Facebook、データ漏洩問題で「少数の」広告主が出稿を停止したことを認める

FacebookのSheryl SandbergはBloombergのインタビューに答えて、Cambridge Analyticaを巡る現在進行中のプライバシー問題が、一部の広告主を弱気にさせていることを打ち明けた。

出稿を停止した広告主がどれがけいるか尋ねられたSandbergは、「少数」とだけ答え解釈の余地を大きく残した。SandbergはBloombergに、Facebookはデータプライバシーにかかわる懸念について広告主との「対話」に注力すると語った。

これもまた、Campridge Analyticaスキャンダルがビジネスの根幹に関わる部分でFacebookと広告主の関係を変化させる要因のひとつだ。

インタビューの中でSandbergは、プライバシーとセキュリティーに関するFacebookの予防対策(安全対策チームのメンバーを1万人から2万人に増員するなど)は、短中期的には会社の利益にマイナスの影響を与えるであろうことを再び強調した。

「運用体制の整備が遅かったことも問題であり、責任は私にある」とSandbergは言った。

Sandbergは、歴史的に見てFacebookはプラットフォームの問題を個別の事象として対応する傾向があり、そのために体系的な問題の対応が遅れるおそれがあることを認めた。

「最近までできていなかったが、現在は実行しているのが、視野を広く持ち、データが不正利用される可能性を厳しく監視することだ」とSandbergは言った

「これは時間のかかる仕事だ…もっと多くのことを見つけ、それを人々に伝え、封じ込めていくつもりだ」

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ケンブリッジ・アナリティカ、Facebookデータ8700万人分入手を否定…実際には3000万人

本日(米国時間4/4)Cambridge Analyticaは、同社が8700万人分のユーザーデータを不正に入手したとするFacebookの発表に反論した。実際にはDr. Aleksandr Koganの調査会社、Global Science Researchから「ライセンスを受けたデータは3000万人分以下」だと主張している。さらに、2016年の米国大統領選挙でトランプ陣営に雇われた際にこのデータは利用しておらず、Facebook から通知を受けたあと直ちに原データを削除し、派生データの削除作業を開始したことも言明した。

Cambridge Analyticaの声明全文を以下に引用した。本誌はFacebookに、2社の主張の食い違いについてコメントを求めたが拒否された。

Facebookのプライバシーポリシーと強制力の弱さは、あのCambridge Analytica騒動を引き起こし、Facebookの時価総額を1000億ドル近く下げるスキャンダルへとつながった。そんな批判にFacebookが耐え続けるなか、言った言わないの議論は今後ますます激化しそうだ。

本日(米国時間4/4)Facebookは、影響を受けた可能性のある人数は最大8700万人であり、対象になるユーザーにはニュースフィードのトップで通知すると発表した。さらに同社は利用規約を改訂して外部デベロッパーとの関係を明確化するとともに、広範囲にわたるAPI制限を発表した。これによってFacebook上に作られた数多くのアプリが動作不能に陥るが、プライバシー侵害を未然に防ぐことができる。Zuckerbergは記者団との電話会議でニュース全般について洞察を述べた

Cambridge Analyticaは、同社のデータ取扱いに関するFacebookの主張を繰り返し否定してきたが、Facebookは撤回しなかった。むしろFacebookは自らが戦おうとしている悪用の事例として、また世界中のデベロッパーを善悪を問わず取り締まることを正当化する理由として、Cambridge Analyticaを利用した。

Cambridge Analytica、GSRのデータセットに8700万件のレコードが含まれていたとする発表に反論

本日Facebookは最大8700人分の情報が調査会社GSRによって不正入手されたと発表した。Cambridge AnalyticaがGSRからライセンスしたデータは3000万人分以下であり、契約書にも明記されている。それ以上のデータは受け取っていない。

当社は2016年の米国大統領選挙で行った業務にGSRデータを使用していない。

当社がGSRと交わした契約には、すべてのデータは合法的に入手されなくてはならないと記載されており、現在この契約書は公文書扱いになっている。当社はGSRがこの契約に違反したことを知ったとき同社に対して法的措置をとった。Facebookが当社にデータが不正入手されたことを知らせてきたとき、われわれは直ちに原データをサーバーから削除し、当社のシステム内にある派生物を探して削除するプロセスを開始した。

一年前にFacebookが追加の保証を求めてきた際、当社は社内監査を実施し、全データ、全派生物および全バックアップが削除されていることを確認し、それを示す証明書をFacebookに提出した。

現在当社システム内にGSRデータが残っていないことを示すために、独立した第三者による監査を実施している。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ザッカーバーグ、4月11日に下院で証言へ

Mark Zuckerbergは4月11日に下院エネルギー・商業委員会で証人台に立つことになった。今日午前、Greg Walden(共和党・オレゴン州選出)委員長と委員会の有力メンバーであるFrank Pallone, Jr.(民主党・ニュージャージー州選出)が発表し、ZuckerbergがFacebookのユーザーデータ利用および保護について語ることを明らかにした。

議会が準備した声明書には以下のように書かれている:

この聴聞は消費者データの重大なプライバシー問題を解明し、ネット上の個人データに対して起きていることを全米国民が理解するための重要な機会だ。委員会での証言を引き受けたZuckerberg氏の姿勢に感謝するとともに、4月11日のわれわれの質問に対する彼の回答に期待している。

証言は、Facebookが同社史上類をみない危機を迎えている中で行われる。

2014年、Aleksandr Koganが開発したサードパーティー製クイズアプリが約5000万人分の原プロフィールデータを収集した。同アプリをダウンロードしてアンケートに参加したのはわずか27万人程度だったが、当時Facebookは、サードパーティーが友達の友達の情報まで取得することを許していた。

現在Facebookはこのデータの共有を許可しておらず、2015年には収集したデータが削除されたことを示す証明書の提出を要求した。

Koganは、集めたデータを政治調査会社のCambridge Analyticaに売り、同社はその情報をソーシャルネットワークなどでターゲット層を識別するために用いて有権者に影響を与えようとした。2016年、トランプ陣営はCampridge Analyticaと契約を結んだ。

一連の新事実が暴露されたことで、インターネット全体に#deletefacebook運動が広まった。しかしユーザーの反応はそれだけではなかった。

3月21日、Zuckerbergはこのスキャンダルに対する最初の回答を公開し、「仮に、私がFacebookでもっとも事情をよく知る人物であり、証言する最適な立場にあるなら、よろこんで応じるつもりだ」と付け加えた

そのわずか2日後、下院および上院はZuckerbergに通告を送り、彼が証言すべき人物であることを伝えた。3月27日にCNNは、Zuckerbergは自分が証言しなくてはならないという事実を受け止めるべきであり、Facebookは彼が証言台に立つ日に備えて準備を始めるべきだと報じた。

その日は、4月11日に決まった。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、ロシアの「荒らし」コンテンツを公開、関連アカウント135件を削除

Facebook は、選挙に介入し大衆を欺こうとするロシアのネット荒らしを阻止し、ユーザーや政府の信頼を取り戻すべく、かつてないレベルの情報公開を行っている。同社はアカウント削除の統計情報および問題のアカウントがシェアしたコンテンツの事例を公開した

Facebookはロシア政府あるいは選挙妨害組織であるInternet Research Agency(IRA)とつながりのあるアカウント70件、Facebookページ138件、およびInstagramアカウント65件を削除した。Facebookのセキュリティー責任者、Alex Stamos は、IRAの「偽アカウントを使って人々を欺き操ろうとした」ことについて「Facebookとして彼らがいてほしくない理由がそこにある。最近われわれがこのページ群とカウントを削除したのは、IRAが操っているという理由のみによるものであり、コンテンツに基づいたものではない」

削除されたアカウントの95%がロシア語で使用され、ロシアおよびアゼルバイジャン、ウズベキスタン、ウクライナを含む近隣諸国のロシア語話者をターゲットにしていた。108万人のユーザーが該当するFacebookページを少なくとも1件フォローしており、問題のInstagramアカウントを最低1つフォローとしているユーザーが49万3000人いた。該当アカウント全体で計16万7000ドルの広告費を2015年以来使ってきた。

Facebook CEO Mark Zuckerbergは、IRAによる選挙妨害工作を発見して以来、「われわれは国民国家による海外選挙の妨害を防止する手段を改善し、高度なAIツールを開発して偽アカウント削除全般に役立ててきた」 と書いた 。さらにZuckerbergは、Facebookがセキュリティーおよびコンテンツのレビュースタッフを倍増するという約束をまだ半分した果たしていないことも語った。今年は1万人を2万人に増やす予定だったが、現在1万5000人がFacebookでこの仕事をしている。

そうした努力の結果、国民国家が海外の選挙を妨害することは以前より困難になった。ZuckerbergはFacebookに次のように 書いている。「今日のアップデートの結果、われわれはIRAがロシア自身の人々の操作に使っている匿名大規模ネットワークを突き止めた。これはFacebookから悪を完全追放するための次期ステップだ』

同社の取組みを隠したり政府に要求されるまで待つことなく詳細を開示することによって、Facebookは自分たちが手をこまねいているだけではないことを人々に納得させられるかもしれない。

当初Facebookは、IRAが購入した広告を1000人のユーザーが見たと言っていたが、後に、無償の一般投稿を数えたら1.26億人がこのプロパガンダグループの記事をFacebookとInstagramで見たことがわかった。以前Facebookは、IRAの宣伝記事12万件を配信したInstagramアカウント170件と、コンテンツ8万件を配信したFacebookページ120件を使用停止にした。

情報を小出しにしたり、当初は小さい数字を出すようなやり方からは、Facebookが乱用の実態を小さく見せようとしているかのようにみえる。しかしCambridge Analyticaスキャンダルが勃発してからの数週間、Facebookは批判に対して徐々に透明性を高めるとともに受け入れる姿勢を見せている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、「Fighting Abuse @Scale」カンファレンス開催で姿勢を見せる

誤情報や詐欺、スパム等を阻止する取組みをアピールすることに必死のFacebook は、“Fighting Abuse @Scale”と題した招待制のカンファレンスを4月25日にサンフランシスコで開催する。FacebookのほかにAirbnb、Google、Microsoft、LinkedInから講演者が参加して、偽ニュースの阻止、偽造アカウント作成の抑止、ハニーポット(おとりシステム)を使った敵対組織の破壊、プラットフォームの安全強化のための機械学習の利用方法などについて議論する。

[アップデート:正式発表はされていないが、すでにカンファレンスは満席となった。Facebook広報によると、これは当初本誌が報じたような急遽企画されたイベントではなく最初の招待状は2月6日に送られていた。しかし、開催までひと月を切った時点で急遽報道を呼んだ行動は、現在進行中のデータ不正利用と選挙妨害スキャンダルに対するFacebookの取組み姿勢と一致している。

Fighting Abuse @Scaleカンファレンスはサンフランシスコのウェストフィールドモール内のBespoke Event Centerで開かれる。当日は、Facebookが今日選挙不正防止計画に関する電話会議で発表した先行的AIツールの技術的詳細を聞けることを期待している。この最初のセッションは「Facebookの誤情報と戦う」と題され、同社の技術部長とデータサイエンティストが登壇する予定だ。

過去にFacebookは、似たタイトルの“Fighting Spam @Scale” カンファレンスを2015年5月および大統領選挙直後の2016年11月に開催している。しかしそれ以来、同ソーシャルネットワークに対するいら立ちは限界に達した。ロシアの選挙妨害、有権者に対する誤情報の発信、Facebook Liveでの暴力、永遠に続くサイバーいじめ問題、および最近のCambridge Analyticaデータプライバシースキャンダルといった問題が反発の集中を呼んだ。株価の暴落、元幹部による同サービスの社会への影響に対する批判、CEO Mark Zuckerbergのメディア謝罪ツアーなどが続く中、Facebookはこれが単なる広報の問題ではないことを示す必要がある。ユーザーや規制当局や現在と将来の社員に対して、会社が責任をもってプラットフォームを改善しようとしていることを見せなくてはならない。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、広告ターゲティングにサードパーティーデータを利用不可に

驚きの方針変更だ。Facebook は広告主が関連性の高いユーザーをターゲットするために使っていた主要な情報源の一つを手放す。同社はFacebookが大手データ提供業者と結んでいる提携関係のうち、2013年にスタートしたパートナー・カテゴリーと呼ばれる機能を終了すると発表した。

サードパーティーのデータは、Facebookがユーザー基盤を広告主にとって意味のあるセグメントへと分類するために利用されている。データ連携がスタートした際にTechCrunchが次のように説明していた

オンラインならびにオフライン購入データの大手提供元であるDatalog、Epsilon、Acxiom、BlueKai各社との新たな提携によって、Facebookは広告主に対して、RPGゲーマーや炭酸飲料好きなどといったきめ細かいターゲティング機能を提供できるようになった。

FacebookはTechCrunchに対してこの変更は恒久的で一時的な措置ではないことを正式に認めた。Facebookはユーザーから集めた膨大なデータを活用するために、ユーザー自身から得たデータ(いいね!をつけたFacebookページ等)と広告主から得た情報(ポイントプログラムの登録状態等)に、サードパーティー提供者のデータを組み合わせている。

Facebookは、最初の2つのカテゴリーのデータ整合性には満足しているようだが、サードパーティー各社が集めたデータに手を出すことについては決心がついていない。今回の決定は最近同社に起きているサードパーティーデータの不正利用に関わるプライバシー問題に端を発している。

Facebookのプロダクト・マーテケティング・ディレクター、Graham Muddが声明文でこの決定について詳しく書いている。

広告主のみなさんにはパートナーカテゴリーを廃止することをお知らせしたい。これはサードパーティーデータ提供者がFacebookで直接ターゲティングする機能を提供するサービスだ。これは業界では一般的な慣行だが、この変更がFacebookユーザープライバシー改善に役立つと信じている。

FacebookはExperianやAcxiomなどの会社とは広告効果の測定や指標データの提供などで関係を続けていくが、今後の関係の見直しも行っていくことを明らかにした。Facebookはユーザーのプライバシー保護を強化する観点から、共有サーバー環境でデータ共有する方向に進む可能性がある。Muddが指摘しているように、パートナー・カテゴリーは数カ月のうちに廃止される。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

マイクロソフト、利用規約改訂で攻撃的コンテンツや発言を禁止へ

CSOOnlineの報道によると、Microsoft は同社サービス上で攻撃的発言を禁止する方法を検討している。対象となるプラットフォームにはSkype、Xboxのほか、なぜかOfficeも含まれている。記事に取り上げられているMicrosoftの新しい利用規約には、ユーザーに「各種サービスを利用して不適切なコンテンツや資料(ヌード、残虐性、ポルノ、攻撃的言語、露骨な暴力、犯罪行為等)」を共有することを許さない」と記されている。つまり、ゲーム「オーバーウォッチ」で子供に罵詈雑言を浴びせるとXbox Liveのメンバー資格を失うことになるかもしれない。

「われわれは当社顧客が安全に安心してサービスを利用できることを約束する。最近改訂されたMicrosoft利用規約には、ユーザーから不適切な公開コンテンツについて通報を受けた際の当社の対応方法が明記されている」とMicrosoftの広報担当者は言った。同社は “Microsoft Agents” はSkype 通話を監視していないため、明らかな乱用の証拠を伴う苦情に対してのみ対処することも付け加えた。5月1日に発効される新規約では、Microsoftが不適切なコンテンツを発信したり攻撃的発言を行う行為を発見した場合、そのユーザーをサービスから排除できるようになる。

改訂された規約によって、Microsoftは悪質なユーザーに対処する大きな力を得る。同社サービス上での悪質行為の取り締まりに本腰を入れ始めたようだ。これはMicrosoft製品上のプライベートなコミュニケーションチャンネルで悪質行為の被害にあっている人たちにとって朗報だ。Xboxで相手の母親を罵るような言葉を発する「荒らし」たちに、考え直す機会を与えることを期待したい。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookは、あなたのすべてを知っている

Cambridge AnalyticaはFacebookのデータを使って国民の政治選択に影響を与えようとしたと言われている。しかし、そもそもなぜ、いちばん好かれていないテクノロジー企業であるFacebookが、ユーザーに関するデータをそんなに持っているのだろうか?

InstagramやWhatsAppその他のFacebook傘下の製品のことはひとまず忘れよう。Facebookは世界最大のソーシャルネットワークを作った。しかし、彼らが売っているのはそれとは別のものだ。こんなインターネット格言を聞いたことがあるだろう、「もし製品が無料なら、あなた自身が製品だ」。

ここで特にそれが当てはまる理由は、FacebookがGoogleに次ぐ世界第2位の広告会社だからだ。2017年第4四半期、Facebookは129.7億ドルを売上げそのうち127.8億ドルが広告収入だった。

つまりFacebookの売上の98.5%は広告から生まれている。

広告は必ずしも悪いものではない。しかしFacebookはニュースフィードの広告が飽和状態に達した。そのときこの会社にできることが2つあった —— 新しいサービスと広告フォーマットを作ることと、スポンサー付き記事を最適化することだ。

これはゼロサムゲームではない —— Facebookはその両方を同時に行ってきた。InstagramやMessengerで広告を見ることが増えたのはそのためだ。そして、Facebookに載る広告が今までにもまして自分に関係がある理由もそこにある。

Facebookがユーザーにとって意味のある広告を載せ、ユーザーがそれをクリックするようになれば、広告主はFacebookにもっと宣伝費を払うようになる。

だからFacebookはユーザーの個人データをできるだけ多く集めてきた —— すべては最高の広告を見せるために。この会社はあなたの関心事も何を買うかもどこへ行くかも誰と寝起きしているかも知っている。

Facebookから逃げ隠れはできない

Facebookの利用規約は大いなるうそだ。故意に誤解しやすく書かれていて、長すぎて、範囲が広すぎる。サービスの利用規約を読んだだけでは、会社が自分の何を知っているのか理解することはできない。

だから一部の人たちは自分のFacebookデータをダウンロードしている。誰にでも簡単にできる。Facebookの設定画面に行き、小さな文字で「Facebookデータをダウンロード」と書かれたリンクをクリックすればよい。

ダウンロードしたアーカイブファイルには、あなたの写真、投稿、イベントなどが入っている。しかし、さらに掘り下げていくと、Messengerの個人メッセージも見つかる(標準では暗号化されていない)。

さらに掘り進んでいくと、アドレス帳や、SMSメッセージや通話に関するメタデータも見つかる。

[私のFacebookデータをzip形式でダウンロードした。
どういうわけか、パートナーのママと私との全通話履歴まであった]

すべては設計通りで、ユーザーもこれに同意している。Facebookは利用規約を統一し、同社の全アプリとサービスを横断してユーザーデータを共有している(ヨーロッパでのWhatsAppは今のところ例外)。つまり、Instagramで服装のブランドをフォローすれば、そのブランドの広告がFacebook.comに現れる。

Messagingアプリはプライバシーの罠

しかしFacebookは、Messengerでさらに多くの罠をしかけている。覚えていないかもしれないが、Messengerを使い始めるときのユーザー体験はかなり積極的だ。

On iOS, the app shows you a fake permission popup to access your address book that says “Ok” or “Learn More”. The company is using a fake popup because you can’t ask for permission twice.

iOSでは、MessengerアプリがiPhoneのアドレス帳をアクセスすることについて「Ok」あるい「詳しくはこちは」と書かれた偽りの許可ポップアップを表示する。偽ポップアップを使うのは許可を求める機会を増やすためだ。

OKボタンの下では、〈矢印が点滅〉している。

「詳しくはこちら」をタップすると、巨大な青いボタンにが出てきて「オンにする」と書かれている。この画面に書かれていることすべてが誤解を招きやすく、Messengerはユーザーの感情を操作しようとしている。

「Messengerは話す相手がいないと使うことができません」と書かれている。誰だってひとりにはなりたくない。Facebookはこのオプションをオンにすれば友達ができるかのように書いている。

もっとひどいことに、「このステップを省略すると、メッセージを送るために連絡先をひとりずつ追加する必要があります」とある。これはまったくの嘘であり、ひとりずつ追加しなくてもFacebook友達とはMessengerを使って自動的に話すことができる。

今度ブリトーを買うときにクレジットカードを使うと、Facebookはそのことを知り、カード番号をあなたがMessengerに登録した番号とマッチングするかもしれない。

“Not Now”をタップすると、Messengerはあとでときどき偽の通知を表示して、連絡先を同期するよう圧力をかけてくる。Yesをタップすると、あとで無効にしても、Facebookはあなたの連絡先をサーバー上に保管したままにする。

Androidでは、MessengerにSMSメッセージを管理させることができる。もちろん、ご想像の通り、Facebookはあらゆるメタデータをアップロードする。Facebookはいつ、誰に、どれくらいの頻度でSMSを送っているかを知っている。

あとで無効にしても、Facebookはあとで参照するためにこのデータを保管しておく

しかもそれでは終わらない。Facebookは、ダウンロードしたアーカイブにあること以上にあなたのことを知っている。Facebookはあなたの位置情報を友達と共有するよう要求する。Facebookは埋め込んだJavaScriptを使って、あなたのWeb履歴をほぼ全サイトについて追跡している。

しかし、私のお気に入りはおそらく、ピアツーピア支払いだ。一部の国ではMessengerを使って友達にお金を返せる。手数料は不要! カードをアプリに登録するだけだ。

どうやらFacebookは、ユーザーのオフラインでの買い物に関するデータも買い取っているらしい。今度ブリトーを買うときにクレジットカードを使うと、Facebookはそのことを知り、カード番号をあなたがMessengerに登録した番号とマッチングするかもしれない。

言い換えれば、Messengerは大いなるトロイの木馬となってユーザーのあらゆる情報を手に入れようとしているということだ。

そして、次回アプリがアドレス帳を共有したいと言ってきたら、99%の確率でこのアプリはあなたのアドレス帳を掘り返して新しいユーザーを探し、友達にスパムを送り、広告ターゲティングの精度を高め、メールアドレスをマーケティング会社に売るだろう。

同じことは、スマホに表示されるほのあらゆる許可ポップアップにも言える。Play Storeからアプリをインストールしたり、iOSで初めてアプリを開くときは注意が必要だ。何かを許可しないと何かの機能が働かない、と言われて許可するのは簡単だが、いずれFacebookはあなたのすべてを知ることになることには気づかない。

GDPRは救いの神になれるのか

最後の望みがひとつある。それがGDPR(EUのデータ保護規則)だ。まずTechCrunchのNatasha Lomasの書いたGDPRの説明を読んでヨーロッパの規制がどうなっているかを理解することをお薦めする

今Facebookで起きている誤解しやすい物事の多くは変わらなくてはならない。Messengerのようなやり方でユーザーをオプトインさせることはできなくなる。データ収集は不可欠な機能に絞って最小限にすべきだ。そしてFacebookは、なぜそのデータが必要なのかをユーザーに説明する必要がある。

仮にFacebookが規則に従わなければ、会社は全世界年間売上の最大4%を払う必要がある。

インターネットで人に見られないでいることは不可能だが、背後で何が起きているかには目を光らせておく必要がある。どこかの会社からOKをタップするように言われたら、そのポップアップの裏に何が隠れているかをよく考えてみよう。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Elon Muskが自分とSpaceXとTeslaのFacebookページを#deletefacebookに賛同して削除

Elon Muskは、自分の会社であるSpaceXにFacebookのページがあることを知らなかったようだ。SpaceXとTeslaのCEOは、#deletefacebook運動を支持するために自分とSpace XとTeslaの公式ページを取り下げろ、というTwitter上の呼びかけに応えて、最初に、その存在を知らなかったと述べ、それに続けて、それらを本当に取り下げる、と約束した。

彼はその言葉を実行し、今日の早朝まであったSpace XのFacebookページは、今やない。下図のスクリーンショットは、12:10 PM ETに撮られたものだ。

私がこの記事を公開した時点(米国時間3/23朝)では、これらのページを開こうとすると“Sorry, this content isn’t available right now”というメッセージが出るだけだ。MuskがTwitter上で指摘されてから約20分後だから、早い!

Twitter上でMuskは、Instagramを使いすぎだ、とも言われた。Facebookは、Instagramのオーナーでもある。この多産な起業家によれば、Instagramは“ボーダーライン”だったそうだ。それは彼によると、Facebookの影響の波及がゆっくりだったからだそうだが、とにかくInstagram上のプレゼンスは維持する気らしい。

削除の前にSpace XとTeslaのページは260万あまりのLikesとFollowsがあり、エンゲージメントのレートも超高い。Muskのソーシャルメディアを管理している担当社員は、泣きながら削除をしたのではないか。

続報あり…

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

マーク・ザッカーバーグがもっと恐れる7つの質問

FacebookのCambridge Analytica問題はもっと巨大なスキャンダルの始まりにすぎないのだろうか。その答えは今のFacebookがどれほど透明であるかにかかっている。CEO Mark Zuckerbergは、データのプライバシー改善について声明と計画をつい先ほど発表したところだが、最も重要な疑問のいくつかに対する回答を避けていたほか、謝罪にもいたらなかった。

この複数年にわたる騒動にFacebookがどう具体的に対処したかは、大衆が過去を水に流して再びニュースフィードに戻ってくるか、規制当局が急襲し、ユーザーが大挙して去っていくのかを決める重要な別れ道だ。世界中のジャーナリストが情報を探り、政府当局がZuckerbergの証言を求めることで、真実はすこしずつ明らかになっていくはずだ。

  1. Facebookはどこまで追求したのか。2015年にCambridge AnalyticaがFacebookのユーザーデータを削除すると約束したとき、実際に削除されたかどうかをFacebookはどこまで厳しく調べたのか?なぜ公表しなかったのか? (Zuckerbergはいつそれを知ったのか? Zuckerbergはリベラルと見られることや、保守的政治団体を調査することを懸念したのか?)
  2. Cambridge Analyticaが不正入手したFacebookデータを使っていたことを、Facebookはどうやって知ったのか。当時Facebookの社員はドナルド・トランプ陣営と直接関わっていたのか?(Facebook社員はトランプ陣営のサンアントニオ事務所でCambridge Analyticaと机を並べて作業していた。だとすれば怪しいデータを見てみぬふりをしていたのか?)
  3. Cambridge Analyticaは不法なFacebookデータを別ルートでも入手していたのか。Aleksandr Koganのアプリ以外のアプリやFacebookグループのメンバーリストをスクレーピングしたり、他のデベロッパーからデータを買い取ったりしたのか。(トランプ陣営によるFacebookや他のソーシャルネットワークデータの熟練した利用状況からみて、彼らはこれ以外のデータも使っていた可能性が高い。)
  4. ロシア人ハッカーあるいはロシア政府発のデータをCambridge Analyticaがトランプ陣営の選挙運動に利用した証拠はあるのか?(証拠がある場合、Facebookはロシアとトランプ陣営の共謀を示す証拠になりうるのか?)
  5. FacebookはCambridge Analyticaの今後の捜査に関わるデータや広告を所持しているのか?(もしCambridge Analyticaが実際にデータを不正使用したのなら、どんなコンテンツに利用されたのか、ほかに誰が支援していたのか?)
  6. Facebookはなぜ、Cambridge Analyticaに関するThe Observerなどのニュース記事を法的措置を用いて排除しようとしたのか? スキャンダルの贖罪に真剣に取り組んでいたのではなかったのか?(一連の法的措置を承認、実行したのは誰か。その後彼らに何が起きたのか?)
  7. Facebookは不正入手されたデータのセキュリティーをどうやって守ったのか。Facebookが監査する予定の疑わしいデータ以外にも、データのコピーを保存しているデベロッパーは山ほどいるはずだ。(ほかのデベロッパーによる不正利用のニュースが今後出てくる可能性はあるのか?)

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

売上と共に増大するテクノロジー企業の社会的責任

主要プラットフォームが成長を続けるなか、FacebookやApple、Google、Amazonをはじめとする大手企業は人類全体にまで影響を及ぼすようになった。そしてその影響はポジティブなこともあれば、そうとは言えないときもある。

そのため大手のプラットフォーマーは、ユーザーの行動を把握するだけでなく、どんな場合にユーザー(もしくはプラットフォーマー自身)が不正をはたらいたり、悪意を持ってサービスを操作したりするか、ということを理解しなければならない。同様に、AIのような個別のテクノロジーやそのほかの先進的な技術、そしてそれらの影響についても各企業が責任を負わなければならないのだ。

これこそが、テキサス州オースティンで先週行われたSouth by Southwest(SXSW)に共通するテーマだった。

勢いを増すAI議論

先述の通り、各プラットフォームがこの問題に深く関わっている一方で、テック界のアイコン的存在であるイーロン・マスクは、SXSWのQ&Aセッションのなかで、AIの暴走に対して不安の声を挙げた。彼は、狭義の意味での(そしてあまり賢くない)AIの時代が近いうちに終りを迎え、もっと汎用性の高いAIの時代が訪れると考えているのだ。特にマスクは、強力なAIが発展をとげるうちに、いずれ人間と同じような能力を持った機械が誕生することを懸念している。なお、既に弊誌のJon Shieverが指摘している通り、もちろんマスク自身は自らが構築してきた企業群を、来るべき終末の時への対策として考えているようだ。

SXSWに登壇したイーロン・マスクとJonathan Nolan(Photo: Getty Images/Chris Saucedo)

「狭義の意味でのAIは種の存続を脅かすレベルのものではなく、その影響はスキルの転移や職業の喪失、兵力の増強といった程度――つまり人間の存在を揺るがすような根本的な影響力は狭義のAIにはない。しかしデジタル・スーパー・インテリジェンスについてはそうは言えない」とオーディエンスに向かって語ったマスク。

さらに彼は、人類への影響という点において、未来のAIは核兵器をも上回るかもしれないと述べた。

テック企業の責任

あなたがマスクの意見に賛同するにしろしないにしろ、はたまた彼が自分のビジネスを推進するために虫のいいことを言っていると考えているにしろ、マスクはテクノロジー界のスタートアップ、そして大手起業が共に考えなければならない責任について触れていると言えるのではないだろうか。

少なくとも、CNNのDylan ByersとSXSWのステージに上がったAppleのEddy Cueはそう考えているようだ。彼はインタビューのなかで「テクノロジーは人類の可能性を広げる素晴らしいものだが、それ自体が善というわけではない。つまりテクノロジーを生み出す人たちがその方向性を決めるのだ」と語った。

確かにTwitterの共同創業者たちは、10年以上前に同サービスを作ったときに、そのうちボットが誕生して選挙に影響を与えることになるとは思ってもいなかっただろう。しかし時間の経過とともに、Twitterだけでなく主要プラットフォームすべてに関し、ユーザーはさまざまな動機を持ってサービスを利用しているということが明らかになった。そして各プラットフォーマーは、一部のユーザーが他の人たちを操作するためにサービスを使っていることがわかった時点で、何かしらの対策をとらなくならなければいけなくなったのだ。

SXSWの壇上で話すAppleのEddy Cue(Photo: Ron Miller)

ByersがApple以外の企業について何度も質問したにもかかわらず、CueはFacebookやGoogleといった企業の内情については知らないため、彼自身はAppleについてしか話すことができないとその質問をかわした(Cueは具体的な競合の名前さえ挙げなかった)。「Appleはあなた(Byers)が挙げたような企業とは違う。私たちは顧客のプライバシーを最重要事項として考えている」(Cue)。また彼は、Appleは広告企業ではないため、収集するデータの量もプラットフォーマーより少なく、「ユーザーの購買行動には興味がない」とさえ語った。

「フェイクニュース」対策としてのAI活用の課題に関するパネルディスカッション中には、Facebookのグローバル・ポリシー・ディベロップメント・チームのAndy O’Connellが、不正な操作が行われているとわかったときに、Facebookは何らかのアクションをとる責務を負っていると述べた。さらに、「フェイクニュースは社会全体の問題である一方で、私たちはテクノロジーの力を使って(その影響を抑える)対策を練っているほか、投資によって改善できる部分もある」と語ったO’Connel。彼によれば、Facebookの共同創業者・CEOマーク・ザッカーバーグは、プラットフォームの安全性を高める上でフェイクニュースの拡散が課題になっており、Facebookに流れ込む虚偽もしくは誤解を招くようなニュースの数を減らしていかなければならないと考えているようだ。

テクノロジーの限界

O’Connellの指摘通り、フェイクニュースはFacebookやテクノロジーの力だけでどうにかできるものではない。これは社会問題であり、社会全体が問題解決にあたらなければいけないのだ。もちろんテクノロジーがその助けになることもあるが、すべての問題についてテクノロジー頼みというわけにもいかない。ここで難しいのは、あるテクノロジーが誕生した時点では、それがどのような行動をとるかや、人がどのようにそのテクノロジーを使うかといったことを予測できないということだ。

(Photo: Ron Miller)

結局のところ、この記事で触れたような問題(なかには問題になるとさえ思われなかったものさえある)の解決は一筋縄ではいかない。どんなに善意を持って問題の解決にあたったとしても、すべてのアクションやその反応によって、さらに予想だにしない結果が生まれる可能性さえある。

しかし、あるテクノロジーがもたらす膨大な経済的利益や社会への影響に見合った責任を受け入れられるかどうかは、そのテクノロジーを生み出した企業にかかっている。この点についてCueは、「全員に(あるところで境界線をひく)責任がある。これこそAppleが行っていることであり、私たちがAppleという企業を運営する上で大切にしていることだ。今日の世界では誰もが責任を負わなければならず、私たちもそうしようとしている」と語った。

そうはいっても言うは易し行うは難し。暴走を止めるには十分な思慮や緻密さ、対応力が必要であり、ひとつひとつの決断がもたらす影響についても吟味しなければならない。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake

Facebook、ゲームのライブ中継機能を一般公開、視聴者への報酬も可能に

Facebookは、TwitchやYouTubeに対抗してビデオゲームのライブストリーミング機能を強化すべくPC向けの新しいGames SDKを公開した。Facebookは、デベロッパーのBlizzardが作ったOverwatchなどのゲームで2016年からライブストリーミングをテストしてきたが、このたび全デベロッパーがPCゲームのライブストリーミングをニュースフィードに流せるようになった。さらにFacebookは、ストリーミングを見たファンにゲーム内アイテムやボーナスを報酬として渡せるしくみも提供する。たとえば、コメント欄の下に「Paladinsのストリーム中継を見てゲーム内で使えるコインをもらおう」などの広告がでてくる。

バイラルな成長と売上増加が見込めることから、多くのゲームデベロッパーがFacebookの新SDKを採用する可能性がある。一方プレーヤーはシンプルな公開機能を使って多くの視聴者を得ることができる。視聴者はFacebookで見れば賞品をもらえるので選ぶ理由がある。Facebookにとってはゲームストリーミングはニッチだが魅力的なコンテンツなので長時間の視聴セッションが期待できる。つまり、広告を載せたコンテンツで収益化するとともに、ユーザーを長期的に囲い込むことができる。

Facebookは、カスタム「アプリイベント」で高度な分析機能をデベロッパーに提供しており、今回Webとモバイルに続きPCでも利用できるようになった。ゲームデベロッパーがFacebookの拡張Friend Finderを統合すれば、ユーザーは友達とプレーしたり、ほかのプレーヤーのデータを見て一緒にプレーする仲間を見つけることもできる。SDKを利用したいデベロッパーはここで登録できる。

Facebookはゲームストリーミングの世界では遅いスタートだったが、急速に新機能を開発し、提携を結ぶことで視聴者ベースやコンテンツカタログを拡大してきた。昨年Eスポーツ分野のトップであるESLと提携し、つい最近Counter-StrikeとDOTAといったトップゲームのトーナメントをストリーム中継した。FacebookはMessngerゲームにもライブストリーミングを導入している。現在視聴者がスタープレーヤーに投げ銭するしくみをテストしているほか、ゲーム開発チームのメンバーとして何人かのプレーヤーも雇った

あらゆるものに手を出す巨大ソーシャルネットワークが、このニッチなコンテンツ部門で果たして成功するのか? 毎月8億人がFacebookとつながったゲームをプレイしているが、ゲーマーのリアル世界の友達がビデオゲームに興味があるとは限らないし、友達がプレイしているところを見たいかどうかもわからないの。ゲーム愛好者の特別な集団を見つけられなければライブ中継は失敗に終わるだろう。 Twitch のようなネットワークやYouTubeの片隅には、ゲームストリームを見るために集まっている人たちがいる。Facebookがゲームストリーマーや視聴者やデベロッパーを引きつけるためには、新機能を早く開発し、ユーザーの規模を生かして視聴者を拡大する必要がある。そうでなければゲーマは居心地のよい今の場所を離れないだろう。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

「フェイクニュース」拡散の原因はボットではなく人間だった――MITが発表

嘘の伝わる速さは何世紀にも渡って語り継がれており、1710年の時点で既にジョナサン・スウィフト(『ガリヴァー旅行記』の著者)が「まず嘘が広まり、真実はその後をノロノロとついていくものだ」という言葉を残しているほどだ。そうはいっても、このような事実を示す証拠というのはこれまでほとんど存在しなかった。しかし、ここ数年のソーシャルメディアの様子を見ると、嘘が真実に大きな差をつけながら信じられないほどの速さで広がっており、もはやそれが当然のようにも感じられる。

そしてこの度、MITが10年分ものツイートを分析した結果、嘘が真実よりも速く広まるだけでなく、ボットやネットワーク効果がその原因とは言い切れない――つまり、私たち人間が嘘を広めている――ということがわかったのだ。

3月9日、Scienceで発表された同研究では、ツイッター上で拡散された(もしくは拡散されなかった)10万件以上のニュース(第三者機関によって虚偽のニュースかどうかが判別されているもの)がどのように伝播していったかに焦点があてられている。結果はレポートの要旨(Abstract)に記されている通り、「どのカテゴリーにおいても、嘘は真実よりも遠く、早く、深く、広範囲に広がっていった」。

Image: Bryce Durbin/TechCrunch

この結果を見て、ロシアや時系列に並んでいないニュースフィード、選挙などを槍玉に挙げるのは早計だ。というのも、虚偽のニュース(政治的な意図をはらんだ、いわゆる「フェイクニュース」と区別するためにあえてこの言葉を使用する)がこんなにも速く拡散する背景には、私たち人間が存在するからだ。

「嘘が真実よりも広まりやすいのは、人間が正しい情報よりも虚偽のニュースをリツイートしやすいからだということを調査結果は強く示している」と同レポートの共同著者Sinan Aralは語る。

その一方で、彼は次のように注意を促す。

「もちろん、人の頭の中に入り込んで、何らかの情報を消費したり、リツイートしたりする過程を調査したわけではないので、本研究ではまだ問題の深層部にはたどり着けていない。そもそも、どのように虚偽のニュースがネット上で拡散するかについての大規模な調査はほとんど行われていないため、まだまだ継続的な努力が必要だ」

とは言うものの、「人間は虚偽のニュースを拡散しがちだ」というMITの研究結果からは、極めてストレートかつ強烈な印象を受ける。

残念ながら、人間はアルゴリズムや価格モデルのようにアップデートできるものでなければ、報道機関のように無視できるものでもないため、この結果にはある種の歯がゆさも感じる。というのも、レポート内でも指摘されているように、明確な解決策など存在しないのだ。だからといって、問題から目を背けるべきではない。

10年分のツイートを解析

MITの研究プロセスは次の通り。なお、共同著者の1人であるSoroush Vosoughiによれば、「フェイクニュース」に関する騒ぎが起きるずっと前から同研究は進められていたようだ。

まず研究チームは、2006〜2017年の間に公開された何百万件ものツイートを集め、6つのファクトチェッカー(Snopes、PolitiFact、FactCheck.org、Truth or Fiction、Hoax Slayer、About.com)の少なくともいずれかひとつで真偽判定が行われた12万6000件のニュースと関連があるかどうかを調査。その結果に応じてツイートを分類していった。

その後、ツイート・リツイート数、一定のエンゲージメント数に達するまでの時間、情報元となるアカウントから見たリーチ範囲といった指標をもとに、各ニュースがどのように広がっていったかを観察。

最終的に、各指標をもとに「滝」のようなグラフが生成された。例えば、急激に拡散された後、すぐに話題から消え去ってしまった情報は、横の広がり(=拡散度合い)はあるものの、深さ(おおもとのツイートから何層にわたってリツイートされたか)はほとんどなく、バイラル性も低い。

そして虚偽のニュースと真実の「滝」を比較したところ、少数の例外を除いて、虚偽のニュースの方がより多くの人に、より速く広まり、何層にも渡ってリツイートされていることがわかった。

しかもこれは数%といったレベルの差ではない。具体的な数値については以下を参照してほしい。

  • 真実は1000人以上にリーチすることさえめったにない一方で、虚偽のニュースのうち拡散度合いで上位1%にあたるものは、ほぼ常に1000〜10万人もの人びとにリーチしていた。
  • 真実が1500人にリーチするには、嘘よりも6倍近い時間がかかる。
  • 虚偽のニュースは広範に拡散し、グラフのどの箇所においてもリツイート数で真実を上回っていた。
  • 政治に関する虚偽のニュースはすぐに何層にもわたってリツイートされ、結果的に他のカテゴリーの虚偽のニュースが1万人にリーチするよりも3倍近い速度で2万人以上ものユーザーにリーチした。

以上の通り、どの角度から見ても虚偽のニュースの方が真実よりも何倍、もしくは何乗も速く、多くの人にリーチするということがわかった。

反対意見

上記の研究結果の考察や、研究者が考える解決策、将来の研究アイディアについて触れる前に、想定される反対意見について考えてみよう。

ボットが原因なのでは? 結論から言うとボットの影響はほぼない。研究者はボットを検出するアルゴリズムを使って、明らかにボットによると思われるツイートは事前に取り除いていた。また、ボットの行動パターンを別途精査し、収集したデータをボット有のパターンとボット無のパターンでテストしたが、先述の傾向に変化は見られなかったのだ。この点についてVosoughiは「ボットもわずかに真実より虚偽のニュースを広めやすいということがわかったが、我々の結論に影響を及ぼすほどではなかった。つまり拡散度合いの差はボットでは説明がつかない」と話す。

「虚偽のニュースの拡散にはボットが深く関係している、という最近よく耳にする説とは真逆の結果が研究から明らかになった。これはボットの影響を否定するものではないが、少なくともボットを嘘拡散の原動力と呼ぶことはできない」とAralもVosoughiに賛同する。

ファクトチェックサイトにバイアスがかかっているのでは? 確かにまったくバイアスがかかっていないファクトチェッカーというのは存在し得ないが、研究者が参照した6つのサイトに関し、ある情報が真実かどうかの判定は95%以上の割合で共通している。客観性や証拠を重視するこれらのサイトすべてに共通のバイアスがかかっていると考えるのは、もはや陰謀論の域とさえ言えるだろう。それでも納得できない人は次のAralのコメントを参照してほしい。

「ファクトチェッカーを含め、研究対象に選択バイアスが生じないよう私たちは細心の注意を払っていた。その証拠に、メインの研究とは別に1万3000件のニュースから構成されるもうひとつの対照群について独自に真偽を確認し、そのデータを分析したところ、ほぼ同じような結果が得られた」

このファクトチェックはMITの学部生3名が行ったもので、判定結果は90%以上の割合で共通していた。

虚偽のニュースの拡散には大規模なネットワークが関係しているのでは? レポートによれば、現実はその逆のようだ。

ネットワークの構造や各ユーザーの特徴から虚偽の情報が拡散しやすい背景を説明できるのでは、と考える人もいるかもしれない。つまり、虚偽の情報を広める人ほどフォロー数やフォロワー数、ツイート数が多く、認証バッジを取得している人や昔からTwitterを利用している人の割合も多いのではないかという説だ。しかし嘘と真実の拡散具合を比べると、実はその逆が正しいということがわかった。

虚偽のニュースを広めやすいユーザーの特徴は以下の通り。

  • フォロワー数が少ない
  • フォロー数が少ない
  • ツイートの頻度が低い
  • 認証ユーザーの割合は少ない
  • アカウントの保有期間が短い

「このような特徴が見られたにもかかわらず、虚偽のニュースがより速く、広く拡散した」と研究者は記している。

なぜ虚偽のニュースの方が速く拡散するのか?

この問いに対する答えは憶測でしかないが、少なくとも同研究に携わったMITの研究者の「憶測」は、データに支えられたものであるという事実は無碍にできない。さらに、嘘の大規模な拡散は最近見られるようになった現象で、十分に研究されていないとはいえ、幸運なことに社会学や心理学からはいくばくかの示唆が得られる。

「コミュニケーション学の分野では、特定のニュースが拡散する理由について、既に包括的な研究が行われている」と3人目の共同著者Deb Royは言う。「人はポジティブなニュースよりもネガティブなニュース、平和なニュースよりもショッキングなニュースを広めやすい傾向にあるというのは既によく知られているのだ」。

もしも本当に人が目新しくて(Royいわく「目新しさこそが最重要要素」)ネガティブ(「血が流れればトップニュースになる」現象)なニュースを広めやすいとすれば、残された疑問は虚偽のニュースが真実よりも目新しく、ネガティブかどうかという点だけだ。

Photo: SuperStock/Getty Images

そこでMITの研究者は、一部のユーザーのアクティビティを分析し、虚偽の情報が含まれるツイートと真実しか含まれていないツイートの目新しさを比較した。すると確かに、「目新しさに関するどんな指標と照らし合わせても、虚偽のニュースが真実を上回る」ということがわかったのだ。

また、ツイート内で使われた言葉や関連する感情に注目したところ、虚偽のニュースには驚きや不快感を示すリプライがついていた一方、正しい情報へのリプライには悲しみや期待感、喜びや信頼といった感情が込められていることが多いとわかった。

まだまだ多くの検証が必要とはいえ、本研究からは虚偽のニュースは真実よりも速く拡散し、前者は後者よりも目新しく、ネガティブだという結論が導き出された。あとは「目新しくてネガティブだからこそ虚偽の情報は速く拡散する」という両者の因果関係を証明するような研究の発表が待たれる。

私たちには何ができるのか?

本研究で示された通り、虚偽のニュースを人間が広めているとすれば、それを防ぐためにどうすればよいのだろうか? 冒頭のジョナサン・スウィフトの言葉通り、これは決して最近生まれたものではなく、人びとはこれまで何世紀にも渡ってこの問題に対して何らかの策を講じようとしてきた。しいて言えば、問題のスケールには違いがあるかもしれない。

「何百万人――複数のプラットフォームをまとめると何十億人――もの人びとが、リアルタイムでニュースの拡散度合いに影響を及ぼすというのは、これまでなかったことだ」とRoyは言う。「ネットワークで繋がった人びとの行動についてのみならず、それがニュースや情報の伝播にどのような影響を与えるのかという点についてはさらなる研究が必要だ」。

さらにRoyはこの問題を人間の健康状態のように捉えている。実はJack Dorsey(Twitterの共同創業者でCEO)も、Royが設立した非営利組織Corticoのブログポストを引用元として、同様の比喩を用いた以下のツイートを投稿していた。

我々はコミュニティー全体の健康状態やオープンさ、さらにはプラットフォーム上で交わされる会話のマナーの向上に努めるとともに、その進捗に責任を負うと約束する。

またRoyをはじめとする研究者たちは、TwitterはもちろんFacebookやInstagram、オンライン掲示板といったプラットフォーム向けの「健康診断機」の開発にあたっている。しかしRoyは、これらのプラットフォームは氷山の一角に過ぎず、インターネット全体の「体調」を向上するにはさらなる努力が必要だと指摘する。

この点に関し、Aralは経済的な活動を例に挙げ、「ソーシャルメディア上での広告活動が虚偽のニュースを拡散するインセンティブとなっている。というのも、広告主にとってはビュー数がもっとも大事な指標だからだ」と語る。つまり虚偽のニュースを減らせば広告料も減ってしまうため、プラットフォームの健全化に向けたインセンティブが生まれにくいということだ。

「短期的には虚偽のニュースの拡散を止めることで金銭的なデメリットが発生するが、だからといって野放しにしておくと長期的な問題が発生してしまう。例えば、あるプラットフォームが虚偽のニュースや不適切な会話で埋め尽くされてしまうと、ユーザーはそのプラットフォームを一切使わなくなってしまうかもしれない。そういう意味では、FacebookやTwitterには、長期的な利益を確保するためにこの問題に取り組むインセンティブがあると考えている」(Aral)

しかし問題の根幹に人間だけでなく、アルゴリズムや広告料も関係しているとするならば、どうすればよいのだろうか?

「大事なのは、ユーザーの手を一旦止め、自分たちの行動がどんな影響を持ちうるか考えさせることなのだが、行動経済学の世界でもよく知られている通り、これはとんでもなく難しいことだ」とRoyは言う。だが、もしもそのプロセスが簡単かつどこにでも導入できるとすればどうだろうか?

「スーパーへ買い物に行くときのことを考えてみてほしい。すべての食べ物には、製造工程や製造・販売元、ナッツが含まれているかといった情報を記したラベルが貼り付けられている。しかし情報にはそんなラベルは存在しない。『この会社は虚偽の情報を発信することが多いのか?』『このメディアは3つの独立した情報源と照らし合わせて真偽を判定しているのか(それとも1つだけか)?』『何人がこの報道に関わっているのか?』といった問いに対する答えはニュースには含まれておらず、私たち消費者はただメディアが提示する情報を消費するしかないのだ」(Aral)

さらにAralは、ある情報がTwitter上で拡散する前にその信頼性を測定できるようなアルゴリズムをVosoughiが考案したと語った(Vosoughi本人は謙遜からか、ただ忘れていたのか、取材時にはこの点について触れなかった)。ではなぜFacebookやGoogleのように、膨大なデータや機械学習・言語に関する知見を持ち、プラットフォーム上の情報や活動、エンゲージメント、さらにはサイト全体に関してさまざまな変革を経てきた企業が、Vosoughiのような取り組みを行わないのかという点については疑問が残る。

この問題について、議論は活発に行われているが、なかなかそれが具体的なアクションには繋がっていないようだ。さらにRoyは、TwitterやFacebookといったサイトからは、特効薬のような解決策は生まれないだろうと釘を刺す。

「ソーシャルメディアを運営するためには、さまざまな点に注意しなければいけない。プラットフォーム自体はもちろん極めて重要だが、それ以外にもコンテンツを作る人や広告主、インフルエンサー、そしてユーザーが存在する。彼らの役割はそれぞれ異なるため、ポリシーの変更や新たなルール・ツールの導入による影響は、ステークホルダーによって変化する」

「それ自体は悪いことではない。というのも、そうであるからこそ私たちのような研究者がとやかく言えるのだから」

データセットについても同じことが言えるだろう。なお、本研究で使われたデータは(Twitterの同意のもと)公開される予定なので、誰でもMITの研究結果を確認したり、さらに考察を深めたりできる。

今後、本問題についてさらなる研究が行われることを期待したい。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake

YCに支援を受けたPlaybookは、学生たちが情報をオンラインで知らせ合いオフラインで一緒に活動する手助けをする

ソーシャルプランニングのアプリで、世界を席巻したものはまだない。数年前には複数のアプリたちがこれを狙い、みな失敗して行った。Swarmでさえこの方向は諦めて、単に位置情報の記録に集中することにしたのだ。

しかし、Y Combinatorの支援を受けた新しい会社が、注目を集めているようだ。そして、驚くべきことに、その成功の鍵は位置情報だったのだ!位置情報だ!間違いではない!

このスタートアップはPlaybookと呼ばれている。主に注力しているのは、近くの人たちが今やっていることを知って、それに合流できるようにすることだ。実際、同社が狙っているのは、利用者たちがアプリ内で長時間を過ごすことではない。しかし、Playbookを最も差別化しているのは、このアプリが大学のキャンパスに集中しているということだ。

実際、Playbookと他のソーシャルアプリが辿った成功へ道のりの間には、幾つかの類似点が存在している。丁度Facebookのように、Playbookの創業者(Luke Heine、Raphael Rouvinov、そしてSean Sullivan)はHarvardの学生であるし、もともとHeineは友人が夏にどこにいるかを知るためのアプリ(当初はシンプルなスプレッドシートだった)を作っていた。2014年の時点で考えられていたことは、もし学生が友人たちの居場所を知ることができて数日の宿をお願いできるなら、夏休みに安く旅行をすることができるということだった。

最終的に、Heineはハーバードに通いながら、簡単なウェブサイトを作り、そのSummer Playbookサービスを13の学校に展開した。そうするうちに、Rouvinovに出会ったのだ。

2016年に、HeineとRouvinovは、ゼロからサイトを再構築し、アプリ開発を始めた。今度は夏の旅行計画に焦点を当てるのではなく、日々の生活の中で、皆が何をしているのかに焦点を当てるようなった。

ユーザーはアプリにサインアップしたあと、アプリを使用してキャンパス内の他の人びとに向けて、プラン(またはアクティビティ)を投稿することができる。そうしたアクティビティに含まれるのは、ジョギングから、パーティー、図書館での勉強、あるいは単にランチへ行くことなど様々だ。

「私たちが可能性を見出したのは、事前のスケジュール調整ではなくて、自然発生的なスケジュール調整でした」とHeineは語る。「私たちが考えたのは、5人の友達に直接メッセージを送って、15分以内にバスケットボールをすることは難しいかもしれないけれど、私がここに居て、しかもバスケットボールをやりたいと思っていることを、キャンパスに居る知り合いの誰かが知ることができるなら実現可能だ、ということなのです」。

そうしたアクティビティは、特定のグループやキャンパス全体、あるいは近くの他の学校とも共有することができる。このアプリは2月以来、ハーバード大の中で試験運用されているが、Playbookはこの後プリンストン、ウェルズリー、イェール、ミシガン大学でも開始する予定を立てている。

昨年の夏には、126ヵ国の230の大学から約2400人がデスクトップサイトにサインアップし、約1600の会話が行われた。今年の2月11日にアプリが公開されて以来、244人のユーザーのうち3割は毎日アプリをチェックするようになっている。

PlaybookはY Combinatorから合計12万ドルを調達した。

(日本版:本アプリはまだ “.edu” で終わるメールアドレスをもっている者しかサインアップできないようだ)

[原文へ]
(翻訳:sako)

企業内でのデータコラボレーションを提供するData.world

大きな組織内のデータのための、一種のFacebookのようなツールを想像して欲しい。そこではデータを扱うプロジェクトやチームを結成したり、データセットをアップロードして共有したり、生のデータや分析結果をコミュニティ環境の中で同僚たちと議論することができる。それこそが、オースティンのスタートアップであるData.worldが、本日(米国時間3月6日)発表したものだ。

データは大部分の現代的組織にとっての生命線であり、Data.worldはそこで、データをソーシャルネットワークと組み合わせるツールを構築しようとしている。それは、さまざまなレベルの能力と理解度を持つユーザーたちのコミュニティが、データセットとモデル上で共同して作業できる場所を提供する。

「私たちが解決しようとしているのは、ネットワーク時代に住んでいるのにもかかわらず、データ同士が極端に断絶している状況です。世界の多くのデータは孤立した状況にあり、たとえ見つけても理解しにくいものなのです」とTechCrunchに語るのは、Data.worldのCEOで共同創業者のBrett Hurtである。Hurtと彼の共同創業者は、ツールチェーンから切り離されたデータを見て、それが生産性の大幅な低下を引き起こしていると考えたのだ。

同社はもともと、オープンコミュニティとしてData.worldを構築していいたが、同時にデータサイエンティストとデータアナリストがしばしばお互いに分離されている、大規模な組織内でのプライベートコミュニティの必要性も認識した。「私たちは、今がエンタープライズ版を提供するのに良いタイミングだと感じました。私たちは、ユーザの皆さまがソーシャルスタイルで作業し、データに対する皆の力を結集できる、最高のデータコラボレーション機能を構築しました」と彼は語る。

  1. banners_and_alerts_and_sales_leads_analysis_-_project_by_far-west-inc___data_world.jpg

  2. far-west-inc_sales-revenue-analysis___discussion___data_world.jpg

  3. library___data_world.jpg

彼らが構築したエンタープライズ向けプロダクトは、データに関心があり、それらに対してデータギークたちが使う一般的なツールを適用する方法を必要としている人びと同士をつなぐものだ。その目的を果すために、Data.worldのエンタープライズエディションは、Tableau、Microsoft Excel、そしてPower BI、IBM SPSS、MicroStrategy、Google Data Studio、そしてR、Python、果てはIFTTTとも接続を行う。

エンタープライズプラットフォームを利用している顧客の1つがAP通信だ、同社はData.worldを使って、データを様々なニュースルームのメンバー組織たちと共有し、レポーターたちが記事の品質を向上させるためにより効率的に使えるようにしている。

同社はまた、オバマ政権時代に米国政府のチーフ・データ・サイエンティストを務めたDJ Patilが、同社の取締役会に加わることを発表した。Data.worldは2015年に創立され、2度のラウンドで約3300万ドルの資金調達が行われた。最も多額だったラウンドは2017年に1870万ドルを調達したシリーズBである

[原文へ]
(翻訳:sako)

FEATURED IMAGE: APING VISION / STS/GETTY IMAGES

Instagramにポートレートモード発見――近くアプリ内から高度な人物写真が撮れるようになる

BoomerangやSuperzoomといった機能が大人気のInstagramではさらにSnapchatの上を行こうとして撮影モードのオプションを拡大するようだ。InstagramアプリのAPK(Android Application Package)の中に、Portrait というシャッターモードのアイコンが含まれていることがわかった。どうやらユーザーはStoriesのカメラを使って背景にボケなどの他洗練された効果を加えたポートレートを撮れるようになるらしい。

TechCrunchは読者のIshan AgarwalからAPK中に含まれているPortraitアイコンの画像を独占的に提供された。APKというのはWindowsでいえば.exeファイルに相当するファイルでAndroidで実行することによってアプリがインストールされる。PortraitモードのアイコンはInstagram Storiesでで撮影する際にオーバーレイされるオプションの一つになり、スワイプすることでそのモードを利用できるようになる。

われわれの取材に対してInstagramはコメントを控えたが、GiphyというGIF共有機能が1月に発見されたときも同じ対応だった。Giphyはわずか1週間後に正式に公開された。 もちろんInstagramは正式公開以前であれば(ベータテストの結果が悪かったり、戦略の変更があった場合など)波風を立てずしまい込むことができる。

われわれは先週もInstagramアプリ中にダイレクト・メッセージでビデオ通話をサポートする部分が隠されているのを発見している。

最新のiPhoneを含め、現在のスマートフォンはデフォールトのカメラでポートレート撮影モードをサポートしている。多くのユーザーがこのモードを使って撮影した写真をInstagramなどにアップしている。しかし最近はInstagramが高度なフィルターをサポートするにつれ、アプリ内のStoriesカメラを使う例が多くなっていた。

Snapchatもさまざまな撮影オプションを用意しているが、InstagramはPortrait機能で差をつけようとするらしい。Snapchatには現在アプリ内のポートレート・モードのオプションはない。Appleの場合はiPhone 7 plusに基本的な機能を実装して反響をみた後、iPhone 8 plus、iPhone Xで各種の照明効果を含むポートレート撮影機能を搭載するという手順を踏んでいる。

Instagramのポートレート機能の内容は詳しく分かっていないが、これまでもInstagramは高級一眼レフでないと撮れないような各種の効果を提供してきた。ただし実際に公開されるときはデバイスのカメラ自体のポートレート・モードとの混同を避けるためにPortraitではなく、別の名前になるかもしれない。

Instagramは常に話題となるような新しい機能を追加し続けねばならない。しばらく前にはセピア色のラテアートや彩度をむやみに高めた夕陽の写真がインターネットを席巻していたが、あっという間に時代遅れになってしまった。Instagram対Snapchatの軍拡競争はARやGIF機能の追加といった方向に進んでいたが、ポートレート撮影がサポートされればInstagramは「共有して楽しめる写真を簡単に撮れるようにする」という初心に戻ることになる。これは今後Storiesがどうなろうと、Instagram自体に価値ある機能となるだろう。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Twitterがオンラインの会話や対話の健全性を判定するための客観的な測度を探している

一部の人びとが虐待やハラスメントや意識操作のためのプロパガンダなどに多用しているTwitterが、このプラットホーム上の健全な対話を捉え、吟味し、評価するための提案を募集している。これは、“ネット上で一般公開される会話の全体的な健全性とオープン性と礼節を増すための”Twitterの真剣な取り組みの一環である、とCEOのJack Dorseyが今朝ツイートしている

そのツイートは曰く、“即席でグローバルに公開的に行われる会話が現実世界に与える結果のすべてをTwitterが予測することはできない”。そこでこれらの不健康な対話と戦うためにTwitterは、健康的な対話を奨励し促進するための枠組みを構築したい。そのために、非営利の調査研究機関Corticoの協力を求めて、会話中の健全な対話を見つけ、その健全度を測っていく。

“そのために彼らは、四つの指標を使用する: 1)注意の共有、2)現実の共有、3)意見の多様性、4)受容性”、とDorseyはツイートしている。

これらがTwitterにとって正しい測度なのか、Dorseyにも自信はないが、はっきりしているのは、Twitterが“厳格で客観性のある測度によりTwitter上で公開される会話の健全性を測る”ことがどうしても必要、と彼は言う。〔おそらく今後の機械化AI化のため〕

それを実現するためにTwitterは、外部のエキスパートと提携していく。関心のある人びとは、会話の健全性を測る測度と、それらを捉え、測り、評価し、報告するための方法を提案していただきたい。そして、選ばれた人びとや団体等がTwitterのチームと協働してTwitterが公開しているデータおよび資金にアクセスし、調査研究を遂行していく。

そのプラットホームを万人にとって安全で健康的な場所にしていくための方途を模索するTwitterの取り組みは、Facebookの“ソーシャルネットワーク健全化努力”と軌を一にするものだ。Facebookは現在、信頼性のあるパブリッシャーからのニュースを優先し、人びとの生活に関連し意味のある情報に力を入れている。

Twitterも、そういう努力を何年も続けている。10月にはヘイトシンボルや暴力的集団を取り締まる計画を発表し、先月は、自害行為や自殺を奨励するツイートに対する方針をアップデートした

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebook、第2のニュースフィード “Explore” を終了

Facebookは、短命(かつ見当違い)だったもうひとつのニュースフィード、”Explore” を終了する。

今日(米国時間3/1)のブログで、Facebookのニュースフィード責任者、Adam Mosseriがこう書いた:

Facebookを誰にとっても使いやすくするために、様々な新機能やデザイン変更、投稿のランク付けなどを試験してきた。変更の中にはうまくいって世界中で公開した機能もある ——リアクション、ライブビデオ、GIFなど。しかし、そうではなく捨てたアイデアもあった。本日われわれはExplore Feedのテストを終了する。

Explore Feedは、ニュースフィードで友達や家族の投稿をもっと見たいという人たちから再三寄せられた要望に応じた実験だった。友達や家族からのフィードとFacebookページからのフィードの2つに分けるという発想だ。

どんな意図であれ、Facebookユーザーの反応は明らかに芳しくなかった。分割されたニュースフィードは6カ国でトライアルがおこなわれたが結果は悲惨だった。

Mosseriはこう言った、「答えはみんなからもらった。2つに分かれたフィードは誰も望んでいない。調査結果によると、分割されたフィードは友達や家族とつながる役に立たなかった」

このサービスは、昨年10月に米国ユーザー向けのオプションとして正式提供され、ニュースフィードに入っていないニュースやエンターテイメント情報を見ることができた。

当時本誌は次のように書いた。

最終的な目的は、もちろんユーザーの滞在時間を伸ばすことだ。そうなればFacebookはコンテンツとコンテンツの間やビデオの中でもっと多くの広告を掲載できる。結果的にはFacebookが収益化するための第2ニュースフィードとして機能するだろう。

ただし、現在このフィードには広告がない(少なくとも、かなり長い時間スクロールしてみたが広告は見つからなかった。)

今年Facebookはアルゴリズムに大きな変更を加え、友達や家族の投稿はすでに優遇されていることをMosseriは指摘した。

「最近実施したニュースフィードの変更は、友達や家族の情報をもっと見たいというユーザーのフィードバックに答えたものだ。変更によって企業やブランド、メディアなどの公開コンテンツはニュースフィードに流れにくくなった」

ちなみに問題はサービスそのものだけではない。ニュースフィードが分割されたために重要な情報を逃したユーザーは、自分のフィードに何が起きたのか理解できなかった。

Facebookはこの失敗に学んで、今後は重要な変更についての通知を徹底する、とMosseriは言った

今回の変更とその実施方法は、10億人以上が使っているプラットフォームに変更加えることへの無自覚を露呈する結果となった。

ユーザーは、社会実験や新製品のA/Bテストのために企業が利用すべきものではない。

おそらくこれは、Facebookがいいね!をつけてシェアすべき教訓だ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

F8 2018はサンノゼで5/1、5/2に開催――Facebook が登録受付開始

Facebookは今年のF8デベロッパー・カンファレンスの参加受付を開始した。

昨年のF8の主だったテーマは拡張現実、脳とコンピューターのインターフェイス、JavaScriptフレームワーク、Reactの一新、などだった。メディアにも報じられたように、Facebookはこの1年、いくつかの波乱を経験した。同社ではユーザー同士のつながりをどのように構築していくかを再検討している。F8ではこの点についてFacebookというプラットフォームの将来像を詳しく知るための好機となるはずだ。

またわれわれはザッカーバーグを始めとするFacebookのトップから直接ビジョンを聞けるものと期待している。Facebookが主催することを発表したセッションは、AR、VR、AI、オープンソース・コミュニティー、ソーシャル・グッド、Facebookのビジネス利用など多岐にわたっている。Facebookのプラットフォーム・パートナーシップ担当副社長、Ime Archibongはこうしたテーマをさらに詳しく説明するブログ記事を投稿し、このカンファレンスが「われわれが世界の人々をいっそう結びつけるために構築しつつある新しい方法」を知るチャンスになるだろうと述べている。

カンファレンスは昨年同様、5月1日と2日にサンノゼのマッケナリー・コンベンションセンターで開かれる。参加登録はこちらから。 例年同様、カンファレンスのキーノートはライブ・ストリーミングされる。TechCrunchももちろん怠りなく取材の準備を整えている。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook Messengerで音声、ビデオで会話中にメンバーを追加できるようになった

Facebook Messengerではビデオまたは音声で通話している途中で新しい相手を追加できるようになった。新しい通話先を加えるためにいったん通話を中断する必要はない。この新機能はAndroidとiOSのMessengerアプリがアップデートする際に追加される。

これまでMessengerのユーザーが1対1のチャットをグループ間でのチャットに変えようとする場合、いったん通話を終了し、別の通話として開始する必要があった。つまりユーザーは新しいグループ・チャットのスレッドを作るか、会話履歴から既存のグループ・チャットを探してそのスレッドを再開していた。新機能ではチャット中に「参加者を追加する」というアイコンをタップするだけでよい。Facebook Messengerにおける他のグループ・チャット同様、新しいグループとなった場合、チャットの終了後グループは自動的に履歴に残される。

Facebook Messengerでは2016年にグループ音声通話グループ・ビデオ通話をスタートさせている。当時としては中国を除く西側のソーシャル・メディアのメッセージ・アプリとしてグループビデオをサポートしたのはFacebookが最初だった(中国のWeChatはこれら機能を2015年12月に導入している)。比較的マイナーなアップデートとはいえ、通話中にメンバーを追加できるのは、すでにこの機能を備えているSkype、Google Hangout、Line、Housepartyその他の通話サービスとFacebook Messengerが競争する上で重要な武器となるだろう。

画像Nur Photo/Getty Images

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+