Facebook、現実のユーティリティーへ―料理配達、チケット購入などが簡単に

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今日(米国時間10/19)、Facebookはいくつかの新機能を発表した。Facebookはユーザーが単にテキストや写真を投稿するだけでなく、現実の場面でもこのソーシャルメディアを使ってもらいたいようだ。Facebookページでは、ユーザーはDelivery.comとSliceを通じて宅配で料理注文することができる。また MyTimeを通じて専門的サービスの見積もりを取ったり、 Facebookを離れることなくTicketmasterとEventBriteで映画やコンサートのチケットを購入したりできる。

Facebookはイェローページの復活に向けて努力をしているが、これらの新機能はその最新の成果といえるだろう。特に月間で6億5000万人がFacebookのイベント機能を利用していることを考えるとFacebook内からチケット購入ができるようになることの影響は大きい。現在はFacebookでイベントを知っても実際に参加するためには別のサービスにログインしてチケットを買う必要があった。このフリクションを取り除くことができれば、Facebookのイベント機能は各種イベントの主催者にとって対話性の高い広告媒体としての魅力を大きく増すことになる。

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友達があなたの知っている都市や地域を旅行している場合、新しいRecommendations(お勧め)機能を利用して何をしたらいいか提案することができる。ユーザーが不案内な町にやって来て「私は何をしたらいい?」と投稿するとFacebookの人工知能が自動的にそのことを探知する。ユーザーがRecommendations機能をオンにしている場合、友達の「お勧め提案を求む」という投稿がニュースフィードに目立つように表示される。この投稿への友達のコメントには地図が含まれ、後で利用するのが簡単なようにブックマークもできる。つまり「東京に来たけど寿司はどこで食べたらいい?」とか「サンフランシスコでブリトーがおいしいのはどこ?」といった質問に答える(そして提案を利用する)のが大幅に簡単になる。

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Facebookは今月、スタンドアローのイベント・アプリをリリースしたが、このアプリの優れた機能を本体アプリのイベント・タブにも移植した。ユーザーはデフォールトで友達からのRSVP(参加の可否連絡待つ)を含めてイベント発見のためのフィードを見ることができる。このフィードでは今日、明日、あるいは今週末にどんなイベントがあったかを簡単に調べることができる。もっと詳しく日程を知りたい場合は伝統的なカレンダー表示に切り替えることができる。ユーザーは新しいイベント機能を利用することで、地域のパーティー、展覧会、コンサート、カンファレンス、飲み会などの情報を最大漏らさず知ることができる。

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これらの新機能は当面アメリカを対象として今日から公開が始まる。反応が良ければ他の地域にも拡張される可能性がある。

FacebookはGoogle、Yelp、Fandango、ローカル情報サイト、料理宅配アプリなどに流れているトラフィックの一部を自サービス内に取り込もうとしているようだ。Facebookのタイムランはユーザーが慣れており、UIとしても使いやすい。ここに友達からの提案が表示されるのはユーザーにとって便利であり、使いにくく、身元不明の記事が多数ヒットするモバイル検索に十分勝てるとFacebookでは考えている。

ユーザーの習慣は一朝一夕に変わるものではないからモバイル・トラフィックに大きな影響を与えるような変化がすぐに起きるかどうかは分からない。しかしFacebookがユーザーが何をどこで買うのかについて今より豊富な情報を入手できるようになるのは間違いなさそうだ。ユーザーが特定のコンサート会場によく行く、あるいはタイ料理をよく注文するなどの情報が得られば、ターゲット広告の精度を改善するために役立つのはもちろんだ。

ユーザーがFacebook上で、友達だけでなく各種のビジネスとも相互作用をするチャンスが増えれば、ビジネス側でもFacebookにおける自社の露出を重視せざるを得ない。広告予算をFacebookにさらに振り向けることが必要になるわけだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebookで大統領候補を支持できるようになった

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今日(米国時間10/18)Facebookは、ユーザーが大統領候補を支持できる新機能を公開した。これでこの選挙に関する辛辣なコメントがますますニュースフィードに溢れることだろう。いいね。

やり方はこうだ。まず候補者のFacebookページへ行き ― そう、これにはジル・スタインやゲーリー・ジョンソン等の第三者候補たちも含まれている。誰も無視されていない ― 左カラムの “Endrorsements”[支持]をクリックし、応援する投稿をして支持を表明する。Facebookのヘルプセンターに支持の方法が詳しく説明[英語]されている。自分の支持内容は候補者ページの訪問者全員に公開することもできるし(もちろん、対立候補のページに落書きするためにこれを乱用する人などいない)、友達や家族だけに見せることもできる。

Facebookはこの機能を、州選挙や地方選挙等にも広げていく計画のようだ ― 同社によると、支持を受け付けるためには、Facebookページのカテゴリーを「政治家、政治家候補者、または政府関係者」に変更するだけでよい。

さらにFacebookは、候補者ページに「Issues[問題]」タブを追加し、今年Google検索が導入した、様々な問題に対する候補者の立場を検索結果のすぐ下に表示する機能に対応している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook Messengerの新機能は友達の動静を表示―「会話の話題」が発見される

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Facebook Messengerは昨年夏にすでに10億人のユーザーを得ているが、Facebookはユーザーのエンゲージメントを増やすために新機能追加の手を緩めていないようだ。

最新の機能は「会話の話題(Conversation Topics)」の提供だ。これはMessengerで友達と話すときに会話のきっかけを提供するものだ。MessengerはFacebookの傘下にあることを利してソーシャルメディアの本体から会話のテーマを収集してくる。つまり、Facebook投稿から、友達が最近どこに行ったか、何を計画しているか、どんな音楽を聞いているか、などの動静を収集して知らせてくれる。

iOSアプリを使うChris Messinaが先週末、この機能を最初に発見し、Twitterに投稿した

この機能は正式なものではなく、Facebookが実施中のテストの一環なのだろう。そのため新機能は一部のユーザーにしか発見されていない。

「会話の話題」はスクリーンショットでもわかるとおり、Messengerのスクリーン上で独自のセクションが用意されている。

「会話の話題」セクションでは友達の名前の下にその人物に関係する話題、右端には相手がオンラインであるか、あるいは最後にオンラインだったのがいつかが表示される。

上の例では Messengerは友達が最近グランドキャニオンを訪れたことが表示されている。

別のサンプルでは友達が最近音楽ストリーミング・サービスで聞いた曲、Facebook Eventsで興味を示したイベントが表示されている。

「話題の候補」機能の考え方は単純だ。ユーザーがFacebookの新しい友達(それともここしばらく接触がなかった古い友達)と会話を始める場合には、きっかけとなる話題を探しているはずだというものだ。そこでMessangegerがその話題を提供するわけだ。

それに加えて、新機能はある種の簡単なニュースフィードとしても役立つというメリットもある。Faceboook本体をスクロールしたり検索したりしなくても友達の最近の動静が即座に分かる。Facebookページや「いいね!」した広告やその他ごたごたしたリンクを追うなどの手間が省けるのは便利だ。

また友達の動静を伝える「会話の話題」はFacebookがMessengerの価値をアップさせるために行っている努力の一つに過ぎない。今回新機能を発見したChris Messinaは9月にはMessengerのソースコードに埋め込まれたRoomsという機能を発見している。

RoomsはどうやらMessengerのプラットフォームを利用した公開チャットルームのようだ。ユーザーは共通の話題、関心を持つ相手とここでチャットができる。以前、FacebookはRoomsというプロジェクトでFacebookのユーザー同士が匿名でチャットできるような仕組みを実験したことがあるが、現在は終了している。新しいRoomsはこれに関連があるかもしれない。

今回発見された「会話の話題」がMessengerに(今のところ)隠された公開チャットルーム機能と関係があるのかどうかはまだ不明だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebookのビデオが居間のテレビにストリーミングされるようになった

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Facebookのビデオが居間の大型テレビで再生できるようになった。この新機能はAppleのApple TV、AirPlayやGoogleのChromecast、Google Cast経由で、ニュースフィードにアップされたビデオクリップをユーザーのテレビにストリーミングする。自宅でのビデオ視聴体験が大きく改善されることによりビデオ広告収入が増えることをFacebookは期待している。

新機能はまずiOS版に実装されたが、Android版もすぐにアップデートされる予定だ。利用の際はニュースフィードのビデオの右上部に表示されるTVアイコンをタップし、続いてストリーミングに使うデバイスを選択する。

