Facebook、F8カンファレンスでデート機能導入を発表

F8デベロッパー・カンファレンスでFacebookのCEO、マーク・ザッカーバーグはデート機能を追加すること発表した。FacebookはTinderの縄張りに侵入することになる。

ユーザーがデート機能にオプトインすると新しく「デート用プロフィール」を作成することができる。このプロフィールはFacebookの通常のプロフィールとは異なり、友達には表示されない。見ることができるのは同じくデート機能にオプトインしてプロフィールを作成した友達以外のメンバーだけだ。

Facebookはプロフィールをベースに多数のシグナルを比較してデート相手のマッチングを行う。Facebookは他のデートアプリに比べてはるかに詳しいユーザー情報を持っているのでマッチングの精度も高くなる。この機能は今年中にテストが開始される。

Facebookでは「新機能は〔デート用プロフィールの〕諸要素、共通の関心や友達などを勘案してデート相手の推薦を行う。Facebookのメンバーはグループやイベント機能を通じても共通の関心を持つ相手を発見できる」と説明している。私自身、この2月にTechCrunchでFacebookはデート機能を導入すべきだと主張したことがある。

Facebookのデート機能の仕組みはこうだ。

  1. デート機能にオプトインして専用プロフィールを作成する。このプロフィールはファーストネームだけで表示される。デート用プロフィールは友達には表示されない。読むことができるのはデート機能を利用している他のメンバーだけで、ニュースフィードにも影響しない。
  2. 利用者は近くのイベントやグループをブラウズして、関心が一致する利用者を発見しデート相手として「アンロック」することができる。他のユーザーも「アンロック」している場合、そのデート用プロフィールを見ることができる。
  3. デート用プロフィールには自分についての基本的な情報の他に何枚かの写真をアップロードすることができる。共通の関心その他Facebookが保有する情報をベースにデート相手の推薦が行われる。
  4. 双方がFacebookの推薦に興味を抱いた場合、MessengerとWhatsAppの専用窓を利用して直接会話を始めることができる。セキュリティー上の理由からここではテキストのみ利用できる。

Facebookがきっかけで交際を始め、結婚にまで至った例はすでに無数にある。Facebookには長期的なパートナーを得ることを目的とするマッチング機能を確立するのに十分な能力とチャンスがある。Tinderのようなデートアプリが手っ取り早く交際が始められることをセールスポイントとしているのとは対照的だ。投資家はFacebookのデート市場参入がTinderのビジネスに危険をもたらすと判断したようだ。Facebookがデート市場に参入すると発表した後、Tinderの運営会社、Match Groupの株価は17%ダウンした。

しかし最大の課題はFacebookが従来のソーシャルネットワークから新しいデート用ネットワークを十分に隔離できるかどうかにある。ユーザーとしてはソーシャルのすべてを一つのサービスに委せてしまうことに及び腰になるかもしれない。また推薦された相手とのチャットや現実のデートで痛い目にあったユーザーは責任はFacebookと責めるだろう。そうではあっても、Facebookの最高プロダクト責任者、Chris Coxが説明するように、「詳細なユーザーデータ、遍在性、ユーザーの身元の確実性などからもFacebookというプラットームはデート機能の実装に本質的に向いている」といえるだろう。

少なくともFaceDateは他のアプリに比べて「なりすまし」にいっぱい食わされる可能性ははるかに少ないはずだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebookはいかにしてフェイクニュースと戦うべきか:フェイクニュースの発信者から利益を得る方法

(日本語版注:本稿は、Amber Caseによって執筆された。Amber CaseはGeoloqiの元CEOであり、SXSWiとTEDでは基調演説を行った。著書には「Calm Technology: Designing for Billions of Devices and the Internet of Things」(O’Reilly Media)がある。現在はハーバード大学のBerkman Center for Internet and Societyのフェローを務める)

 

Facebookを始めとするプラットフォームでは、今でもSNSに投稿される虚偽的な内容の怪しい「ニュース」の蔓延と戦っている。

先日、Cambridge AnalyticaとFacebookの企業対応の遅れが発覚したことで、現在進行形の、同程度に深刻な問題から人々の目がそらされてしまった。それは、Facebookをしばらく使っていると、かならず怪しスポンサー記事広告が画面に現れるというものだ。とりわけ、重大な事件が発生し、影響力を持つアメリカ国内外のネットワークがリーチを拡大しようと競い合いを始めたときに、とくに多く見られる。簡単なユーザーアンケートによってこの危機に対処するという、先に発表されたFacebookの計画は、どうも信用できない。

その根底にあるのは、経済というよりは思想の問題だとよく言われる。Facebookのようなサイトは広告収益に依存しており、メディア企業はFacebookの広告を利用して自分たちのウェブサイトに人々を導き、そこで利益を得ている。こうした活動的なメディアでは、評判が良いメディアでさえ、そこから配信されるものには、クリックを促すための、本題よりも優先される暗黙の誘因が仕込まれている。

道義心の低い業者は、さらに一歩進んでいる。そう信じたいと願っている人々の感情に的を絞って、嘘とまでは行かないがいい加減な、あるいはまったくのでたらめな記事をでっち上げるのだ。事実、2016年の大統領選挙期間中に流された政治関連の嘘ニュースのほとんどは、ロシアの諜報機関が流したものではなく、政治勢力をゆがめようと偽情報をまき散らす怪しい連中の仕業だった。こうした問題の拡大は、一企業であるFacebookには大きな負担だ。ファクトチェックを行う人財を大量に雇い入れて、自らのプラットフォームで広告として掲載されている怪しい記事をすべて審査するなど、現実的ではない。

Facebookには、もっとよい、確かで、費用対効果が高い方法が使えると私は信じている。Facebookユーザーの集合的な観察力をテコにして、嘘ニュースを炙り出し、それを出した広告主の責任を追及して、そのような手口で利益を得ようという考えを改めさせるのだ。

まずは、ユーザー主体のコンテンツ審査がある。数多くのインターネット・サービスですでに採用され成功している手法だ。たとえば、ドットコム時代のデートサイト「Hot or Not」では、デートサービスを開始した時点で節度が乱れる問題にぶち当たってしまった。そこでHot or Notでは、ユーザーの節度を管理するモデレーターを多く雇用する代わりに、一部のユーザーを選び出して、アップロードした写真が不適切なもの(ポルノやスパムなど)でないかどうかを判断させることにした。

ユーザーはペアになり、写真の可否について、同意に至るまで投票を続ける。大多数のユーザーから不適切と指摘された写真は削除され、その正しい判断を下したユーザーには報償ポイントが贈られる。意見が分かれる写真のみがHot or Notの審査担当者に送られ、最終判断が下される。通常、そこへ送られる写真は、全体のほんのわずかな割合だ。

Facebookは、もっと有効に、こうしたシステムを採り入れられる立場にある。ユーザー数が格段に多く、その人たちの粒度の細かい情報を把握しているからだ。Facebookは、ユーザー層や思想の違いに基づくユーザーの小さなサブセット(数十万人規模)を簡単に選ぶことができ、コンテンツの審査を依頼できる。報酬が得られるならば、ユーザーはモデレーターとして適切に対応してくれるはずだ。

