警察のボディカメラが明らかにした、黒人に対する無意識の差別行動

警察のボディカメラは、ただ銃撃戦やその他の危機を記録しているだけではない。それらは毎日終日記録を続けている。このため警察官と人びとのやりとりに関して、前例のない詳細な観察結果が示されることになる。もしその膨大な量のデータを処理できるなら、本当にそれが可能になる。スタンフォード大学の研究者たちは、こうした事を可能とする手法を開発した。そして程なく研究者たちは、オークランドの警察官たちが、黒人たちと話すときには、礼儀正しさが抑えられた言葉を使っている傾向があることを発見した。

とはいえ、これはそれほど大きく目立っていた違いではなかった。オークランドの警察官たちの何千にも及ぶ会話で使われた、50万にも及ぶ単語が分析の対象になったのだが、量が集まる事で引き出すことのできる結果が示されたのだ。もしそうでなければ、この違いというのは、おそらく気のせいだろうと片付けられていたことだろう。

しかしそれは事実なのだ。もし職務質問で呼び止められた人物が白人の場合には、57%以上の警察官が、呼び止めたことに対する謝罪や感謝の意を表明する傾向にある。そして呼び止められた人物が黒人の場合には、61%以上の確率で、相手に対し手をハンドルの上に置き続けるように言ったり、”dude”とか”bro”(どちらもタメ口っぽい2人称)という呼びかけをしているのだ。このパターンは、研究チームが人種と不法行為の重大さを考慮して集計方法を調整しても相変わらず存在していた。

「全体として、黒人コミュニティメンバーとの警察官の対話は、白人コミュニティメンバーとの対話に比べてより困難の大きいものになっています」こうスタンフォードニュースの中で語っているのは、調査の共同著者であるJennifer Eberhardtだ。しかし彼女はまた「私たちの調査結果は、個別の警察官の偏見や良くない行いを証明するものではありません。礼儀正しい話し方に関する人種間格差の要因となるものには、多くのものが考えられます」と指摘している。

しかし違いが微妙であるということだけで、それが重要でないという結論にはならない。

「皆善良な警察官たちでした」ともう1人の共著者Dan Jurafskyは言う、「しかし、コミュニティメンバーとの会話の中で積み上げられた小さな違いが、広範な人種間格差となっていたのです」。

対象となった極めて長時間の職務質問を精査するために、研究チームはまず一般の人びとの会話記録を用いて、礼儀正しさ、フォーマル度、そして敬意などの指標を計測した。そして、それらの質に相関するフレーズが同定され、記録された会話の中からそれらのフレーズが探された。

図から読み取れるように、安全への気遣いや手間を取らせたことに対する謝罪は、白人を止めたときにより多く行われている。一方インフォールな呼びかけや「法的な権利の説明」(これは注意を喚起するという意味でネガティブな意味合いである)が黒人を相手にしているときにはより多く見受けられている。またそれほどはっきりとはしていないものの、警察官はどちらの側対しても、どちらの表現も使っていることはわかる。しかし時間が経てば統計的に有意なパターンが生まれてくるのだ。

しかしこの発見は、このパターンの起源を明らかにしている訳ではない。

「警察官による扱いの人種間格差は明らかで統計的に安定しているものの、この格差の原因はそれほど明らかではない」という報告がNational Academy of Sciencesのジャーナルに掲載されている。「これらの格差の一部がコミュニティメンバー自身のことば遣いや振舞いに起因していることは確かであろう。特にオークランドに於ける歴史的緊張関係や、警察の正当性に対する先入観が、恐れや、怒り、あるいはステレオタイプの脅威を引き起こしている可能性がある」。

私たちが今ここに手にしているのは出発点だ。別の言葉で言うなら、ボディカメラが生み出した雑音の多い膨大なデータから、入念な調査で徐々に明らかにされて来た検証可能なパターン(大事なことは、恣意的な選択ではないということ)だ。次は何だろう?より深い分析によって、声のトーンやスラング、あるいは居合わせた人や場所といった他の要因を取り込んで、他の側面を掘り下げることも可能かもしれない。

事実を軽視すること、全ての人種の警察官の会話に於ける負の傾向、ある人種の人びとへの偏り、こうしたことはいずれも私たちが議論を始めるためのきっかけとして十分だ。これまでに気が付いた人はいるのか?そうした人たちはこれを問題にしたのか?警察官たちは自分たちの行為に気が付いているのか?警察の行動をデータでコントロールすることは可能だが、警察の活動は最終的にはコミュニティサービスであり、こうした問題を真に解決するためにはコミュニティの中で取り組まなければならない。

「私たちが作ったもののような、情報処理ツールが開発されることによって、さらに多くの法執行機関がそのボディカメラの映像を、有罪無罪の証拠として使うだけでなく、理解のためのデータとして取り扱うようになることを希望しています」とEberhardtは語った。

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(翻訳:Sako)

AirPlay 2はHomeKitでマルチルームオーディオストリーミングをサポート、Google Cast+Google Homeと競争

AppleのAirPlay 2は’2’のない最初のワイヤレスオーディオストリーミングプロトコルの進化形で、複数の部屋への同時(同期)ストリーミングがサポートされ、AppleのスマートホームコントロールプラットホームHomeKit対応になり、サードパーティのアプリも作れるようになった。また、だれかがそのWi-Fiに飛び込んできて、パーティーなどのプレイリストにライブで貢献/闖入することができる。

AirPlay 2はAPIが公開され、誰もがアプリを作ってストリーミングを楽しく利用できる。もちろんそのアプリも、複数の部屋(‘マルチルーム’)へのスピーカーへブロードキャストができる。スピーカーに関してはパートナーのメーカーの長いリストをAppleは公開しているから、ほとんど必ず気に入ったものを選べるだろう。Apple TVの第四世代ハードウェアにも対応するから、ホームシアターへの統合も可能だ。

マルチルームのオーディオといえば、Sonosの独壇場だったが、独自のソフトウェアやアプリを必要とする。しかしこっちはiOSのシステムレベルのサポートだから、YouTubeやポッドキャストなどもソースにできる。GoogleのGoogle CastもAndroidのシステムレベルのサポートありだが、それはGoogle Homeの主要機能の一つだから、Siriのスピーカーの発表の前に対抗的な発表があるかもしれない。要注視だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

大規模な記事キャンペーンのリンクに関する注意点

最近、サイトに投稿された記事にスパムリンクが含まれているケースが増えています。投稿者からの投稿、ゲストやパートナーによる投稿、シンジケーション提供された投稿などの形で、あるウェブサイトの名前で書かれた記事が別のウェブサイトに掲載されるケースが一般的です。

