Google Playで買ったSD映画多数が無料で4Kになる

Google Playで映画を買うとき、少し倹約して標準画質にしていたユーザーに朗報だ。

4K版が存在する場合、Googleはユーザーが持つ標準画質の映画を4K画質に無料でアップグレードすると発表した。新たに4K版がリリースされた場合はもちろん、購入時にすで4K版があった場合でもGoogleは4Kにしてくれる。

念のため注意しておくが、今後は安い標準画質を買って4K版を手に入れるということはできない。Googleによれば無料アップグレードが適用されるのは10月23日より前に購入した映画に限る」という。

一方、4K版コンテンツの価格も大きく引き下げられている。今やGoogle Playの4Kコンテンツのほとんどは20ドル以下だ。従来は30ドル以下だった(4K価格の引き下げが始まったのにわれわれが気づいたのはほぼ41年前、昨年の9月)。

ただし、すべての映画に4K版が用意されているわけではない点に注意する必要がある。実際、4K版がある映画のほうが少ない。もちろん4Kタイトルのリストは着実に拡大しているが、古典や名作を含めた全コンテンツからみると一部にすぎない。幸運にも購入した映画に4K版があってアップグレードが適用される場合、Playアプリを開くと上のスクリーンショットのような通知がポップアップするはずだ。

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滑川海彦@Facebook Google+

ソフトバンク孫氏、サウジ投資会議での講演をキャンセル

ジャーナリストJamal Khashoggi氏殺害で世界からの非難の高まりを受け、サウジアラビアで開かれる投資会議を欠席するビジネスリーダーが相次ぐ中、ソフトバンクグループが最新のドロップアウトとなった。

Wall Street Journalは今日から3日間にわたってリヤドで開かれるフューチャー・インベストメント・イニシアチブ会議における孫氏の講演の土壇場での取りやめを報じている。

我々はソフトバンクにコメントを求めている。

会議への出席について先週ソフトバンクにたずねたとき、“今後どうなるのか成り行きを見守っている”とのことだった。

先週、サウジ側はようやくKhashoggi氏がイスタンブールにある総領事館の中で死亡したことを認めたーしかしながらKhashoggi氏がどのように死に至ったのかについての彼らの説明には世界から疑惑の目が向けられている。と同時に、トルコ当局からの露骨なリークでは、殺害は入念に準備され、極めておぞましいものだったとされている。

孫氏はサウジのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子と親しい関係にあり、孫氏の巨大なSoftBank Vision Fundはサウジから何十億ドルもの投資を受けている。同ファンドは1年前に930億ドルで発足した。

以来、複数の1000億ドル規模のファンド立ち上げに強気な姿勢を見せていた。しかしジャーナリスト殺害をめぐって地政学的に非難が渦巻く状況に直面し、ソフトバンクはいま今後の展望を控えめにしようとしているようにみえる。

広報担当者は金曜日、CNNに対し「Vision Fund 2は現在のところコンセプトにすぎない。タイミングや規模、詳細は決まっておらず、発表されていない」と語っている。

孫氏の会議辞退は、グループがサウジマネーと距離を置くという考えに傾かせることになる。そして、将来のVision Fundへのサウジからの何十億ドルもの資金注入がなければ、複数の“メガファンド”というソフトバンクの構想は実現から遠ざかる。

Khashoggi氏殺害の件で懸念が強まる中、多くの企業そして政治のリーダーたちが、サウジ投資会議への出席をとりやめた。その中にはUberのCEOも含まれている。この配車サービスは、近年サウジから何十億ドルもの投資を直接的に、そしてソフトバンクのVision Fundを通じて間接的に受けている。

こうした関係が今後どうなるのかは不明だ。

我々が先週報じたように、Khashoggi氏殺害の件は波紋を広げているー投資家たちがもしかすると期待しているかもしれない沈静化の兆しはみえない。

フューチャー・インベストメント会議のウェブサイトは昨日、ハッカーにより一時的に画像が変造された。

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(翻訳:Mizoguchi)

HTCがブロックチェーンフォーンのアーリーアクセスをデベロッパーや暗号家に提供、興味深い‘分散セキュリティ’技術

何か月も前から話題になっていたHTCのブロックチェーンフォーンが、ついにやってきた。今日(米国時間10/22)ベルリンで行われた暗号通貨に関するカンファレンスで同社は、Exodus 1の初期的バージョンを、限られた量ではあるがこの製品の同社の公式サイトより、“世界中の暗号研究家とデベロッパーに提供する”、と発表した。

“初期的バージョン”と断っているのは、最終的な製品ではない、ということだ。12月発売とされているが、現状は数か月前の漠然とした状態からあまり変わっていない。でも、信ずる者は救われる、と言うし、この製品にものすごく好奇心のある方なら、一台手に入れることはできる。当然支払いは、BitcoinまたはEthereumだ。

このフォーンの画像はまだ乏しいが、でもこのデバイスはHTCの最新の旗艦機であるU12と共通のデザインを多く使ってるようだ。たとえば背面は、半透明のガラスだ。まあ、それはたぶん、良いことだ。こういう新奇なデバイスは、独自の技術を強調したいあまり、デザインなどはおろそかにされがちだ。でもここでは少なくとも、しっかりとした、まともなスマートフォンが基本にあることだけは、確かなようだ。

フォーン本体はAndroidだが、暗号通貨の鍵などを保存しなければならないから、セキュリティを強化している。今後はもちろん、あらゆるデータをこのフォーンが保存しなければならない。それに関しては、失ったデータに分散的にアクセスするという、おもしろいファンクションを内蔵している。

HTCは、あなたのフォーンが紛失または盗まれたり、あなたが鍵を忘れたときのために、ユニークなSocial Key Recovery(ソーシャルな鍵回復)メカニズムを開発した。それは、ハードウェア上で失われた鍵を回復する容易で安全な方法だ。また、そのおかげで、鍵をHTC自身がどこかの中央的な場所に、たとえ一時的たりとも、保存することが確実になくなる。鍵に対するいかなる権利も、常時あなたご自身がそのすべてを維持する。HTCはあなたに、いくつかの信頼できるコンタクトを選ばせ、そのそれぞれが鍵管理アプリをダウンロードする必要がある。するとあなたのシードワードは秘密の共有アルゴリズムによって分割され、その信頼されたコンタクトへ送られる。そして必要なときには、あなたのファンドへのアクセスを成功裡に再獲得できる。

当面HTCは、この事業で技術のパイロットを行なう。そして、小さなコアグループのユーザーからのフィードバックを入手する。スマートフォン市場で苦戦している同社にとって、これが今後の主力デバイスになることは、想像しづらいけどね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

空飛ぶクルマをどう実現するかーー米Top Flightに加え、楽天ドローン事業を束ねる向井氏登壇決定

空飛ぶクルマの開発を目指す米Top Flightが今年の「TechCrunch Tokyo」に登壇することはすでにお伝えした通りだ。そのTop Flight CEOのLong Phan博士とともに登壇いただくスピーカーが決定したのでお知らせしたいと思う。楽天グループ子会社で無人航空機管制プラットフォームの開発・提供を手がける楽天AirMapで代表取締役を務める向井秀明氏だ。

楽天は2017年3月、米AirMap社とのジョイントベンチャーである楽天AirMapを設立。同社が提供する無人航空機管制(UTM)プラットフォームにより、空域の安全を担う空港や地方自治体などの空域管理者は、管轄内におけるドローン飛行状況を把握し、ドローン飛行への承認の自動化やドローン運行者へのSMSや電話を使った直接連絡が可能となる。また、ドローン操縦者は近隣の飛行エリアの規則を照会して作成した飛行計画を、近隣の空港や当局に共有することができる。

向井氏は、楽天AirMapのCEOを務めると同時に楽天ドローン事業の責任者でもある。国交省、経済産業省の「空の移動革命に向けた官民協議会」にも出席するなど、日本におけるドローンビジネスの真っ只中にいる人物だ。

当日のセッションでは、Top FlightのLong博士に彼らがもつドローン技術や優位性を聞きつつ、向井氏にはドローンをどう日本で活用しうるのか、規制はどうなるのかなどを聞きたいと思っている。TechCrunch Tokyoの開催まで残りあとわずか。チケットは以下のリンクから購入できる。

チケット購入はこちらから

ヤフオク!などでAndroidのChromeから指紋認証ログインが可能に

eng-logo-2015ヤフーは10月23日、「ヤフーが推進するパスワードを使用しないログインの取り組み」を紹介する記者説明会を開催しました。

(代表画像は発表会で実施したデモの様子。端末の指紋認証を利用してヤフオク!にログインしています)

はじめにIDソリューションマネージャーの伊藤雄哉氏がYahoo! JAPANのセキュリティの現状について解説。Yahoo! JAPAN IDのログインユーザー数は今年6月時点で4433万ユーザーで、ログイン回数は月間で約1億3000万回にのぼると説明しました。

現状の課題として、セキュリティ面では外部サービスでのパスワード漏洩によるリスト攻撃のリスク、ユーザビリティの面では、パスワードを忘れてしまうことや入力のしにくさがあるとのこと。

ヤフーはこの課題を解決する手段として、生体認証デバイスなどを利用して、安全なログインを実現する規格「FIDO2」の認定を9月に取得。本日からヤフーのサービスに、指紋認証などの生体認証を使用してログインできるようになりました。

指紋認証によるログインが可能なのは、Android 7.0以上かつChromeバージョン70以上、FIDO2の認証を得た端末のみとなります。FIDO2に対応したデバイスの普及によってこのログイン方法が普及すれば、大文字と小文字を組み合わせた長いパスワードの呪縛から開放されそうですね。

Engadget 日本版からの転載。

CAMPFIREが金融サービス「CAMPFIRE Bank」開始、支援者への融資など対象領域を拡大へ

クラウドファンディングプラットフォーム「CAMPFIRE」を軸に、プロジェクト起案者向けの融資サービス「CAMPFIRE レンディング」やフレンドファンディング「polca」などお金に関する複数の事業を展開してきたCAMPFIRE。

同社は10月23日より金融サービス「CAMPFIRE Bank」の提供を開始した。

CAMPFIRE Bankは個人・法人問わずCAMPFIREでプロジェクトを実施したユーザー、支援したユーザーを対象に、上限200万円の融資を行うサービスだ。2017年7月に開始したCAMPFIREレンディングでは起案者者のみが融資の対象となっていたが、それを支援者にまで広げることになる。

具体的には起案者向けの融資サービスとして、従来のCAMPFIREレンディングを「CAMPFIREステップアップローン」の名称に改め提供。支援者向けの融資サービスとして「CAMPFIREユーザーローン」もスタートする。

CAMPFIREステップアップローンは過去にCAMPFIREで「All-or-Nothing」または「All-in」のいずれかでクラウドファンディングを実施し、資金調達に成功したことがあるユーザーが対象。商品の追加制作費やイベントの追加開催費など、プロジェクト終了後の資金ニーズに応える。

一方のCAMPFIREユーザーローンは過去にCAMPFIREでプロジェクトを支援し、リターンを購入したことがあるユーザー向けのサービス。限定個数が設定されている高額なリターンを支援する場合など、急遽発生した資金ニーズに対応するためのものだ。

双方とも借入上限金額は200万円で貸付利率が8〜15%(年利)。返済期間は最大12ヶ月になる。

特徴はCAMPFIRE独自の支援者による評価を軸とした「評価型与信モデル」を採用していること。過去のクラウドファンディングにおける支援実績をスコアリングして与信材料のひとつとしているため、起案者の場合は支援者数や支援金額を集めているほど、支援者の場合はクラウドファンディングを支援しているほど借入条件がよくなるという。

CAMPFIREでは今後、ソーシャルレンディング事業を含む金融サービスの新規開発や、アジアを中心とした海外融資事業の展開も計画。引き続き「資金調達の民主化」を目指して事業を広げていく方針だ。

サウジアラビアの‘砂漠のダボス’のWebサイトがハックされ皇太子を非難する合成画像で汚損された

サウジ政府が近く開催するFuture Investment InitiativeカンファレンスのWebサイトがハックされ、殺されたサウジのジャーナリストJamal Khashoggiの画像が‘落書き’された。

汚損後のサイトのスクリーンショットがいくつもツイートされ、そこには王国の実質的な支配者であるMohammed bin Salman皇太子が剣を振りかざしている合成写真が載っている。サイトのテキスト部分は、王国の“野蛮で非人間的な行為”に対する非難に置き換えられている。それはKhashoggiの死だけではなく、イエメンで今行われている攻撃への、政府の関与にも言及している。

サイトのホームページには、何人かのサウジの個人の名前と電話番号も載っている。それらは、政府の職員や政府系企業の役員たちだ。

サイトは、汚損されたあと、月曜日(米国時間10/22)にオフラインになった。

汚損の犯人は、名乗りを上げていない。それが現れたのは、サウジの政権が、Khashoggiがイスタンブールの同国領事館で“殺された”ことを認めてから数日後で、そのときはすでに、そのThe Washington Postのコラムニストが婚姻届の用紙を得るために入館してから2週間以上経っていた。サウジの政府職員たちは、彼は“殴り合い”の後で死んだと主張したが、西側諸国はそれをナンセンスと非難した。トルコ政府がリークしたと思われる録音は、ジャーナリストが殴られ、殺され、そして切断されたと主張している。

イギリスとフランスとドイツは、声明で、彼のまだ行方不明の遺体に関する明確な説明を求めている。トルコは火曜日(米国時間10/23)に、この殺人に関する詳細を発表すると予想されている。

Future Investment Initiativeは“Davos in the Desert”(砂漠のダボス)とも呼ばれ、スイスで行われる投資カンファレンスに擬している。開催は、今週後半の予定だ。サウジアラビアはアメリカのテクノロジー企業に数十億ドルを投資しているが、しかしこのカンファレンスは、ジャーナリストの殺人のあと、数十名もの著名な投資家やテクノロジー企業、そしてビジネスリーダーたちが不参加を表明している。

・関連記事: カショーギ事件はシリコンバレーの一つの時代の終焉か–SoftBank新ファンドの行方も不透明

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

使い慣れたプログラミング言語を使ってクラウドのインフラストラクチャを管理できるPulumiが商用バージョンを開始

シアトルのPulumiを使ってデベロッパーは、自分が知っているプログラミング言語を使ってクラウドインフラストラクチャを指定しそれを管理できる。同社は今日(米国時間10/22)、Madrona Venture GroupがリードするシリーズAのラウンドで1500万ドルを調達したことを発表した。Tola Capitalがこのラウンドに参加し、同社のマネージングディレクターSheila GulatiがPulumiの取締役会に加わる。Madronaからはすでに、元Microsoftの役員でMadronaのマネージングディレクターS. SomasegarがPulumiの取締役会に加わっている。

資金調達の発表に加えてPulumiは今日、その商用プラットホームをローンチした。それは、同社のオープンソース製品をベースとするものだ。

Pulumiの協同ファウンダーでCEOのEric Rudderはこう語る: “これまでは企業とコミュニティの両方からの関心がどちらも大きくて、彼らから大量のオープンソースのコントリビューションが寄せられている。たとえばVMwareとOpenStackのサポートは、コミュニティの尽力によるものだ。だからうちでは、オープンソースのコミュニティの活力が大きいが、それと同時に、商用化への関心も大きかった。つまり企業のチームはPulumiの運用面の充実を求めており、それを彼らのプロダクションに入れることと、プロダクトとして購入できることを要望していた”。

そこで、その機会に応えるべく同社は、チームとプロダクトの両方に底入れするために、新たな資金調達を決意した。そして今では、そのプロダクトには商用バージョンの‘team edition.’(チームエディション)が含まれ、この新しいエンタープライスバージョンには、ユーザー数を限定しないサポートと、サードパーティツール(GitHub、Slackなど)の統合、ロールベース(役割に基づく)のアクセスコントロールとオンボーディング(研修など)、そして12×5のサポート(月-金、昼間のみ)が含まれる。無料でシングルユーザーのコミュニティエディションと同様、このチームエディションもSaaSプロダクトとして提供され、すべてのメジャーなパブリックおよびプライベートクラウドプラットホームへのデプロイをサポートする。

Pulumiへの投資の動機を聞くとTolaのGulatiはこう答えた: “クラウドは今や規定の結論だ。でもエンタープライズがクラウドへ行こうとすると、厄介な問題を多く抱える。しかも、今のエンタープライズは、仮想マシンとコンテナとサーバーレスのすべてを理解し使いこなせねばならない。しかもそれを、1)単一のツールセットで、2)実際のプログラミング言語を使って、3)今日的な最新のスキルを使い、そして4)企業にとってもっとも有効にクラウドを利用しなければならない。率直に言ってPulumiは、このような複雑な課題と、それらをめぐるデベロッパーとITの現実によく応えている。デベロッパーとITは、ランタイムとデプロイの両側面から良好な関係を築かなければならない。それを助けるプラットホームとしては、私の知る限りPulumiがベストだ”。

オープンソースのツールは、今後も開発を続ける。また、コミュニティの構築にも厚く投資していく。同社によると、Pulumiにはすでにこれまでも相当な勢いがついていたが、新たな資金によりその努力を従来の倍にできる。

新たな資金により、オンボーディングのプロセスを容易にし、それを完全なセルフサービス型にしたい。でもそれをすべて企業任せにすることはできないから、Pulumiとしては売る前と売った後のお世話も充実させる必要がある。今現在は、この段階のスタートアップの多くがそうであるように、同社の社員はほぼ全員がエンジニアだ。だから営業の充実が、当面の優先課題になる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

中国が米国のバイオテクノロジーの未来に資金を供給している

【編集部注】著者のArman TabatabaiはTechCrunchのコンサルタント

中国のVCは、中国最大の健康問題を解決するために、米国のスタートアップに何十億ドルもの投資を行っている

シリコンバレーは健康ブームの只中にいて、それは「東洋」医学によって推進されている。

米国の医療投資に関しては、今年は過去最高の年となったが、北京と上海の投資家たちは、米国のライフサイエンス企業やバイオテクノロジー企業にとって徐々に最大の取引相手となっている。実際、Pitchbookによれば、今年中国のVCは、中国内で行うよりも多い、300を超える投資を米国のライフサイエンス企業やバイオテック企業に対して行っている。メリーランド州に本拠を置く、炎症や自己免疫疾患の治療法を探るViela Bio社の場合は、中国の3社が主導したシリーズAで、2億5000万ドルの調達が行われた。

中国の食欲旺盛な新規資金は、中国国内にも流れ込んでいる。中国の医療スタートアップにとってもビジネスは活況を呈しており、今年はこれまでにないベンチャー投資の年になりそうだ。100社以上の企業が40億ドル以上の投資を受けている。

中国の投資家たちが、その戦略をライフサイエンスならびにバイオテックへとシフトするにつれて、中国は未来の世界の主要な健康機関に対して、大きな影響を及ぼす医療投資のリーダーの地位を、確かに獲得しつつある。

中国のVCたちは健全なリターンを求める

私たちは直接触れるものや、楽しませてくれるものについて語ることが大好きだ。そしてまた、9桁(1億ドル)の小切手がしばしば中国を出入りする様子をみることができるために、私たちはTencentやAlibabaなどに支援された、インターネット大企業やゲームリーダー、そして最新のメディアプラットフォームに目を奪われがちだ。

しかし、もしお金の流れを追っているならば、中国のトップベンチャーファームたちが、その関心を国内の不十分な医療システムに向けて来ていることは明らかだ。

中国の戦略転換における明確なリーダーの1つがSequoia Capital Chinaだ。同社は、今年だけでも複数の数十億ドルレベルのIPOに関わった(その1その2その3)最も著名なベンチャーファームである。

歴史的にみると、かつてのSequoiaは医療分野にあまり関心を持ってこなかった医療分野は、同社の最も小さな投資カテゴリーの1つであり、2015年から2016年にかけてはわずかに3件の医療関連の取引に参加しただけである。投資金額全体に占める割合は4%に過ぎない。

しかし最近は、ライフサイエンスがSequoiaを魅了していると、同社の広報担当者は語っている。Sequoiaは、2017年には6つの医療関連取引に参加し、2018年は既に14件に参加している。同社は現在、中国で最も活発な医療投資家のとしての位置に立っていて、医療分野そのものは、2番めに大きな投資領域になった。最近では、ライフサイエンスやバイオテクノロジー企業が、投資活動のほぼ30%を占めるようになっている。

Pitchbook、Crunchbase、およびSEC Edgarから集計された、2015-18年の医療関連投資データ

現在の中国の医療の中で、変革を必要とする領域が不足することはない。そして中国のVCたちによって、幅広い戦略が採用されている。インフルエンザへのアプローチを行う投資家たちがいる一方、高血圧糖尿病、および他の慢性疾患のための革新的治療法に焦点を当てている投資家たちもいるという具合だ。

例えば、Chinese Journal of Cancerによれば、 2015年には世界の肺がん診断の36%が中国で下されたが、中国国内でのがんの生存率は世界平均よりも17%低い。Sequoiaはその視点を中国の高いがん罹患率と低い生存率に向けていて、過去2年の投資のおよそ70%が、がんの検出と治療に焦点を当てたものになっている。

この動きの一部は、上海に本社を置き、革新的な免疫療法がん治療法を開発しているJW Therapeutics社に対して行われた、9000万ドルのシリーズA投資などによっても促進されている。同社は、中国のVCが国際的な経験と世界で学んだことを用いて、どのように国内の医療スタートアップを育てようとしているのかを示す典型例である。

米国のJuno Therapeuticsと中国のWuXi AppTecによるジョイントベンチャーとして設立されたJWは、Junosのがん免疫療法薬のトップ開発者としての経験と、医薬品の研究開発と開発サイクルのすべての側面に力を注ぎ、世界をリードする契約研究機関の一つとしてのWuXiの知見が、結集したものだ。

特にJWは、キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)技術を用いた細胞ベースの免疫療法の、次世代がん治療に焦点を当てている(おっと失礼…!)健康情報サイトWebMDの熱心な読者や、背景医学知識が高校1年の化学レベルで止まってしまっている私たちのために言い添えておくならば、CAR-Tは基本的に体自身の免疫システムを利用して、攻撃対象のがん細胞を探す。

過去に現れたバイオテクノロジースタートアップたちは、しばしば動物の体内で作製された遺伝子改変抗体を使用していた。その抗体は効果的に「警察官」として行動し、悪性細胞の活動を止めたり静かにさせるために、「悪い奴」特定して取り付く。CAR-Tはその代わりに、身体のネイティブな免疫細胞を改変し、悪い奴直接攻撃して殺すようにするのだ。

中国のVCたちは、革新的なライフサイエンスやバイオテクノロジーのスタートアップに幅広く投資している(写真提供:Eugeneonline、Getty Images)

中国の新しい医療リーダーたちの国際的および学際的な系統は、組織自体にだけでなく、そうしたシーンを運営している側にも適用される。

JWの舵取りの位置に座るのはJames Liである。このJWの共同創業者兼CEOは、これまでの人生の中で、世界最大のバイオ医薬品会社(AmgenやMerckなど)の、中国内での展開の責任者の地位に就いていたこともある。またLiはかつて、シリコンバレーの有名投資家のKleiner Perkinsと、パートナーを組んでいたこともあった。

JWは知見と専門知識を取り入れることによって得られる利益を体現している。そして同国の賢明な資本がますます海外へと流れる中で、医療の未来を牽引する企業を見定める活動と言うことができるだろう。

GVとFounders Fundが、シリコンバレーの競争力を保つことを狙う

中国の有力ベンチャーキャピタルによる多額の投資にもかかわらず、シリコンバレーは米国の医療分野での投資を倍増させている。(AFP PHOTO / POOL / JASON LEE)

医療における革新は国境を超えている。残念なことに、病気と死は普遍的なもので、ある国で行われた画期的な発見が、世界中の命を救うことが可能である。

中国のライフサイエンス産業ブームは、高い評価額を残し国境を越えた投資や、中国の輸入規制は改善されてきた。

こうして、中国のベンチャーファームたちは、徐々に海外のイノベーションを探すようになって来ている。革新的な技術を提供できるより成熟した米国企業や、アジアに持ち帰ることができるより進んたプロセスに対して投資することで、拡大の機会を狙っている。

4月には、また別の中国の有力VCであるQiming Venture Partnersが、米国の早期段階医療に焦点を当てた1億2000万ドルのファンドを設立した。Qimingは医療スペースへの参加を拡大しており、2017-18年の間には24社に投資している。

この分野に飛び込んできた新しいVCたちは、(中国からの投資と同時に、米国の医療分野への投資額を倍増させてきた)ベイエリアの有力な投資家たちを恐れさせてはいない。

米国で最も影響力のあるVCのパートナーディレクトリには、元医師や医療に通じたVCたちが徐々に増えている。そのため最高の医療ベンチャーを発見したり、米国内でのベンチャー資金の流れにより大きな影響を与えることができる。

そのリストの一番上に載るのが、GV(旧Google Ventures)のゼネラルパートナーであるKrishna Yeshwantである。彼こそが同社の医療業界への積極的な参入を率いている人物だ。

TechCrunch Disrupt NY 2017のKrishna Yeshwant(GV)

医師でもあるYeshwantの関心は、リアルタイムの患者ケアへの洞察から、がんや神経変性疾患のための抗体と治療技術などの、多くの医学領域に広がっている。

PitchbookとCrunchbaseのデータによれば、Krishnaは過去2年間における、GVの最も活発なパートナーであり、総額10億ドル以上の投資に参加している。

Yeshwantその他の努力によって、医療業界はGoogleのベンチャーキャピタル部門にとって最も重要な投資分野の1つになり、2015年には投資額の15%だったのに比べて、2017年には約30%を占めている。

医療投資に対するGVの接近は、新しい方向を切り拓いたが、ライフサイエンスもまた同社のDNAの一部なのだ。他の多くの有名なシリコンバレーValley投資家と同様に、GVの創設者であるBill Marisも、長い間医療スタートアップに情熱を傾けていた。2016年にGVを去った後、Marisはバイオテクノロジー、ヘルスケア、ライフサイエンスに特化した自身のファンドSection32を立ち上げた

同じように、ライフサイエンスと医療投資は、Founders Fundのような大手米国ファンドの重要事項として取り上げられてきた。Founders Fundは少なくとも2015年以降、その提供資金のうちの25%以上をこの分野に一貫して割り当てて来ている。

とはいえ、この潮流は変化する可能性がある。対米外国投資委員会(CFIUS)によって最近行われた監視の強化は、米国の医療領域に対する中国の資本流入に対して、厳しい影響を及ぼす可能性があるのだ。

その拡大された権限の下でCFIUSは、バイオテックの研究開発を含む、27の重要な産業リストに分類される技術に関係し、生産、設計、テストに対して海外の事業者が関わるあらゆる投資と取引に関して、レビューを行う(そして阻止する可能性もある)。

拡張されたルールの真の意味は、CFIUSがどれほど積極的に、どのくらいの頻度で、その力を行使するかによって異なってくる。しかし、長いレビュープロセスと規制によるブロックの恐れは、中国の投資家の負担を大幅に増大させ、中国の資金流入を効果的に差し止める可能性がある。

CFIUSの動向がどうであれ、米国の医療市場における中国の積極的なプレゼンスは、シリコンバレーの主流となることを押し留めてはいない。中国の医療革新への取り組みは、中国の医療システムの厳しい崩壊と政府の後押しを受けた投資環境の改善によって、ますます強くなっている。

VCたちは悲惨な医療システムをターゲットにしている

中国の医療分野における欠陥は、歴史的にみると厄介な結果へとつながっている。現在、政府は支援政策を通じた投資のテコ入れをしている。(写真 Alexander Tessmer / EyeEm、Getty Imagesより)

彼らは成功したスタートアップたちが、解決を必要とする本当の問題を特定していると語る。非効率による傷害、悪い結果、そして消費者の複合した欲求不満など、中国の医療産業は問題を山積させている

一部の富裕層以外の市民は、混雑し人手不足にあえぐ都市部の中心の病院へ、大変な思いをして長距離を通うことを強いられている。受付エリアは名ばかりで、あらゆる空き場所はあっという間に、心配し、具合が悪く、恐れでへたり込む多くの人たちで埋め尽くされる。待ち時間は長く、数日に及ぶこともある。

そして患者がやっと診察受けられる段になっても、多くの場合には、過労か経験の浅いスタッフの診察を受けることになり、後に続く果てしない患者の列を相手にするために出入りを急かされる。

かつては、患者への診断が下されても、治療の方法は限られそしてあまり効果がなかった。なぜならば輸入に関する法律と、価格の問題により、世界的に認可されている薬が手に入らなかったからだ。

想像できるように、診察と治療が不十分であると、結果的に問題が生じる。世界銀行からの最近の報告書によると、心臓病、脳卒中、糖尿病、そして慢性肺疾患は中国の死因の80%を占めている。

不正行為、誤魔化し、不誠実な問題の繰り返しが、人びとの積み重なる不満を増幅させている。

ワクチンの誤った取扱によって病気が広がった過去の事件にも関わらず、中国のワクチン危機は今年の始めにある限界点に達した。25万人もの子供たちが、効果がない虚偽の狂犬病予防接種を行われていたことが発覚した。そして検査官がそれを何ヶ月も前に発見しながら見て見ぬふりをしていた事実も発覚したのだ。

医療に対する大衆の信用を破壊することは、深刻で、潜在的に不安定な影響を生み出す。また、中国の保健医療インフラの、ほぼすべての面に非効率性が浸透しているため、そこには大きな変化の機会がある。

これらの問題に対応して、中国政府は、医療革新の追求に重点を置いた。そのためには、医療スタートアップたちの成功のチャンスを引き上げると共に、投資家たちのコストとリスクを削減する政策を展開した。

数十億ドルの公的投資がライフサイエンス分野に流れ込み、特許研究助成金、そしてジェネリック医薬品の承認プロセスが容易になり、中国におけるライフサイエンスやバイオテクノロジー企業の設立が、より簡単になった。

中国のベンチャーキャピタリストたちにとっては、財政的インセンティブと高い成長を遂げる地方の医療セクターに加えて、薬物輸入法の緩和が、海外のイノベーションを通じて、中国の医療システムを改善する機会を拓いた。

世界的なヘルスケアへの関心が高まることで流動性も改善した。さらに、香港証券取引所が最近、まだ収益を上げていないバイオテクノロジー企業の上場を許可する変更を発表した

中国の主要機関で実施された変更は、効果的に中国の健康分野投資家たちに、より幅広い機会、より速い企業成長、より速い流動性、そして確実性の向上を、より低いコストで達成させた。

しかしながら、中国の医療システムの構造的および規制上の変化は、より多くの成長を伴った、より多くの医療スタートアップにつながったが、必ずしも質を向上させたわけではなかった。

米国と西側の投資家たちは、北京の同業者たちのような国境を越えるアプローチをとってはいない。業界の人びとと話してみたところ、中国のシステムのいい加減さやその他の理由によって、多くの米国投資家たちは海外のライフサイエンス企業に投資することに、疲れてしまったという。

そしてシリコンバレーが同様に、米国の強力な大学システムから生み出されるスタートアップに焦点を当てることで、バブル的評価が懸念され始めている。

しかし、世界中で何十億ドルもの投資を行う中国は、その国内の医療システムにあいた大きな穴を塞ぎ、自身を国際医療イノベーションの次世代リーダとして確立することを決意しているのだ。

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(翻訳:sako)

空気から水を採取する技術のコンテストWater Abundance XPRIZEの優勝チームが決定

XPRIZEのWater Abundanceコンペ、空中から水を採取する持続可能でスケーラブルな技術の懸賞は、5月に5社のファイナリストが決まった。その後一社が脱けて、奇しくも代わりに入った一社が優勝をさらった。

コンペの課題は、“1日に2000リットル以上の水を1リットルあたり2セント以下の費用で、再生可能エネルギーだけで大気から収集する”ことだった。それは、不可能と思えるほどの難題だ。

でも多くのチームがさまざまなやり方でこの難題に挑戦した。そして二位入賞のハワイのJMCC Wingは、効率のきわめて高い風力発電機と市販のコンデンサーを併用した。

優勝したSkysource/Skywater Allianceは、すでに海外で多くの実績がある(女優Miranda Kerrの家にも設置)。彼らは商用電力や代替電源を使わず、きわめて効率の良い断熱蒸留法を用いる。

それは海水の脱塩化よりも効率がよく、雨などの水源を必要としない。Skywaterのボックスはさまざまなサイズがあり、冷蔵庫より大きなものもあるが、最大で一日300ガロン(1135リットル)の水を生産できる。これでコストが低くて再生エネルギーだけを使用するなら、2基でコンテストの要件を満たす。

これらの要件への適合ががすべてXPRIZEの検査チームに対して示された結果、最初に予選落ちになった同社が150万ドルの優勝賞金を授与された。

“接戦だったけど、うちのシステムから実際に水が出てくるところを見て感動した。世界中の人びとの命に関わっていることだから”、と同社のJay Hastyが授賞式ビデオで語っている。

しかし、これで水不足の問題が解決したわけではない。でもこのようなコンペは今後の開発を刺激し、人びとの関心も喚起するだろう。Skywaterのシステムが、それを必要とするところにどんどん設置されてほしいが、優勝しなかったチームも研究開発を今後も必ず継続するだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Oculusの共同創業者、‘Rift 2’ヘッドセット開発中止を受けFacebookを退社

Oculusの共同創業者で前CEOのBrendan Iribeは今日、Facebookを退社すると発表した。TechCrunchはこの件について確認した。

詳しい関係筋がTechCrunchに明らかにしたところによると、IribeのFacebook退社は同社の次世代PCベースバーチャル・リアリティヘッドセット“Rift 2”の開発が中止となるなど、社内のバーチャル・リアリティ部門刷新によるものとのことだ。IribeはRift 2の開発を率いていた。

IribeとFacebookの役員チームは、“成長が見られなかったOculusの将来について根本的に異なった考え”を持っていた。そして、Iribeはパフォーマンスという点で“底辺への競争”には関心がなかったとされる。

Iribeは退社を今日のFacebookへの投稿で発表した。

我々が2012年7月にOculusを立ち上げてから本当に多くのことがあった。こんなに多くのことを成し遂げ、ここまでくるとは思わなかった。信じられないような6年がすぎた今、私は次に移る。

これまで我々が共に成し遂げたことを大いに誇りに思い、また感謝している。我々は史上最も素晴らしい研究・エンジニアリングチームの一つをつくりあげ、Oculus RiftとTouchで真のバーチャルプレゼンスへの最初の一歩を築き、完全に新たな産業をおこした。我々が描くこともできなかった方法で世界を変えるという革命をおこした。

我々は遠くにきたが、しかし旅はまだ始まったばかりだ。Michael Abrashは正しかった:“これらは、古き良き日々”。そしていま、次の素晴らしいコンピューティングプラットフォームと媒体の基礎を開拓するときだー最先端のものをさらに推し進めるときなのだ。 VRとARの全ての部分、特にハードウェアと基幹テクノロジーを改善する必要があるが、Oculusは世界でもベストなチームを抱えている。我々が夢みている魔法のスマートメガネを届けるにはまだ程遠いが、手の届くところにはきている。

Oculusで多くの才能ある人たちと働くことができ、Facebookでの経験は私のキャリアの中でも最も変革的なものだった。賛辞を送ったり感謝の意を述べたりするときの格言があるー“チームの努力の賜物”だ。Oculusの成功は並外れたチームの努力なしには成し得なかった。ここに私は、素晴らしい道のりを支えてくれた全ての人に心からの感謝の気持ちを伝えたい。特にMarkにはこのチーム、そしてVRとARの将来を信じてくれたことを感謝したい。

私事になるが、20年間ずっと走り続けてきて今回が初の本当の休憩となる。充電し、それを反映し、プロダクティブになるときだ。次なる章を楽しみにしている。

PCベースの次世代バーチャルリアリティプロダクト “Rift 2”のキャンセルは、Facebook幹部の関心がいかに外部PCや携帯電話への接続を必要としないオールインワン型のヘッドセットに集中しているかを物語っている。5月にOculusは199ドルのOculus Goヘッドセットをリリースし、来春ごろ399ドルのOculus Quesヘッドセットのリリースを計画していた。Facebookの広報はTechCrunchに対し、PC VRはFacebookの未来のプロダクトロードマップの一部であり、Iribeのチームがこれまで取り組んできたことの多くが未来のプロダクトにはっきりと表れるだろうと述べている。

Iribeの退社は、Facebookが買収した知名度の高いスタートアップのかなりの創業者がFacebookを去るのと重なっている。1カ月足らず前にInstagramの共同創業者のKevin SystromとMike KriegerがFacebookを去ると発表した。TechCrunchの情報では、この2人の退社は少なからず緊張が高まった結果とのことだ。WhatsAppの共同創業者Jan Koumも今年初めにFacebookを離れた。Iribeの仲間で共同創業者のPalmer Luckeyは2017年初めにFacebookをやめている。この決定については彼が下した決定ではなかった、とLuckeyは最近詳細を語っている。

Iribeは、彼が創業しCEOを務めていたOculus VRが2014年に20億ドルで買収されたあとにFacebookに移ってきた。2016年後半に行われたFacebookの組織再編で、IribeはCEO職からFacebookのPC VR部門の責任者というポジションに移されていた。

Oculus VRを共同創業する前、Iribeはソニーが2012年に3億8000万ドルで買収したGaikaiというクラウドゲーミングのスタートアップで最高製品責任者だった:その前は、2011年に3600万ドルでAutodeskに買収されたScaleformというゲーミングユーザーインターフェースツールのスタートアップを共同創業し、率いていた。

我々はIribeにコメントを求めている。

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(翻訳:Mizoguchi)

リチャード・ブランソン、Virgin Hyperloop Onerの会長を辞任――サウジ公営ファンドの投資はキャンセル

Virginグループのファウンダー、リチャード・ブランソンがVirgin Hyperloop Oneの会長を辞任したことが報じられた。

Reutersが引用した声明によれば、ブランソンは、予想したより時間を必要とすることがわかったためだとして次のように述べている。

わが社の発展段階の現状からすると、ビジネスの詳細を知りチャンスを活用するためにさまざまな業務を自ら実行できる会長が必要だと感じた。私はすでに多くの時間をVirginグループの諸企業ならびにチャリティー事業の運営に費やしているため、これは私には困難な任務となる。

しかしここで述べられていない重要な問題は、サウジアラビアの公共ファンドからの資金提供の計画がキャンセルされた点だ。サウジのPIFは総額10億ドル前後をVirginグループの宇宙事業に投資する計画だったが、ブランソンがサウジを非難した後、交渉は中止されていた(TechCrunchはカショーギ殺害事件はシリコンバレーへの一時代の終焉となる可能性があると報じている)。

Washington Postのコラムニスト、ジャマル・カショーギがイスタンブールのサウジ領事館内で殺害され、遺体が切断されたとされる事件が発覚した後、ブランソン始め、多くのビジネスリーダーがサウジとの関係を絶った

Virgin Hyperloopの最大の投資家は UAE(アラブ首長国連邦)のロジスティクス企業、DP Worldだ。今年に入って、両社はハイパーループ・テクノロジーを用いて公共交通機関を建設するジョイント・ベンチャーを立ち上げた。 DP WorldがVirgin Hyperloopに最初の投資を行ったのは2016年だった。

今月、Virgin HyperloopはBlack & Veatchと共同で実施したミズーリのセントルイスとカンザスシティを結ぶ路線に関するフィージビリティスタディの結果を発表した。

グローバルなインフラに関して調査を行う独立企業であるBlack & Veatchのレポートは両都市を結ぶ主要な高速道路、 I-70に沿うルートの可能性について、安全性、サスティナビルティともに肯定的な評価を下した。同社のCEO、Rob Lloydは次のように述べていた。

今回のフィージビリティスタディはアメリカにおける旅客、貨物の輸送を行うフルスケールの商用ハイパーループ路線の実現に向けての第一歩だ。ミズーリ州が最初の高速道路の出発点となったというアメリカの運輸の歴史において占める栄えある地位を考えるとき、われわれはこのハイパーループ路線計画を特に誇りに思う。この路線はやがて全米を結ぶハイパーループ・ネットワークの礎となるに違いない。これによる社会的、経済的影響は計り知れない。

アメリカではコロラド州とオハイオ州もVirgin Hyperloopのテクノロジーの利用に関するフィージビリティスタディを実施しており、インドやUAEでも別個の計画が進行中だった。

Virgin Hyperloop OneもHyperloop Transportation Technologiesもともに、 イーロン・マスクのハイパーループ計画からインスピレーションを受けている。

ハイパーループは真空近くまで減圧されたトンネル中をカプセルが高速で移動する新しい交通システムで、イーロン・マスクの宇宙企業、SpaceXで開発されたテクノロジーや素材が多数用いられている。

われわれはVirgin Hyperloop Oneの広報担当者にコメントを求めており、回答があり次第、記事をアップデートするつもりだ。

画像: Axelle/Bauer-Griffin/FilmMagic / Getty Images

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滑川海彦@Facebook Google+

Twitter、TikTok、楽天—TC Tokyo 2018登壇者を追加発表

Kayvon_Beykpour

Kayvon Beykpour氏/Twitter プロダクトリード、Periscope共同創業者

11月15日(木)と16日(金)に東京・渋谷ヒカリエで開催する日本最大級のスタートアップ・テクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo」。

現在、一般来場者向けの「前売りチケット」(3万円)、創業3年未満(2015年10月以降に創業)のスタートアップ企業の皆さんに向けた「スタートアップチケット」(1万8000円)、創業3年未満のスタートアップ企業を対象とした2日間のデモブース出展の権利と2名ぶんの参加チケットがセットになった「スタートアップデモブース券」(3万5000円)の3種類のチケットを販売中だ。なお、前売りチケットは10月31日までの販売、スタートアップデモブース券は残りわずかとなっている。

今回は、登壇が決定している皆さんをご紹介したい(アルファベット、五十音順)。

  • Harinder Takhar氏/Paytm Labs CEO
  • Heather Sittig氏/Relola CEO
  • Jim Adler氏/TOYOTA AI Ventures マネージングディレクター
  • Jonathan Palley氏/Spire CEO
  • Julio Avalos氏/GitHub チーフ・ストラテジー・オフィサー兼ジェネラル・カウンセル
  • Kayvon Beykpour氏/Twitter プロダクトリード、Periscope共同創業者
  • Long N. Phan氏/Top Flight Technologies CEO
  • 有川鴻哉氏/Hotspring 代表取締役
  • 小泉文明氏/メルカリ 取締役社長兼COO
  • 中山一郎氏/PayPay 社長
  • 西田真樹氏/Bytedance 副社長
  • 林 隆弘氏/HEROZ 代表取締役CEO
  • 堀江裕介氏/dely 代表取締役
  • 向井秀明氏/楽天インベストメント&インキュベーションカンパニー ジェネラルマネージャー
  • 芳川裕誠氏/Treasure Data CEO

それぞれのセッションの詳細やTechCrunch Tokyo 2018のスケジュールについては追って記事を公開する予定なので、楽しみに待っていてほしい。

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新iPad ProはOLEDと液晶モデルがあり?新液晶「Liquid Retina」の商標申請から推測

eng-logo-2015今月26日に発売を控えるiPhone XRのIPS液晶パネルに冠せられた、新ブランドの「Liquid Retina」。このブランド名につき、アップルがアメリカと中国(香港)にて商標を申請していることが明らかとなりました。

この申請そのものに不思議はありませんが、注目すべきは商標の対象とされている製品カテゴリです。香港当局に提出された書類には「タブレット」などが含まれており、アップルの今後の新製品との関連が推測される内容となっています。

アップルの特許情報に詳しいPatently Appleによると、アップルがアメリカで提出した書類ではコンピュータや携帯情報端末、メディアプレイヤー、インターネットにアクセスできる個人向けデジタルアシスタントやスマートフォンなどが商標の対象とされているとのこと。

その一方で、香港での申請書類にはありとあらゆる製品カテゴリが網羅されており、書ききれないほど長大なリストとなっています。

そうした莫大なリストの中で、ひときわ目を引くのが「コンピュータ;コンピュータのハードウェア;携帯コンピュータ; タブレットコンピュータ」の箇所でしょう。10月30日のスペシャルイベントでの発表が噂される新型iPad Proの中に、OLEDではなくLiquid Retinaディスプレイを採用するモデルがあると示唆しているのかもしれません。

ほか、スマートウォッチやスマートグラス、VRディスプレイやARディスプレイといった製品カテゴリの申請も興味深いところです。アップルがARやVRデバイスを研究開発していることは半ば公然の事実と考えられており、関連する企業の買収「rOS」採用のARヘッドセットの発売予定など、噂はたびたび報じられてきました。

商標登録には「他人に登録されては困る」という防衛的な意味合いもあり、必ずしも製品化と結びつくわけではありませんが、膨大なリストの中には木を隠すには森とばかりに「アップルの本命」が潜んでいるのかもしれません。

Engadget 日本版からの転載。

Beyond Nextが2号ファンド設立、大学・研究機関発シードに加えカーブアウト投資も視野に

独立系ベンチャーキャピタルのBeyond Next Venturesは10月22日、同社にとって2つめとなる基幹ファンド、BNV2号ファンド(Beyond Next Ventures2号投資事業有限責任組合)を組成したことを明らかにした。設立日は10月1日。設立時点では、第一生命保険、みずほ証券、三菱UFJ銀行、損害保険ジャパン日本興亜、三井住友銀行の5社が出資に参加する。調達金額は非公開だが、総額約55億円となった1号ファンドより大きい規模となるという。

Beyond Next Ventures代表取締役社長の伊藤毅氏は、2014年に大手VCのジャフコを退職し、同社を創業。大学/研究機関発の技術系ベンチャーへの投資を行うVCとして、2015年2月に1号ファンド(Beyond Next Ventures1号投資事業有限責任組合)を立ち上げ、2016年にクローズした。

1号ファンドでは、これまでに技術系スタートアップ23社に投資を実施。その投資対象は、ライフサイエンス、ヘルスケア、ロボットなどの先端分野だ。TechCrunch Japanで取り上げたところだと、例えば、キュア・アップサスメドといった医療機器としてのアプリ開発スタートアップや、手術支援ロボットベンチャーのリバーフィールド、ハイテク衣料のXenomaなどがある。

また同社は、2016年8月に複数の大手事業会社とともに、アクセラレーションプログラム「BRAVE」をスタート。実用化・事業家を目指す技術シーズを対象に、知識やノウハウと人的ネットワークを提供する事業化支援にも取り組む。2017年4月には社会人が働きながら事業化を目指す「Innovation Leaders Program(イノベーションリーダーズプログラム)」の提供も開始した。2018年からは、東京都からの委託を受け、創薬系スタートアップの起業や成長を支援するアクセラレーションプログラム「Blockbuster TOKYO(ブロックバスタートーキョー)」も運営している。

Beyond Next Venturesでは、2号ファンドでも引き続き、大学・研究機関の持つ優れた技術シーズを基にした、シードステージのスタートアップを対象に投資・支援活動を行っていくという。さらに企業が持つ有望技術を独立して事業化させる、カーブアウト投資なども実行していく構えだ。

TechCrunch Japanでは、代表の伊藤氏に2号ファンド設立についてコメントを確認中。追って掲載する予定だ。

血まみれの金を受け取るということーサウジ記者殺害事件に寄せて

何年か前、僕はTechCrunchイベントで会ったインベンターにコーヒーに誘われた。こういうことはよくある。僕はウィークリーコラムニストで、オフィシャルメディアのインフルエンサーと思われている。人々は僕に何かしらの影響を与えようとするが、結局僕は彼らを無視して僕が面白いと思ったことを書く、ということに相手は気づく。しかし、僕はこのコーヒーの誘いに応じた。というのも相手の仕事が、悪い意味で例になく興味深かったからだー彼はクレムリンに近いベンチャーファンドの代表だった。

これは、ロシアが今日のように民主主義を操る敵対的な存在になる以前のことだ。しかし、ロシアが“同性愛禁止法”を可決した後のことで、怒りに満ちた反ロシア感情が非常に強い時だった。相手がこの話題で憤慨する様を見るのは僕にとってかなり面白かった:彼が言うには、彼はベイエリアの人間で、ゲイの人権のプロであり、ゲイの結婚のプロだ。しかしそれぞれの国がそれぞれのスピードで啓発されていくという現実を受け入れなければならない。そして我々の価値を促進するための最善策は、国と一緒に働き、正しい道を示すことだ、と。

言うまでもないが、このコラムはサウジアラビアについてだ。

サウジアラビアの残忍さを人々に気づかせるのにJamal Khashoggi殺害を要したのには、まったく驚きに近いものを感じる。もう3年になるが、サウジアラビアは不必要な紛争で何千人ものイエメン人を虐殺している。国連の言葉を引用しているBloombergの記事は「特にサウジアラビア主導の連合、そしてそれをイエメン政府がバックアップすることは、市民の命を見捨てることを意味し、おそらく戦争犯罪に等しい」と記している。かつてはイスラムの過激な解釈のワッハーブ派と同盟を結び、一国一党主義の絶対的な君主主義を長い間しいてきた。ワッハーブについてT.E. Lawrenceは100年前に、解しがたい“狂信的な異教”と表現しているーこの同盟関係の結果、多くの世界的惨事を引き起こしてきた。

ご存知のように、サウジアラビアは国際的な同盟関係を築き、米国のパートナーとなっている。米国の経済/軍事/コンサルティング/産業/石油関係は、かなり長い間サウジと懇意にしていて、そこには政治家も含まれる。テック業界におけるサウジの金がどうにも非常に悪いもので異なるもの、というふりはやめよう。悪いもの、そう、米国社会の全てと同じくらいかなり悪いものだ。長い間、米国のサウジに対する姿勢というのは、「もちろん、彼らは圧制的な独裁制をしいている。しかし彼らは我々の圧制的独裁制であり、王室一家はとても素敵で寛大で、石油の多くをコントロールしている」というものだった。

しかしながら、ようやく今、そうした態度が変わりつつあるようだ。それは、米国がサウジから石油の購入をやめるようとしている、ということではない。米国がサウジに兵器を売るのをやめる、ということでもない。20世紀(間違っても21世紀ではない)にみられたようなその時々の躊躇するようなステップにもかかわらず、これから誰もサウジアラビアが残忍極まりない圧制的な国であるというふりはしない。(この件に関し、僕の故郷カナダの先取りした姿勢を声高にアピールしたい)。何が進歩なのか。進歩に近いものと僕は想像しているが。

サウジアラビアと関係を続けていくのに、実益政策をとることもできる。5年前に僕が一緒にコーヒーを飲んだ相手がロシア政府と協働を続けるように。それがどのような結果になったのかを見るといい。それからロシアがいかに啓発的になり、進歩を見せ、ロシアの社会に貢献しただろうか。…いや、最悪、サウジアラビアは違うかもしれない;あまりにも広範に激しく批判したり過剰反応したりするには繊細な問題だ。というのも、基本的には崩壊しやすい国だからだ。シリアの崩壊と内戦が起こる前にそれを予想したNassim Talebは、サウジアラビアについても同じような運命を予言している。

トランプ政権が、人々の恐れや経済影響を鑑みて、サウジアラビアの新たな常軌を逸したリーダーシップをサポートし続けるとは思わない。“Trump’s razor(トランプのカミソリ)”:最も愚かしい理由がおそらく修正される。ここでは、政権がサウジのサポートに戻ろうと思わないことを意味する。サポートに戻ると、彼ら自身の弱さをさらけ出すことになると彼らは考えているからだ。同様に、我々がからかっている人たち、サウジから資金を受けているVCは、パックスアメリカーナを支えるために同じような対応はとっていない。それは純粋に、彼らは金が欲しいからであり、だれも450億ドルもの現金を放り出す準備はできていない。

しかしながら、現在、そして当面サウジの金は汚れ、血まみれだ。もしそれを受け取れば、Khashoggi殺害事件後の新たな社会的道義に反するという帰結になることを考えなければならない。それは長く続くのだろうか。誰がそう言えるのか。しかし、そう長く続かなかったにしても、あなたの倫理に反するということを考慮しなければならない。それは、どれだけの額の金になろうとも、昨年においても、来年においても真実である。

イメージクレジット: 401kcalculator.org (opens in a new window)Flickr (opens in a new window)under a CC BY-SA 2.0 (opens in a new window)license

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(翻訳:Mizoguchi)

百貨店のリプレイス狙うギフト特化型EC「TANP」が1.2億円を調達

ギフトEC「TANP」を運営するGraciaは10月22日、複数のVCや個人投資家らを引受先とする第三者割当増資により1.2億円を調達したことを明らかにした。

同社では調達した資金を活用してロジスティクスやマーケティングの強化を進め、プロダクトのさらなる成長を目指す計画。なお今回のラウンドに参加している投資家陣は以下の通りだ。

  • ANRI
  • マネックスベンチャーズ
  • ベンチャーユナイテッド
  • ドリームインキュベータ
  • SMBCベンチャーキャピタル
  • 中川綾太郎氏
  • 有川鴻哉氏
  • 河原﨑大宗氏
  • 坂本達夫氏

Graciaは2017年6月の創業。その直後にANRIとCandle代表取締役の金靖征氏から約1300万円を調達していて、今回はそれに続くシリーズAラウンドでの資金調達になるという。

特化型ECでオンライン上でも優れたギフト体験を

Graciaが手がけるTANPはギフトに特化したECサイトだ。

この領域に特化することで、誕生日や記念日、クリスマスなどの様々なシーンだけでなく、ギフトを渡したい相手の性別や年代に合わせてぴったりな商品を見つけやすい仕組みを設計。「何を贈ったらいいのかわからない」というユーザーの悩みをオンライン上で解決できる場所を目指している。

2017年9月のリリースから約1年が経った現在は約100社のメーカーとタッグを組み、取扱商品数は合計で860点を突破。Gracia代表取締役の斎藤拓泰氏の話では人気化粧品メーカーの「the body shop」や香水ブランド「JIMMY CHOO」など、知名度のあるメーカー・ブランドも徐々に増えてきているようだ。

特にクリスマスや母の日といったイベント時の利用が多いそうで、5月の母の日のピークには1日あたりの出荷数が800件を超えたという。

「特別なシーン用のギフトを買うとなると、多くの人が想起するのは百貨店。特に『何か特定なものを探している』というよりは『何かしら買いたい』というニーズに対して、オンライン上で応えられる場所がまだない。(ECというくくりでは)すでにビッグプレイヤーがいるが、自分たちはギフトに特化することで探すのが大変という悩みを解決しつつ、より優れたギフト体験を提供したいと考えている」(斎藤氏)

ギフト探しの悩みを解決するという点では、TANP上で細かい条件ごとに商品を探せるほか、LINE@を活用してチャットベースでの相談にも応じている。斎藤氏の話ではLINE@の登録者数は約6500人ほどだそう。記念日や特別なイベントに合わせて年に数回問い合わせをしてくるユーザーが多いようだ。

“良さそうな商品がオンライン上で見つかる”というのもTANPの特徴ではあるけれど、同サービスのウリはそれだけではない。斎藤氏によるとユーザーに評判がいい機能として「配送までのスピード」と「ラッピングなど独自のオプション」をあげる。

独自のロジスティクスを軸にギフトの商流を作る

TANPでは注文が入ってから最短で翌日届くような体制を構築している。シンプルながらこの点に関してはユーザーのニーズがかなりあるそうで「注文した商品が明日届くかどうか」といった問い合わせが多いという。

またラッピングなど独自のオプションも複数用意。ラッピングだけで約10種類ほどあり、それ以外にもブーケを同梱したり、段ボールの中を装飾したりといったことができる。7割くらいのユーザーが何かしらのオプションをつけていて、斎藤氏は「(ギフト探しの悩みを解決するだけでなく)配送期日やオプションといった要素を網羅していることがTANPの特徴」だと話す。

この点について課題意識を抱えているのは何もユーザー側だけではない。メーカー側もまた、同じようにギフトに関する悩みを持っているようだ。

「担当者の方と話していても、ギフトをやりたいという考えはある一方で、ギフト用のニーズに応えるためだけに自分たちでラッピングをしたり、(他の顧客よりも優先して)最短で届けるための仕組みを作ったりするのが難しいという声を聞く。双方の間に入って“ギフトの商流を作る”というのがTANPを通じてやりたいテーマだ」(斎藤氏)

このギフトの商流づくりのために、Graciaではロジスティクス周りの整備に力を入れてきた。自社で倉庫を保有し商品はそこから発送。その際に使う発送システムや在庫管理システムも独自で開発しているのだという。

特にギフトの場合は商品にさまざまなオプションがつくことが多いため「どの商品にどのオプションがつくか」を全部紐付ける必要がある。その作業に対応したシステムを自社で整えていることが、オペレーションを効率化しつつ、ユーザーのニーズに合わせたスピード感やオプションを実現できる要因にもなっているようだ。

ギフトを買う際に最初に想起してもらえるサービスへ

「ロジスティクスの強化」は今後のTANPの鍵を握るポイントであり、今回調達した資金もここに投資する計画。扱う商品の数を増やすべく倉庫を広げたり、ラッピングなどの質を改善することでサービスの拡大を目指していく。

また中長期的にはTANPに蓄積されるユーザーの購買データを活用することによって、ユーザーのギフト探しの悩みに対して適切な商品をレコメンドできるような仕組みも構築する予定だ。

Graciaのメンバー。写真前列中央が代表取締役の斎藤拓泰氏

Graciaは以前Candleで働いていた斎藤氏を含む3人の東大生によって設立されたスタートアップ。今後ECが伸びていく一方で、ギフトECの領域では「ファッションにおけるZOZOTOWN」のような巨大なプレイヤーがおらず、ユーザーの課題もあるためこの領域で事業を展開することを選んだ。

現在のユーザー層は20〜40代が中心。インターネットを普段そこまで利用していないようなユーザーも一定数いるが、そういった層のユーザーも含めて「オンライン上でギフトを買う体験」をさらに広げていくのが目標だ。

「(今回調達した資金も活用しながら)まずはギフトの領域をもっと掘り下げて、ギフト市場での第一想起の獲得を目指していきたい」(斎藤氏)

人気の接続ストレージに脆弱性、パスワードなしでアクセス可能に

人気接続ストレージのソフトウェアに脆弱性、アタッカーがアクセス可能に
セキュリティー研究者らは、人気のインターネット接続ストレージ4機種に、ハッカーがユーザーのプライベートデータや機密データをアクセスできる欠陥があることを発見した。

Paulos YibeloとDaniel Eschetuによると、彼らがテストしたデバイスのうち3機種——NetGear Stora、Seagate Home、およびMedion LifeCloud——を制御しているソフトウェアは、アタッカーがパスワードなしでデータを読み取り、変更、削除することができるという。

今週TechCrunchに情報提供したYibeloは、研究結果をブログでも発表し、ほかにも多くの機種が危険に晒されていると言った。

Axentra社が開発したHipservというソフトウェアは、彼らが発見した4つの欠陥のうち3つに関して主たる責任がある。HipservはLinuxベースで、さまざまなウェブ技術——PHPを含む——を利用してウェブインターフェースを構築している。しかし研究者らは、認証なしでドライブ上のファイルをアクセスできるバグを発見した。さらに、”root” ——最高アクセス権限を持つ標準ユーザーアカウント——として自由にコマンドを発行できるため、そのドライブのデータは詮索好きな目に晒されたり破壊されたりするリスクがある。

本誌はAexentraにコメントを求めたが、本稿執筆時点でまだ返答がない。

Netgearの広報担当社は、Storaは「すでに販売が中止されたサポート対象外製品である」と言った。Seagateは本誌の締切までにコメントしなかったが、状況が変わり次第続報の予定。現在Medionを所有するLenovoはコメント要求に返答していない。

研究者らは、WD My Book Liveドライブにも別のバグがあり、アタッカーがリモートでルートアクセスを可能であることを報告している。

WD広報担当者は、この脆弱性は2010年に発売され2014年に販売中止されたデバイスに影響を与えるものであり「当社のソフトウェアサポート期間の対象外である」と言った。さらにWDは「これらの旧製品を使い続けたいユーザーは、リモートアクセスを防止するようファイアウォールを設定することを推奨する」と付け加えた。

いずれの脆弱性も、アタッカーは対象ドライブのIPアドレスを知るだけでよい。IPアドレスはShodanなどのサイトのおかげで、昨今さほど入手困難なデータではない。

影響を受けるデバイスの数は見方によって様々であり、Shodanは31万1705と言っているが、 ZoomEyeは180万デバイスに近いと発表している。

研究者らはバグについてある程度の情報を公開しているが、アタッカーが欠陥を利用するのを防ぐために、侵入コードを公開する予定はないとしている。

彼らからのアドバイス:クラウドドライブを運用しているなら、「デバイスをインターネットから切り離すこと」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

バーチャルリアリティーが食べ物を美味しくする

またまたVRが現実世界に入り込んできた。米コーネル大学の食品科学者らは、心地よいVR環境で食べたチーズが、殺風景な官能評価ブースで食べた同じチーズより美味しく感じることを発見した。

バーチャルリアリティーヘッドセットを着けた約50名のパネリストが3種類のブルーチーズサンプルを食べた。被験者は、標準官能評価ブース、心地よい公園のベンチ、コーネル牛の家畜小屋の3種類用意されたバーチャル環境に置かれ、特別に録画された360度ビデオを見ることができる。

被験者はチーズのサンプルが同一であることは知らされておらず、牛舎環境で食べたブルーチーズを評価ブースやバーチャル公園で食べたものよりも、優位に辛みが強いとと評価した。

その通り:バーチャルファームで食べたチーズは、なにもない殺風景なブースで食べるよりもずっと美味しかった。

「何かを食べる時、われわれは食物の味と香りだけを感じるのではなく、周囲からの感覚入力を受ける——目、耳、さらには周囲に関する記憶までも」と研究者のRobin Dandoは言った。

念のために言っておくと、この研究はVRが食べ物を美味しくするかどうかを確認することを意図したものではなく、VRが一種の味覚テスト環境として使えるかどうか、たとえばメーカーで食物のテストをするために、被験者を飛行機に乗せたり本物の牛舎に入れたりしなくても済むかどうかを検証するために行われた。食べ物は環境が変わると味も変わるため、VRでその環境をシミュレーションできることの価値は非常に大きい。

「この研究によってバーチャルリアリティーを利用できることが検証された。これはテストにのための没入環境をVRが提供するからだ」とDandoは言った。「バーチャルリアリティーは、食べている物に環境そのもの性質を視覚的に付与するため、テストの費用効果を高める」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

テスラ、中航続距離の低価格Model 3を発売

TeslaはModel 3の低価格中後続距離バッテリー車を新たに発売する。価格は4万5000ドル(税優遇前)。

Elon Muskはこの推定航続距離260マイル(418 km)の新車種をTwitterで発表した。同社のウェブサイトはすでに更新されている。米国内の顧客は今日(米国時間10/19)から注文可能でカナダでも近々発売予定だ。

Tesla model 3 mid-range

Muskのツイートによると、中航続距離Model 3の連邦およびカリフォルニア州の税優遇を適用した後の価格は3万5000ドルになる。

ただし、7500ドルの連邦税優遇措置を受けるためには2018年12月31日までに車を受け取る必要がある。同車種の納車予定期間は6~10週間なので、10月終わりから11月始めにかけて注文した人は税優遇を受けられるはずだ。

今年Teslaは20万台目の電気自動車を納車した。このことで、電動自動車を新車購入した消費者に適用される連邦税優遇のカウントダウンがはじまった。この税優遇は、ある自動車メーカーが米国内で対象車両を20万台販売した時点で収束し始める。このルールの下、Tesla顧客が税優遇を受けるためには、新しいModel S、Model X、あるいはModel 3が12月31日までに納車される必要がある。

Muskはその後のツイートで、この中距離車のバッテリーは、長距離モデル用バッテリー筐体のバッテリーセルを減らしたものだと説明した。「筐体中のセルのない部分は不釣り合いたほど大きいが、2月に延ばすかわりに今提供することができる」と彼は書いた。

なお、この中航続距離バッテリーモデルは、長航続距離デュアルモーターのModel 3や高性能バージョンよりも安いが、当初約束されていた基本スペックモデルの3万5000ドル(税優遇前)よりもまだ高い。アーキテクチャーの異なる標準バッテリーを搭載した低価格モデルは、4~6ヶ月先にならないと入手できない。

「Model 3の生産および販売が急成長するなか、われわれは安定した生産能力を達成し、いっそう多くの顧客にむけて多様な製品ラインを用意ひることができた」とTeslaの広報担当者がメールによる声明で言った。「今週米国・カナダで発売された新しい中航続距離バッテリーは、Model 3を求める数多くの顧客のさまざまなニーズに答えるものであり、標準バッテリーを注文した顧客の推定納車期間は4~6ヶ月だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook