは購入パターンをシフトさせるパワーを秘めている可能性がある(例えば消費者は、環境的なダメージを与える低再販価値のファストファッションではなく、高級ファッションを選択してその価値を長期間に渡って楽しむ選択をするようになるかもしれない)。

Twigは銀行のような機能(Twigの口座を作るとTwigVisaデビットカードが発行され、国内および国際送金を行うことができる)と本業の中古品再販サービスを組み合わせたものというが、ターゲットであるZ世代と若いミレニアル世代向けの宣伝文句だ。こうした世代の若者たちは中古品市場の倹約性とサステナビリティの両方にますます強い関心を寄せている。

Twigがターゲットとする年齢層を見れば、同社のマーケティングが循環経済による環境への配慮に重きを置いている理由がわかる(「Twigは循環経済を簡単に実現し、サステナビリティの高いライフスタイルを選択できるようにします」とグラフィックを多用したレトロ風のウェブサイトは謳っている)。

特にZ世代はサステナビリティ世代と呼ばれ、この世代の若い消費者は「モノを所有することよりも使うことを優先する」とTwigのホワイトペーパーに書かれている。

こうしてみると、銀行の機能を、文字どおり経済的価値を保存する場所ではなく、再販価値の交換所および仲介者として捉え直すことが非常におもしろく見えてくる。消費者は、あらゆるモノを擬似通貨に変えて、所有したいモノややりたいことの支払いに充てることができる(ハイテクによるバーター取引の再発明と言ってもよいだろう)。

しかし、Twigのビジネスにブロックチェーンが深く組み込まれていることを考えると、同社の主張するサステナビリティには別のほころびが見えてくる。

Twigのテクノロジーは最初からブロックチェーンを基盤として構築されているが、同社のウェブサイトのユーザー対面型の説明からそのことに気づくのは難しい。TwigのシリーズAで公開されたプランでは、Z世代向けの環境配慮型マーケティングがまったくうまくいかない危険がある。というのは、PRでは、Twigを「世界初のWeb3対応グリーン・ペイメント・インフラストラクチャー」と称し、その立ち上げに、最近のWeb3ハイプをうまく利用しようとしているからだ。

この来たるべき機能により、ユーザーは、実世界の資産を「トークン化」して「数秒で取引可能にできる」と、リリースノートには書かれており、さらに次のように続く。「Twigを使用すると、デジタルアイテムと物理アイテムをマネタイズして新しい方法で取引できます。このアプローチにより、ユーザーはチェックアウトページで手持ちのアイテムを売って、暗号資産を購入したり、衣類や電子機器を売ってNFTを購入したりできます」。

暗号資産とNFTの取引が「グリーン」に行われることが本当に希望のあることなのかどうかはよく考えてみる必要がある。

結局、暗号資産に使われるエネルギーコストそれ自体、地球に壊滅的な悪影響を与える要因のように見えなくもない。

例えばケンブリッジ大学が2021年行った研究は、1つの暗号資産(ビットコインなど)だけで、アルゼンチン全体の年間エネルギー消費量を超えていることを示している。

2021年3月に実施された別の研究によると、ビットコインはノルウェーと同じ量のエネルギーを消費したとし、ビットコインのCO2排出量はまもなくロンドンの大都市圏全体で生成される排出量に匹敵するようになると予測している。

要するに、ブロックチェーンベースの暗号資産(もちろんトランザクションを承認するためにプルーフ・オブ・ワークを必要とするもの)の悪名高い非効率性は、サステナブルとは程遠いものに思えるということだ。

しかもブロックチェーンはもっとひどいエネルギーの浪費に関わっている。すなわち、NFT(代替不可能なトークン)の台頭である。NFTでは、ブロックチェーンの上にデジタル収集品を取引するレイヤーを追加することで、エネルギー集約的なトランザクションが必要となり、そうしたトランザクションが促進される。

(ファッションやステータスシンボルとしての)NFTをめぐる現在の騒動と そうしたデジタル資産の小売取引、およびエネルギーを燃やして収集品ピクセルをシフトさせることで非常に手っ取り早くお金を作り出すことができるという提案によって、このエネルギーの焚き火にさらなる燃料が注入されている。

2021年、あるデジタルアーティストの分析によって、1つの平均的なNFTは、EUに住んでいる1人の人間の1カ月分の電力消費量に相当するCO2を排出することが示された。以前と同様、ユーザーにトークン化とモノ(または、デジタル収集品)の取引で忙しくするように促す機能を、どのような形であれ「グリーン」に稼働させる方法を思いつくのは難しい。

しかし、クピ氏はこの反論にもひるまない。

第一に、Twigが基盤としているブロックチェーンインフラストラクチャーは他のブロックチェーンよりもエネルギー効率が高いと同氏はいう。

「ブロックチェーン自体はテクノロジーとして環境に悪いわけではありません。ブロックチェーンにはさまざまな応用事例があります」と同氏はいう。「当社の基盤となっているHyperledger Sawtooth(ハイパーレッヂャーソートゥース)というブロックチェーンは、他のソリューションに比べてエネルギー消費量が極めて小さいという特長があります」。

「つまり、当社はエネルギーを大量に消費するソリューションの使用を最小限に抑えたいと考えています」。

また、Twigは内部のエネルギー消費量を計算して、環境への影響を数量化しており、対抗策としてカーボンオフセットの取り組みも行っているという。

さらには、大気圏からCO2を排除するプロジェクトも支援している。

ただし、個々のプロジェクトがどの程度実行可能で信頼できるものかは、まったく別の問題だ。

Twigは自社のエネルギー消費を最小化し、CO2排出量をオフセットしようとしているかもしれないが、それより大きな環境への影響が、二次使用つまり、TwigのユーザーとサプライヤーがTwigを利用した結果として発生する消費、エネルギー使用、CO2排出量によって起こる可能性がある。

こうした関連のある間接的な影響(サステナビリティレポートの用語でScope 3排出量と呼ばれる)を計算することは、企業の直接的なエネルギー使用を内部的に監査するよりもはるかに難しい。とはいえ、Scope 3排出量は企業のCO2排出量の大きな部分を占める傾向があることも確かだ。このため、そうした間接的な取引、排出量、影響をなきものとして片付けてしまうことはできない。

Twigは、カーボンオフセットによって商品の配送にともなうCO2排出量を相殺するなど、明確な姿勢でScope 3排出量対策に取り組んでいる。また、B Corp認証を取得しようという野心も称賛に値する。

しかし、Twigによって拡大も縮小もするかもしれない消費者需要やトレンドに基づいて、最終的に発生するエネルギーコストを予測するのは非常に難しい。

ユーザーに暗号資産を購入し、NFT取引を始めるよう促すことによってエネルギーコストが発生することは間違いない。そして、たとえTwigが中古品の流動性を高めることで、消費者が新品を購入する需要が低下し、新製品の実質生産量を削減することができるとしても、このような大量のエネルギー消費にともなうコストによって環境へのプラスの影響が相殺されてしまう危険がある。

とはいえ、支払いに使用できるものがこのように根本的に見直されると(あらゆるモノで支払いができる。トークン化された価値の世界では、理論上、消費者は実際のお金を使う必要がない)、消費活動の大きなシフトにつながり、循環経済に実際に目立った変化をもたらすことができる。その結果、数十年に渡る資本主義を特徴づける使い捨て消費の悪循環から抜け出すことができる。

別の言い方をすれば、(認証をサポートすることで偽物に対抗できる)ブロックチェーンベースのトークン化と(分散台帳インフラストラクチャによって完全な所有履歴を把握することで実現される)安定度の高い査定のおかげで、モノの再販時の価値をもっと確実に予測できるなら、消費者は、持っているモノを丁寧に扱う気持ちになるかもしれない。モノの寿命が維持されれば高い売値がつくからだ。そうなれば、世界の産業はそもそも現在の半分だけモノを作れば足りるようになり、資源の枯渇によって地球が機能不全に陥る重圧から解放される。

これには確かに一理ある。

あらゆるモノを売って極めて簡単に支払いができるようにすることでお金の価値が重要視されなくなることは、価値、所有、富に対する考え方を修正するために必要な最初の一歩になるかもしれない。

クピ氏は次のように説明する。「現金を使う代わりに、自宅にある不要になったモノを使ってNFTを買うことができます。例えば使わなくなった古いiPhone(アイフォーン)を売ってNFTや暗号資産を買ったり、体験を買うことができます。ニューヨークまでの旅行費用に充てたり、次回の職業教育コースの支払いに充てたりできます。つまり、Twigの目的は、市場の流動性を高めることです。人々が使わなくなった資産を売ることでその資産に新たな第二の命を与えることなのです」。

「当社の信念は、財布にも地球にもやさしい結果をもたらすことです」。

Twigのビジョンは自身を支払いプラットフォームに変えることです。ユーザーや顧客の代わりに物理的なモノを支払い代金に変えるプラットフォームです。

「現時点では、Twigは単なるB2Cプラットフォームに過ぎませんが、ゆくゆくはB2B2Cプラットフォームにしたいと考えています。将来的には、さまざまなプロバイダーの決済ゲートウェイとして接続する予定です」とクピ氏はいい「いくつかの大手小売業者」とTwigのインフラストラクチャへの接続を許可する契約を結んでいると話した(小売業者の名前は明かしていない)。

「当社がやろうとしているのは、要するに、富の定義の再発明です」とクピ氏は付け加え、お金の概念が大きく様変わりしていると説明する。「自分が所有しているものがすべてお金として扱えるとなると、富の見方も変わってきます」。

「富とは、従来の定義では、家や車など、大きな資産の価値です。しかし、たとえばワードローブの価値は通常資産の一部とはみなされません。我々はこれを変えたいのです。すべてのモノに即時の流動性があれば、モノを現金とみなすことができます。現金だろうとGGマーモントのハンドバッグだろうと違いはないのです。ポンドで何かを買いたい場合、現金でもハンドバッグでも使えるのです」。

Twigが普及すれば、決済の未来は今よりずっとビジュアルで物質的なものになる可能性があります。例えばeコマース決済ウインドウに鋳造しておいたNFTをドラッグアンドドロップして中古のiPhoneを購入する。

あるいは、限定版のナイキのシューズを売って、ずっと楽しみにしていた都市滞在型の春休みを取る。

ダイヤモンドで覆われたすばらしい宝石を売って高級不動産を買うといった具合だ。

若い消費者たちはコモディティ化された価値交換可能なモノの世界をすでに違和感なく受け入れているようだが、年配の消費者たちはどうだろう。クピ氏は、ブーマー世代やX世代が大枚をはたいて買ったモノを手放して支払いに充てるという新しいやり方に納得できると考えているのだろうか。

サイン入りの初版本や貴重なビニールのレコードが将来の決済方法の一部に取り込まれることになるだろうか。

「正直、その答えは私にもわかりません」とクピ氏はいう。「現時点では、Twigに対するZ世代の反応は極めて良好です。また、英国のミレニアル世代、我々がターゲットとしている20代の若者たちの反応も上々です。英国外の市場に進出した際には状況は変わるかもしれません」。

画像クレジット:Twig

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

セレブとビデオチャットできるCameo、限定アートワークなどが手に入るNFTプロジェクト「Cameo Pass」発表

Lamborghini(ランボルギーニ)からTwitter(ツイッター)まで、誰もがWeb3の魅力的で冷たい水に足を踏み入れ、さまざまなレベルの成功を収めている。そして今回、Cameo(カメオ)もこのクラブに加わることになった。

有名人に動画を注文できるアプリとして知られるCameoは米国時間2月3日、NFT(非代替性トークン)をベースにした「Cameoのタレントとファン、そしてWeb3の熱烈な支持者」のためのコミュニティ「Cameo Pass(カメオ・パス)」を発表した。

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2月17日より、ファンは0.2ETH(記事翻訳時点では約7万円)でCameo Passをミント(作成)することができる。このパスの所有者は、限定リリースのアートワークの入手、特別な対面イベントやバーチャルイベントへの参加、そしてCameoの新機能への早期アクセスが可能になる。

このNFTのコレクションはOpenSea(オープンシー)上で展開され、Doodles(ドゥードゥルズ)コレクションのBurnt Toast(バーント・トースト)氏や、Letters(レターズ)コレクションのVinnie Hager(ヴィニー・ヘイガー)氏、そしてCameoを通じてパーソナライズされたアート作品を販売しているアーティストのLuke McGarry(ルーク・マクギャリー)氏によるアート作品が出展される。

Cameo Passの所有者は「有名人とのQ&A、挨拶、ビバリーヒルズのCameo House(カメオ・ハウス)でのローンチパーティーなどに特別にアクセスできる」と、Cameoはメールで述べている。しかし、Cameoに所属するどの有名人がこのプロジェクトに関わっているのかと、TechCrunchが質問したところ、同社は名前を明かさなかった。

「Web3の興隆は、セレブリティ、アスリート、クリエイターとの交流および収益化において、最も重要かつ有望なトレンドの1つとして注目されています。Cameoは、ファンとタレントのためのミッションを推進するために、Web3がどのように利用できるかを検討しています」と、同社はメールでコメントした。「私たちは、Cameoでファンとタレントの双方に価値を提供するための新しい方法を、これからも引き続きテストしていくつもりです。NFTの立ち上げで得た収益は、コミュニティの成長とエンゲージメント、そしてファンとタレントの交流に焦点を当てたさらなるWeb3プロジェクトの探求に再投資されます」。

会員制のNFTコレクションの中には、実際にはそれほど独占的ではないと批判を受けているものもある。また、企業評価額133億ドル(約1兆5000億円)と言われるマーケットプレイスのOpenSeaでさえ、盗難脆弱性攻撃の被害に遭う可能性がある。OpenSeaは最近、プラットフォーム上で無料で作成されたNFTの80%以上が詐欺やスパムであることも明らかにした。その結果を受け、OpenSeaはユーザーが無償でツールを使ってNFTを作成できる回数に制限を設けた。

「私たちはプラットフォームのセキュリティを真剣に考えており、OpenSeaのような信頼できるパートナーと協力して、私どものコミュニティを保護し、より広範なエコシステムでの盗難を防止できるようなポリシーを導入しています。当社のスマートコントラクトについては、社内および第三者監査人による徹底的なセキュリティ監査を実施しています。また、ユーザーの資産を保護し、安全に利用していただくための教育リソースを提供することも計画しています」と、CameoはTechCrunchに語っている。

YouTube(ユーチューブ)やPatreon(パトレオン)など、いくつかのクリエイター向けプラットフォームがNFTの導入を検討しているが、Cameoは着実にその計画を進めている。しかし、同社やその潜在的な消費者にとって、この有料のコミュニティは、ファンが本当に参加したいと思うものにならなければならない。とはいえ、Tom Felton(トム・フェルトン)からのメッセージビデオに699ドル(約8万円)も喜んで払う人がいるのなら、まだ存在していないコミュニティに550ドル(約6万3000円)くらい喜んで払うかもしれないが。

画像クレジット:Cameo Pass NFT

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

暗号資産をめぐるツイッターでのVCたちのビンタ合戦でおかしな状況に……

Twitter(ツイッター)でよくつぶやく一部のベンチャーキャピタリスト(VC)は最近やや敵意に満ちており、業界で最もパワフルな人々が前例のない方法で暴言を吐いている。  筆者が思い浮かべるのはChris Dixon(クリス・ディクソン) 氏とMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏の2人で、彼らは最近、暗号資産、ブロックチェーンを使ったコレクティブル、あるいは分散化の有望性が誇張されているのではと疑う影響力のある人々に対して我慢できない様子を見せている。

最も有名な争いは、12月下旬に億万長者の起業家でTwitterの共同創設者であるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏が、フォロワー600万人に対して「『Web3』を所有しているのは君じゃない。VCやLPが所有している。彼らのインセンティブから逃れることはできないだろう。結局はラベルの違う中央集権的な存在なんだ」とつぶやいたことから始まった。

確かに、ドーシー氏はVCを嘲笑していたが、この見方には真実がある。Andreessen(アンドリーセン)や、Paradigm(パラダイム)やPantera(パンテラ)のような暗号資産に前向きな企業は、そこらにある最大のプラットフォームのいくつかと財政的な利害関係がある。それは構わない。そうした企業のサポートがなければ、これらのプラットフォームは存在しないかもしれないし、時間が経過するにつれ、プラットフォームはより分散化されていく可能性も大いにある。

とはいえ、ドーシー氏のツイートは戦争を勃発させた。ディクソン氏は、約80万人のフォロワーに向けて「あなたはまず無視され、次に笑われ、そして挑まれ、そうしてあなたが勝つ」とサブツイートし、最初の手榴弾を投げつけた。

ディクソン氏がほくそ笑むのには、それなりの理由があった。Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)は何年も前から、暗号資産プロジェクトに資金とリソースを注ぎ込んでいて、嘲られることになると思われていた。今となっては、同じような取り組みにもっと多くの時間とお金を捧げなかったすべての人に嘲が向けられている。ちなみに、Andreessen HorowitzのCoinbase(コインベース)への投資額は、2021年に暗号資産取引所が公開取引を開始した日に110億ドル(約1兆2675億円)と評価された。

しかし、戦争はそこで終わらなかった。ドーシー氏はディクソン氏に返信し、アンドリーセン氏自身も会話に割って入ってドーシー氏を何度も侮辱し、事態は悪化の一途をたどり続けた。

その毒々しい雰囲気は最近、さらに広まった。元Facebook社員でエンジェル投資家に転身し、さらにはベンチャーキャピタリストとなったBobby Goodlatte(ボビー・グッドラット)氏が米国時間2月4日「私は暗号資産の熱烈な支持者で、アートNFTは馬鹿らしいと思う」と特定の人に向けることなくツイートした。グッドラット氏のツイートは表面上は比較的無害に見えたが、突然、グッドラット氏の7万人の10倍のフォロワーを抱えるディクソン氏が、グッドラット氏のコメントをリツイートし、その上に「ボビー・グッドラットをショートカットできる?」と書き込んだ。

愕然とするグッドラット氏が反応する前に、ディクソン氏はグッドラット氏のアカウントをブロックした。

ディクソン氏はその後、そのコメントと、父親が元下院議員であるグッドラット氏に向けられた「私の両親は億万長者で、私は運良く暗号資産を手に入れたが、今度は自分の道を歩んだ勤勉な創業者たちをゴミ扱いしたい」という侮辱を削除したようだ。

この件に純粋に傷ついた様子のグッドラット氏は、その後ディクソン氏をピエロと呼んだ。

多くの業界関係者は、Andreessen Horowitzで何が起こっているのか、静かに問いかけている。あるベンチャーキャピタリストは2月5日に内々にこう言った。パートナーたちは、単に儲かりすぎて「問題ある投稿」をするようになってしまったのでは?