ビデオがストリーミングされている間もユーザーはニュースフィードをスクロールするなど普通にFacebookを使い続けることができる。この戦略は居間のテレビとモバイル・デバイスの双方をFacebookが占めようとするものだ。一方、ほぼ同時に発表されたTwitterのPeriscope Producerはまったく異なった性格のアプリだ。Producerはプロフェッショナルが製作したコンテンツをPeriscopeとTwitterを経由して世界に配信する。

FacebookではAndroid版は5月iOS版は8月からそれぞれアップロードされたビデオをテレビへストリーミングするテストを開始していた。実はFacebookがストリーミングを始めたのはかなり以前で、iPadアプリにAirPlayを経由したストリーミング機能jが追加されたのは2011年だった。ウェブ版や他のモバイル版アプリからのストリーミングが実現するまでにこれほど長い時間がかかったのがむしろ不思議だ。

ライバルであるYouTube(と同社が買収したPeriscope)はすでにビデオをテレビにストリーミングする能力を備えている。Facebookの今日のストリーミング機能の追加はトレンドから取り残されないようにするためだったかもしれない。YouTubeにはユーザーが見たいビデオをその場で再生の待ち行列に追加する機能がある。Facebookは次にこの機能も取り入れるかもしれない。

Facebookの目標は「いついかなる場所にも存在する」ことだ。そこでビデオ視聴のプラットフォームも可能なかぎりあらゆるバリエーションを揃えようとする。Facebookのビジネスを支える最大の柱は予見しうる将来にわたってモバイルだろうが、Facebookの存在をいっそう拡大する上では仮想現実やテレビでも有力な地位を築くことが欠かせないはずだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

GoogleとFacebookが共同で新しい太平洋横断ケーブル施設へ―120TbpsでLA・香港を結ぶ

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GoogleとFacebookは共同で120Tbps(テラビット/秒)の海底ケービルをロサンゼルス・香港間に施設する計画だ。両社はこのためにChina Soft Power Technologyが全額出資する子会社、Pacific Light Data Communicationと協力する。China Soft Powerが海底ケーブル・ビジネスに参入したのは比較的最近だ。

全長1万2800kmとなるこのケーブルがフルスピードで稼働するようになれば、太平洋横断ケーブルとして史上最大の容量となる。これまでの最大は台湾と日本を結ぶFASTERケーブルで、これもGoogleが関わったプロジェクトだった。

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Pacific Light Cable Networkがこの計画を最初に発表したのは昨年で、このときにはGoogleとFacebookが参加する予定は伏せられていた。建設コストは4億ドルと見積もられていた。この海底ケーブルは5組の光ファイバー・ペアから構成される。一つのペアは24Tbpsの伝送容量がある。

Googleは私の取材に答えて「プロジェクトの参加各社はそれぞれ独自の伝送能力を持つ。つまり各社はそれぞれ固有の光ファイバー・ペアを所有することになり、トラフィックは各社ごとに完全にプライベートなものになる」と述べた。

新しい海底ケーブルはGoogleが関与した6番目のケーブルだ(他はUnitySJCFASTERMONETTannat)。

GoogleとFacebookが共同事業に参加するというのは奇異に感じられるかもしれないが、海底ケーブルの施設事業ではこの種の協力は珍しいことではない。FacebookとMicrosoftは最近、大西洋横断ケーブルでチームを組んだ。こちらは160TbpsとPacific Lightの太平洋横断ケーブルよりさらに速い(ただし距離は半分くらいだ)。Amazonもまた独自の海底ケーブル建設に投資を開始する。ただしAmazonは他の大企業とパートナーを組む計画は持っておらず、すべて独自のケーブルとなる。

Googleは「新しいケーブルは伝送容量を大きく拡大し、遅延を抑え、アジア太平洋地区の顧客に大きなメリットをもたらす」としている。 もちろんFacebookも同様の改善が見込めるはずだ。

〔日本版〕 China Soft Power Technology(中国軟実力科技集団有限公司)は香港に本社を置く企業。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

NFL、各チームによるビデオやGIF投稿を大幅に制限

FOXBORO, MA - SEPTEMBER 21: Julian Edelman #11 of the New England Patriots is tackled during the fourth quarter against the Oakland Raiders at Gillette Stadium on September 21, 2014 in Foxboro, Massachusetts. (Photo by Darren McCollester/Getty Images)

NFLが、新しいソーシャルメディア・ポリシーを発表した。ファンの期待を裏切るものとなっているように思うがどうだろうか。

ESPNが入手した新ポリシーに関するメモ(新ポリシーは直ちに発行することとなる)によれば、ゲーム中に映像関連コンテンツをソーシャルメディアに投稿することを一切禁止することとしたのだそうだ。

ゲーム中にFacebook LiveやPeriscopeなどに投稿することはできないし、またゲーム後でも一定の制限を課すこととなった。これまでは、チームはファンのために自由に投稿を行うことができていたのだ。こうした面でのファンとの交流が禁じられることになるわけだ。

ゲーム後も60分を経過するまでは、ハイライト(ビデオやGIF)を投稿することが禁じられた。

ちなみに、NFLの公式アカウントによるビデオ投稿ならばゲーム中でも行うことができる。チーム側がこれをリツイートしたりリポストすることは自由に行うことができる。

違反したチームに対しては、最初の違反に対して2万5000ドル、2度目には5万ドル、そして3度目となると10万ドルを科すこととなっている。

すなわち、どういう状況になるのだろうか?たとえばパンサーズがタッチダウンを決めたシーンはこんな感じだ。まずはパンサーズの投稿から。

一方でNFLの公式ツイートはこんな感じだ。

ファンにとって、どちらが魅力的であるかは言うまでもないだろう。パンサーズはこのNFL公式投稿をリツイートすることもできるわけだが、チームとして他にやりたいこともあるケースも多いはずだ。

また、このパンサーズのゲームが行われた日は、ただこの1試合だけが行われていた。そこでNFLのソーシャルメディアチームも、このゲームにのみ注力することができた。しかし同時に7試合が行われる日曜日などにはどうなるだろう。チームの魅力を伝えるハイライトシーンをすべて取り上げる体制はあるのだろうか。情報が新鮮なうちに各チームが再利用(リツイート)できるようなタイミングで情報を公開することはできるのだろうか。

間違った決断なのではないだろうか

今回の決定は、NFLの視聴率が昨年比で14%の落ち込みを示していることをうけてのものと思われる。大統領選の影響を指摘する人もいる。スター選手が怪我をしていたり、出場停止になっているせいだとする人もいる。最初の5週間については組み合わせも選手のパフォーマンスもひどいからだと主張する人もいる。

つまり、視聴率低下をソーシャルメディアのせいであると考える人はいないのだ。そのような中でのNFLの決定には疑問を感じる。ビデオ投稿を規制すれば、ファンはテレビで見るしかなくなるはずだというのがNFLの考えだ。しかしソーシャルメディアは視聴率向上にこそ役立つものなのだ。Twitterでリアルタイムにスーパープレイを見て、それで試合に興味をもってテレビを見るという人は多いのだ。

証拠もある。昨シーズン、NBAの視聴率は10%の伸びを示した。そのNBAっはソーシャルメディアの使い方については完全にリベラルでかつイノベーティブでもあるのだ。ともかくチームのビデオ投稿を規制するようなことは一切行なっていない。各チームはGIFやVine、あるいはビデオ投稿などを次々に繰り出し、とても面白いゲームがいままさに行われていることを視聴者に訴えることになっているのだ。

NFLの決定は、少なくともソーシャルメディア上におけるフットボールの魅力を減じるものになるだろう。

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(翻訳:Maeda, H

Facebookのエンタープライズ向けSNS「Workplace」が正式リリース

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Facebook at Workという仮の名がつけられたクローズド・ベータ版の公開から20カ月がたった今日、(先週の記事で予測した通り)Facebookがエンタープライズ向けソーシャルネットワーキング・サービスのWorkplaceをついに正式リリースした。

Workplaceに与えられたのは新しい名前だけではない。Workplaceは新しいタイプの料金モデルをもつ。月間アクティブユーザー数をベースにしたFacebookスタイルの料金設定だ。また、無料で提供される試作品段階だったにも関わらず、1000社以上の顧客を獲得したWorkplaceには大きな野心も込められている(1年前の顧客数は100社だった)。

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デスクトップ版とモバイル版のアプリが提供され、ニュースフィードやFacebookグループなどの機能も備えたWorkplaceを利用することで、社員同士はもちろん、社外の人々ともつながることが可能だ。Chatと呼ばれるダイレクトメッセ―ジ機能、ライブ配信機能、リアクションボタン、翻訳機能、ビデオ・音声通話機能を備えたWorkplaceが正式にローンチしたことで、これから誰でもこのサービスを利用できるようになった。「誰でも」という言葉こそ、この文のなかで最も重要な言葉だ。

Workplaceの狙いは、大衆を取り込むこと、そして他社が提供している同様のサービスとの違いをつくることである。企業向けメッセージング・ソフトウェアの典型的なユーザー、つまり「知識労働者」と呼ばれるようなホワイトカラーやデスクワーカー以外の人々を取り込もうとしているのだ。

これまでの典型的なユーザー層に加えて、Workplaceは店頭の販売員、機械のメンテナンス担当者、外回りの営業員なども取り込もうとしている。プライベートではFacebookを利用してはいるが、これまで企業内のデジタルなコミュニケーションに参加する機会のなかった人々だ。

「Facebook流のエンタープライズ向けソフトウェアをつくりたい」

Workplaceが誕生するはるか以前から、マーケットには数多くの企業向けソフトウェアが存在し、顧客の心をつかんで素晴らしい実績を残してきた。企業向けのコミュニケーション・ツールという分野では、SlackYammer、SalesforceのChatterHipchatJiveなどが主な競合サービスとなるだろう。

上記のサービスほど有名ではないものの、デスクワーカー以外の人々に特化したメッセージング・アプリもすでに多く存在する。Zinc(以前はCotapと呼ばれていた)、Beekeeperなどがその例だ。

なぜこのタイミングなのだろうか?その点について、WorkplaceのディレクターであるJulien Codorniouは「WorkplaceはFacebookとはまったく別に開発する必要がありました。さらに、SaaSのベンダーとなるためにはテストを重ね、さまざまな認可を得なければなりませんでした」と、Workplaceの開発拠点であるロンドンで行われたインタビューのなかで語っている。製品開発は現在も進行中だ。WorkplaceがUS/EU Privacy Shiledに加入したのはつい先週のことだと彼は言う。

Workplaceが従来のSaaSユーザーとは違った種類の企業をターゲットとしていることも理由の1つだ。「とても保守的な業界や政府機関などでも利用されることを確かめたいと考えていました」と彼は語る。「考えうるすべての地理的条件や業種でのテストを行いました。もっとも保守的な業種に関しては特にです。それにより今では、彼らから利用されるための準備は整ったと感じています。」

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Workplaceは史上初のサービスというわけではないが、その独自の特徴でユーザーを惹きつけようとしている。

その一つが料金モデルだ。エンタープライズ向けソフトウェアを展開する企業は、何種類かある標準的な料金モデルを採用している例がほとんどだ。その標準的な料金モデルには、ソフトウェアを利用する社員の数で利用料金が決まるモデル、ソフトウェアで利用できる機能数を基にした料金モデル、そして基本的なサービスや製品は無料で提供し、さらに高度な機能や特別な機能については料金を課金するというフリーミアム・モデルなどがある。

Facebookはこれらの従来モデルをすべて窓から放り投げ、彼ら自身のやり方で料金モデルを構築した。

すべてのユーザーに同じ機能を提供する一方で、アクティブ・ユーザー数によって料金が変わる仕組みだ。ここでいうアクティブ・ユーザーとは、少なくとも月に1度はWorkplaceを利用しているユーザーのことだ。アクティブ・ユーザーが1000人以下の企業では、ユーザー1人につき3ドルの料金が発生する。同じように、1001人以上かつ1万人以下の場合では2ドル、それ以上は1ドルとなる。

(比較のため、Slackの料金モデルを例に挙げよう。Slackのスタンダード・プランではアクティブ・ユーザー1人につき月額8ドルの料金が発生し、上位プランのSlack Plusでは15ドルとなる。年間契約すると料金は安くなる。大企業向けのエンタープライズ・プランの詳細はまだ明らかになっていない)

低価格で、かつ月間ユーザー数に基づいた料金モデルを採用した理由はいくつかある。なによりもまず、この料金モデルを採用することで料金の透明性を高めることができた。

しかし理由はそれだけではなく、この料金モデルを採用することでサービスの信頼性を高めることにもつながる。料金は実際に使った分だけしかかからない。また、Facebookでの広告と同じように、魅力のあるサービスを提供してはじめてFacebookに収益がもたらされる仕組みなのだ。

「Facebook流のエンタープライズ向けソフトウェアをつくりたかったのです」とCodorniouは語る。

この料金モデルに関するもう一つの興味深い特徴は、公開されている数字が限定されていることだ。Facebookが現時点での総アクティブ・ユーザー数を公開することはないだろう。しかし、同社がより規模の大きな企業や組織体に狙いを定めていることは明らかだ。

初期段階からWorkplaceのユーザーとなった企業として、3万6000人の従業員を抱えるTelenor、10万人のRoyal Bank of Scotlandなどがある。そして今日、Danone(従業員10万人)、Starbucks(23万8000人)、そしてBooking.com(1万3000人)などの企業がユーザーに加わったことを新たに発表した。

これらの企業に加え、Royal National Institute for the Blind、Oxfam、Goverment Technology Agency of Singaporeなどの組織や政府機関などもWorkplaceのユーザーだ。

Workplaceは有料のサービスだ。しかし、このサービスから大量の収益を得ることが彼らの目標ではないようだ。少なくとも初めのうちは。Codorniouによれば、Workplaceの目標はサービスの普及率を高めることであるという。

「InstagramやMessengerのようにWorkplaceを成長させていきます」と彼は言う。「マネタイズについて考える前に、まず最初の1年は成長させることを考えていきたいと思います。成長ついて考えるだけで頭がいっぱいなのです」。

Facebookと同じ要領で使えるというWorkplaceの特徴によって、他のサービスからユーザーを完全に乗り換えさせるとまではいかなくとも、試しに使ってみようという気にさせることはできるかもしれない。

Facebookというメインサービスの月間アクティブ・ユーザー数が17億人を超えた今、企業で働く人々の大半がFacebookをすでに使っているか、またはFacebookを知っていると言うだろう。

これが意味するのは、大半のユーザーがWorkplaceの見た目や使い方にすぐに慣れることができるということだ。それがクローズド・ベータ版で高いエンゲージメント率を達成した要因でもある。クローズド・ベータには1000社もの企業が参加し、すでに10万ものユーザー・グループが存在しているのだ。

「Workdayとのサービス統合よりも、使い勝手を向上させることの方がより重要」

過去にFacebook at Workを取り上げた記事でも述べたように、Workplaceはすでに浸透しているFacebookのデザインと同じような見た目をもっている。

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Workplaceにもニュースフィードがある。同僚や、頻繁にやりとりする他社の従業員を誘ってFacebookグループをつくることもできる。「Chat」と呼ばれるMessengerと同じようなメッセージング機能も備わっている。

ライブ配信や、グループでビデオ・音声通話をすることもできる。リアクションボタンを使ってさまざまな感情を表現することもできるし、自動でポストを翻訳してくれる機能もある。

それに加え、すでに他社のサービスを利用している大企業を取り込むための策として、正式リリース時点ですでに数社のサービスとの統合が完了している。ログイン機能や本人認証機能のOkta, OneLogin、Pingや、ストレージのBox、インテグレーターのDeloitteやSada Systemsなどの企業だ。

しかし、Workplaceで利用できる統合サービスの数は決して多いとは言えない。何百ものアプリがショートカットキーやコマンドで利用できるSlack流のやり方とは大きく異なっている。

Codorniouによれば、これは意図して狙ったものだという。

「サービスの使いやすさや、受け入れられやすい料金体系について顧客と話しあってきました」と彼は話す。「従業員が10万人いるなかで、その多くがコンピュータやデスクを持っていないというDanoneのCEOとの会話で分かったのは、WorkdayやQuipと統合されているということではなく、使い勝手の良さやエンゲージメントの方がより重要だということです」。

(この事について、興味深い補足情報:今のところ、他社がWorkplaceの販売会社として契約を結んだり、Workpalceとサービスの統合をする際、Facebookはそれらの企業に対し、事前にWorkplaceに登録して実際にサービスを使うことを求めているとCordorniouが教えてくれた。「使ってもない商品を売ることができるとは思いません」と彼は言う)

私が思うに、Slack流のサードパーティとの統合や、Messengerにも搭載されたチャットボットなどの要素が、今後すぐにWorkplaceにも取り入れられる可能性は高い。それは来年の春に開催されるFacebook F8コンフェレンスで明らかとなるだろう。

ひとまず今言えるのは、Workplaceがマーケットに与えた影響はとても大きいということだ。十数億の人々によるデジタル・コミュニケーションのデファクトスタンダードとなったのがFacebookである。そして今、彼らはエンタープライズの世界でも同じことを成し遂げようとしているのだ。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Facebookがグループへの広告配信テストを開始、新たな収益源となるか

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Facebookの収益拡大に向けた次の一手は、グループ機能を利用している10億人のユーザーに対する広告配信だ。これでFacebookはニュースフィードを広告で溢れさせなくてすむ。”We’re testing ads in Groups(グループ内での広告テストを行っています)”という通知を見たユーザーからの連絡を受け、TechCrunchが確認したところ、Facebookはオーストラリア・カナダ・アイルランド・ニュージーランドを対象として、モバイル・デスクトップ版のグループ機能内で広告配信のトライアルを行っていると認めた。

「この度Facebookグループ利用者への広告配信テストを開始しました。ユーザーの反応を精査してから、今後どうするかについての決定が下される予定です」とFacebookはTechCrunchに語った。グループ内で表示される広告は、ニュースフィード上のものと同じスタイルになるようだ。掲載される広告は、グループのトピックや通常の個人情報に基いたターゲティングをもとにして決まる。

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Facebookは、2017年の半ばにはニュースフィードの広告数が上限に達すると見込んでおり、近年右肩上がりの収益増加率を支えるための新たな収益源を必要としている。本日ローンチされた、ユーザー数に応じて料金が変わる企業向けSNSのFacebook Workplaceからの収益や、Instagramの広告上限数の拡大によって、複数のサービスでその負担を分散できるかもしれない。ほかにもFacebookは、ライブ配信の途中に表示される広告や、Messenger経由で広告を配信するスポンサードメッセージのテストも行っている。

groups-heroしかし収益を拡大するための最も簡単な方法は、単にこれまでのような広告を掲載するチャンネルを増やすことなのかもしれない。その方法を取る上で、グループ機能は最適の対象となるだろう。

グループはFacebookにはじめから搭載されている機能のひとつで、もともとは、人権保護から音をたてて枯れ葉を踏みしめる喜びまで、ユーザーがあるアイディアや信念を支持しているということを表すためだけのものだった。その後グループ機能は2010年に改良され、ユーザーがただグループに加わるだけでなく、他のユーザーと交流もできるようなフォーラムへと姿を変えた。

2014年までにグループ機能の利用者数は5億人に達し、スタンドアローンのアプリも配信されはじめた。以降も、ユーザー間でモノを売買するグループやその他のコミュニティのおかげで、ユーザー数がさらにその倍に増加した。家族や友人で構成されるグループのほかにも、くだらないミームを共有するためのグループや同じ趣味を持つ人たちの集い、抗議活動や専門的な議論を行う場としてのグループなど、この機能はFacebookに欠かせないものとなった。

そして、各グループのテーマがここまで多岐に渡っているからこそ、グループ広告には価値があるのだ。Facebookが各グループを正確にカテゴリー別けする方法をみつけ、広告のターゲティング精度を上げることができれば、関連度合いが高く収益率の良い広告を、さまざまな興味をもったターゲットユーザーのもとへ配信することができる。

マンチェスター・ユナイテッドのページを「いいね!」しているという情報は、マンチェスター・ユナイテッドの熱狂的なファンのグループページをよく訪れているという情報に比べて、広告のターゲットを絞るためのシグナルとしては弱い。後者の方が、スポーツグッズを購入する可能性が高いということを正確に表すことができる。そのためFacebookは、ひねった名前が付けられたグループや、さまざまな内容の話が飛び交っているグループのトピックを正確に掴むための方法を考え出さなければならない。

groups-buy_sell-12また、毎月4億5000万人ものユーザーが売買グループを利用しており、ちょうどFacebookは彼らのための専用マーケットプレイスをローンチしたところだ。このような売買グループも広告主にとっては有力なターゲットとなるだろう。例えば、テレビやパソコンの売買が行われているグループをチェックしているユーザーに対しては、電機ブランドの広告を表示することができるのだ。もちろんユーザーが機嫌を損ねてサービスを使わなくなってしまわないように、Facebookは表示する広告の数には気をつけなければいけない。

Facebookグループは、公になっているニュースフィードと、閉じられたプライベートメッセージの中間点として機能することでユーザー数を伸ばしてきた。そして誕生から10年以上が経ち、ようやくこの機能がFacebookの利益に貢献するときがきた。念のためハッキリ書くと、Facebookはサービスのマネタイズにとんでもなく長い期間をかけることをいとわないのだ。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

FacebookとOculusがVRコンテンツとダイバーシティと教育に$250Mあまりを投資、VRを本気でメジャー化するつもりだ

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Oculusが望むのは、次のコンピューティングプラットホームが確実に、これまでみたいに白人男性が支配するものではないようにすることだ。同社は、女性や有色人種の人びとによるVRアプリやビデオの創造を支援するために、1000万ドルの基金を設ける、と発表した。

これと並行してFacebookとOculusはさらに2億5000万ドルを、高品質なVRコンテンツの潤沢な開発を加速するために投資する。これまでにもVRコンテンツに2億5000万ドルを投資しているから、一挙に倍増となる。

そのダイバーシティ資金は、OculusのLaunch Pad及びVR For Good事業へ行く。またそれは、“新しい声を増幅する”ためにも投じられる。多様なVR作者とオーディエンスを支援することによって、人生や正義や不平等など、さまざまな視点視野に関する理解が深まる。Oculusは今日(米国時間10/6)、Diverse Filmmakers Projectというダイバーシティ事業を立ち上げた。

1000万ドルの方はOculusのNextGen事業へ向かう。それは、UnityのワークショップとSamsungやAMDおよびOculusのハードウェアを大学に寄贈し、大学におけるVRコンテンツ創造事業を振興する。VRには、コンピューター科学以外にもさまざまな学科の学習を活性化する力がある。VRによる教育アプリ/アプリケーションは、授業をよりおもしろくし、児童生徒は歴史の教科書の上のテキストを読むだけでなく、実際に過去の戦場を体験できる。

デベロッパーがそのUnityのプラットホームで開発することの、リスクを減らすために、FacebookはUnityのロイヤリティを、デベロッパーたちの収益が最初の500万ドルに達するまで負担する。デベロッパーは、自分たちのアプリが商業的に軌道に乗ったら、その後は自分で払うことになる。

モバイルゲームのデベロッパー用に、5000万ドルが取り置かれる。ケーブルを引きずりながら体験するOculus Riftが今は注目されているが、VRの真価はSamsung Gear VRやGoogleのCardboardとDaydreamヘッドセットなど、モバイルのプラットホームにある。今後のユーザー人口を大きく増やすためには、ポータビリティと価格の手頃感が重要である。

何にも増して、こうやってFacebookが巨額を投じたからには、これからはVRデベロッパーにとって良い時代になるだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

企業向けFacebookツール、Facebook At Work、いよいよ来月正式公開

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Facebookはソーシャルメディアの中毒性をビジネスにも持ち込もうと準備中だ。同社はFacebook At Workを数週間のうちにリリースする計画だ。この企業向けビジネス・ツールはFacebook本体と同様、コミュニケーションとネットワーク上の共同作業をサポートする。料金はユーザー当たりの従量制になる。最初に報じたのはThe Informationの記事(有料制)だが、Facebookに近い情報源がTechCrunchに情報が正しいことを確認した。

Facebookは「社員がこのプロダクトを使って便利さを感じれば、その後手放せなくなるはずだ。こうしたビジネス・ツールの場合、定額制が普通だが、Facebookでは月間アクティブ・ユーザーを企業に対する課金の単位としている」とFacebook @ Workのディレクター、Julien Codorniouは述べている。 TechCrunchの得た情報によれば、Facebookはサービスのスタート時にAsanaなどのSaaSプロバイダーとの提携やサービスへの組み込みなどを発表する。[情報開示:この記事の筆者はAsanaの共同ファウンダーの一人の友人]

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つまり経営陣からアシスタントまで、さまざまなレベルの社員がこのツールを使い始めるはずなのでユーザー数を基準に料金を徴収することができればきわめて有利なビジネスとなるとFacebookでは考えている。いずれにせよ、使ってみて自分に不要だと考えればその社員分の料金は請求されない。

TechCrunchは 2014年にすでにFacebookはエンタープライズ向けツールを開発中だと報じている。またFacebook自身も2015年に最初のテストの開始を公式に発表した。その後Facebookは社員10万人のRoyal Bank Of Scotlandなどの巨大国際企業をテストにに加入させてきた

Facebook At Workの加入企業はこのサービス独自のWork Feed機能を利用できる。これは現在の業務や将来計画について同僚と情報やアイディアを交換、共有できるニュースフィードだ。全体としてFacebook At WorkはConvo (9ドル/月)、Salesforce Chatter(15ドル/月)、 Microsoft Yammer(3ドル-24ドル/月)といったビジネス・チャットに似ている。Facebookのビジネス・ツールではGroups、 Messengerとも音声と動画による通話ができる。これはSlackやSkypeを意識したものだろう。またFacebook本体のようなソーシャルネットワーク、ユーザー・プロフィール、イベント、ライブビデオ配信などがサポートされる。

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Facebook At Workの正確な料金システムはまだ明らかでない。現在400社以上が料金無料でベータ・テストに参加しているが、サービス開始後も数ヶ月は無料のまま他の同種サービスとの比較を続けることができるようだ。比較といえば、たとえばSlackは月間アクティブ・ユーザーごとに6.67ドルを課金するが、提供される機能はリアルタイムのメッセージングだ。Slackの場合、業務連絡やWikiタイプのQ&Aなどリアルタイムのチャットの下に埋もれてしまうのは困るような表示には向かない。

またFacebook At Workの最大の強みはユーザーがすでに慣れ親しんでいるサービスだという点だろう。Facebookであれば、大半のユーザーはすでにアカウントを持ち、各種のログイン情報を登録ずみで、使い方も熟知している。これは他のSaaSツールには望めない点だ。Facebookのユーザーは単にアカウントを切り替えるだけでFacebook At Workを使い始めることができる。これはライバルに比べて圧倒的に有利な点だ。ユーザーがセキュリティーを重視する場合は、既存のアカウント情報を利用せず、まったく新しいビジネス用アカウントを設定することももちろん可能だ。

Facebook At WorkのスタートはMicrosoftがメッセージ・サービスのYammer Enterprise版を来年1月に廃止するのと同時期となった〔MSはユーザーをOffice 365のチャット機能に移行させる計画〕。Yammer Enterpriseに依存していた大企業の多くは仕事の関係者を一箇所にまとめてコミュニケーションの場を提供してくれる代替サービスを探しているところだろう。Facebookとしても収入源を広告以外に求めることができるのはビジネス戦略として健全だ。このような形で売上を確保できれば本体サービスのユーザーを広告で生き埋めにせずにすむ。

唯一の問題は「無駄話で思わず時間をつぶしてしまう場所」というFacebookのイメージをこのビジネス・ツールが払拭できるかどうかだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

AndroidゲームをPCからFacebook Liveにストリーミングできる、デスクトップエミュレータBlueStacksを利用

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ゲームのストリーミングは、ビデオをストリーミングしている連中が必ずやりたがる。そして今回はFacebook LiveがAndroidのゲームやアプリを、PCやMacのデスクトップエミュレータBlueStacks経由でストリーミングできる。その統合はかなり巧妙で、以前はTwitchで使えたが、Facebook Liveのサポートが加わったことによって、Amazonのようなゲーム中心のストリーミングと違い、もっと幅広いオーディエンスに到達できる。

レイアウトは変えられるからゲームの見方/見せ方をカスタマイズできる。モバイル向けに最適化されたアスペクトレシオは、正方形である。構成画面も、現在の視聴者数などの統計データも、そしてFBからのチャットもいいね!も、すべて正方形だ(上図)。

BlueStacksによると、統合化によってユーザーはストリーミングに集中でき、スマホをあれこれ操作する必要がない。ただしデスクトップエミュレータを使うから、タッチを使えるWindows PC以外ではタッチインタフェイスは使えない。…ということは、ゲームのユーザー体験はAndroid上と完全に同じにはならない。ゲームによっては、速い反応ができなくなるだろう。

しかしそれでも、ストリーミングをやる連中にとってはリーチを広げる良いチャンスだし、なんといっても巨大なFacebook上のツールを利用できるのだから。

出典: Engadget

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Facebookが新たなコードでAdblock Plusにさらなる反撃

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クラウドソースで集まったAdblock Plusのハッカー軍は、Facebookが誇る統制の取れたエンジニア軍に追いつけていないようだ。

Facebookが、広告ブロッカーへの対応策をはじめて発表してから2日後に、Adblock Plus(ABP)はその回避方法を考えだし、「私たちは、オープンソースコミュニティを通してすぐに解決策をみつけると約束していました。私たちのコミュニティは、Facebookのような巨大企業にさえ勝っているようです」と豪語していた。

しかし、FacebookがABPの最新広告回避方法への対応策を実装してからすでに1ヶ月が経ち、Facebookの広告は、依然ユーザーのもとへ届けられている。ブラウザーのエクステンションとして提供されているABPが、最終的にスクリーン上に現れる情報を決めているにも関わらず、Facebookは送信するコードを完全にコントロールしていることから、ABPのフィルター開発が間に合っていないのだ。

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Adblock Plusのコミュニケーション担当マネージャーBen Williams

ABPの親会社であるEyeoで、コミュニケーション・オペレーション担当マネージャーを務めるBen Williamsも、Facebookと戦いを続けるには、もっと深い研究やソフトの大幅な変更が必要になると認めている。「要するに、Facebookは広告の表層に見られた識別子を全て取り除いてしまったんです」と彼は語り、将来的にユーザーがFacebookの広告とコンテンツを見分けられなくなってしまう恐れについても触れていた。

Williamsは、このような事態がおきることをABPが予期していたと主張する。「Facebookのような企業であればプレイブックを準備している、という前提に立たなければいけません。これまでに起きたことは、ほぼ私たちの予想通りでした」

この発言は、1ヶ月前に公開されたブログポスト上でWilliamsが見せていた、自信溢れる言葉とは対照的だ。ブログの中で彼は、「ユーザーの皆さんに覚えておいて欲しいのが、誰も止めることのできない巨大なコミュニティが私たちのそばにいるということです」そして「もしも、Facebookがまた対応策をみつけたとしても、私はオープンソースコミュニティから、また新たな回避方法が生み出されると確信しています」と記していたのだ。

adblock-generalそして現在、ABPはFacebookに反撃するのには時間がかかると言っている。「私たちはソフトウェアに変更を加えなければならず、細心の注意を払って取り組んでいます。テストも必要になってくるでしょう」。さらにWilliamsは、Facebookが広告コードの親要素を取り去ってしまったものの、「現在、子要素にもとづいて広告をブロックする技術を開発中で、完成にはあと数週間かかると思います」と語る。

その間に、ABPはAcceptable Ads Platformと呼ばれる広告プラットフォームをローンチした。このサービスを利用することで、ウェブサイトの運営会社は、広告料の6%を同社に支払うことで、ABPをブラウザーエクステンションとして利用している9000万人ものユーザーに対して、プライバシーの保護された広告を表示することができる。1クォーターで20億ドルの利益を稼ぎ出す、Facebookのような巨大テック企業とAdblock Plusが戦い続けたいと考えているならば、この収入はとても重要になってくるだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Facebook チャットボット経由の支払サポートへ―Messenger Platform v1.2発表

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TechCrunch Disrupt SF 2016カンファレンスに登壇したFacebook Messengerの責任者、David Marcusが大きな発表をした。FacebookはこれまでMessengerボットの機能の最大の穴だとされていた部分を埋めた。ユーザーを他のサービスに送り出すことなく、Messengerボットは内部で支払処理が可能になるという。

デベロッパーは商品購入が可能なボットの開発において、ユーザーがすでにFacebook本体ないしMessengerに登録してあったのクレジットカード情報をその場で利用できるようになる。Messengerでのこうしたボット開発は限定的なベータテスト中だが、デベロッパーはFacebookに参加を申し込むことができる。

