Amazonが開発者たちに機械学習を教えるために、縮小版自動運転車を発表

Amazonは本日(米国時間11月28日)、開発者が機械学習を学ぶのを助けることを目的とした、完全に自律的な1/18スケールのレースカーAWS DeepRacerを発表した。定価は399ドルだが、現在は249ドルで提供されている。このレースカーは、強化学習(RL:Reinforcement learning)と呼ばれる機械学習技術を、開発者が文字通りハンズオンで学習できるようにする。

RLは、他の機械学習手法とは違った訓練モデルへのアプローチを取っている、とAmazonは説明している

それは、インタラクティブな環境内で「エージェント」が試行錯誤的に行動することが許されている場合に機能する機械学習の一種である。実行したアクションからのフィードバックを使用して、あらかじめ決められた目標に達したり、またはスコアまたは報酬などを最大限にするために、時間をかけて学習を行う。

これによって、他の機械学習技法との違いが生まれる。例えば教師あり学習に比べると、開始に当たってラベル付きのトレーニングデータを必要とせず、長期ゴールを最適化しつつ短期意思決定を行うことができる。

新しいレースカーは、自動運転を通じた学習で、開発者にRLを実験させる。

開発者はまず、AWS RoboMaker上に構築されたクラウドベースの3Dレーシングシミュレータ内で、仮想自動車とコースの利用を始める。ここでは、自動運転モデルを、シミュレータ内で事前に定義されたレースコースに対して訓練することができる。そしてそのモデルを仮想的に評価したり、実世界の物理的なAWS DeepRacerカーにダウンロードしたりすることができる。

彼らはまた、車が発表されたre:Invent会議で開催される、最初のAWS DeepRacer Leagueへ参加することもできる。このイベントはAWS DeepRacerワークショップとMGM Speedwayで24時間に渡って行われ、Amazon SageMakerAWS RoboMaker、およびその他のAWSサービスが利用される。

6つのメイントラックがあり、それぞれにピットエリア、ハッカーガレージ、トレーニングや実験に使用できる2つの拡張トラックが追加されている。DJもいる。

このリーグは、今回のイベント終了後も、世界中のAWS Global Summitで、2019年以降に始まる一連のライブレースイベントとして継続される。Amazonによれば、re:invent 2019におけるAWS DeepRacer 2019 Championship Cupでの優勝を目指して、仮想トーナメントがこれから1年を通して実施される。

車のハードウェア自体は、インテルAtomプロセッサを搭載した1/18スケールのラジコン式四輪駆動車である。プロセッサでは、Ubuntu 16.04 LTS、ROS(ロボットオペレーティングシステム)、そしてIntel OpenVinoコンピュータビジョンツールキットが実行される。

車には、1080pの解像度を持つ4メガピクセルのカメラ、802.11ac Wi-Fi、複数のUSBポート、持続時間約2時間のバッテリ電源も含まれている。

ハードウェアはAmazonのここから購入することができる。

AWS re:Invent 2018カバレッジ

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(翻訳:sako)

AnyPayのわりかんアプリ「paymo」がサービス終了、わりかん代金の請求は12月13日まで

決済領域やブロックチェーン領域で複数のビジネスを展開するAnyPayは11月29日、同社が2017年1月より提供していた、わりかんアプリ「paymo」のサービス提供を終了すると発表した。本日より段階的に各機能が停止し、2019年5月30日に正式終了となる見通し。

paymoは、居酒屋やレストランでの食事などを参加メンバーで“わりかん”するときに便利なわりかんアプリ。ユーザーはアプリをダウンロードしてユーザー登録を済ませれば、本人確認なしでサービスを利用できることが特徴だ。paymoについての詳しい説明はサービスリリース時に僕たちが公開したこちらの記事を参考にしてほしい。

AnyPayはこれまでに、決済事業やブロックチェーンをはじめ、2017年に立ち上げた投資事業を通してモビリティ領域を中心とする国内外のシェアリング市場への投資を行ってきた。同社は今後、決済事業のリソースを法人向けURL・QRコード決済サービスの「paymo biz」に集約し、投資事業や新規事業創出へのコミットメントを増やす構えだ。

paymoは本日15時より新規会員登録を停止。続いて12月6日に他のユーザーにわりかん代金を請求する新規取引を停止し、12月13日には全取引を停止して請求・支払いリクエストの作成ができなくなる。この日までに割り勘代金を回収できていないリクエストはキャンセルされるので注意が必要だ。アプリに溜まったお金を引き出しできるのは2019年4月25日までとなっており、5月30日には正式にサービスが終了する。

タウンWiFiが成果報酬型集客ツール「WiFiチラシ」をリリース——企業へWiFi設置メリットを提供

通信キャリア各社が大容量のデータ通信プランの提供を始めて2年ほど経つが、月額料金はまだまだ高め。リーズナブルな通信プランを選び、月末になる度に通信キャリアの速度制限を受けるユーザーにとっては、スマートフォンのデータ通信量節約は、いまだに悩みの種だ。

タウンWiFi」は、そうした悩みを解決するためのWiFi自動接続アプリ。接続可能な無料の公衆WiFiを探して、自分でいちいち設定しなくても自動で接続・認証してくれる。2016年5月にリリースされ、2018年10月末時点でアプリ利用者は450万以上。日本以外にも34カ国でサービスを提供し、国内外のWiFiスポットにログインが可能となっている。

TechCrunch Tokyo 2016のスタートアップバトルで審査員特別賞を受賞した、タウンWiFi代表取締役の荻田剛大氏は、「どこでも無料でWiFiに接続できる世界を実現したい」としてサービスを展開してきた。

だがそこでネックとなるのが「小売店などのオーナーにWiFi設置への意欲が湧かないこと」。

「これまでタウンWiFiは『WiFi利用者が利用しやすいように』ということを前提に開発を進めてきた」という荻田氏。今年に入って、コンビニやカフェのオーナーなど、WiFiを提供する側の人たちと会う機会が増え、話を聞いていて「WiFiオーナーがWiFi設置の利益を享受できていない」と感じるようになったそうだ。

「WiFiオーナーは、自店のWiFiがどれぐらい使われているのか、どれくらい集客と収益につながっているのかを把握できていない。WiFi接続のために月々5000円とか1万円とかを負担しているのに、その効果が分からない状況だ。ユーザーだけでなく、『WiFiを入れて良かった』とオーナーにも思ってもらいたい。そうすることがWiFi設置数が増えることにつながる」(荻田氏)

そこでタウンWiFiが打ち出したのが、11月29日にリリースされた成果報酬型集客ツール「WiFiチラシ」だ。

WiFiで集客、来店検知で効果測定も

タウンWiFiでは、7月に「WiFiパーソナライズ接続機能」を追加。これまでに蓄積してきたWiFiの混雑状況や接続速度とユーザーの利用状況に関するビッグデータを掛け合わせ、ユーザーの属性や時間帯により接続を自動判定することで、より快適なWiFi環境を提供する仕組みを基本機能として搭載した。また、8月には自動ログインの対象地域を世界34カ国へ拡大。これらは、「ユーザーに不便な体験をさせない」という、いわば“守り”の施策だ。

これに対して今回リリースした「WiFiチラシ」は“攻め”の施策、と荻田氏はいう。

WiFiチラシは、WiFi設置店舗がタウンWiFiのユーザーを対象に、スマートフォンのプッシュ通知の形で来店を促すメッセージ、すなわち「デジタルチラシ」を配信する機能だ。メッセージは、ユーザーの性別・年齢以外に、店舗からの距離や来店経験の有無・頻度を設定して配信することができる。

冒頭にも挙げたが「WiFiオーナーはWiFi設置のメリットを感じ切れていない」と荻田氏は話している。これまでにWiFiオーナーがユーザーにアピールできていたことは「認証完了ページにPRページを表示すること」ぐらい。だが楽天インサイト(旧・楽天リサーチ)が2018年に行った「フリーWiFi広告効果に関する調査」によれば、フリーWiFiを利用するユーザーの約9割は、PRページについて「記憶に残らない・役に⽴たない」と答えていて、この方法はあまり有効ではないことが分かっている。

「WiFiを導入し、タウンWiFiでユーザーが接続することで集客につながった、という実感がWiFiオーナーにできれば、WiFiがどこでも使える世界がより近づく」(荻田氏)

WiFiチラシの利用料金は、初期費用・固定費は無料、来店数に応じた金額のみがカウントされる成果報酬型だ。自動的にABテストを行うことで、来店した人の中からメッセージを見なくても来た人の数を引いて、集客効果を算出するという。

「観光協会やカフェのオーナーと話していると『紙のチラシでは費用対効果が分からない』と言う声が挙がる。WiFiチラシなら、リアルタイムにリーチが分かり、来店状況も分かる」(荻田氏)

テスト導入を行った企業・団体からは「初めて効果が分かる集客手法を手に入れた」「非会員の潜在客が来店客に変わったという効果を実感した」「完全成果報酬型で費用対効果が明確。新規顧客も来場し、手ごたえを感じた」といったコメントが寄せられているそうだ。

荻田氏は「WiFiを入れるだけで集客効果が分かるとなれば、タウンWiFiを使う動機になる。『WiFiを入れる店なら、必ずタウンWiFiを使う』というようなツールとしていきたい」と語っている。

「WiFiを使いたいユーザーは今後、2020年のオリンピックに向け、インバウンドで伸びると思う。旅行者は店でゆっくりしているときにWiFiを使いたいはず。でも日本では個店でWiFiを提供していないところが多い。これはメリットが分からないからではないか。このサービスの提供でメリットが分かるようになれば、より『どこでもWiFiが使える世界』を実現できる。そういう使命感を持ってやっている」(荻田氏)

「タウンWiFiは今後も提携先の電通や国際興業との連携で、新しいサービスやツール開発を進める」と荻田氏は話す。「WiFiチラシによる集客情報以外でも、ユーザーの導線や、ほかにどういう店を利用しているかが分かる。個人を特定しない範囲で提携先に提供し、分析した結果をWiFiオーナーにも提供していく」(荻田氏)

“波動”を打ち合う対戦型ARスポーツ「HADO」運営が7.2億円を調達、プロリーグ立ち上げ目指す

突然だけど「一度でいいから漫画や小説のキャラクターのように『ビーム』を放ったり『魔法』を使ってみたい」と思ったことはないだろうか?

僕自身は小学生の時に、ドラゴンボールや仮面ライダーの必殺技をかけ合って友達と遊んだり、ハリーポッターの影響から呪文を唱えあったりしていた思い出がある。

当時は実際にビームや魔法を使えるわけではなかったので、あくまで頭の中でイメージするしかだけだったけれど、今はテクノロジーの活用によって条件さえ満たせば誰もがビームを出せる時代になった。

ユーザーが“波動”を出し合って対戦するARスポーツ「HADO」がまさにその世界観を体験できるサービス。開発元であるmeleapは11月29日、複数の投資家を引受先とする第三者割当増資により、総額で7.2億円を調達したことを明らかにしている。

今回meleapに出資したのはアイ・マーキュリーキャピタル、DBJキャピタル、インキュベイトファンド、キャナルベンチャーズ、秀インター、SMBCベンチャーキャピタル。同社については2017年11月に3億円の資金調達を実施した際にも紹介しているけれど、今回を含めると累計の調達額は11.1億円になるという。

HADOは頭にヘッドマウントディスプレイ、腕にアームセンサーを装着して楽しむ、AR技術を使ったスポーツだ。3対3のチームに分かれてユーザーは「エナジーボール」や「シールド」などの技を駆使して対戦し、80秒間の試合時間内に取り合った点数で競う。

meleapではこのHADOシリーズを国内外で店舗展開していて、現時点で店舗数は世界23ヶ国52箇所まで拡大。延べ130万人以上が同シリーズを体験している。

この1年間でプロダクト面もアップデートされ、HADOのスタッツを管理できる「HADO CONNECT」やカートを運転しながら火の玉を撃ち合って戦うコンテンツ「HADO KART GHOST BATTLE」が新たに登場。アトラクションが増えただけでなく、プレーヤーの成績管理やチーム作成などが可能になった。

同社CEOの福田浩士氏によると、前回調達時から国内外で店舗数が増加したことに加えて大会数や大会規模も拡大しているそう。12月8日には第三回となる世界大会「HADO WORLD CUP 2018」を開催する予定だが、そのほか国内で年間80大会を開催するまでに広がっている。

それに伴い自らスポンサーや運営会社をつけるHADOチームも出てきているそうで、今後はこの大会事業を進化させプロリーグを立ち上げていく計画だ。

今回調達した資金はHADOの店舗拡大と観戦事業立ち上げのために用いる方針。具体的には競技開発、観戦プラットフォーム開発、番組制作が主な投資ポイントになるという。すでに放送事業の施策の1つとして、2019年1月にHADOのバトル番組「HADO BEAST COLOSSEUM」をスタートすることも決定している。

「まずは2019年でHADO観戦番組の成功モデルを作り、視聴ファンを拡大する。2020年にはプレーヤーがHADOで継続的に稼げる状態(プロ化)を作りたい」(福田氏)

meleap経営メンバーと投資家

Amazon Forecastは時系列データから予測を作りだす機械学習ツール

AmazonのAWSが今日(米国時間11/28)、時系列データに基づいて予測を生成する機械学習ツールAmazon Forecastをローンチした。予測は機械学習のかなりふつうの使い方だが、そのスキルのないデベロッパーが一からそれを作るのは難しい。しかしAmazonは当然ながら、自社のニーズのためにすでに多くのモデルを作っているので、今回はそれらをデベロッパー向けのプロダクトにまとめたのだ。

AWSのCEO Andy Jassyが今日のAWS re:Inventのキーノートでこう述べた: “わずか三クリックで、このツールにデータを与え、予測を得ることができる。超簡単でしかも、非公開ベータでベンチマークした結果としては、正確度は人びとがふつうにやるよりも50%高い。また費用は、どこかからソフトウェアを買う場合の1/10程度だ”。

Amazonはそのリテールビジネスの中で、自社のデータを扱うモデルをたくさん作ってきた。それは、Amazonがそのリテールサイトの需要予測に使ったりするものと基本的には同じ技術だ。ユーザーは同社に、彼らのサプライチェーンのデータのすべてを提供し、それによりそのサービスに、予測に影響を及ぼす変数を与える。

その楽屋裏では、AWSがそのデータとシグナルを見て、あらかじめ構築されている8種のアルゴリズムからどれかを選び、モデルを訓練し、それを微調整して予測を提供する。

AWSのこのサービスは、SAPやOracleのサプライチェーンツールと容易に統合できるし、Amazonの新しいデータベースサービスTimestreamのデータも使える。

このサービスは必ずしも安くはないが、デベロッパーの時間を大幅に節約できるだろう。

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画像クレジット: Ron Miller

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Uberの2016年のデータ流出と隠蔽、英国とオランダが計100万ドル超の制裁金科す

Uberが2016年に顧客5700万人の名前や電子メールアドレス、電話番号などのデータを流出させた件に対する制裁金はさらに100万ドル超上積みされた。

2カ月前、この配車サービス大手は、米国でのデータ流出に関係する法的問題を解決するため50州、加えてワシントンD.C.と和解し、制裁金1億4800万ドルを払うことに合意した。

しかしながら流出には欧州のユーザーのデータも含まれていた。そして昨日、英国のデータ保護当局であるICOは英国の法規制に基づき、38万5000英ポンド(約49万ドル)の制裁金を科すと発表した。

オランダのデータ保護当局もまた昨日、オランダの法に違反したとして60万ユーロ(約67万ドル)の制裁金を科した。

EUの法律適用においては、英国とオランダでのデータ流出はEUの法律が施行される前のことだったとしてUBERは巧みに回避した。

英国の制裁金は最大50万英ポンドだったのに対し、EUの新たな一般データ保護規則(GDPR)では対象企業のグローバル年間総売上高の4%が最高額となる。

GDPR下での比例式の制裁金は大きな額になりやすい。

ICOは、英国拠点のドライバー約8万2000人の記録ー過去の走行の詳細や、いくら支払われたのかといったものを含むーが2016年の10月と11月にあったデータ流出で盗み出されたが、Uberがその事実を公にしたのは1年前だったと指摘した。

一方、オランダの当局は、データ流出は17万4000人のオランダ市民に影響を及ぼしたとした。

GDPRではデータ流出の事実開示を定めていて、情報を扱う機関は、欧州市民の個人情報に影響する流出があった場合、72時間以内に関係する当局にその旨を通知しなければならない。その通知が遅れた場合、罰金が発生する可能性がある。

2016年のUber情報流出の調査で、Uberのデータストレージにアクセスするのに‘認証情報の数打ち’が使われたことが明らかになった、と英国の当局は述べているーその手口とは、ユーザーネームとパスワードのペアを、存在するアカウントとマッチするまでウェブサイトに入力するというものだ。

しかしながら当局はUberの問題のあるインシデント対処も指摘し、Uberのセキュリティが“不十分”だったと非難するだけでなく、“不適切な意思決定”だったと表した。

データ流出をすぐさま明らかにする代わりに、Uberは個人情報を入手したハッカーに10万ドルを支払うことを選び、彼らにデータを破棄するよう依頼した。そして、脆弱性報奨金制度を管理するサードパーティを通じて支払いを迂回させた。

ICOは、ハッカーがデータへのアクセスを不法に手に入れるために脆弱性を利用する方法を探し、悪意をもってハッキングに及んだと指摘しつつ、Uberの隠蔽を“不適切”と表現した。

調査にあたったICOのディレクターSteve Eckersleyは声明の中で「ハッカーに金を払いデータ流出を隠蔽するというのは、我々の考えでは不適切なサイバー攻撃対応だ。当時の規制では、データ流出を報告する法的義務はなかったが、Uberのお粗末なデータ保護プラクティスとデータ流出にかかる意思決定、そしてその後の行いが、事態をいっそう悪化させた」とコメントした。

さらに「これはUber側のデータセキュリティに深刻な欠陥があっただけでなく、個人情報が盗まれた顧客とドライバーの完全な軽視だった。当時、データ流出で影響を被った人に対し、その事実を知らせたりヘルプやサポートを提供する措置は取られなかった。そのために個人情報が盗まれた人は攻撃されやすい状態に置かれた」と加えた。

ICOはまた、制裁金を科すその理由の詳細がつづられた決定文書の全文で、制裁金の意図はこうした種類の“さらなる違反を阻止することだ”と記している。

オランダの当局もすぐさまデータ流出を明らかにしなかったことを制裁金の根拠に挙げている。

我々がUberにコメントを求めたところ、広報から以下の文が電子メールで送られてきた。

2016年から続いてきたデータ事件の章を閉じることができるのは喜ばしい。調査中、我々は欧州の当局と情報を共有し、インシデントが起こって以来、我々はシステムのセキュリティにおいて多くの技術的改善を図ってきた。規制当局と顧客に適切な透明性をさらに確保できるよう、管理体制にも大きな変更を加えた。今年初め、我々は初となるプライバシー責任者、データ保護責任者、新たな信頼とセキュリティ責任者を置いた。我々は過ちから学び、ユーザーの信頼を得るために日々取り組んでいく。

隠蔽は“不適切”としたICOの記述についてのコメントも求めたが、Uberは言及しなかった。

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(翻訳:Mizoguchi)

イノベーションのサプライチェーン:アイデアは大陸を横断し経済を変革させる

[著者:Alex Lazarow]
公共、民間、社会分野の投資とイノベーションと経済発展の交差点で活動している。Cathay Innovationのベンチャー投資家であり、ミドルベリー国際大学院MBAプログラムの非常勤教授を務める。

西欧では、微積分を発明したのはアイザック・ニュートンとゴットフリート・ライプニッツなどの17世紀の天才学者だとする考えが一般的だが、理論的な基礎はその数千年前に遡る。基礎的定理は、紀元前1820年の古代エジプトで登場し、その後、その影響がバビロニア、古代ギリシャ、中国、中東の文献に見られるようになる。

世界最大級のアイデアとは、こうした性質を持つ。つまり、世界の片隅で生まれたコンセプトが、未来の発展の足場となるのだ。そのアイデアの本当の価値がわかるまでには時間がかかる。また、さまざまな文化や視点からのインプットも必要になる。

技術革新も例外ではない。

今日のテクノロジー界では、それを次の3つの基本方針にまとめることができる。

  • アイデアはグローバルになったときに改善される。
  • よいアイデアは次第に国際的になる。
  • グローバルに試すことが差別化戦略となる。

グローバルに拡大されたときにアイデアは磨かれる

微積分と同じく技術革新も国際的な切磋琢磨によって磨かれる

たとえばライドシェアは、サンフランシスコのUberとLyftによって先導された発明としてスタートしたが、これらのスタートアップは、すぐさまそのビジネスモデルをグローバルに展開した。そしてそれは、地方のニーズに応える形で進化した。今やインドネシアで独占的な地位を誇るライドシェアアプリ「Go-Jek」の場合を見てみよう。Go-JekはUberとLyftのビジネスモデルをそのままコピーしたのだが、そのコンセプトをジャカルタに昔からある未認可のバイクタクシー「オジェック」に適用させる高度なローカライズを行った。

Go-Jekは、オジェックのドライバーには人を運ぶだけでなく、それ以上の可能性があることに気がついた。同社はドライバーの1日の稼働率を最大限に高めるために、人の移動だけでなく、食事の出前、荷物、サービスの配送もできるマルチサービス・アプリを立ち上げた。Go-JekのCEO、Nadiem Makarimはこう話している。「朝は人を家から職場に送り、昼時にはオフィスに食事を配達し、夕方には人を家に送り、夜には食材や料理を配達します。その合間には、電子商取引や金融商品や、その他のサービスを行っています」

ひとつのライドシェア・プラットフォームで幅広いサービスを提供するというモデルは、明らかにシリコンバレーのオリジナルとは異なる。シリコンバレーでは、「Uber for X」(訳注:人以外のものを運ぶUberのようなサービスの総称)を提供する企業が次々と現れているが、UberEatsのようなUberの最新カテゴリーは、東南アジアのモデルに近い。

シリコンバレーは
イノベーションのアイデアと
製造と流通を独占してきた
しかし
その時代は終わった

さらに言えば、Go-Jekのビジョンは、他の地域のアイデアも採り入れている。中国だ。中国では、TencentのWeChatのようなプラットフォームが、相乗りサービス、買い物、食事の出前、そしてもちろん決済など、自社またはサードパーティーのさまざまなサービスを提供している。WeChatの決済機能(Antに相当する)は、中国の主要都市なら、ほぼどこでも使える。

Go-Jekは、競合相手のGrabと同様に、アプリの一部として決済プラットフォームを組み入れることで、そのモデルを進化させた。Uberが金融サービスに参入したときは驚いた。最近開始したUberクレジットカードがそのひとつだ。

これらのモデルは、他の地域の教訓を学び、採り入れて進化してゆく。

種は次第にグローバルになる

歴史的に、シリコンバレー以外の起業家は物真似だと批判されてきた。サンフランシスコやパロアルトで成功したモデルをコピーして流用しているだけだと。

時代は変わっている。

影響力の強い技術革新は、その多くがシリコンバレーの外で生まれている。アメリカ産ですらない。2018年でもっとも成功した新規公開株の一部を見ただけでも、スウェーデンのSpotify、ブラジルのStone、Cathay Innovationの投資先企業である中国のPinDuoDuoなどとなっている。

起業家は、世界各地のイノベーションを真似ることに務めている。モバイル決済を例にとれば、ケニアのM-Pesaがある。今やケニアのGDPの50パーセントに及ぶ決済額を誇る、ケニア中で使える決済プラットフォームだが、これがグローバルに展開された。現在、世界の275以上の国々に普及している。

何かに特化した地域がある。トロントとモントリオールは人工知能のハブとして成長している。ロンドンとシンガポールはフィンテックのハブとして健在だ。イスラエルは、サイバーセキュリティーと分析技術で知られている。また、地域に根ざす活動が、触媒となってそれをさらに発展させている。たとえば、Rise of the Restは、アメリカの起業家を支援している。Endeavorなどの団体は、世界の起業家のハブの発展に尽力している。

黎明期のイノベーションのサプライチェーンでは、新しいアイデアの発生は、次第にグローバル化されてゆく。

エコシステムが理想的な実験場となる

ブロードウェイは、小さな劇場でショーの人気を試し、それから大きな劇場にかけるという方式で知られている。同じようにイノベーターも、新しく生まれた市場でモデルをテストし、やがてスケールアップしてゆく。

地震の早期警戒システム「SkyAlert」は、その好例だ。地震の揺れ自体で亡くなる人は少ない。倒壊した建物に閉じ込められたり押しつぶされたりする事故が、死因の大半を占めている。理論的に地震は、震源地付近で最初に発生した揺れが外に伝搬する段階を捕らえて、早期警報を出すことが可能だ。SkyAlertは、分散された地震センサーのネットワークを使って、建物から外に避難するよう警報を出す。また、企業と協力することで、安全確保のための手順(ガスの遮断など)を自動化することもできる。

SkyAlertは、サンフランシスコ生まれではない。創設者のAlejandro Cantuは、彼がイノベーションの研究所と呼ぶメキシコシティーで起業した。初期バージョンは、商品化よりもむしろ研究開発を目的としたものだ。メキシコシティーで開発することで、製品のイノベーションのコストがずっと抑えられる。人件費は安いし、企業買収も安い。現在のメインターゲットはアメリカだが、メキシコは事業の初期段階の本拠地であり、実験場となっている。

イノベーターのコミュニティーとして
私たちはそうした流れを
活用する好機に恵まれている

シリコンバレーの技術者が、Amazonの家庭向けドローン配送の話を聞き慣れているが、それと同じように、遠くの新興市場で面白いドローン関連のイノベーションが起きていることは、あまり知られていない。インフラが未整備な開発途上国では、ドローンが人々の命を支える可能性を持っている。Ziplineなどのスタートアップは、インフラが破壊されたり、まったく整備されていない地域で、ドローンを使って一足飛びに問題を解決しようとしている。彼らはルワンダにおいて、保健省と協力しながら、日持ちのしない薬剤や血液を配送している。すでに、彼らのドローンは60万キロメートルをカバーし、1万4000ユニットの血液を運んでいる(これは緊急時の必要量の3分の1に相当する)。

起業家たちは、こうしたイノベーションを、より低コストで、需要が逼迫している市場でテストを行っている。やがて、これらのモデルはスケールを拡大して、先進国に戻ってくる。こうして、イノベーションのサプライチェーンは進化する。

この先にあるもの

Economist誌は、「Techodus」(テクオダス)を予測している。シリコンバレーからのイノベーションの大移動が続くということだ。この話には、深い意味がある。

シリコンバレーは、イノベーションのアイデアと製造と流通を独占してきた。しかし、その時代は終わった。クリエイティブは火花は世界各地で発生し、イノベーターたちは低コストで需要が逼迫した市場でアイデアを試す。そうして、そのモデルは、世界中の体験によって磨かれ完成される。

イノベーターのコミュニティーとして、私たちは、そうした流れを活用する好機に恵まれている。根底から変革に対応できる新製品のアイデアを持っているかだろうか? よろしい。それをグローバルに行える人が他にいるか? 新しいアイデアを試してみたいか? それぞれの土地での利点と欠点は何か? 海外でのイノベーションの体験を、その土地に合わせて導入するにはどうしたらよいか?

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(翻訳:金井哲夫)

販売不調の報道にApple VP曰く、iPhone XRは今いちばん売れているモデル

先週WSJが報じた、Appleの最新iPhoneシリーズの売れ行きが不調でiPhone XRを減産したというニュースを受け、AppleのVPはXRが現在もっとも売れているモデルであると語った。

これは、Apple VP Greg JoswiakがCNETのインタビューに答えたものだ。あまり内容のある発言ではなく、同機種が「発売以来ずっと最人気iPhoneである」と言っただけだ

JoswiakはWSJの記事について具体的にはコメントしなかった。他のiPhoneモデルと比較したXRの販売状況を言われても、具体的な数字なしではあまり情報はない。

749ドルのXRが現在売られているiPhoneのなかでベストセラーであるとしても驚くには当たらない。低コストでほとんど性能を犠牲にしていない大衆向け製品として発売された製品だ。同社のiPhone XSは999ドルで売られており、前の世代の機種も低価格で引き続き売られている。

このインタビューで興味深いのは、これは従来四半期決算報告書にかかれていた情報の断片にすぎないのだが、Appleは最近今後そのデータをを公開せず、iPhone全体の売上だけを公開すると決定したからだ。言い換えると、これはiPhone売上のモデル別詳細を明らかにする動きなのかもしれない。

同社は今後販売台数を公表しない理由について、つまるところ会社の健康状態を必ずしも反映しないからだとしているが、この発言がなされたタイミングは、アナリストがXRの需要が落ち始めたと確信したときだった。

Appleの株価は最近の決算報告以来約20%急落している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

AWSのクラウドをそのままオンプレミスのデータセンターに持ち込むAWS Outposts

AWSはつねに純粋なクラウドベンダーだったが、ときにはハイブリッドにも目を向け、そしてこれからはそれを全面的にサポートする気だ。今日同社はVMwareと共に、AWSをデータセンターに持ち込むためのオプションを発表した。

えっ?企業のデータセンターにAWS?…そう、そのとおり。これからは、あなたの会社のデータセンターにAWSを置ける。AWSのハードウェアを使用し、設計もAmazon本体のAWSとまったく同じになる。そのために、AWS Outpostsの二つのプロダクトを利用する。

二つとは、「VMware Cloud on AWS Outposts」と「AWS Outposts」だ。最初のは、VMwareのコントロールパネルを使う。そして後者は、AWSのクラウドで使われているのと同じAWS APIを使って計算処理やストレージをオンプレミスで動かす。

実際にre:InventのステージにはVMwareのCEO Pat GelsingerとAWSのCEO Andy Jassyが一緒に立って、共同発表を行った。両社はかなり前から協働して、AWSのクラウドへVMwareを持ち込む作業を続けていた。しかし今回の発表ではそれが逆になり、AWSのクラウドをオンプレミスに持ち込んでVMwareと併用する。どちらの場合も、AWSはそのハードウェアをユーザーに売り、お望みならインストールもするし、メンテナンスも担当する。

これは、クラウドのビジョンをひたすら追うAWSにとって、後れていた分野だ。データセンターに戻るなんて! でも近年の暗黙の了解としては、近未来の顧客は両方の場所での運用を望むのだ。

この発表は、同社のクラウドネイティブ的ビジョンを拡張するものでもある。月曜日(米国時間11/26)に同社は、Transit Gatewaysを発表したが、それは、クラウドやオンプレミスなど、いろんなところにあるネットワークリソースを一元的に管理する仕組みだ。

そして今回AWSは、そのクラウドをオンプレミスに持ち込む。それは、MicrosoftやCanonical、Oracleなどなどが前からやっていたことだ。

なお、今日の発表は公開プレビューであり、本番のリリースは来年後半になるようだ。

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〔outpost, 前進基地。Amazonにとっての前進基地だ。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

史上最大の詐欺スタートアップ、セラノスを描いた『The Inventor」がサンダンス映画祭でプレミア上映

一時の飛ぶ鳥を落とす勢いから廃業へと追い込まれたバイオテクノロジーのスタートアップTheranosのファウンダーで、刑事責任を問われているElizabeth Holmesの失敗を描いた長編映画が、2019年にユタ州パークシティーで行われるサンダンス映画祭で正式デビューする。

“The Inventor: Out for Blood in Silicon Valley” と題したその映画は、アレックス・ギブニーが監督を務め、ギブニーおよびジェシー・ディーターエリン・エダイケンが制作する。ギブニーはオスカー受賞監督で、 “Taxi to the Dark Side”[「闇」へ]、”Enron: The Smartest Guys in the Room”[エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?]、”Going Clear: Scientology and the Prison of Belief” [ゴーイング・クリア:サイエントロジーと信仰という監禁]などのドキュメンタリー映画で知られている。

ギブニーはHBOとチームを組んでHolmesを調査した。「並外れた努力で入手した未公開映像と重要なインサイダー証言に基づき、ギブニーがシリコンバレーのうますぎる話を描く。事実に基づく強盗映画のドラマにくわえて、なぜ事件が起きたのか、誰の責任なのかを検証しつつ詐欺の心理を探るドキュメンタリーだ」とHBOが作品を紹介している

Holmesは2003年に、(多くのテクノロジー成功者がそうしたように)スタンフォード大学を中退し、医療を破壊するべくTheranosを設立した。彼女の会社は複数の著名投資家から10億ドル近いベンチャー資金を集め、企業価値が100億ドルを超えたこともあった。Holmesは自らの力でセレブの地位を獲得し、スタートアップ「ユニコーン」を経営する最年少の女性としてもてはやされた。

そしてすべてが消滅した

Theranosが発明したと謳っていた血液1滴しか必要ない血液検査は偽りだった。その後いくつもの裁判と連邦政府による捜査の結果、HolmesおよびTheranos代表のSunny Balwaniは、「複数年にわたる巧妙に仕掛けられた詐欺的手段による同社の技術、事業および財務状態に関する誇張あるいは虚偽の陳述」について有罪判決を受けた。

Wall Street JournalのJohn Carreyrou記者が同社の盛衰を綿密に調査した著書 “Bad Blood: Secrets and Lies in Silicon Valley” が今年発刊されたことで、さらに詳細が明らかになった。同記者の取材に基づく映画作品も制作中で、これは2019年にはTheranos映画を2本見られる可能性があることを意味している。

映画 “Bad Blood” は、主演のHolmes役にジェニファー・ローレンスが予定されている。”Shape of Water”のヴァネッサ・テイラーが脚本を担当し、アカデミー賞候補監督のアダム・マッケイ(”The Big Shot”)が監督を務める。

今年のサンダンス映画祭には新記録となる1万4259作品から初回上演への応募があり、わずか112作品が選ばれた。映画祭は2019年1月24日から2月3日まで行われる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Nintendo Switchの好調はまだまだ続く、感謝祭の週は記録更新

Nintendo Switchの爆発的なヒットは、まだ続いている。

今日(米国時間11/28)同社が共有したプレスリリースは、感謝祭の週末における売上を自慢するビクトリーラップを見せつけている。同社の数字によると、その小さなコンソールは4日間で同社の全製品が2億5000万台売れた中でトップだった。

同社によると、アメリカでは発売後20か月でSwitchは820万台売れたが、1週間の売上としては前週が最高だった。

今年の1月に同社はSwitchの売上台数を素材とする大々的なPRを展開し、このデバイスがビデオゲームコンソールの売上最速記録を更新した、と発表した。それから10か月後の今日、クリスマス商戦の本番までまだ数週間あり、大ヒットが期待されるSuper Smash Bros Ultimateのリリースもまだだというのに、Switchの勢いはほとんど衰えていない。

関連記事: 任天堂のSwitchはアメリカでも記録破りの売上、Wiiを上回る

以下は、そのプレスリリースにおけるアメリカのみの数字だ:

  • “3DS系列”は累計で2200万台売れた。
  • SNES Classicはこれまで250万台、NES Classicは200万台売れた。
  • Super Mario Partyの売上は100万を超え、Mario Partyシリーズの中で最速の売上となった。

ほんの数年前には存続すら危ぶまれた企業が、今や超健康体で、過去をあれこれ言われたとしても同社は全然平気なようだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AIで求職者の人柄と社風の“相性診断”、「mitsucari」が1.5億円を調達

写真左からウィルグループの森雅和氏、ミライセルフ代表取締役会⾧の井上真大氏、同社代表取締役社長の表孝憲氏、ウィルグループの坂本竜氏

AIが企業の社風と応募者の相性を診断する「mitsucari適性検査」や、自分に合った社風の企業がレコメンドされる求人サービス「mitsucari」を運営するミライセルフ。同社は11月29日、ウィルグループのCVCファンド、京都大学イノベーションキャピタル、ハックベンチャーズを引受先とした第三者割当増資により、総額1.5億円を調達したことを明らかにした。

今回の資金調達はミライセルフにとってシリーズBラウンドにあたるもの。同社はこれまで2015年7月に日本ベンチャーキャピタルとエンジェル投資家から5000万円、2016年12月に京都大学イノベーションキャピタルから7000万円を調達している。

ミライセルフでは調達した資金を活用してmitsucariのプロモーションや機能改善を進めるほか、これまで適性検査サービスを通じて蓄積してきたデータなどを活用し、企業向けの新規事業にも取り組む計画だ。

適性検査を通じてカルチャーフィットを実現

ミライセルフが現在展開する2つのサービスは“適性検査”という仕組みと、そこから得られるデータを活用することで「カルチャーフィット」を重視した採用や転職をサポートするものだ。

2016年から提供するmitsucari適性検査は企業が「会社や部署に合った人材を見極めるための採用支援サービス」であり、2018年6月からスタートしているmitsucariは求職者が「自分の人柄にあった社風の会社を探せる求人サービス」という位置付け。どちらも適正検査の結果から企業と求職者の相性(マッチ度)を算出するマッチングアルゴリズムが軸になっている。

ミライセルフはモルガン・スタンレーMUFG証券出身の表孝憲氏(代表取締役社⾧)とGoogle出身のエンジニア井上真大氏(代表取締役会⾧)が2015年に設立したスタートアップ。もともと表氏が前職で約7年間に渡って面接官を担当する中で「面接で自社に合うと思って採用した人材が、いざ入社すると会社にフィットせずに早期退職してしまった経験」などから、面接の数値化やカルチャーフィットを見極める仕組みに興味を持ったことが背景にあるという。

2015年の資金調達時にTechCrunchでも一度紹介しているように、当初は転職マッチングサービスのmitsucariを主力事業としてスタートした。ところが実際に企業と話をしてみたところ適性検査のシーンで使いたいという要望が予想以上に多かったこともあり、企業向けのサービスから先に本格化する方向に転換。2016年2月にmitsucari適性検査を始めている。

独自のアルゴリズムで企業と求職者の相性をスコア化

mitsucari適性検査では導入企業の社員と応募者の双方が独自の適性検査を受験。これを通じて企業の社風や応募者の人柄を可視化した上で、双方の相性を診断する。適性検査の内容は企業文化論や社会心理学を軸としてもので、全72問5択の選択形式。回答時間の目安は10分程度、スマホやタブレットでも受験できる。

ポイントは応募者だけでなく企業の社員も実際に同じ検査を受けること。これによって応募者の人柄や価値観のみで適正を診断する従来の適性検査とは異なり、あらかじめデータ化した社風と各応募者の人柄を照らし合わせることができる。つまり適性検査を展開する既存のプレイヤーが持っていないデータを集め、そこから独自の相性診断ができるということだ。

受験結果は「面接用シート」としてすぐに出力。マッチ度が数値化されるほか、人物像を類似している社員に例えながら表現する機能や、面接で優先的に聞くべき質問事項と質問例を提示する機能も備える。

企業と求職者という大きな枠組みだけでなく部署や職種ごとの判定も行うので、配属先や人間関係のミスマッチを防ぐことができる点も特徴だ。

2018年1月に導入社数が1000社、11月には2000社を突破。パナソニックや日本たばこ産業、毎日放送といった大企業への導入も進んでいて、業種もITやWeb系だけでなくメーカーや人材・教育、サービス業など幅広い。

導入企業としては入社後の配属も含めてミスマッチを防ぐことで離職率を減らしたいというニーズはもちろん、リクルーターやメンターとして適切な人を紹介したいという目的や、社内で活躍している人材の傾向を分析したいという用途で使われることも増えてきているそうだ。

「(カルチャーフィットの度合いを診断することで)採用を成功・効率化したいというだけでなく、離職率や内定辞退率の高さを課題に感じて導入に至るケースが増えてきている。たとえばメンターやリクルーターを決める際やサービス業などで配属店舗を決める際に、算出したデータを基に価値観や人柄の合ったメンター・店長をマッチングするようなことも可能だ。離職率に関しては新卒の離職が半分近くまで減った事例や、25%から5%まで削減したような事例も出てきている」(表氏)

初期費用および社員の受験費用は無料で、社外の応募者1人ごとに800円の受験料金が発生するシステム。ミライセルフとしては適性検査の受験料金のほか、取得したデータの活用をサポートするスポットのコンサルティングと、後述する求人マッチングサービスの成功報酬が主な収益源となっている。

適性検査のシステムを軸に、求人マッチングサービスも本格展開へ

ここまで紹介してきたmitsucari適性検査のノウハウやマッチングアルゴリズムを求人サービスの形に落とし込んだのが、6月に正式ローンチしたmitsucariだ。

同サービスでは人材を採用したい企業と求職者がそれぞれ事前に適性検査を実施。その結果と求職者が入力した勤務地や職種などの希望条件を基に、各求職者に合った求人情報だけがレコメンドされる。

「スキルフィットに着目した求人サービスは多いが、カルチャーフィットに着目したものはまだ少ない状況。かつそれを主観的な判断や根拠のないデータではなく、適性検査の結果を基に算出したマッチ度合いを通じて実現しようというのがmitsucariのアプローチだ」(表氏)

現時点ではmitsucari適性検査を活用している企業の一部などが導入している状況。基本となる機能の開発や検証を済ませ、これから本格的にプロモーションなどを実施していく予定だ。

そのほか調達した資金を用いてセールスや開発など組織体制の強化を進める方針。同社の事業にとってコアとなるマッチングアルゴリズムの精度向上に取り組むことに加え、適性検査を通じて蓄積してきたデータやノウハウなども活かした企業向けの新規事業も準備していくという。

YouTube、2020年にオリジナル番組を無料化――全コンテンツを広告サポートモデルに統一へ

YouTubeはオリジナル番組の無料化を準備中だ。現在こうした独自コンテンツはペイウォールの陰に隠されているが、広告が表示される無料視聴に改められる。The Hollywood ReporterVarietyが報じたところによれば、YouTubeはこの方針変更を確認したという。実施に移されるのは来年になる見込みだ。YouTube Originalsの視聴には現在はサブスクリプション契約が必要だが、広告が表示される無料番組となる。つまり現在のYouTubeの一般コンテンツと同様の扱いになる。

YouTubeによれば、有料のプレミアム・オリジナルと一般の広告表示無料コンテンツを“Single Slate”として統合いくという。これにより、2020年にはユーザーはすべてのプログラムを無料で視聴できるようになる。

つまり、現在有料のオリジナル・コンテンツのすべてが即座に無料化されるわけではない。

Varietyの記事によれば、『ベスト・キッド』の続編、Cobra Kaiなど 一部のオリジナル番組は2019年いっぱい有料視聴だ。しかし2020になればオリジナル番組を含めたすべてのコンテンツが月間20億人のYouTubeユーザーに無料で公開される。

この方針転換は、YouTubeのサブスクリプション・モデルが当初期待されたほどの効果を挙げていないことを示すものだろう。Netflix、Amazon、Huluといった強力なストリーミング・サービスとの競争でYouTubeは劣勢が伝えられている。YouTubeはオリジナル・コンテンツ製作に毎年数億ドルを投じているとされるが、ライバルのストリーミング・ビデオ・サービスの投資規模は数十億ドルだ。優秀なドラマの製作でライバルと戦うにはこの金額では足りない。

YouTube Redというサブスクリプション・モデルでオリジナルのドラマ・シリーズや映画のストリーミングが始められたのは2016年にさかのぼる。サービス名称はその後YouTube Premiumに改められ、月額料金は11.99ドルとなっている〔日本サイト〕。.しかしこのサービスは立ち上げ直後から逆風にさらされた。スター・ユーチューバーの一人で5300万のフォロワーを持っていたPewDiePieが
h反ユダヤ主義的コンテンツを発表したため契約をキャンセルせぜるを得なかったのもその一例だ。

オリジナル番組はその後エレン・デジェネレス、ケイティー・ペリー、ケビン・ハートなどのスターを迎えたドラマはショーに拡大された。また“Origin”のような大型番組も製作された(エリザベス2世の半生を描いたNetflixのヒット番組、『ザ・クラウン』のプロダクションによる製作)。

The Hollywood Reporterの取材に対し一部の情報源は、アド・サポートによる無料化でYouTubeのドラマ、映画製作の予算は大幅に圧縮されるだろうと述べた。ただしYouTubeは取材に対してドラマや映画の買い付けを一時中止しているだけでこのマーケットから撤退を決めたわけではないと答えている。

YouTube広報担当者はVarietyに対し「われわれは2019年に向かって脚本のあるプログラムに引き続き投資する。YouTube Originalsは世界のユーザーにさらに広く訴求していくため広告サポートによるビジネス・モデルにシフトしていく.」と述べた。

またTechCrunchの取材に対しても、脚本のあるプログラムへの投資を続けていくことを確認し、次のように述べている。

2018年は YouTube Premium、YouTube Originalsにとってさらなる飛躍の年となった。われわれはYouTube Premiumを29カ国に拡大した。脚本の有無を問わず50本以上の番組を配信した。エミー賞のノミネーションを8回受け、30以上の賞を受賞している。

YouTubeは脚本のあるコンテンツに対する投資を継続する一方、YouTube Originalsを広告サポートによる無料視聴可能なプラットフォームに移し、世界のファンからの需要の高まりに応えていく。Originalsのこの段階は、オーディエンスだけでなくクリエーターをも拡大し、広告主に世界のYouTube世代にアクセスする機会を広げていく。

そういう次第でYouTube Originalsは2020には無料となる。しかしYouTubeではYouTube Premiumのサブスクリプションには意味があると考えているようだ。Originalsが無料になってもPremiumの契約者は広告なしでコンテンツを視聴できるし、音楽をバックグラウンドで再生したり、オフラインでコンテンツにアクセスしたりできる。

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滑川海彦@Facebook Google+

AmazonのComprehend Medicalサービスは機械学習を利用して患者の記録から有意な医療データを取り出す

【抄訳】
Amazonが、機械学習を利用して患者の記録から重要なデータを取り出し、病院などのヘルスケアプロバイダーや研究者たちの費用節約や治療方針の決定、臨床試験(治験)の管理などを助ける新しいサービスを立ち上げた。AmazonがAmazon Comprehend Medicalとよぶこのサービスの発表は、火曜日(米国時間11/27)に、The Wall Street Journalがそれを報じた直後に行われた。

このクラウドソフトウェアはテキスト分析と機械学習を組み合わせて、処方や注記、面談の音声、検査の結果、などから成る患者の記録を読む。これらの記録がデジタイズされてComprehend Medicalにアップロードされると、診断や処置、薬の処方、そして症状などに関する情報が拾い上げられてまとめられる。

〔参考記事: Amazon Comprehendとは…「Amazon Comprehendでは機械学習の技術とは無縁なデベロッパーでも専門用語で自然言語処理モデルを訓練できる」〕

Amazonの最近のヘルスケアへの進出としては、オンラインの処方箋サービスPillPackを10億ドル近くで買収したことや、Amazonの社員のヘルスケアを改善するための、Berkshire HathawayとJP Morgan Chaseとのジョイントベンチャーが挙げられる。これらにより同社は、最近ますますヘルスケアにフォーカスしているそのほかの大手テクノロジー企業の仲間入りをしている。

たとえば今年初めにAppleは、iPhoneのユーザーが自分の病院の医療記録を見られるための機能をiPhone上に導入した。またGoogleは最近、大手医療法人Geisingerの前CEODavid Feinbergを雇用して、検索やGoogle Brain, Google Fit, Nestなど多岐にわたるGoogleの各事業部門が抱えるヘルスケア企画の、一元化と全体的な指揮を彼に委ねた。

今日の発表声明の中でAmazonはこう言っている: “これまでは、この情報を見つけるために長時間の手作業を要し、しかもそのために、高度な技能を持つ医療エキスパートによるデータ入力や、情報を自動的に取り出すためにデベロッパーのチームがカスタムのコードとルールを書く必要があった”。そして同社の主張によるとComprehend Medicalは、患者の記録の中に“医療の状態、解剖学的専門用語、医療検査の詳細、治療内容、処置”、などを正確に見つける。一方、患者は、このサービスを利用して自分の治療のさまざまな側面を管理し、通院のスケジュールや薬の処方、保険の適用の判断などを明確に把握できる。

【後略】
●データは暗号化され、どこにも保存・利用されないのでプライバシーの問題はない。
●すでにいくつかの大手製薬企業や医学研究所がComprehend Medicalを試験的に導入し、とくに治験の適正な実施に必要な膨大な量のデータ作業の省力化や迅速化などに貢献している。“これまで数時間を要したデータ作業が数秒で終わる”そうである。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Audi, Italdesign, Airbusの三社が自動運転飛行タクシーを設計し実動プロトタイプをテスト

ドイツの自動車メーカーAudi, ヨーロッパの航空機メーカーAirbus, そして自動車専門のイタリアのデザイン企業Italdesignの三社が、火曜日(米国時間11/27)に、彼らの未来のビジョンの縮尺バージョンをプレゼンした。それは、タクシーを自動運転電気自動車から外して、目的地へ飛び去っていくドローンだ。

三社は、アムステルダムで行われたDrone Weekで火曜日に、その空飛ぶタクシーのコンセプトを披露した。

そのデモのさまざまな段階を、下のビデオで見ることができる。

正確に言うと、三社が見せた“Pop.Up Next”は実物の1/4サイズの実動プロトタイプで、小さすぎて人間は乗れない。

しかしそれでも、彼らは将来に関して楽観的で、10年後には実用供用される、という。

“空飛ぶタクシーはもうすぐ実用化される。Audiでわれわれはそれを確信している”、とAudiの部品調達とIT担当取締役で、Audiの子会社Italdesignの社長Dr. Bernd Martensが声明で言っている。“ますます多くの人びとが都市へ移り住み、そして自動化によってますます多くの人びとが都市内移動をするようになる。未来には、高齢者や子どもたち、そして運転免許証のない人たちが、便利なロボットタクシーを使おうとするだろう。それらのトラフィック(交通量)を、道路と空域の両方にスマートに割り当てることに成功したら、人間と都市の両方が大きな福利を得るだろう”。

AudiはYouTubeのビデオで、空飛ぶタクシーの供用開始は次の10年以内に十分可能、と言っている。

そのときに備えてAudiは、Airbusの子会社Voomの協力により、オンデマンドフライトサービスのあるべき形をテストしている。メキシコシティやサンパウロでは顧客がヘリコプターのフライトを予約できるが、そのときAudiがヘリポートと自宅などとの間の交通機関を担当する。

“このような実用サービスを実施することによって、顧客のニーズをよりよく理解できる。未来には空飛ぶタクシーがさまざまな都市住民にアピールしなければならない。われわれのPop.Up Nextでわれわれは、技術的に可能なことと、顧客のニーズの両方を探求している。次のステップは、フルサイズのプロトタイプの試験飛行と運用だ”、とMartensは言っている。

Audiは、インゴルシュタットの飛行タクシープロジェクトUrban Air Mobilityも支援している。これは、Audiの敷地で行なう飛行タクシーの運用試験の、準備のための企画だ。

画像クレジット: Audi

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ファーウェイ、Apple Watchより安い「HUAWEI WATCH GT」12月7日発売

eng-logo-2015ファーウェイ・ジャパンは、GPSと心拍センサー起動でもバッテリーが2週間持続する「HUAWEI WATCH GT」を12月7日に発売します。

「HUAWEI WATCH GT」は、1.39インチのOLEDディスプレイを搭載したスマートウォッチです。高級感のあるセラミックベゼルを採用するほか、心拍センサーや3つの測位システム(GPS・GLONASS・Galileo)を搭載。5気圧防水にも対応し、マラソンや水泳、登山などといったアクティビティーを記録できます。

特徴的なのはバッテリーの持続時間です。心拍モニター・スマートフォンからの通知ON、90分のトレーニング(トレーニング時はGPSをON)というユースケースの場合、2週間バッテリーが持続するとのこと。また、心拍モニターとGPSをOFFにした状態では30日バッテリーが持続します。加えて、GPSを常時ONにしてマラソンをトラッキングし続けたとしても、22時間バッテリーが持続するといいます。(公称値)

その他、気圧センサーや環境光センサー、加速度センサー、ジャイロセンサーを搭載します。

本体価格はスポーツモデルのブラック(シリコンベルト)が2万4880円(税別、以下同)、クラシックモデルのシルバー(レザーバンド)が2万5880円。Apple Watch Series 4の最低価格4万5800円より大幅に安いのも魅力的と言えそうです。

Engadget 日本版からの転載。

「問題はFacebookそのものだ」 9カ国の議員が非難

9カ国の議会の代表者による大委員会の公聴会は、Facebookのマーク・ザッカーバーグが欠席のまま今日開催された。Facebookの創業者は“フェイクニュース”と呼ばれる民主主義への悪影響を含め、悪意のある汚い、不適当なソーシャルメディアプラットフォームの使用についての質問に答えるよう、これまでに何回も議会に召喚されたが、にべなく断ってきた。

英国のDCMS委員会はFacebookにデータ誤使用スキャンダルと選挙干渉の責任をとらせようと非難を主導してきたーそうした動きに世界各国の議員が加わった。しかし、それでもザッカーバーグは欠席した。

計9カ国の議員が、ザッカーバーグの代理人でポリシー担当副社長Richard Allanに質問をぶつけるために集まったーその質問には以下のようなものが含まれる。南米で政治に関する偽情報を広めるのにWhatsAppが使われているのをやめさせるためにFacebookは何をしているのか。スリランカでかなり炎上した反ムスリムヘイトスピーチのコンテンツの削除を、同国がプラットフォームへのアクセスを封鎖するまでなぜ拒否したのか。ベルギーにおける非ユーザーをFacebookはどうやって追跡しているのか。また、そうした行為を欧州の厳しい新ルールGDPRのもとでどう正当化するのか。プライバシーと信用のスキャンダルを抱えているFacebookが言うことを現時点で人々がなぜ信用しなければならないのか。

選ばれた議員たちは、英国、アルゼンチン、ベルギー、ブラジル、カナダ、フランス、アイルランド、ラトビア、シンガポールの国民4億5000万人のために自由闊達に考えを述べた。彼らの口から最も多く繰り返された質問は、なぜザッカーバーグがここにいないのか、だ。

Allanは不在のボスの代理であることで居心地悪そうにみえた。そしてソーシャルメディアの反社会的、反民主的影響を統制する“正しい規制”を議員とともに模索したいと語った時など、あらゆるハンドジェスチャーを使っていた。

カナダの議員Bob Zimmerはその場を代表して、Allanが防衛の拠りどころとしていることに切り込んだ:「またしても我々はFacebookの謝罪を聞いているー‘ほら、我々を信用してください、みなさんは我々を規制しているでしょう、我々は実のところグローバルのスキームにさほど影響を与えていません’。この部屋にいる我々は4億人超の人々に関係する規制を扱っている。そこの席にCEOが座っていないというのは、この部屋にいる我々全員への攻撃であり、我々の市民への攻撃でもある」。

「[BlackBerry共同創業者の]Jim Balsilleは、我々の委員会で私が質問した時、監視資本主義に対処するためにカナダで法律を変えなければ、我々のデモクラシーは危機を迎えるのではないか、と述べた」。さらにZimmeは続けた。「彼は何の疑いもなく言った。あなたはどう思うか」ーこの発言に対し、Allanは時間を稼ぐために、「サービス利用規約が必要だ」と言い、そしてFacebookが多くの“ツール”で処理しようとしている“多くの問題を抱えるベクター”について語った。

今回の喚問は、かなり不満に満ちた曖昧な言葉で多くの時間が費やされた。というのもAllanが委員会の質問をそらし、牙を抜き、緊張をやわらげようとしたからだーAllanはNew York Timesが最近報道した“delay, deny, deflect(遅い、否定する、歪める)”戦略を何回も繰り返し、そうした態度は何回も議員に非難された。

Allanはそうではないと主張したー問題を“認めている”と主張した。しかし彼の横の空席はぶざまだった。

終わり間際には、カナダのCharlie Angusが、Allanは問題の根本的な原因から議員の目をそらそうとしていると非難し、Facebookの大風呂敷を吹き飛ばしたーAngusはその根本的原因はFacebookそのものだと鋭く定義した。

「我々がFacebookに関して抱えている問題は、責任のなさだーだから私は、我々が規制について語るとき、おそらくベストな規制は独占禁止だと言っておく」とAngusは述べた。「なぜならFacebookが嫌いな人はーWhatsAppが利用できる。しかし、WhatsAppは南米で問題を抱えている。アフリカでもだ。そして私たちは今日ここにいないマーク・ザッカーバーグに戻らざるをえないからだ」。

「私の娘たちはFacebookをやめることができる。しかし彼女たちはInstagramへと走る。しかし今やInstagramはFacebookがコントロールしている。おそらく最もシンプルな規制の形式は、Facebookを分解することだ」。

「だから我々が規制について議論するとき、あなたの友人のザッカーバーグ氏に独占禁止についてディスカッションできるか、と尋ねる気はあるだろうか」。

Allanは「我々が解決しようとしている問題にもよる」とだけ答えた。

「問題はFacebookだ」とAngusは言い返した。「我々は現在起こっていることについて語っているが、問題は社会的な議論やコミュニケーションのあらゆる形式にかかる前例のない経済コントロールだ。それがFacebookだ。これこそが我々が取り組む必要のある問題だ」。

委員会の委員長Damian Collinsはまた、Allanの質問の言葉を言い換えて混乱させようとする試みを、「私が思うに、我々はインターネットとFacebookが必ずしも同じ意味ではないと識別している」と言葉を挟むことで容赦なくやっつけたーAllanは議員が“インターネットをオフにしろ”と言っているとした(しかしAngusは実際にはこう主張した:信頼できる民主主義的な対応をFacebookから得る方法)。

会場はそれに賛同した。

公聴会の冒頭、Collinsは「そうする立場にない」と言いながら、2015年からFacebookを訴えていたスタートアップの創業者から週末にドラマチックに差し押さえた文書について、少なくとも今は公開するつもりはないと明らかにした。

しかしながらいくつかの点で、公聴会中にDCMS委員会のメンバーはこれらの文書から得た新たな詳細を“チラ見せ”した。たとえば、Facebookはデベロッパーがプラットフォーム上で広告がとれるように今までにAPIに手を加えたことがあるか、といった質問だ。

Allanはない、と答えたーそして、委員会が読んだかもしれない電子メールは、Facebookのデスクトップベースのビジネスモデルをいかにモバイルファースト時代に合わせて発展させるかについての“普通の”内部ディスカッションに伴うものだったと思わせようと試みているようにみえた。

Collinsもまた、差し押さえた文書から引っ張ってきたとわかる新たな情報ー特に2014年10月以降、Facebookエンジニアから送られた内部電子メールからだーの一部について、かなり公共の関心を引くだろうと表現した。

「Facebookのエンジニアが2014年10月に、ロシアのIPアドレスのエンティティが、フレンズAPIを通じて1日に30億のデータポイントを寄せるためにPinterestのAPIキーを使っている、と会社に報告した」と、彼は明らかにした。そしてAllanに、“当時これが外部に報告されたかどうか”を尋ねた。

Facebookの副社長は、“敵意のある訴訟当事者”経由の情報源であることを理由に、差し押さえた文書に含まれる情報は“部分的だ”とした。

Collinsは「訴訟当事者を攻撃するためだけにこの機会を活用してほしくない」と言い返した。「私はあなたに質問に答えてほしい…エンジニアから会社に報告されたとき、Facebookはどのような内部プロセスをとったのか。Facebookは外部の機関にこのことを知らせたのか。なぜなら、もしロシアのIPアドレスがプラットフォームからの膨大な量のデータを寄せていたとしたら、レポートするか、もしくはそのままにするかであり、多くの場合それは身内内にとどめ、そのことについては語らない、となる」。

Allanは「電子メールの中に含まれたあなたが見た情報は、せいぜい一部分であり、最悪の場合ミスリーディングしている」と答えた。

「信じるかどうかはさておき、ロシアによる活動があったという特定の問題については、継続中の我々の調査に基づいてあらためて回答したい」。

我々はPinterestに、PinterestのAPIキー乱用をFacebookが今までに知らせてきたかどうか問い合わせている。この記事を執筆している時点で、Pinterestからコメントはない。

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(翻訳:Mizoguchi)

遠隔地のロボットを自分の“分身”にできるTelexistenceが十数億円を調達——エアバスやKDDI系のファンドから

遠隔地にいるロボットをまるで自分の分身のようにコントロールする技術によって、人間を時空の制約から開放する——。

いきなり何を言っているのかと思われるかもしれないけれど、これは1980年に東京大学の舘暲(たちすすむ)名誉教授が提唱し、それから長年に渡って研究され続けてきた「テレイグジスタンス(遠隔存在)」と呼ばれる概念だ。

今回紹介するのは40年近くも前に生まれたこの技術の社会実装を進めている日本発のスタートアップ。Telexistence(テレイグジスタンス)というストレートな社名が付けられたそのチームは11月28日、Airbus Venturesらを引受先とした第三者割当増資と三菱UFJ銀行からの融資による資金調達を実施したことを明らかにした。

シリーズAとなる今回のラウンドにはAirbus Venturesに加えてKDDI Open Innovation Fund、東京大学協創プラットフォーム(東大IPC)、ディープコア、モノフル、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)、JTB、前田建設工業、みずほキャピタルが参加。具体的な調達金額は非公開ながら、十数億円規模になるという。

視覚や聴覚だけでなく“触覚”までも再現

Telexistenceは2017年1月の設立。会長を務める舘教授を始め、三菱商事出身でジオデシック・キャピタルに在籍していた経験もある代表取締役CEOの富岡仁氏、舘教授の元でコアとなる技術を研究していた代表取締役CTOのチャリスフェルナンド氏、以前FOVEで技術担当を担っていたCPOの佐野元紀氏らが共同で創業した。

同社が開発するプロダクトのベースになっているのが、冒頭でも紹介したテレイグジスタンス技術。遠隔地にあるロボットのセンサー情報をオペレーター(ユーザー)が受け取り、ロボットを自分の分身のように操作できるため、その場所にいるかのような臨場感を味わえるのが特徴だ。

この技術を実際にプロダクトに落とし込んだのが「MODEL H」というロボット。5月には量産型のプロトタイプが発表されている。

MODEL Hの世界観は動画を見ていただくとイメージしやすいけれど、オペレーターはVRゴーグルや指の動きをセンシングするグローブなどを装着。ゴーグル越しに遠隔にいるロボットが見ている景色を見たり、ロボットが触れたものを実際に感じたりすることができる。

振動、圧力、温度という3つのデータを取得することで、視覚や聴覚だけでなく“触覚”までも再現してしまえるのがおもしろいポイントだ。

Telexistenceでは2017年5月にKDDI Open Innovation Fund、グローバルブレイン 、JSTからシードラウンドの資金調達を実施。富岡氏によるとその資金をもとにプロトタイプの開発を進めつつ、さまざまな企業へのヒアリングを通じてプロダクトがフィットする領域(PMF)を探ってきたという。

「技術ドリブンで始まっているからこそ、どの領域に合わせてプロダクトを展開するかが非常に重要。実際に102社と話をしてきた中で、最初は主に2つの領域に絞って重点的に開発を進めることに決めた。今回調達した資金はその取り組みを加速させるために、基盤となるハードとソフト、通信、クラウド面などの開発に用いる」(富岡氏)

前列中央がTelexistence代表取締役の2人。左がCEOの富岡仁氏、右がCTOのチャリスフェルナンド氏

「宇宙」と「肉体労働の自動化」を軸に事業を加速

その2つの領域というのがざっくり言うと「遠隔制御の世界」と「オートメーションの世界」だ。

遠隔制御についてはまさに動画にもあったような“宇宙領域”を中心に、ロボットを通じて離れた場所から旅行を楽しんだり、働いてしまおうというもの。具体的に言えば地球にいながら低コストで宇宙旅行を楽しむ、もしくは宇宙でやっていたような労働を地球にいながら実行してしまう。そんな構想になる。

Telexistenceは8月にKDDIやJTBと共同で「MODEL H」を活用して遠隔旅行体験イベントを開催した。これは東京の竹芝桟橋にいながら小笠原諸島の父島を観光できるというものだけれど、この体験を宇宙にまで広げる考えだ。

富岡氏の話では「ロボットと人件費の双方が発生するため、事業として成り立つものが限られる」そう。ものすごく距離のある場所で莫大な移動コストがかかる、そしてその先での労働コスト(時給)が高い分野だと事業化がしやすく、その典型例が宇宙なのだという。

もうひとつのオートメーションに関しては、ロボットを通じて人間の肉体労働を自動化する取り組みだ。特に同社が目指すのが小売業における陳列業務や物流倉庫での業務など「不定形な業務」を自動化すること。

ロボットによるオートメーションと言えば産業用ロボットなどすでに世に出ているものもあるが、既存のものとは異なるテレイグジスタンスを用いたアプローチでこの領域にチャレンジしていくという。

なお富岡氏によると現段階ではオープンにできないものの、すでに具体的な取り組みも進行しているそう。この点についてはまた詳細が明らかになった際に紹介したい。

AWS Transit Gatewayは多種多様なリソースを単一のネットワークトポロジーの下に収めてアクセスと管理を容易化

AWSのデベロッパーカンファレンスre:Inventで今夜(米国時間11/26)、AWS Transit Gatewayと呼ばれるツールが発表された。それはユーザーがAWSの中にネットワークトポロジーを構築して複数のアカウントのリソース共有し、オンプレミスとクラウドのリソースを単一のネットワークトポロジーの中へ一元化する。

Amazonにはすでに、Amazon Virtual Private Cloud(VPC)と呼ばれる人気のプロダクトがある。顧客はこれを使って、自分のアプリケーションのプライベートなインスタンスを作れる。一方Transit Gatewayでは、複数のVPCs間の接続を構築できる。それはこれまで、相当面倒な作業だった。

AWSのグローバルインフラストラクチャとカスタマーサポート担当VP Peter DeSantisの説明によると、ユーザーはAWS Transit Gatewayにより中央集権的に管理されるゲートウェイに接続でき、その単一のコントロール集合を駆使して、ネットワークを容易にそして迅速に成長させられる。

図表提供: AWS

DeSantisによると、このツールはAWSとオンプレミスの両ネットワークを横断する能力をユーザーに与える。“ゲートウェイはイノベーションの一つの方法であり、それにより顧客は、安全で管理しやすい単一のネットワーキングをオンプレミスとAWSクラウドの両方にまたがって持つことになる”、と彼は説明する。

さまざまなリソースが標準的な種類のネットワークトポロジー上にあるかぎり、それらのリソースがどこにあろうとも、AWS Transit Gatewayによりそれらに一つのネットワークとして接続できる。“AWS Transit Gatewayを使ってハブ-アンド-スポーク型(車輪の中心とそこから放射状に張り出されたスポーク)のネットワークを構築できる。そこには、既存のVPCsやデータセンター、リモートオフィスなど何でも接続できて、そのネットワークルーティングやセキュリティを完全にコントロールできる。そのVPCsやActive Directories、共有サービス、そのほかのリソースなどが、複数のAWSアカウントに広がっていてもよい”。AmazonのJeff Barrが、この機能を発表するブログ記事にこう書いている。

長年、AWSといえばクラウドであり、ユーザーのクラウドリソースを管理するサービスを提供してきた。それはAWSのようなクラウドだけの企業にとっては十分だが、顧客は多種多様であり、インフラストラクチャやソフトウェアがオンプレミスやクラウドなど、いろんなところに散在している企業も少なくない。それらを、仮想的に単一のネットワークトポロジーとして扱えるようにするのが、AWS Transit Gatewayだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Amazonのサイバーマンデーは同社史上最大のショッピングデーだった

11月27日、Amazonは今年のサイバーマンデー(11月26日月曜日)が同社史上最大のショッピングデーだったと発表した。これは全世界で販売した商品数に基づくものだ。これは今回のショッピングイベントが、同社のブラックフライデー、さらには7月に1億件以上の商品を売ってAmazon史上最大の売上を記録したプライムデーをも超えたことを意味している。

またAmazonは、感謝祭からサイバーマンデーまでの5日間—— “Turkey 5” とも呼ばれる——に、米国の消費者が昨年同時期より数百万件以上多くの商品を購入して新記録を達成したことも報告した。

同社はこれらの記録の売上数値は明らかにしていない、どんな商品が売れたのかは発表した。

全世界の顧客はブラックフライデーとサイバーマンデー合わせて、1800万個以上のおもちゃと1300万個以上のファッションアイテムを買った。ブラックフライデーだけをみても、400万個以上のおもちゃと電子機器がAmazonモバイルアプリ経由で注文された。

また、中小企業のブラックフライデー売上は昨年と比べて20%以上増えた。

“Turkey 5” 全体で、Amazonユーザーは1億8000万件以上の商品を注文したと同社は言った。

もちろん、ベストセラー商品の多くはAmazon自身のデバイスであり、Alexa対応スピーカーとFire TVの大幅ディスカウントのおかげだ。

Amazonはこの週末に全世界で「数百万台」のEchoデバイスを販売し、Echo Dotはこの中のトップセラーのみならず、他社製品を含めたAmazon全体でも売上ナンバーワンの商品だった。

ほかに人気だった商品はFire TV Stick 4KとタブレットのFire 7 with Alexaだ。「数百万台」のFireタブレットとKindle端末がこの週末に売れた。

スマートホーム機器の販売も新記録だった。RingとBlinkは昨年同時期と比べて2倍以上売上を伸ばした。

サイバーマンデーは “Turkey 5″ の中で最大の日だったが、Amazonによるとブラックフライデーも注文商品数で昨年同日を上回った。

ブラックフライデーのベストセラーは、Echo Dot、Fire TV Stick 4K(最新Alexa Voice Remote付き)、Fire 7タブレット、Instant Pot(8クォートのDUO80と6クォートのDUO60)、ハリーポッター:8作品コンプリートコレクションBlu-rayなどだった。

ブラックフライデーとサイバーマンデーのAmazonの業績は大きな注目を集めていた。同社が Q3決算で発表した第4四半期見通しがウォール街予測を下回っていたからだ。Amazonの予測は売上665億~725億ドルだったのに対してアナリストは738億ドル前後と予想していた。

もちろんこの記録破りの販売が実際の収益につながるかどうかはまだわからない。数百万台売れた商品が、大幅値引きされたAmazon製品であることを考えるとなおさらだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook