夜中に注文して出勤前受け取りも可能、Amazonが米国一部都市での同日配送を高速化

Amazon(アマゾン)は米国時間3月3日朝、同日配送をさらにスピードアップさせる取り組みを発表した。フィラデルフィアやフェニックス、オーランド、ダラスなど米国のいくつかのマーケットに「ミニ・フルフィルメントセンター」と呼ばれる配送センターをマーケット近くに設置した。新施設のあるこれらのエリアでは同日配送にかかる時間をわずか数時間にすることができる。

顧客は、何十ものカテゴリーにわたる「Today by」と記された300万ものアイテムのリストから注文できる。このサービスは現在展開されている同日配達とは少し異なり、注文時に配達時間帯を選ぶようになっている。プライム会員はAmazon.comをブラウジングしながら気になる品がどれくらいの時間で玄関先まで配達されるのかを確認できる。

また新サービスでは、例えば夜の配達を予約するために朝にオンライン注文しなくても、終日買い物ができるようにする。加えてプライム会員は「ひと晩、朝8時までの配達」を選ぶと、真夜中に注文して翌朝に受け取ることもできる。この場合、ドライバーは午前4時半〜午前8時の間にやってくるので、出勤する前に商品が届くこともある。

Amazonはまた、顧客の近くに施設を設置することでドライバーが配達のためにさほど移動しなくてもよくなり、二酸化炭素の排出を減らせるという。これは航空機による輸送も減らすことになり、クラウドソースによるAmazon Flex programを介するなどしてより多くの配達業務の雇用を生み出せる、としている。

同日配達サービスの拡充は、Walmart(ウォルマート)やTarget(ターゲット)といったライバルとの競争で優位に立つためのものだ。両社ともオンライン注文をさばくのに、カーブサイド・ピックアップや配達など客に便利な方法の提供でローカル店舗を活用している。例えばWalmartの店舗は、米国住民90%の10マイル以内にある。これはAmazonに対して競争力のあるアドバンテージだった一方で、Amazonはフルフィルメントセンターの多くを郊外に置いている。顧客の近くに店舗を展開していることは、特にオンライングローサリーで競う際に役立つ。そのためAmazonはWhole Foodsを買収した。

Amazonは2019年、プライム会員向けの配送を2日から1日にすることを約束し、プライム会員向けの配達の遅れをなくすよう取り組んでいると述べた。ローカルマーケットにミニ・フルフィルメントセンターを置くことで、これまでよりもっと早くプライム会員にサービスを提供できるようになる。

Amazonは現在、プライム会員の35ドル(約3750円)以上の購入商品を無料で、35ドル以下の場合は送料2.99ドル(約320円)で同日配送している。既存の同日配送サービスのPrime Nowでは商品2万点のみが対象だ。300万点を取り扱う新サービスにより、商品点数がかなり拡充されることとなる。プライム会員サブスクでは、年間119ドル(約1万2750円)で1000万点ものアイテムを2日配送で届ける。Amazonは2020年2月、サブスク利用者ベースが1億5000万人に増えたとしている。

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(翻訳:Mizoguchi

アマゾンがインドのフードデリバリー市場にまもなく参入か

インドのフードデリバリー市場では、数週間前にUber(ウーバー)が地元大手のSwiggy(スイッギー)とZomato(ゾマト)に敗北したことを認め、撤退した。そして今度は別の新しいプレイヤーが、SwiggyとZomatoの2社が市場の大半を占めている厳しい市場に挑戦する準備をしているという。その新しいプレイヤーとは、Amazon(アマゾン)だ。

画像:Pradeep Gaur / Mint / Getty Images

Amazonは今後数週間以内にインドのフードデリバリー市場に参入する計画だと、情報筋はTechCrunchに語った。このサービスはAmazonのPrime NowまたはAmazonフレッシュの一部として提供され、3月にも開始される可能性がある。

このビジネスがまだ非公開であることを理由に情報筋が匿名を条件として語ったところによると、Amazonは開始に向けてバンガロールにあるいくつかのレストランをパートナーとしてフードデリバリーサービスのテストをしてきた。

ここ数四半期、Amazonはフードデリバリービジネスに取り組んでいて、以前はインドの大きな祭りで10月または11月に開催されるディワリの時期にサービスを開始しようとしていた。これが遅れた理由は不明。

Amazonの広報はTechCrunchに対し「我々はお客様のために革新を起こし、お客様の新しいエクスペリエンスを生み出している。この信念の一環として、常に新しい分野やチャンスを検討し、お客様とつながりを持ちサービスを提供している。今後何か進展があれば発表する」と述べた。

TechCrunchでは、インドのレストランのパートナーとの間で交わされた何らかの合意を確認することはできなかった。インドのレストランの多くはオンラインのフードデリバリー事業者に対し、不満を募らせている

Amazonがフードデリバリー市場に参入するとなれば、Prosus Venturesが支援するSwiggyとZomatoにとっては新たなライバルとなる。Zomatoは10年前に創業したスタートアップで、1月にUber Eatsのインドでの事業をおよそ1億8000万ドル(約195億円)で買収した。

SwiggyとZomatoは両社の合計で20億ドル(約2200億円)以上を調達しているが、まだ黒字にはなっていない。新規顧客の獲得と既存顧客の維持に、毎月1500万ドル(約16億円)以上をつぎ込んでいる。

India QuotientのVC、Anand Lunia(アナンド・ルニア)氏は最近のポッドキャストの中で「フードデリバリー企業の選択肢は少なく、自社プラットフォーム上のフード商品のコストの一部を負担し続けていかなければ顧客の大半は商品を購入することはできない」と語った。

インドで採算をとるのは、米国などの先進的な市場に比べると難しい。バンガロールを拠点とする調査会社RedSeerの試算によれば、米国ではデリバリーの単価は約33ドル(約3300円)だが、インドでは同等のデリバリーの単価は4ドル(約440円)だという。

おそらくこのことが、ここ数年、SwiggyもZomatoもフードデリバリー以外の事業に手を広げてきた理由だ。Swiggyは現在、インド最大のクラウドキッチンのネットワークを運営していると述べており、フード以外の多くの商品のデリバリーも始めている。Zomatoは「Project Kisan」と称して生鮮食品を農家や漁師から直接調達し、レストランに対する食材供給のコントロールを試みている。

Amazonがインドでフードデリバリービジネスを成長させるのは簡単ではない。Swiggyの1社だけで、インドの520以上の都市で事業を運営し、16万以上のパートナーを得ている。

現地時間219、Swiggyは最新の資金調達に関する発表の中で、毎月1万のペースでパートナーを増やしていると述べた。RedSeerによれば、昨年末時点で42億ドル(約4600億円)だったインドのフードデリバリー市場は厳しい状況にあるという。

Amazonは独自のロジスティクスチェーンと地元の多くの店舗との提携により、インドで密度の高い配送ネットワークを確立してきた。

Amazonの動きは、インドでの最大のライバル、Flipkart(フリップカート)が食品小売ビジネスに参入するのと時を同じくしている。Flipkartは昨年、同社の株式の大半をウォルマートに160億ドル(約1兆7300万円)で売却した。FlipkartグループのCEO、Kalyan Krishnamurthy(カリヤン・ クリシュナムルティ)氏が昨年10月にTechCrunchに述べたところによると、同社は食品小売に特化した「Flipkart Farmermart Pvt Ltd」という会社を登記した。

クリシュナムルティ氏は、同社が食品小売に参入するのは「インドの農業や食品加工産業を成長させるための、我々の重要な取り組みのひとつ」だと述べ、すでに多くの小規模農家と提携しているという。Flipkartは新事業にすでに2億5800万ドル(約280億円)を投資している。1月には新鮮な野菜と果物の配送をテストしたと、インドの新聞、Economic Timesに報じられた。

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(翻訳:Kaori Koyama)

新型コロナの影響でアマゾンもGDC 2020への出展を取り止め

GDC(Game Developers Conference)のトップスポンサーによる、サンフランシスコのゲームカンファレンスへの参加の辞退が続いている。Amazon(アマゾン)は米国時間2月28日、同イベントに出展しないことを発表した。

アマゾンはアップデートの中で、カンファレンスで詳細を発表する予定だったニュースを共有するための「グローバルオンラインイベント」を実施することを明らかにした。

Amazon Game Techは、2020年のGDCのダイヤモンドパートナーであり、同カンファレンスのスポンサーが「GDCの成功に不可欠な役割を果たす」ことを示す名称だと、同社のウェブサイトには記されている。現時点で正式に撤退していないパートナーはIntel(インテル)とNvidia、Google(グーグル)だけだ。

Facebook(フェイスブック)、ソニー、Microsoft(マイクロソフト)、Unity、Epic Gamesは 「COVID-19(新型コロナウイルス)」 の感染拡大をめぐる懸念から、同カンファレンスに参加しない。そして今、Amazonが撤退企業に加わった。

TechCrunchは、イベントへの参加を表明している他のスポンサーにコンタクトをとっている。

@beccahalstedtが指摘しているように、赤いスペースの企業は正式に撤退した。

今後、GoogleやAmazon、Intel、Nvidiaが撤退するとしても、驚かないだろう。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Amazon Transcribeで個人情報を自動差し替えできるように

AWSベースの書き起こしサービスのAmazon Transcribeが米国時間2月27日の午前、小さいながら重要な新機能をローンチした。その実装が正しければ、通話記録の書き起こしから個人情報を自動的に隠すことができる。

Amazon Transcribeの最も一般的なユースケースは、顧客からの電話を書き起こすことだ。ほとんどの場合、通話中に名前や住所、クレジットカードの番号などの情報が伝えらえれる。私の経験では、コールセンターの中にはクレジットカード番号を伝えようとすると録音を停止するところもあるが、必ずしもそうとは限らない。

この新機能では、Amazon Transcribeは自動的に社会保障番号、クレジットカード番号、銀行口座番号、名前、メールアドレス、電話番号、郵送先住所などの情報を識別し、それを編集できる。実際には、これらの情報は「PII」という文字列に自動的に置き換えられる。

もちろん、既存のドキュメントからPIIの文字を取り除くツールも存在する。しかし多くの場合、それらはデータ損失防止ツールに力を入れており、外部の人とドキュメントを共有する時に、データが外部に漏れないことを目的としている。新しいAmazon Transcribeツールでは、少なくとも一部のデータは共有できない(もちろん、録音した音声のコピーを保管しない限り)。

現在、Amazon Transcribeは31言語をサポートしている。そのうちの6言語は、キャプションやその他のユースケースのために、リアルタイムで書き換えることができる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

CircleCIとAWS GovCloudが協力して米国政府のアプリ開発のモダナイズを支援

民間企業と同じく合衆国政府も今はワークロードをクラウドへ移す過程にあり、ともに同じような課題に直面している。米国時間2月25日、継続的デリバリーサービスのCircleCIが、AWS GovCloudとのパートナーシップを発表し、AWSの政府向けプラットホームを使っている連邦政府機関のアプリケーション開発のモダナイズを支援していくことになった。

CircleCIのCEOであるJim Rose(ジム・ローズ)氏は「サーバーをわが社のオンプレミスで動かし、それを政府の顧客がAWS GovCloud上の専用の純粋なクラウドリソース上で動かすかたちになる」と語る。

GovCloudは、専用のシングルテナントクラウドプラットホームであり、そこで政府機関はFedRAMP準拠の安全なクラウドソリューションを作ることができる。また、ほかのクラウドベンダーにも同様のサービスがある。FedRAMPは、政府のためのセキュリティスタンダードの集合で、クラウドベンダーが連邦政府の仕事をするときには必ず準拠しなければならない。

CircleCIは、開発チームに急速なサイクルでアプリケーションに変更を行うための継続的インテグレーションと継続的デリバリー(continuous integrationとcontinuous delivery、CI/CD)パイプラインを構築する。

「GovCloudがあることによって、政府機関が求めているオンプレミスと同じレベルのセキュリティとサービスを、専用のシングルテナントのクラウド環境で提供することができる」とローズ氏は説明する。

