クアルコムが自動車用クラウドサービスでアップデートや遠隔測定をネット化

Qualcomm(クアルコム)が米国時間1月6日、同社のCar-to-Cloud(カーツークラウド)サービスを発表した。その名のとおり、クルマをクラウドに接続するこのサービスは、同社初となる自動車のコックピットプラットフォームとSnapdragon自動車プラットフォームを、4Gと5Gサポートで統合する製品だ。

このプラットフォームにより、自動車メーカーは自分のクルマをアップトゥデートに保ち、クラウド上のインフォテインメントプラットフォームも最新状態を維持できる。さらにまた、このサービスを使って自動車とその使われ方のアナリティクスを集められる。Qualcommによると、自動車メーカーはクラウドを介してさまざまな有料サービスを提供できるため、売上機会も増やせるという。

クルマの所有という概念が変わりつつあり、またドライバーが期待するものも変わってきた。今ではアップデートできるインフォテインメントシステムが新車の標準装備になりつつあるが、そのアップデートはディーラーのWi-Fiで行われている。Qualcommは、自分たちのCar-to-Cloudサービスを使えばアップデートは確実になり、また、そのデプロイも迅速になり、アップデートのコスト効率が良くなるとも主張している。さらに、こんなクラウドチャネルがあれば、カーシェアリングやCar-as-a-Service(CaaS)などのコネクテッドサービスやオンデマンドサービスといった分野で新しいプロダクトがどんどん登場してくる、とQualcommはこのクラウドプラットフォームを売り込んでいる。

ドライバーには、もっと個人化された体験が提供できるようになる。高級車には今でもパーソナライズ機能はあるが、今後は大衆車にも浸透してくる。さらにQualcommの売り込みでは、自動車メーカーやディーラーなどが独自のコンテンツやアプリやサービスを販売できるようになり、ここでも売上機会が増える。

Qualcomm Technologiesの製品管理担当上級副社長のNakul Duggal(ナクル・ダガル)氏は「Qualcomm Car-to-CloudServiceを、Snapdragon Automotive 4G and 5G PlatformsとSnapdragon Automotive Cockpit Platformsに結びつければ、自動車メーカーとティア1のサプライヤーに力を与えて、今日の見識あるクルマのオーナーの期待に応えることができる。現代の自動車保有者はテクノロジーの柔軟で継続的なアップデートに慣れており、車の生涯時間の間にさまざまな新しい機能を自ら進んで経験する」と語る。

CES 2020 coverage - TechCrunch

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オープンソースハードウェアのArduinoが中小企業向けIoT開発モジュール提供

オープンソースのハードウェアプラットホームのArduinoが米国時間1月7日、IoT開発のための新しいローコードプラットホームとモジュール構造のハードウェアシステムを立ち上げた。中小企業が専門の技術者にお金を使わなくてもIoTを開発できるツールを提供することが、その目的だ。

新しいハードウェアはArduino Portenta H7と名付けられ、IoTのハードウェアプラットホームに必要なものがすべて揃っている。それらは暗号認証チップ、通信モジュール(Wi-Fi、Bluetooth Low Energy、LTE)、そしてナローバンドのIoTもサポートしている。CPUは32ビットのARMマイコンCortex-M7またはM4だ。これらの低電力消費のモジュールは、各種産業向けアプリケーションのほかに、エッジプロセッシングやロボティクスも視野に入れている。ARMのMbed OSが動き、Arduinoのコードをサポートするほか、PythonとJavaScriptのアプリケーションも使える。

ARMのIoTサービスグループの戦略担当副社長Charlene Marini(シャーリーン・マリーニ)氏は 「中小企業は安全な開発ツールとソフトウェアおよびハードウェアによる単純な開発を必要としており、IoTのユースケースを経済的に実現したいと願っている。新しいArduino Portenta FamilyにおけるMbed OSとCortex-M IPの組み合わせで、何百万人ものArduinoのデベロッパーが安全かつ容易に、IoTデバイスをプロトタイプからプロダクションへデプロイできる」と述べている。

現在、H7モジュールはベータテスターたちに提供されていて、一般公開は2020年2月の予定だ。

CES 2020 coverage - TechCrunch

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Google社内にも診療所があるプライマリーケア医療のOne Medicalが上場を申請

サンフランシスコでテクノロジーを活用したコンシエルジュサービスによりプライマリーケアを提供するOne Medicalは米国時間1月3日、証券取引委員会(Securities and Exchange Commission、SEC)にIPOを申請した。

内科医のTom Lee(トム・リー)氏が2007年に創業した同社は、現在評価額が10億ドルあまりに達している。リー氏は2017年に同社を去り、元UnitedHealthグループの役員Amir Rubin(アミー・ルービン)氏に後を託した。

同社の診療所は米国の9つの主要都市に全部で72カ所あり、2020年には3カ所の新設を予定している。これまで5億ドルを超えるベンチャー資金を調達しており、主な投資家は同社の株の4分の1以上を保有するCarlyle Groupのほか、AlphabetのGVやJ.P. Morganなどが名を連ねる。

Googleは社内にOne Medicalの診療所があり、SECへの提出文書によると同社売上の約10%を占める。IPO申請文書にはさらに、同社が1Life Healthcare 、ティッカー名「ONEM」として正式に法人化され、1億ドルの調達を計画していることが言及されている。

おそらくこの資金は、同社のテクノロジーの改良と市場の拡大に充てられると考えられる。One Medicalに詳細を問い合わせたところ、この声明を読むよう指示された。

そしてその声明によると、One MedicalはNasdaq Global Select Marketにティッカーシンボル「ONEM」で上場を申請している。より詳しい情報が得られ次第、この記事をアップデートする予定だ。

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タイピングのクセで個人特定する技術を開発するTypingDNAが約7.6億円調達

ルーマニアのブカレストで4年前に創業され、最近ニューヨークのブルックリンに本社を移したTypingDNAが、ある面白い技術で700万ドル(約7億5600万円)の資金を調達しようとしている。それは、ラップトップやモバイルデバイス上のタイピングの特徴からその人を当てるAI技術だ。

資金調達の申請書類によると、同社は2018年の後半にTechstars NYCの育成事業を卒業して、130万ユーロのシード資金を獲得している。これまでの同社の資金調達総額は525万ドルに達する。

タイピングのバイオメトリックスは、各キーの押されたときと離されたときの詳細なタイミング情報からキーボードを叩いている人を特定する。特に新しい技術ではなく、2年前のPCWorldの記事によると、研究は20年前にさかのぼるそうだ。あまり正確でないので、個人を認証する方法としては普及しなかったとも書いてある。しかしTypingDNAは、同社のタイピングパターン認識技術の精度は99%から99.9%の間だと自信を見せる。

同社をこれまで支援してきたGapMinder Venture Partnersは、アムステルダムのベンチャー企業だ。SECへの提出書類によると、今度の新しいラウンドはGradient Venturesが支える。ここはGoogleのAI専門のベンチャーグループで3年前に誕生した。

TypingDNAが11か月前にシードラウンドを調達したときには、同社はその資金を技術の改良と、金融とエンタープライズ方面への市場拡大に使う、と言っていた。そこで今同社は、アイデンティティ(本人特定)と詐欺の防止に力を入れている企業とのパートナーシップを増やそうとしている。

同社のサイトによると、教育機関との連携にも力を入れていて、研究や宿題の身代わり提出を防ぐために同社の技術が使われるようだ。

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サムスンGalaxyシリーズの5G端末は2019年に670万台売れていた

Samsung Electronics(サムスン電子)が米国時間1月2日、2019年にGalaxyの5Gスマートフォンを670万台あまり売ったと発表した。これは同社自身の初期の予想を超えている。

9月にはサムスンの副社長であるJuneHee Lee(ジューン・ヒ・リー)氏がIFAの会場で「サムスンの5Gスマートフォンはすでに200万台以上売れたとし、年内にはその倍になると予想している」と語った

本日の発表で同社はさらに、Counterpoint Researchの調査報告によると同社のデバイスが5Gスマートフォンのグローバル市場の53.9%を占めると述べた。次の5GデバイスであるGalaxy Tab S6 5Gは、2020年の第1四半期に韓国で発売される。

関連記事:8Kビデオや1億画素超えカメラ、そして5G、Galaxy S11はどうなる?

同社の予想ではGalaxy S11の5Gモデルの発売は2月だ。iPhoneの現行機種に5Gのサポートはないが、Apple(アップル)に詳しいアナリストであるMing-Chi Kuo(ミンチー・クオ)氏の7月の予測では、今年アップルが発売する3つのバージョンのすべてが5Gをサポートするそうだ。Qualcomm(クアルコム)がSnapdragon 865と765をリリースしたので、今年は5Gをサポートした中級機や高級機を出すメーカーが増えるだろう。それによって、このところ沈滞していたスマートフォンの売り上げが盛り返すかもしれない。

関連記事:Snapdragon 865と765が登場、Qualcommの最新SoCは何ができるのか?

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ドライカーゴ海運のデジタル化を進めるShipfixが約5億円を調達

ドライカーゴ(乾貨物)専門の海運業界のデジタル化を進めているShipfixが、450万ドル(約5億円)の資金を調達した。

シードラウンドをリードしたのはIdinvest Partnersで、ほかにKima VenturesとThe Family、Bpifrance、および企業エンジェルによる戦略的投資が加わった。同社は2018年12月に現在CEOのSerge Alleyne(セルジュ・アレイン)氏とCOOのAntoine Grisay(アントワーヌ・グリザイ)氏が創業し、わずか2カ月前に事業を開始した。

アレイン氏は「今のドライカーゴ海運業界のメール過剰状態をなくして、総合的な市場モニター能力を提供したい。今のバラ積み輸送業界に徹底的に欠けている、データドリブンなインサイトを作り出したい。実はドライカーゴ業界では、最新の情報通信革命と言えばメールのことで、多くの人がまだブローカーのパネルを見て市場の指標(インデックス)を知り、そのほかのデータはすべてメールに依存している」。

同氏によるとその解決策としては、Shipfixはクライアントのメールに接続して匿名でデータを収集し、ディープラーニングの技術を使って膨大な量のデータポイントを集積する。

これまでのように大量の受信メールをスクロールして人間の目が市場の動向を何時間もかけて知るのではなく、Shipfixを通して定型的な市場データを瞬時にフィルタしたり、検索したりできるようになる。

またShipfixでは、Alleyne氏が「拡張ディレクトリ」と呼ぶものを閲覧でき、そこにはLinkedInなどでは通常見られないような、船や港、企業、そして人の情報がある。そしてデータドリブンなベンチマークとインデックスにもアクセスできる。

Shipfixの顧客は主に船をチャーターしたり、船主として船を提供したり、海運業を営んだりする人びと、そして大量のブローカーたちだ。しかし長期的には同社は、商品取引のトレーダーや、保険会社、銀行、政府、投資企業なども、彼らが作っているベンチマークやインデックスの粒度に応じて顧客にしたいと考えている。

アレインしては、「対象となるカーゴ(積荷)は、塩や砂、鉄鉱石、肥料、穀物、鉄鋼など400種類以上もあり、それらの世界中の市場動向を予測しなければならない。商品取引の世界に関わっている人なら誰もが、その情報を必要としている」とも語る。

同社の社員は今15名で、シニアエンジニアや、海運業界のプロフェッショナル、データサイエンティスト、アナリストなどがいる。チームは多くがリモートで、ロンドンやパリ、ツールーズなど7つの都市に分散している。

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数々の予兆からシステムの問題を予知・防止するInsightFinderが約2.2億円調達

米国ノースカロライナのInsightFinderは、大学での15年の研究成果に基づいてシステムのモニタリングに機械学習を利用し、一般的によくある問題を自動的に見つけて修復する。米国時間12月31日に同社は、200万ドル(約2億1700万円)のシードラウンドを発表した。

ノースカロライナ州ダラム拠点のVCであるIDEA Fund Partnersがラウンドをリードし、Eight Roads VenturesとAcadia Woods Partnersが参加した。創業者であるノースカロライナ州立大学の 教授のHelen Gu(ヘレン・グー)氏は、これまで15年にわたってこの問題を研究し、2015年に同社をローンチした。

グー氏はまた、元Distil Networksの共同創業者でCEOのRami Essaid(ラミ・エッサイド)氏をCOOとして招聘したことを発表した。2019年に自分の会社を売ったエッサイド氏は、彼の新しい会社であるInsightFinderでプロアクティブなアプローチでアプリケーションとインフラストラクチャのモニタリングを行うと発表している。

同氏は「これらの問題には繰り返して何度も起きる性質があり、起きるときにはその兆候がある。われわれは人工知能を利用してそれを予測し、先回りして抑える」と語る。彼によると、それはテクノロジーのプロアクティブな使い方であり、現在のソフトウェアにおいては、問題のほぼ半分が、それらが問題になる以前に防止できるという。

モニタリングといえばSplunkやNew Relic、Datadogなどの名前が思い浮かぶが、しかしエッサイド氏によると、それらのプロダクトは企業のテクノロジースタックの一部分に固執し、それに対しInsightFinderはそのようなソリューションの1枚上の層(レイヤ)として働いて、ノイズにすぎないアラートを減らし、複数のアラートがあるときには問題の根源を突き止め、できるかぎり問題解決を自動化する。

エッサイド氏は「システムが発している大量の信号(兆候、予兆)を見て、それらから実際に起きている問題を判定するやり方は、我々が初めてだろう。アラートを減らして(アラートが出る前に)問題の早期発見を助けるだけでなく、すべてのデータを処理して人工知能により予測と予防を行う。そこまでやるモニタリング企業は、まだほかにないだろう」と語る。

現在の顧客はInsightFinderのソフトウェアをオンプレミスでインストールしているが、2020年にはSaaSバージョンを作って、より多くの顧客が利用できるようにするのが同社の計画だ。

同社は2015年にローンチし、今回の投資の前には米国科学財団の助成金を二度受けている。エッサイド氏によると、同社の製品は現在10社の大企業が利用しているが、まだ本格的な営業やマーケティング活動はやっていない。資金は、その活動に使う予定だ。

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Amazonが本社の敷地に収容300名弱のホームレスシェルターを建設

巨大テクノロジー企業がますます大きくなるに伴い、ホームレスの人たちを助けろという業界の指導者たちの声も高まっている。高い給与水準に並行して生活費がかつてないほど高騰している地域では、とくにそうだ。例えば2019年1月には、Facebook(フェイスブック)とChan Zuckerberg Initiativeがそのほかの人びとと共に作ったグループであるPartnership for the Bay’s Future(ベイエリアの未来のための連携)は、数億ドルを投じて庶民に手の届く住宅を増やし、サンフランシスコ周辺の5つの主な郡で低所得居住者の保護を強化しようとしている。一方Microsoft(マイクロソフト)は昨年1月の発表で、高い家賃のために低所得や中所得の人びとが逃げ出しているシアトルとその郊外地区を再び多くの人びとが住める場所にするために5億ドルを拠出すると約束した。

Mary’s Placeのファミリーセンター(画像提供: Amazon)

Amazonも過去にCEOであるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が、ホームレス解消のために20億ドルを拠出し、同じ資金で教育などの行政サービスが行き届いていない地区にモンテッソーリ的な就学前教育施設を建設すると2018年の9月にTwitterで発表した。

しかし今回Amazonは、ホームレス救援事業のバーを他社に対して相当高く上げた。同社はシアトルの本社内のスペースにホームレスシェルターを作る。それは、ワシントン州で最大の家族向けシェルターになる。

Business Insiderが米国時間12月30日朝にこのニュースを報じている。そのシェルターのひと晩の収容人数は275名で、家族には個室が提供され、ペットを連れてきてもいい。業務用キッチンもあり、そこでは1年に60万食の食事を作れる。

その施設は新年の第1四半期にオープンし、長年Amazonとパートナーしている非営利団体Mary’s Placeとの提携事業の一環になる。同団体は2016年以降、Amazonのキャンパスにあるトラベロッジ・ホテルの外に、シェルターを運営している。Business Insiderの記事によると、その新しい施設には各年400家族向けのベッドと毛布が用意され、Amazonは施設のオーナーであるだけでなく、今後10年間、またはMary’s Placeが必要とする間、日常経費や修繕費、セキュリティ費用なども負担する。

ホームレスはシアトルのあるキング郡だけでも12500名と言われているが、Business InsiderによるとAmazonのシェルターは微々たる救いであるだけでなく重要な意義もある。それはAmazonが、自分の本社の敷地にシェルターを建設するからだ。

私たちの知るかぎり、ここまでやったテクノロジー企業はほかにない。この決定はまた、増加しているホームレス人口への支援策をめぐる他の都市の、あいまいな姿勢を際立たせる。記憶に残る1つの例は、3月にサンフランシスコ市長London Breed(ロンドン・ブリード)氏が、湾岸道路沿いの駐車場に市の7000名あまりのホームレス住民のうち最大200名を収容する案を述べたとき、周辺住民が反対の声を上げたことだ。その案は後日実現したが。

ニュースサイトのVoxによると、Microsoftの昨年の5億ドルの約束などの企業努力に対しては、賞賛と不満の2つの声がある。不満派は、そういう活動が受け取る無料のパブリシティを問題にしている。Amazonも、2018年の税前利益110億ドルに対して国税を一銭も払っていない。同社はまた2018年に、一般市民に手の届く住宅のために資金を調達しようとしている大企業に課税するなら、シアトルでの建設をやめると市を脅したことがある。

9150億ドルという世界最大の時価総額を誇るAmazonが、それにふさわしいことをしているか。これは確かに今後の探究を要するテーマだ。今や「世界を食べている」と称されるそのほかのテクノロジー企業にもれは言える。しかしそれでも、Amazonのような企業が会社の中心にホームレスシェルターを作ることは、肯定的に受け入れるべきだし見習ってもいいだろう。

Mary’s Placeの執行ディレクターであるMarty Hartman(マーティ・ハートマン)氏はBusiness Insiderに「1つの事業で解決する問題ではない。企業だけでは解決しない。団体でも政府でも解決できない。財団でもだ。全員が力を合わせる必要がある」と語る。

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開発者と企業を繋ぐHackerRankがコンピューターサイエンス学習ツールのMimirを買収

企業の人事に代わって求職しているデベロッパーのプログラミング能力を面接試験したり、面接の練習ができる人気サービスHackerRank(ハッカーランク)が米国時間12月17日、コンピューターサイエンス学習のコースツールを提供しているMimir(ミーミル)の買収を発表した。これはHackerRankにとって初めての買収となるが、現在、カリフォルニア大学ロサンゼルス校やパデュー大学、オレゴン州立大学、ミシガン州立大学などの大学、そしてGoogleのような企業がMimirを利用している。

HackerRankによると、Mimirのクラスルームプロダクトは当面サポートを継続する。2020年の第二四半期には、両社を組み合わせた最初のプロダクトがリリースがされる予定だ。

HackerRankの共同創業者でCEOのVivek Ravisankar(ヴィベック・ラビサンカル)氏は、「HackerRankは教授や学生や顧客と密接に協力して、学生デベロッパーによるスキルの習得と改良、評価を助け、コース学習からキャリア形成の過程まで支援している。今回の買収によって、学生たちは正規の大学教育と実際的なスキル評価の両方を取得できることで、成功のための強力なキャリアを築くことができるだろう」と述べている。

両社とも買収の財務的詳細を明かさないが、インディアナ州に本拠を置くMimirはこれまで総額250万ドル(約2億7000万円)を調達し、買収時には3名の役員を含めて8人の社員がいた。

両社が強調するのは、どちらもさまざまなバックグラウンドを持つデベロッパーが、学歴の有無などを問わず平等に職を競えるプラットホームであることだ。HackerRankの主張では、同社の既存サービスとMimirのクラスルームツールを組み合わせれば、コンピューターサイエンスのクラスルームと、市場で最も総合的なデベロッパー評価プラットホームの両方を提供できるため、学生たちは現実的なプログラミングに向けて順部することが可能で、大学側は学生の進歩をより正確に評価できるようになる。これにより、HackerRankは明らかに従来の学術世界へのリーチを伸ばし、また求人顧客企業のためのタレントプールも拡大できる。特にラビサンカル氏が念を押すのは、両社の合併によって学生たちがアカデミックな学習と市場での学習の両方を組み合わせられることだ。氏は「これで学生たちは、未来の職場が求めるスキルを確実に身にみつけられる」と述べている。

Mimirは必ずしも、大規模なオンラインコースのためのツールではなく、むしろ教師と学生によるプログラミングのプロジェクトと宿題の管理を助けることを主眼としている。そのため完全にオンライン化されているIDE(統合開発環境)があるし、Jupyter Notebookをサポートしている。また、小テストや宿題を作る伝統的な教師用ツールもある。内蔵のIDEはPython、Java、Cなど40の言語をサポート し、また盗用を見つけるツールもある。

現在、Mimirのコース学習を使っているユーザーは15000人から20000人だが、HackerRankの登録デベロッパー数700万人に比べると相当少ない。ただしHackerRankの方は、非アクティブなユーザーも多いだろう。それに対してMimirのユーザーは、遅かれ早かれ雇用市場に現れてくる。

Mimirの共同創業者でCEOのPrahasith Veluvolu(プラハシット・ヴェルヴォル)氏は「Mimirはコンピューターサイエンス教育の秘密兵器と呼ばれており、デベロッパー教育に大きな違いをもたらしていく。HackerRankとの協業は、我々のミッションにおける自然な進化だ。顧客がプログラムをスケールできるようになると同時に、学生たちは他に類のないクラスルーム体験により、未来のキャリアに向けての準備ができる」と述べている。

関連記事: HackerRank raises $30M to match developers with jobs…HackerRankはデベロッパーと職をマッチさせる(未訳)

関連記事: HackerRank Launches A New Social Platform For Coders Based Around Puzzles And Real-World Problems…HackerRankがプログラマーのためのソーシャルプラットホームを立ち上げ(未訳)

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世界最大規模の産業、建設業界の資金管理を改善するLevelsetが約33億円を調達

元請け建設企業の資金管理と決済サービスを提供するニューオーリンズのLevelsetのCEO Scott Wolfe(スコット・ウルフ)氏はそれまで、自分は食料品のビジネスをやるんだ、といつも思っていた。

彼の家族はニューオーリンズ界隈で食料雑貨店を何店舗か所有し、彼もその家族経営を継ぐと思っていた矢先、ハリケーン・カトリーナが襲った。

ファミリービジネスは大きな被害を受けたが、その一方で、土地や店舗などを開発する建設業に大きなチャンスがあった。1年も経たないうちに、ウルフ氏は事業の方向を災害復旧のための修理や新築に変え、建設業界で旗揚げすることになった。

そしてその際、ウルフ氏は1つの建設プロジェクトに関わってくる何百という建設関連中小企業のキャッシュフローと決済を管理する、ソフトウェアサービスのニーズも目にした。

そこで彼は、Levelsetを立ち上げた。

同社はこのほど、Horizons Venturesからの3000万ドル(約33億円)の資金調達を完了した。Horizonsは、世界的な大富豪である香港のLi Ka-shing(リ・カシン)氏の投資部門だ。

HorizonsのアドバイザーBart Swanson(バート・スワンソン)氏が、ニューオーリンズのテュレーン大学のエコシステム周辺に投資している共通の友人を介してLevelsetを知った時、彼はたちまち、こいつはHorizonsの投資委員会が理解してもらえる機会だ、と感じた。

スワンソン氏は 「これはグローバルな問題だ。建設企業の64%は、最初の5年以内に倒産する。助けを求める場所が、どこにもないからだ。特に困るのが、決済の遅滞や不能だ」という。

ウルフ氏によると、今ではLevelsetが課金と決済をデジタル化を担い、求職サイトで仕事を求めている個人や零細企業の評価をする。それにより、その建設プロジェクトが求めている職種を正確に見つけることができる。

さらにウルフ氏は「現場には常に大金が投じられているが、対照的に投資がほとんどないのが、オフィスで生じている楽屋裏のあれこれだ。しかし、現場に落ちている情報を拾い上げてそれをお金に変えることができるのは、経理や管理部門の人たちだ」という。

リ氏が抱える不動産開発企業、Cheung Kong Holdings(長江実業)などにとって、上記のようなLevelsetのソフトウェアの契約は大きな利益の機会だ。建設業界は、決済を迅速に処理するソフトウェアやサービスを欠いた零細企業の集団に支えられている。ペーパーワークによって失われる時間がプロジェクトに遅れをもたらし、結果的に元請けが負担する費用が増える。

このHorizonsのラウンドには、S3 VenturesやOperating Venture Capital、Altos VenturesそしてBrick & Mortar VenturesのDarren Bechtel(ダレン・ベクテル)氏が参加した。今回の投資により、スワンソン氏がLevelsetの取締役会に席を得る。

LevelsetとT-Sheets by Quickbooksが行なった最近の調査によると、半数以上の元請け企業が決済が遅れがちと回答し、キャッシュフロー(資金繰り)に大きな困難を抱えている。そして75%以上が、決済処理の透明性を求めている。確かに、大手会計事務所PWCが行なった運転資本に関する調査でも、建設企業の決済速度は全業種中で最遅である(83日以上)。

ウルフ氏は次のように声明している。「決済に要する努力と、元請けが背負うキャッシュフローのストレスは膨大である。この世界最大の産業は、大量の中小企業で満ち溢れており、彼らが我々の経済を支えている。従って、彼らがお金の心配なしで仕事できることは、経済全体にとって極めて重要である」

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ウィキメディア財団がインドが提案する仲介者責任規則に深い懸念を表明

Wikipediaをはじめ、さまざまなプロジェクトを運用している非営利団体であるWikimediaが、インド政府に国の仲介者責任規則の変更案を考え直すよう促している。その変更は大量の企業と5億あまりの人々の情報へのオンラインアクセスに影響を及ぼす。

同団体はインド政府に、仲介者(情報の授受を仲介するサービス)ルールの最新の変更案を公開し、インドではインターネットがどのように統治されるべきかに関し、利害を有する者全員に十分な情報に基づく堅固な議論に参加する機会を与えるべきと求めた。

インドの仲介者ルールに対する政府の改定案は12月に提出され、その後数カ月内に承認されると予想される。その提案によると、インドの電子IT省は仲介者アプリケーション(ユーザー数500万以上のサービス)に、インド国内にオフィスを持ち法律的問題に責任を持ちうる上級役員を置くよう要求できる。

Wikimedia Foundationの法務担当Amanda Keton(アマンダ・ケトン)氏は米国時間12月26日、中間者ルールのインドの改定案は、ユーザーの寄与貢献に依存する公開編集方式で、誰もが新しい記事を書いたり既存の記事を改訂できるWikipediaの事業に深刻な影響を及ぼし、他の団体にも影響が及ぶと述べた。

彼女はまた、そのルールにより非営利のテクノロジー団体に相当量の財務的負担が生じ、またインドのインターネットユーザーの表現の自由を損なうと説明する。Wikimedia Foundationはその懸念を、インドの電子IT省長官であるRavi Shankar Prasad(ラビ・シャンカール・プラサード)氏に伝えた。その書簡を誰もが見られるように、自らのブログにも載せた。

仲介者ルールのインドの最近の変更案はインターネットを地元住民にとってより安全な体験にするために起案され、仲介者は「不法な情報やコンテンツへの公開アクセスを事前に見つけて削除または無効化するための」自動ツールをデプロイしなければならないとしている。

この変更案を懸念する者は多い。今年初めにはMozillaとMicrosoftのGitHub、およびWikimediaの連名書簡により、仲介者に不法コンテンツを事前に排除させるというインド政府の要求は、「(仲介者でなく)不法な活動を行っている悪者を有責とし、企業はそういう行為を知っていたときにのみ責任を負うという、既存の法に盛り込まれた細心の均衡を崩す」と主張した。

このグループはまた、インド政府の案では「インターネットサービスの上の監視の要求が大きく拡張される」と注意を喚起した。GoogleやFacebookなども含まれるインドのいくつかの業界団体も、政府案の大幅な変更を求めている。米国時間12月16日に発行された公開書簡でWikimediaのケトン氏もこれらの懸念を繰り返し、「コンサルテーションに参加した者も一般公衆も、昨年以降はルールの新しい案を目にしていない」と言っている。彼女はまた、最近提案されたルール案で仲介者の定義の範囲が広くなりすぎているのを改めるよう政府に求めている。

インドはWikipediaの5番目に大きな市場であり、先月の訪問者は7億7100万件を超えている。Wikimediaはインド語のWikipediaを拡張するために、人々を招いていろんな事業を行っている。

ケトン氏はインド政府に、オンラインのコミュニケーションに「追跡可能性」を導入する要件を考え直すよう説得した。それがあるとWikipediaの寄与貢献者たちが自由に参加することが困難になるからだ。追跡可能性についてはWhatsAppが、そのような要求に応じたら、どのユーザーも自分のメッセージの暗号化を危険にさらすことになると語った。

関連記事: インドが政府による個人データアクセスを可能にする新法案を提案

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AIによる分散システム「Ray」を開発するAnyscaleが22億円超を調達

オープンソースは今や現代のソフトウェアの重要な要素だ。米国時間12月1日、新たなスタートアップがステルスを脱してオープンソースの新しい分野を商機にしようとしている。人工知能や複雑な科学計算など大規模なコンピューティングのプロジェクトで近年多く利用されている、分散アプリケーション環境の構築と管理という分野だ。

カリフォルニア大学バークレー校で分散プログラミングのフレームワークProject Rayを作ったRobert Nishihara(ロバート・ニシハラ)氏とPhilipp Moritz(フィリップ・モリッツ)氏、Ion Stoica(イオン、ストイカ)氏、そして教授のMichael I. Jordan(マイケル・I・ジョーダン)氏らのチームが今回創業したAnyscaleは、このほどAndreessen HorowitzがリードするシリーズAのラウンドで2060万ドル(約22億5500万円)を調達した。これには、NEA、Intel Capital、Ant Financial、Amplify Partners、11.2 Capital、そしてThe House Fundが参加した。

同社はこの資金を使って、初めての商用製品を作るつもりだ。その詳細はまだ明かされないが、一般化した言い方としては、コンピューティングのプロジェクトを1台のラップトップからマシンのクラスターへと容易にスケールアウトできる仕組み、そしてプロジェクトを管理するための一連のライブラリやアプリケーションが含まれるようだ。ローンチは来年を予定している。

ストイカ氏はインタビューで「現状ではRayをアプリケーション構築のスタンダードにすることに注力している。Rayのためのツールやランタイムプラットホームを作ることになるだろう。つまり、Anyscaleのその新しいプロダクトを利用すれば、Rayのアプリケーションを安全にハイパフォーマンスで動かせるというわけだ」と語る。

今回の投資の一部は、企業の戦略的投資でもある。たとえばIntel(インテル)は、AmazonやMicrosoft、Ant Financialなどと並んで自社のコンピューティングプロジェクトのためにRayを使ってきた大企業のひとつだ。

インテルのIT部門のエンタープライズ&プラットフォームグループでCTOを務めるMoty Fania(モティ・ファニア)氏は声明で「IntelのIT部門はRayを利用してPythonのワークロードをコードをほとんど書き換えずに大規模化している。Intelの生産と検査の工程に実装してわかったのは、個人化されたチップテストを作るために使うハイパーパラメータ選択のテクニックとオートモデリングの工程でRayがスピードとスケールを増大してくれることだ。それによって、コストを下げ、工程の容量と質を上げることができた」とコメントしている。

Rayのユーザーリストにはそうそうたる企業が名を連ねているが、でもAnyscaleの目的は何だろうか?ストイカ氏とニシハラ氏の説明では、Rayを実装するためのもっとシンプルで容易な方法を作ることが目的だ。それによってRayを、Amazonのような世界的企業でなく、もっと技術力の弱いほどほどの企業でも使えるようにしたい。

「エキスパートのエンジニアがいない企業では、それがとても重要なことだ」とストイカ氏は語る。Anyscaleが解決する問題は、未来の大規模で複雑なコンピューティングには必ずつきまとう。コンピューティングによる解を求める問題が目白押しで並んでいるが、その中には1台の大型計算機では扱えないものがある。たとえばAnyscaleが挙げるIDCの推計によると、2025年に生成され処理されるデータ量は175ZB(ゼタバイト、1ZB=1兆TB)に達する。

これだけのスケールでも、未来の量子コンピューターには平気かもしれないが、現在の現実的なオプションとしては、分散コンピューティングが妥当なソリューションだ。Rayは分散コンピューティング環境を実装するために用いるスタンダードとして考案されたが、でもそれ自身が技術的に相当高度で、使いこなせる人は限られている。

ニシハラ氏はこ「あなたが生物学者でも、シンプルなプログラムを書いて大きなスケールでそれを動かすことはできるだろう。でもそれがうまくいくためには、生物学の専門知識だけでなく、コンピューティングの専門知識も要る。そしてそれが、越えがたい高い障壁になる」と説明する。

AnyscaleやRayを作った人々は、過去にこれら以外にも優れた業績があり、今の大規模分散コンピューティングの問題解決にとって彼らは適任だ。例えばストイカ氏はDatabricksやConvivaの共同創業者であり、Apache Sparkの最初のデベロッパーの一人でもある。

Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)の共同創業者Ben Horowitz(ベン・ホロウィッツ)氏はインタビューで、「IonでDatabricksを扱い、それで縁ができた」と語る。Ionはバークレー校で生まれるプロジェクトに頻繁に投資していた。そしてRayとAnyscaleは、現在のコンピューティングのニーズによく応えていると感じた。「Rayはオープンソースである点が非常に魅力的だったが、それが解決しようとしている問題が重要だった」と彼は述べている。

「ムーアの法則は終わったとみんな嘆いているが、重要なのは人工知能のアプリケーションにとってはそんなの関係ないという点だ。必要とするコンピューティングパワーがますます増大しているから、今や一つのマシンの性能を云々する時代ではない。みんなが分散コンピューティングをマスターしなければならないが、でも今それが得意なのはGoogleぐらいで、ほかのみんなにとって分散コンピューティングは難しい。我々は、この問題の解を求めていたのだ」。

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街のクリスマスミュージックよりひどいBitcoinクリスマスミュージック

ホリデーシーズンは何でもあり。できればいい気分になるものが欲しいよね。でも、この記事にそれはない。なんとか聴きつづけることはできる、Bitcoinクリスマスミュージックというひどいパロディー作品をご紹介しよう。

エンジョイ!

このアカウントには、同じようなファン・フィクションの楽曲が山ほど投稿されている。これは、bitcoinのファンも他のトレーダーと同じような人たちであり、彼らにも友だちが少ないことを証明している。

お別れにもう1曲!

ではオフラインにして、愛する人との時間をお過ごしください。

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SpaceXが10回連続でパラシュートのテストに成功し安全性へのクエストをまた1つクリア

SpaceX(スペースX)は、2020年に予定されている同社宇宙船に宇宙飛行士を乗せて飛ばす計画を、今後も十分に続けていけるほどの成果で今年を終えようとしている。Elon Musk(イーロン・マスク)氏が率いるこの宇宙企業は、米国時間12月22日、これまで何度も成功してきたパラシュートシステムのテストに成功。これで10度めの成功となるこのテストは、安全なシステムに向けての重要なマイルストーンであり、最新の設計が宇宙飛行士による実際の使用に耐えうるものであることを示している。

このパラシュートシステムは、宇宙飛行士が乗るSpaceXの商用宇宙船、Crew Dragonが地球への帰還時に大気圏に突入して以降の下降を遅くするために用いられる。現在の設計はメジャーなアップグレードとしては三度目のものでで、素材も縫い方も信頼性と強度を優先して改良されている。

[SpaceX: 昨日チームは、Crew DragonのパラシュートMark 3の一連の設計アップグレードテストの一環として、10度めの複数パラシュートによる着地テストに成功した。NASAの宇宙飛行士の安全な打ち上げと着陸に、一歩近づいた。]

2019年にマスク氏は、カリフォルニア州ホーソーンのSpaceX本社で行われたイベントで、来場したメディアやファンに向けて、Mark 3パラシュートシステムが実際に有人飛行に使用できると確信を持つためには、少なくとも10回連続でテストに成功する必要があると述べた。その再、NASAの管理官であるJim Bridenstine(ジム・ブリデンスティン)氏は、2019年中に10回連続で成功できるだろう、と言った。そして、そのとおりになった。

現在SpaceXは、有人飛行に向けての次の重要なステップを1月11日に予定している。それは「飛行中での飛行中止テスト」で、緊急時に機能すべき安全システムをテストする。そのシステムは打ち上げ途中で起動され、クルーを安全に打ち上げ船から離して安全なところへち運ぶ。それにより、異常事態に乗員を危機から救う。

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ボーイングのStarliner乗員カプセルが軌道に乗り損ねてISSとドッキングできず

【抄訳】
Boeing(ボーイング)の乗員輸送宇宙船Starliner CST-100は、米国時間12月20日に初めての国際宇宙ステーション(ISS)への打ち上げを大成功させたが、しかしロケットと打ち上げ機は期待通り動作したにも関わらず、Starliner宇宙船自体は、打ち上げ後、自分のミッションを開始する際に思わぬ障害にぶつかった。

Starlinerのカプセルは、二段目のロケットULA Centaurからの切り離しに成功し、宇宙の軌道外ターゲットに到達したが、Starlinerが自らのエンジンに点火して目的の軌道へと進もうとした際、必要な噴射が起こらなかった。ボーイングによると、同機は太陽電池を安定して充電できる位置の確保はできており、地上チームが、宇宙船を必要な位置に到達させるために次にどのような操作をすればよいかを検討しているという。

NASAの管理官Jim Bridenstine(ジム・ブリデンスティン)氏は、東部時間午前8時45分のツイートで、そのエラーに関する中身のある最初の最新情報を投稿した。それによると、何らかの出来事により宇宙船Starlinerが「そうではなかったのに、自分は軌道投入噴射をしていると思った」という。

[Jim Bridenstine: Mission Elapsed Time(MET、ミッション経過時間)が異常を起こし、そのせいで宇宙船は自分が軌道投入噴射をしていると信じたが、しかしそうではなかった。次の情報は東部時間午前9時にご報告する。]

ミッション用の時計は何らかのバグかエラーに遭遇して、Starlinerのシステムに実際のミッションの段階ではなく、違う段階にあると伝えた。その結果、宇宙船は予定外に燃料で噴射し、計画されていた軌道投入点を通り過ぎてしまった。その後、Starlinerは二目の噴射を行い安定した軌道をとるが、状況では計画どおりに国際宇宙ステーションへ到着することはできない。

【後略】

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デンタルケア用品のBurstが専門家たちと協力しハイテクフロスを開発

とってもかわいい歯ブラシを販売しているサブスクリプションのデンタルケアサービスを提供するBurst(バースト)が、毎月届くキットに、とても使いやすいデンタルフロスを追加した。

ロサンゼルス生まれの歯の衛生専門サイトは、成長資金の投資企業Volition Capitalから2000万ドル(約22億円)を獲得し、Quip(キップ)などの競合他社とは違うやり方で消費者に接近しようとしている。

Burstは歯科衛生士や歯科医たちのネットワークと協力して流通チャネルを開拓し、新製品の販売や新製品開発に対する意見も聞いている。現在、2万名以上ものデンタルヘルスのプロフェッショナルがBurstの販売チャネルとして協力している。Burstは彼らと利益を共有し、これまでに約350万ドル(約3億8000万円)を配布した。

今回のデンタルフロスも、エキスパートのネットワークとのパートナーシップがあったからこそ開発できたものだと言える。

BurstのCOOであるBrittany Stewart(ブリタニー・スチュワート)氏は「たしかに、市場に安くて良い電動歯ブラシがないという状況はあるが、Burstが成功したのは、歯科医療や歯科技術のプロたちとの非常に強力なパートナーシップのおかげだ。製品の開発からテスト、ネットワークでの共有など、すべての段階でBurstのアンバサダーたちが手伝ってくれる。歯のプロたちが自主的に草の根運動を熱心に続けてくれていることが誇りだ。彼らは古くさい業界の現代化に、我々と同じくらい情熱を傾けている」と語る。

新製品であるミントとユーカリ味の木炭でコーティングしたデンタルフロスは12ドル99セント(約1400円)。交換用のフロスは毎月6ドル99セント(約770円)で郵便受けに届く。

Volition Capitalの共同創業者でマネージングパートナーのLarry Cheng(ラリー・チェン)氏は「Burstの創業者たちに初めて会ったとき、彼らが根本的な変化が期待されている業界に変革を起こす特殊な能力を持っていることがすぐにわかった。彼らのビジョンにも感銘を受けた。さらなる成長の機会を探りながら、製品開発の能力も高く、アンバサダーのネットワークを持つ彼らの強みを活かし、成長路線にすでに乗っていた彼らを支援したいと考えている」と述べている。

画像クレジット: Burst

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AppleがiPhoneの常時接続化に向けて通信衛星の技術を開発中か

Bloombergの報道によると、Apple(アップル)は、数名の航空宇宙技術者を雇用してチームを作り、衛星やアンテナの設計者らとともに人工衛星技術の開発を行なっている。それは、廃棄される可能性もある初期的段階の秘密プロジェクトだが、チームの目的はデータを直接iPhoneなどのユーザーに送受する通信衛星の技術開発であり、Appleのデバイスをサードパーティのネットワークを必要とせずにインターネットに接続することを目的にしている。

さらにBloombergによると、必ずしもAppleは人工衛星そのものを内製しようとしているのではない。むしろ、開発しているのは送信機や地上局が軌道上の通信装置へのデータ送信に用いる機器装置類のようだ。それによりAppleからのデータがAppleのデバイスへ直接送られるようになったり、デバイス同士の接続が携帯電話キャリアのデータネットワークを使わずに実現する。また、位置サービスもより正確になり、地図や案内情報が改善されるという。

Appleは航空宇宙および人工衛星の業界から技術者と役員を雇用した、と言われる。その中にはかつてSkybox ImagingにいたMichael Trela(マイケル・トレラ)氏とJohn Fenwic(ジョン・フェンウィック)氏も含まれ、両人がチームを引っ張る。2人は以前Googleの人工衛星と宇宙船部門を率いたことがある。新たな被雇用者の中には、Aerospace Corporation(エアロスペース・コーポレーション)の役員Ashley Moore Williams(アシュリー・ムーア・ウィリアムズ)氏や、ワイヤレスネットワーキングとCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)の業界における重要人物たちがいる。

データネットワークを宇宙からデバイスへ直接提供するという考え方は、一見すると馬鹿げているようにも思える。データ通信衛星の多くは、情報をエンドポイントのデバイスにリレーする地上局との通信を要する。でもそれは、初耳のコンセプトではない。例えば、今年、2019年に本誌が取り上げたUbiquitilink(今のLynk)は、電話機と直接通信する新しい種類の低地球軌道通信衛星コンステレーションを作ろうとしている。

Lynkの初期目標は、衛星通信ネットワークによる直接接続の方がiPhoneの通常、利用するキャリアサービスよりも優れている、と主張している。同社はユーザーが利用している地上局ベースのネットワークよりも、圧倒的に速い接続が可能なグローバルローミングを提供したいと考えている。しかもそれは、ローカルなインフラに依存しない。また、予備機としても機能するので、メインのネットワークが落ちたときでも、テキストメッセージのやりとりや通話といったデータ集約的な使い方でなければ十分に使用できる。

Appleが現在行っていることには未知の要素が多すぎるが、それがiPhoneに事故や災害に強い常時接続の能力を持たせるものなら非常に興味深い。どんなときでもiMessageや音声通話やナビが使えて、何もない平常時にはキャリアのデータプランでストリーミングなどを楽しむ、というモバイルライフが想像される。

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英国のHuelが栄誉補給バーを米国で発売へ

欧州で栄養補充バーやサプリメント、食事代替シェイクなどの食品を展開しているHuel(ヒューエル)が、その栄養補給バーの米国販売を考えている。同社はさまざまなバーを欧州で取り扱ってきたが、米国にはまずチョコレート味と塩キャラメル味を持ち込む。

このバーは、27種類のビタミンとミネラルを含み、1本あたり200カロリーある。それらをネットで15本入り1箱28ドルで販売している。バーの原料は、オーツ(燕麦)の粉や挽いたもの、エンドウ豆、玄米のたんぱく質、ココアの粉、ココナッツ、デーツのシロップ、アマニ、そして各種のビタミンとミネラルだ。これまで同社は、世界の80カ国で5000万個のシェイクやパウダー、バーを販売してきた。

Huelの共同創業者でCEOのJulian Hearn(ジュリアン・ハーン)氏は「パウダーやドリンクは前から米国でも販売しており、しかも売り上げは全国的に急速に伸びている。今度はHuel Barで勝負したい。このバーはとてもユニークで、おいしいだけでなく栄養補給になるので、食間や外出時に食べるのに適している」。

米国では栄養サプリメントや食事代替製品がビッグビジネスだ。2017年にはKellogg(ケロッグ)がRxBarを6億ドルで買収したが、それは同社の業績を大きく押し上げた。シリアル食品の販売が落ち込んでいる中で、それを補って余りある売り上げだった。

米国で食事代替製品の市場を若返らせたスタートアップの寵児であるSoylent(ソイレント)は、新しい原料配合と売り方でシリコンバレーのプログラマーたちに人気があるが、同社もやはり栄誉補給バーを開発している

関連記事:スナックバーの破壊的創造、完全食を目指すSoylentが米国1兆円規模の市場に参入

画像クレジット: Huel

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小型衛星群でブロードバンド接続を提供するKuiperプロジェクトにアマゾンが本腰

Amazonは、目下開発中の人工衛星星群による高速インターネットサービスであるKuiperのプロジェクトに、専用の本社オフィスとR&Dセンターを用意した。このプロジェクトでは小さな衛星の集団を低地球軌道に乗せてインターネットへの接続を提供し、世界中のどんな僻地でも良質な通信を可能にする。

ご存知の方も多いと思うが、このようなプロジェクトはほかにもいろいろある。例えばSpaceXは、そのStarlinkコンステレーションのための衛星の打ち上げをすでに始めている。そのサービスは最初は北米地区、そして最終的には地球全域で供用される。ソフトバンクなどがパートナーになっている。OneWebもやはり、衛星群を打ち上げて1月の供用開始を目指している。そしてGoogle、というか親会社のAlphabetは、上層大気気球のLoonによって、接続困難地域への接続を提供しようとしている。

Amazon Kuiperは、何千もの衛星を複数年にわたり何回にも分けて低地球軌道へ打ち上げる方式だ。複数の小さな衛星を使うやり方は、従来一般的だった1つまたは少数の静止衛星を打ち上げる方式に比べて、サービスの質がいい、リーチが広い、最終的にローコストであるなどの利点がある。

今度のオフィス施設や研究開発施設はシアトルのAmazon本社に近いワシントン州レドモンドに置かれ、まだ何もタイムラインが発表されていないKuiperプロジェクトに対してAmazonが本腰であることを示している。施設の総面積は約2万平米で、2つの建物にR&Dのラボとオフィス、そして衛星ハードウェアのプロトタイピングを行う製造施設まで置かれる。 Kuiperチームの引っ越しは来年のようだ。

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企業をDDoS攻撃から守るフランス拠点のEfficientIP、CiscoやVMwareもパートナーに

フランスのEfficientIPはネットワークのセキュリティとオートメーションが専門で、このほどパリのJolt CapitalからシリーズBで1100万ドル(約12億円)を調達した。この投資は主に同社の国際進出のために使われる。

EfficientIPのソフトウェアはDNSの問題を見つけるが、それらはDDoS攻撃の原因になることが多い。DDoS攻撃は、ネットワーク上の攻撃の中でも最大のものだ。同社のプラットホームは、IPのインフラストラクチャの基礎的部分の信頼性を高め、よりアジャイルに、そしてよりセキュアにする。

EfficientIPのCEOであるDavid Williamson(デビッド・ウィリアムソン)氏は「今日得た資金で、グローバルな拡張を加速できる。DDIソリューションの市場機会は成長しており、うちは営業力を強化してその機会に乗じて需要に応えたい。また未来の顧客ニーズを満たすためにはさらなるイノベーションが必要だ。テクノロジー企業の成長を支えてきた強力な実績のあるJolt Capitalの支援を得たことは、今のような成長段階にとって理想的なパートナーシップだ」と語る。

EfficientIPのエコシステム形作っているパートナーシップには最近、CiscoやVMware、ServiceNowが加わった。競合する北米企業としては、評価額7億4000万ドル(約810億円)で1億2000万ドル(約131億円)を調達したInfobloxや、シリーズBラウンドで1680万ドル(約18億3800万円)を調達したBlueCat、シリーズCで7800万ドル(85億3600万円)を調達した新人のNS1などだ。

Jolt CapitalのパートナーであるGuillaume Girard(ギヨーム・ジラール)氏は「EfficientIPにはかねてから目をつけていたが、常に意欲的な成長プランを達成していく能力には感心していた。EfficientIPは我々の投資ターゲットとしても完璧であり、最先端のソリューションを可能にするディープテックの強力な能力と、モチベーションの高いトップレベルのチームが、急速に拡大中の市場で結びついている。Fortune 500社を顧客の軸として市場における存在感を増しているから、EfficientIPは今後も強力に成長していくだろう」とコメントしている。

画像クレジット: Bryce Durbin

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