Windows 10、テクニカル・プレビュー版のダウンロード開始―有効期限は来年4月15日

今日(米国時間10/1)、Windows 10 テクニカル・プレビュー版のダウンロードが始まったが、このバージョンは来年のエープリル・フールの日から2週間後には使えなくなるそうだ。つまりWindows 10の製品版はそれよりずっと前に出荷されることを意味するなら、これは良いニュースだ。

しかし必ずしもそう楽観はできないかもしれない。MicrosoftはWindows 10を「来年半ば」に完成させるというスケジュールで動いている。4月というのは「半ば」といえなくもないが、やや早過ぎる気もする。テクニカル・プレビュー版の有効期限終了前に製品版が発表されるわけではないのかもしれない。これから各人各様の推測が飛び交うことになりそうだ。

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〔日本版〕 TechCrunchの別記事で、Alex Wilhelm記者は、「4月15日の前にしたさらに製品版に近い一般ユーザーを対象としたプレビュー版が公開されるはず」と推測している。

また今回Microsoftはプレビュー版ユーザーを対象にWindows Insider Preview Program という本格的なフィードバックのチャンネルを用意している。Microsoftのダウンロード・ページによればWindows Insider Preview Programに参加すると、「Technical Preview に加えて、すべてのプレビュー ビルドを公開と同時に入手することができ、使いやすいフィードバック アプリも用意されています」とのこと。これまでのプレビュー版の公開に比べて、ユーザーからのフィードバックの収集に対する取り組みが積極化していることも注目だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Oculus、新プロトタイプ、Crescent Bayを発表―ヘッドトラッキングは360度、ヘッドフォンつき

Oculusは昨日(米国時間9/20)開催されたConnectカンファレンスライブ中継)で、新しいプロトタイプ、Crescent Bayを発表した。私は幸運にもこのプロトタイプを短時間実際にテストしてみる機会に恵まれた。Crescent Bayはフレーム速度が向上し、ヘッドトラッキングが360度となり、ヘッドフォンが一体化されている。重量も大きく軽減された。

OculusはまたOculus PlatformをSamsung VRにも開放することを発表した。これはバーチャル・リアリティー・アプリとコンテンツのマーケットプレイスで、バーチャル・リアリティーをメインストリームのユーザーに届けるチャンネルとなることが期待されている。詳しくはわれわれの記事を参照。

CEOのBrendan Iribeは「DK1プロトタイプからDK2へも大きなステップアップだったが、DK2からCrescent Bayへのステップアップも同じくらい大きい」と述べた。とはいえ、このモデルもまだ消費者向け製品ではない。しかしまた一歩製品版に近づいたことは確かだ。

ただしCrescent Bayはデベロッパーキット(DK)ではなく、将来のOculusはこのようになるという「機能紹介プロトタイプ」という位置づけだ。OculusはDK2を発表する前にも Crystal Coveという機能紹介プロトタイプを発表している。そういうわけでCrescent Bayはそのままでデベロッパー向けに発売開始されるわけではないようだ。デベロッパー向けにはこの後DK3(に相当する)製品が提供されることになるのだろう。

Crescent Bayでは後方向けにカメラが増設され、ユーザーの頭の位置を360度追跡できるようになった。装着ユーザーは制約なしに周囲あらゆる方向を向くことができる。ヘッドトラッキングと高性能ヘッドフォンのおかげで、臨場感はさらに向上した。 Oculusはメリーランド大学で開発されたRealSpace3Dという高性能VRオーディオテクノロジーのライセンスを受けている。

Oculusはまたゲーム・エンジンのUnityと契約し、無料版、有料版のUnityのユーザー全員に対してOculusをサポートしていくことを発表した。

アップデート:実際に使ってみた

私はCrescent Bayのデモで、実際に装着してみることができた。Oculusは写真、ビデオの撮影を許可しなかったが、誰かがこっそり写真を撮ることに成功して私に送ってくれたので何枚か掲載しておく。以下、簡単に使用感をレポートする。.

10分間のデモで、私はティラノザウルスと遊んだり、高層ビルのてっぺんに座ったり、ポリゴンフィールドの怪物を見たり、シムシティーの上空を飛んだり、顕微鏡サイズに縮められて巨大なダニを見上げたり、SWATチームが巨大なメカと戦ったりするのを眺めたりできた。

新しいヘッドセットは驚くほど軽く、首への負担はまったくなかった。ゴーグル部分はプラスチックぽくてフィット感は最上とはいえなかったが、軽量なわりにしっかりした作りに思えた。Samsung Gear VRの視野は周囲に黒いフレームが見えてしまうので双眼鏡を覗いているような感じだが、 Crescent Bayの視野ははるかに広い。ただしCrescent Bayも下側に隙間があって床が見えてしまう。これは没入感をやや損なう結果となっている。

グッドニュースは頭の位置をモニタするモーショントラッキングの速度と精度がぐっと上がったことだろう。デモで私は鏡の前に立たされ、素早く動いてみるように言われた。私がどれほど速く動いても宙に浮いた私の映像に遅れは感じられなかった。

Crescent Bayのモーショントラッキング・カメラはデスクトップのパソコンではなく壁に設置されているため、ユーザーはどの方向へも1メートル弱動けるようになった。残念ながらまだティラノザウルスから走って逃げることはできないが、左右に身をかわしたり、体を縮めて上にやり過ごしたりすることはできる。

モーショントラッキングの基準となるLEDライトがDK2では前方にだけあったのに対しCrescent Bayでは後方にも設置されている。

Crescent Bayでも依然として欠けている重要なパーツは、移動したりコマンドを入力したりするには必須となる専用のゲームパッドないしコントローラーだ。今回のOculus Connectカンファレンスで発表されるという噂もあったが、空振りだった。しかしOculusの経営陣もコントローラーが必要だという認識で一致したということで、やがてこの問題も解決されると期待したい。

Oculus Wants To Win PC and Mobile VR

OculusのCEO、Brendan Iribeは「Oculusのデベロッパー・キットは世界130カ国に10万セット出荷された」と発表した。Iribeは「SFが好きならOculusはまさにその聖杯だ。いよいよ長年の夢が実現するときが来た。高度なバーチャル・リアリティーが実用化の時期を迎えている。Oculusの使命はゲーム、エンタテインメント、コミュニケーションに革命を起すことだ」と述べた。

昨夜、Oculusは DK1のデベロッパー・キットのソースコードをすべてGithubにアップロードし、オープンソース化したと発表した。これによってデベロッパーはOculusのデザインを深く学び、独自に改良を加えることができるようになる。Oculusのハードウェアを使わない独自のプロダクトを開発することも可能だ。

 

2014年はOculusにとって波瀾万丈の年となった。Kickstarterで250万ドルを集めた後、ベンチャーキャピタルから9340万ドルの資金を調達し、さらに直後に20億ドルでFacebookに買収された。買収の直後にはKickstarterの出資者やデベロッパーの一部から感情的な反発を受けたものの、Oculusの今後について、Facebookの傘下に入ったことは信頼性を増すことであって下げることではないとバーチャル・リアリティーのコミュニティーを納得させることができたようだ。

Crescent BayとPlatformをベースにデベロッパーがどのような新しいプロダクトを開発するか楽しみだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


iOS 8レビュー:洗練されてユーザー体験は大きく進化―制限緩和はデベロッパーのチャンス

AppleからiOS 8が公開された。 昨年のiOS 7へのアップデートほど劇的ではないが、それでも大幅な改良であり、追加された新機能も多い。新しいiPhone 6でiOS 8を利用するとその真価がよく理解できる。Appleが制限のいくつかを緩和したことはサードパーティーのアプリ・デベロッパーにとって大きなチャンスを開くものだ。iOS 8でもたらされた自由化と新機能は今後iOSエコシステム全体に大きな変革をもたらす可能性がある。以下、カテゴリーごとに紹介していこう。

メッセージ

iOS 8のAppleメッセージ・アプリは他の人気のあるメッセージ・サービスによく似たものになっている。いちいち新しいメッセージアプリをインストールし、登録しなくても今流行の機能がデフォールトで使えるのだから便利だ。

新しいAppleメッセージでは、タップとスワイプで画像、音声、動画が送れる。私が一番気に入った機能は、グループを選択して「ミュート」し、一時的に非表示にできることだ。これはAppleがグループ・メッセージ機能を導入したときから必要だと強く思っていた。私の家族はAppleメッセージの大の愛用者で、仕事中には少々邪魔になるのだ。

また特定のスレッドに自分の位置情報を付加するのも簡単になった。友達や家族の間で居場所を教えあうのがずっと簡単になった。単独アプリのFind My Friendsを使うより便利だ。

写真

写真で特筆すべきなのは検索機能の充実だ。iOS 8では写真やビデオを日時、場所、アルバム名で検索できる。また高度なコンテキスト検索機能が利用できるようになり、たとえば「ある場所で撮ったすべての写真」を検索して表示できる。編集能力も強化され、露光、明るさ、ハイライト/シャドウ別調整などをマニュアルで操作できるようになった。今や写真編集能力はApertureのような単独アプリなみの水準となった。

しかも機能が豊富になっても、複雑なオプションで初心者を迷わせるようなことはない。デフォールトでは高度な編集機能は隠され、自動補正のオン/オフのボタンだけが表示される。自動補正の傾きの補正機能はアマチュアの写真の多くを救ってくれるだろう。

ひとつだけ私を面食らわせたのは、iCloudでの共有はすべてのデバイスの写真を統合してしまうので、どの写真がローカルにあるのかクラウドにあるのかを判別することができないことだ。もちろんこれによってユーザー体験がシンプルになっているわけだが、 iPadとiPhoneで別々のライブラリを管理できないのはちょっと不便な場合もある。

QuickType

Appleのモバイル用ソフトウェア・キーボードはこれまでiPhone登場の当初からほとんど変わっていなかった。今回初めて予測変換機能を取り入れるなど大幅な改良が図られた。予測変換はあまりに便利で、いままでこれなしにどうやっていたのだろうと思うほどだ。メッセージなどの入力の場合、過去の履歴を参照して相手ごとに最適な予測候補を表示するようになっている。本当のところこの機能はもっと早く実装して欲しかった。

サードパーティー・キーボード

ソフトウェア・キーボード関連ではもうひとつ、Appleがサードパーティーにシステム全般で利用できる独自のキーボードの開発を許した点も見逃せない。残念ながらAppleはその手順を「設定」の奥に隠しているため、サードパーティーのソフトキーボードをインストールするのはあまり簡単ではない。もっともAppleはこれによって知識のない初心者がうっかり新しいキーボードをインストールしてまごつくことを防ごうとしているのかもしれない。

いずれにせよ、この機能は大歓迎だ。〔これにともなってジャストシステムはiOS版ATOKのリリースを予告している。〕

ヘルスケア

Appleのヘルスケア・アプリはiPhone自体のモーションセンサー(5sのM7、6/6 PlusのM8)」から取得されるデータも含め、さまざまなデバイスからアップロードされる健康とフィットネス関連のデータを集中管理するハブとなる。またそれらのデータをアプリを通じて特定の相手と共有することもできる。

今のところ私自身はヘルス関連のデータを記録するデバイスをたくさん使っているわけではないが、 それでもサードパーティーのヘルス関連アプリをインストールしたり、データの種類ごとにあれこれアプリを移動したりする必要をなくしてくれた。Apple Watchが登場すれば、ヘルスケア関連のデータは飛躍的に拡充されるだろう。

デベロッパーは収集されたデータを一般ユーザーにわかりやすく表示するアプリを開発するチャンスだ。

ファミリー共有

iOS 8では6人までの家族が単一のiTunesアカウントを共有できるようになった。メインのユーザーはApple IDを使って家族をファミリー共有機能に登録できる。すると登録された家族メンバーは他のメンバーが購入、ダウンロードしたiTunesの音楽やiBookの本、App Storeのコンテンツを自由に利用できる。子供のために特別のApple IDを作ることもでき、両親のクレジットカードが使える。ただし子どもたちの購入には親の承認が必要になる。

またファミリー共有では家族のメンバー全員が写真、カレンダーなどを共有、同期して利用できる。ファミリーといっても別にDNAで親子関係を鑑定するわけではないから、親しい友だちとファミリー共有のグループを作ることも可能だ。その他、ファミリー・メンバーの間で位置を共有したり、「iPhoneを探す」で協力して位置がわからなくなったデバイスを探したりできる。

iCloud Drive

iCloudも強化され、iOS 8のiCloud DriveはDropboxやGoogleドライブに近づいてきた。ドキュメント、ファイルをクラウドに保管するだけでなく、デバイス間での同期も自動的に実行される。つまりあるデバイスで編集した結果が即時に他のデバイスにも反映されるようになった。また同じファイルを目的によって異なるアプリで開くこともできる。

連携

新しい「連携」機能によってデバイス間での作業の連携がより緊密になった。メールを書き、メッセージを読み、ウェブをブラウズするというような作業はiOSデバイスとMacの間でシームレスに実行できる。ただしMac側でこの機能が完全に実現するためにはYosemiteの登場を待つ必要がある(おそらく来月一般公開となるもよう)。しかしHandoffはiOS 8デバイス同士の連携を実現しているので、iPhone 6で書きかけた文書をiOS 8にアップデートしたiPad Airで開いて作業を続けるといったことはすでに可能だ。

Instant HotspotはiPhoneが自動的にホットスポットとなってiPadとMacにWi-Fiを提供する。iPad、Mac側ではWiFiが届かなくなるといちいち接続操作を行わなくてもiPhoneのホットスポットに切り替わる。

Spotlight

Spotlightを利用すると多様な情報源を横断的に検索して答えが得られる。Wikipediaからの結果がすぐに得られるのは特に便利だ。その他App Storeの関連あるコンテンツ、最新ニュース、周辺の位置情報なども検索される。

一見ささいな追加に思えるかもしれないが、iOS 8の有用な新機能のひとつだ。これでiPhoneがモバイル検索ポータルとして大幅に価値を増した。Spotlightはホーム画面の上部からプルダウンするだけで使える。いちいち検索やApp Storeなどのアプリを開く必要がなくなった。

通知と拡張

iOSデバイスの通知センターは必要な情報を見落とさずにすむ便利な機能だが、iOS 8では、メール、カレンダー始めサードパーティー・アプリからの通知に対してもいちいちアプリを開かずに通知センターから直接返信ができるようになった。私の場合、これはたいへんな時間の節約をもたらしている。ロック画面をスワイプしてアプリを開くとInstagram/Twitter/Facebookという魔のバミューダ・トライアングルにはまりんで、とんでもなく時間を無駄しがちだが、通知センターからの返信機能のおかげで、その回数が大幅に減った。

拡張機能はサードパーティーのデベロッパーが、たとえば、ロック画面で下にスワイプするだけでフィリップスのスマート照明を操作するショートカットを作るなど、さまざまな可能性を開くものだ。

音声認識

音声認識はiOS 8で大きく改良された。ユーザーの頭の中を読み取っているのではないかと思うほど正確に音声を認識してテキスト化してくれる。

さらなる成長への期待

iOS 8にはこれ以外にも無数のアップデートが含まれている。上でも述べたとおり、AppleはiOS 8でソフトウェア・キーボードを始めいくつかの重要な領域で制限を緩和した。またApple Payがアメリカでリリースされた。これらはデベロッパーにとっては大きなチャンスであり、今後エコシステムの多方面に影響が出てくるだろう。また来月のYosemiteの公開で「連携」がMacから利用できるようになることも重要だ。

現在iOS 8のアップロードは始まったばかりで、サーバーへの負荷などのため、やや待ち時間がかかっているようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


IBM、Watson Analyticsを発表―Watson人工知能が万人にビッグデータ解析能力を与える

今日(米国時間9/16)、IBMは一般のビジネス・ユーザーに高度なビッグデータ解析能力を与えるWatson Analyticsという新しいプロダクトを発表した。

Watson Analyticsはクラウド・サービスで、データの収集、チェック、解析、ビジュアル化、共同作業のためのコミュニケーション・ダッシュボードなどビッグデータ処理に必要な作業はすべてクラウドで行われる。Watsonといえば、誰もが知るとおり、人気クイズ番組『ジェパディー』で人間のチャンピオン2人を打ち破った人工知能としてあまりにも有名だ。

IBMのビジネス分析事業グローバル・マーケティング担当副社長、Eric Sallは「単にブランドイメージのためにWatsonの名前を付けたわけではない」と強調する。Sallによれば、このプロダクトの特長はビッグデータに対して自然言語で分析、加工処理を行えることで、これにはまさにWatsonの人工知能テクノロジーが用いられているのだという。

Sallは「Watson Anlyticsの目的は、一般のビジネス・ユーザーに強力なビッグデータ解析能力を与えることにある。適切な意思決定のためにビッグデータを利用しなければならないことはだれでも知っている。だが、これまでそれができるのはごく一部の高度な知識とコンピューティングのインフラを持つユーザーに限られていた」と述べた。

現在、ビッグデータ解析には強力なコンピュータ資源、データサイエンティストとデベロッパーのチームが必要とされる。中でも後者を確保することは難事業だ。Sallは「このためにビッグデータ解析の結果を得るまでに、往々にして何日も、あるいは何週間もかかる。 今日のビジネスの厳しい競争環境からみてこのような遅れは許されない。また意思決定を行う人々が他のチームにいちいち処理をお願いするようではいけない」という。

Watson Analyticsはこうした障害を一挙に克服することを目指している。まずクラウド・サービスであるから、コンピューティングのインフラについて心配する必要はない。次にユーザーの望むデータ解析を自然言語で受け付けるのでデータサイエンティストもプログラマーも必要としない。

ユーザーは既存のデータ、たとえばSalesforce.comのCRMデータなどをそのままインポートして利用できる。Sallによれば、このサービスにはポピュラーなビジネス・ツールによって生成されるデータをインポートするためのコネクター・ツールが用意されているという。データをセットすれば、ユーザーは思いついた質問を次々にぶつけていくこともできるし、サービスにバンドルされているストーリー・テンプレートを利用して標準的な統計分析を行うこともできる。

もし営業データを扱っているのなら、テンプレートから標準的な分析を行うのが有効だろう。しかし、その過程でユーザーが何かを思いつけば、自由に質問することができる。Watsonは質問を理解して直ちに答えを出してくれる。Sallによれば「問題は多くのビジネス・ユーザーがビッグデータ解析の専門知識や経験に乏しいため、そもそもどんな質問をするべきなのかよく理解していないという点だ。テンプレートはこのような場合に解析を進めるための糸口として大いに役立つ」と述べた。

さらにWatson Analyticsのベーシック版はIBM Cloud Marketplaceから無期限に無料で提供される。 Sallは「ユーザーがこのサービスを利用する際の敷居を下げるために無料版を提供することにした。無料版も極めて高度な能力を持っている」と述べた。

有料のプレミアム版には、大容量ストレージや企業内データベースのデータに直接アクセスするためのコネクター、さらに高度な分析能力などの追加機能が加わる。

Sallは「これまでわれわれは紺のスーツを着たセールス部隊がCIO始めIT部門の専門家にプロダクトを売り込んでいた。一般ビジネス・ユーザーを直接のターゲットとするWatson Analyticsはわれわれにとって大きな戦略の変更だ。こうしたエンドユーザー向けプロダクトを急速に普及させるにはフリーミアム・モデルが適していると判断した」という。

Watson Analyticsにかぎらず、最近のIBMのエンタープライズ・クラウド戦略自体が、IBMが2013年に買収したインフラのプロバイダー.、Softlayerのプラットフォームを利用したプロダクトのデジタルマーケットを中心に据えるようになっている。またBluemix Platformを通じて、将来はサードパーティーのデベロッパーがWatson Analyticsをプロダクトに組み込むことが可能になる。

Watson Analyticsは今月虫にベータテストが開始され、年末には一般公開される予定だ。クラウドサービスであるので、デスクトップ、タブレット、スマートフォンなどさまざまなデバイスから利用が可能だ。しかしまだ専用のアプリは登場していない。

画像: Flickr USER ibmphoto24 UNDER CC BY-NC-ND 2.0 LICENSE

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Microsoft、9月30日にサンフランシスコでWindowsイベントを実施することを確認

今日(米国時間9/15)、Microsoftは、噂のとおり、来る9月30日にサンフランシスコでWindowsのプレスイベントを開催することを正式に確認した。

このイベントでは賛否両論多かったたWindows 8.1の後継OS、Windows 9のテクニカル・プレビュー版が公開されるものと広く期待されている。またおそらくSurfaceシリーズのタブレットの新モデルも発表されるだろう。Windows 8とSurfaceは2012年にリリースされた。

Windows Phoneと統合されることになるのではないかと観測されるている新しいWindows RTのプレビュー版は来年早々公開されるという情報が流れているが、今のところ、こちらの方はあまり確かではない。

Windows 9については、スタートメニューやバーチャル・デスクトップなどのビジネス向け機能を始め、リークが相次いでいた。9月30日に発表されるのはテクニカル・プレビューなので、アピールする対象は一般ユーザーというよりデベロッパーやエンタープライズ・ユーザーとなるだろう。

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日本のGumiが北アメリカ市場参入を発表―ゲームスタジオを世界4箇所で立ち上げ中

北米ゲーム市場は118億ドルという巨大な規模だが、最近、ZyngaやCandy CrushのメーカーKingのような有力ゲーム企業でさえ躓いたことでもわかるように、非常にタフな環境だ。

しかし日本のゲーム企業、gumiは北米市場に挑戦することを決めた。 今日(米国時間8/21)、gumiは北米市場向けのゲームの開発拠点として4つのスタジオを立ち上げることを発表した。gumiによれば、今後北米で新たに100人を採用していくという。

gumiはSegaLineGreeなどの有力なパートナーと提携しており、最近、シリコンバレーのベンチャー・キャピタル、World Innovation Lab (WiL)がリードしたラウンドで5000万ドルの資金を調達している。

gumiのアメリカ本社兼スタジオはテキサス州オースティンに置かれる予定だ。これに加えてバンクーバー、ストックホルム、キエフでもスタジオを立ち上げ中だ。これらのスタジオはアメリカを中心とする英語圏市場向けのゲーム開発を専門に行う。また近くサンフランシスコに事業開発とPRのためのオフィスを開設する。

gumiはまた、ゲーム企業WeMadeの前CEOで、 Microsoftのアジア・ゲーム・スタジオのゼネラル・マネージャーだったA.J. Redmerを北米事業の責任者として採用したことを発表した。RedmerはMicrosoftでXboxを創設したチームの1人であり、任天堂ソフトウェアのゲームデザイン担当ディレクターを務めたこともある。

gumiは今年中に10億ドル規模の株式上場を予定しているとされる。ただしRedmerは「現時点ではこの問題についてのコメントは控える」と述べた。

同社は800人の社員を擁し、この2年で300%の成長を遂げたという。シンガポール、韓国、中国、台湾、インドネシア、フィリピンで事業を行っており、売上の半分以上は海外からのものだという。

Redmerはgumiの北米参入について「ブレイブフロンティアがアメリカ市場で大きな成功を収めたことが、われわれが西欧市場で十分な競争力を持つという確信を強めた。またブレイブフロンティアを売り込んだ体験がアメリカのモバイルゲーム市場に関して多くの貴重なノウハウと知見を与えてくれた。他のゲームを販売していく上でこれらは大きな財産となるものと信じている」と述べた。

またゲーム開発については「われわれは世界各地でスタジオを運営しており、それぞれの地域市場に深く根ざしたゲーム開発を行っている。われわれの新しいスタジオも北米地域の特性を十分に理解して開発を行う。また西欧市場でこれまで見過ごされてきたジャンルのゲームを開発していく」と述べた。

Gumiの最大のパートナーはSegaとLineだ。Segaはまた5000万ドルのベンチャー資金の出資者の1人でもある。またgumiの戦略的パートナーのLineも出資およびゲーム流通の両面で協力するという。

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UberがAPIを公開―TripAdvisor、UAなど外部アプリ内からUberが呼べるようになった

先週、われわれのJosh Constineは「Uberはサードパーティーのアプリ内からUberの車を呼べるようにAPIを公開する準備をしている」という記事を書いた。今日(米国時間8/20)、Uberは11社のサードパーティーのパートナーに対してAPIを提供したことを発表した

APIの公開はUberにとって多くの新しい潜在顧客の目に触れるチャンスを増やすことが期待できる。同社は現在50カ国の150都市でサービスを展開中だが、サービス地域でまだUberの存在を知らない人々の数は膨大だろう。多くの人々がすでにインストールしている人気アプリ内に「Uberを呼ぶ」ボタンが表示されればプロモーション効果は絶大だ。

5月にはGoogleマップ・アプリにUberが統合され、マップからUberが呼べるようになっている。しかし今回のAPIの公開は多数のサードパーティー・アプリを対象にしている点ではるかに野心的なビジョンだ。

最終的にはUberはクリエーティブな方法でUberのサービスをエンベッドしたいと望むデベロッパー全てにAPIを提供していく計画だ。ユーザーは開いているアプリを離れることなく、Uberに行き先を告げ、Uberはそれに対して料金概算と待ち時間を返す。一部のパートナーの場合、ユーザーはUberアプリを開く必要がない。

今回のAPIのローンチでパートナーとなったのは、Expensify、Hinge、Hyatt Hotels & Resorts、Momento、OpenTable、Starbucks、Tempo、Time Out、TripAdvisor、TripCase、United Airlinesの各社だ。

私の電話インタビューに対して「これはすごいことだ」とUberのビジネス担当上級副社長のEmil Michaelは繰り返した。

Michaelによれば、Uber APIを利用した新しいアプリは合計2億回程度ダウンロードされたはずという。またUberはサードパーティーのアプリからUberに新たなサインアップしたユーザーに対して30ドル分のクーポンをプレゼントしている。

パートナーによってユースケースはさまざまだ。OpenTableアプリでレストランを予約したユーザーは店までの送り迎えにUberを使うだろう。UAで飛ぶ旅行者は空港からホテルまでのUberを予約するだろう。あるいはHyattホテルを予約するとき同時にUberも予約するかもしれない。スマートカレンダーのTempoの場合、会議の時間に合わせてUberを手配しておけば遅刻せずにすむ。

170億ドルの評価額で12億ドルの資金を調達したUberはできるかぎり急速にユーザーを増やそうとしている。そのためには人々がすでに使っているアプリにUber呼び出しボタンをエンベッドさせるのがもっとも効率的だ。Uberはできるかぎり多くのアプリをパートナーとするために努力を惜しまないだろう。

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Windowsの権威、メアリー・ジョー・フォーリー、9月か10月に9のプレビュー版公開と予測

Microsoft情報の権威、Mary Jo Foleyによれば、Windows 9のプレビュー版は9月か10月にも公開されるという。このスケジュールなら、Thresholdというコードネームで開発が進んでいるWindows 9は、2015年早々にも製品版が出荷されることになりそうだ。

先週末、私はWindows 9の登場が迫っていると考えて、グッド・バイ、Windows 8という記事を書いた。Windowsの開発の内情に詳しいFoleyがWindows 9の主要部分が来月にも公開されると断言する以上、Windows 8の時代は終わったも同然だ。 デベロッパーはもちろん、多くの先進的ユーザーも(あまり致命的なバグがないようであれば)Win 9プレビュー版に飛びつくだろう。

もっとも単に「Windows 8は終わりだ」と言ってしまっては不公平かもしれない。製品としてのWindows 8はもうじきWindows 9に置き換えられるだろうが、MicrosoftがWindows 8でコンピューティングに導入した多くの要素はそのまま残る。私は以前、こう書いた

Windows 8はOffice 2007に似ている。このバージョンでMicrosoftはパラダイムを大きく変えた。個々の変化の中には見当外れなものもあったが、新機能の大部分はOffice 2010に受け継がれ、大成功を収めた。Microsoftは今回もWindows 8の良い部分を残しつつ、デスクトップについてはもう一度その特性を生かしてさらに使いやすくする形でWindows 9に統合していくのではないか。そうであればWindows 9も使い勝手のよいOSになるだろう。

もちろんこれは多分に希望的観測だ。

しかしFoleyの情報を吟味すると、Windows 9はいわゆる未来的な実験ではなく、もっと地に足のついた実用的な製品であるらしい。プレビューがお目見えすのは8ないし10週間後とみてよさそうだ。

Windows 8は結局どのくらい普及したのだろう? Windows 8とWindows 8.1は合計すると12%以上の市場シェアを獲得した。言い換えれば、世界のパソコンの8台に1台はWin 8が搭載されていることになる。 Windows 8.1はWindows 8より評判が良いが、8は依然として6%のシェアを握っている。

Windows 9がどれくらいWindows 8のシェアを代替できるか、またそのスピードはどれほどか、大いに注目される。Windows 7の代替速度に関してはWindows 8は概ね失敗だったといってよいだろう。

Windows 7、Windows8、Windows 8.1のTechCrunch読者のユーザーは、それぞれどのくらいの割合でWindows 9への乗り換えを考えているのか知りたいものだ。

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Microsoft、Red Hat、IBM等がGoogleのDockerコンテナ管理ツール、Kubernetesサポートで団結

今日(米国時間7/10)、MicrosoftRed HatIBMDockerMesosphere、 CoreOS、 SaltStackの各社はGoogleが開発したDockerコンテナのオープンソース管理ツール、Kubernetes プロジェクトに対する支持を発表した。

Dockerコンテナは最近、分散アプリケーションの開発と運営における標準的なテクノロジーになってきた。ここ数ヶ月で有力なクラウド・ベンダーがこぞってDockerをサポートしている。Docker.io自身もシリーズBのラウンドで1500万ドルを調達し、Dockerプラットフォームの拡充に務めている。

それでもDockerコンテナの利用にはかなりの困難が伴う場合がある。そこで1ヶ月前にGoogleはその巨大データセンターのインフラ上でDockerコンテナをサポートするKubernetesプロジェクトをローンチした。今日の発表に加わった各社は、それぞれ得意分野のテクノロジーでこのプロジェクトに貢献することを約束した。

「各社はそれぞれユニークなテクノロジー上の強みを持っている。Kubernetesが強力なオープンソースのコンテナ管理フレームワークになり、どんなクラウドでも、あるいはプライベート・クラウドやハイブリッド・クラウドでも作動するようわれわれは協力していく」とGoogle上級副社長、ウルス・ヘルツルは今日の発表で述べた。

コンテナはデベロッパーがさまざまな異なる環境のサーバや異なるクラウドににアプリケーションをインストールし、運用することを容易にするためのテクノロジーだ。そこでMicrosoftは、正確には、 Microsoft Open TechnologiesはLinux版KubernetesをAzureプラットフォームで提供していくことを約束した。Microsoftはまた別のDockerプロジェクトであるlibswarmもAzureでサポートする。

Red HatはKubernetesを自社のハイブリッド・クラウドでサポートする。IBMはコードを提供する他、Dockerエコシステム全般を支援し、「こうしたコンテナがエンタープライズ・レベルの適合性を持つことを確認し、Dockerコミュニティーがオープンな組織として機能することを助ける」という。

MesoSphere、CoreOS、SaltStackはそれぞれ自社のテクノロジーにKubernetesを組み込む。MesoSphereは昨年末にDockerのサポートを開始しているが、そのスケジューリングと管理機能をKubernetesのユーザーにも提供していく。私の取材に対してCoreOSチームが答えたところによれば、KubernetesにすでにはCoreOSのクラスタのバックボーンとなるetcdキーバリューストアが用いられているという。

全体として今回の発表はDockerプロジェクトにはこの上ない朗報となった。参加した各企業はすでに何らかの形でKubernetesを支援していたが、こうした形で公式にグループが結成され、エコシステムの構築に向けて協力が約束されたことはDockerの普及に大きな弾みをつけることになるだろう(同時にライバルのバーチャル化テクノロジーにとっては手強いライバルの出現を意味する)。

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General Harmonicsの圧縮テクノロジーは驚異的―テレビドラマの「シリコンバレー」そのまま

General Harmonicsはカナダの小さなスタートアップだが、ストリーミング・メディアに革命を起こすかもしれない。こういえばおかしく聞こえるが、 HBOの人気テレビドラマ、Silicon Valleyに登場する新しいデータ圧縮プラットフォーム、Pied Piperに奇妙なほどそっくりなのだ。ただGeneral Harmonicsの方ははるかに経験を積んでいるし、もっと進歩している。

ドラマでは主人公たちが創立した会社はファイルサイズを信じられないほど小さくできる独自技術、Pied Piperを開発する。General Harmonicのテクノロジーも結果は似ているが、実現のために用いられたアプローチはもちろん完全に異なる。特許出願中の新たなエンコード・テクノロジーによってコンテンツを分析し、個々の要素に分解して記述することで従来の手法では不可能だったレベルまでデータを圧縮する。

たとえばある楽曲がボーカルとインストラメンタルからなるのであれば、それぞれのパートごとに分解して「記述」する。この記述は音声データよりはるかに少さなサイズになる。General Harmonicsによれば、CD音質のファイルを元サイズの20分の1にできるという。先週私も参観したAT&Tの3Gを使ったデモ(屋内で無線の品質はきわめて悪かった)でGeneral Harmonicsはこの新たなエンコーディング手法の大きな可能性を示した。

たとえば周囲で再生されて音楽をスマートフォンに聞かせると、どの曲のどの部分であるかを判断して、その曲を現在の位置からストリーミング再生し、対応する歌詞も表示するといったShazamのような機能もデモされた。ただしShazamよりずっと早く、即座に曲の判別が行われた。

このテクノロジーでは「どのアーティストがどのパートをどの部分で演奏しているのか」といった情報も解析できる。General Harmonicsは最終的にはこうした情報もアプリケーションからアクセスできる形でエンコードしようと計画している。これによって演奏される音楽によって流れが変化するゲームなどの開発が可能になる。また将来は既存の楽曲データをユーザーがリミックスして即座に高音質の新しい曲をユーザーが作れるようになるかもしれない。SoundCloudの未来版というところだ。

アメリカのオンデマンド音楽ストリーミング、対前年比42%アップ―ダウンロード販売は衰退へという記事にあるとおり、ストリーミングの重要性は増す一方だ。ユーザーはもはや音楽を聞くためにスマートフォンをいちいちコンピュータに接続して音楽ライブラリーを同期するなどという手間をかけない。ユーザーはいつ、どんな場所でも即座に望みの音楽が聞けることを当然だと考えるようになっている。

そこで音質を落とさずにデータサイズを小さくし、高速でストリーミングできるようにすることは音楽サービスにとって死活的に重要になっている。同時にSpotifyPandora、 Appleのような巨大ストリーミング企業はサーバー費用を大幅に節約できるだろう。

またGeneral Harmonicのテクノロジーはここ5年のうちに新たに何十億もの人々がスマートフォンを持つようになると予測されている アフリカやアジアの途上国の市場で最も大きな影響を与えるかもしれない。こうした市場では4GやLTEネットワークが未整備であり、データのサイズはサービスの品質を直接に左右する。

7年間のステルスモードでの開発期間の後、General Harmonicsは戦略的パートナーを探す段階に入った。同社は自身で音楽サービス事業に参入してPandora、Beats、Spotifyなどのサービスと競争する計画はない。

General Harmonicsはここ数ヶ月のうちにこのテクノロジーのライセンス供与を進めていく予定であり、すでに先週からシリコンバレーの有力メディア企業と話し合いを始めていることを確認した。ただし広報担当者はそれ以上の詳細を明かすことを避けた。

〔日本版〕 Advanced Televisionによれば、Sony Picturesの最高デジタル戦略役員だったMitch SingerがGeneral Harmonicsのデジタル事業開発担当副社長に就任したという。

またこの記事はGeneral HarmonicsのDynamicMedia Technologyについて「現在インターネットで用いられているメディア・システムとは根本的に異なる。このテクノロジーは調和解析(harmonic analysis)、意味論的マルチノード転送、ニューラルパターン認識、高度なカオス情報処理の原理を組み合わせたもの」だと説明している。現在のところこれ以外にGeneral Harmonicsのテクノロジーについて解説した記事は見当たらない。

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DropboxのOBらが次世代メールのプラットフォーム、Inboxを発表―Gmail APIに似ているが汎用

MIT出身で元Dropboxのエンジニアらのスタートアップ、Inboxはこれまでステルスモードで開発を続けてきたが、今朝(米国時間7/7)、次世代のメール・プラットフォームともなるべきInboxを公開した。最近発表されたGmail APIに似て、Inboxはユーザーのメールの受信トレイにアクセスする最新のテクノロジーを提供する。Gmail APIの対象がGmailに限られるのに対して、InboxはGmail、Yahoo、Microsoft Exchangeなど主要なメールサービスをサポートしているという。

またInboxはウェブサイトで「Inboxはeメール専門企業です。Googleは広告企業です。われわれはInboxにすべての力を集中しており、ある日突然サービスを廃止するようなことはありません」とGoogleに皮肉を効かせている。

Google I/Oデベロッパー・カンファレンスで発表されたGmail APIはユーザーのGoolgleアカウントのすべてアクセスする権限を必要とせず、Gmail受信トレイのメッセージ、スレッド、ラベルなど必要な部分にアクセスすることを可能にし、デベロッパーがメール・アプリケーションを開発することを助ける新しいツールだ。この狙いは、IMAPのようなメールクライアントを動作させるための古いテクノロジーに頼らず、ユーザーに対して一定時間後にメールを再表示したり、ユーザーに代わってメールを送信したりするなどの限定的な機能を提供することだ。

Inboxの目的もこれに似ており、「古臭いプロトコルやフォーマットをアップグレードしてデベロッパーがメールを・アプリを開発する手助けをする」と主張している。Inboxの機能は非常に広範囲で、シンプルなメールアプリの開発に役立つのはもちろん、フル機能のメール・クライアントの開発も可能だという。

このスタートアップはMIT出身でDropboxのエンジニア、NestのデザイナーだったMichael Grinich、Ksplice (Oracleが買収)でLinuxのカーネルを開発していたChristine Spangが創業した。Inboxの開発チームの中心にはさらに数人のMIT卒業生が加わっている。またMIT CSAIL(MITコンピュータ科学およびAIラボ)の並列分散OSグループの出身者も含まれている。

GrinichはInboxを開発の狙いについて、「私はMITでメールのツールについて論文を書いたときにメール・アプリの開発がいかに難しいか気づいた。その根本的な原因は、IMAP、MIME、文字のエンコードといったインフラにあった。Inboxはそうした問題をデベロッパーに代わって解決する」と説明している。

しかしInboxの最終的な目標は単にデベロッパー向けのツールの開発にとどまらず、次世代のメールの標準を作り出すことにある。 Grinichによれば「Inboxはメール・サービスのインフラをオープンソースのパッケージで提供する」という。

「われわれのメール同期エンジンはGitHubから無料で入手できる。質問や機能の提案なども歓迎する。この同期エンジンは現在GmailとYahooメールをサポートしているが、将来はすべてのIMAPメールに拡張される。Microsoft Exchangeのエンタープライズ・ユーザーはInbox Developer Programにアクセスを求めて欲しい。こちらはActive Syncをサポートしておりプライベート・ベータテスト中だ」とGrinichは語った。

すでにInbox SDK(JavaScript版iOS版)を利用したデモ・アプリがいくつかGitHubで公開されている。 現在デベロッパーはInboxエンジン、アカウント同期をダウンロードし、そのプラットフォームを利用してローカル環境で開発を開始することができる。将来はInboxがホスティングするサービスを提供していく計画だという。

サンフランシスコに本拠を置くInboxへの投資家は、Fuel Capital、SV Angel、CrunchFund(情報開示:TechCrunchのファウンダー、Micheal Arringtonがファウンダー)、Data Collective、Betaworksその他だ。出資額などの詳細は明らかにされていない。

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Amazon、超低価格のEC2インスタンス、T2をリリース―Google Compute Engineに対抗

今日(米国時間7/1)、Amazon はEC2クラウド・コンピューティングにこれまでで最も低料金のインスタンスを追加した。このT2インスタンスはオンデマンドの場合、1時間あたり0.013ドル(月極なら9.50ドル)で、予約インスタンスの場合はさらに安い。ただし若干の注意事項がある。

まずこのインスタンスの処理能力はかなり限定されている。いちばん小さいt2.microインスタンスのデフォールト(Amazonはベースライン・パフォーマンスと呼んでいる)は最大CPU能力の10%となる。ただしユーザーには毎日一定のクレジット・ポイントが与えられ、一定時間に限ってインスタンスをフルパワーで作動させることができる。

たとえばt2.microインスタンスの場合、利用1時間ごとに6CPUクレジット・ポイントが与えられる(t2.small、t2.mediumの場合、それぞれ12ポイント、24ポイント)。使用されなかったポイントは24時間に限って蓄積でき、1ポイントでCPUを1分間フルパワーで作動させるために使える。

たとえばt2.microのユーザーがベースライン・パフォーマンスでインスタンスを起動したまま10時間にわたってCPUを使わなかった場合、CPUを1時間フルパワーで作動させることができる(10時間x6ポイント=60ポイント)。

Amazonの他のインスタンスと違って、T2の料金体系はシンプルなので予測がしやすく、またクレジット・ポイントを蓄積することによって、短時間なら大きなパワーを得ることができる。0.013ドル/時というのはGoogle Computeエンジンのローエンドのインスタンスとほぼ同じレベルの料金だ。

AWSのチーフ・エバンジェリストのJeff Barrは「このようなインスタンスはトラフィック量の比較的少ないウェブサイトのホスティングの他に実験的なプロジェクトを開発しているデベロッパーにも好適だ」と述べた。

つまりT2が主なターゲットとしているのは〔ポイントを貯めておいて〕日に何度かプロジェクトを走らせることができるホスティング能力を完備したサーバーを必要としているようなデベロッパーだろう。このような場合、Amazonの通常のインスタンスは高価すぎ、クライアントはこれまでもっと低料金のLinodeDigital Oceanなどのプライベート・バーチャル・サーバーに流れていたただろう。

新インスタンスは現在ほとんどのリージョンで利用可能だ(北カリフォルニア、中国、AWS GoveCloudの各リージョンでは利用できない)。

〔日本版〕Amazonによれば、CPUは2.5 GHz Xeon、Asia Pacific (Tokyo)リージョンから利用可能。

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Google I/O:デザインでもAppleに対抗へ―ユニバーサル・デザイン言語、Material Design発表

Googleは昨日(米国時間6/26)のGoogle I/Oカンファレンスで、Material Designという新しいユニバーサル・デザイン言語を発表した。これは次世代のAndroid OS、“L”シリーズの重要な部分となる。Googleによれば、このデザインは「モバイル、タブレット、デスクトップ、そしてそれ以上」のデバイスに統一的なルックアンドフィールを与えるという。

「われわれは、ピクセルが色だけでなく奥行きも持っていたらどうなるか想像してみた。また状況に応じてテクスチャーを変えられるような素材があったらどうだろうと考えてみた。これがMaterial Designを開発するきっかけになった」とAndroid OSのユーザー体験の責任者、Matias Durateは語った。

新デザインにはシステムフォント、Robotoのアップデート版、大胆なカラースキーム、滑らかなアニメーションなども含まれている。

DurateはI/Oキーノートで概要を説明したが、詳細はgoogle.com/designで公開されている。Googleのプラットフォームで開発を行うデベロッパーはすべてこのフレームワークを利用することを求められる。これによってアプリは作動するデバイスを問わずすべて統一感のあるルックアンドフィールを持つことになる。この役割はAppleがMacとiOSのデベロッパーに課しているガイドラインに似ている。

Google自身が率先してこの新デザインを用い、モバイルとデスクトップの双方でGmailやカレンダーなどフラグシップ・アプリのアップデートに取り組んでいる。先月、Gmaiの開発中の新デザインが一部のブログでリークされたことを覚えている読者もいるだろう。シンプルでクリアなあのデザインがMaterial Designを用いたものだった。

オープンソースのフレームワーク、Polymer去年のGoogle I/Oで登場したが、今回もデベロッパーがMaterial Designと共に利用すべきツールとして紹介された。Polymerは 対話性に優れたウェブサイトを素早く構築できるプロトタイピング・ツールで、カスタマイズ可能なさまざまなエレメントがライブラリーとして用意されている。GoogleがQuantum Paperというコードネームで準備している包括的なデザインのアップデートについてはわれわれもこの記事で詳しく紹介している。

Google Designのウェブサイトによれば、Material Designの目的は以下のようなものだ。

  • 古典的なビジュアルなグッドデザインとテクノロジーのイノベーションを統合する
  • プラットフォームの種類、デバイスのサイズにかかわらず統一的なUIシステムを構築する。モバイル対応はもっとも重要な要素だが、タッチ、音声、マウス、キーボードなども主要入力手段して包含される。

Googleは新デザイン「紙とインクのデザインの優れた前例を参考としながら最新のテクノロジーを応用し、想像力を働かせて魔法に近づける」ものだとしている。

Material Designの各要素は「印刷ベースのタイポグラフィーの伝統に従い、慎重に計算されたカラースキーム、画面をいっぱいの裁ち落としの画像、多様なフォント、意図的に残された空白などを用い、ユーザーに強い印象を与える没入的な視覚インターフェイスを構築する」のだという。

もう一つの重要な要素はアニメーションだが、Googleはその利用にあたっては、「アニメーションは適切な場面ではっきりした意味を持つように用いられ、ユーザーの注意を引きつけ、ストーリーの連続性を確保するために役立てられる」べきだとしている。

Appleは以前からデベロッパーに対して厳格なデザインガイドラインを課し、消費者にAppleは優れたデザインを提供するというイメージを強く植え付けるのに成功している。今後GoogleはAppleとデザインの品質でも競争していこうとするのだろう。

Appleは逆にクラウドなどGoogleの優勢な分野の強化を図っている。情報源によればGoogleは自分たちのインフラ面での優勢よりAppleのデザイン面での優勢の方が大きいのではないかと考えてこうしたAppleの動きに神経を尖らせているという。Material DesignでGoogleがデザインの抜本的改良に乗り出した背景にはこういう事情もありそうだ。

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Google、スマートサーモスタットNestをハブとするホームオートメーション・プラットフォームを発表

「オーケーGoogle、部屋の温度を下げて」と言うとエアコンがそのとおりに動作するという時代がすぐそこまで来ている。

Nestのスマートサーモスタットを設置した家庭ではGoogle Nowを通じてエアコンを操作できるようになる。しかもそれはほんの手始めだ。

GoogleはNest Learning Thermostatをスマートホームのハブに据えようとしている。Googleは今日(米国時間6/24)、Works with Nestというデベロッパー・プログラムをスタートさせた。これによってガジェット、自動車、リモコンなどがブランド、OSを問わずNestのサーモスタットと会話し、連携動作することが可能になる。スマートホームが一気に身近なものになってきた。

スマートホームの普及の上で大きな問題は、フラグメンテーションだった。スマートライトからウェブ接続家電までそれぞれが独自の規格、閉鎖的なアプリで作動し、互いに会話ができない。複数のブランドのガジェットに協調動作をさせようという試みはあったが、そのためには橋渡しをする別のガジェット、別のアプリが必要になり、問題をますます複雑化させる結果になっていた。

しかしWorks with Nestプログラムの登場で、いまやGoogleのスマートサーモスタットがスマートホームのデファクト標準となりそうだ。

このプログラムではサードパーティーのガジェットがNest内蔵の各種センサーに加えて機械学習、音声認識、ジェスチャー認識などの機能にアクセスし、活用することができる。

Works With Nestというエコシステム

すでにLIFX、Logitech、Chamberlain、Whirlpool、メルセデス・ベンツといった世界的なブランドがNestプログラムに参加している。Whirlpoolの場合、Nestがユーザーが家を離れていることを感知すると、「送風フレッシュ・モード」で乾燥機を作動させる。これでユーザーが帰宅して乾燥機から衣類を取り出すまでシワにならないようにするわけだ。LIFXの場合は、Nest Protect火災ガス警報器が一酸化炭素を検出するとウェブに接続した赤色の照明が点滅して危険を知らせる。 メルセデス・ベンツの一部の車種は車内からNestに対してエアコンの作動を命令できる。

またNest ProtectとNestサーモスタットはIFTTTをサポートしており、ユーザーが独自の動作を設定できる。たとえば、「もしNest Protectが煙を感知したら、次のテキストメッセージを隣人に送信する」とか「もしNestサーモスタットが摂氏22度以下になり、かつエアコンが作動中なら、以下のTwitterDMを私宛に送信する(そんなにエアコンを強くするなと子供を叱るため)」といった動作をプログラムできる。

また今年の秋にはGoogle Nowが正式にNestと連動する。ユーザーはAndroidスマートフォンさえ持っていればどこにいてNestに命令することができるようになる。

またGoogleはJawboneと共同でUP睡眠モニタをNestのエコシステムに取り入れようとしている。

スマートホームのハブへ

32億ドルでのNest買収はGoogleを一気にスマートホームのリーダーへと押し上げた。一方Appleもこれに対抗して今月、HomeKitというスマートホーム・プロジェクトを発表した。TechCrunchのMatthew Panzarino編集長の記事にあるように、HomeKitはデベロッパーがBluetoothを通じてさまざまなデバイスに対して命令を出せるようにするフレームワークだ。

HomeKitはスペック上はWorks with Nestよりも多機能だ。しかしHomeKitはGoogleのプロジェクトに比べるとまだ開発の初期段階にある。AppleのHomeKitが実際に作動するようになるには数ヶ月はかかるだろう。

Googleといえどもホームオートメーションのすべての要素を自製することは不可能だ。しかしNestをデファクト標準化し、協調動作することが確認されたデバイスにNest認証を与えることはスマートホーム実現に向けて非常に有効な戦略だろう。スマートホーム市場に参入する企業にとってはNest認証を受けることが大量普及への最良の道となるなら、Googleの立場は極めて強いものになる。

Works With Nest紹介ビデオ

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Google、I/Oカンファレンスを控えてマルチプラットフォーム・ウェブアプリのテンプレート、Web Starter Kitを発表

Googleは以前からデベロッパー向けに最新のウェブテクノロジーを利用したベスト・ケースのサンプルを提供してきた。今日(米国時間6/19)、Googleはさらに一歩を進めて、HTML5 Boilerplateに似たWeb Starter Kitリリースした。これはマルチプラットフォームのウェブアプリを作成するためのテンプレートとツールを集めた開発キットだ。

Googleによれば、ここに収められたテンプレートはマルチプラットフォームでのパフォーマンスやレイアウトが最適化されておりデベロッパーがすばやくアプリを開発するのを助けるという。簡単に言えば、これまでGoogleが推奨してきた開発方針を実際に作動するコード化し。、必要なツールを加えたパッケージだ。ただしWeb Starter Kitはユーザーの環境にNode、Ruby、Ruby Sass gem、ストリーミング・ビルドシステムのGulp.jsがインストールされていることを前提としている。Gulpの利用は必須ではないが、これを使えばLiveReload、自動的な画像最適化、HTMLのミニファイなどの機能が利用できるようになる。

Starter KitはChromeの最新版はもちろん、IE10と11、Firefox 30と31を含め主要なブラウザ、モバイル・ブラウザをサポートしている。

Starter KitはTwitter BootstrapやZURBのFoundationともいくぶん重なるところがあるが、 Starter Kitは極めて使いやすく、こうした他のプロジェクトのスタイルも簡単に利用できる。

Bootstrapなどのプロジェクトとは異なり、GoogleのキットにはUI要素のようなコンポネントはあまり含まれていない。Googleが今後、そうしたコンポネントを追加していくのかどうか不明だが、Googleのエンジニア、Addy Osmaniは今日、「Starter KitはUIコンポネントの面でBootstrapと競争する意図はない」とHacker Newsに書いた。Osmaniはまた「BootstrapやFoundationなどのライブラリーはプロトタイピングを始めるにあたってすばらしい出発点となるが、こうしたライブラリーを利用する上での最大の問題はアプリにひとたびそのスタイルやルックアンドフィールを適用すると、そのアプリでは永久にその適用を続けなければならない点だ」と付け加えている。 Web Starter Kitはこれと異なり、デベロッパーがアプリの目的に合わせて独自のスタイルを開発して適用することを望んでいるのだという。

BootstrapやFoundationと同様、Starter Kitもレイアウトに関しては可変グリッド(fluid grid)を提供しているが、Googleのソリューションの方がやや柔軟性が高いように思われる。

このプロジェクトはまったくのベータ版だ。GoogleがI/Oデベロッパー・カンファレンスのサンフランシスコでの開催を1週間後に控えたタイミングでStarter Kitを公開したことをは少々意外だ。しかしこれはI/Oで詳細を紹介する前にデベロッパーに実際にStarter Kitを試しておいてもらいたいということなのかもしれない。

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開発者のためのGoogle Docsを自称するCodeanywhere、Disrupt NYでも大人気

プログラマーのためのGoogle Docsを自称するCodeanywhereがなかなかの人気だ。どこからでも、いつもと同じ開発環境を利用できるようにしようとするサービスだ。Disrupt NYのStartup Alleyで、観客の投票によるベストカンパニーに選ばれ、共同ファウンダーのIvan BurazinおよびVedran Jukicが、先ほどプレゼンテーションを行った。

このアイデアを思いついたのは、自分のPCがなくても、いつもと同じ環境でプログラム開発が行えないものかと考えたからだった。また開発と言わないまでも、問題点の修正を行うだけであっても、自分の環境一式を持ち歩かないといけないことに疑問を感じたこともあった。そのアイデアを推し進め、出先のPCからウェブ経由で利用できるようにしたのみならず、iOSおよびAndroid版のアプリケーションも提供している。

運営にあたっているのは2名の共同ファウンダーに5名のエンジニアだ。これまでに63万5000ドルの資金を調達しているそうだ。Burazinによれば、日々新たに400名が登録していて、利用者数は20万を超えており、先週のログイン者数は5万人程度になるのだそうだ。

料金はフリーミアムモデルを採用していて、有料版は月額5ドル(年間登録では50ドル)となっている。これによりFTP、FTPS、ないしSFTPサーバーを好きなだけ利用することができる。来月中にはオフラインモードで利用できるようにする予定で、Githubなどとの連携も深めて行きたいとのことだ。

訳注:Codeanywhereの「Features」ページでは以下の機能について説明が掲載されています。

  • ブラウザ内から利用できるコードエディタ
  • ファイルエクスプローラー
  • Dropbox、Github、Driveなどとの連携
  • SSHターミナル
  • リビジョン管理

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(翻訳:Maeda, H


50歳を迎えたBASIC

50年前。すなわち1964年の今月、新しい世代のコンピュータ言語が生まれた。

そういうと、多くの人がUnixの誕生や、今でも人気のコンピュータ言語のことかと思うかもしれない。しかし今日の話題はそうではない。1964年5月1日に、BASICというプログラミング言語がダートマス大学で産声をあげたのだ。この日から、歴史の流れは大きく変わることとなった。

新言語を生み出したのはジョン・ジョージ・ケメニーとトーマス・E・カーツ、そして学生プログラマのグループだ。Beginner’s All-Purpose Symbolic Instruction Code(BASIC)という言語を生み出したのだ。コンピュータの仕組みを学習させるのに最適で、メインフレームコンピュータでは必要な制御機能などが無用となっていた。「EBCDIC ARRAY E [0:11]」といったコマンドは無用となり、単純に「HELLO」と開始の挨拶を送れば「READY」と応えてくれるものだった。

BASICは、確かに誕生当初より初心者に親切な言語であった。分かりやすい言語構造を持ち、プログラムの各行には行番号が付される。言語構造的にリニアな思考を促すようにもなっていた(最近は流行らないのかもしれないが)。最近ではBASICの人気はなくなってしまい、初心者用ということでは他の言語が使われるようにもなっている。しかしダートマスがその後に生まれた何百万というプログラマにさまざまな影響を与えたことは間違いない。

初期のBASICにはいろいろな不備もあったが、徐々になんでもできる言語へと発展していった。最初期のホームコンピュータは標準でBASICを搭載しており、筆者自身もダートマスBASICをフェラーリ化したようなTurbo Basicでいろいろとプログラムを組んだものだった。ウェブ時代になってBASICを見ることも少なくなったように感じるが、しかしまだまだOS Xでも、Windowsでも、あるいはLinux上にても現役の処理系だ。ほとんどの人が知らないかもしれないが、AndroidiOSで動作するものもある。

多くのプログラマーが以下のコードを打ち込んで実行した経験があるのではないかと思う。最初に触れた言語がBASICだったという人も非常に多いのだ。

10 PRINT “HELLO WORLD”
20 GOTO 10

「HELLO WORLD」の部分をお下品な言葉にして叱られたりしたこともあった。PRINT行でセミコロンを付ける付けないまた出力結果が変わって面白さを感じさせられることもあった。

BASICについて、もう少しく淡しい記事がこちらにある。また、ダートマス大学もこちらに記念ページを解説している。さらにオリジナルのマニュアルも公開されている。

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(翻訳:Maeda, H


モバイル用のプロトタイプを、ネイティブアプリケーション上で動作させるProto.io

ここ数年で大きく成長しつつある、モバイルアプリケーションのプロトタイピング作成サポートツールのProto.ioが、注目すべき新たな機能をリリースした。簡単にモバイルアプリケーションを作成するだけでなく、そのプロトタイプの動作を確認するためのネイティブアプリケーションが登場したのだ。iOS版およびAndroid版があり、双方の環境で、プロトタイプを実際のアプリケーションのように動かしてみることができる。

このアプリケーションを使うことで、フルに動作するアプリケーション風のものをスマートフォン上で動作させながら、プロトタイプに変更を加えていくことができるようになるわけだ。一般的にプロトタイプツールといえば、ブラウザ上で動作を確認するようなものが多いが、そこから比べると大きく進化したものということができよう。

CEOのAlexis Piperides曰く、「フルスクリーンでの動作環境を提供したかったのです」とのこと。以前はProto.ioでもプロトタイプはモバイル版のSafariやChromeなどのブラウザ上で動作させていた。しかしブラウザにはタイトルバーやアドレスバーなど独自のUIが備わっているし、必ずしもプロトタイプ表示に最適であるというわけでもなかったのだ。

また、アプリケーションを媒介することにより、作成したプロトタイプをiPhone、iPad、そしてAndroidデバイスで動かしてみることができるようになった。作成した環境と異なる環境の人に見てもらう場合にも、簡単にアプリケーション経由で見てもらうことができるようになったのだ。

もともとはキプロス発のプロジェクトで、クライアントサイドの開発をいろいろと行っていた。プロトタイピングツールはもともと自分たちで使うためのツールとして開発したものだった。きちんとしたデザインを行って開発をすると費用もかかるので、その前にアプリケーションの「テスト版」を見せて評価を促したいと考えてのものだったわけだ。しかし作ってみると、一般の人も多いに興味を持つツールができあがっていた。そこで2年半ほど前に、このプロダクトのスピンアウトを行ったわけだ。

昨年になって、Piperidesは拠点をアメリカに移し、アメリカの企業としてProto.ioを立ち上げた。今やこのフリーミアムサービスは7万の利用者を抱え、少ないながら1500の有料会員を抱えることとなっている。有料プランは月額24ドルから用意されていて、企業向けにはより高価なプランも用意されている。

また、サービスはいくつかのビッグネームによっても利用されている。たとえばPayPal、eBay、Disney、Sportify、あるいはEvernoteなどもユーザーに含まれる。他にも大小問わずさまざまな企業に利用されているし、もちろんフリーランサーによる利用も多い。

アプリケーションプロトタイプを提供するサービスには、Invision、Flintoなど最近注目を集めているところもある。またAxureやJustinmindなどのように便利なプロトタイプオーサリングツールを提供しているところもある。Proto.ioは、これまでもプロトタイプ作成時の機能や使い勝手のよさで他サービスと競ってきていた。機能比較についてはきっとこちらのサイトも参考になるだろう。

実際に動作するプロトタイプを簡単に作成できれば、たとえばメニューの反応の様子を示すためのPhotoshop画像なども必要なくなる。実装しようとするメニューを配置して、それぞれのメニューからのリンクを設定することで、より簡単に具体的なイメージを掴んでもらうことができるようになる。またもし必要なのであれば、カスタムアニメーションなどを利用することもできるようになっている。

「私たちは非常に強力なアニメーションエンジンを持っています。さまざまなアニメーションを使ってもらえますし、またタイムライン上にて、アニメーションの継続時間などを指定することもできるようになっています」とPiperidesは言っている。

さらに、もともとはスマートフォン用のデザインツールとして開発したのではあったが、smart TVやゲーム機、冷蔵庫、目覚まし時計、車(AppleのCarplayもここに含まれる)などに向けた開発にProto.ioを利用しようとする人も増えてきた。さまざまな環境に対するニーズが高まる中、Proto.ioとしてはAndroid Wearスマートウォッチには対応できるようになっている。

シード資金こそ少額であったものの、シリーズAではサンフランシスコでチーム展開を可能とする人材を得るのに充分な金額を得ようとしている。

Proto.ioのアプリケーションはiTunesのこちらないしGoogle Playで入手できる。

訳注:上のスマートフォン画面はスクロールして見ることができます。

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Box、PyConに併せて社内資産のオープンソース化を行う「Box Open Source」を展開中

Boxが公開したBox Open Sourceはすでにチェック済みだろうか。Box内部で活用されていたオープンソース系ツールを、外部の開発者とシェアしようとするものだ。

この試みについてはBoxのブログにも記事が掲載されていて、CEOであるAaron Levieのツイートにて明らかにされた。

共同電話インタビューの席では、Levieおよびテクニカルオペレーション部門のプリンシパルディベロッパーであるBenjamin VanEveryがプロジェクトについての説明を行っていた。曰く、Box Open Sourceに公開したツール群はBoxが開発して何年も利用してきたものであるとのこと。「私たちがBoxで利用してきたツール群で、ぜひいろいろなご意見なども頂きたいと思っています」とVanEveryは言っている。「私たちのメインプロダクトで利用しているものを移植したものもありますし、いつか公開できるようにしようということで開発した便利ツールなども登録しています」。

自社開発のコードをオープンソース化するというのは、Facebook、Microsoft、Google、Netflixなども行っている。オープンソース化することについては2つの目的がある。ひとつは、良質のプロダクトを外部に公開することで、オープンソース文化に寄与しようとする側面だ。そしてその裏面として、外部からの有益なフィードバックが得て、企業としての利益にもつながることもある。

VanEveryによれば、Box Open Sourceは厳格な品質管理基準を採用しており、動作についての確認もしっかり行っているものばかりであるとのこと。細かいテストを経たプロダクトのみを公開しており、品質基準に見合ったテストを経ていないプルリクエストに応じることはないとのこと。「コードの品質を保つために、継続的にビルドの更新も行っていきます」ということだ。

Box Open Sourceのサイトを開いてみると、RotUnicodeFlakyなど、Pythonのプロジェクトが先頭に配置されている。実はBox Open Sourceは、モントリオールで開催されているPyConというプログラミングカンファレンスにあわせて公開されたもので、Pythonを強調するのはその関係もあってのことだ。

今後も、いろいろな言語を使ったツール類を公開していく予定にしているとのこと。「より大きな展開をしていくための、最初の一歩であるととらえていただいて良いと思います。私たちの持つ技術をオープンソース界に提供していくことで、相互に発展していければと考えています」とLevieは述べている。

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Vicariousに注目―人工知能のスタートアップにジェフ・ベゾス、マーク・ベニオフ、ジェリー・ヤンがそろって投資

まさにテクノロジー系ビリオネアのオールスター・キャストだ。

マーク・ザッカーバーグ、ピーター・ティール他のシリコンバレーの大物がVicariousというサンフランシスコのスタートアップの成長を加速するために4000万ドルを投じたことが話題になったが、驚いたことに、大物投資家がさらに4人も現れた。

Amazonのファウンダー、CEOのジェフ・ベゾス、Yahooの共同ファウンダー、ジェリー・ヤン、Skypeの共同ファウンダー、ヤーヌス・フリース、SalesforceのCEO、マーク・ベニオフが揃ってVicariousのシリーズBラウンドに参加した。

Vicariousは今回のラウンドでの調達金額を明らかにしていないが、少額ではなかっだだろう。私の取材に対してVicariousの共同ファウンダー、D.Scott Phoenixは「エンジェル投資という規模は確実に超えている」と語った。それにしてもこの4人のスーパースターがそろって一つのスタートアップに投資するとは想像もできなかった。

Vicariousは次世代の人工知能プラットフォームを開発中だ。Phoenixによれば、 現在のAI研究は依然として1980年代に開発された畳み込みニューラルネットワーク(convolutionalneural network)をベースにしているという。

しかしPhoenixと神経生理学者の共同ファウンダー、Dileep Georgeは脳の実際の活動をもっと精密に模倣することによって精度とパフォーマンスを画期的に改善できると主張する。Vicariousは昨年の秋、Captchaの読み取りに成功してこれを実証することに成功した。

Vicariousのテクノロジーから本当の意味での最初yの知能マシンが生まれることが期待されている。

同社はまだたった30人の会社なのに5600万ドル以上の資金を集めている。Phoenixは「劇的な人員増を図る計画だ」と述べた。

Vicariousへの投資にはさらにVinod Khosla、Ashton Kutcher、Aydin SenkutのFelicis Ventures、Garry TanとAlexis OhanianのInitialized Capital、BraintreeのBryan Johnston、Box.comのCEO、Aaron Levie、Y CombinatorのSam Altman、Open Field Capital、Zarco Investment Group、Metaplanet Holdingsといったスター投資家が加わっている。

〔日本版:Vicariousとは「代理の、代償性の」といった意味〕

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