ドローン向けソフト開発のCLUEが3.3億円調達、すでにアフリカでもビジネス展開

ドローン用のソフトウェア開発を手がけるCLUEは11月15日、リアルテックファンドなどを引受先とする第三者割当増資を実施し、総額で3億3000万円を調達したと発表した。また、リクルートホールディングス執行役員である岡本彰彦氏が、2017年11月よりCLUEの社外取締役を兼務することも明らかとなった。

投資家リストは以下の通り:

CLUEはドローンの自動飛行制御やデータ管理・加工を行うためのソフトウェアをB向けに提供するスタートアップ。現在同社は、ドローン用のデータ管理クラウドサービスである「DroneCloud」を提供しているほか、ドローンを用いたB向けサービスとして、不動産物件点検、インフラ点検、空撮などのサービスを行っている。

ドローン用のクラウドサービス、そしてドローンを用いた企業向けサービスを2つの軸としてビジネスを展開してきたCLUEだが、今回の資金調達を期に彼らは転換点を迎えたことになる。それを象徴するのが、スマホで動かすドローン屋根撮影アプリの「Drone Roofer」だ。

Drone as a Service

Drone Rooferは、彼らがこれまで行っていたドローンによる屋根の点検サービスを、顧客自身が簡単に行えるように設計されたモバイルアプリだ。従来は派遣された専門パイロットがドローン操作を行うのが一般的だったが、機能を絞ることで、モバイルアプリを通して顧客が自分自身で操作を行えるようになる。

顧客となるのは屋根施工業者やリフォーム会社、損害保険会社などだ。操作は非常に簡単で、モバイルアプリとドローンを連携すれば、アプリのボタンを押すだけでドローンが上昇開始して画像を撮影する。

Drone Rooferは点検に使うドローンを含むパッケージとして提供される。初期導入費用、月額費用などはまだ調整中で未定だ。

CLUE代表取締役のを務める阿部亮介氏は、「Drone Rooferは、これまでに私たちが点検サービスで培ってきたノウハウと、私たちが持つ自動飛行技術を組み合わせたものだ。ドローンをスマホアプリで制御するのは、これが日本初だと思う」と語る。

代表取締役の阿部氏、そして取締役COOの夏目和樹氏はともにWeb畑の出身だ。阿部氏はディー・エヌ・エーでWebエンジニアを、夏目氏はリクルートでWebディレクターとして働いていた。そのバックグランドを持つ彼らから生まれたのが、“DaaS(Drone as a Service)”という考え方だ。

「最近になって企業が各種のドローンサービスを利用する例は増えているが、そのほとんどが現場までドローンとパイロットを運んで操縦するというものだった。それとは対象的に、CLUEでは、ユーザーがPCを通してSlackを利用するようにドローンを通して必要なサービスを必要な分だけ利用するという世界を目指しています。そのために必要となる自動飛行技術が私たちの強みです」(夏目氏)

アフリカ事業も展開

その自動飛行技術を利用して、CLUEはガーナ、ベナン、タンザニアといったアフリカ諸国の政府を相手にした海外事業も開始した。日本の道路とは違い、アフリカの道路の質は低く、至るところで陥没が発生する。CLUEのアフリカ事業では、その上空をドローンに自動飛行させて画像を撮影し、道路の問題箇所を割り出すというサービスを提供している。

単に問題箇所を見つけ出すだけではなく、問題が多い場所を特定して工事の優先度を知りたいというアフリカ政府側のニーズにも応えているそうだ。

「アフリカでは、十分な金融インフラがなかったからこそモバイル決済が先進国よりも早く普及した。それと同じく、トラックや道路など十分なインフラがないアフリカではドローンの普及スピードも早くなる」と、前職でアフリカ事業を手がけていたこともある夏目氏は分析する。

CLUEは2014年8月の設立で、これまでに2度の外部調達を実施している。今回を合わせた累計調達金額は約3億7000万円だ。CLUEは今回調達した資金を利用してエンジニアの採用を進めて技術開発体制を整えるとともに、海外展開の強化を進めていくとしている。

Parrot Bebop 2 Powerは最高にクールなドローン――一人称視点も可能

個人ユーザー向けドローンのパイオニア、Parrotから最近発表されたBebop 2 Powerは既存のBebop 2のアップグレード・モデルだ。カメラ、コントロール、バッテリー駆動時間、すべてが改善されている。この本格的ドローンは2個のバッテリーで60分飛ぶことができ、ParrotのVRヘッドセットとスマートフォンを利用すればカメラが写す内容を一人称視点で体験できる。

私はこのドローンのパフォーマンスに強い印象を受けた。中でも感心したのは同梱のSkycontroller 2だ。このコントローラーは手持ちのスマートフォンをセットしておきながらジョイスティックでドローンを操縦できる。実際私はドローンを操作するのにスマートフォンよりこのコントローラーの方がはずっとやりやすかった。ジョイスティックの方が操縦しやすいというのは私にとってこれが初めてモデルだった。

Bebop 2 Powerは599ドルで、FPVゴーグル、コントローラー、バッテリー2個が同梱される。ドローンの飛行にはスポーツ・モードとカメラ・モードがある。カメラ・モードを選ぶと低速で安定した動画撮影に適したひこうとなる。

Bebop 2 Powerはうれしい驚きだった。最近テストした中で最高のドローンだと思う。 チェックしてみる価値は十分ある。

〔日本版〕ビデオ中でBiggs記者が「1回の充電で30分飛行できる」と述べているのは1個のバッテリーでの飛行時間を指している。バッテリーは2個同梱されるので入れ替えることで合計60分の飛行が可能。日本語サイトから入手可能。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

作物のわずか30cm上空を自動飛行、農業ドローンのナイルワークスが8億円調達

ドローンを活用した農業ビジネスを展開するナイルワークスは10月10日、産業革新機構住友化学クミアイ化学工業住友商事全国農業協同組合連合会(JA全農)農林中央金庫を引受先とする第三者割当増資を実施したと発表した。調達金額は8億円だ。

2015年創業のナイルワークスは、「空からの精密農業」をビジョンに掲げる日本のドローン・スタートアップだ。農業用ドローン本体と、それを利用した生育診断クラウドサービスを稲作農家向けに提供している。

ナイルワークスはセンチメートル単位の精度でドローンを完全自動飛行させる技術をもつ。それにより、ドローンを作物から30cm離れた至近距離で飛行させて薬剤を散布したり、作物の生育状態を1株ごとに診断することも可能になるという。

ナイルワークスの農業用ドローンは、搭載したカメラの映像から田畑の形状を認識し、自動飛行によって薬剤を散布することができる。だから、ユーザーとなる農家に熟練のパイロットがいなくともドローンを農業に活かすことが可能だ。

大規模な農場では無人ヘリによって薬剤を散布するなどの取り組みもあるそうだが、それをドローンで行うことで、より小規模な農家でもシステマティックな農業を実践することが可能になる。

飛行1回あたりで散布できる薬剤の量は10リットルで、1ヘクタールまでの広さに対応できる。

ナイルワークスは、ドローン本体、タブレット端末、薬剤散布のスケジューリングなどを行える「農薬散布クラウドサービス」をセットとして年間100万円のレンタル料金で提供している。

同社は今回調達した資金を利用して、「自動化技術の安全性向上と生育診断技術の精緻化を進める」としている。

アメリカの超有名なモニュメント(記念的建造物)やダムもドローン飛行禁止区域に

連邦航空局(Federal Aviation Administration, FAA)が、記念的建造物やダムなど、アメリカの重要なランドマーク周辺におけるドローンの利用を規制するルールを発表した。この新たな制限では、ドローンはそのランドマークから400フィート(122メートル)以内を飛行してはならない。FAAによるとこれらのルールは、連邦政府の安全保障ならびに法執行関連の省庁(FBIなど)からの要望に基づいて制定された。

これらの場所は、これまでも増え続けていた飛行禁止区域の、さらなる追加にすぎない。これまでは、空港、(空港以外の)滑走路、軍の基地、競技場、国立公園などが禁止区域だった。おもしろいのは、今回加わった場所の半分がダムであることだ。すなわちFAAは、エネルギーや水などを供給する公共事業のための施設も、ドローンから守りたいのだ。規制が発効するのは、2017年10月5日からだ。

  • Statue of Liberty National Monument, New York, NY(自由の女神像)
  • Boston National Historical Park (U.S.S. Constitution), Boston, MA(コンスティチューション号博物館)
  • Independence National Historical Park, Philadelphia, PA(インディペンデンス国立歴史公園)
  • Folsom Dam; Folsom, CA(フォルサムダム)
  • Glen Canyon Dam; Lake Powell, AZ(グレンキャニオンダム)
  • Grand Coulee Dam; Grand Coulee, WA(グランドクーリーダム)
  • Hoover Dam; Boulder City, NV(フーバーダム)
  • Jefferson National Expansion Memorial; St. Louis, MO(ジェファーソン国立記念公園)
  • Mount Rushmore National Memorial; Keystone, SD(ラシュモア山)
  • Shasta Dam; Shasta Lake, CA(シャスタ湖貯水池)

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

WalmartがAmazonのアイデアに刺激を受けて、ドローン発着飛行船の特許を申請した

Walmartは、明らかな模倣に見える動きでAmazonへ挑戦しようとしている、ドローンの母艦となる小型飛行船の特許を申請したのだ。

1年前にAmazonが、ドローンを顧客のドアに向けて送り出す空飛ぶ倉庫の特許を取得したことを思い出すかもしれない。Walmartは今、Amazonのアイデアを取り込みたいと考えているようだ。

ブルームバーグが最初に報告したこの特許出願書には、人間が制御するドローンと自律ドローンの両方が配達のために発着することができる複数の発射台を備えて、約150メートルから300メートルの空中に浮遊するWalmartの飛行船が記載されている。

この移動可能な倉庫飛行船は、Walmartにとって土地代と、通常サードパーティ配送会社によって扱われる「ラストマイル」配送コストの両者を節約する役にたつだろう。

この浮遊式倉庫の動きは、買い物客のドルを激しく奪い合う両社による、シリーズ最新版なのだ。Amazonは急速にWalmartの競合相手として台頭しつつある、安価な商品をいち早く、ドアの外に1歩も出る必要なく届けることによって。しかし、Walmartは依然として世界最大の小売業者であり、米国中に根を張った実店舗たちは仮想的「なんでもストア」に比べて物理的な利点を持っている。

しかし機会を見逃さないAmazonは、より多くの顧客を引き込むために、自分自身の物理店舗群の構築を開始した。Amazonは、Whole Foodsの高級小売店舗群を完全に取得するために、137億ドルを支払うことを既に同意しており、更にAmazonFreshを通じて、地元における食料品配送を拡大している。

しかし、Walmartは挑戦に尻込みするような会社ではない。Amazonの配送ビジネスプランに挑戦するための他の計画を携えているはずだ。

Walmartは既に、自動機械を使用したドライブスルーピックアップをテスト中だ。必須アイテムを揃えた飛行倉庫を所有することで、物理的な場所と自動ピックアップ、そして幅広い選択肢を生かした本当にスピーディな出荷を行うことができ、Amazonを出し抜くために必要な競争力を身につけることができるかもしれない。

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(翻訳:Sako)

FEATURED IMAGE: BLOOMBERG / CONTRIBUTOR/GETTY IMAGES

啄木鳥(きつつき)のように垂直面にとまれる固定翼ドローンをシャーブルック大の連中が開発

Multimodal Autonomous Drone(S-MAD)(複数の飛行モードのある自律ドローン)は、鳥のように飛べる隠しワザを持っている固定翼のドローンだ。たとえば、屋内や広い空間でグライダーのように飛べるが、しかし垂直な面(壁)に近づくと、歯のようなものを壁に引っ掛けて停止する。これは、あの悪夢のようなBig Dogといい勝負の、世界でもっともキモいロボットである。

S-MADは、マイクロスパイン(microspines, 小さなとげ状突起)と呼ばれるものを使って、自分を粗い面にくっつける。そのとげ状突起は鋼鉄製のスパイクで、それが面の突き出た部分やふくらんだ部分を二方向からつかむ。スタンフォード大学の研究者Hao Jiangは、こう説明している:

“マイクロスパインの二方向からつかむやり方は、人間の手が飲み物のボトルをつかむときと同じだが、人間の手は指を大きく曲げてオブジェクトに巻きつけるのに対し、マイクロスパインは粗い面の微小構造に食い込んで、面のふくらみや凹(へこ)みをつかまえる”。

こういうとげ状突起は、多回転翼のドローンではすでに使われているが、固定翼のデバイスで使われるのはこれが初めてだ。この飛行機は、垂直な粗い面への着陸に失敗したことはまだ一度もなく、それは、こんなドローンにしてはすごいことだ。

この飛行機は、マイクロスパインを利用して壁に平らに張り付き、鳥のようにとまることができる。そしてデータを集めたり、環境をスキャンしたりするだろう。そして帰還の用意ができたら、スパインと翼を開いて大空に飛び立つ。シャーブルック大学の研究員Dino Mehanovic, John Bass, Thomas Courteau, David Rancourt, Alexis Lussier Desbiensらはスパインを固定翼ドローンに付けることを決め、飛行機を空中に静止させ、垂直面にしがみつかせる新しい方法を発明しなければならなかった。鳥なら、簡単にやることなのにね。 彼らのそのシステムは、飛行機を一瞬だけヘリコプターに換えて、壁に張り付くようにした。以下は、Spectrumの記事の一部だ:

