水素ガス用次世代複合材高圧タンクの開発でSPACE WALKERがエア・ウォーターおよびエア・ウォーター北海道と基本合意

水素ガス用次世代複合材高圧タンクの開発でSPACE WALKERがエア・ウォーターおよびエア・ウォーター北海道と基本合意

持続可能な宇宙輸送手段として有翼式スペースプレーンの開発を進めるスペースウォーカーは、9月15日、産業ガス、医療、物流、化学と幅広い分野で水と空気に関わる事業を展開するエア・ウォーターおよびエア・ウォーター北海道と、水素ガス運搬用の次世代型複合材高圧タンク開発のための基本合意締結を発表した。

今回の合意が目指すのは、タイプ4、タイプ5と呼ばれる金属を使わない軽量な高圧水素タンクの技術開発。地上での水素ガスの輸送と水素ステーションなどの供給施設での使用を想定した新しいタンクを開発するのが目的だ。エア・ウォーターは1970年代からロケット開発に携わっており、高圧ガスの製造、運搬、貯蔵に関して豊富な知見を有している。

次世代複合材高圧タンク・タイプ4

次世代複合材高圧タンク・タイプ5

 

水素ガス用次世代複合材高圧タンクの開発でSPACE WALKERがエア・ウォーターおよびエア・ウォーター北海道と基本合意スペースウォーカーとエア・ウォーター、エア・ウォーター北海道とは、2020年9月にスペースウォーカーのスペースプレーン運用(燃料調達、バイオ液化メタンのロケット燃料利用に関する実証、射場の地上設備)に関する基本協定を締結し、北海道大樹町でのスペースプレーン打ち上げを目指しつつ、宇宙開発を通じた地域の発展に貢献するとしている。こうした宇宙技術開発の一方で、脱炭素社会の実現に向けた技術開発にも注力する意味で、今回の合意となった。

それに先立ちスペースウォーカーは、今年7月に次世代複合材高圧タンクの技術を持ち、宇宙開発で協力関係にあったCoMReD(コムリード)を吸収合併し、体制を固めている。金属を使わないタイプ4、タイプ5の容器で「耐久性、長寿命化と軽量化の両立を極限まで追求します」とスペースウォーカーは話しているが、同時にこれは「ロケット開発でもっとも重要となる軽量化の技術のひとつ」であり「宇宙と地球のデュアルユースが可能な次世代の複合材高圧タンク」とのことで、地上と宇宙と両方の展開が期待される。

東京大学と日本気象協会が人工衛星から観測した「重い水蒸気」が天気予報の精度向上に寄与することを実証

東京大学と日本気象協会が人工衛星からのリモートセンシングで観測した「重い水蒸気」が天気予報の精度向上に寄与することを実証

東京大学生産技術研究所芳村研究室(芳村圭教授)は9月14日、日本気象協会と共同で、人工衛星から観測された大気中の水蒸気同位体の比率から気温や風速の予測精度を改善できることを、世界で初めて実証したと発表した。天気予報の精度向上に直接貢献できる可能性がある。

原子には、原子核を構成する陽子と中性子の数によって、軽いものと重いものとがあるのだが、同じ原子番号のもので、軽いの重いのをくるめたのが「同位体」だ。たとえば水素には、原子核に陽子が1つの軽水素、陽子と中性子とが1つずつの重水素、陽子1つと中性子2つの三重水素という3つの安定同位体(放射性のない同位体)がある。また酸素には一般的な質量数16のものに対してと0.2%ほどしか存在しない質量数18という「重い」ものがある。これらの重い同位体で構成される水分子の水蒸気が、「重い水蒸気」ということだ。

重い水蒸気同位体は、気体よりも液体、液体よりも固体に多く含まれる性質があることから、古くから地球上の水の循環の指標に使われてきた。東京大学生産研究所では、重い水蒸気同位体と軽いものとの比率の実測値と、大気大循環(地球規模の大気の循環)モデルを使ったシミュレーションによる推定とを組み合わせること(データ同化)で、気象予測の精度が向上するという理論を2014年に発表していた。

さらに2021年、人工衛星からの水蒸気同位体比の観測情報を得たと仮定して、それを同研究所が開発した全球水同位体大気循環モデル「IsoGSM」によるシミュレーション結果とデータ同化し確認したところ、実測データではないものの、10%以上改善できることがわかった。

そして今回、同研究所は、欧州の人工衛星MetOp(Meteorological Operational Satellite Program of Europe)に搭載された分光センサーIASI(赤外線大気探測干渉計)の実測データを入手しデータ同化を行った。すると、実際に気象に関連する数値の解析精度が向上していることが実証された。4月1日から4月30日までのIASIのデータを使い、データ同化した場合としなかった場合の予測を比較したところ、結果はデータ同化したものが、していないものの成績を上回った。

今後は、観測データを増やし、モデルの性能を高め、「どのような状況でどのような効果が得られるのか」を詳細に調べてゆくという。そうすることで、例えば、台風や線状降水帯など、極端現象の予測性能の向上に繋がる可能性もあると考えているとしている。

トヨタとホンダは米自動車メーカーに有利なEV税制優遇措置拡大に反発

Toyota Motor(トヨタ自動車)とHonda(ホンダ)は、米国内で労働組合員が製造した電気自動車の税制優遇措置を拡大する法案を、否決するようにと議員たちに要請している。

この法案は、米国内で労働組合員によって製造された自動車に対する連邦税の優遇措置を7500ドル(約82万円)から最大1万2500ドル(約137万円)に拡大するというもので、トヨタは議会に提出した書簡の中で「明らかに偏っている」「法外だ」と非難している。さらに、米国内で製造されたバッテリー搭載車には優遇措置が500ドル(約5万5000円)上乗せされる。この法案が可決された場合、トヨタ、ホンダ、Tesla(テスラ)などの自動車メーカーの車両は優遇措置の対象外となるが、デトロイトの「ビッグ3」と呼ばれるメーカーはすべて対象となる。

トヨタは議員に宛てた書簡の中で、「現在の法案は、組合に加入しないという選択をした米国の自動車労働者を差別し、電動車両の普及を加速させるという目的を二の次にする」と述べ、「これは不公平であり、間違っています。この明らかに偏った提案を否決してくださることを求めます」と嘆願している。

さらにトヨタは、この法案は富裕層、つまり電気自動車の購入に公的資金を必要としない人々を優遇するものだと述べている。この法案には、調整後所得が40万ドル(約4400万円)までの個人、または80万ドル(約8800万円)までの世帯に、優遇措置の適用を制限するという所得調査の条項が設けられている。所得制限を設けるかどうか、あるいはその所得制限をどのようにするかは、議会の民主党と共和党の間で大きな争点となっている。

テスラのElon Musk(イーロン・マスク)CEOは、この法案を「メキシコで電気自動車を製造しているFord(フォード)  / UAW(全米自動車労働組合)のロビイストが書いたものだ。これがどれだけ米国の納税者のためになるのかはわからない」とツイッターで批判した。

Whole Mars Catalog

労働組合のために4500ドル(約49万円)に引き上げ、米国製に対してはたったの500ドルに減らしたことには、開いた口が塞がりません。

労働組合への2500ドル(約27万4000円)はすでに馬鹿げていました。しかし、新提案ではそれを4500ドルに拡大するとは?!? 彼らは明らかに1つの企業をターゲットにしています。

Elon Musk

メキシコで電気自動車を製造しているフォード / 全米自動車労働組合のロビイストが書いたものです。これがどれだけアメリカの納税者のためになるかはわかりません。

この法案は、EVに対する最大7500ドル(約82万円)の税額控除が10年以上前に施行されて以来、初めての増額となる可能性がある。また、この法案では20万台以上のEVを販売した自動車製造業者の車両を控除の対象外とする規定が廃止されるため、General Motors(ゼネラルモーターズ)やテスラのクルマも再び対象となる。

GM、フォード、そして旧クライスラー(Chrysler)のStellantis(ステランティス)という、全米自動車労働組合に代表される従業員が働く大手自動車メーカー3社は、この法案を賞賛している。

この法案は米国時間9月14日に下院歳入委員会で審議される。この税控除拡大は、現在議会で審議されている3兆5000億ドル(約383兆6000億円)規模の巨大な予算調整法案の一部に過ぎず、その中には他にも教育、医療、気候変動などを対象とした社会的に進歩的な提案が多数含まれている。

画像クレジット:Toyota

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アスリートの知見を活かしたスポーツウェルネスD2CのTENTIALが5億円調達、ECモール事業に新たに参入

アスリートの知見を活かしたスポーツウェルネスD2CのTENTIALが5億円調達、ECモール事業に新たに参入

TENTIALは9月15日、第三者割当増資と複数金融機関からの融資による総額5億円の資金調達を発表した。引受先は、既存投資家のアカツキ、MTG Ventures、セゾン・ベンチャーズ、マネーフォワードベンチャーパートナーズ、また新規投資家の豊島CVC、ナントCVC2号投資事業有限責任組合、個人投資家ら。2018年2月の設立以降、金融機関からの借入を含む累計資金調達額は11億円となった。

調達した資金により、ウェルネスD2Cブランド「TENTIAL」からの新商品の開発・販売に加え、スポーツ・ウェルネスに特化したECモール事業に新たに参入する。

現在の国内EC市場において、総合モール型のECが勢いがあるものの、複数のブランド・商品が集結しているため、商品数が多く利便性に優れる一方で、専門性の高い商品の中から本当にいい商品を選択するのが困難であるとテンシャルは考えているという。

そこで、同社がこれまでD2C・メディア事業で培ってきた、ウェルネス・マーケティング・商品選定・物流のノウハウを活用することで、消費者がより良い商品を自然に選択できるようにすることに加え、メーカーの良い商品を出しても売れないという課題も解決するとしている。

TENTIALは、「スポーツと健康を循環させ、世界を代表するウェルネスカンパニーを創る」をビジョンに掲げ、スポーツ情報メディア「SPOSHIRU」の運営と、生活シーンにおける体のケアやコンディショニングに特化したウェルネスブランド「TENTIAL」をD2Cモデルで開発・提供している。

SPOSHIRUは、アスリートが取り入れている身体のケア方法、運動の効率、健康のための工夫などの情報を掲載しており、月間利用ユーザー数150万人を突破。TENTIALは、スポーツを通じた健康増進をテーマに、医療費高騰や健康課題の解決を目指しており、インソールをはじめ、身体のコンディショニングをコンセプトとしたリカバリーウェア、マスク、プロテインや入浴剤などを展開している。

健康的な植物性インスタントラーメンを開発したImmiが約4.2億円調達

Immiの共同創業者であるケビン・リー氏とケビン・チャンタシリファン氏(画像クレジット:Immi)

Immiは、純植物性の大胆な味で、健康食品のインスタントラーメンを作ろうとしている。同社は米国時間9月14日に、380万ドル(約4億2000万円)のシード資金を調達したことを発表した。

共同創業者のKevin Lee(ケビン・リー)氏とKevin Chanthasiriphan(ケビン・チャンタシリファン)氏はどちらも、台湾とタイの飲食を家業とする家で育ち、10年前に同じテクノロジー企業で働いているとき出会った。2人は毎日のように、一緒に麺類を食べて仲を深めた。

そして最近2人は、家族が糖尿病と高血圧で苦しんでいるのを見て、身体に良い食べ物と飲み物について考えるようになった。

自分たちが育ったアジアの食べ物や料理を愛する彼らは、そうした食品のブランドを米国で立ち上げたいと思った。

チャンタシリファン氏によると「2人ともすぐに、インスタントラーメンというアイデアで一致しました。私の父は今でも毎晩インスタントラーメンを食べているし、年間売上40億食という巨大な市場です。しかしインスタントラーメンは長い間、大手企業が支配してきた製品でもあります」。

世界のインスタントラーメン市場は、2027年には320億ドル(約3兆5076億円)規模の産業になると予測されており、そのうち米国は77億ドル(約8440億円)の規模になるという。しかし、多くの人がスーパーで購入するラーメンには、精製された炭水化物を油で調理した麺が含まれており、付属するスープにはナトリウムや保存料が多く含まれている。

彼らが手がける「Immi」は、植物性で低炭水化物・低ナトリウム、高繊維質で平均22gのタンパク質を含んでいる。製品はブラックガーリック「チキン」、トムヤム「シュリンプ」、スパイシー「ビーフ」の3種類の味がある。

2人は2019年に会社を立ち上げた。その後の2年間を研究開発に費やしたが、最終製品はなかなか完成しなかった。リー氏によると、業界人にインスタントラーメンの健康食バージョンの話をすると「不可能だ」と斬り捨てられたという。そこで彼らはゼロからスタートし、すべてを自分たちでやるしかなかった。最初のレシピは、彼らのキッチンで作られた。

Immiのセットにはブラックガーリック「チキン」、トムヤム「シュリンプ」、スパイシー「ビーフ」が含まれる(画像クレジット:Immi)

2021年彼らは製品の仕様を変更し、味と食感、麺のコシ、すすりやすさの4点で従来のインスタントラーメンに近いものにした。その試食をあちこち依頼して回った結果、シード資金の調達に至った。

そのラウンドはSiddhi Capitalがリードし、Palm Tree CrewとConstellation Capital、Animal Capital、Pear Ventures、Collaborative Fundが参加、そして個人としてPatrick Schwarzenegger(
パトリック・シュワルツェネッガー)氏やKat Cole(カット・コール)氏、Nik Sharma(ニック・シャルマ)氏、さらにThrive MarketやCaviar、Daring Foods、Madhappy、Twitch、Kettle &Fire、MUDWTR、Native、Amity Supply、Visionary Music Group、Italic、TatchaそしてCasperの役員たちも投資に加わった。

Siddhi Capitalの共同創業者でゼネラルパートナーのMelissa Facchina(メリッサ・ファッキナ)氏によると、同社は食品と飲料に投資しており、同社の投資部門がImmiのメンターになっているという。

「彼らにはとても感心している。食品産業のイノベーションは大金が必要であるため、今自分と家族の手元にそれがあるだけでも興奮します。今度の2度目のバージョンはパッケージも従来と同じブロック型だし、味も大人向けになりました。この味が好きな人は多いと思います」とファッキナ氏はいう。

ファッキナ氏によると、自然食や健康食の業界は最近の10年で「劇的に」変わった。その変化を起した原動力は、サプライチェーンの透明性とクリーンな原材料、そして良心的なブランドを求める消費者だという。

最新の消費者動向により方針を一新した消費者包装製品のブランドは、彼らの新しい製品系列で成功しているが、彼女によると、シリアルなど製品の改革の機が熟しているのにそれに気づかないブランドが多いという。彼女の投資企業はシリアルの改革に乗り出したMagic Spoonに投資しているが、その彼女によると、Immiはラーメンとアジアの食に革新をもたらしている。「創業者グループとしての2人のケビン氏は、新しい考えの取り入れが早く、達成するもののレベルも高い。そして自分たちのまわりに最高の人びとを揃えようとしている」とファッキナ氏はいう。

リー氏によると、新たな資金はR&Dと雇用とマーケティングに三分割される。同社は顧客からのフィードバックで味を改良し、サプライチェーンを最適化し、役員級の人材を雇用し、新しい流通チャネルの開拓にも資金を投じるつもりだ。現在は主に自分たちのオンラインストアで製品を販売しているが、、食品卸やオンラインの食料品店にも販路を広げたい。

Immiの製品の発売は1月だったが、マーケティングを何もせずに、最初の1カ月で在庫は売り切れた。そしてこれまでは米国で1万以上の受注に応じ、国際化も志向している。

今後については、2つのことを考えている。1つは、味や麺のタイプなどを多様化し、毎月新製品を出したい。さらに、麺以外にスナックやお菓子などのアジア系食品にも挑戦したい。もちろんそれらにもクリーンな原料を使っていく。2人が子どものころ大好きだったお菓子が、まず最初の製品アイデアになるだろう。

マーケティングと流通政策も重要だ。現在、同社には試食に参加してくれる協力者が4000人いるが、もっと増やすべきだ。

「製品を特殊な層でなく、もっと一般的な消費者に買ってもらうために何をすべきか、それを現在考えています。特殊なダイエットではなく、単純に健康的な食品だから買って欲しい。また味の文化のクリエイターやセレブ、TikTokのインフルエンサーなどにもImmiを広げて、消費者の関心を呼び、メインストリームにしていきたい」とリー氏はいう。

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

シャオミが独自開発のスマートグラスを発表、ナビや翻訳機能も搭載

Xiaomi(シャオミ)がウェアラブル分野でFacebook(フェイスブック)に挑み、独自開発のスマートグラスを発表した

まっぷとはいえ、51グラムという重量は、Facebookの「Ray-Ban Stories(レイバン・ストーリーズ)」よりも少し重い。さらに、このメガネには、500万画素のカメラが使用されているときに表示されるインジケータライトも装備されている。

このシャオミのスマートグラスは、クアッドコアのARMプロセッサーを搭載し、Android(アンドロイド)で動作する。ディスプレイには有機ELよりも高輝度・長寿命で知られるMicroLEDのイメージング技術を採用。この技術はよりシンプルな構造にできるため、1ピクセルあたりのサイズが4μmというコンパクトなディスプレイを実現したと、シャオミは述べている。ただし、撮影した写真をカラーで見ることはできない。同社によれば「複雑な光学構造に十分な光を透過させるために」モノクロのディスプレイを採用したという。

同社は次のように説明する。

レンズの内面に刻まれた格子構造により、光が独自の方法で屈折し、人間の目に安全に届くようになっています。この屈折プロセスは、光のビームを無数に何度も跳ね返すことで、人間の目に完全な映像を見せることができ、装着時の使いやすさも大幅に向上しています。他社製品のように複雑な多重レンズシステムやミラーまたはハーフミラーを使用せず、すべてを1枚のレンズで実現しています。

シャオミによれば、同社のスマートグラスは、単なるスマートフォンのセカンドスクリーンではないという。単独で多くの機能が使用でき、例えばスマートホームからの警報や、大事な連絡先からのメッセージなど、重要な通知のみを選択して表示できる。ナビゲーション機能では、目の前に地図や道順が映し出される。電話をかけてきた相手の番号を表示し、このスマートグラスに内蔵されたマイクとスピーカーを使って通話することも可能だ。

このマイクは音声も拾うこともでき、それをシャオミ独自の翻訳アルゴリズムがリアルタイムで翻訳する。この翻訳機能は、カメラで撮影した画像の文字や文章にも対応している。残念ながら、シャオミはまだ、このスマートグラスの価格や発売日を明らかにしていない。発表があればすぐにお知らせするつもりだ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者Mariella MoonはEngadgetの編集者。

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画像クレジット:Xiaomi

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(文:Mariella Moon、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

レーザー核融合商用炉の実現を目指す、日本初のフルスタック核融合スタートアップEX-Fusion誕生

レーザー核融合商用炉の実現を目指す日本初のフルスタック核融合スタートアップEX-Fusion誕生

EX-Fusionという、レーザー核融合商用炉の実現を目指すスタートアップが誕生した。国家レベルで主導される巨大プロジェクトという印象が強い核融合だが、世界では数多くのスタートアップがその実用化を目指して研究を重ねている。そしてようやく日本にも、フルスタックの核融合スタートアップが登場したというわけだ。代表取締役は、高速点火核融合研究の第一人者である松尾一輝氏。レーザー研究者でIFEフォーラム/レーザー核融合戦略会議主査の森芳孝氏が役員に就いている。

国が主導する核融合研究では、国の予算配分の影響で開発スピードが鈍り、失敗が許容されにくい環境にあるとEX-Fusionは話す。それに対して同社は、スタートアップであることで「自分たちの裁量で大きくリスクを取り、スピード感を持って技術開発にチャレンジ」できるという。また、「これまでの研究開発のように、一から技術を作り込むことにこだわらずに、すでに日本に存在する世界一の技術を総動員し、積極的にレーザー核融合商用炉実現のために活用」することでスピードを飛躍的に高めるという。

同社は「レーザー核融合で日本に新たな産業を」とのミッションを掲げている。商用炉の実現の他に、ものづくりで「地域の安定と平和」に貢献する技術開発にも挑戦し、「発電だけではないレーザー核融合の魅力」を社会に還元してゆくとのことだ。

トップの写真左は代表取締役の松尾一輝氏、写真右は役員森芳孝氏。

Xboxとスペシャルオリンピックスが知的障がい者のためのeスポーツイベントを初開催

ゲーミング全般がアクセシビリティに配慮する方向にある中、eスポーツはあまりそうではない。一般のスポーツと同じく、そこは本質的に競争世界であり、ある意味で排他的だ。Xbox(エックスボックス)とSpecial Olympics(スペシャルオリンピックス)は、競争とインクルージョンを組み合わせた新たなイベントの共同開催された。

今週、スペシャルオリンピックスのアスリートたちは、Rocket League(ロケットリーグ)、Madden NFL 22(マッデンNFL 22)およびForza Motorsport 7(フォルツァ・モータースポーツ7)のトーナメントで競い合った。賞品は、名声とプライドに加えて、スペシャルオリンピックスのセレブサポーターの1人とプレイできることだ。バスケットボールNBAのスーパースターであるJayson Tatum(ジェイソン・テイタム)、アメリカンフットボールNFLのレジェンドであるJamaal Charles(ジャマール・チャールズ)、女子バスケットボールWNBAのスーパースターJewell Loyd(ジュエル・ロイド)、プロレスWWEのスーパースターDominik Mysterio(ドミニク・ミステリオ)とEmber Moon(エンバー・ムーン)というスーパースターたちだ。

「このトーナメントはeスポーツをよりアクセシブルにし、スペシャルオリンピックスのアスリートたちに新たな競争の場を与える重要な一歩です」とXbox Social Impact(エックスボックス・ソーシャル・インパクト)代表のJenn Panattoni(ジェン・パナトニ)氏が語る。「Xboxは、Xbox Adaptive ControllerやCopilot、音声テキスト変換など、数多くのアクセシビリティ機能とプロダクトに投資してきました。こうような継続した取り組みの目的は、プレイヤーが間違いなく歓迎されていると感じ、Xboxプラットフォームの一員になれることです」。

トーナメントは録画され、今週中に配信されるとともに米国時間9月18日土曜日の「セレブリティーショーケース」でハイライトが放映される。スケジュールはこちらの投稿で確認できるが、Xbox TwitchチャンネルSpecial Olympics YouTubeチャンネルをただ眺めるのもいいだろう。

関連記事:マイクロソフトがXboxやPC用ゲームのアクセシビリティをテストする開発者向けサービスを開始

私がこうしたイベントを取り上げたいのは、ゲーミング世界では長年アクセシビリティが二の次にされてきたからだが、今こうしてデベロッパーやパブリッシャー、パートナーたちの大きな行動によって状況が改善されようとしている。Microsoft(マイクロソフト)のXACがすばらしい例で、最新のゲーム、Ratchet & Clank(ラチェット&クランク)はビジュアル、オーディオ、難易度オプションの装備を一式備えている。eスポーツが多様性をもっと必要としている分野であることは間違いないが、参加しているプレイヤーたちは喜んで協力してきた。スペシャルオリンピックスのアスリートであるJose Moreno(ホゼ・モレノ)氏とColton Rice(コルトン・ライス)氏に思いを聞いてみた。

競技ゲームは前よりアクセシブルになってきたと思いますか?

ライス:競技ゲーミングは間違いなく以前よりアクセシブルになっています。ゲームがアクセシブルになるだけでなく、アクセシビリティによって障がいをもつ多くの人たち競技ゲームのプレイヤーになっています。知的障がいをもつ人たちは常に全力で戦おうとしています。私たちは他のみんながやっているのと同じことをやりたくて、時々そのためにちょっとした力添えが必要なだけです。

モレノ:競技ゲーミングはよりアクセシブルになっていると思います。Microsoftが知的障がいや身体障がいをもつ人たちの利用できる、つまりすべての人たちが利用できるビデオゲームコントローラーを売り出したからです。私は生まれながらのゲーマーなので、eスポーツにおけるアクセシビリティは革新的な出来事です。アクセシブルなゲーミングは私の子ども時代にはありませんでした。今はあらゆる能力の友だちとプレイできて誰もが参加できるのでずっと楽しくプレイしています。

スペシャルオリンピックスのアスリートであるコルトン・ライス氏(左)とホゼ・モリノ氏(右)(画像クレジット:Special Olympics<)

どのように変化を経験していますか?

モレノ:私が思うに、ビデオゲーム業界がより多くの知的障がい者を受け入れるほど、ビデオゲームコミュニティは、私たちが他の人と同じようにビデオゲームをプレイするのが大好きだということを知るようになります。そしてGaming for Inclusion(ゲーミング・フォー・インクルージョン)のようなイベントを通じて、私は競技に参加できるだけでなく、私を歓迎して仲間に入れてくれるゲーマーコミュニティの一員になれました。

ライス:知的障がいをもつ人たちは細部に注意を払うスキルをもっています。何かをすることに集中し、自分にできるベストになるまで練習します、それを楽しんでいる時には特に。そしてゲーミングはその1つです。障がいを持つ人達は学習に時間が必要なだけですが、情熱をもてるものに専念した時、成功するまでやめることがありません。

デベロッパーやパブリッシャーなどに期待することはなんですか?

モレノ:ビデオゲームやコンピューターゲーム全般のデベロッパーやメーカー、パブリッシャーには、ビデオゲームに関わる仕事に知的障がい者を増やしていほしい。知的障がいをもつ人たちはさまざまな役割を果たすことができて、ゲーミング体験を改善するユニークなものの見方を教えてくれます。パブリッシャーとデベロッパーは障がいをもつ人たちから新たな見識を得られます。たとえばストーリーラインに知的障がいをもつ人たちが登場したり、ゲームそのものに出てくることなどです。私たちはこのプロセスにぜひ参加したい。そしてゲーム業界のフォーカスグループに参加したり、クリエイターとして本格的な仕事につきたい知的障がいをもつ熱烈なゲーマーはたくさんいます。

ライス:これらのゲームを作っている企業は、誰もが楽しめる高品質なゲームを作ろうとしています。ゲームをもっとアクセシブルにするためにできることはまだたくさんあります。例えば知的障がいをもつゲーマーが新しいゲームのやり方を学ぶ時、説明が読みにくいとイライラします。何年もプレイしたゲームの新しいバージョンのプレイ方法を知るために何時間もかかることがあります。それは知的障がいをもつ人たちにプレイや競技をする能力がないという意味ではありません。身につけるためにもっと良いアクセシビリティツールが必要なだけなのです。

ゲーム会社がアクセシブルでインクルーシブなゲームを作りたければ、開発プロセスに知的障がいをもつゲーマーを参加させて「読みやすい説明」や初心者向け説明の作成やテスト、あるいはゲームのレベル間のナビゲーションをシンプルにする方法を見つける手助けをしてもらうことだ。ゲーミングはコミュニティを作って取り残されたと感じている人たちとつながることができる。アクセシビリティはあらゆる人たちが楽しむことを可能にする。


この競技やオンラインゲーミングのその他のイベントは、困難な数年の間、スペシャルオリンピックスコミュニティが繋がり続け、アクティブでいるために非常に重要だ。

「スペシャルオリンピックスはMicrosoftと長い間、パートナーシップを続けており、スペシャルオリンピックス活動のアスリートや家族に大きな価値を与えています」と同組織の最高情報・テクノロジー責任者であるPrianka Nandy(プリアンカ・ナンディー)氏は語る。「新型コロナウイルス(COVID-1)パンデミックの中、私たちの大きな心配事はアスリートたちの安全と健康です。彼らはウイルスによる有害あるいは致命的被害を受ける最も弱い立場にあります。パンデミックのために何千という恒例の対面イベントや競技が中止や延期に追い込まれました。これはアスリートたちがチームメイトやコーチや友人たちとつながったり、一緒にいる楽しさを体験するを失ったことを意味します。今も私たちの目標は、スペシャルオリンピックス活動の認知を向上し、私たちの驚くべきアスリートたちの成果と希望と夢を叶えるとともに、ゲーミング・コミュニティにおける知的障がいをもつ人たちに対する姿勢を変え、ゲーミングが誰にとっても楽しくインクルーシブになりうることを常に忘れないことです。

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画像クレジット:Microsoft / Special Olympics

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ニンテンドースイッチがBluetoothヘッドホンやスピーカーに対応、9月15日配信開始の本体更新13.0から

ニンテンドースイッチがBluetoothヘッドホンやスピーカーに対応、9月15日配信開始の本体更新13.0から

Nintendo

ニンテンドースイッチが本体更新でBluetoothオーディオ機能を追加しました。

一般的なスマホ用などのBluetooth ヘッドホンやイヤホン、Bluetoothスピーカーに接続して、無線でゲームの音を聴けるようになります。

ニンテンドースイッチがBluetoothヘッドホンやスピーカーに対応、9月15日配信開始の本体更新13.0から

Nintendo

Nintendo SwitchでBluetoothオーディオが使えるのは、本体更新バージョン 13.0.0(2021年9月15日配信開始)から。

アップデートすると設定に「Bluetoothオーディオ」が現れ、非常にシンプルな画面で機器のペアリングや接続ができるようになります。

ペアリングのしかた

  1. ホーム画面の「設定」から「Bluetoothオーディオ」を選択。「登録する」をタップ
  2. Bluetooth ヘッドホンやスピーカー側をペアリングモードにする。これは機器ごとの説明書なりを見てください。だいたい電源ボタンやペアリングボタンの長押しでピコピコ光り始めるとペアリング待機です。
  3. 設定画面にペアリングしたいBluetooth機器が表示されたらタップ。完了。
ニンテンドースイッチがBluetoothヘッドホンやスピーカーに対応、9月15日配信開始の本体更新13.0から

Nintendo

注意点

  • Bluetoothオーディオの利用時、接続できる無線コントローラは2個までに制限
  • ローカル通信と両立しない。使うソフトではBluetoothオーディオが切断される。
  • Bluetoothヘッドセットを接続してもマイクは使えない
  • 対応するBluetoothオーディオ機器は A2DP プロファイル、SBCコーデックをサポートするもの。SBCは標準なので原則入ってます。
ニンテンドースイッチがBluetoothヘッドホンやスピーカーに対応、9月15日配信開始の本体更新13.0から

Nintendo

Bluetoothオーディオは2.4GHz帯の無線を使うため、ノイズが入ったり音が途切れる、遅延する場合はスイッチのインターネット接続を2.4GHz帯ではなく5GHz帯にする、干渉する電波を出している機器をオフにする等の対策があります。また接続する機器の側でも変わるため、別のBluetoothヘッドホン等にしてみるのも手です。

とはいえ、Bluetoothオーディオ機器は基本的に遅延するものなので、音にシビアに反応するゲームなどでは諦めて有線か、USB無線で遅延の少ないヘッドセット等を使いましょう。

(Source:本体更新情報|Nintendo Switch サポート情報|NintendoEngadget日本版より転載)

無料プランも開始、ノーコードでサイトの構成要素を更新・評価・改善し煩雑な作業を軽減できるKARTE Blocks正式公開

無料プランも開始、ノーコードでサイトの構成要素を更新・評価・改善し煩雑な作業を軽減できるKARTE Blocks正式公開

プレイドは9月14日、タグを1行貼るだけでサイトのあらゆる構成要素をノーコードで更新・評価・改善できる法人向けサイト管理システム「KARTE Blocks」について、正式版の提供開始を発表した。2020年7月のクローズドβ版以降、新機能追加や改善アップデートが加えられている。

また同時に、無料プランの提供も明らかにした。サインアップや契約プラン変更、オンボーディングなどすべての手続きがオンラインで完結する、フリーミアムモデルへと進化させたとしている。

無料プランと有料プランの差分は月間合計ページビュー数や扱えるページ数などで、無料でもKARTE Blocksのすべての機能を使用できる。いつでもオンラインで始められるため、実際に試してみてから有料プラン(月額2万9000円から)の利用へ進める。

無料プランの主な上限項目(詳細は公式サイト参照)

  • 設定ページの月間合計ページビュー数:1万PVまで
  • ページ登録数:5ページ
  • アカウント数:20個
無料プランも開始、ノーコードでサイトの構成要素を更新・評価・改善し煩雑な作業を軽減できるKARTE Blocks正式公開

KARTE Blocks料金プラン

現在、コーポレートサイトやECサイト、また広告や検索の結果たどり着くLP(ランディングページ)など、生活者と企業をつなぐ接点としてサイトの重要性は増しているものの、日々の更新業務の運用体制や評価・改善手法には課題が少なくない。

プレイドによると、サイト内のバナーやテキストの変更時にその都度システム部門や外部の制作会社に対する依頼・調整、付随する様々なオペレーションが発生し、多くの時間やコストがかかっているケースは数多いという。担当者はそれら煩雑な作業に追われ、本質的なサイト改善に向き合う時間を確保できなかったり、改善すべき箇所に気付いていてもシンプルに実行する手段がなかったりという課題があるそうだ。

同社は、これらをサイト運営における「負」の側面ととらえており、デジタルシフトが進み顧客接点としてのサイトの存在感が増すごとに、直接的には価値創出につながらないコストとして企業に重くのしかかっているとしている。

このためKARTE Blocksでは、これら「負」に向き合うものとして開発した。サイトをブロックの集合体と捉え、ブロックごとに更新・評価・改善できる新しいサイト管理システム「BMS」(Block Management System)に基づき、サイトにタグ1行を入れるだけで、サイト運営に関わる更新・評価・改善をノーコードで誰でも簡単に、どこでも自由に行える。既存サイトを後から自由に編集可能とすることで、あらゆるサイト運営者の手間やコストの解消に貢献するという。無料プランも開始、ノーコードでサイトの構成要素を更新・評価・改善し煩雑な作業を軽減できるKARTE Blocks正式公開

また今回、無料プラン提供開始・フリーミアムモデル化を採用。企業規模に関わらずサイトの更新・改善に携わる者であれば誰でもKARTE Blocksを利用し、サイト規模や実現したい内容に応じてコストを最適化しながら、ノーコードで直感的なサイト運営を行えるようにした。

 

iPhone 13 Proのカメラに「マクロ」「暗所での撮影」「映画製作向け機能」のアップデート

Apple(アップル)はコンシューマ向けデバイスの写真撮影機能を向上させるという伝統を、米国時間9月14日に発表したiPhone 13とiPhone 13 Proも受け継いでいる。iPhone 13とiPhone 13 Proは、日本では9月17日21時から予約開始、9月24日に発売開始となる。

2020年発売のiPhone 12の背面カメラにはレンズが2つ、iPhone 12 Proには3つあった。これについてはiPhone 13とiPhone 13 Proでも踏襲されている。iPhone 13には広角(f/1.6絞り値)と超広角(f/2.4絞り値)のレンズが搭載され、これはiPhone 12と同じだ。これに対し、iPhone 13 Proはまったく新しいカメラシステムになっている。

関連記事:iPhone 13はバッテリー性能だけでなくはカメラ機能も向上、税込9万8800円から

iPhone 12 Proのメインのレンズの絞り値がf/1.6であったのに対し、iPhone 13 Proではf/1.5となり、明るさが足りない場所でのパフォーマンスが向上している。超広角レンズも同様で、iPhone 12 Proのf/2.4に対してiPhone 13 Proではf/1.8となった。このように絞り値が変更されたことで、バーやコンサート会場といった暗い場所でもこれまでより多くの光を取り込むことができ、画質の向上につながることが期待される。Appleは「超広角カメラは92%多くの光をとらえて」と表現しているが、これは実際にテストしたいところだ。

画像クレジット:Apple

最も注目されるのは、おそらく望遠レンズの向上だろう。絞り値こそiPhone 12 Proのf/2.4からf/2.8に変更されたが、iPhone 12 Proの望遠が52mm相当であったのに対しiPhone 13 Proでは77mm相当だ。このため、画質を犠牲にすることなく遠くのシーンにこれまで以上にズームできる。望遠レンズは、これまで対応していなかったナイトモードにも対応した。

iPhone 13 Proで利用できるマクロモードも発表された。超広角レンズとオートフォーカスシステムの連携で、2cmの距離まで寄れる。ここまで寄るのはプロ向けの、スマートフォンでないカメラでも難しい。ビデオや、さらにはスローモーションビデオもマクロ撮影ができるので、おもしろいオプションとなるだろう。

画像クレジット:Apple

フォトグラフスタイルとシネマティックモードも発表された。両方ともiPhone 13でもiPhone 13 Proでも利用できる。

フォトグラフスタイルは、写真がレンダリングされるとき必要なエリアだけをリアルタイムで編集する機能だ。4つのプリセットから1つを選んで構図を決め、シャッターボタンを押す前に仕上がりを確認できる。もちろんリアルタイムでフィルタをかけて撮る機能は以前からあるが、Appleによればフォトグラフスタイルはもっと先進的なテクノロジーで、機械学習を利用して被写体のスキントーンを損ねることなくインテリジェントに適用できるという。

画像クレジット:Apple

シネマティックモードにより、ビデオを撮影した後で背景のボケ効果を調整したりフォーカスを変えたりすることができる。この機能はどちらかというとプロの映画製作者向けのようだ。映画監督のKathryn Bigelow(キャスリン・ピグロー)氏と撮影監督のGreig Fraizer(グレイグ・フレイザー)氏が撮影しメイキングで語るビデオで、この機能が紹介された。キヤノンやニコンが心配するには及ばない。カメラであることの利点はこれからも常に存在するからだ。これに対して、こちらはスマートフォンのカメラだ。とはいえ、スマートフォンで撮影した映画がアカデミー賞で話題になったことがないわけではない。

iPhone 13の価格は税込9万8800円からで、エントリーレベルのデジタル一眼レフカメラとちゃんとしたレンズよりも高い。望遠レンズやマクロ撮影機能も備えたiPhone 13 Proは税込12万2800円からだ。

画像クレジット:Apple

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Kaori Koyama)

【まとめ】アップルが発表した4つiPhone 13、2つのiPad、Apple Watch Series 7のポイントをチェック!

2021年もこの時期がきた。

9月になると、2つのことが起こる。Earth, Wind, &Fireを繰り返し聴くことと、Appleが新しいiPhone(4台)を発表することだ。

予定どおり、Appleは本日、バーチャルイベントを開催し、クパチーノのキャンパスからちょっとしたライブストリーミングを行った。1時間のストリーミングを全部見る時間がなかった人も、ハイライトだけを知りたい人も、いつものようにそのすべてをそれぞれポイントにまとめてご紹介しよう。

新しい2台のiPad

エントリーモデルのiPadとiPad miniの両方がアップデートされた。それぞれの新機能は次のとおりだ。

画像クレジット:Apple

新しいiPad

  • Appleが2019年に「iPhone 11」で初めて導入した「A13 Bionic」チップを搭載。同社によると、前世代と比べて全体的に20%高速化しているとのこと
  • フロントカメラは800万画素から1200万画素の超広角レンズにアップグレード
  • また、iPad Proにも搭載されたセンターフレーム機能により、部屋の中を移動するときに顔が中央に来るように映像を自動的にリフレーミングすることができる
  • 価格は329ドル(日本では税込3万9800円)から。9月24日発売で、すでに予約可能

関連記事:アップルがエントリーモデルのiPadをアップデート、税込3万9800円から

画像クレジット:Apple

新しいiPad mini

  • スリムなベゼルと丸みを帯びたエッジでデザインを一新
  • ディスプレイは7.9インチから8.3インチへと大型化したが、本体サイズは変わらない
  • CPUは40%、GPUは80%高速化
  • USB-Cを採用
  • 5Gモデルも登場
  • 背面カメラには、大幅に改良された12MPカメラとTrue Toneフラッシュが搭載。また標準的なiPadと同様に、フロントカメラにも12MP超広角レンズとセンターフレームを採用
  • 第2世代のApple Pencilにも対応
  • 価格は499ドル(日本では税込5万9800円)。9月24日発売で、すでに予約可能

関連記事:iPad Miniが新デザイン、5G対応、8.3インチディスプレイ採用、過去最大の刷新

Apple Watch

画像クレジット:Apple

AppleはWatch紹介の最初に、iOS 8に搭載されるいくつかの新機能(自転車での転倒検知や、電気自転車での消費カロリー検知のアルゴリズム改善など)を紹介した後、新しいWatch Series 7を発表した。

Apple Watch Series 7

  • ベゼルを狭くしたことで20%の大きさのディスプレイを搭載
  • その大きなディスプレイを活かすために、UI全体でボタンが大きくなる
  • スワイプ式の予測キーボードを搭載し、外出先での文字入力が簡単に
  • Appleによれば、今回のモデルは、史上最強(最も割れにくい)のディスプレイを搭載しており、Apple Watchとして初めて防塵性能のIP6X認証を取得
  • また「最新の充電アーキテクチャ」と「新しいUSB-C充電器」で充電速度が33%向上
  • Series 7の価格は399ドル(日本での価格は未発表)で「2021年の秋の終わり」に出荷を開始する予定

関連記事:Apple Watch Series 7は20%も大きなディスプレイでもっと頑丈に

新しいiPhone

画像クレジット:Apple

iPhone 13、iPhone 13 mini、iPhone 13 Pro、iPhone 13 Pro Maxと、1台でも2台でもなく、4台の新しいiPhoneが登場した。より高速なチップ、より優れたカメラ、より優れたバッテリー駆動時間を搭載、実現している。

画像クレジット:Apple

iPhone 13とiPhone 13 mini

  • どちらもAppleの新しいA15 Bionicチップを搭載。6コアのCPU(2つの高性能コアと4つの高効率コア)と4コアのGPUを搭載し、Appleがデバイス上の機械学習に採用しているニューラルエンジンも大きく進化している
  • 「Ceramic Shield」は他のどのスマートフォンのガラスよりも頑丈だと、Appleはいう
  • IP68の防水性能
  • 28%明るくなったディスプレイ
  • iPhone 13は6.1インチ、iPhone 13 miniは5.4インチ
  • スクリーン上のスピーカーが後ろの人を見たときにカメラのフォーカスを自動的に移動させるなど、機械学習を利用したワイルドな新モード「シネマティック」。
  • 64GBモデルはついに引退。ベースモデルのストレージは128GB
  • Appleによると、iPhone 13 miniのバッテリー駆動時間は1時間半改善され、ほとんどのiPhone 13ユーザーは1回の充電で2時間半長く使えるようになるという
  • iPhone 13は799ドル(日本では税込9万8800円)から、iPhone 13 miniは699ドル(日本では税込8万6800円)から

関連記事:iPhone 13バッテリー性能だけでなくはカメラ機能も向上、税込9万8800円から

iPhone 13 Pro and Pro Max

画像クレジット:Apple

  • 「Ceramic Shield」の採用に加え、A15にアップグレードし、5コアのGPUを搭載
  • ウワサどおり、リフレッシュレートを最大120Hzまで調整できるディスプレイを搭載。動きやスクロールが非常に滑らかになる
  • 背面には光学3倍ズームの望遠レンズ、超広角レンズ、広角レンズの3つのカメラを搭載。ナイトモードは、3つのカメラ(従来は対応していなかった望遠レンズを含む)に対応している
  • サイズは2種類。Proは6.1インチ、Pro Maxは6.7インチ
  • ストレージ容量が足りないという人のために、1TBモデルも登場
  • Proは999ドル(日本では税込12万2800円)から、Pro Maxは1099ドル(日本では税込13万4800円)から。9月17日に予約開始、9月24日出荷予定。

関連記事:iPhone 13 ProとPro Maxは120Hz画面、3倍光学ズームを加えた3眼カメラでより「Pro」に

その他の情報

  • iOS 15は9月20日に配信される
  • AppleのFitness+サービスが、オーストリア、ブラジル、コロンビア、フランス、ドイツ、メキシコ、ロシアを含む15の新しい国で展開される。ワークアウトは英語で行われ、6カ国語で字幕が表示される。また、iMessageやFaceTimeから起動できるグループワークアウトも開始され、ハングアウトとワークアウトをマルチタスクで行うことができるようになる
  • AppleのMagSafeウォレットは、ウォレットが携帯電話から外れてしまった場合、「探す」アプリを通じて最後に確認した位置を表示できるようになる

