ハッカーLapsus$はOkta侵入前にSitelのパスワード一覧にアクセスしていた

TechCrunchが確認したまだ報じられていないコンピューター侵入の新たな詳細をつづっている文書によると、Lapsus$のハッカーは2022年1月に顧客サービス大手Sitel(サイテル)のネットワークに侵入し、その数日後に認証大手Okta(オクタ)の内部システムにアクセスするのに漏洩した認証情報を使用した。

ハッカー集団Lapsus$が約2カ月前にOktaの内部アプリとシステムにアクセスしていたことを明らかにするスクリーンショットを公開し、顧客は3月22日にOktaの1月のセキュリティ侵害を知った。Oktaはブログ投稿で侵害を認め、その後、同社の法人顧客のうち366社、つまり顧客ベースの約2.5%が侵害の影響を受けていることを認めた。

今回の文書は、Sitelの侵害に関するこれまでで最も詳細な説明で、これによりハッカーは後にOktaのネットワークにアクセスすることができた。

Oktaは、シングルサインオンプロバイダーとして、世界中の数千の組織や政府機関に利用されており、従業員はメールアカウントやアプリケーション、データベースなど、企業の内部システムに安全にアクセスできるようになっている。

独立系セキュリティ研究者のBill Demirkapi(ビル・デマーカピ)氏が入手し、TechCrunchと共有した文書には、ハッカーが最初にSitelのネットワークに侵入してから1週間以上経った1月25日に送られたSitelの顧客とのやり取りや、インシデント対応企業Mandiant(マンディアント)がまとめた3月17日付のSitel侵入に関する詳しいタイムライン(Oktaと共有されたもの)などが含まれている。

文書によると、Sitelは2021年に買収したOktaの顧客サービス会社Sykesが所有する古いネットワーク上のVPNゲートウェイでセキュリティインシデントを発見したという。VPN(仮想プライベートネットワーク)は、企業のネットワークにリモートアクセスするために悪用される可能性があるため、しばしば攻撃者のターゲットとなる。

タイムラインには、攻撃者がリモートアクセスサービスと一般公開されているハッキングツールを使用してSitelのネットワークを侵害して入り込み、Lapsus$がアクセスできた5日間にネットワークへの可視性を深めていった様子が詳細に記されている。Sitelは、自社のAzureクラウドインフラも侵害されたと述べた。

タイムラインによると、ハッカーは1月21日未明にSitelの内部ネットワーク上の「DomAdmins-LastPass.xlsx」と呼ばれるスプレッドシートにアクセスした。このファイル名からして、スプレッドシートにはSitel従業員のLastPassパスワードマネージャーからエクスポートされたドメイン管理者アカウントのパスワードが含まれていることがうかがえる。

約5時間後、ハッカーは新しいSykesユーザーアカウントを作成し、組織への幅広いアクセスを持つ「テナント管理者」と呼ばれるユーザーグループにそのアカウントを追加し、後に発見されてロックアウトされた場合にハッカーが使用できるSitelのネットワークへの「バックドア」アカウントを作成したと思われる。Oktaのタイムラインによると、Lapsus$のハッカーはほぼ同時期にOktaのネットワークに侵入していたようだ。

タイムラインでは、ハッカーが最後にSitelのネットワークにアクセスしたのは1月21日午後2時(協定世界時)で、パスワードのスプレッドシートにアクセスしてから約14時間後だった。Sitelは攻撃者を締め出そうと、全社的にパスワードのリセットを行った。

Oktaは3月17日付のMandiantの報告書を受け取った後、Sitelの侵害についてもっと早く顧客に警告しなかったことで批判にさらされている。同社の最高セキュリティ責任者David Bradbury(デイビッド・ブラッドベリー)氏は、同社が「その意味を理解するためにもっと迅速に行動すべきだった」と述べた。

本稿掲載前に連絡を取った際、Oktaはコメントできなかった。SitelとMandiantは記事の内容に異論はなかったが、コメントを控えた。

Oktaはここ数カ月でLapsus$ハッキング・恐喝グループに狙われたいくつかの有名企業の1社にすぎない。Lapsus$グループは、12月にブラジルの保健省を標的にしたサイバー攻撃で同国民のワクチン接種情報など50テラバイト分のデータを盗み出し、ハッキングシーンに初めて登場した。それ以来、このグループはポルトガル語圏の企業数社Samsung(サムスン)、NVIDIA(エヌビディア)、Microsoft(マイクロソフト)、Oktaなどのテック大手を標的とし、Telegramチャンネルの数万人の購読者にアクセスや盗んだデータを売り込み、一方で被害者の盗んだファイルを公開しない代わりにしばしば変わった要求を突きつけてきた。

英国の警察は先週、事件に関連する7人を逮捕したと発表したが、いずれも16歳から21歳の若者だった。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

Netflix、PayPal、Adobe、Epic Games、任天堂もロシアでの事業停止

ロシアのウクライナ侵攻を受けて、ロシアでの事業を停止するハイテク企業のリストが増え続けている。この動きに最近加わった企業には、Netflix(ネットフリックス)、PayPal(ペイパル)、Mastercard(マスターカード)、Visa(ビザ)などの有名どころが含まれている。

Varietyが最初に報じたように、Netflixは米国時間3月6日、ロシアでのサービスを停止すると発表した。この措置は、同社が先週、ストリーミング配信会社にロシアの20のプロパガンダチャンネルホスティングを義務づけるロシアの新法に従わないと述べたことを受けたものだ。Netflixはまた、ロシアで制作を予定していた今後のすべてのプロジェクトを一時停止している。

Adobe(アドビ)も、ロシアにおける自社製品・サービスの新規販売をすべて停止すると発表した。同社は、自社の製品やサービスが「法律に反した戦争の支援に使用されない」ようにする責任があると信じている、と述べている。

PayPal(ペイパル)は、米国時間3月5日にロイターが最初に報じたように、ロシアでのサービスを停止すると発表した。ウクライナのMykhailo Fedorov(ミハイロ・フェドロフ)副首相はツイートで、PayPalのCEOであるDan Schulman(ダン・シュルマン)氏がこの措置を確認している書簡を公開した。

ロシアから撤退した決済企業はPayPalだけではない。Mastercardは米国時間3月5日、ロシアにおけるネットワークサービスを停止すると発表した。つまり、ロシアの銀行が発行したカードは、今後Mastercardのネットワークではサポートされなくなる。また、ロシア国外で発行されたすべてのカードは、ロシアの商店やATMで使用できなくなる。同社は、適切な時期に業務を復活させるとしている。

同様にVisaも同日、ロシアでの全業務を停止したと発表した。同社は、ロシア国内の顧客やパートナーと協力し、すべてのVisa取引を停止するとしている。ロシア国内で発行されたVisaカードでの取引はすべてロシア国外では機能しなくなり、ロシア国外の金融機関が発行したVisaカードはロシア国内で使えなくなる。

ゲーム会社もまた、テック業界の他の企業とともにロシア国内でのビジネスを終了する。Epic Games(エピックゲームズ)は米国時間3月5日、ゲームに関するロシアとの取引を停止すると発表した。しかし同社は「他のコミュニケーションツールがオンラインであるのと同じ理由で、アクセスをブロックしていない。自由な世界は、すべての対話をオープンにしておくべきだ」と述べた。

態度を明らかにしたゲーム会社はEpic Gamesだけではない。Activision Blizzard(アクティベーションブリザード)も同じ日にロシアの消費者へのゲーム販売を一時停止すると発表した。同社はまた、ロシアでのゲーム内購入の提供も停止する予定だ。

任天堂も、利用している決済サービスが「ルーブルでの決済処理を停止した」ため、ロシアのeショップを一時的にメンテナンスモードにし、同国でのデジタル販売を停止した。

Snapchat(スナップチャット)は先日、安全予防策としてウクライナで公開されているSnap Mapの「ヒートマップ」を無効化すると発表し、対応を拡大した。ヒートマップ機能は通常、人々が多数のSnapを共有した場所を目立たせる。この措置は、同社がその前にロシアで広告を一時停止していると発表したのに続くものだ。

また、TikTok(ティクトック)は米国時間3月6日、ロシアの新しい「フェイクニュース」法に対応して、ライブストリーミングと動画サービスの新コンテンツを停止すると発表した。この法律では、ロシア政府がウクライナ侵攻に関する偽情報と見なすものを公開した者は刑務所に入ることになる、と脅している。TikTokは、従業員とユーザーの安全を維持するために、同国での事業を停止することを決定した。

Samsung Electronics(サムスン電子)は「このところの地政学的な動きにより」ロシアへの全製品の出荷を停止すると発表した。出荷が停止された製品には、スマートフォン、半導体、家電製品などが含まれる。この動きは、デバイスメーカーのApple(アップル)やDell(デル)、チップメーカーのIntel(インテル)、ソフトウェア大手のMicrosoft(マイクロソフト)からの同様の発表に続くものだ。

GrubHub(グラブハブ)は、ロイターが最初に報じたように、ロシアのテック大手Yandex(ヤンデックス)との提携を終了すると発表した。複数年にわたるこの提携は、大学生に食事を配達するドライバーレスロボットに関するものだった。Grubhubは、欧州最大の食事宅配会社Just Eat Takeaway.com(ジャストイート・テイクアウェイ・ドットコム)の一部門だ。

ロシアに対抗する姿勢を示したこれらの最新の企業グループは、AppleやGoogleなどの仲間入りをしている。Appleは3月1日、ロシアでの製品販売を停止したことを認めた。また、App StoreからSputnikとRT Newsを削除し、同国でのApple Payサービスの一部を無効にしたGoogleはAppleに続き、自社のモバイルアプリストアからRT(ロシア・トゥデイ)とSputnikのアプリを削除した。Googleはロシアでの広告販売も一時停止した

画像クレジット:NurPhoto / Contributor / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

ロシアのスマホ市場でシェア1位のサムスンが同国向け製品出荷を停止、家電や半導体も

Samsung Electronics(サムスン電子)は現地時間3月5日「現在の地政学的情勢のため」ロシアへの全製品の出荷を停止していることを明らかにした。

同社は「次のステップを決定するため、この複雑な状況を積極的にモニターし続ける」と述べている。

Samsungは、ロシアでのサービスを停止する予定があるかどうかについてのコメントを避けた。事情に詳しい関係者がBloomberg(ブルームバーグ)に語ったところによると、輸出停止対象はスマートフォンや半導体、家電などを含む全製品だという。

制裁に参加したMSCやMaersk(マースク)などの世界的な海運会社がロシアの港での全運航を停止することを決定し、ロシアへの航路やフライトが停止している。韓国の海運会社であるHMM(旧称:現代商船)も先週、サンクトペテルブルクへの貨物サービスを停止し、Samsung、LG、Hyundai(現代)などの韓国企業がロシアに製品を送ることができなくなった。

4日、ウクライナの副首相兼デジタル相のMykhailo Fedorov(ミハイロ・フェドロフ)氏は、サムスンのJong-Hee Han(ハン・ジョンヒ、韓宗熙)副会長宛てに送った手紙で、ロシアでのサービスや製品の供給を一時的に停止するよう促した。

フェドロフ氏は、4日にツイートした手紙の中で「歴史の一部となり、このような異常事態に協力して頂きたいのです」と述べている。「そうした行動がロシアの若者や活動的な人々を動かし、不名誉な軍事侵略を主体的に阻止することにつながると信じています。私たちは貴社の支援を必要としています。2022年、住宅地、幼稚園、病院を狙う戦車、多連装ロケットランチャー、ミサイルに対して、近代的な技術はおそらく最良の応酬となるでしょう。ウクライナとともに立ち、何百万人もの罪のない命を救ってください!」。

サムスンは声明でこう述べている。「私たちの思いは、影響を受けたすべてのみなさまとともにあります。全従業員とその家族の安全を確保することを最優先に考えています。当社は、難民のための援助を含む、この地域の人道的努力を積極的に支援する予定です」。

同社は、100万ドル(約1億1500万円)相当の家電製品を含む600万ドル(約6億9200万円)を現地の人道支援活動に寄付する他、従業員からの自発的な寄付も行っている。

ロシアにおけるスマートフォン市場は、Statcounterのデータによると、2021年にはSamsungが約26.6%のシェアを獲得してトップに立ち、23%を占めるApple(アップル)と19.9%のXiaomi(シャオミ、小米科技)がそれに続いている。

このニュースは、ウクライナ侵攻を受け、多くのテック企業がロシアでのサービス運営を停止する決定を下した数日後に発表された。

Apple(アップル)は先週、ロシアでの製品販売を停止したことを発表した。Microsoft(マイクロソフト)も、ロシアでの新規販売製品・サービスをすべて停止したと発表している。

画像クレジット:Karlis Dambrans / Getty Images

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(文:Kate Park、翻訳:Den Nakano)

サムスン、ハッカーによる社内ソースコード流出を確認

Samsung(サムスン)は、ハッカーが生体認証のロック解除操作に関するさまざまな技術やアルゴリズムのソースコードを含む約200ギガバイトの機密データを入手し、流出させたことを確認した。

NVIDIA(エヌビディア)に侵入し、その後数千人の従業員の認証情報をオンラインで公開したのと同じハッキンググループ「Lapsus$」が、この情報漏洩に関わっている。Lapsus$は、Telegramチャンネルへの投稿で、Samsungの携帯電話が機密処理を行うために使用するTrustZone環境にインストールされた信頼できるアプレットのソースコード、すべての生体認証ロック解除操作のアルゴリズム、最近のSamsung Galaxyデバイスすべてのブートローダーのソースコードを入手したと主張している。

また、盗まれたデータには、米国で販売されるSamsungのスマートフォンにチップセットを供給している米国のチップメーカーQualcomm(クアルコム)の機密データも含まれているとされている。

ソースコードにアクセスすることでハッカーは、他の方法では容易に発見できないセキュリティ上の脆弱性を見つけることができ、影響を受けるデバイスやシステムが悪用やデータ流出のリスクにさらされる可能性がある。

SamsungとQualcommの広報担当者にコメントを求めたがすぐに返事はなかった。しかし、ブルームバーグと共有した声明の中で、Samsungは特定の社内データに関する「セキュリティ侵害」を確認したが、ハッカーによる顧客や従業員の個人データへのアクセスはないと述べた。

「当社の初期分析によると、情報漏えいはGalaxy端末の操作に関連する一部のソースコードに関係していますが、当社の消費者や従業員の個人情報は含まれていません」とSamsungの声明にはある。「現在のところ、当社の事業や顧客への影響はないと考えています。我々は、このようなインシデントを防止するための措置を実施しており、混乱することなく、顧客にサービスを提供し続けます」。

Lapsus$が、NVIDIAに向けて奇妙さを増している要求をしたのと同様に、データを流出させる前にSamsungに身代金を要求したかどうかはまだ明らかではない。このハッカー集団はNVIDIAに対し、物議を醸したLite Hash Rate (LHR)機能を無効にするよう求め、さらにはmacOS、Windows、Linux デバイス用のグラフィックチップドライバのオープンソースを要求した。

この要求の期限は3月4日だったが、ハッカー集団はまだその脅しを実行していない。

画像クレジット:David Paul Morris / Bloomberg

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(文:Carly Page、翻訳:Nariko Mizoguchi

サムスン 、アプリのスロットリング問題に対処するアップデートをリリースへ

Samsung(サムスン)は同社のAndroidスマートフォンの一部で、何千ものアプリのパフォーマンスを制限しているという苦情に対応した。TechCrunch宛の声明で同社の広報担当者は、Samsungはソフトウェアをアップデートして、ユーザーがスロットリングをよりコントロールできるようにするという。ただし、このアップデートが配信されるスケジュールは明らかになれていない。

「私たちの優先事項は、消費者に最高のモバイル体験を提供することです。製品について寄せられるフィードバックを大切にし、慎重に検討した結果、ユーザーがゲームアプリの実行中にパフォーマンスを制御できるように、近日中にソフトウェアアップデートを展開する予定です」と、Samsungの広報担当者は電子メールで述べている。

Samsungのこの約束は、同社のスマートフォンがおよそ1万のアプリのパフォーマンスを制限しているという報告に応じたものだ。その報告は最初Android Authorityに掲載され、Twitter上の苦情にもなり、さらにSamsungの韓国のコミュニティフォーラムにも載った。同社のGame Optimizing Service(GOS)ソフトウェアはCPUとGPUのパフォーマンスを最適化してゲームを長時間プレイしたときの過熱を防ぐが、それがこの問題の核心のようだが、影響が及んだアプリはゲームだけではない。

しかしながらSamsungは、GOSがゲーム以外のアプリの制限をしているという苦情を否定している。

「GOSはデバイスの温度を有効に管理しながらゲームアプリがすばらしいパフォーマンスを達成できるように設計されています。GOSはゲーム以外のアプリのパフォーマンスを管理しません」という。

ユーザーの報告によると、Samsungは、TikTokやInstagramのようなゲームでないアプリを、ゲームアプリと同じように帯域制限していたというが、Samsungはそれを断固否定している。ただし、それ以上の詳しい説明はない。報告によると、影響が及んだのがベンチマークアプリだけではないことを、ユーザーが目撃している。それによると、テスト時にはパフォーマンスが実際よりも良かったようなこともある。しかしこれに関してもSamsungの説明はない。

アプリの制限が発覚したメーカーはSamsungだけではない。2021年はOnePlusが、OnePlus 9と9 Proで、バッテリー寿命を改善するために多くの人気アプリを制限した認めた。Samsungと同様に最適化機能をユーザーがもっと強力にコントロールできるようにするという。

画像クレジット:georgeclerk/Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)

さようならSamsung Galaxy Note、そのエッセンスは新Galaxy S22 Ultraの中に

正直に告白すると、Samsung(サムスン)が初代Noteを発表したとき、筆者は懐疑的だった。国際コンシューマ・エレクトロニクス展(IFA)のメッセ・ベルリンの群衆の中でそう思ったのは、私1人ではなかったはずだ。5.3インチのディスプレイは、平均的なスクリーンが3.5インチ強であった年には想像を絶する大きさだった。スタイラスは、痕跡器官のように携帯電話に備わっていた。それは、集合的に(そして楽しく)進化してきたPalm Pilot時代からの、奇妙で不必要な遺物のようなものだった。

Samsungは、昔のものと似たような反発を受けた直近のデバイスに関して、そのような懐疑論を正しく指摘している。折りたたみ式ディスプレイのような新しいイノベーションに直面したとき、筆者はこのことについてよく考える。新しいイノベーションが失敗することに賭けることに時間を費やしていたら、かなりの実績があることになる。これは、つきものであり、我々が身を置くこの奇妙な業界の性質でもある。革新的であればあるほど、失敗する可能性は高くなる。

しかし、Noteはあらゆる合理的な指標からみて成功だった。発売から9カ月で1000万台を販売したとSamsungは発表した。初代iPhoneの登場から4年半、すでに閉塞感を漂わせ始めていたカテゴリーに、新しいアイデアを注入する一助となった。Samsungは、Blackberry後の世界でモバイルファーストのバーチャルオフィスというアイデアを取り入れる新しい方法を模索していて、そしておそらく最も重要なことは、ファブレット時代の到来を告げたことだ。2014年には、4.7インチのiPhone 6が登場し、3.5インチや4インチを理想的なスクリーンサイズとして称賛する時代は終焉を迎えたとApple(アップル)でさえ認めざるを得なくなった。

もちろん、Noteのイノベーションの全てが、すごく斬新だったわけではない。発売後、スタイラスに勢いがあると感じられた時期もあった。モバイルのフォームファクタでは、入力デバイスは不当に悪者扱いされていたのかもしれない。多くのメーカーがスタイラスを試したが、最終的にはタブレット用に特別に設計された大型のペンシルの方がはるかに大きな成功を収めた。

しかし、トレンドがどうであろうと、Noteは最後までS-Penを使い続けた。S-Penは、SamsungがNoteとGalaxy Sとの間の境界線を曖昧にし続ける中で、真の差別化要因だった。そして、皮肉にも、スマートフォンのS-Penは、ブランドとしてGalaxy Noteよりも正式に長生きした。ブランド名に関して移り気な傾向があるSamsungのような企業にとって、10年というのは家電ブランドとしてはなかなかの長寿命だ。同社が低価格の旗艦ブランドで取った動きを見るといい。

分析会社によると、終わりに向かうにつれ、売上は停滞し始め、さらに減少しさえした。しかし、その点についてはNoteだけではなかった。高級スマートフォン市場全体が、パンデミック以前から停滞していた。人々が単純にそれほど早くアップグレードする市場ではなかった。高級スマートフォンはより高価になり、また、もう数年使用するのに十分なものだった。一方、Galaxy Sシリーズの製品は大きくなり続け、2021年にはS-Penが追加された。

大退職時代の中で多くがそうであったように、Noteも再編成のために1年休みを取った。2022年になる頃に、Samsungは折りたたみ式の製品ラインアップをフラッグシップにすると宣言し、これもNoteが戻ってこないことを示す証拠のひとつとなった。SamsungがGalaxy Ultra 22にS-Penスロットを組み込むと、Noteの魂はその体を離れ、マーケティング資料で時々言及されるブランドの限界領域を漂うようになった。発売前に筆者がSamsungの担当者と交わした会話で、彼らはS-Penによるメモ取りなどの機能に関して、より抽象的な「Note体験」に言及する権利を留保していると付け加えた。筆者は発表の際に意見を言ったが、ここで繰り返して言ってもいいだろう。NoteブランドはGalaxy Sよりも強い。 あるいは、少なくとも瞬時に認識できる。Samsungは、Galaxy S22 Noteとしてであっても、Noteブランドを維持すべきだ。

筆者は、発売の数週間前に、このデバイスを少し触る機会があった。この記事にたくさんの写真があるのはそのためだ。 基本的には、正式なレビューに先立ち、製品の写真を撮ったり、少しいじったりする時間だ。当然ながら、私はGalaxy S22 Ultraの方に直行した。デバイスを手に取った瞬間に思ったのは、この端末は名前は違うがまさに「Galaxy Note 22」そのものだということだ。見た目もNote、動作もNote、音もNoteだ。

だから、もしあなたが黒一色の服を着て、ギャラクシーノート型のキャンドルを灯していたとしても、落ち着いていられる。まるでNoteが恐ろしい殺人事件を目撃し、政府の保護を受けなければならなくなったようなものだと考えてほしい。あるいは、Galaxy Sと結婚して、その名字を名乗るようになったのだと。わからない。どちらでも良いと思う方を。

しかし、興味深い(そしてあまり議論されていない)のは、この新デバイスがS22の上位機種を事実上崩壊させるということだ。新しい携帯電話を買うとき、もしあなたが付属品を重視するタイプの人なら、S-Penは付属品の中に入っている。それは、全てが最上位というSamsungの長年のアプローチの論理的な拡張だ.

S22とS22 Plus、S22 PlusとS22 Ultraは200ドル(約2万3000円)の差があるが、前者の2つは後者の2つよりも共通するDNAを持っている。実際、ディスプレイとバッテリーの大きさが、この2つの大きな違いだ。S22 PlusとUltraの場合にもそれは当てはまり、最上位機種はさらに高解像度のメーンカメラと追加の望遠、より多くのメモリとストレージオプション(それぞれ8GB〜、128GB〜というのは同じ)、100倍のスペースズーム(もう1つは30倍)、前述のSペンとそのすべての付属物を手に入れることができる。

以下は、1200ドル(約13万8000円)のGalaxy S22 Ultraの基本スペックだ。

  •  501ppiの6.8インチディスプレイ
  •  背面カメラ4基:108MP(ワイド)、12MP(ウルトラワイド)、10MP(ペリスコープ望遠)、10MP(望遠)、100倍スペースズーム、10倍光学ズーム
  • 5000mAhバッテリー
  • 8GB〜12GB RAM、128GB〜1TBストレージ
  • 4K動画撮影
  • Snapdragon 8 Gen 1 (市場による)
  • ディスプレイ内指紋リーダー

最後の3点は、全体的に同じだ。しかし、例えば、6.6インチのスクリーンと4500mAhのバッテリーではなく、6.8インチと5000mAhを望むなら、めでたいことに、S-Penも手に入れることができる。裏を返せば、当然ながら、少なくとも1200ドルを払わなければ、そのNoteの機能は手に入らないということだ。Samsungは、超高級機種とそれ以外のGalaxy Sシリーズの境界線として、S-Pen機能を維持する計画であることをはっきりとさせた。

非常に高価なスマートフォンの壮大な計画の中で、このいずれかが最終のプロダクトだとは思わないが、同社が他の製品に長年にわたるプロダクトラインを統合する際に、少なくとも少しの摩擦があったに違いない。正直に言えば、突然S22のベースモデルが6種類も登場したら、「複雑すぎる」と同社を批判するかもしれない。

Samsungはここでいくつかの決断を迫られ、S-Penを超プレミアムな機能にする方向へ向かった。そのため、S-Penの200~400ドル(約2万3000〜4万6000円)する価値が好きかどうか、急きょ自問自答することになる人もいるだろう。

もちろん筆者は、他人のためにその質問に答えることはできない。筆者は長い間、S-Penは興味深く、時には非常に便利な機能だと感じてきた。過去10年間のS-Penの進化は、より使いやすくなったソフトウェアのアップグレードと、この製品の最も面白い機能をいかに新鮮に保つかという企業努力のように感じられる追加機能の組み合わせだった。パワーポイントのスライドを高度化するためにスタイラスを使うことは非常に便利なのだろうか?そうでもない。格好いいか? そうかもしれない。

本当に便利なのは、「テキストに変換」のような改良点だ。自身の乱暴で読みにくい筆跡にいかによく対応するか、筆者は一貫して感銘を受けてきた。筆者の字はペンと紙でも十分ひどいのに、光沢のあるスクリーン上でスタイラスを使うとなれば尚更だ。しかしソフトウェアはほぼ常に筆者が伝えようとしていることを見抜いてくれる。私の筆跡が思ったほど悪くないのか(ひどい)、それともソフトウェアが非常に優れているかだ(こちらが正しい)。

Samsungは過去10年間、S-Penの約束を見事に果たしてきた。しかし、最初のNoteが登場したときでさえ、多くのユーザーはすでにタッチスクリーンで上手にタイピングできるように訓練されていた。多くの人にとって、Noteは、現在Samsungのユーザーがハイエンドな6.6インチと6.8インチの間で選択している大画面携帯電話の世界への入り口だった。Galaxy Sラインを向上させようとSamsungは効果的にNoteを再利用した。

しかし、私たちに残されたものは、10年以上にわたるスマートフォン戦争から生まれた素晴らしい(おそらく、詰め込みすぎではあるが)成果である。S22 Ultraは、その重量にもかかわらず、驚くほど滑らかな躯体を維持している。実は、初代Galaxy Noteはあり得ないほど大きいとみられ、多くの点でそれが当てはまった。2011年当時、あれだけの画面をサポートするには、もっと多くの携帯電話が必要だった。しかし、エッジトゥエッジディスプレイのような画期的な技術により、より大きなスクリーンを小さな端末で実現することができた。

間違いなくS22 Ultraは、6.43 x 3.07 x 0.35インチ(163.3×77.9×8.9ミリ)という巨大なタンクだ。平均的な体格の成人男性で、平均的な大きさの手を持つ筆者は、8オンス(226グラム)のデバイスが扱いにくいと感じる瞬間があった。これは、大きな端末を手に入れるために支払う代償だ。そして、Samsungはきっと嬉しそうにこう言うだろう。もしスクリーンが大きすぎるなら、いくつか折りたたみ式のものがあるので、喜んで売ろう、と。

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カメラも高品質だ。季節外れの暖かな2月の朝、筆者は嬉々として端末を持って近所を回った。S22は、2022年の携帯電話端末で撮影できる写真のなかでも最高レベルのものを撮ることができる。ナイトショットは、ここ数世代で目覚ましい進歩を遂げた。Samsungにとって、この点での最も重要な競争相手は最新のPixelだ。この端末で、Googleはついにハードウェアも重要であることを認めた。

ナイトショットは、Ultraと低スペックのS22モデルの最大の違いを感じる部分の1つだ。つまり、これらの改善は、1〜2世代で徐々に浸透する可能性があることを意味する。スペースズームも100倍という驚異的な倍率だが、その分、忠実度は劇的に低下する。この機能が目新しさをはるかに超えたとは筆者には思えなかった。108MPセンサーで撮影した画素を合成して、より多くの光を取り込むノナバイニングのような機能の方が、日常的に使うにははるかに有意義だ。

赤ちゃんのころのブライアン。修復済みのもの。

また、先に追加されたPhoto Remaster(写真修復)やObject Eraser(オブジェクト抹消)など、Samsungはソフトウェア面でも改良を続けている。オートフレームは複数の被写体の撮影を改善し、改良されたポートレートモードは深度マップを活用し、ボケ効果を生かしたより精密なカットアウトができるようになった。ウサギの撮影では驚くほどうまくいく、と喜んでお伝えしよう。ディスプレイは、端末の長年の課題だった屋外での視認性を向上させ、特に前述の朝の写真撮影の際には、その威力を発揮した。5000mAhの大容量バッテリーは、26時間という長時間使用にも耐えた。

S22 Ultraはとても良い携帯電話だ。本当に疑問の余地はなかった。S22 Ultraは、Galaxyの両ラインのベストを組み合わせたとは言えないが、両ラインの論理的な中心点に位置している。SとNoteは、過去数世代にわたって、ゆっくりと互いに姿を変えてきた。しかし、より大きな疑問は、この製品が高級スマートフォンの運命について何を語っているのか、ということだ。

このカテゴリーはここ数年、その輝きを失いつつある。Samsungがフォールダブルの登場によって復活させたいと考えているのは、興奮だ。しかし、最も楽観的に予測するにしても、フォールダブルが話題を独占するのは、まだまだ先の話だ。

一方で、Samsungは、あらゆる付属品を真にプレミアムな価格帯のデバイスに詰め込むという、得意とすることを続けていくだろう。しかし、S-Penが決定的な要素でない限り、大多数のユーザーはGalaxy S22の低価格帯端末に満足するはずだ。

現在も抱えているが、多くの嵐を乗り越えてきた愛されるブランドにとって、Noteがこのように静かに後景に流れていくのを見るのは奇妙だ。しかし、Noteは間違いなく太陽の下で輝いたときがあり、たとえSamsungが次の作戦のためにNoteのブランドをなくしても、そのイノベーションはスマートフォン分野への広範な影響の中で生き続けるだろう。

画像クレジット: Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

サムスンがMWCに合わせオンラインイベントを日本時間2月28日午前3時に開催、Galaxy新フォルダブル?

サムスンがMWCに合わせオンラインイベントを日本時間2月28日午前3時に開催、Galaxy新フォルダブル?韓国サムスン電子は、日本時間2月28日にバーチャルイベント「Samsung Galaxy Mobile World Congress (MWC) Event」を開催します。イベントの模様は中央ヨーロッパ時間の午後7時(日本時間2月28日3時)より、サムスン公式サイトとYouTubeにてライブ配信されます。

サムスンは2018年まで、スペインバロセロナで開催されるMWCにて新型スマートフォンを発表してきました。しかしその後、同社の主力スマートフォンの発表は、独自イベント「Galaxy Unpacked」によるものが基本となっています。

一方でMWCは、昨年は新型コロナウイルスのパンデミックにより開催スケジュールが変更されましたが、今年は例年どおり2月に開催されます。

現時点では、サムスンはイベントでの発表内容を明かしていません。ただし同社は今月開催されたUnpackedにて、高級スマートフォン「Galaxy S22シリーズ」やタブレットの「Galaxy Tab S8シリーズ」を発表していることから、その他のスマートウォッチやワイヤレスイヤホンなどが発表される可能性があります。

一方で今回のイベントイラスト下部には、縦折り/横折りスマートフォンやスタイラス「Sペン」が描かれています。このことから、次期折りたたみスマートフォン「次期Galaxy Z Flip」「次期Galaxy Z Fold」が発表されることも予測されます。

Galaxy S22 Ultra」では「Galaxy Noteシリーズ」のシンボルだったSペンを本体に内蔵するなど、進化を続けるサムスンのスマートフォン。今後も、魅力的なプロダクトの登場に期待したいものです。

(Source:SamsungEngadget日本版より転載)

パンデミック後の世界で折りたたみスマホは成功するか?アナリストはその継続的な成長を予測する

先週Samsung(サムスン)はNoteを永遠に葬ってしまった。それは象徴的な行為だった。なんと言ってもスマートフォンは、同社のGalaxy S系列の最先端であり続けるだろう。でもそれは、10年続いたブランドの終わりを表している。それはまた、フォルダブルへの自信を示す機会の1つでもあり、Noteからモバイルのフラグシップの王座を奪うことでもあった。

出だしでさまざまなつまずきを経験したにもかかわらず、Samsungは折りたたみ式スマートフォンという技術の先導者だ。同じぐらい長い企業は他にもいるが、先鞭をつけたのはこの韓国のハードウェア大手であり、同社はモバイルの未来と信ずるこのカテゴリーに他社よりずっと多い投資をしているらしい。

Samsungは少し前に、フォルダブルの市場はニッチより大きいと宣言した。私がSamsungの経営者だったら、やはりそう言っただろう。市場全体の一部として考えても、答はやはり「イエス」だ。まず、それは依然として、大企業とはいえ1つの企業の領域であり、しかもその企業の全台数の小さなパーセンテージにすぎない。

いろいろなアナリスト企業が過去数年間、このカテゴリーの成長を予測しているが、最近のCanalysの予想は、過去にあまり見たことも聞いたこともない、おもしろい視点を提供している。すなわちそれは「パンデミックはこのカテゴリーの成長に貢献するか」という問いだ。

確かにそれは、ちょっとわかりづらい視点だ。そもそも、パンデミックはこれまでも、スマートフォンに負の影響を与えているではないか。理由はいくつかある。まず、誰にとっても明らかなのは、人びとがあまり出かけなくなっているので、新しいスマートフォンなんかいらない。休業で職を失い、可処分所得が減り、しかも前からスマートフォンは更新サイクルが遅くなり価格が高くなっている。もっと最近では、半導体の不足とサプライチェーンの問題が業界を押さえつけている。

人びとが電子製品にお金を投じる機会といえば、家で仕事をするためのPCの購入ぐらいだ。でもこの曇り空が晴れ渡ったら、これらの反対を見ることになるのだろうか?

CanalysのRunar Bjørhovde(ルナー・ビョーロフデ)氏は、プレスリリースで次のように述べている。「フォルダブルの今後の成長の契機は、パンデミックの間に、多くの人びとが画面の大きいデバイスを使い始めていることだ。消費者は、自分が日常使うモバイルデバイスに、絶えずもっと良いユーザー体験を求め続けている。特に生産性とエンタープライズの方面では、欲求のバーがさらに高くなり、大きな画面を求めている。だからパンデミックの回復とともに、消費者のニーズと欲求を満たすフォルダブルスマートフォンのような製品を提供する新たな機会が、スマートフォンのベンダーに訪れる」。

これはおもしろい理屈だが、はたして人びとは、パンデミックの前に比べて大型画面のデバイスにもっとなじんでいるのだろうか?この疑問に対し、人びとは家を出なくなっているのに、スマートフォンを使う機会は増えている、と反論できるかもしれない。

1月に公表されたオーストラリアの研究者たちの報告によると「この悪質なウイルスの地域社会への伝染を防ぐために多くの国がロックダウンを課し、それにより私たちの日常生活が変わっている。ステイ・ホームやワーク・アト・ホームが、もっとも有効な感染予防措置として、個人のレベルとコミュニティのレベルの両方で、世界中で推奨されている。この自己隔離が人びとをますますスマートフォンに向かわせ、それにより互いの接続を維持しようとしている」という。

現時点では、フォルダブルの台数が増え続けていることに疑問の余地はない。Canalysは具体的な数字を挙げて、2021年には890万台のフォルダブルが出荷され、2024年には3000万台を超えると予想している。これまでの需要の停滞への反作用として、パンデミックがこれらの数字に寄与するのではないか。パンデミックでアップグレードが2年遅れ、サプライチェーンの問題もあり、新しいハンドセットを買う気になっている消費者が増えていて、しかも少々高い機種を買うのではないか。

Canalysのもう1人のアナリストによると、高級機の売上減少がメーカーを刺激してハイエンドのイノベーションを推し進めた、という。Toby Zhu(トビー・ズー)氏は次のように主張する。「Androidのベンダーは高級機の分野で大きなプレッシャーに圧されている。800ドル(約9万2000円)以上のスマートフォンが2019年には18%下落し、その間にiOSは68%伸びたからです。Googleと主なAndroidデバイスのベンダーは、製品の差別化と最先端のユーザー体験に重点投資して、ハイエンドの顧客へのアピールを続ける必要があります」。

そんな中でSamsungがある程度成功していることが、一気にフォルダブルのダムの水門を開いた。最も顕著な例であるOppoは、Find Nが初期から好評で「フォルダブルの正しい姿」という褒め言葉を、あちこちからもらった。それは、Motorolaなどによる初期のフォルダブルとは極端に違う設計だ。私の場合は、2021年のGalaxy Z Flipが、フォルダブルを本気で検討する気になった最初の機種だ。そのフォームファクタはGalaxy Foldより扱いやすく、お値段も安い。

Googleなどがもっと投資をして、フォームファクタの選択肢の幅を広げれば、関心を持つ人が増えるだろう。デバイスの生産量が増えれば、コストも下がる。ただし上記2024年の予測である3000万台は、Counterpoint Researchによると2021年に13億9000万台と言われる、スマートフォン全体の出荷量の中ではバケツの中の水一滴だ。

こんな話でいつも大きな疑問符になるのが、Apple(アップル)だ。何年も前から、折りたたみ式iPhoneの噂はあるし、発売は早くて2023年とも言われている。それらの噂によると、今は生産の問題を解決中であり、市販されるのかどうかも未定だそうだ。しかし初期のフォルダブルたちが辿った道を見れば、慎重になるのも当然だ。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

【レビュー】Galaxy S22 Ultra、サムスンのファブレットNoteは永遠の眠りにつき「Ultra」として生まれ変わる

Noteは死んだ。10年以上経て、Samsung(サムスン)は正式に革新的なファブレットに幕を下ろした。ブランドは今後も存続するが、それは限定的なマーケティングに止まるだろう。「私たちはNoteをもっと体験してもらうという考え方が強くなっています」と先の説明会で担当者は言っていたが。

Noteが眠りにつくとき、Unpackedイベントの影から見慣れた人物が姿を現した。まるでよくあるメロドラマのように、登場人物は悲劇的な死を迎えるが、デウス・エクス・マキナ、その俳優(まだ契約中)は以前のシーズンでは設定さえなかった一卵性双生児として再び登場する。これがGalaxy S22 Ultraだ。

Galaxy Sシリーズのハイエンドモデルは、悲劇的な死を遂げた兄弟と一緒に、Lucille Ball(ルシル・ボール)とHarpo Marx(ハーポ・マルクス)の鏡があるかのような芸を簡単に実現することができる。今回のイベントまで、私は新しいデバイスに触れる(そして写真を撮る)機会があった。初期の画像ではよくわからなかったが、製品を少し使ってみたことで、Galaxy S 22 Ultraは、あらゆる意味でNoteだと確信を持っていうことができる。

画像クレジット:Brian Heater

確かに同社はここ数世代、境界線を曖昧にすることに費やしてきた。Galaxy Sのラインナップはサイズアップを続け、2021年のUltraでSペン機能を追加された。もちろん、Sペン用スロットがない状態でのSペン対応は、まぁ控えめにいっても不便なものだ。しかし、そこでスマートフォンににスタイラススロットを追加すると、別のNoteになってします。2つのモデルはDNAを共有しており、そのルック&フィールは、丸みを帯びたエッジに至るまで、100%Noteのものである。

私なら、その名称を「Samsung Galaxy S 22 Note」にしただろう、いや「Galaxy Note 22」だ。私は「Galaxy Note」は「Galaxy S」よりもブランド認知度が高いのではないかと思うが、マーケティングの専門家ではない。残念なことに、Samsungの誰かがGalaxy SシリーズはNoteブランドを静かに忘れてしまうほど十分に強力だと判断したのだ。

画像クレジット:Brian Heater

ブランドは複雑で、サムスンは多くのスマートフォンを製造している。そのフォルダブルがフラッグシップモデルの地位を獲得したことで、同社は物事を少し統合することを選択し、最終的にGalaxy SシリーズにNoteを吸収することは、その逆よりも理に適っている。しかし、これはSシリーズによる完全なNoteの乗っ取りではない。スタイラス機能はまだUltra専用で、モデル間の境界線を維持するために、このままだろうと同社は述べている。

Noteシリーズは、ポストiPhoneの世界でスタイラスを再普及させるのに非常に効果的だった、私たちの多くが予想していた以上に。しかし、結局のところスマートフォン全体のパズルの中では、まだ比較的ニッチな存在であることには変わりがない。また、ワコムのデジタイザーをディスプレイパネルに追加し、スタイラスを統合することで、製品のコストが増加している。

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    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
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    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)

S22 Ultraの価格は1199ドル(約13万8700円)で、Note 20とNote 20 Ultraの中間になる(前者に100ドル[約1万1600円]近い)。そのため、6.8インチのディスプレイも同様だ。QHD+は120Hzのリフレッシュレートで、S22シリーズ(S22+は6.1インチ、S22は6.6インチ)に共通する優れた機能だ。スペック的には、1000ドル+αを支払って期待されるほど堅牢なものだ。

米国では、新しいSnapdragon 8 Gen1プロセッサを搭載している。これは市場によって異なるが、5000mAhの大容量バッテリーも同様だ。8GBのRAMでストレージは128GBまたは256GBだ。背面のカメラはあなたのトライポフォビア(集合体恐怖症)を引き起こすのに十分すぎるほどの性能を持つ。

画像クレジット:Brian Heater

12メガピクセルの超広角カメラ、100倍のスペースズームの10メガピクセルの望遠レンズ(3倍光学ズーム、10倍光学ズーム)、そして108メガピクセルの広角カメラでノンビニングを採用して9つのピクセルを1つに統合している。8K動画は24コマ/秒、4K動画は60コマ/秒での撮影が可能だ。低照度での撮影や動画が改善された他、新しい深度マップによりポートレートモードの撮影が向上している。一方、標準のS22とS22+は、背面カメラシステムを3つ(超広角、広角、30倍スペースズームのシングルテレ)に減らしています。フロントのセルフィーカメラは3モデルとも40メガピクセルのカメラを搭載している。

これらのモデルはCorning Gorilla Glass Victus+を採用し、アーマーアルミフレームと相まって保護性能が向上している。また、より持続可能なハードウェアの生産に向けた同社の幅広い取り組みの一環として、漁網を再利用して「部分的」に作られたプラスチックが利用されている。Samsungは次のように述べている。

これらのデバイスは、使い捨てプラスチックを排除し、リサイクルされたポストコンシューマー材料(PCM)や再生紙など、他の環境配慮材料の使用を拡大するための継続的な取り組みを反映するものです。このような変革により、Galaxyテクノロジーの未来は、最先端の製品設計をもたらし、より良い環境への影響をもたらすでしょう。

画像クレジット:Brian Heater

新モデル「S22」は米国では本日より予約受付を開始し、2月22日より発売を開始する。1119ドルのUltraに加え、S22は799ドル(約9万2400円)から、S22+は999ドル(約11万5500円)からとなっている。今回のイベントでさらに、新しいタブレットも3モデル発表された。Galaxy Tab S8、S8+、S8+も本日予約開始で、それぞれ1099ドル(約12万7100円)、899ドル(約10万4000円)、699ドル(約8万800円)となる予定だ。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)

グーグルのビデオ通話アプリ「Duo」、アップルのSharePlayにヒントを得た「ライブ共有」機能を追加

Google(グーグル)は、ビデオ通話サービスGoogle Duoのユーザー向けに新しい「ライブ共有」機能を導入する。Apple(アップル)のFaceTimeで使えるSharePlay機能への対抗だ。しかし、Googleの場合、このインタラクティブな共同視聴体験は、Appleのものほど充実したものでなければ、広く利用できるわけでもない。差し当たっては、GoogleとSamsung(サムスン)の一部のアプリでしか動作しない。そして、導入時はSamsungに限定される。

関連記事:アップルが動画や音楽をバーチャル共同視聴できる新機能「SharePlay」をiOS 15で導入

この変更は、Samsungが新しいGalaxy S22シリーズとGalaxy Tab S8シリーズの端末を発表したGalaxy Unpackedイベントの中で発表された。これに関連して、GoogleもDuoをはじめ、YouTubeなど自社アプリのアップデートを発表した。

Google Duoのライブ共有機能が骨抜きのバリエーションのように感じられるとしても、SharePlayと同様のユースケースに対応しているため、他よりも注目すべき変更の1つとして際立っていた。SharePlayと同様、Duoのライブ共有は、離れている友人、家族、同僚とビデオ通話で交流する時間が増えているという、パンデミックが引き起こしたトレンドとも結びついている。今日、人々はビデオチャットで話すだけでなく、より多くのことができるようになればと考えている。一緒にコンテンツを見たり、同じアプリでやり取りしたり、画面を共有したりすることを望んでいる。Duoはこうしたニーズにある程度対応しているが、SharePlayが提供するサードパーティ製アプリとの幅広い統合エコシステムはない。

画像クレジット:Google Duo(スクリーンショット)

Duoのアップデートにより、ユーザーはGoogleのデジタルホワイトボードJamboardを使った新しいアイデアのブレインストーミング、Galleryでの写真共有、Samsung Notesを使ったメモの共有、Google マップでの位置検索、YouTubeでの動画の同時視聴ができるようになるとGoogleは説明する。

それに比べて、AppleのSharePlayはDisney+、NBA、TikTok、Twitch、Paramount+、Showtimeなど多くの人気ストリーミングサービスやApple TV+、Apple Music、Apple FitnessといったAppleのアプリなど、はるかに多くのアプリやサービスと連携する。残念ながら、今後Duoをより機能豊富なサービスにする意図があるかどうかという質問に対し、Googleは言及を避けた。また、開発者向けAPIプラットフォームに関する新たな発表もなかった。

さらに詳しい説明を求めると、広報担当者は「最初に共有されたもの以外に、現時点で共有できる計画は現在のところありません」と述べた。

しかし同社は、長期的にライブ共有がSamsungのみで使えるものとはならないと指摘した。同機能は、Galaxy S22やTab S8など、最新のSamsung製デバイスでまず展開される。そして間もなく他のSamsung端末やPixel端末でも展開され、2022年に他のAndroid端末にも導入される予定だ。

Duoのライブ共有に加えて、別のアップデートでYouTubeユーザーはメッセージでYouTube動画のプレビューを閲覧して、動画を今見るか後で見るかをより適切に判断できるようになった。チャットから離れることなく、タップしてビデオを再生することもできる。この機能は、Android  Goエディション端末を除くすべてのAndroid端末に搭載される。

また、新しいGalaxy S22シリーズとGalaxy Tab S8シリーズにはVoice Accessが搭載されるため、ユーザーが別途アプリをダウンロードする必要はない。そして、これらの端末はGoogleのパーソナライズされた新しいデザイン言語「Material You」に対応するとのことだ。

画像クレジット:Thomas Trutschel / Contributor / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

サムスンがハイエンドAndroidタブGalaxy Tab S8発表、11型液晶S8・12.4型有機ELのS8+・14.6型S8 Ultra

サムスンがハイエンドAndroidタブGalaxy Tab S8発表、11型液晶S8・12.4型有機ELのS8+・14.6型S8 Ultra

Galaxy Unpacked 2022イベントで、サムスンが Androidタブレットの新製品 Galaxy Tab S8 シリーズを発表しました。

Galaxy Tab S8シリーズは、同時発表のスマートフォン Galaxy S22シリーズと同じ4nmプロセスの最新世代8コア プロセッサを採用したハイエンド製品。

11インチ液晶ディスプレイのGalaxy Tab S8、12.4インチ有機ELのGalaxy Tab S8+ に加えて、Galaxy Tabで初めて「ウルトラ」を冠する14.6インチ版 Galaxy Tab S8 Ultra を含む大中小3サイズ展開です。

サムスンがハイエンドAndroidタブGalaxy Tab S8発表、11型液晶S8・12.4型有機ELのS8+・14.6型S8 Ultra
Galaxy Tab シリーズ伝統のS-Penスタイラスにも対応しており、前モデルよりさらに30%短縮した応答速度による滑らかな書き心地と、Bluetooth接続でペンがカメラやプレゼン用リモコンになる機能を備えます。

Galaxy Tab Sはスマホの Galaxy S と並ぶシリーズですが、前世代のGalaxy Tab S7 / S7+ が発売されたのは2020年。2021年には廉価版の Galaxy Tab S7 FE (Fan Edition)のみが登場したため、Galaxy Tab S8 / S8+ /S8 Ultraはタブレットのフラッグシップとして2年ぶりの新世代モデルです。

このTab S8シリーズの特徴は、スマホのGalaxy Sシリーズと同じ「無印・プラス・ウルトラ」の3サイズ天界になったこと。Galaxy Tab S8 Ultra は14.6インチ 2960 x 1848 (16:10)で120Hz駆動のSuper AMOLEDパネルを採用。縦横比が違うため対角インチ数でそのまま比較はできませんが、iPad Pro 12.9インチよりもさらに20%ほど広い画面です。

サムスンがハイエンドAndroidタブGalaxy Tab S8発表、11型液晶S8・12.4型有機ELのS8+・14.6型S8 Ultra
大画面ながら、周囲のベゼルは Galaxy Tab Sシリーズ歴代でもっとも細い約6.3mm。厚さは iPad Pro 12.9インチの6.4mmよりもさらに薄い5.5mm。一方で素材に「アーマーアルミニウム」を採用したことで、Tab S7より折れ曲がり耐性が40%向上しています。

サムスンいわく、大画面の「Ultra」タブレットを投入した理由はテレワークやビデオ通話の一般化と、ストリーミング動画サービスなどエンタメアプリの普及で、高性能な大型タブレットへの需要が高まっていること。

このうちテレワークやビデオ通話向け仕様としては、前面カメラに12MPと超広角12MPのデュアル構成を採用しました。120度の超広角カメラとAIによるオートリフレーム機能を備え、被写体が部屋のなかを動き回っても、二人目がフレームに入ってきても賢くズームイン・アウトして追従します。

サムスンがハイエンドAndroidタブGalaxy Tab S8発表、11型液晶S8・12.4型有機ELのS8+・14.6型S8 Ultra
筐体の三か所に別々の方向を向いて設置されたマイクによるノイズキャンセルもビデオ通話のための機能。面白いところでは画面収録と同時にフロントカメラ自撮りを重ねて、教材など「画面を操作しながら顔を見せて話すコンテンツ」をかんたんに収録できる機能も搭載します。

テレワークを含め大画面を活かす機能としては、サムスン自慢のマルチタスク機能も進化。標準で画面を三分割して、3つのアプリを同時に利用できます。

Androidは早い時期から画面分割マルチウィンドウに対応していたものの、OS側の扱いも半端な状態が続きアプリの対応もまちまちでした。しかしGoogleがマルチタスクを強化したタブレット向けOSの Android 12Lをベータ配布し開発者に対応ガイドラインを配布するなど、折りたたみスマホ向けを含めてマルチタスク・マルチウィンドウへの対応は強化されており、いよいよ時代が Galaxy に追いついてきた感があります。

サムスンがハイエンドAndroidタブGalaxy Tab S8発表、11型液晶S8・12.4型有機ELのS8+・14.6型S8 Ultra
マルチタスクといえば、Galaxy Tab SをPCの追加ディスプレイとして使う機能も強化。Windows PCと並べて、手書きが必要なアプリを Galaxy Tab Sに表示する使い方もできます。

デバイス連携としては、標準搭載のペイントソフトの CLIP STUDIO PAINT で、タブレット側を全画面で使いつつスマートフォンにツールパレットを表示して使う機能も備えます。

サムスンがハイエンドAndroidタブGalaxy Tab S8発表、11型液晶S8・12.4型有機ELのS8+・14.6型S8 Ultra
そのほか主な仕様は、RAMが構成により8GB / 12GB / 16GB、ストレージは最大512GB + microSDスロット最大1TB。45W急速充電対応の11200mAhバッテリー。モデルにより5G / LTE および Wi-Fi 6E対応、Bluetooth 5.2など。重量は726g (Wi-Fi) / 728g (セルラー)。

サムスンがハイエンドAndroidタブGalaxy Tab S8発表、11型液晶S8・12.4型有機ELのS8+・14.6型S8 Ultra
Galaxy Tab S8 と Galaxy Tab S8+ については、

  • 最小11インチの無印 Galaxy Tab S8 のみが液晶ディスプレイ、プラスとウルトラは Super AMOLED 有機EL
  • 無印 Galaxy Tab S8 のみサイドボタン指紋センサ、プラスとウルトラはディスプレイ内指紋センサ
  • 無印とプラスはフロントカメラがシングル12MP超広角のみ、ウルトラは広角12MPと超広角12MPデュアル

といった細々とした差があります。ディスプレイパネルは異なるものの、全機種120Hz駆動に対応します。

価格は Galaxy Tab S8 が700ドル、Tab S8+が900ドル、Tab S8 Ultra が1100ドルから。ペンを標準で含む価格です。キーボードカバーは別売り。

Engadget日本版より転載)

サムスンとグーグル、GoogleアシスタントとPlayアプリの到来でWear OS提携を拡大

Google(グーグル)とSamsung(サムスン)が、圧倒的なシェアを誇るApple(アップル)に対抗するため、共同でウェアラブル製品を開発すると発表してから1年弱が経った。このような取り組みが一朝一夕に達成されるものではないことは、当初から明らかだった。2021年8月には、Galaxy Watch 4の発表の一環として「Wear OS Powered by Samsung(Samsungの新しいWear OS)」を初めて見ることができた。

関連記事:サムスンは「Galaxy Watch 4」でWear OSに回帰、ヘルスケアにもフォーカス

米国時間2月9日に開催されたUnpackedイベントでは、Samsungのウェアラブル製品はあまりハイライトされなかったが、同社はモビリティ分野で十分な話題を提供した。しかし、Samsungが現在開発しているTizen / Wear OSハイブリッドのウェアラブル製品については、今後の展開がもう少し見えてきた。

9日、Googleは、Samsungの最新のウェアラブルにGoogleアシスタントが「数カ月後」に搭載されることを発表した。これはおそらく、同社の「Bixby」の野望がゆっくりと悲しい終わりを迎えることを示す最新のデータポイントと言えるだろう(ただし、このアシスタントはデバイスの中で生き続けている)。しかし、率直に言って、はるかに強力でユビキタスなGoogleアシスタントを採用することは、ハードウェアメーカーであるSamsungのプラットフォーム全体で非常に理に適っている。

画像クレジット:Google

Galaxy Watch 4では「Hey Google(日本では『OK Google』)」と声をかけて音楽を再生したり、タイマーを設定したりすることができる。このアプリは、Galaxy Watch 4ではGoogle Playストア経由でアクセスできる。統合の一環として、接続されたAndroid端末にダウンロードされたPlayアプリは、Galaxy Watchにも表示されるようになる。そこからユーザーは、アプリをタップしてスマートウォッチにインストールできる。

現在、Galaxy Watch 4はオンラインでのYouTube Music Premiumに対応しているが、今回のアップデートでは、Wi-Fiおよびセルラーでの楽曲配信が可能になるため、ユーザーは携帯電話を家に置いたままでも新しい曲を聴くことができるようになる。この機能は、Galaxy Watch 4およびその他のWear OSデバイスにも搭載される予定だ(時期は未定)。

今回の統合はまだ小さな一歩であり、このカテゴリーにおけるAppleの優位性をすぐに打ち破ることはできない。しかし、GoogleとSamsungの提携、前者によるFitbit(フィットビット)の買収とWear OSのさらなる拡大計画など、ウェアラブル分野にとっておもしろい1年になりそうだ。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

サムスン、廃棄漁網由来のスマホで持続可能性への取り組みを強化

韓国のエレクトロニクスの巨人、Samsung(サムスン)は、ここ数年サステナビリティ(持続可能性)を派手に宣伝し、同社のエコシステムに影響をあたえている。「コーポレートシチズンシップ」などのスローガンや、環境に優しいサプライチェーンや材料、製造の強い推進など、今まで以上にグリーンな世界を強調している。Galaxy for the Planet(地球のためのGalaxy)プロジェクトの一環として、アップサイクルプログラムプラスチック包装の廃止など数多くの取り組みに続いて同社が繰り出す最新の妙技は、捨てられた漁網の再利用による環境保護だ。

関連記事
古いデバイスに新しい役割を与えるサムスンのアップサイクルプログラム
サムスン、プラスチック包装を廃止へ

米国時間2月9日のGalaxy新機種発表を前に、同社は新しい材料が製品ラインナップのどこに居場所を見つけるかを垣間見せた。強調したのは、プラスチックの使い捨てをやめることによる効率向上と、再利用材料(特に、消費財再利用材料)や再生紙などの環境に優しい材料の使用をさらに強化することだった。

実際に意味のある影響を与えることを確かめるべく、同社は毎年64万トン廃棄されている漁網に注目した。少なくともこの一部を収集し、再利用することで少しでも海洋をきれいにする取り組みを、会社は誓約した。その結果、捨てられた漁網に絡みつかれていた海洋生物にとって、水辺の環境は少しでも改善されるだろう。

廃棄された網を海に残さないことがどの程度の環境的効果を生むのかは不明だが、マスコミに取り上げられる効果は多少なりともあるだろう(画像クレジット:Samsung)

Samsungは2021年の報告書でこれまでに数多くの善行をなし、一部のパッケージをデザイン変更したことでプラスチック使用を20%削減し、製品に省エネ機構を加え、500万トン近くの「電子廃棄物」を収集し、製造工程廃棄物の95%の再利用を確保していることを主張している。同社は、米国、ヨーロッパ、および中国で100%再生可能エネルギーも実現している。さらに、Carbon Trust Standard(カーボントラスト標準)による、二酸化炭素、水、および非リサイクル材への依存削減などの認証取得も進めている。

海洋プラスチック汚染に対し、環境および「全Galaxyユーザーの生活」に良い影響を与える方法で取り組むことを誓約する、と同社はいう。ということは、Galaxy以外の携帯電話を持っている人の生活は過去とまったく変わらないということか、それは、どうもありがとう。

冗談はさておき、そして岩礁から漁網などのごみを片付けるために数日間潜水服で過ごしたことのある1人として、これはエレクトロニクス巨人による前向きな行動だと私は思う。果たしてこれが、目に見える影響を環境にあたえるかどうかはまだわからない。Samsungは、年間64万トンの漁網のうちどれだけを海洋から取り除こうとしているのかを明らかにしていないが、コミュニケーションと測定が続いていることには希望がもてる。Samsungや他の大手メーカーが互いにグリーン化を競い合い、気候変動に対する理想的な解決策ができるまでに地球を焼け焦げにしないための役割を果たして続けてくれること願うばかりだ。

Samsungの努力に拍手を送る。そして、もしみんなが携帯電話を1年半ではなく3年毎に買い換えるようにすれば、もっと目に見える影響があるはずだ。

画像クレジット:Samsung

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Nob Takahashi / facebook

2月のイベントに向けてサムスンがGalaxy SとNoteの融合を予告

2021年夏、Samsung(サムスン)は10年ぶりに新型Noteデバイスを発売しないことを発表した。ハードウェアの巨人がフォールダブルに焦点を移すことを認めたため、愛されてきたこのファブレットの未来については、大きく、未解決の問題だった。

さらに、Samsungの主要なフラッグシップであるGalaxy Sシリーズは、Noteとの境界線を着実に曖昧にしてきている。「今回、新しいGalaxy Noteを発表する代わりに、我々はNoteデバイスで愛されてきた機能をさらに多くのSamsung Galaxyデバイスに広げていく」と、同社の社長は当時書いていた。

そのため、Sシリーズの画面サイズは年々着実に大きくなり、2021年1月にはS21 UltraでS-Pen機能が追加された。8月には、Galaxy Foldシリーズに独自のスタイラスを追加し、Noteは静かに廃止されるのではないかと考える人もいた。

CESを終え、MWCを目前に控えた今、私たちはUnpacked開催時期の範囲に突入していることに気づいた。毎年、Sシリーズの最新機種が発表される時期だ。Roh(ロー)氏は、2011年当時、その5.3インチディスプレイがいかに小さな混乱を巻き起こしたかを回想し、Noteの生涯を祝うやや曖昧な表現を用いた投稿をまたもや行っている。IFAでの発表の場にいなかった人たちのために触れておくと、当時、大画面のスマホは今よりもずっと大きく、厚いデバイスを意味していたのだ。

この投稿は、同社のフォルダブルのためにより多くのスペースを作るために、2つのフラッグシップが適切な統合を果たしたことを強く示唆している。

「SamsungのGalaxy端末が新しく進化するたびに、私たちはモバイルカテゴリー全体を再定義するような機能を導入してきました。そして、私たちは再び業界のルールを塗り替えようとしています。2022年2月のUnpackedで、私たちがこれまで作った中で最もnoteworthy(注目に値する[編集部が強調])Sシリーズのデバイスを紹介します。私たちのSamsung Galaxyの最高の体験を1つの究極のデバイスに集約した、次世代のGalaxy Sがここにあります」。と同幹部は書いている。

この中の「Noteworthy(注目に値する)」という言葉は、この文脈では多くのことを意味する可能性がある。一番わかりやすいのは、S22 UltraがS22 Noteになることだと思われる。それは、適切なスタイラススロットを意味するのだろうか?ライン全体にSペンが統合されると思っていいのだろうか?私は、この投稿が「注目に値するデバイス」という単数形を使っていることから、その可能性は低いと考えている。これらのデバイスを取り巻くリークの頻度を考えると、早期に回答されるかもしれないし、回答されないかもしれないが、まだイベントまでのリードでいくつかの大きな疑問が残っている。また、夜間や低照度での撮影の改善や、近年同社が重要視しているサステイナブルデザインの採用も予定されている。

Samsungは、新しいスマートフォンと無名のGalaxyタブレットの予約開始を控え、消費者の興奮とブランドロイヤルティがユーザーを乗せるのに十分であるということに再び賭けているのだ。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Brian Heater、翻訳:Akihito Mizukoshi)

【コラム】CES 2022で、メタバースはメタバースをメタバースした

CESを前にして、CES 2012のトップテックを振り返る記事を書いた。10年前のバズワードを思い出すなど、その執筆はさまざまな理由から興味深いものとなった。

その年は、LTEとUltrabookが上位だった。一方は広く長く普及しているが、もう一方はそれほどでもなかった。つまり、その年のCESでの話題の大きさは、その寿命を表すものではない。2012年半ばには、Ultrabookの死が本格的に語られ始めていた。

2022年のCESでは、会場に人の気配はなかったが、見たところ数メートルも歩けばメタバースに行き当たりそうな雰囲気だった。FacebookがMetaにブランド名を変えてから2カ月ほど、CESのような展示会では、企業は良い製品と同じくらい良いフックに投資している。それは理解できる。例えば、Samsung(サムスン)やHyundai(ヒュンダイ)といった企業でなければ、目立つことは難しい。

中小企業の具体的な話は割愛する。Twitterのスレッドでは前述のメタにかなり精通したものだった。正直なところ、私は、スタートアップがその輝きを少しでも得ることを期待しており、それを台無しにしたくない(「Goart Metaverse」という言葉は、私が地球上で最後の瞬間を迎え、脳内にDMTが出るまで、私の精神に入り込んでいくものだ)。

CESが始まる前に、メタバースとは何であるかを知らなかった人にとって、今回のショーはあまり良いものではなかったが、メタバースには間抜けな顔のミー文字とVR機器がおそらく含まれているという事実だけは確かだ。そして、このワードをタイプしている今、おそらくメタバースの説明としてはこれ以上ないほど適切だということもわかった。

画像クレジット:Hyundai

Hyundai(現代自動車)は、CES 2022で、ロボティクスとメタバースを通じて「『人間の可能性を広げる』新たなメタモビリティコンセプトのビジョンを共有する」という同社のプレスリリースを受け取ったことが、私を突き動かしたのかもしれない。あるいは、Boston DynamicsのSpotが火星で奇妙なメタバース人形たちと一緒に過ごしている映像が添付されていたせいかもしれない。実際の火星に実際のロボットを送り込むという、SFの枠を超えた映像が、メタバースを軸に展開されているのはシュールだった。

Hyundaiのコンセプトは、メタバース的な交流のためにBoston Dynamicsのような先進的なロボットを、現実世界のアバターとして機能させるという、何とも興味深いものではないが、自動車会社である同社でさえ、このコンセプトを将来性を託しているかを物語っている。一方、Samsungは、本物が登場するまでのその場しのぎのメタバース(betaverse?)を提供した。そこは同社プロダクトの「バーチャルショーケース」となっていて、少なくともラスベガスに出向いてメタバースを実際に見せてもらうという皮肉を回避できた。

Samsungは次のように述べている

念願のライフスタイルテレビ、生活を豊かにする家電製品、スタイリッシュな最新スマートフォンが手に入りました。では、それらの革新的な製品を使って、自宅を飾ることができるとしたらどうでしょう?

これは興味深いシナリオであり、メタバースが稼働し始めれば現実のものとなる。Samsungは、メタバースでさまざまなイノベーションを起こしており、CES 2022に興味を持った人たちがオンラインでこのイベントを体験できるオプションを用意しました。

メタバースに対して強気な人たちの間では、混乱が起こっているのだろう。美容ブランドからウェアラブルまで、あらゆるところで。「メタバース」というコンセプトにまつわるこれほどの興奮を目の当たりにすると、希望に満ちた気持ちになると同時に、ダメなメタバースも現れ始めていることもいらだたしい。メタバースが確立する前に、メタバースがすべての意味を失ってしまわないだろうか。あなたのメタバースは、私のメタバースと同じくらい良いものだ。

画像クレジット:Samsung

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(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)

NVIDIAがAT&Tやサムスンとの提携によりGeForce NOWクラウドゲーミングのリーチを拡大

米国時間1月4日のCESでNVIDIAは、ゲームストリーミングサービス「GeForce NOW」を特に強調した。これは、Google(グーグル)のStadia(確かまだ存在する)、Amazon(アマゾン)のLuna、人気上昇中のMicrosoft(マイクロソフト)のXbox Cloud Gamingサービスなどに対抗するものだ。これらのサービスはすべて異なるビジネスモデルを採用しており、GeForce NOWでは、プレイヤーが他で購入したゲームを簡単にサービスに持ち込むことができる。NVIDIAは制限付きの無料ティアを提供し、サーバーへのアクセスには月額10ドル(約1160円)からの会費を徴収している。

同社は4日、いくつかの新しいパートナーシップとともに、2013年に発売されたElectronic Arts(EA、エレクトロニック・アーツ)の「Battlefield 4(バトルフィールド 4)」と2018年に発売された「Battlefield V(バトルフィールドV)」が同サービスでストリーミング配信可能になったというニュースを発表した。新しいタイトルのローンチ初日というわけではないが、おめでたい話ではある。

もっと重要なのは、NVIDIAがGeForce NOWのエコシステム全体を拡大し続けていることかもしれない。この場合、それはAT&Tとの契約を意味する。AT&Tは、5G「アンリミテッド」プランで5Gデバイスを使用する顧客に、6カ月間のGeForce NOWプレミアムメンバーシップを無料で提供するとのこと。NVIDIAは、両社が「5G技術革新のコラボレーターとしてタッグを組む」と言っているが、基本的にはマーケティング上の契約を交わしたということだ。5Gが約束するのは、結局のところ低遅延だ。

画像クレジット:NVIDIA

リビングルーム向けにNVIDIAは、2021年から2021 LG WebOSを搭載したTVにベータ版を提供した後、Samsung(サムスン)とも提携し、同社のスマートTVにゲームストリーミングプラットフォームを提供していく。

「当社のクラウドゲーミングサービスは、Samsung Gaming Hubに追加されます。Samsung Gaming Hubは、ハードウェアとソフトウェアの架け橋となり、より優れたプレイヤー体験を提供する新しいゲームストリーミング・ディスカバリープラットフォームです」とNVIDIAは4日の発表で述べた。この契約について同社は、2022年の第2四半期にさらに詳しい情報を発表する予定だ。

画像クレジット:NVIDIA

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

サムスンの最新格安フラッグシップ「Galaxy S21 FE」は約8.1万円から

CESは一般的に、あまり携帯電話の展示会ではない。それは、今から1〜2カ月先にあるモバイルワールドコングレス(MWC)に備えて目玉となるモバイルニュースを保存する傾向があるSamsung(サムスン)にとっては間違いなく言えることだ。代わりにこのイベントは、どちらかというとテレビ、洗濯機など、大きな製品が対象となる。

しかし、過去数年間、この家電製品の巨人は同社のフラッグシップSシリーズの発売の直前に、格安フラッグシップを発表するための舞台としてこのショーを使用している。長年にわたり、Samsungは、これまで「Lite」をはじめ、さまざまな製品名を考えてきたが「Fan Edition」の略である「FE」に落ち着いた。どうやら2021年の端末が、同社にとって大きな成功だったようだ。「2020年第4四半期の発売以来、Galaxy S20 FEは1年ほどで1000万台を販売し、過去1年間でSamsungの最も売れたGalaxyスマートフォンの1つとなった」と記されている。

画像クレジット:Samsung

結局のところ「Lite」というネーミングは、スペック的に「〜以下」という事実に繋がってしまうという考え方に行き着いたのだろう。つまり、これらのデバイスを一種のファンサービスと位置づけ、高価格帯のデバイスの豪華さの一部を提供しながら、コストを抑えるという名目で出血の一部を鈍化させているのだ。

今回発表されたGalaxy S21 FE 5Gの場合、開始価格は699ドル(約8万1200円)だ。これは、同社が2021年のS20で打ち出した価格帯と同じであり、手頃な価格のフラッグシップ機のトップに躍り出たGoogle(グーグル)のPixel 6よりも100ドル(約1万1600円)高い(ここでフラッグシップと格安の定義の区別が曖昧になってしまったら申し訳ない)。

画像クレジット:Samsung

「我々はGalaxy S20 FEとGalaxy S21のラインナップに信じられないほどの反響を得ました」と、SamsungのTM Roh(TM・ロー)氏はリリースで述べている。「だから我々は、S21 FE 5Gと同じアプローチを適用し、我々の忠誠なGalaxyのファンに最も重要なプレミアム機能を搭載しました。なぜなら、我々は彼らにとって最も重要なニーズを満たしているスマートフォンを提供することに焦点を当てているからです」。

この端末は、120Hzのリフレッシュレートを持つ6.4インチのディスプレイを搭載し、その後継となるSnapdragon 8 Gen 1がXiaomi(シャオミ)などの企業のフラッグシップ機に搭載され始めている中、Qualcomm(クアルコム)のSnapdragon 888プロセッサが搭載されている。1200万画素のメイン、3200万画素の超広角、1200万画素の望遠のトリプルカメラシステムを搭載している。さらに6GBまたは8GBのRAMと、128GBまたは256GBのストレージ、そして4500mAhのしっかりしたバッテリーも搭載されている。もちろん、その名のとおり5G対応だ。

画像クレジット:Samsung

デザインは標準的なS21から多くのヒントを得ているが、高級感があった造りは、より低価格のプラスチック製に変更されている。S21 FEは1月11日から出荷が開始される予定だ。

画像クレジット:Samsung / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Akihito Mizukoshi)

サムスンの2022年スマートテレビはクラウドゲーム、ビデオチャット、NFTまでサポート

CESの正式な開幕に先立ち、Samsung(サムスン)は米国時間1月3日、次世代スマートテレビのビジョンを明らかにした。クラウドベースのゲームサービス、テレビを見ながらのビデオチャット、さらにはNFT(非代替性トークン)まで搭載している。同社によると、2022年のスマートテレビには新しい「スマートハブ」機能が搭載され、メディア、新しいゲーミングハブによるゲーム「アンビエント」(テレビを使用していないときアート、写真、その他の情報をテレビに表示する機能)など、異なる種類のエンターテインメントを切り替える機能を消費者に提供する。

ゲーマーにとって、この新しいテレビに追加される最も注目すべき機能は、Tizenで駆動するゲームストリーミングディスカバリープラットフォーム「Samsung Gaming Hub(サムスンゲーミングハブ)」だろう。このサービスで、ゲームストリーミングプロバイダーは、自社のゲームライブラリを直接テレビに持ち込むことができるようになる。Samsungは1月3日、NVIDIA GeForce NOW、Google(グーグル)のStadia(スタディア)、Utomik(ユートミック)との提携を発表した。さらに多くの提携が今後予定されているという。

Samsung TVのユーザーは、このハブから利用可能な作品をブラウズしたり、ゲームを検索・購入したり、お気に入りのゲームをすぐにプレイしたりすることができるようになる。また、同社によれば、ゲームコントローラーを新しいゲーミングハブとペアリングすることも可能だ。さらに、ユーザーはYouTube(ユーチューブ)に簡単にアクセスでき、お気に入りのストリーマーをフォローしてゲームコンテンツを視聴することもできる。

2022年発売の4Kおよび8Kテレビとゲーミングモニターは、新しい「HDR10+ GAMING」規格に対応し、低レイテンシー、可変リフレッシュレート、120Hz以上のHDRゲーミング体験を提供する。同社によると、この体験の特徴は、コンソールやPCなどの入力ソース間で設定を手動で行う必要がない自動HDRキャリブレーションだ。対応テレビは、Q70テレビシリーズ以上のNeo QLEDラインナップと、Samsungのゲーミングモニターとなる。

Samsungの新しいゲーミングハブは2022年後半に利用開始となる。ゲーム、メディア、ライフスタイルの各カテゴリーのメインナビゲーションメニューから利用できるようになる予定だ。

画像クレジット:Samsung

スマートテレビにクラウドゲームを加えるのはSamsungだけではない。LGは2021年に同社のWebOSスマートテレビでGeForce NOWとGoogle Stadia利用可能になると発表した。Amazon(アマゾン)のLunaは同社のFire TVで動作し、Google StadiaはLG、Hisense(ハイセンス)、TCL、Philips(フィリップス)などの対応スマートテレビで動作する。もちろん、代替手段として、こうしたサービスにストリーミングデバイスからアクセスすることも可能だ。

Samsungの2022年スマートテレビの新しいラインは、ゲーム以外にも、友人とのテレビや映画の共同視聴、NFTの売買など、この1年ほどで人気が高まったトレンドを取り入れる。

パンデミックの初期に人々は、新型コロナウイルスのロックダウンやその他の制限の中で、家族や友人とつながり、時間を一緒に過ごすさまざまな方法を探した。それを受け、共同視聴サービスや、大切な人と同時にエンターテインメントをストリーミングできる機能が増加した。HuluAmazon Prime VideoDisney+などが、異なる場所にいながら、映画や番組を同時にストリーミング再生できる共同視聴機能を取り入れた。最近では、Apple(アップル)がFaceTime上でSharePlayを開始し、Disney+や、NBA、Paramount+、Showtime、Apple TV+、TikTokなどのストリーミングアプリもサポートするようになった。

Samsungはこのトレンドに対し、家族や友人がテレビで番組や映画を見ながらビデオチャットできる、独自の新しい「Watch Together(同時視聴)」アプリを提供することで対応する。

画像クレジット:Samsung

スマートハブに追加された、より奇妙なもう1つの機能はNFTへの対応だ。このプラットフォームでは、2021年後半にSamsungのテレビモデル「MICRO LED」「Neo QLED」「The Frame」で、ユーザーがNFTを探索、購入、取引できるアプリを提供する。

「NFTの需要が増加するなか、視聴と購入が断片化している現状に対するソリューションの必要性がこれまでになく高まっています」と同社はThe Vergeに述べ、同社が「世界初のテレビ画面ベースのNFT探索ツールおよび市場アグリゲーター」と呼ぶものの詳細を説明した。ユーザーは、NFTアートを閲覧、プレビュー、購入するだけでなく、テレビで誰かに見せることもできる。最後の機能は、NFTのクリエイターの推奨に合わせてテレビのディスプレイ設定を自動的に調整する、スマートキャリブレーション機能によって強化されている。また、ユーザーはNFTを調べる際、NFTの履歴やブロックチェーンのメタデータを閲覧できる。

NFTアプリについて、パートナーが誰なのか、どのテレビモデルがこの機能をサポートするのかなど、Samsungは詳細な情報を提供できていない。このニュースは、詳細がすべて明らかになる前に発表されたようだ(また、消費者がテレビ画面からNFTにアクセスしたいという需要がどれだけあるかも不明だ)。

新しいスマートハブに含まれるサービスに加え、2022年のスマートテレビは、ユーザーが画面を縦置きに回転させることができる「Auto Rotating Wall Mount and Stand」などのアクセサリーと連動する予定だ。このモードは、Samsung独自のライフスタイル機能である「アンビエントモード+」や「アートモード」の他、TikTokやYouTubeなどのサードパーティアプリに対応する。

画像クレジット:Samsung

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

サムスン「C-Lab」のCESでの展示は?オムツセンサー、スマートギター、モジュラー給仕ロボット

2022年のCESでは知名度の高い出展企業が次々にリアル参加を見合わせているが、Samsung(サムスン)は来週の展示会に向けてそのままがんばろうとしている企業の1つだ。CESはかねてから、テレビや洗濯機、時にはロボットまで、エレクトロニクス分野における同社の幅広さを示す良い展示会として機能してきた。

しかし、ここ数年のCESでは、SamsungのC-Lab部門が社内インキュベーターで作られたプロジェクトを紹介し、同社の秘密兵器となっている。C-Labのプロジェクトは、社員が自由にペットプロジェクトとして作ったもので、実用的なものばかりではないが、おもしろいアイデアが多いのが特徴だ。

つまり、Samsungのような巨大企業では、通常は射程に入らないようなことをやっているのだ。例えば、前回のクラスには、窓型の人工日光ライトやスマートハイライターなどが含まれていた。今回のバッチは3つのカテゴリーに分かれている。C-Lab Inside、C-Lab Outside、そしてSamsungから事実上スピンアウトしたプロジェクトだ。

3つのステージのうち最も早い「Inside」には、子どもたちがスマートフォンを正しく使う習慣を身につけることをサポートするAI搭載アプリ「Piloto」、AIによるオンライン試験サービス「PROBA」、乳幼児の眼位を検出することで斜視を早期発見するモビール「innovision」、LEDガイドで弾き方を学べるスマートギター「ZamStar」などが含まれている。2018年に設立された「Outside」は、韓国のスタートアップにガイダンスを提供するアクセラレーターだ。Samsungによると、今回そのリストには以下の9社が含まれている。

  • AIによるペットの生体認証ソリューション「Petnow」
  • モバイル機器向け3Dイマーシブオーディオソリューション「Digisonic」
  • インタラクティブなメタバース音楽アプリ「Verses」
  • 自律走行やスマートシティ向けのイメージングレーダー技術ソリューション「bitsensing」
  • AIベースのデータ収集・ラベリングプラットフォーム「SELECTSTAR」
  • 多機能モジュール式給仕ロボット「RGT Inc.」
  • 視覚障がい者のアクセシビリティと生産性を向上させる入力システム「MoreDream Inc.」
  • 車載ディスプレイをカスタマイズするプラットフォーム「Yellowknife」
  • 高齢患者向けスマートオムツケアソリューション「MONIT」

2012年に設立されたC-Labは、これまでに406社のスタートアップを育成しており、Samsungはこの数字が2022年には500社に到達することを期待している。

画像クレジット:Samsung

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

サムスンがPCIe 5.0対応のサーバー向けSSD「PM1743 SSD」を発表、読み取り速度は最大13GB/s

サムスンがPCIe 5.0対応のサーバー向けSSD「PM1743 SSD」を発表、読み取り速度は最大13GB/s韓国サムスンは接続インターフェイスに最新規格「PCIe 5.0」を採用したSSD「PM1743 SSD」を発表しました。

PCIeは世代を重ねるごとに転送速度をあげており、2019年に策定されたPCIe 5.0では前世代の「PCIe 4.0」の2倍となる32GT/s(ギガ転送/秒・1GT/sは1秒あたり10億回の転送)を実現しています。

PM1743 SSDでは最大13GB/sでの読み取り速度、2500Kの秒間アクセス数(IOPS)を実現。前世代のPCIe 4.0 NVMe SSDの読み取り速度(最大6.5GB/s)のちょうど2倍のスペックを実現しています。

その他のスペックとしては、シーケンシャルライトが最大6.6GB/s、ランダム書き込みは250K IOPSを実現。また、従来モデルより電力効率も30%向上しています。ストレージ容量は1.92TB〜15.36TBです。

PM1743 SSDはサーバー向けの製品で、現在サムスンは一部顧客向けにサンプル出荷しています。このように驚異的な速度でスペックを向上させるSSDですが、すでに次世代規格「PCIe 6.0」が発表されており、その性能向上はまだまだとどまるところを知らないようです。

(Source:SamsungEngadget日本版より転載)