  • 真偽の怪しい記事を含むFacebook広告の問題に対して、この審査方式は次のように進められる。
  • ニュースサイトが記事や動画の広告料金をFacebookに支払う
  • Facebookは料金を第三者預託とする
  • Facebookは、その記事に信頼性があるか否かの判断をボランティアとして行う選ばれたユーザーに広告を表示する
  • その人たちの大半(60パーセント以上)が信頼できると判断すれば、その広告は自動的に配信され、Facebookは広告料を受け取る
  • 60パーセント以上の人が信頼できないと判断したものに関しては、Facebookの内部審査委員会に送られる
  • 審査委員会が信頼できると判断すれば、その広告はFacebookに掲載される審査委員会が信頼できないと判断すれば、その広告は掲載されず、Facebookは広告料金のほとんどを広告主に払い戻し、10〜20パーセントを審査手数料として受け取る

(Photo by Alberto Pezzali/NurPhoto via Getty Images)

私は、嘘ニュースの一貫性のある特定が幅広いユーザー層によって行われ、Facebookの労働時間と人件費は大幅に削減されるものと信じている。さらに、私のこのシステムを導入すれば、企業は政治的な偏見による非難から身を守ることもできる。マーク・ザッカーバーグは正直にこう言えばいい。「アレックス・ジョーンズさん、申し訳ないが、あなたの嘘ニュース広告の掲載を拒否したのは私たちではない。ユーザーたちなんですよ」と。おそらく、さらに重要なこととして、Facebookは人件費を抑えることができるだけでなく、嘘ニュースを排除することで利益を上げられるはずだ。

この戦略は、他のSNSにも採り入れることができる。とくに、TwitterとYouTubeだ。この流行病に本当の意味で打ち勝つには、Googleを代表とする主要なインターネット広告主も、同様の審査方法を採り入れるべきだろう。ユーザーの同意によるフィルター・システムのレイヤーは、個人やグループが自発的に発信し、またはボット・ネットワークによって拡散される怪しいコンテンツにも応用できる。

民主主義的制度における私たちの信頼を損なわせようと必死になる軍勢との激しい戦いの中で、この方法が唯一、私たちに勝ち目を与えてくれるものだと私は確信する。毎週のように、新しい記事の見出しが私たちの想像を超える規模で増えている。私がこの記事を書いた目的は、シリコンバレーが行動を起こさない言い訳としてよく使う言葉に反論するためだ。彼らはこう言う。「スケーラブルじゃない」と。しかしこの場合、スケールこそソーシャル・ネットワークが持つパワーなのだ。それが最大の防御力となる。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Facebookは個人的目的のための募金で手数料を無料にした

Cambridge Analyticaに関するあらゆることで責められているFacebookは、それでもまだ、何か良いことをしたい、と望んでいる。今日Facebookは、個人的目的で活動資金などを募金する場合、手数料を無料にする、と発表した。

これまではアメリカで4.3%、カナダで6.2%徴収していた手数料が無料になる。これらの手数料は、募金の目的や募金者の人物を審査するための費用、とされている。これからは、これら安全と保護のための方策に関わる費用を、Facebookが負担する。

Facebookの社会福祉ツール部門のトップAsha Sharmaは、次のように述べている: “この件についてはわれわれもまだ勉強中だが、とにかく人びとの福利を最大にしたいのだ”。

Facebookが無料でも、決済の費用や税金はかかる。アメリカとカナダでは決済の処理費用が2.6%+30セントだ。Facebookは、資金募集ツールの新しい機能を二つ発表した。

ひとつは、人びとが寄付を非営利の資金募集者宛てにできること。もうひとつは、個人の募金目的の種別の拡大だ。これまでのように、動物愛護や個人的緊急事態だけでなく、これからは医療目的のためのコミュニティの旅行や、養子縁組のような家族関連の目的、宗教的イベント、ボランティア活動の支援などでも募金ができる。

これまでに集まった募金の額をFacebookは明かさないが、同社の社会福祉ツールは、75万あまりの非営利目的の寄付獲得を助けた、という。Sharmaは個人的募金目的について、“これらすべての分野や種別で活動があるから、対象に含めざるをえなかった”、と言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebook、逆風の中Q1の売上は予測超え、1日あたりユーザー数は14.5億人に

データプライバシーを巡る厳しい批判の中、Facebookは広告マシンとしての回復力を見せウォール街予測の売上114.1億ドルを出しぬいた。同社は2018年Q1の決算報告で、売上119.7億ドル、1株当たり利益(EPS)1.69ドルを記録した。ウォール街予測のEPSは1.35ドルだった。

Facebookは1日あたりアクティブユーザー(DAU)を4800万人増の14.49億人、前期比3.42%とし、低調だった前四半期の成長率2.18%から回復を見せた。しかし月間アクティブユーザーの増加は7000万人増の21.96億人に留まり、成長率3.14%は前四半期の3.39%よりわずかに減少した。1日あたり、月間ともに対前年比では13%増で、一連のトラブルがFacebookの成長を損なっていないことを示した。

今期はおそらくFacebookが上場して以来最も揺れ動いた四半期だった。Cambridge Analyticaスキャンダルとデータプライバシーの扱いに対する批判が高まり、デベロッパー機能の大幅な制限やZuckerbergの議会証言へとつながった。前四半期、Facebookは史上初めてユーザー数の減少を経験し、米国とカナダ市場では健全性強化のためのポリシー変更の影響でバイラルビデオが減りユーザー数が70万人減少した。

今期Facebookは米国・カナダのユーザー成長を取り戻し、前期の1.84億人から1.85億人へと復活した —— ただしこれは2017年Q3の水準に戻っただけだ。月間アクティブユーザー数も2.39億人から2.41億人へと増えた。これは、人々がFacebookのプライバシーに対する取組みに異議を唱えながらも、ニュースフィードを捨てるには至っていないことを示している。

Facebookのウェブでのプレゼンス減少を象徴するように、全広告収入の91%にあたる107億ドルをモバイルが占め前期の89%から上昇した。Facebookの利益は49.8億ドルに達し、低調だった前期の42.6億ドルから復活した。ユーザー当たり平均売上は前年比30%増の5.53ドルで、これは今期のヨーロッパとアジア太平洋地域での強い伸びによる。Facebookの社員数は前年から48%増え、セキュリティーおよびコンテンツ監視要員を2018年中に倍増するという約束を半分達成した。

最近のスキャンダルは株価に大きなマイナス圧力を与えたが、同社は今がお買い得だと考えているようだ。Facebookは株式買い戻しプログラムを90億ドル拡大した。当初の計画は60億ドルで、うち40億ドルをすでに支払っている。目的のひとつは社員への大量の株式配分を補正するためだが、CFO David Wehnerはこれは「機に乗じた」ものだとも言う。すなわちFacebookは今の株価を低すぎると認識している。ウォール街はこの決算に満足のようで、時間外取引の株価は4.38%アップの166.68ドルだった

問題は、広告透明化という新たな要件やデベロッパープラットフォームの取締りとその健全な利用に向けてのFasceookの努力が次期売上に反映されるのかどうかだ。一連の変更によって、広告主が怖じ気づき、ユーザーの遊べる機能が減る、これまでユーザーが気分を害しながらもスクロールし続けてきたレベルの低いバイラルコンテンツは一掃されるかもしれない。

CEO Mark Zuckerbergはこう書いている。「重大な課題に直面しながらも私たちのコミュニティーと当社の事業は順調に2018年のスタートを切った。私たちの責任を広い視野で捉え、自分たちのサービスが間違いなく善い目的で使われるための投資を行っていく。同時に私たちは、人々がつながりとコミュニティーを強力にして世界がもっと密につながるための新しいツール作りを続ける必要がある」。

決算電話会見に基づくアップデート:

  • Zuckerbergによると、Internet.orgは1億人の人々をインターネットにつなげた。2016年11月には4000万人だった。
  • 2億人の人たちが「有意義なグループ」に属している。昨年の1億人から増加したが、目標の10億人にはまだ遠い。
  • WhatsApp Statusは、Facebook傘下のSnapchat Storyクローンとして他を引き離して最大となった。1日あたりユーザーは3億人で、最後にFacebookがデータを公表したときのInstagram Storiesと同じだ。
  • フィードを読むよりもStoriesを見るユーザーが増えてくると、FacebookはStoriesの広告をフィード並に充実させて収益ストリームを確保する必要がある。
  • Facebook CFO David Wehnerは、 Q2にはGDPR(EUのデータ保護規則)の影響でFacebookのヨーロッパユーザー数は横ばいか減少となる可能性があり、広告収益にも影響するかもしれないと警告した。
  • Zuckerbergは、iOSとAndroidがスタートしたとき、Facebookがまだ小さかったためにモバイルエコシステムの整備がきちんとできなかったことも最も後悔している、と語った。これは将来VRとARでFacebookが主要な役割を占めることにZuckerbergが強くこだわる理由だ。VRとARは未来のコンピューティングプラットフォームになると彼は信じている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GDPRでヨーロッパのユーザー数が増えないとFacebookが警告、ユーザー同意の部分をできるだけ簡素化

ヨーロッパの包括的なプライバシー法GDPRは、5月25日に施行される。そしてFacebookは、この法律の要件として、サービス規約の変更にユーザーの合意を得なければならない。そこで今日(米国時間4/25)の、2018Q1の好調な決算報告でFacebookのCFO David Wehnerは、“GDPRの施行によりQ2にはMAUまたはDAUが横ばいないし減少すると思う”、と述べた。彼はまた、GDPRにより広告への大きな影響はないと思うが、軽微なインパクトはあるかもしれないのでそれを監視する、と述べた。Wehnerによると、GDPRはグローバルなオンライン広告業界に影響を及ぼすが、Facebookへの影響を今から特定することは難しい、という。〔MAU: monthly active users, DAU: daily … …〕

Wehnerのその後の説明では、“ユーザーに規約の変更への合意を求めたりすれば、MAUやDAUが減ったり横ばいになったりするだろう、という意味だ”、という。またFacebook自身の説明では、そのGDPRのプロンプトでユーザーが広告のプライバシー設定を変え、ターゲティングを減らすようにすれば、広告効果が落ちて、広告主が広告に対して支払う額(すなわちFacebookの広告収入)も減るだろう、ということだ。

Wehnerの説明では、今後も人びとのプライバシーを護ることは継続するし、“基本的には、弊社の広告事業の規模は変わらないだろう”、という。彼によると、重要なのは、広告主にとってのFacebookの相対価値だ。GDPRの影響はFacebookだけでなく、すべてのプラットホームに及ぶのだから、理論的にはそれも変わらない、と彼は言う。

Facebookは先週、GDPR関連の変更と、ユーザーの同意を求める部分を公開した。その部分はいわゆる“ダークパターン”のデザインで、ユーザーが深く考えなくても同意できるようになっている。またFacebookの許可を取り消したり変更を拒絶してアカウントを終了するためのボタンは、ひっそりと小さい。

Facebookは、ユーザーにとって邪魔にならないことを、第一に心がけたのだろう。目立たないデザインによって、ユーザー数の減少も防止したい。 Wehnerが言うのは、プライバシーの保護やGDPRとFacebookの関係などについてユーザーに大げさな選択を迫るのではなく、単純に規約の一部変更に同意を求める、ということだ。GDPRなんて、元々ユーザーには関係ないことだから。

Facebookの2018Q1の決算報告記事も、ご覧ください。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebookは人事異動でアメリカのポリシー担当とプライバシー担当トップを刷新

メンローパークでは、試練の時が続いているようだ。プライバシーに関してあらゆる方向から非難を浴びたFacebookは、防御を固めるために上級役員の入れ替えを行っている。アメリカのポリシー担当トップErin EganがCPO(chief privacy officer)の役割に戻り、元FCC(連邦通信委員会)の委員長だったVPが彼女の後釜に座る。

そのKevin Martinは、ごく最近までモバイルとグローバルアクセスポリシー担当VPだったが、これからは全社的ポリシーのトップだ。彼がFacebookに来たのは2015年で、FCCには2001年から2009年までいた。最後の4年間は、委員長だった。Facebookの今後のポリシーについては未知数だが、彼がお役所方面に強くて明るいことは確かだ。

Martinが来たときErin EganはCPOで、アメリカのポリシーのトップを兼任した。Facebook のスポークスパーソンAndy Stoneは、“最後の2年間、Erinは会社で二つの帽子をかぶっていた”、と言った。

さらにStoneは、“Kevinは暫定的にアメリカの公共政策(US Public Policy)担当トップになり、Erinは最高プライバシー責任者(CPO)として、幅広い職務を担当する”、と述べた。

つまり、二つの役職名は前と同じでもその重要性と複雑性は数年前に比べると大きい、ということだ。一人の役員による兼務は無理だった。今後はますます無理だろう。

注目すべきは、Martinの新たな上司となるJoel Kaplanは、2000年のブッシュ-チェニーの選挙戦でMartinと一緒になり、数年間その政府にいたことだ。共和党政権とワシントン人脈との深いご縁は、議会や各種団体などからも砲火を浴びている昨今、同社にとってすごく貴重かもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebook、アプリのシェア許諾カスタムダイアログなど12のAPIを廃止

Facebookは、ユーザーの安全とデータのプライバシーをデベロッパーの利便性より優先させる、というMark Zuckerbergの約束を果たそうとしている。本日(米国時間3/24)FacebookとInstagramは、デベロッパーがユーザーの許可なく個人データや友達のデータを取得したり、ユーザーをだましてコンテンツをシェアさせることを防ぐために、数多くのAPIを廃止することを発表した。一部の変更は直ちに有効となるが、それ以外は8月1日に実施されるのでデベロッパーが修正するための猶予期間は90日以上ある。これらは先日発表された大規模変更の一環だ。

もっとも大きい変更は、デベロッパーがユーザーになり代わってニュースフィードに投稿する権限を得るためには、標準的Facebookダイアログを使わなくてはならなくなったことだ。これまでのようにpublish_actions APIを使って、カスタムデザインのダイアログを作り、ユーザーの許可を得ることはできなくなる。

Facebookアプリの開発者は、カスタムプロンプトを作るためのpublish_action APIが廃止されるため、この標準プロンプトを使ってシェアの許可を得なくてはならない。

InstagramのGraph APIで今日から有効になる大きな変更は、コメントを残したユーザーの名前や略歴を取得できなくなることだ。コメント人のユーザーネームとコメントテキストはこれまでとおり入手できる。

プラットフォームの利便性よりもユーザーの安全を優先するというFacebookの意向は、この会社の「ハッカー・ウェイ」が成熟してきたことを意味している。当初Facebookは、人々のデータを粗雑に扱い、デベロッパーをプラットフォームに呼び集めた結果、デベロッパーはそのデータを使ってさらに多くの注目を集めるしくみを作った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

フランス政府のすべての省庁がTelegramやWhatsAppなどの利用を禁じられ国営メッセージングアプリの使用を義務付け

フランス政府によると、一般的に人気のある暗号化メッセージングアプリTelegramやWhatsAppなどが政府職員間でも使われているが、それらには外国からの盗聴等のリスクがありうるため、今年の夏以降、フランス政府が独自に開発した暗号化メッセージングサービスに全員が移行する。

Reutersの記事によると、大臣たちには、外国製でしかもサーバーがフランス国内にない暗号化アプリが使われることに対して懸念がある。デジタル省のスポークスウーマンは、こう語る: “アメリカやロシアなど外国によって暗号化されるのではない暗号化メッセージングサービスを見つける必要がある。Facebookの例にも見られるように、侵害の危険性はつねにあるのだから、われわれ自身が主体的に選択や開発をする必要がある”。

TelegramのファウンダーPavel Durovはロシア人だが、今は外国に亡命している。そして彼のメッセージングアプリは、暗号鍵をロシア当局に渡さなかったために、彼の母国ではブロックされている

WhatsAppはTelegramと違って、そのプラットホームの全域にわたってエンドツーエンドで暗号化されている。しかも、尊敬されているオープンソースのSignal Protocolを使っているが、しかしWhatsApp自身はアメリカのテクノロジー大手Facebookがオーナーであり、開発もアメリカで行われている(Signalも開発はアメリカ)。

その親会社Facebookは現在、大々的なデータ誤用事件の渦中にあり、その事件では何千万ものFacebookユーザーの情報が、ユーザーがそれを知ることも同意することもないまま、問題の多い政治コンサルタントに渡された。

デジタル省のスポークスウーマンによると、フランス政府内の約20名の閣僚と一般公務員が、その新しいメッセージングアプリを試しており、夏までには政府内の全員の使用が義務化される。

最終的には全国民が利用できるようになる、と彼女は付け加えた。

Reutersによると、スポークスウーマンはさらに、国が雇ったデベロッパーがそのアプリを、ネットからダウンロードして無料で使えるコードを使用して設計した、と述べた(すなわちオープンソースのソフトウェアを使ったようだ)。しかし彼女は、使用されたコードやそのメッセージングサービスの名前を挙げることを拒(こば)んだ。

先週の終わりごろZDNetが、フランス政府はTelegramのようなアプリの使用を別のもので置き換えたがっている、と報じた。しかしTelegramは、大統領のEmmanuel Macronも大ファンらしい。

その記事は、フランスのデジタル大臣Mounir Mahjoubiの発言を引用している: “今、安全な公共的メッセージングを開発している。それは私権のある提供物に依存しないものになる”。

報道によるとフランス政府はすでに、国防関連とIT関連のサプライヤーThalesが作った安全なメッセージングプロダクトを一部で使用している。ThalesのWebサイトには、スマートフォンのインスタントメッセージングアプリCitadelが載っていて、“プロフェッショナルたちが信頼しているメッセージング”であり、“多くの消費者向けメッセージングアプリのものと同じと分かる機能”を提供するとともに、“スマートフォンやコンピューター上の安全なメッセージングサービスと、エンドツーエンドの暗号化された音声通話やファイル共有など多くの関連機能がある”、と説明している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Instagram上の仮想セレブ‘Lil Miquela’のアカウントが‘政敵’にハックされた

Instagram上の仮想セレブLil Miquelaアカウントが、ハックされた。

多民族混血のファッション仕掛け人で、つねに多文化主義を主張している‘彼女’のアカウントには100万近いフォロワーがいたが、そのアカウントが、同じくInstagram上の動画アカウント“Bermuda”によってハックされた。

さあ!、戦闘開始だ!

@Lilmiquelaアカウントのハックは今朝(米国時間4/7)始まったが、しかしBermudaアバターは前からMiquelaを敵視していて、これまで、SpotifyなどMiquelaのそのほかのソーシャルアカウントをハックしてきた。

時はまさに21世紀、政治的風土が多極化している今では、文化の上でも、、そしてアバターたちのあいだでも、多元主義の支持者たちとMake America Great Again(アメリカを再び偉大に)の運動が戦いを繰り広げても意外ではない。

[画像だけを表示するとメッセージも読めます]

Lil Maquelaのアカウントの上でBermudaは、自分の人工的な人格を誇示し、トランプ派としての強力なメッセージを述べている。

Miquelaの場合は仮想アバターに対して本人がいる、という前提だが、Bermudaはきわめて露骨にシミュレーションだ。そしてその政治的見解は、Miquelaのそれと真っ向から対立している。そしてMiquelaのフォロワーたちと一連のファッション系カルチャー系マガジンは、そのオープン性と人種的平等性の訴えに賛同している。

カリフォルニア州ダウニーのブラジル系アメリカ人Miquela Sousaは彼女のInstagramアカウントを2016年に立ち上げ、それ以来、そのアカウントの外見であるMiquelaは、ネット上でもマスコミの上でもその本人性の推測(どこの誰だろう?)があちこちに登場してきた。

雑誌の表紙になったり、いろんなインタビューにも応じてきたMiquelaは、Facebookが買収した人気最大のソーシャルメディア(Instagram)の上で、セレブ、インフルエンサー、そしてカルチャーの新しい形を一貫して探求してきた。

Lil Miquelaのアカウントに近い人物によると、Instagramは正常に戻っており、コントロールも取り戻している、という。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebookはネガティブなメッセージに非対称の優位性を与えている


Facebookの批評家としてRoger McNameeほど適した人物はいない。Elevation Partnersのマネージイング・ディレクターでFacebookの初期の投資家でもあるMcNameeは、Mark Zuckerbergのメンターを務めただけでなく、彼にSheryl Sandbergを引き合わせた人物でもある。

このため、過去数年のFacebook、中でもCambridge Analytica 騒動に対する高まる世論の批判のなかでもMcNemeeの意見は決して軽視することはできてい。

McNameによると、Facebookは「人間の感情」に基づくテクノロジー企業を開拓した。Facebookがわれわれの「潜在的感情」をすべて知っていることから、第三者がこの国の民主主義と経済を根本から揺るがす事態が起きている。McNameeは、2016年の英国EU離脱の国民投票と、米国大統領選挙の両方でこれを目の当たりにし、Facebookはネガティブなメッセージに「非対称の優位性」を与えていると結論づけた。

McNameeは今もFacebookは修正可能だと信じている。しかしそのためには、ZuckerbergとSandbergのふたりが今起きていることに対して「正直」になり、民主主義を強化する「市民の義務」を認識する必要があると主張する。そして彼の言う「ダークサイド」を認めそれに直面するうえでは、テクノロジーも役割を担うことができるとMcNemeeは信じている。

もちろんMcNamee自身もそれを実践している。彼は元Googleの製品哲学担当者、Tristan Harrisと共にThe Center for Human Technologyを設立した。これはシリコンバレーの著名人たちによるアライアンスで、「テクノロジーを人間の最大利益に合わせて再編する」ことを目的としている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、設定とプライバシーのメニューをアップデート――ナビゲーションしやすくなった

Facebook はアプリのメニューを一部アップデートした。これによりアプリ内のナビゲーションやアカウント、プライバシー、タイムラインなどの設定が容易になる。機能自体に変更はないが、これまでアプリ内のあちこちに散らばっていた機能が新しいメニューでは一箇所に集められた。これまでメニューの深い位置にあったため多くのユーザーが普段存在に気づきにくかった機能にもアクセスしやすくなった。

このメニューのアップデートは先月発表されたFacebookの設定の改良の一環のようだ(ただしFacebookでは今回のアップデートは発表以前から準備されていたものだとしている)。

1月にFacebookはFacebookはプライバシー設定を見つけやすくする計画を発表した。これによると、「従来のモバイル・アプリでは20箇所の別々の画面に散在している設定を一箇所に集めて使いやすくする。新しいプライバシー設定では自分のプロフィールや投稿を見たり、連絡を取ったりすることができる人の範囲を簡単に変更できるようにする。同時にソーシャルネットワーク上でプライバシーを守るために注意すべき点にも注意を喚起する仕組みになる」ということだった。

一新されたFacebookのブックマーク・メニューではコントロールが一箇所に集中しただけでなくメニューの階層も変更され、従来目立たなかった機能がトップに来ている。

またBookmarksメニューのアップデートでアイコンのデザインも変わった。大半のアイコンはカラフルな色使いだが、設定関係のアイコンはグレーのモノクロとなり、違いをはっきりさせている。

Facebookでは新デザインは初めてFacebookアプリを利用する新ユーザーから順次、世界で公開が開始されていることを確認した。

Facebookの広報担当者はTechCrunchの取材に対し、「われわれはBookmarksメニューからのナビゲーションを使いやすく、効率的なものにするために努力を重ねている。今回のアップデートは、最近の他のアップデート同様、Facebookのユーザーが他のユーザー、ページ、グループとコミュニケーションを取るのを容易にするものと期待している」と述べた。

今回のアップデートはFacebookがユーザーデータのプライバシー保持に関して非難を浴びる中で行われた.この問題はプライバシー設定方法だけでなく、APIプラットフォームやアプリのユーザーデータへのアクセス方法Instagramのデータ・ポータビリティーなどFacebookの事業の多方面に影響を与えた。Facebookでは設定のいくつかはきわめて見つけにくく、改良の必要があることを認めていた

Facebookに確認したところでは、アップデートは現在順次公開中で、世界の全ユーザーに公開されるには2週間程度かかるという。

〔日本版〕Androidアプリではハンバーガー・メニューから「設定とプライバシー」を開くと直下にプライバシーセンター(Privacy Shortcuts)を含め関連する機能が一覧表示される。AndroidとiPadではメニューのデザインに多少違いがある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ザッカーバーグ、ビジネスモデルの変更については語らず

Facebookは、Cambridge Analytical問題と同社のプライバシーポリシー全般について下院でも証言した。ひとりの議員が、様々な問題に関してFacebook CEO Mark Zuckerbergを鋭く追求した。

カリフォルニア州下院第18選挙区選出のAnna Eshoo議員は、冒頭に基調を打ち出した。「はじめに、今この国の民主主義制度はストレステストを受けていると私は信じている」と彼女は言い、「われわれの個人情報を悪用の懸念を考慮することなく売ることは無責任極まりない」と付け加えた。

Eshooは自分の支持者にZuckerbergにしたい質問を提案するように求めた。その結果、4分間の濃密なイエスかノーかの質問群ができあがった。

ZuckerbergはEshooの質問に対してイエスかノーかを順調に答えていたが、ビジネスモデルの質問はそう簡単ではなかった。「個人のプライバシーを守るためにビジネスモデルを変更する意志はありますか?」と彼女は尋ねた。

「議員、われわれはデータ量を減らすための変更をこれまでに行い、今も続けています…」とZuckerbergは言った。Eshooは発言を制止して、自らの質問を一言一句変わらず繰り返した。

「議員、おっしゃている意味がよくわかりません」とZuckerbergは言った。

それ以前の質問も実に効果的だった。「あなたはこの国の民主主義を守るべきプラットフォームを運営することの道徳的責任を負っていると考えていますか? イエスですかノーですか?と彼女は尋ねた。短いためらいのあと、Zuckerbergはイエスと答えた。

その後Eshooは、ユーザーのサードパーティー企業への個人データ提供に関する包括的オプトインのオプションを提供するつもりがあるかを尋ねた。

「議員、はい、私たちのプラットフォームのしくみはそうなっています。アプリが個人データを利用する前には必ずオプトイン手続きが必要です」とZuckerbergは言った。

「一言言わせていただくと、これはデータを集めるための地雷源なので、そのことが明確にわかるように一般人の言葉で『あなたのデータに対して私たちがやろうとしているのはこれです。よろしいですか?』と言うべきはありませんか。つまり、これはぼやかされていると私は思っています。おわかりですよね?」とEshooは言った。

さらに興味深いことに、ZuckerbergがFacebookは「大量データを利用できる」サードパーティー・デベロッパーを取り調べていると言ったとき、Eschooは納得しなかった。

「それはどういう意味ですか?」とEshooは言った。Zuckerbergは内部調査に関する自分の答を繰り返しただけで、大量データの意味や、誰が該当するかを明らかにしなかった。

Cambridge Analyticaのデータに関するある基本的な質問をしようと考えた議員はほかにいなかった。Eschooは、悪意のあるサードパーティーに売られたデータの中にZuckerbergのデータは含まれていたのかと尋ねた。Zuckerbergは「イエス」とだけ答えた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、ザッカーバーグが議会の追求を受けて株価上昇

Facebook CEO Mark Zuckerbergの上院公聴会での証言に対する株主らの期待は、よほど低かったのだろう。火曜日(米国時間4/10)Facebook株は、証言がテレビ中継される中大きく値上がりして4.5%高となった。

株式市場は1時間近く前に閉鎖されたが、今もZuckerbergは1時間にわたる公聴会で上院議員らの質問責めにあっている。Cambridge Analyticaスキャンダルの最中、議員らはFacebookのファウンダー・CEOから同社のデータ保護について詳しく聞き出そうとしている。

Zuckerbergの議事堂への謝罪訪問の内容は、Facebookが最近発表した大きな変更に対する改訂の説明が主目的とみられていたが、彼はロシア諜報機関とつながっているFacebookアカウントの数が「数万」になるかもしれないことも明らかにした。これは以前Facebookが公表した「数百」よりはるかに大きい数字だ。

Facebookは今日の高値で株価を最近3週間で最高の165ドル近くまで引き上げた。それでもFacebook株は、Cambridge Analyticaのレポートが複数の媒体で公表された3月中旬以前の185ドルよりまだずっと低い。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookは初期のデータ漏洩をFTCに報告していなかった

上院司法委員会および商業・科学・運輸委員会で証言したFacebook CEO Mark Zuckerbergは、最近のプライバシースキャンダルを起こしたデータ漏洩が最初に起きた際、連邦取引委員会(FTC)に報告していなかったことを明らかにした。

Facebookが漏洩に気づいたと言っている2015年時点に、この消費者データ漏洩問題について同社がFTCに報告したかどうかを問われたZuckergergは、「担当者は『終わった問題』と認識していた」と答えた。

Cambridge Analyticaが、サードパーティー製クイズアプリを介して不正に入手したFacebookユーザーデータを入手していたことは、Facebookの直近のスキャンダルの核心をなす。そして、そのデータ漏洩についてFacebookがFTCへの報告を怠ったことが、委員会による調査の引き金となった

当時FTC消費者保護局のトム・パール局長代行は、Facebookのプライバシー管理について以下の声明を発表した、

FTCは消費者のプライバシーを守るためにあらゆる手段を講じることに全力を尽くす。自社のプライバシー保護の約束を守らず、FTC規定に違反して消費者に多大な損害をあたえる不正な行動をとる企業に対しては、強制調査を行う。〈中略〉こうした状況を踏まえ、FTCはFacebookのプライバシー管理の重大な懸念を指摘する報道を極めて深刻に受け止めている。ここにFTCは、こうした行為に対する非公開調査を開始したことを正式に発表する。

Facebookが2011年にSECと結んだ最初の合意条項は、同社が消費者の個人情報のプライバシー・安全に関して虚偽の表示をすることを禁止しており、プライバシー設定を変更する際には事前に了解を得ることが必須になっている。

合意書には、Facebookによる以下の誓約も含まれている。

Facebookは「既存および新規の製品・サービスの開発および運用に関わるプライバシーリスクに取り組み、消費者情報のプライバシーと秘密を守るための包括的プライバシープログラムを確立し維持する。また、180日以内、およびその後20年間にわたり2年に1度、独立した第三者による監査をうけ、プライバシープログラムが実行され、FTCの要求と一致あるいはそれを超えていること、および消費者情報のプライバシーが保護されていることを証明する。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Instagram、人物写真にボケ味を加えるFocusを公開――シングルカメラでプロ級ポートレートが撮影できる

Instagramはポートレート撮影でAppleの上を行こうとしている。iOSだけでなく多数のモバイル・デバイスで洗練されたポートレート写真とビデオが撮影できるようになった。先月、TechCrunchは高度な人物写真が撮れる機能をInstagramが開発中だと報じた。今日(米国時間4/10)、この機能がFocusとして公開が開始された

Focusは人物に鮮明にピントを合わせたまま背景にボケを加えるというプロ級のテクニックを誰でも使えるようにする。Instagramの広報担当は私の取材に答えて、「Focusモードは顔認識と背景の分離を行うテクノロジーを用いている。 そのためデュアル・カメラを用いる必要がない」と説明した。

FocusはInstagramストーリーズのオプションとしてBoomerang、Superzoomなどと並んで表示される。メインカメラ、セルフィーカメラ両方で有効だ。iPhone 6s、 6s Plus、 7、 7 Plus、 8、 8 Plus、Xの各機種、また一部Androidデバイスで世界的に公開された。機能としてはAppleのポートレート・モードに近いが、Appleの場合はiPhone 7 Plus、8 Plus、Xのみでサポートされる。Androidでこうしたポートレート・モードが使えるのはこれまでPixel 2、Pixel 2 XLだけだった。その他、Magic Portrait Mode、FabFocus、LightX、Point Blurなどがポートレートに「準ボケ」加工ができるアプリとして人気を集めていた。しかしInstagram自体にシングルカメラでボケを加えるポートレート・モードが公開されたため、こうしたアプリに対する関心は薄れるかもしれない。

Instagram Focusによる背景ボケは読者のGenady OkrainからTechCrunchに提供された実例で確認することができる。背景は非常に巧みにボケさせてあるが、よく観察すると顔の輪郭はいくぶんにじんでいる。デュアルカメラを装備した最新のiPhoneでポートレート・モードはこれよりいくぶん良い結果を出せるようだ。ただしもちろんシングルカメラのモデルでは利用できないし、ビデオも撮影できない。

FocusはリアルタイムSNSとしてSnapchatよりInstagramを選ぶ理由を増やした。なんといっても別アプリを開かず、Instagramアプリ内部で処理が完結するのは便利だ。水平線沈む夕陽や料理写真でまず有名になったInstagramだが、8年後の現在もセルフィーを含む人物写真は十分に人気がある。こうして常に機能をアップデートし魅力を加えていけば、Instagramが10億ユーザーに到達することは可能だろう。

FocusアイコンはInstagramストーリーズの撮影画面でBoomerangやSuperzoomと並んで表示される。 スクリーンショットはSocial Pip から。

またInstagramはメンションにステッカーを追加した。これまでのように@マークに続いてテキストでユーザー名を入力するだけでなく、画像で友達をメンションすることができるようになる。Instagramでは先月からこの機能のテストを始めていたが、今回のアップデートですべてのiOSで利用可能になる。【略】Instagramでは2016年にストーリーズを公開した直後にテキストによるメンションもスタートさせている。Snapchatがこの機能を追加したのは先月だった。

Facebookがスキャンダルに揺れる中、Instagramにはほとんど影響が及んでいない。 リンク共有をサポートしてないためフェイクニュースの影響を受けにくく、Facebookの苦闘の原因となった政治的な動きの標的ならなかったのが幸いした。Focusに加えてInstagramアプリのコード中には音声とビデオによる通話機能が隠されていることをわれわれは報じた。またSnapchatのQRコードに似た画像をスキャンしてフォローできるInstagram Nametagsもベータ・テスト中だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Instagram、フォロー用画像を生成するNametagsテスト中――他の新機能もまもなく公開

InstagramはFocusと呼ばれる新しいポートレートモードなどの機能を準備しているが、さらにフォロー用画像を生成するNametagsをテスト中だ。この画像をInstagramのカメラでスキャンすると、すぐにその相手をフォローできる。TechCrunchでは先月、Android APKのコード中にこの機能を発見 していたが、読者のGenady Okrainのおかげで、スクリーンショットとさらに詳細な動作のようすが判明した。

NametagsはInstagramのユーザーが自分のアカウントを画像でプロモーションする機能だ。一般のユーザーの場合だと、 会ったばかりの友達をフォローするのが簡単になる。企業や著名人はNametag画像をソーシャルメディアの投稿用プロフィール画像に使ったり、ポスターや名刺に印刷しておくことができる。セレブの場合はこうした画像を販売することも可能だろう。

Instagramの広報担当者はTechCrunchに対してNametags機能をテスト中であることを確認した。最近Instagramは多数の機能をテスト中で、TechCrunchではInstagramのビデオ通話機能をAndroid APKで発見している。またFocusと呼ばれる高度なポートレートモードもテスト中だ。[アップデート: Focusは公開ずみ.]

ユーザーに対してNametags機能が公開されている場合、スクリーンショットのようにプロフィールページにNametagsのボタンが表示される。クリックするとNametagsエディターが開く。使用するセルフィー画像選び、顔フィルター、カラーグラデーションの背景、絵文字を使ってインパクトを強める。ユーザーのInstagram名は中央に表示される。現在はベータ・テスト中なので、まだNametagsの共有やスキャンはできないが、APK中には「Instagramのメンバーはこの画像をスキャンして簡単に友達をフォローできる」という説明があった。

Snapchatは2015年1月にSnapcodesという似たような機能を発表している。つまりInstagramがこの機能をコピーするのにだいぶ時間がかかったわけだ。ソーシャルメディアのセレブや企業の多くはやむなくSnapchatのDiscoverチャンネルを利用しているが、その目的の重要な部分は自身のInstagramアカウントをプロモートすることだ。もしInstagramアカウントのプロモートがもっと簡単になり、 利用回数を大きく増やせるツールがあれば、企業やセレブはFacebook傘下で圧倒的にユーザー数の多いInstagramアカウントでプレミアム・コンテンツを発表するようになる。今になってInstagramが NametagsというSnapchatのコピー機能の実装に踏み切った理由のひとつにはこのような背景が考えられる。

Instagramの新機能7についてはTechCrunchのFocus記事参照

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

これがマーク・ザッカーバーグの議会証言の草稿だ

水曜日(米国時間4/11)に予定されているMark Zuckerbergの公聴会に先立ち、下院エネルギー・商業委員会はFacebook CEOの準備された声明文を公開した。

その中でZuckerbergは、Facebookは一貫して楽観的な企業であり、人々をつなぎ、発言の場を与えることに集中していることを説明した。しかしZuckerbergは、一連の理想主義的思考が、Facebookの持つツール群を悪用される可能性に関する判断を誤らせたかもしれないことを認めた。

しかし、ツールが害を与えるために使われるのを防ぐための努力が十分ではなかったことは明白だ。たとえば、偽ニュース、海外からの選挙妨害、ヘイトスピーチ、さらにはデベロッパーやデータのプライバシーなどが挙げられる。われわれは自分たちの責任を十分に捉えていなかった。それは大きな間違いだった。私の間違いであり申し訳なく思っている。私はFacebookを立ち上げ、経営してきたのでそこで起きるとの責任は私が負う。

声明は、Cambridge Analyticaスキャンダルとロシアの選挙妨害にも言及し、それぞれの状況で何が起こり、問題を解決するためにFacebookが何をしているかを詳しく説明している。

Zuckerbergは米国時間10日に上院で、12日に下院で証言する。本誌は両方の公聴会を報じる予定だ。

Zuckerbergの声明全文を下に埋め込んである。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、データ漏洩問題で「少数の」広告主が出稿を停止したことを認める

FacebookのSheryl SandbergはBloombergのインタビューに答えて、Cambridge Analyticaを巡る現在進行中のプライバシー問題が、一部の広告主を弱気にさせていることを打ち明けた。

出稿を停止した広告主がどれがけいるか尋ねられたSandbergは、「少数」とだけ答え解釈の余地を大きく残した。SandbergはBloombergに、Facebookはデータプライバシーにかかわる懸念について広告主との「対話」に注力すると語った。

これもまた、Campridge Analyticaスキャンダルがビジネスの根幹に関わる部分でFacebookと広告主の関係を変化させる要因のひとつだ。

インタビューの中でSandbergは、プライバシーとセキュリティーに関するFacebookの予防対策(安全対策チームのメンバーを1万人から2万人に増員するなど)は、短中期的には会社の利益にマイナスの影響を与えるであろうことを再び強調した。

「運用体制の整備が遅かったことも問題であり、責任は私にある」とSandbergは言った。

Sandbergは、歴史的に見てFacebookはプラットフォームの問題を個別の事象として対応する傾向があり、そのために体系的な問題の対応が遅れるおそれがあることを認めた。

「最近までできていなかったが、現在は実行しているのが、視野を広く持ち、データが不正利用される可能性を厳しく監視することだ」とSandbergは言った

「これは時間のかかる仕事だ…もっと多くのことを見つけ、それを人々に伝え、封じ込めていくつもりだ」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ケンブリッジ・アナリティカ、Facebookデータ8700万人分入手を否定…実際には3000万人

本日(米国時間4/4)Cambridge Analyticaは、同社が8700万人分のユーザーデータを不正に入手したとするFacebookの発表に反論した。実際にはDr. Aleksandr Koganの調査会社、Global Science Researchから「ライセンスを受けたデータは3000万人分以下」だと主張している。さらに、2016年の米国大統領選挙でトランプ陣営に雇われた際にこのデータは利用しておらず、Facebook から通知を受けたあと直ちに原データを削除し、派生データの削除作業を開始したことも言明した。

Cambridge Analyticaの声明全文を以下に引用した。本誌はFacebookに、2社の主張の食い違いについてコメントを求めたが拒否された。

Facebookのプライバシーポリシーと強制力の弱さは、あのCambridge Analytica騒動を引き起こし、Facebookの時価総額を1000億ドル近く下げるスキャンダルへとつながった。そんな批判にFacebookが耐え続けるなか、言った言わないの議論は今後ますます激化しそうだ。

本日(米国時間4/4)Facebookは、影響を受けた可能性のある人数は最大8700万人であり、対象になるユーザーにはニュースフィードのトップで通知すると発表した。さらに同社は利用規約を改訂して外部デベロッパーとの関係を明確化するとともに、広範囲にわたるAPI制限を発表した。これによってFacebook上に作られた数多くのアプリが動作不能に陥るが、プライバシー侵害を未然に防ぐことができる。Zuckerbergは記者団との電話会議でニュース全般について洞察を述べた

Cambridge Analyticaは、同社のデータ取扱いに関するFacebookの主張を繰り返し否定してきたが、Facebookは撤回しなかった。むしろFacebookは自らが戦おうとしている悪用の事例として、また世界中のデベロッパーを善悪を問わず取り締まることを正当化する理由として、Cambridge Analyticaを利用した。

Cambridge Analytica、GSRのデータセットに8700万件のレコードが含まれていたとする発表に反論

本日Facebookは最大8700人分の情報が調査会社GSRによって不正入手されたと発表した。Cambridge AnalyticaがGSRからライセンスしたデータは3000万人分以下であり、契約書にも明記されている。それ以上のデータは受け取っていない。

当社は2016年の米国大統領選挙で行った業務にGSRデータを使用していない。

当社がGSRと交わした契約には、すべてのデータは合法的に入手されなくてはならないと記載されており、現在この契約書は公文書扱いになっている。当社はGSRがこの契約に違反したことを知ったとき同社に対して法的措置をとった。Facebookが当社にデータが不正入手されたことを知らせてきたとき、われわれは直ちに原データをサーバーから削除し、当社のシステム内にある派生物を探して削除するプロセスを開始した。

一年前にFacebookが追加の保証を求めてきた際、当社は社内監査を実施し、全データ、全派生物および全バックアップが削除されていることを確認し、それを示す証明書をFacebookに提出した。

現在当社システム内にGSRデータが残っていないことを示すために、独立した第三者による監査を実施している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

フェイスブックのない世界を目指して

親愛なるブロックチェーン派のみなさん。今はみなさんの時代だ。透過的で、強欲で、一攫千金型のスキームを捨て去り、現代の事実上の投機的安物株の賭博場から手を引いて、分散型の力を、世界の人々が求めているものに向けるのだ。ブロックチェーンの人々よ! あのフェイスブックの災厄から我らを救い給え! すべてを分散化し給え!

というのは、もちろん冗談だ。今のところは。

毎年、新しい「新たなるフェイスブック」が現れては、膨らんで、しぼんで、消えていく。どれもほぼ数週間の単位でだ。Diaspora、Ello、Mastodon、Veroを覚えておいでだろうか? 彼らは「ゲーム・オブ・スローンズ」の「壁」に挑んだ盗賊団だったと想像しよう。メンローパークの「冥夜の守人」に気づかれたが……、立ち去るまで完全に無視された。クリティカルマスを握った、200億人に貴重な機能を提供するための強力な兵器一式を生み出す高価で複雑なインフラ、それがフェイスブックの高さ210メートルに及ぶ氷と魔法の「壁」なのだ。

しかし、ConsensusやTokenFestといった人たちの会合では、陰でこう囁かれている。壁には秘密の抜け穴がある。それは根本的な欠陥だと。ユーザーが自分自身のデータを所持し、自分で暗号化し、自分で決めた場所に保管し、自分の意志によってのみ、また明確な許可の元においてのみそれを共有する分散型という黒魔術に直面したとき、フェイスブックの巨大なスケールによる優位性は溶けて流れてしまうという。それはピアツーピアで接続され、無数のノードを通してトークン型のプロトコルで仲介され支払いが行われる。そう、ご想像のとおり、これはある種のブロックチェーンだ。

今はまだホラ話だ。その根本的な欠陥は、非常に大規模な分散型ブロックチェーンという考え方にある。つまり、それは過剰であり、過大であり、誇大妄想的であり、時期尚早なのだ。彼らは、現存する秩序を丸ごと奪い取ろうとしている。金だろうが、金融セクターだろうが、民主的な統治だろうが、ソーシャルメディアだろうが、ともかく今みんなが頑張っている分野だ。おそらくその分野に関する白書では、トークンベースの分散型システムが、私たちがこれまで積み重ねてきたものに取って代わると書かれているに違いない。

親愛なるブロックチェーン派のみなさん。どうかやめてほしい。私もみなさんと同じく大きなことを考えるのが好きだが、物事を叩き壊すだけでは現実は変えられない。新たなビッグバンで何年間も燃え続けている松明を吹き消すことは不可能だ。現実的に考えるなら、熱心な仲間を集めて、小さく始めて、より大きな社会が目を向けてくれる魅力を身につけるまで、もしかしたら長期間にわたるだろうが、技術を磨き続けることだ。宿屋に冒険家たちを集めて、即席の軍団を作り「壁」に立ち向かうなどという行為を繰り返すのは、やめていただきたい。

とくに、一般消費者向けのアプリでそれを行うのは危険だ。「ブロックチェーンは新しいLinuxであって、新しいインターネットではない」と私は主張している。この数カ月間、そう主張する私の声は次第に強くなっている。ブロックチェーンの愛好家たちは、財布が膨らむ様子を見て、またどれだけの数のERC20トークンが存在するかを数えては楽しんでいるだろうが、実際、それには使い道がない。せいぜい投機的安物株ぐらいなものだ。一般人にとっては、何も面白くない。

比較的「マシ」なトークンであるUXも、根本的な問題を解決することはできない。インターネットでの少額取り引きは、分散型のトークンがまだ使い物にならなかったために失敗を繰り返したわけではない。その認識的負荷が大きすぎて、使用を継続できなかったからだ。トークンがあったからといって、それは一寸とも変わらない。もし、あなたが作った一般消費者向けの分散型のアプリを使って、一般のユーザーが意図的にトークンの貯蓄、消費、やりとりをし始めたら、その分散型アプリは失敗する。

しかし、それだけだろうか? この記事の冒頭に書いたことは単なる悪ふざけではない。親愛なるブロックチェーン派のみなさん。もしそれに気づいてさえいれば、今はあなたたちの時代だ。だが、みなさんの目的は中央集権型サービスに対抗することでも、それに取って代わることでもない。それは目的にはなり得ない。それでいいのだ。むしろ、現在目指すべきは、既存の中央集権型サービスを使いたくない人のための有効な受け皿だ。その人数の多い少ないは関係ない。

そもそもビットコインは、そういうものだった。中央集権的な金融に対する風変わりでちっぽけな代替手段だったのだ。それが10年の間に、びっくりするほどの生存力を得て、便利になり、自給自足が可能になり、世界的に成功した。しかし、それは今でも風変わりでちっぽけな代替手段に変わりはない。この先、想像できる範囲の将来にわたって、そうあり続けるだろう。

そんな、ビットコインが立てた波の中で、私たちは決済だけに留まらない分散型のアプリを開発するためのツールを得た。たとえばブロックスタックは、入門用チュートリアルの中に「分散型のマイクロブログ・アプリ」を含んでいる。COSMOSは、ブロックチェーン同士の相互運用が可能になるようデザインされている。チェーンの分散型ウェブ、つまり彼らが呼ぶところの「ブロックチェーンのインターネット」だ。そしてもちろんイーサリアムは、信じるか信じないかは別として、ICO専用ではない。任意の分散型コードを実行できる。さらに重要なことに、スループットを大幅に拡大できるように計画されているのだ。

私たちは、こうしたツールが集まって、たとえば小規模な分散型ソーシャルネットワークを構築するっといった状況を迎えつつある。いや、もうその時が来ているのかもしれない。それでも、クリティカルマスの問題にはぶち当たるだろう。しかし、それはアート集団、教会、マニアたちといった熱烈な支持者やコミュニティにフォーカスすることで解決できる。また、「一般人はトークンなんて使わない」問題もある。しかしそれも、各ノードにトークンを扱う管理者を置くことで対処できる。オンライン・コミュニティにかつて電子メール管理者やローカルのUsenetシスアドがいたのと同じことだ。一般ユーザーに必要なのは、URLとユーザーIDとパスワードのみ。そして、有料会員になるか広告を表示してもよいかを決断するだけだ。

荒唐無稽に聞こえるだろうか? そうかもしれない。しかし、私はかなりの量の最新の分散型システムのコーディングを行ってきたから言えるのだが、ツールもネットワークも、かなりいい線を行っている。もう一歩のところだ。もうすぐだ。ユーザーが自分のデータを自分で管理できるローカルなソーシャルネットワークが構築されたなら、それがノードの高次分散型ネットワークの一部となれば、すべてのコミュニケーションが共通のトークン化されたプロトコルで行われるようになる。それでやっと、まったく新しい、面白い世界が訪れる。そこではスケーリングの問題に頭を悩ませることがない。

だが私が思うに、実用的な代替手段になるために、フェイスブックほどのスケールを持つ必要はない。小さく考えよう。「壁」は動かない。しかし、その壁を乗り越える必要もないかもしれない。これからもフェイスブックは世界に君臨するだろうが、フェイスブックにみなさんの世界の一部を奪わせる必要はない。とくに、風変わりで、不格好で、可愛らしいほどボロボロの代替手段が現れ、そこに大きな感情的価値や実用的な価値が見い出せたなら、そしてそれがきちんと働いてくれたなら、「壁」を乗り越えなくても向こう側の人たちと会えるようになる。そのうち、あっちからも訪れてくるだろう。

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(翻訳:Tetsuo Kanai)