Ubuntuで自分のビジョンを追究したいCanonicalのMark Shuttleworthは買収よりIPOに関心あり

IBMがRed Hatを340億ドルで買収する計画を発表して以来、Red Hatと競合するSuseやCanonicalの今後の行方を云々する声が賑やかになってきた。しかしCanonicalのファウンダーMark Shuttleworthには、同社を売ることへの関心はまったくないようだ。少なくとも、今のところは。

今日ベルリンで行われたOpenStack Summitの会場近くで彼としばらく話をしたが、彼は、“重要なのは独立だ”、と言った。それはまず、彼は個人的にはお金を必要としていない、ということだが、CanonicalとUbuntuに懸けた彼のビジョンを最後までやり遂げたい、という意味でもある。

彼が1999年にThawte Consultingを5億7500万ドルでVerisignに売ったとき、人びとは彼に、死ぬまで休暇か?と尋ねた。そして彼はそのお金の一部を使って二人目の宇宙旅行者になり、慈善団体を立ち上げたが、そっち方面への関心がないことは、明らかだった。

しかし彼によると、売ってもよい状況が一つだけある。それは、彼のCanonicalのビジョンが加速されることだ。

しかし、何にでも価格はあり、そしてShuttleworthがお金を必要としていないとしても、売却は確実に、Canonicalの社員の多くにとって有意義な金銭的報奨になるだろう。

でも、よく知られているように、Shuttleworthの関心はCanonicalのIPOにある。今年の前半に彼は、それはまだ検討中、と述べたが、正しいタイミングというものも必要だ。最近同社は再びエンタープライズにフォーカスし、それとあまり関係のないUbuntu PhoneやUnityデスクトップなどを閉鎖した。結果は好調のようだから、IPOはまだ選択肢の一つとして生きている、と言える。

今週後半にShuttleworthへのもっと本格的なインタビューを予定しているので、お楽しみに。

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分散ストレージCephが独自のオープンソースファウンデーションを設立しLinux Foundationに参加

まだあまり有名ではないオープンソースの分散ストレージCephは、実際にはすでに全世界的に、大規模なコンテナプロジェクトやOpenStackのプロジェクトで利用されている。ユーザーはたとえば、金融のBloombergやFidelity, クラウドサービスプロバイダーのRackspaceやLinode, 通信大手のDeutsche Telekom, 自動車のBMW, ソフトウェアのSAPやSalesforceなどだ。

今日のオープンソースプロジェクトは、その多様な関心を一手に引き受けて処理し管理する管理組織、ファウンデーションが背後にないと、成功を維持し今後の発展を築くことも難しい。そこで当然ながらCephも、自分専用のファウンデーションCeph Foundationを作った。そしてこれまでのオープンソースプロジェクトのファウンデーションの多くに倣い、それをLinux Foundationの下に置いた。

Cephの共作者で、プロジェクトリーダー、そしてRed Hat for CephのチーフアーキテクトでもあるSage Weilはこう述べる: “パブリッククラウドの初期のプロバイダーたちがセルフサービス型のストレージインフラストラクチャを流行(はや)らせ、そしてCephはそれを一般企業や個人、そしていろんなサービスブロバイダーたちに提供している。今では強力で堅固なデベロッパーコミュニティとユーザーコミュニティが育ち、ストレージの分野における未来のイノベーションを推進している。本日のCeph Foundationの立ち上げは、さまざまなオープンソースのコミュニティが協力し合えばデータストレージとデータサービスの爆発的な成長を強力に支えていけることの、証(あかし)になるだろう”。

Cephはすでに多方面で使われているから、ファウンデーションの創設メンバーもすごい顔ぶれだ: Amihan Global, Canonical, CERN, China Mobile, Digital Ocean, Intel, ProphetStor Data Service, OVH Hosting Red Hat, SoftIron, SUSE, Western Digital, XSKY Data Technology, そしてZTEなど。創設メンバーの多くがすでに、非公式団体Ceph Community Advisory Board(顧問団)のメンバーだ。

Linux Foundationの事務局長Jim Zemlinはこう言う: “企業の高い成長率の維持管理を効果的に助け、彼らのデータストレージの需要を拡大してきたことに関して、Cephには長年の成功の実績がある。Linux Foundationの下でCeph Foundationは、より幅広いグループからの投資を活用して、Cephのエコシステムの成功と安定の継続に必要なインフラストラクチャをサポートできるだろう”。

cepha and linux foundation logo

Cephは、OpenStackとコンテナをベースとするプラットホームを構築するベンダーにとって重要なビルディングブロックだ。実はOpenStackのユーザーの2/3がCephをメインで使っており、またCephはRookの中核的な部分でもある。Cloud Native Computing Foundation(CNCF)傘下のRookは、Kubernetesベースのアプリケーションのためのストレージサービスを、より容易に構築できるためのプロジェクトだ。このように、今や多様な世界に対応しているCephだから、ニュートラルな管理機関としてのファウンデーションを持つことは理にかなっている。でも、ぼくの山勘では、OpenStack Foundationもこのプロジェクトをホストしたかったのではないかな。

今日(米国時間11/12)のこの発表のわずか数日前にLinux Foundationは、FacebookのGraphQLのファウンデーションGraphQL Foundationをホストすることを発表した

[↓Facebookのクエリ言語GraphQLが独自のオープンソースファウンデーションを設立(未訳)]

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SAP、オンライン調査のQualtricsを80億ドルで買収へ――SaaS企業買収として最大規模

TechCrunch Disrupt SF 2015に登壇したQualtricsのRyan Smith

今日(米国時間11/12)、SAPはQualtricsを80億ドルのキャッシュで買収することで同社と合意したと発表した。SAPはエンタープライズ・ソフトウェアの世界的有力企業である一方、Qaltricsはオンライン調査サービスとソフトウェアを提供するスタートアップで上場を目前に控えていた。買収手続きは来年、2019年の上半期に完了するものとみられている。Qualtrics の直近のラウンドは2016年に実行され、25億ドルの会社評価額で1億8000万ドルの資金調達に成功している。

SaaS企業の買収としては2016年にOracleが93億ドルでNetsuiteを買収したのに次ぐ第2の規模となる。

電話記者会見でSAPのCEO、Bill McDermottはQualtricsの上場による株式販売はすでに募集枠を上回っており、両者は数ヶ月前から話し合いをしていたという。SAPは「われわれのソフトウェアは世界のソフトウェア・トランザクション収入のシェアの77%に達している。Qualtricsの調査、アンケートのサービスとソフトウェアが加わることで、今後、9000以上の大企業は必要としている顧客満足度や社員の会社に対するエンゲージメントに関する情報を容易に知ることができるようになる」と述べた。

McDermottはまたSAPによる Qualtricsの買収の影響をFacebookのInstagram買収に匹敵するものだとして 「90年代のレガシー・テクノロジーを21世紀まで引きずってきた企業は完敗した。SAPはライバルの既存のマーケットの大きな部分を消滅させた」と強調した。SAPのライバルと考えられている企業はOracle、 Salesforce.com、Microsoft、IBM.だ。

SAPはドイツのヴァルドルフに本拠を置くグローバル企業で、買収に必要なコスト70億ユーロ(79.3億ドル)の資金をすでに確保しているという。これには支払いが必要な社員へのボーナス、買収時点での貸借対照表の負債分などのコストが含まれる。

2002年にQualtricsを共同創業したRyan Smithが買収後もCEOを務める。買収手続きの完了後、同社はSAPのCloud Business Groupに属すが、本社は引き続きアメリカのユタ州プロボとワシントン州シアトルに置かれる。ブランドおよび社員も従来どおり維持される。

われわれのCrunchbaseによれば、QualtricsはAccel、Sequoia、Insight Venturesなどから総額で4億ドルの資金を調達している。.予定されていた株式上場では18ドルから21ドルの範囲を目標として2050万株を売り出す予定だった。CrunchBaseのAlex Wilhelmによれば、新規上場で4億9500万ドル程度を調達できるものと予測されていた。この株価であれば時価総額は39億ドルから45億ドル程度となる。

新規上場申請書によれば.、Qualtricsの収入は今年の第2四半期の9710万ドルから8.5%アップして第3四半期には1億540万ドルとなっていた。第3四半期のGAAPベースの純利益も第2四半期の97万5000ドルから490万ドルにアップしている。前年同期の純利益も470万ドルだった。2018年初頭から9ヶ月のQualtricsの営業キャッシュフローは525万ドルで、前年同期の361万ドルからアップしている。

今日の発表で、Qualtricsは2018年通年の収入は4億ドルを超えるという予想している。これは40%の急成長となるが、SAPの買収によるシナジーの効果は計算に入っていない。

Qualtricsの主たるライバルはSurveyMonkeyで、同社は今年9月に上場を果たしている。

画像:Steve Jennings (opens in a new window) / Getty Images

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滑川海彦@Facebook Google+

データサイエンティストたちのモデルの活用度を高めるGoogle CloudのKubeflowパイプラインとAI Hub

今日(米国時間11/8)Google Cloudが、KubeflowパイプラインとAI Hubを発表した。この二つのツールは、データサイエンティストが、自分の作ったモデルをいろんな組織や企業で共通的に利用できるようにすることが主な目的だ。

Google CloudでAIとML製品を担当しているプロダクトマネージメントのディレクターRajen Shethによると、同社は、データサイエンティストたちが、モデルを作るけどそれが一度も使われない、という経験をしょっちゅうしていることを知っている。Googleによると、機械学習を団体競技にたとえるなら、モデルはデータサイエンティストから、それらを使ってアプリケーションを作るデータエンジニアとデベロッパーにパスされなければならない。

対策としてGoogleが発表したのが、Kubeflowパイプラインだ。それはKubeflowのエクステンションで、KubeflowはKubernetesをベースとするオープンソースの機械学習用フレームワークだ。パイプラインは要するにコンテナ化されたビルディングブロックのことで、機械学習のエコシステムに属する人たちを連係させて機械学習のワークフローを作り、管理する。

そうやってモデルをコンテナに入れたら、その後データサイエンティストは必要に応じてその中のモデルを単純に調整し、継続的デリバリのようなやり方で再ローンチできる。Shethによると、これによって企業内のモデルの利用の可能性がさらに広がる。

“Kubeflowパイプラインはユーザーに、いろんなパイプラインで実験する方法を提供し、信頼性があって再現可能な環境の中で最良の結果を作りだすものはどれか、を決められる”、とShethは、この新しい機械学習機能を発表するブログ記事に書いている。

同じく今日発表されたAI Hubは、その名のとおり、データサイエンティストがそこでいろんなMLコンテンツを見つけられる場所だ。そこには、KubeflowパイプラインやJupyterノートブック、TensorFlowモジュールなどなどがあるだろう。それは一種の公開リポジトリになり、Google Cloud AIやGoogle ResearchなどGoogleのさまざまなチームが素材を提供し、研究開発に関わるGoogleの専門的知識技能をデータサイエンティストが利用できる場になる。

しかしGoogleはこのハブに、公開ライブラリ以上のものを求めている。同社の見方では、そこはチームが自分たちの企業内で情報をプライベートに共有できる場にもなって、二重の目的に奉仕する。これによって、重要なビルディングブロックが中央的なリポジトリで可利用になるから、モデルの利用の拡大に大きく貢献するだろう。

AI Hubは今日からアルファで利用でき、Googleからの初期的コンポーネントの一部や、内部的リソースを共有するためのツールが提供される。そして今後は徐々に、提供物と能力の拡大が定常的に行われる予定だ。

Googleによると、これによってモデルが汎用のビルディングブロックになり、それによりモデルを容易に共有できる方法が提供され、モデルがさまざまに実用される機会が増えるだろう。これらのツールは、それを達成するための第一歩だ。

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自動化ソフトウェアデリバリのためのパッケージマネージャーOrbsをCircleCIがローンチ

DevOpsプラットホームCircleCIが今日(米国時間11/7)、新しいパートナー事業を発表した。それによりこのプラットホームがオープンになり、サードパーティのツールを統合できるようになる。加えて同社は、パッケージマネージャーOrbsをローンチする。同社によるとそれは、“世界で初めての、ソフトウェアデリバリ自動化の構成のため専用のパッケージマネージャだ”。

今年初めに3100万ドルを調達したばかりのCircleCIは、競争の激しい継続的インテグレーションとデリバリの世界に、しっかりと根を下ろしつつある。今日発表されたローンチパートナーは、Cypress, JFrog, Pulumi, Sauce Labs, Sonatype, WhiteSourceなどだ。

そのパートナー事業はしかし、主にOrbsのためのステージになる。Orbsの考え方は、同社のユーザーに、彼らが好むCI/CDの構成を複数のチームやプロジェクトにわたって共有させ、彼らがそのコマンドやエグゼキュータ、ジョブなどを数行のコードで指定できるようにする。それは基本的には、チームがそのビルド/テスト/デプロイのワークフローをさらに自動化して、彼らのソフトウェアパイプラインを構成するためのベストプラクティスを共有する方法だ。新規ユーザーにとってOrbsは、大量の決まりきったコードを書かなくても容易に利用を開始できる。

CircleCIは、同社自身の証明されたOrbsと、パートナーが書いたそれらを提供する。現在あるOrbsは、Heroku用、Amazon S3用、CodeDeploy用など、また、お決まりのSlack通知Orbもある。全部で今日CircleCIがローンチするパッケージは、25ある。

“CircleCIのOrbsはCIの世界で、Dockerのコンテナ以後もっともエキサイティングなシステムだ”、こう語るCypressのエンジニアリング担当VP Gleb Bahmutovは、Orbsのアーリーアクセスカスタマーでコントリビューターでもある。“デベロッパーにとってOrbsは、これまでの‘ドキュメンテーションを読んでサンプルコードをコピペして30分いろいろやってやっとCIが終わる’というやり方に代わる、待望の工程改良だ”、と彼は言っている。

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Cockroach Labsが複数のクラウドにまたがるデータベースCockroachDBのマネージドサービスを開始

Cockroach LabのオープンソースのSQLデータベースCockroachDBは、昨年の立ち上げ以来徐々に伸びているが、しかしオープンソースの技術が成熟して市場により深く浸透するためには、アーリーアダプターを超えたもっと一般的なオーディエンスに採用されていく必要がある。そのために同社は今日(米国時間10/30)、CockroachDBのマネージドサービスを発表した。

このサービスはクラウドを特定しないが、手始めとしてAmazon Web ServicesとGoogle Cloud Platformで利用できる。2015年にローンチしたCockroachはつねに自分を、Oracleや、さらにAmazonのAuroraデータベースなどをも代替する現代的なクラウドデータベースと位置づけている。

CEOのSpencer Kimballによると、それらの先輩データベースたちは、ベンダーロックインが強すぎて彼の趣味ではない。それに対抗するオープンなデータベースとして立ち上げたのが、Cockroachだ。“Cockroachのクラスターは、クラウドAからクラウドBへダウンタイムなしで移行できる”、と彼は言う。

そのような柔軟性は、他のベンダーが提供しているものと比べて、大きなアドバンテージがある、と彼は信じている。そして今日の発表は、そのアドバンテージをさらに大きくする。データベースと関連インフラストラクチャのセットアップや管理という重い仕事を、これからはサービスとしてのCockroachDBが代わってやってくれる。

Kimballの認識では、このやり方により同社の市場も拡大するだろう。“これまでにもOracleやAWS Aurora、Cassandraからのマイグレーションが相当あったが、これからは、それをためらっていたような企業もManaged CockroachDBにより容易にマイグレーションできるから、うちの市場はより快調に大きくなるだろう”、という趣旨をKimballは声明文で述べている。

そのデータベース本体には、自己回復力の強さというアドバンテージもある。いろんな条件下で安定的に動くから、これまでのデータベースに比べて有利だ、という。大きなアップタイムをレプリケーションによって保証し、ひとつのインスタンスがダウンしたら、すぐに身代わりが動き出す。

これまではエンタープライズ向けの商用バージョンが収益源で、それは通常のオープンソース版にないバックアップやサポートなどのサービスを提供していた。しかしこれからは、“Datbase as a Service”の契約会費収入が主な収益源になる。

1年前に同社は、CockroachDBのバージョン1.0をリリースし、シリーズBで2700万ドルを調達した。そのラウンドはRedpoinがリードし、Benchmark, GV, Index Ventures, そしてFirstMarkが参加した。そのお金が有効に使われた結果、今日発表のマネージドサービスが完成したのだ。

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Googleの開発プラットホームFirebaseのサミットがチェコのプラハで開催、エンタープライズ指向を強調

今日(米国時間10/29)プラハで行われたFirebase SummitでGoogleは、そのアプリケーション*開発プラットホームFirebaseのさまざまなアップデートを発表した。それにより同社は、同プラットホームを、個人や小さなチームのための環境であるだけでなく、本格的なエンタープライズ開発ツールにも仕立てようとしている。〔*: 開発プラットホーム; 主にWebアプリケーションとモバイルアプリが対象。参考記事。〕

Googleは4年前にFirebaseを買収して、デベロッパーがそのSDKを使って重要なクラウドツール…データベースやストレージなど…に容易に接続できるようにした。その後同社は、その上に、モニタリングなどの高度な機能を加え、パフォーマンスの問題を解決し、アプリのユーザーのエンゲージメントを知るためのアナリティクスを加えたりしてきた。でも、これまでのそれらツールキットは、必ずしも大企業を視野に入れたものではなかった。

Firebaseのプロダクト担当Francis Maが、こう語る: “今日の発表は主に、モバイルアプリの構築と成長を志向しているエンタープライズと高度なアプリチームのための、機能とアップデートが中心だ”。

たぶん今日の最大のニュースは、企業対象のサポートが加わったことだろう。毎月150万のアプリおよびアプリケーションがFirebase上で作られているというが、しかしエンタープライズに深く入り込むためには、企業のITが問題にぶつかったとき電話できるところが必要だ。そのため同社は年内に、各種のサポートパッケージをベータで発表する予定だ。それらが、さらに幅広いGoogle Cloud Platformのサポートと組み合わさる形になる。

“すでにGCPの有償サポートを受けているユーザーは、そのGoogle Cloud Platform(GCP) Support ConsoleからFirebase関連の質問に答えてもらえる。またGCPのサポートパッケージには、ターゲットのレスポンスタイムや、専用のテクニカルアカウントマネージャー(Enterprise Supportの場合)などが含まれている。Firebaseのサポートに関して、別料金は発生しない”、とMaはGoogle Cloudとの一体性をブログ記事で強調している

また、大きなチームや企業はさまざまな管理ツールを必要とするので、Googleは今日、Firebase Management APIを発表した。これによりIDEからFirebaseへの、プロジェクトのワークフローを、プログラムにより管理できるようになる。Maによると、これにはWebベースのIDE、StackBlitzとGlitchの統合も含まれている。“これらのプラットホームがFirebaseでアプリが作られていることを自動的に検出し、ボタンひとつでそれをFirebase Hostingへデプロイできるようにする。彼らのプラットホームを去る必要はない”、とMaは書いている。

そのほか、5月に発表されたGoogle MLキットの顔認識ツールへのアクセスの改良をはじめ、たくさんの発表があった。パフォーマンスモニタリングツールCrashlyticsが改良されて、PagerDutyの統合が行われた。アナリティクスツールFirebase Predictionsは、ベータを卒業して一般公開された。

これらの発表はすべて、Firebaseプラットホームの成熟を示すと同時に、単なるデベロッパーツールから、エンタープライズも視野に収めたツールへの機能拡張を、はっきりとねらっている。

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IBM、Red Hatを340億ドルで買収へ――ビッグ・ブルー、ハイブリッドクラウドに向けて大きく前進

噂が乱れ飛んでいたこの件だが、今日(米国時間10/28)、 IBMはオープンソースのクラウドソフトウェア企業Red Hatを買収することを確認した。1株190ドルのキャッシュによる買収の総額は340億ドルになる。IBMは「買収はIBM、Red Hat双方の取締役会の承認を受けたが、今後Red Hatの株主と規制当局の承認を受ける必要がある」と述べている。計画どおりに実施されるなら、2019年の下半期には買収が完了するものとみられる。

この買収はこれまで長らくレガシーなサーバービジネスに依存してきたIBMがクラウドに大きく賭けたことを意味する。詳しくいえば、オンプレミスとクラウドをミックスしたハイブリッド・アーキテクチャによるクラウド事業だ。両者はすでに今年5月に協力関係に入ってこの方向を(今から考えれば)テストしていたようだ。 Red HatはIBMのHybrid Cloudチーム(IBMによれば190億ドルの大ビジネスとなっている)の中で重要な地位を占めることになる。また今後もオープンソース・ソフトウェアの開発に集中していくことになるだろう。

IBMの会長、社長、CEOを兼ねるジニ・ロメッティは声明で「Red Hatの買収はゲームチェンジャーだ。これでクラウド・ビジネスのすべてが変わる。IBMは世界でナンバーワンのハイブリッド・クラウドのプロバイダーとなるだろう。多くの企業にビジネスのすべての可能性を解き放つクラウド・ソリューションを提供できる唯一のプロパイダーとなる」と述べた。

IBMとRed Hatの統合により、総合的なクラウド・マネージメントだけでなく、Linux、コンテナ、Kubernetes、マルチ・クラウド・マネージメント、オートメーションなどあらゆる分野にソリューションを提供できるとIBMは述べている。また統合された両者は他の有力なクラウド提供ビジネス、AWS、Microsoft Azure、Google Cloud、 Alibabaなどとも提携関係を強化していくと付け加えた。

TechCrunchのJosh Constine記者がこの記事で指摘しているとおり、340億ドルというのはテクノロジー関連の買収として最大級のものだ。ソフトウェアに限っていえば、おそらナンバーワンの規模だろう(DellはEMCを670億ドルで買収したが、これにはソフトウェアだけでなくかなりのハードウェアとストレージ・ビジネスが含まれていた)。

Amazonはクラウドに100%集中しているものの、多くの大企業は、クラウドへの移行を段階的に進めている。IBMによれば、業務の80%は「依然としてクラウド化されていない。これは現在のクラウドがそれぞれ異なる独自のソリューションであることによる」としている。Red Hatの買収はIBMがこの80%の領域に進出することを助けるという。

ロメッティCEOは「大半の企業ではコンピューティング能力をレンタルしてコストを削減できるクラウド化はまだ20%しか進んでいない。そこで残る80%の業務をクラウド化し、ビジネスの価値と成長の可能性を最大限に活かすことが次の課題となる。これがクラウド化の来るべき章だ。これにはビジネス・アプリケーションをハイブリッド・クラウド化していくことが欠かせない。これによりサプライチェーンからセールスまでビジネスのあらゆる側面からさらに柔軟にデータを抽出、処理することが可能になる」という。

またこれに加えてIBMはRed Hatが築いてきた成果を手に入れたことにより、オープンソース・ソフトの分野でこれまでよりはるかに強力な足場を得た。【略】

IBMではRed Hatの売上、荒利益、フリーキャッシュフローなどの数値を買収手続き完了後12ヶ月以内にIBM本体の統計に加えると述べている。

画像:Craig Warga/Bloomberg / Getty Images

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滑川海彦@Facebook Google+

DropboxがコラボツールPaperにタイムラインを加えてプランニングツールとしても使えるように

Dropboxはその、ドキュメント・コラボレーション・ツールPaperを、2015年の発表以来一貫して、多機能化してきた。今日(米国時間10/25)加わったのはタイムライン機能で、これにより単純なコラボレーションだけでなく、Paperを軽量級のプロジェクトプランニングツールとしても使えるようになる。

Dropboxの顧客は前から、Paperに計画立案機能がほしい、と要望を寄せていた。この新しい機能を発表する同社のブログ記事は、こう述べている: “プランニングには、さまざまな可動部品を調整する面倒な作業があります。今回Dropbox Paperでは、新しいタイムライン機能により、その苦痛を取り除きます”。

そういうツールに誰もが期待するように、タイムラインを作ってその上にマイルストーン(スケジュール項目)を置いていくが、土台がPaperなので各マイルストーンをチームメンバーに割り当てることができる。いろんな情報のノートも付記できるが、それには関連ドキュメントのリンクがあってもよい。

タスクを割り当てられた人のためのトゥドゥリストをタイムラインに埋め込んで、その仕事の無事完了を補佐できる。それが、プロジェクトを割り当てられた全員のための単一のアクセスポイントになる。

Gif画像提供: Dropbox

発表のブログ記事にはこうある: “トゥドゥや@mentionや締め切り(予定日)などによってチームメンバーはお互いが容易にプロジェクトを調整できる。しかも、この一歩進んだタイムライン機能では、チームメンバーの誰もが、いつ・何が・誰の担当で起きるかということを、明確に視覚化できる”。

Dropboxが最近理解しているのは、ストレージツールが単なるストレージツールでは仕事の役に立たない、ということだ。だからコラボレーションやコーディネーションに手を広げて行かざるをえない。Dropbox Paperは、まさにそのためにある。タイムラインが加わると、その多機能化がまた一歩前進する。

Constellation Researchで“仕事の未来”を研究しているAlan LepofskyはPaperについて、コラボレーションツールの変化の兆候、と言う: “こういう新種のコンテンツクリエーションツールは、いわばデジタルのキャンバスのようなものだ。複数のソースからのコンテンツを統合する作業を、単純化してくれる。ワードプロセッサの進化形、と言えるかもしれない”。

プロジェクトマネージャーのもっと完全なプランニングツールを今日明日にもリプレースするわけではないが、少なくとも、Dropboxのユーザーがそこに保存したコンテンツからさらなる価値を作り出せるためのツール、とは言えるだろう。

画像クレジット: Dropbox

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Alexa for Businessをサードパーティのデバイスメーカーが自社製品に利用できる

昨年Amazonは、‘企業用のAlexa’、Alexa for Businessを発表した。Amazonの音声アシスタントの技術を、企業がEchoなどのデバイスで利用できるためのシステムだ。そして今日(米国時間10/24)同社は、そのプラットホームを大きくアップグレードして、デバイスのメーカーが独自の企業用Alexaデバイスを作れるようにした。

Amazonによるとそれは、Alexa for Businessをすでに利用している企業からのフィードバックに応えての変化だ。同社によると、今すでに数千もの企業がAmazon Echoをオフィス器具の仲間に加えている。有名企業としては、Express Trucking, Fender, Propel Insuranceなどが挙げられる。

でも彼らによると、既存のデバイスにAlexaを組み込めた方が、管理すべき備品が増えなくてよい、ということだ。

これからは、デバイスメーカーが自由に、Alexa for Businessに登録でき、全社的に共有できるデバイスを作れる。そのためには、Alexa Voice Service(AVS) SDKを使用する。

デバイスの管理機能としては、各種の構成(使用する部屋、場所、デバイスの健康監視など)のほかに、スキルをパブリックかプライベートかのどちらかに指定できる。

もちろん企業が独自のスキルを作ることもできる。たとえば、社員名簿やSalesforceのデータを音声で検索する、企業独自のカレンダー情報を作る、など。

Amazonが最近Alexa for Businessに加えた機能としては、会議室の予約がある。

Amazonは現在すでにPlantronics, iHome, BlackBerryなどと協働して彼らのデバイスにAlexaを組み込もうとしている。また、LinkplayやExtronのようなソリューションプロバイダーとも協働している。Citrixも、AfBの統合に着手した。

Plantronicsの提携マーケティング担当VP Laura Marxが、同社のAlexa内蔵製品に関する声明の中でこう述べている: “Alexa for Businessはそのローンチの時点から利用しており、既存のビデオ会議デバイスPolycomとEchoデバイスをペアにしている。そういう体験をEchoデバイスを使わずにPolycom Trioなどの製品に組み込めれば、ユーザーにとってとても便利で使いやすい製品になるだろう”。

Plantronicsは今年の初めにAlexa体験を顧客に提供し、iHomeは既存のデバイスiAVS16にAlexaを内蔵させた。しかし両社とも、これまではAlexa for Businessを組み込んだ製品の発表はなかった。

Alexaの企業分野への進出が吉か凶か、まだそれを言うのは早すぎる。Echoデバイスは確かに、音楽をかける、ニュースや情報を知る、キッチンタイマーをセットする、ショッピングリストを作る、などなど消費者指向の目的で多く使われるようになっている。しかしAmazonがEchoスピーカーやそのほかのAlexa内蔵ビジネス器具で企業にも浸透できたら、同社の音声製品の市場は一挙に拡大し、スマートホームよりも大きな利益を得ることができるだろう。

Alexaを職場に持ち込むのはだめだ、という意見もある。某ハッカーの説では、デバイスが産業スパイに利用される、という。また、企業秘密のある企業は“聴く能力のあるデバイス”をオフィスに置くべきではない、とも。

それでもAmazonは前進する。この前はMicrosoftのCortanaさえも統合して、Cortanaが持つMicrosoft Office的な機能…カレンダーの管理、その日の予定、顧客からのメール通知…などをAlexaから利用できるようにした。

Alexa for BusinessはAVS Device SDKのエクステンションとして提供され、バージョン1.10をGitHubからダウンロードできる。

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Cloudflareが来年$3.5BでIPOするようだ…近年はセキュリティスタートアップの稼ぎどき

Webサイトのパフォーマンスアップとセキュリティサービスを提供するCloudflareが、35億ドル以上という予想評価額でIPOを準備中のようだ。ロイターの記事によると、IPOの実行は2019年の前半を予定、幹事会社はGoldman Sachsだ。

今年は、セキュリティとプライバシーへの関心と需要の高まりにより、サイバーセキュリティ企業のIPOに最適の年と言われた。もう一社、IPOを準備していると言われるサイバーセキュリティのスタートアップがCrowdStrikeだ。同社は、同じくロイターによると、今年初めに30億ドルの評価額で2億ドルを調達した。CrowdStrikeも、IPOはGoldman Sachsが仕切るようだ。

Lee HollowayとMatthew Prince, そしてMichelle Zatlynが創業したCloudflareは、2010年のTechCrunch Disruptでローンチした〔創業は2009〕。Crunchbaseによると、その後同社は総額1億8210万ドルをNEA, Union Square Capital, Baidu, Microsoft, Qualcomm, およびcapitalG(Alphabetの投資ファンドで旧名Google Capital)などから調達した。最前の資金調達はシリーズDの1億1000万ドルで、それは2015年9月に発表され、Fidelity Investmentsがリードした。

CloudflareのサービスはWebサイトのロードを速くし、セキュリティの事故を防ぐ。同社のWebサイトによると、同社のデータセンターは現在154あまりあり、1000万あまりのドメインにサービスを提供している。同社は、“ひとりのインターネットユーザーが一週間平均でわが社のサービスに500回以上触れている”、と豪語している。

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使い慣れたプログラミング言語を使ってクラウドのインフラストラクチャを管理できるPulumiが商用バージョンを開始

シアトルのPulumiを使ってデベロッパーは、自分が知っているプログラミング言語を使ってクラウドインフラストラクチャを指定しそれを管理できる。同社は今日(米国時間10/22)、Madrona Venture GroupがリードするシリーズAのラウンドで1500万ドルを調達したことを発表した。Tola Capitalがこのラウンドに参加し、同社のマネージングディレクターSheila GulatiがPulumiの取締役会に加わる。Madronaからはすでに、元Microsoftの役員でMadronaのマネージングディレクターS. SomasegarがPulumiの取締役会に加わっている。

資金調達の発表に加えてPulumiは今日、その商用プラットホームをローンチした。それは、同社のオープンソース製品をベースとするものだ。

Pulumiの協同ファウンダーでCEOのEric Rudderはこう語る: “これまでは企業とコミュニティの両方からの関心がどちらも大きくて、彼らから大量のオープンソースのコントリビューションが寄せられている。たとえばVMwareとOpenStackのサポートは、コミュニティの尽力によるものだ。だからうちでは、オープンソースのコミュニティの活力が大きいが、それと同時に、商用化への関心も大きかった。つまり企業のチームはPulumiの運用面の充実を求めており、それを彼らのプロダクションに入れることと、プロダクトとして購入できることを要望していた”。

そこで、その機会に応えるべく同社は、チームとプロダクトの両方に底入れするために、新たな資金調達を決意した。そして今では、そのプロダクトには商用バージョンの‘team edition.’(チームエディション)が含まれ、この新しいエンタープライスバージョンには、ユーザー数を限定しないサポートと、サードパーティツール(GitHub、Slackなど)の統合、ロールベース(役割に基づく)のアクセスコントロールとオンボーディング(研修など)、そして12×5のサポート(月-金、昼間のみ)が含まれる。無料でシングルユーザーのコミュニティエディションと同様、このチームエディションもSaaSプロダクトとして提供され、すべてのメジャーなパブリックおよびプライベートクラウドプラットホームへのデプロイをサポートする。

Pulumiへの投資の動機を聞くとTolaのGulatiはこう答えた: “クラウドは今や規定の結論だ。でもエンタープライズがクラウドへ行こうとすると、厄介な問題を多く抱える。しかも、今のエンタープライズは、仮想マシンとコンテナとサーバーレスのすべてを理解し使いこなせねばならない。しかもそれを、1)単一のツールセットで、2)実際のプログラミング言語を使って、3)今日的な最新のスキルを使い、そして4)企業にとってもっとも有効にクラウドを利用しなければならない。率直に言ってPulumiは、このような複雑な課題と、それらをめぐるデベロッパーとITの現実によく応えている。デベロッパーとITは、ランタイムとデプロイの両側面から良好な関係を築かなければならない。それを助けるプラットホームとしては、私の知る限りPulumiがベストだ”。

オープンソースのツールは、今後も開発を続ける。また、コミュニティの構築にも厚く投資していく。同社によると、Pulumiにはすでにこれまでも相当な勢いがついていたが、新たな資金によりその努力を従来の倍にできる。

新たな資金により、オンボーディングのプロセスを容易にし、それを完全なセルフサービス型にしたい。でもそれをすべて企業任せにすることはできないから、Pulumiとしては売る前と売った後のお世話も充実させる必要がある。今現在は、この段階のスタートアップの多くがそうであるように、同社の社員はほぼ全員がエンジニアだ。だから営業の充実が、当面の優先課題になる。

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自閉症の人たちに彼らの適職である細かいデータ管理の仕事を提供するDaivergent

優れたスタートアップは通常、個人的な場所で生まれる。Byran DaiのDaivergentも、そうだ。

2017年12月に創業されたDaivergentは、同社の顧客である企業を自閉症スペクトラム障害の人びとに結びつけて、AIやMLにおけるデータ管理の仕事を手伝わせる。

Daiの弟のBrandonが、自閉症スペクトラム障害だ。Daiは、自分の弟などこの障害の人たちが、細部への高度な注意力を必要とする、ある種のとても複雑な仕事に向いていることを知っている。たとえばそれは、データ入力やデータの補正、製品の品質検査、データの検査、コンテンツの適正化、などの仕事だ。

誰もかれもがAIや機械学習のアルゴリズム使っている昨今では、データを組織化する(まとめる)ことが最優先事項だ。Daivergentは、同社がデータのスペシャリストたちの完璧なプールを作って、この分野のどんな仕事でも完了させることができる、と確信している。

Daivergentは、AHRCやAutism Speaksなど、さまざまな団体とパートナーして、人材を確保している。それらの人びとを篩(ふるい)にかけて、その種の仕事を最後までできる人たちを拾い上げる。そしてその人たちはDaivergentの契約職員になり、本格的な教育訓練を受け、そしていろんなプロジェクトで仕事を開始する。

同社によると、アメリカでは250万人の成人が自閉症で、Autism Speaksの報告書によると、大学教育を受けた自閉症者の失業率は85%だ。

Daivergentは、これらの人びとが労働力の一員になる方法を提供するだけでなく、団体や企業が海外の契約労働者を雇用しがちな部分で、あえてアメリカの労働者を採用する方法を提供している。

新しい仕事がDaivergentに入ってくると、同社はそのプロジェクトを小さなタスクに分割してそれらを同社の労働者に割り当てる。同社はまた、プロジェクトの全体的な複雑さを判断し、仕事の緊急性も考慮して、料金を決める。

Daivergentは小額なマージンを取り、残りを労働者に渡す。

現在Daivergentには、実動労働者が25名いて、顧客のための仕事を行っている。登録労働者は150名おり、彼らは今、資格や免許を取得する段階だ。そして候補者プールには、さらに400名の自閉症者がいる。

同社は最近、アクセラレーターERAを卒業した。

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GitHubからワークフロー自動化ツール、Actions登場――独自サービス提供の第一弾

最近Microsoft傘下に入ったGitHubは長らくオープンソースのコード共有と保管のためのサービスと考えられてきた。今日(米国時間10/16)、同社はGitHub Actionsを発表し、独自のサービスを開発、提供する路線の第一歩を踏み出した。 デベロッパーはActionsを利用することで、単にこのプラットフォームにコードを保存したり同僚と共有したりするだけでなく、実行することが可能になる。

これはAWSのライバルとなるようなクラウドというより、IFTTTに近いがもっとフレキシブルなサービスだ。Actionsはワークフローそのものを自動化して効率化を図りたいデベロッパーのニーズに応えるものだ。

これはGitHubの事業にとって重要な転換点だ。事実、GitHubのプラットフォーム責任者、Sam Lambertは私の取材に対して「GitHubの歴史上最大のシフトだ」と答えた。LambertはこのサービスをiOSのショートカットに例えた。ただしはるかに多機能で強力だという。「ショートカット・アプリと似ているが比べものにならないくらいフレキシブルなサービスがGitHubにホスティングされ、誰でもこのコンテナの中で自由にパーツを組み合わせて効率的な独自のワークフローが作成できるところを想像して欲しい」とLambertは述べた。

GitHubのユーザーはActionsを使って 継続的デリバリー・システムを構築できる。GitHubでは多くのユーザーがActionsによるパイプラインを作るだろうと期待している。実際ユーザーもこのプロジェクトについて聞いたときそう思ったに違いない。今日のGitHubの発表によれば、Actionsは「ソフトウェアのビルド、パッケージ、リリース、デプロイ、アップデートという一連の流れを大きく効率化する。またどんなプログラミング言語にも対応する。GitHub上で開発された場合でもと外部のシステムの場合でも、コードを自分では実行する必要はない」という。しかしこれはほんの手始めに過ぎない。Lambertはこう強調している。

継続的インテグレーションと継続的デリバリー(CI/CD)はActionsのユースケースのほんの一部だ。たしかにその面で役立つが、Actionsはそれ以上のものだ。これはDevOps全体に革命を起こすものだとと思う。なぜならActionsを用いることでこの種のものとして最高のアプリケーション、フレームワークのデプロイメントのサイクルを構築できるからだ。ActionsはGitHubでプロジェクトを共有する場合のデファクト・スタンダードになるだろう[…]オープンソースで実行していたすべてができる。DevOps方式の開発ワークフロー・エコシステムのすべての部分に適用できる。

つまり、誰かがリポジトリで「緊急」というタグを使った場合、Twilioを使ってメッセージを送信するという仕組みを作ることができる。レポジトリを検索する一行のコードを書いてgrepコマンドで実行することもできる。その他どんなコードでもいい。レポジトリ内のコードをActionに変換するためにはそのためのDockerfileを書いてGitHubで実行できるようにしさえすればいいからだ。 Lambertによれば「Dockerファイルさえあれば、Actionsでビルドし、実行し、ワークフローに組み込むことができる」という。Dockerfileを使いたくない場合はワークフローをビルドするためのビジュアル・エディタも用意される。

GitHubのプロダクト・エンジニアリングの責任者、Corey Wilkersonによれば、Actionsはすでに多くのGitHubレポジトリで利用されているという。 Actionsは現在はまだベータ版で限定的公開だが、GitHubには9600万のプロジェクトがあるのですぐにたいへんな数のActionsが生まれるだろう。【略】

将来は(Lambertはそうなることを期待しているが)多くのGitHubユーザーがActionsで作成したワークフローをGitHubのマーケットプレイスで販売することになるかもしれない。現在はまだ可能ではないものの、GitHubはこのオプションの可能性を真剣に検討している。Lambertは「エンタープライズ向けツールを開発、販売する(これはSales Forceがやっている)予定がないデベロッパーもActionsによるワークフローの販売でマネタイズができるようになるはずだ」と考えている。

GitHubはデベロッパーに対してActionsを順次公開していく予定だ。デベロッパーはこちらからActionsに登録できる。【略】

GitHubではまたLearning LabでデベロッパーがGitHubを学習するのを助けるための新しいコースを3種類リリースした。また大規模な企業向けのプライベートなLearning Labも用意されている。

GitHub Enterpriseのユーザーにとってもっとも興味深いのは、管理者が個々のプログラマーの公開プロフィールに開発したプロジェクトを表示できるようになったことかもしれない。デベロッパーのコミュニティーではGitHubが事実上、履歴書として機能していることを考えると、このオプションが与える影響は大きい。

その他の発表はセキュリティーの強化に関するものが中心だった。たとえばGitHub Security Advisory APIはコードをスキャンしデベロッパーが脆弱性を発見することを容易にする。またJavaと .NETのプロジェクトには新たな脆弱性のアラート機能も追加された。 【略】

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滑川海彦@Facebook Google+

TwilioがメールのAPIを提供しているSendGridを$2Bで買収、オムニチャネルサービスの充実のためか

今や至るところで使われている通信プラットホームTwilioが今日(米国時間10/15)、メールのAPIを提供しているSendGridを、約20億ドルの株式取引で買収する、と発表した。これはTwilioのこれまでで最大の買収だが、どちらも業務の中心がデベロッパーにとって使いやすい通信プラットホーム(主にAPIの提供)の構築である、という点では共通している。

Twilioの協同ファウンダーJeff Lawsonが、今日の発表声明で述べている: “両社は同じビジョンと、ビジネスモデルと、同じ価値を共有している。デベロッパー向け通信プラットホームの二つのトップ企業がこうやって合体することは、一生に一度の機会であり、これにより、顧客のエンゲージメントの変革を志向しているすべての企業にとって、迷いなく選べるプラットホームが作られることになる”。

SendGridはTwilioの完全子会社になり、その普通株はTwilioの株式に変換される。両社は買収の完了を2019年の前半と見ており、それまでに当局の承認も得られると思われる。

Twilioの現在のフォーカスはオムニチャネルの通信にあり、言うまでもなくメールはその重要な要素のひとつだ。すでに同社は音声やビデオ、チャットなどでは豊富なサービスを提供しているが、これまではなぜか、メールが欠けていた。今回の買収で同社はいきなり、この分野の専門技術をデベロッパーに提供できることになり、サービスの種類が拡大される。

SendGridは、2017年に上場した。そのときの株価は、16ドルだった。今日では、買収の発表の前の時点で31ドル弱だったが、当然ながら発表と同時に急上昇した。それでも先月の36.5ドルより低いが、ご存知のように今株式市場は全体的に軟調である。

この発表は、Twilioの例年のデベロッパーカンファレンス(10/17-18)の直前に行われた。そのときには、SendGridについて詳しい話が聞けるのではないか。

本誌も今Twilioに詳しい情報を求めているので、何か得られ次第この記事をアップデートしよう。

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企業のクラウド化を助けるServiceNowが自然言語検索のFriendlyDataを買収、データ駆動の裾野を広げる

企業のクラウドサービスの導入や管理を助けるServiceNowが今日(米国時間10/10)、FriendlyDataの買収を発表した。これにより同社のNowプラットホーム上のアプリケーションが、自然言語による検索をできるようになる。2016年に創業されたFriendlyDataの自然言語クエリ(natural language query, NLQ)技術により、企業顧客は、専門用語を知らないユーザーでも技術的な質問ができる検索ツールを、作れるようになる。

FriendlyDataのNLQ技術は、ユーザーが何を言おうとしているのかを推察し、答をテキストや、分かりやすい視覚化データで提供する。ServiceNowによると、同社はFriendlyDataの技術をNow Platformに統合して、そのサービスメニューの充実を図る。同プラットホーム上には今、企業のITや人事、セキュリティ、カスタマーサービスの管理、などのアプリケーションがある。FriendlyDataの技術は、デベロッパー用のプロダクトや、ServiceNowのパートナーからも利用できるようにする。

ServiceNowのdevops担当SVP Pat Caseyが、声明で述べている: “ServiceNowはNow PlatformにNLQを導入して、企業が技術的質問を日常的な英語でできて、答をすぐにもらえるようにする。これによって誰もがデータに基づく意思決定をできるようになり、生産性の向上と企業のより速い成長に資することができる”。

ServiceNowはこれまでも、さまざまなAIツールで企業顧客におけるサポート業務の円滑化を図ってきた。FriendlyDataの買収も、その一環だ。たとえば同社は5月に、チャットボット構築ツールVirtual Agentを立ち上げたが、これによって同社の企業顧客は、SlackやMicrosoft Teamsのようなツールを内製でき、機械器具の購買リクエストなど、ルーチンのインクワイアリを自動的に処理できるようになる。同じ時期に同社は、チャットボットにNLP(自然言語処理)を導入しているParloを買収した

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Google CloudがCloud NAT、Firewall Rules Loggingなどネットワーキング機能を充実

今日(米国時間10/10)は、ロンドンでNextイベントを開催しているGoogle Cloudからのニュースで、忙しい日だった。このイベントで同社は、いくつかの新しいネットワーキング機能をローンチした。それらの中でも今日の主役はCloud NAT、これによりデベロッパーは、一般的に公開されるIPアドレスがなくて、企業の仮想プライベートクラウドの中にあるアプリケーションからのみアクセスできる、クラウドベースのサービスを容易に構築できる。

Googleも言うように、このようなセットアップは前から可能だったが、しかし容易ではなかった。でも、よくあるユースケースなのでGoogleは、Cloud NATにより、ネットワークアドレス翻訳(network address translation, NAT)のすべてを取り扱う完全に管理されたサービスを提供することになった。そしてCloud NATのゲートウェイの背後にあるプライベートなインスタンスへのアクセスを、デベロッパーに提供する。

Cloud NATはGoogle Compute Engineの仮想マシンと、Google Kubernetes Engineのコンテナをサポートし、デベロッパーが手作業でIPを指定できるマニュアルモードと、IPが自動的に割り当てられるオートマチックモードの両方を提供する。

今日は新たに、Firewall Rules Loggingがベータでリリースされた。アドミンはこの機能を利用してファイヤーウォールのルールの効果を監査し確認できる。たとえば、ファイヤーウォールがブロックする接続の試みが何度も繰り返されるときには、それらを分析して、誰かが良からぬことをしようとしているのか、それともファイヤーウォールの構成ミスかを判断できる。データの遅れは5秒程度なので、ほとんどリアルタイムに近い点検が可能だ。また、これをほかのサービス、Stackdriver Logging, Cloud Pub/Sub, BigQueryなどと統合してアラートやデータ分析もできる。

さらに今日の発表の中には、HTTPSロードバランサー用に証明を提供するマネージドTLSがある。これは、ロードバランサーを使っているときのTLS証明の管理に伴う煩雑さを解消することが目的で、これによりエンドユーザーのブラウザーがデベロッパーのアプリケーションに安全に接続できるようになる。この機能も、現在はベータだ。

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Cloud FoundryがKubernetesへのサポートを拡大

比較的最近まで、Cloud Foundry財団はCloud Foundryが全てだった。Cloud Foundryとは、今ではFortune 500企業の大部分で利用されているオープンソースのPaaS(サービスとしてのプラットフォーム)プロジェクトである。このプロジェクトは、Cloud Foundry Application Runtimeという名のものだ。1年前、財団はCloud Foundry Container Runtimeというものも発表した。これは企業たちが、Application Platformと自分たちのコンテナベースのアプリケーションを同時に運用することを助けるための仕掛けだ。さらに、Cloud Foundryはクラウドアプリケーションの構築、展開、および管理のためのツールであるBOSHを支えてきた長い歴史を持っている。

1年前のContainer Runtimeの追加は、組織のミッションを少々混乱させるもののように見えたが、そうした混乱も今は落ち着いて、その意図はより明確になり始めている。Cloud FoundryのCTOであるChip Childnerが語ったように、企業がContainer Runtimeを利用する最大の目的は、それぞれのベンダーから調達したパッケージ済のアプリケーションを実行するためだ。「Container RuntimeやあらゆるKubernetesによるデプロイメントを、App Runtimeと並列に、あるいは組合せて利用することが、独立ソフトウェアベンダーからパッケージソフトウェアを導入する際に多く行われていることです」と彼は私に言った。「コンテナは新しいCD-ROMなのです、利用者はそれを優れたオーケストレーションプラットフォームに載せたいだけです」。

Application RuntimeはKubernetesが登場するよりも前に始まっていたものなので、Cloud FoundryプロジェクトはDiegoという独自のコンテナサービスを構築していた。

本日(米国時間10月9日)、Cloud Foundry財団は、両者の統合を新しいレベルに進めるために、2つの新しいKubernetes関連プロジェクトを立ち上げた。1つ目はProject Eiriniである。これはIBMによって立ち上げられ、現在はSuseとSAPによっても作業が行われている。このプロジェクトは開発に長い時間を費やしているが、コミュニティが期待を続けているものである。これは基本的に、開発者たちがApplication Runtimeのために書かれたアプリケーションをデプロイする際に、既存のDiegoオーケストレイターとKubernetesの間で選択ができるようにするものだ。それはCloud Foundryにとって大きな変化だ。

「Eiriniが行うことは、Cloud Foundry Application Runtime(Cloud Foundryブランドが緊密に結びついているコアPaaS体験)に対して、それを支えるDiegoスケジューラーを、代替可能な場合にはKubernetesで置き換えるというオプションを与えることなのです」とChildersは説明する。彼は、Diegoコンテナ管理システムの方がKubernetesよりも適しているユースケースがまだあると付け加えた。そのうちの1つは、Windowsに対するサポートが優れていることだ。Cloud Foundryを使用する企業にとってはかなり重要な点だ。Childersはまた、Kubernetesのマルチテナントへの保証は、Diegoのものよりも若干厳密さが足りないとも指摘した。

2番目の新しいプロジェクトは、最初Suseによって開発されたContainerizedCFである。その名前が示唆するように、ContainerizedCFは基本的に、Cloud Foundry Application Runtimeのコアをパッケージ化し、BOSHデプロイメントツールの助けを借りてKubernetesクラスターにデプロイすることを可能にする。これは、Suseが既にCloud Foundryディストリビューションを出荷するために使用しているものとほとんど同じものだ。

明らかに近い将来、Kubernetesは、Cloud Foundry PaaSサービスがその上に載り、開発者たちがそのために書いたアプリケーションをデプロイするために使うものの、一部を占めるようになる。一見しただけでは、このKubernetesへの集中は、Cloud Foundry自身を無駄なものにしてしまうように思えるかもしれない。しかしそのコア体験としてのCloud Foundry Application Runtimeは、インフラストラクチャだけではなく、アプリケーション開発の全ライフサイクルを管理することを目指した開発者体験と方法論であることは覚えておく価値があるだろう。Kubernetesを使用してインフラストラクチャの管理を支援することができれば、Cloud Foundryプロジェクトは最も得意とする部分に集中することができるのだ。

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(翻訳:sako)

写真: Kittikorn / Getty Images

GitHubがJira Software Cloudの統合を改良、パフォーマンスとユーザー体験をアップ

AtlassianのJiraは、多くの企業で、大きなソフトウェアプロジェクトを管理するためのスタンダードになっている。しかしそれらの企業の多くがソースコードのリポジトリとしてはGitHubを利用しており、JiraとGitHubを統合する公式な方法も、かなり前からある。しかしその古いやり方は、遅くて、能力も限られ、今多くの企業がGitHubで管理しているような大きなコードベースを扱うには、向いていないことが多かった。

しかしMicrosoftに買収されたあとでもGitHubは、オープンソースのエコシステムにコミットしていることを証明するかのように、今日(米国時間10/4)同社は、二つの製品の改良された統合を発表した。

GitHubのエコシステムエンジニアリング担当ディレクターKyle Daigleは、こう語る: “Jiraに関してAtlassianと協働することは、われわれにとってきわめて重要だった。われわれの顧客であるデベロッパーには、彼らが使っているこのオープンなプラットホーム〔GitHub〕から最良の体験を確実に得てほしいからだ。彼らが今、ほかにどんなツールを使っていようともね”。

そこで二か月前にGitHubのチームは、Jiraとの独自の統合を、完全にゼロから再構築することに決めた。そして今後は、それをメンテナンスし改良していくことにした。Daigleが言ってるように、改良の重点はパフォーマンスとユーザー体験の向上に置かれた。

この新しい統合により、JiraのIssue(課題)に結びついているすべてのプルリクエストやコミット、ブランチなどをGitHubから容易に見ることができる。GitHubからの情報に基づいてIssuesを検索できる。そしてまた、開発ワークのステータスをJiraの中でも見ることができる。GitHubで行った変更がJiraのアップデートもトリガーするので、そのデータはどんなときでもアップツーデートに保たれる。

いわゆるJira DVCSコネクターを利用するJiraとの古い統合は非推奨になり、GitHubは、数週間以内にアップグレードするよう、既存のユーザーへの告知を開始する。新しい統合はGitHubのアプリケーションなので、このプラットホームのセキュリティ機能をすべて装備している。

画像クレジット: TechCrunch

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

各クラウド企業がペンタゴンの100億ドルJEDIクラウド契約に持ち込もうとしているもの

ペンタゴンは100億ドル規模のエンタープライズクラウドプロジェクトである JEDI(Joint Enterprise Defense Infrastructure:ジェダイ)の勝者を選ぶことで、該当クラウドベンダー1社だけを極めてハッピーにしようとしている。この契約は、Internet of Things(IoT)、人工知能およびビッグデータのような、現在の動向の利用を始めながら、今後10年の軍用クラウド技術戦略を確立するようにデザインされている。

10年以上にわたって使われる100億ドルという金額は、もうすぐ年額1000億ドルを超えることが期待されている市場を完全に変えてしまうことはないだろう。しかし、このプロジェクトはより小さなベンダーに対してもより大きなプレゼンスを与え、他の政府機関や民間部門へ深く入り込むことを可能にするだろう。クラウド企業たちはもちろんそれを認識している

写真:Glowimages/Getty Images

このことが、ベンダーたちが徒党を組んで、契約の流れを変えさせようとしていることを説明してくれる。おそらく正しい主張だが、彼らはマルチベンダーアプローチの方が合理的だと主張している。

提案依頼書(RFP)を眺めてみると、セキュリティからトレーニングに至るまでの様々な仕様を、勝者である1社に要求する、沢山のドキュメントがあることがわかる。このことからこの提案が如何に複雑なものであるかが理解できる。その中心は、機密扱いならびにそれ以外の、インフラストラクチャ、プラットフォームおよびサポートサービスのパッケージである。この記事で取り上げる主なクラウドベンダーはいずれも、これらのサービスを提供している。彼らはみな特異な存在ではないが、それぞれはこうしたプロジェクトに関係した、異なるスキルセットと経験を持っている。

ここでは技術的な先進性だけが問われているわけではないことに注意することが大切だ。DOD(国防総省)はまた、価格も注意深く見ており、各コンポーネントに適用可能な特定の割引を明示的に求めている。RFPの受付は10月12日に終了し、勝者は来年4月に選択される予定である。

Amazon

Amazonについて何を語れば良いだろう?彼らは、圧倒的に支配的なクラウドインフラベンダーだ。彼らは2013年にCIAのプライベートクラウドを構築していて、過去に大規模な政府契約を獲得したという意味で有利な立場である。そのときにはその労力の対価として6億ドルを受け取っている。Amazonが提供するのは、機密データをホストするために設計されたこのプロジェクトの成果から生まれたGovCloudという製品だ。

Amazon.comの会長兼創業者、Jeff Bezos写真:Drew Angerer/Getty Images

他のベンダーの多くは、このことがこの取引で、Amazonを有利にしているのではないかと心配している。5年は特に技術面では長い期間だが、それにも増して、Amazonはその間に市場の支配を強化した。 なんと言っても、他のプレイヤーのほとんどは2013年の段階ではクラウドビジネスに確立に向けて動き始めたばかりだったのだ。2006年にクラウドを開始したAmazonは、他のベンダーたちが欠いていて、いまだに開発途上である成熟度を持っている。また毎年のように沢山の機能を投入している。このことによって、Amazonはますます競争するのが難しい相手となるだけでなく、正しいゲームを行うことのできる最大のプレーヤーにもなっている。

Microsoft

も誰かがAmazonに追いつけるとすれば、それはMicrosoftである。彼らはクラウドに対して遅れをとっていたが、過去数年の間にそれを補って余りあるものを成し遂げた。彼らは急速に成長しているが、純粋な市場シェアの点という点では、まだAmazonよりも遥かに遅れている。それでも彼らはペンタゴンに対して、彼らのクラウドプラットフォームであるAzureと、Word、PowerPoint、Excel、Outlookの電子メールを含む人気のあるビジネススイートであるOffice 365の組み合わせを、多数提供している。さらにDODとの間に、Windowsおよび関連ハードウェアのために、2016年には9億ドルもの大きな契約を締結している。

Microsoft CEO, Satya Nadella。 写真;David Paul Morris/Bloomberg via Getty Images

Azure Stackは、軍事シナリオに特に適している。それはAzureパブリッククラウドの、ミニプライベートバージョンを提供するプライベートクラウドなのだ。これはAzureのパブリッククラウドと、APIやツールの点で完全に互換性がある。さらに同社は、DODレベル5を含み、米国政府の各部署の多​​くで利用が認定されているAzure Government Cloudも所有している。Microsoftは、長年に渡って大企業や政府のクライアントの中で多くの経験を積んでいるため、このような大規模な契約をどのように管理すれば良いかを知っている。

Google

クラウドについて語る時には、私たちはビッグスリーについて考える傾向がある。グループの3番目のメンバーはGoogleである。彼らは、2015年にDiane Greeneを雇用して、クラウドユニットを組織化し企業からの信用を得ることを通して、エンタープライズクラウドビジネスを確立するために熱心に取り組んできた。市場における彼らのシェアは比較的小さいが、広げるべき市場がまだ広大に残されていることを睨みつつ、彼らは長期的な視野を語っている。

Google Cloudの責任者であるDiane Greene 写真:TechCrunch

彼らは社内で使用していた多くのツールをオープンソース化するアプローチを採用し、同じサービスのクラウドバージョンを提供した上で、彼ら以上に大規模なサービス運用をうまく行う会社はいないと主張している。彼らの主張には理があり、それはこの契約に対して有利に働くかもしれないが、一方彼らは、従業員グループの反対によって、Project Mavenと呼ばれるDODとの人工知能契約から離れたという経緯もある。それがここでの入札プロセスで、彼らに不利に働くか否かは明らかではない。

IBM

IBM は2013年にSoftlayerを買収して以来、広範なクラウドサービスのプラットフォームを構築し、インフラサービスを提供してきた。一方、何年もかけてソフトウェアと開発ツールを加えている。そしてAI、ビッグデータ、セキュリティ、ブロックチェーンその他のサービスに注力してきた。その間にも、人工知能エンジンであるWatsonを最大限に活用しようとしてきた。

IBMの会長、社長、そしてCEOであるGinni Romett 写真:Ethan Miller/Getty Images

20世紀における主要技術ブランドの1つとして、同社はこの範囲の契約や大規模な企業の顧客や政府と協力してきた、膨大な経験を持っている。その経験が最近開発されたクラウドサービスに転換されるのか、それとも他のもの、特にMicrosoftとAmazonなどと同様の、成熟したクラウドを持っているのかは明らかではない。そのような意味でも、このような契約を獲得するために、IBMはその仕事を適宜整えてくることだろう。

Oracle

Oracleは、昨年の春以来誰彼お構いなしに不満を述べ続けている。一説では大統領に対してもそれを訴えたと言われている。すなわちJEDIのRPFはAmazonを有利にするために不公平に書かれているという不満だ。もちろんDODはそれを断固として否定している。彼らはプロセス自体に対して正式な抗議を提出したことさえある。

これは同社がクラウドに乗り遅れているための、煙幕である可能性がある。コンセプトに真剣に取り組むまでに何年もかかり、現在では市場シェアという意味では、かろうじて端っこに居るという状態なのだ。同社がテーブルに持ち出すのは、数十年以上にわたるエンタープライズにおける経験と、過去40年間最も有名なエンタープライズデータベースの1つであったという事実だ。

Larry Ellison, chairman of Oracle Corp.

Oracle会長のLarry Ellison写真:David Paul Morris/Bloomberg via Getty Images

最近Oracleは、DODにとって魅力的であるかもしれないクライド内での自己修復データベースの提供を開始した。しかしそれ以外のものがこの契約を獲得できるほど魅力的か否かは、まだ分からない。

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(翻訳:sako)

画像:Hoxton/Tom Merton / Getty Images