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AIを活用したリクルーティング・サービス「Clustree」が790万ドル調達

フランスのClustreeは米国時間5日、シリーズAラウンドでCreandum、Idinvest Partners、Alven Capitalなどから790万ドル(700万ユーロ)を調達したと発表した。Clustreeは機械学習を利用して、今の仕事に閉塞感を感じている人と、募集中のポジションに適した社内の人材を見落としているHR部門の手助けをするスタートアップだ。

Clustreeは様々なソースから250万通り以上の求人を集めている。そして、フランスの企業はClustreeがもつデータを利用して募集中のポジションのために誰を雇えば良いのかを知ることができる。Clustreeはこのデータセットと内部データを組み合わせ、HRマネージャーたちのフィードバックも逐一取り入れている。

募集中のポジションに適した人材が社内にいることもある。新しい人材を雇う余裕がない企業にとっては願ってもないケースだ。Clustreeは内部人事だけでなく、外部から人材を雇う時にも利用することができるのだ。

「私たちのサービスは、入社から社内での成功プランまで、従業員ライフサイクルのすべてをカバーします」と語るのは創業者兼CEOのBénédicte de Raphélis Soissan氏だ。「リクルーティングのフェーズでは、Clustreeは社内にある人材プールにフォーカスします:つまり、社員のプロファイルや入社時に受け取ったレジュメを分析し直すのです。Clustreeに搭載されたAIは、会社ごとに存在するユニークな人材プールを分析し、おもしろい候補者を見つけ出します」。

これまでに、Orange、 Crédit Agricole、SNCF、Carrefour、L’Oréalなどの企業がClustreeを利用している。そして、それらの企業がClustreeが提供するソリューションに大きな金額を支払っているのだ。

「私たちの顧客はすべてフランスの企業ですが、彼らは世界中に従業員を抱えています。私たちのソリューションは世界30カ国で利用されているのです」とSoissan氏は語る。「つまり、私たちはフランスのリーディングカンパニーで働く、アメリカ人、日本人、中国人、ドイツ人など様々な人々の就職活動とキャリアマネジメントの手助けをしているのです」。

同社は今回調達した資金を利用してチームの拡大を図るとしている。彼らはまず、フランス国内の基盤を強化して顧客を増やし、その後に海外展開を目指すようだ。

[原文]

(翻訳:木村拓哉 /Website /Facebook /Twitter

MR、ドローン、音声デバイス、ビットコイン——テック業界経営者が予測する10年後のトレンド

左からスマートニュース代表取締役会長 共同CEOの鈴木健氏、ディー・エヌ・エー執行役員の原田明典氏、投資家/The Ryokan Tokyo代表取締役CEOの千葉功太郎氏、アイ・マーキュリーキャピタル代表取締役社長の新和博氏、グリー代表取締役会長兼社長の田中良和氏、gumi代表取締役社長の國光宏尚氏

この10年のテック業界を振り返れば、最も大きな変化というのは「ガラケー(フィーチャーフォン)」から「スマホ(スマートフォン)」への変化だった。では今後10年はどんな変化が訪れるのか?——6月5日〜7日にかけて兵庫県神戸市で開催中の招待制イベント「Infinity Ventures Summit 2017 Spring Kobe」。10周年となる本イベント、6日最初のセッション「業界トレンドの歴史と未来。これまでの10年、これからの10年」では、経営者、投資家らが今後10年のトレンドについて語り合った。

登壇者はgumi代表取締役社長の國光宏尚氏、アイ・マーキュリーキャピタル代表取締役社長の新和博氏、グリー代表取締役会長兼社長の田中良和氏、投資家/The Ryokan Tokyo代表取締役CEOの千葉功太郎氏、ディー・エヌ・エー執行役員の原田明典氏の4人。モデレーターはスマートニュース代表取締役会長 共同CEOの鈴木健氏が務めた。

経営者、投資家が振り返る「過去10年で最も衝撃だったニュース」

セッション冒頭、登壇者は自己紹介とあわせて、この10年でもっとも印象に残った、衝撃だったニュースについて語った。

原田氏が挙げるのは「アプリ回帰」というキーワード。NTTドコモからミクシィを経てDeNAで投資を担当する原田氏。かつてガラケーで流行しなかった「アプリ」が、スマホになって流行したと振り返る。「(流行の)ポイントはタッチパネル(での操作感)。過去の(ガラケーでアプリが流行らなかったという)トレンドを踏襲し過ぎて当てはめていけない」(原田氏)。続けて千葉氏は、2016年11月の「i-mode端末最終出荷」、2015年3月の「トイドローンとの出会い」を挙げる。端末最終出荷時点でも1700万人がいまだ利用していた日本独自の巨大プラットフォームの終焉、そして自身の新しい活動にも通じるドローンとの出会いこそが衝撃だったという。

原田氏と同じくNTTグループ系の出身である新氏も、ガラケーからスマホの変化が衝撃だったと語った。「いち従業員ながらも、通信キャリアが天下を取っていたつもりでいた。だがあれよあれよとスマホがやってきた。キャリアがトップだったところから、外来のハードウェアメーカーやOSがトップに移り変わったことが衝撃」と語る。グリーの田中氏は「10年前に1億円買っていれば…」と悔いつつ、「ビットコイン」の衝撃を語る。最初のビットコイン(ブロック)が登場したのは2009年、2010年頃でも1ビットコインは5円程度だったが、今では30万円前後となっている。こういったプラットフォーム(というか仮想通貨)の登場自体が非常に衝撃の大きいモノだったとした。

國光氏は2000年代後半に起こったソーシャルゲームの勃興について振り返った。当時はグリー、DeNA、ミクシィといったプラットフォーマーがしのぎを削りあい、ゲーム開発会社が資金を調達し、成長していったが、そういった経済活動自体が「日本のスタートアップの足腰を強くした」と語った。大企業や他業種からの参入者も増え、エンジニアのより一層高まったのもこの時期だろう。

セッションの様子。図はIVSで取り上げたトレンドを年代別にマッピングしたものだという

10年後、流行するデバイスは?

冒頭に書いた通り、ハードウェアで言えばガラケーからスマホ、その上によるプラットフォームの変化こそが、この10年の変化そのものと言っても過言ではない。では今後10年でどんなことが起こるのだろうか。

國光氏は、スマートフォン、ソーシャルウェブ、クラウドの掛け算で実現するプロダクトについて、「(この10年で)おいしいところが出尽くした」とした上で、最後に残っている領域として「モバイル動画」を挙げる。中国ではライブ動画での個人の活動やECが活発化している。これと同じような流れが日本でも来ると語る。

一方デバイスについては、MR(Mixed Reality)技術を取り込んだ先進的なメガネ型デバイスなどが1年以内にも登場するのではないかと予測する。「これからは、『MR、IoT、クラウドファースト』という企業が(マーケットを)塗り替えていく。わざわざスマホを見るより、目とインターネットが繋がった方が便利なのは自然な流れ。直近のGoogleやFacebookの発表を見ていると、思った以上に早く来るのでは」(國光氏)。MRデバイスについては、MicrosoftのHoloLensをはじめとして、特許を囲わずに各メーカーで作っていくという流れがあると説明。将来的にはAppleもAirPodsならぬ「AirGlass」などをリリースすれば一気にトレンドがやってくると予測する。

これに対して原田氏は、「ボイスインターネット」、つまり音声対応デバイスの時代やってくると語る。原田氏は「コンピューターが小型化する」という流れがあると勘違いしていたと振り返る。PCからスマホ、スマホから時計(スマートウォッチ)という変化が重要というのは間違い。一方で、スマートフォンの方がPCよりも機能が制限されるが、リテラシーの低い人でも使いこなしやすかった。同じように、リテラシーの低い層にどう刺さるデバイスであるかこそが重要だという。そういう観点で、次のトレンドは音声認識デバイスが作るのではないかとした。

先日ドローン特化の投資ファンドを立ち上げたばかりの千葉氏はデバイスとして「ドローン」を挙げた。ファンドの詳細はインタビュー記事を読んで欲しいが、ドローンが自動運転することで、BtoB領域のビジネスを変化させるのではないかと語った。

新氏は、劇的なデバイスの進化が起こるのではなく、10年後も現在のスマートフォンの延長線上にあるデバイスが主流ではないかと予測する。「10年前と今では、通信速度は100倍になり、ユーザーは音楽からゲームや動画を楽しむようになってきた。メールはメッセンジャーにかわり、リアルタイミング性が求められている。だが(ハードの進化については)保守的に考えていて、今より少し大きくなって、全天球カメラが付き、VR体験ができる程度のものになるのではないか」(新氏)

田中氏はこの10年で最も興味あるのは「AI」だと語る。先日のAlpha Goがトップ棋士らに勝利したというニュースを例に挙げ、「一番囲碁の強い人がAIに負けて、プロがその棋譜を読んだら『さっぱり分からない』となった。今まで僕らは『人間は(歴史を通じて)最適化されている』と言っていたが、それが違うらしいと暴露されてしまった。そうなると土台おかしいことがこれから発見されていくのではないか」と予測する。

ではスタートアップがAIの領域にチャレンジするにはどうしたらいいのか? 國光氏はGoogleやFacebookなどが提供するクラウドベースのAIを活用したプロダクトに注目しているとした。すでに画像認識や動画認識、テキスト解析、音声認識といった領域については、Googleをはじめとした企業がAIの公開を進めているところだ。これを使ってチャレンジできるビジネスがないかと問いかける。

ビットコインはナショナルカレンシーの代替となるか

ここで鈴木氏は、登壇者にFinTech領域の変化について聞いた。登壇者は連日話題を集めているビットコインやブロックチェーンをどう考えるのか。

千葉氏は「苦手な領域」としつつも、先日ビットコインが暴落したことに触れ、「(信用取引などで必要な)追証が必要ないこと」に驚いたとした上で、国家を脅かす可能性にもなりえると語った。原田氏も、ナショナルカレンシー(国が発行する通貨)の信用低下に伴う代替通貨の必要性はあるが、それをビットコインが担うかどうか分からないと語る。

田中氏は、ビットコイン隆盛の背景に、中国ではクロスボーダーの総員が難しいために、その代替手段として利用されているという事例を紹介。「これは技術ではない。世界の動きを分かっていないといけない」と語った。これに対して、通貨の研究も行っていた鈴木氏は、「結局国家は強い。揺り戻しが来るのではないか」としつつも成長の可能性を示した。

ひまわり生命とマネーフォワードが業務提携、ライフプラン・シミュレーションアプリを来春提供へ

万が一に備えて生命保険に加入している、あるいはこれから保険に加入しようと考えている人も多いかもしれない。損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険はスマホアプリから簡単にライフプランをシミュレーションを行い、最適な保険を提案できるようにしたい考えだ。損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険は本日、マネーフォワードと業務提携を行い、新サービスの検討と開発を推進すると発表した。

生命保険文化センターが実施した「平成27年度生命保険に関する実態調査」の結果によると、保険加入世帯の56%が保障内容に充足感を得ていないという。これは、そもそも加入する時点で自身のライフプランに則した保険を選べていない、あるいは保険に加入したけれど、しばらく保険を見直していないことによって加入者のライフステージと保障内容のミスマッチが起きていることが1つの原因だ。

損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険は、アプリで加入者と生命保険とのミスマッチを減らし、生命保険に対する不安や悩みを解消したい考えだ。

このアプリはユーザーの年収や家族構成を元に、今後どういう人生を送りたいかというシミュレーションできるようにする。このシミュレーションでは、例えば、このままの支出だと子供が進学した時など家計が赤字になるタイミングや、老後までにいくら貯蓄できるかといったことが分かるという。

これは、今まで多くの生命保険会社が保険の説明の際に用いてきたものだが、アプリにすることでより気軽に自分のライフプランを見直す機会となるだろう。

また、今回のマネーフォワードとの提携で、ライフプランシミュレーションのアプリと家計簿データとの連携を想定しているとマネーフォワードの広報担当者は説明する。これによりユーザーは始めから年収や支出を入力しなくとも、簡単に家計簿のデータを元にライフプランのシミュレーションができるようになる。

このデータ連携で、マネーフォワードで設定している家族構成や年収といった基本的なデータから、保険料が家計に占める割合といったデータまで取得できる。当面想定しているのは、ライフプランのシミュレーションができる機能のみだが、収支の割合からそのユーザーに最適な保険をレコメンドする機能を加えることも考えているという。このアプリは2018年春を目処に提供を開始する予定だ。

損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険がインシュアテック(保険テック)領域でスタートアップと取り組みを行うのは今回が初めてではない。2016年2月には、ウェアラブル端末を開発するFitbitと保険商品の開発検討を行う取り組みを開始している。

 

エンゲージメントを可視化するSlackボット「A;」、本日よりオープンβを無償公開

チームのエンゲージメントを可視化するSlackボット「A;(エー)」を開発するLaboratikは、2016年12月に開始したクローズドβテストを終了し、本日よりオープンβ版を無償公開すると発表した。同時に新機能の追加も発表している。

インターネットの普及とデバイスの小型化により現代の働き方は多様化し、時間や場所に捕らわれない働き方を実践するフリーランサーやリモートワーカーたちが増えている。

ランサーズが2017年3月に公開した「フリーランス実態調査2017」によれば、2017年における日本のフリーランス人口は1122万人(前年比5%増加)で、これは労働人口全体の17%に相当する。また、米国のフリーランス人口は5500万人で、全体の35%がフリーランサーであるという計算だ。

そんななか急速に普及が進んだのが、Slackをはじめとするコミュニケーションツール。僕たちTechCrunch Japanも毎日コミュニケーション・ツールを利用していて、離れた場所にいることも多いライター/翻訳者ネットワークを支えるツールとして欠かせない存在だ。

また、コミュニケーション・ツールだけでなく、社内の「人」に関するさまざまな業務をテクノロジーによって効率化・改善する”HRテック”にも注目が集まっている。2017年3月に開催されたTechCrunch Schoolでは、HRテックの今後について熱いディスカッションが繰り広げられた

本日からオープンβ版を無償公開したA;も、このHRテック領域のサービスの1つだ。

Slackと連携して利用するA;は、自然言語処理を介してチャット中の会話を解析し、チームのエンゲージメント(関与度や熱意)を可視化するサービス。会話のポジティブ/ネガティブ度を解析したり、メンバーのチャット上での発話数や、メンタルのバイオリズムを把握したりすることができる。

また、Slackを経由してGoogleカレンダーやGitHubなど他サービスとも連携でき、スケジュールや開発進捗を自動で記録することも可能だ。現在、A;は日本語と英語の2言語版が提供されている。

オープンβ公開と同時に発表された新機能では、チームの誰と誰がコミュニケーションが多く、どのチャンネルで議論が盛り上がっているかなどを定量化して評価する。これにより、チーム内のコミュニケーションの偏りを検知したり、誰が積極的に参加しているかを知ることができるという。

無償のクローズドβテストにはリコーサイバーエージェントKaizen Platformなど230社(5月末時点)が参加。Laboratik代表の三浦豊史氏は、「正式リリース後は、米国マーケットの水準(5〜6ドル)に合わせて社員1人あたり数ドル単位での課金を考えている。また、大手の企業とはカスタマイズしたツールを一緒に開発・導入していく可能性もある」と話す。

A;をバックエンドとして支えるのが、Laboratikが独自に開発した「GRATT(グラット)」だ。これは、複数の言語解析技術によってチャットの文脈や感情の強弱を分析する解析エンジン。

三浦氏によれば、今後Laboratikは「GRATTをA;だけでなく幅広いプラットフォームで作動する解析エンジンとして拡大していく」という。

A;のオープンβ版はここから利用可能できる。

5年以内に“ドローン前提社会”がやってくる――千葉功太郎氏が新ファンドを立ち上げたワケ

Drone Fundの千葉功太郎氏

コロプラ元代表取締役副社長であり、個人投資家として活動を続けていた千葉功太郎氏。同氏がドローンスタートアップに特化した投資活動を開始する。ドローンスタートアップに特化した投資ファンド「Drone Fund(ファンドの正式名称は「千葉道場ドローン部1号投資事業有限責任組合」以下、ドローンファンド)」を6月1日に立ち上げた。

ファンド規模は約10億円。Mistletoe代表取締役社長兼CEOの孫泰蔵氏ほか、著名投資家複数人が出資する。千葉氏は経営者、投資家として活動するかたわらで、140時間以上のドローンの飛行経験を積み、個人で20台以上のドローンを保有。国土交通省の全国包括飛行許可(改正航空法の制限を超えて人口集中地区などでドローンの飛行が可能)を取得しているという、いわばドローンのスペシャリスト。ドローンファンドではそんな千葉氏に加えて、ORSO代表取締役社長の坂本義親氏、日本マイクロソフト業務執行役員の西脇資哲氏、クリエイティブホープ代表取締役会長の大前創希氏、アスラテック ロボットエバンジェリストの今井大介氏、慶應義塾大学メディア研究学科特任講師の高橋伸太郎氏、執筆・IT批評家の尾原和啓氏というドローンに精通した6人が投資先企業を支援する。また、リバネスと提携し、同社がネットワーク化する研究者・町工場とのプロダクト開発についても視野に入れていく。

ドローンファンドの立ち上げに先立ち、5月30日には会見を開催。合計11社のドローンスタートアップへの出資(1社非公開)を発表した。各社の概要は以下の通り。

Dron ë motion(ドローンエモーション):ドローンを使った観光PR空撮、パイロット養成
アイ・ロボティクス:ドローン技術の市場調査やインテグレーション、高度常駐型ドローンの研究開発
ドローン・ジャパン:稲作に特化したドローン農業リモートセンシングサービス
ドローンデパートメント:ドローン専門の人材派遣・紹介・ダイレクトリクルーティング事業
CLUE:産業用ドローン自動運転・遠隔制御ソリューション提供
エアリアルラボ:ドローン技術の市場調査、インテグレーション、有人ホバーバイクの開発
かもめや:ドローンを使った陸・海・空の無人物流プラットフォームおよびドローン開発
FPV Robotics:ドローン協議会の企画・運営、パイロット養成
Drone IP Lab:ドローンファンド投資企業先の特許の共同出願・管理・販売等
yodayoda:非GPS環境下でのドローンの自己位置推定技術を開発

 

Drone Fundの投資企業と領域

ドローン市場、「ネットバブルの頃と似た雰囲気」がある

日本での法整備(改正航空法)以前から個人でドローンに注目しており、事業者以外では珍しいドローンパイロットの資格を取得した千葉氏。母校の慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(以下、SFC)で、OBとしてドローンの授業を受け持つことに。「もともと、ゲームの授業で学校側から打診があったのですが、時代の流れ的にドローンだろう、と。そう思い、学校に提案したら、ドローンについて教えることになったんです」(千葉氏)。その授業は結果的に盛況だったようで、大きな話題になったという。

こうした成果が認められ、今度は大学と民間企業が連携し、“ドローン前提社会”実現に向けて共同研究を行う「慶應義塾大学SFC研究所 ドローン社会共創コンソーシアム」の立ち上げメンバーに加わることを打診され、これを快諾。ドローンが当たり前のように空を飛び、万人に受け入れられている“ドローン前提社会”の実現に向け、インターネットに安定して接続する方法の確立や、法の整備に取り組んでいるそうだ。

千葉氏がドローンで撮影した写真

「個人的には、インターネットに接続されたドローンが当たり前のように空を飛んで、モノを運んだり、監視をしたり、それをクラウドで管理できる『ドローン前提社会』が5年以内に実現すると思っています。この2年でドローンの面白さや可能性に気づけましたし、何より社会的認知が広がり、いよいよ産業として伸びる芽が出てきた、と感じています」(千葉氏)

当初ドローンといえば、首相官邸に墜落するといった報道が先行したこともあって、規制の対象となり、ネガティブなイメージがないわけではなかった。しかし、千葉氏によればこの2年間で規制ではなく利活用に注目が集まり始め、ドローン事業を手がけるスタートアップも増えてきているという。

国内のドローンサービス市場の成長予測

「インターネットで例えるなら、1999年くらい。個人的にはインターネットバブル前夜のようなイメージが、今のドローン産業にはあります。(インターネットと)同じように社会のインフラになるもの。これまで活用されていなかった、日常生活と密着している地上150メートル以内の空域をドローンなら上手く活用できる。IoTデバイスが、インターネット上のパケットのように飛び交う。今は『荒唐無稽じゃないか』と言われるかも知れませんが、ドローンでいろんなビジネスが立ち上がる予感がしています。ドローンは社会の隅から隅まで入り込んでくでしょう。だからこそ今全力で突っ込んでいるのです」(千葉氏)

また、千葉氏は日本というマーケットが持つ可能性にも着目しているそうだ。今はまだ、中国やフランスに比べてドローンの活用が進んでいない“ドローン後進国”の日本だが、これまでにものづくり大国として築き上げてきたハードウェア、ソフトウェア両方の技術力がある。これを統合的にプロデュースしていくことができれば、日本にもチャンスがあると語る。

インターネット産業と同じくらい大きくなるかもしれない。ドローン産業の可能性に魅せられたからこそ、千葉氏はこのタイミングでドローンスタートアップに特化したファンドを立ち上げ、投資活動を開始したというわけだ。現在のドローン市場は、ドローンメーカーDJIを中心に、中国がシェア8割強と言われている状況。対して日本のシェアは基礎技術こそあるモノの、1割にも満たない状況。千葉氏は会見でもドローンスタートアップのハード、ソフトを連携させ、いわば1つの「日本ドローン株式会社」として、日本発世界に挑戦していくと語っていた。

スタートアップと投資家をつなぐ役割に

すでに11社への投資を発表しているドローンファンド。投資先に対しては、千葉氏のエンジェル投資先の起業家限定コミュニティ「千葉道場」のノウハウを活用し、ドローンスタートアップの起業家に資金調達の方法や経営の手法など、会社を大きくしていくためのメソッドを教えていくそうだ。

実際、ドローンファンドの投資先メンバーは、研究職出身だったり、ラジコン関係のメーカーだったり、軍事関連だったりと、いわゆる「テック業界」とは異なる畑の出身者が多い。そのため、資金調達し、レバレッジをかけるという手法について知らないことも多いのだという。「ドローン産業を育てていくためには、インターネット企業が培ってきたメソッドを伝えていく必要があると思っています。そうしなければ、『素晴らしいけれど小さな会社』で終わってしまう可能性がありますし、何より産業が成長していかない」(千葉氏)

また、千葉氏は「ドローン産業には興味があるけれど、個別に投資をするのはちょっとリスクがある。そんな投資家とスタートアップをうまくつなげる役目も果たせらばいいな、と思っています」とも語る。同ファンドはスタートアップと投資家をつなぐ、橋渡しのような役割を担っていくことも想定している。

また、ソフト、ハードと多岐にわたる技術を開発するには、ネットサービス以上に知財管理の重要性が増してくる。そこで投資先でもあるDrone IP Labを通じて投資先の特許を共同で出願したり、特許の管理・売買をすることで、スタートアップ単体では実現できないIP戦略を実現していく。

最後に千葉氏がドローンで撮影した動画をリンクしておく。記事で紹介した写真とあわせて、まずはドローンを使って何が実現できるのか、想像してみてほしい。

スマートフォンで秘密鍵を保護――Krypt.coが120万ドル調達

2人のMIT卒業生と同校の教授によって創業されたセキュリティー・スタートアップのKrypt.coは米国時間5日、「Kryptonite」という無料プロダクトをローンチした。スマートフォン・アプリを利用してディベロッパーの秘密鍵を守るプロダクトだ。

また、同社はシードラウンドで合計120万ドルを調達したことも同時に発表した。本調達ラウンドをリードしたのはRough Draft VenturesとGeneral Catalystで、その他にもSlow Ventures、SV Angel、Akamai Labsなどが出資に参加している。初めての資金調達ラウンドにしては立派な出資者リストだろう。

Krypt.coは、2人のMIT卒業生が行っていた研究から生まれたスタートアップ。暗号化理論に情熱を捧げるAlex Grinman氏とKevin King氏がその生みの親だ。従来のものよりもセキュリティ性が高い、暗号鍵の保護方法を考えついた彼らは、教授のDavid Gifford氏にその話しを持ち込んだ。Gifford教授はこのアイデアを気に入り、Krypt.co創業のサポートをすることとなった。

Kryptoniteでは、ネットワークにリモート接続するためのSSHプロトコルを利用した公開/秘密鍵の暗号化技術を利用している。通常、秘密鍵はラップトップに保存されるが、この方法ではセキュリティ性に問題があるとKrypt.coの創業者たちは考えた。ラップトップのアプリはスマートフォンのものと違ってサンドボックス化されておらず、それぞれが隔離されていないからだ。

そこで、このプロセスをスマートフォンに移行すれば、より便利でより安全な鍵の保護が可能だと彼らは考えた。Kryptoniteを利用するにはまず、ダウンロードしたアプリと自分のコンピューターをペアリングする。あとは普段と同じようにSSHを利用するだけだ。例としてGithubなどのリモートサービスに接続すると、その旨を伝える通知がスマートフォンに表示される。もし、そのリクエストを送ったのがユーザー自身ではない場合は暗号鍵が漏えいした可能性がある。ユーザーはKryptoniteを通してアクセスの拒否と暗号鍵の無効化を行うことができる。何も問題がなければ、アプリにサインインしてアクセスを許可すればいい。

ユーザーがスマートフォンを紛失する可能性があることは彼らも認識している。その場合、秘密鍵をつかって各種サービスへのアクセスを遮断することができるため、その暗号鍵をスマートフォンを拾った(盗んだ)人にとって実質的に無価値なものすることができる。

今回ローンチしたKryptoniteの利用料金を無料にしたのは、ディベロッパー・コミュニティとの関係性を構築するためだ。同社は将来的に拡張サービスへの課金というかたちでマネタイズを図っていくという。

現在Krypt.coは管理アーキテクチャに取り組んでいるが、彼らはそこにチーム全体の管理者を導入することを考えている。その管理者はシステムの中心となるダッシュボードにアクセスでき、デバイスごとに制限を与えたり、チーム全員の公開鍵を閲覧することができる。

将来的に、同社はこのテクノロジーをコードサイニングの分野に適用して不正コミットメントの防止に役立てることを考えている。また、一般ユーザーでも簡単にEメールの暗号化を利用できるようになるかもしれない。

Krypt.coは今回調達した資金を利用してチームの拡大を図るとともに、無料プロダクトの先にある拡張サービスの開発を目指すとしている。

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(翻訳:木村拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Facebookを追われたOculusの創業者Palmer Luckeyが今度は“トランプの壁”に代わる国境監視デバイスで新会社

かつてはVR(仮想現実)のシンボルともてはやされたOculusのファウンダーPalmer Luckeyからの最後のニュースは、彼がトランプを支持するヘイトスピーチ(的)団体に10万ドルを寄付したことがばれて、秘かにFacebookを追ん出されたことだった。

2014年に彼のVR企業Oculusを20億ドルでFacebookに売ったLuckeyが、テクノロジー業界に復帰し、今度は国家安全保障関連の企業を立ち上げた。

The New York Timesの記事によると、彼の新しい企業は自動運転車でよく使われるLiDARの技術を利用して、国境や、軍の基地などの重要施設を監視する。完成すればその技術は、ドローンなどの脅威を検出するために利用できるが、鳥や野生動物などは無視できる。それは、大規模な国境の壁に代わるものとして提案されている。トランプ大統領は、アメリカとメキシコのあいだにそんな壁を作ると公約しているが、Luckeyの技術を使えばその膨大な費用を節約できるだろう、というのだ。

新会社の概要を、Luckeyはこう説明している:

わが国は、かつてなかったほどの巨額を国防に投じているが、しかしイノベーションはここ数十年停滞している。必要なのは新しい種類の防衛企業であり、納税者のお金を節約するとともに、われわれの兵士たちと国民の安全を守るための、より優れた技術を作っていくことがとくに重要だ。

NYTの記事によると、トランプ大統領の技術顧問Peter Thielが、Luckeyの新会社に投資する意向である。そのほかの資金提供者については、まだ情報がない。

南カリフォルニアに拠を構える同社は、すでに数名のスタッフを雇用しており、その中には元Oculusの社員Christopher Dycusも含まれる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

意外な展開:MacBook Airはまだ生きている

MacBook Airはどっこいまだ生きている。昨年Appleは薄く軽くなったMacBook Proを発売したが、みんなはやっぱり新しいMacBook Airを欲しがっている。MacBook Proの重さは13インチのMacBook Airと変わらないが、まだ値段が高い。それがみんなまだMacBook Airを好きな理由だ。

MacBook Airを完全に消すのではなく、Appleはまだ売り続けていて実際よく売れている。さらに嬉しいことに、このノートパソコンのCPUがアップグレードされた。Appleのプレスリリースに次の一行があった。「本日Appleは、13インチMacBook AirのCPUを1.8 GHzに変更した」。

あああああ゛…それだけ。Retinaディスプレイや大きなストレージやRAMを期待してはいけない。MacBook Airは明らかに生命維持状態にある。IntelのKaby Lakeプロセッサーもつかない。

これで足りないという人たちのために、Appleは13インチMacBook ProのTouch Bar無しの入門機を値下げした。1499ドルから1299ドルになり、MacBook Airをスキップする誘惑を少しだけ大きくした。

Before:

・128GB PCIeベースSSD
・256GB PCIeベースSSD オプション:512GB SSDに変更可能

・1.6GHzデュアルコアIntel Core i5(Turbo Boost使用時最大2.7GHz)、3MB共有L3キャッシュ
 オプション:2.2GHzデュアルコアIntel Core i7(Turbo Boost使用時最大3.2GHz)、4MB共有L3キャッシュに変更可能

After:

・128GB PCIeベースSSD オプション:256GBまたは512GB SSDに変更可能
・256GB PCIeベースSSD オプション:512GB SSDに変更可能

・1.8GHzデュアルコアIntel Core i5(Turbo Boost使用時最大2.9GHz)、
3MB共有L3キャッシュ

 オプション:2.2GHzデュアルコアIntel Core i7(Turbo Boost使用時最大3.2GHz)、4MB共有L3キャッシュに変更可能

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

IBMが爪の上に300億個のトランジスターが乗る5nmプロセスルールの微小トランジスタを開発

IBM Researchがチップ製造用の新しいタイプのトランジスターを作った。それは、5nmというこれまでで最小のプロセスを使用し、研究パートナーのGLOBALFOUNDRIESやSamsungと共同で開発された。チップの組み立て方式を変えるなど、いくつかの基本的な事項の変更によって生まれたその微小トランジスタは、これまでムーアの法則は終わったと言われていた、プロセスの限界を突破できた。

この新しいプロセスによって、チップのサイズと密度は、人間の指の爪の上に300億個のトランジスターを乗せられるレベルになる。その場合、集積のために全周ゲートFET(gate-all-around(GAA) transistors)と呼ばれる立体的なゲート集積プロセスを用いる。〔参考記事。〕

性能的には、同じ消費電力で、現在の10nmチップの40%アップとなる。現在の10nmチップと同性能として省エネをねらった場合は、75%の電力節約が可能になる。

しかし、喜ぶのはまだ早い。IBM自身も認めるように、この超過密チップの実用化商品化まではあと10〜15年はかかる。でも、これにより、われわれのローカルなコンピューティングやモバイルデバイスは、とても強力になるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Siriに翻訳機能が加わり、声も人間らしくなる

Siriが少し賢く、ちょっとだけ人間らしくなる。これは矛盾していない。

Appleの音声アシスタントは、これまでより男女とも明瞭で人間らしい声になり、イントネーションもよくなって、新しいスキルも身につける。iOS 11ではSiriの総合的能力が向上する。

Appleが今日発表したところによると、現在Siriは月間3.75億台以上のデバイスで利用されている。

AppleはSiriに翻訳機能を導入し、ある英語のフレーズを様々な言語でどう言うかをこの音声アシスタントに尋ねることができる。初期の対応言語は、中国語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、およびスペイン語。

Siriはここ数年かなり厳しい競争にさらされている。AmazonのAlexaやGoogle Assistantなどの能力が向上したことで、SiriのAIの弱点が明白になってきた。今回の改訂で、Appleは再びSiriが音声アシスタントのリーダーであることを示したいと思っているが、結果は自分の目で実物を確かめるまでわからない。

Siriは、補足質問を扱えるようになる。Google Assistantにはずっと前からあった機能だが、これでSiriは複雑で段階的な質問にも答えらえるようになる。

またこれは派手なニュースではないが、AppleはSiriを単なる音声アシスタントではなく、iOS全体をカバーする汎用AIとして考え始めている。例えばiMessageで、Siriはコンテキストに少し敏感になり、会話の相手から「今どこにいるの?」と聞かれると、現在のGPS位置がポップアップする。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google Mapsの地図上で現在地の空気汚染度が分かる…カリフォルニア州オークランドから

Google Mapsが初めての、今自分が立っている場所の大気質が分かる地図を、カリフォルニア州オークランドでローンチした。

このプロジェクトはEnvironmental Defense Fund(EDF)Aclimaとのパートナーシップによるもので、後者は2015年から、ベイエリアとセントラルヴァリー、そしてロサンゼルスの環境の変化を地図化している。

このパートナーシップによりGoogleは、AclimaのセンサーをStreetViewの車に装着、酸化窒素や二酸化炭素やばい煙など自動車の排気物質の多い地域では、街路ごとにそのデータを地図上に表示できるようにした。

その地図がベイエリアの環境科学者たちの役に立っている例として、ベイブリッジからI-80への合流点にかけて、車が加速することによって発生する高い汚染を把握できたことが挙げられる。そこは渋滞が頻発するフリーウェイで、ラッシュアワーだけでなく、週末にも大気の汚染が生ずることが分かった。

今日のGoogleのブログ記事は、Googleがこれまで発表した汚染データの中では最多だ、と主張している。“1年間で測定回数は300万近く、のべ20000キロあまりにわたって測定した”と述べ、今後は他の都市でもやる、という。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

iPadのiOS 11にドラッグアンドドロップ、ウィンドウ、ファイルシステムが登場

今日(米国時間6/5)のWWDC 2017キーノートの後半でAppleはiOS 11に立ち戻り、iPad用iOS独自の新機能を紹介した。これは疑いもなくiPadの生産性を高めるものだが、同時にiOSとmacOSの差をいっそう縮めることにもなった。

今回iPad用iOSに追加されたのは、通常ノートパソコンで作業する場合に頻繁に用いられるような機能だ。これまでだとモバイルOSでの作業は無理で、ノートパソコンを取り出すことになっただろう。

最初の変更はドックに選択可能なアプリが多数並ぶようになったことだ。これはiMacのスクリーン下部に表示されるドックにそっくりだ。しかもドックはユーザーがどのアプリを使っていてもアクセス可能だ。つまりドックを表示させるためにいちいちホームスクリーンに戻る必要がない。

次は新しいアプリ切り替え機能で、簡単にいえばウィンドウ・システムがiPadにやって来た。 複数のアプリがそれぞれのウィンドウに表示され、ウィンドウ間を移動して作業することができる。スプリット・ビューを利用している場合はそれぞれのウィンドウでそれが維持される。

AppleはまたiOS 11全体にドラッグアンドドロップを導入した。たとえば、ユーザーはiPadにSafariとメール・アプリを半分ずつ表示させ、URLや写真をSafariからドラグしてメールに挿入することができるようになった。

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さらにFilesという新しいアプリが発表された。これは iPad版のファイル管理システムでデスクトップ・スタイルだ。このアプリはデバイスのすべてのファイルを表示可能で、フォルダをネストさせることができる。タグ付け、検索などファイル管理アプリに必要な機能が揃っている。FilesはまたiCloudだけでなく、サードパーティーのクラウドサービス、DropboxやGoogle Driveもサポートする。

Filesアプリの導入は一般ユーザーにとってiPadをあまりに複雑化することなくパワーユーザーのニーズに応えようとした努力の結果だろう。フル機能のファイルシステムをiOSに導入するのは平均的ユーザーにとって負担が大きく、iPadのメリットであるインターフェイスの単純さを損なうことになりかねない。もちろん一方でAppleは、モバイルデバイスは単純であるべきだとはいえ、複雑な仕事をするためにはやはりテスクトップ級のファイル・システムやウィンドウ・システムが必要だということをはっきり認めたことでもある。

iOS 11のデベロッパー向けベータ版は即日公開された。 一般公開は9月になる予定。



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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

VRにも対応、AppleがiMacシリーズをリニューアル

AppleはiMacシリーズをリニューアルした。外観デザインは以前と変わらないが、プロが使っている他のコンピューターと遜色ないよう、中身を改良するのにAppleは多くの努力を費やした。

これらのMacは、コンシューマーでも開発者でもVRアプリの利用や開発ができる十分なスペックを備えている。

すべてのモデに新しいGPUが搭載された。基本モデルとなる21.5インチのiMacはIntel Iris Plus Graphics 640とともに64MB eDRAMを搭載。iMac Retina 4K 21.5インチモデルにはRadeon Pro 555か560を搭載。強力な 5K 27インチモデルはRadeon Pro 570、575、580と8GM VRAMを搭載している。

つまり、5Kモデルは最大5.5テラフロップまで対応でき、他のVR用のパソコンと匹敵するスペックを持つ。

グラフィックス以外の面では、画面が新しくなった。前世代の画面より43%明るくなっている。

21.5インチモデルは32GM RAM、27インチモデルは64GMのRAMを搭載する。

すべての27インチモデルにFusion Driveが搭載されていて、すべてのラインアップには第7世代 Intel Core 「Kaby Lake」チップが入っている。

リニューアルしたiMacは、特に強力なマシンを求めている開発者に訴求するものだ。以前、OculusはMacに対応していないのはVRを動かす力が足りないからと言った。このiMacなら、そうした心配はない。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

iPhoneのカメラアプリでQRコードを読めるようになる

次に流行るのはQRコードだと言われた頃を覚えているだろうか。かつてアメリカでは広告看板や名刺でよく見かけたものだ。QRコードは私たちのデバイスの使い方を変えるはずだった。CurrentCを覚えていますか?しかしこの国で主流になることはなかった。そのためだけにサードパーティー製アプリをダウンロードしてスキャンする必要があり、システムとして美しくなかったことが大きな理由だった。

しかしTwitterに流れてきた情報によると、QRコードはアメリカでもう一度チャンスを与えられそうだ。iOS 11の初期ベータでは内蔵カメラアプリがQRコードを読めるからだ。つまりこれは、iPhoneユーザーなら誰でも、カメラアプリを開いてQRコードに向ければURLに飛べることを意味している。

下の写真で使い方のイメージを見て欲しい。もちろんこれはベータなので、変更される(あるいは削除される)可能性はあるが、このシンプルな実装は実にAppleらしく、これ以上複雑にならない可能性は高い。

報告によると、この機能はカメラの設定メニューでオフにできるが標準では有効になっている。

QRコードは実際非常に便利だ ―― URLをタイプしたり貼り付けたりするよりずっと簡単だ。QRコードで毎日食べ物を注文したり支払いをしているアジアのモバイルユーザーに聞いてみてほしい。QRコードの普及は高まるばかりで、Appleもついに標準サポートせざるを得なくなった。

果たしてアメリカが再びあの短命のQRブームに戻るのかどうか注目したい。マーケター諸兄、もしこれを読んでいるなら、またTシャツにあれを載せるのはやめて欲しい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

iMessageでの割り勘が簡単に、受け取ったお金はApple Payで支払いにも使える

iOS 11の発表の一つで、AppleはユーザーはiMessageで友人に送金できると発表した。また、貯まった残高はApple Payの仮想カードから支払いに利用することもできる。

この機能はiMessageアプリに搭載され、ワンタップで連絡先の友人に送金したり、受け取ったりすることができる。iMessageで友人があなたに「10ドル貸したままです」と送ったのなら、その文言を認識し、送金機能を自動で起動する。

もちろん、iMessageでの送金はこれまでもできた。SquareやVenmoはiMessage用のアプリを提供していて、このプラットフォーム上で送金できたのだ。しかし、Appleはエコシステム全体を掌握することで強みを発揮してきた。今回も同じことを考えている。

Appleはピアツーピアの支払いサービスをApple Payにも展開する。これはApple PayがVenmoやSquae Cashでの支払いを超えるために必要なキラー機能となるかもしれない。友人からの送金を受け取ったら、その残高はウォレットアプリ内のApple Payの仮想カード内に貯まる。その金額を銀行口座に引き出すこともできるが、この仮想カードをApple Payに対応している店舗やオンラインショップで利用することもできる。銀行口座への送金を待つ必要がなくなるだろう。

AppleはすべてのiOSユーザーに、どこでも支払いができるための仮想カードを発行する。実に強い一手だ。Apple(と決済会社)は、ユーザーがすぐに残高を銀行口座に引き出すのではなく、カードに貯めたり、支払いに使用したりすることで、より大きな利益を得ることができるのだから。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

Appleからテンキー付きMagic Keyboard――ワイレス・フルキーボード(日本でも発売開始)

Appleは今日(米国時間6/5)のWWDCで数々の発表を行った。しかし華々しい新機能や新デバイスの紹介に時間を食われたか、10キー付ワイヤレスキーボード、Magic Keyboardはついにステージでは紹介されなかった。その理由は理解できないこともないが、やはり許しがたい。私の見るところ、これは今回のWWDCで最大、最高の新製品だ。

なるほど最大というのはやや誇張だったかもしれないが、それでも重要な製品だ。機能は従来のMagic Keyboardとほぼ同様で、Lightningポートで充電を行い、キーはApple独自のシザー構造だ。しかし新製品はテンキーとファンクションキー、それに上下左右の矢印キー、page up/page downキーなどが追加された。要するにフルサイズキー配列となっている。

特に印象的なのはフルサイズ化された矢印キーだ。 従来のMagic Keyboardの上下キーはキー1個分を上下に分割したせせこましいサイズだった。新キーボードではナビゲーションははるかに快適になるはずだ。ウェブページをスクロールしたりスプレッドシートのカーソルを移動したりコードを書いたりするときに矢印キーは始終用いられるから影響が大きい。

Appleではバッテリーは充電後1月保つとしている。もちろんMac標準のメディアキーも揃っている。USB/Lightningケーブルも同梱される。Appleがフルサイズ・キーボードを作るのにこれほど時間がかかった理由は知る由もないが、ともかく登場したのだからありがたい。即日出荷される。

〔日本版〕Magic Keyboard(テンキー付き)-日本語(JIS)は13,800(税別)で発売中。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Apple、10.5インチのiPad Proを発表

Appleはつい先ほど新しいiPad Proを発表した。

新しいiPad Proは画面サイズが10.5インチになったが、本体の大きさは以前の9.7インチモデルとほぼ同じだ。これはAppleがベゼルをかなり細く削ったことを意味している。

画面が20%大きくなりベゼルがずっと細くなった新しいタブレットの重さは約1ポンドほどだ[日本語版注:Wi-Fiモデルが469 g]。

ご存知の通り、Appleは3月にiPadの異例な改訂を行い、実質的に処理能力を上げて価格を下げた。

この大画面によって画面キーボードはフルサイズになり、さらにAppleは外部キーボードも提供する。

iPad Proは旧9.7インチモデルの改訂に加えて、13インチモデルは輝度600 nitのTrue Toneディスプレイを搭載し、HDRビデオを扱えるようになった。さらにAppleはリフレッシュレートを120 Hzに上げ、アニメーションのフレームを事実上倍増しスクロールは非常にスムーズになった。

それでも、Appleは見る内容に合わせてリフレッシュレートを自動的に調整することで、バッテリー寿命を維持している。例えば、フレームレートの高い映画を見ている時のリフレッシュレートは最大の120 Hzになっている可能性が高い。静止画を見ている時は、ずっと低いリフレッシュレートに落ちる。

その結果Apple Pencisの遅延時間も改善され、20 msまで縮まった。

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新iPad ProのCPUは6コアA10xで、A9xより30%高速になった。またiPad Proのベースモデルのストレージ容量は2倍の64GBになった。

バッテリー寿命は約10時間と変わらず、カメラも前の世代と同じく背面が12メガピクセル、前面が7メガピクセル。

新しい10.5インチiPad Proの価格は649ドル[6万9800円]から、12.9インチモデルは799ドル[8万6800円]からで、来週発売が開始される。

ソフトウェアについて。iPad Proにドックが導入され、アプリの切り替え方式も変更されて同時に見えるアプリの数が増えた。さらにはiPad でドラッグアンドドロップができるようになった。

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[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook