アマゾンのアラバマとNYスタテンアイランド物流拠点の組合票の集計が来週から始まる

Amazon(アマゾン)のアラバマ州ベッセマーにあるフルフィルメントセンター(FC)での労働組合結成への道のりは、予想通り険しいものであった。苦闘の末、2021年4月、小売業界の巨人は勝利を収めた。労働者たちはBernie Sanders(バーニー・サンダース)上院議員から共和党所属のMarco Rubio(マルコ・ルビオ)上院議員までさまざまな政治家の支持を得ていたが、結果は一方的な勝利であり、組合代表者は直ちに異議を唱えた。

Amazonが「悪質であからさまな違法行為」によって従業員を「心理的操作」してきたという告発を受けて、全米労働関係委員会(NLRB)が再投票を行うことに同意したため、小売・卸売・百貨店労組(RWDSU)は年末に何とかカムバックを果たした。1月、NLRBは無記名投票の開始を2月4日と発表した。米国時間3月28日(月)に、これまで歴史的な取り組みとなってきた投票の集計が始まる。

Amazonのニューヨーク州スタテンアイランド倉庫も、比べるとかなり短い投票期間ではあるが、同様の取り組みに直面している。米国時間3月25日から始まる投票は3月31日まで行われ、その時点で集計が開始される予定だ。アラバマ州の郵便投票とは異なり、こちらは対面式で行われる。先の(ベッセマーでの)投票では、その方式が緊張の種となっていた。

この労働運動の推進は、すでにいくつかの論議を呼んでいる。元JFK8職員で組合支持者となったChristian Smalls(クリスチャン・スモールズ)氏は、2月下旬に他の2人とともに不法侵入の容疑で逮捕された。スモールズ氏は、同氏を含む3人はAmazonの従業員に食料を届けるために現場にいたのだと反論している。「これは単にAmazonが状況を作り出しているだけだ」と彼は報道陣に語った。会社側は独自の声明で反論し、同氏は「何度も警告を受けたにもかかわらず、不法侵入を繰り返した」とメディアに伝えた。

Amazonは以前から組合を弾圧する戦術で非難されており、労働者の扱いが長年にわたって厳しい批判にさらされてきた同社にとって、組合の推進が成功すれば、それが試金石となることを懸念しているのだろう。労働組合の結成が成功すれば、より多くの倉庫で働く労働者たちが勇気づけられることは間違いない。パンデミック中の状況も、多くの労働者にとっての動機づけの要因となっている。

Amazonの広報担当者であるKelly Nantel(ケリー・ナンテル)氏は、TechCrunchの取材に対し「従業員の声を反映していけることを楽しみにしています」と述べている。「Amazonがすばらしい職場であることを継続するために、チームと直接協力することに引き続き注力してまいります」。

注目すべきは、同社が労働者組織化に対する関心の高まりに直面しているいくつかの米国大手ブランドの1つであることだ。3月初めには、マンハッタンにあるREIの店舗で働く従業員が、組合結成に投票した。また、ニューヨーク州バッファローの店舗を皮切りに、全米のStarbucks(スターバックス)で一種のドミノ効果が展開されつつある。ニューヨーク州バッファローの店舗から始まり、アリゾナ州メサの店舗、そして今週初めには、同コーヒーチェーンの本拠地であるシアトルの店舗がこれに続いた。

画像クレジット:PATRICK T. FALLON/AFP / Getty Images

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Den Nakano)

グーグルが支援する印Glance、NFTを推進するためにゲームプラットフォームGambitを買収

Google(グーグル)の投資を受けているGlance(グランス)が、モバイルゲーム製品の強化と同社のZ世代ユーザー層にNFTを提供開始することを目指し、インドのGambit(ギャンビット)を買収したことがTechCrunchによって確認された。

広告大手InMobi(インモビ)グループの共同創業者であり、GlanceのCOOであるPiyush Shah(ピユシュ・シャー)氏はこの買収を確認したが、取引の財務条件については言及を避けた。同氏はTechCrunchのインタビューで、この買収により、Jio Platformsも出資している同社はライブゲームショーやNFTベースのインセンティブをユーザーに提供し、ゲーム体験を豊かにすることができると述べている。

携帯電話メーカーと提携し、メディア、エンターテインメント、ニュースのコンテンツを携帯電話のロック画面に表示するGlanceは、最近、ゲームに注力している。4億台以上の端末で利用されているこのスタートアップは、2021年、同社のプラットフォームでカジュアルゲームを試験的に導入し、すぐにユーザーの間で受け入れられた。

近年、より若い企業であるRoposo(ロポソ)やShop101を買収したGlanceは、小規模な企業を買収し、Glanceのプラットフォームを広げながら提供するサービスを大幅にスケールアップすることで知られている。

「毎月約1000万人の人々が、Glanceでゲームのライブ配信を視聴しています。そこで我々が考えたのは、このプラットフォームでライブゲームショーも行うにはどうしたらいいか、ということでした」とシャー氏はいう。

NFTは、ユーザーにとって無数のメリットをもたらすと彼はいう。「デジタル仮想資産を所有することで、ユーザーがゲーム内で強いキャラクターを構築できるといった実用的な利点があると同時に、これらのNFTはNFTマーケットプレイスや取引所で出品・取引され、ユーザーの収益や所有に貢献することができます」と同氏は述べている。

シャー氏は、GlanceのWeb3の推進はまだ初期段階であることを指摘し、スタートアップがNFTを立ち上げるためにどのブロックチェーンを使用しているか、また提携を予定している組織について明らかにすることを避けた。しかし、Glanceは9カ月以上にわたってこの分野を評価してきたという。

同スタートアップは、ゲーマーやインフルエンサー、他のゲーム会社と提携する予定だという。同社プラットフォーム上のNFTは、ゲームのマイクロモーメントと高次元仮想アバターをキャプチャする、と彼は付け加えた。

「これによりクリエイター、ストリーマー、デベロッパーは、アセットやNFTベースのゲーム制作を通じて収益化を図るとともに、ゲーマーに好まれるユニークな体験を提供できる可能性があります」と、このスタートアップは述べている(Glanceは、インドの現地規制を理由に、Nostragamusを運営する設立6年のGambitが提供するファンタジースポーツの導入は回避する)。

Gambitの共同創業者であるYashashvi Takallapalli(ヤシャシヴィ・タカラパッリ)CEOは、声明で「GlanceとGambitの強みを組み合わせ、すべての人に合ったゲームが存在するという信念のもと、今後1年間でGlance Gamesの月間アクティブゲーマー数を2倍にすることを想定しています」と述べている。

Glanceは約17億ドル(約2076億円)の評価を受けており、Web3に進出するインドの最新の大手企業となる。

ファンタジースポーツ大手のDream11は、NFTスタートアップRarioの30〜40%の株式を約1億ドル(約122億円)で取得する方向で交渉中だと、この件に詳しい関係筋は述べている(インドの新聞Economic Timesは、先にこの取引の詳細を一部報じた)。Sequoia Capital Indiaが支援するNFTスタートアップFanCrazeは、ICCとの独占提携を維持しており、今週初めには資金調達ラウンドで1億ドル(約122億円)を調達したと発表している。

インドのゲーム開発会社SuperGamingは2月、暗号資産取引所WazirXの共同創業者であるSiddharth Menon(シッダールト・メノン)氏と提携し、TegroというWeb3ゲームマーケットを立ち上げた。

画像クレジット:

[原文へ]

(文:Manish Singh、翻訳:Den Nakano)

Spotify、言論弾圧を受けロシアでのサービスを停止へ

Spotify(スポティファイ)は、ロシアで新たに導入された言論の自由に対する劇的な規制を受け、ロシアでの同ストリーミングサービスへのアクセスを停止する予定だ。

3月上旬、ロシア議会は、ウクライナにおけるロシアの軍事作戦について同政府が「虚偽の情報」と見なすものを共有することを犯罪とする新法を制定した。この新しい規制は「戦争」という言葉を使ってウクライナでの戦争を表現することなどを含め、軍を貶めるような言論も罰するものだ。

CNN、ABC、BBCなどの西側報道機関は、最大15年の禁固刑を科すことができるこの法律を受けて、ロシア国内での放送や事業を取りやめた。Spotifyは主に音楽ストリーミングプラットフォームだが、政治や時事問題を取り入れたポッドキャストへの投資をこのところ増やしており、その方向性はすでに多くの論争を巻き起こしている。

