HTCのスタンドアローンVRヘッドセット「Vive Focus」で悪者たちをぶん殴る!

今年のMWCでHTCが第7会場にショップを開いたことは、効果的だ。サムスンやファーウェイなどの皆様方と肩を並べることをやめて同社は、周辺機器やアクセサリーのメーカーたちの中へ紛(まぎ)れ込んだ。確かにブロックチェーンハンドセット「Exodus 1もニュースだったが、ショーの本当のスターはViveだった。

1月のCESで「Vive Pro Eye」を披露した同社は、今週のバルセロナのショーでは決意を見せるかのように軽量級で勝負した。すなわち、「Focus Plusのローンチだ。このヘッドセットは、HTCのスタンドアローンVRの最新の試みで、「Oculus Go」や「Quest」などに近いものだ。

その最新の装備は、ビジュアルとコントローラーが良くなり、後者はカメラを使う従来型のモーショントラッキングを超音波を利用するフィードバックシステムで置き換えた。米国時間2月26日の午後、会場でちょっと試してみたが、なによりもまず言いたい、言う意義があると思うのは、世界最大のモバイルカンファレンスの会場が、どんなものにせよ消費者向けテクノロジー製品をテストするための最適の場所ではないことだ。それが新製品のVRデバイスなら、なおさらだ。文句、終わり。

また、高価な「Pro Eye」と比べるのもアンフェアだ。そっちも会場でホームランダービーをちょこっと試してみたが、前と同じくSnapdragon 835を搭載したそいつは、そもそも製品としての狙いが違う。HTCはその多機能性を熱心にデモしていたが、その点でもFocusの出番ではない。そこで、Focusで試したのはヘルスケアシミュレーターと戦闘ゲームだった。

前者(ヘルスケア)は明らかに、Focus PlusをHoloLens 2の横に並べる気だ。もちろんVRヘッドセットとマイクロソフトのARデバイスではアプリケーションが全く異なると思うし、599ドルという安くはないお値段もHoloLensが求める価格の数分の一にすぎない。

その医療アプリ「SimforHealth」は、なかなかおもしろい。医師や看護師などの知識や心構えを現実世界のいろんな状況に対して準備させるための一連のシミュレーションがあって、その1つだ。コントローラーの操作を、物をつまむなどの現実の動作としてできるようになるまで、慣れが必要だ。レスポンスタイムにも、ちょっと問題がある。超音波フィードバックという新しい技術は、高度なカメラ追跡ほど正確でないのかもしれない。それとも、自分の設定ミスか。いずれにしても、こちらもやはり慣れが必要だ。

ゲームの「Superhot VR」は、まだましだった。同社はFocus Plusだけでなく5G Hubのデモにもこれを使っていた。殴る撃つなどの単純な力づくのアクションだから、セットアップもうまくいく。だからこのゲームは、デモに向いている。ただし会場の混みあったブースで想像上の悪漢たちを殴りまくるのは、やさしいとは言えない。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

マイクロソフトのHoloLens 2を実機テスト、やはりすごかった

今週、マイクロソフト(Microsoft)はバルセロナのMWCでプレスカンファレンスを開催し、混合現実ヘッドセット、HoloLensの新しいバージョン発表した。Microsoftが2015年に最初のデモを公開したとき、「こんなことができるわけがない。フェイクに違いない」と疑った専門家さえいた。たしかにリアルタイム・トラッキング、ジェスチャー認識、(当時としては)高精細度ディスプレイをスタンドアローンのパッケージにまとめるのは困難な事業で、それまで誰もこうしたプロダクトを見たことがなかった。

次世代プロダクトが発表されるまで4年もかかったわけだが、これはMicrosoftがユーザー、デベロッパーからのフィードバックを慎重に検討して方向性を決めようとしていたからだろう。Microsoftがアップデートを急ぐ必要を感じなかったのは事実上ライバルがいなかったせいもある(例外はMagic Leapかもしれないが、このプロダクトは依然としてごく初期段階にある)。

私はMWCでHoloLens2の実機をテストする機会があった。初代HoloLensに大きなショックを受けたが、新バージョンは、さまざまな意味でオリジナルの自然な進化と感じられた。つまり、装着したときの快適性は向上し、狭かった視野は十分に広くなった。操作性、対話性も改善され、アプリの使い勝手も大きくアップした。ハードウェアの現代のスペックも適合する水準に引き上げられている。

新バージョンをテストするとまず気付くのは、立体視に重要となる両目の間隔の測定とカリブレーションが自動的に行われることだ。これは簡単に言えばミニゲームのようなもので、小さな光点が動き回るのを目で追うだけでいい。すると視線トラッキング・システムがユーザーがどこを見ているかを認識し、システムを調整する。このプロセスが終わると、小さい仮想ハチドリが現れてユーザーの手に着地する。ユーザーはここで新しいHoleLensの視野の広さを実感するかもしれない。この鳥の位置では初代のHoloLens 1の小さな視野には収まらなかったはずだ。

念のために言っておくが、HoloLens 2の体験はMicrosoftのビデオが信じさせようとしているレベルにはまだ達していない。 たとえばARイメージは唐突に現れ、突然消える。しかし視野が十分広くなっているので依然ほど煩わしくは感じない。解像度のスペックは初代とほぼ同じで、私には差は感じられなかった。

もうひとつ、HoloLens2を装着してですぐに気付くのは快適性だ。この点ではMicrosoftの主張は単なる宣伝ではなかった。初代製品は頭を締め付ける感覚があった。その上、私の場合、ともすればずり落ちてきた。デバイスを被っていることを常時意識させる重量もあった。新製品も頭の後ろで小さなノブを回して頭に締めつけるのだが、はるかに快適に感じる。実際の重量は数グラム軽くなっただけだが、重量配分や装着部分が改善されたのだろう。ユーザーが眼鏡をかけていても、デバイスの重量は鼻にはかかっていないので、圧力が増えて不快な思いをする心配はない。

さらに大きな違いは、HoloLens 2は簡単にフリップアップできることだ。つまり本当のバイザーになっている。ユーザーはHoloLensを通して外界を見るわけだが、必要があれば顔の前から跳ね上げておくことができる。

新しいHoloLensをテストすると、すぐにメニュー、ボタン、スライダーに出くわすことになる。初代バージョンでは、手の動きのトラッキングは十分ではなく、デバイスとの対話方法として自然に感じられなかった。HoloLens 1では認識を確実にするために特別なジェスチャーを使う必要があった。新バージョンではスマートフォンと同様に仮想アイコンをタップできる。スライダーが表示されたらつかんで動かすことができる。MWCで紹介されたMicrosoftのデモ・アプリケーションではこうした操作がうまく利用されている。

またマーケティング戦略上の違いもあった。今回、MicrosoftはHoloLens 2がビジネスユーザー向けであることを明確に述べた。すべてのデモはそうしたユースケースを考えている。ユーザーが壁を突き抜けてきたエイリアンを射ったり、リビングのテーブルの上で仮想Minecraftをプレイするような時代は終わった。MicrosoftのD365混合現実アプリ担当マネージャーの Lorraine Bardeen氏が私のインタビューに答えて語ったところでは、最初のバージョンでは確かにMicrosoftは多様な実験を歓迎した。しかしすでにHoloLensが適するユースケースは明確になっている。

Bardeen氏は「たしかに私たちは当初、『これを使ってなんでもできる』と言いました」と述べた。 しかしHoloLens 1の出荷が始まると「箱のフタを開けたらすぐに特定の業務に役立つ」ような製品を望むユーザーが多いことが判明した。もっともその一方でHoloLensをカスタマイズ可能なオープンなシステムにしておくという約束も守っている。したがってゲーム・デベロッパーがそう望むなら、HoloLens向けゲームを開発したり既存のゲームを移植したりすることは可能だ。

とはいえ、3500ドルからというユニット価格を考えれば、これは明らかにコンシューマー向けデバイスではない。HoloLens 2に人気ゲームが登場することは当分期待しないほうがいいだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

HoloLensの軍用利用に関する5億ドルの政府契約事業、マイクロソフトCEOは擁護

マイクロソフト(Microsoft)に、同社の拡張現実技術「HoloLens」を米陸軍に納める5億ドルの政府契約を反故にする気はない。

CNNのインタビューでマイクロソフトのCEO サティア・ナデラ(Satya Nadella)氏はこう言っている。「わが社は、自分たちが今エンジョイしている自由を護るために民主主義に基づいて選んだ諸機関に対しては、技術の供与を拒否しない、という道義的意思決定を行った。その意思決定に関してわが社はきわめて透明であり、(反戦的な)社員たちとの対話も継続していく」。

関連記事: Group of employees calls for end to Microsoft’s $480M HoloLens military contract…Microsoft社員グループがHoloLensの軍用契約に反対(未訳)

現在200名あまりの社員が総額4億7900万ドルの政府契約の廃棄を求める経営陣に対する書簡に署名しているが、それに応じないとするCEOのこの言い分はまったく意外ではない。マイクロソフトは以前、政府の契約事業の遂行に関する社内精査を行っている。それに基づいて今回はまだ新しいAR技術が、テクノロジーの力で戦闘の最前線における米軍の殺傷能力を強化する、と称する契約事業に利用されることになった。

米国時間2月22日、社員グループから上層部に送られた書簡は、その4億7900万ドルの軍用契約の停止を求めている。グループの主張によれば、書簡に署名したマイクロソフト社員は200名を超えている。

「入社時の契約業務内容に武器の開発はなかった。自分の仕事の使われ方に関しては、自分に発言権がある」と書簡に書かれている。

その書簡の発表の数日前には、同社はあるイベントで、同社の拡張現実技術の進歩を強調した。

関連記事: Microsoftが大きく改良されたHoloLens 2を発表

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

一人じゃないVR、クリエーター感涙のホログラムディスプレイ「Looking Glass」

クラウドファンディングサイトの「Makuake」は2月26日、ホログラムディスプレイ「Looking Glass」の支援者募集を開始した。8.7インチモデルのスタンダードタイプは支援額が6万4000円から、15.6インチのラージタイプは30万5000円からとなる。募集期間は60日のAll or Nothing(達成後支援型)。つまり、目標額を達成しなかった場合は支援金は返金され、製品は受け取れない。なお、募集期間中の送料は無料となる(通常は8800〜1万3800円)。

このホログラムディスプレイは、2018年にクラウドファンディングサイト「Kickstarter」で9300万円の資金を集めたハードウェア。日本からの申し込みがかなりの数を占めたことから、このたび日本語マニュアルがついたモデルがMakuakeに登場することになった。

Looking Glassは、3Dシーンを45の異なる角度で映し出しており、複数人が同時に異なる方向から見ても立体的に見えるのが特徴だ。もちろん、特許は出願中だ。

具体的には、3D統合開発環境のUnityなどで作成したキャラクターを立体的に映し出せる。具体的には、Unityに「HoloPlay Unity SDK」を組み込んで3Dモデルを作成することでホログラム投影が可能になる。OBJ、FBX、STL、gLTFなどの3Dフォーマットのデータは「3D Model and Animation Importer App」でLooking Glass用データに変換可能だ。3Dモデルだけでなく、Looking Glass用に撮影した実写映像を取り込んでホログラム投影することもできる。

キャラクターを出力するにはPCが別途必要で、Looking GlassとはHDMI、USB Cで接続する。スタンダードタイプはバスパワー駆動、ラージタイプは別途ACアダプターが必要になる。対応するOSは、Windows(64ビット)で、推奨GPUはNVIDIA GTX 1060以上。GPUパワーをかなり使うため、WindowsのゲーミングPCを利用するのが望ましいとのこと。開発者によると「Macでも頑張れば使えるが、GPU性能が低いため表現の幅は狭まる」そうだ。

さらに、赤外線で動きを感知する「Leap Motionコントローラー」を併用することで、ポログラム投影された3Dモデルの視線を誘導したり、バーチャルな手で3Dモデルを掴んだりすることが可能になる。

MWC開幕、Microsoftが大きく改良されたHoloLens 2を発表

今日(米国時間2/24)、スペインのパルセロナで開幕したMWCでMicrosoftはHoloLens 2発表した。 HoloLens 2はMicrosoftの最新版のMR(混合現実)ヘッドセットで、視野は2倍に拡大され、画面精細度、操作性ともにアップしているという。Microsoftによれば「快適性は3倍になった」ということだ(ただしMicrosoftの測定の基準ははっきりしない)。

今年後半、HoloLens 2はアメリカ、日本、中国、ドイツ、カナダ、イギリス、アイルランド、フランス、オーストラリア、ニュージーランドの各国で販売される。予定価格は3500ドル。

現行HoloLensの問題の1つは、視野が狭いことだった。見たいものが正面にあってあまり大きくない場合はHoloLensが生む効果は素晴らしい。しかし顔を少し動かしたり、大きな対象を見ようとすると、ディスプレイが切手くらいのサイズしかないことに気付く。今回発表されたHoloLens 2は、オリジナルの2倍の視野があるという。今日のキーノートでHoloLensの開発責任者、Alex Kipmanはデバイスの発達の歴史を振り返ってこう述べている。

Kinectは家庭に入ることができkた最初のスマート装置でした。これがMicrosoftにHoloLensを作成させたのです。 […]ここ数年、デベロッパー、企業、スタートアップはすべて何かはビューティフルであると同時に役立つプロダクトを作ろうと努力してきました。

その結果の一つがHoloLensだったわけだ。これはソフトウェアとハードウェアが一体となって機能するプロダクトだ。 HoloLensのために、MicrosoftはWindowsのカスマイズ版を開発すると同時に、オブジェクトを見つめて人差し指でタップするエアータップや手をつぼみ型にして開くブルームのようなHoloLens特有のジェスチャーを利用してARオブジェクトと対話する新しい仕組みを開発した。HoloLens 2ではインタラクションがさらに自然になり、オブジェクトを簡単にタップできる。ヘッドセットの視線トラッキング機能も改良され、システムはユーザーが見つめている場所を正確に知ることができるようになった

Kipmanは「HoloLens 2はユーザーに適応します。 われわれは進化したインタラクションのモデルを構築することとによりユーザーがホログラムと対話する能力を大幅に向上させました」と強調する。

デモではスライダー操作などによりHoloLensアプリケーションの操作がいかに自然かつ高速になったかの説明に力を入れていた。たとえばスライダーは指のタップで呼び出し、レバーをつかんで動かすことができる。Microsoftトでは、HoloLensがきわめて高精度で指の動きをトラッキングできることを示すために10本の指で演奏できるバーチャル・ピアノを作成した。同社はこれを「もっとも直感的対話性」と呼んでいいる。’

HoloLensのプロトタイプが最初の発表は2015年レッドモンドの本社キャンパスで開催されたMicrosoftのサプライズイベントだった。MWC 2016が終了して数日後に招待のみで開催されたイベンドで実機が紹介され、8月に発売された。 つまり新しいハードウェアのリリースまでに4年かかったことになる。これは長い時間だが、MicrosoftとしてはHololensの開発にデベロッパーを呼び込むためにプラットフォームの安定を優先したのだろう。

またMicrosoftは今日、デベロッパーをサポートするために、MicrosoftはAzureのHoloLens向けサービスを多数発表した。 これには、空間アンカーやハイポリゴンのコンテンツをHoloLensにストリーミング配信するのに役立つリモート・レンダリングなどが含まれる。

重要なのはMicrosoftがHoloLensをコンシューマー向け製品として位置づけたことはない点だ。なるほどTechCrunchはHoloLens上のゲームを紹介したこともあるが、このプロダクトの焦点はあくまでビジネス、教育関連のアプリケーションにある。この傾向は新製品でも変わっていない。たえば医療アプリケーションのデモで複数のユーザーが1つのホログラムに対して共同作業を行うことができることを示した。この機能は新製品で実装されたわけではないが、MicrosoftがHoleLensテクノロジをどのように位置づけているかを示していると思う。

エンタープライズ向けアプリケーションではデバイスの機能をカスタマイズできるオプションも提供される。

MicrosoftのCEO、サティア・ナデラ「世界に対するわれわれの見方を変えることは実際に世界を変えることになる」と4年前のHoloLens発表の際のスピーチを引用した。ナデラは「現実世界と仮想世界を一体化することがわれわれの働き方を変えると信じている」と述べた。

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滑川海彦@Facebook Google+

米証券取引委員会(SEC)、どの企業もIPOの事前伺いを可能に

現委員長Jay Claytonの下、SEC(証券取引委員会)はもっと多くの会社に上場して欲しいことをこの2年間明言してきた。

本日(米国時間2/19)公開された提案によって、その目標達成が近づいたかもしれない。具体的には、同委員会はIPOの可能性を検討しているどの企業も、公式発表する前に、投資家候補(機関投資家、認定投資家いずれも)と非公開に相談する機会を与えられる。

これは、IPOを行うかどうかを決断する前に、どの会社も「事前伺い」できるようにすることで、上場のハードルを下げようとするものだ。現在こうしたテストができるのは、「新興企業(emerging growth company)」に限られている。

SECの定義によると、新興企業とは、直近の会計年度の年間総売上10億ドル以下の会社を指す。

本提案に対して一般市民は60日間以内にコメントを出すことができる。SECはそれを受けて手続きを進めるかどうかを決定する。

提案が通過する可能性は非常に高い。これは、現在非公開市場にばらまかれている流動資産を公開市場に移動しようという最近SECが進めている動きの一環だ。2017年7月、SECはIPOで売られる株式に関する書類をどの会社も非公開で登録できるようにした。それまでは、小規模企業のみに与えられていた恩恵だった。