シードステージファンドのHustle FundのゼネラルパートナーEric Bahn(エリック・バーン)氏は別の説を唱えている。「これまで共有されてきたFacebookのコンテンツを見れば、そのアルゴリズムがネガティブなストーリーや攻撃的なストーリーを好んできたことがわかります。そうしたものは非常に共有しやすい材料です。Twitterでも同じことが言えます。意地悪な書き込みをすれば、それが注目されることに気づいている人もいます」。

明らかに、Andreessen Horowitzの投資家は何もいうつもりはない。同社は自社に関わるすべての人のために稼いできた。そうした投資家、そして資本市場にいる一部の創業者の中には、Andreessen Horowitzの強硬な戦術に説得力を感じる人もいるかもしれない。

一方、ライバル企業の中には、その強気な行動(最近、Andreessen Horowitzが持つ欠点の1つ)を利用しているところもあるようだ。

TNT Venturesのベンチャーキャピタリスト、Parker Thompson(パーカー・トンプソン)氏は、ディクソン氏とグッドラット氏の騒動の後、多くの人がささやく言葉を要約してツイートした。「あそこの水の中には、人々の正気を失わせる何かがあるようです。ポートフォリオにとって、強気な兆候ではありません」。

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi

分散型「マーベル」のようなNFTメディア帝国を目指すPixel Vault、約115億円の資金を調達

NFT(非代替性トークン)の世界は、奇妙で、混乱していて、爽快だ。否定派は、大衆文化から永続的な価値をすべて奪おうとする資本に執着した詐欺師であふれていると見ているが、一方で肯定派は、オンラインメディアから実際に価値がどのように創造され、獲得されるかを一変させる新たな技術革命であると見ている。

この1年の間に、機関投資家は2021年まではほとんど検討されなかったNFTへ投資する機会に夢中になり、Dapper Labs(ダッパーラボ)、OpenSea(オープンシー)、Sky Mavis(スカイ・メイヴィス)といったスタートアップ企業の株式投資に数十億ドル(数千億円)を投じている。

投資家による最新のNFT投資では、Pixel Vault(ピクセル・ヴォールト)と呼ばれるスタートアップが注目を浴びている。Pixel Vaultはスーパーヒーローの巨大なNFTコレクションで「分散型Marvel(マーベル)」のような帝国に成長することを目標としている。このNFTスタートアップは、Adam Bain(アダム・ベイン)氏とDick Costolo(ディック・コンストロ)氏の01 Advisors(ゼロワン・アドバイザーズ)とVelvet Sea Ventures(ベルベット・シー・ベンチャーズ)から1億ドル(約115億円)の資金を調達したと、TechCrunchに語った。

Pixel Vaultは、NFTプロジェクトが何千枚ものJPG画像を超えたもっと大きな何かになるのかという実験の最前線にいる。

「Pixel Vaultのプロジェクトは、コミュニティエンパワーメント、分散型ガバナンス、真のデジタルオーナーシップという、Web3の重要な理念を中心に構築されています」と、Pixel VaultのCEOであるSean Gearin(シーン・ギアリン)氏(暗号資産業界ではGFunkという名前で知られている)は、声明の中で述べている。「私たちは、ファンを顧客として見ていません。我々のファンはオーナーであり、ビルダーなのです」。

2021年5月(実際に会社として設立される前)に行われた同社の最初の製品発表では、CryptoPunks(クリプトパンク)の世界のキャラクターが登場するリアルおよびデジタルのコミックブック数千冊が発行された。ユーザーは、短期間でこのコミックのNFTと交換して、Pixel Vault創設者が運営するDAO(分散型自律組織)の一員になることができた。これによりユーザーは、多数のNFTアートワークのコレクションの所有権を得ることができた。その中には、Pixel Vaultコミックのメインキャラクターである、現在の価格で数百万ドルの価値があるCryptoPunksのNFTも多く含まれている

このPunksのほとんどを提供したのは、@beaniemaxiという偽名の暗号投資家で、彼はこのプロジェクトに最初から資金を援助し、数百万ドル(数億円)のPunksコレクションを提供して、このプロジェクトの可能性について声高に語っていた。彼はここ数週間、自分のフォロワーにプロジェクトを押し付けておきながら、彼の個人的な関与の範囲については透明性が欠けているため、非難を浴びていた。このマイナーな暗号スキャンダルにより、彼はPixel Vaultプロジェクトから離脱することで、同スタートアップへのさらなる反感を避けた。

私は開示していないことは、何1つしていません。私は投資家として、NFTの販売収益の一部を受け取ることがあります。私は成功する可能性が高いと思われるチームのみを支援しています。私の実績がすばらしいから、私に続こうとする人がいるのでしょう。完璧を求めることは現実的ではありません。プロジェクトやファウンダーの中には失敗するものもあります。

Beanie

Pixel Vaultチームは「Punks Comic(パンクス・コミック)」のリリース以来、コミックの世界観を大切にし、同コミックのベテランアーティストを起用して、スーパーヒーローのNFTを大量に作成してきたが、これをより広いメディア世界に展開したいと考えている。チームは、知的財産権の維持と、コミュニティによる「MetaHero(メタヒーロー)」アートの使用と促進を奨励することのバランスを取ることを考えている。また、146の「Core(コア)」キャラクターのNFTに対する知的財産権を維持しつつ、何千ものジェネレーティブなキャラクターの幅広い再利用を可能にしようとしている。

「(彼らには)分散型Disney(ディズニー)を構築するという使命があります。これは、私の考えでは、経済的には参加しないが、この世界に存在するキャラクターを評価してくれる熱心なファンとの共同創造と共同所有を意味します」と、Velvet Sea VenturesのMichael Lazerow(マイケル・ラゼロフ)氏は、TechCrunchに語った。

MetaHero Universe:Core Identities collection(スクリーンショット)

CryptoPunksは、ハリウッドをはじめとするさまざまな分野でパートナーシップを展開するために、すでにWMEと代理店契約を結んでいる。

数千もの「MetaHero Generative Identity(メタヒーロー・ジェネレーティブ・アイデンティティ)」の1つの最低落札価格は、現在の価格で1万8000ドル(約200万円)強のETHとなっており、146のCoreキャラクターの中で最も安いものでも30万ドル弱(約3500万円)となっている。

分散型マーベルの構築は、確かにお金以上のものだ。とはいえ、Pixel Vaultはそのコミュニティにおそろしく多くのお金を持っている。このプロジェクトは、生涯取引量が10万ETH近く、現在の価格で約3000億円にも達しているのだ。

画像クレジット:Punks Comic / Pixel Vault

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

分散型「マーベル」のようなNFTメディア帝国を目指すPixel Vault、約115億円の資金を調達

NFT(非代替性トークン)の世界は、奇妙で、混乱していて、爽快だ。否定派は、大衆文化から永続的な価値をすべて奪おうとする資本に執着した詐欺師であふれていると見ているが、一方で肯定派は、オンラインメディアから実際に価値がどのように創造され、獲得されるかを一変させる新たな技術革命であると見ている。

この1年の間に、機関投資家は2021年まではほとんど検討されなかったNFTへ投資する機会に夢中になり、Dapper Labs(ダッパーラボ)、OpenSea(オープンシー)、Sky Mavis(スカイ・メイヴィス)といったスタートアップ企業の株式投資に数十億ドル(数千億円)を投じている。

投資家による最新のNFT投資では、Pixel Vault(ピクセル・ヴォールト)と呼ばれるスタートアップが注目を浴びている。Pixel Vaultはスーパーヒーローの巨大なNFTコレクションで「分散型Marvel(マーベル)」のような帝国に成長することを目標としている。このNFTスタートアップは、Adam Bain(アダム・ベイン)氏とDick Costolo(ディック・コンストロ)氏の01 Advisors(ゼロワン・アドバイザーズ)とVelvet Sea Ventures(ベルベット・シー・ベンチャーズ)から1億ドル(約115億円)の資金を調達したと、TechCrunchに語った。

Pixel Vaultは、NFTプロジェクトが何千枚ものJPG画像を超えたもっと大きな何かになるのかという実験の最前線にいる。

「Pixel Vaultのプロジェクトは、コミュニティエンパワーメント、分散型ガバナンス、真のデジタルオーナーシップという、Web3の重要な理念を中心に構築されています」と、Pixel VaultのCEOであるSean Gearin(シーン・ギアリン)氏(暗号資産業界ではGFunkという名前で知られている)は、声明の中で述べている。「私たちは、ファンを顧客として見ていません。我々のファンはオーナーであり、ビルダーなのです」。

2021年5月(実際に会社として設立される前)に行われた同社の最初の製品発表では、CryptoPunks(クリプトパンク)の世界のキャラクターが登場するリアルおよびデジタルのコミックブック数千冊が発行された。ユーザーは、短期間でこのコミックのNFTと交換して、Pixel Vault創設者が運営するDAO(分散型自律組織)の一員になることができた。これによりユーザーは、多数のNFTアートワークのコレクションの所有権を得ることができた。その中には、Pixel Vaultコミックのメインキャラクターである、現在の価格で数百万ドルの価値があるCryptoPunksのNFTも多く含まれている

このPunksのほとんどを提供したのは、@beaniemaxiという偽名の暗号投資家で、彼はこのプロジェクトに最初から資金を援助し、数百万ドル(数億円)のPunksコレクションを提供して、このプロジェクトの可能性について声高に語っていた。彼はここ数週間、自分のフォロワーにプロジェクトを押し付けておきながら、彼の個人的な関与の範囲については透明性が欠けているため、非難を浴びていた。このマイナーな暗号スキャンダルにより、彼はPixel Vaultプロジェクトから離脱することで、同スタートアップへのさらなる反感を避けた。

私は開示していないことは、何1つしていません。私は投資家として、NFTの販売収益の一部を受け取ることがあります。私は成功する可能性が高いと思われるチームのみを支援しています。私の実績がすばらしいから、私に続こうとする人がいるのでしょう。完璧を求めることは現実的ではありません。プロジェクトやファウンダーの中には失敗するものもあります。

Beanie

Pixel Vaultチームは「Punks Comic(パンクス・コミック)」のリリース以来、コミックの世界観を大切にし、同コミックのベテランアーティストを起用して、スーパーヒーローのNFTを大量に作成してきたが、これをより広いメディア世界に展開したいと考えている。チームは、知的財産権の維持と、コミュニティによる「MetaHero(メタヒーロー)」アートの使用と促進を奨励することのバランスを取ることを考えている。また、146の「Core(コア)」キャラクターのNFTに対する知的財産権を維持しつつ、何千ものジェネレーティブなキャラクターの幅広い再利用を可能にしようとしている。

「(彼らには)分散型Disney(ディズニー)を構築するという使命があります。これは、私の考えでは、経済的には参加しないが、この世界に存在するキャラクターを評価してくれる熱心なファンとの共同創造と共同所有を意味します」と、Velvet Sea VenturesのMichael Lazerow(マイケル・ラゼロフ)氏は、TechCrunchに語った。

MetaHero Universe:Core Identities collection(スクリーンショット)

CryptoPunksは、ハリウッドをはじめとするさまざまな分野でパートナーシップを展開するために、すでにWMEと代理店契約を結んでいる。

数千もの「MetaHero Generative Identity(メタヒーロー・ジェネレーティブ・アイデンティティ)」の1つの最低落札価格は、現在の価格で1万8000ドル(約200万円)強のETHとなっており、146のCoreキャラクターの中で最も安いものでも30万ドル弱(約3500万円)となっている。

分散型マーベルの構築は、確かにお金以上のものだ。とはいえ、Pixel Vaultはそのコミュニティにおそろしく多くのお金を持っている。このプロジェクトは、生涯取引量が10万ETH近く、現在の価格で約3000億円にも達しているのだ。

画像クレジット:Punks Comic / Pixel Vault

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

急成長するライブストリームショッピングプラットフォームのWhatnotがPastel Labsを買収、エンジニアリング担当VPも雇用

ライブストリームショッピングプラットフォームのWhatnot(ワットノット)は、フェニックスのガレージから抜け出して今や従業員数120人、評価額15億ドル(約1717億5000万円)にまで成長した。事業が爆発的に成長していることから、2022年中に従業員は300人以上になると見込まれている。この成長を支えるために、Whatnotは重要な人物を2人雇用する。1人は2020年にJeff Chang(ジェフ・チャン)氏が創業したPastel Labsの買収に関連している。チャン氏はかつてPinterestの成長チームでテクニカルリードを務めた著名な成長アドバイザーで、買収にともなってWhatnotの成長担当責任者となった。買収は全株式の取引でIPは含まれないことから「アクハイヤー」(買収による雇用)と見られる。Whatnotはもう1人、Lyftの成長&プロダクトエンジニアリング担当責任者だったLudo Antonov(ルード・アントノフ)氏をVP兼エンジニアリング担当責任者として雇用することも発表した。

関連記事:コレクター向けのライブストリーミングショッピングアプリWhatnotが約165億円を調達、ユニコーン企業に

Pastel Labsの買収は2021年12月に合意していたものの発表されていなかった。この買収についてWhatnotの共同創業者でCEOのGrant Lafontaine(グラント・ラフォンテーヌ)氏は、500万〜1000万ドル(約5億7000万〜11億4500万円)規模と述べた。Pastel Labsは従業員5人の小さい企業で、ユーザーのビデオメッセージを記録するSaaSプロダクトやオンライン指導向けのEdTechマーケットプレイスなど、実験的なプロダクトを開発していた。

画像クレジット:Whatnot

ラフォンテーヌ氏はアクセラレータプログラムのY Combinatorでチャン氏を知った。Whatnotはコロナ禍の直前である2020年冬にY Combinatorに参加していた。創業当初、ビニール人形のFunko Popのようなコレクターズアイテムのリセールに力を入れていたWhatnotは、資金を調達できなかった。人々はお遊びではなくコロナ禍に気を取られていたからだ。Whatnotはしばらくの間、ロサンゼルスからフェニックスへ移らざるを得ないほどだった。しかし同社は、米国の市場ではライブのソーシャルコマースは初期段階で今後の可能性を大いに秘めていると考えて、構築を続けた。

ラフォンテーヌ氏は「(チャン氏は)Y Combinatorでまさに成長を教えている人です」と述べ、チャン氏について「会社をスケールし、成長させることと、そのためのメカニズム」を知ることに関して世界で指折りの人物と説明している。ラフォンテーヌ氏によれば、チャン氏はこれまでにも成長に関する問題についてWhatnotにアドバイスをしてきたという。そして両氏が話をする中で、ラフォンテーヌ氏はPastel Labsで開発されてきたことの一部を、1年間で60倍以上の成長を遂げたばかりのWhatnotでさらに活かせるのではないかと考えた。

今後、チャン氏はWhatnotでマーケットプレイスの売り手側のスケールに力を入れる。現在、マーケットプレイスで扱われているものはスポーツやゲームのカード、おもちゃ、マンガ、ビンテージゲームなどのコレクターズアイテムが中心で、最近ではスニーカー、ビンテージファッション、レコード盤などのマニア向けカテゴリーもある。チャン氏は買い手側の強化にも力を入れ、スケールし続けるために必要な仕組みを明らかにしていく。それは広告かもしれないし、共有のためのツールか、あるいはもっと別のものかもしれない。同氏が率いる成長チームのメンバーは現在6人で、今後増員する計画だ。

もう1人のアントノフ氏はLyftやPinterest、Huluなど多くの有力テック企業での経験があり、今後はWhatnotのエンジニアリングチームを動かしていく。

画像クレジット:Whatnot

ラフォンテーヌ氏はアントノフ氏について「ルードは世界有数の成長を遂げたPinterestの成長チームや、Lyftの数百人にのぼるプロダクト&成長エンジニアリングチームの運営など、一流のエンジニアリングチームを確立してきました。彼の経歴はWhatnotにうってつけです。ビデオを扱い、コンテンツやPinterestを扱い、Lyftでマーケットプレイスを扱ってきました」と称賛している。

ラフォンテーヌ氏は、Whatnotはコンテンツプラットフォーム、マーケットプレイス、ビデオプラットフォームの3つをすべて包含するものだと補足した。

新たに加わる2人は、NFTなどの新しい分野に進出して拡大を続けるWhatnotを率いていく。同社は他にも、スケーリング、低遅延の環境、リアルタイムのデータを用いてコンテンツを発見するシステムの構築といった課題にも取り組む。ラフォンテーヌ氏によれば、今後1年間で同社はコレクターズアイテムやマニア向けカテゴリー以外にも拡大していく予定だという。さらに同社は、コンシューマ向けの新機能や売り手向けツールを追加する計画も立てている。

「ジェフとルードはともに、成長やマーケットプレイスのエンジニアリングチームを率いる豊かな経験を持っています。2人はコンテンツとコマースを組み合わせるだけでなく、企業のユーザーを何億人にもスケールする技量を示してきました。ルードとジェフがWhatnotに加わって、これほどうれしいことはありません」とラフォンテーヌ氏はいう。

画像クレジット:Whatnot

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

インド、暗号資産とNFTの所得に対する30%の課税案を発表

インドは、この世界第2位のインターネット市場において、暗号資産を法定通貨として認める方向で動いており、2023年までにデジタル通貨を立ち上げ、暗号通資産とNFTに課税する計画を現地時間2月1日に発表した。

Nirmala Sitharaman(ニルマラ・シタラマン)財務相は、仮想資産の譲渡による所得には30%の課税を行うと2月1日に発表した。このような暗号取引の詳細を把握するために、彼女はまた、仮想資産の購入に関連する支払いについて1%の源泉徴収控除を提案した。

「このような所得を計算する際には、取得原価を除き、支出や手当に関する控除は認められないものとします。さらに、デジタル資産の譲渡による損失は、他の所得と相殺することはできません。仮想デジタル資産の贈与も、受取人の手元で課税されることが提案されています」とニューデリーで最も注目すべきテクノロジーとビジネスに焦点を当てた連邦予算の1つで彼女は述べている。

この提案は、インドにおける規制の不確実性にもかかわらず暗号資産とNFTの購入が急速に進出しているタイミングで行われた。

Binance(バイナンス)傘下のWazirX(ワジールX)は2021年12月、同社のプラットフォームにおける年間取引量が2021年に430億ドル(約4兆9400億円)を超え、2020年から「1735%」の成長率になったと発表した。

暗号トークンの人気の高まりは、この分野で革新を目指すスタートアップ企業群の出現にもつながっている。しかし、彼らの積極的なマーケティングキャンペーンには多くの人々が眉をひそめている

関連記事:インドが高利益を約束する無責任な暗号資産の広告禁止を検討

Andreessen Horowitz(アンドレセン・ホロウィッツ)は2021年、暗号資産取引所CoinSwitch Kuber(コインスイッチ・クーバー)を支援することで、インドで初めての投資を実施した。

「これらの取引の規模と頻度から、特定の税制を規定することが不可欠になっています」と彼女は述べている。

インドの中央銀行も、次の会計年度にデジタル通貨を導入する予定だという。同国の中央銀行は、国内で数カ月間、多くの対照試験を通じてCBDC(中央銀行発行デジタル通貨)をテストし、銀行・金融システムへの影響を検証してきた。

「中央銀行デジタル通貨の導入は、デジタル経済に大きな弾みをつけるでしょう。また、デジタル通貨は、より効率的で安価な通貨管理システムにつながるでしょう」と述べた。ニューデリーはプレスノートの中で、その中央銀行発行デジタル通貨は紙幣として扱われると述べている。

関連記事:インドが中央銀行によるデジタル通貨の段階的導入を検討中

インドの隣国である中国は2022年1月初め、中国人民銀行がCBDCの試験の一環として、1億6000万ドル(約183億4300万円)以上に相当するデジタル人民元の取引を300万件以上処理したと発表した(中国は、記憶に新しいところでは、2021年、国内のすべての個人の暗号関連取引を違法とするレッテルを貼ったこともある)。

関連記事:中国が暗号資産の取引は「違法」として全面禁止、海外取引所やマイニング企業も規制へ

インドの今日の提案は、ニューデリーが暗号資産にどう取り組むつもりなのか、起業家、ベンチャーキャピタル、そして一般市民の間にやや混乱を生じさせた。

暗号関連の取引に税制を導入することで、ニューデリーはこのような仮想資産を法定通貨として認めるか、あるいは、ある投資家が声に出して疑問に思ったように「すべての行動から自分たちの肉を奪う」かのどちらかだと思われる。

ツイートで、野党議会党のスポークスパーソンRandeep Singh Surjewala(ランディープ・シン・スルジェワラ)氏は「財務大臣、国民に教えてください。暗号資産に課税することになるため、暗号資産法案を提出しなくても、暗号資産は今や合法なのでしょうか?その規制当局についてはどうでしょうか?暗号取引所の規制はどうなっているのでしょうか?投資家保護はどうなっているのでしょうか?」と訪ねた。

更新:ニューデリーは、現在「規制のための情報収集を行っている」と明らかにした

「しかし、今回の最大の進展は、暗号の課税に関する明確化でした。これにより、求められてきたように、インドの暗号エコシステムがより認知されるようになります。また、この開発によって銀行が曖昧さを取り除き、暗号業界に金融サービスを提供できるようになることを期待しています。「総じて、これは我々にとって良いニュースです。細かい部分を理解するためには、予算の詳細を見ていく必要があります」。とWazirX(ワジールX)のCEOであるNischal Shetty(ニシャル・シェッティ)氏は声明で述べている。

「税制が明確になったことは歓迎すべきことです。全体として、政府がイノベーションの方向に進むという進歩的なスタンスをとっていることがわかり、大きな安堵感を覚えます。税制を導入することで、政府はこの業界を大いに正当化することになります。これまで不安から傍観していた大多数の人たち、特に法人が暗号に参加できるようになります」。

ニューデリーはまた、国の農村部におけるインターネットとデジタル銀行の普及範囲を拡大することを約束した。

その他、注目すべき発表がいくつかある。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

【コラム】DAOはメディアに革命をもたらすのか、それとも金持ちの遊び場を作るだけだろうか?

