Google CloudがNvidiaのTesla P4推論アクセラレーターをサポート

今やクラウドプラットホームは、GPUのサポートなくして完全とは言えない。今日のハイパフォーマンスワークロードや機械学習のタスクは、それなくしてサポートできないからだ。それらは多くの場合、機械学習のモデルの構築に使われることが多いが、しかし今日(米国時間8/6)Googleは、Nvidia P4アクセラレーターのサポートをローンチし、既存のモデルをより高速に走らせることによる推論の性能アップにフォーカスしようとしている。

また、これらの機械学習のワークロードのほかに、Google Cloudのユーザーは、高速なグラフィクスカードを必要とするリモートディスプレイのアプリケーションを、GPUを使って動かすことができる。そのためにGPUは、リモートデスクトップにログインするユーザーのためにサーバーサイドのグラフィクスの応答性を高めるシステム、Nvidia Gridをサポートする。

P4には8GBのDDR5メモリがあり、最大で毎秒22テラの整数演算ができるから、ほとんど何でもできるカードだ。しかも買うと2200ドル以上はするから、時間制で借りる方が賢明だろう。

Google Cloud上でP4を使うと、標準料金では1時間60セント、プリエンプティブルでよければ21セントだ。Googleの料金としてはP100やV100 GPUより安いが、ただし両者はユースケースがまったく違う。

この新しいGPUは最初、us-central1(Iowa), us-east4(N. Virginia), Montreal(northamerica-northeast1), europe-west4(Netherlands)の各リージョンで提供され、徐々にそのほかのリージョンでも提供される予定だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Google、Android Pieにデジタルウェルネス機能を追加へ。Appleを追う

Googleは、見捨てられた最新OSアップデート、Pie(本日公開)にデジタルウェルネス機能を追加したいと思っている。しかし、Appleはすでに最新アップデートのiOS 12に合わせてウェルネス機能の準備を進めている。

デジタルウェルネスとは、ユーザーがデジタル機器に費やした時間を追跡し、必要に応じて遮断するしくみだ。Googleは5月のI/Oカンファレンスで、新しいウェルネス機能がAndroid に導入されることを発表した。デジタルウェルネスのためのダッシュボードに加え、デバイス利用時間の追跡やアプリの使用制限時間を設定するアプリタイマー、ポップアップ通知を停止するDo Not Disturb機能、就寝時には常夜灯を付けてDo Not DisturbモードにするWind Downなどがある。
Appleもデジタルウェルネスに力を入れている。この分野の新機能は、今年の夏にWWDCカンファレンスで発表され、iOS 12アップデートには改善された “Do Not Disturb” 機能が追加された。iOS 12のベータ6は本日公開

>いくつか研究が、スマートフォンの利用中断や、中毒の抑止の重要性を示唆している。Googleはこの新機能でそれを実現しようとしている。しかし、この新しいデジタルウェルネス機能は 今日公開の 最新Pie アップデートにはまだついてこない。

一方Appleも独自の方法でiPhoneユーザーの利用時間を制限するしくみを提供している。Android同様の機能のほか、端末利用の週間レポートも見ることができる。Downtimeと呼ばれる機能を使うと、ユーザーが画面を見ない時間を設定できる(単に端末を置いただけだと通知を見て手に取りたくなってしまう)ほか、アプリの利用時間の制限や、不適切なコンテンツの表示をブロックすることができる。

今のところこの部門ではAppleがリードしているが、最終的にはあらゆるGoogleフォンで利用できるようになるだろう。Androidの新しいデジタルウェルネス機能を詳しく知りたい人は、今すぐ利用できるが、Google Pixelを持っていて、かつベータバージョンに登録している場合だけだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Lyftがドライバー向けカーレンタルプログラムを強化

最近Lyft は、米国内における車所有台数を減らしたいというメッセージの発信に力を入れている。その反車両所有運動の最新の例が、カーレンタル会社であるAvisとの提携だ。

複数年契約の一部として、AvisはLyftのExpress Driveプログラムに数千台もの車両を追加する。同プログラムはこれまでもHertz、Flexdriveからドライバーたちに週単位で車をレンタルしてきたが、これにAvisが加わった。

LyftのCOOであるJon McNeillは「Avis Budget Groupとの提携によって、新規ならびに既存のドライバーの皆さんに、より高品質なオプションを車両選択時に提供できるようになります」とプレスリリースで語っている。「そしてより多くのドライバーの方がご自身の車を手放すに従って、Express Drive programが拡充し、Lyftを介してお金を稼ぎ続けることが可能です」。

これは、Teslaの元ワールドワイドサービスならびにカスタマーエクスペリエンスサービス担当副社長だったKarim Boustaが、Lyft Express Driveの責任者に着任した直後の決定だ。Boustaはまた、LyftのドライバーサポートセンターであるLyft Hubの、次世代版を立ち上げ、拡大する役割も担当している。彼はまた、ドライバーへの報酬とインセンティブを強化することも任されることだろう。

Uberも同様に、Hertz、Getaround、そしてFairを通じ、週単位、日単位でのカーレンタルを提供している 。UberはGetaroundとのパートナーシップをさらに拡大して、誰でもUberアプリを介して個人利用のために車を借りることができるようにした。Uber Rentと呼ばれるこのプラットフォームは、インスタントレンタルに利用可能なGetaroundの既存の車市場を活用している。

5月にLyftは、より安価なオイル交換、基本的な車のメンテナンス、カーウォッシュその他でドライバーたちをより良くサポートするために、1億ドルを拠出することを約束した。Lyftはまた、全国15都市のドライバーハブの営業時間を倍にする予定だ。

このコミットメントによって、ドライバーたちはより多くのお金を稼ぐことができ、運転コストを下げることで儲けを最大化することができる。その他のメリットとしては、SUVレンタル、税教育などが含まれている。

Lyftはまた、今後5年間でドライバ数を2倍以上に増やす予定だと述べている。現在Lyftには、最新の経済影響報告書によると、140万人の運転手が登録されている。

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(翻訳:sako)

画像: Patrick T. Fallon/Bloomberg via Getty Images

ポケモンGO、年内にはPvPが可能に

大人気のポケモンGOだが、常に欠けている重要な機能がある。自分のポケモンを別のトレーナーと直接戦わせることだ。それがゲームの基本をなすものであることを考えると奇妙ではある。しかし、このモバイルゲームは今年中にようやく待ち焦がれたこの機能を提供するらしい。ポーランドのニュースサイト、Gramに同社が伝えた

記録破りのデビューを飾ったあと、ゲームの底の浅さを感じたプレーヤーたちが大挙して去り長いスランプを過ごしたが、今またポケモンGOは一種のルネサンスを迎えている。改善されたジムやソーシャル機構、信頼性の向上、そしてもちろん、新しいモンスターの数々はプレーヤーたちを呼び戻し、今後も機能追加が続くようだ。

PvP(プレーヤー vs プレーヤー)モードが正確にどんなものなのかは明らかになっていない。おそらく、プレーヤー同士は近くにいる必要があるだろう。トレード機能と同じように。何らかの報酬が与えらえる可能性は高いが、悪用を防ぐために、スターダストやキャンディーなどを使って制限が課せられるだろう。

NianticのAnne BeuttenmüllerはGramのインタビューでも詳細は語らなかった。彼女は近日公開予定のIngress Primeについて話したかったようだ。それはポケモンGOの事実上の原型といえるゲームの再スタートであり、こちらも年内に公開される予定。

待望の位置情報ゲーム、”Harry Potter: Wizards Unite”は、多くの人々の携帯端末を駆り立て、公衆の面前で意味不明な呪文を唱えさせることになるのは間違いないが、彼女の口は堅く閉ざされたままだった。これもまた年内公開予定なので、今年は忙しいホリデーシーズンになりそうだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Android 9を紹介する――Googleはニックネームを「パイ」に決定

 

Android 9の愛称はPie(パイ)に決まった。歴代Androidのニックネームの中で特にセンスの良さを感じさせるような名前ではないが、まあいいだろう。問題は機能そのものだ。実際Androi Pieには数々の重要な新機能が盛り込まれている。

Google Pixelを持っている幸運なユーザーは今日(米国時間8/6)からOTA(無線ネットワーク経由) でPieにアップデートできる。これまで端末でAndroidベータを使ってきた場合((Sony Mobile、Xiaomi、HMD Global、Oppo、Vivo、OnePlus、Essentialなどのデバイスですでにベータをインストールしている場合)、またGoogleが途上国市場で展開しているAndroid Oneを持っている場合も同様に今日からPieが利用できる。

それ以外のユーザーは、これまでと同様、製品のメーカーがアップデートを提供するまで待たねばならない。一部のメーカーでは年内にアップデートを出すだろうが、永久に出さないメーカーもあるだろう。

全体としてPieは健全なアップデートだといえる。唯一の不満はデフォールトでデジタル・ウェルビーイング機能がオンになっていないことだ。これは「スマートフォン中毒」を防止するためにGoogleが推進している努力の一環だが、Pieで利用するためにはベータテストに登録しなければならず、当面Pixel端末でのみ使える。Googleのハードウェア発表の時期は10月上旬が多い。そのあたりでデジタル・ウェルビーイングも正式にリリースされるのではないか?

ではAndroid 9 Pieにアップデートするとどういうことが起きるか説明しよう。 いちばん目立つのは新しいナビゲーション・システムだろう。ここ何代かのAndroidで標準だった3アイコンのナビゲーション(戻る、ホーム、オーバービュー)に代わって採用された新しいナビゲーションはほぼ常に表示され、もっと柔軟性が高い。ホームバーを押すとアプリをスワイプで切り替えることができる。オーバービューボタンを押してアプリをサムネール表示にする必要がない。ホームバーを上にスワイプすると最近使ったアプリがフルスクリーンでプレビューできる。またGooglはユーザーが使うかもしれないアプリの候補も表示する。もう一度上にスワイプするとインストールずみアプリの一覧画面になる。

このところPieを毎日使っているが、UIが従来のシステムより改善されたかどうか、まだ完全に納得するところまでいっていない。単に私が保守的で変化を嫌う性質なのかもしれないが、新しいスワイプ重視の方式がそれほど効率的だとは思えない。またホームバーをGoogleが期待するより何分の1秒か長く押しているとアプリの切り替える画面ではなくアシスタントが立ち上がってしまう。このあたりは慣れの問題だろうが、以前のシステムに戻すこともできる。

スワイプアップしたときのGoogleによる「おすすめアプリ」の表示はテクノロジーのデモとしては面白いが、実際に毎日使う上でさほど便利ではない。Googleはアプリの推薦にあたって機械学習を使っているのだろうが、「おすすめ」を表示する場所にユーザーが好みのアプリをピン留めできるようにしたほうがいいと感じた。Androidの「おすすめ」が見当外れということではないが、ベータ版を2世代にわたって使った結果、ここからアプリを起動したことはない。それと「おすすめ」アプリの大半はどのみちホーム画面に登録ずみだ。

ただし個人的な不平はその程度で、Android 9 Pieではほぼあらゆる部分が改良されている。だいなみなバッテリー管理システムもその一つでユーザーが頻繁に使うアプリを記憶し、バッテリーを長持ちさせることができる。面白いと思ったのは新しいバッテリー残量警告のポップアップだ。これにはたとえば「現在の残量は20%。充電は9:20pmごろ終了」などと表示される。これは実際に役立っている。

Googleは輝度調整も改良しており、ある環境におけるユーザーの輝度の好みを記憶して再現しようとする。Pie OSではデバイスの設定がひとまとめにされており、何をどう変えたかひと目で分かるようになったのは便利だ。音量ボタンの横にボリューム調整スライダーがポップアップするようになったのもナイスだ。

音といえば、コネクターを接続してバッテリーの充電を始めると小さい音がするようになった。使い勝手というのはこういう細部のデザインによるところが大きい。

テキスト選択ツールにも機械学習が利用されている。選択した内容によってユーザーが取る行動を予測しており、それが住所であればアプリの候補としてGoogleマップや情報共有のダイアログが示される。これの推薦には例によって当たり外れがあるが、私にとって役立つ改良は、テキスト選択ツールにズーム機能が付加され、自分が何を選択しているか拡大して確認できるところだ(もちろんiOSには以前から同様の機能がある)。

今回のアップデートの目玉に一つであるデジタル・ウェルネス機能、GoogleのDigital Wellbeingについて詳しく解説したいところだが、これは数日待っていただく必要がある。Googleの発表を紹介すると、ダッシュボードにデバイスを利用した時間が示される。App Timerでは、たとえばInsgramを指定して利用時間の上限を設定できる。設定時間を超えるとアプリはグレー表示となって起動できなくなる。Wind Down機能は「おやすみモード」で、就寝時間になるとDo Not Disturb状態になり、 デバイス自体がグレー表示となる。

PieにアップデートしてあればこのDo Not Disturbツールはすぐ使える。他のデジタル・ウェルネス機能はまずベータ登録をする必要がある。

現在はまだリリースされていない機能にSlicesがある。パイだからスライス(一切れ)になったのだろう)。これは秋に公開されるというので私も期待している。デベロッパー向けハイライト紹介によれば、Andoroidの検索バーから承認を受けたアプリ(楽曲再生や配車など)を起動できるというものだ。Googleないしアプリのパートナー側でまだ公開の準備が整っていないらしい。

と、こんなところがAndroid 9 Pieで目につく部分だ。ナイスなアップデートであることは間違いない。ただGoogleでは機械学習やAIをAndroidに組み込んだことを自慢していいるが、私にとってはさまざまな細部の改良が大いに役立っており、
快適さを増す最大の要因になっている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

オンライン商談ツールのベルフェイスが5億円調達、セールスビッグデータの活用目指す

ブラウザだけでオンライン商談ができるウェブ会議システム「bellFace」を提供するベルフェイスは8月7日、総額5億円の資金調達実施を発表した。引受先は、グロービス・キャピタル・パートナーズSMBCベンチャーキャピタルYJキャピタルキャナルベンチャーズが運用する各ファンド。

増資に伴い、既存株主のインキュベイトファンド代表パートナーの赤浦徹氏とグロービス・キャピタル・パートナーズ マネージング・パートナーの仮屋薗聡一氏が社外取締役に就任する。

セールスに役立つ機能をさらに強化したbellFace

2016年9月の記事でも紹介したが、bellFaceはブラウザさえあれば使えるウェブ会議システムだ。SkypeやGoogleハングアウトと異なり、相手にソフトウェアのインストールやアカウント登録を強いる必要がなく、離れたところにいる社外の顧客と商談するインサイドセールス用途に使いやすくできている。

ユーザーはベルフェイスのページで発行される“接続ナンバー”を顧客と電話でやり取りするだけで、ブラウザの種類やバージョンは問わず、プラグインも不要で使える。クラウド上に保存された資料を表示して、相手と確認しながら話をすることもできる。

2015年のリリース以降、プロダクトのアップデートも進んでいる。PCだけでなく、iPadやiPhoneのブラウザにも対応したほか、画面共有機能、セールスパーソンを美肌と細見え効果できれいに見せるビューティーモード、動画プレゼン機能や50MB以下のファイル共有機能、名刺プロフィールの表示など、さまざまな機能を搭載してきた。

ベルフェイス代表取締役の中島一明氏は「画面共有機能はSaaS系企業のデモにも最適で、利用が伸びている。相手側がPCであれば、双方で画面共有ができるため、テクニカルサポートでも活用してもらっている」と話す。

中島氏によれば「これらの機能強化が導入企業増につながった」とのこと。「2018年7月現在で有料での導入企業が700社、13000ユーザーを超えた。特にマーケティングをしていないが、月に350〜360件ほどの問い合わせがある」という。

「メールアドレスやFacebookのアカウントなどが分からなくても、やり取りができて、資料も共有できる。接続の簡単さが導入企業には喜ばれている。特に営業では身内よりも顧客との間のほうが、コミュニケーションする機会が多い。BtoB営業のためのツールとして機能を追求し、そこに2年間注力してきた成果が現れたと考えている」(中島氏)

同じような機能を持つブラウザベースのウェブ会議システムには、URLを発行するだけでビデオチャットが可能なAppear.inZOOMなどもある。これらと比較したときに、bellFaceが「オンライン商談、インサイドセールスに特化したツール」たるゆえんは、その「商談データの扱い方」にある。

bellFaceでは、どの資料をどのような順番で、どれくらいの時間見せたかを秒単位で取得して営業ログを記録する。また、共有メモに双方で書き込みを行うことができ、議事録を作りながら話せるので認識の齟齬も生じにくい。さらに双方のビデオ画像を録画し、変換したファイルがクラウド上に残る。商談の最後には、顧客へのアンケートも実施できる。

これらの情報をSalesforceなどのCRMツールに紐付けて保存することで、営業内容を成果と結び付けて確認することが可能。社員へのフィードバックに生かすことができるという。

日本でのインサイドセールス普及を目指す

ベルフェイスは2015年4月の創業。2016年8月にはインキュベイトファンドほか数社から1.6億円の資金調達を実施している。

中島氏は現在の状況について「既存ユーザーの継続率も高く、導入も増えている」と説明する。マーケターや広報の専任者はいないそうだが、問い合わせを月300件以上受けるまでに至ったのは、「カスタマーサクセスに力を入れたから」という。

bellFaceではユーザーが顧客に接続ナンバーを発行してもらうことから商談が始まるが、その時に顧客に必ず「ベルフェイス」と検索してもらうことになる。また、そのほとんどがBtoBの商談で利用されている。

「“お客さまのお客さま”が商談でbellFaceを利用し、『うちでも使えるのではないか?』と思ってもらうことができた。導入企業の顧客がユーザーになるケースが多く、サービスの利用頻度が高くなればなるほど、ユーザーが増えた。つまり、ユーザーを成功させればユーザーが増えるという状況。カスタマーサクセスに投資してよかった」(中島氏)

前回の資金調達から約2年。「大手から小規模までさまざまな企業に使ってもらって、今は実績・プロダクトともに充実したところ。土台ができたと考え、2度目の資金調達を行うことにした」と中島氏は述べる。

今回の調達資金について中島氏は「カスタマーサクセスに引き続き投資する」と話している。「きれいごとでなく、それが一番効率がよいから」だという。解約したくないと思われるようなプロダクト強化と実績づくり、Salesforceなどの外部CRMツールとの連携機能強化や、ユーザーコミュニティ醸成にも力を入れるそうだ。

「ユーザーコミュニティについては、現在月1度、ユーザー会を実施しているが、貸し会議室を利用している状態。スタートアップによくある『おしゃれなオフィスに引っ越して……』というよりは、ユーザーイベントを安定して開催するために、オフィスの移転を計画している」と中島氏は説明する。

米InsideSales.comの調査によれば、米国において2017年に営業利益ベースでフィールドセールスが占める割合は71.2%で、リモートまたはインサイドセールスの28.8%に比べれば依然として高い。だが2018年にはリモートおよびインサイドセールスの比率は30.2%に伸びると予測されている。

また米国の小売業を除いたセールスパーソン570万人のうち、43.5%はインサイドセールス専任、56.5%がフィールドセールス担当で、その差は縮まってきている。しかもフィールドセールスの担当者もいまや約半分の時間をリモートセールスに充てているという。その割合は2013年時点に比べて89.2%増加している。

日本でも働き方改革が進む中、効率のよい時間の使い方、生産性向上が求められることもあって、訪問営業で費やされる移動時間やコストに目が向けられ、インサイドセールスへの注目が集まっている。

「日本ではまだ普及しきっていないインサイドセールスという新しい営業スタイルを、マーケットに浸透させるため、広告などのマーケティングにも投資していく」と中島氏は話している。

さらにベルフェイスでは、蓄積される商談データを「セールスビッグデータ」として活用することも検討している。中島氏は「大量のセールスログとアンケートの分析を人が行い続けるのは非効率。人工知能を活用することで、例えば画像解析による“笑顔率”とCRMで見える成約率との関連性を分析するなど、非言語コミュニケーションの解析を行い、数字で分析可能にしたい」と述べる。

「今までは企業と顧客の間で、マーケティングやCRM、MAなど企業に近い部分にはデータがあってツールがあり、デジタル化が進んでいたが、顧客との接点であるセールスの効果については、ブラックボックスで分析が進んでいなかった。既存のツールに加えて、セールスもデジタル化し、蓄積されたデータをマネジャーが使えるようにすることで、営業に必要なサジェストを出せるようにしていきたい」(中島氏)

笑顔率の分析やセールスパーソンへのフィードバックについては、社内で実際にbellFaceを使って実施してみているそうだ。「営業担当によっては『笑っていないほうが数字が取れる』ということもあるはず。それぞれの適性に合わせた提案ができるようになれば。また自部署では不要と顧みられなかった営業情報が、実は隣の部署では必要だった、というケースも企業ではよくあること。そうしたデータを拾い上げて、適切な部門にサジェストするような機能も用意したい」(中島氏)

GoogleがAndroidのグラフィクスドライバーをテストするGraphicsFuzzを買収

Googleが、Androidのグラフィクスドライバーのセキュリティと信頼性をテストするフレームワークを作っているGraphicsFuzzを買収した。この、XDA Developersが最初に気づいたニュースは、GoogleがAndroid 9 Pieのリリースを発表した、その同じ日にやってきた。

Googleはこのニュースを確認したが、詳細の発表はない。また買収の価額なども公表されていない。

GraphicsFuzzのチームは、協同ファウンダーのAlastair Donaldson, Hugues Evrard, およびPaul Thomsonから成り、今後Androidのグラフィクスチームに参加して、そのドライバーテスト技術をAndroidのエコシステムの全域に提供していく。

チームは今日(米国時間8/6)の発表で次のように説明している: “GraphicsFuzzは、ファジングテストメタモルフィックテストを併用する方法を開拓し、グラフィクスドライバーのテストを高度に自動化することによって、信頼性やセキュリティを損なうバグを、それらがエンドユーザーに影響を及ぼす前に早期に発見する”。同社はその仕事をロンドンのインペリアル・カレッジのコンピューティング学部で開始し、イギリスのEngineering and Physical Sciences Research Council(工学物理科学研究会議)とEUのTETRACOMプロジェクトから資金を得ている。

派手な買収案件ではないが、重要性は高い。Androidの分裂したエコシステムでは、グラフィクスドライバーは重要な部位のひとつであり、その不具合はスマートフォンやタブレットなどのユーザビリティーに直接響く。また不具合のあるドライバーは、セキュリティの弱点にもなりえる。GraphicsFuzzが使用しているファジングテストは、大量のランダムデータをプログラムに投じる手法で、グラフィクス以外のさまざまなソフトウェア開発でも、最近はますます多く利用されている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ビジネス向けの「Airbnb for Work」、全宿泊の15%を占める

企業の出張者はAirbnbのビジネスにとって重要な部分になりつつあることが最新ブログ記事でわかった。同社は2014年にスタートしたAirbnb for Workが2015年から2016年にかけて3倍に伸び、2016年から2017年に再び3倍増になったと報告した。事実、70万社以上の企業がAirbnb for Workに登録したとAirbnbは言っている。

Airbnbを出張に利用している企業の内訳を見ると実に多様で興味深い。大企業(従業員5000人以上)の利用者と、スタートアップやスモールビジネス(1~250名)の利用者がそれぞれ40%ずつで、Airbnb for Workの残りの20%は中規模企業が利用している。

2017年7月、Airbnbは同サービスのリスティングをSAP Concurで利用できるようにした。SAP Concurというのは多くのビジネス出張者が利用しているツールだ。Airbnbによるとこの統合はAirbnb for Workの成長に多大な貢献をしており、2016年から2017年にかけてConcur経由でAirbnbを利用した従業員数は42%増加した。さらに、ConcurのFortune 500企業ユーザーの63%が、ビジネス出張の宿泊にAirbnbを利用した。

Airbnbnが発見したある傾向は興味深い。同社によると、Airbnb for Workの宿泊の60%近くが複数顧客による利用だった。

「私達は共同作業のための広い場所を提供するとともに従業員一人ひとりがプライベートな空間を確保できるようにしている」とAirbnbのビジネス旅行全世界責任者のDavid Holyokeは言った。「こうすることで、より意義のあるビジネス旅行が可能になり、会社は多くの費用を節約できると考えている」。

ビジネス部門の著しい成長と、その可能性を踏まえて、Airbnbはビジネス旅行者向けに新機能を開発している。来週、Airbnbは、社員がAirbnbのリスティングを会社に特化したランディングページで検索できる新機能を提供する予定だ。

これは、たとえばGoogle社員はGoogle.Airnbn.comを開いて宿泊場所を探すことができるようになり、そこにはGoogleの好みにあわせて、たとえば会社の事業所に近い宿泊地や予算、その他の要素が盛り込まれている。

すでに成長は見られるものの、HolyokeはAirbnb for Workには成長の余地がまだまたあると考えている。Airbnb for WorkのリスティングはAirbnbの利用全体の15%にすぎないとHolyokeは言っている。

しかし、ブティックホテルやAirbnb Plusのようなアメニティー志向のリスティングの登場によって、出張者の間ではビジネスホテルに代えてAirbnbを使う風潮が高まってきた。

加えて、ビジネスにおける移動や移転が一段と重要になるにつれ、社員が新しい土地で家を買う前に居住する有用なツールになるとAirbnbは信じている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

意外にもAlexaで買い物をする人はほどんどいない、音声は買い物に向いてない?