企業が非上場でい続けることは今後も可能であることを認めつつも、Clayton委員長は昨年8月に、委員会としてはもっと多くの個人投資家が退職後の生活などの目的に、もっと多くの非上場企業に投資できる機会を与えたいと述べていた。Claytonはその方向の変化は「かなり早く」起きると言っていたが、SECとして関連する提案を正式に公開することはなかった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

AsteroidはAR開発のためのインターフェースエンジンを開発中

われわれが今日のコンピュータと対話する際には、マウスを動かし、トラックパッドを撫でて、画面をタップする。しかし、マシンがそうした操作にうまく反応しないこともよくある。人間がどこを見ているのかセンスするのはどうだろう? その微妙なジェスチャーによって、ユーザーが何を考えているのかを伝えるのだ。

Asteroidは、将来のインターフェースが、生体を直接センスしたデータをはるかに多く取り込むことになる、という考えを提唱して、デベロッパーの期待を集めている。そのチームは、macOSおよびiOS用のノードベースのヒューマン・マシンインターフェースエンジンを開発した。それにより、デベロッパーはインタラクションを定義して、Swiftアプリケーションにインポートできるようになる。

「新しいヒューマン・マシン・インターフェース技術について興味深いのは、ユーザーが今日『ダウンロード』できるのと同じくらい『アップロード』できるようになるかもしれないという希望です」とAsteroidの創設者Saku PanditharatneはMediumへの投稿に書いている。

その開発環境に注目を集めるために、彼らはクラウドファンディングのキャンペーンを始めた。それにより、今日市販されているバイオセンサーによって可能となるユーザー体験の深さを確認するための材料を提供する。Asteroidは、ハードウェアのスタートアップになりたいとはまったく思っていないが、インタラクション設計の即戦力となるツールにはどのようなものがあるのかを、そのキャンペーンによってデベロッパーに広く示すことができる。

こんな開発キット、そんな開発キット、そしてあんな開発キットもある。トータルパッケージを求めて参加した開発者は、山ほどの電子部品やケースといったハードウェア素材を受け取る。それらを工夫して組み合わせ、インターフェースのソリューションを開発するのだ。450ドルのキットには、視線追跡、脳・コンピュータインターフェースのための電極、そしてモーションコントローラを組み立てるための電子部品などが含まれている。参加者は、200ドルの視線追跡キットを単独で購入することもできる。それはすべて完全に実用本位のもので、Asteroidがハードウェアを売って大儲けできるというわけではまったくない。

「長期的な目標は、できるだけ多くのARハードウェアをサポートすることです。独自のキットを作成したのは、実験室の外には適切なものが豊富にあるとは考えていないからです」と、PanditharatneはTechCrunchに語った。

これらのマニアックなハードウェアを見ると、当分はなんだか趣味の仕事のように思われるかもしれない。しかし、いくつかのAR/VRデバイスには、視線追跡機能が組み込まれていて、ほとんどの市販のVRデバイスより1世代進んでいる。それに、脳・コンピュータインターフェースシステムが組み込まれたハードウェアなど、他ではほとんど見ることはないだろう。Asteroidは、スマートフォンのカメラとマイクだけでも、彼らのエンジンは十分に機能すると言っている。とはいえ、開発キットがそれなりによく売れているのは、多くのデベロッパーが特定のハードウェアを対象に開発しているわけではないということを示している。人間が世界に対処している方法とよく絡み合うように、インターフェースがもっと成長することに期待して、実験を続けているのだ。

Panditharatneは、この会社を設立する前は、OculusとAndreessen Horowitzに勤めていた経験を持つ。そこで彼女は、ARとVRの将来に焦点を合わせて、多くの時間をつぎ込んでいた。 Panditharatneは、Asteroidは200万ドル以上の資金を調達した、と語ったが、まだその資金の出所を詳細には明らかにしていない。

同社は、彼らが始めたIndiegogoキャンペーンから2万ドルを集めることを目指しているというものの、その真の目的は明らかに売り込みであり、自社のヒューマン・マシンインタラクションのエンジンを多くの人に知ってもらうためのものだろう。Asteroidは、その製品の順番待ちリストに加わるためのサインアップを、サイト上で受け付けている。

画像クレジット:Bernhard Lang

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

MWCでの発表を控えてMicrosoftからHoloLens 2のティーザービデオ

バルセロナで今月下旬に開催されるMWC(Mobile World Congress)で発表予定の製品でいちばん注目を集めているのはスマートフォンではない。Microsoftの次世代HoloLensヘッドセットだ。発表は2月24日(米国時間)と予告されている。Microsoftはさらに話題を盛り上げようとして予告ビデオを公開した。

実際、このビデオに内容はあまりない。ぼんやりとチップのようなものが写り、ケーブルがうねり、氷が溶けかける。そういったイメージが連続する。具体的情報を明かしたくない場合に大企業が製作するティーザーの典型だ。

しかし重要なのはビデオの内容よりもこのビデオの背後に誰がいるかだろう。このビデオを公開したMicrosoftのテクニカル・フェロー、Alex Kipmanは初代HoloLens開発のキーパーソンだ。つまりHololens 2を予告する最適任者ということになる。現行ヘッドセットは拡張/複合現実のブームに先駆け過ぎていたきらいがあった。しかし今やARはテクノロジー企業がこぞって力を入れる分野になっている。第2世代のHololensを発表するには理想的な環境だ。

報道によればこのヘッドセットにはQualcomm 850と新しい運動センセーが搭載される。また価格も引き下げられ、小型化されるという。これによってMicrosoftは拡張現実分野のリーダーの位置を確立することを狙っているようだ。

MWC 2019についてのわれわれの予想はこちら.。

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滑川海彦@Facebook Google+

AR謎解きゲーム「サラと謎のハッカークラブ」第2弾が開催決定!2月21日より

AR謎解きゲーム「サラと謎のハッカークラブ」運営のプレティアは1月30日、同タイトルの第2弾を開催すると発表した。期間は2月21日から6月30日までの約4ヵ月間。

同シリーズはオリジナルアプリ「HACK PAD(ハックパッド)」を使って遊ぶ、“新感覚”のAR謎解きゲーム。プレイヤーはサイトで遊ぶ日時を予約し、ストーリーにしたがって実際に渋谷の街を歩き回って、謎を解いていく。

僕も以前に第1弾を体験したが、一人で集中して攻略するのはもちろん、友達などと一緒に謎を解いていくのもきっと楽しいだろう。

本日発表された「サラと謎のハッカークラブ2」は第1弾の設定を引き継いだ、渋谷を舞台としたSFチックな世界観を持つゲームとなっているそう。第1弾に参加していなくても楽しめる仕様になっているとのことだ。

同社いわく、第1弾ユーザーの体験後アンケートで94%(有効回答件数764)が「続編に参加したい」と回答。第2弾制作への高い期待が寄せられていた。

2018年12月にはAR対戦シューティングアプリの「ペチャバト」(iOS版)が公開され注目を集めていたが、今年もサラ謎第二弾を含め、AR領域に数多くの面白いゲームが登場することに期待したい。

サラと謎のハッカークラブ2の予約サイト公開および予約開始は、2月7日を予定。なお2018年8月より提供されている第1弾は今週末の23日まで延長開催されている。

同ゲームのプレイスタート可能時間は9時30分から19時で、体験時間は150分程度。料金は平日が1290円、休日が1990円。プレイするにはスマホが必要だが、有料でレンタルも可能だ。

VRイベントプラットフォーム「cluster」でスタートアップピッチバトルが開催決定

バーチャルイベントプラットフォーム「cluster」を運営するクラスターは1月29日、cluster上で同社いわく国内初となるスタートアップ企業によるピッチイベントを開催すると発表した。

「国内初!バーチャルピッチグランプリ in cluster presented by KDDI∞Labo」と題されたこのスタートアップピッチイベントは2月13日に開催。KDDIが手掛けるスタートアップ企業支援の事業共創プラットフォーム「KDDI∞Labo」とclusterとの共催となる。cluster会場YouTube会場が用意されている。

このイベントでは事前選考を通過したスタートアップ企業5社が、バーチャル空間上でアバターに扮して登壇し、「テクノロジーで世界に挑む」というテーマでピッチバトルを行う。

KDDIの発表によると、登壇企業は以下の通りだ。

このイベントでは最大5000名がVRヘッドマウントディスプレイやPC、スマートフォンを介して、遠隔でイベントに同時参加することができる。参加者は登壇企業に対して、拍手やコメントを送ることが可能なほか、バーチャル空間内を自由に移動し、自分の好きな場所や角度からイベントを楽しむことも。会場まで足を運ぶ必要がないので、自宅にひきこもってピッチイベントに参加できる。

審査員を務めるのはKDDIビジネスインキュベーション推進部 部長の中馬和彦氏、GREE Ventures代表パートナー堤達生氏、IT批評家・藤原投資顧問書生 尾原和啓氏、世界初男性バーチャルYouTuberのばあちゃる氏。MCはクラスター広報兼バーチャルタレントのくらすたーちゃん氏。