また、ローズ氏によると、クラウドアプリケーションの構築には多くのステップがあるが、同社が提供するのは継続的デリバリーのパイプラインという基本部分だけだという。他の関連サービスは提供しない。彼が言うように、1〜2年に1回アップデートするだけのレガシーなメインフレームアプリケーションならCircleCIの出番はない。しかし開発環境をモダナイズしようとしたときには、同社のサービスが大きな助けになる。

さらに 「現代的なクラウドアプリケーションの開発工程では、1日に数百回も変更を加えることがある。しかも多くの場合、変更のソースはとても多人数が関わっており複雑で、マニュアルな管理はほぼ不可能なのだ」とローズ氏はいう。

同社はかつて、中小企業庁(Small Business Administration、SBA)の仕事をしたことがあるが、今後はそのときと同じように、省庁を直接相手にすることになるだろう。またときには、システムインテグレーターやAWSも関わってきて、彼らが大きなRFP(業者への提案依頼書)に載っていることもあるはずだ。

政府の仕事では、そこから論争が生じる場合があることも、ローズ氏は承知している。ChefでもSalesforceでもGoogleでも、一部の社員が国防総省(DoD)や移民局(ICE)の仕事はしたくない、とごねたことがある。そこでCircleCIは、国民との対話を改善する意思のある省庁の仕事に集中し、他の省庁とはお近づきになりたくない、とローズ氏はいう。

「我々のような立場は、政府の問題に深く関われるわけではないが、彼らの一部になるのではなく、常に集団の先頭に立っていたい。商用の仕事でも、政府系の仕事でも越えてはならない一線というものを、常に意識していたい」と決意を述べる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Amazonが初のレジなし食品スーパーをシアトルに出店

米国時間2月25日、Amazonは同社初の食品スーパーを開店し、レジのない 「Just Walk Out(そのまま店を出る)」テクノロジーのパイロットテストを行う。この方式は全米の主要都市のコンビニエンスストアAmazon Go、25店舗ですでに利用されている。Amazonのお膝元シアトルに新しく開店したAmazon Go食料品ストアでは生鮮野菜、肉、魚、パン類、家庭用品、乳製品、簡単ディナー製品、ビール、ワイン、蒸留酒などが販売される。

売り場面積は約715平方メートル、店舗全体では966平方メートルで、AmazonのJust Walk Outテクノロジー導入店舗としては最も広い。

コニビニエンスストアのAmazon Goと同じく、利用者は入店時にAmazon Goアプリを使ってスキャンしたあと、普通に買い物をする。カメラとセンサーが棚から離れた商品を追跡し、利用者のバーチャルカートに追加していく。利用者が店を出ると、カートは登録済みの支払いカードを使って自動的にチェックアウトされる。

それは行列もレジもない食品スーパーだ。店員は、棚の補充やカスタマーサービスなどほかの仕事に専念できる。

このモデルは、客が商品を取ってすぐに出ていくコンビニのAmazon Goではうまく機能している。しかし食料品の販売はAmazonのレジなしテクノロジーにとって新しい挑戦だ。食料品の買い物客は概して商品を慎重に選ぶ。生鮮食品を手に取り、指で押してから棚に戻すこともある。商品を2つ手にとってラベルを見比べてから1つをカートに入れ、もう1つを棚に戻すこともある。ときには間違えた場所に戻すことも。気が変わったとき、正しい位置に戻さず別の通路に戻す客もいる。

従来の食品スーパーではこれは問題にならない。別の客が場所を間違えた商品を取ったとしても、レジで正しく計算される。しかしAmazonのテクノロジーは、商品の識別に苦労するかもしれない。

シアトル店はAVA Capital Hill(610 E. Pike Street)にある。営業時間は月曜日から木曜日は午前7時から午後11時、金、土、日曜日は午前7時から深夜0時までになっている。

通常の食料品に加えて、同店舗ではオーガニック製品や特選品も取り扱う。地元ブランドのLa Parisienne、Donut Facttory、Tony’s Coffee、Seattle Bagel Bakery、Lopez Island Creamery、Ellenos Yogurt、Uli’s Fmous Sausage、Beecher’s、Eat Local、Sri Bella、Carso’s Pasta Company、Theo Chocolateの商品も販売される。

Amazonが傘下のWhole Foodsとは別に食品スーパーを開業するという情報は2019年から出回っていた。しかし、Amazonの食品スーパー計画がレジなしAI技術を使うのかどうか、新店舗は通常の食料品店に加えてAmazonの食料品配達ビジネスのハブとしても機能するのかどうかなどはわかっていなかった。

Amazonは自社のレジなし技術をどこまでスケーリングできるかを試したいのだろう。しかし数カ月、数年のうちにあと何店舗つくりたいかはまだわかっていない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Amazonのゲームストリーミング「Twitch」視聴者は2021年に4000万人超との予測

米国時間2月20日に公表されたeMarketerの最新の予測によると、Amazonが提供するゲーマー向けストリーミングサービスのTwitchは、来年には月間アクティブ視聴者が4000万人を超える見込みだという。2023年には4700万人に達すると予測されている。eMarketerは、現時点で月に1回以上視聴する米国内の人数は3750万人と推計している。

Twitchは公式サイトで、月間アクティブクリエイターは300万人以上、視聴者は1日平均1500万人以上と発表している。しかし同社は分単位の視聴時間や同時視聴者数を重視して、規模と成長を表現している。

Twitchは米国で新規視聴者を増やしているが、今回発表された予測ではYouTube、MicrosoftのMixer、Facebook Gamingなどの競合が厳しくなった影響で成長が鈍化しているとされる。このことは先月発表された別のレポートでも裏付けられている。それによればTwitchから人気ストリーマーが流出し、2019年第4四半期にはこのことが視聴時間やストリーミング配信時間に影響を与え始めているという。

流出によってTwitchがナンバー1の座を明け渡したわけではないが、主要な数値を見ると成長のスピードは落ち始めている。

例えば昨年、トップストリーマーのTyler “Ninja” Blevins(タイラー「ニンジャ」ブレヴィンス)とMichael “Shroud” Grzesiek(マイケル「シュラウド」グゼシェック)がTwitchからMixerへ流出した。Jack “CouRage” Dunlop(ジャック「カーリッジ」ダンロップ)はYouTubeに、Jeremy “Disguised Toast” Wang(ジェレミー「ディスガイズド・トースト」ワン)とGonzalo “ZeRo” Barrios(ゴンザロ「ゼロ」バリオス)はFacebook Gamingに流出した。人気ユーチューバーDavid Dobrik(デイヴィット・ドブリック)のビデオに登場するチーム「Vlog Squad」のメンバーの1人、Corinna Kopf(コリナ・コップ)も12月末にTwitchからFacebookに移籍した

流出は2020年第1四半期も続き、Ronda Rousey(ロンダ・ラウジー)が2月はじめにFacebook Gamingと独占契約を交わした

このように流出が続いているにもかかわらず、eMarketerは2020年にTwitchが米国で前年比14.3%増と2桁成長を見せると予測している。ただし、2018年から2019年の成長が23.5%増だったのと比べると、成長の度合いは少ない。そして今後は成長の鈍化が続き、2023年には6.3%増にまで低下すると予測している。

eMarketerのレポートでは、ライバル各社が人気ストリーマーに好条件で移籍を働きかけているが、Twitchは流出を防ぐ必要があると強調している。またゲーム以外に広げていくための投資を続ける可能性もある。2019年はゲーム以外のトラフィックが相当多く視聴されたからだ。例えばStreamElementsによると、Twitchの「雑談」カテゴリーは、12月にはあらゆるゲームを上回って最も多く視聴され、1月も第2位だった。

eMarketerの予測アナリストのPeter Vahle(ピーター・ヴァール)氏は「(Twitchの)プラットフォームはライブストリーミングビデオ、そしてストリーマーと視聴者の交流を意図して作られている。こうした特徴は、ゲーム以外のコンテンツクリエイターにとって間違いなく興味をひかれるものだ」と指摘する。

調査会社がTwitchを定期的に見ている人数を推計したのは初めてだ。これは、Twitchが大きく成長しているという判断に基づくものだろう。

ヴァール氏は次のように述べている。「Twitchは大きくなりすぎて、インターネットの巨大企業にとって無視できない存在になった。Facebook、Google、Microsoftなどの巨大プラットフォームが、人気ストリーマーやeスポーツのリーグとの大型契約をめぐって争っている。魅力のある選択肢が増えてきた今となっては、Twitchはストリーマー、そして視聴者と広告主が自社のプラットフォームを使い続けてくれるように働きかけていく必要があるだろう」。

Twitchが視聴者数を増やす方策がもうひとつ考えられる。eMarketerのレポートでは触れられていないが、親会社であるAmazonとの協業だ。

AmazonのFire TV責任者、Marc Whitten(マーク・ウィッテン)氏は1月にTechCrunchに対し、Fire TVの2020年の計画に関する話の中で「Fire TVでのTwitchの視聴は、2019年にこれまでで最大の成長を見せた」と語った。

AmazonはTwitchとFire TVをさらに効果的に統合する方法を検討している。Fire TVのホームページにライブコンテンツが統合され、Twitchはライブストリーミングサービスだ。Fire TVの月間ユーザーは今や4000万人を超え、Amazonはちょっと方針を変えれば多くの視聴者を簡単にTwitchに送り込めるだろう。

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(翻訳:Kaori Koyama)

「ストリーミング戦争」の正体:Disney、Netflix、Amazon、Appleなど各社徹底解説

編集部注:本稿は米国スタートアップやテクノロジー、ビジネスに関する話題を解説するPodcast「Off Topic」が投稿したnote記事の転載だ。

自己紹介

こんにちは、宮武(@tmiyatake1)です。普段は、LAにあるスタートアップでCOOをしています。これまでは、日本のVCで米国を拠点にキャピタリストとして働いてきました。普段は、Off Topicのポッドキャストでも発信してますが、前回の記事が好評だったので、今回は「ストリーミングサービス事情」について記事にしてみました。

はじめに

2019年から2020年にかけて多くのプレイヤーが参入してくるストリーミング事業。Netflix、Amazon、HBO、Huluなどプレイヤーがいるなか、昨年11月にはDisney+、さらにAppleがApple TV+も登場。2020年はHBO Max、NBCUniversalが自社ストリーミングサービスのリリースを予定しており、元Disney会長のJeffery Katzenbergが始めた「Quibi」もリリース予定と、競合がかなり増えている。

このストリーミング戦争のポイントは、Netflix以外のプレイヤーはコンテンツやストリーミングでマネタイズする気がなく、ストリーミングはただ一つのユーザー獲得・ロイヤリティーチャネルでしかないことだ。利益率がより高い各社エコシステムへ導く戦争となっている。

これをDisney+が一番上手にやっているため、まずはDisney+の話から紹介し、続いて他社プレイヤー(Amazon Prime、Apple TV+、HBO Max)、最後にNetflixの状況について紹介していきたい。

TLDR

まずは、各プレイヤーと全体の流れのポイントをまとめると:

・「ストリーミング戦争」は存在しない。ストリーミングをきっかけに各社(Netflix以外)はユーザーを自社エコシステムに入れて別でマネタイズしている
・現段階では、Disney+とこれからリリースされるHBO Maxがパワープレイヤーに見える
・Netflixは5〜10年後には無くなっているかもしれないが、グローバルでは優位性はまだある
・Netflix/Spotifyのようなピュアプレーは厳しいビジネスになるかもしれない

Disney+(ディズニー・プラス)とは

Disney+(ディズニー・プラス)はDisneyの自社ストリーミングサービスで、Disney、Pixar、Marvel、Star WarsなどDisneyの作品を月額課金で見放題のストリーミングサービス。

価格は月額7ドルだが、3年契約は月額4ドル。Verizon利用ユーザーは1年間無料。競合のNetflixの月額13ドル(一番人気プランが)と高く感じる。

Disneyが大きなリスクをとってストリーミングを始めた理由は?

Disneyは「世界のトップメディア企業」といっても過言ではない。過去10年のDisneyの実績を振り返ると:

・$1B以上の売上を達成した映画を25作(他社を合計して13作)
・$2B以上の売上を達成した映画を3作(他社は0作)
・歴代最高売上の映画を製作
・10年中8年は年間のトップ映画を製作
・Baby Yodaを作ったw

圧倒的なコンテンツ力は、Star WarsやMarvel、Foxなど有名IPを買収したからでもあるが、本当にすごいのは、上手に自社エコシステムへ取り組んでいること。
これまでのビジネスモデルは、AmazonやNetflixへコンテンツの放映権を渡す形で、フィーだけでも約$5Bの売上とほぼ粗利。では、そのDisneyはなぜ大きなリスクを取って自社ストリーミングサービスを始めたのか?

2017年7月、Disneyはストリーミング技術を持っているBAM Technologiesを$3.75Bの時価総額で買収した。今回、オリジナルコンテンツ制作のために何千億円と払い、さらにNetflixや他社ストリーミングサービスからDisneyコンテンツを引き戻すためにも大金を払っている。

今回のDisneyの行動を見ると、社運を賭けたようにDisney+を推している風に見える。逆に言うと、失敗するとかなりDisney全体・株価に影響することになるだろう。

Disney+の戦略 Disney-as-a-Service

Disney+の安いプランで月額4ドルと聞くと、Disneyは儲ける気がなさそうに見えるが、事実儲ける気がない。
つまり、低価格設定はユーザー獲得のためであり、小売業界でも同じことが起きたように直接(ダイレクト)にユーザーと関係を作りたいのだ。今まで映画館やテレビ、Netflixなど他社のプラットフォームでは取得できなかった、顧客の趣味嗜好がわかるようになる。例えば、どのDisneyキャラクターや作品が好きかがわかるようになり、コンテンツやマーチャンダイズの判断はもちろん、Disney商品や体験のクロスプロモーションが可能となる。

このクロスプロモーション戦略は、最近のDisneyが考えているものではなく、創業者のウォルト・ディズニー氏本人も考えていたことだった。最初のテーマパークが作られた1年後に描かれた戦略の中心にはコンテンツスタジオがあり、テレビや音楽、漫画、雑誌などに繋がり、そこから全てのビジネスがマーチャンダイズ事業とテーマパーク事業に繋がっていくと50年前以上前から生み出していた。

たしかに、Disney+の値段を4ドル値上げして一人当たりから追加で毎年50ドル取るより、一人でも多く$1,000の年間パスや$5,000の家族クルージング旅行を買ってもらった方が儲かる。この戦略はすでにDisneyは映画で行っている。2018年だけでDisney Parks and Resort部門(テーマパーク事業)は映画部門の2倍の売上と1.5倍の粗利を出している。Disneyのアセットをフル活用するには、自社でストリーミングサービスを持つしかなかった。Disneyはこの個人データの価値を圧倒的に評価しているため、ストリーミング事業なんて無料で提供しても問題ないのだ。

今のDisneyのアセットを見ると、過去ウォルト・ディズニー氏が描いたチャネルやIPが変わったかもしれないが、テーマパーク事業自体はあいかわらず強い。

Disneyテーマパークの2018年売上が$20B、営業利益率が18%、年々10%成長。代行品がないため、価格弾力性が小さい。LTV/CACも良い数字になっているだろうし、メディアより遥かにマネタイズが出来るビジネス。

このコンテンツ力、そしてコンテンツをより単価の高いオフライン事業や体験事業に流し込む戦略は正に「Disney-as-a-Service」と言えるだろう。

他社にはできないDisney+の強みとは?

まず、他社ストリーミングサービスと比較して明確にプロダクトの強みを伝えられている。Disney+は知名度はあったが、それでもDisneyは何を提供するかを常に表現するようにしていた。アメリカではDisney+ロゴだけではなく、『Disney + Pixar + Marvel + Star Wars + National Geographic」と記載がほぼ必ずあった。

これは明確にどのコンテンツを提供できるかを上手く伝えていて、さらにStar Warsの新番組「The Mandalorian」をプロモーションする広告でも他のIPブランドを並べている。簡単に見えるが、これは競合は上手く出来ていない。

Apple TV+は何を提供して、何で欲しいと思う?同じくHBO MaxやNetflixは何を提供する?Disney+ほど明確にIPを並べる会社が今までなかったからこそ、Disney+の強みが明らかに見える。

さらに、運も少し良かったかもしれないが、「The Mandalorian」というヒット作品を出せたのは、Disney+の強みになった。Disneyコンテンツは人気だが、新しいヒット作品が無ければここまで成功はしなかったはず。The Mandalorianと作中に登場する新キャラクター「Baby Yoda」が大きなインパクトを与えたのは間違えない。

さらに、子供向けのコンテンツが強いのは良い優位性になる。HBO Maxも良い勝負をしてくるとは思うが、Disneyはやはり子供向けのコンテンツが多い。子供が見たいコンテンツは中々親は断ることが出来ないし、さらに子供は何回も見てくれる。Disney+のオリジナルコンテンツとライセンス予算は圧倒的に他社とは少なかったが、強く見えるのは何回も見たいコンテンツを選んでいるから。大人は「アイリッシュマン」を一度しか見ないかもしれないが、子供たちは「Mr.インクレディブル2」を何度も見る。

良いコンテンツが揃っているが、コンテンツ数を見るとNetflixや他社とは少ない。来年の中旬ぐらいで見るコンテンツが無くなってユーザーがエンゲージしなくなる可能性もあると計算して3年契約のパターンを出してきたと思う。そのためDisney+を更新する判断は数年後になり、そのタイミングでは十分なコンテンツ量を貯められる時間稼ぎの技。

ザ・シンプソンズという有名ショートアニメの大きな影響

Disneyは自社コンテンツ以外の購入もしたが、その中でも最も高額だったのはシンプソンズのライセンスだ。シンプソンズの独占契約だけでも毎年$125M〜$150M払っていると言われている。

ただ、Disney+内ではシンプソンズが圧倒的に人気になったせいで、Disney+の新しい広告では「+The Simpsons」を入れるようにした。

実際にDisney+の初期に一番見られていた番組はThe Mandalorianとシンプソンズ。それはシンプソンズというコンテンツがストリーミングと相性がいいからだ。

アベンジャーズやStar Warsも実際観られているが、視聴可能時間数はシンプソンズと比べてとても低い。それは、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)を全部見るには48時間かかるが、シンプソンズは250時間。シンプソンズは集中して見るケースと裏で半分聞いているだけでもフィットする番組。特にアメリカ人は日本人がラジオを聴いたりするように、シンプソンズのような軽いコンテンツを半分雑音として聞いたりする人もいる。

あらゆる手を使った、Disney+の本気のプロモーション

Disney+は1日目で1,000万人の登録者がいた中、多くはオーガニックで入ってきたと言われているが、実際はローンチ6週間前からたくさんのキャンペーンしていた。9月〜12月だけで$250M使ったと言われている。

Disneyが保有しているABCのテレビ番組「Dancing with the Stars」でも何度もプロモーションされ、フロリダのDisney Worldも広告だらけだったらしい。

Disney店舗の従業員もTシャツに登録用のQRコードをつけたり、テレビでの天気予報中にもプロモーションするように手掛けている。

さらに、Verizonとの提携によって1,700万人に1年間無料アカウントを発行した。

Disney+を成功させられたのも、会社全体としてDisney+を一番重要視することを判断したから。会社としてオフライン店舗、クルーズ船、テレビ番組との連携、さらに2018年リリースする予定だった映画もわざと遅らせてDisney+で配信するようにした。

これからさらにDisneyはDisney+を推してくるための戦略予想は以下だ:

・マーベルの漫画アプリはDisney+ユーザーに無料にする
・Disney年間パスを持っているユーザーはDisney+が無料に付いてくる
さらに、Disney+のリスクのパートでも話したが、DisneyはNetflixや他社ストリーミングサービスからDisneyコンテンツを買い戻している。他のサービスとのライセンス契約をしていたため、アメリカではMCU(マーベル映画)の全23作中、6作しかDisney+にしか出ないと言われていた。でもDisney+がローンチした時は23作中、16作を見ることが出来た。これはライセンスを買い戻したということだが、このコストは偉大な物だったはずだが、マーベルのほとんどを見れる価値の方がDisneyに取っては重要だった。

 Disney+の現状と実績

TechCrunchがSensor Towerのデータを公表したものだとTikTokより倍以上ダウンロードされ、2019年Q4ではアプリランキングのトップを示したとのこと。

合計4,100万ダウンロード、モバイルからだけで$97.2Mの売上を達成。12月だけで1,350万ダウンロード、モバイル売上が$43.9M。これは他社ストリーミングサービスのローンチと比較しても圧倒的な差がある。Disney+の次にでかいローンチをしたのはHBO Nowで、それがたったの$23.7Mの売上しか達成しなかった。

どれだけ他社ストリーミングサービスと比較してダウンロードされたのかが明らかなグラフはこちら:

さらに、Apptopiaによるとローンチした最初に一ヶ月間の間では1,000万人のDAUがいて、セッション時間もNetflixより5.8%長く、Amazon Prime Videoより7.8%長かった。

YouGovのアンケート結果でも、76%のユーザーがDisney+を5点満点中4か5をつけていた。Netflixだと74%、Amazon Prime Videoは66%、Huluは64%、Apple TV+は48%。特にDisney+の使いやすさが評価されたらしい。

Amazon Prime Video 「ゴールデングローブ賞を取れば、靴がもっと売れる」

Amazon Prime Video(アマゾンプライム・ビデオ)、はユーザーがAmazon Primeに入っていれば無料。そう考えると現在で、1億世帯がAmazon Prime Videoが使えることになる。Amazon CEOのジェフ・ベゾス氏は、「Amazon Prime Videoはコンテンツではなく、EC/Amazon本業へ繋げる戦略」だと2016年のRecodeインタビューで語っている。「Golden Globe賞を勝てば靴をもっと売れる。Prime Videoを見ているPrimeメンバーはトライアルから課金する確度が高く、Annual Subscriptionを更新する確度が高い。」

実際にその動画はこちらで見れる:

AmazonはわざとAmazon Prime VideoをAmazon Primeより高い値段にしている。なぜなら、少しでもAmazon Primeへ入ってくれる理由を上げるためであれば、コンテンツを無料で配信してもROIが十分だと計算しているからだ。実際に2018年の調査を見ると、11%はAmazon Primeに入った一番の理由はPrime Video。

それでAmazon Primeに誘導させて、もっとユーザーにものを買わせて、購入データと動画視聴データを元によりターゲティングした商品レコメンドを出来るようにしている。実際にこのデータの活用したのは去年末にAmazonが出したパーソナライズされたカタログ。

Amazon Prime Videoはコンテンツを利用したユーザー獲得の戦略でしかない。Amazon社内で計算した結果、Amazonのヒット作品The Man in the High CastleのPrimeへの新規ユーザー獲得コストは一人当たり63ドル。Amazon Prime自体は毎年99ドルかかるので、それだけでも良いCACだと思う。

Amazon社内では重要KPI「Cost per first stream」がある。これはAmazon Primeに入ったユーザーが一番最初に見る番組を評価している。計算方法は:

(番組Aの製作費 + 番組Aのマーケティング費用)/ Amazon Primeに入って初めて見た番組が番組Aだったユーザー数

Cost per streamは低い方が良く、Amazonからするとどの番組がPrimeへの加入を上げているのかをコスパベースで見れる。これはNetflixでも後ほど説明するが、Netflixも似た指標を持っている。

2017年だが過去にリークされたAmazonの社内データはこちら(S1 = シーズン1):

Apple TV+は、iOSエコシステムとApple製品を買わせるためにある

AppleのアプローチはAmazonと似ている。Appleはテレビ市場なんて興味なく、AppleはiOSのエコシステムにしか興味がない。今だとAppleデバイスを購入したユーザーは1年間Apple TV+に無料アクセスできる。さらにApple Music、TV+、Newsなどを今年バンドルして安く売る噂が出てきている。これはやはりApple商品とiOSエコシステムにユーザーを取り入れるためとしか思えない。

Appleはかなり著名人を集めてオリジナルコンテンツを作っているが、今のところは評判があまりよくない。特に外部IPを取り入れてないので、全てオリジナルだが、ヒット作品は今のところないため、あまり見られてない印象。Apple TV+は特に事業的にはインパクトはあまりなかったとApple CFOが言っている。ただ、Ampere Analysisによるとアメリカだけで3,000万人以上がApple TV+に登録されているとのこと。これは新規Appleデバイス購入者が1年間Apple TV+を無料でもらえるからかもしれないが、2019年4Qでデビューしたオリジナルシリーズのトップ10の中の6作がApple TV+のものだったらしい。

本当に見られているかは少し疑問があるが、Apple TV+も今後どう動くかは見てみたい。

AT&T/HBO Max:デジタルサービスのクロスプロモーション

AT&TがHBO親会社Time Warnerを11兆円で買収したコアな理由はAT&Tユーザーに対してHBO Maxを無償で与えてAT&Tのコア事業(インターネット、電話キャリア)を伸ばす・リテンションさせるため。AT&TとしてはHBO Maxは良くあるキャリアの無料特典にしかすぎない。

AT&Tは2025年までに5,000億円の粗利をHBO Maxは出すと言っているが、それをするために5,000億円かける予定で、さらに自社ビジネスとカニバってしまうので、実際にHBO Maxの粗利を本気で見ているとは思えない。さらにユーザー離脱以外に個人データを取得して他のデジタルサービスのクロスプロモーション、分析・広告事業にも色々展開できる。

HBO Maxの良いポイントは良いIPを揃え始めていることだ。特に良いのが20分以下のコンテンツを多く集めていること。短め尚且つ何回も見れるコンテンツを集めるのはストリーミングサービスの利用率が上がる(Disney+でシンプソンズが人気のように)。HBO Maxが獲得したIPと払った放映権はどれも高額で有名だ。サウスパーク($500M)、リック・アンド・モーティ(数百億円想定)、フレンズ(5年間で$425M)、Big Bang Theory($1B以上の噂)、Adult Swim、Crunchyroll、カートゥンネットワークなどが含まれる。

特にアニメコンテンツを重要視しているHBO Maxは正しい選択だと感じる。子供は何回も同じテレビ番組を繰り返して見るし、さらに大人に人気のアニメ(サウスパーク、リック・アンド・モーティ)やあらゆる世代からの人気アニメ(カートゥンネットワーク)を集めているのはミレニアルやY世代を囲い込む戦略に違いない。そして、ここ5年ぐらいで急成長している日本のアニメコンテンツの放映権を持っているCrunchyrollとも提携。

そして、ジブリまでHBO Maxに入ることを決めた。2019年の初めではオンラインでは絶対にジブリを見ることはないと言っていたジブリ側だが、2019年秋にHBO Maxが放映権を取得したと発表。こちらも数百億円支払ってもおかしくないと思われるが、面白いのはディズニーと組んでたジブリがHBO Maxと提携したこと。

ストリーミングの先駆者 Netflix アメリカ市場では苦戦中

Netflixのユーザー成長率はかなり株価を影響しているが、アメリカではここ最近は伸びていない。2019年は一時期ユーザー数がアメリカで減ったせいで、株価がかなり下がった時期もあった。その主な理由は競合が増えていること、Netflixが保有していた外部ライセンス(人気IPのFriends、The Office)などが別のストリーミングサービスと独占契約していること、オリジナル番組で大ヒットしているコンテンツが少ないからだと思われる。

アジア市場に先手を打ちたいNetflix

Netflixの強みは海外市場をちゃんと取れていること。競合が少なく、他社より良いコンテンツを出していて、それは数年変わらないと予想している。加えて、そこからの売上をアメリカに投資できる良い仕組みを作っている。

ただ、難しいのは価格設定。アメリカのユーザーはNetflixは安いと思っているが、インドや東南アジアだと毎月10ドルは少し高いかもしれない。その影響もあってインド、マレーシア、シンガポール、インドネシアでは月額3ドルのスマホのみのプランも出している。

さらにNetflixは各地域でもオリジナルコンテンツにとてもお金をかけている。インドだけで$400M以上。インドネシアだと、ライター向けのワークショップをLAとジャカルタでNetflixが主催している。Disney+、HBO Max、その他ストリーミングサービスがアメリカにフォーカスしている中、Netflixは海外にフォーカスしているのは正しい戦略なのかもしれない。

Netflixオリジナルコンテンツの現状

Netflixがオリジナル番組に多くの予算をかけ始めてから、アメリカ内で「誰でもNetflix番組」を持てるとジョークになった。

2019年にオリジナル番組に$15.3B使ったNetflixは今年$17Bの予算を予定。

2018年のオリジナル番組は全体の予算の85%を占めているので、オリジナルがどれだけ重要か明確だ。過去は他社IPのライセンス契約が大事だったが、ストリーミング企業が増えている中でそのIPがNetflixで見れないようになっている。

実際にNetflixで人気のコンテンツ「The Office」や「フレンズ」は、他社から独占契約されてしまった。そうなるとオリジナル番組を作らなくてはならない。オリジナルコンテンツへ投資を過去からしているおかげで、昔だと圧倒的に外部IPに頼ってたのが、NetflixオリジナルIPの価値が4年ほどでほぼゼロから$6Bまで上がった。

3年前にマーベルのシビル・ウォーなどの映画の原作を作ったコミック出版社のMillarworldを買収するなど、コンテンツクリエイターへの投資が加速するだろう。

もちろん人気外部IPをキープできるのであればNetflixはやっているが、今だと高くなっている。The OfficeだけでNetflixは数百億円出す予定だったが、それでも取れなかった。Friendsを去年Netflixで載せるだけで$100Mかかった。

ただ、実際これだけオリジナルに投資してもまだライセンス外部IPの方が見られている。合計視聴時間の3分の2が外部コンテンツ。

NetflixだとHouse of Cards、Stranger Things、Orange is the New Blackなどのヒット作品はあるが、何回も見るヒット作品が少ない。フレンズやSeinfeldは何回も見るため、視聴時間からするとオリジナル作品が少ないのもわかる気がする。

Netflixのコンテンツは、本当にデータドリブンなのか?

近年Netflixはデータ活用してコンテンツ制作やレコメンドするので有名だが、実は創業時からデータの重要性を謳っていた。最初にどれだけDVDをストックするかを決めるときも創業時にジョインしたMitch Loweさんの経験データを使って決めていた。

事実、Netflixは各番組の価値をトラッキングしている。トラッキングしているKPIは各番組がどれだけ新規ユーザーを連れてくるか、そして既存ユーザーのリテンションを影響しているか。これを社内では「Adjusted Viewer Share」と呼んでいる。Adjusted Viewer Shareとは視聴者を単純にカウントしているだけではなく、サブスク登録して24時間以内に番組を見たユーザーと数週間ぶりにNetflix番組を見てなかったユーザーが視聴したユーザーをより高いウェイト・評価を与えている。逆にNetflixを普段見ているユーザーの評価は低い。これを28日サイクルでトラッキングしている。

このAdjusted Viewer Shareと番組の予算を組み合わせてスコアリングしている数字「Efficiency Score」が社内の人たちによると一番重要視されているKPI。この数字を見て番組が成功したかを決めるらしい。

Netflixは人気番組でも2シーズン目の後に番組を終わらせることが多い。社内データで解ったのは、最初の2シーズンが新しいユーザーを獲得するのに一番効果的らしい。3シーズン目以降はあまり新規獲得に繋がらない。

ただ、ストリーミング戦争でデータを活用してより良い番組を制作できるのは間違っている。既にいろんな数字は見ているはず。実際にNetflixがデータ活用した「House of Cards」も結局イギリスで人気だった類似シリーズとアカデミー主演受賞者のKevin Spacey、有名監督David Fincherを組み合わしているので、それは上手くことは予想できるはず。

実際に、Netflix Chief Content OfficerのTed Sarandos氏も徐々にデータの重要性をトーンダウンしていると取材で公言している:

・2015年:「判断軸の7割はデータ、3割は上からの指示」
・2018年:「判断軸の3割はデータ、7割は勘」
・2019年:「判断軸の2割はデータ、8割は勘」

子供向けコンテンツに弱いNetflix

Disney+リリース直後にNetflixがスポンジ・ボブなど人気アニメ番組を出している「Nickelodeon」とオリジナルアニメコンテンツ制作の提携を発表。

提携の重要案件はスポンジ・ボブのスピンオフシリーズ。約$200Mほど払ったと噂されているて、スポンジ・ボブ以外は人気シリーズのティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズの制作もする。

ストリーミング戦争の中でNetflixが子供に圧倒的に支持されるコンテンツがなかった
・Disney+:Pixar、Marvel、Star Warsの自社コンテンツ
・HBO Max:Sesame Streetのライセンス、ジブリ、カートゥンネットワーク、Crunchyroll(アニメ)

Netflixは過去子供向けのコンテンツ制作していたが、Disney+とHBO Maxと比較するとかなり弱い。これを考えるとNickelodeonとの提携はわかりやすい = 良いIP取得のためだ。

これで90年代の子供向けアニメ番組トップ3(Disney、カートゥンネットワーク、Nickelodeon)がストリーミングされる時代になった。ただ、この三つの中だと圧倒的にカートゥンネットワークが強かった印象。

HBO Maxはみんな大好きな「Game of Thrones」だけじゃなくなくなり、『子供向け番組が得意なHBO Max』になるかもしれない。Disney+もMarvelでかなり使われるが、TV番組系だとSesame Street、カートゥンネットワーク、Crunchyrollのライナップは強すぎる。

気になるのはNickelodeonがViacomの子会社なこと。Viacomは自社ストリーミングサービスをリリース予定、さらにアメリカ放送ネットワーク企業のCBSとの合併も考えている中、CBSも自社ストリーミングサービスを出す。Netflixは制作費の負担を含めて、かなり大金を出したはず。

若者の支持率が高いNetflix、しかし油断はできない?

YouTube TVが出た影響でGen Zの中で初めてYouTubeがNetflixよりもストリーミングで人気になったが、それでもかなり若者層には人気だ。ただ、2018年から少しずつだがNetflixでの視聴時間割合が徐々に減っているのだ。

Netflixのインフラの強み

Disney+が開始初日に接続障害が起きた理由の一部はインフラに問題があった。Netflixはというと、自社のCDNを開発し、世界中に自社サーバーを立ち上げて、そのサーバーに人気番組のコピーを入れている。Netflixは1.58億人のグローバルユーザーをサーバーを世界中にばらまく事によってStranger Thingsの新しいシーズンが出た時の需要に応えられるようにしている。

ストリーミング以外の別のマネタイズ方法が必要?

これだけオリジナルコンテンツに投資しても、新規登録ユーザー数が足らないと以前取締役会で説明したNetflix。今の売上とコストを見ると、圧倒的にコストの上がっているスピードが高い。

売上を上げるためにNetflixは値段を上げなければいけなかった。しかも、ユーザー獲得コストもどんどん上がっている。

毎月13ドル払っているアメリカのユーザーのペイバック期間は4年(今後アメリカでのユーザー数成長率が下がるとさらに上がる)。

これを見ると、Netflixは他の方法でユーザー単価を上げる、別の方法でマネタイズを考えないといけない。そこでNetflixは、IPのグッズ商品化やテーマパークを考えているらしい。テーマパークは元々自社で作ると言ってたが、コスト的に合わなかったためユニバーサルスタジオでStranger Thingsのハロウェン企画・イベントなどを数年試している。グッズもやはりStranger Thingsのものはかなり売れている。

ただ、広告を絶対やらないと話しているNetflixはかなり損をしている気がする。Stranger Thingsで出るものは90年代のレファレンスするものが多く、それで他社が設けている。例えばコカコーラの失敗した商品のNew CokeがStranger Thingsに出た時に、コカコーラはNew Cokeの限定版を出して、かなり売れたに違いないが、恐らく一円もNetflixに入ってきてない。

グッズ化するにはヒット作品じゃなければいけないし、Netflixのヒット作品を見ると基本的にグッズ化するようなものではない。そうすると他のマネタイズ方法は他社(Disney、Apple、Amazonなど)の方が圧倒的に優位性を持っているのに違いない。

ブラックホースなるか?謎に包まれたQuibi(クイビー)

Quibi(クイビー)はモバイル専門の動画配信サービス。ドリームスワーク・アニメーションの元CEOのJeffrey Katzenbergと元eBayと元HPのCEOのMeg Whitmanが作った会社。サービスリリース前になんと$1.4B調達している。

Quibiの特徴は全ての動画が10分以下。Netflixなどストリーミング系の会社はテレビやデスクトップ向けのコンテンツを提供している中、Quibiの作戦はモバイルメインでのコンテンツ配信すること。名前のQuibiも「Quick」と「Bites」を混ぜて出来た。

2020年4月6日リリース予定。サブスク型で、広告付きは月額$5、広告なしだと月額$8。クリスシー・テイゲン、スティーブン・スピルバーグ、ジェニファー・ロペスなどと一緒にコンテンツ制作を発表。さらにP&Gなど大手との広告案件も獲得済み。

中身があまり公開されていない中、唯一出ているのはTurnstyle技術。動画を見ている間にスマホを縦か横に向きを変えると違う見方に瞬時に変わる。

これをやるにはストリーミングと圧縮技術が必要。番組制作での撮影・編集は必ず縦型と横型でされている。制作側はQuibiに二つ動画と別の音声データを送り、それがシンクされてストリームされるようになる。ストリーミング中は見てない方の動画は解像度を下げて同時再生されていて、向きを変えるとそっちの解像度が高くなるように設定されてある。そのため通常の動画よりたった1.2倍のデータしか使わない。

Turnstyleが人気になるにはそれをフル活用するコンテンツが必要。ある番組では主人公がスマホを見るシーンがあるので、その動画を見ているユーザーがスマホを縦にするとまるで主人公の携帯をそのまま見ているようになるらしい。逆にアクションになるとスマホの向きを横にするように勧められるらしい。

ここでそもそもの疑問点が出る:コンテンツ見ている間にそんなにユーザーはスマホの向きを変えたいと思うか?実態はまだわからないが、Quibiはこの技術・体験が他社との差別化ポイントとして出しているのは間違えない。

Quibiのコンテンツは3つの種類がある:

・一つはハリウッドスターなどを活用した「Lighthouse」
・二つ目はニュースに特化して毎日見れる「Daily Essentials」
・三つ目はその間のクオリティーの「Quick Bites」

その中でもDaily Essentialsの影響でユーザーが毎日見てくれるようになると主張している。

Lighthouseコンテンツは映画フォーマットにイノベーションを及ぼすもの。実際にはLighthouseコンテンツは映画と同じもの。映画をチャプター分けして毎週一部リリースする形(いわゆる漫画・アニメと似ている)。なので2時間の映画を12チャプター(12週)にかけて出す形となる。

Lighthouseコンテンツの制作費はGame of Thronesと同じぐらい。1分間で約$125K、1エピソードが$7.5Mぐらい。Quick Bitesコンテンツは1分で$20Kから$50K、Daily Essentialsは1分で$5Kから$10Kぐらいの製作費用らしい。この製作費はテレビ・映画業界と似たレベルのもの。Jeffrey Katzenbergはあえてテレビ・映画業界と同じ製作費にしている。彼としてはNetflixよりも、そもそものテレビ・映画のフォーマットを変えようとしている。

平日だけで毎日3時間の新しいコンテンツを出す予定。それだけの新しいコンテンツを出せば高いDAUを保てると信じている。1年目で175作のオリジナル番組、8,5000エピソードをリリース予定だそう。

ローンチまでは感や経験を活用して、その後はデータで全て決める。最初にどうやってローンチするか、何作リリースするか、配信スケジュールなどはJeffrey Katzenbergの知見を使ってやるが、4月7日(リリース直後)はMeg Whitmanの得意とするデータ活用して判断をするとのこと。

しかし、アメリカだと既に上手くいかない声が上がっている。ストリーミング事業は難しいのでその理由も分かるが、まだ情報が少ない中で判断はしにくいと思う。

直近で$400M調達していて、合計$1.4Bほど調達しているが、社内ではコンテンツ制作とプロモーションだけで$1.5Bかかると言う話も出てきている。Quibiはサブスクで伸びていくが、社内計画だと1年目に$260Mの売上、2年目に$700Mの売上になるとのこと。さらに、1年目の広告分は既に売り始めていて、そこから$150Mほどの売上が出るとのこと。サブスクの売上が思った以上上がらなければもう一度資金調達が必要になるかも。

しかも今回の$400M資金調達では前回参加した投資家のViacomやNBCUniversalが参加してない。これはあまり良い印象にはならない。1年で750万人のサブスク登録を目指しているとのこと。そのうち200万人はほぼ確定:アメリカ電話キャリア会社T-Mobileと提携して、彼らのユーザーは1年間無料でQuibiを使える。

新しいストリーミングサービスが入るのには難しい理由:課題解決型のサービスが少ないから

実際にストリーミング事業の需要は数年前に起きたものだが、今多くの大手ブランドがサービスリリースしているのは彼ら的に今やる必要性があるからだけで、あまりユーザーのことを考えてない。

Netflixは過去にあった課題(良いアクセス、値段、体験)を解決したのでファーストムーバーとして成長した。ファーストムーバーだったため、今の課題を解決しなくても十分使われる。

Huluが伸びた理由は低コストであったことと過去ネットに載ってなかったテレビ番組の再放送を出せたので需要の満たした。Amazonは無料でのコンテンツ提供と複数社からのコンテンツのアグリゲーションをして簡単なUI、配信体験を届けたのが良かった。HBOなどプレミアムネットワークはトップティアナコンテンツを提供することで優位性を保っている。

上記プレイヤーは初期でこの領域に入ったので課題解決を明確に出来た。今後も課題解決型なソリューションも出てくると思うが、そんなに多くはないと思う。

ほとんどのユーザーは追加料金(Disney+)でディズニーコンテンツを別に見たくない。出来ればNetflixで見たいと思っている。ただDisneyのような特化型ブランディングやその他コンテンツ・体験・特化型UIへの連携が出来るブランドに対してユーザーは価値を感じるかもしれない。

問題はその他プレイヤー。Netflix、Amazon、Apple TV、Hulu、Disney+、HBO以外のサービスは何の課題を解決する?何故人が欲しがるのか?それとも見たい番組と独占契約したから仕方がなく、そして恐らく短期的に課金・視聴しているだけでは?

無料のAVOD(広告付きストリーミングサービス)は解決ではない。無料で提供する方がユーザーが使ってくれるハードルが下がって見えるが、特に新しい課題を解決してない。4つ〜6つのストリーミングサービスを使っているユーザーがもう一つのサービスに登録するところまで行かない。

メディアに対してお金を払わない文化 = ピュアメディアが厳しい

アメリカ人はメディア・エンタメが好きだ。平均的に毎日5時間半の動画を視聴、2時間半の音楽を聞いている。仕事中、運転中、エクササイズ中、どの時でも何かしらメディアと触れ合っているが、その割にはコンテンツにお金をかけてない。

メディアの中だと、現在世界で一番お金が使われているカテゴリーはテレビで約30兆円ぐらい。ただ、60億人が2.5時間のテレビを見ていると考えると、コスパが良すぎる。それは音楽、映画、ストリーミング、ゲームも同じ状況となっている

しかも値段上げをユーザーがかなり嫌う。普通に考えるとケーブルテレビで月間450時間テレビを見る家族が80ドル払うのは良いディールだと思うが、誰も払いたくないと言う。SpotifyやApple Musicも年間120ドルで広告無しで4,000万曲へのアクセス権を持ってる。毎月90時間サービスを使っている中だとコスパが半端なく良いが、それでもユーザーはメディアに対してお金を払いたくない。New York Timesは新聞紙として最大手と言われているが、時価総額が5,000億円ぐらいしかない。

これを理解している企業たちは、メディアコンテンツを効率よく他の領域、商品、カテゴリーに誘導してユニットエコノミクスを成立させなければいけない。これはストリーミング戦争の裏に隠れている「エコシステム戦争」と言う新しいビジネスモデル。

結論

業界としてはNetflixがファーストムーバーだったが、今だとビジネスモデル的には一番遅れているかもしれない。ここ10年ぐらいでレガシーメディアから見るとNetflixは一番イノベーションを起こしていて、デジタル世代で一番進んでいたビジネスモデルを持つ会社だった。ただ、今見るとそのビジネスモデルは時代遅れかもしれない。

Netflixの市場規模は30兆円のコンテンツビジネス。彼らは動画広告をやらないので、それだけでも20兆円のビジネスチャンスの機会損失している。Quibiもこの市場を狙っているが、そのほかの会社はここではなく、別の方法でマネタイズをしている。コンテンツをフックにしてユーザー獲得する方法を取ってしまうと、そこから売上ゼロでも投資を莫大にしていく。実際にDisneyやAmazonはそうしている。ピュアメディアだけだとほぼ確実にプライシングで負ける。Netflixは値段を上げている中、Disneyは値段を下げているのを見るとそれが明らか。今後Netflixがピュアプレーであり続けるのか、今後Netflixがどう対抗していくのかが見所になる。

そうなるとNetflixが勝つ方法はコンテンツ、いわゆる自社アセットになる。ヒット作品、もしくは外部IPの独占契約を締結すること。Netflixが直近でジブリと締結したのも、去年$500M以上払ってSeinfeldの放映権を取ったのも、重要IPを確保する重要性をNetflixは理解しているから。結局コンテンツ勝負になると思われるが、ストリーミングで勝つには以下コンテンツが必要になってくる:

・有名コンテンツ・シリーズ:Stranger Things、マーベル映画など
・年代別コンテンツ(特に子供向け):カートゥンネットワーク、ジブリ、スポンジ・ボブなど
・ながら観できるもの:シンプソンズ、Big Bang Theory、フレンズなど

コンテンツのラインアップを見ると現状はDisney+とHBO Maxがリードしている風に見える。Disney+はシンプソンズ、Pixar、Marvel、Star Warsを持っている。特にシンプソンズは大量のコンテンツと、仕事しながら裏で聞けるライトなコンテンツ。後はDisney+は今の所The Mandalorianにベットして、今後はMarvel系の番組が出てくるので、人気度は落ちない。HBO Maxは子供番組が意外と揃っている:セサミストリート、カートゥンネットワーク、Crunchyroll、ジブリ。

結局家族で買うサービスとかだとこの2社が強い。その理由でDisney+がリリースされた1日後にNetflixはNickelodeonと提携を発表、彼らも必死に子供向けのコンテンツ制作をしている。ただ、ユーザー数ではNetflixが圧倒的にリードしているので、ここ5年で潰れるとかはないはず。Disney+も5年後の予想はまだ今のNetflixを抜いてないので、Netflixは今現在のユーザーのデータや他のマネタイズ方法を考える時間は少しある。

最後に、この記事には全く触れなかったが、Netflixやその他ストリーミングサービスにはもう1社競合がいる。それはSNSやゲーム、そして特にアメリカでは「Fortnite(フォートナイト)」。実際にNetflixの株主総会でも代表がFortniteを競合として指名した。結局これはアテンション戦争であり、アメリカの若者層は今圧倒的にFortniteにハマっている。そのアテンションを使ってマネタイズ方法が各社違うだけ。

Fortniteを作るEpic Gamesも実はゲーム以上の世界観を作ろうとしているが、それはまた別記事で説明させていただきますので、お楽しみにしてください!

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Written by Tetsuro(@tmiyatake1) | Edited by Miki (@mikirepo)

引用元

・https://www.theinformation.com/articles/netflix-plays-new-role-budget-conscious
・https://www.theinformation.com/articles/at-netflix-speed-is-key
・https://www.theinformation.com/articles/how-iger-broke-disneys-netflix-addiction
・https://www.multichannel.com/news/netflix-wont-be-hurt-by-disney-plus-and-other-svod-launches
・https://www.theinformation.com/articles/netflix-races-to-make-more-originals-as-studios-pull-back
・https://www.yahoo.com/lifestyle/experts-disney-streaming-kill-netflix-194842719.html
・https://www.vox.com/2019/4/12/18307539/disney-streaming-launch-cost-billions-netflix-strategy-change
・https://www.vox.com/recode/2019/11/12/20959837/streaming-wars-10-lessons-matthew-ball-alex-kruglov-disney-apple-amazon-netflix
・https://www.economist.com/prospero/2019/11/11/what-is-the-endgame-for-disney-
・https://www.matthewball.vc/all/minedmedia
・https://www.matthewball.vc/all/minedmedia
・https://www.statista.com/chart/10311/netflix-subscriptions-usa-international/
・https://www.wsj.com/articles/netflix-subscribers-fall-slightly-short-of-expectations-11571257175
・https://www.deseret.com/entertainment/2020/1/16/21069282/netflix-spending-billions-streaming
・https://www.vox.com/2018/12/21/18139817/netflix-most-popular-shows-friends-office-greys-anatomy-parks-recreation-streaming-tv
・https://www.forbes.com/sites/greatspeculations/2019/07/19/netflixs-original-content-strategy-is-failing/#28fd4d713607
・https://variety.com/2018/digital/news/netflix-original-spending-85-percent-1202809623/
・https://variety.com/2019/digital/news/netflix-orange-is-the-new-black-stranger-things-most-poular-1203267573/
・https://www.theinformation.com/articles/netflixs-asia-growth-challenge-trading-price-for-volume
・https://www.nj.com/entertainment/2019/05/new-coke-was-a-disaster-stranger-things-is-bringing-it-back-because-old-fails-never-say-die.html
・https://fourweekmba.com/amazon-prime-revenue-model/
・https://ew.com/tv/2019/10/29/rick-and-morty-south-park-hbo-max/
・https://www.theverge.com/2019/10/17/20919325/studio-ghibli-stream-hbo-max-spirited-away-kikis-delivery-service-my-neighbor-totoro
・https://www.forbes.com/sites/lisettevoytko/2019/10/18/south-park-reportedly-nearing-500-million-streaming-deal/#29d8c06851e2
・https://www.theverge.com/2019/9/17/20870140/big-bang-theory-hbo-max-streaming-exclusive-worth-billion-seinfeld-netflix-friends-the-office
・https://live.recode.net/jeff-bezos-2016-code/
・https://techcrunch.com/2020/01/14/disney-was-the-most-downloaded-app-in-the-u-s-in-q4-2019/
・https://www.fool.com/investing/2020/01/15/disney-plus-has-made-100-million-from-subscribers.aspx
・https://sensortower.com/blog/top-apps-games-publishers-2019
・https://sensortower.com/ios/US/disney/app/disney/1446075923/overview
・https://www.fool.com/investing/2020/01/15/disney-plus-has-made-100-million-from-subscribers.aspx

Amazon、コロナウイルス関連懸念でMWCから撤退

Amazon(アマゾン)はコロナウイルス関連の懸念を理由に、今月バルセロナで開催されるMobile World Congress(MWC、モバイル・ワールド・コングレス)での計画をキャンセルした。

Amazonの広報担当者はTechCrunchに送った声明の中で、「コロナウイルスの拡散と継続的な懸念を理由に、Amazonはスペインのバルセロナで2月24日〜27日まで開催される、Mobile World Congress 2020への出展と参加を取りやめる」と述べた。

コロナウイルスの流行の影響でMWCでの計画を中止、または縮小した企業には、LGやNvidia(エヌビディア)、Ericsson(エリクソン)などがある。イベントの主催者であるGSMAは最近、ウイルスの流行が始まったと考えられている湖北省からの訪問者の禁止を含む、予防策についての新しい声明を発表した。

この記事の掲載時点では、コロナウイルスの感染者の大多数は中国国内で、同国では908人が死亡し、4万171人の感染が確認されている。この流行は同時に、世界中でアジア人種差別と外国人嫌悪の影響を引き起こした。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

Amazonが四半期決算発表でついに1兆ドルクラブ入り、Alphabetは外れる

ベンチャー投資の動向などが懸念されているものの、アメリカのテクノロジー企業は堅調だ。

1月31日の四半期決算ラッシュを受けて、Amazonの株価は2月1日の朝、寄り付きから上げ始め、時価総額がついに1兆ドルを超えた(その後やや下げて1兆ドルをわずかに下回っている)。

Aamazonの規模と利益の着実な成長は、投資家にとってこの上ない贈り物だった。シアトルで時価総額1兆ドル(約108兆3350億円)を記録した企業はMicrosoftに次いで2社目となる。

そのMicrosoftはAppleと並んで決算発表の後、高い利益が好感されてそれぞれ1兆ドルクラブの地位を確保した。Amazonが1兆ドル(約108兆3350億円)を記録したことで、アメリカの1兆ドルクラブのメンバーの顔ぶれが今後どうなるか気になるところだ。Alphabetは「その他の事業」の赤字が嫌気されて株価が下落し、時価総額を約9870億ドル(約106兆9266億円)に下げている。

こちらはテクノロジーのトップ企業各社の時価総額のチャートだ。

MSFT Market Cap Chart

上位4社は僅差で競り合っている。

Googleの経営陣、ことに大赤字を計上しているグループ企業のトップは1兆ドルクラブに戻るための方策を考えるのに忙しいことだろう。置いてきぼりを食ったのはFacebookで、時価総額1兆ドルのクールキッドクラブに入るためには時価総額を2倍にする必要がある。

Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏はその昔「100万ドルなんてクールじゃない」と言ったことで記憶されている。今は「10億ドルなんてクールじゃない、クールなのは1兆ドルだ」だろうか。やれやれ。

【TechCrunch Japan編集部追記】 チャート作成後株価が多少変動し、Aamazonの時価総額は9969億ドル(約108兆9991億円)でAlphabetの9870億ドル(約106兆9266億円)と並んでいる。順位に変動はない(2020年2月1日朝)。トップ写真はウォールストリート近くに設置された「チャージング・ブル」と呼ばれる銅像。ブル・マーケットは「上げ相場」を意味する。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook

アマゾンが最新の透明性レポートを黙って発表

絶好調の決算報告でご機嫌のAmazon(アマゾン)が、いつものように無言で最新の透明性レポートを発表し、ユーザーデータに関する政府の要求がわずかに減ったことを明かしている。

同じ時期に透明性レポートは、FacebookやGoogle、Microsoft、Twitterなどのテクノロジー大手にも届き、そしてそのほとんどすべてが政府からの要求の増加を示していた。 減っていたのは、Appleだけだった。

アマゾンの場合は、1841通の召喚状と、440通の捜索礼状、ユーザーデータを求めるそのほかの裁判所命令114を2019年の後半6か月に受け取った。それらの対象デバイスはEchoやFireなどだ。以上は、前年同期に比べて4%の減少だった。

また、同社のクラウドサービスAmazon Web Servicesも、顧客が保存しているデータへの要求は約10%減少した。アマゾンの消費者サービスとクラウドサービス両方が受け取った国家安全リクエストの数は0から249の間だった。これは司法省の規則により具体的な値でなく値域しか開示できない。

この記事を書いている時点では、アマゾンは法執行要求ページを今度の透明性レポートでアップデートしていない。

年に2回来る透明性レポートは、テクノロジー業界全体の中でアマゾンのものがいちばん軽い。前にTechCrunchdでも報じたように、アマゾンの透明性レポートは長年、意図的に曖昧にされ、業界のトレンドである明晰に反していた。同社はわずか3ページの報告で、それぞれの法的要求にどう応えたかを述べ、その数字は明かしていない。

法執行当局とのなれ合い的関係お粗末なセキュリテと批判を浴びたスマートカメラのRingも、データ要求の数を明かしていない

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インドのInterviewBitがGAFA就職を可能にする高度なコンピューターサイエンスコースをオンライン提供

インド南部、バンガロールのInterviewBitは、一般の大学卒業者や若いプロフェッショナルの技術者に高度なコンピューターサイエンスコースをオンラインで提供している。同社がこのほどシリーズAのラウンドで調達した2000万ドル(約22億円)は、インドにおける教育系スタートアップへの投資としては最大の部類となる。

創業5年のスタートアップのシリーズAをリードしたのは、Sequoia IndiaとTiger GlobalおよびGlobal Founders Capitalらだ。同社はこれを機に、オンラインプログラミングコースの名前を InterviewBit AcademyからScaler Academyに変える。

InterviewBitは9カ月前に、収益モデルを所得分配方式に変えた。これにより学生は、授業料の多くの部分を就職後に払えるようになった。この方式は人間資本契約(human capital contract)と呼ばれており、何十年も前から存在するが、最近また見直されている

現在まで、同社の6カ月のコースを受講した者は2000名を超えている。これまで7回期を開講し、その1つはアメリカでの開講になり20万人を超える応募者があった。そして卒業者のうち数百名が、GoogleやAmazon、Microsoftなどのテクノロジー企業に就職した。

Scaler Academyに入学した学生にはメンターが付き、先輩技術者や現在、実際にGoogleやFacebook、Twitter、Netflixなどで仕事をしている各分野のエキスパートが教える。協力企業は600社以上ある。

同社は今もSequoia Indiaのアクセラレーター事業、Surgeに参加しており、今回の資金は入学者数の増員と新市場の開拓に充てられる。同社のカリキュラムやライブの授業のノウハウをプロダクトにする計画もある。

このラウンドはインドの新聞であるTimes of Indiaが2019年初めて報道し、その際のInterviewBitの評価額は1億ドル(約110億円)以上だ、と書いていた。

InterviewBitの共同創業者Abhimanyu Saxena(アブヒマニュ・サクセナ)氏は、「Scaler Academyは短期間で学生たちの能力を大幅に向上させた。彼らはオンラインとライブの授業を1日に4〜5時間受けている。実際に我々の仕事は、学生たちのキャリアアップに大きく貢献している。そのことが、特に喜ばしい。コースの名前をScaler Academyと変えたのも、プログラミングのより上のスキルを目指すという意味合いからだ」と語る。

最近発表された報告書、National Employability Report Engineers 2019(エンジニアの雇用状況)によると、インドの技術者の被雇用率は各年20%と横ばいで低迷している。「そのことを念頭に置いたScaler Academyの細部まで配慮が行き届いた6カ月のオンラインコースは、最新技術に触れることを中心とする今日的なカリキュラムによって、プロフェッショナルたちのコーディングスキルの強化、向上を目指している」と同社はいっている。

画像クレジット: Sattish Bate/Hindustan Times/Getty Images

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ドイツのプロサッカーリーグがAWSと組んでファン体験の向上を目指す

ドイツのサッカーのトップリーグであるBundesliga(ブンデスリーガ)は米国時間1月24日、ゲーム中のファン体験をもっと面白くするためにAWSとパートナーして人工知能を利用すると発表した。

ブンデスリーガなどを運営する上位団体ドイツフットボールリーグ(DFL)のデジタルスポーツ担当執行副社長であるAndreas Heyden(アンドレアス・ヘイデン)氏によると、これはファンがゲームの放送を見ているだけか、それともオンラインの対話性があるかによって異なるかたちになる。

ヘイデン氏は「ファンがもっとエキサイトするようにテクノロジーを使いこなしたい。ファンの参加性(エンゲージ)が増すことによって、ファン体験のレベルを上げ、放送では適切なタイミングで適切なデータを見せ、アプリやWebでは体験を個人化したい」と語る。

それには個人化されたコンテンツを届けることも含まれる。同氏は「今の時代は一般的に、人々の注意力や関心が長続きしないから、ユーザーがアプリを開いたときの最初のメッセージは、その時のコンテキスト(状況)とその特定のユーザーに最も合ったメッセージでなければならない」と説明する。

ファンにリアルタイムで高度な統計データを見せたり、あるいは応援しているチームにとって重要な瞬間にゴールの可能性を予言してもいい。ヘイデン氏によると、それは数字でストーリーを語ることであり、事後データの報道ではないという。

同氏はさらに「テクノロジーを利用して、テクノロジーがなければ不可能だったストーリーを語りたい。人間の記者ならシュートが入る確率を当てることはできないが、AWSならできる」と続ける。

Amazon(アマゾン)のCTOであるWerner Vogels(ヴェルナー・フォーゲルス)氏によると、AWSのプラットホーム上で機械学習などの技術を利用して観戦体験の質を上げ、若いファン層を引きつけることはどんなスポーツにも有効だ。フォーゲルス氏は「次世代のファンが参加性のある熱心なファンに育つためには、ありとあらゆる手段による拡張ファン体験が必須だ」と語る。

同氏によると、テクノロジーがない時代にはそんな体験は不可能だった。「10年前には不可能だったが、今では機械学習を初めAWSが提供している先進的な技術と、それらの急ピッチな成長進化により、スポーツファンにリアルタイムで新しい体験を届けることができる」とフォーゲルス氏。

ブンデスリーガは単なるサッカーリーグではない。売上ベースでは世界第2位のプロサッカーリーグであり、スタジアムへの観客動員数では世界一だ。DFLとAWSの関係は2015年に始まり、そのときヘイデン氏がリーグのオペレーションをAWS上のクラウドへ移行した。本日の発表は、そこからの流れだ。

同氏によると、ほかのクラウド企業でなくAWSを使うことにしたのは偶然ではない。サッカーの大ファンであるフォーゲルス氏はハイデン氏の長年の知己だ。AWSはDFLに入る前から10年以上使っている。本日の発表は、そんな長い関係の延長線上にある。

関連記事:AWS is sick of waiting for your company to move to the cloud(AWSはあなたの会社がクラウドに移行しないことにしびれを切らしている、未訳)

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Googleがインド第3位キャリアAirtelと組んで、AWSとAzureを追撃

AWSやMicrosoftにとってクラウドサービスの新たな主戦場になりつつある成長著しい海外市場。Googleは、同社クラウドサービスの顧客ベースを拡大すべく、インド第三位の通信事業者であるAirtelとパートナーシップを結んだ。

Google Cloudによる米国時間1月20日の発表によると、このパートナーシップは即日発効し、Airtelは中小企業に対して、同社ICTポートフォリオの一環としてG Suiteを提供できるようになる。

Airtelはインドに3億2500万あまりの契約ユーザーを持ち、2500社の大企業と50万あまりの中小企業やスタートアップにサービスを提供している。両社はこのパートナーシップの財務的詳細を明かしていない。

Google CloudのCEOであるThomas Kurian(トーマス・キュリアン)氏は、「G Suiteのコラボレーションと生産性ツールをAirtelの企業向けデジタルサービスと組み合わせれば、多くのインド企業のデジタルイノベーションを加速するだろう」という。

2019年8月にはインド最大の通信事業者、Reliance Jioが同様の契約をMicrosoftと結び、中小企業にクラウドサービスを販売していくことになった。この10年契約では、数百万の顧客にサービスを提供する、となっている。

クラウド市場のマーケットリーダーであるAWSは、通信事業者とのこのような契約を以前は交わしていたが、現在は結んでいない。10年前にはきわめて一般的に行われていたキャリアとの契約は、大手テクノロジー企業がインドで新規ユーザーを獲得するための常套手段だった。それはインドおける、クラウド採用の歩みの1つの段階を表している。

インドでは、過去10年間で5億人がネットを利用するようになった。また中小企業や商店経営者もデジタルツールやストレージサービスを使い、オンライン決済を利用するようになっている。ロビー集団、Nasscomによると、インドのクラウド市場の規模は3年後の2023年には70億ドルになるそうだ。

AmazonとMicrosoftとGoogleは、他の多くの市場と同様、インドでもクラウドの顧客獲得をめぐり激しく争っている。業界筋によると、お互いに機能面において傑出した違いがないため、見込み客の契約残高や決済残高をクラウドベンダーが肩代わりすることで顧客として取り込もうとしている。

そして最近では3社ともに、中小の商店主がWeb上で存在感を出せるようになるためのツールや教育訓練を提供している。Amazonは先週、インドにある約1000万の商店のオンライン化を助けるために10億ドルを投資する、と発表した

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アマゾンがインドの何千もの小規模商店と提携

インドの都市、町、村の至るところに数多くの小規模な商店がある。小売大手がインドで数十億ドル規模の投資をしているにもかかわらず、商店は生き残り、繁盛してきた。そしていま、Amazon(アマゾン)がそうした商店を抱え込もうとしている。

同社は1月18日、商品を保管・配達するためにインド中にあるキラナストアとして知られる何千もの小規模商店と提携したと発表した。

「すべての関係者にとってウィンウィンのシナリオだ」とAmazonは話した。「顧客にとっていい話であり、店主は副収入が得られる」とAmazonの創業者でCEOのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏はツイートした。

数年前に「I have Space」という名称のプログラムを試験したAmazonは、キラナストア2万店超と提携していたと同社は述べた。

「そして本日、このプログラムで何千もの商店が我々と提携している。I have Spaceパートナーのネットワークはティア1、2、3の都市、これ以外の都市も網羅している」とTechCrunchに対し語った。

ベゾス氏にとって4回目となるインド訪問を締めくくる際にコメントを出した。それは、世界最大のeコマースがインドで積極的に市場を開拓しているにもかかわらず、インドの買い物客にとって商店は重要な存在であり、また強力に支えられた買い物スタートアップのエコシステムを有していることを強調するものだった。

商店はあらゆる商品を扱っていて、賃金は少なく、家賃もほとんどない。商店はあらゆるところにあり(業界の推計では、インド中に1000万店超あるとされている)、そうした店よりも迅速な配達を提供できている大手小売はない。加えて商店は繁盛している。インドではeコマースはまだ初期段階にあり、全小売売上高のわずか3%を占めるにすぎない。

Walmart(ウォルマート)傘下のFlipkart(フリップカート)も同様の結論にたどり着いた。同社は先月、4年前に創業されたバンガロール拠点のスタートアップであるShadowFaxに3000万ドル(約33億円)を投資した。ShadowFaxは商品保管場所として、300都市で商店と提携している。また配達面ではフリーランサーの大きなネットワークを利用している。

Amazonはまた、インドでAmazon Easyという名称のプログラムを継続する。このプログラムでは、インターネットユーザーが初めてオンラインで買い物するのを案内できるよう商店主をトレーニングする。

eコマース業界に新たな競争相手が現れようとしているが、商店との提携はAmazon IndiaとFlipkartにとって助けとなるかもしれない。インドで最も富裕なMukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏は先月、ムンバイ郊外でのJioMartソフト立ち上げに向けたサインアップを開始した。

JioMartは、格安のモバイルデータでインドの通信マーケットを刷新したアンバニ氏のReliance Jioと、インド国内6500の市町村に1万店を展開するインド最大の小売チェーンReliance Retailの合弁企業だ。

JioMartは、商店主が在庫を管理したり、Relianceの卸業者のネットワークに新しいストックを注文したりするのをサポートするための手に持つタイプの端末の使い方を、国内中にいる多くの商店主に教えている(この点に関して、Amazonはインドで2番目に大きい小売Future Retailとの提携をゆっくり深めている)。

「JioとReliance Retailは、グジャラート州の120万もの小規模小売や商店主に権限を与えて価値を高めるためのユニークな新商業プラットフォームを立ち上げる」とアンバニ氏は昨年述べていた。

Amazonは6年半前にインドマーケットに参入したが、1月18日のAmazonの発表は、これまでで最も注目すべき週の1つになるかもしれない先週の出来事にフタをするものだ。今週初め、インドの競争委員会がAmazon IndiaとFlipkartは反競争行為を展開している疑いがあるとして調査を行うことを発表した。

その後ベゾス氏がインドを訪問した。ニューデリーで開催されたイベントで、ベゾス氏はAmazonがインドのオペレーションに10億ドル(約1100億円)を新たに投資していることを発表し、何百万もの小規模小売のデジタル化をサポートすると述べた。これは同社がこれまでインドに注入してきた55億ドルとは別のものだ。

イベントと相前後して、数十の商店主たちがAmazonとFlipkartの反競争行為疑い関して抗議活動を行なった。さらにはインドのPiyush Goyal(ピユシュ・ゴーヤル)商業大臣がAmazonの新たな投資について「インドにとってたいしたものではない」と発言。翌日、ゴーヤル大臣は発言を撤回した。

1月17日、Amazonは2025年までにインドで100万の雇用を創出すると語り、ベゾス氏の署名が入った文書をAmazon Indiaのウェブサイトとアプリに掲載した。ベゾス氏はNarendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相との面会を模索したが実現しなかった。

画像クレジット:Frédéric Soltan/ Corbis / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

「インドでのアマゾンの1100億円投資はたいしたものではない」とインド貿易大臣が発言

インドの貿易大臣は、Amazon(アマゾン)のインドにおける10億ドル(約1100億円)もの新たな投資に感激していない。

アマゾン追加で10億ドル(約1100億円)をインドのオペレーションに投資するとCEOのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が発表した翌日、インドの貿易大臣であるPiyush Goyal(ピユシュ・ゴーヤル)氏は「アマゾンの投資はインドにとってさほど大きなものではない」と述べた。今回の10億ドルを含め、アマゾンのインドへの投資額は累計で65億ドル(約7160億円)になる。

「彼らは10億ドル投資する。しかしその後もし毎年10億ドルの赤字を出したら、彼らはその10億ドルを調達しなければならない」と、1月16日に開催されたシンクタンクのObserver Research Foundation主催のカンファレンスの中でゴーヤル氏は述べた。「なので彼らが10億ドル投資するとき、インドに素晴らしいことをしているというわけではない」。

インド当局に提出された書類によると、アマゾンはマーケットプレイス部門単体で2019年3月までの1年間で8億ドル(約880億円)の損失を計上した。「略奪的価格設定をしたり不公正な取引をしたりしなければ、マーケットプレイスはそのような巨額の損失にはならない。解明すべき謎がある」とゴーヤル氏は語った。

ゴーヤル氏の発言の数日前には、Amazon IndiaとWalmart(ウォルマート)傘下のFlipkart(フリップカート)が反競争行為をしている疑いがあるとしてインドの競争委員会が調査することを発表していた。

「今週インドを訪れているベゾス氏はNarendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相との面会を模索したがリクエストは承認されなかった」とこの件に詳しい情報筋はTechCrunchに語った。

「外国のeコマース企業はインドで操業したければ現地の法律に従う必要がある」とゴーヤル氏は繰り返し述べてきた。競争委員会による調査は「インド国民の関心事だ」とも語った。

「我々はマーケットプレイスモデルにおいて全企業のインド進出を許可した。マーケットプレイスモデルは、買い手と売り手が自由に貿易できる不可知論的モデルだ。もし彼らが合意に至ったら売買が行われる。マーケットプレイスはインベントリーを持つことはできず、インベントリーの管理もできず、価格を決定することもできない。さらには、異なる売り手の商品がどのようにプラットフォームに掲載されるかに影響を与えるアルゴリズムを持つこともできない」とゴーヤル氏は付け加えた。

「インドにおけるマーケットプレイスにはいくつかのルールがある。そのルールに則っている限りはインドので操業は自由だ」とゴーヤル氏は話した。現在調査が行われている主張は「前述のガイドラインに違反している」というものだ。

ゴーヤル氏の発言は、Amazonとインド政府との間で高まっている緊張をさらにスカレートさせるかもしれない。昨年、米国の上院議員らは外国企業が子会社の商品を販売することをインド政府が禁止したことを非難した。この禁止措置により、AmazonとFlipkartはマーケットプレイスから何十万点もの商品の除去を余儀なくされた。

1月15日、多くの小売業者がAmazon IndiaとFlipkartに抗議し、政府に干渉を要求した。ベゾス氏は今週初めに「アマゾンの新たな投資は何百もの零細小売業者がオンラインで販売できるようになるのをサポートする」と話した。

ベゾス氏はゴーヤル氏の発言や抗議活動に反応を示さないまま、1月16日にムンバイで開催されたボリウッドのセレブとのイベントに登場した。そこでベゾス氏は「アマゾンがインドにおけるPrime Videoストリーミングサービスへの投資を倍増させている」と発表した。しかし具体的な数字は明らかにしなかった。

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(翻訳:Mizoguchi)

Amazonがインドの小企業のデジタル化促進のため約1100億円を投資

インドは今週、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏を反トラストの調査で迎えた。さらにまた、ふだんは互いに競争している小規模商業主たちが全国から何千人も集まって、eコマースの巨人の搾取的と言われるやり方に抗議した。しかし、Amazon(アマゾン)の創業者でありCEOのベゾス氏は、同社にとって最も重要な海外市場への愛をそんなことでは失わなかった。

1月15日のカンファレンスでベゾス氏とAmazon IndiaのトップであるAmit Agarwal(アミット・アガルワル)氏は、この米国の巨人が中小企業のデジタル化を促進するためにインドに10億ドル(約1100億円)を注入すると発表した。アマゾンはこれまでインドに約55億ドルを投資している。

ベゾス氏によると、同社はまたインドの生産品の輸出にも着目している。それはニューデリーのMake in India(地産地売)キャンペーンへの協賛でもある。Amazonが扱う量は、2025年に100億ドルと彼は想定している。

同氏は「今後の5年間で、Amazonは累計10億ドルをインド全域の市町村の零細企業に投資し、これまでなかったほど多くの顧客増大をみなさんのために実現したい」と語った。そして「この計画では、現在のアマゾンのグローバルな展開を利用して、2025年までにインドからの100億ドルの輸出を作り出したい。この投資によって何百万という多くの人々が未来のインドの繁栄に与れるようにし、それと同時にインドの豊かで多様な文化を表している『Make in India』製品を、全世界に紹介したい」と続けた。

インドでは最近の10年間で5億近い人々がインターネットに接続した。しかし、全国の何万もの都市や町や村に散在する小規模な企業はまだオフラインだ。GoogleやFacebook、Microsoftなども近年はこれら小企業がウェブ上に出店してデジタル決済を受け入れるよう、支援しツールを提供している。

Amazonが主催した「Amazon SMBhav」カンファレンスは、SMBが中小企業(Small and Medium Business)を表しているとともに、smbhavはヒンズー語で「できる、可能」という意味だ。開会時に上映されたビデオでは、インドの貧しい商人や職人たちがアマゾンのeコマースプラットホームに参加して事業を拡大する様子が映し出されていた。

同社の役員の一人によると、アマゾンはインドで50万社を超える売り手を集めておら、その中の数千の業者が世界中の12カ国のAmazonのマーケットプレースで商品を販売している。

しかし、カンファレンスの会場からわずか10マイル(16km)離れたところでは、多く業務がアマゾンを違った目で見ていた。

インドの業者が多数集まってアマゾンの搾取的なやり方に抗議(画像提供:Manish Singh / TechCrunch)

この国の6000万を超える販売業者を代表する業界団体であるConfederation of All India Traders(CAIT、全インド商業者連盟)によると、抗議活動をインドの300都市で組織した。連盟の代表によると、同団体はアマゾンとFlipkartが採用している搾取的な価格設定と反競争的な行為を世の中に知らしめたいという。

ベゾス氏とアガルワル氏は、抗議活動や反トラストの調査に言及しなかった。ここには、世界最大の途上国市場の将来がかかっている。NasscomとPwC Indiaの報道によると、インドのeコマース市場は今後3年間で1500億ドル成長すると言われている。

ベゾス氏もカンファレンスで「21世紀はインドの世紀だと私は予言したい。最も重要な同盟関係はインドと米国の関係だと思う。それは、世界最古の民主主義と世界最大の民主主義の関係だ」と語る。

1月13日にインドのCompetition Commission(競争委員会)は、アマゾンとウォルマートが保有するFlipkartに対する反トラスト調査を開始し、eコマースの二大大手がスマートフォンのベンダーと組んで排他的な協定を結び、一部の売り手を優遇していないか調べることになった。

その調査はアマゾンとFlipkartにとって最新の規制による逆風であり、特にFlipkartは2018年にインドでウォルマートに過半数の株を160億ドルで売却している。昨年、米国上院議員は外国企業が自分の子会社から在庫を売ることを禁じているニューデリーを批判した。その禁制によってAアマゾンとFlipkartは突然、そのマーケットプレースから数十万品目を取り去ることになった。

CAITのスポークスパーソンはTechCrunchに「会員の商業者たちはインドの反トラスト監視当局による調査を歓迎している」と述べた。今日の新しい抗議活動は、近年この業界団体が組織した複数の活動の1つにすぎない。先月は数千名の抗議者が、eコマースの担い手たちへの同様の懸念を表明した。

本日、一部の抗議者は「アマゾンとジェフ・ベゾスとフリップカートは帰れ!」と声を上げた。CAITの全国レベルの理事長Sumit Agarwal(スミット・アガルワル)氏はTechCrunchのインタビューで「Amazonの大幅値引きが小規模商業者の成長を妨げているので、政府の介入が緊急に必要だ」と述べた。

業界の推計では、eコマースはこの国の小売業の売上の約3%を占める。

画像クレジット:Anindito Mukherjee/Bloomberg/Getty Images

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インドが独禁法違反の疑いでアマゾンとウォルマート傘下のFlipkartを調査

インド当局は1月13日、eコマース大手のAmazon IndiaとFlipkart(フリップカート)がインドでのシェアを伸ばすために反競争行為を行っているとの小売業グループの訴えを受け、2社に対する大規模な調査を命令した。

地元当局機関のCompetition Commission of India(CCI、インド競争委員会)は広範にわたる問題を取り上げている。その中には、特定の携帯電話をオンラインで独占的に販売するためのスマホベンダーとeコマースプラットフォームとの間の取り決めが含まれていて、eコマース企業は明らかに特定の販売業者を厚遇しているという主張を受けて調査が行われる。

CCIはまた、Amazon IndiaとWalmart(ウォルマート)が自社のマーケットプレイスで大幅な割引を行ってプライベートブランドを促進していないか調査するよう命じた。「情報では、FlipkartとAmazonがeコマースで本質的に反競争のモデルを確立した、とされている」とCCIは述べた。

Flipkartの広報は「弊社は書類をレビューしている」とTechCrunchに対し語った。「Flipkartグループは適用される法律とFDI規則を完全に遵守している。インドにおけるeコマースに民主改革を持ち込み、何十万というインドの中央省庁や販売業者、職人、小規模事業者にマーケットへのアクセスを提供し、何十万もの雇用を生み出しながら透明性がありかつ効率的なマーケットを通じて消費者に質のいい手頃価格の商品を提供してきたことに誇りを持っている」と広報は付け加えた。

「Amazonに関する申し立てに対応する機会を得たことを歓迎したい。コンプライアンスに自信があり、CCIに全面的に協力する」とAmazonの広報はTechCrunchに話した。

零細・小規模小売業者を代表するグループDelhi Vyapar Mahasanghがこの問題をCCIに提起した。Amazon IndiaとFlipkartを調査するという決定は、インドで2019年の規制に直面したこれらのeコマース会社にとって新たな悩みのタネとなるかもしれない。Amazonはインドでの事業に50億ドル(約5500億円)超を投資し、一方のWalmartは2018年にFlipkartの過半数の株式を160億ドル(約1超7600億円)で取得した。両社ともインドを最重要海外マーケットのひとつと位置付けている。

2日後の水曜日には、AmazonのCEOであるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏がニューデリーで小規模事業にフォーカスしたイベントをスタートさせる。AmazonとFlipkartによる反競争行為疑いの調査は、零細業者が今日直面している不利な状況を理解するという点で「長らく望まれていた初の具体的なステップ」だと全インド商業連合の事務総長Praveen Khandelwal(プラヴィーン・カンダワル)氏は話した。同連合はインドの7000万の小売業者と4万の事業者団体を代表する組織だ。

調査は60日以内に完了し、レポートが提出される。

画像クレジット:Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

アマゾンが顧客のメールアドレスなどを漏らした社員を解雇

Amazon(アマゾン)は、顧客のメールアドレスと電話番号をサードパーティと共有した数名の社員を「弊社のポリシーに違反した」として解雇した。

2020年1月10日に顧客に送られたメールによると、社員はデータを共有したため解雇され、同社は司法による彼らの訴追に協力しているという。

アマゾンはこの事件を、TechCrunch宛のメールで確認した。スポークスパーソンによると、数名の社員が解雇されたという。しかしながら、該当社員らに関する情報は何も得られず、また、情報がいつ誰と共有され、何名の顧客が被害に遭ったのかも不明だ。

顧客に送られたメールには、「お客様のアカウントに関連するその他の情報は共有されていません。これは、お客様が何かをされたことの結果ではありません。また、お客様が、何か対応をする必要もありません」と書かれている。

Amazonの顧客宛のメールには、社員は解雇されたと書かれてある。複数の社員が解雇された、とAmazonは言っている。

これは、初めて起こったことではない。Amazonは2019年に起きた同様のメールアドレス侵害についての明言も、コメントも避けている。

Amazonによると、また別の件で同社は今週、スマートカメラとドアベルの子会社Ringの社員4名を解雇した。Ringによると、解雇した社員らは、顧客のカメラにある映像を視るという不正を犯した。

アップデート: 記事のタイトルにおける社員(employee)を単数形から複数形に変更した。

関連記事: Amazon admits it exposed customer email addresses, but refuses to give details…Amazonが顧客のメールアドレスの露出を認める(未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AmazonのFire TVが月間アクティブ4000万人突破でRokuをリード

Amazonは米国時間1月6日、同社のFire TVプラットフォームに現在、4000万人以上ものユーザーがいることを発表した。2019年5月に発表した3400万人から増加しており、Rokuが昨年11月に2019年Q3決算で報告したアクティブ・アカウント3230万人を上回っている。

Rokuの「アクティブ・アカウント」は、過去30日間に一度でもストリーミングしたユーザーを指すが、1つのアカウントは同じ世帯で複数の人数が共有している場合もあるとRokuは言う。しかし同じことはFire TVにも言える。Fire TVもRokuも、異なるアカウントに切り替えてパーソナライズされたホーム画面やウォッチリストを作ることは容易ではない。

2019年にFire TVが3400万ユーザーを喧伝したとき、Rokuをアクティブ・アカウントで500万人リードしていた。月間4000万アクティブとなった現在、その差は770万人へと広がった。しかし両社は常に僅差でユーザー数を争っており、Rokuの決算が発表されるとAmazonのリードは縮まる。おそらくその時点でRokuは数百万ユーザー上乗せしてくると思われ、両プラットフォームの激しい戦いは続く。

RokuとFire TVのライバル関係は激しく、Rokuが無料の映画とTVハブのThe Rock Channelを出せば、Amazonは子会社のIMDbが無料のストリーミングサービス、IMDb TVをFire TVの機能として提供している。Rokuは独自のボイスコントロールプラットフォームを開発中であり、Fire TVがバーチャルアシスタント、Alexaを使ってつながるTVを制御できるというAmazonの優位性に対抗しようとしている。

また、Rokuがどのストリーミングサービスにもアクセスできる中立プラットフォームとして好評を得ているのに対して、Amazonもライバルのストリーミングサービスのサポートを充実しつつあり、最近ではYouTubeYouTube TVApple TVアプリが加わった。

Fire TVの月間アクティブユーザー4000万人は、新しいニュースだったが、Amazonが米国時間1月6日に発表したAlexaの利用状況はそうではなかった。現在10万個以上のAlexa互換スマートホーム製品があり、9500ものブランドから発売されている。Alexaデベロッパーの作ったスキルは10万件を超え、何百という製品がAlexaを内蔵している。こうしたデータは毎年恒例となっている2019年秋に行われたAmazonのAlexaイベントで詳しく発表された。

CES 2020 coverage - TechCrunch

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook