GoGoGrandparentを使えばスマホがなくてもオンデマンドサービスが利用可能に!

Boy Helping Man Use Cell Phone

2016年は間違いなくオンデマンドの年だ。ライドシェアではUberやLyftが未来の交通手段としての地位を固め、他にもPostmatesの様なオンデマンドのサービスが、ものを「オンデマンド」で注文する、という需要が確かに存在するということを明確に示した、そんな年だ。

しかし問題がある。オンデマンドアプリを使うにはスマホが必要だが、アメリカにはまだスマホを持っていない人が7500万人もいる、つまりこれらの人々はこの生活の仕方を一変させてしまうようなサービスを受ける資格すら与えられていないのだ。

これらの人々は経済力も居住地も様々だが、1つだけ共通点があるようだ。それは、年齢の高い人ほどスマホは愚か、携帯すら持っていない可能性が高くなるということだ。

そこで登場するのがGoGoGrandparentだ。この会社は、Y Combinatorの2016年夏のクラス出身だが、そのミッションとはスマホを持っていない人々でも、Uberの様なオンデマンドサービスを使用できる方法を開発することだ。

この会社が設立に至った経緯はなかなか面白い。共同設立者の1人であるJustin Booogaardは祖母と一緒に住んでいた。祖母は彼がUberをよく使うのを見ており、どうやったら自分も使えるのかを聞いてきた。Justinが、車を呼ぶにはスマホが必要だと教えると、彼女は自分のような人でもUberが使えるような会社を作ってくれと言ったのだ。
 Justinと共同設立者のDavid Lungはそのアイディアを気に入ったが、まずそのアイディアをより公平に検討してみようと考えた。結局のところ、おばあちゃんというのはあなたのすることならなんでも自動的に気に入ってしまうものだからだ。そこで彼らは架空の会社からJustinの祖母に手紙を送りつけ、固定電話や役立たずの携帯からでも、その会社に電話すればUberの配車を手配してくれるというサービスを宣伝した。祖母は実際試してみて、そのサービスがとても気に入り、GoGoGrandparentが誕生した、という訳だ。
面白いのは、このビジネスにおいて、今でも手紙が重要な役割を果たしていることだ。同社によると、手紙というのは古い年代の人々と連絡を取るには素晴らしい方法で、GoGoGrandparentが前週比20%の成長を達成する手助けとなっている。

 

The company can also send texts to loved ones with the status of riders.

移動中の状況を家族にテキストで知らせることも出来る

会社設立当初は、JustinとDavidは文字通りホットラインを設置し、電話を受け付け自分たちのスマホでUberの配車を手配していたが、この方法では今後規模を拡大できないことは明白だった。そこで彼らはTwilioを使って、自動電話サービスを構築した。

まず、オペレーターと話をしてクレジットカードと住所を渡す。そして、もう一度電話した際に全自動のサービスに入り、1を押すと家にお迎えが来る。同社はUberに配車を依頼し、顧客は運転手にどこに行きたいか伝えれば良い。もし、家以外の場所でピックアップして貰いたければ、同社のホットラインに電話して人間のオペレーターと話が出来るようにリクエストすれば良い。システムは前に顧客を降ろした場所を覚えているので、そこをピックアップポイントとしてリクエスト出来る。

GoGoGrandparentは1回の乗車につき13%のコミッションを徴収し、バックエンドのコストをカバーする為の1.80ドルが別途必要だ。同社によると1回の乗車にかかる手数料の合計は平均で大体2.50ドルほどだ。確かに、自分でUberを呼ぶよりは高くつくが、それで移動性を確保できるのであればお安いものだとも言える。

しかしながら、Uberがその気になればこの様なシステムを自分で組み込んでGoGoGrandparentを廃業に追い込むことなど一夜にして出来そうなものだが、なぜそうしないのだろうか。Booogaardの説明によれば、実際彼等はライドシェア専門の会社とこの件について話し合ったそうだが、そこで耳にしたのはこの様な「古い」タイプの人々はUberの顧客中たった3%を占めるに過ぎないということだ。つまりは、Uberは「収穫しやすい果実」に注力し、GoGoGrandparentがUberの為に重労働をしてくれるなら、それは結構なことだと考えているのだ。その間Uberはスマホ世代のさらなる顧客の開拓に精を出すという訳だ。

それでは、同社は将来をどの様に考えているのだろうか。創業者の考えによれば、最終的には同社は非営利団体や市政と組んで、このサービスを設備的に恵まれない人々、つまり必ずしも年寄りではないがスマホを買う余裕のない人々、に提供して行きたいと考えている。また、同社はこのサービスが現在ほとんどの大都市で目にする、いわゆる補助的交通手段(訳注、高齢者や障害者のための予約制交通システム)の代替になるのではないかと考えている。そのような補助的な交通手段は高くつき効率的とは言えないからだ。

最後に、同社は最終的には顧客に他のサービスも提供したいと考えている。それは他のオンデマンドアプリへのアクセス、例えばPostmatesやInstacartかもしれないし家の雑事をこなすHandy、または介護サービスかもしれない。こう言ったサービスを追加することでGoGoGrandparentは収入面で多様化し多くのビジネスチャンスにも恵まれるし、多額の紹介料を手にする可能性もある。

GoGoGrandparentの利用はウェブサイトでサインアップするか電話、(855) 464-6872、へどうぞ。このサービスについて愛する家族に知らせてあげてください、もちろん手紙で

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(翻訳:Tsubouchi)

Comma.ai、高速道路自動走行のデータをオープンソースで公開―低価格の自動運転車に道

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George Hotz(Geohotz)が創立したスタートアップ、comma.aiは既存の自動車に既存のパーツを組み合わせることによって比較的低価格で自動運転車を製作できることを実証した。そのcomma.aiが7時間25分にわたる高速道路での自動運転で収集した全データをオープンソースで公開した。

地味なニュースに思えるかもしれないがそうではない。すくなくとも現在までに公開された高速道路の自動運転のデータと比べれば画期的だ。

comma.aiは最初の走行デモを成功させたときにBloombergで大きな記事になった。公開されたのは記事で紹介された自動走行システムを作るために機械学習システムを訓練したデータそのものだという。

Hotzはインタビューに答えて「このプロジェクトを始めたときは自動運転車は考えていなかった。単に機械学習をいろいろ試そうとしただけだった。ところがあたりを見回しても機械学習の実験に適した手頃なデータがなかった」と説明している。

HotzはKITTIのデータセットや最近発表されたさらに詳細なOxford RobotCarデータセットなどいくつかのデータを調べた。しかしこうしたデータ・セットは都市部の交通の実験で、Hotzが必要としていたのは高速道路での自動運転のデータだった。

「現在BloombergやNvidiaの実験を再現するのに適したデータは公開されていない。そこでそういうデータが世界に公開されてもいい時期だと考えた」とHotzは説明する。

もちろんcomma.aiのデータが利用できるからといって、誰でも1998年モデルのFord Tempoを自動運転車に変えることができるわけではない。しかしこのデータは有力なスタート地点を提供する。comma.aiが公開したのは現在取り組んでいる自動運転車のデータではなく、約半年前に行ったテストに関する全データだ。comma.aiのテクノロジーがその後さらに進歩しているのは間違いない。

Hotzは私の取材に対して「公開主のビジネスを危険にさらさずにオープンソース化はできるはずだと信じている。オープンソースでさらに情報を公開するためにも会社が生き延びることが重要だ。こうしたデータが得られるまでには数多くの失敗がある。誰もそういう失敗を繰り返す必要はない」とcomma.aiのデータ公開に関するアプローチを説明した。

Hotzによれば、comma.aiがデータをオープンソース化するのは、ホビイストのコミュニティーがさらに多くの貢献をできるようにするためだという。しかし機械学習システムの訓練に必要な基礎的な運転データの収集に膨大なは時間と資源を必要とする。Hotzはオープンソース・データの例としてDeepDriveを挙げた。これはGrand Theft Auto Vのプラットフォームを用いてリアルな自動運転シミュレーションを行うためのニューラルネットワーク・システムだ。

ホビイストを助けるというのは、才能ある人材を獲得するためのパイプラインを築くことでもある。comma.aiはオープンソース化したデータを用いて誰がどのようにさらなるオープンソース化をしているかモニターできる。comma.aiはもっとも輝かしい人材が誰なのかいち早く知ることができる。

Hotzによればcomma.aiのビジョンはシンプルだ。「われわれは今何をしているのかできるかぎり正確な情報を公開する。それでもスタートアップは〔大組織よりも〕速く、スマートかつ安価に機能できるということを確信している」のだという。

〔日本版〕ジョージ・ホッツは17歳で個人として初めてiPhoneのジェイルブレイクに成功するなど著名なハッカー。オープンソース化された自動運転データは圧縮で40GB(解凍後80GB)のサイズで、Anaconda、TensorFlowなどを必要とするという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

渋滞時に誰もが夢見た「あの乗り物」、中国が本気で現実化

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Facebookなどのソーシャルメディア上でいろいろなビデオを眺める習慣のある人ならば、きっと「車の上を超えていく乗り物」のコンセプトビデオを見たことがあると思う。ビデオは中国が制作したもので、乗り物は電車とバスのハイブリッドのような感じだ。

写真やビデオはあちこちに出回っていた。ただしそれらは合成によるもので、ほとんどの人はアイデアとしてはありだけれど実現するわけはないと考えていたと思うのだ。

しかし、中国がやってみせてくれた

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中国の新華社通信によると、実際の路上テストも行う段階なのだとのこと。名前はTransit Elevated Bus(TEB)というそうだ。実験は秦皇島市で行われた。ブレーキングによる燃費性能の変化に関する調査も行ったのだとのこと。

このTEBは電気で動く。長さは72フィート(22mほど)で幅25フィート(8m弱)だそうだ。すなわち複数レーンをまたいで走ることになる。定員は300名(複数台をつなげてより多くの人を運べるようにする考えもあるらしい)だ。実用走行時には時速40マイル(時速65kmほど)を考えているらしい。路上公共交通機関として、十分な速度だといえそうだ。

今回紹介されたものは、あくまでも実験段階のものだ。しかしそうであるにせよ、こんなものを実際に作ってしまうのは面白い。ブラジルやフランス、インド、あるいはインドネシアなどが導入も視野に興味を示しているのだとのこと。

新華社通信のサイトには、走行実験の様子を示すビデオも公開されている。

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(翻訳:Maeda, H

Solar Impulse 2が地球一周の全行程を終え出発地アブダビに着陸

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4つの大陸と24800マイルと500日あまりの飛行を経て、Bertrand PiccardとAndre Borschbergがスタート地点に帰ってきた。二人のスイス人パイロットは、Solar Impulse 2による世界一周を今日(米国時間7/26)完遂し、今朝早くアブダビに着陸した

複数の新記録をうちたてたその旅は、燃料をいっさい使わず完了し、操縦を交替で行い、計17の全行程を消化、先週末のカイロからの離陸が最後の離陸〔最後の行程の出発地〕となった。その感動的な記録の中には、日本からハワイまでの最長単独飛行と、無燃料による大西洋横断があった。

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[40000キロメートルを燃料なしで飛んだ。エネルギーの歴史にとって初めてだ。もっと遠くへ延ばそう。]

平均飛行速度は毎時46マイル、二人は機械的側面と人間的側面の両方でさまざまな困難を経験した。たとえば胃のトラブルで最後の行程が遅れた。飛行中は小さなコックピットから出られないので、20分おきに眠り、シートの中で休息した。

着陸後にPiccardは、群衆に向けて希望の言葉を述べた: “未来はクリーンだ”。ここで群衆は歓呼した。“未来はあなただ。未来は今だ。それをもっともっと遠くへ延ばそう”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

テクノロジーが進歩しても道路で立ち往生する車の数は増加の一途を辿っている

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自動車における全般的な技術的進歩にも関わらず、車の故障件数は実際には急速に上昇している。フォーチュン誌によると、昨年、全米自動車協会(AAA)が車の故障のため対応したドライバー数はこれまでで最多の3200万人に達した。その故障箇所は、タイヤのパンクが多かったが、その他にもエレクトリック・キーレス・イグニッションの電池切れなどがあった。

さらにAAAによると、比較的最近の技術であるメンテナンス通知やエンジン異常の警告などの導入にもかかわらず路上で立ち往生する車の数は減っていない。どのようにすれば車の故障を未然に防ぐことができるのか、そのために自分で出来ることは何でそれを怠った場合どうなるか、また車の故障を防ぐためにメーカーの出来ることに関してAAAに聞いた。

エレクトリック・イグニションについては、AAAスポークスマンは以下のように勧めている。「いわゆるスマートキーは、使用していない時は少なくとも車から10フィート離すことで、電池の浪費を防ぐことができます」また、「特に必要ない時にはスマートキーを車内に放置したり、鍵を一晩中車の横のガレージの壁にかけっぱなしにしておくのは良くありません」とアドバイスしている。

AAAとしては、車のメーカーが、以前そうであったようにスペアタイアを標準装備として提供することが望ましいと考えており、そうなればタイヤのパンクによるAAAの出動要請回数は減少するはずだ。

「総じて、車の故障で立ち往生しないためにはメンテナンスを怠らないことです」と、AAAは付け加えた。「今日、テクノロジーの進歩により、メンテナンスの告知やダッシュボードに表示される様々な警告など、運転中の故障を未然に防ぐ様々な工夫がなされていますが、結局のところはドライバーが行動を起こさねば何も始まらないのです」

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(翻訳:Tsubouchi)

ニューヨークの地下鉄が前世紀までの汚さを脱して超現代化/未来化へ、美しい車内にはWi-Fiもある

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ニューヨーク州のAndrew Cuomo知事が今週、ブルックリンの交通博物館(Transit Museum)で行ったスピーチで、ニューヨーク市の未来の地下鉄に関する意欲的なプランを発表した。その中の最大のものは、1025台の新しい客室車両で、そこにはいくつかのハイテクアメニティーが導入される。

州知事は聴衆にこう語りかけた: “ニューヨークには世界最高クラスの公共交通機関がふさわしい。それは21世紀の経済の、脈動そのものになるだろう。ニューヨーク大都市圏交通公社(MTA, Metropolitan Transportation Authority)の設計チームは、大胆で未来志向のデザインにより、通勤という日常的な体験に新鮮な感動をもたらそうとしている。そこでは、世界の交通機関のベストプラクティスを導入して、新しいものを作り、機能を強化し、そして能力を大きくするという、彼らの三本柱の使命に集中しようとしている”。

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改造車のうち750台は、連結器部分をアコーディオンタイプにして、乗客が立つスペースにする。現状は、ドアがあって“車両間を移動しないでください”と書かれている。入り口のドアも広くなり、50インチが58インチになる。ラッシュ時の乗降が、かなり楽になるだろう。

ハイテクとしては、各車両に無料Wi-Fiのホットスポットがあり、USB端子のスマホの充電器もある。後者は、人にがんがん押されるラッシュ時には使いづらいと思う。また、地下鉄の車両は長年使われるから、将来、古い規格のUSBが残っている珍しい場所、ということになるね。アダプタが必要になるかな。

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とにかく、Cuomo知事は新車両の供用を早めたいようだ。LEDのヘッドライトや、車内のデジタルディスプレイも早く導入したい。このアップグレード全体に費やすMTAの予算は、5年間で270億ドルだ。納入〜工事企業は、どこが潤うかな。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

FordがテキーラのJose Cuervoとパートナーして竜舌蘭の繊維を車の部品に利用

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メキシコ生まれの銘酒テキーラのブランドと自動車企業の結婚が、単純にマーケティングの天国で行われるとは言いがたい。では、Ford とJose Cuervoを結びつけたものは、何なのか?

