LINE元社長・森川氏の次なる挑戦は動画メディア——5億円を調達し、女性向けの「C Channel」で世界を視野に

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4月1日にLINEの代表取締役社長CEOの座を退いたばかりの森川亮氏。LINEを取締役COOだった出澤剛氏に託し、自身はスタートアップの起業家として新たにサービスを立ち上げる。

新会社の名称は「C Channel」。設立にあわせてアイスタイル、アソビシステムホールディングス、グリー、GMO VenturePartners、ネクシィーズ、B Dash Ventures、MAKコーポレーション、楽天などから約5億円を調達する。今後は社名と同名の動画配信プラットフォーム(同社では「動画ファッション雑誌」とうたっている)「C Channel」のベータ版を展開する。現時点ではウェブのみでのサービス提供となるが、今夏にもスマートフォンアプリも提供する予定。

C Channelでは、「クリッパー」と呼ぶ約100人のモデルやタレントが、独自の動画を配信する。動画では、「カワイイ」「クール」といった切り口で、日本のファッションやフード、トラベル情報など紹介する。動画の長さは1本1分で、1つの店舗やスポットのみを紹介。位置情報とも連携する。お気に入りのクリッパーをフォローするといった機能も備える。ターゲットにするのは10代〜30代の女性。動画は日本語のほか、英語でも提供していく。

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Pinterestライクなクリッパーページ ※クリックで拡大

動画はクリッパーの自撮り、もしくはプロのカメラマンが撮影。そのあとプロが編集している。デモ動画を見せてもらったが、1分でも情報量はそれなりにあるし、クオリティは非常に高い。

もちろんネットにもともとあるようなストリーミングの垂れ流し動画だってライブ感があって面白いのだけれども、それとはちょっと方向性が違う。テレビ番組に近いクオリティだ。

このあたりの理由を森川氏に聞いたのだけれども、C Channelには現在タレントやカメラマン、動画編集者やエンジニアなど約10人のスタッフがおり、SPA(製造から小売りまでを統合・内製)モデルでコンテンツを制作しているため、安価かつ速いスピードで高品質の動画を提供できるのだそうだ。テレビや映画など、映像制作の“職人”的な経験者も多いという。

動画はベータ版のスタート時点で100本程度を用意。今後は毎日アップデートしていく予定だ。「映像のプロとITのプロが集まっている。ちょっとやそっとじゃマネできないと思う」(森川氏)

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動画のイメージ

 

10年かけてタイム・ワーナーのような会社に

「グローバルなメディアを作りたい。マスメディアはまだまだ変わっていないので、その変化の中で大きな流れを作ることに挑戦したい。日本のメディアが海外に成功した事例はないので、10年かけてタイムワーナーのような会社を作りたい」——森川氏はC Cannelについてこう語る。

では森川氏はどうしてLINEの代表退任後のチャレンジとして動画の事業を選んだのか? 森川氏は「起業するのであれば、『自分がやるべき領域』でやろうと思った」と説明する。

新卒で日本テレビ放送網に入社し、その後ソニーを経てLINEの代表となった森川氏は、放送とネット両方のメディアを経験してきた人物。若いスタートアップがメディア事業を立ち上げることについては、「しんどいと思う。資金も人も必要になるので、バイラル的、ワイドショー的なものになりがち」と分析する。だが世界を見てみるとメディアは変革の時期。「(テレビなどマスメディアの)最前線の人は、メディアの中でも問題意識を持っている」と語り、メディアビジネスへの注目度を説く。

また動画メディア事業について、「映像と技術が分からないとできない難易度の高い事業。映像だけだと職人の世界になるし、技術だけだとPVなどを意識しすぎる」と語る。

ではその両方を経験してきた森川氏のサービスがすぐに成功するのかというとそこは慎重で、「ビジネス的には相当厳しい。C Channelは、最初の1年程度は売上ゼロでもユーザー拡大に注力する」のだそう。

ECと広告でマネタイズ、海外展開も積極的に

C Channelでは今後、ECと広告でのマネタイズを進める。ECについては、C Channelブランドの商品を販売する予定。所属タレントによるプロモーションを行うほか、リアルイベントでの販売なども予定する。4月16日には東京・原宿にスタジオ兼オフィスをオープンする予定で、週末などはそこでクリッパーなどを呼んだイベントを積極的に展開していく。また出資するアソビシステムを通じて、所属するアーティストなどとも連携したイベントを検討しており「今後はきゃりーぱみゅぱみゅなどが参加するイベントもやっていきたい」(森川氏)とのことだった。

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スタジオを兼ねた原宿のオフィス

 

直近にはブランド広告を中心に展開する予定。「今まではナショナルスポンサーがつくようなブランド価値の高いような動画メディアがなかった。C ChannelのCはコミュニケーション、キュレーション。質の高いブランドを作りたい。そのためには『選ばれている感』や『憧れ』をどう出していくかが重要」(森川氏)。

また将来的には「アドテクの会社にしたい」(森川氏)とのこと。ユーザーの属性にあわせてリアルタイムに動画広告を編集・生成するシステムを開発中だそうだ。「YouTubeなどに乗らずに自分たちで(インフラまで)抱え込めばいろいろとできることがある。将来的にはそのエンジンを外部に提供することも検討する」(森川氏)。そのほか海外展開もすでに予定中。年内にはニューヨークにスタジオを作り、試験的に動画の制作を開始していく。

48歳での挑戦、「ビジネスはタイミングが大事」

ところで森川氏は今年48歳。この年齢での新しい挑戦を「遅い」と感じなかったのだろうか。

「ビジネスはタイミングが大事。早すぎても遅すぎてもダメ。IoTもITとハードウェアの組み合わせだが、ITと動画という違うモノを組み合わすようなビジネスは難易度が高い。『スケールさせること』と『いいものを作ること』の両方考えないといけない」(森川氏)

森川氏いわく、タイミングの重要性はLINEの時にもさんざん経験した話なんだとか。

「例えば検索(NAVER検索。2013年12月にサービス終了)もそう。どれだけすごい人が最高のものを作っても、タイミングが合わないとダメ。LINEも原型をたどればただのメッセンジャー。(先進性という意味では)大したものじゃない。そう考えていく中で、今のタイミングであれば『動画』だと思った。本当は教育なんかもやりたいが、まだ早い。技術があるか? 市場が熟したタイミングか? そしてビジネスモデルが見えるか? の3点が重要」(森川氏)

新しい産業を生み出す

前述の通り、映像と技術の組み合わせは難易度が高いという話があったので、森川氏に「若手のメディア系スタートアップを蹴散らしていくような感覚を受けた」と話したのだけれど、森川氏は笑いながらそれを否定して、「どちらかというと海外のメディアと戦っていきたい」と語る。

また森川氏は「やるなら正直ゲームのほうが儲かるし、(動画メディアは)あまり若いスタートアップがやらない領域だと思っている。だからこそ選んだ」とも説明。また、「秋元さん(秋元康氏)にも相談したら『応援する』と言ってもらった。メディアも変わるべきところにきている意識がある」とマスメディア側の見方も語ってくれた。

ちなみにLINE退任についても少し話を聞いたのだけれども、一昨年くらいから社内では話をしていたのだそう。

「LINEの次に何をやるか——この年齢になるといつ死ぬか分からないから、社会的に何かを残したいと思った。そこで考えた日本の課題は高齢化に伴う衰退。ではそこで大事なのは何かというと、新しい産業を生み出すこと。それが今は動画だった。そこを考えつつ、また別の軸で教育や投資などもできることをやっていきたい」(森川氏)。実はエンジェルとしても「結構多い数投資している」とのことだった。

ツイキャスが1000万ユーザー突破、動画サービスからプラットフォームへ

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モイが提供する動画ストリーミングサービス「TwitCasting(ツイキャス)」が1000万ユーザーを突破した。4月8日に同社が明らかにした。

2010年2月のサービス開始から5年弱での達成となる。以下がユーザー数を示すグラフだが、サービス開始から順調にユーザー数を増やしていたが、2013年後半からはユーザーが急増。女子高生を中心にしてサービスを拡大してきた。

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また、当初はノンプロモーションながら、海外ではブラジルを中心に局地的にユーザーが増加。現在海外ユーザーの割合は全体の2割ほどだが、その半数(つまり全体の1割程度)はブラジルのユーザーなんだそうだ。そんなこともあって、現在は米国・ブラジルでもユーザーサポートを行っている。

2013年頃まではアクティブユーザー(ユーザー数400万人でMAU200万人程度だったと聞いている)を公開していたが、現在は非公開。ただし、関係者から聞く限り、いい数字を出しているようだ。

おしゃべりツールからプラットフォームに

もう10代だけのサービスではなくなってきた——モイの丸吉宏和氏は語る。海外での利用はさておき(ブラジルでは初期からアーティストが音楽ライブの配信などをしていた)、日本では「女子高生のおしゃべりツール」からスタートしたツイキャス。高画質配信にも対応してからは、政党やスポーツチーム、アーティストなど、さまざまな組織の公式配信ツールとしての役割も担いつつあるのだそう。その結果、ユーザーの属性も(詳細は非公開だったが)30、40代まで広がったという。

特に2014年10月、法人利用を前提として高画質配信に対応してからはその動きが顕著になっている。アーティストが新譜を発売する際などは、ミニライブなどをツイキャスで配信することも増えたそうだ。

すでにPC版の広告やギフト用のアイテムなどで課金をしているツイキャスだが、1000万ユーザーを迎えていよいよ本格的なマネタイズを始める。具体的な話は今後発表していくということだったが、「ライブ配信はPRには使えても、それだけでは(配信でPRする商品の)売上にはそんなに影響はない、と言われるのは苦しかった」(丸吉氏)と語っていることから、マーケティングやコマース関連の機能を実装していくことが予想される。

実際、ツイキャスで女性誌のモデルがおすすめした化粧品が翌日にはAmazonで売り切れになるといった現象も起きているらしいし、法人のキャス主(配信者)を中心に、コマース機能の連携ニーズは高いらしい。このあたりは今春中にもまた発表すると聞いている。

TwitterのPeriscope買収の影響は?

3月にはTwitterがツイキャスの競合サービスであるPeriscope買収し、さらに別の競合サービスであるMeerkatに対して、ソーシャルグラフの使用を禁止するといったことが起きている。ツイキャスには影響はないのだろうか? 丸吉氏は「(ソーシャルグラフの使用制限など)何もないとは言えないが、ツイキャスではすでに独自IDを用意しており、その数も増えている。またAPIの利用なども適切に行っている」と説明した。

[速報]DeNAがキュレーションメディアをさらに強化——Find Travelを買収、6月には自社で2サービスを開始

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これまで住まい・インテリア特化の「iemo」と女性向けファッションの特化「MERY」と2つのキュレーションメディアを買収し、さらに自社で飲食特化の「CAFY」を立ち上げたディー・エヌ・エー(DeNA)が「DeNAパレット」と銘打ってキュレーションメディアのプラットフォームを拡大する。

DeNAは4月6日、旅行特化のキュレーションメディア「Find Travel」を手がけるFind Travelを2月に買収し子会社化したことを明らかにした。あわせて男子ファッションの「JOOY」、妊娠・出産。子育ての「cuta」の2つのキュレーションメディアを6月にも立ち上げる。2015年12月末までには合計10サービスまで拡大するとしている。

DeNAは現在サービスに関する発表会を開催中。詳細は追ってレポートする。

Facebook、360度ビデオをニュースフィードとOculusでサポート


Facebookはニュースフィードへの360度ヒデオのアップロードをサポートし、OculusゴーグルではOculus VRを体験できるようにする。Facebook CEOのMark Zuckerbergは、今日の年次F8デベロッパーカンファレンスでこの新機能を発表した。没入型ビデオ体験では将来ライブ中継もサポートするとZuckerbergは言った。
これは同社が先に「テレポーテーション」機能について漏らした際に指していたものだ ― その意味について多くの人々が憶側したが、F8のキーノートに基づけば、Oculusベースの360度没入型ビデオのようだ。

最近、他社もこの種の全周ビデオのサポートへの動きを見せている。GoogleはYouTubeへの360度ビデオのアップロードをサポートし、ChromeとAndroidアプリで再生すればヒデオで周囲を見回すことができる。、

Zuckerbergは、Facebookが360度ビデオをエンドユーザーに公開する時期については具体的に話しなかったが、実際の使い方については、ユーザーがパースペクティブをカーソルでコントロールするところを簡単に披露した。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


アメブロの再発明ではない-サイバーの新サービス「Ameba Ownd」はお手軽なサイト作成サービス

サイバーエージェントのブログサービス「アメーバブログ(アメブロ:Ameblo)」と言えば、芸能人や著名人の公式ブログを筆頭に——「改行がありすぎ」なんて揶揄されるような若い世代の日記などが話題になったこともあるが、そんなブログもひっくるめて——幅広い層に支持されているブログサービスの1つだ。

そんなAmebloを提供しているサイバーエージェントが3月に入り、「Ameba Ownd(アメーバオウンド)」なるブログ風なサービスのスタイリッシュなティザーサイトを公開している。同サービスがいよいよ3月18日、正式オープンした。

このAmeba Ownd、ブログのような日記も、企業紹介のような静的なページも作れるし、TwitterやInstagram、Facebookなどのソーシャルメディアと連携して、サイト上に集約して表示できる。ではこれはブログサービスと考えていいのか? サイバーエージェントでAmeba事業を統括する堀浩輝氏いわく、Ameba Owndは「誰でも無料でオウンドメディアを作れるサービス」なのだそう。

シンプルなUIでブログから企業サイトまでを作成可能

Ameba Owndでは、3ステップでサイトの開設が可能。カラーバリエーションを含めて100点以上のデザインから好みのものを選択し、サイト名などを入力してやればよい。Ameba Ownd上でブログのようなフロー型のコンテンツを書くこともできるし、Amebloと連携して、Owndのページ上にAmebloで書いているブログを表示することもできる。レスポンシブデザインでサイトを作成するため、スマートフォンでの閲覧にも対応している。

投稿画面は非常にシンプルにしており、1つの画面で前述のブログライクなページの投稿も、TwitterやFacebookの投稿も可能。ただしInstagramは外部サービスからの投稿ができないため、連携してもOwnd上での投稿はできない。また、正式サービスの開始に合わせて、サイトの作成、更新、閲覧が可能なスマートフォンアプリも提供する。簡易的な解析機能を自前で提供するだけでなく、Google アナリティクスにも対応。さらにEC向けのカート機能なども今夏をめどに提供する予定だ。

堀浩輝氏

「ブログの再発明」ではなく「ウェブサイト」

サイバーエージェントらしい点なのだけれども、著名人やアーティスト、クリエイター、企業などに対しても利用を促しているそうで、正式公開前からスターバックス コーヒーやヘアサロンのSHIMAがサイトを開設していたほか、クリエイティブ・ディレクターのNIGO氏、ディレクターの夏木マリさん、俳優の水嶋ヒロさん、ミュージシャンのZeebra、MISIA、ゲスの極み乙女。など約50のサイトが開設される。

Ameba Owndで作成されたスターバックスのサイト

ほかにもサイト開設は進んでおり、4月中にも100サイトを突破する見込みだそうだ。ただし著名人に関しては「Amebloとあまりかぶらないようにしている。アーティスト、クリエーター、美容サロンなどを中心に打診している」(堀氏)ということだった。

これまで芸能人をはじめとした著名人ブログが1つの価値になっていたAmeblo。でもAmebloのサービスだけでは、自己紹介のような静的ページを作るのは難しいし、デザインこそ変えても、サイト構造を大きく変えることはできない。またソーシャルメディアのフォロー数を増やすような施策をしたくても、そこまできっちり連携できるわけでもない。

そういった既存サービスで実現しないことの課題感、それと同時にmediumStrikinglyのような海外で新しいCMS、ブログシステムが台頭してきている一方で、国内からはその手のイケてるサービスがまだ登場していないといった背景もあってサービスを開発するに至ったのだそう。

ただ、Ameba OwndはAmebloの次、次世代のブログサービスという位置づけではないと堀氏は強調する。「Owndはブログサービスでなく、ウェブサイト。Amebloと連携して補完できるものだし、ブログサービスの再発明ではない。もちろんデザイン性が高いブログを使いたい人にとってはブログサービスと思ってもらって構わないが、ライトな層にとっては機能が多すぎる。それならば引き続きAmebloを使ってもらいたい」(堀氏)

単体でマネタイズしなくたっていい

Ameba Owndのマネタイズはまず、「とにかく規模を作る」ということだそう。とにかくユーザーを増やし、トラフィックを増やしさえすれば、サイバーエージェントグループで広告商品を作ってマネタイズしていけるという。すでに企業の利用も始まっているが、何かしらのキャンペーンと合わせてOwndのサイトを開設するということでもビジネスになるという考えだ。

また、「そもそもOwnd単体で黒字化する必要はない」という考えもあるそう。AmebloやOwnd、ゲームなどを含むサイバーエージェントのコンシューマ向けサービス群を指す「Ameba」は、会員数が約4000万人(2014年8月時点)、月間流入数が約6億セッション。スマートフォンだけでも見ても会員数が約2400万人(2015年2月時点)、MAUが約460万人(同月)という数字だ。このトラフィックを生かしてOwndに集客したり、逆にOwndから何かしらのマネタイズエンジンとなるサービスに送客したりすればいいと考えているそうだ。

サイバーエージェントと言えば、2014年夏に体制変更を発表し、Ameba事業の従業員数を1600人から800人に半減。Ameba事業から離れる800人で新規事業を立ち上げるとしていた。その新規事業部門やAmeba事業部から、新規サービスが続々リリースされる予定なのだそう。これらとOwndがどう連携していくのだろうか。


Outernetは宇宙からインターネットへのアクセシビリティ向上を図る


地球上のおよそ40億の人は、インターネットに繋がっていない、あるいはアクセスができない状況にいる。彼らにインターネットを届けるべく人工衛星の打ち上げを始めとする宇宙からの開発競争が始まっている。そこに参戦できるのは億万長者や世界最大のインターネット企業に限ったことではないようだ。

Outernetは独立系の小さなメディア企業だ。彼らはラジオ放送のようにインターネットのコンテンツを配信することを目標に掲げている。彼らは「cubesat」つまり小型人工衛星の製造を行う為、イギリス宇宙機関とスコットランドの衛星の設備を製造するClyde Spaceと組み、資金を出し合って開発に当たっている。

情報を放送するOuternetのCOOを務めるThane Richardは、2016年の初めに3つの超小型人工衛星を打ち上げる予定であると話した。この提携によりOuternetは人工衛星を手に入れることができ、イギリス宇宙機関とClyde Spaceは、よりコスト面で効率の良い小型人工衛星の開発に取り組むことができる。

「私たちの関心は一つです。それは最も低価格で最も効率的な方法で情報を届けることです。」とRichardは話す。現在、彼らはKuバンド上の専用周波数帯においてキュレートしたコンテンツを配信している。

来年打ち上げる人工衛星は地球低軌道に乗せる予定で、この人工衛星から複数の異なる周波数での配信が可能となる。これにより、Outernetは受信機をより一般的な部品から作ることができ、経済的に貧しい彼らのターゲット層に安価にそれを提供することができる。

Outernetは、現代版の短波放送です。世界が知識主導型の経済に移行するほど、コスト、地理、法制の制約により、30億人以上の人がその世界から取り残されてしまいます。

— Syed Karim

2014年1月の下旬にローンチされたOuternetは、Media Development Investment Fundが投資する最初のプロジェクトだ。Outernetは、Facebookのinternet.orgやGoogle のProject Loonが実現しようとするインターネットと全てがつながるユビキタス世界とはまた別の方法で情報の配信を目指している。

会社の立ち上げ時にファウンダーのSyed Karimは、「Outernetは、現代版の短波放送です。」と話していた。「世界が知識主導型の経済に移行するほど、コスト、地理、法制の制約により、30億人以上の人がその世界から取り残されてしまいます。Outernetは、全ての人にニュースや情報を放送します。今より遥かに多くのチャンスと教育を届けることができるのです。」と語った。

最初の資金はMDIFから受けた金額とIndiegogoで行ったクラウドファンディングのキャンペーンで集めた。このキャンペーンで彼らの最初のプロダクトである受信機の「Lantern」が50万ドルを売り上げた。

一つ169米ドルのこのデバイスは、今まで届かなかったところに知識という名の光を当てることを目標としている。デバイスの名前「Lantern」はその目標を表している。このデバイスは、Outernetの専用衛星ネットワークから配信される電波を継続的に受信することができる。受信した電波は、受信機の中でデジタルファイルに変換される。彼らは、ウェブサイト、電子書籍、記事、動画、音楽といった幅広いコンテンツを配信している。デジタルファイルは内蔵されたドライブに保存され、Lanternのホットスポットと他のWi-Fi対応の端末を繋ぐことで、その情報にアクセスできる。

「私たちは、1日に1ギガビット分の情報を受信でき、20ドル以下で手に入る端末を作りたいと考えています。」とRichardは言う。

Outernetのコンテンツは、集められたものの中から自社の編集者が厳選して配信を行っている。ある特定の情報がほしいといった要望を誰でも、どこからでも受け付けている。現在、北アメリカ、ヨーロッパ、中東、アフリカ北部と、サハラ砂漠より南のサブサハラで配信している。北アメリカ、ヨーロッパ、中東、北アフリカでの配信は2014年8月に始まり、サブサハラでは12月に始まった。

アジア向けのコンテンツ配信も今後3ヶ月以内に開始する予定であるとRichardは話した。「年内には、毎日10ギガバイト分の世界中の情報をカバーすることが目標で、その目標に向かって順調に進んでいます。」と言う。

LoonとNetと次世代ラジオ放送

インターネットへのコネクティビティを改善しようと、ヨーロッパで有力なパートナーを探していたのはOuternetだけではない。プライバシーの懸念をよそに、Googleは展開するProject Loonにおいてフランス国立宇宙研究センター(CNES) の協力を得ることができた。

CNESはこれまでも高層大気への風船の打ち上げを行ってきた。(ジュール・ヴェルヌ著の「八十日間世界一周」の風船も彼らのだったのかもしれない。)彼らは、Googleがニュージーランドの郊外で行った初の実験の成果に胸を踊らせている。

そう、GoogleのLoonプロジェクトは、ついに日の目を見ようとしているのだ。高層大気にルーターを結びつけた無数の風船を上げることで、 ロードアイランド州程の広さの地域 にインターネットを提供することができる。全ての人をインターネットにつなげようとするGoogleの野望は、今まさに大きなビジネスとして立ち上がろうとしている。Googleの役員は、Loonプロジェクトは何百億円規模のビジネスになると言う。それが空想に過ぎないのか、それとも未来を予見した発言なのかは、そのうち分かることになるだろう。

プロジェクトリーダーのMike Cassidyは、The VergeのBen Popperにこのように話していた。

「考えてもみてください。40から50億人はまだインターネットへのアクセスがありません。その5%でも2億5000万人です。」と彼は言った。月々の収入からほんの少し、例えば5ドルを支払ったとしたら、「月に10億ドルが見込めます。年間にしたら100億ドルを超えます。そう考えたら良いビジネスでもあるのです。」

コネクティビティの改善を競う企業から一歩抜きん出ようとするGoogleのLoonプロジェクトはFacebookが力を入れているInternet.orgとよく対比される。先週バルセロナで開催されたMobile World Congress でMark Zuckerbergは、コネクティビティについての彼の見解を話した。

コネクティビティに着目したLoonのハードウェアとは違い、ZuckerbergとFacebookは、インターネット利用者を増やすためのプロモーションにおいて、携帯キャリアが果たすべき役割が重要であると考えている。

私たちのライターの一人、Josh ConstineはZuckerbergの話を以下のように記事に書いて いる。

Zuckerbergは、「世界の90%の人は、インターネットの届く範囲に暮らしています。人工衛星やレーザー、他のハイテクな方法でインターネットを届けることはかっこいい話ではありますが、ここから変わるべきなのです。」と言った。こことは、Mobile World Congressのことを指している。

データ通信料の引き下げとインターネットの重要性を教えていくことが肝心だという主旨だ。Zuckerbergは、本当に投資を行い、インターネット普及に労力をかけているのは、internet.orgのパートナーとして活動する携帯電話会社だと話した。

では、Googleがコネクティビティを目指して空飛ぶデバイスを作り、Facebookが特定の地域でキャリアと組み、コストを削減、あるいは無料でデータ通信ができるように動いているなら、Outernetには何が残されているのだろうか?

Outernetはそもそもメディア企業であったことから、コネクティビティの向上もこの企業の計画にはあるが、コンテンツの配信とそれにアクセスする方法の改善に重きを置いている。彼らのサービスは、オンラインを閲覧するというよりは、次世代のラジオを目指していると言った方が近いだろう。ただし配信するのは音声に限らない。

Richardによると、ラジオのように受動的に情報を受け取る方法が良い場合もあると言う。権威主義の国で、情報へのアクセスが制限されているような地域では、どのような情報に誰がどこからアクセスしたかがトラックされずに有益な情報が得られるこの方法が適していると言う。

コンテンツの質についてはどうだろう?

この会社は、ユーザーからのリクエストを自社でキュレートし、配信している。そのため、誰が情報の重要度を判断するかによって、受け取るコンテンツはユーザーにとって必読のものからそうでないものまで混在することになる。

コンテンツの問題とさらに共通言語の問題もある。Outernetが配信しているコンテンツの多くは英語であることから、誰もが英語を理解できない新興地域では、その情報の影響力は限定的だ。

「私たちは、全ての地域とコミュニケーションを民主化したいと考えています。これからプレーヤーが多ければ市場も活性するでしょう。」とRichardは言う。「放送を止めることはできないのです。とても基本的でシンプルであるからこそ、必要不可欠なものであると考えています。」と語った。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ facebook


Amazonのクラウド・ライティング・プラットフォーム、Write Onが一般公開

Amazonには、Write Onというクラウド執筆プラットフォームがある。セルフ出版したい著者がコンテンツを無料で提供し、コミュニティーのフィードバックを作品に取り入れるためのソーシャルネットワークで、Wattpadと直接競合する。Amazonのサービスは昨年10月に招待制ベータとしてスタートしたが、このたびベータのラベルを外し一般公開された。

このAmazonプラットフォームでは、誰もが自由にどんな段階の文章でもシェアすることができる。作品全体、章、アウトライン、曖昧な登場人物設定や、文の断片ひとつでも公開してコミュニティーのフィードバックを受けられる。参加するために自分が書く必要もない ― 読みたいだけの人にも、山ほどのコンテンツがジャンル別に分けられているので自由に探して読みかじったり、「シャッフル」機能でランダムに読んだりできる。

AmazonがWattpadの実績に対抗するためにはやるべきことがたくさんある。Wattpadは9年の歴史を持ち、毎月4000万人のアクティブユーザーから毎日24時間分の作品が投稿されると最新の公表データに書かれている。

読者のためにクラウドソースを利用しようというAmazonサービスはWrite Onだけではない ― 最近同社が公開したKindle Scoutは、著者が完成した原稿を投稿してユーザーコミュニティーに読んでもらい、クラウドの反響に応じてKindleの出版部門がデジタル書籍化する可能性があるというシステムだ。理論的には、著者はWrite Onで本を書いて微調整してから、Scoutに投稿して販売することができることになる ― すべてAmazonの愛情のこもった抱擁の中で。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


「ムゲンブックス」はAmazonや書店で買える紙の本を無料で出版できる


ブログを書くように執筆した原稿を、紙の本として出版できるウェブサービス「∞books(ムゲンブックス)」が始まった。売れた分だけオンデマンド印刷する仕組みで、出版にかかる費用は無料。著者の印税は10%。できあがった本は、Amazonや全国の書店から買える。

専用の入力画面でタイトルと本文を入力するだけで、紙の本の出版に必要な目次やページ番号、文字組みなどを自動的に設定してくれる。完成した本にはISBNが付与され、出版社である「デザインエッグ」を通じて出版する。

ムゲンブックスは、KDDIが手がけるベンチャー育成プログラム「KDDI∞Labo」第7期プログラム採択案件。代表を務める佐田幸宏氏はかつて、4980円で紙の本が出版できる「MyISBN」を開発し、リリース1年半で250タイトルの本を出版している。

MyISBNは、PDFファイルをアップロードするだけで本を作れるのが特徴。しかし、一般ユーザーの中には、PDFを作成するのが技術的に難しい人も多かったと、佐田氏は振り返る。「文字を打つだけで出版できるムゲンブックスは、技術的なハードルをほぼゼロにした」。

出版社の「お墨付き」がなくても本を出すニーズは?

著者としては無料で出版できるのは魅力だけれど、表紙のデザインや文章の編集、誤字脱字のチェックなどは、全部自ら行う必要がある。ぼくには、知名度の高い出版社の「お墨付き」がなくても、紙の本にしたい需要がどれくらいあるのかは未知数に思える。

ムゲンブックスははどんなユーザーを想定しているのか? 佐田氏によれば、大きくわけて2つのターゲット層があると言う。

1つ目は、ニッチなノウハウを持つコミュニティだ。MyISDNでは、マシジミを飼うための本や、ライフルの弾道学について書いた本が好評だったといい、ムゲンブックスでも、一定のファンがいるコミュニティに出版需要があると見ている。

2つ目は、自分の想いや記憶を残したいと考える、50歳以上のユーザーを想定している。こうした層は自費出版を通じて本を出したりするが、費用は数十万円から数百万円と高いことから、無料で出版できることをアピールしていけるのかもしれない。

ムゲンブックスを通じて出版した本


ユーザベースがNewsPicksを分社化–詳細は「後日発表」

ユーザベースは、同社が提供するビジネス特化のニュースサービス「NewsPicks」を分社化する。新設分割で新会社ニューズピックスを立ち上げ、NewsPicksの事業を移管する。

NewsPicksはビジネス系ニュースサイトの閲覧や記事へのコメント投稿、ソーシャルでのシェアが可能なサービス。月額1500円で有料コンテンツの閲覧も可能。サービスをリリースした2013年9月当初は、SmartNewsやGunosyといったニュースサービスと比較されていたが、2014年7月に元東洋経済オンラインの編集長の佐々木紀彦氏をNewsPicks編集長として招聘。9月には編集部を設立し、独自コンテンツを配信すると発表。広告ビジネスをスタートさせた。

なおユーザーベースでは直近のダウンロード数や課金ユーザー数を公開していないが、2014年9月時点でのダウンロード数は21万件。SmartNewsやGunosyと比較すると小さい数字だが、20〜40代のビジネスマンが中心。

ユーザベース広報は分社化について「官報にあるとおり事実だが、詳細については後日公式に発表する」とコメントするにとどめており、現時点詳細については明らかにしていない。


育児・出産情報のキュレーションとQ&Aを展開する「ママリ」、運営のConnehitoが1.5億円の資金調達

Connehito代表取締役の大湯俊介氏

 

育児や出産関連の情報を提供するキュレーションメディア「ママリ(mamari)」および女性特化型のQ&Aサービス「ママリQ」を展開するConnehitoは3月3日、B Dash Venturesおよびプライマルキャピタルを割当先とした第三者割当増資で総額約1億5000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。

ママリは、育児や妊娠、出産といったをはじめとした女性の悩みが解決する情報を提供するキュレーションメディアだ。2014年3月に試験的にサービスを開始。記事は1週間で100本程度作成しているという。同年5月にはQ&AサービスのママリQをスマートフォン向けアプリとしてリリース。ページビューなどは非公開だが、いずれもMAU(月間アクティブユーザー)が約100万人程度だという。特にママリQは急成長しており、直近では投稿数ベースで月次約40%の成長を続けているという。

コンテンツが女性のライフタイムイベントに特化しているということもあって、約20人いるスタッフの8割が女性。20歳から43歳までいる女性スタッフの中には4人の妊婦がいるとのことで、社員の経験に基づいたコンテンツも多いという。ちなみに女性スタッフの退社時間は夕方に設定されているため、取材が終わった午後6時過ぎには代表取締役の大湯俊介氏やエンジニアなど数人しか社内にいない状況だった。

最初のサービス「Creatty」で苦戦

Connehitoの設立は2012年1月。ママリのサービス開始からは1年しか経過していないが、MOVIDA JAPANのインキュベーションプログラムに参加し、2012年から美術作品のポートフォリオを作成し、そのデザインを販売できる「Creatty」というサービスを展開している。僕が大湯氏と出会ったのもそのタイミングだ。

Creattyは現在もサービスを続けているが、2013年末には「熱狂的なファンはついたが絶対的な数が足りなかった。クリティカルマスを超えれなかった」(大湯氏)という状況になっていたそうで、会社をたたむことまで含めて検討していたのだという。だが一念発起して新事業に挑戦することを決意。「もう一度チャレンジしたい、勝負をしたいと素直に思った」(大湯氏)

そこで同社が取り組んだのが健康情報のキュレーションメディア。「CTOとともに起業して、まずやろうとしたのが『デザイン能力のアーカイブ化』。それがCreattyだった。2つめにやりたかったのが『健康や体の悩みの情報のアーカイブ化』。その領域でもう一度勝負することを決めた」(大湯氏)。まだ答えが見えない中、WordPressで作ったサイトにエンジニアも総動員して健康関連の記事を1カ月で400本ほど書きまくったのだそうだ。

その中で唯一大きく反響があったのが、事前に契約しておき、陣痛が始まった時に呼び出せばスムーズに配車、病院まで送ってくれるという「陣痛タクシー」に関する記事だった。大湯氏自身も23歳で結婚し、まもなく妻が妊娠したという経験があったため、同じようなことで困った経験があったのだそうだ。そこから育児や妊娠に関する情報に特化したママリを考えたのだという。「実は育児や妊娠、出産といった情報は、情報提供のリテラシーが高くないため、ネット上に正しい知識を書いていてもインターフェースが微妙で見つけにくい状態。情報提供者とそれを求めるユーザーとの間に断絶があった」(大湯氏)。

さらにユーザーのヒアリングを続けていくと、「育児や妊娠についてどこで質問していいか分からずに大手のコミュニティで質問を投稿すると、必要以上の罵倒をされて泣いてしてしまったという人もいた」ということもあって、メディアと同時にQ&Aの必要性も感じたのだそうだ。その後大湯氏はママリの事業計画をもとにANRIやコーチ・ユナイテッド代表取締役社長の有安伸宏氏から資金を調達。事業を本格化させた。2014年10月にはインキュベイトファンドが手がけるインキュベーションプログラム「Incubate Camp 7th」にも参加。レポートでは「ステルスモードなので非公開」となっていたが、見事プレゼンで1位となったのがこのママリだという。

集客はSEOやASO、将来は送客でマネタイズ

100万MAUを達成したママリはこれまでほぼノンプロモーションでサービスを展開してきた。特にママリQが急成長しているという話だったが、その理由について「SEOでやってきてダウンロードすることが多く、同時にASOが効いてきている。テーマ的にもファッションなど趣味のコンテンツと違って検索意欲が強い」と説明する。

またユーザーから口コミで波及することも多いようで、「キュレーションメディアだからといって『バズっている』というものではないが、フィードバックも含めてユーザーからいい反応をもらっている」(大湯氏)とのこと。

直近はマネタイズよりサービスや人員の拡充に注力するという同社だが、将来的にはママリから各種のコマースに送客することで収益化を図る計画だ。「ママリには、生活に必要な情報が集まっている。中には不妊や家の購入など赤裸々な体験もQ&Aで投稿されている。どこに住んでいてどういう属性で……というデータをためていけば、大きなビジネスができると考えている」(大湯氏)。確かにライフタイムイベントを抑えているサービスだと考えれば、不動産や車、保険など、高額商品への送客にも強いはずだ。

大湯氏はこう続ける。「ママリは多くの投資家に『ニッチすぎる』と言われた。だが今はQ&Aサービスにチャンスがあると思っている。命が生まれるなんていう(利用できるサービスが)絞られるタイミングは人生に一度二度ある程度。そこにいいUXでサービスを提供できるかどうかだ」。さらに中長期の目標について「マシンラーニング、データマイニングの会社を目指す」と説明。将来的には育児や出産以外のライフタイムイベントに関連するサービスも手がけたいとした。

 


Amazon、P. K. ディックの傑作SF『高い城の男』のテレビシリーズ化を正式決定

Amazonがやってくれた! Amazonはフィリップ・K. ディックの傑作SF『高い城の男』を原作にしたテレビドラマを1シーズン製作することにゴーサインを出した。

われわれSFファンに朗報なのはもちろん、Amazonが力を入れているオリジナル・テレビドラマ・シリーズの将来にとってもグッド・ニュースだ。Amazonがこれまで製作したパイロット番組の中で『高い城の男』は断トツに視聴された作品だった。作品の完成度は非常に高かかったが、それだけにAmazonにとっても製作コストも撮影の技術的困難さもトップだったに違いない。

Amazonは同時に 最近のパイロット番組から4作をシリーズ化することとした。イギリスのテレビ番組をベースにしたMad Dogs、ドキュメンタリーのThe New Yorker Presents、それに子供向け番組が2本、Just Add Magiche Stinky & Dirty Showはいずれも優れた作品だと思うが、正直に言えば『高い城の男』はこれまでAmazonが製作した中で文句なしに最高傑作だと思う。

お気づきのとおり、私はだいぶバイアスがある。私が当初から『高い城の男』を激賞し、あちこちでそのことを告げてまわっていたことは同僚がよく知っている。ディックの原作は第二次大戦で枢軸側が連合国側に勝利し、その結果アメリカが日本とナチ・ドイツに分割占領されたパラレルワールドを異様なリアリティーで描いている。

しかしディックの原作を読んでいなくともテレビシリーズはよく出来ており、十分に楽しめる。パイロット版を見るかぎり、出演者は役柄に合っており演技も的確だった。シリーズを通してこの高い水準が維持されることを期待したい。とにかく私は良いSFテレビドラマには目がないのだ。

〔日本版〕主役の一人、サンフランシスコ日本大使館の書記官、田上信輔を東京生まれのベテラン日系人俳優ケイリー・ヒロユキ・タガワが演じる。Kindle版、高い城の男(早川書房) 

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


TechCrunchへの掲載は100万円――スタートアップがこんなPR会社と付き合う必要はない

少し前の話だが、とあるPR会社の営業マンが成長中のスタートアップ企業に以下のような提案を持ってやってきたそうだ。

こういった営業の提案自体はよくある話。ただその提案資料には成果報酬(媒体で放送されたり、記事が掲載されたりすることで報酬を支払う)で日本経済新聞とワールドビジネスサテライト(WBS)が180万円、日経ビジネス、ダイヤモンド・オンライン、東洋経済オンラインなどが150万円、ITmedia、CNET Japan、ITProなどが100万円と、具体的な金額が並んでいた。TechCrunchも100万円なのだそうだ。380万円で4社掲載のパッケージプランもある。

お金を払えばあなたの手掛けるサービスが記事になります!お手軽!素晴らしい!――そんなわけがない。PRノウハウのないスタートアップがこんな提案を受け入れるのはやめたほうがいい。

複数のPR会社が「高い」と答える価格設定

そう思う理由は大きく2つあるのだけれど、まずは価格だ。複数のPR・広報関係者にこれらのプランについて聞きまわったのだけれども、誰もが一様に「高い」と声を揃えた。中には「この価格でやれるなら、今頃大金持ちですよ」なんて笑って語るPRの会社のスタッフもいた。

もう1つ、やめたほうがいいと思った理由がある。この提案書にロゴが掲載されている媒体数社の「中の人」に話を聞いてみたのだけれど、そもそもこの提案を持ってきたPR会社のことを知っているという人がいなかったのだ。

ちなみに提案書に名前のあったテレビ番組、ワールドビジネスサテライトのサイトには次のような注意書きが掲載されている。

最近、「ワールドビジネスサテライト」の制作会社を名乗り、番組に取り上げるよう計らうので一定の費用を払え、という売り込みをする会社がある、との情報が寄せられました。「ワールドビジネスサテライト」を始めとする報道番組は、あくまで報道番組の視点から番組が独自に取材対象の選定にあたっており、当社や番組制作会社が取材対象者から金銭を受け取って番組を制作することはありません。

まずはプロダクトへ注力すべき

僕はPR会社も広告代理店も否定しているつもりはないし、そもそもメディアビジネスとは切っても切れないものだと思っている。ただスタートアップが冒頭のようなPR会社を使うべきでないと言いたいのだ。

成果報酬ということだし、いくら関係者が高いと言おうがこれが「スタートアップを対象にした詐欺である」なんてことはないだろう。だからといって、媒体と接点のないPR会社に対して言われるままに数百万円を払い、1回限りになるかもしれない掲載実績を作ろうなんて思わないで欲しい。例えばTechCrunchにアプローチしてくれるのならば、サイト上のタレコミ欄からコンタクトを取ってくれればいい。タレコミは1円もかからない。

そんなことよりもまずスタートアップが注力すべきなのは、世の中に求められるいい企画、いいプロダクトを作ることだ。まずはプロダクトありき。そうすればうんざりするほど取材依頼も来るだろうし、ユーザーだって就職希望者だって集まってくる。

定量的な成果を求められるPR会社の悩み

この記事を書くまでに、提案書の内容をもとにかなりのPR・広報関係者に話を聞いてきた。その中では、今PR会社(特にオンラインメディアをカバーしている部隊だ)が抱えている悩みも知ることになった。

実はここ最近、クライアントがPR会社に対して、掲載媒体数やその数字をもとにした「広告費換算でいくら」というような定量的な成果を求める傾向が以前にも増して強くなっているのだそうだ。ようはPR会社も、「関係性を作るがどうかよりも、媒体に掲載されてナンボ」。そんな注文が来るのだという。特にマーケティング部門がお金を出す場合にこの傾向が強いのだとか。そりゃあ部署の役割としても、PRと広告とを同じように考えるのだろう。「広告費換算」なんて言葉でPRを語る人もいるのだけれど、さまざまな媒体のさまざまな枠が広告としてどれくらいの価値があるかで考えられていたりする。

こういうクライアントのニーズに対して、あるPR会社の役員は「特定の媒体に出すことだけを求められる場合、『PRとは何か』という話をし、特定の媒体だけに露出することが価値になるかよく話してからでないと案件を引き受けない」と語る。また別のPR会社のスタッフは、「記事広告やネイティブアドを発注するような、広告代理店的な動きを求められることがあるのは事実。だが結局はクライアントのニーズありき。ビジネスとしては正しいかも知れない」なんていう愚痴をこぼした。ほかには「あの媒体の○○という枠は、いくら払えば大体出せますよ」なんて生々しい話も聞いた。また別の関係者は「PR会社もクライアントも、パブリシティとパブリックリレーションズの違いを理解していないのではないか」と嘆いた。そんな背景もあって、冒頭のような提案が出てきたのかも知れない。

スタートアップのPRはどうすべきか

では優れたプロダクトを作り、いよいよ大々的にPRをする、という必要性が出てきたときにはどういうことをすればいいのか?「いいやり方」のヒントが見つかるコンテンツをいくつか紹介しておく。

まずは米国TechCrunchの記事だ。紹介しているサービスは日本ではまず関わりがないが、この中で筆者のRomain Dilletは「スタートアップについて誰なら興味をもってくれそうか、それをまず見つける。そして、短い、おいしそうなメールを送るのだ」なんて言っている。これはまさにそのとおりだと思う。TechCrunch Japanでもサイト上から投稿できる「タレコミ募集」のメールはチェックしているし、僕はソーシャルメディアでも声をかけてもらうのも歓迎だ(とはいえ最近はメッセージの洪水に流されそうになっていることもある)。

また、Impress Watchの編集記者を経て現在CerevoでPRを担当している甲斐祐樹氏のブログも非常に参考になると思う。これはプレスリリースを出す際のコミュニケーションについて書いたものだが、オンラインメディアとPRの両方を経験している同氏のエントリーは非常に具体的だ。参考にできるスタートアップも多いと思う。僕もスタートアップ向けに何度かPRの話をしたことがある。

工数はもちろんかかるが、タダでできる施策だっていくらでもある。スタートアップでPRを考えるなら、まずそんなところから始めればいい。そしていよいよPR会社などに依頼するときは、掲載実績ばかりをうたうようなところでなく、長いスパンでの戦略を共に考えられる文字どおりの「パートナー」を見つけて欲しい。


GoPro、NHLとタイアップして新しい視点からのアイスホッケー中継にチャレンジ

アイスホッケーのファンは、アメリカやカナダに限らず世界中にいると思う。そこに注目したのだろう。GoProはNHLおよびNHLPAと提携し、試合のライブ中継にGoPro映像を加えることとしたようだ。GoProにとって、メジャーなプロスポーツ団体と正式に提携するのはこれが初めてとなる。つい先日発表となったVislinkと共同で開発したLive Broadcast Solutionを用いることになるらしい。

GoProを使ったライブ中継は2015 NHL All-Star Weekendから開始される予定で、実際にプレイヤーにGoProを取り付けてプレイヤー視点のライブHD映像を見ることができる予定だ。GoProは2015年シーズンを通してHD映像を撮影していく予定で、レギュラーシーズンおよびプレイオフについても、これまでと違う視点からみたアイスホッケーを楽しめることとなりそうだ。

今回の話のみならず、スポーツ中継のシーンではこれまで以上に臨場感をもたらすカメラへのニーズが高まっている。ESPNはWinter X Gmaeにドローンを採用したいとアナウンスしているし、またGoPro Professional Broadcast SolutionもWinter X Gameでの可能性をテストしているところだ。スノーモビルのスピード&スタイル部門で優勝したColton MoorがGoProを装着していた。ちなみにNFLでは、しばらく前からワイヤ上を走るリモートコントロールカメラが利用されている。GoProはスノーボードやマウンテンバイク、スケートボードなどで利用される機会が増えており、そうした話題の技術を取り込むことで、NHLとしても若年層の興味を取り込むメリットがあるのだろう。

GoProとしても、より広いマーケットに自社プロダクトの魅力を訴える機会となる。NHLの「オフィシャルパートナー」となり、ブロードキャストやNHL.com、あるいはNHLの運営するソーシャルメディア上での露出を通じて、さまざまな場面にプロダクトの魅力をアピールする機会を得ることとなる。

GoProとしては、「メインストリーム」層への進出を狙って行きたいところだろう。今回のNHLに続いて、他のプロスポーツ組織への働きかけにつながっていくのかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H


Google TVのデベロッパサポートを終了してGoogleはAndroid TVへ全面移行

Google TVのずるずる引きずったさよならもやっと終わりに到達し、今日(米国時間1/6)Googleは、その後継者であるAndroid TVのローンチを機にGTVのサポートを終了する、と発表した

Googleは声明文の中で、既存のGoogle TVデバイスとアプリは今後も動作するが、Google TVデバイスのごく一部はAndroid TVにアップグレードされ、そのほかの多くのGoogle TVデバイスは新たなプラットホームをサポートしない、と言っている。この春にはSonyとSharpとPhilipsからAndroid TV内蔵のテレビが発売されるので、それを買ってください、ということだ。

Google TVのデベロッパリソースはもはや提供されないが、Googleは、Android TVとChromeCast対応機への移行はきわめて容易である、とゴリ押し的に言っている。

Google TVがローンチしたのは2010年だが、ユーザ数は一貫して少なかった。その理由の一端としてHulu Plusなどのストリーミング屋さんが、テレビの独自の有料ストリーミングサービスに固執したことが挙げられる。Android TVもその成功を左右するのはデベロッパたちからの支持と、十分な数のOEMが存在することだが、ストリーミングビデオアプリを内蔵、ゲームをサポート、Google Playのいろんな(有料/無料)コンテンツへのアクセスなど、GTVになかった魅力もいくつかある

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


右往左往の挙句、ソニーはThe Interviewをクリスマスに一部劇場で公開する

映画館チェーン、Alamo Drafthouseの共同ファウンダー、Tim Leagueによれば、ソニー・ピクチャーズは北朝鮮の最高指導者、金正恩第一書記の暗殺をテーマにした映画、The Interviewをクリスマスに一部劇場で公開することに踏み切ったという。Leagueは、ソニーが公開制限を撤回したのでThe Interviewをクリスマスに公開するとツイートした。

今回決定された上映は、以前にキャンセルされた上映とは別個の新規契約となる。すでに前売り券を購入した観客は払い戻しを受けた上で新規に切符を買う必要がある。ソニーはアトランタのPlaza Theatreでもクリスマス公開を行う。ソニーの この映画の公式Twitterページも復活した。

これに先立って、ソニーのサーバーとコンピュータ・システムがハッカー集団に侵入され、漠然とした表現ながら映画の公開を止めるよう脅迫された。FBIはこのハッカーを北朝鮮政府に関連していると断定した(ただし北朝鮮は関与を強く否定)。そのため有力映画館チェーンはThe Interviewの上映を取りやめた。次いでソニー・ピクチャーズ自身もリリースをキャンセルした。.

ソニーは ストリーミング・ビデオ・サービスを通じた公開も検討しているという。ただしその詳細はまだ明らかになっていない。

〔日本版〕ローカルニュースサイトによれば、Alamoは12月25日の午後1時からThe Interviewを上映する予定。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


スペイン新聞協会、Google Newsの閉鎖に悲鳴


インターネットは、まるで熱帯雨林の繊細な生態系のようだ。一人の演者を取り去ると、残り全員が苦しみ死に至る。先週、政府がGoogleに厳しい処置を取ったスペインでそれが起きた。スペイン政府は同社に対して、スペインのニュースコンテンツがサイトに現れるたびに、ニュース提供者に支払いをすることを要求した。これに応じて検索巨人は当地でGoogle Newsを閉鎖したため、El Pais、La Vanguardiaを始めとする同国の主要新聞コンテンツは現在見ることができない。

ご想像の通り、これは悪いニュースだ。新聞業界は、外部の助けなしにインターネット時代を生き延びられると長年主張しているが、これは大きな間違いだ。ニュースサイトへのトラフィックの大部分が検索から来ていることを考えれば ― 「新しいレーザープリンター」から「ベティ・ホワイトは結婚しているか」まですべてがニュースソースの情報を返している ― スペインの新聞メディアが、リーチやビジター数でどれほどGoogleに依存しているかは容易に想像できる。

Spain Reportによると、スペイン新聞出版社協会は慈悲を請い始めている。

昨夜スペイン新聞出版社協会(AEDE)は声明を発表し、Google Newsは「単に市場で独占的立場を与えられたサービスが閉鎖しただけではない」と述べ、Googleの決定は「間違いなくスペイン市民に負の影響を与える」ことを認識している。

一方Googleは、今回の行動を次のように説明した。

この新たな法律はスペインの全出版社に対して、Google Newsのようなサービスが出版物のたとえわずか一部でも表示した時、望むと望まないとにかかわらず料金を徴収することを義務付けた。Google News自身は収益をもたらしていないため(当社は同サイトに一切広告を掲載していない)、この新しいアプローチを維持することは不可能である。このため誠に遺憾ながら、当社は12月16日(新法が発効される1月以前)をもってGoogle Newsからスペインの出版物を削除し、スペインにおけるGoogle Newsを閉鎖する。

要するに、スペインメディアのロビイストたちひは能力以上のことをやろうとしたわけだが、これは小銭を稼ぐよりずっと効率的な方法があることにメディア企業が気付くまで、何度でも繰り返されるだろう。それまでの間、善意の弁護士たちがメディア列車を脱線させるまで操縦し続けるのを見守るしかないだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Google Play発「ベスト・オブ 2014」米国版

Googleがさまざまな分野における「2014年のベスト」を発表した。メディアコンテンツについては、Appleの発表したリストとさほど変わらないという傾向もあるようだ。

カテゴリーのトップには、大方が予想する通り「アナと雪の女王」、「ウォーキング・デッド」、そしてIggy Azaleanによる「Fancy」などが並ぶ。ただし、何をフィーチャーするのかといったエディトリアル側の判断に違いがあったアプリケーション分野では、当然ながら内容に違いが生まれている。

たとえばGoogle Playでの人気作品を見るとDuolingo(Apple Storeの方では昨年のリストに含まれていた)、Netflix、Facebook、およびMyFitness Palなどが挙がっている。

ちなみにGoogleによれば、「健康&フィットネス」が、最も成長したジャンルなのだとのこと。

ともかく、発表されたリストを掲載しておこう。関わった方々にはおめでとうを言いたい。

アプリケーション

2014年、カテゴリー毎最多ダウンロードアプリケーション
教育:Duolingo
健康&フィットネス:MyFitnessPal
音楽:Pandora
写真:Flipagram
ソーシャルネットワーク:Facebook
エンタテイメント:Netflix
スポーツ:NFL Mobile
旅行&地域:TripAdvisor

急成長カテゴリー
健康&フィットネス

ゲーム

2014年に最もダウンロードされたゲーム
キャンディークラッシュ
Don’t Tap The White Tile
ファームヒーロー
Subway Surfers
クラッシュ・オブ・クラン

達成アチーブメント数
35億アチーブメント

映画およびTV

ムービー・オブ・ザ・イヤー:アナと雪の女王
TVショー・オブ・ザ・イヤー:ウォーキング・デッド
カムバック映画:トイ・ストーリー
Google Playで最も検索された俳優:ロビン・ウィリアムズ

音楽

アルバム・オブ・ザ・イヤー:アナと雪の女王 オリジナル・サウンドトラック
ソング・オブ・ザ・イヤー:Dark Horse(Katy Perry)
ソング・オブ・ザ・サマー:Fancy(Iggy Azalea)
急成長ジャンルサウンドトラック(アナと雪の女王、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー、怪盗グルーのミニオン危機一発、LEGO ムービー、および華麗なるギャツビーのサウンドトラックが貢献)

ニューススタンド

ニュースソース・オブ・ザ・イヤー:
The New York Times
TMZ
Forbes Now
The Verge
The Huffington Post
The Daily Beast
The Wall Street Journal
Gizmodo
Android Central

2014年に最も読まれた記事:
Flavorpill – 15 ’90s Teen Heartthrobs Who’ve Resurfaced on TV
Mental Floss – 50 More Awesome Facts (About Everything)
MarketWatch – 10 most miserable cities in America
Houzz – Bathroom Workbook: How Much Does a Bathroom Remodel Cost?
The Verge – The Verge Awards: the best of CES 2014

書籍

ブック・オブ・ザ・イヤー
さよならを待つふたりのために(The Fault in Our Stars)
フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ(Fifty Shades of Grey)
ダイバージェント 異端者(Divergent)
それでも夜は明ける(Twelve Years a Slave)
Insurgent(Insurgent)

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(翻訳:Maeda, H


サイバー自警行為を考える


人間はどうも人権の扱いを理解していないようだ。もちろんソーシャルメディアの扱いも。両方の無知が合わさると、人々はインターネットという安全地帯から憎悪を吐き出し、その偏見を公の記録に残す。

今そうした出来事が、人種差別者に正義を求める一人のTumblrユーザーによって、公な辱めを受けている。これは一種のサイバー自警行為である。しかし、人種差別をなくすために、もっと効果的で思いやりのある方法はないのだろうか?

【警告:以下に引用されている投稿には著しく攻撃的な表現が使用されているものがある】

レイシストのTwitterユーザーは職を失い、Twitterアカウントは閉鎖された。

RacistsGettingFired.tumblr.comには、マイケル・ブラウン事件に対する、一連の人種差別的投稿のスクリーンショットが掲載され、別のユーザーらは投稿者たちを職場に通報し、ついには、投稿者たちが解雇された証拠も掲載した。

同サイトは、発言したレイシストたちの職場を突き止めるよう呼びかけ、ヘイトスピーチの詳細を雇用者のSNSアカウントに投稿して、懲罰を要求した。中には、辱しめと雇用者への通報を促すために、無断で個人情報を晒されたレイピストもいた。

問題は、サイバー自警主義が、偏見を克服しようとする社会にとって、倫理的あるいは生産的なのか、である。

TwitterユーザーのCameron Dakota(現在は閉鎖)は、この写真や他の人種差別発言を掲載した…しかし、下のスクリーンショットの通り、後に解雇された。

もちろん、私は決してレイシストたちを擁護するつもりも、彼らの憎悪や差別表現を許すつもりもない。この国の誰もが、スクリーンショット投稿にあるような脅しや中傷や、悲しいブラウン事件で浮き彫りにされたような人種差別の恐怖に晒されることなく生活する権利を持っている。

しかし問題なのは、インターネットやソーシャルメディアにおいて、公的でない人々に公の辱めを与える使い方が加速していることだ。

差別は許されないという強いメッセージが発せられるべきであることに、私は心から同意する。恥は強力な教師である。そして今回のケースでは、一連の投稿に見られる露骨な差別性と凶暴性が、深刻な結果を招くであろうことは保証されている。

企業がこの種の発言をする従業員と関わりを持ちたくないことは明白である。紛れもなく嘆かわしい事態であるだけでなく、差別訴訟の時限爆弾が爆発を待っている。表現の自由に関わる可能性のある件で社員を解雇することには、たとえそれがひどく不快なもので不買運動に結びつく可能性があったとしても、法的な問題がある。

Cameron Dakotaは後に解雇された。彼の雇用主である、Brown’s Car Storesの問い合わせページに書かれた告知文は、これ以上の通報が来ないことを期待しているように見える。

それでも私は、復讐を喜ぶかのように、標的にされた人々を笑う風潮に恐れを感じる。そこには慈悲が感じられない。たとえ、レイシストに対して共感を抱くことが極めて困難であるとしても。

理想的には、われわれはそうした人々を教育する努力をすべきだ。確かに、インターネットの愚か者たちに知恵をもたらすことは不可能な仕事であり、労力の無駄だ。しかし、逆方向に行き過ぎることは問題を引き起こす。

恐らく、そうした人々を教育する唯一の方法が恥辱なのだろう。たぶん、#HasJustineLandedYetのJustineという、自分はアフリカでAIDSにならない、なぜなら白人だから、という人種差別発言を投稿した女性は、糾弾される必要がある。そして、ひどい投稿でソーシャルウェブの笑い者になったさらに多くの人々は、干渉されないことに慣れきっているのかもしれない。

しかし、いずれは、誰かが誤って告発されたり罠にはめられたりして、それでも公的に葬られてしまうことが起きるだろう。そしてもしヘイトスピーチの加害者が自殺したらどうするのだろう。それは、われわれが不正と戦う建設的方法を探し始めるために必要なことなのだろうか?

もし彼らが誤って、あるいは周囲の圧力に負けてひどいコメントを書いたのだったとしたらどうするのか? この種の忌しい行動に言い訳は通用しないが、そういう人々もまた人間であることを忘れてはならない。最低限、われわれの暴動を生産的に方向転換させるべきだ。われわれは、AIDS被害者を助けるために寄付すべきなのであって、彼らに対するJustineの無神経な発言を罵ったり笑ったりすることではない。

マイケル・ブラウンの死によってこの国を二分させるのではなく、私たちはこれを歩み寄る好機として利用すべきだ。愚かな世代からの受け売りのレイシズムに浸った連中に対して、忍耐強くいることは容易ではない。しかし、もし怒れる群衆による復讐がインターネットのお気に入りの気晴らしとて拡大を続けるようなら、感染者たちを治療する代わりに、憎悪の症状を悪化させるリスクを抱えることになる。

[Image: Zach T Jordan via You Will Rise]

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Aereoが破産申請を提出

【抄訳】

今放送中のテレビをインターネットから視聴できるサービスAereoが今日(米国時間11/21)、連邦倒産法第11章に基づく破産申請をニューヨーク南地区倒産裁判所に提出した。同社はArgusのLawton Bloomを、今後徐々に進む会社閉鎖処理におけるChief Restructuring Officer(再生担当最高責任者)に指名した。

同社はすでに2週間前に、今日に備えて大量の解雇を行った。そのときは、これでAereoの終わりは近い、という印象を与えた。

同社のブログの記事に、CEOでファウンダのChet Kanojiaはこう書いている:

ニューヨークとボストンの連邦地裁や第二巡回控訴裁で大きな勝利をおさめたにもかかわらず、6月に最高裁が下した逆転判決は、克服が困難と判明しました。最高裁の決定は実質的に、Aereoの技術の根拠となっていた法を変えるものであり、法律的な不確定性を作り出しています。これまで弊社は、前進のためのあらゆる方法を全力を傾けて探求して参りましたが、それが明確にならないかぎり、裁定の克服はあまりにも困難と実証されました。

【後略】

関連記事(未訳)、過去記事。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


テックエリートなんて眼中にない、新ポータル構想「Syn.」仕掛け人が大いに語る

2014年10月16日にKDDI主導で立ち上げたサービス「Syn.(シンドット)」。「中心のないポータル」を目指すとして話題となった。本誌でもローンチの際に取り上げたが、ネットユーザーたちの反響はあまり芳しいものではなかったのが正直な印象だ。11月19日に行われたTechCrunch Tokyo 2014で、編集長の西村賢がストレートに質問をぶつけてみた。

「今どき、ポータルなんて必要?」

「正直言って、必要ないと思いますよ」と森岡氏。「でもそれは、われわれや西村さん、またTechCrunchの読者のようなテックエリートの人たち、わずか一握りの人たちにだけ必要ないんです」。

今やスマートフォンの普及率は53.5%(平成26年年版情報通信白書より)。半数以上が所有していることになる。そしてスマートフォンで提供されているはアプリは250万以上と言われている。しかし、ユーザー1人がダウンロードする平均アプリ数は38。そのうち日常的に利用しているアプリはわずか8つ。さらにカメラやメールアプリなどを除けばわずか4つを普段使っているに過ぎない、と森岡氏。つまり、多くのユーザーは、スマートフォンで利用できるサービスを使いこなせていないのだ。

森岡氏はFacebook日本の元副代表を務めた人物。国内ユーザーが80万人の時代、2010年に入社している。その時も「mixiとTwitterがあるのになぜFacebook?」「実名重視のFacebookは日本のインターネット文化には受け入れられない」という声が多かったと振り返る。

ところが、現在ではその25倍に相当する2000万人以上の国内ユーザーをFacebookは擁し、mixiの月間アクティブユーザー数を上回るようになった。一部の人たちの「匿名性の高い日本のインターネット文化で広まるはずがない」という主張はもろくも崩れ去った形だ。

インターネットの一部のユーザーの憶測が外れたように、今回も「着実にやっていくことによって広がっていくはず」と森岡氏は強調する。

アプリを探してインストールする行為はハードルが高い

「自分たちで新しいサービスを取り入れられる人たちはいいですよ。でも、これだけ多くの人がスマートフォンを使うようになれば、ITに疎い人たちにも広まっていくはずなんです。例えば、大手スーパーが売り出している格安スマートフォンを店員に勧められるままに購入したような人たちとか。少し前はポータルサイトがあって、知りたいことや問題があったらそこにアクセスしたら解決できました。スマートフォン時代の現在ではアプリが解決してくれますよね。でも、一般ユーザーにとっては、問題を解決したくてもそれをしてくれるアプリに何があるかを調べることもできない。それにApp StoreやGoogle Playでアプリを探してダウンロードしてインストールする、という一連の動作は一般ユーザーにはハードルが高いんです。そんな人たちにSyn.という形でサービスの存在を知ってもらい、使ってもらえれば、スマートフォンのパフォーマンスそのものを発揮でき、その楽しさを知ってもらえ、その価値が倍増すると思うんですよ」(森岡氏)

Syn.では、カテゴリだけではなく、アプリとWebの垣根も越え、シームレスにサービスを行き来できるよう設計されている。それにより、ユーザーが複数のサービスを使いこなすための負担を軽減している。テックエリートには不要かもしれないが、どんな人でもスマートフォンを使いこなすために「ポータル的な存在は必要」だと森岡氏は言う。

スマートフォンを使いこなせなかった人たちも年月とともに経験値が上がり、インターネットの歩き方を知るようになる。そうなれば「Syn.そのものも、彼らに合わせてどんどん進化させていく」(森岡氏)ことになる。ただ、現状は「いいサービスをユーザーに届けることを最優先したい」。

「驚くようなビッグネーム」も参入に名乗り

スタート時点でアライアンスパートナーが11社だったSyn.。現在13社に増えたが、まだまだ点在するサービスを線でつなげた、いわば「山手線のようなもの」と森岡氏は語る。

「それらの点(駅)を行き来するのにタクシーを使ってもバスを使ってもいい。ただ、最寄り駅をもっと便利にしようという考えなんですよ。今のサービスの数が最終地点ではなく、あくまでも通過点。あまりにも大きなサービス事業者や有名どころは、志や目的地に共感するだけでなく経済的なものも含めたメリットがないと動けないでしょう。わたしたちの今のフェイズはSyn.の有用性などのファクトを積み上げて彼らの目の前に提出できるようにすることだと思うんです。すでに驚くようなビッグネームが参入への名乗りを上げてくれているので、このやり方は間違っていなかった、と確信しています。」

そのように話が進むことは「計画の一部」だったのだろうか。森岡氏は「計画的だったわけではないですよ」と否定する。しかし「そうなったら嬉しい、と思っていたことが実現した感じではありますよね。実名か匿名かの流れの時もそうですが、以前Facebookに在籍していたときに、リクルートと『コネクションサーチ』という企業内のOBを訪問しようというサービスを立ち上げたことがあったんですが、それで実名制とはどういうものかを示せました。何も考えず現状のインターネット文化に浸かっているのではなく、ユーザーの脳を覚醒する、そんな機会も提供できているのではないかと考えています」と語る。

最近よくあるサービスのように、ユーザーの嗜好を反映したカスタマイズされたサジェストなどは「気持ち悪い」ので取り入れるつもりはないという。しかしサービス参入者を増やし、カテゴリの中からユーザーが好みのコンテンツを表示できるようオープン化したいとのこと。

また、このアライアンス全体で集積したデータをサイドメニューや各社のコンテンツにフィードバックするDMP(Data Management Platform)も年明けに発表したいという。しかしどのように反映させるのかや、どんなデータを集めるのか、などについては言及を避け「もやっとしててください」と語るにとどまった。

ポータル最大手のヤフーは「ライバル視していない」

ポータルサイトといえばYahoo!が最大手だが、「ライバル視していません。むしろ仲間に入ってほしいくらい。僕らが目指しているのはポータルサイトではありませんから」と森岡氏。また、APIを解放し、海外で一般化しているように、「サイドメニューを共有化しその中で回遊できるようにしていきたい。そのツールが日本でも近い将来一般化するのを期待したい」と語った。

現在のところSyn.はKDDIという携帯通信キャリア主導で展開しているが、それはあくまでも「信頼を持って見てもらうためのもの。このサービス自体はキャリアのものではなく、インターネットのサービス」と強調。Syn.の目指すものが一部のユーザーだけではなく、全インターネットユーザーがやがてスマートフォンを使うようになり、それを使いこなし、スマートフォンのパフォーマンスを最大限に発揮することである、そんな未来像を描きながら、森岡氏は話を締めくくった。