Marcusは4月にスタートしたこのプログラムに3万4000のデベロッパーが参加し、3万のボットが開発されたことを明らかにした。5月にはデベロッパーが1万、7月には開発されたボットの数が1万1000だった。

Messengerを利用した支払を助けるため、Marcusによれば、FacebookはStripe、PayPal、Braintree、Visa、MasterCard、American Expressを始め、支払サービス業界における主要なプレイヤーすべてと協力して作業中だという。

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Disrutpでの壇上インタビューでMarcusはMessengerのユーザーが10億人に達したと述べた。もっともこれにはFacebookのメインのアプリからMessengerを独立させ、ユーザーにこのアプリのインストールを強制した効果があるかもしれない。またMarcusとCEOのマーク・ザッカーバーグが親密な関係にあることも影響しているだろう。200ヶ国で利用されるようになったチャットボットだが、リリース当初にはつまづきもあった。

FacebookがチャットボットののプラットフォームとしてMessengerに賭けていることを証明するために、Marcusはあらゆる種類のニュースフィード広告がチャットボットを利用でき、ユーザーはボットを友達と共有できるようになることを発表した。またまたボットを経由するやり取りがすべて文字列である必要はない。デベロッパーは自らのウェブサイトのページをチャットボットのインターフェイスに組み込むことができる。たとえば、フライト情報を表示してスクロールさせる、各種のメディアのコンテンツを見る、あるいはチャットのウィンドウを離れずに簡単なゲームをプレイすることもできる。

これらはすべての機能は今日(米国時間9/12)ローンチされたMessenger platform v1.2に含まれている。Marcusによれば「スレッド内でデベロッパーはユーザーの身元情報が利用できるだけでなく、取引、UI、ネイティブ機能を備えたボタンなどのインターフェイスを作成することができる。われわれはこうした能力をすべてMessengerのプラットフォーム上で関連付けた」という。

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またMarcusによれば、Messengerは非常に高速にWebViewをプリフェッチすることができる。これはここ数ヶ月で行われた一般ユーザーの目に触れない部分でのパフォーマンス改善の一つだ。これによりモバイルアプリの起動時間を始めとして多数の遅延が大きく低減された。

こうしたことはすべてFacebook Messengerがボットのプラットフォームとして当初の約束を果たすために必要だったという。Marcusはチャットボット・プラットフォームがスタートした当初は実際の機能が約束に追いついていない部分があったことを認めた。

「問題はあまりにも〔Messengerチャットボットの〕評判が先行しすぎたことだろう。あっという間にそうなってしまった。スタート時点でわれわれが提供したのは基本的な機能であり、これは日々利用されている従来のアプリを全面的に置き換えるレベルまで機能もインターフェイスも成熟していなかった」とMarcusは認めた。

またデベロッパー向け公開から一般ユーザー向けの本番スタートまでに十分な時間がなく、デベロッパーはチャットボットを成熟させる時間もリソースも不足気味だった。当初のユーザーの多くは従来のモバイルアプリやブラウザ内サービスと比べて、新しいボットはさして優れていない(それどころかはるかに劣る場合も多々ある)と感じた。

私はMarcusにデベロッパーがチャットボットの機能などの技術的詳細を教えられてから本番公開までにどれほどの余裕があったのか尋ねた。.「2、3週間」というのがその返事だった。「それは高品質なボットを開発するのに十分な時間だったと思うか?」とさらに尋ねられてMarcusは「たぶん〔時間は〕足りなかっただろう」と認めた。

しかしMarcusはMessengerボットのようなプラットフォームをリリースする際の困難を説明した。「実際そう簡単ではない。 時間がかかる。F8カンファレンスでわれわれが望んだのはデベロッパーが自身で独自のボットを開発するにせよサードパーティーのための開発を行うにせよ、3万4000人のデベロッパーすべてをプラットフォームに参加させることだった」。

その結果一部のボット―ニュース提供に目的を絞ったボットなど―は出来栄えがよかった。しかし他の分野のボットには完璧な体験の提供に遠い状態となった。

しかしWwebViewと支払機能の追加で、たとえばフライトとホテル予約のHipmunkの使い方は大きく変わるかもしれない。ユーザーはMessengerボット内で目的に合致したフライトを探しし、チケットやホテルを予約し、それらの支払を済ませるだけでなく、旅行日程を作成することもできるようになるだろう。

新機能の追加と同時に、デベロッパーはボット開発にあたっての基準を受け取ることになる。Marcusによれば、FacebookはデベロッパーがMessengerプラットフォームを利用して優れたユーザー体験を得るためのガイドラインも提供するという。


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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook、スタートレック50周年を記念して絵文字を追加(ただしファン専用)

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今年はスタートレックの50周年にあたる。ウィリアム・シャトナーとレオナルド・ニモイ主演のオリジナルテレビ版が1966年に放映されてからのことだ。Facebookは、この機会を少々変わった形で祝福しようとしている。まず、Facebook上でスタートレックあるいはSFコンテンツに「いいね!」をつけたり、何らかの反応をしたユーザーのニュースフィードには、先頭にパーソナライズされた挨拶メッセージが表示される。また、自分のプロフィール写真を、特別なカスタム・フレームに入れることができる。そして、おそらく一番重要なのは、リアクション用絵文字がシリーズの主要登場人物に因んだものに変わることだ。

Messengerマーケティングの責任者、Lindsey Shepardが今日のMedium記事で、Facebookの様々な祝い方について書いている。そこにはFacebookのクリエイティブチームがU.S.S.エンタープライズのすばらしいペーパークラフトを作ってるところのフォトギャラリーもある(下で見られる)。これはカスタマイズ版アートワークを作るのに使われた。

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しかし最大の呼び物は新しいリアクション絵文字。Like[いいね!]、Love[超いいね!]、Haha[うけるね]、Wow[すごいね]、Sad[悲しいね]、Angry[ひどいね]のカスタマイズ版だ。Facebookがデザインの題材に選んだのは、スタートレックの初代シリーズから、The Next Generation[TNG:新スタートレック]まで多岐にわたり、年の離れたトレッカー層のいずれもが楽しむことができる(ただし、個人の献身の度合によって使える絵文字が変わる。TNGのピュアリストが表現できるのは悲しみと怒りと愛だけで、オリジナル版愛好家たちは、怒りとユーモアと愛と驚きを利用できる。

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スタートレックの記念コンテンツを利用できるのは米国とカナダのユーザーのみで、期間限定。しかも、Facebookが定めたスタートレックファンとして認められた人だけだ。私はファンを自認しているが、残念ながら新機能を見られるほどのファンではないようだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

マーク・ザッカーバーグ、Internet.org通信衛星の爆発に「深く失望」

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今日(米国時間9/1)、SpaceXのロケットFalcon 9が、発射台上で爆発した。原因はまだわかっていない。詳細は現在調査中だが、同社がテスト中に起きた何らかの異常が大惨事を生んだことはたしかだ。幸い発射台近くに人はいなかった。しかしこの事故はFacebookのInternet.orgプロジェクトに深刻な影響を与えるだろう。通信に使用する人工衛星も事故で破壊されたためだ。

事故の被害に対しては保険が支払われる見込みだが、このロケットはEutelsatの通信衛星、Amos-6を載せて飛ぶ予定だった。この通信衛星はアフリカの広い範囲でFacebookのためにインターネット接続を提供することになっていた。

このようなプロジェクトは準備に数年かかる ― 人工衛星は一夜のうちには作れない。しかし事故に遭えば数分のうちに壊れてしまう。Internet.orgのスタートが遅れることは間違いない。

FacebookのCEO Mark Zuckerbergは、自身のFacebookアカウントでメッセージを公開した。そこに書かれているように、Zuckerbergは事態を重く受け止めている。この爆発はZuckerbergにとっても大きな痛手だったに違いない。

これも書かれているが、Facebookは途上国にインターネットを届けるために巨大ドローン(Aquilaプロジェクト)やレーザー等、別の方法も検討している。インターネットを使える人は事実上全員Facebookアカウントを持っている今、次の課題はインターネットにつながる人を増やすことだ。

FacebookとEutelsatの契約では、衛星が来年1月1日までに運用可能にならければFacebookが契約を解除できる。現時点で実現の可能性はほとんどない。通信衛星の夢よさようなら。あるいは、そろそろやり直して新しい通信衛星を打ち上げる時かもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook Messengerでチャットしながらビデオを送れる

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FacebookにまたひとつSnapchatそっくりの機能が登場した。

Messengerはもちろん以前からビデオ通話をサポートしている。ただしFacebookも認めるとおり、ユーザーは何か特別の場合以外、ビデオ通話をあまり使っていない。そこでFacebookはMessengerのビデオにあらたなオプションを付け加えた。Messengerアプリのテキスト・チャットのタブ内からビデオ共有ができる機能だ。

新機能についてFacebookはこう説明している(デフォールトで音声がオフなのはSnapchatのユーザーにはお馴染み)。

あなたが友達にリアルタイムビデオを見せたい場合、使い方は次のとおり。iOS、Androidいずれの場合でもあなたたと友達、双方のMessengerが最新版だと確かめる。双方がMessengerのチャットの画面を開く。画面上部右側のビデオ・アイコンタップすると友達とリアルタイムのビデオの共有が開始される。音声はデフォールトではオフになっている。これは友達にある情景を見せたいだけで、音声は必要ない場合が多いためだ。しかし簡単に音声をオンにできる。ビデオはチャット画面の上部に表示される。ビデオを見ながら通常どおりテキストでチャットを続けることができる。友達はこのストリームを見ることができる。また必要に応じて友達からもビデオを送ってくることができる。

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この夏、Facebookはこれ以外にも多数の機能を追加している。

Snapchatそっくりと評されたInstagramのStory機能,や、 lティーンエージャーのみ対象のビデオ・アプリビジネス向けWhatsAppの準備FacebookのユーザーデータのWhatsAppでの利用などが記憶に新しい。またFacebook Liveのビデオ機能では複数地点のユーザーがビデオを公開する機能長時間連続ビデオ広告の挿入MSQRDの買収による自画撮りフィルターなどが新たにサポートされた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook、圧縮アルゴリズムのZstandardとストレージエンジンのMyRocksをオープンソース化

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今日(米国時間8/31)Facebookは、圧縮アルゴリズムのZstandardをオープンソース化する。時代遅れとなったDeflate圧縮アルゴリズムを使用しているzlibライブラリーを置き換えることが、このロスレス技術の目的だ。さらにFacebookは、zStandardに加え、ストレージエンジンのMyRocksもオープンソース化する。MyRocksは、Facebook社内でMySQLデータベースのストレージ効率を高めるために使われている。

いずれも、カリフォルニア州サンノゼで行われたFacebookの@Scaleカンファレンスで発表された。このカンファレンスは、大規模な技術的課題を抱えるエンジニアたちを集め、オープンソース技術の発展に力を入れている業界各社と共に解決するのを支援することを目的としている。ZstandardやMyRocksを使うと、デベロッパーは大規模で多様なユーザー基盤に効率よくスケーリングできるプラットフォームを作ることができる。

重要なインフラストラクチャーの更新や置き換えを考えているエンジニアにとって、最大の恐怖は新しいライブラリーがシステム全体をダウンさせてしまうことだ。Facebookのインフラストラクチャー技術担当VP、Jay Parikhは、ZstandardもMyRocksも、デベロッパーに公開する前にFacebookで全社規模でテストされていることを誇らしげに語った。

「ここにいる全員が両製品を使っている」とParikhは言った。

Zstandardをテストした6ヵ月間に、Facebookはすばらしい結果を残した。zlibと同じ圧縮比ならZstandardの方が5倍も速かった。圧縮時間が同じなら、ファイルサイズは10%小さかった。

MyRocksもまた、ストレージ効率を著しく改善した。InnoDBとの比較で、MyRocksは同じ量のデータを半分のサーバースペースに保存することかできた。

「オープンソースにすることは、コミュニティー全体の利益になる。単独の企業が所有しているよりも、オープンソースにした方が早く普及する」とParikhは話した。

Facebookは、同社のオープンソースソリューションが新たな業界標準になることを期待している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

マーク・ザッカーバーグは、自宅のホームAIシステムを見せたがっている

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Facebook CEOのMark Zuckerbergは、この記事の読者より少なくとも数年先を生きている ― 今日(米国時間8/29)Zuckerbergは、ローマの聴衆に向けて(via Verge)、自宅の人工知能システムを来月デモしたいと話した。エアコン、照明等の機器を、顔認識や音声認識を利用して制御するシステムだ。

Zuckerbergにとってコンピュータ化されたホームアシスタントは今年の「パーソナルチャレンジ」であり、自ら設定して公表した年間目標だ。過去のチャレンジには、中国語の習得の他、毎月2冊本を読むという控え目なものもあるが、Zuckの自由時間にこれを実践することは、破壊されないHAL 9000を自分専用に作るより難しいかもしれない。

今年の挑戦がZuckerbergにとって必ずしも大失敗にならない理由がある。「このすごいAI技術を音声認識や顔認識で使っているFacebookエンジニア全員」がZuckを助けてくれるからだと、数時前に行われたQ&Aで答えた。

実際には何ができるのか? 来月には全詳細が明らかになると思われるが、ローマでZuckerbergが話したところによると、家に近づくとセキュリティーゲートが自動で開き、音声コマンドで部屋の温度を制御できるそうだ(今は本人の声しか認識しないようにプログラムされているので、妻のPriscilla Chanにはできないと言っていた)。

年間チャレンジ完了後にこのホームAIで何が出来るようになっていて欲しいかを、Zuckが最初に話したとき、スマートホーム機器の制御だけでなく、セキュリティーシステムが友達を認識して家に通したり、小さな娘の世話が必要な時に教えてくれるしくみが欲しいと言っていた。多くの仕事がVR環境で行われる未来を期待している人にとっては、自分専用のジャービス(AI執事)はさぞかし便利な存在になるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

動画プロフィールアプリ「Lifestage」はFacebookが放つティーン専用アプリ

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「もしも2004年当時のFacebookを2016年に持ってこられたなら?もしもプロフィールの内容がすべて動画で表示されたら?」と問うのは19歳にしてFacebookのプロダクトマネージャーを務める神童、Michael Saymanだ。

そしてその答えこそが8月19日にFacebookがローンチした独立型のiOSアプリ「Lifestage」(ライフステージ)だ。このアプリは21歳以下のユーザー向けで、幸せな顔、悲しい顔、好きなもの、嫌いなもの、親友、ダンスのスタイルなどを質問してくる。プロフィールの質問はテキストで入力する代わりに、動画で撮影する。Lifestageはアップロードされたビデオクリップを動画プロフィールの形にし、他のユーザーに公開する。

Lifestageのダウンロードは技術的にはだれでも可能だが、22歳以上のユーザーは自分のプロフィールしか表示できない。なぜならこのアプリはあくまでも高校生が自分のクラスメイトについてもっと良く知るために作られたからだ。迷惑行為などがあった場合には、画面をすばやくスワイプするだけでブロックや報告もできる仕様になっている。

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サインアップ時にFacebookアカウントは不要で、在籍する高校を選択すると同じ学校のほか、近隣の学校へ通う他のユーザーたちの動画プロフィールが表示される。人気の秘密は、 Lifestageには同じ学校に通うユーザーが20人集まらないと他の人のプロフィールを表示しない仕組みになっている。こうすることで友達にも参加するように口コミが拡がる。これらはすべて、Facebookが最初にローンチし、学校から学校へと広まっていった過程を模倣している。たしかに周りでだれも使っていないソーシャルアプリほどつまらないものはない。

Appストアのシンデレラ

Saymanは、一流大卒で30歳前後の典型的なプロダクトマージャーではない。彼はペルーとボリビア出身の両親のもと、マイアミで育った。13歳のとき、Googleで探したチュートリアルを見ながらプログラミングを独学した。最初に作ったプロダクトは「Club Penguin(クラブペンギン)」というゲームの攻略法を紹介するアプリで、これで月に何千ドルも稼いだ。この収入のおかげで自分たちの家が差し押さえになった後にも、不景気の中で家族をやしなうことができたという。彼の人生遍歴については、Carmel DeAmicが書いたSaymanとのインタビュー記事で詳しく触れられている。

 

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Michael Sayman(Facebookプロダクトマネージャー/Lifestageの生みの親)

Saymanの一大チャンスは、妹が友達と写真を送信しあって、その写真が表す言葉を電話越しに当てっこしている様子をまた聞きした時に降ってきた。これにインスピレーションを得て作ったのが「4Snaps」という写真ジェスチャーゲームのアプリだった。マーケターであるInstafluenceとのレベニューシェア提携のおかげで、4Snapsは単語ゲームチャートで第一位になり、数百万ユーザーを擁する人気アプリになった。

その頃までには、4SnapsはParse(Facebookが所有するモバイル向けバックエンドホスティングサービス)の無料利用枠を超える勢いになっていた。そこでSaymanは4Snapsの運営を続けられるよう、巨額のディスカウント交渉を持ちかけた。しかしマーク・ザッカーバーグは代わりにSaymanをFacebookに遊びに来るよう招いたうえで、同社のF8カンファレンスでの特別なプレゼンテーションを作ってくれるよう頼み、最終的にインターンにならないかともちかけた。

Saymanはこの2年を、ソーシャルネットワークについて学び尽くし、Lifestageのアイディアを思いついた。彼は「実世界で自分の周りにいるような人々の層が共感できるような、少なくとも自分の友人たちが使いたくなるようなアプリを作りたかった」と話す。そして今回、エンジニア3名と契約デザイナー1名で作り上げた新たなプロダクトがいよいよ提供開始を迎えることになった。

一人ひとりの人生にスポットライトを

Lifestageの構築にあたっては「Facebookの歩みを2004年時点まで遡りました。その当時、自分は小学2年生でしたけどね」と、Saymanが語ってくれた(若者よ、ありがとう。おかげで筆者は自分がすっかり老けたことを実感できたよ)。その当時はFacebookを立ち上げると、ニュースフィードではなく、ユーザー自身のプロフィールが表示された。Lifestageはそれと同様の動作をする。プロフィールに関連する質問がずらりと並び、動画で回答できるようになっているのだ。質問は答えれば答えるほど、次々に新しい入力項目が解除される仕組みになっている。

フィードには最近プロフィールをアップデートした同じ学校のユーザーが表示される。ユーザーをタップすると、当人によるプロフィール項目への答えを見ることができる。あるいはスワイプすれば別のセクションにスキップもできる。ちょっとしたゲーミフィケーションも盛り込まれていて、プロフィール内容を追加すればするほど上位にランクインするようになっている。その他にも最近アップデートのあったユーザーにはサングラスをかけたスマイリーの顔文字が、しばらくプロフィールの更新がないユーザーにはしかめっ面や、ひどいとウンチの絵文字が表示されるようにもなっている。

Lifestage Feed

Lifestageには、他のユーザーと直接コンタクトする手段は備わっていない。その理由についてSaymanは「私自身も友人と連絡を取る際、すでに世の中に出ているさまざまなメッセージングアプリを使っています。それで満足しているので、なぜさらに新しいものを作らなければならないのか、邪魔なだけじゃないのかと思ったんです」と説明する。なのでLifestageでは、ユーザーは名前の下に表示される「Reach Me」ボックスにSnapchatやInstagramのハンドル名を貼ったり、その他の連絡先情報を入力できるようになっている。

Facebookはティーン層がSnapchatへ流れていってしまうのではないかと懸念しているが、Lifestageならばそれを食い止めることができるかも知れない。SaymanにSnapchatについて尋ねたところ「非常にすばらしい競争相手だと思う。彼らは優れたプロダクトを作ったし、たとえば動画の領域をいかに進化させていったか等、学ぶべきことがいっぱいある」と答えた。とはいうものの、彼のアカウントはSnapchatよりもInstagram Storiesの方が投稿が多くなっていると話した。

Lifestageとしての心配は、これまでFacebookが独立型アプリでは成功例がなく、すでにPoke、Slingshot、 Paper、Notifyなどのアプリが提供終了になっていることだろう。Facebookとしては明らかに、LifestageでSnapchatを駆逐しようなどとは思っていないようで、Lifestageのプロモーションの一環として、Reach Meの文言にも「Snapchat me(スナチャはこっち)」とあるからだ。考えてみれば、FacebookがLifestageをローンチしたのもブログが一番読まれない金曜午後の時間帯だった。つまるところ、そもそも成功の兆しが薄そうな雰囲気を自ら漂わせているような気がしなくもない。

ただ、LifestageはFacebookにプロフィール機能を動画化で改善する方法について学びをもたらすかもしれない。マーク・ザッカーバーグも「動画をすべてのFacebookアプリとサービスの中核に据えたい」と話していた。FacebookはF8でプロフィール写真の動画化機能をローンチしたが、そちらの人気もまだまだのようだ。

Lifestageのアプローチは革新的だ。たとえば、お気に入りのペットは自分の飼い犬、音楽ならレディオヘッド、付き合っている相手はこの人、のように自分について書くのは簡単だ。しかし動画ならば「ありふれた文字の羅列」を超えた情報発信ができる。つまり、自分だけの「ストーリー」を語れるような、真にユニークな自己紹介が可能になるのだ。このアイディアを活用することで、Lifestageの対象ユーザーの年齢とほとんど同じ創業年数になったFacebookも、刷新を図ることができるかも知れない。

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(翻訳:Ayako Teranishi)

Facebookの人工知能研究所がオープンソースで公開したfastTextは深層学習の遅さを克服したテキスト分類ソフトウェア

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Facebookでは毎日、何十億ものコンテンツがシェアされている。その膨大な量とペースに漏れなく遅れなく対応できるためにFacebookは、さまざまなツールを駆使してテキストを分類している。多層ニューラルネットワークのような従来的な方法は正確だが、ニューラルネットワークは訓練が大変である。

分類に正確さと容易さの両方をもたらすために、Facebookの研究部門Artificial Intelligence Research(FAIR)ラボはfastTextというものを開発した。そして今日(米国時間8/18)はそのfastTextがオープンソース化され、デベロッパーはどこででも、そのライブラリを使ったシステムを実装できることになった。

fastTextはテキストの分類と、語のベクタ表現の学習の両方をサポートしている。後者には、bag of wordssubword information(部分語情報)*などのテクニックが用いられる。skip-gramモデルに基づいて語は文字のn-gramのバッグとして表現され、それらは各文字のn-gramを表すベクタで表現される。〔*: 部分語情報、‘あかい’なら、あ、か、い、あか、かい、などが部分語。〕

“カテゴリー数のとても多いデータベース上で効率的であるために、fastTextは階層的な分類を用いる。そこではさまざまなカテゴリーがフラットなリストではなく二分木構造に編成される”、FacebookのArmand Joulin, Edouard Grave, Piotr Bojanowski, Tomas Mikolovらがドキュメンテーションでそう述べている。

bag of wordsのbag(バッグ)は、配列やリストや木(ツリー)などなどと並ぶコンピューター上の一般的なデータ構造の一種で、名前(“袋”)の名のとおり、データに順序性がなく、この場合は各語の出現頻度を各語が情報として持つ。“語(words)”は多次元空間として表現され、クェリとカテゴリー分けされた語の集合との関係を線形代数を使って計算する。コンピューターにテキストを投じたとき、それはゼロからのスタートになる。それに対して人間の大人はすでに文法知識を持ち、どこが語の始まりで終わりかを知っている。コンピューターの計算力は強力だが、そのままでは“I love TechCrunch”と“CrunchLove iTech”の違いを認識できない。そこでこのような方法では、ことばに対する定性的な分析を、統計的手法などにより、定量的な分析へと強制的に変換する。

そして数を操作する処理が主体なので、fastTextは従来の深層学習の方法(多層ニューラルネットワーク)よりも速い。下図は、Facebookが作った比較表だ。実行時間が「秒」の単位なのは、fastTextだけである:

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fastTextは英語だけでなくドイツ語やスペイン語、フランス語、チェコ語などに対しても使える。

今月の初めにFacebookは、クリックベイトをやっつけるアルゴリズムを同社のNewsfeedに実装した。そのアルゴリズムは言葉以外の要素(繰り返しパターンなど)も点検するから相当複雑だが、デベロッパーはfastTextを利用して同様のツールを自作できる。

Facebookによると、fastTextなら、“ふつうのマルチコアのCPUを使って、10億語を10分弱で学習できる。また、50万のセンテンスを30万あまりのカテゴリーに5分弱で分類できる”、という。これはすごい、かもしれない。

今日(米国時間8/18)からFacebookのfastTextは、GitHub上で入手できる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))