The Informationの記事によると、Amazon EchoなどのAlexaデバイスを使って買い物をする人はとても少ない。その記事では、およそ5000万のユーザーのうち、一度以上その音声インタフェイスで何かを買った人は約10万だ。それほど意外でもないが、会話的コマースを唱導するAmazonなどにとっては、痛い結果だ。

Amazon Echoとその兄弟たちは、多くの場合、音楽を聴く、天気予報を尋ねる、タイマーをセットするなど、誰もが考えるような使い方をされている。どれもスマートフォンで間に合う機能だが、家の中に家事雑用専用のデバイスがあることには、それなりの意味があるのだろう。

でも、売った側の期待の中には、買い物もあったはずだ。“Alexa、またオレオを注文して”、とか、“Alexa、Boseのノイズキャンセリングヘッドホンを買って”、などが日常化する光景が想定されていただろう。でも、何かおかしい。人は買い物をする前に、その品物を見たり、レビューを読んだり、安値を探して複数のコマースサイトを訪ねるだろう。Echoに声で命じるだけで買い物をする人が、はたしているのだろうか?

関連記事: Alexaのスキルにスキル内購入を書ける、デベロッパーに収入の道ひらける

そんな人は、なかなかいないだろう。でも、会話的コマースが、Alexaなどのデバイスのために列挙された、思いつくかぎりの、ありとあらゆる用途の一つにすぎない、とも言い切れない。

スマートホームの普及とともに、それらのいろんなデバイスのためのハブが必ず必要になるはずだ。Alexaは、そんなハブの良い候補だ。食料品の買い物や、そのほかの物の衝動買いのために音声デバイスを使う人は、今後もあまりいないだろうけど、でもEchoは、SpotifyやAudibleなどのサブスクリプションを‘買う’のには便利だ。そして今後はたとえば、“Alexa、水道工事屋さんを呼んで”、のような使い方もありえるだろう。それに、ありとあらゆる広告や販促活動に、消費者向けの音声の巧妙な使い方がありえる。

今はまだたぶん、音声アシスタントデバイスという装置と買い物が、一般ユーザーの心の中で無理なく結びついていない。それはノートパソコンを金槌の代わりに使うようなものだ。でもThe Informationの記事は、買い物を試みた人が100万で、その中の10万が実際に物を買うまで行った、と言っている。声による買い物は、人びとがまだ慣れていないだけかもしれない。それとも、今後何年経っても、普及しないのかな?

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

DJI、SparkドローンにLine Friendsのクマのブラウンをフィーチャー

7月に予定されていたDJI Mavic 2のリリースは延期され、新しい期日はまだわからない。 待っている間にちょっとした発表があった。Sparkにクマの顔がついた。

DJI Sparkについてはすでに非常に詳しいテストレポートを書いているので興味ある読者はそちらをご覧いただきたい。小型軽量で多機能、コストパフォーマンスも良いモデルだ。これに見たところ面白くなさそうな表情のクマをフィーチャーしたモデルが加わった。

このモデルはDJI初の「キャラクター・ドローン」だ。動物モチーフのかわいいLINEスタンプを多数を作ってきた日本のLine Friendsとの提携だという。どうやらこの「クマのブラウン」に続いてDJIでは動物キャラの製品をシリーズ化する計画らしい。

ブラウンの顔がついた他はスタンダードのSparkと変わりはない。

DJI上席コミュニケーション・マネージャー、Monica Sukによれば「私たちがバッグの中にいつも持ち歩くあれこれ同様、ドローンはライフスタイル・アクセサリーになってきました。このブラウンのバージョンはLine Friendsとのコラボによるもの。キャラクター・ドローンによってビデオによる日々のストーリーテリングと情報共有がさらにエキサイティングになると期待しています」という。

うれしいことにブラウン版も現行Sparkと同一価格で399ドルだ。

〔日本版〕DJIのサイトではまだ日本向けに販売していないもよう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

TechCrunch Japan新体制のお知らせ

20180806_0036348月6日、テクノロジーとスタートアップの情報をお届けするメディア、TechCrunch Japanの新体制がスタートしました。前任の西村賢編集長、岩本有平副編集長を引き継ぎ、ワタクシ吉田ヒロ(吉田博英)がジョインします。

ご存じない方もいらっしゃるかと思うのでまずは自己紹介を。ワタクシは大学卒業後、アスキー(現・KADOKAWA)に入社し、Apple系専門誌のMACPOWER、デベロッパー向け専門誌のMacTech Japanでは編集記者として、Apple系情報誌のMac PeopleとPC/ICT系総合誌の週刊アスキーではデスク、副編集長、編集長を歴任してきました。

編集記者としては、主にApple系のデベロッパーとテクノロジーの記事を専門としてきました。週刊アスキーへの異動後は、Apple系はもちろん、スタートアップやスマートフォン、そしてグルメまで幅広いジャンルの記事を手がけてきました。編集長としては、月刊誌(Mac People)と週刊誌(週刊アスキー電子版)の制作全般を統括してきました。

この度、週刊アスキー電子版編集長からTechCrunch Japanへ転身したのは、世界的に非常に強いブランド力のあるメディアの日本語版に関われることはもちろん、次世代を担う若手編集記者に巡り会えたのが大きな理由です。

その一人は、編集記者兼翻訳チーム統括の木村拓哉(写真右)。証券会社に約3年間勤務したあとカナダへ渡り、現地で通訳・翻訳業を行いつつ、フリーランスの翻訳家、ライターとしての活動を経てTechCrunch Japanにジョインしました。

もう一人は、東京生まれで米国カリフォルニア州サンディエゴ育ちの菊池大介(写真左)。TechCrunch Japanにジョインする以前は、英字新聞The Japan Timesで政治・社会を担当していました。

二人とも20代で、編集記者としては伸びしろしかありません。ネイティブレベルで英語が話せることもあり、国内外の取材に臨機応変に対応できるのが強みです。今後、さまざまな会見や取材先で見かけることも多くなるはずです。

8月からのTechCrunch Japanは、この二人の編集記者、そして盤石の翻訳チームと安定のライター陣とともにスタートアップ業界をさらに盛り上げていきます。そして本家TechCrunchと同様に、テクノロジー系の記事についても力を入れていく予定です。引き続き、タレコミやプレスリリース送付、取材依頼などはtips@techcrunch.jpまでお送りください。

また、11月15日、16日には国内最大級のスタートアップイベント「TechCrunch Tokyo」が東京・渋谷ヒカリエで開催されます。現在、TechCrunch Tokyoを成功に導くため編集部一丸となって取り組んでいます。近いうちに、チケット販売や登壇者などの具体的な内容をお伝えする予定です。

読者のみなさま、スタートアップ企業のみなさま、そしてテクノロジーを愛するすべてのみなさま、今後ともTechCrunch Japanをよろしくお願いいたします。

なお、本日8月6日18時より生配信される兄弟メディアであるEngadget日本版のYouTube Liveにも出演します。こちらもぜひご覧ください。

Android版『Fortnite』、Google Playを利用せず独自配信を発表。「30%の手数料が高すぎるから」

eng-logo-2015Epic Gamesの大人気バトルロイヤルゲーム「Fornite」のAndroid版がGoogle Play ストアを介さず、公式サイトで独自配信することが発表されました。

その理由につきEpic GamesのCEOであるTim Sweeney氏は、各種メディアにてコメント。アプリ内購入などでGoogleが徴収する、30%もの手数料が高すぎることを要因の1つに挙げています。

Windows PCやMac版、Xbox One版やiOS版に続きニンテンドースイッチ版も配信され、あらゆるプラットフォームを制覇しつつある『Fortnite』。なぜかAndroid版は後回しにされていましたが(最速はGalaxy Note 9向けという噂もあり)背景には様々な思惑があったようです。

Tim Sweeney氏によれば、理由の1つはEpicが顧客と直接関係を築きたいということ。「PC、Mac、Androidなどのオープンプラットフォームでは、ゲームを直接顧客にお届けすることが目標です。ゲーマーはAndroid上のソフト提供サービス同士の競争から利益を受けると信じています。競争こそが多彩な選択肢を提供し、最良のサービスの成功を可能とするのです」と電子メールで述べているとのこと。

もう1つは、Google Playストアが徴収する30%もの手数料が高すぎるということ。このビジネスモデルはゲーム専用機には向いているが、Androidなどのオープンプラットフォームに合理性を欠いているとしています。

「ゲーム専用機の場合は、まずハードウェアに多額の投資があり、たいていはコストを下回る価格で販売され、パブリッシャーと広範に提携して販売キャンペーンを行うのですから、(ライセンス料には)理由があります。が、オープンプラットフォームの場合、30%もの手数料は、支払い処理やダウンロード帯域幅、および顧客サービスに見合ったものとはとても言えません」と語っています

Epicは自社が運営する配信プラットフォーム「Unreal Engine Marketplace」の手数料を12%に改訂すると発表しており、発言には説得力があります。

基本的にはオープンプラットフォーム、つまりユーザーが(設定さえ変更すれば)自由にアプリをインストールできるAndroidについて語られているわけですが、裏返せば「iOSのプラットフォームはオープンではない(App Storeを経由しない勝手アプリはインストール不可)」と示唆されてる感があるのが興味深いところです。

実際、Tim Sweeney氏は米Venturebeatに「iOSでFortniteを検索すると、しばしばPUBGまたはMinecraftの広告が表示されます」と不満を表明。iOSでもできれば独自配信したいが、できないからAndroidでは……という思惑が推測されます。

Google Playストアを利用しないアプリの独自配信は、Amazonアプリストアや『艦隊これくしょん-艦これ-』などのDMM GAMESストアでもやっていること。いずれも巨大資本や十分な固定ファン人口を背景にしており、この流れが一般化するとは考えにくいのですが、『Fortnite』級の大ヒット作を擁するパブリッシャーであれば後に続くかもしれません。

Engadget 日本版からの転載。

ベネズエラ政府、大統領暗殺未遂に爆発物搭載ドローンが使用されたと主張

低予算の兵器化されたドローンによる攻撃が起きるディストピア的未来はすでにやってきたのだろうか? BBCおよびAPによると、ベネズエラ政府は、同国大統領の暗殺未遂事件に爆発物を搭載したドローンが複数使用されたと主張している。

ニコラス・マドゥロ大統領がカラカスで行われた軍隊行事で演説中、事件は起こった。行事はテレヒで生中継されていた。

BBCウェブサイトによる演説のビデオによると、大統領は将校らに守られ、夫人も近くに立っていたが、演説の最中に彼らの上空で爆発したなにかによって中断された。

動画に写っている人々は驚いて空を見上げていた。ビデオの音声は爆発場面の直前から削除されている。

別のカメラアングルのビデオには音声も入っていた。人々が押し合い、画面の外に走って出ていくところが見える。兵隊らは隊列を乱し叫び声が聞こえる。

ベネズエラ当局の発表によるとこの事故で7名の兵士が負傷し、後に数名の人物が逮捕された。ロドリゲス通信情報大臣は、爆発物を積載したドローン2基が大統領の近くを通過したのを見たと発言した。

マデュロ大統領は後の国民に向けた演説で、「飛行物体が私の近くで爆発した。大きな爆発だった。数秒後に第2の爆発が起きた」と語った。

しかし、爆発物搭載ドローンが爆発の原因であることを示す第三者による検証は行われていない。また、APによると、爆発現場にいた消防士らは政府の発表に異論を唱えている。

記事によると、演説会場近くのアパートでガスタンク爆発があり、窓から煙が流れ出るところが見えた可能性がある、と市当局は語っている。しかしAPは、どうやってその結論に達したかの詳しい説明は提供されていないことを付け加えた。

ドローンを使用した攻撃について、責任を追求する未確認情報もある。

BBCとAPは、Soldiers in T-shirtsと呼ばれるほぼ無名のグループが、爆発物を積んだドローン2台を大統領に向けて飛ばしたが、標的に達する前に兵士らによって撃ち落とされた、と言っていると報じた。

両ニュース機関共、このグループは取材に応じていないと言っている。

ベネズエラ大統領はこの襲撃についコロンビアを避難した——コロンビアは「根拠がない」としてこれに反論した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Y Combinator出身のJetLensesはコンタクトレンズの低価格化に挑む

Y Combinator出身のスタートアップ、JetLensesは、コンタクトレンズのEコマースサイトの1-800-ContactsやLens.com、大手小売業Walmartなどのネット通販に戦いを挑んでいる。同社の目標は、処方箋の確認や注文の追跡、コンプライアンス、在庫管理などに関わるオーバーヘッドを自動化することでコストを削減し、消費者に還元することだ。

彼らは価格の透明性も約束しているので、チェックアウト時に驚かされることがなく、送料も無料だ。

JetLensesの創業者であるDhaivat Pandyaは眼科医の息子で、ハーバード大学で統計とコンピュータ科学を学んだ。その経歴はこのビジネスにおける市場の非効率性を見つけ出し、新たなソリューションを開発するために役立ったと彼は言う。

「この分野ではエンジニアリングやデータサイエンスがすぐに結果を出し、日々目でみることができる」とPandyaがコンタクトレンズ市場を選んだ理由を説明した。「コンタクトレンズが高価である理由の多くが間接経費による」。

20%近くのケースで、オンラインサイトは顧客の処方箋の確認で問題に遭遇する。たとえば眼科医が診療所を移転したり電話番号やFAX番号が変わった場合などだ。

その結果、スタッフはその医療機関が今も存在していることや新たな連絡先を確認する必要が生じて多くの人的作業が発生する。JetLensesは、既存の医療機関のデータセットに医師情報を保持しているので、新しい電話番号やFAX番号を自動的に検索する。

さらに、処方箋を確認するためのFAXを自動送信し、医者からの応答を処理する。

同社は注文に関わる関わる物流にもデータサイエンスを活用して、どの配送会社が注文を処理するかを決めている。

こうした技術は大型ショッピングサイトではすでに一般的かもしれないが、コンタクトレンズ処方の分野では利用されていなかった、とPandyaは言う。

彼によると、JetLensesの低価格はこうした努力に基づくものであり、単に顧客を引きつけるために値引きしているのではない。

「私たちの利幅は同業他社と基本的に変わらない。単に[レンズを]安く売るためにビジネスを変えないことが目標」

包括的なレビューとは言えないが、私は取材前にJetLensesのオンライン注文を試してみて、ふだん使っている1800Contacts.comと比較した。私のAcuvue Oasys乱視用レンズの6パックがJetLensesでは32.99ドルで、私が通常払っているのが51.99ドルなのでかなり驚いた(1800Contactsは4箱まとめて買えば40ドルのリベートクーポンをくれるが、一度に払うには大金だ)。

JetLensesはメーカーの割引も利用可能で、顧客の眼科保険も適用できる。

ウェブサイトにはやや不安定な部分もあるが、まだ昨秋オープンしたばかりだ。欲しいレンズのブランドを入力して検索する必要があり、リストを閲覧することはできいなどサイトはなにかと使いにくい。しかし、1箱20ドル節約するためなら我慢する価値はある。

コンタクトレンズのEコマーススタートアップはJetLensesだけではない。Hubbleは昨年 7370万ドルを調達して自社ブランドのワンデー使い捨てコンタクトレンズを処方販売している。これはJetLensesの目指していない方向だ。

代わりにJetLensesは、このデータサイエンス技術をほかの処方箋ビジネス、歯科製品や処方箋の必要なクリームなどの分野に適用することを目標にしている。

現在同社は、Y Combinatorのデモデーの後、シードラウンドの資金調達に注力してビジネスのスケーリングを急いでいる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

月定額カーレンタル事業など展開するSmartDriveが17億円調達、高齢者の運転見守りサービスも開始へ

自動車の走行データ解析サービスを提供するスマートドライブは8月6日、産業革新機構、ゴールドマン・サックス、モノフル、2020(鴻海グループのファンド)を引受先とする第三者割当増資により総額17億円を調達した。

スマートドライブは、自動車に取り付ける専用デバイスから50〜60項目にわたるデータを取得・解析し、それをもとに自動車保険の開発や走行データ可視化サービスなどを展開するスタートアップ。その解析技術を軸に、法人向け車両管理サービスの「SmartDrive Fleet(旧DriveOps)」や、運転の安全度によって掛け金が変動するテレマティクス保険をアクサ損害保険と共同で提供するなどしている。

走行データの解析技術をもとにさまざまな事業を展開するスマートドライブだが、なかでも特に注目を集めたのが、運転の安全度によってポイントを付与する機能などが特徴の月定額カーレンタルサービス「SmartDrive Cars(以下、Cars)」だ。スマートドライブ代表取締役の北川烈氏は、2018年2月よりスタートしたCarsについて具体的な数字を明かさなかったものの、初動は順調で「年内には全国展開をはじめる」とした。

また、このサービスは本来、スマートドライブのパートナー企業が保有する車両を貸し出すというモデルだが、中古車や新車を販売するディーラー各社からの引き合いも多くなっているという。Carsが提供するデータ解析機能(安全運転によりポイントがもらえるなど)を切り出し、自動車を販売する際にセットサービスして提供できないかというものだ。そのため、スマートドライブは今後、プラットフォーマーとしてこれらの機能をディーラーに提供する役割を担うことも検討しているという。

スマートドライブは今回の資金調達を期に、Carsなど自社のC向け事業の拡大を目指す。調達した17億円はCarsのさらなる開発費用とプロモーションに使用するほか、2018年10月に正式リリース予定の新サービス「SmartDrive Families(以下、Families)」の開発費にも充てる。Familiesは、自動車の走行データを利用して離れて住む高齢の家族を見守ることができるサービスだ。

高齢化が進む日本では、高齢ドライバーによる運転事故は社会課題の1つ。そういった事故が増えるにつれ、「〇〇歳以上のドライバーからは免許を取り上げる」などの議論も出てきた。しかし、そもそも安全運転の度合いは個人によって異なるし、クルマが日々の生活に欠かせないものとなる僻地に住む人は、できるだけ長く免許を保持したいというのが正直なところだ。

Familiesでは、専用デバイスを家族のクルマに取り付けるだけで運転の安全度を計測することができ、より実態に即した形で、彼らが保有する免許を返上させるべきかどうか判断できるようになる。同様のサービスを提供する競合他社は存在するものの、Familiesの強みとしては、シガーソケットに取り付けるだけという導入の容易さ、費用の安さなどがあると北川氏は話す。

走行データの解析という技術を軸に、さまざまな領域へのビジネス展開を模索するスマートドライブ。今回の資金調達では、今述べたC向け事業の強化のほか、物流のモノフルとの連携によりロジスティクス領域でのビジネスを強化するほか、研究開発部門の「SmartDrive Lab」を中国・深センに設立するなどしている。

パトリック・スチュワートがスタートレックに復帰――新シリーズでジャン=リュック・ピカードを演じる

パトリック・スチュワートがジャン=リュック・ピカードを再び演じる日がくるとは誰も想像しなかったに違いない。おそらくスチュワート自身もだ。

しかしそれが実現した! 今やナイト勲爵士であるサー・パット・スチュはラスベガスで開催されたStar Trek Las Vegas 2018コンベンションに登場して復帰を発表し、同時にInstagramにもこのことを投稿した。

私は新スタートレック(Star Treck: The Nest Generation)に参加できたことを常に誇りに思っている。しかし2002年の春、この番組の最後のエピソードを撮り終えたとき、スタートレックと私との関係は自然な形で終わったと感じた。そのため、私がジャン=リュック・ピカードとしてスタートレックの新シリーズに復帰し、再び精力的に宇宙を探検することになったのは思いがけず、また嬉しい驚きだった。

この間、多くの人々が 人生の困難な課題に挑戦する上で新スタートレックによって勇気づけられ、慰めを得てきたという話を聞くにつれて身の引き締まる思いがする。ピカード艦長は、人々が科学者やさまざまな組織のリーダーとなって新たな世界を探検する上で模範となりインスピレーションを与えてたきたのだという。私がピカード役に復帰することを決めたのも実は同じ理由だ。調査し、探検するためだ。この困難な時代にあったピカードが世界をを改革し、慰めを与える導き手となったことを再び体験したい。

番組の新しい公式アカウントStar Trek Discovery はパトリック・スチュワートの復帰を確認すると同時に、ピカード艦長の「その後」(つまり『新スタートレック』の後ということだが)ついて描かれると示唆している。

スチュワートはラスベガスのスタートレック・コンベンションではもう少し詳しく経緯を説明した。それによれば新シリーズの準備はまだ初期段階で、実際どういう形をとることになるかはこれから決められるのだという。

ピカードは…今回はもはや艦長ではないかもしれない。一見して皆がよく知っているあのジャン=リュックだと思えないかもしれない。ともあれその後の経験によって大きく変わっているだろう。最後のエピソードが放映されてから現在までの時間にほぼ等しい20年という時間が過ぎているのだ。

まだ脚本が書かれる段階ではない。われわれはディスカッションを繰り返している。

これは約束できると思うが、新シリーズはオリジナルとは全く違ったものになるだろう。しかし情熱、決意、愛といった要素は変わらない。視聴者、ファン、フォロワーへの愛も変わらない。これらはすべて元のままだ。

残念ながら新シリーズについてはほとんど何もわからない。。シリーズのタイトル、エピソード数、すべて不明だ。

新シリーズについて分かっているのは現在 J・J・エイブラムズがプロデュースしているような現代風のドラマではなく、頑固なピカードが登場する古き良きスタートレックになるだろうという点だ。

下のビデオはラスベガスのコンベンションでパトリック・スチュワートが登場した部分のフル・クリップだ(撮影:Jaime Bastidas)。パトリック・スチュワートが復帰を正式に発表するのは9:20あたり。

〔日本版〕Jean-Luc Picardはフランス出身という設定、。上のビデオでスチュワート自身は『ピカール』とフランス式に発音している。ただし日本では『ピカード』が定着しているので表記はそれに従った。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

リファラル採用のMyRefer、パーソル独立後3.6億円の調達ーー「つながりで日本のはたらくをアップデートする」

左から、MyRefer代表取締役社長CEOの鈴木貴史氏、USEN-NEXT HOLDINGS代表取締役社長CEOの宇野康秀氏

リファラル採用に特化したHRテックサービス「MyRefer」を提供するMyReferは8月6日、グリーベンチャーズ、パーソルホールディングス、宇野康秀氏などを引受先とする総額3億6000万円の第三者割当増資を実施したと発表した。

同社はパーソルグループの新規事業創出プログラム「0to1」発の事業。成長をより一層加速化させること、そしてパーソル全体のオープンイノベーションを更に強化していく試みとして8月1日に法人化した。同プログラム初の独立法人化案件だというだけでなく、1998年設立のサイバージェント以来のインテリジェンス(現パーソル)発のスピンアウトベンチャーとなった。インテリジェンス創業者で現在はUSEN-NEXT HOLDINGSの代表取締役社長CEOを務める宇野氏はこの動きを「非常に嬉しく感じている」とコメントしている。

「創業の頃から人と組織を元気にするインフラサービスとしてやっていた。個人的にやりたいことは、ベンチャーがチャンスを得て巣立っていくこと。大企業を脅かすような存在に進化していくことを支援したい」(宇野氏)

また、同氏は「(独立元企業にとっては)自社で抱えきれない事業もある」「独立したからと言って1が0になるわけではない」とも話している。

「自社で育てたサービスが独立してしまうと損失が多く見えるが、自社内で成長した上で独立を目指す優秀な人が増えることはメリットだと思う。逆に、サイバーはインテの中にいたら今のようにはなっていない可能性もある。独立したことでブランディング形成できるという面もある」(宇野氏)

一方、パーソルホールディングス取締役副社長COO高橋広敏氏は「パーソルグループにおいてもオープンイノベーションやインキュベーションを積極推進しており、MyReferのさらなる事業成長を支援していく」とコメントしている。

MyReferはリファラル採用を中途採用のみならず新卒、アルバイト採用でも利用が可能にするクラウドサービスだ。リファラル採用とは社員に人材を紹介・推薦してもらう採用手法のこと。社員の個人的な繋がりを活用し、より企業にマッチした人材を獲得することが可能となる。

人事担当者はMyReferを導入後、社員にマイページを配布。社員はマイページで求人情報を確認し、SNS上の友人にシェア。推薦コメントを人事担当者に送信。お誘いが届いた友人は興味があればMyReferに登録して応募する。社員の活動状況を全て可視化するアナリティクス機能により、人事担当者は社員の紹介活動や候補者応募状況、求人別の紹介状況を確認することができる。

iPhoneとAndroidに対応したアプリを使うことで社員はワンクリックで求人を紹介することが可能。同アプリでは「社内の活動状況がランキングで可視化されるのでログインしたくなる」との声もあり、社員が楽しく自発的に自社の紹介活動を行える。また、社員は活動状況によってはギフトを受け取ることも可能だ。

「エージェントとか求人広告のような職務経歴書などを用いたハード面でのマッチングではなく、人と人との繋がりによるレファランスを活用する。新卒、中途とアルバイト領域の全ての採用を人と人との繋がりによる就職・転職でディスラプトしていきたい」とMyRefer代表取締役社長CEOの鈴木貴史氏は語った。従来の履歴書や経歴書をベースとしたマッチング手法では、個人のポテンシャルを最大限活かせず、企業も外部エージェントに依存した採用に終始しがちだという。一方、MyReferは企業に対して社員の繋がりを活用したインフラを提供するので、持続可能な採用力強化を可能としている。

MyReferは日本で最も利用されているリファラル採用サービスで、2015年9月のサービス正式リリースから30カ月で370社が利用、利用社員数は10万にもおよぶ。利用企業には2018年1月の段階でUSEN-NEXT HOLDINGSやファーストリテイリング、日産自動車などが挙げられていた。

鈴木氏は調達した資金で新機能の開発や採用、マーケティングを強化していくという。退職した社員の再雇用やアルバイトからの正社員登用も含めた社内移動を可能にし、採用側が自社のニュースなどを求職者に発信できるような仕組みを構築したいと意気込んでいた。

ボストンエリアのスタートアップが、ニューヨークのベンチャー企業の数を追い抜く勢いに

【編集部注:著者のはTechCrunchの寄稿者である】

ボストンは、米国で2番目に大きいスタートアップ資金調達の中心地としての、旧来の地位を回復した。

ニューヨークの年間ベンチャー投資総額の後塵を、何年にも渡って拝し続けたマサチューセッツ州が、2018年に遂にリードを奪い返したのだ。ボストンのメトロエリアへの今年のベンチャー投資額は、これまでのところ52億ドルとなり、ここ数年のうちでも最も高い年間合計額になる予想が出されている。

現時点でのマサチューセッツ州の年初来の数字は、ニューヨーク市全体の数字よりも約15%高いものだ。このことは、今年ボストンのバイオテック重視のベンチャーを、これまでのところ、国内の様々な場所に比べて、シリコンバレーに次ぐ第2の地位に押し上げた。また、ニューイングランドのVCたちにとって、最新の数字は、地元の起業家たちの優れた才能についての、すでによく知られた観察を裏付けるものだ。

「ボストンはしばしば、『元』スタートアップの街だね、と片付けられてしなうことが多いのです。しかも、成功はしばしば見過ごされてしまい、サンフランシスコのそれほど成功はしていないけれど目立つ企業たちと同じような注意を引くことはありません」こうCrunchbase Newsに語るのは、ボストンのベンチャーファームであるOpenViewのパートナーであるBlake Bartlettだ。彼は、Amazonが10億ドルで買収したばかりのオンライン処方薬サービスのPillPackや、昨年10月に公開され現在株式総額が47億ドルになった中古車市場のCarGurusなどを、地元の成功例として挙げた。

また、ニューイングランドの猛烈な嵐の中で、地元のスタートアップたちの金庫の中には、新たな資金が積み上げられている。下記のグラフでは、報告されたラウンド数とともに、2012年以降の資金調達総額をみることができる。

競争が気になる向きに配慮して、過去5年分のボストンのスタートアップエコシステムとニューヨークの比較も示した。

資金を調達しているのは誰か?

ボストンが今年成功している理由は何だろう?単一の原因を突き止めることは不可能だ。ニューイングランドのスタートアップシーンは広大で、バイオテック、企業向けソフトウェア、AI、コンピューターアプリケーション、その他の分野に対して、とても豊富な専門知識を抱えている。

ただそのなかでも、最も多くを占めるのがバイオテックだということを指摘しないわけにはいかない。今年はこれまでのところ、バイオテックとヘルスケアがニューイングランドにおける投資資金の大部分を占めている。だがもちろん地元の投資家たちは驚いてはいない。

「ボストンはこれまでもずっとバイオテック世界の中心でした」と語るのはボストンとシリコンバレーに本拠を置くVCであるCRVのパートナーであるDylan Morrisだ。そのことによってボストンはこの分野において近年、資金調達とエグジットのブームの中核を担う拠点となっている。そこでは病気の診断と治療に対してより計算的な手法を使う方向に長期的な投資が移行しつつある。

さらに、MITの故郷であるこの街が、いわゆるディープテクノロジー(真に複雑なテクノロジーを使って真に難しい問題を解くこと)に関して、高い評価を得ていることは言うまでもない。それは巨額の資金調達ラウンドにも反映されている。

例えば、ボストンに拠点を置く企業の中で2018年に最大規模の資金調達を行ったModerna Therapeutics(mRNAベースの製薬会社)は、2回のラウンドで6億2500万ドルを調達した。Moderna以外には、巨額ラウンドが向けられたディープテクノロジーを持つ他の企業たちとしては、癌治療のためにT細胞の操作に焦点を当てたTCR2や、民生用ブロードバンド向けの世界初のミリ波バンドを使うアクティブフェーズドアレイ技術を開発するStarry(ボストンとニューヨークに拠点を置く)などがある。

他の分野にもいくつかの巨額ラウンドが見られる。例えばエンタープライズソフトウェアや、3Dプリント、そしてアパレルにさえそうした動きが見られるのだ。

ボストンはまたこうした超大規模資金調達ラウンドの恩恵を受けている。1億ドル以上を調達した多くのラウンドは、ベンチャー資金調達ランキングにおける都市の地位の上昇を助けた。これまでのところ、今年は少なくとも15社のマサチューセッツ州の企業がその規模の調達を成し遂げている。これは2017年には12社に過ぎなかった。

エグジットも行われている

ボストンの企業たちは、今年も活発なペースで、そしてしばしばそれなりの金額で、公開したり買収されたりしている。

Crunchbaseのデータによれば、今年少なくとも7つのメトロエリアのスタートアップが、1億ドル以上の公開価格で買収された。もっとも高値がついたのはオンライン処方薬サービスのPillPackだ。2番目に大きな案件は、S&P Globalに5億5500万ドルで売却された、大金融機関向けのアナリシスを提供するKenshoだった。

IPOも巨大だ。今年はこれまでに合計17社のベンチャーキャピタルによる支援を受けた企業が公開を行った。このうち15社がライフサイエンス系スタートアップだ。最大のものは、赤血球治療の開発を行うRubius Therapeuticsであり、それに続くのがサイバーセキュリティプロバイダーのCarbon Blackだ。

一方、過去数年間に公開された多くの地元企業は、公開以来その価値を大いに高めて来ている。Bartlettは、オンライン小売業者のWayfair(時価総額100億ドル)、マーケティングプラットフォームハブスポットHubSpot(時価総額48億ドル)、そして企業向けソフトウェアプロバイダーのDemandware(28億でSalesforceに売却)などを例として挙げた。

ニューイングランドが熱い(hot)

マサチューセッツ州で4月の極寒を体験した記憶を持つ私が、「ボストンが暑い(hot)」などというフレーズを口にするなんて新鮮過ぎる心持ちだ。しかし、天気の話は脇に置き、スタートアップの資金調達だけに話を絞れば、確かにボストンの風景には気温上昇が見えてきている。

もちろん、ボストンだけに限った話ではない。今年は超巨大なベンチャーファンドが、エリア全体に急増している。Morrisは南方向数時間の位置にある最大のライバルに対しても強気だ:「ニューヨークとボストンはお互いを嫌い合うのが大好きなのです。しかし、ニューヨークは素晴らしいこともやっています」と、バイオテックスタートアップのエコシステムを活性化するための努力を指摘した。

それでも現段階では、2018年はスタートアップにとってはボストンの年になりつつあると言ってしまっても間違いはないだろう。

[原文へ]
(翻訳:sako)

元サイバーエージェント西條晋一氏によるXTech Venturesが1号ファンドを組成、「ミドル層の起業をサポート」

元サイバーエージェント役員で多くの新規事業立上げを経験した西條晋一氏が代表取締役を務める独立系ベンチャーキャピタル「XTech(クロステック)Ventures」は8月6日、50億円規模の1号ファンド(XTech1号投資事業有限責任組合)を組成したと発表した。

主なLPはみずほフィナンシャルグループ、東京建物、グリー、あらた。投資ステージはシード・アーリーで、平均投資予定額は約1億円としている。同ファンドは8月3日にファーストクローズを実施、8月中にも投資を開始する予定だ。ファイナルクローズは年内を予定している。

XTech Venturesは「既存産業やIT業界のミドル層の起業をサポートし、多面的な経営支援・IPO支援を行うことで投資先企業の飛躍的成長を目指す」ことをミッションとしている。

起業というと大学生など20代の若い世代を想像しがちだが、なぜ、あえて30代後半から40代のミドル層に特化したサポートにコミットするのか。同社設立時点の2018年1月、西條氏も44歳だが、同氏はは取材に対し「30代~40代の起業家がネット業界で、あまり出てきていないから」だと答えた。

「インターネット業界が出来た2000年前後であればともかく、今は業界ができてから20年近く経っているので、それなりに経験者が育ってきていると思う。業界に5年~10年いた人の中には“自分でできる”層はかなりいると思うが、起業家が出てこない。そういう層をサポートしたいと思い、XTech Venturesを作った」(西條氏)

西條氏によれば投資家になったり、大きな会社にまた転職する人は多いが「絶対数がもっと欲しいのは“自分でやる”という人」だという。

XTech Ventures代表取締役の西條晋一氏

なぜミドル層は起業に消極的なのか。同社は「会社で出世しているからやめる機会がない」「昔のイメージだと起業はハイリスクだと思われがち」「家庭などある中で挑戦しにくい」などと分析している。そのようなイメージを払拭するために動いたのがXTech Venturesだ。

起業というと大学生など20代の若い世代を想像しがちだが、2015年に米国の時価総額1000億円以上のスタートアップを分析したTechCrunch記事によると、創業時の創業者の平均年齢は34歳。B2Cは30歳と若いが、SaaSだと35歳、コンシューマ製品/IoTは36歳、法人向けソフトは38歳となっている。

傾向として「スマホでB2Cの新しいサービスを立ち上げるのは30代。SaaSや法人向けのものはその業界にいた人たちがテックをマスターして始める」のでは、と西條氏は分析。

加えて、米国のthe National Bureau of Economic Researchが2018年4月に発表した調査によると、創業時にミドル層であった起業家のほうが若年層よりも成功を収めている傾向にあるという。西條氏はミドル層には「新規事業等経験していて経験豊富であるため、起業しても成功率が高い」「経験と人脈で大企業とのコラボがしやすい」などの強みがあると話した。

西條氏はVCのXTech Venturesと同時に兄弟会社「XTech」も設立。これは“既存産業×テクノロジー”で新規事業を創出するというコンセプトを持つ会社だ。「Startup Studio」という事業を行なっており、様々なフィールドの知識・ノウハウを持つ新規事業成功の経験者たちが、スタートアップを創出したり、成長を支援する。ミドル層にとって“アイディアの創出”も一つのハードルになっているが、そこはStartup Studioでサポートが行えると同氏は話した。

同氏は“既存産業×テクノロジー”の分野でもミドル層はその能力を大いに発揮できると語っていた。今後、日本でも勇気を持った30代~40代の起業家たちが多く出てくることを期待したい。

手書き文字認識率99.91%のAI-OCRで紙業務を効率化するAI insideが5.3億円を調達

AIを活用したOCRツールによって書類のデータ化の効率をあげるAI inside。同社は8月3日、東京大学エッジキャピタル、日本郵政キャピタル、三菱UFJキャピタルを引受先とした第三者割当増資により総額約5.3億円を調達したことを明らかにした。

今回調達した資金を基に組織体制を強化し、コアとなるテクノロジーの研究開発を進めるほか、OCRサービス以外のAIを活用したプロダクトも含め事業拡大を目指していくという。

金融法人など約120社が使うAI OCRサービス

AI insideは設立当初から文字認識のAIの開発に着手し、手書き帳票のAI OCRサービスを展開してきた。2017年リリースの「DX Suite」では、高精度かつセキュアに書類のデータ化を遂行する3つのアプリケーションを提供。これによって企業がこれまで手作業で行なっていた紙業務の大幅な効率化を支援している。

7月末時点で銀行や保険会社などの金融法人を中心に、大日本印刷やパソナ、レオパレス21など121社がアクティブユーザーとしてDX Suiteを活用。AI inside代表取締役社長CEOの渡久地択氏の話では、この半年ほどでユーザー企業数が約6倍に増えたそうだ。

利用シーンの一例をあげると金融機関での住宅ローンや口座振替依頼書のほか、注文書を含む申込書系の書類のデータ化など。従来3人でやっていた業務にDX Suiteを取り入れることで2人体制でカバーできるようになった、といったものが典型的な効果だが、一部導入企業では受発注業務を完全にオートメーションしている例もある。

渡久地氏によるとDX Suiteの特徴は軸となる文字認識AIの精度と、実際に業務に組み込む際の使い勝手の良さにあるという。

同社の文字認識AIでは漢字第一、第二水準にひらがな、カタカナを加えた約6300文字を平均99.91%の認識率で読み取る。この認識率の高さを支えているのが、同社が研究開発を進めてきた「推論アルゴリズム」「学習アルゴリズム」「データ生成アルゴリズム」という3つのアルゴリズムだ。

推論アルゴリズムにおいては通常の文字認識技術と言われるようなゾーンだけでなく、一般物体認識や音声認識で使われるアルゴリズムを応用。たとえば「自動運転でどこに人がいるのかを見分ける技術」を用いて「帳票のどこに文字が書いているか」を認識したり、長文を読み取る際に音声認識のアルゴリズムを活用したりしているのだという。

渡久地氏がポイントにあげるのが「教師データ自体をAIが作り出すデータ生成アルゴリズム」だ。普通にやっていては手書きの学習データを集めるのが大変だが、AI insideでは手書き風の画像をAIが生成する仕組みを構築。これによって膨大な教師データを用意することができ、高い文字認識率の実現にも繋がった。

これらの技術によって単に手書き文字を読めるというだけでなく、本来は読み取る必要がない文字や点線を対象外にするなど、ちょっとした機転が利くのもDX Suiteのウリだ。

業務フローに取り入れやすい仕組みを構築

また渡久地氏が「業務フローに取り入れることができなければ、実際に使ってもらえない」と話すように、DX Suiteでは認識率以外の点にもこだわっている。

OCRサービスでは誰でも使えるように、クリックだけでOCRの設定からワークフローの設定までが完結。読み取ったデータのチェックもボタンひとつでサクサク進む。

業務で使うことを考えると欠かせないセキュリティについても、すでに3つの技術特許を取得(同社では文字認識技術など現在6つの特許を取得済み)。大手金融機関が導入を検討する際にはここがひとつのポイントになるそうだ。

合わせて複数種類の帳票がある場合に、ごちゃ混ぜの状態でスキャンしても機械的に仕分けてくれるツールや、アクセス権限を管理できるツールも開発。これらを従量課金制で月額10万円から利用できるクラウド版、金融法人の導入が多いセキュリティ面に強みを持つハイブリッド版、オンプレミス版という複数の方式で提供している。

OCRツールを軸にAIで企業の課題解決を

AI insideは2015年8月の設立。代表の渡久地氏は過去にグルメサイトの売却経験や事業譲渡の経験を持つ起業家。AIにはかつてから関心を持っていたそうで、10年以上に渡って継続的に研究開発に取り組んできたという。

「生産年齢人口が今後減っていく中で、AIを活用することによって生産性を向上できる領域、特に社会に大きなインパクトをもたらす領域について検討した結果、文字認識という所に行き当たった。OCRツール自体はずっと前からあるものだが、精度や業務フローとの兼ね合いがネックになり、なかなか導入が進んでこなかった領域。規模問わず困っている企業も多く、効率化できれば嬉しい部分でもある」(渡久地氏)

AI insideにとってVCから本格的に資金調達をするのは今回が初めてとなるが、これまでもアクサ生命保険や第一生命保険、大日本印刷、レオパレス21などと資本業務提携を締結。大日本印刷とはBPO分野へのAIの導入、レオパレス21とはAI活用の賃料査定システムの開発など、OCRツールを皮切りにその他の分野でもAIを用いた取り組みを強化してきた。

今後も当面はDX Suiteを事業の軸に据え、非定型の書類への対応(現在一部のみ対応している)などさらなる機能改善を進める方針。事業の横展開についても「あまり脇道にはそれず、OCRに対してフィードバックが得られるような分野や、OCRによって取得したデータの活用がスムーズにいくような分野などが中心になる」(渡久地氏)という。