Google、クラウド・プラットフォームで機械学習サービスをベータ公開―衛星写真修正にも活用

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今朝(米国時間9/29)、サンフランシスコで開催された小さなイベントでGoogleはクラウド・コンピューティング・サービスを新しいプラットフォームに移行させることを発表した。このアップデートにはデータベース、アナリティクスに加えて機械学習サービスも含まれている。

今日の発表でGoogleが力を入れていたのは明らかに機械学習関係だ。機械学習は数ヶ月前から非公開のアルファ版としてテストされてきたが、Googleの機械学習インフラのボス、Urs Hoelzleは「今日からCloud Machine Learningは公開ベータ版としてすべての企業、教育機関から利用できるようになった」と発表した。

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このサービスではユーザーは機械学習モデルを独自のデータ訓練できる。データセットがテラバイト級のサイズであっても訓練には数時間しかかからないという。

Googleのクラウド機械学習には2つのサービスが含まれる。困難な問題に遭遇したユーザーはGoogleのMachine Learning Advanced Solutions Lab〔機械学習先進ソリューション・ラボ〕に解決法を尋ねることができる。またクラウド・スタート・プログラムは独自の課題の解決法を求める企業に対し、機械学習の基礎を学べるワークショップを提供する。

またGoogleはクラウドの各種専門家の認定制度もスタートさせており、 Googleが社内のエンジニア向けに開発したものをベースとした教育を受け、所定の基準を満たせばその証明を得ることができる。対象はGoogleのパートナー、ビジネス・ユーザー、データ・サイエンティストだ(ただし認定には誰でも応募できる)。

こうした仕組みを見れば、Googleは機械学習に触れる機会を広げることによって一般への普及を加速させようとしていることが明らかだ。もちろんGoogleのライバル、MicrosoftやAmazonなども同様の試みを行っている。しかし現在のところ機械学習でGoogleのような高い評価を得ている企業は他にほとんどない。

今朝のキーノートでHoelzleは「たとえベータ版であっても Google機械学習は信じられないほどの効果を発揮する」と述べた。このカンファレンスでGoogleは長い時間をかけてAirbusのようなパートナーがGoogle MLシステムを利用していかにプロダクトの改善に成功しているかを説明した。

同社のマネージド・データウェアハウスであるGoogle BigQueryもアップデートを受けた。たとえばユーザーは今後は標準的なSQLクエリーを用いてデータ検索を行うことができる。BigQueryを利用すれば、ユーザーは自社のビッグデータへのアクセスが容易になる。またGoogleは月額定額制のシンプルな料金制度を発表した。これには無制限のクエリー発行とサポートが含まれる。データの保存料金は別途サイズに応じて決定される。

サービス自体のアップデートの他に、Googleはユーザーへのサポートも改良している。ユーザー企業はGoogleのCustomer Reliability Engineering〔顧客信頼性エンジニアリング〕チーム(クラウド・プラットフォーム・グループ中の新組織)を利用できるようになった。これによりユーザー企業はGoogleのエンジニアと直接に共同作業を行うことができ、「クリティカルなクラウド・ソフトにおいて信頼性と運営の責任をGoogleと共有することができる」という。例えばGoogleのエンジニアはPokémon GOのローンチ時にNianticを直接サポートしたという。

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〔日本版〕Googleのブログによれば、記事中のパートナーはAirbusの子会社のAirbus Defense and Spaceで、雲などの衛星写真の欠陥を発見し、修正する作業の精度と効率を機械学習が大幅にアップさせたという。なおGoogleのクラウド・サービスの日本語ページはこちら

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ベンチャー資金―使い方を誤ればスタートアップの麻薬になる

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この記事はCrunch NetworkのメンバーのEric Paleyの執筆。PaleyはFounder Collectiveのマネージングディレクター。

この数年、巨額の金がスタートアップにつぎ込まれている。資金を集めるのが簡単でコストがかからないというのはもちろん有利だ。ファウンダーは単に多額の資金を得られるようになっただけでなく、以前だったら資金集めが不可能だった巨大なプロジェクトを立ち上げることができるし、中には実際ユニコーン〔会社評価額10億ドル以上〕の地位を得るものも出ている。

このトレンドの負の面については、「これはバブルだ」という議論が常に持ち出される。こうした警告は主として経済環境やビジネスのエコシステムのリスクに関するものだ。

しかしスタートアップのファウンダーが日々するリスクについての分析はめったに行われない。簡単にいえば、こういうことだ―より多くの資金はより多くのリスクを意味する。問題はそのリスクを誰が負うのかだ。物事がうまく行かなくなってきたときどのようなことが起きるのか? なるほど資金の出し手は大きなリスクを負う。しかしリスクを負うのはベンチャー・キャピタリストだけではない。

ベンチャー・キャピタルでファウンダーのリスクは増大する

短期的にみれば、ベンチャー資金はチームの給与をまかなうために使えるのでファウンダーが負う個人的リスクを減少させる。ファウンダーは開発資金を確保するためにクレジットカードで金を借り入りるなどの困難に直面せずにすむ。しかし、直感には反するかもしれないが、ベンチャー資金の調達は、次の2つの重要な部分においてリスクを増大させる。

エグジットが制限される

ベンチャー資金の調達はスタートアップのエグジット〔買収などによる投資の回収〕の柔軟性を奪うというコストをもたらす。またバーンレート〔収益化以前の資金消費率〕をアップさせる。実現可能性のあるスタートアップのエグジットは5000万ドル以下だろう。しかしこの程度ではベンチャー・キャピタリストにはほとんど利益にならない。ベンチャー・キャピタリストはたとえ実現性が低くてはるかに大型のエグジットを望むのが普通だ。

ベンチャー資金というのは動力工具のようなものだ。動力工具なしでは不可能が作業が数多くある―正しく使われれば非常な効果を発揮する。

巨額のベンチャーを資金を調達したことによって引き起こされた株式持分の希薄化に苦しむ起業家は非常に多い。巨額の資金調達は、実現性のあるエグジットの可能性を自ら放棄することを意味する。その代わりに、ほとんどありえないような低い確率でしか起きないスーパースター的スタートアップを作ることを狙わざるを得ない状態を作りだす。何十億ドルものベンチャー資金が数多くの起業家にまったく無駄に使われている。スタートアップに巨額の資金を導入しさえしなければ現実的なエグジットで大成功を収めたはずなのに、実現しない大型エグジットの幻を追わされた起業家は多い。.私のアドバイスはこうだ―実現するかどうかわからない夢のような将来のために現在手にしている価値を捨てるな。

バーンレートが危険なレベルに高まる

エグジットが制限されるだけでなく、ベンチャー資金の導入はバーンレートのアップをもたらすことが多い。 スタートアップのビジネスモデルが本当に正しいものであれば、バーンレートの増大は有効な投資の増大を意味する。ところが、スタートアップがそもそも有効なビジネスモデルを持っておらず、増大したバーンレートが正しいビジネスモデルを探すために使われることがあまりに多い。残念ながら正しいビジネスモデルは金をかけたから見つかるというものではない。そうなれば会社はすぐにバーンレートそのものを維持できなくなる。CEOは節約を考え始めるが、そのときはもう遅すぎる。すでにベンチャー・キャピタリストの夢は冷めており、熱狂を呼び戻す方法はない。

導入された資金はすべて持分を希薄化させるものだということを忘れてはならない。粗っぽく要約すると、スタートアップは資金調達後の会社評価額を2年で3倍にしなければならない。1ドル使うごとに2年以内に3倍にして取り返せるというか確信が得られないなら、そういう金を使うべきではない。というか最初からベンチャー資金を調達すべきではない。

繰り返すが、ベンチャー資金は動力工具だ。つまり使用には危険が伴う。しかし未経験な起業家はどんな夢でも常に叶えてくれる打ち出の小槌と考えがちだ。チェーンソーがなければできない作業は数多い。しかし間違った使いかをすれば腕を切り落とされることになる。

ベンチャー・キャピタリストには10億ドルのエグジットが必要―起業家はそうではない

10億ドルのエグジットはもちろん素晴らしい。しかし起業家は最初からそれを成功の基準にすべきではない。ユニコーンを探すのはベンチャー・キャピタル業界特有のビジネスモデルではあっても、スタートアップの成功はそういうもので測られるべきではない。

10億ドルのベンチャー資金の背後にあるビジネスの論理を簡単に説明しよう。

  • ベンチャー・キャピタリストが10億ドルのファンドを組成する。成功とみなされるためにはそれを3倍に増やさればならない。
  • ベンチャー・キャピタリストは30社に投資する。
  • ベンチャー・キャピタリストは10社についてブレーク・イーブン、10社について全額を失う。すると残りの10社は平均して3億ドルの利益をファンドにもたらす必要がある。。
  • ベンチャー・キャピタリストのスタートアップの持分は通常2割から3割だ(それより低いことも珍しくない)。このビジネスモデルでは、1社10億ドル以下のエグジットではベンチャー・キャピタリストにとって成功とはみなせないことになる〔10億ドルのエグジットならVCの利益は2-3億ドルとなる〕。

こういう仕組みがあるのでベンチャー・キャピタリストは10億ドルのエグジットを求める。10億ドルのエグジットがたびたび起きないことが事実であっても、大型ベンチャー・ファンドのビジネスモデルがそれを要求する。
単に10億ドルのレベルだけの問題ではない。ベンチャー・キャピタリストのビジネスモデルは2.5億ドルのエグジットについても同じことを要求する。

資金に洞察力はない―それは単なる金に過ぎない

おおざっぱに言って、スタートアップのエグジットは資金の元となったファンドの総額以上でなければベンチャー・キャピタリストにとって重要な意味があるとはみなされない。これはもちろん「尻尾が犬を振る」ような本末転倒だ。ベンチャー・キャピタリストはファウンダーに「ビッグを目指せ。でなければ止めろ」という非合理な行動をけしかけている。誰も表立って言わないが、「ビッグを目指せ。でなければ破滅だ」というのが裏の意味だ。

もしスタートアップが失敗したら―これは多くのスタートアップがたどる道だ―30社に投資しているベンチャー・キャピタリストはあとの29社に期待をつなぐことができる。しかし起業家には自分のスタートアップ以外に後がない。スタートアップを育てるために注ぎ込んだ努力と時間はまったくの無駄になる。つまりベンチャー資金の調達ラウンドでは、通常、資金の出し手より受け手の方がはるかに大きなリスクを負う。

もちろん一部のファウンダーにとってベンチャー資金は必須のものだ。しかし―フェラーリは確かに優れた車だが、普通の人間が家を抵当に入れてまで買う価値があるかは疑問だ。通勤やスーパーで買い物するためならトヨタ・プリウスを買うほうが賢明だろう。

エグジット額は見栄の数字

もしファウンダーの目標の一つに金を稼ぐことが入っているなら、エグジット額に気を取られるのは愚かだ。スタートアップを10億ドルで売却したにもかかわらず手元に残った利益は1億ドルで売ったときより少なかったということはしばしばある。

身近な例でいえば、Huffington Postは3億1400万ドルでAOLに売却され、ファウンダーのアリアナ・ハフィントンは1800万ドルを得たという。一方、TechCrunchのファウンダー、マイケル・アリントンは同じAOLにTechCrunchを3000万ドルで売却し、2400万ドルを得たと報じられた。ベンチャー・キャピタリストの立場からすればTechCrunchの売却は「大失敗」だ。ベンチャー・キャピタリストならマイケルに「そんな値段では売るな」と強く勧めただろう。ところがマイケル・アリントンはこの取引でアリアナ・ハフィントンより多額の利益をえている。

起業における練習効果

私がベンチャー・キャピタリストから何度も聞かされた議論は、ファウンダーはポーカーでいえばオールインで、全財産をつぎ込むのでなければスタートアップを成功させることはできないというものだ。これはもちろんナンセンスだ。スタートアップを10億ドルに育てるためにはまず1億ドルにしなければならない。起業家は一足飛びに10億ドルに到達できるわけではない。現金化のレベルに到達するまでにはさまざまな段階を踏まねばならない。次の1歩に集中していてもなおかつ、結局はスケールの大きいエンドゲームにたどりつくことはできる。

まだ実現してい将来のために現在を売り渡してはならない

これは本質的に重要な点だ。成功したとみなされるスタートアップを見てみるとよい。WayfairBraintreeShutterstockSurveyMonkeyPlenty of FishShopifyLyndaGitHubAtlassianMailChimpEpicCampaign MonitorMinecraftLootCrateUnityCarGurus and SimpliSafe等々。こうしたスタートアップはどれも最初から「10億ドルか死か」というような考え方と無縁だった。にもかかわらず、このリストには10億ドル以上の企業が多数含まれている。こうした企業はスタート当初はほとんど、あるいはまったくベンチャー資金を導入していない。プロダクトにニーズがあり、市場に適合していることが明らかになり、さらに需要な点だが、ファウンダーが企業を拡大するためにどのように資金を使ったらいいかわかるようになってからベンチャー資金を調達している。なかにはベンチャー資金に一切頼らなかったスタートアップもある。

上に挙げたようなスタートアップは最初の1日から資金の使い方が非常に効率的だった。こうしたスタートアップには上場したものもあるし、10億ドル以上の金額で大企業に買収された会社もある。私は外部資金に頼らない起業、いわゆるブートストラップを特に推奨するものではない。しかし資金を賢明に使って企業を育てたファウンダーのやり方には学ぶべき点が多々あるとはずだ。

賢いのは人間で、金ではない

私は10億ドル起業のファウンダーとなることを目指すこともできたかもしれないが、事実は起業した会社を喜んで1億ドルで売却した。スタートアップを10億ドルに育てることも1億ドルに育てることも同じくらいの確率で実現するという誤った思い込みをしている起業家が多すぎる。なるほど10億ドルでエグジットするというのはファウンダーの夢としてはすばらしい。しかし5億ドルのエグジットなら間違いなくホームランだし、1億ドルのエグジットは驚くべき成功だ。
5000万ドルのエグジットでも大勢の関係者の生活を一変させるようなインパクトがある。そもそも100万ドル程度の「はした金」の現金化でファウンダーには大きな影響がある。

要するに、エグジットの可能性を早まって売り渡してはならない。持分やオプションを売るのは、スタートアップの将来価値が現在よりはるかにアップするという確信が得られてからにすべきだ。いかに多額の資金を導入しても洞察力が増すわけではない。堅実なビジネスを宝くじの束などと交換してはならない。

会社をスケールさせる必要があるからといっても道理に合わない多額の資金を調達することはビッグ・ビジネスを作る道ではない。起業家は大きく考え、大きな夢を持つべきだ。ベンチャー・キャピタリストの助力を得ることはよい。だがベンチャー資金をステロイドのように使うのは致命的だ。「効率的なスタートアップ運営」をモットーにすべきだ。断っておくが、私は起業家は小さい会社を作るべきだかとか小さい問題だけを解決すべきだとか言っているわけではない。正しい理由があるならなんとしてもベンチャー資金を調達すべきだ。しかしベンチャー資金ラウンドの華やかな見かけのために将来を売り渡してはならない。ベンチャー資金はファウンダーの自由を奪い、不必要に高いバーンレートをもたらす可能性がある。

実は大部分のスタートアップにとってベンチャー資金の導入は正しい選択ではない。正しく使われればベンチャー資金はきわめて有効だ。しかし残念ながら、多くの起業家は正しい使い方をしていない。

画像:xijian/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

GitHubがプロジェクト管理ツールを内蔵へ、そして公式の多面的なレビュー過程をサポート

Workers install a billboard for GitHub Inc. in San Francisco, California, U.S., on Tuesday, Nov. 11, 2014. GitHub, which provides open-source code hosting services and has raised more than $100 million from investors, is among tech startups boosting demand for billboard space around Silicon Valley. Photographer: David Paul Morris/Bloomberg via Getty Images

GitをベースとするコードホスティングサービスGitHubは今日(米国時間9/14)、サンフランシスコでデベロッパーカンファレンスUniverseをやっている。年に一回の大会は新しい機能を発表するのにふさわしい機会だが、今回同社はそれを、“このプラットホームのこれまでで最大のアップデート”と呼んでいる。それらがどれだけ重要かは、各人のGitHubの使い方にもよるのだが。

チームで仕事をしている人にとっては、レビューの導入が最大のニュースだろう。これからはデベロッパーやメンテナーが、すべてのプルリクエストを公式に承認したり、変更をリクエストしたりできる。またレビューのサマリ(要約)を残したり、コメントをモデレート(司会調停)できる。ただし公式のレビューがなくても、インラインのコメントを残すことはできる。

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GitHubのCEOで協同ファウンダーのChris Wanstrathが、今日の発表声明で言っている、“これによって、一行のコードに関して複数の会話をサポートでき、個々のフィードバックループが明瞭になり、会話の質も上がり、良質なコードレビューが可能になる。しかしコードレビューは今後さらに、もっと敏速かつフレンドリーなものにしていきたい。今すでにこの機能の改良に取り組んでおり、その中には同僚などにレビューをリクエストする機能もある”。

また今回のアップデートでGitHubは、単なるコードを超えて、簡単な「かんばんボード」のようなプロジェクト管理機能を加えた。これまでもGitHubはさまざまなプロジェクト管理ツールの統合をサポートしていたが、これからはプルリクエストと一緒にカードを動かしたり、カラムのあいだに“やってます”、“やりました”、“できません”などなどの注記を入れられる。Trelloなどのように、カードをドラッグ&ドロップで別のカラムへ移動できる。

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今日のアップデートではさらに、GitHubのAPIが改良されて、たとえば、サードパーティのサービスが自分のサービスをGitHubに容易に統合できるようになった。また、新しい機能やAPIは、一般公開の前に“試用サービス”が提供される。

そしてエンタープライズユーザーは、ひとつのアカウント上のすべてのメンバーに二要素認証を強制できる。SAMLベースのシングルサインオンもサポートする、と言っているが、その日程は明言されなかった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

iOS 10、今日からいよいよ一般公開―Appleはアプリ開発の再活性化を目指す

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AppleがいよいよiOS 10を一般公開した。iOSの「歴史の中で最大のアップデート」だという。読者はアップデート内容についてすでに聞いたことがあるかもしれない。新しいiOSは数ヶ月前からベータ版として入手可能だった。またAppleは新バージョンの変更点をきわめてオープンにしてきた。主な変更点はソフトウェアのダウンロードの際にも表示されるので、ここではiOS 10特有の新しいユーザー体験を紹介したいと思う。

私はメインのiPhoneに6月にiOS 10ベータをインストールし、この夏中利用してきた。今日からiOS 10は正式版としてアップデート可能だ(無料)。まず目につくのは大量の新しい絵文字かもしれない。「新しい絵文字」と聞いて大勢のユーザーが「設定」に殺到してiOSのアップデートを試みている様子が想像できる。絵文字の追加は新OSのインストール率をアップする戦術としてたいへん巧妙だった。

アプリの新しいエントリーポイント

しかし絵文字はどちらかといえば飾りであり、iOS 10の本当の価値は目につきやすい飾りの背後に隠されている。iOS 10をインストールしたとき、私は3つの変更点に気づいた。まずデバイスを取り上げると自動的にスリープから復帰する。ボタンを押す必要がない。ホームボタンがロックスクリーンにある新しいデバイスの場合はその役割は異る。ユーザーはTouch IDを起動するためにロックスクリーン上のホームボタンを押す必要がある。さらに重要な点だが、ロックスクリーン自体がゼロから作り直されている。

壁紙を覆い隠すようなプッシュ通知は姿を消した。iOS 10での通知はmacOSの場合にやや似た個別のバブル表示になった。それぞれのバブルに表示される情報は以前より多い。いちばんいいのはバブルを拡大できることだ。3D Touchの場合、通知バブルを「深く押す」と小さなアプリが開く。まだすべてのアプリがこの機能をサポートしているわけではないが、大きなポテンシャルだ。

Apple自身のアプリはサードパーティー・アプリのプラットフォームとなった

たとえばメッセージの一つを深く押すと小さなMessagesアプリが起動され、現在のメッセージ・スレッドが表示される。ユーザーはロックスクリーンを離れないままでチャットのやり取りができる。Messagesアプリを起動することなくほとんどの機能が利用できる。呼んだUberの位置を調べたい、 Instagram写真を見るなどのときにも便利だ。

同様に、ホームスクリーンから小さなウィジェットを呼び出すことができる。この場合もアプリを起動する必要はなしに天気予報を見たりカレンダーに登録したアポを確認したりできる。こうしたウィジェットを「今日」タブに追加する方法は従来どおりだ。しかし今後はホームスクリーンから直接内容を見ることができる。

次はエクステンションだ。Appleは大量のエクステンションをApp Storeに掲載している。ユーザーはSiriやメッセージ、電話などのアプリにエクステンションをインストールして機能を拡張できる。コントロール・センターに追加された新しい「ホーム」パネルについても同様だ。

この包括的な変更のおかげでユーザーは何かしようとするとき、それに適したアプリを探して起動するという操作が必要なくなった。つまりApple自身のアプリがサードパーティーのアプリを立ち上げるためのポータルの役割を果たす。

iOS 10ではSiriやWeChat使って友達への支払いなどさまざまなアプリを起動できる。。マップでは配車を頼んだり、レストランのレビューが読める。。電話アプリではSkypeなど他社製のVoIP通話がサポートされる。

私はこうした機能をすべてベータ版で実際に使ってきた。たしかにiOS 10はさまざまなアプリの使い勝手にApp Store始まって以來の最大の変化をもたらしそうだ。

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メッセージからメッセンジャーへ

Appleのメッセージ分野への参入は遅かったが、参入するからには徹底的なものとなっている。iMessages App Storeが用意され、メッセージ・アプリ自身がプラットフォームとなった。ユーザーはメッセージのやり取りで写真の上に手書きで図を描き、吹き出しを付加できるだけでなく、スクリーンいっぱいに風船を飛ばすようなエフェクトも送信できる。こうした新しいエフェクトを受け取ればユーザーは嫌でもその機能に気づき、別の友達に試してみるだろう。こうした口コミによる新機能の広がりはAppleが初めから計画したものだと思う。

さらに重要な点だが、私はメッセージ機能の追加されるさまざまなiMessageアプリの出来栄えに感心した。これまで友達とのコミュニケーションで専用アプリ内からやってきたことが、数ヶ月以内にiMessages Appから可能になるだろう。Citymapperの旅行日程を送る、チェスをプレイする、割り勘を精算する、スタンプをやり取りする、などなどがすべてメッセージ内からできるようになる。

こうした追加機能がすべてネイティブ・アプリなのが大きな利点だ。アプリとしてみるとWeChatもメッセンジャーもアプリとしては機能は限定されている。iOSとAndroidのメッセージ・アプリ開発にあたってデベロッパーはウェブ・アプリ開発のテクノロジーを流用している。

これに対してAppleは違うアプローチを選んだ。つまりiOSの場合、メッセージ・アプリを離れずに文書をScanbotでスキャンしてそのまま相手に送れる。この便利さが多くのユーザーにiPhoneを選ばせる理由だろう。

現在のiMessages App Storeはスタートしたばかりで、デベロッパーはその表面をわずかにひっかいたに過ぎない。メッセージにまったく新しい可能性が開けたといえる。

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App Storeの再活性化

スマートフォンの利用における「アプリ疲れ」は現実の問題だ。テクノロジー・ビジネスの人間は別として、私は新しいアプリをインストールするよう友達を説得することが事実上不可能になっている。誰もApp Storeで新しいアプリを探す気にならない。

AppleはApp Storeから大量の放置アプリを削除中―カビのはえたパンを食べる者はいない

私の結論はこうだ。iOS 10におけるAppleの真の狙いはApp Storeの再活性化だ。当面は小さい変化から始めているようだが、それでもアプリ登録のための審査時間は劇的に短縮された。またデベロッパーはアプリのプロモーションのために検索広告が利用できる。 Appleが放置アプリの削除にとりかかっているのカビのは、カビのはえたパンを食べる者はいないからだ。

iOS 10でAppleはさらにiMessage App Storeを新設し、メッセージ内に新しいアプリをインストールさせようと図っている。このいわばミニ版のApp Storeは従来のApp Storeよりはるかに見通しがよく、ユーザーを萎縮させないよう気が配られている。

iOS 10は新しいアプリ・プラットフォーム

まだiOS 10の新機能の紹介の半分も済んでいない。新しいフォト機能、新しいApple Music、新しいコントロール・センター、それにデフォールトのアプリが削除可能になったことなど、歓迎すべきアップデート満載だ。さらに数多くの巧妙な隠し機能があり、大勢のライターがテスト中だ。読者がiOS 10の技術的詳細に興味があるなら、ここ数ヶ月は読み物に困らないだろう。

私の結論はこうだ。AppleはモバイルOSを柔軟かつオープンなアプリ開発プラットフォームに変えることに成功した。ユーザーがアプリを探し、インストールし、利用する方法はiOS 10で根本的に変わるはずだ。この点はすぐには実感されないかもしれないが、長期的にはApp Storeを生まれ変わらせることになると思う。

〔日本版〕 日本語iOS 10のダウンロード、インストールはすでに可能。訳者のiPad Airでは特に問題なくアップデートが完了した。時間は再起動含めて20分程度かかった。万一の場合を考え、パソコンに接続するなどして事前にデータのバックアップを取っておくことが推奨されている。3D Touch未装備のデバイスの場合、ロックスクリーン上の通知バブルをスワイプすると従来どおりアプリが起動される。パスコードを設定している場合はここで入力が求められる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook チャットボット経由の支払サポートへ―Messenger Platform v1.2発表

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TechCrunch Disrupt SF 2016カンファレンスに登壇したFacebook Messengerの責任者、David Marcusが大きな発表をした。FacebookはこれまでMessengerボットの機能の最大の穴だとされていた部分を埋めた。ユーザーを他のサービスに送り出すことなく、Messengerボットは内部で支払処理が可能になるという。

デベロッパーは商品購入が可能なボットの開発において、ユーザーがすでにFacebook本体ないしMessengerに登録してあったのクレジットカード情報をその場で利用できるようになる。Messengerでのこうしたボット開発は限定的なベータテスト中だが、デベロッパーはFacebookに参加を申し込むことができる。

Marcusは4月にスタートしたこのプログラムに3万4000のデベロッパーが参加し、3万のボットが開発されたことを明らかにした。5月にはデベロッパーが1万、7月には開発されたボットの数が1万1000だった。

Messengerを利用した支払を助けるため、Marcusによれば、FacebookはStripe、PayPal、Braintree、Visa、MasterCard、American Expressを始め、支払サービス業界における主要なプレイヤーすべてと協力して作業中だという。

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Disrutpでの壇上インタビューでMarcusはMessengerのユーザーが10億人に達したと述べた。もっともこれにはFacebookのメインのアプリからMessengerを独立させ、ユーザーにこのアプリのインストールを強制した効果があるかもしれない。またMarcusとCEOのマーク・ザッカーバーグが親密な関係にあることも影響しているだろう。200ヶ国で利用されるようになったチャットボットだが、リリース当初にはつまづきもあった。

FacebookがチャットボットののプラットフォームとしてMessengerに賭けていることを証明するために、Marcusはあらゆる種類のニュースフィード広告がチャットボットを利用でき、ユーザーはボットを友達と共有できるようになることを発表した。またまたボットを経由するやり取りがすべて文字列である必要はない。デベロッパーは自らのウェブサイトのページをチャットボットのインターフェイスに組み込むことができる。たとえば、フライト情報を表示してスクロールさせる、各種のメディアのコンテンツを見る、あるいはチャットのウィンドウを離れずに簡単なゲームをプレイすることもできる。

これらはすべての機能は今日(米国時間9/12)ローンチされたMessenger platform v1.2に含まれている。Marcusによれば「スレッド内でデベロッパーはユーザーの身元情報が利用できるだけでなく、取引、UI、ネイティブ機能を備えたボタンなどのインターフェイスを作成することができる。われわれはこうした能力をすべてMessengerのプラットフォーム上で関連付けた」という。

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またMarcusによれば、Messengerは非常に高速にWebViewをプリフェッチすることができる。これはここ数ヶ月で行われた一般ユーザーの目に触れない部分でのパフォーマンス改善の一つだ。これによりモバイルアプリの起動時間を始めとして多数の遅延が大きく低減された。

こうしたことはすべてFacebook Messengerがボットのプラットフォームとして当初の約束を果たすために必要だったという。Marcusはチャットボット・プラットフォームがスタートした当初は実際の機能が約束に追いついていない部分があったことを認めた。

「問題はあまりにも〔Messengerチャットボットの〕評判が先行しすぎたことだろう。あっという間にそうなってしまった。スタート時点でわれわれが提供したのは基本的な機能であり、これは日々利用されている従来のアプリを全面的に置き換えるレベルまで機能もインターフェイスも成熟していなかった」とMarcusは認めた。

またデベロッパー向け公開から一般ユーザー向けの本番スタートまでに十分な時間がなく、デベロッパーはチャットボットを成熟させる時間もリソースも不足気味だった。当初のユーザーの多くは従来のモバイルアプリやブラウザ内サービスと比べて、新しいボットはさして優れていない(それどころかはるかに劣る場合も多々ある)と感じた。

私はMarcusにデベロッパーがチャットボットの機能などの技術的詳細を教えられてから本番公開までにどれほどの余裕があったのか尋ねた。.「2、3週間」というのがその返事だった。「それは高品質なボットを開発するのに十分な時間だったと思うか?」とさらに尋ねられてMarcusは「たぶん〔時間は〕足りなかっただろう」と認めた。

しかしMarcusはMessengerボットのようなプラットフォームをリリースする際の困難を説明した。「実際そう簡単ではない。 時間がかかる。F8カンファレンスでわれわれが望んだのはデベロッパーが自身で独自のボットを開発するにせよサードパーティーのための開発を行うにせよ、3万4000人のデベロッパーすべてをプラットフォームに参加させることだった」。

その結果一部のボット―ニュース提供に目的を絞ったボットなど―は出来栄えがよかった。しかし他の分野のボットには完璧な体験の提供に遠い状態となった。

しかしWwebViewと支払機能の追加で、たとえばフライトとホテル予約のHipmunkの使い方は大きく変わるかもしれない。ユーザーはMessengerボット内で目的に合致したフライトを探しし、チケットやホテルを予約し、それらの支払を済ませるだけでなく、旅行日程を作成することもできるようになるだろう。

新機能の追加と同時に、デベロッパーはボット開発にあたっての基準を受け取ることになる。Marcusによれば、FacebookはデベロッパーがMessengerプラットフォームを利用して優れたユーザー体験を得るためのガイドラインも提供するという。


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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ローカルホストの退場―クラウド移行でIT部門とデベロッパー部門の対立は解消する

2016-09-05-codenvy

〔編集部〕この記事はCRUNCH NETWORKのメンバーでCodenvyのCEO、Tyler Jewellの寄稿

5年前にマーク・アンドリーセンがソフトウェアが世界を食い尽くすと言ったときにはまだその言葉を疑うものもいた。しかし今やほとんどすべてのビジネスがオンラインで提供されるソフトウェアの上で動いている。

こうしてクラウド・コンピューティングは小売から運輸、通信、メディアまであらゆる産業を支える事実上の標準となった。ところがクラウドの進出を拒む基本的な領域がまだ存在する。皮肉にもそれはソフトウェア開発ビジネスだ。クラウドのすべてはソフトウェアで可能になった。ところがそのソフトウェア自体は大部分がオフラインで開発されている。

しかしこの状態も近く変わるだろう。Amazon Web Serviceが最近Cloud9を買収したことでも明らかなように、デベロッパーはクラウドベースのIDE(統合開発環境)に殺到している。クラウド開発はすでにソフトウェア開発の重要部分となりつつあり、非常に控え目な推計によっても60億ドルの産業だ。AmazonからMicrosoft、Googleまでこのことに気付いている。そこでローカルホストからクラウドへのシフトという流れの原動力は何なのか、どんなチャンスが隠されているのか考えてみようと思う。

IT部門とデベロッパー部門の深い溝

ソフトウェア開発がクラウドに移行する原因はIT部門に古くから内在する根本的な対立から生じた。つまりIT部門と開発部門の対立だ。IT部門は安定性、セキュリティー、統制可能性を何よりも重視する。それに対してStephen O’Gradyが「新たなキング・メーカー」 と呼んだ開発部門は、言語、フレームワーク、プロセスを自由に選択することを要求する。この対立は、開発のためのサーバーや新たなソフトウェアに用いられるプログラミングの規格を誰が支配するのかをめぐって強い緊張状態を生む。開発部門がどんな作業にも効率的なマイクロサービスの採用を主張するのに対して、IT部門は長年にわたって試され安定しているが固定的なテンプレートを維持しようとする。

この問題は誰がシステムのルート権限を持つのかというところから発している。開発がオンプレミスで、つまりローカルホスト上で実行される場合、デベロッパーが言語、コンフィグレーション、フレームワークの選択の権限を持っている。しかしローカルホストの能力は規模の拡大や共有の面で限定的だ。そのため大規模なチームや全社的なシステムの構築には適さない。

これまでポピュラーだった代替策は、IT部門が管理する中央集権的なVM(virtual machine)サーバーの利用だ。代表的な例はVDI(Citrix)、Vagrant(HashiCorp)、Skytapなどだろう。しかしVMは高価で大規模な設備となりがちで、共有が難しく共同作業に向かない。誰でもいいがデベロッパーに共有環境の2GBのメモリしかないVMイメージで開発するのはどれほど楽しいか尋ねてみるとよい。

デベロッパーは簡単に拡張できないような環境に置かれるとコンピューターであれコードであれ開発資産を必要以上に貯めこむ傾向がある。しかし現在は 簡単に共同作業の環境を得て生産性をアップさせる方法がある。クラウド・ソリューションの普及により開発作業、資産、プロセスを共有することが以前よりはるかに簡単になった。

われわれはクラウドの「最後のフロンティア」に突入したところだ。この分野で勝つための戦いは始まったばかりだ。

GitHubは共有コードのデファクトの発表先となっている。開発したコードを秘密に保管しておくのではなく、オープンにしてすべてのデベロッパーからのフィードバックを待つことが推奨されるようになった。
プロジェクト管理に問題が起きた場合、AtlassianのJIRAはプロジェクトを共有化することによって解決を図る。【略】

クラウド開発が普及しつつある

Dockerを代表とするようなコンテナ・テクノロジーの発達がバックエンドの開発をアジャイル化に適合させ、大幅に加速している。ワークスペースやランタイムを含めて、今やすべてがクラウド上にある。開発環境のすべてがデスクトップにあったこれまでとはまったく違う。

AWSの最近の動向を見るまでもなく、主戦場はクラウド IDEだ。この分野は延べ数百万のユーザーと莫大な資金を惹きつけている。コンテナをベースにエンベッドされたブラウザ・ツールとホストされたランタイムが利用可能となり、IT部門がコンピューティングのルート権限を維持すると同時にデベロッパーがDockerその他の開発ツールを用いて必要に応じて自由に開発環境を構築することを可能にする。つまりIT部門とデベロッパー部門の理想的な形での分離が実現する。【略】

さらにこうしたトレンドの存在はオープンソースのクラウド開発の普及によっても証拠だてられる。 AmazonはCloud9を通じてAWSで独自のクラウド開発環境を提供する。Google、Microsoft、 Red Hat、SAP、Samsungなどのソフトウェアの巨人は既存の硬直的な開発環境をEclipse CheEclipse Orionを通じて柔軟なオープンソースに置き換えることを検討している。

Red HatはOpenShiftに、SAPはHANA に、SamsungはARTIKにクラウド開発環境をそれぞれ標準として組み込んだ。一方、クラウド開発をさらに柔軟なものにするためにMicrosoftとRed Hatは共同して.netとASP.Netのコアをオープンソース化し、あらゆるプログラマーがプログラミング言語とそのIDEに自由にアクセスできるようにした。こうした有力ソフトメーカーは一見したところではパートナー関係を結びそうに見えなかったが、結局のところカスタマイズ可能な統合された低価格の開発環境が得られる利益の方が競争よりも利益が大きいと悟ったもののようだ。

こうした活動はアジャイル開発という新しい時代の到来を示すものだ。これによって IT部門とデベロッパー部門の長く続いた矛盾が解消され、双方の利益になる。コンテナ化とオープンソース化が開発とテストの効率をアップさせ、共同作業を強力なものにする。

そろそろlocalhostに死亡を宣告していいころだ。 われわれはクラウドの「最後のフロンティア」に突入したところだ。この分野で勝つための戦いは始まったばかりだ。.

画像: Thomas Cole – Clouds, ca. 1838 (modified)

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

新しいトップレベルドメイン(TLD)、.blogはAutomatticサイトで予約受付中

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新しく作られるトップレベルドメイン名で実際に意味がありそうなものは少ない。.blogはその一つだ。TechCrunchも利用しているWordPressを作っている他に、ウェブアプリ多数を持っているAutomatticが.blogのドメインを所有している。このドメインを利用したいユーザーはget.blogおよび(紛らわしいが) dotblog.wordpress.comから予約ができる。

Automatticは従来のドメイン登録の慣例どおり、数日前からいわゆるSunrise(サンライズ期間)を開始していた。商標の所有企業は商標に続くドメイン名をこの期間内に早期予約できる。つまりApple.blog,、TechCrunch.blog、Trump.blog、などというドメイン名だ。

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この期間中の取得費用の総額は250ドルになる。登録料が220ドルで、最初の1年のドメイン利用料金が30ドルだ。複数のユーザーが同一のドメインを要求した場合はオクタゴンで戦って決着をつける―わけではなくて、オークションになる。

11月2日に.blogドメイン名のLandrush(ランドラッシュ)期間が始まる。これは一般的に意味のある単語のドメイン名が新設される場合、sunrise期間と一般受付期間の中間に設けられる期間で、一定の資格を満たした者の登録の受付が可能だ。他のTLDと同様、「価値の高いドメイン名には一定のプレミアムが加算される」という。つまり人気のありそうなドット・ブログ・ドメイン名を二束三文で取得し、高額で転売して大儲けするというような不心得者の出現を防ぐためだ。

われわれのような登録商標に縁のない一般ユーザーが自分の名前や趣味名に続く .blogのドメイン名を登録できるのはランドラッシュの終了後、11月21日からとなる。

画像:: Automattic

〔日本版〕WordPress日本語版のサイトに.blogドメイン名の説明と予約に関するページが設けられている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

インターネットにも標準ライブラリが必要だ: PolybitのStandard Library(stdlib)は多様なJSビルディングブロックの集積・共有・再利用の場を目指す

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アクセラレータAngelPadを巣立ったPolybitが、同社のプロダクトStandard Library of the Internet(インターネットの標準ライブラリ)の公開ベータを開始した。それは、デベロッパーはもちろん、初心者にとっても、バックエンドのコーディングを楽にする、というリソース集だ。

Standard Library、略して“stdlib”と同社が呼ぶクラウドサービスに、デベロッパーは自分が書いたファンクションをアップロードしてもよいし、またマイクロサービスやロジックをこの上でポータブルにし、再利用可能にする。ユーザーがサーバーの管理をする必要はない。

PolybitのファウンダーでCEOのKeith Horwoodは、かつて、オープンソースのNode.jsフレームワークNodalを作ったことがある。彼曰く、“ぼくは、バックエンドやAPIの世界が長いね。そんなぼくの今の目標は、ソフトウェアのデベロッパーが、インフラストラクチャに関していっさい悩まなくなることだ”。

コードを書いて、それに何百万もの人たちがオンラインでアクセスできるようにするのは、とても複雑な工程だ、とHorwoodは言う。構想しているロジックを、実際に書いて実装しなければならない。さらに、それをネットでどのようにホストするのかを、考えないといけない。そのコードをサーバーに載せなきゃならないし、そしたら今度は、サーバーのことを毎日心配しなければならない。コードを自分で書かずに外注したら、かなりの時間と手間とお金がかかる。そしてしかも、自分が作るWebサービスは、確実に人びとに注目されるものでなければならない。

PolybitのStandard Libraryは、ファンクションと、いろんなアプリケーションのためのビルディングブロック(構築部材)のリポジトリだ。デベロッパーは、自分が書いたファンクションをここで、即座にオンラインでアクセス可能にできる。

Horwoodがstdlibで共有されるファンクションの例として見せてくれたのは、リオデジャネイロ・オリンピックの、国別の金メダル取得者のリストを作るコードの一部だ*。〔*: ここのAPIを利用する。〕

デベロッパーはこの“マイクロサービス”を拾い上げ、国名をCanadaから別の国に書き換えたり、あるいはメダル獲得数のトップ5を作るように書き換えたりできる。ライブラリの共有と再利用の、一例だ。

彼がstdlibで共有できるようにしたいと考えているファンクションの例は、ハードウェアをクラウドに接続するための一連のコードだ。またサードパーティに情報をリレーしたり、データを操作するファンクションも必要だ。

stdlibのデモビデオが、これだ:

Horwoodの考えでは、いろんなファンクションがオンラインで入手できるようになると、企業のITチームにとっても便利なはずである。彼らは企業の中で常時、プライオリティリストに正規に載せることもできない、雑多なリクエストを抱えているからだ。それらに、ライブラリ上の出来合いのファンクションで対応できたら、ありがたいだろう。

たとえば営業はITに、雑多な顧客情報を見込み客の“有望度”順にソートしてくれ、それをスプレッドシートに落としてくれ、とリクエストしているかもしれない。でもそれは、企業にとって重要なメールの処理や福利厚生の問題などと違って、ITのプライオリティリストにはなかなか載らない。しかしStandard Libraryへ行けば、そんなリクエストにぴったりの既製品のソフトウェアパッケージがあって、営業のニーズに対応できるかもしれない。

PolybitのStandard Library(stdlib)は公開ベータに入ってまだ1週間だが、すでに500のファンクションがデプロイされ、登録ユーザーはほぼ1500名いる。さらにstdlibからは、NPMの30万あまりのNode.jsのソフトウェアパッケージのすべてに、アクセスできる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

アプリのローンチツールを提供するLaunchKitがGoogleに買収され、デベロッパーのために製品をすべてオープンソース化

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デベロッパーが自分のアプリケーションをローンチするときのためのツール集合LaunchKitのチームがGoogleの一員となり、そのDeveloper Product Groupに加わることになった。

LaunchKitのプロダクトはGoogleのものにならないので、チームはそれらをオープンソースにしてGitHub上で公開した。LaunchKit上でそれらのサービスを利用できるのは向こう12か月で、その後は閉鎖される。

LaunchKitは今4つのツールを提供しているが、デベロッパーはこれからはそれらを自分でビルドして動かすことができる。Screenshot Builderは、AppleやGoogleのストアの注釈付きスクリーンショットを容易に作ることができ、App Website Builderは新しいアプリケーションのための応答性の良いランディングページを作れる。Review Monitorはその名のとおり、AppleのApp Storeのレビューを調べる。そしてSales Reporterは、売上を記録する。デベロッパーのためのハウツーガイドも2つある。

Launchkitがローンチしたのは2015年の初期で、Brenden Mulligan, Taylor Hughes, そしてRiz Sattarらが協同ファウンダーだった。彼らはそれまで、Clusterを作り、またiOSAndroid用のいろんなアプリも作ってきた。

彼らによると、LaunchKitはこれまで、デベロッパーのために100万を超えるスクリーンショットを生成し、スタートアップたちは8000あまりのWebサイトを作るためにLaunchKitを利用した。そのサービスを利用したデベロッパーは、累計で5万名以上いる。

LaunchKitのチームがGoogleで何をするのか、それはまだ分からない。今日の声明では、Googleで“すばらしいデベロッパーツールを作る”ことに邁進する、と言っている。結局Googleは、LaunchKitのツール集合に似たようなツールを近い将来、ローンチするのではないか。

彼らはこれまで、220万ドルの資金を調達している(Clusterに160万ドル、その後LauchKitに60万ドル)。その投資家たちは、Baseline, Freestyle, First Round, SV Angel, GV(元Google Ventures), Sherpa, そして数多くのエンジェルたちだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

GoogleとUdacity、まったくの初心者向けAndroidプログラミング講座をスタート

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〔この記事はLucia Maffeiの執筆〕

Googleは多くの人々がプログラミングできるようになることを望んでいる。特に力を入れているのがAndroidプラットフォームでのプログラミングだ。Googleはすでにいくつかのプログラミング・コースを開設しているが、ターゲットは基礎的なプログラミングの能力を持っている学生などが対象だった。

今日(米国時間6/22)からスタートするのは、Androiプログラミングの初歩を教えるGoogle Android Basics Nanodegreeと呼ばれるクラスで、Udacityのオンライン学習プラットフォームを通じて提供される。 Udacityが就職に役立つとしてプロモートしている「ナノ学位(nanodegree)」のクラスにまったくの初心者をターゲットとするGoogleのAndroidプログラミングを登場するのはこれが初めてだ。

Googleのプログラム・マネージャー、Shanea King-Robersonは「GoogleはUdacityと提携し、万人向けの理解しやすいAndroidアプリの開発コースをスタートさせる。過去の経験を一切問わず学習者は身の回りの作業を効率化し、生活を改善するアプリを作ることができるようになる」と書いている。

新しいクラスでは簡単なAndroidアプリの作成方法を学べる。特にこのクラスでは要素のレイアウト、対話性、オブジェクト指向プログラミング、マルチ画面、インターネット接続、ストレージなどの基礎などに力を入れている。

コースの終了には標準で165時間が必要とされる。これは毎日4時間で42日間を要する計算だ。

このベーシック・コースを最初に終了した学習者50人には上位のナノ学位を取得するための奨学金が与えられる。学習者は就職に利用できるAndroidナノ学位、Career-Track
Android Developer Nanodegreeのクラスに無料で参加できることになる。

ベーシック・コースを構成するそれぞれの授業はオンラインで提供され、無料で利用できる。Udacityは有料で、コーチング、ガイダンス、疑問点への回答、就職カウンセリング、コース終了者への学位などを提供する。

前述のようにGoogleはUdacityと共同ですでにAndroidアプリ開発のクラスを提供している。これは無料だが、参加者には基礎的なプログラミングの知識が求められる。

世界中には10億台のAndroidでバイスが存在することを考えると、Androidアプリのコードを書くための基礎的な知識への需要は急速に増大しそうだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Apple TVのさらなるSiri統合とシングルサインイン

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AppleのシニアバイスプレジデントのEddy Cue氏は、同社の開発者会議WWDCで、Apple TVを支えるOSにマイナーアップデートを行うことを発表した。

折に触れてAppleは「テレビの未来はアプリにある」としているが、今回のアップデートもその方向性を強めるものだ。より多くのアプリが登場し、Apple TVで簡単に使えるようになる。

Apple TVは、お気に入りのビデオチャンネルにアクセスするために、初めてストリーミングメディアプレイヤーをセットアップすることでより大きな課題を解決しようとしている。また、「シングルサインオン」という機能を導入し、所有者が1度ログインすれば、すべてのネットワークにアクセスできるようになる。この機能は、iOSにも導入されるという。

さらに、Apple TVとSiriの統合レベルも高くなる。SiriでYouTubeを検索できるようになるので、ユーザーは 「YouTubeでSteph Curryの3ポイントシュートを検索」あるいは「YouTubeでLeBron JamesがDraymond Greenをまたいだところを検索」などと言えるようになる。これまで、Siriの検索対象はApple TVアプリの同社製品に限られていた。

今朝方のCue氏の発表によると、Apple TVにはこれから数週間のうちにSling、Fox Sports Go、さらには100局以上のテレビ局を擁するフランスのMolotovなどの新しいアプリが利用できるようになるという。

本日行われたtvOSデモの開発者向けプレビューは、秋に消費者向けに公開予定だ。

Tim Cook氏は、tvOSが本日アップデートが行われたwatchOS、iOS、OS Xなどと並ぶAppleの主要なプラットフォームの1つであると強調した。

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(翻訳:Nakabayashi)

WWDC 2016でApple、iOS 10を発表―過去最大のアップデート

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今朝(米国時間6/13)開幕したWWDC 2016カンファレンスで、AppleはiOS 10を発表した。その名の通り、iPhoneとiPadのエコシステムにとって10回目となるメジャー・リリースには大小とりまぜて多数の新機能が投入されている。Appleは来月、公開ベータ版をリリースする。

Appleのソフトウェア・エンジニアリング担当上級副社長、クレイグ・フェデリギ(Craig Federighi)はキーノートで「過去最大のiOSのアップデート」だ述べた。以下、新機能の概要を報告する。

iOS 10でAppleは“Raise to Wake”という新しいロックスクリーンを導入した。いちいちデバイスに触る必要なしにロックスクリーンを表示させることができるようになった。デバイスの方がスマートに目を覚ましてくれる。この機能の実装は、正当な所有者以外がロックスクリーンの通知を読んでしまわないよう、iPhone 6の3D Touchが即座に作動するように進歩するのを待つ必要があった。

これで3D Touchを備えたデバイスでもロックスクリーンで通知のプレビューができる。たとえば通知を強く押すとウィジェットが小窓を開きチャットができるようになる。Uberなどのサードパーティーはこの機能を有効に活用できるだろう。Uberからの通知を強く押すと配車された車が今どこを走っているのかが分かる。

ロックスクリーンを表示させた状態で右にスワイプするとカメラが起動し、左にスワイプするとロックスクリーンを離れずにウィジェットが一覧できる。画面上部から下へスワイプすると通知/コントロールセンターが現れるのは今まで通りだ。

通知センターのデザインも一新された。外見はApple Watchの通知センターによく似ている。新しいコントロールセンターは2ページになり、右スワイプで次のコントロールセンターのページが表示される。ここには音楽プレイヤーだけがある。

ホームスクリーンでの3D Touchのショートカット・メニューの表示も大きく実用性が高められた。3D Touchのポップアップにアプリのライブ情報が表示される。同時にTodayタブのウィジェットを強く押すとアプリのミニ版を開くことができる。

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Siriの改良もiOS 10のトップニュースの一つだ。フェデリギはSiriでWeChatをデモした。ユーザーはSiriにWeChatでメッセージを送るよう命じることができる。SiriはWeChatアプリをミニ窓で開き、指示された相手にメッセージを送信する。これ以外にも、UberやLyftで車を呼ぶ、RuntasticやRunkeeperでエクササイズの記録を取る、Number26やVenmで借りていたお金を友人に返す、SkypeやViberで通話するなどユースケースはいろいろ考えられる。

SiriはMessagesでもテキストで回答できるようになった。現在位置や連絡相手の情報を受取るには便利だ。キーボードも多言語サポートが強化された。

iOS 10はiPhone上でのディープ・ラーニングを利用して顔認識を強化した。ユーザーはこの機能を利用して人物をキーとして、家族や友達の写っている写真でアルバムを作ることができる。iOSは写真に写っている対象を、川や山などと認識できるようになった。「山」というキーワードで検索すると、山の写真がすべて表示される。

iOS 10のアップグレードで写真の使い勝手はGoogleフォトにかなり近づいた。ただしAppleは従来どおり、すべての写真をローカルで処理する。つまりAppleがユーザー情報を収集することはない。iOSに新しく追加されたMemories機能は、 家族や友達と過ごした休暇の写真からミニ動画を作ってくれるだけでなく、写りのよいカバー写真も選んでくれる。ユーザーは複数のMemoriesを簡単に切り替えることができる。iOS 10はビデオにサウンドトラックを付加してくれる。ユーザーはビデオを編集して短くしたり雰囲気を変えたりできる。macOSの写真も同様のアップデートを受けた。

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iOSのマップも大がかりなアップデートの対象となった。マップはユーザーの状況に基づいて積極的な提案をしてくる。たとえば、仕事に行くときは今日の日程を尋ねてくる。Appleはターン・バイ・ターンのナビのデザインも一新して使いやすいものにした。またAppleマップはサードパーティーのデベロッパーに開放された。たとえば、FoursquareはAppleマップのエクステンションを作ることができる。Uberもパップから車を呼べるようにできるだろう。

一新されたといえばApple Musicもゼロから作り直された。独立のConnectタブはなくなった(Connect機能は利用できる)。現在再生中の楽曲を示す画面は新しくなった(Rdioにそっくりになった)。おかげでごたごたした感じが消えてすっきりした。Musicアプリを開くとライブラリー・タブが最初に表示される。下にスクロールするとApple Musicに追加されたアカウントを見ることができる。

「再生中」のスクリーンを下にスクロールすると歌詞が表示される。For You画面のトップにはDiscovery Mixが追加された。これはSpotifyのDiscover Weekly〔今週のおすすめ〕に生き写しだ。これにPlaylistとConnect.が続く。この画面はいろいろな要素を盛り込み過ぎてまだかなりごたごたしている。RadioタブはBeats 1、オンデマンドでストリーミングできる番組がフィーチャーされる。

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スマートホームを実現するHomeKitも大きくアップグレードされた。iOSに接続されたすべてのデバイスを新しいHomeアプリから操作できる。またHomeKit対応デバイスをコントロールセンターに追加することもできる。つまりコントロールセンターからスマート照明の明るさを変えられるわけだ。自宅のデバイスをリモートで操作する場合、Apple TVがセキュリティーを確保されたアクセスポイントとなる。HomeアプリはiPadからも利用できるのでiPadをスマートホームのコントロール・スクリーンとして利用できる。

ここで電話アプリをチェックしてみよう。iOS 10はボイスメールのメッセージをテキストに文字起こししてくれる。電話アプリのエクステンションではネーティブの電話アプリのUIのままVoIPアプリを利用することができる。着信音も通常と変わりない。このエクステンションはスパム着信にフラグを立てて知らせてくれる。

メッセージ関係も大きく変わった。特にプレビュー機能が充実した。たとえばYouTubeの共有URLが送られてきた場合、 メッセージ・アプリ内から動画のプレビューができる。カメラを起動すると、iOSはライブ・カメラとPhoto Pickerを用意してすぐに写真を保存できるようにする。絵文字はこれまで3倍の大きさになった。メッセージ・アプリは絵文字の候補も提案する。ユーザーは単語をタップして絵文字と入れ替えることができる。絵文字キーボードを立ち上げると、アプリはテキスト中で絵文字に置き換えることができる単語をハイライト表示する。誰もが絵文字の達人になれる!

Appleはチャットのテキストのバブル〔吹き出し〕をユーザーがその場でサイズを変えるなどができるdynamic bubble機能を追加した。ユーザーは手書き風、ポップ風、ミニ吹き出しなどさまざまな公開を選べる。Slackの絵文字と同様、フィードバックを付けるとこともできるし、フルスクリーン効果を加えることもできる。花火のフルスクリーン効果を選ぶとスクリーンをフルに使って花火が打ち上げられる。

改良はメッセージ・アプリ内にとどまらず、サードパーティーのデベロッパーもAppleのMessagesアプリにエクステンションを作れるようになった。これはFacebookのMessengerアプリに似たやり方だ。Messengerはスタンプや写真を追加できるし、料理の出前を注文などができるようにこなる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Apple、App Storeをアップデートへ―審査を高速化、検索広告と開発者取り分85%プラン等を導入

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恒例のWWDCカンファレンスの開催を控えて、AppleはApp Storeにおける一連のアップデートを発表した。Appleはこれらの変更がデベロッパー、消費者の双方に利益をもたらすと期待している。

ワールドワイドマーケティング担当上級副社長で、昨年11月にApp Storeの担当になったフィル・シラーは、登録申請から公開までの時間短縮、Appleと開発者の取り分の見直し、アプリの発見などを改良したと述べた。アプリの発見についてはApp Storeに検索広告が導入されることになったのが注目される。

今回のアップデートについては「遅すぎた」との批判が多く出そうだ。デベロッパーは開発したアプリをApp Storeに登録させるにも、ユーザーに気づかせるにも、ダウンロードしてインストールさせるのにも長年苦労してきた。実際、消費者は新しいアプリを試すのに飽きてきたようだ。大半のユーザーはここ1月以内に一つもアプリをダウンロードしていないという調査も発表されている。

新しいを獲得し、引き止めることがますます難しくなりつつあるモバイル・アプリの世界で、 App Storeは心機一転したフレッシュな外観の下で適切なアプリと適切なユーザーを引き合わせ、デベロッパーの収入を最大化することに努力しようとしている。

アプリの審査

AppleはまずApp Storeのアプリ審査のプロセスを改良した。これまで受付から公開まで5日かかっていた。アプリが関係法律を順守しており、消費者がインストールしても安全であるなど、Appleの定めたガイドラインに添っているかを確認するためにそれだけかかっていたわけだ。しかし、シラーがThe Loopのインタビューで述べたところによると、最近、公開までにわずか1日しかかからなかったアプリが多数あった。

シラーによれば、Appleは毎週10万本のアプリを審査しているが、このプロセスを高速化する方法を発見したという。Appleは現在安定的に50%のアプリを24時間で審査し、90%を48時間で審査できる。

これまでApp Storeに対してGoogle Playはアプリの審査時間が短いという大きな優位性があった。これはGoogleがアプリの審査過程の大部分をアルゴリズムで処理していたためだ(最近、Googleは人力による審査も加えたが、これは全体的な処理スピードには影響していないもようだ)。

サブスクリプションに85/15の取り分比率

またAppleはビジネスモデルにも改良を加え、売上をサブスクリプションに依存するデベロッパー向けに新しい取り分比率を導入した。現在Appleは伝統的な70/30の配分率を採用している。デベロッパーが70%を得るという配分率は、アプリが主として売り切りだった時代に確立された。しかし時代は変わった。

今回の変更で、サブスクリプションの場合、1年めは従来通り70/30だが、2年目以降は85/15の分配率となる。これはゲームだけでなく、App Storeで公開されるあらゆるジャンルのアプリに適用される。

Appleによれば、サブスクリプションの認定を受けるためには次のような条件がある。つまりアプリが定期的にアップデートされるかコンテンツが配信されなければならない。あるいはクラウド・ストレージや多人数ゲーム(MMOG)のようにアプリ内から既存の有料サービスにアクセスできる必要があるということだ。

Appleは現在すでにユーザーが1年以上にわたって利用しているサブスクリプション・ベースのアプリは上記の新しい配分率が適用され、売上の85%をを受け取る資格があるとしている。この変更は次の月曜日、6月13日から適用される。

デベロッパーはまた地域別に異なる料金を設定したり、新規ユーザーに対するサブスクリプション料金をアップしたりすることもできるようになった。新システムはユーザーにとってもアップグレード、ダウングレードなどがしやすくなっているという。

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Above: App Store search ads (via The Loop)

アプリの発見と広告

最後に、今回のアップデートでいちばん影響の大きい点だろうが、アプリの発見についてもAppleは大きな変更を行った。

多くのデベロッパーはApp Storeはアプリが発見しにくいという問題に長年つきまとわれてきたと考えている。

Appleはこの秋、 App Storeのおすすめ(Featured)セクションを全面的にアップデートし、ユーザーがすでにインストールしているアプリは表示されないようにするなどの変更を予定している(Appleは今月、同様の改良をApple TVでも実験したが、この場合はトップ・チャートに影響が出てしまった)。

Appleはまた「カテゴリー」のタブを復活させる。ユーザーはApp Storeのナビゲーションがしやすくなるはずだ。また圧力を感知する3D Touch機能が利用できるデバイスの場合、友達とアプリ情報を共有できる。iOSデバイスのホーム画面でアイコンを押すとソーシャルネットワークでの共有が可能になる。Appleは便利な割に利用されていない3D Touchのショートカット機能をプロモーションしようとしているようだ。

現在App Storeは木曜日ごとにアップデートされているが、AppleがiMoreで述べたところでは今後は更新の頻度が増える。

ビジネスモデル上の最大の変化は、App Storeにおける検索広告の導入だろう。ユーザーが名称ないしキーワードでアプリを検索する際に広告が表示され、デベロッパーは掲載料金についてオークションで入札することができるようになる。これはGoogleのAdWords広告と似た仕組みだ。

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App Storeに150万ものアプリが登録されるようになり、アプリの発見に関して検索はますます重要性を高めている。Appleによれば、App Storeでダウンロードされたアプリの65%は検索を発端としている。

App Storeの検索広告は、検索1回について1件だけ表示されるとAppleでは強調している。また広告は検索結果一般とはっきり区別できるよう表示される(青地にAdのアイコンが付される)。表示内容はApp Storeに登録された内容そのものとなる。どのユーザーが広告をクリックしたかなどのデータはデベロッパーには知らされない。デベロッパーは広告のパフォーマンスに関するレポートは受け取るが、ユーザー情報を受取ることはできない。またAppleが不適当と認めた場合、広告は13歳以下のユーザーに対しては表示されないとシラーはThe Loopに語った。

検索広告の料金は最低料率や独占的契約を排除した純然たるオークション・システムで決定される。これは大手デベロッパーが広告で独占的な地位を占めるのを防ぎ、小規模なデベロッパーにも広告を利用しやすくするためだ。

検索広告は来週月曜日にまずアメリカ市場にベータ版として導入される。全世界に拡大されるのはこの秋になる予定。

今回のアップデートは単にiOSだけでなくAppleが運営するすべてApp Storeが対象となる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Twitter、ツイートをまとめてエンベッドする方法を3種類導入―サイト運営者の手間が減った

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サイトの運営者、デベロッパーにとって、複数のツイートを整理し、まとめてエンベッドするのは面倒な作業だった。しかし今朝(米国時間6/7)、Twitterはこれを処理する新しい方法を3種類発表した。これほど時間がかかった理由はわからないが、やらないよりはずっと良い。

最初のオプションはfactory functionと呼ばれるデベロッパー向けのスクリプティング機能で、ツイートの数に制限のないウェブ・アプリが作成できる。またTwitterが発表した新しいCMS付のoEmbed APIを使えばプロフィール、リスト、いいね!、 あるいはコレクション・タイムラインを簡単に作業環境に含めることができる。

3番目の(そしていちばん簡単な)オプションはpublish.twitter.comを使うアプローチだ。これは〔下に貼り付けたような〕画面にツイートのURLをペーストするだけで、サイトにエンベッドするためのコードを取得できる。またコレクションのURLなどをペーストすればグリッド表示、タイムライン表示などカスタム・エンベッドも選択できる。利用には「コンピューター科学の学位は必要ない」ということだ。おそらくWordPressの初心者ユーザーの大部分はこれを使ってサイトへのコードの埋め込みを行うことになるだろうと思う。

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Twitterはまたウィジェット・サービスについても整理を行い、IDを取得してウィジェットを作成するオプションを廃止した(ユーザーは既存のウィジェットには今後もアクセスできる)。エンベッド・タイムラインを作成するためにWicget IDは必要がなくなり、公開プロフィール、リスト、いいね!、コレクションのURLなどを簡単に作業環境に統合できるという。

今回Twitterが発表したエンベッド方式はすべてのユーザーに利益となるだろう。ただし、私の意見としてはTwitterには各種のハラスメントのように緊急に対応すべき問題が山積していると思う。エンベッド方式の改良と同じくらいの熱意をもってTwitterがこうした問題の解決にも取り組むことを期待したい。

〔日本版〕Twitterのpublish.comサイトではURL入力画面の下に3種類のオプションが表示されており。グリッド表示、ツイート表示、タイムライン表示が選択できる。ツイート表示では単一のツイートが表示され、グリッド、タイムラインでは複数のツイートをまとめて表示される。コレクションなど複数ツイートを表示するURLを取得するにはTweetDeckなどのツールの利用が推奨されている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Unicode 9.0が来月スタート―セルフィー、爆笑、フェイスパームなど絵文字72種類がやってくる

2016-06-03-unicode-9-emojis-emojipedia

新しい絵文字がやってくる! 絵文字の管理組織は72種類の新しい絵文字を承認したことを発表した。新しい絵文字は今月中に発表される新しいUnicode(Unicode 9.0)に含まれることになる。

これにはインターネットのスラングに語源がある絵文字、たとえばROFLの語源は「床を転げまわって笑う(Rolling on the Floor Laughing)」だ。その絵文字版は少し頭の傾げ、目をつぶって大きな口を開けて笑っている顔だ。もうひとつ広く使われそうなのは「肩をすくめる」で現在はこんな具合に〔原文のママ〕¯_(ツ)_/¯キーボードから入力されている

追加されたセットには道化師、ウソをついて鼻が伸びているピノキオ、 カウボーイ、緑色の顔やくしゃみをしている顔など「病気ないし気分が悪い」状態を表す絵文字も含まれる(鼻水を垂らしている顔はよだれを垂らしている顔に似ているが、ずっと気味が悪い)。

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人間を表すセットでは上で紹介した「肩をすくめる」に加えて、「子供と母親」、「踊る男」(これは『サタデーナイトフィーバー』のトラボルタだろう)、タキシード姿に加えて「フェイスパーム」〔掌で顔を隠す=嫌悪、不信などを表す動作〕も含まれていた

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手のジェスチャーでは、握手に加えて「中指と人差し指を指を交差」〔幸運、成功を祈るしぐさ〕、挨拶として「拳を打ち合わせる」様子なども含まれている。伸ばした腕の先にスマートフォンを構えている「セルフィー撮影」の絵文字も目立った。

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動物や料理を表す絵文字も承認された。動物にはゴリラ、シカ、キツネ、トカゲ、サメ、チョウチョが含まれる。料理ではおいしそうなベーコン、バゲット、パンケーキ、サラダ(しっかり食べなきゃ)などが追加されている。

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おっと、それから飲み物ではウィスキー・グラスが新顔だ。カクテルグラスやビールジョッキでは現状をうまく表わせない晩(毎日のようにあるかもしれない)には好適だろう。

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スポーツ、旅行関係ではモノポッド、スクーター、カラテ、フェンシング、ボクシング、レスリング、ジャグリング、体操、おお、それに水球まである。水球の選手には便利だろう。そういえば夏のオリンピックが近づいているのだった。

金、銀、銅のメダルの絵文字が追加されたのはこれが原因だったようだ。

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以上紹介したのはもちろん、リストの一部にすぎない。追加される絵文字すべてのリストはUnicode.orgのウェブサイトで見ることができる。

Unicodeはすでに肌の色を多様化しているが、絵文字はさらにダイバーシティーを取り入れていく必要がある。たとえば職業を表す絵文字にはほとんどの場合、男性だけが使われているが、これはいささか性差別的だ。女性版、男性版を選べるようにすべきだろう。

たとえば今週、肌の色やジェンダーに関して多様性を広げるような絵文字がFacebookに導入された。Facebookの絵文字には警察官、陸上選手、水泳選手、サーファー、歩行者などに女性版が登場している。Googleの社員グループは 「女性のキャリヤをより良く表現するため」に13種類の絵文字を追加するようUnicode コンソーシアムに提案書を送っている。これには女性の医師、科学者、プログラマーなどの絵文字が含まれる。

しかし新しい絵文字が広く利用できるようになるのは時間がかかるプロセスだ。今回の絵文字はUnicodeコンソーシアムが7月21日付けで正式にUnicode 9.0として承認する文字セットに含まれる。しかし読者のスマートフォンの絵文字キーボードにこれが反映されるのにはさらに時間を要するだろう。

Unicode 9.0の登場を期に、Apple、 Google、Microsoftでは新しい絵文字を含めて文字セットをアップデートするだろう。モバイルで新しい絵文字が使えるようになるのは、このアップデートが読者のデバイスにインストールされてからとなる。

メイン画像: Emojipedia; remaiing from Unicode.org

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Google、スモール・ビジネス向けにサイトのテストツールを公開―URLの入力でモバイル対応度を表示

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今日(米国時間6/2)、Googleはスモール・ビジネスのオーナー向けの新しいツールを公開した。このツールを利用すると、URLを入力するだけでウェブサイトのパフォーマンス、特にスマートフォンやタブレットといったモバイル・デバイスに対するユーザー・フレンドリー度をテストすることができる。

2015年の秋、 モバイル検索の数がデスクトップ検索の数を始めて上回ったことを考えると、ウェブサイト運営者にとってはもちろん、Googleにとってもモバイル対策は重要なものとなっている。 Google検索で上位に表示されるためには、モバイル・デバイスから簡単に表示でき、読みやすく、パフォーマンスも高いことが必要だ。

新しいテスト・ツールは(testmysite.thinkwithgoogle.comからアクセスできる)は誰でも手軽に利用できる。技術的知識はまったく必要ない。単にウェブサイトのURLを入力するだけでよい。システムが自動的にサイトのパフォーマンスを判断し、結果を100点満点の点数で表示してくれる。さらに下にスクロールするとそれぞれの項目について説明される。またユーザーは詳しい分析と改善の提案が記載されたレポートを無料で入手できる。テスト者自身にはサイト運営の知識がない場合でも、ウェブマスターに簡単にレポートを転送できる。

Googleはこれまでにいくつものウェブサイトのテストツールを発表してきた。ページスピード・テスト ページスピード・インサイトモバイル・フレンドリー・テストなどだ。しかしこうした既存のツールの多くはサイトのデベロッパーやデザイナーなど技術的知識を有する関係者向けだった。今日発表されたツールは、テスト項目は似ているが、サイトを運営するビジネスのオーナーを対象としており、技術的な詳細を理解していなくてもかまわないようになっている。

新ツールはユーザー・インターフェイスをできる限りシンプル化している。またその結果も「良い」が緑、「普通」が黄色、「劣る」が赤で表示され、直感的にわかりやすい。

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ただし、既存のページサイト・インサイト(PageSpeed Insights)ツールは、デベロッパー向けなのでモバイル、デスクトップのそれぞれについて速度やユーザー体験を数値化するだけでなく、改善方法に関する技術的提案も表示されるようになっている(モバイルの場合、タップすべきボタンや重要な情報が画面トップに表示されるかなどのルールがある)。〔利用法は新ツールと同様、サイトのURLを入力するだけでよい。日本語化ずみ〕

今回のテストツールのローンチはGoogleがビジネスを急速にモバイルにシフトしようとする中で行われた。Googleはモバイル・デバイスへのサイトの読み込みを高速化し、データサイズも節減するAMP(Accelerated Mobile Pages)などのテクノロジーに多大なリソースを注いできた。またモバイル・フレンドリーなサイトが上位に表示されるよう検索アルゴリズムを改良している。ユーザーはモバイル・デバイス上で各種のネーティブ・アプリを利用する形態に急速にシフトしており、 Googleはモバイル・ウェブが以前のデスクトップと同様に高速かつ使いやすいものとなるよう全力を挙げている。この過程には対策を怠っているウェブサイトのオーナーに恥をかかす 修正を提案することも含まれるようだ。

〔日本版〕新ツールはまだ日本語化されていないが日本から利用可能。既存ツールはすでに日本語化されており、技術的提案も表示される。なおどちらのツールも利用にあたって運営者である必要はなく、任意のサイトのURLを入力できる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Twitter、ついに140文字制限を緩める―返信の@ユーザー名、メディアの添付、自己RTはカウント除外へ

2016-05-25-twitter-140-media

部分的にはすでに報じられていた内容が公式に確認された。今朝(米国時間5/24)、Twitterは「ツイートに含まれる文字数は140以内」という制限を厳格に適用することを止めると発表した。Twitterによれば、新しいユーザーを獲得するためにサービスをさらに使いやすくする変更も準備中だという。

今回のバージョンアップに伴い、画像、ビデオなど添付のメディア、返信の@ユーザー名は140文字制限に含まれなくなる。ただしユーザーが入力したURL文字列は依然としてカウントされる。これはTwitterの文字数カウンターの本質に関わる問題であるため変更しなかったのだろう。

つまりTwitterのシステムではユーザーが新たなツイートを入力するインターフェイスに含まれる文字はカウントされる。URL文字列はカウントされるが、ビデオ、写真、GIF、他のツイートの引用などの添付は文字数としてカウントされないとしたのはそのような背景のためだ。

DevBrief_TweetStructure

一方で、@メンションがユーザーが入力する文字列であったにもかかわらずカウントされないこととなったのは、Twitterをグループ・チャットのメディアとして普及させたいという同社の戦略によるものと思われる。

ツイートがスレッド化して会話が続き、多数のメンバーが参加するようになると、宛先に全員を含めるための文字列がどんどん長くなる。ある時点で140文字の制限を回避するために宛先を切り捨てる(@ユーザー名に含めない)必要が出てくる。予定されているバージョンアップではこの点が改良される。

@ユーザー名入力は本文から外され、別個のインターフェイスを用いることになる。

DevBrief_Replies

Twitterのルールは新しいユーザーには複雑でわかりにくいとして評判が悪かった。これは140文字の制限だけでなく、ツイートとして表示されるいろいろな要素にそれぞれ不透明な印象を与えるルールがつきまとっていることにもよっていた。熟練したTwitterユーザーになるためには、不合理な制限を回避して必要なことをツイートに表示させるための裏ワザを多数習得する必要があった。

こうした「ハッキング」の必要を無くすための作業が準備されている。たとえば、これまで特定の相手への返信をフォロワー全員に公開するためには@マークの直前にピリオドを打つ必要があった(.@ユーザー名)。これはTwitterのシステムが@ユーザー名で始まるツイートは自動的にその相手のみに公開される仕様になっていたためだ。

この仕組が設けられたのは、もともとタイムラインに個人同士の会話が多数表示されてわかりにくくならないようにするためだった。しかし結局のところ無駄なルールだったと判明した。自分が直接メンションされていなくても、他のユーザー同士の会話は十分に興味深く、読むに値することが往々にしてある。これはTwtterが巨大な公開の会話プラットフォームであるという本質からくるもので、ルールで変えることは不可能だった。

全員に会話を読んでもらいたい場合、ユーザーは@マークの前にピリオドを打つようになり、これが 非公式なルールになった。こうしたことのために、 新しいユーザーにはTwitterには「隠れたルールが多数ある」ように感じられ、使いにくいと思わせる原因となっていた。

過去にどんな背景があったにせよ、Twitterはわかりにくいルールの撤廃に向けて精力的に作業を進めている。新しいユーザーは以前のTwitterよりはるかに直感的にシステムを使いこなすことができるようになるだろう。ユーザー数頭打ちになっているというTwitter最大の問題の解決にも役立つはずだ。

Twitterの共同ファウンダー、CEOのジャック・ドーシーは声明で「われわれの今年の最大の優先事項はシステムをシンプル化し、使いやすくすることだ。…Twitterの本来の強みである『今何が起きているのか』をライブの会話でシンプルに伝える能力〔に立ち戻ること〕に全力を集中する」と述べた。

Twitterでは「この変更によって、今後、@ユーザー名で始まるツイートは全てのフォロワーに公開される」と述べている。またTwitterはRTすること自体が広い範囲にツイートを公開する意図があるものと考えられるとしている。

さらにもう一つの変更は、自分自身の以前のツイートをRTないし引用できるようになったことだ(これまでは不可能だった)。この制限は自分が書い複雑なコンテツを拡散するためのプラットフォームとしてTwitterを利用するユーザーには苛立たしい制限と感じられていた。

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以前投稿したツイートを誰もが読んでいるわけではない。多くのユーザーは以前ツイートした内容を再度フォロワーの目に触れるようにしたいと考える。ところがTwitterにはそういう仕組がなかった。もちろん、この制限はスパムが繰り返し表示されるのを防ぐというメリットはあった。しかし正当な利用の障害になる場合がメリットを上回ったようだ。【略】 Twitterでは新たに自分のツイートに再投稿ボタンが表示されるようにするので、自己ツイートの引用は非常に簡単になった。

Twitterが実際のアップデートに先立って変更の内容を公表したのはデベロッパーにアプリの修正の余裕を与えるためだという。

Twitterのプラットフォームを利用しているアプリ、サービスは無数に存在する。今回の変更はTwitterのREST、ストリーミングAPI、広告API、Gnip、Display利用プロダクトに影響を与える。またデスクトップやモバイルでツイートやタイムラインをエンベッド表示させるためのFabric Kitも変更されることになるとTwitterは述べている。

Twitterはこれらの変更が公開されるスケジュールについては「数ヶ月以内」という以上に詳しく明かしていない。

Twitterの新ルールに関してはわれわれのJosh Constine記者による次の記事も参照。24 more characters, for better and worse

〔日本版〕バージョンアップ後のTwitterでは返信のための@ユーザー名、メディアの添付、自己RTが「140文字の本文」から除外される。添付メディアのレンダリングにはタイムラインに表示されないTwitter独自のURLが用いられ、これが24文字であるためコンスティン記者の記事タイトルは「Twitterの本文が24文字長くなった」と表現されている。返信の@ユーザー名が別途入力されることになるのを考慮すれば、本文に利用できる文字数はその分も増加している。

ピリオド・プラス@ユーザー名のルールが廃止されたことで、本文中に@ユーザー名があるツイートは全フォロワーに公開されるようになった。ただし140文字にカウントされる点はそのまま。@ユーザー名が返信用のインターフェイスから入力された場合、公開範囲は従来の返信と同様、受信者および発信者、受信者の双方を同時にフォローしているユーザーのみ。ただしユーザー名文字列が140文字にカウントされなくなる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

AtlassianがBitbucket Cloudを利用するデベロッパーのための継続的デリバリサービスBitbucket Pipelinesをローンチ

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Atlassianが今週、うまいアブサンを飲ませる、ぼくのお気に入りのバーの近くで、例年のデベロッパーカンファレンスをやっている。キーノートで数々の新製品やアップデートが発表されたが、どれも、デベロッパーの人生をすこし楽にしてくれる(協力的にもしてくれる)ものばかりだ。

AtlassianがBitbucket Pipelinesをローンチ

新しいツールでいちばん重要なのが、Bitbucket Pipelinesだろう。Atlassianは最近、同社のGit関連サービスをすべてBitbucketの名の下(もと)に統一し、そしてPipelinesのベータバージョンのローンチにより、AtlassianがホストするBitbucket Cloudサービスに継続的デリバリサービスが導入されることになる。そうなるとデベロッパーは、コードを自分たちのBitbucketリポジトリにプッシュしアップデートしていくビルドとデプロイのワークフローを容易に自動化できる。

ベータの期間中Bitbucket Pipelineは、誰もが無料で試用できる。

これまで、AtlassianのツールはつねにWebから提供された。しかし同社は今日初めて、チームコラボレーションサービスConfluenceと、ソフトウェアチームのための同社のプロジェクト管理サービスJIRA Softwareの、ネイティブアプリケーションをローンチした。

さらに今日Atlassianは、Open API Initiativeへの参加を表明した。この、APIの形や作り方を標準化しよう、というねらいのコンソーシアムには、Apiary, Apigee, Google, IBM, Mashape, Microsoft, PayPalなどなどが参加している。

また今日ローンチされたConnect for JIRA Service Deskは、サードパーティのデベロッパーが、JIRAに埋め込めるアドオンを作れる、というサービスだ。そしてAPIのドキュメンテーションを作るための社内的なツールRADARがオープンソースになった。これは当然ながらOpen API Initiativeの仕様に従っている。

 

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

アップルがiOSアプリのデペロッパー支援センターをインドに開設予定

CUPERTINO, CA - SEPTEMBER 09:  Apple CEO Tim Cook models the new iPhone 6 and the Apple Watch during an Apple special event at the Flint Center for the Performing Arts on September 9, 2014 in Cupertino, California. Apple unveiled the Apple Watch wearable tech and two new iPhones, the iPhone 6 and iPhone 6 Plus.  (Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

アップルはインド国内初のデペロッパーセンターを開設する計画について発表(米国時間5月17日)し、インドの重要度を上げている。その新しい「iOS App Design and Development Accelerator」はバンガロール(ベンガルールという名前でも知られている)に位置することになる。2017年早くに開設予定だ。

そのセンターはインド国内でアプリを開発するデペロッパー向けの支援を提供するためのものだ。センターは「デペロッパーをインスパイアし、ベスト・プラクティス(最善の実践方法)を教えます。デペロッパーがスキルを磨けるように支援したり、彼らが開発しているiOSプラットフォームのアプリのデザイン、クオリティー、パフォーマンスを変革できるように支援します」とアップルは言う。

アップルは自社で選抜したiOSアプリのデペロッパーと綿密に取り組んでいる。しかし、センターはインドのデペロッパーコミュニティー内のより多くのデベロッパーにリーチするために設計された。最高のアプリのエコシステムを築くことは、アップルがスマートフォン市場の消費者に対してアピールする1つの方法なのだ。

「インドは世界で最も活気があり起業家精神あふれるiOSデベロップメント・コミュニティー拠点の1つです。バンガロールに新しい施設をオープンすることで、デベロッパーは世界中にいる消費者向けの革新的なアプリ開発を支援するツールが利用できるようになります」と声明においてアップルCEOのティム・クック氏は伝える。

米国の会社は近年インドに注目し続けてきた。その理由はインドのスマートフォン市場が顕著な成長の可能性を示していること、そして売上における中国への依存をいくらか相殺するためだ。

インドは米国を追い抜き、推定2億2000万ものスマートフォンユーザーが存在する世界で2番目のスマートフォン市場となった。それは12億ある人口の一部でしかない。さらに成長する余地があるのだ。米国、欧州、中国のような市場においては売上は停滞しているが、 市場調査会社のGartnerはインドでは少なくともこれから2年間は2桁の成長をとげると見ている。

けれども、アップルの市場シェアは依然として小さい。 最近のレポートによると、平均的な価格より高いアップルのデバイスを買う購買力を持った消費者が多く住む都市部におけるアップルの市場シェアは約5.8%とのことだ。Kantarのデータでは中国におけるスマートフォン売上の約22%をアップルが占めていて、それに比べるとインドの数字は遠く及ばない。

アップルの中国での成功は問題も引き起こしている。アップルが政府からの圧力を受けていることは多くの人に認知されているだろう。中国政府は海外のテクノロジー企業を締め付けていて、アップルが中国のUberのライバルであるDidi Chuxingに10億ドルを投資した背景には、その圧力を緩和したいという考えがあったのかもしれない。また、中国のスマートフォン市場の減速が、アップルの前期純利益のへの失望を招いた主な原因といえる。インドにおけるスマートフォンの市場とスマートフォンの売上シェアを伸ばすことがアップルの主な目的といえる。そして、この新しいデペロッパーセンターはその戦略に適したものである。

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(翻訳:Morimoto Shinya)

Google対Yahoo—インターネット戦争でどうしてここまで差がついたのかを振り返る

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この記事はCohesityのファウンダー、CEOでCrunch NetworkのメンバーMohit Aronの執筆

独立企業としてはYahooは最後の日々を迎えつつあるようだ。一方、GoogleはAppleと時価総額世界最大の企業の座を争っている。わずか10年前と少し前には、YahooとGoogleが激しく競争していたとは信じがたい。

当時、現在のような状態を予測できたものは誰もいなかっただろう。両社の状況にやがてこれほど大きな差がつくと、誰にせよ当時予測できたと考えるなら馬鹿げている。そうではあっても、GoogleとYahooの歴史を振り返ることからわれわれは多くを学べると思う。

私は2003年に Googleで働き始めた。GoogleとYahooは当時急成長中だったウェブの覇権をめぐって激しい競争を繰り広げていた。この問題には非常に多くの要因が影響を与えていたが、中でも最終結果に決定的な役割を果たしたと思われるのが、それぞれの企業のコアとなるインフラへの取り組み方だったと思う。

私はこの記事の主役ともいうべきGoogle File Systemの開発に密接に関係していたので、それが見方に影響を与えているだろう。そうであってもGoogleとYahooのインフラに対する態度を比較することからわれわれは急速に変化するテクノロジー世界にあって持続性の高いビジネスの構築の方法について多くの教訓が得られそうだ。

当面の対応 vs. 将来の持続性

21世紀に入ってインターネットが普及期に入ると、検索、メール。、地図などのサービスの規模、需要が爆発的に拡大し始めた。これに対応する方法がGoogleとYahooでは鋭い対照を見せた。Yahooの場合、NetAppシステムという形で必要とされるサーバー数の猛烈な速度での増大に対処しようとした。YahooのほとんどのサービスはNetAppストレージ・デバイス上で作動するようになり、同社のサーバーの設定と追加は非常に簡単になった。これによりYahooは需要に対応することに成功し、自身としてもNetAppデバイスの最大のユーザーとなった。

しかし(たまたま近所のマウンテンビューに本社を構えた) Googleは独自開発のソフトウェアをインフラとする戦略を採用した。これはその後GFS―Google File Systemとして知られるようになったが、専用ハードウェアではなく、あらゆるサービスに対応可能な汎用性の高いソフトウェアを中心としたエコシステムを構築しようというものだった。Google File Systemはコモディティー―安価な市販品―のサーバーを用いて柔軟かつ故障耐性の高いシステムを構築することにより、スケーラビリティーと信頼性の問題を同時に、かつ決定的に解決するものだった。Googleが地図からクラウド・ストレージまで多様なサービスを簡単、高速に展開することを可能としたのはGFSだった。

スケーリングの複雑な側面

ミッション・クリティカルな分野でGFSを利用できるようになるまでにGoogleは4年をかけている。Googleが開発に投入した人員、資金などのリソースは莫大なものだ。その間、Yahooは専用ハードウェアをベースにしたNetAppファイルを急速に追加し続け、拡大する需要に対処していた。インターネット・ビジネスの世界でYahooははるか先を行っているように見えた。

しかし、Yahooの「市場ニーズに即座に対応する」というアプローチにはやがてほころびが出始めた。需要の規模と多様性が拡大し続けるにつれ、専用ハードウェア・ベースのインフラは開発作業の重複という問題をし始めた。これは効率を下げ、最後にはコストの上昇を招いた。Yahooが新しいサービスを始めるつど、そのサービス専用にNetAppプラットフォームを改造する必要が生じた。

Yahoo検索とYahooメールが直面した技術的課題は同種のものであったにもかかわらず、それぞれが異なるカスタマイズを受けたNetAppで作動していたため、技術陣は別々に問題を解決しなけれならなかった。これはリソースと非効率性の著しい増大を意味した。全社的に共通のプラットフォームは存在せず、異なるサービスは異なるサーバー、異なるコンピューティング能力を必要とした。.NetAppハードウェアのコストはYahooの規模の拡大と同じ速さで増大し、Yahooの利益の大きな部分に食い込むこととなった。

解決法を探す前に、問題を徹底的に理解することが重要

これに対して Googleは、規模を拡大し新サービスを追加するときに起きるはずの問題を、それが起きる前に予期し、効率的に対処できるようGoogle File Systemの開発に全力を挙げた。その結果、たとえばYouTubeを買収したとき、GoogleはYouTubeのエンジニアに対し「きみらのバックエンドは捨ててわれわれのファイルシステムを使いたまえ」と指示することができた。すべてのGoogleサービスはGFS上で作動していたので、エンジニアはたった一度のGSFのアップグレードで全社のサービスをアップグレードすることができた。

また汎用性の高いGFSを利用できたため、コンピューティング・パワーを異なるサービス間で共有することが簡単だった。検索を実行しているサーバーに処理能力の空きが生じたら直ちにメールの処理に移ることができた。しかもこうしたサーバーはコモディティー製品だったので、ムーアの法則に従い、日々急速に価格をげていた。

これに反してYahooでは開発の複雑性と処理コストが爆発的に増大し始め、 新サービスの追加でGoogleのペースについていくことが不可能になっていった。

ゼロから考えることの重要性

後から考えれば、これはアーキテクチャーの柔軟性の重要さを示すものと言えるかもしれない。しかしこうした例は、アプリケーションややインフラの開発といったテクノロジー企業特有の分野を超えて、持続性のあるビジネスを構築する上で何が重要かを示す教訓にできるのではないかと思う。私がGoogle時代に学んだもっとも重要な点は「解決法を探す前に、問題を徹底的に理解することが重要」ということだった。

何であれ問題を見たら、解決法をゼロから考えることが重要だ。エンジニア(多くの場合、同時にファウンダーでもある)は既存の解決法に引きずられてはならない。これまでにこれこれの対策が取られてきたなどいう情報にはまず目をつぶることだ。自分自身が理想と考える解決法を編み出すことが大切だ。それを得たならば、既存の手法を検討し、どれを用いることができるか、どこを改良すればいいのかを考える手順となる。

スタートアップが既存の大企業をひっくり返し、そのサービスで自らの地位を確立するためにはこれが必須の条件となる。AmazonはAWSというIaaSをスタートさせることによって、ハードウェアのリースと処理のアウトソーシングの王者としてエンタープライズITに君臨してきたComdiscoを倒産させた。スタートアップに席巻されたくない大企業にはこれが教訓になった。たとえばFacebookは現在もサーバーからデータセンター、カメラまで独自のインフラ開発に全力を投じている。

往々にして「ゼロから考える」ことは目先の成長を犠牲にする場合がある。動きの速いシリコンバレー企業にとっては、その意味で「苦い薬」だが、長期的な持続可能性を考えたとき避けては通れない。即効性はあるもののその場限りの対応は結局のところ複雑性と処理コストを加速度的に増大させるというはるかに重大なリスクを持ち込むことを意味する。Googleはあらゆるウェブ・サービスに適用可能な柔軟性と単純性を目標としてGFSを開発した。それに対してYahooの複雑なインフラは、一時的に成功を収めたものの、長期的にはYahooのビジネスに今日見られるような限界を持ち込む原因となった。

画像: Pedro Ângelo/Flickr UNDER A CC BY-SA 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+