Spotifyの広報担当者はTechCrunchにこう述べている。「Spotifyは、ロシアで信頼できる独立系ニュースや情報を提供するために、ロシアでのサービス運用を維持することが極めて重要だと考え続けてきました。残念ながら、最近制定された、情報へのアクセスをさらに制限し、表現の自由を排除し、特定のニュースを犯罪化する法律は、Spotify従業員の安全と、さらにリスナーをも危険にさらす可能性があります」。

Spotifyはさまざまな道を検討した結果、ロシアでのサービスを「完全に停止」することを選択した。このプロセスは、同社が移転に関連するロジスティクスを確保した後、4月上旬までに完了する予定だ。Spotifyは以前、ロシアでのプレミアムサブスクリプションを停止したが、無料版アプリは引き続き利用可能だった。

世界の大部分が恐怖の目で見ている中、クレムリンは情報の流れに対する支配を強め続け、先月からの行動を、一般市民の命を奪う血なまぐさい選択による戦争ではなく、人民解放運動であると偽って伝えている。このような動きとそれにともなう法的取り締まりは、ロシア政府と対立する、侵略であるという観点を共有する国内の人々にとって深刻なリスクとなる。

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Den Nakano)

レンタカーを顧客の元まで届けるKyteが保有車両を1万台まで増やすことを計画中

レンタカーを顧客の元まで届けるビジネスを起こしたスタートアップ企業のKyte(カイト)は、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)とAres Global Management(アレス・グローバル・マネジメント)から2億ドル(約244億円)の資産担保金融を調達した。この資金は事業拡大に向けて新たな車両の購入費に充てられる。

Kyteは現在、米国内の13の市場で事業を行っており、今週にはオレゴン州ポートランドで営業開始を予定している。同社は今後1年間で保有車両を約1万台まで増やす計画だという。現在のところ、Kyteの保有車両に、電気自動車や先進運転支援システム(ADAS)を搭載した車両が(もしあったとしても)占める割合はそれほど高くないものの、同社は将来的に、顧客にこのような車両を優先的に提供したいと考えている。

「私たちにとって核となる原動力は、常にユーザーエクスペリエンスです」と、Kyteの共同創業者であるLudwig Schoenack(ラディック・シェーナック)氏は、TechCrunchにメールで語った。「ADAS機能そして最終的には完全な自動運転は、私たちが道路を移動する方法に大規模な変化をもたらすでしょう。【略】そして、センサーや認識技術を搭載したクルマは、たまにしか乗らない人にとって自分で所有するには高価になり過ぎるため、郊外へ出掛ける移動手段としては、Kyteが一番の選択肢となるでしょう。そういうクルマは、自分で所有する代わりにレンタカー会社が導入するようになると、私たちは確信しています。それが、Kyteが目指している未来です」。

2021年10月、Kyteは3000万ドル(約36億5000万円)のシリーズA資金を調達した際に、同社の長期的な目標は、遠隔操作や自動運転システムでクルマを配送できるプラットフォームを構築することだと述べていた。だが、それにはまず、今のビジネスモデルを拡大する必要があるだろう。同社は現在、ユーザーにクルマを届け、使用後に引き取る作業を「Kyte Surfers(カイト・サーファーズ)」と呼ばれる提携ドライバーに頼っており、その間の移動にはしばしばマイクロモビリティを使っている。クールな新技術に手を出す前に、ユニットエコノミクスを高め、ユースケースを証明する必要がある。

Kyteは以前、2022年に遠隔操作によってレンタカー車両を配送するテストを開始するとTechCrunchに語っていたが、このオンデマンドレンタカーのスタートアップ企業が、まだ統合する遠隔操作システムのプロバイダーを決めていないため、この目標は遠退いたようだ。

シェーナック氏によると、Kyteは複数のプロバイダーと「話し合い中」とのことだが、現在のところ、いずれの会社も公道で大量展開が可能なソリューションを持っていないとのこと。

同社には、テスト運用を行うために、なぜ「大量展開が可能なソリューション」が必要なのかと尋ねたのだが、現時点で説明は得られなかった。

また、近い将来、どのメーカーからクルマを調達したいのかという質問や、新たに導入する車両に自動運転機能を搭載したものや電気自動車があるのかという質問に対しても、同社は明確に答えなかった。

同社のウェブサイトを見ると、Nissan Versa(日産ヴァーサ)、Toyota Corolla(トヨタ・カローラ)、Hyundai Tuscons(ヒョンデ・ツーソン)が、各市場に導入されていることがわかる。料金は借りる曜日や時間によって異なる。例えば、日産ヴァーサは平日の1日レンタルで保険、配送、税金別で62ドル(約7600円)だが、週末に借りると72ドル(約8800円)に跳ね上がる。期待通り、長期間借りれば1日あたりの料金は下がる。

画像クレジット:Kyte

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

EUと米国、無効にされたプライバシーシールドに代わるデータ移転協定に基本合意

欧州連合(EU)は、大西洋を横断するデータの移転に関する協定の復活について、米国と基本合意に達したと発表した。2020年7月にEU・米国間の「プライバシーシールド」を無効とする画期的な判決が出た後、クラウドサービスを悩ませた何カ月にも及ぶ法的不確実性に終止符を打つ可能性を示している。

欧州委員会のUrsula von der Leyen(ウルズラ・フォン・デア・ライエン)委員長は現地時間3月25日、Joe Biden(ジョー・バイデン)米国大統領との共同記者会見で「我々は大西洋を越えるデータの移転に関する新たな枠組みについて、基本的合意を見出した」と述べた。

「これにより、プライバシーと市民の自由を守りながら、EUと米国の間で予見可能で信頼できるデータの移転が可能になる」と述べた。

EU・米国間のデータ移転に漂う法的不確実性はここ数カ月で、欧州のデータ保護機関がGoogle Analytics、Google Fonts、Stripeなどの製品を経由する個人データの移転を阻止する命令を出す事態を引き起こした。

Facebookの主要EU規制当局も、複数年にわたって同社のEU・米国間のデータの移転に苦情を言い、そして同社が2020年秋の予備的停止命令に対する法的措置に疲れ果てた後、先月ようやく改訂された決定草案をMeta(メタ)に送付した。

SNSの巨人は、まだ実際にEUと米国のデータ移転を停止するよう命じられてはいない。そして、プライバシーシールドの原則合意時と同様に、米国との政治的合意が成立した現在、データ移転の執行を停止することにEUの規制当局が同意すれば、EUと米国の新しいデータ移転協定が最終合意して採用されるまで、何カ月間でも執行停止の猶予期間を設けることができ、この弾丸は完全にかわすことができる。

これは、先の執行を遅らせようとしたMetaが望んでいたことであることは間違いないだろう。

EUと米国が原則的に合意した内容の詳細や、まったく異なる方向性を持つ2つの法体系の間の溝を両者がどのように埋めたのかについては明らかではない。そして、この協定の持続可能性はまさにその細部に左右されるため、今日の発表から政治的ジェスチャー以上のものを得ることはほとんどない。

EUと米国のデータ移転をめぐる不確実性は、実際は2020年よりも前にさかのぼる。「セーフハーバー」と呼ばれる、より長い歴史を持つ先の協定は、EUのプライバシー権と米国の監視法の間の同じ核心的な衝突をめぐって、2015年に欧州の最高裁判所によって無効とされた。

このような動きは、EU市民のデータが米国に流れる際にその権利が適切に保護されることを保証する上で、代替となる協定がどれだけ強固なものであるかを試す新たな法的課題という困難な見通しに直面することを意味する。

「安全保障とプライバシーやデータ保護の権利のバランスを取ることができた」と、フォン・デア・ライエン委員長はさまざまな件についての記者会見の中で短い言葉で示唆した。また、同委員長は今回の合意について「バランスがとれており、効果的だ」という表現を用いたが、実際に何が決まったのか具体的な内容は示さなかった。

欧州委員会は、プライバシーシールド(およびセーフハーバー)に関して、裁判所がまったく異なる見解を示すまでは非常に似たようなことを言っていた。なので、完全かつ最終的な評価は、EUの委員や米国の関係者が行うことではなく、またできないことを理解することが重要だ。

欧州司法裁判所だけが介入できる。

プライバシーを専門とする弁護士で、大西洋を横断するデータ移転取引(通称シュレムスIとシュレムスII)を無効にしたことでその名を知られるようになった運動家のMax Schrems(マックス・シュレムス)氏は、すぐに懐疑的な意見を述べた。

フォン・デア・ライエン委員長の発表を受けて、シュレムス氏は次のようにツイートした。「特にある点で、またプライバシー・シールドが行われるようです。法律や基本的権利よりも政治が優先されています」。

「これは過去に2回失敗しています。私たちが聞いたのは、別の『パッチワーク』アプローチで、米国側には実質的な改革はありません。詳細を待つことにしましょう。しかし私は、それが再び失敗する方に賭けます」。

シュレムス氏は、プライバシーシールドを豚の口紅と呼んだことで有名であるが、それは正しい。したがって、内容に対する同氏の評価は、それが明らかになったとき、間違いなく欧州委員会の評価よりも重みを持つことになる。

シュレムス氏はまた、自身のプライバシー擁護のための非営利団体noybを通じて、EU法の要件を満たさない新しい協定は、民事訴訟と仮処分によって「数カ月のうちに」欧州司法裁判所に差し戻すことができるだろうとも述べている。

「最終文書が届いたら、米国の法律専門家とともに徹底的に分析します。もし、EUの法律に沿っていないのであれば、私たちか他のグループが異議を唱えることになるでしょう。最終的には、司法裁判所が3度目の判断を下すことになります。最終決定から数カ月以内に裁判所に戻されるものと思われます」と声明で指摘し「EUと米国がこの状況を利用して、同じ考えを持つ民主主義国家間で基本保証をともなう『スパイ禁止』の合意に至らなかったことは残念です。顧客や企業は、さらに何年も法的不確実性に直面することになります」と述べた。

データ移転協定がまたもや復活したというニュースに対するテック業界の反応は、予想通り好意的なものだった。

Metaとともに実行可能な妥協点を見出すよう、ここ数カ月間強く求めてきたGoogle(グーグル)はこの発表をすぐに歓迎した。

同社の広報担当者は、声明の中で次のように語っている。

「人々は、世界のどこからでもデジタルサービスを利用できることを望み、国境を越えて通信する際に自分の情報が安全に保護されていることを知りたいと願っています。新しい枠組みに合意し、大西洋を越えたデータ移転を保護するためのEUと米国の作業を賞賛します」

プライバシーシールドの代替案を強く求めて活動してきたCCIAテック産業協会も、今日の発表を「良いニュースだ」と歓迎した。しかし、CCIAのディレクターAlexandre Roure(アレクサンダー・ルル)氏は、今後導入される産業用機器や接続機器のデータ再利用に関するEUの規則について、新たな「データ制限」を導入することになるとして、わずかに不快感を示すコメントを発表した。

画像クレジット:Suebsiri / Getty Images

原文へ

(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

元TikTokコンテンツモデレーター2人が「精神的トラウマ」で提訴

TikTokのコンテンツレビュワー2人が、TikTokから不快な動画を削除するというひどい心痛をともなう作業に従事する中で、適切なサポートが受けられなかったとして同社を提訴した。NPRが最初に報じたこの訴訟は、米3月24日に連邦裁判所に起こされた

原告のAshley Velez(アシュリー・ヴェレス)氏とReece Young(リース・ヤング)氏は、それぞれカナダのハイテク企業Telus International(テルス・インターナショナル)とニューヨークのAtrium(アトリウム)という第三者企業を通じてTikTokのモデレーション作業を請け負っていた。ヴェレス氏とヤング氏は集団訴訟を模索しており、企業の慣行によって悪影響を受けたと主張する他のTikTokコンテンツモデレーターも訴訟に参加できるようになりそうだ。

訴訟では、ヴェレス氏とヤング氏が日常的に従事させられている「異常に危険な活動」の精神的リスクにもかかわらず、TikTokとByteDanceが適切なメンタルヘルスサポートを提供せず、カリフォルニア労働法に違反したと主張している。また、同社はモデレーターに対して、ノルマを達成するために大量の過激なコンテンツをレビューするよう強制し、さらにモデレーターが見たものについて法的な議論ができないよう秘密保持契約(NDA)にサインさせることによって、その害を増幅させたと主張している。

「被告は、アプリにアップロードされたフィルタリングされていない不快で攻撃的なコンテンツと、毎日アプリを利用する何億人もの人々との間のゲートキーパーである何千人もの請負業者に安全な職場を提供しなかった」と訴状にはある。TikTokとByteDanceは、このようなトラウマ的なコンテンツに長期間さらされることによる心理的リスクを知っていたにもかかわらず、労働者が過激なコンテンツに対処するための「適切な改善措置」を事後的に提供する努力をしなかった、と主張している。

訴状では、両原告が勤務日にどのように「児童の性的虐待、レイプ、拷問、残忍な行為、斬首、自殺、殺人」を含む過激で不快なコンテンツのレビューに12時間費やしたかを説明している。また、ヴェレス氏とヤング氏は、生々しいコンテンツ以外にも、ヘイトスピーチや陰謀論に繰り返しさらされ、それが精神衛生に悪影響を及ぼしたと訴えている。TikTokのコンテンツモデレーターであるCandie Frazier(キャンディ・フレイジャー)氏も12月に同様の訴訟を起こしたが、NPRの報道によるとこの訴訟はもはや前進していないようだ。

新しいTikTokの訴訟は、同じ弁護団が2018年にFacebook(フェイスブック)に対して起こした集団訴訟に続くものだ。同社は2年後、日常的にコンテンツの選別を任された結果、メンタルヘルスに悩む1万1000人以上のモデレーターに5200万ドル(約63億円)を支払うことで合意し、和解した。

画像クレジット:TOLGA AKMEN / Contributor / Getty Images

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

カーネギーメロン大学発先進「触覚センシング技術」の社会実装を推進するFingerVisionが1億円のシード調達

カーネギーメロン大学発「触覚センシング技術」の社会実装を推進するFingerVisionが1億円のシード調達

FingerVisionは3月23日、シードラウンドとして、第三者割当増資による総額1億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、慶應イノベーション・イニシアティブ(KII2号投資事業有限責任組合)。大学発の「視触覚」技術の実用化を通じロボット・機械の適用範囲を広げ、様々な社会課題を解決することを目指しており、調達した資金により経営・開発体制を強化し、触覚センシングデバイスやロボットハンド、業界向けソリューションを実用化するという。

今後、様々な分野においてロボット化・AI化の流れがさらに加速すると予想されるものの、「触覚」の⽋如が実世界におけるロボット・機械の適⽤範囲を限定されているという。そこでFingerVisionは、同社の触覚技術でロボットの⾏動⽣成能⼒を向上させることで、⼈⼿をかけて対応せざるを得なかったタスク(特に過酷・劣悪な労働環境、危険な作業など)をロボットが担えるようにする。

同社は、ロボットの活⽤範囲を広げることについて、社会システムにおける人の役割・ロボットの役割を再定義することにつながると指摘。より良い社会のあり方を実現するための具体的な解決策の1つとして、革新的かつ実用性の高い触覚技術・ロボット技術を提示し続けるとしている。

FingerVisionは、コア技術のコンセプトとして「画像(カメラ)をベースに触覚を再現する」を採用。ロボットハンドなどの指先に搭載することで、触覚(力や滑りの分布など)を知覚できるようになり、あたかも人が「手のひら」の感覚を使って物体を扱うような制御をロボットで実現できるという。

この技術は、カーネギーメロン大学において、同社取締役の⼭⼝明彦氏がロボットAIやAIベースドロボットマニピュレーションの研究を進める中で、食品など従来のロボットが扱うことが難しかった対象物を操作する研究の過程で、Christopher Atkeson教授とともに生み出したものがベースという。基礎的なアルゴリズムなどを研究をしつつ、実用性も強く意識し研究を進めた経緯から、高機能(高分解能・マルチモダリティ)でありながら、経済性に優れる実用性の高さを特徴とするそうだ。

「触覚」センサーとはいいつつも把持対象物を見る(視覚)モダリティも備えた、まったく新しいコンセプトの「視触覚センサー」であり、ロボットと組み合わせたプロセス自動化だけでなく、無限の応用可能性を持つとしている。
カーネギーメロン大学発先進「触覚センシング技術」の社会実装を推進するFingerVisionが1億円のシード調達

自動実験ロボとデータ科学により人の100倍以上の速度でリチウム空気電池の電解液の調合・電池性能評価を実施、充放電サイクル寿命が2倍に

自動実験ロボとデータサイエンスにより人の100倍以上の速度で蓄電池の電解液の調合・電池性能評価を実施、充放電サイクル寿命が2倍に

各種探索手法を用いた際の、発見した電解液性能の経時変化。ランダム探索(黒線)に比べて、局所最適値法(赤線)やベイズ最適化(青線)を用いた場合の方が、より効率的に高性能電解液を発見できる

物質・材料研究機構(NIMS。松田翔一氏、Guillaume Lambard氏、袖山慶太郎氏)は3月23日、リチウム空気電池の電解液材料の材料探索において、独自の電気化学自動実験ロボットと、ベイズ最適化に代表されるデータサイエンス的手法を組み合わせた新しい手法を確立し、充放電サイクル寿命を2倍に向上させる電解液材料の開発に成功したと発表した。次世代蓄電池の開発を加速する、有力な手法になることが期待される。

車載用やスマートグリッド用など、蓄電池の需要が高まっていが、現在多く使われているリチウムイオン電池の性能は限界に達している。そこで革新的な蓄電池のいち早い実現が求められているが、その候補となっているのがエネルギー密度がリチウムイオン電池の2倍から5倍というリチウム空気電池だ。しかし、リチウム空気電池は充放電サイクル寿命が短いことがネックとなり、実用化が進んでいない。そこを改善するには、正極と負極での反応効率が高い電解液材料を開発する必要がある。それには、膨大な数の化合物の候補の選定や組み合わせを行わなければならず、研究者の勘と経験を頼り試行錯誤されているのが現状だ。

電気化学自動実験ロボットの(a)注液部、(b)全体像、(c)電極部

研究チームは、独自に開発した電気化学自動実験ロボットとデータサイエンス的手法を組み合わせて、この問題に取り組んだ。このロボットは、電解液の調合と電池性能評価を人の100倍の速度で行える。そこでアミド系電解液に的を絞り、その弱点である負極の反応効率の低さを解消する電解液の添加剤を探すことにした。添加剤の候補の組み合わせは1000万通り以上あり、そこからランダムに選び出した4320種類のサンプルの負極反応効率を評価した。その結果、86.1%まで反応効率を高める添加剤の組み合わせを発見できた。これに対して、局所最適値法とベイズ最適化といったデータサイエンス的手法を採り入れて探索を効率化すると、最大で92.8%まで反応効率を高める組み合わせが見つかった。この添加剤を導入した電解液を使用すると、リチウム空気電池の充放電サイクル寿命は約2倍に増大した。

この研究は、「試行錯誤的に行われてきた電解液材料の開発に対して、大きなインパクトを与えるもの」だという。またこの手法は、ナトリウムイオン電池やマグネシウム電池などの蓄電池用電解液の材料開発への適用も期待されるとのことだ。

酵素ベースの独自技術でプラスチック汚染の終結を目指す豪Samsara Eco

世界中で使用されるプラスチックの量は、2040年までに倍増すると予想されている。そのほとんどが廃棄される際には埋立地に送られ、リサイクルされるのはわずか13%に過ぎない。CIEL(国際環境法センター)によると、プラスチックの生産と焼却は、2050年まで毎年2.8ギガトンの二酸化炭素を発生させる可能性があるという。

世界的なプラスチック汚染をなくすために、オーストラリアの環境技術スタートアップ企業であるSamsara Eco(サムサラ・エコ)は、プラスチック(ポリマー)を分解して、その分子構成要素(モノマー)に分解する酵素ベースの技術を開発した。この技術を活用すれば、再び(何度も)新品のプラスチックに作り直したり、より価値のある商品にアップサイクルすることが可能になるとSamsara Ecoの創業者でCEOのPaul Riley(ポール・ライリー)氏は語る。

Samsaraの技術によって、プラスチックはもはや化石燃料や植物(どちらも環境に大きな影響を与える)から作られる必要はなくなり、埋立地や海に行き着くこともなくなると、ライリー氏はいう。

「この研究の動機となったのは、環境、特に炭素排出とプラスチック廃棄物に関する懸念と、我々の酵素工学に対する愛着です。これを製造技術に適用することで、地球規模の問題を解決し、システムを変え、真の循環経済を生み出すことができます」と、ライリー氏はインタビューで語っている。

今回、600万ドル(約7億3000万円)の資金を調達したSamsaraは、2022年末に最初のリサイクル工場を建設し、2023年に本格的な生産を開始する予定だ。

同社の投資家には、Clean Energy Finance Corporation(クリーン・エナジー・ファイナンス・コーポレーション)や、シドニーに拠点を置くスーパーマーケット大手Woolworths(ウールワース)のベンチャーキャピタルファンドで以前から出資していたW23、そしてMain Sequence(メイン・シーケンス)が含まれる。

「このプロセスでプラスチック1トンをリサイクルするごとに、推定3トンの二酸化炭素排出量が削減されることになります」と、ライリー氏は語っている。

酵素を使ってプラスチックを分解する企業は他にも世界中にあるが、Samsaraは異なるプロセスと酵素を使っていると主張する。ライリー氏の説明によると、他のほとんどの酵素プロセスは12時間以上かかるのに対し、同社は1時間でプラスチックの完全な解重合を行うことができるという。

「現在のリサイクルの方法は、単純に非効率的で、私たちが現在直面しているプラスチック汚染の危機に対応するには不十分です」と、ライリー氏は声明で述べている。「新しいプラスチックを作るために化石燃料を採掘したり、実際にリサイクルされるのは9%だけという現在のリサイクル方法に頼るのではなく、私たちはすでに存在するプラスチックを、無限にリサイクルすることができるのです」。

他の代替リサイクルソリューションとは異なり、Samsaraのプロセスは室温で行われ、真にカーボンニュートラルで、持続可能な方法で運用されていると、ライリー氏は同社の声明で述べている。

ライリー氏がTechCrunchに語ったところによると、Samsaraはさらなる資金調達も視野に入れており、年間2万トンの廃棄プラスチックをリサイクルする最初の商業規模の生産を行うために、2022年後半にはオーストラリアや海外の投資家から約5000万ドル(約6億1000万円)の資金を調達することを目指しているという。

Samsaraの潜在的な顧客は、小売業者、FMCG(Fast-Moving Consumer、日用消費財)ブランド、リサイクル業者など、基本的にプラスチックに関わるすべての人であると、ライリー氏は述べている。

同社はWoolworthsグループと提携しており、Samsaraが最初にリサイクルする5000トンの再生プラスチックを、Woolworthsは自社ブランド商品のパッケージに使用すると約束し、2022年末までにその在庫を確保することを目指している。さらにSamsaraは、Tennis Australia(テニス・オーストラリア)とも提携し、全豪オープンで使用されたペットボトル5000本をリサイクルすることになっている。

2021年に設立されたこのスタートアップ企業は、科学者やエンジニア、そしてキャンベラにあるオーストラリア国立大学の研究者を中心に、13人のチームで構成されている。

「私たちの長期的なビジョンは、当社の技術力を拡張して、ポリエステルやナイロンでできた衣服のような他の石油由来のプラスチック製品を無限にリサイクルし、二度と化石燃料を使用して新しいプラスチックを作らないようにすることです」とライリー氏は語る。

画像クレジット:Samsara Eco

原文へ

(文:Kate Park、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

セキュリティが強化されたエンタープライズ向けブラウザのIslandが約140億円調達

ダラスのIslandは、エンタープライズのための安全なブラウザを開発している。同社はこのほどシリーズBで1億1500万ドル(約140億円)を調達した。それは同社が最初の資金調達として1億ドル(約121億円)を獲得して、ステルスを脱してからわずか数週間後のことだが、同社の評価額は13億ドル(約1579億円)に達していた。

この驚くべきスピードの資金調達は、これまでのリード投資家であるInsight Partnersが主導し、ニューヨークに拠点を置くベンチャーキャピタルが12番目の旗艦ファンドとして200億ドル(約2兆4287億円)以上を調達したわずか数週間後に行われたものだ

2020年に創業されたIslandは、Chromiumをベースとして、エンタープライズ向けにセキュリティを強化したブラウザを作っている。そのエンタープライズブラウザはコピー&ペーストやスクリーンショットなどの機能を無効にして、重要なデータが企業の外へ出ないようにし、契約社員や自機持ち込み労働者にも安全なアクセスを提供する。さらにそのブラウザは、ウェブのフィルタリングや隔離、エクスプロイト防止、スマートネットワークルーティング、ゼロトラストアクセスなど独自のセキュリティ機能を揃えている。

IslandのCEOであるMichael Fey(マイケル・フェイ)氏はTechCrunchに「今回の投資は2月にローンチして以降の『極めて幸運な』需要の結果だ」と語っている。

「私たちのチームは、いろいろな分野と規模の企業や組織のセキュリティに貢献できました。それは、市場のニーズとプロダクトのスケーラビリティ、それら両方のおかげでありとても感謝している。今度の調達に最初の投資家たちが参加していることは、顧客の間での評判がとても良いことを彼らが実際に見聞きしていることを物語っている。このような活気ある投資は、私たちにスケールとイノベーションを可能にし、もっと多くの顧客の問題を解決して、私たちをこの分野のトップに押し上げるだろう」とフェイ氏はいう。

「エンタープライズブラウザを立ち上げるという私たちのミッションは、ステルスを脱したときから、セキュリティのプロフェッショナルたちに価値をご提供することだった。その目標を、こんなに短い時間で達成できたことは、とてもエキサイティングです」。

この巨額な調達はStripesやSequoia Capitalなど既存の投資家も支えており、またサイバーセキュリティへのVCの投資が記録的だった年の続きでもある。Momentum Cyberの最近のデータによると、サイバーセキュリティのスタートアップは2021年に295億ドル(約3兆5841億円)という「記録破りの」額のベンチャー資本を調達し、2020年の120億ドル(約1兆4579億円)の倍を超え、2年分を合わせた額よりも大きくなった。

関連記事:元Symantec・McAfee幹部によるIsland、セキュリティ重視のエンタープライズ向けブラウザで脱ステルス

画像クレジット:Getty Images

原文へ

(文:Carly Page、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Netflixがさらに2つのゲームを追加、初のFPSゲームも近日リリース予定

ストリーミングサービスのNetflixが、ゲームラインナップを再び拡充した。2タイトルを追加し、米国時間3月22日から配信が始まっている。新作は「Shatter Remastered」と「This Is A True Story(真実の物語)」というタイトルだ。両タイトルとも、iOSおよびAndroidユーザー向けの配信が始まっている。Netflixはこれとは別に、初のFPS(ファーストパーソン・シューティング)タイトル「Into the Dead 2:Unleashed(イントゥ・ザ・デッド 2:アンリーシュド)」も予告している。

新作ゲーム第1弾の「Shatter Remastered」は、ニュージーランドのデベロッパーPikPokが開発したレトロな雰囲気のレンガ崩しゲームだ。今回の製品は、ニュージーランドの開発会社Sidheが2009年にPlayStation 3で発売したゲーム「Shatter」のアップデート版だ。新しくなったモバイル最適化版は、グローバルリーダーボードを採用し、世界中のプレイヤーとハイスコアを競うことができる。

画像クレジット:Netflix

2作目の「This Is A True Story(真実の物語)」は、世界に安全な飲み水が確保されていない場所があることへの関心を喚起するゲームだ。このゲームは、Frosty PopがCharity Waterと共同で開発したものだ。Charity Waterは開発途上国の人々に清潔で安全な飲み水を提供するために活動する非営利団体である。このゲームは、サハラ以南に住むアフリカの女性が、家族のために水を得るために日々奮闘する実話を紹介している。実際の取材や体験をもとに創られたこのゲームの中で、プレイヤーは風雨を乗り越え、密猟者を捕まえ、ヤギと仲良くしながら、手描きの風景を探検していく。

「Into the Dead 2:Unleashed」については、Netflixは具体的な発売時期を明示せず「近日登場」としている。「Shatter Remastered」と同じく、PikPokが開発したタイトルだ。本作は、ゾンビアクションゲーム「Into the Dead(イントゥ・ザ・デッド)」の続編にあたる。ゲームでは、プレイヤーはゾンビの脅威をかわしながら、危険なエリアを越えていかなければならない。このゲームには、複数のチャプター、ステージ、チャレンジが含まれ、プレイヤーは武器、銃器、爆発物などを次々にアンロックすることができる。

画像クレジット:Netflix

Netflixの他のゲームと同様に、ユーザーはiOSとAndroidのNetflixアプリから新タイトルに移動する。Androidでは、Netflixアプリのメインナビゲーションにあるゲーム専用のタブなど、いろいろな場所でゲームを見つけることができる。iOSでは、ゲームは専用の列で紹介されます。ゲーム自体はNetflixのインフラではなく、各プラットフォームのアプリストアから提供されているが、Netflixのユーザーのみがプレイすることができる。インストール後、ゲームを開始するには、Netflixのアカウント情報を使って認証するよう促される。

Netflixは、2021年末に「Stranger Things(ストレンジャー・シングス)」をテーマにした複数のタイトルやカジュアルゲームなどの初期ラインナップを発表し、ゲームサービスの拡充を図ってきた。

その後、Netflixは「Arcanium:Rise of Akhan」「Asphalt Xtreme(アスファルト:Xtreme)」「Bowling Ballers(ボウリング ボーラーズ)」 「Card Blast(カードブラスト)」「Dominoes Cafe」「Dungeon Dwarves(ダンジョンドワーフ)」「Hextech Mayhem:A League of Legends Story」「Knittens(ニット&キャット)」「Krispee Street(クリスピーストリート)」「Shooting Hoops(シューティング フープス)」「Teeter (Up) (ティーター)」「Wonderputt Forever(ワンダーパット・フォーエバー)」 など、複数のタイトルをリリースしている(カタカナ名称はNetflix公式ページ掲載のもの)。

関連記事:Netflixが他では有料のRiot Games LoL音ゲー「Hextech Mayhem」を含むゲームを2作追加

画像クレジット:Netflix

原文へ

(文:Aisha Malik、翻訳:sako)

「Polestar 2」のシングルモーター仕様が米国で販売開始、約560万円から

スウェーデンの高性能電気自動車ブランドであるPolestar(ポールスター)は、2021年発売されたデュアルモーター仕様のEV「Polestar 2」続き、一度の充電で270マイル(約435km)の距離を走行可能なシングルモーター仕様の同モデルを米国で販売開始すると発表した。

この「Polestar 2 Long range Single motor(ポールスター2 ロングレンジ・シングルモーター)」の車両価格は、4万5900ドル(約560万円)からとなっているが、連邦政府と州の補助金を考慮すると実質3万3400ドル(約406万円)となる。デュアルモーターで4輪駆動の兄弟車よりも4000ドル(約49万円)安く、航続距離も19マイル(約31km)長い。車軸に取り付けられた電気モーターの数以外(シングルモーターは前のみとなる)、両車は機能的には同じものだ。

「Polestar 2のすべてのモデルは、Googleインフォテインメント・システム、プレミアムでサステイナブルな素材、そして比類のない前衛的なデザインを備え、最先端テクノロジーにおけるブランドの優位性を発散させています」と、Polestar USAのGregor Hembrough(グレガー・ヘンブロー)社長は、プレスリリースで述べている。

4000ドルでさまざまな快適装備が追加される「Plus」パックと、安全および運転支援機能がグレードアップする3200ドルの「Pilot」パックは、どちらのパワートレインを選んでもオプションで付けることができる。

地元の石油化学コングロマリットに一矢報いたい人は、公式サイトまたは全米の主要都市にある同社の実店舗でPolestar 2の試乗を予約することができる。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のAndrew Tarantola(アンドリュー・タラントラ)氏はEngadgetのシニアエディター。

画像クレジット:Polestar

原文へ

(文:Andrew Tarantola、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

グーグルがFitbitの不整脈監視技術をFDAに認可申請、Apple Watchより高精度との研究結果

グーグルがFitbitの不整脈監視技術をFDAに認可申請、アメリカ心臓協会がApple Watchより高精度との研究結果

FitBit Charge 5 Engadget

Googleが、ユーザーの心拍を監視する技術のデータを米食品医薬品局(FDA)に提出、審査申請したことを明らかにしました。Googleによれば、この心拍モニタリング技術のアルゴリズムはユーザーの心房細動を98%の確率で発見できるとのこと。

この技術は、赤外線を照射して動脈や毛細血管の血流量変化を監視、心拍情報を得る光電式容積脈波記録法(PPG)を用い、受動的にユーザーの手首の血流を追跡することで不整脈などを検知します。

FItbitはGoogleに買収される前の2020年からこの技術に関する研究を開始しており、これまでに50万人近いユーザーが参加してデータを提供してきました。その結果、参加者の約1%となる5000人弱に不整脈が見つかったとのこと。そして、この技術の正確性を判断するため、不整脈が見つかった人々にパッチ型の心電図レコーダーを使用した遠隔診断を提案、約1000人がそれに応じて調査を実施したところ、その1/3の人たちの診断が確定。心房細動に関するこの技術の予測正確性が98%と算定されました。この研究調査結果は2021年にアメリカ心臓協会に発表されています。

ちなみに、Apple Watchの心房細動検出機能は、同様の規模で行われた研究によると84%だったとのことで、Fitbit社のリサーチサイエンティストTony Faranesh氏は「この結果は非常に有望であり、不整脈の早期発見と治療に実際に役立つものと考える」とコメントしています。

不整脈の一種である心房細動は、血流の停滞を引き起こすことで心房内に血栓を発生し、それが剥がれて末端の血管を詰まらせたり、はては心原性脳塞栓症と呼ばれる脳梗塞を引き起こす可能性があります。日常的に身につけるデバイスでより正確に不整脈の監視が可能になるということは、このような命に関わる症状を実際に予防するまではできなくとも、心構えや何らかの備えになることが期待されます。

なお、この研究で用いられたパッシブ心拍モニタリング技術はFDAに承認申請が出された段階であるため、Faranesh氏はこの機能がいつ頃Fitbitのデバイスで利用可能になるのかについては述べていません。しかし、同種の機能を用いたApple Watchでは、心電図アプリがユーザーの異常を早期に検知した結果重大な事態に至らずに済んだという話がよく伝えられており、より高精度に異常検出が可能なFitbitデバイスの発売が期待されるところです。

(Source:GoogleEngadget日本版より転載)

温度測定結果の表示可能、顔認証で入退室できるクラウド型サービス「Safie Entrance2」を提供開始

温度測定結果の表示可能、顔認証・非接触で入退室できるクラウド型サービス「Safie Entrance2」を提供開始

クラウド録画サービスを展開するセーフィーは3月22日、クラウドで情報を集約管理する顔認証入退室サービス「Safie Entrance2」(セーフィー エントランス ツー)の提供を開始したと発表した。非接触で体温を測定できる機能や、「なりすまし」を防止するセキュリティー機能も充実している。

コロナ禍を境にシェアスペースやコワーキングスペースの利用が増え、同時にオフィスや施設の運営を省人化する動きが進むなか、入退室管理サービスが注目されている。セーフィーは、そうしたスペースでの「安心できる空間づくり」を目指してこのサービスの提供を始めた。クラウド型なので、入退室権限の設定や入退室の記録の蓄積などが端末を設置するだけで行える。専用のサーバーを置いて管理する必要がないということだ。

端末には、成田国際空港でのウイルス拡散防止対策にも導入されているデータスコープの顔認証AIエンジンを搭載した「Face FC」を採用。温度測定機能があり、利用者の体温を測って表示できる。また、動画や静止画を使った「なりすまし」の防止機能も採用。認証正確度99%以上、認証速度200ms以下(顔認証のみの場合)。マスクを着用していても顔認証が行え、「ストレスのないウォークスルーの入退室」が可能になるという。防水防塵性能はIP67等級(サーモセンサー部分はIP57)に適合しているため屋外にも設置できる。フィルライトを搭載し、暗い場所での運用も可能。

「Safie Entrance2」サービスの特徴は次のとおり。

  • クラウド管理のためサーバーが不要。複数の拠点やドアの管理が行える
  • ウォークスルーで高速認証と解錠が可能
  • クラウド上のアプリで端末情報、入退室情報、顔情報、利用者権限、入場エリアの管理が可能
  • 最大90日分の履歴データをクラウドに保存
  • 利用者の一括登録がCSVまたは一斉メール配信で可能
  • 入退室履歴データをダウンロードし編集が可能
  • 遠隔からの緊急解除が可能
  • 錠前連携が可能

月額利用料金は、認識する顔の数が100までで月額1万6500円(税込)。別途、工事費、端末「Face FC」の代金がかかる。ドアの解錠施錠を連携させる場合は、ドアコントローラーが必要になる。

農地をスキャンし、壁を作り、窓を掃除するロボットたち

私のGmail受信箱は、アグリテック(農業技術)の売り込みでいっぱいになり、正直なところ、最後の2通のニュースレターで話題にしたことを少々後悔している(といいつつ、またやっているわけだが)。あれはいつ始まったのだろう?私の住む半球では、ちょうど東海岸時刻午前11時33分に正式に春が訪れたためだ。花は咲き、鳥はさえずり、私たちはみな、どうやってロボットを導入しようか考えている。

そして(おそらくは関連する事実として)World Agri-Tech Innovation Summit(世界農業技術イノベーション・サミット)が今週サンフランシスコで始まったことが、少なくとも部分的には、宣伝メールが大気を埋め尽くす大量の花粉のように増えた理由だろ。別に私は腹を立てているわけでもなんでもない(もしそう聞こえたなら、今私の脳内の半分を占めている花粉のせいだ)。事実、それはこの分野の大きなトレンドへの興味深い洞察を与えてくれた。

以前私は、アグリテックロボティクスが期待されたほど普及していないことに言及し、今も変わっていない。しかしそれは、努力が足りていないからではない。今この分野で最も重要なのは、農作物監視、特に潜在的問題に備えた監視だ。何度も引き合いに出しているが、米国の農業従事者の平均年齢は57.5歳で、日本ではさらに約10歳高い。ここ米国で、約40年間この年齢は上がり続けている。

この話を持ち出す理由は、農業が著しく困難な仕事であり、多くの人々が(少なくとも理論的には)引退を考えている年齢で、彼らは日の出から農地に出ている。伝統的な監視は、日中の多くの時間を独占する退屈な作業だ。そして、正しく行わないと、問題のある場所が実際の問題になる前に見つけることは困難だ。

画像クレジット:Growmark/Solinftec

私が思いつく新しい監視方法は4つ、衛星画像、IoTデバイス、ドローン調査そしてGrowmark(グローマーク)とSolinftec(ソリンフテック)の名前のないデバイスをはじめとするロボティクスだ。農作物監視は、農業にロボットを導入する重要な第一ステップだが、それ以外の果実収穫、除草、耕耘(こううん)などの作業にその機能を組み合わせたいっそう魅力的なモデルもある。これらのデバイスの多くが効率的にレンタルされていることから考えると、農業従事者は費用に見合う最大の価値を求めているのだろう。

さて、今週はずいぶんとたくさん農業の話をしてきた。ロボティクス普及の未来について少し考えてみよう。2021年の終わり頃、私はCMU(カーネギーメロン大学)の新しいディレクターと今後の目標について話した。彼はインタビューの最後をこう締めくくった「工場の現場などに行けばロボットを見ることができるでしょうし、家にはロボット掃除機があるかもしれませんが、私は窓の外を見るとロボットがいるというレベルにしたいと思っています」。

ここでSkyline Robotics(スカイライン・ロボティクス)について少し話そう。最近の記事に書いたように、私は自動化したい仕事リストの上位にビルの窓掃除を置いている。この仕事が比較的危険であることを考えると、ロボット化はかなり進んでいると思っていたが、私の見た数字はそれを反映していなかった。

統計的にみて、世界で最も危険な職業ではないかもしれないが、路上数百メートルの空中に宙ぶらりんになるのは、最も恐ろしい状態の1つではあるだろう。Skylineは2021年遅くにOzmo(オズモ)システムを披露して、何度かマスコミに登場した。具体的には、ロボティック・アームのKuka(クカ)を2台、吊り下げられたプラットフォームに載せたものだ。3月24日、同社は 650万ドル(約7億9000万円)の資金調達を発表し、総調達額は900万ドル(約10億9000万円)に達した。

「このラウンドと初のOzmo展開の成功は、我々の製品とサービスに対する需要が目に見えて投資家に伝わっているだけでなく、Skylineの前に大きなビジネスチャンスがあることを示しています」とCEOのMichael Brown(マイケル・ブラウン)氏は話した。「私たちのチームの信念は、投資家のみなさんのものと一致しています」。

画像クレジット:OTTO

危険な職業と言えば、先週書いたように、フォークリフトも実はかなり危険だ。当然多くの企業がこの作業の自動化を目指しており、カナダ・オンタリオ州拠点のOTTO(オットー)もその1つだ。今週同社は、新しい自動パレットムーバーであるOTTO Lifter(オットー・リフター)を発表した。

Plotlogicの創業者でCEOのAndrew Job(アンドリュー・ジョブ)氏(画像クレジット:Sarah Keayes/The Photo Pitch)

ちなみに、最近同僚のDevin ColdweyがPlotlogic(プロトロジック)の1800万ドル(約21億8000万円)の資金調達について記事を書いている。オーストラリア、ブリスベーン拠点のスタートアップはハイパースペクトルイメージングと呼ばれる手法を用いて、土壌から検出困難な元素を見つける。

CEOのAndrew Job(アンドリュー・ジョブ)氏は次のように話している。

「経済的なメリット、環境維持のメリット、安全性のメリットの3つがあると考えています」とジョブ氏はいう。「より多くの鉱石を処理し、廃棄物を減らすことができるため、より収益性が高くなります。より正確に、より多くの岩石をその場に残し、燃料や温室効果ガスを廃棄物の移動に費やさないようにすることができるのです。そして、それは鉱山での人間の被曝時間も減らします」。

画像クレジット:NVIDIA

今週GTC 2022カンファレンスで、NVIDIAはJetson AGX Orin(ジェットソン・エージーエックス・オーリン)を発表してロボット開発分野への参入を印象づけた。2000ドル(約24万円)の開発キットは、先行機種と比べてコンピューティング・パワーが大幅に強化されている。製品版の発売は第4四半期になる。

オートメーションは、10兆ドル(約1218兆円)の建設産業に今後5年以内に革命を起こす態勢にある。そこで、Rugged Robotics(ラギド・ロボティクス)は、さらなる自動化を目指している。同社は、フィールドプリンターを完全自立型にして24時間運転を可能にすることを発表した。同社のシステムは床に建物のレイアウトを印刷し、作業者に正確な建設位置を教える。

今週同社は940万ドル(約11億円)を調達し、資金総額は約1200万ドル(約14億6000万円)になった。「私たちは建設業界の近代化を目指し、建設業者が毎日苦労している痛点を解決するための実用的なソリューションを構築したいと考えています」と、Derrick Morse(デリック・モーズ)CEOは声明で述べている。「レイアウトは理想的なその出発点であると確信しています。レイアウトは、建設の自動化のための足がかりになります。デジタルと物理の世界の交差点に位置し、大きな問題を解決でき、非常に有意義な方法でロボットを現場に配備することが可能です」。

そうそう、今週お別れする前にこれを言っておかなくてはならない。Open Robotics(オープン・ロボティクス)10歳の誕生日おめでとう。私はまだ、何でも持っているこのRobot Operating System(ROS、ロボット・オペレーティング・システム)管理者に何をプレゼントすればよいかわからないので、ちょっとしたコラムのスペースで我慢してもらおう。

画像クレジット:Skyline Robotics

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Mozilla、同デベロッパーネットワークのサブスク有料会員募集を開始

Mozilla(モジラ)は米国時間3月24日、既存のMozilla Developer Network(MDN、モジラ・デベロッパー・ネットワーク)上に、サブスクリプションサービスMDN Plus発表した。MDNは、ウェブ上でCSS、HTML、JavaScriptなどのウェブ技術に関するドキュメントやコードサンプルを見つけるための、最も人気のある場所の1つだ。なおMDNは最近デザインを一新している。

新しいサブスクリプションサービスが提供するのは、通知コレクション(保存したい記事のリストなど)、利用者がオンラインでないときにMDNにアクセスしたいときのためのMDNオフラインなどだ。

サブスクリプションは3つの階層に分かれる。有料プランの無料限定版である「MDN core」、通知、コレクション、MDNオフラインへのアクセスが月5ドル(約610円)、年50ドル(約6100円)で提供される「MDN Plus 5」、そしてMDNチームへの直接のフィードバックチャネル(と「誇りと喜び」)に加えて、プラットフォームのサポートにもう少しお金を払ってもいい人たち向けの「MDN Supporter 10」だ。その名のとおり、最後の高価なプランは、月々10ドル(約1220円)、年間契約では100ドル(約1万2200円)が課金される。

画像クレジット:Mozilla

MDN Web Docsの内容に変更はない。それらは今後も無償で利用できる。「私たちは今後も無料で、誰でもアクセスできるウェブドキュメントの執筆・保守を続けていきます。これは将来変わりません。さらに、MDN Plusから得られる利益の一部を再投資し、ドキュメントやウェブサイト全体のユーザーエクスペリエンスを改善する予定ですので、MDN Web Docsも恩恵を受けることができると考えています」と、MozillaのFAQは説明している。

画像クレジット:Mozilla

MDN Plusは、米国時間3月24日、米国とカナダでローンチする。今後数カ月のうちに、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ベルギー、オーストリア、オランダ、アイルランド、英国、スイス、マレーシア、ニュージーランド、シンガポールで展開される予定だ(グローバルなサブスクリプションサービスの立ち上げには、多数の弁護士の関与が必要だ)。

今回、MDN Plusがローンチされたのは、決して予想外ではない。Mozillaは2021年、この動きに向けての探りを入れ始めていた。そのときは、Mozillaが5ドルと10ドルの2種類の価格をA/Bテストしていたため、価格設定に少し混乱が起きたが、MDNがもたらす価値の大きさから、ほとんどの開発者はこの取り組みに賛同した

画像クレジット:Mozilla

また、Mozillaは2020年に行ったレイオフでMDNのスタッフをかなり削減したものの、中核となるエンジニアリングチームはほとんど手つかずのままにしておいたことも注目に値する。Mozillaの歴史を振り返ると、MDN のような無料のサービスを提供することが、Mozilla のミッションステートメントにはっきりと謳われ、他の収入源から容易に補助を受けることができていた時期もあった。今回の有料プランによって、Mozillaはやがて自立できることを望んでいるに違いない。現段階では、この収益の使い道についてMozillaがいっているのは「Mozillaの中にとどまる」ということだけだ。

画像クレジット:Benjamin Kerens /Flickr under a CC BY 2.0 license.

原文へ

(文:Frederic Lardinois、翻訳:sako)

あらゆるウェブサイトを多言語化する仏WeglotがシリーズAで約60.6億円を調達

フランスを拠点とするスタートアップWeglotは、Partechを引受先とする4500万ユーロ(約60億5500万円)のシリーズA資金調達ラウンドをクローズした。同社は、ウェブサイト向けの翻訳ソリューションを構築している。この製品により、手間のかかる微調整をすることなく、また別のCMSやECプラットフォームに切り替えることなく、サイトに多くの言語を追加することができる。

そして、これがWeglotのポジショニングを理解する鍵になる。WordPress(ワードプレス)やShopify(ショッピファイ)の翻訳プラグインは、以前から存在していた。だがWeglotは、あらゆる種類のウェブ体験に対応するユニバーサルな製品を作りたいと考えている。

Weglotを活用するには、2通りの方法がある。1つ目の方法は、プラグインを使って既存のウェブサイトに追加するやり方だ。これはWordPress、Shopify、Wix、WooCommerceでWeglotが機能する方法だ。小規模の会社を経営していて、専任のウェブ開発者がいない場合は、コードを一行も書かずにWeglotをインストールすることができる。

もう1つの方法は、ウェブサイトのタグに数行のJavascriptを追加する方法だ。Weglotでは、Webflow、Squarespace、BigCommerceでこのアプローチを使用している。それに加えて、新しい言語用のサブドメインやサブディレクトリを作成するために、DNSレコードを調整する必要がある。

Weglotのサーバー上で、同社はサイトからコンテンツを自動的に検出し、取り込む。Weglotの顧客は、自動翻訳を利用して、新しい言語への対応を開始することができる。

また、同社が提供しているダッシュボードを利用することで、コンテンツを掘り下げ、よりよい翻訳を作成することもできる。プロの翻訳者にアクセスを許可し、そのインターフェースから翻訳を管理することができる。

これで、多言語サイトの完成だ。訪問者があなたのサイトをロードするときはいつでも、ウェブサイトはデフォルトでユーザーの優先言語でロードされる。また、複数のオプションを提供したい場合は、ウェブサイトの隅に言語スイッチャーを追加することができる。

翻訳はWeglotのサーバーに保存されるが、Weglotは各言語専用のサブディレクトリまたはサブドメインを作成する。こうすることで、Google(グーグル)やその他の検索エンジンは、顧客のウェブサイトの各言語版をインデックスすることができる。メタデータとキーワードも、Weglotで翻訳することができる。

このスタートアップは、必要な言語と単語の数に応じて、毎月のサブスクリプションを課金している。2021年、Weglotは年間経常収益1000万ユーロ(約13億4600万円)を達成した。2017年のシードラウンド以来、外部資本を調達していなかったスタートアップとしては悪くない。

画像クレジット:Joshua Fuller / Unsplash

原文へ

(文:Romain Dillet、翻訳:Den Nakano)

オープンソースの機能管理ツールを構築するためオスロのUnleashが約17億円調達

ソフトウェアに新しい機能を加えていくときは、それが既存の機能を壊さないよう注意しなければならない。そのため、展開はゆっくりになりがちで、コード中にフィーチャーフラグ(機能フラグ)を置くなどして、新機能によって何が起きるのか確かめようとする。これは新機能の展開をコントロールする実証されている方法だが、管理のレベルが一段あがってしまう。そこで、オスロのUnleashの出番となる。

同社の共同創業者でCTOのIvar Østhus(イヴァル・オストフス)氏は、次のように説明する。「Unleashは機能管理のためのソリューションです。ユーザーをセグメントするルールを定義して、新しい機能を有効にする方法を完全にコントロールできるようにします」。彼によると、この方法であればより多くの実験ができるようになり、プロダクションのコードベースに、大きな問題を起こす何かが紛れ込むリスクを減らすことができる。

2014年にオストフス氏は、そのとき仕事をしていたFinnという企業で、この機能管理という問題に直面した。そこで彼は余暇の時間に、ソリューションの開発に取り組んだ。翌年、彼はUnleashをGitHub上のオープンソースでリリースし、その後数年間、エンジニアとして昼間の仕事をしながらそのプロジェクトを育てていった。

そして彼は、企業がそのツールにエンタープライズ機能をリクエストし始めていることに気づき、Unleashを企業化する可能性を見つけた。2019年にイヴァル氏と弟のEgil(エギル)氏は一緒に会社を作ることに決め、イヴァル氏が開発したオープンソースプロダクト上に商用化のレイヤーを作っていくことになった。

「2018年の終わり頃には、オープンソースの採用がとても活発になり、エンタープライズ的な機能を求める声も大きくなってきました。ある企業はメールで、自分でやるのは面倒なのでそっちでホストしてくれといってきました。その言葉に触発された私は、エギルと一緒に会社を興すことにしたのです」とオストフス氏はいう。

同社は最初の商用プロダクトであるUnleashのホステッドバージョンを2019年の春に立ち上げ、徐々に会社らしくなってきた。2人は昼間の仕事を辞めて、同社にフルタイムで関わるようになった。

CEOになったエギル氏は管理職や経営者の経験があり、2人の兄弟はいろいろな企業を訪ねて、ビジネスとしてのUnleashの売り込みを開始した。「毎日の時間の90%は顧客と話をして私たちの競合企業をよく理解し、またユーザーのニーズを理解することに費やされました」とエギル氏は語る。

今日、同社は純粋なオープンソースから徐々に離れてオープンコアモデルへ移行し、セキュリティのレイヤーを求める顧客には有料でシングルサインオンを提供するなどエンタープライズ向けの機能を充実している。

エギル氏によると、2人が同社を創業するときにはダイバーシティが重要な課題であり、彼らの中心的なKPIの1つだった。彼によるとそれはリーダーシップの課題でもあり、その責任は常に自分たちにある。取締役会への報告は月例ベースで行っており、採用候補者を抱えている者の視点で求職者について報告している。

「そこで、私たちが本当に重要だと判断したのは、候補者パイプラインの多様性について、毎月取締役会に報告することです。つまり候補者パイプラインが埋まるたびに、その数字と、その多様性の数字の内側か外側かを報告する必要があるのです」とエギル氏はいう。

同社の有料顧客は120社で、その約40%は米国とカナダの企業で、40%がEU、残りが世界各国となる。社員は16名だが年内に倍増する。

米国時間3月23日に発表した1400万ドル(約17億円)のシリーズAで、同社はビジネスとしての離陸できるだろう。今回の投資をリードしたのはSpark Capitalで、Frontline Venturesとfirstminute capital、Alliance Venture、そしてArkwright Xが参加している。

画像クレジット:AndreyPopov/Getty Images

原文へ

(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

UberがNY市のタクシーと提携、ドライバー不足と運賃高騰対策で

ディスラプトできないなら、仲間になる?かつてタクシーシステムをなくす勢いだったUber(ウーバー)は、ニューヨーク市の全タクシーをアプリに載せることで合意した。今春以降、ニューヨーク市の利用者はUberのアプリから直接タクシーを呼ぶことができるようになり、同社のドライバー不足と運賃の高騰に対処する一助となる。

Uberの広報担当者のConor Ferguson(コナー・ファーガソン)氏は、電子メールでTechCrunchに次のように語った。「タクシー業界との提携は世界中で異なっており、今後5年間に目を向けるとき、タクシーとUberが別々に存在する世界はないと強く信じています。両者にとって得るものが多すぎるのです。タクシーは、私たちが新しい市場を開拓するのに役立ちます。実際、香港やトルコといった場所では、今や当社の主要な商品になっています」。

この提携は、Uberのソフトウェアと、CMTやCurbといった会社の既存のタクシーソフトウェアを統合することで機能する。ウォールストリート・ジャーナル紙の報道によると、Uberを利用したタクシーの運賃は一般的なUber Xとほぼ同じになる。Uberの乗客を乗せたタクシードライバーは、通常のUberドライバーと同じ報酬が支払われる。その額は最低時間と距離のレートに応じて決定される。しかし、Uberはタクシーとは異なる指標で賃金を計算する。そのため、タクシー運転手はUberの乗客を受け入れる前に、予想される収入を確認することができる。これは、Uberが既存の運転手に対して行っていない丁重な措置だ。投資家向け報告書によると、Uberは運賃の約20%を徴収しているが、ニューヨーク市タクシー・リムジン委員会との契約の条件、例えばタクシーの乗車料金からどのような手数料が差し引かれるのかなどは公表していない。

世界中のタクシー運転手はUberのようなライドシェア事業の普及に抗議してきた。フランスでは、既存のインフラから顧客やドライバーを誘致するため、Uberは赤字で営業していたこともある。乗車料金を低く抑えるために負債を発生させるこの全体的なモデルは、依然として24億ドル(約2935億円)の損失を出していたにもかかわらず、同社が2021年第3四半期にわずかな利益をなんとか確保するまで続いた。タクシー運転手と協力するという決断は、米国外では成功したことが証明されている。Uberはスペイン、コロンビア、オーストリア、ドイツ、韓国などの国でタクシー事業者と提携している。よって同社が最大の米国市場の1つでこれを試みるのは不思議ではない。

画像クレジット:Instants/iStock

原文へ

(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

会社に届くすべての郵便物を電子化し自宅から一元管理、クラウド郵便サービスのatenaが1.25億円のシリーズA調達

会社に届くすべての郵便物を電子化し自宅から一元管理、クラウド郵便サービスのatenaが1.25億円のシリーズA調達

会社に届く郵便物を自宅から管理できる、クラウド郵便サービス「atena」(アテナ)を提供するN-Technologies(N Inc.)は3月25日、シリーズAラウンドとして、第三者割当増資による1億2500万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、リード投資家の千葉道場ファンド、また千葉道場ファンド・Scrum Ventures・Coral Capital。2021年9月のプレシリーズAラウンド以来3回目の資金調達にあたり、累計調達額は2億5500万円となった。

調達した資金は、atenaのマーケティング活動、オペレーション投資の強化にあて、事業の成長スピードを加速する。今後も、郵便物のための出社から社会を解放し、リモートワークの推進や新しい働き方の実現に寄与する。

atenaは、会社に届く郵便物をすべて電子化することで、PCなどの端末から郵便物の内容を閲覧できるサービス(エンタープライズ企業向けには「atena Cloud」を用意)。郵便物の受け取り・管理・スキャニング・不要な郵便物の処理などの作業を、すべてシステムで一元管理が可能で、例えばリモートワークにおいて、「郵便物の確認」のためだけの出社を行うといった必要がなくなるという。会社に届くすべての郵便物を電子化し自宅から一元管理、クラウド郵便サービスのatenaが1.25億円のシリーズA調達

また、セキュリティ対策も万全に構築しており、国際認証規格「ISO/IES 27001:2013」の取得、生体認証に守られた環境の整備などを実施。国内外の上場企業やスタートアップ企業、税理士事務所などで導入が進んでおり、完全リモート化に成功した顧客が増えているそうだ。