2021年11月に、ConstitutionDAOという何千人もの暗号資産ファンを擁する仮想フラッシュモブが、米国憲法の初版の1つを購入するために約4500万ドル(約51億8000万円)をクラウドファンディングした。オークションには敗れたが、彼らはすでに、ニュースレター会社MorningBrewが配布した絵文字入りのスウェットシャツのラインを立ち上げていた。

ソーシャルメディアに無数のミームを氾濫させ、クラウドファンドへの参加を呼びかけたこの動きは、今やベンチャーキャピタル界で大流行している自立型分散組織(DAO、Decentralized Autonomous Organization)の一例にすぎない。Bitcoin Core(ビットコイン・コア)のようなオープンソースプロジェクトと同様に、DAOプロジェクトには自発的な参加者と受動的なフォロワーの両方が含まれており、その多くは有償のコアコントリビューターによって管理されている。コントリビューターに報酬を支払うためにどのように資金が集められるかは、プロジェクトによって大きく異なる。

他にも、Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)が支援するFriends with Benefits(FWB)など、複数のDAOプロジェクトが6億ドル(約692億円)を超える資産を運用している。DJやイベントコーディネーターの経験を持つFWBのリードオーガナイザーAlex Zhang(アレックス・ザング)氏は、2021年5月に収益性の高いDAOを統括しており、同クラブでは現在、奨学金プログラムを設けて四半期ごとに最大40人の奨学生を受け入れているという。このプログラムは最長3年間の資金提供を受けている(それ以外の場合はフルメンバーとして約8000ドル[約92万円]を要する)。

人々は、アイデアが即座に資金調達につながるか、立ち消えとなるかを確認する目的で自発的にDAOを開始することも多く、また暗号資産に関する試みを行うためのよりソーシャルな方法を含む、さまざまなネットワーキングの機会のためにDAOに参加することもある。ここで話を戻すと、これらのDAOの多くは、基本的に暗号資産を利用するメディア企業である。DAOと、The Informationのような(フィアットの)サブスクリプションファンドによる組織の間には、重複する部分も数多くあるが、主な違いは、FWBがジャーナリズムのイベントではなくパーティーを開くことだ。

手短にいえば、FWBは投資家の友人たちのグループで、2020年9月に資金をプールし、自分たちのクラブに入ってトークンを買いたいと望むEthereum(イーサリアム)ファンを募ったものだ。その後、マイアミ、パリ、ニューヨーク、ロサンゼルスでトークン保有者のための独占パーティーを開いた。ザング氏によると、FWBには現在、2000人の正会員に加えて、より安価な読み取り専用または地域限定のメンバーシップを持つ少数のファン集団が含まれているという。

「ZINE(個人やグループで制作する出版物)のようなマルチメディア資産を作成する編集・コンテンツチームを組織し、他の形式のコンテンツにも確実に移行しています。近々ラジオ局を立ち上げ、さまざまなDJをブックする予定です」とザング氏は語る。「私たちはサブスクリプション料金モデルから資産保有に移行しつつあります」。

特に有名なDAOとしては、ジャーナリストのDaisy Alioto(デイジー・アリオト)氏とKyle Chayka(カイル・チェイカ)氏が創設したニュースレターDAOプロジェクトDirt、Uniswap(ユニスワップ)のようなツールのユーザーのための暗号資産取引DAO、さらにFWBやPleasrDAOなどの暗号資産ソーシャルクラブが挙げられる。PleasrDAOのようなアートに特化したDAOは、JPEGからレアなアルバムまでのあらゆるものを含むアートコレクション収集のために数百万ドル(数億円)を集め、分配している。

PleasrDAOの共同創設者であり、2014年のEthereumトークンの最初の販売に参加したJamis Johnson(ジャミス・ジョンソン)氏は、次のように述べている。「DAOの会員総数は74人です。他のDAOと同様に、絶え間ない浮き沈みがあります。フルタイムの従業員として専任のオペレーターが在籍しており、約5人ほどになると思います。主なコミュニケーション手段はTelegram(テレグラム)です」。

これまでのところDAO参加者のほとんどは、さまざまなDAOにわたり、Ethereumの共同創設者Joe Lubin(ジョー・ルービン)氏のポートフォリオに属するMetaMask(メタマスク)、Gitcoin(ギトコイン)、Gnosis(グノーシス)、Infura(インフラ)といった企業に依存している。特にMetaMaskは現在、月間アクティブユーザー1000万人を擁しているという。また、Gitcoin DAOは6億4300万ドル(約741億円)を超える資産を持つと推定されている。

GitHubがスポンサーとなった調査によると、2021年時点で、DAO参加者422人のうち33%がFWBのようなDAOから月に1000〜3000ドル(約11万5000~約34万6000円)を受け取っている。回答者は主に、2020年以前からEthereumプロジェクトに深く関わっていた若い男性だった。現在のDAO参加者のほとんどが富裕層の暗号資産ファンだとしても、それはこのムーブメントのより広範なゴールではない。

FWBの投資家であり、The New York Times(ニューヨーク・タイムズ)がSubstack(サブスタック)やPatreon(パトレオン)、暗号ブログプラットフォームMirror(ミラー)といったクリエイターエコノミー企業の背後にいる「It Girl」投資家と呼ぶLi Jin(リー・ジン)氏の言葉を借りれば、DAOの目指すところは「暗号資産への新規参入者のためのフロントドア」になることだ。

その一方で、一部の機関はすでにDAOを受け入れており、ビジネスを行っている。ConstitutionDAOはSotheby’s(サザビーズ)に入札し、PleasrDAOは希少なWu-Tang Clan(ウー・タン・クラン)のアルバムをUnited States Department of Justice(米国司法省)から直接購入した。ワイオミング州は2022年に入り、DAOを州として初めて独自の法制度として認めている。ただし、申請手続きはまだ難しく、制約が課される可能性もある。

DAO MastersとFWBのメンバーであり、環境に焦点を当てたEcoDAOの創設者であるDavid Phelps(デイヴィッド・フェルプス)氏は、現時点で少なくともDAOムーブメントにより、人々の慈善活動への寄付が促されていると述べている。実際、このスペースには、奨学金プログラムやさまざまな慈善活動への数百万ドル(数億円)の寄付があふれている。

「ドルのエコトークンをリリースすれば、私たちはすべて問題なく支払いを受けることができるでしょう」とフェルプス氏は語り、自らのDAOの試みに言及した。先住民の土地改革と熱帯雨林の再生のための慈善事業に、これまでのところ3万7000ドル(約427万円)余りが集まっている。「ですが当面の目標は、アーティストたちが互いに支え合い、生涯にわたって収入を得られるような持続可能なエコノミーを作ることです」。

参加するには費用がかかり、困難がともなうかもしれないが、DAOムーブメントはすでに「ステータスを寄付に結びつけ、人々にパーティーの支払いを促し、意義のある大義にお金を再配分する」ことで価値を高めることを促進していると同氏は付け加えた。

しかし、このきらびやかな部屋の中の象は、Ethereumのベテランであっても、これらの数百万ドル規模の暗号資産クラブのメンバーがどのように税金を支払うかを誰も認識していないことを意味する。DAOムーブメントに関わっている中産階級の参加者たちの多くは、彼らが数千ドル(約数十万円)もの税金をため込んでいることに気づいていない。

「私たちは多くの請負業者や開発者、DAOのために働いている人々が税金申告の要件を知らないのを目の当たりにしてきました」と、Gordon Law(ゴードン・ロー)の税理士Andrew Gordon(アンドリュー・ゴードン)氏は話す。「通常、こうした事業者は1099(米国税庁の個人事業主向けの申請書)を発行する必要があります。社会保障番号なしでどうやって発行するのでしょうか?1099を提出しないと罰則が科せられます」。

さらにゴードン氏は、こうしたDAOの多くはフリーランスのコントリビューターやオペレーターに、ドルやその他の通貨ではなく独自のメンバーシップトークンで支払っていると付け加えた。これはトークンの「公正な市場価値を決定する責任は納税者に帰する」ことを意味する、とゴードン氏。DAOが自動的にNFT(非代替性トークン)をメンバーに贈与する場合、これは納税義務についての疑問を提起するかもしれない。2022年の納税シーズンが到来したとき、これらのデジタル資産の価格が急落すると、一部のDAOコントリビューターは支払い能力を超える税金を支払う義務を負う可能性がある。

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    FWB Paris party(画像クレジット:Alex Zhang)
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    FWB Paris party(画像クレジット:Alex Zhang)

「受け取った暗号資産が、受け取った時点での公正な市場価値に基づいて課税されることを知らなかった人から、電話がかかってくることがよくあります」とゴードン氏は続ける。「NFTとの関係でさらに複雑化する点は、評価の問題【略】最低価格と平均市場価格のどちらがその価値になるのでしょうか」。

すでに多くの若者たち、前述のDAOに参加する余裕がない人たちが、これらの試みを模して独自のものをローンチしている。Shannon Li(シャノン・リー)氏のケースもそうだ。

同氏は2018年に大学を卒業した後、パンデミックの初期には嫌だった仕事を辞め、それ以来コーディングのブートキャンプに参加している。現在独自のDAOを作っているが、それは人気の高いDAOの会費を払う余裕がなく、自分が応募した無料のオポチュニティにも反応がなかったからだ。こうして同氏は、トークンなしで開始することで、法的リスクを巧みに軽減することに成功した。

「DAOの最大の懸念は、実際には合法性と弁護士費用です」とリー氏は言い、DAOトークンの中には証券として規制されるものもあるかもしれないと指摘した。「このことは、トークンの販売が流通市場で行われるサービスではなく、サービス・フォー・サービスのDAOを作成したいと思う大きな理由です」。

