Cloud Native Computing Foundationが抱えるオープンソースプロジェクトにetcdが加わった

KubernetesVitessなど、クラウドに関連したオープンソースプロジェクトが身を寄せる事務管理団体Cloud Native Computing Foundation(CNCF)が今日、その技術委員会が新しいプロジェクトの入会を認める票決を行った、と発表した。そのプロジェクトetcdは、CoreOSで開発されたキー-ヴァリューストアで、今回Red HatがこのプロジェクトをCNCFに寄贈した。CoreOSはかつてRed Hatが買収、そしてそのRed Hatは近くIBMがオーナーになる、という関係だ。

etcdはGoで書かれていて、すでに多くのKubernetesデプロイメントの主要な部位のひとつだ。そこではetcdが、他と重複しない唯一の真実の情報源として機能し、クラスターのコーディネーションやシステムのステートの管理に使用される。同じくオープンソースのCloud Foundryもetcdを使い、Alibaba, ING, Pinterest, Uber, The New York Times, Nordstromなどの企業はプロダクション(本番稼働)でetcdを使っている。

CNCFのCOO Chris Aniszczykが、今日の発表声明で言っている: “KubernetesやCloud Foundryなど多くのプロジェクトが、信頼できるデータストレージをetcdに依存している。etcdがインキュベーションプロジェクトとしてCNCFに加わったことは喜ばしいし、今後はドキュメンテーションやガバナンスなどなどの改良によりコミュニティをさらに育成していきたい。etcdがわれわれのプロジェクトのコミュニティに加わったことは、本当にすばらしい”。

今日、etcdには450名を超えるコントリビューターと、8社からの9名から成るメンテナーがいる。すでにKubernetesをホストしているCNCFに身を寄せたことは、きわめてロジカルだ。これでCNCFがホストするプロジェクトは17になり、それらが同団体の“育成技術”の傘下に入る。それらはetcdのほかに、OpenTracing, Fluentd, Linkerd, gRPC, CoreDNS, containerd, rkt, CNI, Jaeger, Notary, TUF, Vitess, NATS Helm, Rook, そしてHarborだ。Kubernetes, Prometheus, そしてEnvoyは、すでに育成段階を卒業している。

ひとつのファウンデーションが管理するプロジェクトにしては多いが、しかしCNCFのコミュニティ自体が相当大きい。今週だけでも、シアトルで開かれた同団体最大のカンファレンスKubeCon/CloudNativeConに8000名のデベロッパーが集まり、コンテナに関するありとあらゆることを議論しあるいは講演した。AWS, Microsoft, Google, IBM, Oracleといった大物が参加してコラボレーションしていることの意義も大きい。OpenStackプロジェクトのように、成長後期に手を広げすぎて焦点がぼやける危険性もあるが、そうならないための、同団体の今後の管理の手腕を見守りたい。たぶん次にCNCFに加わるのは、ますます人気急増中のサービスメッシュIstioだろう。

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Salesforceが日本で$100Mのファンドを設立、パブリッククラウド市場の成長を確信

日本のスタートアップにとって、良い週だった(12/2-8)。Googleがこの国でまれな投資をしてAIのABEJAを支援したかと思ったら、そのすぐ次はSalesforce…同じくアメリカのテクノロジー巨大企業…が、日本のエンタープライズ系スタートアップのための1億ドルのファンドを発表した

そのJapan Trailblazer Fundは、Salesforce Ventureのアジアにおける初めての、ローカルファンドだ。S8eのこのVC部門は2011年以降、日本のスタートアップ40社を支援している。そのポートフォリを企業は275社だから40は小さいし、日本でのファンド1億ドルも、全世界で10億ドルを超える投資額のごく一部にすぎない。

しかしそれでも、日本への注力はこの国にとって嬉しいニュースだ。GDPベースでは世界第三位の経済大国でありながら、日本は海外からの投資を呼びこむのに苦労している。でもSalesforceの場合は、日本のパブリッククラウドサービスの市場を拱手傍観することは許されない。なにしろ2022年には今の倍の130億ドルの市場になる、とIDCは試算しているのだ。〔参考ページ(IDC原本は有料)〕

Salesforce Venturesのポートフォリオに今いる日本企業は、8月に6000万ドルを調達した会計サービス/人事労務サービスFreeeや、2650万ドルを得て東南アジアに進出しようとするコンタクト管理(名刺管理)のSansanなどだ。

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PivotalのサーバーレスパッケージPivotal Function Serviceはマルチクラウド+オンプレミスのハイブリッド対応

Pivotalはエンタープライズのデベロッパーのためにオープンソースのツールを作る企業だが、これまではなぜかサーバーレス方面の部位が欠けていた。しかし本日(米国時間12/7)からそれが変わり、Pivotal Function Serviceと呼ばれるプロダクトがアルファでローンチした。

Pivotal Function Service”は、Kubernetesベースの、マルチクラウドのファンクションサービスだ。この新しいサービスを発表するブログ記事によるとそれは、「あらゆるクラウド上のすべてのワークロードを単一のプラットホームで支える」というPivotalのビジョンの一翼を担うことになる。

Pivotalのサーバーレスで、オープンソースであること以外におもしろいのは、クラウドネイティブでオンプレミスでもクラウドでも使えることだ。そのためのKubernetesベースでもある。しかしそれは、控えめに言っても、ふつうではない。

これまでのやり方では、AmazonやGoogle、Microsoftなどの大手クラウドプロバイダーが、あなたが必要とするインフラストラクチャを尋ね、そしてその会話が終われば、あなたはその後インフラストラクチャのことをまったく考えなくてよい。計算とストレージとメモリに関することはクラウドプロバイダーが扱い、あなたはファンクションを動かすだけで、ほかにやることはない。

Pivotalはこれと同じことを、どのクラウドサービスでもできるようにする。またそれを、オンプレミスでもできるようにする。奇妙に感じる人もいるかもしれないが、PivotalのOnsi Fakhouriによれば、顧客はオンプレミスでもクラウドでも同じ能力を求めている。“サーバーレスの重要な価値として、インフラ(サーバーなど)の稼働状況を気にすることがゼロになる、とよく言われるが、でもオンプレミスでサーバーレスプログラミングをいろいろ探求してみたいという顧客も、ときどきいる”、と彼は言う。ただしもちろん、サーバーレスのプログラムでそんなことをやりたければ、十分なリソースを確保しなければならない。

この新しいパッケージには、ファンクションを作ってデプロイして管理するための重要な部位がいくつか揃っている。ネイティブなイベント機能により、リッチなイベントトリガーを構築でき、必要な機能を何でも呼び出せる。しかもそれらの機能が、Kubernetesベースの環境に収まっている。企業がハイブリッド方式を選んで、オンプレミスとクラウドの両方にまたがるイベントをシームレスに管理できるためには、このことがとりわけ重要だ。

Pivotalのやり方のアドバンテージは、それがどんなクラウドでもオープンなプロダクトとして動くことだ。これに対してAmazonやGoogle、Microsoftなどのサービスは、それぞれ彼らのクラウドでしか動かない。オープンソースのFunction as a ServiceをやるのはPivotalが初めてではないが、同社はそれを、もっと使いやすい形で提供しようとしている。

サーバーレスは、仕事をするサーバーがないという意味ではない。むしろそれは、デベロッパーがサーバーを特定しなくてもよい、必要なインフラを整えるのはクラウドプロバイダーがやる、という意味だ。しかしオンプレミスのシナリオでは、ITがそれらのリソースを揃えなければならない。

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IBMはLotus Notes/DominoをインドのHCLに$1.8Bで売る…まだまだユーザー企業は多い

IBMが昨夜(米国時間12/6)、同社が1995年に行ったLotusの買収の残存部位をインドのHCLに18億ドルで売却する、と発表した。

IBMは当時Lotusに35億ドルを投じた。その中の大物は、NotesとDominoとPortalだった。これらは長年、IBMのエンタープライズビジネスの大きな部分を占めていたが、しかし昨年Big Blueは撤退を始め、開発の部分をHCLに売り、営業とマーケティングは手元に置いた。

今回の発表で、このラインへのIBMの関与は解消する。このプラットホームの開発部分が手を離れ、そしてRedHatに340億ドルを投じたIBMは今キャッシュが欲しい。だから、Lotusの他の部分を持ち続けることには意味がない、と決断したのだ。

インドのエンタープライズIT大手HCLにとっては、Notes/Dominoビジネスの構築を継続できる機会を、この買収でより確実なものにできる。HCL Technologiesの社長でCEOのC Vijayakumarは、次のように声明している: “これらのプロダクトの大規模なデプロイは、世界中の何千もの多様な業種と市場の企業に接近できる絶好の機会をわが社に与える”。

Constellation Researchでエンタープライズのコラボレーション分野の注視を続けているAlan Lepofskyは、この売却が、IBMがこのところ疎遠にしてきたソフトウェアにとって再出発の機会になる、と見ている。“IBMの最近の10年間に比べると、HCLはNotes/Domino にもっと本格的な関心を持っている。今後積極的に投資して、ブランドの若返りに努めるだろう”、と彼は語った。

Lepofskyによると、NotesとDominoを古いと感じる人も多いと思われるが、実際にはさまざまな企業で現役で使われている、とくに多いのがEMEA(Europe, Middle East and Africa)ヨーロッパ中東アフリカとAP(Asia Pacific)アジア太平洋地域だ、という。

彼によると、今回の売却によってIBMはコラボレーションの分野から完全に手を引くことになった、という。“IBMのコラボレーションは終わりだ。いち抜けだ”、と彼は言う。

IBMは今、独自のクラウドビジネスを開発中だから、それとNotes/Dominoは方向性が違いすぎる。10月のRedHat買収が示すように、同社はプライベートとハイブリッドのクラウドをサービスとプロダクトのメインに据える気だから、Lotus NotesやDominoのような古顔の出番はなくなってきた。

この売買を規制当局が承認し、完了するのは、来年半ばと予想されている。

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Huaweiの孟晩舟CFO、逮捕容疑は詐欺――アメリカで有罪なら実刑30年の可能性

カナダのバンクーバーで12月1日に逮捕されたHuawei(華為)の孟晩舟(Meng Wanzhou)CFOに対する保釈審理が今日(米国時間12/7)開かれた。検察側はここでいくつか新しい主張を行った。

孟はHuaweiのファウンダー、 任正非(Ren Zhengfei)の娘だが、保釈審理をその場で取材したジャーナリストのツイートによれば、30年の実刑を言い渡される可能性がある。 アメリカ司法省は孟がHuaweiの秘密の子会社SkyComにアメリカの制裁措置に違反するイランとの取引を実行させた疑いを持っている。このとき、制裁を免れるためにアメリカの金融機関に虚偽の事実を告げたという。

アメリカ当局とHuaweiとの関係はオバマ政権の2016年当時から緊張を加え始め、近年の対中貿易戦争によって一層高まっていた。アメリカは以前からHuaweiと中国政府の極めて密接な関係を国家安全保障に対する脅威と見ていた。国家経済会議のラリー・クドロー委員長は今日のCNBCの番組に出演し、アメリカはHuaweiに対して以前から警告を繰り返していたと述べた。

対イラン経済制裁に関連してわれわれは(Huaweiに)いくども警告してきた … アメリカはイランに経済制裁を課している。イランはわれわれわの政策に反した行動を行っている。アメリカが制裁を課するのは当然だ。…ただしこの(逮捕)がトランプ大統領が決定した90日間の(対中制裁の)延期に影響を及ぼすとは思わない。

カナダ司法省は今日の審理で「カナダから逃亡するおそれがある」として保釈に反対した。孟CFOの弁護士は「彼女は裁判所の命令に違反して父親の顔に泥を塗るようなことはしない」と述べたとAPは報じている。

孟のアメリカへの引き渡しを認めるかどうかの審理は数週間から数ヶ月かかる可能性がある。アメリカ司法省はカナダの裁判所に対し60日以内に正式な引き渡しを申し立てる行う必要がある。

TechCrunch 孟の逮捕後、 TechCrunchの取材に対し、Huaweiは「当社はMs. Meng.がなんらかの違法行為に関与しているとは考えていない」と回答している。

CNBCによれば、中国政府外交部(外務省)は孟容疑者の釈放を強く要求しており、広報担当官は「関係者の本来的な人権を有効に保護するためのさらなる措置」が早急に必要だと述べた。

Huaweiは中国の深セン(Shenzhen)に本拠を置く世界最大のテレコム機器メーカーであり、スマートフォン・メーとしても2位だ。

Huaweiにコメントを求めているがまだ回答を得ていない。

画像:Bloomberg / Contributor

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滑川海彦@Facebook Google+

AWSはアグレッシブに世界制覇を目指す――エンタープライズ・コンピューティングで全方位路線

eコマース企業のちょっとしたサイドビジネスとして始まったAWSだったが、目をみはるような拡大を続け、今や通年換算270億ドルという怪物的存在となっている。しかもまだ前年比45%という成長率を維持している。先週ラスベガスで開催されたre:InventカンファレンスでAWSの経営トップの話を聞いたが、こうした大成功に安住しそうな気配は全くなかった。その逆に、AWSはエンタープライズ・コンピューティングのあらゆる分野に覇権を打ち立てようと全力を挙げているという強い印象を受けた。

急速な機能拡張は永遠に続けられるものではあるまい。しかし今のところAWSが拡張の手を緩めるようすはない。新機能の発表に次ぐ発表が続いている。これらはユーザーの要求に応えるものという建前だが、仔細に検討するとライバルに対する回答という面も見えてくる。

ライバルを叩き潰せ

去年までAWSはOracleに向けて多少嫌味を言うことはあったにせよ、競合他社への言及はできるだけ避けてきた。しかし今年のキーノートではライバルへの対抗心がアップしていた。AWSのCEO、アンディー・ジャシー 、AmazonのCTO、Werner Vogelsはデータベース市場で最大のライバルとなるOracleをはっきり批判した。もちろんクラウド市場ではOracleはさしたる脅威にはならない

しかしAWSはオンプレミスのコンピューティングというOracle自身の市場でシェアを奪おうとしている。Outpostsという新しいシステムが武器だ。ユーザーはAWSが用意する専用のラックマウントのサーバーを利用してオンプレミスでAWSの環境を利用できる。ユーザーはVMwareのサーバーを利用することもできる。これはむしろラリー・エリソンがOracleのために構想しそうなシステムだが、ジャシーは特にOracleその他のライバルを念頭に置いたものではないとした。「Outpostsは別にライバルへの警告射撃といったたぐいのものではない。われわれのすることはすべて顧客の要望によりよく答えようとするものだ」とジャシーは先週の記者会見で述べた。

先週のAWS re:Inventでの記者会見で質問に応えるAWSのCEO、Andy ジャシー

とはいえ、AWSはOracleに対する批判を手控えはしなかった。またMicrosoft SQL Serverを槍玉に挙げると同時に、 Amazon FSx for Windows File Serverを発表した。これはMicrosoftのファイルをAWSで処理する専用ツールだ。

InferentiaとElastic Inferenceの発表に際してGoogleについても言及した。AWSはAI市場をGoogleのTPUインフラに独占させないという決意のようだ。こうしたツールやシステムは単に「ユーザーの要望に答えた」というには大掛かり過ぎる。おそらくはライバル各社にAWSはエンタープライズ・コンピューティングのあらゆる分野に参入することを宣言する意図があったに違いない。

ますます成長するとの予測

クラウド・コンピューティング市場は劇的なスピードで成長中だ。AWSはそのマーケット・リーダーとして市場制覇のために絶好の位置につけている。Googleのダイアン・グリーンやOracleのラリー・エリソンも述べていたが、ジャシーは「クラウド化はまだ始まったばかりだ」と強調した。エンタープライズには今後クラウドに移行すべきプロセスがきわめて多く残っているとしてジャシーは次のように述べた。

アメリカ市場における私企業、公的セクターのいずれを見ても、エンタープライズ・コンピューティングのクラウド化はごく初期段階にある。しかもアメリカ以外の市場の現状はアメリカに1年から3年遅れている。つまりメインストリームの大企業は業務を本格的にクラウドに移行させる計画をようやく立て始めたところだ。

Moor Insights & Strategyのファウンダー、プリンシパル・アナリストのPatrick Moorheadは、AWSは市場における現在の強力な立場を活かして異なる分野に事業を拡張していくだろうという。MoorheadはTechCrunchの取材に対し、「Google Cloud PlatformやOracle Cloudを始め、他の企業では手に余るような事業に進出する規模がAWSには十分にある。.AWSは数千にもにも及ぶ新機能、新サービスを導入することでこれを実証している。これは十分なりソースを欠いているクラウドには逆風となり、中長期的には脱落する企業も出てくるだろう」と述べた。

ただしイノベーションは現在のような熱狂的なペースで永久に続くわけではないとMoorheadは考えている。「クラウド化にともなうユーザーの要求の95%が満足させられる状況になるのはいつだろうか? そうなれば現在のようにしゃにむにイノベーションが求められることはない。どんなマーケットであれ、かならずこの水準に達するときが来る。だから正しい質問は『もし』ではなく『いつ』だ」という。

しかしもちろん衛星通信の地上局サービス AWS Ground Stationのようなまったく新しいクラウド化の分野は今後も出てくるだろう。 従来のエンタープライズ・コンピューティングの枠を超えてクラウド化事業を構想できる能力は重要だ。AWSはこれまでわれわれが想像もしなかったようなクラウド事業の分野を創造してくるかもしれない。

今年のre:Inventはオンプレミスであろうがクラウドであろうが、AWSはエンタープライズ・コンピューティングのあらゆる分野に進出する意思も能力もあることを世界に示すものとなった。AWSはどの分野であれライバルに譲るつもりはまったくないようだ。

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滑川海彦@Facebook Google+

AWSがマネージドKafkaサービスをローンチ、難しいセットアップや管理からデベロッパーを解放

Kafka(Apache Kafka)は、データストリームの入力を〔緩衝バッファ的に〕扱うオープンソースのツールだ。しかし強力なツールだけに、そのセットアップや管理は難しい。そこでAmazonのAWSは、Kafkaの難易度を下げるために、管理をAWSが担当するクラウドサービスとしてのKafka、Amazon Managed Streaming for Kafkaをローンチした。長い名前だけどこれは、AWS上で完全に管理される可用性の高いサービスだ。今それは、公開プレビューで提供されている。

AWSのCTO Werner VogelsはAWS re:Inventのキーノートで、従来のKafkaユーザーはクラスターをAWS上にセットアップするために重労働をし、またスケーラビリティもエラー処理も自分で面倒見なければならなかった、と述べた。“失敗するたびにクラスターとメインノードのすべてをリスタートするのは悪夢だった。そんな重労働を、AWSなら肩代わりできる”、と彼は言う。

AWSには、Kafkaと似たようなストリーミングデータの入力ツールKinesisがある。しかし現状では、Kafkaを使っているアプリケーションの方が圧倒的に多い。そういうデベロッパーをAWSがユーザーとして維持しあるいは取り込むためには、マネージドKafkaが絶好の誘導路だ。

例によってAWSのサービスは料金体系が複雑だが、Kafkaのベーシックなインスタンスは1時間21セントからスタートする。しかしインスタンスが一つだけという使い方はあまりないので、たとえばKafkaブローカーが三つで大きなストレージなどが付くと、月額500ドルはゆうに超えるだろう。

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AWSがサーバーレスLambdaの機能を多様化、複数のプログラミング言語をサポート

AWSは2015年にLambdaをローンチし、それによってサーバーレスコンピューティングが広く利用されるようになった。ユーザーはイベントトリガーとなるコードを書き、それを動かすための計算処理やメモリ、ストレージなどの手配はすべてAWSが担当する。今日(米国時間11/29)ラスベガスで行われたAWS re:Inventで同社は、Lambdaをもっとデベロッパーフレンドリーにするいくつかの新しい機能を発表した。サーバーレスは複雑性を減らしてくれるが、でもそれが成熟するためにはより高度なツールが必要なのだ。

デベロッパーは、コードは書くけどその実行に必要なサーバーの心配はしない。だからサーバーレスと呼ばれる。すべての面倒をクラウドベンダーが見てくれて、イベントの実行に必要なリソースの手配をすべて行なう。デベロッパーは、インフラストラクチャまわりのコードを書く必要がなくなり、アプリケーションが仕事をするために必要なコードだけを書けばよい。

AWSのやり方は、とにかく最初に何かをベースサービスとしてリリースし、顧客の利用とともに要求が増えてくると、サービスの機能を増やしていく。AmazonのCTO Werner Vogelsが木曜日(米国時間11/29)のキーノートで指摘したように、デベロッパーたちはツールについてよく議論をするが、それを聞いていると、誰もが自分の仕事のためにほしいツールのアイデアを持っていることが分かる。

そこで最初に同社は言語に着目して、新しい言語のサポートを導入した。たとえばRubyを使っているデベロッパーは、これからはRuby Support for AWS Lambdaを使って、“LambdaのファンクションをRubyに合ったコードで書き、それらをAWSの上で実行できる。Ruby用のSDKはLambdaの実行環境にデフォルトで含まれている”、とAWSのChris Munnsが、この新しい言語サポートを紹介するブログ記事で述べている。

C++派の人たちのためには、C++ Lambda Runtimeが発表された。また、これら以外の言語のためには、Lambda Runtime APIが新たに用意された。AWSのDanilo Pocciaはブログ記事でこれを、“ファンクションの開発に、さまざまなプログラミング言語やその特定のバージョンを使えるための、シンプルなインタフェイスだ”、と説明している。

またIDEに関しては、PyCharm, IntelliJ, そしてVisual StudioのサポートがLambdaに導入された(現状はプレビュー)。

AWSは、言語とIDEのサポートだけで満足していない。たしかにLambdaは(一般的にサーバーレスは)デベロッパーのためにあるレベルまでの複雑性を取り去ってくれるが、でもサーバーレスのアプリケーションは簡単なイベントトリガーだけではない。より高度なサーバーレスアプリケーションでは、システムレベルの要素を持ち込んだり、複数の部位をまとめたりしなければならない。Vogelは今日のキーノートで、このことを指摘した。

そこで複雑高度なサーバーレスアプリケーションのためにAWSが導入したのが、Lambda Layersだ。それは、彼らの説明によると、“複数のファンクションが共有するコードとデータを管理する方法”だ。それは複数のファンクションが使用するカスタムコードでもよいし、ビジネスロジックを単純化するためのコードを共有するような場合でもよい。

Lambdaの成熟と共に、デベロッパーの要求もうるさくなる。今回のさまざまな発表は、それらのニーズに応える努力の一環だ。

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ユーザーが自分のクラウドの正しい使い方をチェックできるAWS Well Architectedツール

2015年からAWSは、システム設計のチームを顧客元へ派遣して、彼らのAWSの使い方の正否をチェックしてきた。今日(米国時間11/29)同社が発表したツールWell Architectedを使うと、顧客はそのチェックを、自動化された方法で自分でできるようになり、人間コンサルタントの助力が要らなくなる。

AmazonのCTO Werner Vogelsがラスベガスで行われたAWS re:Inventのキーノートで述べたように、同社社内の人間チームが何千もの顧客のニーズに対応して、彼らのAWSベストプラクティスをチェックすることは困難である。資格を与えた複数のパートナーの起用も試みたが、それでも需要の大きさには対応できなかった。

そこで、いかにもAWS的なやり方として同社は、顧客が自分で、オペレーションやセキュリティ、信頼性、費用の最適化、性能効率などを測定できるサービスを作ることにした。顧客はこのツールを自分が使っているAWSサービスに対して動かし、上記5つのチェック項目に関する完全な測定レポートを得ることができる。

AWSのチーフエヴァンジェリストJeff Barが、このサービスを紹介するブログ記事でこう言っている: “これは、あなたがクラウドを確実に正しく、そして上手に使うためのツールだ”。

人間がユーザーのシステムを分析するのではなく、ユーザーが一連の質問に答えていくと、その答に基づいてレポートが生成される。そのPDFのレポートには、ユーザーの現状に応じた勧奨事項がすべて書かれている。

画像提供: AWS

人間コンサルタントとの会話に比べるときめ細かさに欠けるのでは、という疑念もあるが、これをもっと詳細な問題解決に向けてのスタートラインと考えてもよい。サービスは無料だから、ユーザーが費用的に失うものはないはずだ。

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紙の帳票のデジタル化に今でも使われているOCRをやや賢くするAmazon Textract

ほとんどの企業が困ってることのひとつが、各種の伝票をはじめ、いろんな書式(フォーム, form)をデジタル情報に変えて、保存したりソフトウェアで処理したりすることだ。よくあるやり方は、人間の事務職員がコンピューターにデータ入力すること。最新技術を使う方法としては、OCRに書式を自動的に読ませるやり方がある。

しかしAWSのCEO Andy Jassyに言わせると、OCRは要するに無能な読み取り機にすぎない。それはテキストのタイプなどを認識しない。それを変えたいAmazonは今日(米国時間11/28)、Amazon Textractという、ややお利口なOCRツールを発表した。これなら書式上のデータを、もっと使いやすい形でデジタル化してくれそうだ。

Jassyが例として見せたのは、表のある書式だ。通常のOCRは表を認識しないから、表の各欄の枠を超えて、ひとつのテキストとして読み出す。Textractは、表などの、よく使われる成分を認識して、妥当な形でデータを取り出す。

Jassyによると、書式はよく形が変わるので、OCRの無能を補うためにテンプレートを使っていても、形が変わるとテンプレートは役に立たない。一方Textractは、よく使われるデータタイプ、たとえば社会保障番号、誕生日、住所などなどを知っているので、それらがどんな形で収まっていても正しく解釈できる。

“Textractには、この形の文字集合なら誕生日、これなら社会保障番号、等々と教えてあるので、書式が変わってもそれらを見逃さない”、とJassyは説明した。

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AWSのクラウドをそのままオンプレミスのデータセンターに持ち込むAWS Outposts

AWSはつねに純粋なクラウドベンダーだったが、ときにはハイブリッドにも目を向け、そしてこれからはそれを全面的にサポートする気だ。今日同社はVMwareと共に、AWSをデータセンターに持ち込むためのオプションを発表した。

えっ?企業のデータセンターにAWS?…そう、そのとおり。これからは、あなたの会社のデータセンターにAWSを置ける。AWSのハードウェアを使用し、設計もAmazon本体のAWSとまったく同じになる。そのために、AWS Outpostsの二つのプロダクトを利用する。

二つとは、「VMware Cloud on AWS Outposts」と「AWS Outposts」だ。最初のは、VMwareのコントロールパネルを使う。そして後者は、AWSのクラウドで使われているのと同じAWS APIを使って計算処理やストレージをオンプレミスで動かす。

実際にre:InventのステージにはVMwareのCEO Pat GelsingerとAWSのCEO Andy Jassyが一緒に立って、共同発表を行った。両社はかなり前から協働して、AWSのクラウドへVMwareを持ち込む作業を続けていた。しかし今回の発表ではそれが逆になり、AWSのクラウドをオンプレミスに持ち込んでVMwareと併用する。どちらの場合も、AWSはそのハードウェアをユーザーに売り、お望みならインストールもするし、メンテナンスも担当する。

これは、クラウドのビジョンをひたすら追うAWSにとって、後れていた分野だ。データセンターに戻るなんて! でも近年の暗黙の了解としては、近未来の顧客は両方の場所での運用を望むのだ。

この発表は、同社のクラウドネイティブ的ビジョンを拡張するものでもある。月曜日(米国時間11/26)に同社は、Transit Gatewaysを発表したが、それは、クラウドやオンプレミスなど、いろんなところにあるネットワークリソースを一元的に管理する仕組みだ。

そして今回AWSは、そのクラウドをオンプレミスに持ち込む。それは、MicrosoftやCanonical、Oracleなどなどが前からやっていたことだ。

なお、今日の発表は公開プレビューであり、本番のリリースは来年後半になるようだ。

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〔outpost, 前進基地。Amazonにとっての前進基地だ。〕

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AWS Transit Gatewayは多種多様なリソースを単一のネットワークトポロジーの下に収めてアクセスと管理を容易化

AWSのデベロッパーカンファレンスre:Inventで今夜(米国時間11/26)、AWS Transit Gatewayと呼ばれるツールが発表された。それはユーザーがAWSの中にネットワークトポロジーを構築して複数のアカウントのリソース共有し、オンプレミスとクラウドのリソースを単一のネットワークトポロジーの中へ一元化する。

Amazonにはすでに、Amazon Virtual Private Cloud(VPC)と呼ばれる人気のプロダクトがある。顧客はこれを使って、自分のアプリケーションのプライベートなインスタンスを作れる。一方Transit Gatewayでは、複数のVPCs間の接続を構築できる。それはこれまで、相当面倒な作業だった。

AWSのグローバルインフラストラクチャとカスタマーサポート担当VP Peter DeSantisの説明によると、ユーザーはAWS Transit Gatewayにより中央集権的に管理されるゲートウェイに接続でき、その単一のコントロール集合を駆使して、ネットワークを容易にそして迅速に成長させられる。

図表提供: AWS

DeSantisによると、このツールはAWSとオンプレミスの両ネットワークを横断する能力をユーザーに与える。“ゲートウェイはイノベーションの一つの方法であり、それにより顧客は、安全で管理しやすい単一のネットワーキングをオンプレミスとAWSクラウドの両方にまたがって持つことになる”、と彼は説明する。

さまざまなリソースが標準的な種類のネットワークトポロジー上にあるかぎり、それらのリソースがどこにあろうとも、AWS Transit Gatewayによりそれらに一つのネットワークとして接続できる。“AWS Transit Gatewayを使ってハブ-アンド-スポーク型(車輪の中心とそこから放射状に張り出されたスポーク)のネットワークを構築できる。そこには、既存のVPCsやデータセンター、リモートオフィスなど何でも接続できて、そのネットワークルーティングやセキュリティを完全にコントロールできる。そのVPCsやActive Directories、共有サービス、そのほかのリソースなどが、複数のAWSアカウントに広がっていてもよい”。AmazonのJeff Barrが、この機能を発表するブログ記事にこう書いている。

長年、AWSといえばクラウドであり、ユーザーのクラウドリソースを管理するサービスを提供してきた。それはAWSのようなクラウドだけの企業にとっては十分だが、顧客は多種多様であり、インフラストラクチャやソフトウェアがオンプレミスやクラウドなど、いろんなところに散在している企業も少なくない。それらを、仮想的に単一のネットワークトポロジーとして扱えるようにするのが、AWS Transit Gatewayだ。

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Red Hatがハイブリッドクラウドのデータ管理サービスNooBaaを買収

Red Hatは今、340億ドルという巨額でIBMに買収されようとしているが、それが完了していない現時点でRed Hatは、独立企業としての買収を行っている。同社の今日(米国時間11/27)の発表によると、買収したのはテルアビブの初期段階のスタートアップNooBaaで、ここはエンタープライズのデータ管理を助け、単一のAPIによりさまざまなデータプロバイダーに容易にアクセスできるようにする。

最近のRed Hatは、エンタープライズによるハイブリッドクラウドおよびマルチクラウドの管理の支援を強調しているから、NooBaaの技術はその指向性によく合っていると言える。NooBaaの中核的なサービスはさまざまなデータサイロの一元化なので、Red Hatのポートフォリオの一員として適している。OpenShiftとOpenShift Container Platform、およびストレージサービスCeph Storageを抱えるRed Hatは、今すでに、幅広いハイブリッドクラウドツールを提供している。

Red Hatでストレージとハイパーコンバージドインフラストラクチャのゼネラルマネージャーを担当しているVP Ranga Rangachariが、今日の発表でこう述べている: “NooBaaの技術はわれわれのポートフォリオを拡張し、今日のハイブリッドおよびマルチクラウドの世界でデベロッパーのニーズを満たすわれわれの能力を強化する。同社の9名の技術チームをRed Hatにお迎えすることは大きな喜びであり、今後は共に、オープンなハイブリッドクラウド技術の指導的プロバイダーとしてのRed Hatを、より強固にすることに取り組んでいきたい”。

Red Hatの技術は、そのほとんどが実質的にオープンソースだが、NooBaaのコードは違う。しかしNoo Baaの計画では、しかるべきときに同社の技術をオープンソースにする予定だ。ただしその明確な日程等は、まだ未定だ。

NooBaaは、2013年に創業された。同社はこれまで、Jerusalem Venture PartnersやOurCrowdからある程度のベンチャー資金を調達しており、またAkamai Capitalからの戦略的投資も得ている。そのラウンドの規模は公表されていないし、また今回の買収の価額等も非公開だ。

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AWSのGlobal Acceleratorはアプリケーショントラフィックのグローバルネットワーク上の最適ルートを見つける

AWSの顧客は、さまざまな理由で複数のゾーンでアプリケーションを動かさなければならない場合が多い。理由としては、パフォーマンスの要求もあるだろうし、各国の規制の問題や、フェイルオーバーの管理もあるだろう。その理由が何であれ、AWS今夜(米国時間11/26)、顧客が複数のリージョンにまたがってトラフィックを容易にルートできるためのツールGlobal Acceleratorを発表した。

AWSのグローバルインフラストラクチャとカスタマーサポート担当VP Peter DeSantisが月曜の夜AWS Re:Inventで説明したところによると、AWSの顧客のトラフィックはすでにAWSの大きなネットワーク上を流れており、顧客はAWSのDirect Connectを使ってアプリケーションのパフォーマンスを一定に保ち、AWSの複数のリージョン間で移動する場合もネットワークの変動がないようにしている。しかし彼によると、これまで欠けていたのは、AWSのグローバルなネットワークを使って彼らのアプリケーションを最適化する方法だ。

DeSantisはre:Inventの聴衆に向かってこう述べた: “今夜、AWS Global Acceleratorをみなさまに発表できることを嬉しく思っております。AWS Global Acceleratorによりみなさまは、AWSのグローバルなネットワークを利用してアプリケーションのパフォーマンスと可用性を容易に向上できます”。

説明図提供: AWS

DeSantisは曰く: “;みなさまの顧客のトラフィックはエンドユーザーから最寄りのAWSエッジロケーションへルートされ、そこから、渋滞のない、冗長性のある、可用性の高いAWSグローバルネットワークを渡っていきます。そのときAWS Global Acceleratorはパフォーマンスを上げるだけでなく、エラー隔離機能によりネットワークの健康状態やみなさまのアプリケーションの構成の異変に直ちに反応します”。

そのときネットワークのアドミニストレーターは、健康状態や地理的要件などのポリシーに基づいてトラフィックをルートでき、トラフィックはそれらのポリシーに基づいて行き先のゾーンへと自動的に移動していく。

AWSの計画では、課金は顧客が作るアクセラレータの数に基づいて行われる。“アクセラレータはAWSのグローバルネットワーク上でトラフィックを最適のエンドポイントへと差し向けるために作るリソースだ。通常は一つのアプリケーションにつき一つのアクセラレータをセットアップするが、複雑なアプリケーションが複数のアクセラレータを必要とする場合もある”、とAWSのShaun Rayが、この新しい機能を発表するブログ記事に書いている。

AWS Global Acceleratorは今日から、アメリカとヨーロッパとアジアのいくつかのリージョンで利用できる。

画像クレジット: Ron Miller

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LinkedIn、新たなプライバシー設定でメールアドレスのエクスポートを禁止

LinkedInのプライバシーにとっての大きな勝利は、つながりのある人のメールアドレスをエクスポートしたい企業やリクルーターなどにとっては大きな損失だ。LinkdInは新たなプライバシー設定を密かに導入し、ユーザーのメールアドレスを他人がエクスポートすることをデフォルトで禁止した。これで一部のスパムや、つながっていることに気づいていなかったどこかのユーザーが自分のメールアドレスをダウンロードして巨大なスプレッドシートに貼り付けるのを防ぐことができる。しかし、この新しい設定を警告もアナウンスもなく導入したことで、プロフェッショナルネットワーキングサイトに多大な投資をして、つながった相手と外部で接触しようとしていた多くのユーザーの怒りを買う可能性がある。

TechCrunchは読者からの情報で、LinkedInのアーカイブツールでデータをエクスポートしたときメールアドレスが取れなくなったことを知らされた。その後LinkedINは本誌に対してこれを認め、「これは新しい設定で、メンバーはLinkedInに登録したメールアドレスの管理を強化できるようになった。『メールアドレスの公開設定』という項目を見ると、新たに詳細設定項目が追加されて、もっとも強いプライバシーオプションがデフォルトになっていることがわかる。メンバーはこの設定を好みに合わせて変更できる。これでメンバーは自分のアドレスを誰がダウンロードできるかを管理できるようになる」

新しいオプションは、設定とプライバシー -> プライバシー -> メールアドレスの公開設定の中にある。ここの「つながりがデータをエクスポートする際にメールnobuo.takahashi@nifty.comのダウンロードを許可しますか?」の トグルがデフォルトで「いいえ」 になっている。ほとんどのユーザーはこれを知らない。なぜならLinkedInはアナウンスしていないから。 ヘルプセンターにメールアドレス公開範囲の説明が折り畳まれたセクションとして追加されただけであり、「はい」に変更する人は、そうする理由の説明がないのでほとんどいないだろう。つまり、今後LinkedInでエクスポートしたアーカイブにほとんど誰のメールアドレスもないことを意味する。つながりのあるユーザーは、プロフィール画面にくればメールアドレスを見ることができるが、まとめてダウンロードすることはできない。

Facebookは2010年にGoogleとデータポータビリティーについてき戦ったとき、メールアドレスのエクスポートに関して同じ結論に達した。Facebookはユーザーが自分のGmail連絡先をインポートすることを推奨したが、友達のメールアドレスをエクスポートすることは禁止した。同社は、ユーザーは自分のアドレスは所有しているが友達のアドレスは自分のものではないのでダウンロードできない、と主張した——しかしこのスタンスは都合よく、ライバルアプリがFacebookの友達リストをインポートしてソーシャルグラフを作ることも阻止した。私は、Facebookは友達リストをインターオペラブルにして、ユーザーが使うアプリを選べるようにすべきだと提唱した。これは、それが正しい道であると同時に規制を遅らせることにもなるからだ。

Facebookのようなソーシャルネットワークでメールアドレスのエクスポートを禁止する意味は理解できる。しかしLinkedInのようなプロフェッショナルネットワークでは、人々は知らない人たちと意図的につながっていて、エクスポートは常に許可されていたので、黙ってそれを変えることは正しいやり方とは思えない。おそらくLinkedInは、つながっている人が誰でもメールアドレスをかき集められるという事実に注目を集めたくなかったのだろう。昨今のソーシャル分野における厳しいプライバシー監視というメディア事情を踏まえるとそれも無理はない。しかし、LinkedInに依存する企業に多大な影響を与える変更を隠そうすることは、コアユーザーの信頼を失墜させる事態になりかねない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

MicrosoftはOffice 365をクラウド上の仮想デスクトップから提供、そのためにFSLogixを買収

9月にMicrosoftは、ユーザーがOffice365とその下のWindows 10オペレーティングシステムをクラウドで動かす仮想デスクトップを発表した。そのとき、それを支えるいくつかのパートナーも発表されたが、その一つ、ジョージア州アトランタの仮想デスクトップ企業FSLogixだ。今日(米国時間11/19)Microsoftは、FSLogixの買収を発表したが、買収価額は共有しなかった。

Microsoft Office 365の企業担当VP Brad Andersonと、Microsoft Azureの企業担当VP Julia Whiteが、今日のブログ記事でこう述べている: “FSLogixは次世代のアプリケーションプロビジョニングプラットホームであり、仮想化のサポートに必要なリソースと時間と労力を節約できる”。

9月に仮想デスクトップを発表したときMicrosoftが挙げたパートナーは、Citrix, CloudJumper, Lakeside Software, Liquidware, People Tech Group, ThinPrint, そしてFSLogixだった。どうやら同社は、その一つは同社自身による保有が必要と考えて、FSLogixを買収したのだ。

Microsoftは、FSLogixのソリューションを自社のサービスにすることによって、より良い仮想デスクトップ体験を顧客に提供でき、とくに Office 365 ProPlusの顧客には高いパフォーマンスと速いロード・タイムが可能になる、と考えている。

FSLogixのファウンダーでCTOのRandy Cookは、Microsoftとはすでに長年、良好に協働してきたから、この買収は有意義だ、と言う。Cookは、買収を発表するブログ記事でこう述べている: “Microsoftのいくつかのチームと協働を開始したが、最初の時点から、両者のミッションが完全にかみ合ってことを認識した。FSLogixとMicrosoftは共に、仮想デスクトップをデプロイすることによって企業に絶対的に最良の体験を提供することに、献身している”。

今では多くの企業が社員たちに、完全なスタンドアロンのPCではなく、ダムターミナルを与え、社員たちが必要とするツールだけを動かしている。Citrixは、そういうサービスを企業に提供している。社員たちは朝仕事を始めるときに、自分の認証情報でサインインし、仕事のために必要なツールを動かす仮想デスクトップを得る。そのMicrosoftバージョンでは、社員たちが得るのは、Azureの上で動くOffice 365とWindows 10だ。

FSLogixは2013年に創業され、Crunchbaseによればこれまで1000万ドルを調達している。Microsoftによると、今日の買収はすでに完了しており、先週のXoxcoの買収の発表に次ぐ発表だ。Xoxcoは、AIを利用する会話型ボットを作っていたオースチンのデベロッパーショップだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Googleは元Oracle幹部だったThomas Kurianに、クラウドビジネスの舵取りを託す

Diane Greeneは金曜日に、3年にわたって務めてきたGoogleのクラウドビジネスの責任者の地位を辞することを発表した。彼女の後継者であるThomas Kurianへの引き継ぎを助けるために、彼女は来年の頭までは留まる予定だ。KurianはOracleを9月の末に辞任しているが、Oracleには20年以上在籍していた。彼の責務はGoogleのクラウド部門をより企業向けなものにすることである。この目標へはこれまで同社はあまり上手く近付けていなかった。

Greeneは、Googleのクラウドビジネスに安定と企業向けの体質をもたらすために、2015年に着任した。彼女はその道筋にそった計画を押し進め、クラウドビジネスを成長させたが、結局十分な成果を挙げることができなかったのだ。Greeneが辞任を決める迄には、何ヶ月にも渡って、様々な不満が積み上げられて来ていた。

そのため、そのバトンが、Googleとはおそらく正反対性質の企業で20年以上を過ごしたKurianに渡されようとしているのだ。彼は、従来型の企業向けソフトウェア会社であるOracleで製品を担当していた。Oracle自身もまたクラウド企業に移行するために苦労してきた、しかし9月にブルームバーグがレポートしていたように、その当時Kuranが休暇をとっていた理由の1つは、Larry Ellison議長とのクラウド戦略上での意見の相違があったせいである。そのレポートによれば、KurianはAWSやAzure(そしてGoogle Cloud)といったパブリッククラウド上で、Oracleのソフトウェアを利用できるようにしたいと考えていたようだ。どうやらEllisonはそれに同意せず、その数週間後にKkurianは辞任を発表した。

Kurianのバックグラウンドは、Googleと完璧にマッチするものだとは見えないかも知れないが、彼の考えが進んでいたことは心に留めておくことが大切だ。また彼は数多くの製品を担当し、大切なOracleのクラウドへの移行を支援していた。彼は企業たちが望んでいる製品を上手に育成した経験があり、それこそが次のクラウドリーダーに対してGoogleが探していた知見なのかもしれない。

Constellation Researchの創業者兼主席アナリストのRay Wangによれば、Googleは企業支援についてまだまだ多くのことを学ばなければならない。そして彼はKurianがGoogleにそうした学びを行わせるための正しい人物だと信じているのだ。「Kurianは、クラウド会社が企業ユーザーたちにとって役立つためには、何が必要とされているかを知っています」とWangは語った。

もし彼が正しいとすれば、従来型の企業の幹部こそ、Googleがそのクラウド部門を企業向けの強固な組織に転換させるために求めていた人物だ。Greeneはずっと、クラウドとしてはまだ初期段階であり、Googleが未開拓の市場の一部を切り取るための時間ははまだ残されていると主張してきた。このことは金曜日の彼女のブログでも繰り返されたポイントだ。「クラウドの世界はまだ初期段階で、先々には巨大なチャンスが残されています」と彼女は書いている。

その点について、彼女は正しいのかもしれない。しかしマーケットシェアの位置付けは厳しさを増しているように見える。市場のトップを走るAWSは、大方の予測では、30%以上という巨大なマーケットシェアを握っている。Microsoftは現時点でAmazonに市場での強さで張り合える唯一の企業であり、Amazon以外で唯一の2桁の市場シェアを持つ企業でもある。事実として、Synergy Researchのデータによれば、Amazonは後続の4社を合わせたものよりも大きなマーケットシェアを握っている。

GoogleはAWSやMicrosoftと並んで、3大クラウド企業とは呼ばれているものの、およそ40億ドルの年間収益では、他の企業と同等のレベルに追いつくにはまだまだ時間が必要である。Greeneの主張にもかかわらず、勝つための時間は失われつつあるのかもしれない。おそらくKurianは、企業たちがより多くの作業負荷をクラウドに移行していく中で、未開拓の市場を手に入れる方向へGoogleを推し進める人物となるだろう。現時点では、Googleは彼がただそれを成し遂げることを期待しているのだ。

画像クレジット: Bloomberg
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(翻訳:sako)

Canonicalはまず外部資金の調達を初体験してから将来のIPOに備えたいという

【抄訳】
Mark Shuttleworthが自分の投資でCanonicalとそのUbuntuプロジェクトを創業してから14年になる。当時はもっぱらLinuxのディストリビューションだったが、今では同社はエンタープライズサービスの大手としてさまざまなプロダクトサービス提供している。これまではShuttleworth自身がプロジェクトに資金を提供し、外部からの資金には関心を示さなかった。しかし今、それが変わろうとしている。

Shuttleworthによると、最近の彼はIPOを真剣に考えるようになり、そこへのひとつの過程として外部投資家を求めている。同社が最近エンタープライズへとフォーカスを変え、Ubuntu Phone(Ubuntuブランドのスマートフォン)やデスクトップ環境Unityを廃棄したことは、誰もがすでにそう思っていたように、どれもそれに結びついていた。Shuttleworthは外部資金の調達を、その方向へ向かう一歩と見なしている。そうやって、会社を徐々に、上場にふさわしい形に整えていくのだ。

“第一段階は、未公開株式だろう。外部投資家を募り、取締役会に外部のメンバーができたら、報告義務も生ずるし、それらはIPOに向かうプログラムの一部になる。私が考えてきた手順としては、未公開投資家たちが求めていたことにまず応じてから、そのあと、上場へ向かうべきだ。両者は、まったく違う文化だからね”。

最近はよく目立つひげを生やしているShuttleworthは、前はこれ〔未公開外部資金〕にも反対していたし、そのことを彼自身も認める。“それは私に関する正しい性格付けだった、と私も思う。私は、自分の独立をエンジョイしており、自分で長期の経営を構想できることも好きだ〔四半期決算報告などの短期的義務が生じないこと〕。今でも自分にその能力があると感じているが、人の金に対して責任が生じるのもすごく良いことだ。それが自分の金でなければ、金の使い方もやや変わるだろう”。

【後略】
〔IPOの前段としての未公開株式投資に関しても、投資家、金額、スケジュール等すべて未定。現状は、すべてShuttleworthの頭の中の構想である。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

UberがLinux Foundationに加盟してオープンソースツールへのコミットを強化

Uberが今日の2018 Uber Open Summitで、同社がLinux Foundationにゴールド会員として加盟し、オープンソースのツールの利用と寄与貢献にコミットしていくことを発表した。

UberのCTO Thuan PhamにとってLinux Foundationは、同社がオープンソースのプロジェクトを育(はぐく)み開発していくための場所だ。“オープンソースの技術はUberの中核的サービスの多くを、そのバックボーンとして支えている。会社の成熟とともに、これらのソリューションはますます重要になっている”、と彼はLFへの加盟を発表するブログ記事で述べている。

意外なのは同社が参加したことでなく、それまでに要した年月の長さだ。Uberはかなり前から、その中核的ツールにオープンソースを多用していることで知られていたし、同社の資料によると、これまで320あまりのオープンソースプロジェクトとリポジトリに関わり、1500名のコントリビューターが70000あまりのコミットに関わっている。

Uberのスポークスパーソンは次のように語った: “Uberは何年も前から、オープンソースによる共有的ソフトウェア開発とコミュニティのコラボレーションに有意義な投資をしてきた。その中には人気の高いオープンソースプロジェクト、分散トレーシングシステムのJaegerへのコントリビューションもある。また2017年にはLinux Foundation傘下のCloud Native Computing Foundationに加盟している”。

Linux Foundationの事務局長Jim Zemlinも、Uberの加盟を喜んでいる。声明文に曰く: “彼らの専門的な技能や知識は、これからクラウドネイティブ技術やディープラーニング、データ視覚化など今日のビジネスにとって重要な技術の、オープンなソリューションを進めて行かなければならないわれわれのプロジェクトにとって、きわめて有益である”。

Linux Foundationは数多くのオープンソースプロジェクトがその傘下にある支援組織で、Uberのような企業がオープンソースのプロジェクトをコミュニティに寄与貢献しメンテナンスしていくための、組織構造を提供している。そしてその傘の下には、Cloud Native Computing Foundation, Cloud Foundry Foundation, The Hyperledger Foundation, そしてLinuxオペレーティングシステムなどの専門的組織が並んでいる。

これらのオープンソースプロジェクトをベースとして、コントリビューターの企業やデベロッパーコミュニティが改良やフォークを重ね、自分たちのビジネスに活かしていく。Uberのような企業はこれらの技術を使って自分のバックエンドシステムを動かし、サービス本体は売らないけどオープンソースのオープン性を利用して自社の将来の要求も満たしていく。その際はコントリビューターとして貢献することになり、取るだけでなく与える側に回る。

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企業のデータ保護とコンプライアンス充足をAIと機械学習で自動化するCognigoが$8.5Mを調達

AIと機械学習を利用して企業のデータ保護とGDPRなどの規制へのコンプライアンスを助けるCognigoが今日(米国時間11/13)、シリーズAのラウンドで850万ドルを調達したことを発表した。このラウンドをリードしたのはイスラエルのクラウドファンディングプラットホームOurCrowdで、これにプライバシー保護企業のProsegurState of Mind Venturesが参加した。

同社は、重要なデータ資産を護り、個人を同定できる情報が自社のネットワークの外に漏れることを防ごうとしている企業を支援できる、と約束している。そして同社によると、そのやり方は、専用システムのセットアップやそれらの長年の管理を必要とするような手作業の管理ではない。たとえばCognitoによれば、同社は企業のGDPRコンプライアンスの達成を、数か月ではなく数日で完了する。

そのために同社は、事前に訓練したデータ分類用の言語モデルを使用する。そのモデルは、給与明細や特許、NDA、契約書など、よくあるカテゴリーを検出するよう訓練されている。企業は独自のデータサンプルでモデルをさらに訓練し、その独自のニーズのためにモデルをカスタマイズできる。同社のスポークスパーソンは曰く、“唯一必要な人間による介入は構成だが、それは一日で済む作業だ。それ以外では、システムは完全に人手要らずだ”。

同社によると、新たな資金はR&Dとマーケティングと営業のチーム拡大に充てられ、目標は市場プレゼンスの拡張と製品知名度の向上だ。“弊社のビジョンは、顧客が自分のデータを利用して確実にスマートな意思決定ができ、同時にそのデータが継続的に保護されコンプライアンスを維持することだ”、と同社は言っている。

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