VSCOはフォトグラファーの間ではかなり名の通ったブランドで、デスクトップ版のプリセットに加え、フィルム写真風のフィルターや細かな編集ができるツールの揃ったモバイルアプリも人気を博している。これまでは写真に特化していたVSCOだが、この度iOS向けの新たなツールをローンチし、動画編集の分野にも手を伸ばそうとしている。この新しいツールを使えば、ユーザーはスマートフォンで撮ったさまざまなサイズの動画にフィルターを適用し、編集後の動画をソーシャルメディア上でシェアできるようになる。
VSCO独自の画像処理プラットフォームであるSENSを利用したこのツールは、30fpsの4K動画・60fpsのフルHD(1080p)動画までサポートしており、それ以下であれば動画の解像度や長さに制限はないと同社は語る。
動画編集分野への進出にあたっては、上記のSENSこそが他社アプリとの機能面における差別化のポイントだとされている。VSCOの共同ファウンダーでCEOのJoel Floryは、動画編集ツールのローンチ以前にも、SENSのおかげでiOSの高画質RAWフォーマットや短い動画をアプリ内で扱えるようになったと、6月のFast Companuとのインタビューで語っていた。
しかし、VSCOユーザー全員が新しい動画編集ツールを使えるというわけではない。この機能が使えるのは「VSCO X」と呼ばれる有料プランに加入しているユーザーだけだ。
VSCO Xとは年額19.99ドルで加入できる有料メンバーシップで、加入者は毎月追加される新しいプリセット、ツール、情報コンテンツなどを利用できる。
VSCOによれば、動画編集ツールはAndroidに先駆けて、まずiOSのVSCO Xメンバー向けに公開されるとのこと。
iOSのVSCO Xメンバーは、動画編集ツールに関する情報が記載されているStudio内のバナーをタップすれば、新しいツールを使うことができる。
ツールを開くとカメラロール内の動画が表示されるので、そこから編集したい動画を選択。編集時は、VSCO Xライブラリー内のプリセットに加え、コントラストや彩度といったスタンダードな編集項目も利用可能だ。編集後の動画はカメラロールに保存されるので、ソーシャルサイトで共有したい場合はそこから選択すればOK。
「VSCOのミッションはより良いクリエイターを生み出す手助けをすることです。数あるカテゴリの中でも、動画は現在私たちが情熱を持って取り組んでいる分野です」とFloryは動画編集ツールについて語る。「VSCO Xメンバーに対する動画編集ツールの提供は、無限の可能性を秘めたVSCOの動画編集ツール開発の第一歩だと考えています」
VSCOには若者が中心の活発なコミュニティもある、と同社は話す。月間アクティブユーザーの88%はミレニアル世代とジェネレーションZ(1990年代中頃から2000年代中頃までに生まれた若年層)で構成されており、70%のユーザーが毎日アプリを使ってコンテンツを作っている。またVSCOによれば、アプリ内のMAU(月間アクティブユーザー数)は、昨年はじめに3000万人のマイルストーンに到達したとのこと。
-
videoeditingfinal1
-
videoeditingfinal2
-
videoeditingfinal3
-
videoeditingfinal4
-
videoeditingfinal5
-
videoeditingfinal6
当時VSCOは、新しい分野への進出の意向を示していた。さらにその後同社は、AdobeでCreative CloudのローンチのビジネスオペレーションやM&A、ビジネスディベロップメントなどを担当していたBryan MasonをCOOに迎えた。
現在VSCOアプリは、App Storeの中でも競争が激しい「写真/ビデオ」カテゴリで15位にランクインしている。ランキング上位には、Instagram、YouTube、Snapcat、Google Photo、Musical.ly、Facebook Moments、Adobe Photoshopなど大手企業の名前が並ぶ。
これまで同社はそこまで動画に力を入れていなかった。写真以外のフォーマットとしては、GIF制作用のDSCOと呼ばれるアプリを以前ローンチしたが、これは今年の2月にVSCOのメインアプリに吸収された。
iOS版のアプリはApp Storeから無料でダウンロードでき、Android版も「数週間のうち」に公開されるとVSCOは話している。しかし、今のところデスクトップ向けの動画編集ツールが公開される予定はない。
[原文へ]
(翻訳:Atsushi Yukutake)