リー氏は、女性のための暗号資産教育コンテンツに焦点を当てた80人で構成されるDiscord(ディスコード)サーバー、WEKrypto DAOを立ち上げた。最終的には、DAOにトークンゲートのグループチャットとNFTのイベントチケットを導入する計画だ。今のところ、ブートストラップ段階では「暗号資産についてもっと学び、他の人たちも利用できるように公開し、願わくば共有学習のジャーニー上で関係を築いていく」ことに注力している。

このムーブメントが、ルービン氏やVitalik Buterin(ヴィタリック・ブテリン)氏のようなEthereumの創設者たちによって育まれ、サポートされた企業を超えて成長するにつれて、DAOのエコシステムがどのようになるかはまだわからない。(すでに一部の人たちは、Bitcoin[ビットコイン]やSolana[ソラナ]のようなブロックチェーンを使いながら、同様のDAOのコンセプトを実装し始めている。)明るい面としては、FWBやIndex CoopのようなDAOにより、このムーブメントの多様性を改善するための多くの取り組みが始まっていることだ。

「私たちのコミュニティは、参加できなかったアーティストやクリエイター、その他の人たちに報いるために、1万8000のトークンを使ったフェローシッププログラムを立ち上げました」とザング氏はFWBについて語っている。「私たちは、普遍的な基本的資産の所有権を提供しています。この世界で何かを創造しているのであれば、その価値の一部を手に入れることができるはずです」。

今日でも、DAOたちが使っているツールは実験的なものだという見方が依然として大勢を占めている。Awesome People Ventures(オーサム・ピープル・ベンチャーズ)の創設者で、PartyDAOを含む複数のDAOのメンバーであるJulia Lipton(ジュリア・リプトン) 氏は、広く使われているGnosis Safe(グノーシス・セーフ)ウォレットに数百万ドル相当のデジタル資産を保有することは依然として「リスクを感じ」、DAO実験の技術面を完成させるには「途方もない時間」を要することが多いと述べている。技術的な問題に加えて、中間層のユーザーにとっては取引手数料が法外に高い場合もあるという。

「先は長いです。税金や規制だけでなく、DAO全般に関しても、未知のものが山ほどあります。コミュニティの所有権という概念については、まだ完全には解明されていません。私たちはこれらのプロジェクトをすべてA/Bテストし、公の場で実験を行ってきました」とリプトン氏は語る。

リプトン氏がDAO Mastersの設立に協力したのはそのためである。何十万ドル(何千万円)もの資金をクラウドファンディングして、新規参入者がDAOに関わるオポチュニティ、スキル、リスクについて学べるように支援した。

「私が最も情熱を注いでいることの1つは、価値の創造が価値の帰属と分配に結びつくことです。うすればより公正で公平なシステムを作ることができるでしょうか?」とリプトン氏はいう。

最終的には、DAOムーブメントの主要なインサイトは、他の方法では難解なメタバースに属しているという感覚に対して、人々がどれだけのお金を払おうとしているかということかもしれない。DAOのメンバーは、受動的なオーディエンスではなく、トライブ(同じ志を持つ人々の集まり)である。そのため、彼らは自分たちが代表されていると感じるメディアや体験に対して(お金か労働力のどちらかで)喜んで支払う。

あらゆる暗号資産トレンドと同様に、この帰属意識は金持ちになるという希望によって増幅される。DAOの参加者の中には、表立ったコメントは控えたものの、参加者自身のスタートアップやDAOに投資する可能性のある投資家とネットワークを作りたいと考えてDAOに参加していることを強調する向きもあった。

それは、Andreessen Horowitzの投資家ネットワークで埋め尽くされたDAOに所属することの魅力の一部だ。ジン氏は自身もこの巨大ファームの出身であり「(FWBの創設者である)Trevor McFedries(トレヴァー・マクフェドリーズ)氏とは何年来の友人」であると語っている。またザング氏は、マクフェドリーズ氏がFWBに招かれるずっと前から個人的な友人だったという。DAOのメンバーは、彼らの友人を定期的に高額な雇用や投資のオポチュニティに招待する。これらの暗号クラブに参加することは、いくつかの点で、アイビーリーグの友愛会に匹敵する。

一方、FWBの投資家であるジン氏は、Twitter(ツイッター)やポッドキャストで、クリエイターがより直接的にユニバーサルベーシックインカム(UBI)の恩恵を受けられるようになることへの期待を率直に語っている。ニュースレターのDirt(ダート)やForefront(フォアフロント)のライターたちのプログラムのようなDAOのその他の実験は、DAOの将来の可能性を垣間見せてくれる。それは、お互いのベンチャー支援によるグループチャットに投資している裕福な友人たちだけにとどまらない。

Forefrontのライターへの支払い能力は1稿当たり400ドル(約4万6200円)ほどで、数百人のトークン保有者を抱えるコミュニティの成長に支えられているが、目につくものではない。税金の問題やEthereumの取引手数料を考慮しても、その価格は一部の主要な従来型の小売店が最近ライターに支払っている額と変わらない。DAOのアドボケートたちが、より公平で分散化されたメディアのエコシステムを目指していると信じていることは明らかだ。コンプライアンスモデルが出現して初めて、リスクと責任がこれらのネットワークにどのように分散されるかが明らかになる。

「DAOは潜在的に、労働市場が機能する新しい方法と新たな経済的インセンティブを解き放ちます」とリプトン氏は語る。「コミュニティのトークンが長期的にどうなるかはまだ結論が出ていませんが、コミュニティの所有権という概念は残るでしょう」。

情報開示・著者はKomorebi CollectiveDes Femmes DAOの2つのDAOプロジェクトの創設メンバーである。

画像クレジット:Andrii Yalanskyi / Getty Images

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(文:Leigh Cuen、翻訳:Dragonfly)

コインチェックとThe Sandboxがメタバース上の都市「Oasis TOKYO」の開発プロジェクト開始、2022年春に一般公開予定

コインチェックとThe Sandboxがメタバース上の都市「Oasis TOKYO」の開発プロジェクト開始、2022年春に一般公開予定

暗号資産取引所・販売所などを手がけるコインチェックと、ゲーム分野においてメタバースの活用を推進するThe Sandboxは1月31日、コインチェックが保有するThe Sandbox上の土地「LAND」において、2035年の近未来都市「Oasis TOKYO」を制作するプロジェクトを開始したと発表した。この取り組みは、メタバース上での活動を体験する機会を提供することや、The Sandbox上でのコミュニティ活動の活性化を目的とするもので、2022年春に一般公開予定という。

The Sandboxは、メタバースと呼ばれる仮想空間の中で、ユーザーがボクセルアートのアバターや建物などのアイテムやゲームを作成して遊ぶ「ユーザー主導のゲームメイキングプラットフォーム」。

今回The Sandbox上に建設するOasis TOKYOは、「2035年の近未来都市」をコンセプトにしたメタバース×NFTのコミュニティ拠点となるという。日本を連想させる象徴的な街並みの中に美術館やステージなど様々なイベント施設を設置し、様々な分野のアーティストとファンとの交流や企業のコミュニティ育成の場として活用してもらうことを目指している。

コインチェックとThe Sandboxは2020年9月にパートナーシップを締結。NFTマーケットプレイス「Coincheck NFT(β版)」でのLANDの販売など、日本市場におけるThe Sandboxの認知拡大を推進してきた。2021年後半より、メタバースやWeb3に注目が集まり、SNSやその上に成り立っていたコミュニティの形も変化するとされる中で、両社で連携し今回の取り組みを行うことで、近い将来訪れるであろうメタバースの世界を体験できるきっかけを創出したいとしている。

実在する不動産をNFTとして購入可能に、Propyが米国でプラットフォームの展開を開始

2021年、初期のブロックチェーンスタートアップであるPropy(プロピー)が、このテクノロジーを使って現実の不動産販売をスムーズに行えるようにするために、スマートコントラクトの概念を導入することを計画しているという記事を掲載した。同社は実際にNFT(非代替性トークン)としてアパートを販売し、NFTを使って法的手続きを効果的に処理することに成功している。ただし、そのアパートはウクライナにあるものだった。同社は今回、この概念をそっくりそのまま、法律的な問題がまったく異なる米国で展開を始める。

関連記事:キエフのアパートが収集可能なNFTとして初オークション、ブロックチェーンスタートアップPropyが企画

同社は現在、米国で不動産を担保としたNFTを起ち上げることによって、このプロセス全体をさらに拡大し、文字通り不動産の所有権をNFTに変えるための技術的・法的な枠組みに取り組んでいる。

このテクノロジーは、所有者や仲介業者に向けて販売されることになっており、Propyは不動産NFT化サービスの一環として、2月8日にフロリダ州にある2つの住宅用物件をオークションにかける予定だ。

その仕組みは次のようになっている。Propyによると、購入の記録は変更不可能なブロックチェーン上に置かれ、所有権を示す法的文書へのアクセスを提供する。これによって、買い手はコストを削減でき、購入のプロセスが短時間で簡単になるため、わずか数分で物件を購入することができる。

Propyの計画は、このサービスをグローバルに拡大し、ブロックチェーン技術を使って不動産を購入するための単一のフレームワークを提供することである。

うまくいけば、買い手はフロリダ州にある投資用不動産を手に入れ、所有権がNFTに関連づけられた米国にある実体の所有者となることができる。フラクショナル・オーナーシップではなく、担保にして借り入れが可能なDeFi資産となるのだ。

Propyの共同創業者でCEOのNatalia Karayaneva(ナタリア・カラヤネバ)氏は、次のように述べている。「私たちはPropyで、必要なすべてのスマートコントラクトと、米国内のあらゆる不動産物件のトークン化を可能にする互換性のある法的枠組みを開発してきました。NFTの販売額は2021年12月に40億ドル(約4600億円)に達しましたが、実物資産がその市場のかなりの部分を占めるようになるでしょう」。

2021年、PropyはウクライナでNFTを介してアパートを販売した。現在までに1600万ドル(約18億5000万円)以上の資金をベンチャー・キャピタルから調達しており、Tim Draper(ティム・ドレイパー)氏やMichael Arrington(マイケル・アーリントン)氏などから支援を受けている。

スマートコントラクトは、バーモント州アリゾナ州でこれを認める法案が可決されるなど、ますます法的効力を持つ記録になりつつある。

Propyに競合する会社はいくつかある。RealT(リアルT)はフラクショナル不動産投資プラットフォームで、世界中の投資家がトークンベースのブロックチェーンネットワークを通じて米国の不動産市場に投資することができる。SafeWire(セーフワイヤ)、かつてのSafeChain(セーフチェーン)は、不動産会社、エージェント、顧客、業界が、ハッカーの介入によって直面する通信詐欺の課題に取り組んでいる。しかし、同社はClosingLock(クロージングロック)に買収された。

画像クレジット:Andrii Yalanskyi / Getty Images

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

リアルな宇宙の「お宝」も付いているランボルギーニのNFT、2月1日にオークション開始

Lamborghini(ランボルギーニ)は、非代替性トークン(NFT)の分野にスーパーカーを投入する。しかし、NFTコミュニティを代表するようになった、コンピュータ設計された霊長類ベースのTwitterアバターとは異なり、ランボルギーニは暗号資産の提供において物理的世界とデジタル世界の架け橋となっている。

正確には、世界の「外側」だが。

NFT PRO、RM Sotheby’sとの提携の下、ランボルギーニは2月1日から2月4日まで、デジタルとフィジカルがリンクした5組のアートを自社の専用NFTウェブサイトでオークションにかける。

ランボルギーニは、NFTを導入しているNike(ナイキ)、Samsung(サムスン)、その他のテック企業の輪に加わる。例えば、Twitter(ツイッター)では、NFTの所有者が、特別なプロフィール写真の六角形のフレームを使ってお気に入りのNFTを披露することができるようになっている。Reddit(レディット)も最近、ユーザーが自分の作品をプロフィール画像として設定できるようにしてNFTに足を踏み入れた

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他の多くのNFTとは異なり、ランボルギーニのアート作品には、デジタル作品と対になる5つの有形アイテムが用意されている。これらの物理アイテムは、NFTブームが去ったとしても、その価値を持ち続けるはずだ。

ランボルギーニは、共同研究プロジェクトの一環として、2020年に国際宇宙ステーションにカーボンファイバーを送った。そのカーボンファイバーのごく一部を収めた物理的なSpace Keyは、オークションの落札者が手にして自慢できるものになる。

カーボンファイバーは特別なケースに収められ、それぞれQRコードが刻まれている。このQRコードは、刺激的な写真で機械の世界を際立たせる一連の作品で知られるアーティストFabian Oefner(フェビアン・エーフナー)氏が制作したデジタルアート作品に対応する。

デジタル作品は、地球の写真の上に浮かび上がるランボルギーニUltimateが爆発するというものだ。「Space Time Memory」と名付けられたこの作品は、ランボルギーニ車両のパーツの写真1500枚を使っている。宇宙船が地球から飛び立つのを真似てデジタル処理で組み立てられており、宇宙に向かう車両の後ろに小さな機械部品が軌跡を描く。背景の地球は、成層圏まで飛ばした気象観測気球で撮影したものだ。

5つの画像はそれぞれ微妙に異なっている。これらを組み合わせると、動きのある魅力的な画像の連続となる。

つまり、かなりすばらしいGIFに仕上がっている。

画像クレジット:Fabian Oefner/Lamborghini

「私にとって、Space Time Memoryは、人生で作る思い出のアナロジーです」とアーティストたちは声明で述べた。それがどんな意味であれ、とても壮大に見える。少なくとも、漫画のサルのJPEGよりもはるかに興味をそそるものだ。

ランボルギーニのCEOであるStephan Winkelmann(ステファン・ヴィンケルマン)氏はTechCrunchに、自身と同社にとってNFTはコミュニティとその若い精神、そしてデザインだと語った。同氏は、NFTのコミュニティが、少なくともNFTの世界に挑戦するためにランボルギーニに注目していると指摘し「というのも、我々の顧客が非常に革新的で、このようなことを調べていることを知っているからです。だから、彼らは同じように考える人たちと話をしているのです」と述べた。

同社はまた、エーフナー氏からこのプロジェクトの話を持ちかけられた。実際、複数の代理店がNFTの制作を打診してきたという。しかし、このアーティストの存在が、契約に導いたのかもしれない。エーフナー氏側は、2018年からMiuraを含むランボルギーニ車両を使って作品を制作している。エーフナー氏とランボルギーニは売上を折半する予定だ。

ランボルギーニはこの販売を評価し、その結果次第では今後さらにNFTを制作する可能性もある。それでも、ヴィンケルマン氏は、ランボルギーニが性急にNFTに手を出すことはないと強調した。

「我々が持つ最高の価値はブランドなので、非常に慎重に行動しなければなりません」と語った。

NFTがリアルな要素を持つ理由について同氏は、自動車メーカーの世界は非常にフィジカルであり、そのことを決して忘れてはならないと述べた。フィジカルとデジタルの組み合わせが、同氏とランボルギーニの好奇心を引きつけた。

注目を浴びることを好む顧客層によって繁盛しているランボルギーニにとって、NFTのオークションは華やかさも兼ね備えていなければならない。人類の宇宙探査というテーマを継続するために、ランボルギーニのSpace Time Memoryオークションは75時間50分続く予定だ。これは、アポロ11号が地球を離れ、月の軌道に乗るまでに要した時間と同じだ。

もしオークションが成功すれば、ランボルギーニが宇宙や月にアイテムを送り、将来のデジタルアート作品とリンクさせるきっかけになるかもしれない。これを実現するために、同社が将来、月飛行でSpaceX(スペースエックス)と組まないという理由はない。

しかし、3月初旬に7年間の宇宙旋回を終えて月に衝突する見込みのSpaceXのFalcon 9ブースターが注目されなくなるまで、ランボルギーニは待ちたいと思うかもしれない。

NFT、スーパーカー、そして宇宙開発に関していえば、クラッシュは常に悪い言葉だ。

画像クレジット:Lamborghini

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(文:Roberto Baldwin、翻訳:Nariko Mizoguchi

Reddit、Twitterのように任意のNFTをプロフィール画像に設定できる機能をテスト中

Reddit(レディット)は、2021年に数量限定でリリースしたCryptoSnoos」と呼ばれる自社のイーサリアムベースのNFT(非代替性トークン)だけでなく、ユーザーが所有するあらゆるNFTをプロフィール画像に設定できる機能をテストしている。NFTをプロフィール写真に設定できる同様の機能は、最近Twitter(ツイッター)でも始まり、写真をクリックするとNFTに関する情報が表示され、Twitterの標準的なプロフィール写真と区別するために六角形の画像として表示される。しかし、RedditがNFTをどのようにサポートするか、詳細はまだ決まっていない。

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TechCrunchに提供された声明の中でRedditは、このNFTテストは非常に初期の段階にあり、サイト上の一般ユーザーが利用できるようにはなっていない、と説明している。

「我々は常にRedditのユーザーとコミュニティに価値を提供する方法を模索しています。現時点では、NFTをプロフィール写真(アバター)として使用し、所有権を証明する機能をテストしています」と、Redditの広報担当者Tim Rathschmidt(ティム・ラスシュミット)氏は述べた。「小規模な内部テストであり、機能の拡張や展開については決定していません」。

Redditは以前からNFTに関するさまざまな取り組みを試みており、nft.reddit.comにNFT関連の専用ページまで開設している。当面の間、このページは主にReddit独自のデジタルコレクティブルであるCryptoSnoosにフォーカスしている。

知らない人のために説明すると「Snoo」の部分はRedditのエイリアンのマスコット、別名「Snoo」を指しており、コレクティブル自体はSnooのイメージに基づいたバリエーションとなっている。例えばあるものはブロック状のイメージ、またあるものはヘリウム風船のイメージといった感じだ。CryptoSnoosは全部で4つしかリリースされていない。

Redditの既存のCryptoSnoos

CryptoSnoosに対する反応は、明らかにまちまちだった。多くのRedditユーザーは発表投稿のコメント欄で、RedditのNFTへの進出について「バカバカしい」「ギミック」、あるいはもっとひどい表現で怒っていた。また、NFTの価格が高く、多くの人がこのエコシステムに参加できないことを懸念する声もあった。しかし、中にはより中立的な好奇心や、Redditの取り組みへの支持を示す人もいた。

これらの反応は、NFTが業界を越えて賛否両論を呼んでいることを反映している。例えば、NFTのプロフィール写真を使用したTwitterアカウントをブロックするツールをすでに構築した人がいる。Discord(ディスコード)とMozilla(モジラ)は、ユーザーの大きな反発を受け、暗号資産プロジェクトを一時停止した。ゲームコミュニティでは、従来のゲームパブリッシャーが暗号資産に移行しようとしたため、混乱が生じた

CryptoSnoosは初期テストにすぎないため、さらにCryptoSnoosを立ち上げる明確な計画はない、とRedditは話す。

画像クレジット: Nima Owji

新しいNFTのテストは、開発者のNima Owji(ニマ・オウジ)氏が最初に発見した。同氏は、Redditのウェブアプリでこのプロジェクトに言及したバナーを見つけたと語った。それはRedditのコミュニティのメインページの上部に表示されていたが、Redditのユーザーには表示されていなかった。同氏は、RedditのエイリアンをテーマにしたCryptoSnoosだけでなく、NFTを表すさまざまな種類の画像が含まれていたことから、この画像はCryptoSnoos外への拡張を表しているのではないかと推測している。

また、バナーはスコープの拡張を明確に説明している。「あなたのNFT、今度はあなたのアバターです!」。続いて「デジタルコレクティブルをRedditのアバターとして使えるようになりました」という短い説明もある。

発見した時、バナーの「Get Started」ボタンは機能していなかったという。

しかしオウジ氏はその後、Redditのコードの中に、OpenSea上のNFTのテストコレクションと思われるものへの参照を見つけ、それはRedditエイリアンのさらなるバリエーションだった(いずれも販売されていない)。これらはRinkebyという、メインのイーサリアムネットワークに公開する前にブロックチェーンの実験を行う場所として設計されたイーサリアムのテストネットワーク上にあった。

OpenSeaでのRedditのNFT実験

NFTアバターを立ち上げる場合、どのようなブロックチェーンに対応するのか、そして対応ブロックチェーンの詳細についてもRedditはコメントしなかった。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

暗号化のスタートアップSyndicateは「Web3投資クラブ」サービスでDAOの神秘を解く

この1年、暗号信奉者たちはトークンとNFT(非代替性トークン)によって変容させられたインターネットの上で世界を売ろうとしている。一方、一部の人々は、民主主義を変えて古臭い組織をオンライン時代に合わせて変容する方法としてDAO、即ち分散型自立組織を推し進めてきた。どちらのグループもメッセージの発信と国の法的ガイドラインを相手に戦ってきたが、新規ユーザーを獲得するための技術的課題は、自らDAOを作ろうとする人々が乗り越えなくてはならない大きな壁だ。

Syndicate(シンジケート)は昨年Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)から2000万ドルを調達したDAOサービスのスタートアップだ。このほど同社は、DAO設立プロセスを(法的に可能な限り)簡易化することを目指して、新規プロダクトのWeb3 Investment Clubs(ウェブスリー・インベストメント・クラブ)を公開した。このツールを使って、ユーザーは最大99人の参加者を募り、資産を蓄積してその資金をどこに投資するかをグループ内で投票する。

Syndicateの共同ファウンダー、Ian Lee(イアン・リー)氏は、同製品は「コンプライアンスに則り、メンバーのために正しく行動する平安な心」でDAOを作るしくみをユーザーに提供する、とTechCrunchに話した。スタートアップの大きな目標は、こうしたグループを作ることで、トークンやNFTへの投資を「グループ・チャットのように簡単」にすることだ。

“Investment Club”というブランディングは、より多くの人たち(ここでは投資家)のためにDAOの謎を取り除き、従来からの非暗号化金融サービスのような投資手段を考えている人たちに代替手段を提供する取り組みの一環だ。同スタートアップのDAO設定のためのステップ・バイ・ステップのガイドは、暗号資産のベストプラクティスに親しみのない人たちにとって一連のサービスがいかに複雑に絡み合っているかを示しているが、テクニカルな手段の波に乗れさえすればグループを簡単に作れることも表している。

設定のガイドラインに加えて、Syndicateはダッシュボードも提供していて、ユーザーは自分たちの投資クラブの保有資産や過去の活動を閲覧できる。

画像クレジット:Syndicate


Syndicateはこれらクラブを、個々の状況や法的猶予にあわせてユーザーにとって柔軟なものにすることを目指している。適格ユーザーと非適格ユーザー向け、さらには米国内にメンバーをもつDAOについてもそれぞれガイドラインがある。Syndicatehaは、クラブ管理者になる人が知っておくべき基本ガイドライン(たとえば米国内の非適格投資家からなるクラブでは全メンバーが全決議に投票しなくてはならない)を提供するが、実施はエンドユーザーにまかせている。Syndicateのスマート契約書は、クラブを法的組織として登録する手続きを紹介しと、すべてが公正かつ確実に行われるように、銀行口座の設定や納税書類の作成を扱う。

Syndicateは自分たちをDAOインフラストラクチャー・エコシステムの中心として位置づけ、興味をもつユーザーのできるだけ多くにサービスを知ってもらいたいと考えている。このため、この新サービスは無料で、Syndicateは設定にも保守にも、一切費用を請求していない。

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画像クレジット:TechCrunch

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ゲーム内NFTの生成を専門に行う企業BreederDAOにa16zなどが出資

分散型の「Web3」企業が、中央集権的な従来の企業と比べてどれほど違うか、あるいは違わないかを、テクノロジー界の巨人たちが議論している間に、同じ投資家からの支援を含め、互いに結びついた企業のエコシステムが、急速に出現しつつある。

2021年の夏、Andreessen Horowitz(a16z)は、Yield Guild Games(イールド・ギルド・ゲームズYGG)という会社に投資した。この会社はブロックチェーンを使ったゲーム内のNFT(非代替性トークン)に投資し、それを使う人に貸し出して、その人がプレイすることで収益を得るというものだ。このようなゲームの中でも特に急成長しているのが「Axie Infinity(アクシー・インフィニティ)」だ。このゲームでプレイヤーは仮想生物を繁殖させて戦わせ、最終的にうまく戦うことができれば、適切な値段で売ることができる。

a16zは10月までに、Axieの開発会社であるSky Mavis(スカイ・メイビス)への大規模な投資を主導した。現在は、さらに別の構成要素にも資金を提供している。BreederDAO(ブリーダーDAO)という企業だ。同社は、Axie Infinity を含むブロックチェーンベースのゲームや仮想世界で使用されるデジタルアセットの「専門製作業者」として、数カ月前にフィリピンで設立された。

YGGの初期アドバイザー1人を含む若い創業者たちによって設立されたこの社員23名の会社は、a16zとDelphi Digital(デルファイ・デジタル)が共同で行ったトークンセールで、1000万ドル(約11億4000万円)のシリーズA資金を調達した。これにはHashed(ハッシュド)、com2us(コムツーアス)、Morningstar Ventures(モーニングスター・ベンチャーズ)、Mechanism Capital(メカニズム・キャピタル)、Sfermion(スフェルミオン)、The LAO(ザ・ラオ)、Emfarsis(エンファーシス)なども参加した。

なぜ、デジタル資産を作成することだけに特化した企業に資金を提供するのか。それは、まるで工場のラインで働く装置のようなものではないか?a16zゼネラルパートナーで、このような取り組みの多くを主導しているArianna Simpson(アリアナ・シンプソン)氏によると、その理由は単純で、NFTの需要が供給を上回り始めているからだという。「これらのゲームをプレイすることへの関心があまりにも高く、ゲームをプレイするために必要なAxiesやその他のエンドゲームアセットが実際に不足しているのです」。

ゲームメーカーは、ユーザーをゲームに夢中にさせておくために十分な流動性を確保するため、YGGをはじめとするいわゆるPlay-to-earn(プレイして稼ぐ)ギルドのようなサードパーティ企業との協力に前向きであることがすでに証明されている。これらの企業は、NFTのゲーム内資産を購入し、それらをプレイヤーに貸し出して収益を共有する。

今やこれらのギルドは、貸し出す資産をより多く、早急に必要とするようになっている。そのため、BreederDAOのような会社が誕生し、YGGをはじめとするReady Player DAO(レディ・プレイヤーDAO)、Earn Guild(アーン・ギルド)などの同じような企業が、この若い会社の顧客として契約しているのだ(YGGはBreederDAOの株式も所有している)。

シンプソン氏と彼女のパートナーは、より多くの顧客がすぐに列を作るだろうと確信している。a16zのデータによると、YGGやEarn Guildのような企業は、2021年5億3200万ドル(約608億円)の資金を集めた。しかし、これらの企業が資産を貸し出しているプレイヤーは、Axie Infinityに集まった約300万人のデイリーアクティブユーザーの2%にも満たないため、まだまだ成長の余地があると考えられる(BreederDAOのサイトによれば、同社は2025年までに5000のPlay-to-earnグループと協力することを目標としている。その時点ででそれだけ多くのグループが存在していると仮定しているわけだ)。

ブロックチェーンゲームで単純にNFT自体を増やすことを妨げる技術的な制限というものは、どうやら存在しないようだ。むしろ、Sky Mavisのような企業は、NFTを生成するためのエンジンを作ったものの、必ずしも事業としてその点に必要以上に注力したいとは考えていないと、シンプソン氏はいう。また、経済的にメリットがある限り、縄張り意識というものもない(例えば、Axie Infinityをプレイする人が増えれば増えるほど、そのゲームのトークンの価値は上がる)。

シンプソン氏は、このプロセス全体をサプライチェーンのように考えるべきだと言っている。「必ずしも1つの会社が最後から最後まですべてを生産するのではなく、サプライチェーンのさまざまな部分でさまざまな会社が、製品を完全に完成させるということです」。

現時点で、このサプライチェーンにおけるBreederDAOの担当は「Axie Infinity」をはじめ「Crabada(クラバダ)」「Pegaxy(ペガシー)」などのplay-to-earnブロックチェーンゲーム用のNFTを製作することだ。

工場のように、BreederDAOはこれらのNFTをあらかじめ設定された価格で販売しているが、これは時間の経過とともにレベニューシェア型契約に発展する可能性がある。「細分化は、今やっていることではありません」とシンプソン氏はいうが「将来的には」「誰にもわかりません」と付け加えた。

BreederDAOを率いるのは、フィリピン人の共同創業者であるRenz Chong(レンツ・チョン)氏、Jeth Ang(ジェス・アン)氏、Nicolo Odulio(ニコロ・オデュリオ)氏だ。

チョン氏は元経営コンサルタント、アン氏はフィリピンで数多くの企業を設立してきた。元商業パイロットのオデュリオ氏は、BreederDAOが自社内に擁するスマートコントラクトの専門家であり、Binance Smart Chain(バイナンススマートチェーン)やEthereum(イーサリアム)を含む複数のチェーンで暗号資産プロジェクトや分散型アプリを構築した経験があるという。

シンプソン氏をはじめとする投資家はすべて、BreederDAOのトークンが一般公開される前に投資を行っている。これはトークンが公開される前にチームを強化し、トークンが公開されたときに万全の態勢を整えるためだ。このシンジケートの参加者は、それぞれの投資額に応じた数のトークンを手にすることになる。

BreederDAOは、以前にも非公開のシード資金調達を実施している。このラウンドに参加したYGGの他、Infinity Ventures Crypto(インフィニティ・ベンチャーズ・クリプト)、Ascensive Assets(アセンシブ・アセッツ)、Bitscale Capital(ビットスケール・キャピタル)、FireX(ファイヤーエックス)、Mentha Partners(メンサ・パートナーズ)、Not3Lau Capital(ノットスリーラウ・キャピタル)などが支援者として名を連ねていた。

画像クレジット:Ralf Hiemisch / Getty Images

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(文:Connie Loizos、翻訳:Hirokazu Kusakabe)