警告:安価なAndroid携帯電話の中にはマルウェアがプリインストールされているものがある

Avastは、Googleの認定を受けていない多くの安価なAndroid携帯電話が、マルウェア(悪意あるソフトウェア)で汚染された状態で出荷されていることを発見した。このマルウェアによって利用者は望んでいないアプリをダウンロードさせられてしまう。Cosiloonと呼ばれるこのマルウェアは、アプリの宣伝をしたり、ユーザーを騙してアプリをダウンロードさせたりするために、画面上に広告を表示する。ZTE、Archos、myPhoneから汚染されたデバイスが出荷されている。

このマルウェアはドロッパーとペイロードで構成されている。「ドロッパーは難読化されていない小さなアプリケーションで、汚染されたデバイスの”/system”パーティションに置かれています。このアプリは全く目立たないもので、『設定』の下にあるシステムアプリケーションのリストの中でしかユーザーには見えないようになっています。私たちは、『CrashService』あるいは『ImeMess』という名前の2つの異なるドロッパーを目撃しています」とAvastは書いている。その後ドロッパーはウェブサイトに接続し、ハッカーが電話にインストールしたいペイロードをダウンロードする。「XMLマニフェストには、何をダウンロードするか、どのサービスを開始するかといった情報や、特定の国やデバイスを感染から除外するようにプログラムされたホワイトリストが含まれています。しかし、私たちはホワイトリストが使用された国を見たことはなく、初期のバージョンではほんの数個のデバイスしかホワイトリストに登録されていませんでした。現在は、ホワイトリストに登録されている国やデバイスはありません。CosiloonのURL全体がAPK(Androidのアプリケーションパッケージ形式)内にハードコードされています」。

ドロッパーはシステムのファームウェアの一部であり、簡単に削除することはできない。

要約すると:

ドロッパーは、暗号化されていないHTTP接続を介してダウンロードされたマニフェストの中に定義されたアプリケーションパッケージを、ユーザーの同意なしにインストールすることができます。
ドロッパーは、メーカー、OEM、そしてキャリアをつなぐサプライチェーンのどこかでプレインストールされています。
ドロッパーはデバイスのファームウェアの一部であるシステムアプリケーションであるため、ユーザーが削除することはできません。

Avast Mobile Security(Google Play Storeからダウンロード可能)を使えばペイロードを検出して削除することができるが、このアプリからではドロッパー自身を無効化することはできないため、Avastはユーザーが「設定」の中から、”Crash Service”もしくは”ImeMess”というアプリを探して手動で「無効化」することを推奨している(サイトでの説明はこちら)。ドロッパーは、アンチウイルスソフトを携帯電話上に見つけた場合には、うるさい広告表示は停止するものの、それでもディフォルトブラウザーでブラウジングをしている最中にアプリのダウンロードを勧めてくる。もちろろんそれは、より沢山の(より悪質な)マルウェアたちを招き入れるためのものである。Engadgetの指摘によれば、感染ソフトは、マルウェアを内蔵した何千台ものコンピュータが出荷されたLenovoの “Superfish”脅威に似ているということである。

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(翻訳:sako)

Alchemist Acceleratorの最新デモデーの登壇者たち

大麻農家のためのIoT活用ラボ、空中のドローンを視認するシステム、そして牛のインターネット(Internet of Cows)、こうしたものが、本日第18回Alchemist Acceleratorデモデーに出展している17のスタートアップたちの一部だ。ここでライブストリーミングされる今回のイベントは、企業向けのビッグデータとAIのスタートアップに重点を置いている。

本日午後3時(日本時間では5月18日朝8時)から、カリフォルニア州サニーベールの Juniper’s Aspiration Domeで、スタートアップたちは披露を行うが、もしコンピュータと牛の共通点を知りたい場合にはイベント全体をオンラインで視聴することが可能だ(なお記事の翻訳時点ではストリーミングは既に終了)。以下に紹介するのがステージ上でピッチを行うスタートアップたちだ。

Tarsier:Tarsierは、ドローンを検知するAIコンピュータビジョンを開発した。創業者たちは、このニーズにスタンフォードでMBAを取得中に気付いた。そのうちの1人は航空学のPhDを取得済である。世界ではドローンが増殖している。そして、刑務所、研究開発センター、公共の場所といった、侵入を許されない場所へ入り込みつつある。こうした空間を現在保護するには、重厚で高価な古臭い軍事機器が必要である。Tarsierはそれをソフトウェアだけで実現している。しかも安価である。このことから他社が参入できない市場にサービスを提供することができる。

Lightbox:小売業向け3Dの世界はセクシーだ。仮想試着、VR没入体験、ARKitストアのことなどを考えてみて欲しい。しかし、これらの経験を生み出すためには、数千ものプロダクトの3Dモデルを作成しなければならない。今日、アーティストたちはこのプロセスに精を出しながら、1日あたり数個のモデルを生み出している。Lightboxが狙っているのはこのプロセスにおける人間を不要にすることだ。ペンシルバニア大学ならびにスタンフォード大学の、コンピューターサイエンス卒業生のコンビは、彼らのアプローチを使えばアーティストを使うこと無く、正確な3Dモデルを生み出すことができると主張している。これまでに彼らは4万ドル分の予約を受けており、世界のプロダクトの全てをデジタイズしたいと考えている。

Vorga:大麻はビッグビジネスだ。現在70億ドル以上の売上があり、急速に成長している(訳注:現在米国の一部の州では大麻が合法化されている)。作物の品質と、農家の収入は、その中のいくつかの化学物質に大きく影響を受ける。農家は今日、外注のラボを利用して作物の化学組成の試験を行っている。VorgaはIoTプラットフォームを用いて、大麻農家にそうしたラボ機能を導入する。同社のCEOは化学物理学の博士号を保持し、以前は国防総省が大量破壊兵器がテロリストの手に渡るのを防ぐ作戦を支援していた。現在の彼女は、大麻農家たちが高収入を得ることを支援している。

Neulogic:Neulogicは、Walmart.comの製品検索のコア部分を率いてきた、コンピュータサイエンスPhDのコンビによって設立された。彼らは現在、アパレル産業が直面する2つの主要な問題を解決しようとしている:すなわち買い物客に厳選したインスピレーションを与えること、そして1回のオーダーでより多くの商品を売ることで、増大する顧客獲得コストを相殺することである。彼らのソリューションは、AIをファッションナレッジグラフと組み合わせて、オンデマンドで衣服を生み出すというものだ。

Intensivate:かつて人生はシンプルだった。企業は主に、請求書発行などの、機能駆動型アプリケーションのためにサーバーを使用していればよかった。現代のサーバーは、ビッグデータ、分析、そして洞察のために使われるものだ。Intensivateは、そうした変化に対応するためには、サーバーが新しいチップを導入する必要があると考えている。彼らは同じコストで12倍の性能を発揮する新しいCPUを開発していると言う。このようなハードウェアを成功させることは難しいが、このチームなら実現するかもしれない。チームには、CPUスタートアップQED(23億ドルで買収された)の元共同創業者兼CEOと、DECでAlpha CPUをのデザインチームに在籍していた並列計算のPhDなどが参加している。

Integry: SaaS企業は統合を実現するために大いなる努力を払っている。Integrityは、アプリクリエイターたちに、既に他のパートナーがいる統合マーケットプレイスを提供し、初めから彼らのサービスと一緒に動作するアプリを構築できるようにする。そのビジョンは、アプリクリエイターたちが数年あるいは数百万ドルを費やすことなく、たとえば独自のSlackアプリ風の機能を直接模倣できるようにすることだ。こうした統合はアプリの中で行われ外に出る必要がないために、利用率が大幅に上昇し、解約率は最大40%も削減されるとIntegrityは主張している。

Cattle Care:牛たちにAI動画解析を適用!Cattle Careは、酪農農家の収入を年間100万ドル以上増やし、同時に牛をより健康的にすることを狙っている。このプロダクトは、納屋の中の牛たちを、それぞれの固有の黒白のパターンで識別する。アルゴリズムが牛の歩行距離、他の牛とのやりとり、摂食パターン、その他の様々な要素を取り込んで、病気を早期に発見する。そうしたら、システムは農場の従業員にアクションを取る必要があることを知らせ、問題がその後解決されたか否かを確認する。

VadR:VR/ARは魅力的なコンテンツの不足問題に取り組んでいる。VadRはその原因が、クリエイターへの分析のフィードバックループが上手く回っていないせいだと考えている。このIIT-Delhi(インド技術研究所デリー)所属の3人のエンジニアたちは、時と共にスマートになり、作品の魅力を高めるためにどのようにコンテンツを変更すれば良いかに対する実行可能な洞察を提供する、機械学習アルゴリズムを開発した。

Tika:元Google社員の2人組は、エンジニアリングマネージャーがチームをよりよくマネージすることを支援したいと考えている。マネージャーたちは、TikaをAI支援を受けたアシスタントとして活用し、Slackを通してエンジニアリングチームと個別の会話を促進する。目標は、従業員のエンゲージメント上の問題をいち早く見つけて解決し、才能が立ち去ってしまうことを防ぐことだ。

GridRaster: GridRasterはAR/VRをモバイルデバイスに取り込もうとしている。問題は何か?AR/VRは計算集約型だ。そしてレイテンシ、帯域幅、そして負荷分散の失敗が、モバイルネットワーク上のAR/VRを台無しにしてしまう。ではその解決策は?Broadcom、Qualcomm、そしてTexas Instruments出身の3人のシステムエンジニアたちにとって、それはまず企業のユースケースに取り組むことから始め、負荷を減らすためのエッジクラウドを構築することだった。彼らは12の特許を持っている。

AitoeLabs:セキュリティのためのAIビデオ分析の話題が盛んであるにもかかわらず、AitoeLabsによれば、現在のソリューションは膨大な数の誤警報に悩まされており、多くの人間のがそれに影響を受けていると言う。創業者であるエンジニアリングトリオチームは、この問題を解決するために、コンテキストデータを秘密のソースとして、独自の深層モデルに混ぜ合わせた。彼らの技術を使うことで、人間による監視の必要性が6分の1に減るという。彼らは24万ドルのARR(年間収益)と100万ドル分のLOI(基本合意書)を手にしている。

Ubiquios:ワイヤレスIoTデバイスを製造する企業たちは18億ドル以上を浪費している。なぜなら不適切な組み込みソフトウェアの選択が市場への投入を遅らせ、製品をセキュリティと相互運用性の問題へ直面させるからだ。Ubiquiosワイヤレススタック(一連のワイヤレス機能ソフトウェア)は、ワイヤレスIoTデバイスの開発をシンプルなものにしたいと考えている。同社のスタックを使用することで、コストを最大90%削減し、市場投入までの時間を最大50%短縮できると主張している。Qualcommはパートナーの1つだ。

4me, Inc.:4meは、企業がITアウトソーシングプロジェクトを組織し、追跡する手伝いを行う。現在の従業員は16名で、顧客数は92社、そして毎年数百万ドルの収益を得ている。Storm Venturesの主導により、同社に対して165万ドルの投資が行われた。

TorchFi:Wi-Fiホットスポットにログインしたときに表示されるポップアップ画面を知っているだろうか?TorchFiは、それを待望のデジタル金鉱脈だと考えている。彼らの目標は、それをホットスポット所有者にとっての販売チャネルへと転換することだ。彼らの最初の製品は、ログイン画面をホテルやレストランの注文画面に変換するデジタルメニューである。Ciscoは彼らを、そのMerakiホットスポットで配布する20のアプリケーションの1つに選んだ。

Cogitai:16人のPhDたちで構成されるチームは、継続学習(continual learning)と呼ばれるより強力なタイプのAIの先駆けとなりたいと考えている。創業者は、この分野の始祖たちであるが、その中にはテキサス大学オースチン校とミシガン大学の教授たちも名を連ねている。私たちが一般にAIと考えるものとは違い、CogitaiのAIは、まるで子供のように経験から新しいスキルと知識を身につけるように作られている。今年既に200万ドル分の予約を受け、500万ドルの資金調達を達成している。

LoadTap:オンデマンドのトラック運送アプリが流行っているが、LoadTapは自分たちはそうしたものの1つではないと主張している。Appleのソフトウェアアーキテクトと、トラック運送が家業であった背景を持つ創業者も参加するこのチームは、事前審査済みトラック運送会社たちに閉じた世界と仕事をすることを好む荷主たちのための、SaaS専用ソリューションである。LoadTapは、AIと予測分析を使用して、荷主と運送会社とのマッチングを自動化する。彼らのARRは現在9万ドルだが、収益は毎月50%ずつ増加している。

Ondaka:Ondakaは、石油とガス業界から始めて、産業情報を視覚的に表現するための、VRのような3Dプラットフォームを構築した。これらの産業の顧客に対して、このプラットフォームは、リアルタイムのIoTデータ、運用および作業現場の安全性の問題、そしてシステムの信頼性を理解するためのより良い手段を提供する。この製品は2カ月前に発売され、既に3社の顧客と契約を結んでいて、ARRは6桁(数十万ドル規模)に達すると予想されている。彼らは35万ドルの資金調達を行った。

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(翻訳:sako)

大型ICO関係者、証券詐欺で起訴――ボクシングの元チャンプ、メイウェザーもCentra Techの広告塔だった

ICOで3200万ドルを集めたCentra Techの共同ファウンダーに有線通信詐欺、証券詐欺等の容疑がかかっているとはすでに報じたが、このほど3人が正式に起訴された。有罪になれば最低でも5年の刑期が課せられる。

共同ファウンダーはRaymond Trapani、Sohrab Sharma、Robert Farkasの3名で、ICOによって投資家を騙そうとしたという。Centra Techの詐欺行為ではトークン販売を助けるためにVisaとMasterCardと提携したという虚偽の宣伝をしたとされる。ニューヨーク南部地区連邦検事、Robert Khuzamiによれば、容疑者たちは「暗号通貨関連の資産を販売すると称し、有線通信詐欺、証券詐欺を構成すべき計画を予謀し、かつ実行した。これにより複数の被害者に重大な情報の隠蔽、捏造によりCentra Techが発行したものと称して暗号通貨トークンを用いて無登録の証券を販売し、数百万ドルの損害を与えた」と述べている。

ボクシングの元世界チャンピオン、フロイド・メイウェザー・ジュニアや著名なアーティストのDJキャレドのようなセレブもをInstagramにCentra TechのICOを支援する投稿を掲載し、同社のクレジットカードを使ってBitcoin、Ethereum、「その他のコイン」による支払ができると述べていた。メイウェザーの投稿はこちらだったが、現在は削除されている。

3人の共同ファウンダーの行為はことの他悪質とされ、SECもきわめて厳しく追求している。Khuzami検事によれば、3人はトークンを販売するためにさまざまな捏造を行ったが、その中には偽のCEOをでっち上げることが含まれていたという。【起訴状略】

FBIは詐欺チームが所有していた9万1000 Ether(9000万ドル相当)を差し押さえた。3人は「長期5年の刑となるべき証券詐欺の謀議1件、長期20年の刑となるべき有線通信詐欺の謀議1件、長期20年の刑となるべき証券詐欺1件、長期20年の刑となるべき有線通信詐欺1件」の容疑に直面している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

コーネルの愉快なロボットは鳥肌をたてられる

コーネル大学の研究者は感情を皮膚の状態で表現できるロボットを開発した。このロボットは人間が触覚で状態を判別できるよう、各種の小さな突起を生じさせる。たとえば怖がると鳥肌を立てることができる。ロボティクスにおけるタッチI/Oシステムの研究のために開発されたプロトタイプはゴムの皮膚で包まれた笑顔がかわいらしいロボットだ。

このロボットは感情に基づく動物の反応の再現を試みたものだという。

Yuhan Hu、Zhengnan Zhao、Abheek Vimal、Guy Hoffmanらの研究者はロボットが人間とコミュニケーションする新しい方法を探っている。レポートによれば「人が鳥肌を立てる、イヌ、ネコ、トリが毛や羽を逆立てる、ヤマアラシがトゲを拡げる、フグが突起を生じさせる」などの反応を参考にしている。

IEEE Spectrumの記事によれば、「この研究ではロボットの有用性を高めるために心理学的に有効な非言語的コミュニケーションのチャンネルの拡大が図られている。 非言語的コミュニケーションの強化により、ロボットの機械らしさが軽減され、より親しみやすいものとなることが期待できる」という。

ロボットの左右に設けられたエラストマー製の「スキン」には複数のメカニズムが組み込まれ、コンピューターでコントロールされ、膨張、収縮によって異なった形状の突起が形成される。中央のロボットの顔部分の表情に合わせて「鳥肌」の種類が選ばれる。こうした複合効果によって人間がロボットの「感情」を適切に推定することを助ける。ロボットがやがて人類を支配するのかどうかよく知らないが、鳥肌の支配者というのも面白い。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

開発フレームワークElectronのエクスプロイトでWebとモバイルの人気アプリが危険

広く使われているクロスプラットホームな開発フレームワークElectronのセキュリティチェックをバイパスするエクスプロイトが登場した。Trustwaveがポストしたそのエクスプロイトはすでにパッチされたので、デベロッパーは自分のアプリケーションを早急にアップデートすべきである。

そのエクスプロイトは一部のアプリケーションでnodeIntegrationの設定によりクロスサイトスクリプティングを可能にする。このメソッドでアプリケーションは自分のモジュールに接続できるだけでなく、Node.jsのモジュールにも接続できるようになる。

発表から引用しよう:

Electronのアプリケーションは基本的にWebアプリケーションであり、したがってユーザーの入力を正しく無害化できなかった場合にはクロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃に対し無防備になる。Electronのデフォルトのアプリケーションは自分のAPIだけでなくNode.jsのすべての内蔵モジュールへのアクセスを含んでいる。そのためXSSの危険性は大きく、犯人のペイロードはchild_processモジュールにおけるrequireなどの悪質なことができるようになり、クライアントサイドでシステムコマンドを実行する。Atomには少し前からまさにそれをするXSS脆弱性があった。アプリケーションのwebPreferencesにnodeIntegration: falseを渡すことにより、Node.jsへのアクセスを削除できる。

Discord, Signal, Visual Studio Code, それにGithubなど、多くの人気アプリケーションがElectronを使っている。Slackも、そのアプリケーションにElectronを使っている。

そのエクスプロイトはnodeIntegrationの設定と新しいウィンドウを開くプロセスに依存している。多くの場合nodeIntegrationはfalseに設定されているが、たまたまnodeIntegrationをtrueに設定すれば、child_processモジュールを呼び出すなどの悪質なスクリプトを通してしまい、そいつはspawnのようなシステムコールにより、オペレーティングシステムのコマンドを実行できるようになる。

ElectronのWebサイトがここにあり、アップデートに関するブログ記事はここだ。このプラットホームを最近の数週間以内にアップグレードしていれば、多くのアプリケーションが無事だろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

DNAデータから髪、皮膚、目の色を予測する無料Webツール

IUPUI(インディアナ大学-パデュー大学・インディアナボリス校)理学部とオランダ、ロッテルダムのエラスムス医療センターの研究者が開発した新しいツールは、髪や皮膚や目の色をDNAデータから予測する。このシステムはWebアプリとして作られていて、受け取ったDNA配列を既知の色表現型と比較してそれぞれの色の確率を教えてくれる。

HIrisPlex-Sと呼ばれるそのアプリは、犯罪現場に残された微量のDNAからでも色を予測できる

「これまで警察機関や人類学者に、目の色や目と髪の色の組み合わせを知るためのツールを提供してきたが、皮膚の色はずっと難しかった」とIUPUIの法遺伝学者、Susan Walshは言う、「ポイントは、われわれが個人の皮膚の色を決める遺伝子のDNAマーカーを使って、5種類 —— 非常に淡い、淡い、中間、暗い、黒に近い —— に分類された皮膚の色を直接予測するようにしたこと。これは遺伝的祖先を識別するのとは異なる。人種や民族の同定よりも、金物店で塗料の色を探すのと似ていると言えるかもしれない。目撃証言を尋ねられたとき、ほとんどの人が髪の色、そして皮膚の色に言及する。われわれがやっているのは、遺伝学を用いて、彼らの見たものに客観的視点を加えることだ。

ウェブアプリはここで実際に試してみることができるが、注意しておくことがある。これは決してふだんウェブで見るようなユーザーに優しいアプリではない。ユーザーはテストに必要な特定の対立遺伝子を知っていて、CSVファイルにした対立遺伝子をアップロードしなくてはならない。それでも、無料であり警察にとってはもちろん、あなたの髪が染める前どんな色だったかを調べるためにも、非常に有用だと思われる。

「われわれのHIrisPlex-Sシステムによって、法遺伝学者や遺伝人類学者はDNAサンプルから目、髪、皮膚の色情報を初めて同時に求められるようになった。必要なDNAサンプルは、法医学の現場や人類学研究でよく見られるような質の低いものでもよい」とエラスムス医療大学のManfred Kayserは言った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

この三軸ツールビロン機構は驚異的な3Dプリントだ、しかも美しい

三軸ツールビロン(トゥールビヨン)は、時計の複雑なメカニズムの中でも、もっとも複雑なもののひとつだ。時計メーカーのAbraham-Louis Breguetが最初に作ったこのタイプのツールビロン、通称“つむじ風”は、時計の各部に対する重力の悪影響を打ち消すために、時計のテン輪(balance wheel)を回転させる。それは巧妙複雑で、原子時計とナノ素材の時代には無用な仕組みだが、でもすごくクールだ。

オリジナルの、もっとシンプルなモデルに基づく、この新しい三軸ツールビロンはここでダウンロードできる。複雑な部品が70あり、簡単なモーターで動く。

ご覧のように主な部位はテン輪であり、それが行ったり来たりして時計を動かす。テン輪はスパイクのような形のかごに収められ、それが複数の軸の上で動く。テン輪がスピンのスピードをコントロールし、このようなデバイスはもっと複雑で高価なツールビロン時計の上で中古品として使われていることが多い。ツールビロンは元々、時計が乗馬用ベストのポケットなどに入っているとき、時計の精度を良くすることが目的だった。時計に、水平でなく垂直の動きが加わるときには、重力が時計のテン輪をおかしな方向に引っ張る、と考えられていた。三軸で回転させることによりテン輪は、ありとあらゆるすべての姿勢に対応でき、見てて楽しい、少々やり過ぎの時計製造技術が完成する。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Amazon第二本社を誘致したいクリーブランドが$120M相当の無料特典を用意

中西部の小都市が、Amazonの収容雇用者数50000名の第二本社を誘致するために、どれだけの飴を用意する気か、Cleveland.comの記事が詳しく報じている。記者のMark Naymikが入手した文書によると、クリーブランドはAmazonに1億2000万ドル相当の無料サービスを提供するつもりだ。たとえばその中には、列車やバスなど公共交通機関の運賃の大幅値引きもある。

その文書はここにあるが、主に、Amazonの意思決定の重要な要素である交通に関する、Northeast Ohio Areawide Coordinating Agency(オハイオ州北東部広域調整局, NOACA)の考え方を記述している。

オハイオは今、発展途上の地域だが、公共交通機関網にむらがある。コロンバスなどはまだライトレールがなく、シンシナチは最近整備を始めたばかりで供用域が小さい。クリーブランドには、利用者数が少ないけどしっかりとしたシステムがすでにある。

都市が値引きを提供するのも、意外ではない。新しい都市への進出はAmazonにとって巨額な出費になり、それは都市にとってチャンスだ。それだけでなく、Amazonの進出はその小都市にスタートアップとテクノロジーのエコシステムを産み育てるだろう。クリーブランドは、出血サービスをしてでも、この機会をものにしたい。

アメリカ中西部は今、岐路に立たされている。小都市がアートとクリエティビティのハブとして生まれ変わるか、それとも、さらに落ち込んでいくか。展望は、必ずしも明るくない。

最大の都市であるシカゴは、交通と金融とロジスティクスのハブとして小さな衛星都市の人材を惹きつけている。さらにピッツバーグやアンアーバーのような“スマート都市”は、卒業したら太平洋岸へ行ってしまうような優秀な学生たちを、横取りしている。社会学者のRichard Floridaが言う、活発な“クリエイティブ・クラス(Creative Class)”は、そんな人取りレースに勝った都市で栄えるが、しかし多くの都市は、どんな種類の(文化的、その他的)クリエイティブなエコシステムも作り出せない。Amazonのような巨獣が舞い降りて来ても、それをサポートする力はない。

クリーブランドがやったことは、間違ってはいないが、情報を隠そうとしたことは市にとってむしろ危険だろう。メリーランドの運輸局長Pete K. Rahnも取材に対して言っている: “Amazonの第二本社に関しては、同社が必要とするものを何でも提供する。すべての実際的な目的に照らして、それは白紙小切手であることがもっとも合理的だ”。

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ハッカーのKevin Mitnickがフィッシングで二要素認証をバイパスする方法を教える

二要素認証(two-factor authentication, 2FA)を破ろうとするハッカーは、ユーザーに偽のログインページを送り、ユーザー名とパスワードとセッションクッキーを盗む。

KnowBe4のチーフ・ハッキング・オフィサー(Chief Hacking Officer) Kevin Mitnick*が、そのハックをビデオで公開している(下図)。ユーザーがLinkedInを訪ねようとしたら、一字違いの“LunkedIn.com”のページを送ってログインさせ、パスワードと認証コードを捉える。そしてそれらを使って本物のサイトにアクセスしたハッカーは、セッションクッキーを入手する。そのあとハッカーは、いつまでもログインできる。これは要するに、一回かぎりの2FAコードを使って偽のログインをし、データを盗むのだ。〔*: Mitnickの著書。〕

“Kevinの友だちのホワイトハットハッカー(white hat hacker, 犯罪行為をしない研究者的ハッカー)が、ソーシャルエンジニアリングの巧妙なやり方で二要素認証をバイパスするツールを開発し、それを使うとどんなサイトでも破れる”、とKnowBe4のCEO Stu Sjouwermanは語る。“二要素認証はセキュリティの層を一つ増やすが、でもそれだけで企業を守ることはできない”。

ホワイトハットハッカーのKuba Gretzkyが作ったそのevilginxと呼ばれるシステムは、彼のサイトに詳しい技術的説明がある。

Sjouwermanによると、セキュリティ教育の中でもとくに重要なのがフィッシング対策であり、被害者がセキュリティについてよく知り、メール中のリンクをクリックすると危険!と知っていたら、このようなハックは成功しない。そのことをぼくに教えるために彼は、本誌ライターのMatt Burns(matt@techcrunch.com)が、記事中の誤字について述べているメール(偽メール)を送ってきた。そのメールにあるリンクをクリックしたらリダイレクトサイトSendGridへ連れて行かれ、そこからTechCrunchに放り込まれた。しかしそのペイロードは、きわめて悪質だった。


そしてSjouwermanは曰く、“これで分かったと思うが、今や新しいセキュリティ意識が必要であり、とくにフィッシングをシミュレーションで体験することが重要だ。なぜなら、防衛ラインの最後尾を固めているのはソフトでもハードでもなく、人間だからだ”。

彼の予想では、この偽メールを使ったテクニックが数週間後に流行(はや)って、ユーザーとIT管理者はセキュリティのためのプロトコルを強化せざるをえなくなるだろう、という。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ペンシルベニア州立大の研究員が本物のクローキングデバイスを作った

ペンシルベニア州立大学の研究員Amanda D. Hanfordが、音波を迂回させる(反射しない)ことによって、一部の感知技術に対してオブジェクトを不可視にする、本当のクローキングデバイス(cloaking device, 物を隠すデバイス、忍者デバイス)を作った。

報告記事は曰く:

Hanfordのチームは、音波が、反射せずに迂回して進むようなメタマテリアルの開発に取り組んだ。メタマテリアルは一般的に、密度が負である、など、自然界に存在しない特異な性質を示す。そのために、メタマテリアルの最小の構成部位であるユニットセルは、この研究の場合、音波の波長よりも小さくなければならない。

Hanfordは、水面下で音を偏向させる音響学的なメタマテリアルを作った。それは、難しい開発テーマだった。テストではその素材を水中に置き、それをねらって発射した音波を測定した。水中のエコーは、音波がその素材から反射していないことを、示していた。したがってその新素材は、ソナーにとって不可視だろう。

まだ初期的段階の技術なので、オブジェクトが完全に不可視にはならないが、しかし水中では検出がきわめて困難だ。これからは、水平線上にレーザー銃を備えた潜水艦が現れたら、船の船長は“クローキングデバイスをonにせよ!”、と叫ぶようになるかもしれない。そう考えると、なかなか楽しい技術だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

クローンの攻撃! 偽レゴを買って作ってみたら、その結果は……

レゴは高価で、子どもたち、とくにウチの子どもはそれをたくさん欲しがる。我が家の地下室は、大きなオモチャ屋の返品部門のようで、端から端までオモチャで埋まっている。なかでも目に付くのは、小さな組み立てブロックのどこまでも広がる地雷原だ。しかし、私たちはいろいろなものを組み立てては、ごっこ遊びを楽しんでいる。末っ子のGuthrieは「スター・ウォーズ」が大好きだ。しかし、レゴは高い。「スター・ウォーズ」のキットはなかでもいちばん高い。どうしたものか? おじいちゃんおばあちゃんからの年末のプレゼントに欲しいものリストに加えておくか。バラバラになって、その破片や人形たちが何マイルにもわたって散乱する船に何百ドルも支払うのか? それとも、なんでも見つかる安心の場、インターネットで「Lepin」(レピン)を探すか?

遠い昔はるか彼方の銀河系でLego (レゴ)のコピー商品が数々あった。なかでも人気が高かったのは、レピンというメーカーが作っていたもので、私がそれを初めて知ったのは、「ファーストオーダーのタイファイターのセット」の驚くほど完璧なレビュー動画を見たときだった。この動画では、レゴとレピンをじつに詳細に比較していた。しばらくの間レピンは、「スター・ウォーズ」の予告編や、子どもたちが好きなYouTubeチャンネル「Bad Lip Reading」を抑えて、我が家の一番人気となった。子どもたちは、あの動画のゆっくりで一定したペースに心を奪われていた。私は、レゴを買うよりずいぶんお金が節約できるという考えに心を奪われた。

コピー商品に関するモラルや法的問題に敏感になる方もいるだろうが、わかって欲しいのは、私はレゴの価格はそれ相応のものだと理解しているということだ。レピンのセットを組み立てたあと、レゴがどれだけ丁寧に作られていて、製品としての満足度が高いことを思い知らされた。レゴなら、飛行中に分解することはない。とは言え、これはひとつの実験だ。この大胆にも完全コピーされた製品が、普通の茶封筒に入って送られて来たことに驚いた。不要品交換会で買ったルイスやロレックスの偽物とは違い、レピンのキットは、ひとつひとつのブロックがオリジナルのコピーになっている。しかし、いくつかの大きな問題があった。

私はAlibaba でタイファイターのキットを購入した。これは、私のノスタルジアのど真ん中のボタンを押し、子どもたちの興奮のボタンを押した精密だが高価で買うのを諦めたモデルのコピー版だ。私はこのタイファイターを組み立てる。科学のためだ。

キットは価格が約5200円、送料は約1300円で、2週間後に届いた。茶色いクッション入りの封筒の中に、説明書と小さな袋に小分けされたブロックが入っていた。わかりやすい分類がされているわけではなく、大きなブロックが一塊になり、小さなブロックが、いくつかの小袋に詰め込まれている。袋に順番などは書かれておらず、説明書にも、どれを先に開けろとは書かれていない。とにかく、全部いっぺんに開けてしまって、作り始めるのがよさそうだ。

まず目に付くのは、射出成形の痕跡がやや凹んでいる出っ張りの先端が、まったく滑らかになっていることだ。そこには「Lego」の刻印がなく、不安になるほどツルツルだ。本物のレゴの表面をサンドブラストで磨いたような感じだ。ミニフィギュアにもちょっと問題がある。顔はレゴのものに比べると、シャキッとしない。アクセサリーも同様だ。たとえば、パイロットのヘルメットから出ているホースが、変な風につながっている。こういうところでコストを削減しているのだろうが、簡単に外れて、すぐに紛失してしまいそうだ。

ブロックの整理をしたら、いよいよ組み立てだ。ここでまた、コスト削減による問題に突き当たる。説明書では、使用するブロックだけがカラーで示され、あとはグレーで薄く印刷されている。だから、組み立て中に、それがどのような形になるのかがわからない。内部を組み立てるときは、とくにわかりづらい。さらに、説明書のステップ数がやたら多い。レゴの説明書では、1ページに1つか2つのステップというペースにレイアウトされているが、こちらはぎゅーぎゅー詰めなので、混乱してしまう。

組み立てには2日かかった。息子がほとんどを組み立てたが、最後は私が介入した。私もやってみたかったし、息子は飽きてしまったからだ。そしてその直後、私たちはレピンの致命的欠陥に気づくことになる。モデルが崩壊してしまうのだ。

私の義父は、射出成形でオモチャを作っていた。彼はよくレゴのことを褒めていた。レゴは頻繁に型を壊して新しく作り直している。だから、どのブロックもきっちりしてて、きれいで、真っ直ぐなのだと、ことあるごとに聞かされきた。製造工程において、型はもっとも高価なものだ。作るのに何千何万ドルもかかる。レゴのような複雑な型ともなれば、製作にはかなりのコストがかかる。プラスティックの知識から見る限りでは、レゴ社はそこに金を惜しんでいないということだ。

レピンは違う。

組み立てを始めると、真っ直ぐなはずのブロックが歪んでいたりする。ヒンジはきっちりはまらない。大きな板はサイズが合わない。組み立てながら、本当にこれらはひとつの塊でいてくれるのか心配になってくる。最後にはバラバラになるのではないかと。たとえば、このモデルでは、翼に埋め込まれた4本のバーをつなげるために、小さなU字型のクランプが4つ、両サイドに飛び出る形になるのだが、このクランプがきちんと入ることもあれば、入らないこともあり、入らないときは翼が分解してしまう。組み立て直すのに10分かかる。乱暴に扱うような遊びには使えない(というか、どんな遊び方でも無理だろう)。パイロットを乗せるためのハッチは、完全に閉じると外れてしまう。あのデンマーク製の愛すべきレゴ

の許容差は、ここにはない。棚の上に飾っておくしかなさそうだ。

もし、あなたもあなたのお子さんも、あまりよく見えない高い棚の上に置いて眺めるだけで満足できるなら、このレゴのコピー製品を試してみるといい。ただし、ガッカリすることは覚悟しなければならない。これは実物に近いクローンではあるが、小さな違いが積み重なって、やがて大きな問題に発展する。このタイファイターは、今はヤドカリの檻の隣に、触らないようにして置かれている。ポー・ダメロンのXウィングファイターがストームトルーパーに定期的に攻撃を加え、他のレゴたちは、基地や家やマインクラフトの冒険などに作り変えられている中、遊ばれない唯一のオモチャが、レピンのキットだ。

いい勉強になった。たしかに金は節約できるが、その必要はあるのだろうか? レゴは高すぎるし、子どもたちも、あまり強くレゴで遊びたいと言わないで欲しいとは思う。しかしそれでは、子どもたちに手で触れるもので遊ぶことの価値や、組み立てブロックで物を作ることの意味を教えることができない。私は、自分でタイファイターを買って、自分で組み立てる力があるなら、レゴで遊びたいという子どもを制止したりはしない。結局、レゴは最強なのだ。ミニフィギュアには叶わない。

レピンを買うべきだろうか? 私の中のブランドの熱狂的な擁護者は「ノー」と言っている。しかし、経費を節約して、子どもにコピー商品を組み立てさせたいと考えるなら(それを使って遊ぶことはできないが)、このC-3POまがいの世迷い言は忘れて欲しい。あなたの選択に、フォースがともにあらんことを。

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(翻訳:金井哲夫)

フレンドリーなロボットアームが患者のリハビリテーションのためのゲームに付き合う

イスラエルのネゲヴ・ベン=グリオン大学の研究者たちは、患者のリハビリ運動を助けるための tic-tac-toeゲーム(三目並べ)を開発している。ゲームは格子状の箱の上でプレイされ、「実物」および非実物プレイが可能だ。実物プレイでは、ロボットアームがマーカー(今回は小さなコップ)を実際に掴んだり置いたりする。非実物プレイの場合はコンピューターの選択を明るいライトで示すことになる。

このシステムでは、Kinovaアームとコップが使用される。コップはリハビリプロセスの一部であり、病気や事故の後に、ものを掴んだり扱ったりすることを患者が訓練することを助ける。

「(⭕❌の代わりに)Tic Tac Toeをコップのセットでプレイすることは、上肢のリハビリに役立つゲームの例の1つです」と語るのはShelly Levy-Tzedek博士だ。「沢山のコップを持ち上げたり置いたりすることで、ゲームを楽しみながら日常タスクのパフォーマンスを向上させて行くことが可能です」。

興味深いことに、ロボットの速度がユーザーに影響を与えることがわかった。ロボットがゆっくり動くとユーザーもよりゆっくり動き、ロボットの動きが速くなると、ゲームの進行も速くなった。このことを使って、個々の患者や個人のニーズに合わせてゲームを変化させることができる。ロボットは決して疲れることがないので、リハビリテーションスタッフは、特定のリハビリ療法に適したスピードとタイプのプレイを提供しながら、患者のささいな動きに注意を払うことができる。

この研究論文は、 Restorative Neurology and Neuroscience掲載された。


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(翻訳:sako)

ロボットサッカーの現状はこんな具合

基本的にスポーツは苦手だ。だから、というわけでもないのだが、ロボットがサッカーをプレイする未来を待望していたりする。というわけで、SPL(Standard Platform League)のGerman Openファイナルをご案内したい。対戦しているのはNao-Team HTWKとNao Devilsだ。人間がプレイする必要のないスポーツというのは、私のような人間にとっては「輝かしい未来」に思えるのだがどうだろうか。

プレイしているのは、ソフトバンクがStandard Platformリーグ用に開発したNaoだ。Naoはフィールドを走り回り(人間が走るのとは様子が違うけれど)、豪快なシュートを放ち(これも人間のシュートとはちょっと違う)、倒れたときにはもちろん自分で立ち上がってプレイに復帰する。試合の様子は見慣れたサッカーとは異なるものかもしれない。しかしシュートを決めようとボールを追いかけるロボットにはつい胸が熱くなってしまう。

人が手を(足を)煩わせることなく、サッカーが楽しめるというのは素晴らしいことだと思う。

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(翻訳:Maeda, H

このロボットはあなたに代わって壁にペンキを塗ってくれる

部屋の壁にペンキを塗ったことのある人なら、隙間なく塗るのが簡単でないことを知っているだろう。MISTの作ったロボットなら、抽象画家のジャクソン・ボロックのようにペンキを塗ってくれる。

ロボットはマッピング・テクノロジーとエレベーター風の台に乗ったノズルで壁を上下にわたってスプレーしていく。ウォータールー大学出身の開発チームはプロトタイプを完成させ、Marverickと名付けた。チームにはApple、Facebookといった有名企業に在籍したメンバーもいる。

Maverickにとってこれはまだ始まったばかり。開発チームは使いやすくするために機能を追加していく予定だ。

「スプレー機の後ろにカメラをつけて、画像処理によって塗装するかどうかを判断することを考えている。そのためのソフトウェアロジックは完成していて、塗装品質の検出アルゴリズムもある。ただ、ビデオに写っているものにはカメラがまだ設置されていない」とチームは言った。

ビデオにあるように、プロジェクトは土台とアームとスプレーシステムからなる。ロボットは部屋のマップを作ったあと、塗るべきところを塗り、そうでないところを避けていく。必要に応じてマスキングテープを貼ることにはなるだろう。ペンキを買いに走る時間があればMarverickは何層かペンキを塗ることができるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

DeepCodeはAIの力でコードを洗う…未来のフロントエンドはプログラミングの自動化

チューリッヒのDeepCodeは — 基本的にはコードを分析して改良するためのツールだが — プログラマーのための文法チェッカー/文章改良ツールGrammarlyみたいだ。このシステムはユーザーのGitHub上のリポジトリを読み、25万のルールのコーパスを使って問題とその修復方法を教え、ただしそれによって互換性が壊れないように、そしてもっと良いプログラムになるようにする。

Veselin Raychevが創業し、アドバイザーとしてMartin VechevとBoris Paskalevが加わった同社のチームは、機械学習とAI研究の幅広い経験がある。このプロジェクトはスイスのチューリッヒ工科大学からスピンオフした独立の研究プロジェクトが、プログラミングのためのユーティリティになったものだ。

で、その実際の仕事ぶりはどうか? かなりよろしい。自分の公開リポジトリのひとつをこのシステムに通してみたが、449のファイルに対して49件の提案をもらった。その中には文字通りのコード書き換え — name: String,name: {type: String},に変える — もあるし、必要なファンクションコールがないようだ、という示唆もある。自分のコードに隠れているバグを見つけたいときには、なかなかおもしろいツールだ。このツールがくれるアドバイスは、驚くほど正確だ。それは、人間が見逃しがちな間違いのあるコードを大量に読んだ(学習した)結果作りだすリコメンデーションだからだ。

Paskalevは語る: “コードの意図を理解するプラットホームを作った。それは何百万ものリポジトリを自動的に理解し、デベロッパーがやろうとしている変更に注目する。そしてAIエンジンをそれらの変更で訓練し、プラットホームが分析するコードのすべての行に、ユニークな提案を提供する”。

“今は25万あまりのルールがあり、毎日増えている。競合システムはルールを手作業で作ってるから、最大のシステムでも、長年かけてやっと3000か4000のルールを作った程度だ”。

自己資本のみだった同社は最近、ドイツのbtov Partnersから110万ドルを調達した。ファウンダーたちはいずれも複数回の起業経験がある。PaskalevはVistaPrintとPPAGの創業に関わったし、Raychevは、プログラミング言語のセマンティクスの機械学習という分野の研究者だが、以前はGoogleで働いていた。

DeepCodeは単純なデバッガーではなく、コードを“読んで”それを他の実装と比較する。そしてそれにより、どの行も最高のパフォーマンスを発揮できるように、改良を示唆する。今チームは、多くのプログラマーがそれを使ってくれることを待っている。

“われわれのは、Grammarlyが書かれた言葉を理解するようにソフトウェアのコードを理解する、ユニークなプラットホームだ。その最初のサービスだけでも、ソフトウェア開発のコミュニティは数十億ドルを節約できるし、その次には業界をコードの完全な自動合成へと変身させるフロントエンドを提供できるだろう”、とPaskalevは述べている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

IKEAの家具を組み立てるロボットをMITとシンガポールNTUが開発

世の中には2種類の人間がいる。IKEAの家具を組み立てるのが嫌いな人と狂人だ。しかし今ではIkeaBotのおかげで狂人をリプレースできる。〔IKEAの家具を組み立てるのが好きな人は狂人だ、という意味〕

こちらのIkeaBotは、シンガポールNTU(南洋理工大学)Control Robotics Intelligenc(CRI)グループのプロジェクトだ。チームはロボットに、ピンを挿入してIKEAのパーツを扱うやり方から教え始めて、それから徐々に、ロボットに家具の扱い方を教えていった。結果は、Billy〔IKEAの書棚〕の組み立てで誰かと競争したことのある人を、元気づけるものだった。

以下はIEEE Spectrumより:

CRIの組み立て工程は必ずしも自律的ではない; “すべてのステップが自動的に計画され制御されるが、それらの順序は相当量の技術的努力によりハードコードされた”。研究者たちによると、“順序の自動的決定を、組み立てマニュアルや、人間監督者の自然言語による対話や、最終的には椅子の画像から行うことは構想可能である”。しかしわれわれは、彼らがRoss Knepperとチャットすべきだったと感ずる。彼の方のIkeaBotは、そういうことをいっさいせずに、上手に仕事をするからだ。

つまり、そのNTUのロボットは半自動だが、無駄な努力ではない。そして、ベーシックなヒューリスティクスにより、次のステップを見つけ出せる。そのロボットは今、椅子を約20分で組み立てるが、それは誰にでも真似できる偉業ではないだろう。最後のダンスは、ロボットが自分をほめているようだ。

ベストシーンは? ロボットもいらついて部品を放り投げることがある:

ぼくとしては、IKEAの椅子作りロボットに人類が支配されてもよい、と思うね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Roadie 2チューナーがギターチューニングに苦しむ私たちを救う

最初のRoadieチューナーは驚異的な製品だった。それは自動ギターチューニングシステムだ。あなたの携帯電話に接続して、ギターの弦の音を聞かせると、内蔵モーターを駆動して正しいチューニングを行ってくれるのだ。そして新しいモデル、129ドルのRoadie 2は、さらにクールになった。

私はRoadie 2を数ヶ月使っているが、今ではすっかりその虜(とりこ)だ。私は決して良い演奏者でもなければチューニングが得意でもなかった。私の耳はきちんと聞き取ることができず、そのへんのツールを使ってさえギターを正確にチューニングすることができなかったのだ。しかし、いまやRoadie 2を使えば、巻取り機をペグに嵌めて、ボタンを押すだけなのだ。弦を素早く爪弾けば、わずか数秒でチューニングは終了だ。

Roadie 2は完全に自己完結型で、USB-C経由で充電される。それ自身に振動センサーが内蔵されていて、現在の弦を検出し、それに応じてチューニングを行うことができる。このシステムでは、複数の弦楽器を追加することもできる。エレキギターやアコースティックギターだけでなく、バンジョー用のプロファイルを設定することさえ可能だ 。また、標準的なチューニングを行うだけでなく、自由なチューニングを行うことも可能である。高トルクモーターは、ペグをすばやく簡単に回転させて、弦の巻き上げや巻き戻しを行うことができる。

Roadie Tuner 2を使った巻き上げと巻戻し!

チームは昨年3月にRoadie 2をキックスタートし、今年になって出荷を開始した。入手して以来、私はそれをギターのチューニングに使い続けているが、それは非常に上手く働いてくれている。失敗したのは、1度だけ子供用ギターを不運にも巻き上げすぎてしまったこと位だ。パッケージに含まれているアプリを使えば、対象楽器やチューニングを調整することができる。

世の中のギタリストの中には、頭上の蛍光灯の音に合わせることができる人もいるし、デジタルチューナーをすばやく聞いてチューニングできる人がいることも知っている。だが私はそのどちらでもない。ということでRoadie 2は、ギターの才能がないことで終わりのない苦しみの呪いにかけられた私たちにとっての、神からの贈り物なのだ。少なくとも、いまやチューニングは私の得意とするところになった。

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(翻訳:sako)

ベトナムのICOで6.6億ドルと首謀者7人が消えた――愚か者とその金は…?

ベトナムに本拠を置くスタートアップ、Modern TechはPincoinというトークンを売り出してICOを行い、3万2000人から6億6000万ドルを集めた。Modern TechはPincoin ICOの後、投資に対する継続的利益を約束しつつ、続いてiFan(セレブ向けソーシャルネットワーク・トークンとやらいうもの))を売り出した。Picoinの出資者は当初、キャッシュで配当を受けるが、その後iFanのトークンが利益として支払われるはずだった。

その後、連中は姿を消した。

こういう手口はエグジット・スカムと呼ばれるが、その中でも今回の事件は近年稀に見る規模だ。またICO市場の今後を考える上でも大いに示唆するものがあった。ベトナム国籍の7人組は、騙されたと知った大勢の投資家が本社に押しかける中、密かに国を脱出していたという。

Tuoi Treの報道によれば、

この事件の首謀者はベトナム国籍の7人で、チームはハノイやホーチミン市、さらに地方都市でもカンファレンスを開き、投資家を釣り寄せていた

7人組は投資家に対して最初の出資に対して月48%の利益が得られるとし、4ヶ月後には投資元本が回収できると説明していた。また新たな投資家を紹介できた場合、その投資額の8%がコミッションとして与えられると約束した。

この「新たなメンバーを引き込むとボーナスが支払われる」というPincoinの仕組みはどこかで聞いたことがある人も多いだろう。スカム屋どもはこの1月までは約束どおりキャッシュで支払っていたが、その後は支払をiFanトークンに変えた。そして先月、洒落たオフィスはもぬけの殻になった。後に残ったのは作りかけではあるが妙に出来のよいウェブサイトだけだった。

そのサイトを詳しく観察すると、ビジネスモデルが巧みなごまかしの上に成り立っていたことがよくわかる。「PINプロジェクトの使命は、共有経済の原則の上に世界のコミュニティーのために共同消費のプラットフォームを構築することであり、これにはブロックチェーン・テクノロジーによる暗号通貨が用いられる…」といった空中のパイ〔絵に描いた餅〕の羅列だけで、どこを探してもファウンダーやアドバイザーについての言及がない。しかも多国語の洒落たホワイトペーパーにさえファウンダーの身元をはっっきりさせるような情報がない。簡単にいえば7人組が力を入れたのはもっともらしいウェブサイトを作ることで、これによって大勢にちゃんとした会社であると信じ込ませることに成功した。

Viet Baoによればチームは以下の7人だという。Bui Thi My Ngoc、Ho Phu Ty、Ho Xuan Van、Luong Huynh Quoc Huy、Luu Trong Tuan、 Nguyen Duc Trong、Nguyen Trung Hieu、Vu Huu Loi。彼らはPincoinとiFanをゼロから立ち上げて数ヶ月で数千万ドルの規模にした。【略】

口先巧みに人を丸め込もうとした興味ある例がiFanのページに見出される。ページの中ほどに彼らのトークンは「Ethereumプラットフォームを利用している」とあり、続いてEthereumの値動きやビジネスの規模が紹介されている。つまりiFanトークンの価値がEthereumと直接連動しているかのように思い込ませようとした表現だ。

このくだりは7人組のホワイトペーパーの中にも出てくる。

現在のような規制のないICOビジネスは「愚か者とその金はすぐに別れる」ということわざの興味深い実例となる雲行きだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

セサミストリートが初めてKickstarterを利用、自閉症児のブックに出版資金を募集

Juliaはセサミストリートの初めての自閉症のキャラクターで、彼女のミッションは同じ障害を抱える子どもたちの気持ちを和らげ、自分と同じような子がほかにもいることを、理解してもらうことだ。彼女は小さなかわいいマペットだが、今では自分のKickstarterページを持っている。

資金集めの目標額は75000ドルで、目的はJuliaとそのお友だちが登場するコンテンツと無料の絵本を作ることだ。今10000ドルに達しているが、急速に増えている。100ドルを寄付するとJuliaのけばけば人形をもらえるし、もしも15万ドルに達したら新しいJuliaブックの印刷版が作られる。目的は、自閉症児へのいじめを減らすことで、セサミストリートのスタッフと専門家が協力して、Juliaの冒険をめぐるコンテンツやブックを作っている。

セサミストリートのチームより:

Juliaのテレビ初出演はたくさんのメディアで取り上げられ、ソーシャルメディア上では何百万もの人びとの目と心に刻印された。でも最大の成功は、自閉症のコミュニティやその周辺等から大きな反応があったことだ。親たちは、Juliaのおかげで自閉症の子どもたちがたくさん遊ぶようになった、と言っている。先生たちは、遊びに参加する児童生徒が増えた、と報告している。あるお母さんは、最初のJuliaのブックを使って娘に、彼女も自閉症なのよ、と説明した、と言っている。すると、その娘さんは、“だったら私もすごいのね、そうでしょ?”、と応えたそうだ。

セサミストリートがKickstarterで募金をするのは、これが初めてだけど、結果はすばらしい。このような、コミュニティへの呼びかけは、そもそもクラウドファンディングが発明された最初の目的だし、すてきな活動のためにお金が集まることは、本当にグレートだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Windows 3.0のFile ManagerがオープンソースになりWindows 10でコンパイルできる

Microsoftが1990年代のFile Manager(ファイルマネージャー)のソースコードを公開した。Windows 3.0の上でわれわれ全員がドラッグしたりドロップしたりした、あれだ。コードはGithub上で入手でき、Windows 10でコンパイルできる。

File Managerは、multiple-document interface(MDI)を使って一つのウィンドウ内に複数のフォルダーを表示する。このインタフェイスはその後のWindowsでは大幅に変わったが、Windowsの初期の10年ぐらいはスタンダードだった。

オープンソースコミュニティへのこの小さなギフトはたしかに楽しいけど、嬉しくない人もいる。Hacker Newsの上でこう述べている人も: “Microsoftがオープンソースにするのは、ごみかまたはまったくメンテナンスされてないものばかりだ。著名なプロジェクトが二つメンテナンスされているが、ユーザーに断りなく勝手にテレメトリー(遠隔測定)をやっている。やめろ、というコメントが数百もあるのにね。われわれの情報がどこへ行くか分からないようなプロジェクトに、Microsoftの人気プログラマーScott Hanselmanも関わっている。顧客に対する乱暴な姿勢は、相変わらずだね”。

でも、この“ギフト”だけは、ただ単純に懐かしくて楽しいだけだろう。コンパイルした結果を@johnbiggsへのツイートで教えてほしい。それがちゃんと動くか、知りたいんだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa