日本のFinTechはいよいよ応用期に——その全体像を読み解く

dollar-exchange-rate-544949_1280

この原稿はFinTechスタートアップであるマネーフォワードの創業メンバーで取締役兼Fintech研究所長の瀧俊雄氏による寄稿である。マネーフォワードは自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」やビジネス向けのクラウドサービス「MFクラウドシリーズ」などを提供。4月には代表取締役の辻庸介氏と瀧氏の共著「FinTech入門」も上梓している。本稿では、いよいよ応用期を迎える日本のFinTech事情について論じてもらった。

本誌に2年前に寄稿した頃、FinTechはまだ、知る人ぞ知るテーマであった。その後、FinTechはスタートアップ界隈のみならず、金融業界をも含めた一大テーマとなり、今や誰しもが知るところとなった。本稿では、現在の問題意識とそのあり方について述べてみることとしたい。

産業政策となったFinTech

現在行われている様々な議論のルーツを紐解くと、FinTechの盛り上がりの火付け役となったのは、2015年2月5日に開催された金融審議会における決済高度化スタディグループである。同スタディグループでは楽天やヤフー、AmazonといったIT産業のプレーヤーが、ECなどの自社のプラットフォームで生まれる取引から決済事業や融資事業を展開する中で、同様のチャンスが既存の銀行業においても模索されるべきではないか、とする問題意識が取り上げられた。

この議論は2015年を通じて、銀行法をはじめとする様々な制度改定として結実しつつある。その内容は、銀行によるFinTech事業会社の保有規制の緩和や、ATMの現金引き出し機能をコンビニやスーパーのレジに持たせること、ビットコインの取引所における利用者保護の仕組みなど、多岐にわたる。このような制度改定の第一弾ともいえる銀行法等を改正する法案は2016年5月に国会を通過した。

制度変化の中で、メガバンクのみならず地域金融機関や、証券会社、保険会社などにおいてもFinTechに関する専門部署が立ち上がり、協業や新規事業開発に向けて異例ともいえるスピード感を発揮している。

このような既存の金融システムの高度化・利便性向上という観点に加えて、成長産業としてのFinTechにも関心が集まっている。2015年の後半に開始した経済産業省のFinTech研究会では、多種多様なプレーヤーを内外から招いた、総合的なFinTechに関する情報収集とあるべき政府の規制とサポートが議論された。そして、産業競争力会議における会合や、自民党政務調査会における戦略的対応としての取り上げなどを含めて、1つのベンチャー用語としてのFinTechから、産業政策としてのFinTechという位置づけへの昇華が見られた。

FinTechのインパクトは多様であるが、誰もが意識するべき2点として、(1)インターネットが持つ力学が金融の世界にも浸透し、ユーザー中心の社会が実現されていくこと、(2)新たな金融インフラのあり方に対して、先取りし、自ら考える経営姿勢が各ステークホルダーに求められていること、である。この2点を元に、未来像を描いていくことこそが重要である。

(1)ユーザー中心主義のサービス設計について

FinTechでは、Techを活かすことができるベンチャー企業が主語となっている。その理由は明確で、ベンチャー企業は顧客獲得競争において、失敗を通じた学習がより許容される環境に置かれているからである。その結果、「分かりやすいサービスであるか」「真の問題解決に近づくソリューションを提供できるか」「不安をなくすことができるか」「ペイン・ポイントに近い場所でサービス訴求ができるか」といった軸での競争がサービスレイヤーでは行われている。

FinTech産業の全体像と海外における主要なプレーヤー

FinTech産業の全体像と海外における主要なプレーヤー

 

個別の業態の詳細については拙著での記述に譲ることとしたいが、オープンソースの進展や、スマートフォンの浸透を通じて、海外ではゲームチェンジャーといえる規模まで普及するサービスが生まれてきている。そこでは、従来の金融機関が総合的なサービスを提供してきた中で、ある特定のニッチと思われる領域において段違いに効率的・効果的なサービスを提供し、横展開を通じて規模拡大を図っていく姿が見られている。

金融サービスへのニーズや背景は国ごとに異なるが、肝心なのは様々な試行錯誤と競争からプレーヤーが生まれてくるプロセスそのものである。そして、従来の金融機関が提供しえなかったUXを新規のプレーヤーが提供することが常態化するのであれば、ユーザビリティを自社サービスに取り込むオープンイノベーションのあり方が金融機関においても重要となっていく。

金融は「金融サービス産業」とも呼ばれるように本来、サービスへの満足度を求めた競争が行われる場所である中で、このレイヤーにおける戦略に向けて先手を打っていくことは、次に述べるインフラ面での変化を踏まえると、とりわけ重要である。

(2)インフラ面での変化について

日本における金融インフラにおけるキーワードは、(1)キャッシュレス化、(2)API化、(3)中期的な分散型の技術の活用である。

今後、キャッシュレス化は消費者の基礎的な行動の変化をもたらす一大テーマとなる。2020年の東京五輪を見据えて、インバウンド消費向けの決済インフラ(クレジットカード、デビットカード)の整備が進むと同時に、電子マネーの存在感もオートチャージ型の普及に伴って拡大し、現金利用はいよいよ減少していくこととなる。また、LINE Payやau WALLETカードのような、未成年も使うことができ、すでに大きなユーザーベースを抱える決済方法も誕生してきていることも、その一層の促進材料となる。

また、今般の制度改定でキャッシュアウト(小売店舗におけるレジにATMとしての機能を持たせ、現金引き出しが可能となること)が可能となる中、個人と金融機関の接点は一変していくこととなる。現金引き出しは今後、わざわざATMに行くのではなく、スーパーやコンビニ等のレジで、「買い物のついでに行われる」ものとなる。

キャッシュレス化とキャッシュアウトの二つで、ATMが使われる需要は激減する。筆者も米国に居住していた頃の明細では、1年間で銀行のATM自体を利用したのは2回であり、その金額は合計300ドルであった。ほとんどの現金需要はスーパーでの引き出しによって賄われている中で、同じような世の中が、もうすぐ日本でも実現しようとしている。

金融広報中央委員会による調査(2015年)によれば、日本の世帯の78.5%は取引金融機関を決める際に、店舗やATMの近さをその理由として挙げている(次点は経営の健全性で29.8%)。しかしながら、今後ATMの近さがキャッシュレス化の中で金融機関選択の軸としてのポジションを失っていく中では、純粋なユーザビリティに向けたサービス品質の追及が急務となっていく。

そのような中、銀行によるAPI提供は目下の重要テーマとなりつつある。APIの提供は、元々は欧州で預金者のためのデータアクセスを確保するべく生まれた背景があるが、結果的に、金融機関がオープンイノベーションを提供するにあたって必須のものとして台頭しつつある。従来、自社アプリとして提供が行われていた機能は、今後は、PFM(Personal Financial Management:個人資産管理)やECなど幅広い外部サービスに取って代わられていく。そうなると、データの閲覧や取引の実行も含めてこれまでの銀行機能自体がAPIとして提供されることとなる。そして、外部のサービスプロバイダにとって、メリットの高いプラットフォームとなることこそが、金融機関に求められるようになっていく。

銀行と預金者の接点のイメージ図

銀行と預金者の接点のイメージ図

 

最後に、ブロックチェーンをはじめとする分散型台帳の技術の台頭がある。本テーマはすでに多くの言及がある中で詳細は割愛するが、金融システムがもつ根幹的な価値である「真実性」について、政府や規制が保証を提供するあり方から、参加者と技術的な仕組みが正しさを担保するあり方への転換を促すことのインパクトは計り知れない。

IoTなどの文脈で大量のデータが利用可能となっていく中、特定条件をトリガーとした金融サービスのあり方を、契約と検証コストではなく、技術によって担保することで、10年後の世界では、想像されている以上のインパクトや、インフラの変化をもたらしている可能性がある。

従来と比べて、圧倒的に時代の変化が早くなってきている中で、ベンチャーも含めて新しい状況に適応し、可能な限り先取りを行っていくことが求められている。結局のところ重要なのは、顧客を見つめ、必要とされるサービスを作り続けることである。これは「FinTech的アプローチなのか」という見方ではなく、実際にユーザーが求めているソリューションにおいて、新たな技術が使えるのではないか、という観点こそが求められている。

実証期に入ったFinTech

FinTechに向けた投資資金も、最近は数百億円を超える規模の専門ファンドを、SBIグループ楽天が立ち上げる動きも見られる。

資金面でのサポートに加えて、規制緩和もある中で、金融機関はいよいよ「どのようなFinTechビジネスが実際に役に立つのか」というシビアな検証へと入っていくフェーズといえるだろう。これまでが、「FinTech入門」というフェーズだったのであれば、今後はいち早く「FinTech応用」を行い、正しいユーザーに向けた訴求パスを見つけられるかが課題といえるだろう。

その際には、絶え間なく最新の技術動向を押さえつつも、ユーザーにサンドボックス的にサービスを提供し、それがユーザーに刺さるか否かを細かく検証していく地道なプロセスがある。その過程で元々の高い期待値に応えることができない、ハイプ・サイクルにおける幻滅期としての特徴も現れてくるだろう。FinTechとはなんだったのか? と思われるタイミングも訪れるのかもしれない。

しかし、生産性が発揮される頃には、その頃の苦労も忘れられ、新たな満足点にユーザーもたどり着いていくこととなる。このためのリスクテイクができる環境が、ベンチャー側にも金融機関側にも、まさに求められている。

FinTechではよく「アンバンドリング」という言葉が取りざたされる。この言葉は、「従来、金融機関が一手に担ってきた諸機能が分解される」というニュアンスを含んでいるが、これと同時に用いられる対義語が「リバンドリング」である。米国の例として、例えばJPモルガンがオンラインレンダーであるOnDeckと提携したように、適材適所での資源活用が行われ、各プレーヤーも自らの立ち位置を再構築する発想こそが重要といえるだろう。

おわりに

2年前の拙稿の言葉を引用してみたい。

日本の若年層は数十年前の日本人と比べて、所得の安定や、将来に向けた備えなど、様々な形での自己責任を求められるようになった。この社会的背景の中で、資産運用や将来設計などの米国型のソリューションに加えて、より分かりやすい貯蓄・節約方法や加入する保険の見直し、ローンの管理など、より問題解決につながるビジネスモデルが今後は求められているのかもしれない。

2年前と比べると、FinTechが捉える諸課題は金融インフラを含む広大なものとなった。とはいえ、このユーザー起点での発想の重要性は幾分も変わっていない。様々な社会のニーズを捉え、解決していくことは、ベンチャーに限らずすべてのビジネスが本来的に持つ課題である。

今や産業政策となった日本のFinTech。オープンに良いアイデアを取り込む枠組みをいかに維持し、ユーザーを見ながら育てていけるかが、今後の試金石となるだろう。

photo by geralt

ディズニーがMLBのストリーミング中継ビジネスに10億ドルを投資

2016-08-10-disney-shutterstock_313425050

さきほどディズニーが発表したところによると、同社は10億ドルを投じてMLBが創立したビデオストリーミング会社、BAMTechの株式の33%を取得した。

この投資により、BAMTechはMLBのデジタルメディア・ビジネス全般を統括するMLB Advanced Mediaからスピンアウトすることになる。

BAMTechがストリーミングする対象はメジャーリーグ野球には限られない。現在BAMTechの顧客にはHBO Now、アイスホッケーのNational Hockey League、プロゴルフのPGA Tour、WWE Networkが含まれる。 またディズニーはBAMTechのストリーミング・サービスの内容を独自に拡張していくという。これにはディズニーが所有するスポーツ・ネットワークのESPNの多チャンネル・スポーツ・ストリーミング・サービスの展開が含まれるようだ。

ディズニーのCEO、Bob Igerはプレスリリースで「BAMTechへの投資は急速な拡張を必要としているストリーミングのインフラをわれわれにもたらす。ESPNを始めグループ全体にストリーミング能力を与えることによってビジネスのマネタイズが促進される」と説明している。

ディズニーでは「数ヶ月以内にESPNブランドの新たなストリーミング・サービスの詳細を明らかにできる」としている。ただし新サービスは現在のESPNのテレビ・チャンネルとバッティングするコンテンツではないと強調している。

10億ドルの支払は2回に分けて実施される予定だ。1回目は今で、2回目は来年1月となる。ディズニーの発表によれば同社はBAMTechの株式の過半数を取得するオプションも得ているという。

Bloombergは1月前の記事でこの出資が検討されいることを報じていた。またIgerはESPNが〔テレビ局を経由せず〕消費者に直接サービスを提供することになるのは必然的な成り行きだとも語っていた。

画像: chrisdorney/Shutterstock

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

これがNianticがテスト中の「近くのポケモンを探す」新機能―ビデオあり

2016-08-10-nearby-pokemongo

ポケモンGOの「近くにいるポケモンを探す(Nearby tracking)」 システムはあてもなくむやみに歩きまわることなしにポケモンがどこに隠れているかをプレイヤーに教える機能になるはずだった。ところがゲームのリリース後2、3日でこの機能に障害が起き始めた。

「ポケモンを探す」は、機能するがわかりにくい「足跡」システム(足跡3つなら遠い、1つなら近い等)から、完全に役に立たない(距離に無関係にすべてのポケモンが3歩の足跡を残すなど)機能になり、やがてほとんどのユーザーで機能そのものが削除されてしまった。

今日(米国時間8/9)、新たに公開されたアップデートに付属する変更ログによれば「近くのポケモンを探す」ための新たな機能が開発され「一部のユーザーを対象にテストが行われる」ということだ。

暗号通貨Dogecoinの開発で有名なJackson Palmerがアップした紹介ビデオによれば、こんな具合らしい。

これが皆さんがお求めのビデオだ。

こちらは別のビデオ。

なんのことやらわかりにくい?

新しい「近くにいるポケモン(Nearby)」画面には2つのセクションがある。「近くにいるポケモン(Nearby)」と「見かけたポケモン(Sightings)」だ。

Nearbyポケモンはポケモンストップの近くにいる。背景画像はそのポケストップだ。タップするとマップはズームアウトして真上から見た地図になり、どのポケストップを目指せばいいかがわかる。これは禁止されたPokevisionに似ている。ポケモンGOの開発者は「勝てないなら真似しろ」という格言を思い出したのかもしれない。

ともあれ、目指すポケモンは表示されたポケストップの近くで発見できるはずだ。プレイヤーの報告によればだいたいポケストップから1ブロックぐらいの距離にいるという。現在ポケストップの回りには円が表示される。プレイヤー自身の周囲に表示される円とほぼおなじサイズだ。ポケモンがこの円内にいるならポケストップの「近く(Nearby)」にいるポケモンということになる。

「見かけたポケモン(Sightings)」セクションに表示されるポケモンの背景はポケストップではなく雑草になっている。つまり野放しのポケモンということでどこかのポケストップの近くにいるわけではない。ゲーム内にはこうしたポケモンを探すシステムはない。Sightingsセクションのポケモンは現在のところ特別な機能は何もないないようだ。また距離の順にソートされているわけでもないらしい(早くソート機能をつけてもらたい)。このセクションもポケモンを発見するにはやはりあてもなく歩き回らねばならない。わかっているのは「ポケストップの近所にはいない」ことだけだ。

nearby

「ちょっと待て。私のポケモンGOは最新版だがNearbyセクションなんかないぞ?」という抗議が聞こえてきそうだ。

さて、そこが問題だ。上記のようにこの機能は「一部のユーザー」を対象として公開されている。私の知るかぎりサンフランシスコ周辺のユーザーが多いが他の大都市からも利用しているという報告が上がっている。それ以外のユーザーの場合はたとえ近所にポケストップがあってもSightingsセクションしか表示されない。

(注:Nianticではこのシステムはテスト中だと注意を喚起している。そのため一般公開前に機能が大きく変更されることはあり得る。そもそも近くにポケストップがない地方のプレイヤーのために開発者が何か適切なシステムを考え出してくれるといいのだが。

その他の変更点
– 発見する前に「消滅(despawns)」したポケモンはやっとNearby/Sightings画面からも消えるようになった。ゲームのローンチ以來つきまとっていたバグのせいで、別のポケモンと入れ替わるかゲーム自体を再起動するかしないかぎり消えたポケモンが表示され続け、プレイヤーに無駄足を踏ませることがあった。
– 同様に、ポケモンが簡単に近づけない距離まで離れると自動的に位置追跡画面から消える。
– Nearbyセクションのポケモンをタップして位置を追跡し始めた後でそのポケモンが消えた場合、ポップアップでそのことが通知される。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

NASAのHDRカメラが、ロケットブースターの新たな魅力を捕らえた

screen-shot-2016-08-09-at-11-18-00-am

ロケット噴射は轟音と強い光を放ち、どう見ても地味ではない。陰鬱なる地球の軛をすり抜け、銀に輝く笑いの翼に乗って空に踊るためには、夥しい推進力が必要だ(と聞いている)。もちろん、そんな爆発を普通のカメラで捕らえるのは容易ではない。そこでNASAはNASAらしく、激しい噴射の微細な複雑さを写しだすことのできるカメラを作った。

HiDyRS-Xと名づけられたこのカメラを作ったのは、NASA Space Technology Mission DirectorateのEarly Career Initiativeという、若きエンジニアに経験豊富な先輩と一緒に大きなプロジェクトで働く機会を与えるプログラムのメンバーたちだ。

このハイテクカメラは、複数の低露光画像をリアルタイムでつなぎ合わせることによって、打ち上げロケットのまばゆい光に圧倒されることなく、非常にダイナミックレンジの広いビデオを撮影することができる。NASAは最近ユタ州プロモントリーで行ったQualification Motor 2ブースターロケットのテストでこのカメラを使用した。結果はまさに目を見張るものだ。

噴射テストを撮影した音声のない3分間のビデオは魅惑的で、紫色の雲が脈動し、振動する風景を横切っていく様は幻想的でさええる。今回の噴射テストはこの種のカメラにとって最大規模のもので、チームがそれまで撮影したものより「桁違いに激しい」ものだったが、カメラは仕事を成し遂げ、ロケットブースターの誰も見たことのない要素を取り込むことに成功した。

via The Verge

原文へ
 
(翻訳:Nob Takahashi / facebook

フェンダー初のアプリは、もちろんギターチューナー

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

もしあなたがFenderで、モバイルアプリへの参入を考えているとしたら、もちろんまずチューナーを作るだろう。ストレートなネーミングのFender Tuneは、このところ製品の多様化を進めている象徴的ギターブランドの最新作だ。数ヶ月前には ヘッドホン型モニターを発売した。

すでに競争の激しい分野ではあるが、ギターでは知らない人のないブランドネームのおかげで、遅いスタートでも有利に戦えるだろう。しかも、Fender初のアプリは出来も悪くない。シンプルでインターフェースもわかりやすい ― ギターチューナーアプリに求められる二大要素だ。

Fender Tune

最近私が主に使っているチューナーアプリはGuitarTunaだ。実に酷いネーミングだが、iOSで一番人気のチューナーである理由がある。やるべきことをしてくれる。お手軽で簡単。同じことがFender Tuneにも言える。

このアプリはバックグラウンドノイズが大嫌いだ。周囲の音を測るグリーンのメーターまで付いていて、うるさすぎるときは教えてくれる。メインのインターフェースは画面中央の大きな円だ。一番近い音階を検出し、高低に応じて左右に動く。私はGuitarTunaのうそ発見器スタイルのデザインか好きだが、Fender Tuneもしっかり仕事をしてくれる。

Fender Tuneは無料。手動設定もあり11種類のチューニングオプションが標準で入っている。アコースティック、エレキ、ベースの切り替えが可能で、将来のために設定を保存しておくこともできる。総合的にみてFender最初のアプリはよくできている。もちろんこれが最後ではない。愛するギターメーカーの遅い参入について、あなたがどう感じるかはわからないが、どうやらこの会社はモバイルソフトウェアに本気で取り組もうとしているようだ。

Fender Tune

Fenderのデジタル製品子会社、Fender Digitalを率いるEthan KaplanはTechCrunchにこう語った。「Fender TuneはFender Digital初の製品であり、あらゆるレベルのあらゆるギター奏者のために作られている」。

まだまだ多くの製品がでてくるようだ。

原文へ
 
(翻訳:Nob Takahashi / facebook

NASA、探査機による最新火星写真を公開

esp_046582_1880

マーズ・リコネッサンス・オービターから1035枚もの写真が送られてきている。マーズ・リコネッサンス・オービターは、既に十年ほども火星の周りを飛んでいる探査機だ。NASAジェット推進研究所(JPL)が管理するこの探査機は、他の探査機とともに毎月火星からの写真を送ってくる。

写真は毎月送られてくるのだが、Popular Scienceの記事にもあるように、26ヵ月ごとくらいにシャッターチャンスが訪れる。すなわち火星、月、そして太陽の並びが最適な状態となり、この期間に膨大な写真を撮影して地球に送ってくるようになっているのだ。伝送に数週間もかかるほどだ。しかしそれだけの価値がある非常に鮮明な写真が送られてくる。

ESP_046578_2545

今回送られてきたような精細な写真は、火星の表面について多くの情報を与えてくれる。また将来行われるであろう地上探査にも大いに役立つこととなるだろう。もちろんそうした実用上の目的を除いても、謎多き隣人の姿を写した写真は眺めているだけで興味深い。

8月3日に送られてきた写真は、アリゾナ大学のHiRISE(High Resolution Imaging Science Experiment)のページで見ることができる。もちろん過去に写された写真も掲載されている。

  1. esp_046570_1275.jpg

  2. esp_046573_2140.jpg

  3. esp_046573_2565.jpg

  4. esp_046574_1740.jpg

  5. esp_046575_1210.jpg

原文へ

(翻訳:Maeda, H

Android版Googleマップ、「Wi-Fiのみ」オプションと、SDカードへのデータダウンロードをサポート

maps2-side

Googleが地図アプリケーションのAndroid版でリニューアルを行った。新興国などでの利用も念頭にいれたアップデートだ。

アナウンスされた新機能とは、先月からテストされていた「Wi-Fiのみ」のオプションと、SDカードへのデータダウンロード機能だ。

新しい機能について、さほど便利に思わない人もいるかもしれない。しかしプリペイド式のスマートフォンや、データ容量に制限のあるプランを使っている人、また内部容量が少ない人にはとても便利な機能だ。

海外に出かける人にも「Wi-Fiのみ」のオプションは便利だろう。旅行時に利用するプランではデータ容量に制限があるのが一般的だし、多額のデータローミング料金を請求されるようなことを避けることができる。

SDカードへのデータダウンロード機能も以前から望まれていたものだ。訪問する地域のデータをWi-Fi環境にいるうちに、予めダウンロードしておくことができるわけだ。かつスマートフォンの内部記憶容量が限られている場合には、SDカードに保存しておくことができる。ブログ記事の中でGoogleは次のように記している。

エントリーレベルのスマートフォンでは、内部容量が4GB程度しかないこともよくあります。8GBないし32GBの容量をもつデバイスの価格は高額になっている。さらに、たとえ大きな容量のデバイスを使っていても、たくさんのビデオ、音楽、アプリケーション、そして写真を保存しているうちに、残り容量が気になってくることになります。そこでGoogleはデータを保存しておいてオフラインで利用するオプションを用意するとともに、SDカードにダウンロードする機能も加えたのです(もちろんデバイスがSDカードをサポートしている必要があります)。たくさん食べ物の写真を撮りたいけれど、そうすると地図のデータを削除しなくちゃいけなくなるなどといったケースも少なくなることでしょう。

さらに、アイルランド、ポーランド、イタリア、オーストリア、ロシア、およびイスラエルなどで行なっていたGett、Hailo、あるいはMyTaxiといった交通サービスとの連携に加え、東南アジアにてGo-JekやGrabと連携するようにもなった。

これはGoogleが最近強化している「モバイルオンリー」の利用者に対するサービス拡充の一貫だ。他にもインドの鉄道駅における無料Wi-Fiの提供YouTubeのオフライン再生機能の実装などを行なっており、さらには東南アジアでは初めてとなる買収で、シンガポールのスタートアップであるPieを傘下に加えている。いずれも、新興国を対象とした“Next Billion”ムーブメントの一環でもある。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

RackspaceがWebホスティング部門Cloud SitesをLiquid Webに売却

9362358782_8e1b6ac1fd_k

一週間あまり前からの噂ではRackspaceが売りに出ているということだったが、しかし今日(米国時間8/8)の同社の発表によると、何もかも洗いざらい売るのではなく、Webホスティング部門のCloud SitesをLiquid Webに売る、という話だ。

Liquid Web自身が、クラウド上のWebホスティング企業だから、両社は相性抜群で、同社が買収によって事業を拡大しようとしているように見える。

また両社はともに、献身的なカスタマサポートをマーケティングの柱にしており、Liquid Webによると、それこそが同社をWebホスティングのその他大勢から差別化する要素だ、という。

Liquid WebのCEO Jim Geigerが、声明文で言っている: “残念なことにこの業界は、サポートのないサービスがトレンドになりつつある。そこで、急成長しているデベロッパー企業や、デジタル世界のエージェンシー、デザイナーなどは、ヘルプが必要になったときに頼れる者がいないのだ”。

同社のプレスリリースによると、買収はあくまでも“顧客に喜んでいただくためだ”という。そしてRackspaceのCloud Sitesが加わったことによって、そのミッションをさらに拡大できる、と。

Cloud Sitesを得たことによってLiquid Webのサービスには、WordPress, Drupal, Joomla, .NET, PHPおよびそのほかの開発環境〜プロダクション環境のサポートが加わる。

テキサス州サンアントニオのLiquid Webは、Cloud Sitesを手に入れてもまったく何もいじらないし変えないから、Cloud Sitesの既存のユーザーもスムースに移行ができる、と約束している。移行といっても、会社のオーナーが変わるだけだ。またLiquid Webによると、Cloud Sitesの拡張も今後行っていく。

というわけで、良い話ばかりのようだが、実際どうなるかは今後の経過を見ないと分からない。Cloud Sitesの社員と既存の顧客は、移行が実際にどれだけスムーズかを、体験することになる。

Rackspaceの残りの部分に関しても、いろんな兆候からして、今後、売却は大いにありえる。その時期は、近いかもしれない。今はまだすべてが、水面下のようだけど。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Lyftで経路指定が可能に

adding-a-stop

Lyftは利用者にマルチストップの提供を始めた。これによって利用者は2点間の経路に目的地を追加することができる。理由は単純だ:より多くのユーザー、特に都市生活者たちが、車を所有する代わりに相乗りとオンデマンドサービスを選び始めているからだ。色々な場所を回って欲しい時に、どのような経路を使うかについての柔軟性が求められることは想像しやすい。

経路の追加は簡単だ:乗車をリクエストする際に最初の目的地を入力するが、そのあと目的地の横に表示されている新しい「+」アイコンをタップすることによって、最終的な立ち寄り場所を追加していく。運転手は途中の立ち寄り場所も参照することができる、これであなたは朝の11時に自宅に向かう前に酒屋に立ち寄りたい意向を「いまは5時くらいかねえ」などと、もごもご言いながら伝える必要はなくなる。もちろん他の使い方もできる。より社会的に大手を振って行なえるのは、相乗りの友人を降ろしたり、家へ帰る途中にちょっとした食料品を調達したいといった場合だ。

Lyftはまた、あなたがやろうとしていたことが何だったにせよ、心変わりをして寄り道を削除することも自由にさせてくれる。こうしたことは便利で素晴らしいことのように思える。しかしLyftは、最大の競合相手であるUberが提供していない、この機能の追加によって得られる実データを活用することによって、そのサービスを最適化することを狙っている。

Classic、PlusそしてPremierに属する会員の90%が予約時に1つの目的地を入力していることにLyftは気が付いた(訳注:目的地を入力せずに車の到着を待つこともできる)。そしてそれらのうちの5%は、乗車中に手動で変更されることになるのだが、それは実際には何十万というマルチストップ移動の結果なのである。これは紛れもなく重要な利用者のニーズなのだ。そして運賃を割り振るために、既存の割り勘機能ともうまく融合している。

しかし、これはまた運転手のためのサービスでもある。Lyftは乗車の終わりが近付くと、実際の乗車が終了する前に近隣の待機乗客とのマッチングを行う。これにより連続した乗車によって運転手がさらに収入を上げることを助けるのだ。このような仕様の場合、土壇場での目的地変更は、運転手と乗客の双方にとってフラストレーションとなり得る。しかし複数の目的地を指定できることができるようになったことで、運転手は計画を立てやすくなり、近隣の車両のキューイングに伴う欠点を回避することがやりやすくなる。

目的地を追加する機能は、ほどなくLyftのモバイルアプリに提供される。これは、ささやかながらも賢い追加機能である。そして、より自動化される将来の乗り合いモデルのためのコアコンポーネントへと転用することも容易なのだ。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

オンライン秘書・在宅派遣を手がけるキャスターが大和企業投資から1億円の資金調達

screenshot_609

オンラインビジネスアシスタントサービス「CasterBiz(キャスタービズ)」などを展開するキャスターは8月8日、大和企業投資を引受先とした総額1億円の第三者割当増資を実施したことをあきらかにした。

キャスターは2014年9月の設立。同年12月よりオンラインで経理や人事、秘書代行を行うオンラインビジネスアシスタントサービスのCasterBizを展開。またこれに加えて、2016年に入ってからは全国のリモートワーカーをオンラインで派遣する「在宅派遣」を展開してきた(同社ではこれに向けて、日本発となるオンライン人材派遣業の資格を取得している)。在宅派遣については、エンジニアやデザイナー、ディレクターなどの登録が増えたことから、ウェブ制作や開発関係の業務委託に特化した「RemoteStyle」もスタートしている。

両事業の導入実績は、CasterBizを中心に合計100社(7月時点)を超えた。CasterBizに関しては「メニューを絞ってもいいので低価格、ロットの小さい案件のニーズが多数寄せられている」(キャスター代表取締役の中川祥太氏)とのことで、CasterBizの一部の作業に関してはボット化して提供することも検討中だという。

キャスターでは今回調達した資金をもとに、エンジニアおよびマーケティング担当者の拡充を進めるとしている。

Google、エンタープライズ向けソフトのクラウドプラットフォーム、Orbiteraを1億ドル以上で買収

2016-08-09-industry-cloud

今日(米国時間8/8)、Googleは、クラウド・プラットフォーム・ブログOrbiteraを買収したことを発表した。Orbiteraはエンタープライズ向けクラウド・ソフトウェアのオンライン・ストアを開発したスタートアップだ。この買収によってGoogleはAmazon AWS、 Salesforce、Microsoftheなどに対抗してクラウド上でエンタープライズ向けサービスを提供する能力が強化される。

買収の詳細は明らかにされていないが、この取引に近い筋がわれわれに明かしたところによると、金額は1億ドル以上だという。

Orbiteraの既存顧客を含むビジネスとテクノロジーだけでなく人材の獲得も買収の目的とみられる。CEOのMarcin Kurcは元AWSという経歴であり、Googleの発表によればOrbiteraではすでに6万以上のエンタープライズ・けソフトに利用されているという。この中にはAdobe、Oracle、Metalogixなどサードパーティーのクラウド・サービスを購入して自社のエンタープライズ向けソフトに組み込み再販売するベンダーが含まれている。

Googleは「Orbiteraの買収はGoogle Cloud Platformを利用しているソフトウェア・ベンダーに対するサポートを大きく改善するだけでなく、現在普及しつつあるマルチ・プラットフォームのクラウド環境においてカスタマーに複数のクラウドを利用することを助ける」とTechCrunchに対してコメントを送ってきた。

プレスリリースでKurcは「当面Googleはビジネスのすべての面で現状を維持する」と述べている。

Orbiteraによれば、現在事業の柱としているのはクラウド上でエンド・ツー・エンドのサービス環境を構築するためのクラウドソフトのパッケージとプロビジョニング課金処理とコスト最適化マーケットプレイスとカタログ管理トライアルと顧客獲得のリード管理という4つののプロダクトだという。

Googleのグローバル・テクノロジー・パートナーの責任者Nan Bodenは「将来を考えるとGoogleがOrbiteraのマルチ・プラットフォーム環境におけるプラットフォーム中立性を維持することが重要だ」と書いている。

Googleが検索エンジンという当初の単純な枠を大きく超えて巨大化するにつれ、他社との関係も「ある側面でライバルであると同時に別の側面ではパートナーである」ような複雑なものになっている。

Googleにとってこうした複雑な利害関係にたつ多数の企業を顧客としてオンライン・プラットフォームを提供するOrbiteraの買収に踏み切ったことを興味深い展開だ。同時にGoogleが買収後のOrbiteraの運営にあたってきわめて慎重な態度を取っていることもこうした面から考える必要があるだろう。

Googleとしてはクラウド上でエンタープライズ向けサービスを売買するプラットフォームを提供するとしても、そうしたプロダクトの最終的所有者はGoogl本体とは独立した組織であるということを顧客に再確認する必要があると考えているようだ。

もっともこれがGoogleの長期的方針なのかどうかは別問題だ。広告など他の分野ではGoogleは当初買収企業の中立性の維持を強調したが、後に方針を変更した例がある。しかしクラウド・サービスは今後の市場規模が巨大になることが予測されるので、中立性を維持することがGoogleにとって有利になりそうな分野だ。【略】

OrbiteraはFiras BushnaqBrian Singerによって共同で創業された。2人の共同ファウンダーはこれ以前に複数のテクノロジー・スタートアップを創立、運営する際に直面した「ソフトウェアの販売、流通、運用をするうえで直面した数多くの困難」を解決したいと考えたのがOrbiteraの事業のアイディアを得たきっかけだったとしている。

同社はロサンゼルス郊外のウェスト・ハリウッドに本社を置き、Hiten Shah、Arjun Sethi、Double M Partners、Resolute.vcからこれまでに200万ドルのエンゼル資金を調達している

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

オフグリッドメッセージングのFireChatが、プライベートグループチャットをサポート

firechat-8-offline-private-group-messaging

Disrupt BattlefieldのファイナリストであるOpen Gardenが提供するメッセージングサービスFireChatが、今日メジャーアップデートを果たした。FireChatの特徴は通常のインターネット接続がなくても周囲の人々とチャットを行うことができるという点である。この新しいFireChatでは、既存のプライベートな1対1チャットと公開チャットに加えて、プライベートなグループチャットが追加された。

これらのプライベートグループには最大50人の参加が可能で、FireChatの通常のメッセージのように動作する。他のグループチャットアプリケーションと同様に、単純にグループに追加したい人を選んでテキストメッセージの送信を始めるだけである。

オフラインプライベートグループメッセージングファイア・チャット

FireChatチームは筆者に、世界中でコミュニティの広がりを見ることができると話した。「米国では、人々はFireChatを、例えばミシガンでのElectric Forest 音楽祭や、フィラデルフィアでの民主党全国大会といった大きなイベントで利用しています」と、Open GardenのCMOであるChristophe Daligaultは私に語った。「インドでは、学生や地域社会が、自分たちの自由で弾力性のある通信ネットワークを作るために利用しています。フィリピンでは、報道機関(Inquirer,、ABS-CBN、GMA News)が、他の手段では伝えられない人たちに対して、ニュース、天気、交通警報を放送するために利用しています」。

フィリピンでチームはまた、大地震の避難訓練中の警報の送信にFireChat を利用した最初の政府機関、Metro Manila Development Authority(メトロマニラ開発局)とのコラボレーションを開始した。

この新機能は簡単に見えるかもしれないが、実際は本当に難しい技術的課題であったことが判明したと、同社のCTO、Ben Teitelbaumは私に話してくれた。

「グループメンバの何人かもしくは全員がインターネットに接続されいなくてもグループメッセージングが実現できるような、FireChatのモバイルアドホックルーティング上に、プライベートグループメッセージングのメッシュを実現しました」とTeitelbaumは語る。「最大の課題の一つは、鍵の配布でした。WhatsAppやFacebook Messengerのような従来のメッセンジャーでは、クライアントは常にサーバーからグループ情報を取得することができますが、FireChat8では参加者は他のピアから直接グループ鍵、招待状、メッセージ、およびグループメンバーシップ情報を取得します」。

ところで、今年の初めに、2012の創設以来CEOとしてOpen Garden/FireChatの舵取りを続けてきた共同創設者のMicha Benolielは、新たに会長となった。同社のプロダクト管理副社長だったPaul HainsworthがCEOの役割を担う。彼がかつてSprint、BlackBerry、そしてVirgin Mobileといった会社で働いたことが、これからハンドセットに同社の製品をプレインストールして貰おうと目論むOEM戦略に、Open Gardenが必要とするテレコムの経験を与えるのだ。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

TechCrunch Tokyo 2016「スタートアップバトル」エントリーを開始しました

7r8a0436

TechCrunch Japanは11月17・18日、東京の渋谷ヒカリエで「TechCrunch Tokyo 2016」を開催する。本日から、お得な「超早割チケット」を販売開始したが、例年、イベントで最も大きな盛り上がりを見せる「スタートアップバトル」(以下、バトル)の参加企業の登録もあわせてスタートしたのでお知らせしたい。

バトルを簡単に説明すると、スタートアップが今年ローンチした、もしくはローンチ予定のプロダクトをプレゼンで競い合うというもの。昨年は105社の応募があり、書類審査に通過した12社が決勝に進出した。

今年は、書類審査に通過した約20社が参加する「ファーストラウンド」を11月17日に、ファーストラウンドを勝ち抜いた5社が優勝を競う「ファイナルラウンド」を11月18日に開催する。優勝チームには賞金100万円を贈呈する。

応募チームに特典

書類選考を通過した全チームには、会場の展示ブースを無償で提供する。惜しくもファーストラウンド出場を逃したチームの中でも、VCを中心に構成される予選審査員が「これは」と思った何社かには同様の特典を用意する予定だ。

それともうひとつ。昨年は米国のTechCrunchでも、スタートアップバトルの様子をロングレポートしている。今年も米国から本家TechCrunchスタッフが来日する予定なので、世界デビューを目論んでいるスタートアップにとっては大きなチャンスだ。最近では本家TechCrunchで日本のスタートアップ情報を取り上げることも増えている。

応募方法

今年は「仮登録」と「本登録」の2種類を用意した。仮登録は企業名と担当者名、メールアドレスを入力するだけ。本登録は代表者のプロフィールやプロダクトの概要、プロダクトの優位性などを入力してもらう。

昨年までは「本登録」のみだったが、「あとで登録すればいいか」と先延ばしにしたせいで締め切りが過ぎてしまった……と、あとから連絡をもらうケースも少なくなかった。こうした悲劇を防ぐためにも、今年は「仮登録」してもらえれば、我々の方でリマインドしようというわけだ。もちろん、いきなり「本登録」していただくのは大歓迎である。

スタートアップバトルの応募要項は以下のとおりなので、条件に当てはまるスタートアップは是非、応募ページから早めに申し込んでほしい。

バトル仮登録はこちらから→

バトル本登録はこちらから→

応募資格

未ローンチまたは2016年1月以降にローンチしたデモが可能なプロダクトを持つスタートアップ企業(2015年12月以前にベータ版をローンチした企業でも、正式版を2016年1月以降に公開したスタートアップ企業は応募可能)

創業年数3年未満(2013年11月以降に創業)で上場企業の子会社でないこと

応募期間

・バトル仮登録は2016年8月31日(水)23時59分まで

・バトル本登録は2016年9月30日(金)23時59分まで

審査について

・審査基準: プロダクトの市場性やビジネスの成長性、またビジョンを実現していけるチームであるかを基準とします。

・事前審査:一次審査は書類審査とし、その後一部評価に必要な情報が足りない場合はインタビューやデモを見せていただく場合があります。選考を通った応募企業には運営事務局から10月7日までに審査結果を通知します。

・ファーストラウンド: TechCrunch Tokyo 2016の1日目(11月17日)に行います。

・ファイナルラウンド: TechCrunch Tokyo 2016の2日目(11月18日)に行います。

バトル仮登録はこちらから→

バトル本登録はこちらから→

プライバシーとセキュリティの確実な保護はWebのアーキテクチャの改築(非集中化)で可能、と大御所Brewster Kahleが主張

[筆者: Andrew Keen](著書(3冊): Cult of the Amateur, Digital Vertigo, The Internet Is Not The Answer。 Futurecastをプロデュース。本誌インタビューシリーズKeen Onのホスト。)

インターネットを巨大な図書館に例えるならBrewster Kahle日本語Wikipedia)はそのもっとも有名な司書で、インターネットの殿堂(Internet Hall of Fame)のメンバーでもある。彼は、今こそ、もっと良いWeb(a better Web)を築くべき時だ、と信じている。

彼によると、問題は、今のインターネットにプライバシーと安全性がないことだ。そこで、彼が書いた白書のタイトルが、“Locking the Web Open: A Call for a Decentralized Web”(オープンなWebの堅守: 非集中的Webの要求)で、今やWebを改築してユーザーのプライバシーとセキュリティの両方を確実に保証すべきだ、と論じている。

6月に彼はサンフランシスコで、同じく殿堂入りしているTim Berners-LeeVint Cerfなど高名な志士たち集めて、新しいミッションを立ち上げた。KahleがかつてローンチしたInternet ArchiveのWayback Machineには、およそ5000億ページのWebページが保存され一般公開されているが、そんな彼の視点としては、必要とされているWebの大刷新は、決して、商業化する前の初期的な姿のインターネットに戻ることではない。

彼によると、技術の進歩により今では、Webサイトを“至るところに”、そして“場所を特定せずに/されずに”ホストできる。さらに彼によると、今の技術なら、公共的なインターネットと商業的なインターネットの両方が、ユーザーを自分の目的のために利用するのではなく、むしろユーザーを保護できる。彼はスタートアップの起業家たちにも、彼のミッションへの参加を呼びかけている。

いつものように、このインタビューをセットアップしてくれたCALinnovatesに感謝したい。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ドローン飛行のリアルタイムリスク評価の提供を計画しているFlock

drones

とらえどころのない規制への対応や、最先端の技術を既存の社会基盤の中でなんとか利用しようとする挑戦に比べたら、エンジニアリングの問題はむしろ単純に見える。しかし、新たなスタートアップのFlockは技術と規制の交差点を単なる新たなビジネスチャンスとして捉えている。

ロンドンに拠点を置くこのビッグデータのスタートアップは、ドローンのためのリアルタイム定量化リスク分析を行うためのプラットフォームを構築している。この分析手法には都市環境から得られるデータに対するAIを用いた追跡の適用も含まれている。現在は英国市場に注力している。

同社は発見回避を行う対象検知システムを構築しているのではなく、都市環境におけるビルや人々、そして車に関するデータを気象データと共にライセンス提供し、それらをリスク評価プラットフォームに流し込むシステムの構築を狙っている。ドローンの飛行計画をリアルタイムに分析し、コスト/ベネフィット分析を行うのがソフトウェアのアイデアである。これにより、保険業者が保険料を設定したり、ドローン飛行業者が予定するフライトを実際に行うかどうかを判断する手助けが行われる。

これがFlockの最初に狙う製品である。それに続くものとしては、ドローン飛行スケジュールに対する予測評価を行い、ドローン飛行業者に対する「リアルタイムリスク削減」を行うために、都市データに対して機械学習アルゴリズムを適用することも狙っている。その予測はリスクを最小化したルートを快適に飛ぶ完全自律ドローンを助けるために用いることができるだろう。

「指定された期間に集められたデータソースからの全履歴データを分析できるような、信頼のおけるトレンド分析機能をシステムの中に構築することが狙いです。そして、都市がどのように活動しているのか、どのように息づいているのか、そして人々の動きと交通状況がどのように変化しているのかに対する、真に役立つ理解を得るのです」と語るのはCEOのEd Leon Klingerだ。

「そうすれば私たちは、内的な物流目的と外的なリスク評価の両方の観点から最適な、取るべき最良のルートと正確な運行時間を計算することが可能になりま。そこで、ドローンがインテリジェントに都市を飛行したり、その飛行計画を立案する際に必要な予測を定式化するために、私たちは機械学習を利用するのです」。

こうしたすべてのことは、まだこれからである。チームはまだ初期の開発を行っていて、Klingerの弁によれば、6カ月以内にMVP(Minimum Value Product=必要最低限の価値を提供できるプロダクト)を提供したいという考えである。それが立ち上がり、運用が始まったなら、保険会社ならびにドローン企業と提携し、試験的な運用を行うということが短期的な計画だ。なお一体どこから都市住民の動きデータを得ているのだろうと読者が考えているなら、実はまだそれは開示されていない。

スタートアップは昨年3月に設立され、これまでのところ、自前の資金やInnovate UKの複数のR&Dグラントを使って投資を続けてきている。現在はシードラウンドの準備中である。

競合に関して言えば、既に市場にはAirMapがいて4月には1600万ドルのシリーズAを達成している。そしてドローン業者たちに対して、いつどこを飛行すべきかの決定に役立つ空中状況を提供している。しかしKlingerによれば、AirMapの「静的な」地図に比べて、Flockは都市情報のリアルタイム分析に注力している点が違うと指摘している。保険会社とリスクアセスメントを対象としている点も、ここではちょっとした特徴となっている。

「4、5年のうちには世界中の自律ドローンの全てに埋め込まれているようになりたいですね。私たちは、都市と都市環境における一般的なコンテキストデータを提供し、ドローンの安全を保つ会社になりたいと思っています」とKlingerは語る。

「都市エリアでドローンが提供できることには巨大な可能性があります…都市には渋滞があり、大気汚染やスモッグがあります。もしそうした問題の一部を道路から空中に逃がしてやることができれば助かることも多いでしょう。さらにドローンによって膨大なデータや、都市エリアの空中写真なども収集することが可能ですが、(現在のところ)それは危険だという理由でとても難しいのです」と彼は付け加えた。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

Wilson、パスの距離や回転数などを自動で計測するスマートフットボールのプレオーダーを開始

13882321_1318904708139204_2798944140010706665_n

キャッチボールをするのにゲーミフィケーションの要素などいらないだろうと、最初は思ったりもした。しかしビデオゲームが面白いのも間違いない。最新の技術を導入すれば、キャッチボールはより面白くて、そして役立つものになるかもしれない。

きっとそうした考えを持つ人がいたのだろう。スポーツ用品界の巨人たるWilsonからは、今年初めにインテリジェントなフットボールの見本品が発表されていた。昨年のバスケットボールに続いて発表されたこのWilson X Connected Footballは、通常のボールの中にセンサーを内蔵したものだ。キャッチボールをするだけで、さまざまなデータを自動で取得してくれるのだ。

収集するデータは、パスの長さ、速さ、スピンレート、スパイラルなどのデータで、これらのデータからプレイヤーのレベルを数値化してくれる。データはBluetooth経由でモバイルデバイスに送られるようになっている。ボール内部に内蔵されているバッテリーは500時間もつようになっている。これはパス20万回分に相当するのだとのこと。

データを使って友達との間で成績を比較して、リーダーボード上に公開することもできる。このフットボールがいよいよプレオーダー可能となったようだ。価格は200ドルとなっている。1ヵ月以内には店頭に並ぶ予定であるそうだ。もちろんこれは、2016年のNFLシーズン開幕にあわせたものだろう。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

「スマート」ロックは、ハッカーの簡単なトリックで破られる

august-smart-lock

モノのインターネット(あれをそう呼ばなくてはいけないのであれば)が酷い、というのは公然の秘密だ ― 標準についても相互利用についてもセキュリティーについても。もっとも、スマート電球やコーヒーメーカーに、高度なセキュリティーは実際必要ない。しかし、玄関ドアのスマートロックは、簡単にハックされるべきではない。

今年のDEF CONで、平均的スマートロック― 高級なものでも ― を信用できるようになるまでの道はまだ長い、という発表が2件あった。これに驚く人もいるだろうが、何年も前から言い続けた人たちもいる。こういう連中はいつでも嬉々として危険性を証明してみせる。

Merculite SecurityのAnthony RoseとBen Ramseyは、200ドル以下で揃う市販の道具を使って、 ちょっとしたロックハッキングを披露した。難易度は様々だったが、最終的に16台中12台が破られた。

Quicklock、iBluLock、およびPlantrac oのスマートロックは、パスワードを平文テキストで通信しているため、Bluetooth盗聴器を持つあらゆる人に対して脆弱だ。正規のユーザーがドアを解錠した時に無線傍受したデータを再生しただけで開いた錠もあった。1バイトを暗号化したデータを受信するとフェイルステートに入り、デフォルトで解錠状態になるものも。

vulnerable_locks

これも注目すべき情報。ふたりがちょっとしたウォードライビング(無防備な無線ネットーワークを探すドライブ)をしたところ、自らスマートロックであることを名乗るものがたくさんあり、アタッカーが攻撃対象を見つけやすくしていた。

全体的にかなり悲惨な状況だが、RoseとRamseyの挑戦に耐えたものもあった。NokeとMasterlockのスマート南京錠が生き残り、Kwikset Kevoも頑張ったが、それもネジ回しで開けられるまでだった。もちろんこれは反則だが、問題であることに変わりはない。

おそらく最も心配なのは、不具合を知らされた12社のうち、返答があったのは1社だけだったという事実だろう。しかもその1社も修正の計画はない。

Merculite社が破れなかったうちの一つ、Augustドアロックは、中では比較的よく知られたブランドだ。幸い、別の誰かがすでにこれを破壊するミッションを遂行しいる。

Jmaxxzの楽しませるミーム満載のプレゼンテーションは、Augustの説明に多くの嘘があることを暴いた。不法侵入者が暗証番号を探すためにあなたのログを狙う可能性は低いかもしれないが、セキュリティーホールは本物だ。

why_god_bluetooth

パケットモニタリングなど従来の方法では入手の難しかったデータが、ログなどに平文テキストで入っていることがある。Jmaxxzは、必要以上に手間を掛けたくないタイプのハッカーだが、当然のことだろう。

Augustについけは、良い点と悪い点がある。そして会社の名誉のために書いておくが、同社の対応は迅速で、多くのセキュリティーホールがすでに修正されているとハッカーは言っている。とは言え、APIコールの文字列を “user” から “superuser” に変えるだけで、ゲストユーザーがロックのパーミッションが得られるというのは信じがたいことではある。

今のところ、スマートロックの長所は利便性であり、短所はセキュリティーのようだ。 プール小屋や義母の家のセキュリティーが平均以下でも気にならないなら、キーチェーンを軽くする良い方法だろう ― ただし、玄関のドアに関しては、もっと良い方法を考えるべきだ。

原文へ
 
(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Internet Archiveが昔のAmigaゲーム1万本あまりをWebに移植

screen-shot-2016-08-08-at-3-48-06-pm

月曜日(米国時間8/8)にこんなニュースを読まされるなんて、人によっては今週は長い週になるね。でも大丈夫、このサイトはどこにも行かないから。待ちきれずに、職場の仕事用のコンピューターでBubble Bobbleなんかを内緒でプレイしたら、ボスに見つかって叱られるかもよ(おっと、ぼくの経験では、この場合ブラウザーは、Firefoxがベストだね)。

最近Archive.orgにポストされたAmigaのゲームは、質よりも量、同サイトによると、10000種以上ある。その中には人気作、Where in the World is Carmen San Diego、King’s QuestDouble Dragonなどもある。一方、ゴミもたくさんあるようだ。Deluxe Pac Man v1.1があって、さらにDeluxe Pac Man v1.7aがある。大きな違いはない、と思うけどねぇ。

ゲームのクォリティーは、それこそピンからキリまでだから、それらのリストをざっと眺めるだけでもおもしろい。土曜まで待ちきれない人は、仕事をするふりをしながら、こっそりとお楽しみを。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

政府全体のオープンソース化をねらうホワイトハウス(大統領府)が、ソースコード公開のための一般ポリシーを提案

white_house_dc

ホワイトハウスはかねてから、テクノロジーを利用して政府の機能を改善することに熱心だった(現在のその方面のリーダーはCIO(Chief Information Officer)のTony Scottだ)。彼らは、コード(コンピューターのプログラム)が政府諸機関の役に立ち、害をもたらさないことと、合衆国政府が民間企業と同じように効率的にテクノロジーを利用できることを、望んでいる。

3月に公開したブログ記事でホワイトハウスは、オープンソースソフトウェアの利点を政府も利用したい、という意思を表明し、そして今日は(米国時間8/8)、政府諸機関が自分たちでより効率的にコードを書けるための、一連のルールを定めたFederal Source Codeポリシーをリリースした。

そのポリシーの主な要件は、“連邦政府によって、または、〜のために独自に開発される”ソースコードはいずれも、すべての政府諸機関による共有と再利用が可能でなければならない、というものだ。たとえば、TSA(運輸保安局)は、FBIが独自に作らせたソフトウェアのソースコードに、アクセスできなければならない。

連邦政府の諸機関とそれらの部課などが必要とするアプリケーションは、重複している場合が非常に多いはずだから、このオープンソースポリシーがうまく機能すれば、相当大きな節約が実現するだろう。このポリシーにも、“国の資金を使って独自に開発されたコードの、政府全域にわたる再利用の権利を保証することは、アメリカの納税者に多くの利益をもたらす”、と書かれている。

しかしこれまでは、連邦政府の諸機関は情報を一般に公開しないことが建前だったから、ソースコードも通常のオープンソースの場合のように一般公開されないのではないか?

この問題に関しては、現時点では単純で一律的な答を出しにくいが、だからといって、政府がオープンソースへ向かわない、ということではない。このポリシーに基づいて行われるパイロット事業は、ある種の妥協点を模索しているようだ。連邦諸機関はカスタム開発したコードの少なくとも20%を、オープンソースとしてリリースしなければならない。これはあくまでも、このパイロット事業のルールだが、これにより実際に、費用削減と効率向上の効果が目に見え、実感できるようになることが、期待されている。

ポリシーの全文はここにある。これは Tony Scottが合衆国政府内の全省庁のトップに宛てて書いた長い々々メモだ。メモは、おもしろい読み物であると同時に、この新しいポリシーの技術的な側面についても検討している(たとえば、ある政府機関で、コードの20%を公開すると国のセキュリティにリスクを招くような場合は、どうすべきか?)。

またそれには、ホワイトハウスが数か月後にCode.govを立ち上げる、と書かれている。それは、政府諸機関が公開するコードのための、全域的なホームサイトだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))