これには、いくつかのトリックがある。最初のトリックは、ピッチアップ(機首上げ)作戦だ。それにより固定翼機が一時的にヘリコプターのようなものになり、プロペラだけから浮力を得て(推力重量比1.5)、翼はトルクをキャンセルするに十分な制御面を提供する〔翼がブレーキになる〕。以上により、この無人機は、所望の遅さで(レーザーレンジファインダーで見つけた)壁に接近できる。それによって得られる第二のトリックは、“適切なタッチダウン条件ゾーン”の最大化、である。すなわち接近が十分に遅くて安定しているので、感知能力のある小さなハードウェアで確実に壁にとまれる。そして第三のトリックは、とまり木システムだ。それは脚とマイクロスパインから成り、飛行機の動きにわずかな誤差があっても確実に壁にとまれるだけの柔軟性を確保している。

 

これはもちろん、まだ概念実証にすぎないが、長距離の滑空が恒久的な‘縦とまり’で終わり、そこで高所におけるデータ収集を継続する実用シナリオがありえる。そのデータ収集が終わったら飛行機は壁や崖などの面から外れて、自力で帰還する。空高く舞い上がり、自分の家に向かって滑空するのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

筑波大発、水中ドローンの空間知能化研究所が1.9億円を資金調達

テレビのバラエティー番組やYouTubeの動画などでも、今や日常的に目にする飛行型ドローンの空撮映像。国土交通省が建設・土木の生産性向上を目指してICTの活用を進める取り組み「i-Construction」の中でも、ドローンを使った測量作業のマニュアルや安全基準が用意され、建築・土木の現場など、業務での活用も盛んになってきた。

一方、水中撮影や調査はまだあまり手軽といえる状況ではない。GoProなどを使った映像も見かけるが、業務用途では主にダイバーや潜水士による有人撮影が行われている。さらに40メートルを超える深さになると、遠隔無人探査機(ROV)と呼ばれる機材が使われるが、ROVは操作が難しく高価なのが難点だ。とはいえ、近年ダムや港湾などで、水中インフラの維持・管理、高寿命化のニーズは高まっていて、より手軽に、安価で水中を撮影・調査する方法が求められている。

筑波大学発のベンチャー、空間知能化研究所の水中ドローンは、そうしたニーズに応えるべく、開発が進められている。日本では初の水中ドローン専業メーカーである空間知能化研究所は、8月21日、Beyond Next Ventures三井住友海上キャピタルおよびSMBCベンチャーキャピタルが運用するファンド、フリービットインベストメントを引受先とする、総額1億9000万円の資金調達の実施を発表した。調達により、資本金の合計は2億2180万円(資本準備金を含む)となる。

空間知能化研究所の設立は2014年6月。メカ・回路・組込みソフトウェアを一気通貫で開発する技術バックグラウンドを持つ、筑波大学出身の伊藤昌平氏を代表取締役に、またセンサー、クラウドシステムの専門家で筑波大学教授の中内靖氏を取締役会長として、共同で設立した企業だ。

空間知能化研究所が現在開発を進める、業務用の水中ドローン「SPIDER」は、母船上から電源を供給して操作していた従来のROVと比べて、小型・軽量でバッテリー駆動式。電源供給が不要な分、ケーブルを細くすることができ、取り回しやすくなっている。特別な専用コントローラーは不要で、PCとゲームパッドがあれば操作ができる。また、搭載された8つのスラスターで深度・姿勢を自動維持する機能や、画像処理による機体の位置保持機能を実装予定で、潮流などがある程度強い海でも映像撮影がより簡単に実現できるという。

SPIDERの潜行性能は300メートル。ダムや近海でのインフラ整備に必要な深度は十分にクリアしながら、従来のROVを利用した場合にかかる導入コストや運用コストを数分の1に削減できる、と空間知能化研究所では説明している。2017年11月にはSPIDERのレンタルを開始。レンタル費用は、1日あたり20万円程度となる予定だ。また2018年春には、機材自体の販売も予定している。

空間知能化研究所では今回の調達資金で、SPIDERの開発と製品化を進めるという。また、現在は市場ニーズの高い潜行性能300mのドローン開発に専念しているが、将来的には深海の探査にも使えるような製品開発を行いたいという。「構造的には1000メートルの水深にも耐えられる設計となっており、相模湾での実証実験では水深350メートルの潜行実績がある。今まであまり見られたことがなかった水中の撮影・探査が手軽にできる取り組みとして、まずはSPIDERを試しに気軽に利用してみてほしい。SPIDERのレンタル、製品化で一歩一歩、水中ドローン普及・開発のための実績を重ねていきたい」(空間知能化研究所)

Duke Roboticsが機関銃搭載ドローンのビデオを公開

軍事企業のDuke Roboticsは兵器を搭載するドローンのビデオを公開した。TIKADと呼ばれる新しいプラットフォームはユニークだ。仕組自体は比較的シンプルで、カスタムメイドのマルチローター機体の下部に小火器を搭載し、旋回、照準を行うメカニズムが組み込まれている。機関銃、狙撃銃、グレネードランチャーなどがあまり手を加えずに搭載可能なようだ。しかしこのビデオが示唆する未来の戦争は恐るべきものだ。

機体下部のジンバルが小火器を安定させ、専用パッドにカメラ画像が表示され、リモートコントロールで索敵、照準が可能になっている。かなり以前からこうしたことを可能にするテクノロジーは存在しており、最近ではAV社の無人航空機システム、Switchbladeプロジェクトなどがその例だ。実のところ、DJIのような有力ドローン・メーカーであればこうしたシステムは今すぐ片手間にでも開発可能だろう。しかし兵器は極めて限られた市場であり、その点が興味深い。

このシステムの開発者は「TIKADは政府に全く新しい能力を与え、テロリスト・グループの掃討とその際の地上兵力の死傷者の減少に役立てることが可能になる」 と述べている。開発メーカーはこの種の兵器の開発のために出資を募っている。このビデオは本質的にはクラウドファンディングによる資金集めための大掛かりなバイラル・マーケティングの一環といっていい。ともかく機関銃搭載ドローンというのは人目を引く。

Duke Roboticsでは現在イスラエル国防軍と提携してテストを行っているとしている。またオンラインでのプロダクト受注も考えている。これがこうしたビデオを製作した理由だろう。現在のテクノロジーではこうした小火器搭載ドローンを実戦に投入するのはかなりの危険がある。しかしリモートコントロールで目的地へ飛び、敵を射撃して飛び去るシステムを作ること自体は比較的簡単だ。木などの障害物に当たると自爆する。

TIKADビデオそのものついていえば、額面どおりには受け取らないほうがよい。これは現実のプロダクトではなく、資金集めのマーケティングだ。そもそもドローンに武器を搭載するのがそれほど簡単なら米軍のMQ-1プレデターやその後継のMQ-9 リーパーのような巨大で高価なシステムよりずっと取り回しのいいシステムがすでに実現していたはずだ。とはいえ、「ドローンがリモートコントロールでテロリストをやっつける」という戦場を見たいならDukeのビデオはよくできている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

DJI Sparkが180°セルフィー撮影をサポート――ソフトのアップデートで機能追加

手のひらサイズのドローン、DJI Sparkのソフトウェアがアップデートされた。オーナーには朗報だ。

今回のアップデートでパノラマ・セルフィー写真が撮れるようになった。Sparkは被写体の周囲を飛びながら12メガピクセルのカメラで21枚の写真を撮影し、一枚の180°パノラマ写真に合成する。小さなサイズのわりに解像度は3968×2976ピクセルもある。

DJI Sparkは撮影の開始、停止をジェスチャーでコントロールできるようになった。ユーザーは片手を体の横に出して約45度の角度で上に上げればよい〔友達に挨拶するようなジェスチャー。下の画像参照〕。これまでユーザーはビデオの開始、停止をスマートフォンからしかコントロールできなかった。

さらにこれも小さくない改良だが、DJIはQuickShotソフトにも改良を加え、撮影の際の円運動ないし渦巻き運動の飛行方向を変えられるようになった。またDronieモードでの飛行高度がアップし、Rocketモードでのピッチングもスムーズになった。

われわれが6月初旬にSparkをレビューしたときに感じたいちばん大きな不満はドローンの操縦のコツを飲み込むのに思ったより時間がかかることだった。QuickShotにジェスチャー・モードが採用されたことでだいぶ取扱が楽になりそうだ。

すでにSparkを所有している場合、ドローンとリモコンのファームウェアを最新のものに更新することができる。DJI GO 4モバイル・アプリのアップデートもお忘れなく。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Snap、1.5〜2億ドルで中国ドローン企業の買収を検討中か

Snapは新しいハードウェアプロジェクトの実現に向けて、外部から力を借りようとしているようだ。関係者の情報によれば、Snapは中国のドローン企業Zero Zero Roboticsと買収交渉を進めているとのこと。

The Informationが最初に報じたこのM&Aの金額は1億5000万〜2億ドルに達すると情報筋は語る。金額だけ見るとかなりの大型買収のように感じられるが、Snapにとっては、2億5000万ドル以上を支払ったとされるソーシャルマップ企業Zenlyの買収がこれまでで最大のM&Aだった(なおSnapはZenlyの買収額を公表していない)。

本件に関しSnapとZero Zero Roboticsにコメントを求めたが、未だ回答は得られていない。

Zero Zero RoboticsはHover Cameraドローンの開発元として知られている。これは空からセルフィーを撮るために開発されたドローンで、昨年上海で行われたTechCrunchのイベントでも紹介されていた。Hover Cameraは昨年10月に正式にローンチされ、Appleのオンラインストア・店舗限定で500ドルで販売されている。

夏に入り、Zero Zero Roboticsが「アメリカの大手企業」に買収されたという噂が立ち始めたときは、彼らも他のドローン企業同様、経営に行き詰まってソフトランディングを模索したのだろうと考えていた。有名な例で言えば、Kickstarterプロジェクトで一躍名が広まったLilyは、財務的な問題のせいで今年に入ってから事業を畳むと決めた

さらにSnapには、経営難に陥ったドローン企業を安く買収してきた実績がある。Lilyは倒産の代わりにSnapへの身売りを検討し(結局話はまとまらなかったが)、倒産寸前のドローン企業Ctrl Me Roboticsは実際にSnapに買収されたと言われている。大手ドローン企業DJIが発表した、Hover Cameraの競合商品となる499ドルのSparkもZero Zero Roboticsにプレッシャーをかけたと考えられる。

しかし、今回の買収話は経営難に端を発したものではない。SnapはこれまでにZero Zero Roboticsが投資家から調達してきた2500万ドルを遥かに超える額を支払おうとしているだけでなく、The Informationの情報によれば、そもそもZero Zero RoboticsからSnapに資金調達目的でアプローチし、それが買収話に発展したと言われているのだ。

Spectaclesに続くハードウェアプロダクトを模索しているSnapのことを考えると、この買収話には納得がいく。先日の記事で紹介されていた通り、現在同社はARテクノロジーを盛り込んだ新型のスマートグラスを開発中のようだが、カメラ企業を目指すSnapがドローンにも興味を示しているというのも事実だ。

New York Timesの報道によれば、Snapはドローンの自社開発も検討していたが、どうやら結局外部の助けを借りることにしたようだ。

現在Snapが成長に関して投資家からのプレッシャーを感じていることを考えると、既存の製品であっても自社のものにしたがるのもよくわかる。ロックアップ期間が終わり、関係者もSnapの株式を売却できるようになったにしては、同社の株価はそこまで落ち込んでいないが、現在の13.1ドルという株価は3月のIPO時に設定された公募価格17ドルを大きく下回っている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

救急車が入れない僻地災害地などに細動除去器を運ぶドローンをロシアの産学協同で開発

モスクワ工科大学のロシア人科学者たちが考えた、このドローンの有効利用技術では、細動除去器(defibrillator, AEDなど)をドローンに搭載して飛ばし、心肺蘇生処置を必要としている遠隔地の人を助ける。

いわば空飛ぶ救急車だが、ヘリなどに比べるとずっと安上がりだ。

このプロジェクトはモスクワ工科大学の航空宇宙研究所と、ロシアの医療機器企業Altomedikaのコラボレーションだ。

ドローンの救急利用は、オランダの設計者による2014年のプロトタイプあたりからある。しかし細動除去器を専用のドローンで遠隔の患者に送ることより重要なのは、それを一般的な市販製品にして、現存の救急体制が実際に導入し利用すること、そして、遠隔地に飛ばすにあたって安全性の基準が満たされることだ。

このロシアのドローンは最大飛行距離が50キロメートルで、最大荷重が3キログラムだ。設計者たちは、“コンパクトなサイズ”であることと、AEDの輸送にかぎらず、用途が多様であることを誇っている。

“操縦者のコントロールのもとに、このドローンは細動除去器を迅速に空輸できる。また手動操作ほかに、自動飛行もできる”、とチームは言っている。

ただしもちろん、着陸地点にはその機器を操作して蘇生処置のできる人間がいなければならない。あるいは未経験者に音声で使用インストラクションを手取り足取り教えることができる場合もある。

“細動除去器は患者の心電図を分析し、医師のためにデータを保存し、必要な場合には心肺蘇生処置の国際的な推奨手順に従って一連の放電を行う”、とチームは説明している。

チームのスポークスパーソンによると、ドローンは至近の救急車や救急センターから飛ばす。その方が、救急車が行くよりもはやい、という。

“最初に採用してくれる機関は、ロシア緊急事態省とロシア連邦保健省だろう”、と彼は言う。

彼曰く、このドローンは一般の輸送用、とくに荷物の配達にも使える。ただし最大積載は3キログラムだが。

“救急目的に限定しても、細動除去器のほかに医薬品や生体適合物質なども運べるし、カメラとスピーカーホンを載せれば医療相談などもできる”、ということだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

AIとコンピュータービジョンを使って農地の点検と分析を行うProsperaがシリーズBで$15Mを調達…農学の広範な学際化を目指す

テルアビブのProsperaは、コンピュータービジョンと人工知能を利用して農地の様子をチェックする。同社はこのほど、Qualcomm Venturesが率いるシリーズBのラウンドで1500万ドルを調達した。ほかにCisco Investments, ICV, 以前の投資家Bessemer Venture Partnersらがこのラウンドに参加した。これで同社の調達総額は2200万ドルになる(シリーズAは2016年7月に本誌が取り上げた)。

新たな資金は、グローバル市場への参加の拡大と、農家と接する現場担当者の増員に充てられる。農家が収入を上げるためには、“インドアからアウトドアへの移行が必要だ。アメリカの土地の40%は農地だから”、と協同ファウンダーでCEOのDaniel Koppelは語る。

シリーズAを獲得してから同社は、ヨーロッパ、メキシコ、アメリカなどに新しい顧客を開拓してきた。顧客の中には、流通大手のWalmart, Tesco, Sainbury’s, Aldiなどに産品を納めている農家もいる。

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Koppelによると、同社の技術も、害虫や病害の自動検出から、“農業生産のあらゆる側面のチェック”へと進化してきた。それには、作物栽培学, 耕種学, 農地管理学などの専門的農業科学の分野が含まれ、また生産性を上げるための労働管理も無視できない分野だ。

今ではDJIAgribotixなどのドローン企業がアグテック分野に進出しているが、Prosperaの場合も、投資家のQualcommCiscoが、ドローンの利用を同社に導入しようとしている。

Koppelは、それらドローン屋さんたちをコンペティターとはみなさず、むしろ将来のパートナーと考えている。“ドローンは私たちの分析のための、価値ある新しいデータを提供してくれるだろう。データが一層充実すれば、われわれが顧客に提供できる価値も大きくなる”、と彼は語る。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

無線技術で悪質なドローンに対抗するSkySafeがa16zから$11.5Mを調達

ドローンは軍民両方の安全を脅(おびや)かす。テロリストが飛ばしたやつでなく、そこらの不注意なユーザーが飛ばしたやつでも。そこでSkySafeは、電波を使って、お行儀の悪いドローンを見つけ、そいつが軍の基地やスタジアム、刑務所、空港など未許可の場所に入らないようにする。その無線信号は対象施設の外や走行中のジープからでも発信でき、未承認のドローンを立ち去らせ、許可されているドローンは飛行させる。

このほど創業二周年を迎えるSkySafeは、 Andreessen Horowitzが仕切るシリーズAのラウンドで1150万ドルを調達した。a16zのパートナーLars Dalgaardが、取締役会に加わる。a16zは、昨年の300万ドルシード資金も同社のためにかき集めた。

またSkySafeは、海軍特殊作戦組織Naval Special Warfareとの契約で特殊部隊Navy Sealsにドローン対抗技術を提供し、そのために国防総省から150万ドルの契約を獲得している。SkySafeの移動型防衛車両は前線で部隊に付き添い、その移動をドローンの攻撃や監視から守る。

SkySafeのCEO Grant Jordanは、MITを卒業後4年間、空軍の研究所でドローン対抗技術に取り組み、その後SkySafeを立ち上げた。彼はこう書いている: “今は主にDoD(国防総省)の顧客のために一連のデモやテストや訓練を行っており、システムの実戦配備は2018年になる”。

SkySafeの電波を使う方式は、そのほかのドローン防御技術よりシンプルであることが実証された。たとえばドローンを撃ち落とすレーザー兵器は、危険だし操作が難しい。迷子のドローンを捕獲するネットガン(網を放出する銃)は、有効範囲が限られている。SkySafeによると、同社のRF波(ラジオ波, 0.03MHz~300MHz)なら、対象ドローンの旅程を完全にカバーできる。

今は暴力の民主化が避けられない時代になりつつあるが、SkySafeのような防衛技術はそれに対抗できる。今後の改良により、特殊技能のないふつうの一人の人間にも使えるようになり、悪質なドローンを破壊できるだろう。戦闘は、人間が手に武器を持って戦う戦闘から、さまざまな火器、ドローン、そして核兵器へと移行していく。兵器のこのような急速な進化は、ヒトという種の絶滅危機でもある。人びとの安全を維持するためには、防衛技術の急速な進化も欠かせない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Drone Racing Leagueのレース用プロトタイプドローンがドローンの速度のギネス世界記録を達成

総重量わずか800グラム足らずのドローンが、無茶馬鹿モード(Ludicrous Mode)のTeslaの最高速度よりも速く飛ぶ。

昨日(米国時間7/13)は、Drone Racing Leagueがドローンの飛行速度のギネス世界記録に挑戦した。その正式のカテゴリーは、「電池を動力とする遠隔操縦クァッドコプターの最速対地速度」だ。

そのDRL RacerXと呼ばれるドローンの、最高設計速度は179.6 MPH(時速289キロメートル)だ。

測定はニューヨーク郊外の原っぱで行われ、ギネス世界記録の公式判定員まで招(よ)んできた。測定はドローンを長さ100メートルのコースの往復飛行数回で行われ、その平均を公式記録とした。そしてその公式世界記録は、163.5 MPH(時速263キロメートル)となった。

世界記録とは言っても、まだこのカテゴリーは先行記録がない。でもギネスの本部は、記録として載るためには128 MPH(時速206キロメートル)以上、と定めている。

記録を取得するために使われたドローンは、レースに使われるのと同じではない。レース用はRacer3と呼ばれ、最高速が85 MPH(時速137キロメートル)だ。でもこのプロトタイプのRacerXはRacer3と同じコアプラットホームだから、今後RacerXと同じ速度の、公式レースに使えるぐらい安定の良いドローンを、量産することも可能だ。

今回のプロトタイプドローンは(プロペラの回転速度46000RPM)あくまでも記録のため、そしてDRLのドローンの将来性を示すことが目的だった。今回の測定のための飛行では、一度だけ、加速を最大にしたときバッテリーの過熱でドローンが炎上したが、もちろん本物のレースではあってはならないことだ。

Drone Racing Leagueは最近シリーズBで2000万ドルの資金を、テレビ放送ネットワークSkyとLiberty Media Corporation(Formula 1のオーナー)から調達した。次のシーズンは7月20日に始まる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Facebook、太陽光ドローンAquilaの2回目の飛行試験に成功――今回は着陸もほぼ問題なし

Facebookは太陽エネルギーで駆動するドローンを上空に飛ばし、安定的にインターネットが利用できない地域にネット環境を提供するというプロジェクトに取り組んでいる。そして今週の木曜日に同社は大きなマイルストーンに達した。Aquilaと呼ばれるFacebook初の商用ドローンが、2回目の試験飛行を終え、無事に着陸を果たしたのだ。なお、1回目のテストでは着陸直前に構造上の問題が発生し、運輸安全委員会(NTSB)が調査を行っていた。

5月22日に開催されたこの試験飛行では、Aquilaが夜明け後すぐに地上を離れ、飛行時間は1時間46分におよんだ。機体は制限値の上空3000フィート(914メートル)まで上がり、上昇速度は初回のテストの倍となる分速180フィート(55メートル)を記録した。Aquilaのチームは、1回目の試験飛行のデータをもとに機体に数々の「改良」を加えた結果、この上昇速度を実現できたと話している。

上昇速度は向上したものの、そもそもAquilaは設計上そこまで速く移動できるようにはなっていないため、逆風時の時速は10〜15マイル(16~24キロメートル)程度だとFacebookは語る。しかし、Aquilaは安定したネット環境を提供するために、特定の区間にある程度長時間滞在する必要があることを考えると、飛行速度の遅さはむしろ強みだと言える。先述の通りAquilaは太陽エネルギーで駆動し、Facebookによれば消費電力はヘアドライヤー3個分とのこと。

今回の試験飛行もデータ収集が目的で、Aquilaのチームは手に入れたデータをもとに、エネルギー消費量を予測するモデルの調整やバッテリー、ソーラーシステムの最適化を行う予定だ。これらについては、もちろん試験飛行前に徹底的なシミュレーションが行われているが、細かな部分を調整するには、商業利用が始まったときの現場に近い環境でドローンを飛ばす以外に方法がないのだ。

それ以外にも、抵抗を増やして速度を落とすために新たに搭載されたスポイラーや、機体に搭載されたシステムから発される電波の強度のテストが行われた。1回目のテストで問題が発生した着陸プロセスも事前に見直され、ここでもスポイラーが力を発揮した。

新しい着陸プロセスでは機体へのダメージを軽減するために、プロペラが地面と水平に固定されるようになっており、これはテスト中もほぼ設計通りに機能したとFacebookは発表した。しかし、実際に固定されたプロペラはたったひとつで、上の動画を見ればわかる通り、残りのプロペラは着陸するまで全て垂直のままだった。しかし、着陸前にプロペラのモーターは全て止まり、機体は砂利が広がった地面にゆっくりと着陸した。さらに、機体へのダメージに関しては「すぐに修理可能なへこみが数か所」発生するに留まった。これは初回に比べればかなりマシだが、Aquilaのチームは引き続き着陸プロセスの改善に務める予定だ。

最終的にFacebookは、翼長113フィート(34メートル)もの巨大な機体を1回の飛行で最長90日間上空に滞在させ、直径60マイル(97キロメートル)の範囲にネット環境を提供しようとしている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

ガソリンエンジンで飛ぶこのドローンは理論上まる5日間の連続滞空時間を達成

先月、MITのエンジニアチームが、小型車の屋根からJungle Hawk Owlという愛称の大型ドローンの初飛行を行った。この、ガソリンエンジン(5馬力)で飛ぶ翼長24フィート(7メートル)のドローンは、彼らの設計では、一回の給油で5日間飛び続けるはずだ。

この航空機は、アメリカ空軍から与えられた課題でもある。その課題は、太陽エネルギーで長期間滞空する無人機を設計すること、だった。その機の目的は、災害地などにおける通信能力の確保だ。これまでは気球が使われていたが、一箇所に長期間滞留させることが難しかった。

MITのBeaver Works研究所の複数のチームが課題に取り組んだが、ソーラーの利用は早々に放棄された。研究を指揮したWarren Hoburg教授によると、現在のソーラー技術では、パネルの面積を相当大きくし、重い大型の電池を積まないかぎり、長期間の滞空は無理である。また、冬季や高緯度地域では、十分な日照が得られない。

“ソーラーを見捨ててガソリンエンジンを使うのは、確かにかっこよくないけどね”、と彼は語る。“あくまでもソーラーでやろうとすると、時間とお金を湯水のように使っただろう。ガソリンにしたおかげで、最初の飛行はすでに成功した。設計も容易だし、燃料の消費量も少ない。テスト飛行場へ車で行くために使ったガソリンの量で、このドローンを三日飛ばせるね”。

優勝チームはドローンのプロトタイプの設計に、HoburgのPythonベースのモデリングツールGPkitを使った。炭素繊維とケブラーを使った軽い機体の重量は55ポンド(25キログラム)、有効積載量+ガソリン満タンで150ポンド(68キログラム)になる。専用の靴箱サイズの通信機器は、MITのLincoln Labsがこのプロジェクトのために特別に設計した。機体は簡単に分解して任務地へ運び、簡単に組み立てられる。

チームによると、この機は災害救助以外にも、GoogleやFacebookが長年苦労している“インターネットアクセスの全地球的供給”、という夢の実現にも寄与するだろう(すでに放棄されたプロジェクトもあるが)。ただし、完成と実用化までは、まだまだ課題も多く、この夏のテストのためには、実際に5日間連続飛行させるために、FAAの許可が必要だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

MITのドローンは飛行と走行を切り替え、互いに協調して都市交通を最適化する

MITの”Computer Science and Artificial Intelligence Lab”(CSAIL:コンピュータサイエンスと人工知能研究所)は、飛行と地上走行の両者が可能なドローンの新しいプロトタイプを開発した。バッテリー寿命、速度、効率性の観点から最適な手段を探るために用いられる。それは未来の自律型都市交通がどのように運営されるかをプレビューするもので、飛行する車両たちが、お互いに協調しながら密集した都市環境を、シームレスに道路と空路を切り替えながら移動する。

MITで開発されたシステムは、旧来の道路、建物、模式的な公園などを備えた都市ブロックの縮小モデルの中で動作する。現時点ではプロトタイプは理論的には同時に80台の車両を効率的に協調させることができる。着地点、街路、飛行禁止地区その他を、問題なく扱うことが可能だ。

CSAILの研究者たちは、車輪で地上を走行できる8台のクワッドコプタードローンを作製した。これらは走行なら252メートル、飛行だけなら90メートルまでの移動が可能だ。チームは、鳥や昆虫を含む、自然に存在する多くの動物たちが、利便性と必要性に応じて飛行と歩行を切り替えていることを指摘している。そして彼らの作ったロボットも同様に、バッテリー寿命を最大化できるように両方のモードを切り替えるようにデザインした。

写真提供:Alex Waller, MIT CSAIL.

フライングカーは、密集度の高まる都市環境での移動方法を改善する方法を、探している研究者や民間企業の間で、関心が高まっている領域だ。しかしながら、純粋な飛行は地上走行よりも遥かに大きなパワーを必要とするため、バッテリーの寿命が大きな制約として残されている。現在のバッテリー技術では充電無しでの連続飛行が難しいのだ。混合システムは、理論的には、バッテリ技術の改善の必要性を最小限に抑えながら、トラフィックを軽減し、最終的にはフライングカーをより早期に実現するために役立つ。

これは、フライングカーを日常生活に本当に役立てる方法として、私がこれまで見たものの中では最もクールなアイデアの1つだ。明らかに、本格的なシステムという意味では、コンセプトから現実に至るまでにはまだまだ長い時間がかかるが、いずれにせよこれが始まりだ。

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(翻訳:Sako)

二台のドローンとWi-Fi信号で厚い壁の中の状況を3D画像化できる、Google Tangoも活躍

カリフォルニア大学サンタバーバラ校の研究者Yasamin MostofiとChitra R. Karanamが作ったシステムは、二台のドローンと大きなWi-Fiアンテナと、少々の補間計算によって、厚い壁を透視できる。

このシステムは二台のドローンの共同作業で、片方が構造物へWi-Fiを照射し、他方がその信号を拾う。そして二台はその構造物の周囲を飛びながら、各地点で信号の強度の違いを記録していく。そうすると、その情報から閉じた建物の3Dモデルを作れる。

下のビデオでは、ドローンたちがレンガの構造物の回りのんびりと飛んでいる。彼らにその内部は見えない。電波がレンガを貫通し、壁の向こう側にある別の構造物を通過すると、信号が変わる。何度かそのデータを計測したあとで、ドローンたちは構造物の全体を高い解像度で図像化し始める。

“われわれが提案しているやり方では、無人航空機がWi-Fiの信号だけで壁を3Dで透視し、詳細な画像を作れる”、とMostofiは語る。“利用するのはWi-FiのRSSIだけで、事前の測定などはいっさい行わない。また画像を作るためにオブジェクトを動かす必要もない”。

最初はオブジェクトの2Dのモデルを作ったが、すぐに3Dにアップグレードできた。使用したのはシンプルなWi-FiルーターやGoogle Tangoを実装したタブレットなど、一般市販のデバイスだ。受信側は、Raspberry PiとWi-Fiカードを使っている。二台のドローンは対話しながら自力で行動する。

壁の向こうに見えるものは、映画「プレデター」のような像ではないが、でも災害などの緊急時には、ドアをぶち破らなくても建物の中を知ることができる。研究者たちは、考古学の調査にも使えるはず、と言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Googleの無人ドローンによる自動配達プロジェクトProject Wingが第一段階のテストを完了

Googleの実験的部門Google Xの、ドローンを使った無人配達のプロジェクトProject Wingが今日(米国時間6/7)、その取り組みの重要なアップデートを一般に共有した。同社は、無人航空機システム(Unmanned Aircraft Systems, UAS)の航行管理に関する、FAAとNASAが制定した一連のテストを完了した。それは、人間操縦者のいない機がある地点まで到達して、荷物やそのほかの品物を、大規模に自動化されているネットワークの一部として配達できるために、欠かせない要件だ。

Project Wingは、未来のための準備だ。その未来には、同社やそのほかの企業が、数千機から成るドローンの編隊を運用し、荷物の配達などの機能を実行している。そしてその飛行は、建物や悪天候やそのほかのUASに遭遇する環境で安全にインテリジェントに行われる。さまざまな要素が楽器のように加わるその交響曲は、有能な指揮者を要するが、バージニア工科大学のテストサイトで火曜日(米国時間6/6)にWingが行ったテストは、まさにその存在を示した。一人の地上操縦士が3台のWingドローンを同時にコントロールし、それぞれに、別々の集荷と配達ミッションをやらせた。そしてそのとき、同じ空域に、Intelのドローン2機とDJI Inspire 1機を飛ばせて、全員が同時に航行した。

そのデモでは、Wingの航行管理プラットホームが実際の野外環境で、それら全機の航路を自動的に計算把握し、それらを避ける自分の航路を飛行中にリアルタイムで見つけていった。このプラットホームを作るときとくに力を入れたのが、同じ空域を複数のドローンが飛んでいるときの航路計画、リモートの操縦者やその空域の各種警報によって予期せぬ変化が起きたときの通知と対応、そして山火事などの事変に対応する自動的な航路修正だった。

次は、もっと多い台数による同時飛行と、もっと複雑な環境に挑戦する。今回のテストは、あたりにほとんど何もない、都市部の複雑過密な空域とは大違いの環境で行われた。まだまだ初期的なテストだが、自動化ドローンによる自動配達の実現のためには絶対に必要な過程だ。規制当局を満足させ、都市の住民の安全を確保するためには。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

5年以内に“ドローン前提社会”がやってくる――千葉功太郎氏が新ファンドを立ち上げたワケ

Drone Fundの千葉功太郎氏

コロプラ元代表取締役副社長であり、個人投資家として活動を続けていた千葉功太郎氏。同氏がドローンスタートアップに特化した投資活動を開始する。ドローンスタートアップに特化した投資ファンド「Drone Fund(ファンドの正式名称は「千葉道場ドローン部1号投資事業有限責任組合」以下、ドローンファンド)」を6月1日に立ち上げた。

ファンド規模は約10億円。Mistletoe代表取締役社長兼CEOの孫泰蔵氏ほか、著名投資家複数人が出資する。千葉氏は経営者、投資家として活動するかたわらで、140時間以上のドローンの飛行経験を積み、個人で20台以上のドローンを保有。国土交通省の全国包括飛行許可(改正航空法の制限を超えて人口集中地区などでドローンの飛行が可能)を取得しているという、いわばドローンのスペシャリスト。ドローンファンドではそんな千葉氏に加えて、ORSO代表取締役社長の坂本義親氏、日本マイクロソフト業務執行役員の西脇資哲氏、クリエイティブホープ代表取締役会長の大前創希氏、アスラテック ロボットエバンジェリストの今井大介氏、慶應義塾大学メディア研究学科特任講師の高橋伸太郎氏、執筆・IT批評家の尾原和啓氏というドローンに精通した6人が投資先企業を支援する。また、リバネスと提携し、同社がネットワーク化する研究者・町工場とのプロダクト開発についても視野に入れていく。

ドローンファンドの立ち上げに先立ち、5月30日には会見を開催。合計11社のドローンスタートアップへの出資(1社非公開)を発表した。各社の概要は以下の通り。

Dron ë motion(ドローンエモーション):ドローンを使った観光PR空撮、パイロット養成
アイ・ロボティクス:ドローン技術の市場調査やインテグレーション、高度常駐型ドローンの研究開発
ドローン・ジャパン:稲作に特化したドローン農業リモートセンシングサービス
ドローンデパートメント:ドローン専門の人材派遣・紹介・ダイレクトリクルーティング事業
CLUE:産業用ドローン自動運転・遠隔制御ソリューション提供
エアリアルラボ:ドローン技術の市場調査、インテグレーション、有人ホバーバイクの開発
かもめや:ドローンを使った陸・海・空の無人物流プラットフォームおよびドローン開発
FPV Robotics:ドローン協議会の企画・運営、パイロット養成
Drone IP Lab:ドローンファンド投資企業先の特許の共同出願・管理・販売等
yodayoda:非GPS環境下でのドローンの自己位置推定技術を開発

 

Drone Fundの投資企業と領域

ドローン市場、「ネットバブルの頃と似た雰囲気」がある

日本での法整備(改正航空法)以前から個人でドローンに注目しており、事業者以外では珍しいドローンパイロットの資格を取得した千葉氏。母校の慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(以下、SFC)で、OBとしてドローンの授業を受け持つことに。「もともと、ゲームの授業で学校側から打診があったのですが、時代の流れ的にドローンだろう、と。そう思い、学校に提案したら、ドローンについて教えることになったんです」(千葉氏)。その授業は結果的に盛況だったようで、大きな話題になったという。

こうした成果が認められ、今度は大学と民間企業が連携し、“ドローン前提社会”実現に向けて共同研究を行う「慶應義塾大学SFC研究所 ドローン社会共創コンソーシアム」の立ち上げメンバーに加わることを打診され、これを快諾。ドローンが当たり前のように空を飛び、万人に受け入れられている“ドローン前提社会”の実現に向け、インターネットに安定して接続する方法の確立や、法の整備に取り組んでいるそうだ。

千葉氏がドローンで撮影した写真

「個人的には、インターネットに接続されたドローンが当たり前のように空を飛んで、モノを運んだり、監視をしたり、それをクラウドで管理できる『ドローン前提社会』が5年以内に実現すると思っています。この2年でドローンの面白さや可能性に気づけましたし、何より社会的認知が広がり、いよいよ産業として伸びる芽が出てきた、と感じています」(千葉氏)

当初ドローンといえば、首相官邸に墜落するといった報道が先行したこともあって、規制の対象となり、ネガティブなイメージがないわけではなかった。しかし、千葉氏によればこの2年間で規制ではなく利活用に注目が集まり始め、ドローン事業を手がけるスタートアップも増えてきているという。

国内のドローンサービス市場の成長予測

「インターネットで例えるなら、1999年くらい。個人的にはインターネットバブル前夜のようなイメージが、今のドローン産業にはあります。(インターネットと)同じように社会のインフラになるもの。これまで活用されていなかった、日常生活と密着している地上150メートル以内の空域をドローンなら上手く活用できる。IoTデバイスが、インターネット上のパケットのように飛び交う。今は『荒唐無稽じゃないか』と言われるかも知れませんが、ドローンでいろんなビジネスが立ち上がる予感がしています。ドローンは社会の隅から隅まで入り込んでくでしょう。だからこそ今全力で突っ込んでいるのです」(千葉氏)

また、千葉氏は日本というマーケットが持つ可能性にも着目しているそうだ。今はまだ、中国やフランスに比べてドローンの活用が進んでいない“ドローン後進国”の日本だが、これまでにものづくり大国として築き上げてきたハードウェア、ソフトウェア両方の技術力がある。これを統合的にプロデュースしていくことができれば、日本にもチャンスがあると語る。

インターネット産業と同じくらい大きくなるかもしれない。ドローン産業の可能性に魅せられたからこそ、千葉氏はこのタイミングでドローンスタートアップに特化したファンドを立ち上げ、投資活動を開始したというわけだ。現在のドローン市場は、ドローンメーカーDJIを中心に、中国がシェア8割強と言われている状況。対して日本のシェアは基礎技術こそあるモノの、1割にも満たない状況。千葉氏は会見でもドローンスタートアップのハード、ソフトを連携させ、いわば1つの「日本ドローン株式会社」として、日本発世界に挑戦していくと語っていた。

スタートアップと投資家をつなぐ役割に

すでに11社への投資を発表しているドローンファンド。投資先に対しては、千葉氏のエンジェル投資先の起業家限定コミュニティ「千葉道場」のノウハウを活用し、ドローンスタートアップの起業家に資金調達の方法や経営の手法など、会社を大きくしていくためのメソッドを教えていくそうだ。

実際、ドローンファンドの投資先メンバーは、研究職出身だったり、ラジコン関係のメーカーだったり、軍事関連だったりと、いわゆる「テック業界」とは異なる畑の出身者が多い。そのため、資金調達し、レバレッジをかけるという手法について知らないことも多いのだという。「ドローン産業を育てていくためには、インターネット企業が培ってきたメソッドを伝えていく必要があると思っています。そうしなければ、『素晴らしいけれど小さな会社』で終わってしまう可能性がありますし、何より産業が成長していかない」(千葉氏)

また、千葉氏は「ドローン産業には興味があるけれど、個別に投資をするのはちょっとリスクがある。そんな投資家とスタートアップをうまくつなげる役目も果たせらばいいな、と思っています」とも語る。同ファンドはスタートアップと投資家をつなぐ、橋渡しのような役割を担っていくことも想定している。

また、ソフト、ハードと多岐にわたる技術を開発するには、ネットサービス以上に知財管理の重要性が増してくる。そこで投資先でもあるDrone IP Labを通じて投資先の特許を共同で出願したり、特許の管理・売買をすることで、スタートアップ単体では実現できないIP戦略を実現していく。

最後に千葉氏がドローンで撮影した動画をリンクしておく。記事で紹介した写真とあわせて、まずはドローンを使って何が実現できるのか、想像してみてほしい。