IntelがロボティクスやAR/VRハードウェア用のインサイドアウトトラッキングカメラを発表

このほどIntelが発表したRealSenseカメラは、主にハードウェアメーカーに、彼らの製品が今世界のどこにいるかを自分で理解する能力を提供する。そのRealSense Tracking Camera T265(上図)で、ロボティクスやAR/VRのハードウェアにインサイドアウトトラッキングの能力を簡単に与えることができる。

このトラッキングカメラはSLAM(simultaneous localization and mapping)の技術を利用してデバイスの向きを制御し、同時に今自分が歩いている環境の詳しい空間レイアウトを作りだす。そして当然ながらコンピュータービジョンチップセットMovidius Myriad 2を搭載し、カメラのデータ処理をさせる。

インサイドアウトトラッキングはますます、計算集約的ではなくなりつつある。そしてこれこそが、IntelがT265で大きく進歩しつつある分野だ。

T265は2月末に199ドルで発売される。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

スマートフォンを葬り去る新しいVRスクリーン

スマートフォンの画面は驚異の世界だ。明るく、カラフル、シャープなだけではない。ある意味、それは人間の生体に匹敵するほどのものだ。小さな面積に、あれほど多くのピクセルを詰め込んであり、これ以上増やしても認識が追いつかないだろう。画面自体を大きくすることはできない。片手で持てなくなるからだ。スマートフォンの画面から、より多くの情報を得るための唯一の方法は、ピクセルをもっと目に近づけること。手で持つのではなく、何らかの方法で頭にデバイスを取り付ければいい。われわれが普通に思い浮かべる電話機ではなく、メガネのようなものになるだろう。

ありそうもないって? 実のところ、多くの進んだCE企業(Apple、Microsoft、Google、HTCなど)は、すでにこの新しいスクリーンに取り組んでいる。実現すれば、映画の中でしか見られなかったような体験が、日常のものになるはずだ。

人間の目の「回折限界」

小さな穴を通して見ると、反対側のものはぼやけて見える。これは、光線が網膜に届くまでの間に穴を通過すると、わずかながら拡散するからだ。海の波が、狭い開口部を持つ防波堤に当たるのを観察しているところを思い浮かべてみよう。直線的な波が、防波堤を抜けるとさざ波に変化して反対側に拡がる様子は、光線が穴を通過するときに起こるのと同じなのだ。

「針穴写真機」を作って、遠くにある文字を見てみれば、これを実際に試すことができる。穴が小さいほど、ぼけはひどくなる。そして人間の目の虹彩は、もちろん穴なのだ。

GettyIMagesのCarmelo Geraci/ EyeEmから

われわれの目の大きさを考えると、このことは細部を見る能力に限界があることを意味している。人間の瞳孔は、直径が約5ミリメートルだ。これによる限界を1度あたりのピクセル数で表すと、約60となる。つまり、たとえば、25セント硬貨を目から腕の長さほど離れたところに掲げたとすると、視界の中の約2.5度を占めることになる。これは、それを表示するのに縦横150ピクセル程度のディスプレイがあれば、人間の目にはちょうどいいということになる。それ以上のピクセルがあっても無駄。なぜなら、もうそれを識別することはできないからだ。

2010年頃から、スマートフォンのディスプレイは、そのレベルの品質に達した。その段階では、めいっぱい顔に近づけても、個々のピクセルを見ることができなくなった。Appleが、適切にも、それをRetina(網膜)ディスプレイというブランド名で呼ぶことにしたのは記憶に新しい。大画面のテレビも、今同じ限界に達してしまった。実は4Kを超えるものは、みんなお金の無駄だ。画面が発する熱を肌で感じるほど近くに座らなければ、違いは分からないのだから。

つまり、手に持った6×3インチの携帯電話の画面は、われわれの視野のほんの一部を占めるに過ぎないのだから、それによって数十行を超えるようなテキストを読むことは不可能なのだ。

とどまるところを知らない食欲

それでも、視覚からの情報を吸収することに対する人間の食欲と能力には、いずれも恐るべきものがある。われわれは画面が大好きで、大きいほど好まれる。たとえば、ラップトップを拡げると、1つではなく、4つの画面が魔法のように現れたら、誰でも気にいるはずだ(映画Westworldに登場する超クールな折りたたみ式デバイスのように)。

理想的なのは、すべての方向に画面が見えていて、現実世界に集中したいときだけ、画面をオフにすることができる、というものだ。それはGoogle Glassのような、初期のプロトタイプとはまったく異なったものになるはずだ。そうした初期のものは、現在のスマートフォンの画面と比べても、より小さな視野しかなく、テキストを含む情報表示能力も劣っていた。

可能な最大サイズの画面

それこそが、今がまさに開発中のものだ。画面は眼の前に固定され、レンズによって見やすく表示される。頭の回転を正確に検出することによって、あなたを取り囲む、魔法のような新しい「スクリーン」を作り出す。もちろん、ピクセルは十分に細かくて識別することはできない。頭の向きを変えると、視線の向いた方にあるものが見えるように、目の前にあるピクセルが変化して仮想画面の部分を映し出す。

この新しいスクリーンは、非常に広大なものとして表示される。16台の4Kモニターと同等で、約2億画素を表示できる。想像してみよう。指をパチンと鳴らしただけで、いつでも16台のモニターが現れ、電子メール、テキストメッセージ、ウェブブラウザ、ビデオ、その他確認したい情報など、どんなコンテンツでも表示できるのだ。その画面は、あなた以外の誰にも見えない。そして、現在のスマートフォンのように、どこにでも持っていくことができる。

1兆ドル市場

もし、16台の4Kモニターが魔法のようにあなたの周りを取り囲み、重さもなにも感じることなく、他の誰からも見られないようなヘッドセットが500ドルで発売されたら、Appleストアの列に並んで待つだろうか。もちろん、あなたはそうしたいだろうし、そうすることになるだろう。ちなみに、キーボードとマウスは、そのまま古い机の上に置いて利用できる。もはやモニターは不要となるのだ。

Hoxton/Paul Bradburyによる

それこそが、Apple、Microsoft、HTC、Googleといった優れた企業、そしてMagic Leap、Avegant、ODGなどのスタートアップが、このようなスクリーンを作ろうと努力している理由だ。スクリーンの世界市場は約1兆ドルなので、この新しいスクリーンをうまく製品化できれば、誰でも莫大な利益を得ることができる。

誰でも使えるものに

それらは自立的に動くので、コンピュータにはさほど負担をかけない。こうした新しいデバイスは、これまでの同類の製品よりも安価になるはずだ。だいたいスマートフォンと同じくらいだろう。そういうわけで、PCに対するスマートフォンのように、かなり多くの人が使えるようになる。今後10年以内に、何十億もの人の手に渡るだろう。

このような変化は、現在はシンプルなスマホの画面にしかアクセスできないような、世界中の多くの人々の力となることができるはずだ。それによって、現状では高価なデスクトップマシンや、裕福な家庭や会社のオフィスにしかない壁面ディスプレイを必要とする、高度な仕事や学習の機会が得られるようになる。これらの安価なデバイスによって、世界中のすべての人々に、巨大なBloombergターミナルと同等のものを提供することができるのだ。

VRとARは幸運なサポーターであり、キラーアプリではない

ここまでは、3D VRの世界や、現実の世界にスーパーインポーズするARオブジェクトについては取り上げてこなかった。なぜなら、新しいスクリーンが広く成功を収めるために、とりあえずそうしたものは必要ないからだ。スマートフォンにとってのカメラアプリのように、VRとARの応用は、新しいスクリーンの普及にとって幸運なサポーターにはなるだろう。このようなスクリーンを備えたデバイスを手に入れれば、3Dコンテンツを表示したり、それを現実の世界に重ねて映したり、仮想世界を旅したり、アバターとして世界中の人々とコミュニケーションをとることができるようになる。はるか遠くに離れていても、人と人とのつながりを体験できるようにする、信じられないようなVRアプリケーションが開発されつつある。しかし、あわててヘッドセットを買いに走る必要はない。まだ、ウェブブラウジングや電子メール用のものしか手に入らない。

今後の数年で、いくつかの会社がヘッドセットやメガネを発売するだろう。それらはコンピュータから視覚的な情報を取り出すための方法として、スマートフォンの画面を置き換えることになる。こうしたスクリーンの最初の用途は、現在のスマートフォンでは苦労しているようなことすべて、ということになるだろう。それに続いて、仮想世界、VRとARがそのスクリーンを利用し始める。それにより、現実世界を拡張したり、まったく置き換えてしまうことが可能となる。

みんながVRとAR用ヘッドセット用の新しい「キラーアプリ」を探している。しかし、この記事を読んだあなたは、すでにそれを目にしているはずだ。

画像クレジット:Jane_Kelly(画像は修正されています)

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

AR/VR 2.0を生かすためにはAR/VR 1.0を殺さなければならない

拡張現実と仮想現実(AR/VR)の未来は明るい可能性があるが、それは現状から脱出できた場合のことだ。2018年は、2つの変化の年の前触れの年だったと言える。2019年には淘汰が起こり、2020年後半には転換期が訪れる。まずは、現状の確認から始めよう。そして、私たちはどのような未来へ向かうのか、そこへ到達するためには、何を変えなければいけないかを考えていこう(注意:AR/VRにはもっと前の世代もあるが、ここでは2014年後の市場に着目している)。

AR/VR普及台数(モバイルARを含む)

青のAIRKit、緑のARCore(Google)、赤のARCore(中国)が多く、Apple、Oculus Quest、Samsung、HTC Vive Focus、Sony PSVR、Magic Leap、Microsoft HoloLensなどと続く
(Digi-Capital AR/VR分析プラットフォームより)

AR/VR 1.0は今どうなっているか?

AR/VR 1.0は、FacebookがOculusを真剣に考えるようになった2014年にキックオフとなった。それには、起業家、企業、VCの特定の世代が大きく反応し、初期のAR/VRの開発が進められ、技術的に大きな進歩があったものの、まだ大衆市場は形成できないと、業界内部の人間すら認める状態だった。

モバイルARは、30億ドル(約3250億円)という、私たちが出した2018年の収益予測を2パーセント上回る結果となったが、その牽引役となったのは、アプリストアの売り上げ(おもに『Pokémon GO』)、広告費(メッセージアプルへのモバイルAR機能の導入など)、そして電子商取引での収益だ(たとえばHouzzはネット販売が11倍に伸びた)。モバイルARのインストールドベース(デバイスに組み込まれた形での普及数)も、期待を上回ってゆっくり伸びを見せ、世界で8億5000万件に到達している。ただ不安が的中し、2018年にはスタンドアローン型モバイルARの大ヒットアプリは現れなかった。モバイルARの何が売れて何が売れないのかを知ろうと、開発者たちは今でも頭を捻っている。

スマートグラスの2018年はいろいろだった。MicrosoftのHoloLensは、アメリカ陸軍との4億8000万ドル(約520億円)の契約を勝ち取った。Magic Leapは、一般向けの製品よりも開発用キットのほうがよく売れた。その他のスマートグラスの先駆者たちからは、資産を売却したり社員を一時解雇したという話が伝わってきている。スマートグラスの収益(おもにハードウエア、企業向けソリューションやサービス)は億単位にのぼるが、モバイルARを加えると、AR市場全体の収益は予想よりも3パーセント低かった。そのため、これまでの3年間のARの収益は、投資会社Digi-Capitalの予測にほぼ沿う形となった。

VRでは、携帯電話とヘッドセットの予約とのセット販売を電話会社が大幅に縮小するとは、昨年初めの時点では予想できず(これがモバイルVRの売り上げと普及数に悪い影響を与えた)、Oculus Questの2018年クリスマスシーズンの発売は延期されてしまった(昨年末の発表では2019年の春とのこと)。Oculus Goが昨年中期に発売されたことと、ソニーPSVRの売り上げが予測どおりになったことはよかったが、減少率を含めて考えると、2018年のVR市場の収益は前年比で少なくとも30億ドル(約3250億円)落ち込んだ(我々は適度な成長を予測していたが)。

AR/VR 2.0で私たちはどこへ行くのか?

モバイルARとスマートグラスを含むARは、2023年までには、25億台普及し、売り上げは700億から750億ドル(約8兆1300万円)に達する可能性がある。モバイル、スタンドアローン、ゲーム機、PCを含めたVRは、同じ時期までに300億台が普及し、100億から150億ドル(約1兆6300億円)の売り上げが得られる可能性がある。この開きはかなり大きい。なぜそうなるのか、少し掘り下げて考えてみよう。

AR/AVプラットフォームの収益

青はモバイルAR、緑はスマートグラス、赤は高級/スタンドアローンVR製品、紫はモバイル/スタンドアローンVR (Digi-Capital AR/VR分析プラットフォームより)

モバイルAR

モバイルARの収益は昨年をわずかに上回ったものの、プラットフォームのレベルでの根本的なデータを見ると、長期的なモバイルARの普及台数は見積もりを下方修正する必要がありそうだ。AppleとFacebookはそれぞれプラットフォーム(ARKitとSpark AR)を保有しているが、Googleにはそれがない。昨年、ARCoreを組み込んだデバイスを1億台から2億5000万台に増やすには、Android端末のメーカーとの協力に頼らざるを得なかった。

それでも大きな数字だが、私たちのAR/VR分析プラットフォームの予測では、ARCoreの普及台数の成長曲線は、2021年までAppleやFacebookの跡を追うことになっている。ARKitとSpark ARの成長曲線が、これまでの予測のまま維持されたとしても、ARCoreが伸び悩めば、モバイルAR市場全体の普及台数は、2023年までに25億台をわずかに超える程度にとどまる。

ARモバイル・ビジネスモデルの収益

緑はアプリストア、赤は電子商取引、紫は広告費、オレンジは事業向け
(Digi-Capital AR/VR分析プラットフォームより)

自動車、衣料からオモチャまで、大きな10のカテゴリーをカバーする電子商取引は、モバイルARの最大の収入源になることは確実と思われている。それに、小売から消費者向けパッケージ製品、旅行にいたる11の主要広告主カテゴリーが加わると、それはモバイルARの長期的な収益の4分の3を占めるようになる。

AR電子商取引の売り上げ

青のその他、緑の衣料、赤の一般消費者向け電子製品、紫の自動車、オレンジの家具、深緑の医療/介護、ピンクのオモチャ/ホビーなどと続く
(Digi-Capital AR/VR分析プラットフォームより)

モバイルARのアプリストアでの収益(アプリ内購入と単独購入を含む)は、現在のところ『Pokémon GO』を筆頭とするゲームに独占されているが、将来的にモバイルARが組み込まれたデバイスが増加すれば、ゲーム以外の主要アプリによるモバイルARの売り上げは、2023年までに総収益の半分を超えるだろう。モバイル市場全体を見渡せば、スタンドアローンのモバイルARアプリがアプリストアのトップに登りつめるまでには、まだまだ苦戦を覚悟しなければならない。モバイルARには、独立した新しいアプリとしてよりも、一般に浸透しているアプリの中のひとつの機能としてのほうが、大きく成長できたはずだ。

アプリストアでのモバイルARカテゴリーの収益

青のゲーム、緑のソーシャル、赤の写真/動画、紫の娯楽などと続く
(Digi-Capital AR/VR分析プラットフォームより)

スマートグラス

スマートグラスが大衆市場の一般的なデバイスになるためには、5つの大きな課題を解決しなければならない。それは、(1)ヒーロー・デバイスになること(たとえばApple社製のクオリティー。そこではAppleが作ったのかどうかが問われる)、(2)1日使えるバッテリー寿命、(3)ネットへの接続性、(4)アプリのエコシステム、そして(5)価格だ。一筋縄ではいかない課題だが、これらが解決すれば、2020年の中期以降も企業の注目を集めることができる。今年は、スマートグラスの販売台数は、全世界で数千万台を維持できるだろう。

スマートグラスのビジネスモデルの収益

青がハードウエア、緑がアプリストア、赤が電子商取引、紫が広告費、オレンジが事業向け、ピンクが位置情報 (Digi-Capital AR/VR分析プラットフォームより)

2016年に私たちが予測したとおり、もしAppleが2020年後半にiPhoneに接続して使うスマートグラスを販売したなら、AR/VR市場はついに転換点を迎えることになる。とは言え、2023年はまだ、スマートグラスの長期的収益は、ハードウエアとハードウエア以外の事業向けの収益がほとんどを占める状態が続くだろう。一般消費者向けスマートグラスの大衆市場は、Appleが参入したとしても、まだまだ先の話だ。

スマートグラスの事業収益

青の製造/資源、緑の技術/メディア/通信、赤の政府(軍を含む)、紫の小売りなどと続く
(Digi-Capital AR/VR分析プラットフォームより)

これまで、スマートグラスの事業者向け試驗プロジェクトと本格的な展開が初期段階の技術プラットフォームの兆候とされてきたが、現実には、HoloLensやScope ARを使うことで衛星製造作業を50パーセント以上減らすことができたロッキード・マーティンなどの企業からの需要に生産が支えられている。スマートフォンに接続して使うスマートグラスがシステムのコストを削減し、応用の幅を広げてくれるなら、製造/資源、技術/メディア/通信、政府(軍を含む)、小売り、建設/不動産、医療、教育、運輸、金融サービス、公共施設などの産業は2021年に転換期を迎え、事業者向けスマートグラスの収益は跳ね上がるだろう。

VR

VRは、今年、ハードウエアとゲームによる収入を引き続き柱として、適度な成長を取り戻す可能性がある。第二世代のスタンドアローンの高級VRヘッドセット(今年発売されるものではない)は、2020年から2021年の間、促進剤として活躍するだろう。そのためには、高い性能と、充実したコンテンツと、低価格が欠かせない。幸いなことに、そのころにはVRプラットフォームを運営する業者は、散乱した現在のプラットフォームを整理して製品の範囲を絞り込んでいることだろう(これはスティーブ・ジョブズの1997年のシナリオからの受け売り)。

VRビジネスモデルの収益

青はハードウエア、緑はアプリストア、オレンジは事業、深緑は動画、赤は位置情報
(Digi-Capital AR/VR分析プラットフォームより)

VRの収益は、おもに娯楽によるものだ。そしてそれは、普及率とユニットエコノミクスの関係で、スタンドアローンのモバイルVR製品よりも、高級な、またはスタンドアローン型VR製品によるところが大きい。長期的収益の大部分はゲームが占め、続いてハードウエア、事業向け(ハードウエアを除く)、動画、位置情報を使った娯楽となっている。VRプラットフォームの運用者はゲームに焦点を当てているため、ゲーム機でのゲーム以外の収入源を多様化しようと思うと、ソニーやMicrosoftが戦ってきたのと同じ困難に遭遇することとなる(結果はまちまちだ)。

AR/VRの国ごとの収益

青は広告、緑はアプリストア、赤は電子商取引、紫は娯楽、オレンジはハードウエア、深緑は位置情報、ピンクは動画
(Digi-Capital AR/VR分析プラットフォームより)

 

これからの5年間は、アジアがAR/VRを支配することになり、2023年には、北アメリカとヨーロッパを合わせたよりも多くの収益を得る。この市場への中国の関与は群を抜く。長期的にそこは、単独でもっとも大きなAR/VR市場となるだろう。

では、AR/VR 1.0からAR/VR 2.0に移行するには何が必要か?

AR/VR 1.0からAR/VR 2.0に移行するには、数多くのものが必要となる。

大きな摩擦を小さくする:AR/VR 1.0には、その大部分において、インストール、ユーザー・エクスペリエンス、ユーザー・インターフェイスの面で、いまだに大きな摩擦がある。いろいろな意味で、今のこの市場は、スティーブ・ジョブズがiPodを発売する以前のMP3プレヤーの市場によく似ている(アナログの感覚を捨てきれずにいたときだ)。AR/VR 2.0の摩擦を小さくする努力はまだ道半ばだが、今必要なのはAppleのスマートグラスだ(名前はiGlassesとなるかどうかは別として)。第二世代の高級なスタンドアローンのVR製品(Oculus QuestやHTC Viveの次の世代)とモバイルARの開発者は、NianticやHouzzなどの教訓を学び、それを超えるためのイノベーションに取り組んでいる。

エクスペリエンスからユースケースへ:AR/VR 1.0ではいろいろな「エクスペリエンス」があった。なかには、見た目は強烈だが有意義なユーザー・エクスペリエンスを提供してくれないアプリもあった。AR/VRのドラゴンやポータルには最初はびっくりするが、すぐに飽きてしまう。AR/VRの次の段階は、一日中、しかも毎日使う重要なアプリの機能として、決定的なユースケースに対応することだ。

スタンドアローンから機能へ:今日まで業界は、スタンドアローンのアプリに大きく集中してきたが、私たちが使っているアプリの主要な機能は、もっと利用度が高く、より大きな商業的な成功をもたらしてくれる。ナビゲーション(Google Map)、電子商取引(AmazonWalmartAlibaba)、メッセージ(Facebook Spark ARSnapchat Lens Studio)などは、そのほんの一例だ。

高価から安価へ:初期のAR/VR製品の価格は、3000ドル(約30万円)のHoloLensから200ドル(約2万円)やOculus Goから無料のモバイルARまでさまざまだった。しかし、モバイルのように、すでにユーザーがデバイスを所有している場合は、特定のユースケースを除けば、競争の激しいプラットフォームは価格以上のものを提供している。AR/VR 2.0では、価格は問題とならないため、高い価値を提供しなければならない。

点のソリューションからエコシステムへ:初期のAR/VRアプリの娯楽用(ゲームや動画)または、特定の問題を解決するためのひとつのソリューションを提供するものが大半だった。上で述べたように、AR/VRは、その規模を拡大するためには独自のリアリティー・エコシステムが必要だ。

低い投資利益率を高く:消費者にとってこれは、単に「わぁ!」とびっくりする以上のものが得られるアプリを意味し、企業にとっては、投資した以上の実益をもたらすアプリのことを意味する。これは、ロッキード・マーティンやBellといった企業の活動で実現し始めている。

試験から生産へ:企業向けAR/VR 1.0では、数多くの試験プロジェクトが行われてきたが、製品化されて本格生産に移ったものは少ない。これが変化しつつある。Walmart(STRIVR)などは、本格生産に入ろうとしている。

内輪ネタからブランドへ:AR/VR業界は、いまだにAR、VR、MR、XR、あるいは空間コンピューティングという言葉で自分たちを言い表すことのメリットについて論議し続け、それらをパイプでつなぐ内部的な作業に多くの時間を費やしている。しかし、初期の支持者ではない一般の消費者や企業にとっては、どうでもいいことだ。彼らは、決定的なユースケースに対応してくれるブランドを買うだけだ。それには、ユーザーに明確な焦点を当てることが必要であり、彼らにどのようにマーケティングするかが成功の鍵となる。

細分化から支配へ:AR/VR 1.0は、まだ初期段階であり、ユーザー基盤も比較的小さいのにも関わらずハードウエアとソフトウエアにまたがって細分化したままの状態にある。しかし現在、この業界は、重要な少数のプラットフォームに絞り込む腹を決めたようだ。市場の中のカテゴリーごとに、プラットフォームが自然淘汰され、少数の支配的なものが残ることになるだろう。

夢想からデータ駆動型へ:AR/VR 1.0の企業は、初期の市場の独立した情報源提供者が参入してこなかったこともあり、その多くが実際の数字の公表を怠ってきた。しかし、Digi-CapitalのAR/VR分析プラットフォームが開発され、ロードマップ、国際展開、投資額、評価額などに関する細かい疑問に答える確かなデータや分析結果が得られるようになると、もう隠してはいられなくなった。

VC投資からゴキブリ(資金調達)へ:昨年は、豊富な資金を持ついくつもの先駆者的企業の市場から撤退が始まった。2019年には、収支の合わない企業の大淘汰が行われる可能性がある。アメリカのAR/VR投資市場は、2018年の第四四半期の下落から回復し始めている(中国の投資も加速している)が、AR/VR 2.0では、VC投資を求めるよりも、金儲けをして、「ゴキブリ」のように無節操にバーンレートにこだわることが重要だ。

その他からAppleへ:2020年後半にAppleがスマートフォンと使うスマートグラスを発売したならば、AR/VR 2.0に「iPod現象」が起きる。つまり、新しい標準となるフォームファクターが生まれ、長期的な大衆市場が始まるのだ。ただしこれは、かならずしも業界においての「iPhone現象」ではないことを覚悟しておくべきだろう。こうした促進剤が登場しても、大衆市場が確立されるまでには5年以上かかるからだ。

否定から受容へ:2019年は「AR/VRの年」ではない。また、マーク・ザッカーバーグが言う「10億人がVRへ」も実現しないだろう。マークもそれを認めている。なので、市場の次の段階では、慎重な楽観主義が広がることに期待しよう。

AR/VR 3.0はどうなのか?

2023年までにAR/VR市場は、800億ドルから900億ドル(約9兆7600億円)規模に成長する潜在力があると私たちは見ているが、そこでAR/VR 2.0が完結するわるわけではない。それには、価格が同じでiPhoneに取って代わる軽量なスタンドアローン型スマートグラスなどの誕生が必要だ。そうしたAR/VR 3.0のビジョンを実現させるには、技術的にもコンテンツ的にも骨の折れる仕事を経なければならないわけだが、その前に、AR/VR 2.0を正しく導くことが重要だ。

これからエキサイティングな時代になる。次に何が現れるか、とても楽しみだ。

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(翻訳:金井哲夫)

Niantic、シリーズCで2.45億ドル調達、評価額は約40億ドル

昨年12月頃から、Niantic(ポケモンGOや近日公開予定のHarry Potter: Wizards Unite[ハリーポッター:魔法同盟]の開発元)がシリーズCラウンドで巨額の資金を調達中だということは知られていた。その時点で金額は約2億ドルと言われていた。

同社はつい先ほどラウンドの詳細を正式発表し、最終金額が2.45億ドルだったことを明らかにした。

Nianticによると、同ラウンドはIVPのリードで行われ、aXiomatic、Gaming、Battery Ventures、Causeway Media Partners、CRV、およびSamsung Ventresが参加した。同社は企業評価額が〈ほぼ〉40億ドルだったことも認め、最初にこの調達ラウンドのうわさが出たときの数字に言及した。

これはポケモンで圧倒的成功を成し遂げたNianticが、次期計画を構築する中での資金調達だ。同社はこれも大いに郷愁を誘う知的財産に基づくゲーム、Wizards Uniteを近々スタートする一方、同社の誇るARフレームワーク(および興味ある場所の巨大データベース)をサードパーティー・デベロッパー向けにゆっくりと公開していく準備を進めている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

VLCがダウンロード数30億を突破してAirPlayをサポート、いずれネイティブでVRも

VLCは巨大な人気を誇るメディア再生サービスだが、このほどダウンロード数30億というものすごい到達点を記念して、AirPlayのサポートを加えた。

この新しい機能を発表したのは、同社の主席デベロッパーのひとりJean-Baptiste Kempfだ。彼はCESの会場でVariety誌のインタビューにつかまり、それを口にした。ユーザーはAndroidやiOSデバイスからApple TVにコンテンツを送れるようになる、と彼は言った。VLCの次のバージョン、4.0にそれは載り、この夏のChromecastのサポート以来の大型アップデートになる、という。

しかしVLCの10数名の開発チームは、そればっかりやってるわけではない。

Variety誌によると、目下チームは、VRコンテンツをネイティブでサポートすることに挑戦している。ただし独自のSDKを作るのではなく、既存の人気ハードウェアをリバースエンジニアリングして機能を提供し、2Dのコンテンツを映画のような環境で見れるオプションも含める。対応プラットホームを増やす計画もある。VentureBeatによれば、VLCのチームがねらっているのは、PlayStation 4, Nintendo Switch, Rokuなどのデバイスだ。

VLCを管理しているのは、非営利の母胎的団体VideonLANだ。CESので30億のダウンロードを発表したときは、上図のようなライブのチッカーを使った。10億ダウンロードに達したのが、2012年の5月だった。そもそもの始まりは、1996年の、École Centrale Parisにおける学生プロジェクトだった。その後の成長ぶりは、信じられないほどすごい。

[VLCはわれらのヒーローだ!30億になってもアドウェアやユーザー追跡などのがらくたがないのは偉い!]

(本誌セキュリティライターZack Whittaker)

CES 2019 coverage - TechCrunch

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

2019年CES最優秀賞を車載VRのHolorideにあげたい…楽しいデモだったから

大量のデモと発表と超長距離のウォーキングの日々が終わった今、自信を持って申し上げたいのは、今年のCESのベストはHolorideである!ということだ。もちろん、あくまでも個人的な評価だが、今年のCESで見たものの中ではHolorideが最高だ。

今年のCESは、全体的に良かったんじゃないかな。メインテーマはスマートフォンまわりのネットサービスだ。今やものすごく多様なデバイスがAmazonやGoogle、Appleなどのサービスをサポートしている。CES 2019でその次に目立ったのが、新しいチップセットと自動運転プラットホームだ。でもいちばん印象的だったのは、Audiが産んだスタートアップHolorideだ。このドイツの自動車メーカーは、VRを全車に載せてエンターテインメントを提供し、乗り物酔いを防ごうとしている。

Iron Manが助けを求めている、とRocketが言った。そこで、その宇宙の戦闘に加わってThanosの悪者たちをやっつける。そのとき、頭にはOculusを着けていて、体は宇宙空間の中で銃を構え、H難度のアップ&ダウンを体験している。まるでディズニーワールドの遊具の世界だし、たしかにそのコンテンツにはディズニーも協力している。でも、実際にいた場所はラスベガスで、AudiのSUVの後部座席に乗って時速145キロでトラックを走っていたのだ。


トラックを2周したが、H難度のVR体験にもかかわらず、全然酔わなかった。車の外に出ても、ふらつかない。ただし、車の中でスマホを使ったりしないタイプだけど。

Holorideの真価は、VRコンテンツと自動車の動きとの同期にある。車が動くと、同じ方向へコンテンツも動く。そのために、車酔いがなくなるのだ。…と、思う。

AudiはVRを全車に載せるつもりで、この小さなスタートアップを創った。そのファウンダーたちはすでに過去数年間、車載VRの研究開発をやっている。社名はAudi Electronics Ventureで、Audiの子会社だ。その技術のライセンスをAudiがHolorideに提供し、スタートアップはオープンなプラットホームから多くの自動車メーカーやコンテンツデベロッパーにライセンスを提供していく。

VRのデモは、これまでにたくさん体験したけど、今回はとっても良かった。車載、という形にも無理がない。エンターテインメントを提供するだけでなく、酔いを防ぐ。Uberの車や長距離バスが広告入りで採用するのは、時間の問題だろう。飛行機の中でもよいし、小さい子を乗せた長時間ドライブも、これで楽になるだろう。

Holorideは一種の賭だから、コンテンツやそのデリバリー、他との互換性など、問題はまだ山積みだ。離陸するためには、デベロッパーと自動車メーカーと消費者を巻き込んだエコシステムを作る必要がある。すばらしいユーザー体験は、頑張れば作れる。しかしそれを売るのは、また別のスキルだ。

関連記事: 時速145キロの車の中でVRを使っても気持ち悪くならなかった!

関連記事: Audi spins out Holoride to put VR in every car…Audiは全車にVRを載せる気だ…(未訳)

CES 2019 coverage - TechCrunch

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

時速145キロの車の中でVRを使っても気持ち悪くならなかった!

Holorideのシステムは楽しくて、乗り物酔いも防いでくれる

VRヘッドセットを使うと私は気持ち悪くなる。そう感じるのは私だけではない。これは仮想現実コンテンツに対して良く聞かれる苦情だが、今回紹介するスタートアップは、この問題をとても意外なやり方で解決したかもしれない。Holorideは人びとに、乗用車の後部座席でVRを使わせようとしている。

私の胃袋にかけて、その狙いは成功だと報告したい。

昨日私は、Oculus Goを装着して、ラスベガス郊外のレーストラックで、90マイル(145キロ)に達するスピードに振り回されたが、気持ち悪くならなかったのだ。実際、その乗車体験が終了したあと、時速35マイル(56.3キロ)以上の速度が出ていたことに驚いた程だ。Holorideのシステムは、面白くて気を紛らわせてくれるものだった。それはわたしを車のシートから引き離し、アイアンマンやロケット(どちらもマーベルコミックのキャラクター)と共に戦う宇宙へと導いた。

このデモを体験したあと、将来の車内エンターテイメントは仮想現実になるのではないかという思いを抱いたのだ。

それはこのようなものだった。

Audiの新しい電動SUV、e-tronの後部座席に座った私に、会社の代表者が車に接続されたOculus Goヘッドセットを装着してくれた。そして私はリモコンを手渡され、指示に従うようにと言われた。

マーベルのロケットが説明のために登場した。彼は、自分とアイアンマンを助けて、悪のタノスたちを、宇宙を飛行しながら撃ち落として欲しいと言う。

そして私たちは出発した…ゲームの中に、そして路上に。まるでディズニーワールドの乗り物のような心持ちがした。

画面上のコンテンツは、車両の動きと同期していた。Audi のSUVがトラックを走り回るのに合わせて、コンテンツが変化した。

e-tronが走り始めると、ゲームの中の私のロケット船も飛行を開始したし、e-tronがストレート部分を駆け抜けたときには、私のロケットも直進飛行した。その間私は、後部座席で子供のように笑いながら、リモコンを振り回して、タノスの魔の手から宇宙を全力で救おうとしていた。

どういうわけか、私は気分が悪くならなかった。

Holorideの秘密の一部は、VRコンテンツを車両のわずかな動きと一致させることにある。コンテンツは、バンプ(道路の隆起)から急カーブ、そして急な停止に至るまで、全てを補完する。同社が見据えている未来は、乗客が長時間の乗車に耐え、車酔いも起こさないような世界だ。

この技術の可能性には説得力がある。乗客を楽しませることは脇に置いたとしても、今でも車酔いは多くの人びとに影響を与えており、この仕掛はそれを解決してくれるように見えるのだ。もし飛行機または電車または長距離バスに向けてプログラムされたならば、Holorideのシステムは、より快適な乗車を可能にするだろう。

Holoride(MicrosoftのHoloLensとは無関係)は、過去2年間Audi社内でこのテクノロジーを開発していた。Audiはその技術を子会社として分離し、そのシステムを他のメーカーの他の車両に自由に組み込めるようにした。

乗り物酔いを誘発する傾向があるVRの性質は、普及のための最大のハードルの1つである。そしてただそこに立っているだけでも、多くの人たちがそれを経験しているのだ。車両の動きを、宇宙旅行のVRにミックスすることで、内耳があらゆるミックスされた信号を受け取ることになる。Holorideは、その課題を特長へと転化することを目指している。

この初期段階のデモは、Holorideが正しい方向に進んでいることを示しているが、コンテンツとユーザーを獲得するのは簡単ではないと思う。Holorideは、Disney GamesおよびInteractive Experiencesと協力してコンテンツを開発した。

私が体験したデモは感動的なものだった。それは私が欲しいもの全てを備えていた:インタラクティブコンテンツ、人気キャラクター、そして楽しいストーリーライン。しかし、私は程なく退屈し、数回しか遊ぶことはできなかった。多分私の子どもたちならもう少し長く楽しむことはできたと思うが、それでもそれほど長くはないだろう。

Holorideの創業者たちは、TechCrunchに、開発者にプラットフォームを開放するSDKを、年末までにリリースするつもりであると語った。現在のVRコンテンツをそのSDKに簡単に移植できるかどうかは不明だ。

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Holorideは自身を独立系企業だと言っているが、このスタートアップのルーツは完全にAudiである。Audi自身は、この技術を開発した子会社のAudi Electronics Ventureを通して、強くない影響力を持っているだけだ。Audiはこの技術をHolorideにライセンスし、そしてスタートアップ自身はオープンプラットフォームを使って、コンテンツデベロッパーだけでなく、FordからTeslaその他の全ての自動車メーカーが、希望の「○○現実フォーマット」を作り出すことができるようにしたいと思っている。

Audiのデジタルビジネスの責任者であったNils Wollnyは、AudiのVRエクスペリエンスのプロジェクトリーダーであるMarcus Kuhneならびに、同社のソフトウェアエンジニアであるDaniel Profendinerと共同で、Holorideを設立した。WollnyはHolorideの新しいCEOである。

彼ら共同創業者たちは、2014年にVRに取り組み始めた。しかしプロジェクトが真の意味で開始したのは、Disney GamesならびにInteractive Experiencesと提携をした2年前からである。

システムは車種毎に異なる設定をする必要がある。それは開発プロセスの一部なのだ。現段階では、Holorideの開発サイクルの中で、HolorideエクスペリエンスはAudiのe-tronのためにプログラムされていて、例えばChevy Tahoeでは機能しない。ある車種から別の車種へと気軽にヘッドセットを移すことはできないのだ。

Holorideに関しては、多くの疑問が残っている。プロジェクトにAudiの名前は冠されているものの、Holorideは独立した会社である。創業者たちはTechCrunchに対して、次の投資ラウンドを探す必要が出てくるまでには、まだ十分な余裕があると語った。

個人的には、過去このシステムほど感動したテクノロジーデモはわずかである。しかし、魅力的なデモを開発することと、成功するコンテンツ会社を生み出すことは異なる仕事だ。個人的な期待としては、私は大陸間飛行の最中に、乗り物酔いや他者からの干渉を排除できるようなヘッドセットを、装着することができるようになれば良いなと思っている。

[原文へ]
(翻訳:sako)

メルカリが「ARスマートグラス」を用いた実証実験を開始

eng-logo-2015メルカリは2018年12月20日、ARスマートグラス「Vuzix Blade」を用いた実証実験を開始しました。

この実験は、同社が提供するフリマアプリ「メルカリ」において、スマートグラスに最適化したUIやUXの検証を目的としており、AR/VR/MRやAI技術を活用して研究開発を実施する同社の「mercari R4D」によるものです。

仕組みとしては、スマートグラスのカメラ画像から、商品情報を取得し、人差し指で指すジェスチャー操作でメルカリに出品されている類似商品を検索、販売価格を表示できます。また、親指を立てることで「お気に入り」へ登録する機能も備えています。

将来的には、スマートグラスを通し、メルカリでの商品の購入や出品を、ハンドジェスチャーのみで可能にすることを目指しています。

同社は、2019年1月8日(火)から米国ネバダ州ラスベガスで開催される「CES 2019」のVuzixブースにて、特許技術を活用したプロトタイプを公開します。

Engadget 日本版からの転載。

Marc Andreessenが語る:音声は「とてつもなく重要」でVRはARよりも1000倍大きくなる

ベンチャーファームの創業者であるMarc AndreessenとBen Horowitzによる、最新のa16zポッドキャストでは、Andreessenのお勧めテレビ番組から、Horowitzの素晴らしいバーベキューのコツといった、たくさんの楽しい話題が提供されている(まあ、ご想像のとおり、そんな「時期」だからだ)。

だが、読者の方々にとってより有用なのは、Andreessenのテクノロジーに関する予想だろう。特にウェアラブルについてはより詳細な予想を語っていて、そこには仮想現実(VR)が拡張現実(AR)よりも「1000倍」大きなものになるだろうというものも含まれている。これは同社がMagic LeapとそのARゴーグルに対して投資している事を考えると、興味深い発言だ。

ポッドキャスト全体はここで聴くことが可能である。本稿では、興味深い部分を以下に要約した:

音声について:

「現在、本当に重要なのは音声です。音声は一般的に重要性を増していて、特にAppleにとってのAirPodsはホームラン級の大当たりです。これはその小ささ故に、どれほど重要なものかがあまり認識されていないプロダクトなのです。ですが、基本的に必要ならばいつでも利用者の耳に届く音声だという意味で、私はこれがとてつもなく重要なものだと思っているのです。

例えば、新しい有名YouTuberたちが生まれていますが、皆の疑問は一体どうすればそうしたYouTubeビデオを観たり無数のYouTuberたちの番組を聴く時間を見つけることができるのかということです。そしてその答えは:仕事中に聴いているのです。人びとはこのbluetoothデバイスを耳に差し込み、帽子を被り、フォークリフトの上で10時間働き、Joe Rogan(有名なポッドキャスト提供者)の番組を10時間聴くのです。これは大したことです。

もちろん、ユーザインタフェースとしての音声は急速に増加しています。なので、音声はとてつもなく重要になると思っています」。

センサーについて:

「私がウェアラブルとして推薦する2番目のものは、身体上に装着するセンサーのコンセプトです。ここでは、Apple Watchがその心拍センサーを使ってやっていることで、先行しています。しかし、今後5年から10年の間に、私たちは自分たちの選択によって、自分の身体を完全に医療用センサーで補完するようになると思います。例えば心臓発作や脳卒中などが起こる前に、それらを予測できるようになると思っています。キラーアプリはこんな具合かな(笑い)『ピー。4時間以内に心臓発作が起こります。おそらく車を病院に向けるべきでしょう』とか。

病院における(心臓発作の患者の)生存率は、99%です。これに対して、自宅に居た場合の生存率は50%です。人びとが持つことになるセンサープラットフォームによって、生活の質が大幅に向上するチャンスがあるのです」。

ARとVRの将来について:

「光学は発展していると思います。それは長い道のりとなるでしょうけれど、ARとVRは上手くいくと思います。そして現在私たちが、そして小さなガラス板を通して世界を眺める必要性を取り除いてくれる、ヘッドアップディスプレイが手に入るようになるでしょう。全世界が私たちの周囲に開かれようとしているのです。

ARには、職場にも家庭にも沢山の潜在的なアプリケーションがあると思っています。ですが、私はVRの方が1000倍ほども大きくなると思っています。これは現在のシリコンバレーの一般的な見方には逆らうものですね。皆が耳にする一般的なテーマは、ARはVRよりも大きくなるだろうということです、そして明らかにそれはそうあるべきです。現実の世界に物体をオーバーレイすることができれば、それは仮想世界を1つ構築しなければならないことよりも本質的におもしろいはずですから。

ただ私は、それが当てはまるのは、本当に面白い実世界に住んでいる人たちだけだと思っているのです。さあ今日も沢山面白いことが待ってるぞと思える場所で、毎朝目を覚ますことができる人は、この地球上に1%いや0.1%もいるのかどうか。なので、すでに大学のキャンパスやシリコンバレーや、ある種の大都市に住んでいるような人たち以外に対しては、VRの中に私たちが生成することができる新しい環境の方が、本質的に遥かに面白いものになるでしょう。そしてそうしたものは沢山あるのです」。

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(翻訳:sako)

ポケモンGO開発のNiantic、1.9億ドルの調達ラウンドを完了

モバイルARゲームのスタートアップNianticが1.9億ドルの調達ラウンドを完了したことが、新に提出されたSEC書類 でわかった

申請がなされたのは、先月WSJの記事で、同社が2億ドルの資金をIVP、aXiomatic Gaming、およびSamsunから企業価値39億ドルで調達することが示唆された後のことだ。提出書類によると、同ラウンドは12月20日の報道後まもなく完了した。

このラウンドの完了によって、Nianticは総額4.15億ドル以上を調達したことになる。同社の出資者にはほかにFounders Fund、Spark Capital、およびAlsop Louie Partnersyらがいる。書類にはこの調達ラウンドに26組の投資家が参加したことが記されている。

新たな資金を得たポケモンGOクリエイターは、次の主要タイトルHarry Potter: Wizards Uniteの準備に取り掛かっている。この拡張現実ゲームの公開日は未定だが、今年中には公開されると見られている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook