Windows 10のBashシェルはUbuntuだけでなくFedoraやSuSE上でもサポート、デベロッパーの要望に対応

Microsoftの昨年のデベロッパーカンファレンスBuildで最大の驚きは、同社がUbuntu系LinuxサブシステムをベースとするBashシェルのサポートを、Windows 10に組み込もうとしていることだった。その機能はWindows 10 Anniversaryアップデートのリリースとその後の数か月で広範囲に実装され、その後のアップデートも頻繁に行われたが、Ubuntuがベースであることは変わらなかった。しかし今日の同社の発表では、これからはOpenSuSEFedoraのサポートも加わることになる。

デベロッパーがWindows 10の設定メニューで“developer mode”を有効にし、Linuxのサポートを指定すると、デベロッパーはWindows Storeへ行って三つのLinuxシステムのどれかのサポートを、クリック一つでインストールできる。なお、このインストール手続きは、以前のそれに比べると新しくて大幅に使いやすくなっている。さらにまた、Linuxの三つのフレーバーをすべて並行的に動かすこともできる。

MicrosoftのWindows Developer Platform担当VP Kevin Galloによると、Bashと競合するほかのシェルのサポートはリクエストが多くなくて、しかしUbuntu以外のそのほかのディストリビューションのサポートは、リクエストがとても多かった。最近のMicrosoftのお題目は“デベロッパーがいるところでデベロッパーに会う”(meeting developers where they are)だから、そのほかのLinuxベンダーと協働して、彼らのディストリビューションもサポートすることにしたのだ。

Bashシェルが三つあって、それぞれがWindowsデスクトップの上で並行に動く複数のLinuxフレーバーの上で使えるなんて、なんだかけったいではあるけど、たぶん最近のMicrosoftとデベロッパーの関係は、そのほかの面でもこんな具合なのだろう。オープンソースのエコシステムは最近の数年間で、かなり様変わりしたのだ。


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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

この秋、Widows 10にメジャーアップデート――Microsoft、Creators Updateを発表

シアトルで開催されたBuild 2017デベロッパー・カンファレンスで、今日(米国時間5/12)、MicrosoftはWindows 10 Fall Creators Updateを発表した。これはWindows 10の次のメジャーアップデートのデベロッパー版だ。

Windows 10は2年に1回のメジャーアップデートのサイクルに従っている。Microsoftは一般ユーザー向けアップデートの時期については明かさなかったが、デベロッパー向けバージョンが発表されてから半年後というのがこれまでの例だ。今日Creators Updateが発表されたのでこの秋、一般向けアップデートが開始されることは間違いない。

メジャーアップデートといってもそれほど大きなアップデートではないだろう、もしそうならもっと派手な発表やネーミングがあるはずだと思うかもしれない。しかしそうではない。次のアップデートでは多数の新機能が追加され、Windowsの使い方が変わる。それだけではなく、われわれが毎日使うスマートフォン・アプリも大きな影響を受けるはずだ。

今日のキーノートでMicrosoftのTerry Myersonは「プラットフォーム戦争の激化はデベロッパーにもユーザーにも負担をかけている」と述べた。Windows 10のアップデートは複数のOSを使う際の問題を軽減することを念頭に置いているという(つまりWindowsとiOSを使うような場合だ)。

Fall Creators UpdateではMicrosoftが今日発表したデザイン言語、Fluent Design systemによる新しいUIも採用されるはずだ(Fluentについてはリンク先の記事参照)。Fluent言語は複数プラットフォームおよびVR、AR環境のサポートに重点が置かれており、GoogleのMaterial Designに似ているが「それより進歩している」というのがMicrosoftの主張だ。

新しいアップデートには今回拡張されたMicrosoft Graphも利用されており、異なるOSのデバイス間を移動して作業するのが容易になる。たとえばタイムラインを利用すれば別のデバイスで作業した後。、元のデバイスに戻って作業を続けることがで簡単になる。スマート・バーチャル・クリップボードははiOSとAndroidデバイス間でクリップボードの内容を共有できる。新しいOneDriveはクラウドからローカルにダウンロードしたファイルについてユーザーがさらに柔軟にコントロールできる。またこれらのファイルは通常どおりWindows Explorerに表示される。

アップデートにはMicrosoftのクリエーティブ・アプリケーションが各種付属するはずだが、当面同社は詳細について明かすことを避けている。


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Microsoftから新しいデザイン言語、Fluent Design System――Material DesignのMS版

シアトルで開催されたBuildデベロッパー・カンファレンスで今日(米国時間5/12)、MicrosoftはFluent Designを発表した。このデザイン・システムを用いればクロスプラットフォームでユーザーインターフェイスを開発することができる。

いろいろな意味でFluentはGoogleのMaterial Design Systemに似ている。この新しいデザイン言語の主たる目的は、デベロッパーがあらゆるプラットフォーム上で単一のデザイン・システムを利用できるようにすることにある。

Microsoftの副社長でWindows Developer Platformorの責任者、Kevin Galloは私のインタビューに答えて、「われわれのチームはデベロッパーがもっと『素敵なアプリ』を簡単に書けるシステムの提供を試みた」と述べた。

Fluentシステムのポリシーは単にデザイン素材を提供するだけでなく、見た目が軽快で 多層のレイヤーを縦深的に利用でき、アニメーションもサポートするユーザーインターフェイスを確立することにあるようだ。アイコンなど共通する素材の提供は、最近のWindowsが複雑化、巨大化によって失っていた透明性を取り戻すために役立つだろう。

Galloによれば、同種の他の試みとは異なり、Fluentは2Dだけでなく3D環境にも適合しているという。 Microsoftが3D環境に強い関心を抱いていることはHoloLensや「混合現実」への巨大な投資でもはっきりしている。「われわれはFluentがデベロッパーが使うあらゆるプラットフォームに対応するデザイン言語となるよう努力した」とGalloは述べた。

Microsoftは次のWindows 10でのペンのサポートのアップデートにもFluentを用いる予定だ。Fluentをサポートするペンを用いるとペンでしかできない機能が使えるようになる。たとえば、ユーザーはそう望めばテキスト・ボックスにペンでテキストを書き込める。

Fluentは多様な入力方法をサポートする。MicrosoftがWindows 8向けに開発したデザイン言語のMetro(何かごたごごたがあって名前を変えたが、変えた後の名前は誰も覚えていない)はタッチ操対応に重点があった。Fluentの場合はクロスプラットフォーム対応に重点が置かれている。これには仮想現実、拡張現実の環境が含まれる。またタッチ操作だけでなく、視線やペンによる入力もサポートする。「(VR、AR空間のサポートではGoogleの)Material Designより桁違いに進歩している」とGalloは述べた。

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WindowsでiOSアプリを開発、テスト、公開できる――MicrosoftがXamarin Live Playerを発表

これまでもiOSのデベロッパーはMicrosoftのXamarinを利用してC#でアプリの開発ができた。 これにはXamarin.iOS for Visual Studioのような便利な開発環境が含まれていた。ただし依然として開発やテストにはMacが必要だった。今日(米国時間5/12)、MicrosoftがBuild 2017で発表したところによれば、デベロッパーはMacを使う必要がなくなった。

新しいXamarin Live Playerを利用すれば、iOSアプリの開発、導入、テスト、デバッグのすべてをWindowsパソコン上のVisual Studio環境から実行できる。

これによりMicrosoftはほぼ「円環を閉じた」ことになる。つまり多くのデベロッパーにとってWindows 10をクロスプラットフォーム開発のデファクト標準にするという最終目標にMicrosoftは大きく近づいた。

この機能を利用するには、デベロッパーはまずターゲットのiOSデバイスにXamarin Live Playerアプリをインストールし、表示されるQRコードをスキャンして開発用Windows 10パソコンとペアリングする必要がある。Xamarin Live PlayerはVirtual Studio自身に埋め込まれているので、デベロッパーはこのIDEが持つすべての機能を利用できる。たとえば、iOSデバイスでアプリを作動させながらパソコン側でそのソースコードを書き換えるライブ編集が可能だ。色の指定を書き換えると同時に結果をiOSデバイスで確認できる。

Microsoftによれば、同社はあらかじめAppleと協議しており、Live PlayerがAppleの通常のコーディングの規則に完全に準拠していることをAppleが確認したという。

画像: Gh0stman/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

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MicrosoftがAzure Portal上でクラウドベースのフル機能Bashを提供

Microsoftは本日(米国時間5月10日)、Buildデベロッパーカンファレンスにて、Azure上で動作するアプリケーションを管理するための中央ダッシュボードである、Azure Portalの新機能を発表した。新しいAzure Cloud ShellではPortalで完全なBashシェルを利用することが可能になる。Microsoft独自のPowerShellへのサポートもこの先提供される予定だ。またAzureモバイルアプリからでもこのシェルへのアクセスは可能だ。

Cloud Shellのセッションは永続的ではないが、セッション間でデータは維持される。もちろん、Azureのコマンドラインツールはプリインストール済だ。セッションは自動的に$Homeディレクトリ(ここにはファイルやスクリプトを再利用のために保存することができる)に同期される。つまり、例えばAzure Portalからviを利用することができるようになったということだ。また例えば、Dockerコマンドラインツールを使ってコンテナを起動することもできる。

訂正 :当初Cloud Shellセッションは永続的であると誤って報告した。実際には永続的ではない。データはセッション間で保存されるものの、ログアウトすれば実際の環境はリサイクルされる。

MicrosoftのScott Guthrieは「Azureのすべてのリソースを管理するための素晴らしい方法を提供できます」と述べ、この機能が開発者の生産性向上に役立つと考えていると付け加えた。

同社は昨年12月に、新しいクラウドシェルの初期プレビューを提供していた。

現在すべてのAzureユーザがこの機能を使えるようになっている。

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(翻訳:Sako)

Visual Studio for Macが公式リリース

数ヶ月のプレビューを経て、Visual Studio for Macが公式に利用可能になった。ご存知のようにVisual StudioはMicrosoftの主力開発ツールだが、今回のバージョンは、昨年3月に買収したXamarinのクロスプラットフォームIDEに基づいている。

もちろんこれは驚くようなことではない。昨年のBuildで説明されていたように、ほぼすべてのレベルでXamarinをVisual Studioファミリに組み込むことは既定路線なのだ。しかし、それでもなお、Visual Studioが本当に嘘偽りなくmacOSで利用可能であるという事実に当惑する人もいるだろう。

Macの上のVisual Studioを用いて、ネイティブモバイルアプリや、WindowsやMacのアプリケーションを開発することができる。このことについて否定する人もおそらくいるので、そうした人たちのために改めて繰り返しておくことにする。

Microsoftはこれに対してホットなAzure統合を行っているので、今日アナウンスされている全ての新しいクラウドインフラストラクチャと互換性のあるものとなる。とはいえこれ以外についてはあまり言うべきことがない。新しいバージョンはVisual Studioサイトから入手できる。

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(翻訳:Sako)

Red Hatがコンテナ化アプリケーションを開発するためのクラウドIDE、OpenShift.ioを立ち上げ

Red Hatが今日(米国時間5/2)、OpenShift.ioを立ち上げた。それは同社としては初めての、本格的なクラウドベースのデベロッパーツールだ。その名が示すように、OpenShift.ioは、Kubernetesをベースとする同社のコンテナ管理プラットホームOpenShiftを使用し、クラウドネイティブでコンテナを利用するアプリケーションの構築に必要なツールを提供する。それらは、チームコラボレーションのためのサービス、アジャイルプランニングのツール、デベロッパーのワークスペース管理、コーディングとテストのためのIDE、モニタリング、そしてもちろん、継続的インテグレーションとデリバリのサービスだ。

方向性はやや違うが、これはいわば、MicrosoftのVisual Studio Team ServicesのRed Hatバージョンだ。しかしRed Hatがここでやっているのは、fabric8, Jenkins, Eclipse Che, それにもちろんOpenShiftといった既存のオープンソースプロジェクトをひとつのサービスにまとめて、主にコンテナベースのアプリケーションにフォーカスした体験を提供することだ。

OpenShift.ioは中でもとくに、チームのコラボレーションを重視し、そのためのさまざまな開発方法論や哲学をサポート、そしてソースコントロールシステムを提供している。またプロジェクトマネージャーやビジネスアナリストなど、チーム内のノンプログラマーがプロジェクトの状態を追えるためのツールも、充実している。

Red Hatでプロダクトとテクノロジーを統轄するPaul Cormier社長が、今日のブログ記事で述べている: “Red Hatは、クラウドネイティブと従来型の両方のアプリケーション開発に取り組むための、オープンで自由度が高く安全なツールを、標準的ツールをベースとする全体的に斉合性のあるプラットホームとして提供している。今日私たちはご覧のように、Red HatのコンテナプラットホームOpenShiftを利用してコンテナ化されたアプリケーションを構築するための、クラウドベースのフレームワークを立ち上げる。それは、今日の類似製品の中でもっとも総合的な、エンタープライズ向けKubernetesプラットホームだ”。

Red Hatは今日、OpenShift.ioのほかに、Red Hatおよび同社のISVパートナーたちのすべてのコンテナ関連製品の、セキュリティや安定性などを調べて評価できるContainer Health Indexを発表した。またもうひとつ今日ローンチしたRed Hat OpenShift Application Runtimesは、マイクロサービスのための、構築済みのコンテナ化ランタイムの基盤群だ。これらのランタイムには、Node.js, Eclipse Vert.x, WildFly Swarmなどのサポートが含まれる。

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ディープラーニング・アプリケーションの開発〜デプロイ過程をシンプルに一元管理するBitfusion Flex

BitfusionがDisrupt NY 2015でローンチしたときは、GPUやFPGAなどのコプロセッサーを利用するコンパイル済みのライブラリをデベロッパーに提供してアプリケーションのスピードを上げる、というビジネスだった。それは2年前のことだ。今では、そんな技術の最大の市場が、ディープラーニングのモデルの訓練だ。同社がローンチしたときには、それらはレーダーに映っていなかった。でも、当然とはいえ、Bitfusionが今まさにフォーカスしているのが、その市場だ。

今日同社は、Vanedge Capitalがリードするラウンドによる500万ドルのシリーズA資金の調達を発表した。そのラウンドには、新たな投資家Sierra Venturesとこれまでの投資家Data Collective, Resonant VC, そしてGeekdomが参加した。同社の計画では、このお金は研究開発の強化に投じられ、そしてとくに、AIプロジェクトの構築と管理を支える、フレームワークを特定しないプラットホームBitfusion Flexにフォーカスされる。

今ベータのBitfusion Flexは、デベロッパーが単一のプラットホーム上でAIアプリケーションのライフサイクル管理ができるようにする。デベロッパーは単一のダッシュボード上で開発、訓練、そしてデプロイまでも実行し管理できる。内部的にFlexはコンテナを使って実験やモデルを複数のローカルマシンやクラウド間で容易にスケールし移動できるようにしているが、しかしベアメタル上のデプロイもサポートしている。

ただしFlexは、モデリングそのものを容易にしてくれるわけではない。TensorFlow, Torch, Caffeなど、フレームワークの選択とセットアップはアプリストア的なインタフェイスでできるが、その強みは、これらのアプリケーションを作って動かすために必要なインフラストラクチャの管理にある。したがってFlexは、フレームワークのことは気にしないし、またアプリケーションをどこへデプロイするのかも気にしない。

このサービスを利用して行う工程の管理は、Web上(ブラウザー上)のインタフェイスからでもできるし、またコマンドラインインタフェイスからでもできる。そしてたとえば開発時には、リモートのGPUをローカルなラップトップから使ったりできるのだ。

BitfusionのCEOで協同ファウンダーのSubbu Ramaはこう語る: “ディープラーニングのプロジェクトは、現状ではプロトタイプから先へ進めない人が多い。今は至るところで猫も杓子もディープラーニングをやりたがるが、Global 2000社には人がいない”。そこでBitfusionはFlexでもって、インフラストラクチャの管理という面倒な仕事を抽象化し、企業がやっと雇えたデータサイエンティストたちがアプリケーションに集中できるようにする。

Flexのベータ終了は数か月後の予定だ。オースチンに本社のある同社は、今後シリコンバレーでのプレゼンスを大きくしたい。ただし研究開発の多くは今後もずっと、オースチンでやっていきたい、という。

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Facebookが簡単なVRアプリを作るためのJavaScriptフレームワークReact VRをオープンソースでローンチ

Facebookは今日(米国時間4/18)、同社のデベロッパーカンファレンスF8で、React VRのローンチを発表した。これは、JavaScriptで仮想現実体験を構築できるためのJavaScriptフレームワークだ。Webアプリケーション用の同社のフレームワークがReactであるのに対し、仮想現実用のReactという意味でReact VRという名前になっている。つまりReactと同様の宣言型の書き方で、360度体験のアプリケーションを作れるのだ。

当然ながらReact VRは、WebGLやWebVRといった既存のWeb技術を利用して仮想現実体験やセンサー群との対話を実装している。現状はまだ、複雑なVRゲームを作れるレベルではなく、3Dモデルを記述できるとはいっても、2DのUIやテキストや画像に360度のパノラマを容易に組み合わせることができる、という程度だ。

Reactで何かを作った経験のある人なら誰でも、React VRを楽に使えるだろう。またもちろん、Reactのエコシステムにある既存のツールの多くを利用できるだろう。

ふつうのモバイルアプリよりもきついのは、VRアプリが60fps(できればそれ以上)の描画を要することだ。すでにReact NativeがJavaScriptでは難しいとされる問題の多くに対応しているから、React VRのチームはそのアプリケーションの高速高性能化に、それほど苦労せずに済んだようだ。

React VRのコードはGitHubで入手できる。何か作ってみたくなった人は、ここでドキュメンテーションを読もう。

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デベロッパーの技術力向上に今やオンライン教育は必須の要素、業界の古参PluralsightのAaron Skonnardに話を聞く

ユタ州には、テクノロジー産業に強いという歴史がある。OmnitureやWordPerfect、Landeskなどはすべてユタ州出身だし、Pixarの協同ファウンダーEd CatmulやAtariの協同ファウンダーNolan Bushnellは共に、ユタ大学を卒業した。同州の大学やカレッジは、毎年数百名もの工科系修士や博士を生み出している。

最近では、成長率と利益率共に良好なユニコーンが育つ州でもある。たとえばQualtricsは今では24億ドル、Domoは20億ドル、InsideSalesは15億ドルだ。そしてデベロッパーを教育訓練するプラットホームPluralsightは、今や11億4000万ドルで、年内に上場と目されている。

今日(米国時間4/20)はPluralsightのファウンダーAaron Skonnardに、テクノロジー業界の現状と、同社が次に目指すものについて、いろいろお話を伺った:

Pluralsightは2004年にデベロッパーのための教育訓練プラットホームとしてスタートしたが、その本格的な離陸は2008年にオンライン教育に移行してからだ。ファウンダーのAaron Skonnardによると、それ以降は毎年収益も生徒数も倍加し、今ではソフトウェア開発とテクノロジースキルのコースが6000種以上あり、細心の審査を経て採用されたインストラクターたちが、150か国あまりの人びとに教えている。

Pluralsightは、テクノロジーのコンスタントな変化や進歩に労働市場のスキルが追いついていけない、という問題を解決するために生まれたオンライン教育スタートアップ、LyndaやUdemyなどの仲間だ。Skonnardも指摘するように、追いつけるだけの知識や技術を持つ人びとが、需要に対して深刻に少ない。同社は、Javaやクラウドコンピューティング、機械学習などのスキルをグローバルベースでFortune 500社などに教え、またスキルを教えるだけでなく、適性評価や、メンターのオンライン提供なども行っている。

ユタ州のエンタープライズ系スタートアップは自力で始めて黒字を達成し、立ち上げ後10年ぐらい経ってからシリコンバレーに注目されるようになる、というケースが多い。Pluralsightもそのひとつだが、今では調達総額が1億9200万ドルに達し、2013年以降は6社の買収を行った。

今年の上場についてSkonnardは明言しなかったが、用意はできてるようだ。利益は出ているし、成長は続いている。オンラインのeラーニング産業は今後年率11%で成長し、2020年には310億ドル産業になる、と予想されている。その点でも、同社の上場の好機と言えるだろう。

では、Skonnardへのインタビューを、上のビデオでご覧いただきたい。

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Microsoft、IoT Centralをスタート―企業向けフル機能のクラウドIoTサービス

今日(米国時間4/20)、MicrosoftはIoT Centralをオープンした。これは企業向けにInternet of Things〔モノのインターネット〕を実現するクラウド・ベースの新しいサービスだ。企業はIoTに関する専門的知識を持った人材やハードウェアを社内に準備することなしに、IoTを組み込んだシステムを構築、運用することができる。基本的にIoT-as-a-Serviceといってよいだろう。

これに伴いMicrosoftは企業IoTにAzure Stream Analyticsを導入し、IoTデバイスからのデータ取得の効率を高めるとしている。このアナリティクスには時系列データを扱うことに最適化されたまったく新しい機能が組み込まれている。

今回発表されたもっとも重要なサービスはIoT CentralとAzure Time Series Insightsの一連のツールだ。MicrosoftのIoT事業のディレクター、 Sam Georgeは私のインタビューに答えて、「この新サービスの趣旨は多数の新しい機能を提供することによって既存のAzure IoT Suiteを大幅に強化することだ」と述べた。多くの企業にとって IoTの組み込みは同業ライバルとの差別化を図る上で有力な手法だ。しかしそのためには大量の専門的能力を必要とする。Georgeによれば「IoTは有力な差別化の手段だが、同時に、多くのビジネス分野でIoTを実現するために特別な能力を必要とすることも判明した」とGeorgeは言う。

企業がIoTソリューションを実現することを助けるのがIoT Centralの役割だ。「このサービスを利用するカスタマー企業はクラウドに関する特別な知識、スキルは一切必要ない。IoT CentralはMicrosoftが100%責任を持って運営する。IoTを導入、運用するために必要なITインフラはそっくりMicrosoftが提供する。企業は目的とするビジネスから得られたデータを解析するだけよい」という。また多数のビジネス分野向けに事前に構築された標準パッケージも用意されている。

ただしユーザー企業はデータのストレージ、解析エンジンをMicrosoftに依存せざるを得ない。これは企業側の柔軟性を失わせるという副作用をもたらすかもしれない。

時系列データを解析するAzure Time Series Insightsは現在プレビュー版で提供される。このサービスは簡単にいえばMicrosoftが提供する新しいデータベースだ。Microsoftはこのテクノロジーをずっと以前からAzureへアクセス・ログを記録するのに用いていた(つまりこのシステムは毎日数十億のイベントを処理してきた)。さまざまな例外はあるものの、IoTデータは基本的に時系列で得られる場合が多い。Time Series Insightsは分析、視覚化、対話性等がすべて時系列データの処理に最適化されており、何らかの異常を発見する能力も優れているという。既存のソフトウェアに接続するためのAPIもデベロッパーに対して提供される。

Microsoftが発表したもう一つのサービス、Azure Stream Analyticsはさまざまなエッジデバイス〔データのエントリーポイントとなる機器〕上で作動する。つまりこれらのデバイスはそれ自身でリアルタイム・アナリティクスを実行可能で、得られたデータをすべてAzureサーバーに送信する必要がない。クラウド・ソリューションは何百万ものデバイスのデータを解析する必要があるが、個々のデバイスが得るデータのすべてが重要であるというわけではない。またRaspberry Piのような小さなコンピューターでもAzure Stream Analyticsをローカルで実行する能力を十分に備えている。そのためインターネットインターネット接続が不安定な状況でもエッジデバイスから信頼性のあるデータ取得が可能となる。

Georgeによれば、MicrosoftはIoTは今後さらに成熟したテクノロジーとなり、ますます多くの有用な情報がエッジデバイスとの間でやり取りされるようになると考えている。Stream
Analyticsはこの方向に向けてのMicrosoftの第一歩だという。

もちろんMicrosoftはIoTクラウド分野での唯一のプレイヤーではない。 しかし企業がIoTを導入する際、GoogleやAWSのようなライバルと比較してMicrosoftの方がはるかに助けになるとGeorgeは考えている。「現在さまざななビジネス分野を横断してこれら3つの超巨大クラウドが存在する。しかしその中でオンプレミスのITに対する緊密なサポートも含めてIoTに特化したサービスを提供しようとしているのはAzureクラウドだけだ。これはライバルと比較して重要な差別化要因だと思う」とGeorgeは述べた。

画像: NicoElNino/Getty Images

〔日本版〕下のビデオはMicrosoftによるIoT Central紹介

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

F8:Facebookは頭脳直結テキスト入力開発中―「埋込み手術の必要なし」と元DARPA局長がプレゼン

今日(米国時間4/19)、F8デベロッパー・カンファレンスでFacebookは60人のエンジニアのチームが頭脳と直結してテキスト入力などができるコンピューター・インターフェイスを開発していること明らかにした。現在試行されているような頭脳への電極等の埋め込みを必要としないという。このインターフェイスは脳を毎秒100回スキャンして光学画像を生成し、人が声に出さずに思考している内容を読み取ってテキスト化する。

FacebookのR&Dの特別組織、Building 8の責任者、レギーナ・ドゥーガン(Regina Dugan)がF8カンファレンスで説明したところによれば、この研究の目標は、ユーザーがスマートフォンを使って頭脳から直接に毎分100語、つまり現在の5倍のスピードでテキスト入力ができるようになることだ。

頭脳をコンピューターと直結するインターフェイスは、最終的にはVR〔拡張現実〕にも利用され、物理的なコントローラーを操作することなしに、思考だけでVRを操作できるようになるという。今年のF8カンファレンスではCEOのマーク・ザッカーバーグやCTOがこの「直結インターフェイス」テクノロジーが持つ可能性をさまざまな角度から紹介した。

ドゥーガンは「頭脳から直接完璧にタイピングできたら素晴らしいだろう」と言う。ドゥーガンは麻痺の障害を持つ患者が脳に埋め込まれたセンサーを利用してタイピングしているビデオを紹介した。続いてFacebookでは脳の手術の必要なしに同じことを実現しようとしていると述べた。

Building 8が頭脳インターフェイスによるタイピングの研究を始めてからまだ6ヵ月しかたっていないという。しかし開発チームはカリフォルニア大学サンフランシスコ校、同バークレー校、ジョンズ・ホプキンス医科大学、ジョンズ・ホプキンス応用物理学ラボ、ワシントン大学セントルイス医学校などの研究者の協力を得て、機械学習による言語解析、高度な空間解像力も有するテクノロジーによる脳活動の光学画像化、次世代神経科学などを適用して開発を進めている。

Facebookは最終的には脳への埋め込みなしに脳と直結するインターフェイスの実現を目標としているのは大規模な採用を目指しているからだ。またプライバシーへの当然な懸念が生ずるが、Facebookは私のインタビューに対して、「これはあらゆる考えでを読み取ってしまうようなテクノロジーではない。これは直接入力のためにユーザーが意識的に言語中枢に送った言葉だけを解読する。われわれはスマートフォンでたくさん写真を撮るが、公開するのはそのうちの何枚かに過ぎない。われわれのハードウェアが実用化しても、内心の自由を妨げることはない。このインターフェイスが読み取るのはユーザーが入力しようと決めた考えだけだ」という。

一方、 Building 8では「皮膚を通じて聞く」テクノロジーも研究中だ。プロトタイプが完成しているこのハードウェアは特定の振動を脳に伝えることにより皮膚に内耳の役割を果たさせようとするものだ。これが実用化されれば耳に障害を持つ人々も耳をバイパスして皮膚で音を「聞く」ことができる。

Facebookのエンジニアが16の周波数帯域に設定したアクチュエーターを用いて被験者の1人は9つの単語を皮膚を通して認識することができるようになったという。

Building 8の求人情報によれば、電気生理学的情報の収集、神経活動の非侵襲的画像化などの専門家が求められている。【略】

Tesla、SpaceXのファウンダー、イーロン・マスクもNeuralinkという新しいスタートアップを立ち上げて独自の頭脳コンピューター・インターフェイスの開発に取り組んでいる。

FacebookのBuilding 8研究開発チームの責任者、レギーナ・ドゥーガン(Regina Dugan)

Facebookは秘密のベールに覆われた新しい研究組織、Building 8の責任者として昨年ドューガンをスカウトした。ドゥーガンはGoogleの Advanced Technology And Products事業部の責任者で、その前はDARPA〔国防高等研究計画局〕の責任者を務めていた。

Facebookはメンローパークの本社キャンパス内にArea 404という施設を持ち、大量の先端的メカニカル・エンジリングの装置と専門家を擁している。このArea 404がドウーガンのチームがハードウェアのプロトタイプを作ることを助けている。 昨年12月にFacebookはスタンフォード、ハーバード、MIT等の大学から素早く協力を得られる規約を結んだ

今日のプレゼンテーションまで、Building 8が正確にはどういう組織か誰も知らなかった。もっとも、Business InsiderはBuilding 8の求人情報を探り出して、推測を試みていた。

Facebookのハードウェア・プロジェクトには成功したものも失敗したものもある。HTCと協力して作成した FirstというAndroidスマートフォンは失敗だった。Facebookの本来的なユーザーはコミュニティーとの交流に興味があり、専用ガジェットには興味がなかった。FacebookはTerragraph Wi-FiノードProject ARIESアンテナソーラー発電ドローン、Aquilaなどを開発してきた。また途上国でのインターネット・アクセスの容易化を図る通信衛星の打ち上げも試みたが、残念ながらSpaceXが打ち上げに失敗してしまった。【略】

FacebookのArea 404ハードウェア・ラボ。メカニカル・エンジニアリングの楽園

Facebookが巨大化するにつれて、新しいハードウェアを開発するための資源、人材ともに拡大した。18億人のユーザーを持つFacebookは頭脳インターフェイスであれ、その他どんな新しいアプローチであれ、実験の志望者にもこと欠かないはずだ。

〔日本版〕Regina Duganのテクノロジーに関するTEDでのプレゼンテーション。こちらはDARPA局長時代。なおこのビデオでも分かるとおり、ファーストネームのReginaは「レギーナ」が本人の採用している読み方。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

F8:Android版Instagramにオフラインモード―iOS版は数ヶ月後

6億人のInstagramユーザーの80%はアメリカ国外の居住者だ。こうしたユーザーの多くはネットワーク接続性が低く定額制のデータ・プランも得にくいような環境に置かれている。そこで今日(米国時間4/18)、サンノゼで開催中のF8デベロッパー・カンファレンスでInstagramは機能のほとんどをネットワーク接続がない環境でも利用できるようにしたことを発表した。

新機能の大部分は最新のAndroid版ですでに利用可能だ。iOSバージョンについても数ヶ月以内にリリースされる模様だ。ただしデベロッパー・コミュニティーでは圧倒的にAndroid環境が好まれている。

Instagramのエンジニア、Hendriによれば、ユーザーはオフライン環境でもあらかじめデバイスに読み込まれたフィードを閲覧することができるという。ユーザーはコンテンツにコメントや「いいね!」をつけるなどのリアクションが可能だ。保存やアンフォローなどもできる。これらは次にインターネットに接続されたときにアップロードされる。以前に閲覧していればプロフィール・ページを見ることもできる。Exploreタブやユーザー自身のプロフィールも同様だ。

こうしたアップデートはインターネット接続が得られない環境でも便利だが、途上国でデータ接続プランが高価すぎたり、接続が安定しなかったりする場合に特に効果を発揮する。Instagramが途上国でユーザーを増やすために有効だろう。昨年、 途上国の環境を考慮してFacebookが開発した軽量版のFacebook Liteアプリは1年で2億人のユーザーを獲得した。Instagramがオフライン・モードをサポートしたことに大きな可能性を感じさせる数字だ。Snapchatが途上国ユーザーの存在を無視しがちなのに比べて、Instagramは世界中あらゆる場所で誰もがビジュアル・コミュニケーションへの参加を望んでいることを忘れていないようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

F8:Facebook、React Fiberを発表―JavaScriptのUIフレームワークを完全リニューアル

Facebookはユーザー・インターフェイスを書くために利用されているJavaScriptライブラリ、Reactを根本的にリニューアルしたことをF8デベロッパー・カンファレンスで発表した。これまでFacebookからまったく発表がなかったが、React Fiber(これが新しいReactのプロジェクト名)はしばらく前からFacebookのインターフェイスを動かしていた。Fiberについての噂は昨年から流れていたが、今回FacebookはFiberについて公に語ることができる段階に来たと判断したようだ。

Facebookによれば、この後React16がリリースされればデベロッパーもFiberベースのインターフェイス・ライブラリを利用できるようになるという。すでにFacebook.comで作動しているということは、新しいライブラリはサードパーティーに公開できるレベルに達しているとFacebookでは判断しているはずだ。

これに関連してFacebookではデータ量の大きいアプリケーションを書くためのRelayフレームワークもリニューアルした。

React Fiber

Facebookにインタビューしたところによれば、まずReact Fiberは完全に後方互換性を保っており、現行Reacで書かれたアプリケーションを作動させることができるという。その上でReactをリリースして以来の経験を取り入れて新しいフレームワークを作ったという。Facebookによれば、React Fiberは今後のReactの発展、改良の基礎をなすという。

特に力が注がれたのが、Reactの反応性を高めることだった。私は今週、FacebookのエンジニアでReactのコア・チームの一人、Ben Alpertにインタビューした。AplertによればFacebookのチームは「Reactを開発するときいつも心がけているのはデベロッパーができるだけ素早くアプリを開発できる環境を作ることだ。アプリを開発労力を軽減すると同時にパフォーマンスと反応性を改善できるよう努力している」という。【略】

しかしなぜReactをゼロから書き直したのか?  Alpertは「現行のコード・ベースに問題があったわけではない。しかし将来の拡張を考えると全く新しいコード・ベースに切り替えるのがよいと考えた」と語った。つまり新しいReactは拡張性に優れているということなのだろう。

Alpertは Fiberが基本的に後方互換だとしたが、同時にこれまでのReactのメジャー・アップデートでもそうだったが、現行システムと互換性がない新しい機能がいくつか含まれることも強調した。ただしチームはこれがデベロッパーにとって問題をもたらすことはないだろうと考えている。

Relay Modern

今日、FacebookはFiberに加えて新しいRelayも発表した。これはデータ・ドリブンのアプリを書くためのJavaScriptフレームワークで、Fiberの場合と同様、アップデートの中心は反応時間の短縮などパフォーマンスの改善と拡張性の強化に置かれている。デベロッパーはFacebookのソーシャルグラフ、GraphQLに対してRelayとReactを組み合わせて検索を行っている。

今回発表されたRelay Modernを利用することによってパフォーマンスが改善されるだけでなく現行Relayのいくつかの制限が取り除かれるという。今日の発表で開発チームは「Relay Modernは現行Relayの良い点、つまりコロケーションされたデータやデータ定義を簡単に参照でき、デクララティブなデータのフェッチが可能だという点を維持しながら、APIの使い勝手を改善し、新機能を追加した。さらにパフォーマンスを改善し、フレームワーク自体のサイズも小さくした」と述べた。多くの改善の中で、特に重要なものはスタティック・クエリーと事前のオプティマイゼーションをサポートしたことだという。

スタティック・クエリーというのは簡単にいえば、ランタイムの条件によって結果がそのつど変化しないような検索を意味する。こうした検索は事前に準備してFacebookのサーバーに作動を任せることができる。つまりローカル・アプリで構成された複雑な検索条件をネットワークを介してFacebookに送る必要がなくなる。アプリはクエリー名の文字列を送信するだけ多くの変数を含む複雑な検索結果を素早く得ることができる。これと関連して、事前オプティマイゼーションはRelayのコンパイラがクエリーの構造を事前に知ることができるため、あらかじめ最適化を行いサーバに格納された検索を高速に実行できるようにする。つまりユーザーは検索結果をこれまでより速く得ることができる。この他React Modernにはビルトインのガーベージ・コレクションなどの機能が追加されている。

古いRelayを利用していたデベロッパーにはRelay Modernに移行するための互換性APIが提供される。

Facebookによれば、AndroidアプリのMarketplaceタブを現行Relayから新しいRelay Modernに置き換えたところ、反応時間が平均して900ms短縮されたという。それだけ聞けばたいした改善ではないように思うかもしれないが、モバイル環境では1秒1秒がものをいう。0.9秒の短縮はユーザーがアプリの反応性が良くなったことに十分気づくレベルだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


【以上】

WerckerをOracleが買収、コンテナベースのデベロッパープラットホームに既存大手も着目

コードの試験とデプロイを高速化するオランダのスタートアップWercker登場したのは、2012年だった。そのころはデベロッパーのアプリケーション構築を助ける類似サービス、CloudBees, CircleCi, それに新人のCloudMunchなどが新しいプラットホーム市場を作りつつあった。同社はシードラウンドのあと昨年は、シリーズAで450万ドルを調達した

同社は今日(米国時間4/17)、額面非公開でOracleに買収されたが、それは明らかに同社の、コンテナをベースとするクラウドネイティブな開発自動化プラットホームの魅力だ。

Oracleは今、同社のクラウドコンピューティングプラットホームのためのIaaSとPaaSの基盤を築こうとしているから、Werckerはうってつけのパートナーだ。

WerckerのシリーズAはInkef Capitalがリードし、既存の投資家Notion Capitalが参加した。同社のこれまでの調達総額は750万ドルになる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Googleがモバイルサイトのデベロッパーのための資格認定事業を開始、ページロードのスピードに重点

Googleが今日(米国時間4/31)、モバイルサイトのデベロッパーのための資格認定事業を立ち上げた。試験の範囲は、モバイルサイトの特殊性、モバイルサイトのスピード向上策、モバイルの効果的なUXデザインなど。先進的なWebアプリケーション、といった高度なトピックも含まれる。

この試験に合格することの意義は、Googleによると、“高品質なサイトを作ったり最適化できる能力を示し、自分をGoogle公認のモバイルサイトデベロッパーとして宣伝できる”、だ。

学習案内(study guide)は、サイトのスピードに関する内容が多い。Googleによれば、モバイルサイトを訪れる人の多くが、ロードに3秒以上かかるサイトからは逃げてしまうが、モバイルのランディングページ(サイトの入り口ページ)の平均ロード時間は22秒だ。サイトが完全にロードされないでユーザーが逃げていけば、Googleの主要収入源である広告もクリックされない。

なお、試験はAndroidやiOSなど、特定のモバイルオペレーティングシステムを対象としてはいないが、Google独自のAccelerated Mobile Pagesプロジェクトはカバーしている。Google独自といっても、最近は多くの他社がこれをサポートし始めている)。

この新しい資格認定は、前からあるAdWordsやAnalyticsの試験と並んでGoogleのパートナー事業の仲間入りをする。ただしAdWordsは、試験が複数あるので、やや面倒だ。


[ページをスクロールさせるなどのアニメーションを実現するJavaScriptは何ミリ秒以内なら妥当か]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Appleがインドにアプリデベロッパーを育てるアクセラレーターをオープン、すでにその成果を報告

Appleはインドのエコシステムへの投資としてベンガルールに、アプリのデベロッパーを育てる最初のアクセラレーターApp Accelerator開く。同社がこのアクセラレーター事業を発表したのは、2016年の5月だった。

参加を登録したデベロッパーは、インドのAppleのチームから支援を受ける。Appleのエンジニアたちが、フィードバックやベストプラクティス、そしてツールを提供する。プレゼンテーションの機会もある。

この事業の対象者として選ばれたら、毎週Appleとの1対1のミーティングで自分のアプリについて話す。このやり方でより有益なアプリがインドから生まれることを、同社は期待している。

Appleの世界マーケティング担当SVP Philip Schillerが声明文の中でこう述べている: “インドに旺盛な起業家精神があることに感動しており、世界中の顧客と彼らのイノベーションを共有するためのプラットホームを、これらのデベロッパーたちに提供できることを喜んでいる。ベンガルールのApp Acceleratorでは、最初のわずか数週間で、すばらしいデベロッパーたちに会うことができた。彼らはゲームのPractoやRelianceをはじめ、インドと全世界の顧客のニーズを満たす革新的なアプリを作っている”。

Appleがこのようにインドのテクノロジーコミュニティとの事業を立ち上げる際、比較的オープンなやり方を採っていることが、興味深い。また、この事業の最初の国としてインドを選んだことも注目に値する。しかし世界には、Apple以外にも、アプリデベロッパーのためのさまざまなアクセラレーターがある方が、望ましいのではないかな。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Cloud Foundryがクラウドネイティブのスキルを涵養するためデベロッパー資格認定事業を開始

Cloud Foundryは大規模なオープンソースプロジェクトで、企業はこれを利用して自社専用のPaaSをホストし、自分のデータセンターやパブリッククラウドでクラウドアプリケーションを動かす。同社は今日(米国時間3/29)、そのためのデベロッパーを育成するため、“Cloud Foundry Certified Developer(Cloud Foundry認定デベロッパー)”事業のローンチを発表した。

Cloud Foundry Foundationはこれを、“世界最大のクラウドネイティブデベロッパーの資格認定事業”、と呼ぶ。その成否を今から云々することはもちろんできないが、すでにDell EMC, IBM, SAP and Pivotal(Cloud Foundryのインキュベーター)などが支援している。同社はLinux Foundationとパートナーして、そのeラーニングインフラストラクチャから資格認定事業を提供していく。〔*: クラウドネイティブ, 既存の何かをクラウド化するのでなく、最初からクラウド上で動くものとして開発すること。〕

目に見える資格認定があれば、デベロッパーはオープンソースのクラウドに関する自分のスキルを他に示すことができる。この事業は、現在Cloud Foundryをサポートしている大手のパブリッククラウドプラットホームすべてを対象とする。それらは、Huawei, IBM, Pivotal, SAP, Swisscomなどだ。

約4時間で終わる300ドルの試験は、Cloud Foundryの基礎、クラウドネイティブなアプリケーションのセキュリティ、アプリケーション管理とコンテナの管理などをカバーし、また、JavaやNode.js、Rubyなどで書かれたシンプルなアプリケーションの書き換えも試験に含まれる。範囲がきわめて広いと思われるが、でもこれだけの分野で有能なデベロッパーなら、仕事を見つけるのも早いだろう。

Cloud FoundryのCTO Chip Childersが今日の発表声明で言っている: “企業はクラウドネイティブなアプリケーションを構築し管理できるデベロッパーを必要としており、そしてデベロッパーは仕事が必要だ。弊社はそこにある大きなギャップに着目し、デベロッパーとエンタープライズの両者が必要とするものを提供することを、弊社の機会と認識している”。

この事業の立ち上げは、必ずしも意外ではない。Childersはすでに昨年の11月に、これを今準備中、と語っていた。

この資格認定事業は今はベータで、一般供用は6月13日からになる(その日はCloud FoundryのSummit Silicon Valleyカンファレンスの初日で、そこでデベロッパーは個人でこの試験を受けられる)。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

スクープ:Facebook、F8カンファレンスでMessenger向けグループボット発表へ

FacebookはF8デベロッパー・カンファレンスで新しいグループチャット・ボットを発表する予定だと判明した。このボットはFaceook Messenger内で作動し、ユーザーにリアルタイムでニュースなど有用な情報を提供する。コンテンツにはスポーツの試合経過、通販の商品配送情報などが含まれるという。Facebookの開発状況に詳しい3人の情報源がこのことを確認した。

FacebookはMessengerボットの発表のためにトップクラスのチャットボットのデベロッパーと緊密に協力しているという。またFacebookはデベロッパーが独自にボットを作れるようAPIセットを公開する。もちろんFacebookの広報担当者は私の取材に対して「われわれは噂や推測にコメントしない」と決まり文句の返事をしてきたが、TechCrunchの情報源はわれわれがつかんだ事実を確認した。

たとえばフットボールのファンからなるMessengerグループの場合、スレッドにスポーツ・ボットを加えることができる。このボットは刻々の点数、ビッグプレイ、その他試合の進行に関連する情報を配信してくれる。eコマース・ボットであれば、職場にランチが配達されるところであると伝えてくれる。グループのメンバーはいつまでも腹を空かしている必要がないことを知って安心できるだろう。

Facebook MessengerにはすでにtheScoreのようなスポーツメディアやNBAのSacramento Kings、またピザ配達のDominosなどと協力してこうした情報を配信している。

グループ・チャットボットの発表はFacebookからMessengerボットが昨年のF8で公開されたときすでにTechCrunchが指摘した問題に対する解答だ。

まずこのグループ・ボットは「本物の人間のふり」をするのは止めて、リアルタイムのニュースメディアとして振るまう。そういう意味ではこれは「チャットの相手」という意味のチャットボットではない。他のチャットボットのようにユーザーが1対1で会話することはできないので、むしろ「インフォメーション・ボット」と呼んだほうがいいだろう。

AIテクノロジーが不十分なため人間の質問を正しく理解できず、ユーザーはFacebookのチャットボットに失望気味だ。FacebookのMessengerの責任者、David Marcusは TechCrunch Disruptで、「〔ボットの能力が〕あっという間に過大評価されてしまったのが問題だった。われわれが当初提供したボットの能力はもっと伝統的なユーザー・インターフェイスを上回るものではなかった」と認めた。

そこでグループボットの目的は人間のようにふるまうという圧力から解放され、「会話の相手」という役割にこだわらず特定の役割を効果的に果たす仕組に切り替えられた。

第2に、これまでボットというのは利用のきっかけが得にくいサービスだっため、グループチャットはバイラルにボットの利用を広げるプラットフォームととらえ直された。

現在ユーザーがボットを利用するにはMessengerの検索ボックスにボットの名称を入力する必要がある。どういうボットが利用可能なのか全体を眺める方法は事実上ない。そこで企業がボットを開発しても、利用してもらうためにはニュースフィードへの広告掲出などによってユーザーの頭に正しい名称を刻み込む必要がある。これはマーケティングとしてなかなか困難な目標だ。そこでサードパーティーによるBotlistのようなサービスが登場する。

今回のグループボットは1人が設置すれば他のメンバーにも見える。メンバーは自分の他のスレッドにも導入することになり、そのスレッドの他のメンバーもボットボットの存在を知ることができる。こうしたバイラルな発見によりボットのユーザーと同時にボット・プラットフォームそのものを拡大する。これはチャットボットの開発により多くのデベロッパーの参加をうながす効果があるだろう。

ただし、ユーザーがどのようにしてボットの存在を知るのか、Messengerのグループに追加するのか、具体的な手順はまだ明らかでない。Facebookには今のところボットストアや「おすすめのボット一覧」のようなサービスは存在しない。しかし来月18日、19日にサンノゼで開催が予定されているF8デベロッパー・カンファレンスではボットの発見を容易にするなんらかのメカニズムが発表されるはずだ。われわれはカンファレンスに参加してFacebookの発表について報告する予定だ。

将来は本当に人間と会話ができる人工知能も出現するだろうが、Facebookが当面、グループボットをメディア的な存在として扱うことにしたのは賢明だ。

画像: Bryce Durbin/TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Google、データサイエンス、機械学習のKaggle買収を確認

今日(米国時間3/8)、Googleはデータサイエンスと機械学習をオンラインでホスティングするKaggleを買収したことを発表した。TechCrunchでは昨日、GoogleがKaggleを買収するという情報があることを伝えたが、これは事実であると確認された。

この発表は現在サンフランシスコで開催中のGoogle Cloud Nextカンファレンスで行われた。ただし買収金額などの詳細は明かされていない。そうではあってもGoogleがKaggleを傘下に収めたこと自体は驚きではない。Kaggleのプラットフォームを利用するデータサイエンティストが10万人単位で存在するため、同社の買収はGoogleのAIコミュティーでの地位を大きく高めるだろう。Googleはクラウド事業でAmazonと正面から競争を挑む展開になってきたため、可能な限り有利な条件を整備する必要があるはずだ。

Kaggleの買収によってデータサイエンティストの間でもGoogleブランドはいっそう権威を高めそうだ。もちろん同社はTensorFlowプロジェクトなどで機械学習のコミュティーの有力なメンバーだが、自動運転やディープ・ラーニングなどで人工知能が現実に応用される例が増えるにつれて競争は激化している。こうした新分野では大小を問わず多くの企業にチャンスがある。人間の最強棋士を破ったアルファ碁が劇的に示したような進歩が他社に起きれば、少なくとも可能性としては、AI分野におけるトップクラスの地位からGoogleが押しのけられることになる。

Kaggleの買収は、同社のAIコミュニティーにおける影響力を考えるなら、人材獲得の面でもGoogleにメリットをもたらすだろう。GoogleはPinterest(画像検索テクノロジーに力を入れている)などと競争していくために、今後ますますディープ・ラーニング分野でトップクラスの人材を必要とする。Kaggle買収は同社の高度なテクノロジーを取得できたことはもちろんだが、GoogleがAI分野全般での地位を高めるという目的もあったに違いない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+