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画像クレジット:Apple

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Katsuyuki Yasui)

24歳CEOが率いるスキマバイトアプリ「タイミー」が約53億円を調達

空き時間に面接不要ですぐに働け、勤務終了後すぐお金を受け取れるスキマ時間バイトアプリ「タイミー」(iOSAndroid)提供のタイミーは2021年9月15日、第三者割当増資と金融機関からの借り入れにより総額約53億円の資金調達を行った。

調達先には、日本の未上場企業への投資が初となる海外機関投資家のKeyrock Capital Managementなどが含まれており、同社CFOの八木智昭氏は「コロナ禍における、タイミーの力強い成長ぶりが評価された」と話す。タイミーは2018年8月に同アプリをリリースして以来、金融機関からの借入を含む累計調達額が約90億円となった。また、今回の資金調達先でもある伊藤忠商事とは資本業務提携契約を、KDDIとは業務提携の検討を目的とした基本合意をそれぞれ締結している。

スキマ時間にすぐ働けるアプリ

タイミーは「この時間なら働ける」人と「この時間だけ働いて欲しい」企業をつなぐスキマバイトアプリだ。働き手は応募や面接がなく、条件をクリアしていれば好きな場所・好きな時間・好きな職種ですぐ働ける。また応募の際には、過去に働いた人のレビューを見ることができる。仕事が終わったらその場で報酬がアプリに反映され、24時間好きなときに引き出しが可能である(タイミーが給与を一時的に立て替える)。

一方、企業側は来て欲しい時間や求めるスキルを指定するだけで、条件にあった働き手と自動でマッチングできる。求人掲載手数料は無料で、管理画面から簡単な情報入力を済ませれば、最短1分で単発アルバイトの求人を掲載可能。また「勤務ドタキャン」を防止するペナルティ制度や、過去に働いた実績・レビューが見える機能で、働き手の質の担保も行われている。企業は働き手への賃金プラス30%を手数料としてタイミーに支払い、これが同社の主な収益源となっている。規模や時間を問わず、飲食・小売・物流などあらゆる業種の企業が利用する。

画像クレジット:タイミー

タイミーが従来の派遣会社や求人サイトと決定的に異なる点は、その「手軽さ」にある。20・30代が中心のタイミーの働き手は、例えば「今日の○時〜○時、渋谷で暇だな」と感じたら、ピンポイントの案件をタイミーで探してすぐに仕事をすることができる。登録会や面接もない。また企業にとっても、必要な時に必要な人材を迅速に集められる。あるスーパーの店長は「募集からたった数十秒後にマッチングした時は、衝撃を受けた」と話しているという。

面接がなく手軽であるため、「働き手の質が低いのでは」と想像してしまうが、「従来の派遣などと比較しても、むしろ無断欠勤などは少ない」と八木氏は話す。抑止力となっているのは、勤務終了後に働き手・企業が双方に残すことができるレビューだ。両者にとって、タイミーというプラットフォーム上で継続的に活動していくためには「良いレビューを残さなければならない」というインセンティブが働く。

コロナ禍で大胆にポートフォリオを変化

タイミーCEOの小川嶺氏は現在24歳。高校生の頃から起業を志しており、大学在籍中にファッション関連の会社を立ち上げたものの1年半で解散。生活費を稼がなければならなかった同氏は、日雇いバイトをすることもあったという。その時に、バイト前に毎回説明会に行かなければならなかったことが「不便だと思った」(同氏)。「これだけスマートフォンが普及している時代なら、アプリだけでもっとシンプルに完結する仕組みをつくれるはず」と感じたのが、タイミーをローンチするきっかけとなった。

同社が最も苦しかった時期は、日本で新型コロナウイルスが感染拡大した2020年4月頃。それまで企業ユーザーの半数以上を占めていた飲食店が軒並みダメージを受け、タイミーの成長にも陰りが見えた。しかし小川氏は、営業リソースを物流関連企業などに迅速に振り分け直し、大幅に方向転換。現在ではEC倉庫での軽作業といった物流関連がタイミー利用企業の60%以上を占めており、全体の成長率ではコロナ禍前をも凌ぐほどに息を吹き返した。2021年8月時点でタイミーの利用者数は約200万人、導入店舗数は約4万4000カ所に上る。

しかし、小川氏の目指すゴールはまだまだ先にありそうだ。「私達はUberやAirbnbのようなシェアリングエコノミーのサービスを目指しています。その意味でいうと、現時点でのタイミーはただ案件が掲載されているだけのサイトにすぎない。今後は、例えばユーザーの傾向を把握した上でAIがレコメンドする機能であったり、時給が変化するダイナミックプライシングであったりなど、ユーザーのスキマ時間をもっと有効活用できるよう工夫したい」。

自動車や部屋だけではなく、私達が持つ「時間」は紛れもなく貴重な資産である。誰もがスキマ時間をシェアすることで報酬を得られる世界を目指すタイニーは、今後日本の「働き方」の新しい方向性を示す存在になるかもしれない。

画像クレジット:タイミー

テスラ共同創業者が設立したバッテリーリサイクルRedwood Materialsが事業拡大、バッテリーの材料も生産

元Tesla(テスラ)共同創業者のJB Straubel(JB・ストラウベル)氏がバッテリーの循環サプライチェーンを作ることを目的に興した会社Redwood Materials(レッドウッド・マテリアルズ)が事業を拡大する。主にリサイクル会社として知られてきたが、同社は米国で重要なバッテリー材料を生産することでサプライチェーンを単純化する計画だ。

そのために同社は現在、10億ドル(約1100億円)かけて新設する広さ100万平方フィート(9万3000平方メートル)の工場のための場所を探しているとBloombergは報じた。工場はリチウムイオンバッテリーの重要な構成要素である陰極箔と陽極箔の生産に特化する。年間生産量は2025年までに最大100ギガワットアワーとなる見込みで、これは電気自動車100万台に使うのに十分な量だ。

しかしそれですべてではない。2030年までに同社は年間のバッテリー材料生産を500ギガワットアワーに増やす計画で、これは電気自動車500万台を走らせるボリュームだ。

こうした数字は驚くほど野心的なものだ。Redwoodがそれをやってのけることができるなら、大半がアジアにある世界最大の材料企業と互角に張り合えることになる。カソードサプライチェーンを米国に集積し、一定割合でリサイクル材料を使用すれば、バッテリーパック生産にともなう二酸化炭素排出を41%抑制するかもしれない、とBloombergNEFは推計した。

画像クレジット:Redwood Materials

Redwoodはリサイクル事業の拡大を計画しているが、リサイクルだけで生産に関するこの数字は達成できない。同社はリサイクルされたバッテリーと、持続可能な方法で採掘された材料からカソードとアノードを生産する、と声明文で述べた。差し当たり、同社はこの新たな冒険のパートナーに関しては沈黙したままだが、今後、提携と事業拡大についての発表があるだろう。

今回のニュースは、何カ月もの間、積極的に拠点拡大に取り組んできた同社の最新の大胆な動きだ。2021年夏の初めにRedwoodは、ネバダ州カーソン・シティの広さ15万平方フィート(約1万4000平方メートル)のリサイクル施設の規模を3倍に拡大する、と述べた。同社はまた、ネバダ州スパークスに立地するTeslaとPanasonic(パナソニック)のギガファクトリーに近い100エーカー(約40万平方メートル)の土地を購入した。このニュースのすぐ前には、シリーズCラウンドで7億ドル(約770億円)をBill Gates(ビル・ゲイツ)氏のBreakthrough Energy Ventures、AmazonのClimate Pledge Fund、 Baillie Gifford、Goldman Sachs Asset Managementといった主要投資家から調達した。この資金調達によりRedwoodのバリュエーションは37億ドル(約4060億円)になった。

関連記事:バッテリーリサイクルRedwood Materialsが拡大の一環としてテスラギガファクトリーの近くに拠点設置

画像クレジット:Redwood Materials

同社はTesla、Amazon、電動バスメーカーのProterra、電動自転車メーカーのSpecialized Bicycle Componentsとリサイクル取引を結んでいる。Redwoodはリチウムや銅、ニッケル、コバルトなどの重要な材料の95〜98%をリサイクルバッテリーから回収することができる、と話している。

関連記事:リサイクルのRedwood MaterialsがProterraと提携しEV用バッテリーの原材料を持続可能なかたちで供給

画像クレジット:Redwood Materials

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

サイバーセキュリティの格付けを行うBitSightがサイバーリスク評価VisibleRiskを買収、ムーディーズも約275億円出資

組織が攻撃される可能性を評価するスタートアップ企業のBitSight(ビットサイト)は、信用格付け大手のMoody’s(ムーディーズ)から2億5000万ドル(約275億円)の出資を受け、イスラエルのサイバーリスク評価スタートアップであるVisibleRisk(ヴィジブルリスク)を非公開額で買収した。

ボストンに本社を置くBitSightは、サイバーリスクが信用格付けに影響を与える可能性があることを長年警告してきたムーディーズから出資を受けたことにより、サイバーセキュリティ・リスク・プラットフォームの構築が可能になると述べている。一方でムーディーズは、BitSightのサイバーリスク・データおよびリサーチを、同社が提供する統合リスク評価に活用することを計画しているという。

この出資により、BitSightの企業価値は24億ドル(約2640億円)となり、ムーディーズは同社の筆頭株主となる。

ムーディーズの社長兼CEOであるRob Fauber(ロブ・フォーバー)氏は、声明の中で次のように述べている。「透明性を高め、信頼を可能にすることは、ムーディーズの使命の中核をなすものです。BitSightはサイバーセキュリティの格付け分野におけるリーダーであり、我々が協力することによって、さまざまな分野の市場参加者がサイバーリスクをより深く理解、測定、管理し、それをサイバー損害のリスクに変換することができるようになるでしょう」。

その一方でBitSightは、ムーディーズとTeam8(チームエイト)が設立したサイバーリスク格付けのジョイントベンチャーであるVisibleRiskを買収したことによって、BitSightのプラットフォームに詳細なサイバーリスク評価機能が加わり、サイバーリスクに対する組織の財務的エクスポージャーをより適切に分析・算出できるようになる。VisibleRiskは、これまでに2500万ドル(約27億5000万円)を調達しており、同社のいわゆる「サイバー格付け」は、サイバーリスクの定量化に基づくもので、企業は同業他社と比較して自社のサイバーリスクをベンチマークし、サイバー脅威が企業に与える影響をよりよく理解し、管理することができると述べている。

BitSightはVisibleRiskの買収後、リスクソリューション部門を設立し、チーフリスクオフィサーとCスイートの最高幹部たち、取締役会を含むステークホルダーに、重要な一連のソリューションと分析結果を提供する。この部門は、VisibleRiskの共同設立者であり、ムーディーズのサイバーリスクグループを率いていたDerek Vadala(デレク・ヴァダラ)氏が率いることになる。

BitSightの社長兼CEOであるSteve Harvey(スティーブ・ハーベイ)氏は、ムーディーズとの提携とVisibleRiskの買収により「デジタル化が進む世界における顧客のサイバーリスク管理を支援する」範囲を拡大することができると述べている。

2011年に設立されたBitSightは、これまでに総額1億5500万ドル(約170億5000万円)の外部資金を調達しており、直近ではWarburg Pincus(ウォーバーグ・ピンカス)が主導した6000万ドル(約66億円)のシリーズDラウンドを終了している。500人弱の従業員を擁し、各国政府機関、保険会社、資産運用会社など、世界中に2300を超える顧客を持つ。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

マーベル新作ドラマシリーズ「ホークアイ」予告編公開、Disney+で11月24日より配信開始

Marvel Cinematic Universe(マーベル・シネマティック・ユニバース)の新作ドラマは、Disney+(ディズニープラス)で11月に配信開始となるが、その公開時期に相応しく、この「Hawkeye(ホークアイ)」は祝祭的な雰囲気に包まれた設定となっている。ホークアイことClint Barton(クリント・バートン)は、家族と一緒にクリスマスを過ごしたいと望んでいるが、彼の敵には別の計画がある。

このシリーズでは、再びJeremy Renner(ジェレミー・レナー)がホークアイを演じる。今回、彼は新しいパートナーと組むことになる。Hailee Steinfeld(ヘイリー・スタインフェルド)演じる自称「世界一の射手」Kate Bishop(ケイト・ビショップ)だ。「ホークアイ」は2人の弓使いの関係を中心に描かれるようで、コミックのキャラクターと同様に、クリントはケイトにホークアイの後継者となるための訓練を行う。今回公開された予告編には、その継承のヒントが窺える。この映像では2人が初めて出会い、協力して敵と戦う中で絆を深めていく様子が描かれている。

この中には、Captain America(キャプテン・アメリカ)ことSteve Rogers(スティーブ・ロジャース)を題材にしたブロードウェイミュージカルが上演されていたり、ホークアイが「Avengers:Endgame(アベンジャーズ/エンドゲーム)」で戦った「仮面の自警団」への敬意を示すなど、MCUの他の部分を想起させる箇所もいくつかある。この予告編で見られないのは、2021年夏公開の「Black Widow(ブラック・ウィドウ)」で暗殺者Yelena Belova(エレーナ・ベロワ)役としてMCUに登場したFlorence Pugh(フローレンス・ピュー)の姿だ。彼女は2020年12月に「ホークアイ」への出演が発表されている。

いずれにしても、エレーナ、クリント、ケイトが遭遇するときに何が起こるのか、あまり長く待たされずに明らかになるだろう。全8話の「ホークアイ」の第1シーズンは、日本時間11月24日17時より、Disney+で配信開始となる。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者Kris Holtは、Engadgetの寄稿ライター。

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画像クレジット:Disney

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(文:Kris Holt、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

中国の検索エンジン大手Baiduが上海でApollo Goロボタクシーのテストを開始

中国の検索エンジン大手Baidu(バイドゥ、百度)は、上海でApollo Go(アポロ・ゴー)ロボタクシーモバイルプラットフォームの公的なテストを開始し、中国における勢力の継続的な拡大を続ける。

Baiduは、そのロボタクシーがレベル4の能力を達成したと述べているが、地域の規制に準拠するために、現地時間9月12日の時点で一般公開されたすべての運行に人間の安全オペレーターが同乗する。米国自動車技術者協会(SAE)は、レベル4の自動運転車の定義を、ほとんどの場合人間の相互作用を必要とせず、限られた地域だけで運用することができるものとしている。Waymo(ウェイモ)、Cruise(クルーズ)、Motional(モーショナル)、Pony.AI(ポニーAI)、Yandex(ヤンデックス)などの企業はすべて、レベル4の自律性を備えた車両の頭脳を構築するために、LiDAR(ライダー)、レーダー、カメラ、GPSの同様の組み合わせを使用している。

上海で展開する車両群は、中国第一汽车(FAW)によって生産されるBaiduの第4世代自動運転車「紅旗EV」で編成される。同社は最初に稼働する車両の数を明らかにしなかったが、Baiduの広報担当者はTechCrunchに対して、目標は上海で約200台の車両を展開することだと語った。Baiduによれば、30の都市で約500台の自動運転車をテストまたは公に運用しているという。

Baiduはカリフォルニアで無人運転技術をテストする認可を得ているが、まだカリフォルニアでは何のサービスも展開しておらず、代わりにそのリソースのほとんどを中国でのスケールアップに振り向けている。同社の広報担当者によれば、中国でのロボタクシーサービスの需要が大幅に増大しているために、Baiduはテクノロジーの改善、多数の車両の製造、優れたユーザーエクスペリエンスの確保に注力しているのだ。上海は長沙、滄州、北京、広州にならび、Apollo Go ロボットタクシーサービスが一般に公開される5番目の都市だ。

ほんの数週間前に、Baiduは北京の通州区にApollo Goサービスを拡大した。通州区は、北京の東の玄関口と見なされており、31マイル(約49.9km)以上にわたって22の新しい駅が追加されている。2021年4月には、同社は北京の首鋼公園で10台の完全自動運転ロボタクシーを運行した。首鋼公園は1.2平方マイル(3.11平方km)のエリアであり、今回中国で最初の商業化されたロボタクシー運用の試験場となった。これらのクルマのハンドルの後ろには人間の安全オペレーターは座っておらず、乗客に安心感を与えるために同乗しているのは助手席の安全スタッフだけだ。1回の乗車料金は30元(約512.5円)で、18〜60歳の乗客が利用できる。サービスはまだ試験段階にあるため、上海を含む他のすべての場所では、乗車は無料だ。

上海の乗客は、Apollo Goアプリを使用して、午前9時30分から午後11時までの間にロボタクシーを呼んで、上海大学、上海インターナショナルサーキットや多くの観光アトラクションが集まる江京地区の150の駅の1つで乗降することができる。

上海はまた、自動運転車のための運用、テスト、研究開発施設が置かれたBaiduのApollo Park(アポロパーク)のある場所だ。1万平方メートルのスペースは、Baiduが市内に持ち込むことを計画する200台の自動運転車が収容される、中国東部で最大の自動運転車両群のサイトとなる。

Baiduの長期的計画は、中国の30の都市に今後2〜3年で3000台の自動運転車を展開することだ。同社は2013年から自動運転技術の研究開発に投資しており、2017年からApolloプロジェクトを推進していることを考えると、Baiduはまさにそれを実行する準備ができているのだろう。6月、BaiduとBAIC Group(北汽集団)は、Apollo Moon(アポロ・ムーン)の計画を発表した。Apollo Moonは、1台あたりの製造価格が48万元(約819万円)で大量生産される設定になっている。さまざまなことを考慮するとこれは本当に安いといえるだろう。Baiduは、成長する車両群に追加を行うために、今後2、3年のうちに1000台のApollo Moobと、まだ発表されていないさまざまなモデルも生産すると述べている。

インフラストラクチャは、ApolloGoを拡張するというBaiduの目標の中の、大きな部分を占めている。Baiduの広報担当者は、同社は中国の主要都市のたくさんの交差点での、5Gを利用したV2X(車対何か)インフラストラクチャの構築にも投資していると語った。Baiduは、交通渋滞を軽減するために道路情報を自動運転システム転送できるエッジコンピューティングシステムを、カメラやLiDARなどのセンサーと組み合わせてすでにインストールしている。同社によれば、長期的には、スマートインフラストラクチャは、自動運転車のパフォーマンスを向上させ、車載センサーとコンピューティングパワーに必要な莫大なコストの一部を相殺するのに役立つという。

Baiduは、現在ロボタクシーはレベル4の自律性を実現するために車載機能に依存しているものの、大規模な展開を行うためにはV2Xが鍵だと考えている。

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画像クレジット:Baidu

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(文: Rebecca Bellan、翻訳:sako)

ソフトバンクグループが中南米で投資を拡大、約3290億円のファンド第2弾を発表

ソフトバンクグループは中南米への投資を拡大する。

日本の投資コングロマリットであるソフトバンクグループは9月14日、中南米のテック企業に照準を当てた2つめのプライベート投資ファンドSoftBank Latin America Fund II(ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドII)を発表した。さしあたり30億ドル(約3290億円)のファンドを新たに立ち上げる。

「ファンドIIは追加の資金調達も検討します」と同社は声明で述べている。

新たなファンドは、2019年3月に発表された50億ドル(約5480億円)のラテンアメリカ・ファンドに続くものだ。この第1号ファンドの初期規模は20億ドル(約2190億円)で、当初はInnovation Fund(イノベーション・ファンド)と呼ばれていた。

ソフトバンクによると、第1号ファンドでは6月30日時点で69億ドル(約7565億円)の価値がある計48の企業に35億ドル(約3840億円)を投資し、正味IRR(内部収益率)は85%となった。同社はこのファンドからユニコーン企業15社に投資した。ここには不動産テックスタートアップのQuintoAndarRappiMercado BitcoinGympassMadeiraMadeiraなどが含まれる。直近ではアルゼンチンの個人ファイナンス管理アプリUaláの3億5000万ドル(約380億円)のシリーズDを共同でリードした。

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ソフトバンクはまた、ポートフォリオ企業の「かなりの価値の上昇」に接したとも語る。例えばKavakとVTEXの価値は4.4倍に、QuintoAndarは2.6倍に、Banco Interは3.5倍になった(いずれも6月30日時点)。

ソフトバンクはブラジル、メキシコ、チリ、コロンビア、アルゼンチン、エクアドルなど中南米全域の企業に投資してきた。

ソフトバンクグループの副社長執行役員でCOOのMarcelo Claure(マルセロ・クラウレ)氏がソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドを率い、マネージングパートナーのShu Nyatta(シュー・ニアッタ)氏とPaulo Passoni(パウロ・パッソーニ)氏が同地域の投資チームをまとめている。オペレーティング・パートナーでソフトバンク・ブラジルのトップ、Alex Szapiro(アレックス・シャピロ)氏がファンドの運用チームを率いる。

投資と運用のチームは計60人を超え、マイアミ、サンパウロ、メキシコシティに散らばっている。

ファンドIIはテクノロジーを活用している同地域のあらゆる産業の企業に投資する。シードから公開までさまざまなステージの企業を対象とし、中でもeコマース、デジタル金融サービス、ヘルスケア、教育、ブロックチェーン、法人ソフトウェアなどの分野にフォーカスする。

声明文の中でソフトバンクの代表取締役会長兼CEOの孫正義氏は、中南米を「世界で最も重要な経済地域の1つ」と表現した。

「ソフトバンクは、中南米の何億もの人々の益となるテクノロジーの浸透を引き続き推進します」と孫氏は述べた。「中南米ではかなりのイノベーションとディスラプションが起こっており、中南米におけるビジネスの機運はこれまでになく高まっていると確信しています。中南米は当社の戦略で重要な部分を占めます。だからこそプレゼンスを広げ、マルセロの指揮のもとに投資規模を拡大します」。

クラウレ氏は、ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドの成功とリターンが同社の予想を「はるかに超えた」と述べた。今後の展望として、2022年は中南米の歴史の中で「最大のIPOイヤー」になる、と同氏は予想している。

TechCrunchは2021年初め、なぜグローバルの投資家が中南米に押し寄せているのかについて取り上げた。当時、ニアッタ氏は中南米のテクノロジーはどちらかというとディスラプションではなくインクルージョンだと筆者に語った。

「人口の大多数は消費のほぼ全部門で十分なサービスを受けられていません。同様に、ほとんどの企業が現代のソフトウェアソリューションのサービスを十分に提供されていません」とニアッタ氏は説明した。「多くの人、企業のために構築する余地がかなりあります。サンフランシスコではベンチャーエコシステムはすでに未来に住んでいる個人や企業のためにほんの少し暮らしを良いものにします。中南米では、テック起業家はあらゆる人の未来を構築しているのです」。

画像クレジット:abzee / Getty Images

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

韓国がグーグルに罰金194億円、OSで支配的地位を乱用

韓国公正取引委員会(KFTC)は現地時間9月14日、Android(アンドロイド)オペレーティングシステム(OS)マーケットで支配的な地位を乱用したとしてGoogle(グーグル)に1億7700万ドル(約194億円)の罰金を科したと発表した

韓国公取の声明によると、Googleはanti-fragmentation agreements(AFA、反フラグメンテーション協定)を通じてSamsung Electronics(サムスン電子)やLG Electronics(LGエレクトロニクス)など韓国のスマホメーカーがAndroid OSをカスタマイズするのを禁じることで市場の競争を制限した。

AFAでは、スマホデベロッパーはAndroidの修正版である「Androidフォーク」をインストールしたり開発したりすることは許されない。

韓国公取はGoogle LLC、Google Asia Pacific、Google Koreaが韓国のスマホデベロッパーにAFA締結を課すことを禁じ、既存バージョンの詳細を変更するよう命じた。この新たな措置はモバイル端末だけでなく、スマートウォッチやテレビなどAndroidで駆動する他のスマートデバイスにも適用される。

Androidの互換性プログラムは韓国のモバイルオペレーターオーナーとソフトウェア開発者でのイノベーションを促進し、韓国の消費者のより良いユーザーエクスペリエンスにつながった、とGoogleは声明文で述べた。「今日発表されたKFTCの判断はこうした恩恵を無視していて、消費者が享受しているメリットを過小評価しています。当社はKFTCの命令に対し控訴します」と同社の広報担当は述べている。

反競争の慣行をめぐって2016年7月からGoogleを調査していた、と韓国公取の広報担当は話した。

KFTCの発表によると、中国を除く世界のモバイルOSマーケットにおけるGoogleのシェアは2010年の38%から2019年には97.7%に拡大した。

GoogleのAFAはまた、同社のOSを使っているスマートウォッチやテレビといったテック企業の新デバイスの発売も制限してきた。ここには2013年のSamsungのスマートウォッチ、2018年のLG ElectronicsのLTEスマートスピーカー、2018年のAmazon(アマゾン)のスマートテレビなどが含まれる。

韓国の監視当局はPlay Storeアプリマーケットや請求システム、広告マーケットなどでも調査している。

一方、同国の放送通信委員会のプレスリリースによると「反グーグル法」は9月14日に施行された

韓国では8月下旬に、GoogleやAppleなどグローバルなテック企業がアプリ開発者に対して占有のアプリ内決済サービスの使用と手数料を強要することを禁じる法案が成立している

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画像クレジット:lex Tai/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Kate Park、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップルが瞑想やグループワークアウト機能を「Fitness+」サブスクに追加、15カ国で新たに展開

Apple(アップル)はApple Watch Series 7をお披露目したあと、Apple Watchを中心としたフィットネスサービス「Fitness+」のアップデート内容を公開した。

現在、月額9.99ドル(約1095円)のこのサービスは現在、米国、カナダ、英国など6カ国で提供されている。しかし、米国時間9月14日に開催されたプレスイベントでは、ブラジル、サウジアラビア、インドネシア、フランス、イタリア、ロシアなど、2021年秋にはさらに多くの国でこのサービスが展開されることが発表された。コンテンツは6つの言語で字幕が表示可能になる。

また、Appleは、Fitness+のサブスクライバー向けに、秋から新たにピラティスとガイド付き瞑想のコンテンツを追加すると発表した。Fitness+には、感謝の念、マインドフルネス、そして心を落ち着かせることに焦点を当てたガイド付き瞑想が毎日追加される。これらのコンテンツはビデオと音声の両方で提供されるとのことで、HeadspaceやCalmのようなアプリとの競合が予想される。

また、Fitness+は、秋にShare Playを利用した「グループワークアウト」を展開する。これは、サブスクライバーが世界のどこにいても、FaceTimeやグループメッセージスレッドを介して友人と一緒にエクササイズできるというもの。一度に最大32人まで一緒にエクササイズできるという。

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画像クレジット:Apple

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)