火曜日(米国時間7/12)に両社は、テキーラ製造の廃棄物である竜舌蘭(りゅうぜつらん)の繊維を、より持続可能なバイオプラスチックとして自動車の部品に利用していくための共同研究でパートナーした、と発表した。その応用部品としての当面の研究対象は、配線を束ねるハーネス、空調設備、そして荷物入れなどだ。

最初のパイロット事業のフィードバックとしては、竜舌蘭の繊維は丈夫で美観もあるので、車のインテリアやエクステリアに好適、という声が得られた。繊維が車の標準部品でいろいろ使われるようになると、車重を減らし、燃費を向上させる、との声もあった。

しかも、原料の不足はない。Jose Cuervo社だけでも毎日、200トンから300トンの竜舌蘭を収穫している。

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Fordの持続可能性研究部の上級技術長Debbie Mielewskiは曰く、〔竜舌蘭の根元のパイナップル状の部分を〕“刻んですりつぶしてジュースを取るけど、廃棄物の繊維はこれまで何にも利用されていない。彼らがちょっと処理した繊維が送られてきたけど、それらを切り刻んでプラスチックに混ぜることができたわ”。

Mielewskiによると、竜舌蘭の使用は、“環境にやさしい植物素材”できるかぎり使うというFordのプラスチックグリーン化方針の一環だ。2008年にFordは、代表車種Mustangのクッションやヘッドレスト用に、石油系素材に代えてsoy foam(大豆油から作ったクッション材)を使った。今では北米地区で売られている全車種で、シートのクッションとヘッドレストにsoy foamを使っている。そのためにFordは、年間500万ポンドあまりの大豆油を使っている。

その経験が、グリーンな植物素材は使える、という学習機会になった。その後Fordは、カナダのオークビル市で作っているFlex SUV用のプラスチック製物入れに小麦の麦わら(ストロー)で強化したプラスチックを使った。

竜舌蘭もパイロットの結果が良好なら、この植物の繊維がsoy foamやストロー、ひまし油、ケナフ繊維、セルローズ、木、ココナツの繊維、もみがら、などの仲間入りをする。Fordは今では8種類の、持続可能素材を車の部品に使用している。

Mielewskiによると同社は今、竹や藻類のような成長の早い植物をプラスチック部品に利用することを検討している。Fordは、二酸化炭素そのものについても、研究している。

彼女曰く、“二酸化炭素を環境や温室効果ガス中に放出するのでなくて、それからポリマーを作る研究だ。良質なクッション素材は作れたが、まだ生産はしていない。その原料の50%が、二酸化炭素だ。二酸化炭素を環境に放出せずに、車のためのいろんなプラスチックを作れるようになったら、ビューティフルだと思わない?”。

Fordによると、ふつうの自動車一台が400ポンドのプラスチックを使用している。だから、竜舌蘭のような持続可能素材が使える余地は、一台の車にまだまだあるのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

自動運転車に重要な新記録―メルセデス・ベンツのバスが20kmの公道ルートを走行

Weltpremiere: Mercedes-Benz Future Bus mit CityPilot – Meilenstein auf dem Weg zum autonom fahrenden Stadtbus

CityPilotテクノロジーは完全自動運転の都市交通というビジョンに向けて大きく一歩前進した。メルセデス・ベンツは自動運転のFuture Busに20kmの公道を走らせることに成功した。舞台はオランダで、アムステルダムのスキポール空港と付近のハーレム市を結ぶ幹線道路の走行だった。このルートには信号のある交差点やトンネルがあり、バスは歩行者を避けて走る必要があった。

メルセデス・ベンツは、2年前に、CityPilotに先立ってHighway Pilotプログラムをスタートさせていた。先行プログラムは高速道路におけるトラック輸送がテーマであり、今回のCityPilotのように複雑な都市交通の環境を対象としていなかった。それだけに今回の成功はFuture Busにとって重要な達成といえるだろう。

Future Busは単なる功利主義的な技術の実験ではない。メルセデス・ベンツは将来の都市交通のあるべき姿に適合したテクノロジーを開発しようとしている。そのため、バスのインテリアも時間をかけて注意深くデザインされている。プレスリリースによれば、この未来的バスには乗客がバス内で過ごす時間に応じて3種類のデザインが設定されているという。座席には映画やテレビなどのエンタテインメントや各種情報を提供するモニターが装備され、バスの天井は森の中のような雰囲気を作っている。

Look at that swank interior.

しゃれたインテリアに注目

CityPilotプログラムの重要な要素のひとつは、バスの走行ルートと都市インフラとの密接な協調だ。Future Bus Iは完全にネットワーク化されている。つまり走行ルート上の交通信号とも通信しており、信号が切り替わるタイミングを事前に把握できる。バスに装備されたカメラは近距離まで路面の詳細な「指紋」(アスファルトの微細な形状)を取得し、前回の走行で撮影されたデータと比較して安全な走行に役立てるという。

自動運転機能はバスを最高70km/hで走らせることが可能だ。ルート沿いに設けられたバス停にスムーズに減速して接近し、歩道から5cm以内という精度で停車して乗客を乗降させる。

短距離での自動運転バスは世界各地で実用化されているが、そのほとんどは最近われわれが紹介したDeNAの例のように運行ルートはショッピングモールなとの限定された環境の私有地に限られている。メルセデス・ベンツの実験は一般道路における大型バスの実用走行であり、その成功は自動運転バスが将来の公共交通機関の主役のひとつとなる可能性をみせたものといえる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

タクシーで「コンプレックス商材NG」な動画広告、日本交通とフリークアウトが新会社設立で

フリークアウトの本田謙社長(左)と日本交通の川鍋一朗会長(右)

フリークアウトの本田謙社長(左)と日本交通の川鍋一朗会長(右)

タクシーの広告といえば、消費者のコンプレックスに訴求するリーフレットを思い浮かべる人は多そう。例えば、飲むだけで痩せたり薄毛が治ることを謳うチラシ。僕も「ハゲの99%が治るって本当?」といったコピーに釣られ、手に取ったことはある。

いわゆる「コンプレックス商材」ではなく、大手のブランド広告を獲得しようと、都内タクシー最大手の日本交通がデジタルサイネージ事業に乗り出した。東京都心のタクシー100台にタブレット端末を設置し、全国規模で商品やサービスを展開する「ナショナルクライアント」の動画広告を配信する。

翌年に日本交通のタクシー3500台、2020年までに全国のタクシー5万台への導入を見込む。全国のタクシー会社に対してはタブレットを無償配布し、広告収益を分配することで普及を図る。

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大手ブランド広告を取り込む

日本交通とフリークアウトが合弁会社「株式会社IRIS」を設立し、動画広告商品「Tokyo Prime」を開発。都心でタクシーを利用する高所得者向けの「プレミアムメディア」という位置づけで、フリークアウトの顧客である航空会社や飲料メーカー、トイレタリー企業などを中心に販売していく。

デジタルサイネージは前部座席背面にタッチパネル対応の10インチタブレットを設置。乗客が運転手に行き先を告げてメーターが稼働した時点(つまり、もっともアテンションが集まるタイミングらしい)で、最長3分の動画広告を流す。丸の内や六本木のタウン情報なども提供する。

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僕も試してみたが、座って一息ついたタイミングで動画が流れると目を奪われる。見たくない場合はタブレットを操作して動画を消すことも可能だ

日本交通によれば、都内のタクシー平均乗車時間は18分間。その間に動画広告を流すことで、企業のブランドを深く浸透させられるとアピールする。

日本交通の川鍋一朗会長は、「都心のタクシー利用者は可処分所得が高く、繰り返し乗車するのが特徴。これまではこうした高所得者層へのマーケティングに注力できていなかった」と語る。

合弁会社のIRISでは広告掲載基準を厳格化。「コンプレックス商材」「ギャンブル」「美容整形」などの広告を掲載不可とし、大手のブランド広告を取り込む狙いだ。

デジタルサイネージ参入を支えた格安MVNO

ビーコンを使った「Physical Web(フィジカルウェブ)」にも対応し、車内で視聴した動画に関連するURLをスマートフォンにプッシュ通知する。この機能はスマホのGoogle Chromeで「フィジカルウェブ」とBluetoothを有効にしている場合のみ有効だ。

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タブレットはインターネット常時接続で、データ通信にはIoT向けの格安MVNOサービス「SORACOM Air」を採用した。通信料金が安い深夜に動画をダウンロードしたり、昼間はAPI経由で帯域制限するなどして、通信料を1台につき月額1000円以下に抑える。

このように低コストで運用できるサービスがあったことが、デジタルサイネージに参入できた要因でもあるようだ。

タクシーならではのターゲティング

日本交通とフリークアウトは今年1月、位置情報と連動するマーケティング事業で提携。日本交通子会社のJapanTaxiが提供する配車アプリ「全国タクシー」の位置情報を、フリークアウトの広告配信に活用する取り組みを始めていた。

フリークアウトにとって、デジタルサイネージは初の事業領域となる。本田謙社長は「今から行く場所がわかれば、乗車中に目的地に関連する広告が配信しやすくなる」と、タクシーならではのターゲティングに期待を寄せる。

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「全国タクシー」の位置情報をもとに、特定エリアにいる訴求したいターゲット層のみに対して、即座にオンライン上で広告を配信できる

フリークアウトは、広告主が広告を配信したいユーザー層を定義し、必要な広告枠をリアルタイム入札で買えるDSP(デマンドサイドプラットフォーム)を手がける。広告主は購買データや性別年齢、興味などでユーザーを絞り込めるが、これらに「今から行く場所」が加われば、より効果的な広告が打てるというわけだ。

ただし、「乗車時に目的地がわかる」というのは、配車アプリで降車地点を指定した場合に限られる。今後は、乗車時に運転手に目的地を伝える際、タブレットの音声認識で目的地を推定することも視野に入れている。

2020年までに多言語化、売上高100億円へ

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富士キメラ総研の予測によれば、2020年の国内デジタルサイネージ交通広告の市場規模は800億円。IRISは2020年までに全国5万台に導入し、売上高100億円を見込んでいる。インバウンド需要に向けて、デジタルサイネージの多言語化や決済対応も進める。

IRISは日本交通子会社のJapanTaxiが51%、フリークアウトが49%を出資。代表取締役には、JapanTaxi CMOの金高恩氏とフリークアウト経営企画室長の溝口浩二氏が就任した。

「飛び放題」を提供する航空会社Surf Airがヨーロッパに事業を拡大

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有料会員に「飛び放題」サービスを提供するトラベルサービスのスタートアップSurf Airは本日、今年の10月よりヨーロッパ内でのサービスを開始すると発表した。

具体的には、Surf Airのヨーロッパ路線は、英国ロンドン・ルートン空港と他のビジネスの中心都市であるカンヌ、ジュネーブ、チューリッヒなどを含む。

また、同社は週末にはホリデーの目的地として人気のあるイビサ島へのフライトも提供する意向で、2017年には目的地にドバイ、パリ、アムステルダム、バルセロナが加わる予定だ。

アメリカにおいて、Surf Airは都市近傍の小さな空港を使用して、ビジネスと観光で人気のある主要都市をカバーしているが、それらはロサンゼルス、サンフランシスコ、リノ(トラッキー経由)、パームスプリングズ、ナパなどだ。

会員は1000ドルの入会金を払い、国内サービスは毎月1950ドルとなっている。機体はPilatus PC-12 NG aircraftを使用、これは7人乗りのビジネスターボジェットで、キャビンのデザインはBMW DesignworksUSAが担当した。

ヨーロッパ会員の費用は入会金プラス毎月2500ユーロで、Surf Airの就航する路線内を回数無制限で乗り放題だ。会員は友人や家族のためにゲストパスを片道750ユーロで発行して貰える。

さらに同社のアプリを使えばフライトを予約することができ、空港ではバレットパーキングサービスも利用出来る。

ヨーロッパに事業を拡張することでSurf Airの競争力は増すだろう。競合相手としては、ジェット機の共同所有プログラムやチャーターサービスなどがあり、既にVista JetやNetJetsなどが名を連ねる。また、スタートアップとしてはJetSmarterなどがあり、メンバーになれば他人の所有するジェット機の空席を予約することが可能だ。

アメリカ内ではSurf AirはWheels Upなどと競合する。Wheels Upは会費を低く抑える一方で飛行時間で課金する方式を採用している。

Surf Airは2011年に設立され、これまで1876万ドルを株式ファンドで調達した。Anthem Venture Partners、Baroda Ventures、Base Ventures、NEA、ff Venture Capital、Mucker Labなどが同社に投資している。また、資金を借り入れ航空機の購入と事業拡張を行った。

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(翻訳:Tsubouchi)

Googleの自己運転車プロジェクトが独立企業へ一歩近づく…ベテラン法務部長を招聘

PARIS, FRANCE - JUNE 30:  A Google self-driving car project is displayed during the Viva Technology show on June 30, 2016 in Paris, France. Viva Technology Startup Connect, the new international event brings together 5,000 startups with top investors, companies to grow businesses and all players in the digital transformation who shape the future of the internet.  (Photo by Chesnot/Getty Images)

[筆者: Mark Lelinwalla]
Googleの自己運転車プロジェクトが、同社の独立した事業になりつつある。Recodeの記事によると、その自律運転企業はGoogleではなくAlphabetの直傘下となり、The Climate Corporationの最高法務責任者(chief legal officer, CLO) Kevin Vosenを同社の初の法務部長として迎えた。予定では彼は今月晩終わりごろに着任する。

現在Googleの自己運転部門は同社の実験的なラボ、Xの下にあり、しかしVosenが来たことによって企業としての独立に一歩近づいたようだ。しかも、そのタイミングが興味深い。今は自動運転車ではライバルのTeslaが、5月7日の、Model Sの自動操縦モードにおける死亡事故に関して、国の調査を受けている最中なのだ。

Googleにかぎらず、自律運転技術を開発している企業は必ず、国や州の法律の問題をクリアしなければならないから、法務の経験豊富なVosenを招いたのもそのためだろう。VosenはThe Climate Corporationでコンプライアンスと対政府関係(Government Relations)を担当した。ClimateのCEOで協同ファウンダーのDavid Friedbergは前にGoogleで、企業開発と製品管理を担当した。Googleとのご縁が深い。しかもFriedbergが会長を務めているMetromileは、走行距離に応じて保険料を払う自動車保険の会社だから、それは表面的なご縁ではなさそうだ。

Googleの自律部門が弁護士を雇ったというこのニュースの前には、Google XによるTim Papandreouのスカウトがあった。Papandreouはサンフランシスコ市交通局のイノベーション部門にいた人物だから、Googleの自己運転開発チームを、より一層、堅牢にしてくれるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Teslaの自動ブレーキシステムはその死亡事故の状況には対応していなかった、とMobileyeが説明

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Tesla Model Sの死亡事故に対する、昨日のNHTSA(道路交通安全局)の調査を受けて、Tesla社の自動操縦機能の開発に関わっているイスラエルのMobileyeが、事故に関する声明を本誌に送ってきた。

“この事件で起きたことに関する説明をわれわれは読んだ”、MobileyeのChief Communications Officer Dan Galvesが書いたとされるテキストには、こう書かれている。“今日の衝突回避技術、いわゆるAutomatic Emergency Braking(AEB)〔緊急時自動ブレーキ〕 は、後部への追突の回避として定義されており、具体的にそのために設計されている”。

この声明文のトーンは、昨日のTeslaの声明とかなり違っている。後者は、ドライバー(その後オハイオ州のテクノロジー起業家Joshua Brownと判明)の死を悼み、同社の安全対策を、このように強調している: “自動操縦は絶えず進歩しているがしかし完全ではなく、今なお運転者による十分な注意の維持を要する”。

同様にGalvesも、現行世代の技術が5月7日の衝突で展開されたようなシナリオを取り扱えるようには装備されていない、と説明している。ただしそのような機能の導入は計画されている、と。“この事故には車両の横方向からの進入が関与しており、現行世代のAEBシステムはそれに反応できるように設計されていない”、と声明は述べている。Mobileyeのシステムには2018年からLateral Turn Across Path(LTAP)〔行路を横切る横方向のターン〕検知能力が含まれ、2020年からEuro NCAP〔自動車安全性能評価〕の格付けにこれが含まれる。

その技術はまだ、車両がレーンを横切ってターンする、という特別なケースに反応できるようには、装備されていないようだ。Teslaの昨日の説明では、“好天時の太陽が向こうから照りつける中で、自動操縦も運転者もともに、トレーラートラックの白い側面が視界に現れたことに気づかず、そのためブレーキが適用されなかった”、となっている。

Mobileyeは今朝(米国時間7/1)、もう一度ニュースに登場した。そこでは、同社がIntelと協働して、BMWが同社初の完全自己運転車を2021年に発売できるようにする、との公式発表があった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ヒトが車の運転をやめる日

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【編集部注:本稿の執筆者、Mario Hergerはコンサルティング会社Enterprise GarageのCEO】

この子はLiam, 最近ちょうど1歳の誕生日をお祝いしたばかりだ。可愛いだけじゃなくて、彼で人が運転免許を取るは最後になるんだ。

それはないって?我々が生きているうちはまだ無理?

そうだね。Liamが運転免許を取る最後の人になるかは実際分からない。SophiaかもしれないしEthanかもしれない。その人はあなたの近所の曲がり角に住んでいるかもしれない。しかし確かなことがひとつある。最後の運転免許を受け取る人は既に生まれている。テクノロジーの発展速度と最近の幾つかの発表からその点は確実だ。

デジタル系企業からの参入

カリフォルニアのDMVだけでも自律走行技術の実走試験のライセンスを既に13社に発行した。グーグルのみで全米に渡り58台の試験車を保有しており、それは全登録車両の80%になる。グーグルの自律走行試験車はこれまでになんと通算160万マイルの走行距離をこなしており、その距離は毎週1万から1万5000マイルずつ上積みされている。全てを合わせると、この数字はカリフォルニアにおける総テストマイルの90%にもなる。グーグルの1月のレポートによれば、その数字にはさらに毎日のシミュレーション走行でこなす3万マイルが加わるということだ。

一方でテスラは、昨年10月の自動操縦モード発表以来自社の乗用車が延べ1億マイルもの距離を自動で走行したことを明らかにした。そしてイーロン・マスクが最近発表したところによるとテスラは2年以内に完全な自律走行車を完成させるらしい。さらにデジタル系企業からはUberBaiduが自律走行車の開発を手がけている。

そして、テクノロジー自体も急速に進歩している。これまでの総走行距離と事故総数から判断すると自律走行車は既に人間の運転する車と同等の安全性を達成している。グーグルに関して言えば、これまでの160万マイルの路上試験走行で発生した事故は12件で、そのうち自律走行車側に非があるものはたったの2件だけだ。つまり事故の頻度は13万3000マイルに1件で、これは報告と非報告分を合わた、物損を伴う人的事故の発生頻度と同率である。

自動車会社の挑戦

従来型自動車会社は暫くの間自律走行車開発への歩みを止めていたかのようであったが、ここに来てデジタル系企業の送り出す新型車に追いつくべく本腰をいれつつある。ホンダ、メルセデス、アウディ、フォード、GMは全て試験車を開発し、必死になってテクノロジーを習得し、GMフィアットのように協力関係を結んでいる。供給会社であるボッシュでさえテストライセンスを取得しているほどだ。さらにBMWの発表によれば、同社のiシリーズはその重点を自律走行車にシフトしていく予定で、一般販売は2021年を見込んでいる。

シンギュラリティ効果

Ray Kurzweilのシンギュラリティに関する発言によれば、自律走行車のAIにおいて必要となるデジタルパワーと知性の発展は指数関数的にもたらされるという。保守的アプローチに則り過去の経験から線形的に将来を予想したとすれば、実際の変化はその指数的要素により予想を上回る速さでもたらされるといったことになりかねない。

その他の参入者

AUTOSARは車載電気制御ユニット標準化のためのシステムアーキテクチャーだが、2018年にはバージョン4.4のリリースが予定されており、そこでは自律走行に必要なものすべてが盛り込まれるはずだ。このシステムはパートナー企業の開発する車に2020年までに標準装備されることになっており、そこにはBMW、フォード、GM、ダイムラー、フォルクスワーゲン、ボルボなどが名を連ねる。

センサーテクノロジーも急速な進化を遂げており、その価格は急速に下落している。現在の車には何百ものセンサーが搭載されており、その中にはレーダー、カメラ、GPS、加速度計などが含まれる。さらに必要となるLidarなども今後数年内に数百ドル位で手に入るようになると考えられる。

技術調査会社であるVision Systems Intelligenceが自律走行へのソリューションや技術の推進に関わる全ての企業のリストを作成したが、その数は注目に値する。なんと200以上の企業が自律走行テクノロジーの開発に取り組んでおり、他のホットな業界の例になぞらえれば、さらに多くの企業が参入してくるだろう。

人が運転する車は法律で禁止されるか囲われたサーキット内のみに限定されるかもしれない

安全な自律走行車の実現を可能にする技術的側面は重要だが、保険会社と規制機関が迅速な普及を推進する可能性がある。94%の事故が人的過失によるという事実を鑑みて、自律走行車の事故発生率は低くなることが予想される。結果として人の運転する車に対する保険料は法外なものになる可能性がある。今日、自動車を運転している人の大半はまだ機械に車のコントロールを明け渡すということについて懐疑的だが、実際に自分自身で自律走行車を体験し、人間の運転する車に対する保険料の上昇を目の当たりにすれば、その考えは急速に改まるだろう。次に来るのが法的規制だ。人が運転する車は法律で禁止されるか囲われたサーキット内のみに限定されるかもしれない。

最後のドライバー

このように有力な企業が共同で労力と資産をつぎ込んだ取り組みを見せている中、Liam、あるいはSophiaかEthanかもしれないが、この子たちが2031年に16歳の誕生日を迎えた際、運転免許を取る必要はないし、場合によっては免許の取得は許されないかもしれない。特にその年代の子供の運転履歴の悪さを考慮すれば尚更だ。彼らの方でも取り立てて免許を欲しいとは思わないかもしれない。運輸省によれば10代の間で免許取得者の割合は減少傾向にあり、これは他の国でも見られる傾向だ。

これらの技術的進展を前にして我々は再び問うことになる。車の本当の役割とはなんだろうか?車メーカーの言っているような「運転することの喜び」とか「自由」とかではなく、移動や交通問題を解決するわけでもない。車はいわばコネクターだ。車は我々が他の人や場所、物と結びつく手助けをしてくれる。しかしながら、そのコネクターとしての役割において車と競合関係にあるものがポケットの中に存在する。そう、スマートフォンだ。

昔の10代の子供は競って車の運転をしたがったが、今では運転を人に押し付けたがる。同乗者はスマホを使って他のみんなと繋がっているが、運転に集中しなくてはいけないドライバーだとそうはいかない。自律走行車ならば、現実、仮想を問わず皆があらゆるモードで繋がっていられる。

そして、これがLiam(もしくはSophiaやEthan)が運転免許にそれほど魅力を感じず、DMVでテストを受ける最後の人になる理由だ。

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(翻訳:Tsubouchi)

Uberみたいにシームレスなパリのレンタカーサービス「Virtuo」

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パリを拠点にするVirtuoはカーレンタルを扱う新しいスタートアップで、空港や駅で車を借りることをより簡便化しようとしている。指先のタップひとつで車を呼びつけることに慣れた、いわゆる「Uber世代」をターゲットに、同社はテクノロジーと自社の所有するメルセデスを組み合わせることで、既存のカーレンタル大手のAvis、EuropcarやHertzなどに挑戦している。

「電車の駅や空港で車を借りるのはたいへん骨が折れスムーズには行かないし、カーレンタルの大手は新しい世代の旅行客の要求に応えられていない」と、Virtuoの共同設立者であるKarim Kaddouraは述べ、モバイルファーストとUberの様な切れ目のないユーザー体験を挙げた。

この目的のためにVirtuoのモバイル用アプリは登録が5分で完了することを謳い文句にしている。登録にはアカウントの作成、クレジットカード情報入力からIDカードと運転免許のスキャンが含まれる。後者に関してはアプリ内で顔認識技術が使われており身分詐称を未然に防ぐようになっている。

screen322x572key加えて、同アプリはVirtuoの車がある駐車場まであなたを誘導してくれる。そこでスマホに「デジタル鍵」をダウンロードし、アプリ経由で車を解錠することになる。

実際に走り出す前には、車を点検して、もし車に既に傷などが付いていれば、損傷箇所の報告書を確認する必要がある。もし報告書にない凹みがあれば、アプリ経由で写真を撮ってアップロードする。

おそらくこのセルフサービスの部分でVirtuoは経費の削減が可能で、既存の大手のようにチェックインデスクを構え人員を配備する必要がなくなる。

「我々はスマホだけで100パーセント物事が完結する、手間要らずなカーレンタルの仕組みを構築しました。登録から車の施錠と解錠まで、すべての過程がアプリで出来、ユーザーはカウンターで行っていた手続きを省略してほんの数分で走り出すことができるのです」とKaddouraは説明する。

「加えて、我々の提供する車はメルセデスのAクラスのみなので、顧客は期待通りの車に乗ることができ、それらの車には高水準の装備が施されています。すべての車はナビ、Bluetooth、自動変速装置が標準です」

値段は1日€49からで、ドライバーの追加は無料でできる。Virtuoのアプリは車することで走行距離と消費燃料もモニターする。そして、もしVirtuoのスタッフと話をする必要があれば、アプリ内蔵のチャット機能を使う。

ローンチに当たって、Virtuoはパリ内の複数の駅 (パリ北駅、リヨン駅、モンパルナス駅)と、フランスの首都の中心にあるシャルルドゴール空港とマドレーヌ寺院で利用可能だ。数週間内にさらに2つの空港、パリ=オルリー空港とコート・ダジュール空港が加わる予定だ。

「この市場は何十年にも渡って寡占が続き、既存の大手が業態を再考する必要はなかったのです。文化的には、カーレンタル業は高度な技術を必要とするわけではなく革新的な問題解決の手法を見つけ出すのが上手ではありません。というのもビジネスモデルがカウンターや代理店に過度に依存しており、具体的にはより高いサービスを顧客に勧められるかにかかっているのです」と、Kaddouraは付け加えた。

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(翻訳:Tsubouchi)

自動船舶Solar Voyager、ソーラー・パワーのみで大西洋を横断中

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ボストンから真東のおよそ200マイルあたりで、ロボットボートが、人が歩く程の速度で、大西洋横断という歴史的な快挙に向かって航行中だ。「Solar Voyager」は友達同士の2人が空いた時間を利用して作った船だが、大西洋を横断する最初の自動船舶となるだろう。さらには全ての大洋を含めても、ソーラー・パワーのみでの横断なら世界初だ。

Isaac PennyとChristopher Sam Soonは足掛け4年このプロジェクトをこつこつと続け、船は6月1日に進水まで漕ぎ着けた。現在のところ、ボートが大西洋を横断し切るにはまだ長い道のりが待っているが、プロジェクト自体は多くの意味で既に成功したと言っても良いだろう。

「よく言っているんだけど、たとえ少人数でも情熱を持ってやればどんなことができるか、ということです」と、Pennyは電話で言った。「Christopherと私が飛び抜けた天才とかじゃないんです。私たちは海育ちですらないんです。私なんか育ちはカンサスです!」

そうは言っても、二人はSolar Voyagerを一から作り上げた。彼らが既製品で利用したのはソーラーパネルと標準的なモーターの部品のみだ。18フィートのボートはGPS上の2点間をゆっくり進行中で、順調に行けばポルトガルに今秋到達するだろう。

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彼らのボートが大洋を横断する最初の自動船舶というわけではない。 Liquid Roboticsが作ったWave Glidersが遡って2012年にその偉業を達成した。しかし、彼らの船はソーラーではなく波のエネルギーを利用していた。また、Pennyが指摘する通りそのプロジェクトは経験を積んだ大企業が資金、人材ともに供給したもので、そのプロジェクトで得たテクノロジーについては特許が取られた。

「Wave Gliderを作れるのはLiquid Roboticsだけですが、私たちのしたことは誰にでもできます。私たちはガレージすら持ってないんですから!」とPennyは笑った。

これまでの4年間に渡って、ボートは応急装備のプラスチックでできたカヤックから完全にカスタム装備のアルミボディーへと進化し、自家製の自分たちでチェックした推進装置と電子機器が装着されている。280ワットのソーラーパネル、特製の付着物耐性プロペラ、フジツボが付かないコーティングやたくさんのちょっとした工夫改良など、全てはボートが目的地に着くまでの4ヶ月間、無事航行し続けるためのものだ。

「耐久性が問題だというのは明らかですが、それには良い解決策はありません」とPennyは言う。「丸1日動くものを作るということと、何ヶ月も動く物、それもとても厳しい環境で故障しても直す人もいないという状況でも動き続けるものをデザインするということは、全く違います」

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彼らにはチャンスは一度しかなく、一発必中が要求される。Liquid Roboticsとは異なり、作れるのは一隻のみ、リスボンまでの中間地点で船を整備してもらうことも出来ない。もしモーターが故障しバッテリーが駄目になったら、それで4年間と1万ドル強がフイになる。しかもサメが襲ってこず、大型客船が突っ込んでこないことが条件だ。実際、ボートはレーダーに映り、派手な塗装が施してあるし、一般航路は避けて航行しているんだけどね、とPennyは付け足した。

一旦ポルトガルに着けば、Solar Voyagerは最後のウェイポイントの周りを周回し続けつつ、PennyとSam Soonが回収に来るのを待つことになる。

「私たちは実はリスボンでボートを持っている人たちを探しているのです。これは多分人々がテックニュースで読みたいことではないでしょうね」と彼は付け加えた。この言葉が示す通り、これは2人の人間が余暇を利用して行ったことで、スポンサー付きのXPRIZEのエントリーや海軍支援によるプロトタイプ作製ではない、という点がとても素晴らしい。ポルトガルのTechCrunch読者諸君、もし彼らを助けてあげられるのであれば、是非コンタクトをとってあげてほしい。

何より、プロジェクトの目的は、このような試みにはソーラー・パワーが適していることを広く知ってもらうことだ。

「私たちは常に代替エネルギーとしてのソーラーを考えていますが、化石燃料では、今回はうまくいかなかったでしょう。それでは、永遠に動くものは作れません」Pennyは言った。「それが長期滞空ドローンだろうと海洋保安のためのデータ収集だろうと、はたまた野生動物保護区の監視であろうとも、ソーラーは単なる代替エネルギーではなく、最適な解決法なのです。他では出来ないことがソーラーであれば可能です」

Solar Voyagerの進行状況はプロジェクトのウェブサイトでチェックできる。場所と主要な活動数値は15分ごとに更新される。10月に戻って来れば、うまくいけばPennyとSam Soonがプロジェクトの成功を祝福しているだろう。そしてちょっとばかりの歴史が作られることになる。

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(翻訳:Tsubouchi)

スタンフォード大学のロボット‘Jackrabbot’は歩行者が無意識に守っている説明の難しい複雑なルールを学習中

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人間の大人でも、人混みの中を歩くのが難しいことがある。ましてや、不器用で素朴な脳のロボットはどうだろう? 人にぶつかることを避けるために、“右へ行くべきか左か?”を一瞬々々ぎごちなく考えながら歩く、…スタンフォード大学の研究者たちは、彼らのロボット”Jackrabbot”が、そんな路上のルールを学習できる、と期待している。

同大のComputational Vision and Geometry Lab(コンピューターによる視界とジオメトリ研究所)はこれまですでに、歩行者の動きを追跡して予測するコンピュータービジョンのアルゴリズムを作ってきた。しかしそのルールはきわめて複雑で、群衆や歩道の幅、一日の中の時間帯、自転車やベビーカーの有無、等々大量の変数を含むため、まさしく、そのほかの機械学習のタスクと同じく、有益な結果を得るためには膨大な量のデータを必要とする。

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しかも、彼らが開発しているアルゴリズムは、完全に観察データだけを使用し、それをニューラルネットワークが解釈することを意図している。研究者たちが、ヒント(“この状況では人は必ず左へ行く”など)を与えてはいけない。

彼らのこれまでの努力は小論文に記され、今月の終わりごろ出るCVPRに掲載される。彼らが作った動き予測アルゴリズムは、多くの同種アルゴリズムよりも優れており、そのモデルは、人が集団の中で相互作用/反応する場合の複雑微妙ぶりをある程度学習できた。

現在、楽しげにめかしこんだJackrabbot(上図)は、人間が手動でコントロールしながら、研究のモデルをロボットの知覚に実装する方法を模索している。その本体は実はSegway RMP210の改造バージョンで、ステレオカメラとレーザースキャナーとGPSを搭載している。訓練用データは鳥瞰ビューを使用したが、ロボット本人には鳥瞰的視界を持たせずに、さまざまな歩行者の互いの距離と歩行速度から、空間中の各個人の座標を求め、彼らの動きを高い精度で予測させる。

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研究者のAlexandre Alahiは本誌へのメールで、“この夏には、私たちの社会的知覚を持つ予測モデルをロボットに実装したい。リアルタイムのデモは、年末までには行いたい”、と言っている。

人間の空間を無事にナビゲートできるロボットが、まだ万人の目の前ではないけれども、どこかSFにほとんど近いような場所に、出現しようとしている。しかし、われわれが日々、思考を必要とせずに行っていること…回りをスキャンしその場の障害物と運動物を判断し、それに応じて自分の動きを適切に計画すること…は、コンピューターにとってものすごく難しいことなのだ。

このようなプロジェクトの多様な蓄積の中から、最終的には、家の中や都市の中を人間と同じようにはやく安全に、他人に配慮しながら歩けるロボットが生まれるだろう。自動運転車がたぶん都市の道路の様相をすっかり変えてしまうように、自律性のある歩行者ロボットは、それがヒューマノイドであろうとなかろうと、歩道の状況を変えるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Segwayの電脳化された最新製品Ninebot by Segway MiniProがAmazonで予約受付を開始

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Segwayは今日(米国時間6/1)のNinebot by Segway MiniProの公式発表で、ホバーボードに言及していない。もちろん、その理由を理解するのは簡単で、同社は、すごく人気があるけど問題の多すぎるあの製品と、一緒にされたくないのだ。そもそも、あまりにも問題多いから、緊急に規制せよという声すらある。

同社のマーケティング担当VP Brian Buccellaに、その‘ホの字’の問題をぶつけてみると、彼は曰く、“うちはこの分野の断固たるリーダーだから、良質で安全と確信を持てる製品しか市場化しない。つまりそれは、最高の製品だ。miniPROがホバーボードだとは認識していない。まったく違う種類の製品だ”。

何よりもまずSegwayは、小型スクーターのための、民間機関の安全証明を取得している。電池や充電システムが緊急時災害時に耐えうることなども、その条件だ。Instagramに、そのへんのおもしろいビデオがいくつかある。

この小さなスクーターは、今日からAmazonで予約できる。発送は6月29日だ。Segwayが特許を持っている自己バランス技術を使っており、それはサードパーティにライセンスしていない、とBuccellaはあわてて付け加えた。膝でコントロールするバーがあり、またアプリがダッシュボードのデータや、セキュリティの警報、リモコン機能などを提供する。

このパーソナル移動デバイスは、お値段999ドル、重量28ポンド、最高速度は時速10マイルだ。10.5インチの空気タイヤを使用、斜面を登れるし、敷石のある歩道や未舗装道路も走れる。ここでもBuccellaは、“miniPROはとても楽しい乗り物だけど、おもちゃではない。それは、次世代のパーソナル移動機という、れっきとした消費者製品だ”、とあわてて付言した。

Ninebot by Segway MiniProという、ちょっとかっこ悪い製品名は、昨年4月に北京のNinebot社とニューハンプシャーのSegway社が合併した結果だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

WHILLが新たに約20億円を調達、電動車椅子の枠を超えたパーソナルモビリティ事業に取り組む

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「次世代パーソナルモビリティ」の開発を手がけるWHILLは本日、総額1750万ドル(20億円弱)の資金調達を行ったことを発表した。Eight Roads Ventures Japan(旧Fidelity Growth Partners Japan)をリード投資家とし、未来創生ファンド、ゴールデンアジアファンドⅡ等が参加している。また、Eight Roads Ventures JapanのDavid Milstein氏がWHILLの社外取締役として就任すると発表した。今後、電動車椅子に留まらず、WHILLが掲げる「次世代パーソナルモビリティ」の普及を目指し、新たにシェアリング事業なども手掛ける計画だ。

TechCrunch Tokyo 2012のスタートアップバトルの優勝者でもあるWHILLは、ソニー、トヨタグループ、オリンパスなどメーカー出身のエンジニアを中心とするチームだ。CEOの杉江理氏も日産自動車出身だ。彼らが最初に取り組んだ「WHILL Type-A」は、手動の車椅子にモーターをアタッチする形式だった。その後、現在のモーターと車輪が一体型の「Model A」を開発し、2014年9月から一般販売を開始している。「Model M」は、アメリカでFDAの認可を得るために「Model A」の仕様を一部変更したモデルとWHILLの広報担当者は話す。FDAの認可を得ることで、医師が処方することができるようになり、保険も適用されるようになるという。「Model M」はFDAの電動車椅子としての要件をクリアするため、主に変更したのは背もたれの部分だ。様々な症状の患者に合わせてカスタマイズできるよう変更しているという。また「Model A」ではBluetooth経由でiPhoneアプリから車椅子を遠隔操作することが可能だが、「Model M」にはそれがない。いかなる環境でも安全、安心を追求するFDAの基準に則すためという。

2016年2月、FDAから商品の認可が下りたとWHILLの広報担当者は話す。現在、FDAによるWHILLの製造現場の調査が行なわれていて、順調に進めば7月からアメリカで「Model M」の一般販売を開始できる予定だという。アメリカのユーザーは代理店経由で車椅子を扱う約50店舗からWHILLを購入できるそうだ。

今後WHILLは、シェアリングサービスなどの事業開発を検討しているという。例えば、自転車の貸し出しやカーシェアリングのように、駅付近やアミューズメントパークなどの施設内でパーソナルモビリティを活用した事業を考えているそうだ。それに伴う機能開発、例えばパーソナルモビリティが自動で当初あった場所に戻るなどの自律走行機能などの開発を行うことも視野に入れているという。

今回Eight Roads Ventures Japanをリード投資家に迎えたのは、新たな事業を展開を行うためのアライアンスや機能開発で協力できる企業を探すためのネットワークに期待しているためという。また、主要市場と位置付けているアメリカ市場での販売強化と認知度の向上を図るための協力を得られることも理由の一つと話す。WHILLの2015年度の販売実績は日米合わせて500台だったとし、2016年度はその2倍、1000台の販売を目指す計画だそうだ。

WHILLは「電動車椅子という枠に超えて、新たな乗り物を提案していきたい。そしてこれに乗るのは楽で、かっこよくて、クールであるという認識を広めたい」と話している。2012年5月に正式に法人化したWHILLはこれまでに総額約1285万ドルを調達している。今回の調達で累計調達額は約3035万ドルとなった。

C2Cの中古車マーケットプレイス「Ancar」から整備工場の検索サービスが登場

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本日、アンカーは新サービス「Repea(リペア)」をリリースした。Repeaは自動車整備工場の連絡先、取扱業務、得意分野などの情報を掲載し、現在地から最も近い整備工場を探したり、必要な整備内容から整備工場が見つけることができるサービスだ。このRepeaは、彼らがこれまで手掛けてきた中古車のC2Cマーケットプレイス「Ancar(アンカー)」で築いた整備工場のネットワークを新たな切り口で車のオーナーとつなぐサービスだ。今回Repeaの狙いについてアンカーの創業者で代表取締役を務める城一紘氏に話を聞いた。

Repeaについて説明する前に、まずアンカーの最初のサービス「Ancar」を紹介したい。Ancarは2015年9月からベータ版を提供している中古車のC2Cマーケットプレイスだ。Ancarの特徴は、車を掲載する前に、必ず整備工場で車の査定と点検を行うことだ。サービスの流れは次の通りだ。車を販売したいユーザーはAncarと提携する整備工場に車を持っていくと、そこでプロの査定士が車の査定し、法定12ヶ月点検を行う。Ancarは査定結果を元に出品推奨額を車のオーナーに提示し、最終的な出品価格が決まれば、車がAncarに出品される。車を買いたい人は、外装や内装の評価からパッと見では分からない内部のエンジン周り、電気装置、ブレーキ周りなどの評価も確認した上で購入を決定することができる。

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Ancarの査定結果

通常の中古車流通では売り手から買い手に車が届くまでに買取店、オークション、販売店などを経由しているためコストがかさみ、最終的な買い手の購入金額が高くなっていると城氏は説明する。Ancarは売り手と買い手を直接つなぐことで、売り手はより高額で車を売却し、買い手は市場価格より安価な価格で車を購入することができるようにする。だが、それだけでは不十分と城氏は話す。「車は命を乗せるものであり、個人と個人をつなぐだけではダメで、安全であることが重要」と言う。そこでAncarは法定12ヶ月点検相当の点検を行い、その結果を開示することで個人が安心して中古車の購入を決められるようにしているという。通常の中古車売買では買い手が決まってからしか車の整備や点検が行われないと城氏は話す。それは購入されるか分からない車の点検にコストを割きたくないという販売側の心理があるからと指摘する。城氏は本来なら先に点検を行って、買い手はその結果を鑑みた上で購入を判断するのが適切と考え、Ancarでは先に査定と点検を行う仕組みを構築した。

Ancarは中古車の査定と点検体制を整えるために整備工場との提携を進めてきた。その結果、現在では200社以上の整備工場と提携し、1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)のカバー率は95%以上なのだという。これは車で15分圏内にAncarの提携整備工場にある計算だそうだ。今回ローンチした「Repea」では、整備工場と車のオーナーをつなげたい考えだ。整備工場と一口に言っても対応できる作業や得意な整備内容は異なると城氏は言う。だがこれまでそのような情報はインターネットでは得られなかったり、一般の人にとってどのような整備ができるかすぐには分からないことが多かった。Repeaでは、各整備工場の連絡先、対応できる整備内容などの情報をプロフィールにまとめ、地図に表示する。自動車を持つユーザーは、例えば車検に出す時や傷、不具合の整備を依頼したい時に、最寄りの整備工場や必要としている業務に対応できる整備工場を見つけたりすることができる。

Repea詳細ページ

修理や整備をディーラーに依頼するオーナーも多いだろうが、整備工場では高い技術を低価格で提供していることはあまりは知られていないと城氏は話す。Ancarでは車の売買でしか車のオーナーとの接点がなかったが、Repeaでは車のメンテナンスでより多くの車のオーナーと整備工場との接点を作りたい考えだ。車のオーナーにとって整備工場をより身近な存在にしたいと城氏は話す。今後、Repeaでは車のオーナーが傷や故障箇所をスマホで撮影して、整備工場に見積もりの依頼を送ることができるようにしたり、スマホアプリで決済を完結したりできるようなサービスにしていくことを考えているという。

城氏はアンカーを2015年1月に立ち上げ、同年4月にCAVから資金調達を行っている。城氏はGREEに勤めた経歴があるが、家業の整備業を継ぐために実家に戻ったという。そこで中古車流通の非効率性やIT化がほとんど進んでいない状況を目の当たりにし、ITを活用したサービスを考えたという。今後はAncarの海外展開も検討していると城氏は話す。ただ、途上国などでは長く安全に自動車を使うことができる環境が整っていないところも多いとし、その部分を補うためにも日本の中古車だけを海外に持って行くのではなく、整備技術も合わせて輸出できる形を考えていると話す。

元Google技術者の集結したOtto、トラックの自動運転に挑戦

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自動運転車は、テック業界が追い求める未来のひとつであることは間違いない。Google、Uber、Appleやその他の有名企業が自動で走る乗用車の開発に躍起になっている。しかし、トラックはどうだろう?そこで登場するのがOtto。長らくのステルスモードを解除し、トラックの未来づくりに挑戦するスタートアップ企業だ。

元Google技術者のAnthony Levandowski氏、Lior Ron氏、Don Burnette氏そしてClaire Delaunay氏によって設立されたOttoは、商業用トラックの世界について「再考」しようとしている。

Medium上の記事で、以前Googleの自動運転車の開発をリードしていたLevandowski氏と、Google MapsとMotorolaの部門に勤務していたRon氏は、トラックはアメリカにおける大気汚染の問題の大きな要因であると述べた。交通量の観点からは全体の1%程度しかないトラックが、道路公害の原因の28%を占めると彼らは主張する。それだけに留まらず、トラックは死亡事故が多く、非効率で更にはドライバーの数も年々減ってきている。そこにこそ、テック業界が解決策を提示すべきだと、Ottoの創設者たちは考えている。

Ottoの事業は、トラックドライバーが運転時の安全性を高めるツールの開発から始まった。しかし、現在はタイミング良く、高速道路での運転を部分的に自動化するテクノロジーの開発を行っている。

自動運転車の開発に取り組む他社とOttoが違うのは、今道路上を走っているトラックに取り付けられるようなテクノロジーの開発に焦点を絞っているという点だ。直近のゴールは、トラックドライバーという職業を時代遅れのものとして絶滅させることではなく、あくまで彼らをアシストすることにある。Levandowski氏とRon氏は、Backchannnelの取材に対し、数ある目標の中でも、トラックドライバーが休憩がてら寝たいときにトラックが自動運転できるような製品を開発することを目指していると語った。

Ottoは、自社が開発したシステムを使っての公共高速道路でのデモを既に一度行っており、更に大きな計画の実現に向けて動き出していると発表した。

更にLevandowski、Ron両氏は、「私たちは、これからOttoトラックの可能性を更に広げようとしています。安全性に関するデータを収集して、システムを利用することのメリットを証明し、アメリカの高速道路網のすみずみまでこの技術を浸透させてたいと考えています」とMediumの記事に記した。

Ottoのメンバー40名には、想像どおり多くの元Google技術者が在籍するほか、Tesla、HERE、Apple、Cruiseや様々な自動車会社の元社員が名を連ねる。

本日(米国時間5月17日)の発表まで、メンバーがLinkedIn上で現在のポジションを明かさないなど、Ottoはレーダーにみつからないよう隠れて活動を行っていたため、背後にいる投資家の情報など謎は尽きない。

(ダジャレのつもりはないが)このままの道を進んでいき、自動化業界の他社がOttoの登場にどのような反応を示すのか楽しみだ。Appleは、「何百人」もの社員を秘密の自動車プロジェクトに割り当てていると言われており、中国の投資家から大量の資金を調達したFaraday Futureの登場、そしてもちろんGoogleの存在もある。Googleのコネを利用して、Ottoとその技術が熟した時に売り抜くのか?他社がOttoの一部を買収するのか?これからのお楽しみだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake