パナソニック、Tesla向け太陽光発電システム生産へ―TeslaのSolarCity買収承認が条件

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Teslaとパナソニックは家庭用の太陽光発電(PV, photovoltaic)システムの生産で提携することに合意した。 このシステムはTeslaの家庭用Powerwall、企業向けPowerpackバッテリー・システムに給電することができる。現時点ではこの契約に拘束力はないが、今後TeslaのSolarCity買収が株主に承認され、効力を得るようになればその限りではない。

SolarCity/Teslaの合併が最終的に効力を得ればパナソニックは2017年にバッファローの工場でTesla向けPVシステムの生産を開始する計画だ。Teslaではこうした発電部品の供給に関しては長期的な提携を考えているという。パナソニックはすでにTeslaの自動車および家庭、企業向けエネルギー蓄積システムに使われるバッテリーを生産しているパートナーだ。

公式ブログでTeslaは同社とパナソニックとの継続的なパートナー関係は「家庭用の維持可能な再生可能エネルギー・システムを作り上げ、しかもユーザーの負担を最小限に押さえるという大きな目標を達成する上で重要なもの」と書いている。

TeslaとSolarCityの経営陣はどちらもTeslaブランドでの両社の統合を望んでいる。ただしこの買収提案には一部の株主が反対の訴訟を起すなどの問題が起きている。一方、TeslaのCEOでSolarCityの会長を務めるイーロン・マスクは10月28日に、電気自動車を供給するTeslaと太陽光発電事業のSolarCityがTeslaブランドの下に合併することがいかに両社にとって不可欠であるか説明することを計画している。TeslaとSolarCityの株主は11月17日にTeslaのSolarCity買収に対する賛否の投票を行う。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

いまさら聞けないコンテナ入門

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いまどき開発者会議に行って、ソフトウェアコンテナについて聞かずに済ますことはできない:Docker、Kubernetes、Mesos、その他多くの海事にちなんだ名前が耳に入ってくる。Microsoft、Google、Amazonそして他の皆も、昨年あたりからこのバンドワゴンに飛び乗っているようだ、だが皆が夢中な理由は何だろう?

コンテナがこのように大変な注目を集める理由を理解するために、まず物理的コンテナのことを少し考えてみよう。現代の海運業界が、現行の形で機能しているのは、私たちが輸送用コンテナサイズに対して、限られた数の標準化をしているおかげである。この規格が出現する前には、大量に何かを出荷することは、複雑で面倒なプロセスだった。たとえばスマートフォンが載せられたパレット(フォークリフトですくい上げることのできる荷台)を、船から降ろしてトラックに積むときに、どれほど苦労するか想像してみると良いだろう。アジアからスマートフォンを持って来る際に、特化した船を使う代わりに、私たちは、荷物を全てコンテナに収納することができる。そうしたコンテナがどのコンテナ船にもフィットすることは保証されている。

ソフトウェアコンテナの背後にある考えは基本的に同じだ。完全なオペレーティングシステムとソフトウェア(およびあなたのソフトウェアが依存するソフトウェアも)を出荷する代わりに、単にあなたのコードとそれが依存するものだけをコンテナへパックすれば、どこでも動作させることができる ‐ それらは通常かなり小さいため、1台のコンピュータ上に多くのコンテナを詰めることができる。

なぜこれが、そんなに大したことなのだろう?コンテナが普及する前には、いわゆる「仮想マシン」が、1台のサーバーで互いに独立した多くの異なるアプリケーションを実行させる手段として、有力なものだった。それこそが第1世代のクラウドアプリケーション(そしてウェブホスティングサービスまでも)を可能にしたテクノロジーだったのだ。すべてのアプリケーションのために、いちいち新しい物理サーバーを立ち上げていたら、コストが屋根を突き破ってしまっていただろう。

仮想マシンの動作は、オペレーティングシステムとコードを一緒にパッケージすることで行われる。仮想マシン上のオペレーティングシステムは、自分自身の専用サーバー上で動作していると思っているものの、実際には、サーバーを多くの別の仮想マシンたちと共有しているのだ ‐ それぞれの仮想マシンがそれぞれのオペレーティングシステムを持ち、そしてお互いを知ることはない。それら全ての仮想マシンの下にあるのが、ホストオペレーティングシステムで、これら全てのゲストそれぞれに、自分が世界の中心だと思わせる役割を果たしている。しかしこれが問題であることはおわかりだろう。ゲスト仮想マシンは基本的にエミュレートされたサーバー上で動作し、そのことは多くのオーバーヘッドを生み出し、動作を遅くする(まあその代わり、同じサーバー上で沢山の異なるオペレーティングシステムを実行できるのだが)。

輸送用コンテナの話に沿うならば(そしてそのメタファーを不条理まで突き詰めるならば)、これは巨大なコンテナ船を所有することに似ている。その巨大なコンテナ船には沢山のプールがあり、そのプールにはそれぞれ特別なコンテナ船が浮かんでいるのだ。

それぞれのコンテナは全く異なる動作をする。それらは単にアプリケーションと、それが依存するライブラリやフレームワークなどだけを含むので、1つのホストオペレーティングシステム上に沢山のコンテナを置くことができる。サーバー上のオペレーティングシステムは、1つのホストオペレーティングシステムだけで、コンテナたちはそれと直接対話をすることができる。これによって、コンテナを小さく、オーバーヘッドも著しく低く保つことが可能になる。

仮想マシンは、ゲストとホストオペレーティングシステム間のエミュレーション層として、いわゆる「ハイパーバイザー」を使用する。コンテナの場合、コンテナエンジンが大雑把ではあるがこれに対応している。中でもDockerエンジンが現在最も人気の高いものである。

コンテナは、ずいぶん昔にLinuxのコア機能となったのだが、それらはまだまだ使うことが難しかった。Dockerはコンテナを使いやすくするという触れ込みで立ち上がり、開発者たちは素早くそのアイデアを理解した。

コンテナは、開発者たちが、自分のコードがどこにデプロイ(配備)されても、変わらずに実行できるようにすることを容易にする。そしてそれは、しばしば「マイクロサービス」と呼ばれるものを実現可能にする。ひとかたまりの大きなモノリシックなアプリケーションにする代わりに、マイクロサービスはアプリケーションを互いに対話できる小さな部分に分割する。これが意味することは、異なるチームがアプリケーションのそれぞれ異なる部分に対して作業をしやすくするということだ。それぞれの部分が対話する方法を大幅に変えない限りは、という条件付きだが、チームは独立して仕事を進めることができる。これにより、ソフトウェア開発が加速され、起き得るエラーを簡単にテストすることができるようになる。

これらのコンテナすべてを管理するには、他の専用ソフトウェア群が必要だ。その1つの例がKubernetes(当初Googleによって開発された)で、これはコンテナを異なるマシン上に送り出す手伝いを行い、きちんと実行されることを保証し、需要が高まった際に特別なアプリケーションを載せた幾つかのコンテナを自動的に立ち上げる。そしてもしコンテナ同士にお互いを認識させたいのなら、それぞれのコンテナにIPアドレスを割り当てる、仮想ネットワークを設定する手段が必要となる。

コンテナは、あらゆる種類のアプリケーションを実行することができるものの、仮想マシンとはかなり異なっているために、大企業がいまだに使っている多くの古いソフトウェアが、このモデル上には移行していない。しかしながら、仮想マシンは、そうした古いアプリケーションをAWSやMicrosoft Azureなどのクラウドサービスに移行させる役に立つ。このため、コンテナには多くの利点があるにも関わらず、仮想マシンも簡単にはなくなることはないだろう。

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(翻訳:Sako)

興味あるのは「SNS」、一番怖いのは「固定化すること」——取締役・舛田氏が語るLINEのこれから

B Dash Ventures代表取締役社長の渡辺洋行氏(左)、LINE取締役CSMOの舛田淳氏(右)

B Dash Ventures代表取締役社長の渡辺洋行氏(左)、LINE取締役CSMOの舛田淳氏(右)

10月17日から18日にかけて北海道・札幌で開催中の招待制イベント「B Dash Camp 2016 Fall in Sapporo」。初日最初のセッションにはLINE取締役CSMOの舛田淳氏が登壇。B Dash Ventures代表取締役社長の渡辺洋行氏とのセッションを繰り広げた。

日本、NY同時上場の意味

2016年7月に日本(東証1部)、ニューヨーク(ニューヨーク証券取引所:NYSE)に同時上場したLINE。渡邊氏は舛田氏に改めて同時上場の意図を尋ねた。

「2016年の年頭までは悩みに悩みまくっていた。東証とNYSE両方なのか、東証だけに上場するのか。テクニカルなこと(株価上昇など)をしたかったという観測もあったが、全然そんなことはない」

「仮に今の経営陣がくたばったとしても——呪詛のように『LINEという会社は世界を意識しないといけない。10年後20年後にもそういう意識を持たさないといけない』と考えた。普通に考えたら『日本だけでいいんじゃないか』と(今後)我々以外の経営者が言うかも知れない。それでは困るのでニューヨークとの同時上場をした。これまで無茶をしてきたので、(上場も)無茶をするのがLINEらしいところもある。海外の投資家の理解度も高い。Twitter、Facebookと同じようなポテンシャルで見てもらっている」(舛田氏)

同時上場については、決定しなければいけない期限まで話し合ったのだという。「明日決めるという日の前日も、仕事の帰り際に出澤(LINE代表取締役社長CEOの出澤剛氏)と『どうする』と話していた。全ての選択肢は持ち続けた」(舛田氏)

そして迎えた7月15日の日米同時上場。ニューヨークで上場を迎えた舛田氏は、その様子を振り返る。

「同時上場ではなく、アメリカで上場するのもアリだと思う。文化の違いというのもあるが、チャレンジする人がサクセスするということ対して、『ウェルカム』と言ってくれる国だ。上場日、マーケットの前で車を下りた瞬間から、ある種のショーが始まっている。映画のように掃除をする人や警備をする人から『今日はいい日になるといいね』言われたり、ハイタッチされたりする」

「(取引所も)もう全てシステム化されているので、本来はディールの場に人が必要ない。ただ初値が付くまでは、(スタッフが)『40ドルだ。(LINEの株価は)そんな価値ではない』と言ってくれる。我々がしびれを切らすと『大丈夫だ。水を飲め』と語りかけるなど、エンターテインメントとして演出してくれる。TIMES SQUAREのショーなども決して我々が仕込んだのではない。セレモニーをやってもらった」(舛田氏)

一方で東証での上場については、出澤氏はじめとして参加者から「少し寂しかった」という声が出たそうだ。舛田氏は「ちょっとした演出でチャレンジする人(のモチベーションが)上がる。その日1日誇れれば、継続して成長するプライドも持てるのではないか」と提案する。

LINEは上場して何を目指す?

LINEは上場以降、「スマートポータル」という構想を掲げてサービスを展開している。渡辺氏はその進捗について舛田氏に尋ねる。舛田氏は次のスライドをもとに現状を語る。

LINEの「スマートポータル」構想

LINEの「スマートポータル」構想

「コンテンツやメディアの領域で1番成長著しいのはLINE NEWS。10代、20代はYahoo! ニュースに迫る勢い。MAUは4100万人で、スマートポータルのメディア戦略の中核中の中核。LINE LIVEは動画プラットフォーム。よく比較されるのはAbema TVだが、全然違うことを考えている。我々はスマホらしいプラットフォームを考えた時に、縦(縦向き動画のUI)だろうと考え、縦向きでコミュニケーションしやすいプラットフォームとして舵を切った。LINEのプッシュ通知などもあるので視聴も配信も増えてきた」

「(サブスクリプション型音楽配信サービスの)LINE MUSICも着実に伸びている。通常のサブスクリプションだとなかなか厳しいところがあったので、LINEの呼び出し音などに(利用できるように)力を入れたところ、サブスクライバーの数も売上も伸びてきた」(舛田氏)

このほか、インフラの面でも、LINE Payやメッセージング、BOT APIなどの提供も進めている。舛田氏は、LINEの本質は「カンバーセション」の会社だと続ける。「日本もタイも台湾もだが、そこで(メッセージングサービスの)リーディングカンパニーは間違いなくLINE。そこにUI、データ、カンバセーションといったものをOSのようにしてさまざまに展開しようとしている」(舛田氏)

スマートポータル構想について語る舛田氏。だが、渡辺氏からはより具体的な戦略について知りたいという質問が飛ぶ。

「さっきニュース(LINE NEWS)の話をしたが、ポータルサイトで必要なコンテンツというのはいろいろある。だが(ポータルと)スマートフォンを掛け合わせた時に必要なバーティカルなコンテンツやサービスはまだLINEにはない」(舛田氏)

LINEにまだ欠けているコンテンツやサービス、その1つの答えが先日発表された「出前館」運営の夢の街創造委員会の株式取得だろうか。舛田氏は「(コンテンツと比較して)サービスに近いところだがそうだ」と語る。

さらに、「コンテンツやメディアはまだ(LINEに)ない」として、他社との提携、株式の取得、協業などに力を入れていくとした。同時に、内製して開発していた内容についても、テクノロジー系のスタートアップと組んで補完していくと語った。「出資もするし、必要であれば100%(LINEの)中に入ってもらうものもある」(舛田氏)

舛田氏はLINEの戦略は分かりやすいと語る。「引いたところから見ると、光が強い(注目しており、サービスを提供しているという意味)ところ、弱いところがある」(舛田氏)。そしてまだ光が当たっていない領域については、すでに外部と連携に関する話をしていたりするとした。ビジネスとしては広告事業にも注力していくが、さらにLINEらしい非連続のチャレンジも続けていくという。

「例えば『NEXT LINE』というところにも張っていこうとしている」(舛田氏)

一番怖いのは「固定化すること」

その「NEXT LINE」としてチャレンジする領域の1つが「SNS」だという。LINEは現在、動画SNSのSNOWに出資したり、写真SNSの「B612」を提供したりしている。舛田氏は「LINEは基本的な連絡をすべてやっているのでアクティブ率は落ちない」とした上で、InstagramやSnapchatを例に挙げつつ、「ただ、(LINEが)みんなにリーチしてるからこそ、逃げたくなるようなもの(コミュニケーション)もある。そういうニーズをどうくみ取るかが大事」と語る。今後もこの領域でのチャレンジがあるということだろうか。

「社内で言っているが、一番怖いことは固くなること、固定化すること」——舛田氏はこう続ける。LINEは1兆円規模の会社になったが、ここまでのプロセスでの強みが、今後は弱点になることはある。そうやって終わっていく企業は多い。なのでどこまで固くならず、変な前提を持たず、新しいことにチャレンジできるのか(が大事)。IPOしたからこそ、きちんとやるべきだと思う。

このカラーeペーパーは、柔軟で厚さはわずか1μm

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電子書籍端末に見られる反射型ディスプレイは、白黒テキストには最適だが、カラーはまだ人を引きつけるだけの魅力をもたない。新たに発見されたフルカラー eペーパーがそれを変えるかもしれない。しかも、材質は柔軟で電力消費も少ない。

スウェーデン、チャルマース工科大学のAndreas Dahlinと大学院生のKunli Xiongは、導電性ポリマーとナノ構造体を組み合わせる方法を研究中にこの材料を作り出した。小さなセル ― プラズモニックメタ表面と呼ばれる ― はわずかな電圧変化によってオン/オフできる。液晶のサプピクセルと似ている。しかし、他の反射型ディスプレイ(通常の紙も)と同じく、自らは光を発しない。

この材料サンプルは結線されていないが、表現できる色の一部を示している。

「通常のディスプレイと異なり自らは発光しないが、外部の光を反射して光る」とDahlinがニュースリリースで説明する。「このため、暗いところで見やすいLEDディスプレイとは反対に、屋外の太陽等の明るい光の下で非常によく見える」。

〈プラズモニックメタ表面〉の構造を変えることによって、反射する色を調整できるため、レッド、グリーン、ブルーを構成を変えることによって様々な中間色を作り出すことができる。

従来のカラーeペーパーは、概して色あせた印象があり、このテクノロジーがその〈わな〉を回避できるかどうかは定かでない。Dahlinもそれは認識していて、できるだけ濃い色を出す努力をしているところだと言っていた。

リフレッシュレートは1秒間に数回程度だが、解像度は液晶や既存のeペーパーをはるかに上回る可能性をもっている。

「解像度の限界はまだ試していないが、何を表示するのにも十分な、おそらく数マイクロメートル/ピクセル(10^4 dpi)は可能で、これは人間の目が識別できるものよりずっと小さい」とDahlinはTechCrunchにメールで伝えた。ちなみに、10の4乗、即ち1万DPIというのは、iPhoneの解像度よりおよそ1桁高い(もし私の計算が正しければであり、それは大きな〈もし〉だ)。

もちろん、実際に製造できなければあまり意味がない ― そしてそれが2人チームでは足りない部分だ。

「私たちは基礎的なレベルを研究している。それでも、製品を生産する段階はそれほど遠くない。今必要としているのはエンジニアだ」とDahlinは言った。

現在この材料には金と銀が使用されており、量産コストを下げるためには避けたいものであることは明らかだ。

これは、E-Inkのような会社が大いに興味を持つに違いないものだ。この種の低消費電力・多色ディスプレイは、十分価格が安ければデジタルサイネージに最適であり、少々高価でもeリーダーに使える。うまくいえば数年のうちにDahlinのディスプレイを手にすることができるだろう。ふたりの研究は、Advanced Materials誌に発表されている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

リアルJARVISか?―映画『アイアンマン』のR.ダウニー・Jrがザッカーバーグの人工知能の声を申し出る

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Facebookのファウンダー、CEOのマーク・ザッカーバーグは毎年野心的な「今年の目標」を設定するのを例としている。2016年の目標は自宅用のAIアシスタントを開発することだった。そのモデルは(少なくとも一部は)マーベル・コミックのヒーローでヒット映画にもなった『アイアンマン』に登場するコンピュータのJARVISだ。JARVISはアイアンマンことトニー・スタークが必要とする情報をたちどころに提供する。トニーが悪と闘いながらビジネス帝国を運営していくのに欠かせない存在だ。映画版でトニーのバーチャル・コンパニオン、JARVISの声は英国生まれの俳優ポール・ベタニーが担当していた。

面白いことに、ザッカーバーグ家の人工知能アシスタントの声はトニー・スターク自身が務めることになるかもしれない。ザッカーバーグが「AIの音声には誰がいいだろう?」とFacebookに投稿したところ、映画でトニー役を演じてきたロバート・ダウニー・Jr.が「自分がやってもいい」と申し出たのだ。

たちどころに多数のコメントがついてたいへん長いものになったが、もともとのFacebook投稿でザッカーバーグは「いよいよAIに声を持たせる時期になった」と書いた(つまり完成間近ということだろう)。ベタニー自身を推薦するコメントもあったが、当たり前過ぎてザッカーバーグの興味を引かなかった。本人がコメントで協力を申し出る前に別のコメントがロバート・ダウニー・Jr.を勧めており、これはザッカーバーグを喜ばせていた。

ダウニー・Jr.は申し出に条件を付けている。ベネディクト・カンバーバッチの最新作、ドクター・ストレンジに出演するベタニーに報酬を出し、カンバーバッチがチャリティーの寄付先を決めることだ。この映画はマーベル・コミックが原作のスーパーヒーローものでこの冬公開される。ちょっと分かりにくい条件だが、ダウニーは要するに「意義あるチャリティーに相応の寄付をするなら私が声をやってもいい」と言っているわけだろう。

今のところJARVISはザッカーバーグの個人的プロジェクトだが、近い将来、Facebookがこれを一般ユーザー向けに広く公開するのではないかという気がしてならない(Alexa/Siri/OK GoogleなどAIがひしめき合う中、Facebookもこの分野で早急に追いつく必要がある)。もしFacebookのAIの声がロバート・ダウニー・Jr.だったら競争上非常に有力なセールスポイントになりそうだ。

CNBC経由

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

VR特化の広告ネットワークを手がけるVRizeが資金調達、VR動画アプリ制作用CMSも提供へ

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8月にVRコンテンツ特化のアドネットワーク「VRize Ad」のクローズドベータテストを開始したVRize。同社が10月17日、B DASH VENTURES、Speeeを引受先とした第三者割当増資を実施したことを明らかにした。調達額や出資比率は非公開。VRizeはこれまでにTLM、East Venturesから資金を調達しているが、累計での資金調達額は数千万円後半になるという。同社はこの資金を元に開発体制の強化を図るとしている。

VRizeでは、今回の発表にあわせてVR動画アプリ制作環境の「VRize Video」を発表している。このVRize Videoはマルチプラットフォーム対応のVR動画アプリ制作用CMSで、作成したアプリでは360度動画の閲覧、VR空間内に設置した大型スクリーンによる2D動画の閲覧、ライブストリーミングの配信などが可能。解析機能も提供するとしている。VRizeにとっては、CMSにアップロードされる共通のフォーマットの素材でVR動画アプリを制作できるというコスト上のメリットもあるようだ。料金は問い合わせ。

VR特化のアドネットワークを提供するVRizeがVR動画アプリの制作環境までを提供する背景には、広告ネットワークの配信先を拡大するという意図があるようだ。VRize代表取締役の正田英之氏に聞いたところによると、VRize Adの発表以降、同社には問い合わせは多く来ているのだそう。だが一方で広告の配信先——すなわちVRのコンテンツ自体——はまだまだ多くないという状況。同社としては創業時からアドネットワークの提供とあわせてVRコンテンツの制作環境までを展開することを検討していたのだという。

「『VRize』という会社名のとおり、VRを普及させていくというミッションがベースにある。その実現のためにはマネタイズの手法を確立することと、優れたVR体験を提供するアプリ作りを支援するという2つが必要だと考えている。VRize Adは前者、VRize Videoは後者のソリューションに当たる」(正田氏)

クラウドワークスがCtoC型スキルマーケットプレイスに参入、11月15日に新サービス「WoWme」提供へ

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クラウドソーシングサービス「クラウドワークス」を手がけるクラウドワークス。これまではおもに企業と個人を繋ぐためのプラットフォームを提供してきた同社だが、今度はCtoC、個人間取引の領域に進出する。同社はCtoC型で知識や経験を売買するマーケットプレイス「WoWme(ワオミー)」の提供を11月15日より開始する。サービスのローンチに向けて10月17日より11月10日までユーザーの事前登録を実施する。

WoWmeでは、ユーザーが自らのスキルや知識、経験をサービスとして出品し、それを他のユーザーが購入することができるという、いわばスキルのマーケットプレイスだ。クラウドワークスでは「これまで仕事にするには時間や心理的ハードルが高いと思われた個人が有する『ちょっとした特技や趣味』で収入を得る機会創出の実現を目指す」としている。

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出品したサービスが売れた際にかかる販売手数料は当面無料。ただし電話を利用するようなサービス(占いや電話相談などのスキルを売るなど)の場合、1分50円のシステム利用料がかかる。またサービスの購入時には3%のシステム利用料が必要となる。また、事前登録期間内に出品登録を行えばサービスの価格を自由に設定可能だとしている。

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CtoC型サービスのマーケットプレイスと言えば、「ココナラ」や「TimeTicket」といったサービスが先行している。このタイミングでの参入の理由について、クラウドワークス取締役副社長の成田修造氏に尋ねたところ、「競合を意識したというよりは、クラウドワークスの中で試行錯誤する中で出てきたサービス」だと語る。

「(2016年の)年明けに個人が自分のスキルを売りたいニーズがあるかを検証するため『お仕事メニュー』という機能を作ったが、1カ月で1万件超の出品があり、クラウドワークスにいるプロフェッショナル層が個人の得意を売り買いするというコンセプト自体に可能性があると感じたのがきっかけ。それを昇華させた」

「あくまでクラウドワークスのビジョンである『働き方革命』という文脈の中で、企業のデマンドサイド主導のプラットフォームではなく個人のサプライサイド主導のプラットフォームを作ろうという点に立脚している。(クラウドワークスと)アプローチは違えど個人の生き方・働き方を大きく変えていく可能性があり、両方とも総契約額100億円を超える事業に成長させたいと考えている」(成田氏)

前述のとおり、事前登録すれば出品の価格は自由に設定できることもあり、今後は高単価な商品を集めていく方針。また、さまざまなジャンルですでにプロとして活躍している個人などもオフィシャルパートナーとして参加を促していく。さらに当面販売手数料を無料にすることで、総契約額の拡大に努めるとしている。

ところでクラウドワークスの直近の決算(2016年9月期第3四半期決算、2015年10月〜2016年6月の累計)を見ると、営業収益は9億円、営業利益は4億3400万円の赤字、経常利益は4億3300万円の赤字、純利益は4億7700万円の赤字となっている。

プラットフォームサービスが好調なことから8月に上方修正を発表しているが、具体的な黒字化のスケジュールについては明言しておらず、決算資料に短期目標として「総契約額100億円(での黒字化)」という数字が掲げられているのみ。果たしてWoWmeの提供がこの目標にどう寄与するのか?

「今回の事業は(総契約額)100億円への影響度についてはそこまで大きく無いと考えている。むしろその先の年間1000億円単位を想定した上で必要な戦略として立ち上げた事業だ」(成田氏)

米国運輸省、全フライトでGalaxy Note 7の機内持ち込みを禁止

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未だに続くSamsung Note 7物語の最新章で、米国運輸省はGalaxy Note 7の航空機への持ち込みを 正式に全面禁止した。この措置はNote 7の全機種が対象で、客室内への持ち込み、預かり荷物のいずれにも適用され、乗客が該当端末を身に着けて塔乗することもできない。規則は10月15日12 PM/ET から有効になる。

米国運輸省のAnthony Foxx長官は、持ち込み禁止を発表したプレスリリースで次のように語った。

これらの機種の持ち込みを禁止することで、一部の乗客に不便を強いることは理解しているが、塔乗者全員の安全が優先されなくてはならない。たとえ1件でも機内火災が起きれば、乗客に深刻な負傷のリスクをもたらし、多くの人々の命を危険に曝すことになるため、この決定に致った。

Galaxy Note 7に対しては、米国消費者製品安全委員会から正式にリコールが発行されているため、理論的に全Note 7所有者はいずれにせよ端末を返却しなくてはならない。しかし、この全面禁止令は、乗客がNote 7を航空機で輸送すらできないことを意味している(例えば、当初端末を購入した場所へも)。もし強行しようとすれば、罰金あるいは「刑事告発」の可能性もあると当局は言っている。

SamsungはNote 7の返却方法について顧客の要望にできる限り対応する。今回の禁止措置で窮地に置かれている人は、詳しい情報をリコールサポートサイトで見るか、カスタマーサポート(1-844-365-6197)に直接電話されたい。

持ち込み禁止は、今後機上でNote 7に関連する事故が起きないことを保証する、おそらく唯一の行動指針だ。先週サウスウェスト機で発火した交換品のNote 7は、発煙し客室のカーペットを溶かすに至った際、電源すら入っていなかった。今回の全面禁止はSamsungのブランドにとって大きなダメージであり、サブブランドとしてのNoteもこの試練に耐えられそうにない。

Samsung広報はこの禁止措置について、次の声明をTechCrunch宛に送った。

Samsungはキャリアー各社と共に、米国運輸省によるGalaxy Note 7端末全機種の機内持ち込みおよび預け荷物の禁止措置について、お客様への連絡に努めています。各航空会社に対しても、乗客に対して同様の告知をするよう要請しました。Galaxy Note 7の全所有者には、通信会社、販売店等で、今すぐNote 7返品・交換プログラムに協力していただくことをお願いいたします。ご不便をおかけいたしますが、安全を最優先させていることをご理解ください。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

URL1つで簡単カレンダー共有、「TimeTree」のJUBILEE WORKSが2.1億円を調達

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カレンダー共有アプリ「TimeTree」を提供するJUBILEE WORKSは、韓国Kakao Corp.の子会社であるK CUBE VENTURES Co.,Ltd.、西武しんきんキャピタル株式会社、東映アニメーション株式会社、SMBCベンチャーキャピタル株式会社ほか、国内外の投資家から総額2.1億円を調達したと本日発表した。これが同社にとって初の外部調達となる。

家族、恋人、同僚とかんたんにカレンダーを共有

JUBILEE WORKSが提供するカレンダーアプリのTimeTreeでは、家族や恋人、サークルの仲間などと簡単にスケジュールを共有することができる。アカウントの登録は不要で、チャットやメールを通してURLを送るだけでスケジュールの共有ができるのが特徴だ。また、1つのアプリで複数のカレンダーを持つことができるため、家族と共有するプライベート用カレンダー、同僚と共有する仕事用のカレンダーという形で使い分けることができる。アプリにはコメントや写真の投稿機能もあり、チャットアプリやメールを使わずに「この日はどこに行こうか?」などの予定の相談をすることも可能だ。

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JUBILEE WORKSの代表取締役である深川 泰斗氏に、Googleカレンダーなど他の予定管理アプリと比べたTimeTreeの独自性は何かと聞いたところ、「TimeTreeは開発段階から「共有すること」を前提に考えており、共有メンバーが予定を作成するとPUSH通知が届いたり、誰がいつ、そしてどの予定を更新したのかという履歴が残るなど、共有することに適した機能が整っています。また、Googleカレンダーではブラウザで複雑な設定をしないと共有ができないが、TimeTreeではURLをLINEやメールで送るだけで共有ができるという点も違いの一つ」だと話している。

海外メディアからも注目を集める

TimeTreeは2015年3月24日にサービスを公開後、2016年2月に100万ユーザーを獲得、同年8月には200万ユーザーを獲得するなど順調に成長を続けている。また、日本語や英語だけではなく、韓国語やロシア語など計13ヵ国語に対応しており、海外でもユーザー数を順調に伸ばしている。深川氏によれば、各国のアクティブユーザー数の割合は、日本が65%、台湾が10%、アメリカと韓国がそれぞれ5%、ドイツが4%、残りが中国、カナダ、香港、イギリス、フランスなどの国々だ。(「日本では家族や同僚とスゲジュール共有が多く、台湾やドイツでは恋人と共有する例が多い」と深川氏は話す)。

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「Fred」こと、代表取締役の深川氏

TimeTreeは海外のメディアからも注目を集めている。アメリカのスタートアップ系メディア、Product Hunt、LifeHackerロシア版などで同サービスが取り上げられ、フロリダ州の州議会議員から「便利に使っている」とメッセージを受け取ることもあったようだ。このような海外からの高い評価により、国内だけでなく、韓国やアメリカなど海外の投資家からの資金調達が可能になった。「我々が選んだ「時間」というテーマは、ある程度文化を問わず普遍性のあるものだと思っています」と深川氏は語る。

国際豊かなメンバーとユニークな企業文化

2014年に創業のJUBILEE WORKSのチームは現在18名で、韓国やシンガポール出身のメンバーもいる国際性豊なメンバーだ。また、同社では「ニックネーム制」を採用しており、代表取締役の深川氏は「Fred」、共同創業メンバーも「Frod」、「Stud」などと呼ばれ、社内では「社長」や「Fredさん」のように役職や敬称つきで呼ばれることはないという。このような企業カルチャーもJUBILEE WORKSの特徴の1つだろう。

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深川氏には保育園に通う子どもがおり、家族のあいだで「お迎えの交代を聞いてない」などのトラブルがあった。また、家族で週末どこに出かけるか考えているうちに、結局無駄に時間を過ごしてしまうこともあった。「必要な相手とあいだで必要な予定情報が見えるようになれば、このようなトラブルを解決できるのではないか」というアイデアから生まれたのがTimeTreeだ。

「Fred」率いるJUBILEE WORKSでは、今回調達した資金によってサービス強化のための人材確保とサービス拡大のための組織的実験を続けていくとしている。

PayPalがGoFundMeの買収を検討中か

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昨年eBayからスピンオフした巨大デジタルペイメント企業のPayPalと、クラウドファンディングビジネスの関係にはこれまでがあった。しかし、今後その関係性が変わることを示唆するような出来事がおきている。PayPalがGoFundMeの買収に興味を持っており、買収金額が10億ドルを越える可能性があるとの情報をTechCrunchは入手したのだ。GoFundMeは、真剣なものから気軽なものまで、さまざまなキャンペーンを扱っているクラウドファンディングプラットフォームを運営している。

両社の間で買収話がどこまで進んでいるかや、そもそもこの話が現在も行われているかについては明確ではない。

GoFundMe・Paypal共に、噂や推測に基いた質問にはコメントしないと話している。投資家など私たちが他に連絡をとった人たちも、本件についてはコメントしなかった。どうやらこの話は上層部でのみ行われているようだ。

2008年にサンディエゴで、Andrew BallesterとBrad Damphousseによって設立されたGoFundMeは、これまでに目覚ましい成長を遂げてきた。Kickstarter・Indiegogo・Tiltといった企業と競合している同社は、2015年に唯一と言ってもいい大型の資金調達を行った。調達額は不明だが、AccelとTechnology Crossover Venturesがリードインベスターとなり、Iconiq CapitalやGrelock、Meritechもラウンドに参加していた。さらにその1ヶ月後には、StripesもGoFundMeに投資していたことが分かった。

その際の契約の一環として、投資家が株式の過半数を保有し、ファウンダーのふたりは経営を担うポジションから外れることになった。そして、新たにAccelでベンチャーパートナーを務めるRob Solomonが同社のCEOとなり、GoFundMeのバリュエーションは約6億ドルに達した。当時GoFundMeは、毎月1億ドルにおよぶプラットフォーム上のさまざまなキャンペーンに集まった資金を決済し、年間300%の成長を遂げていると推測されていた。

PayPalにとって、クラウドファンディングサイトとの関係深化や、クラウドファンディング企業の買収というのは(驚きだとはしても)面白い展開だろう。

今年に入ってからPayPalは、クラウドファンディングプラットフォーム上での支払に対する購入保障(Purchase Protection)を取りやめた。同社とクラウドファンディングコミュニティの関係は不安定で、アカウントが凍結されたという有名な話もある。PayPalサイドが問題視しているのがリスク管理で、特にクラウドファンドの寄付者がお金を返してほしいと思ったときに、PayPalに返金義務があるかどうかという点だ。

GoFundMe上では、既にPayPalは支払手段のリストから消え、StripeとWePayの組合せに置き換わっている。この二社のサービスを使えば、利用者がデビット・クレジットカードを使ってキャンペーンページから直接資金提供でき、さらにGoFundMeも支払プロセスにもっと関われるようになると、同社は変更の理由について話す。

今月GoFundMeは、購入保障の問題を自分たちで解決することにし、寄付者と資金調達をしている人に対して、独自の限定保証制度を提供しだした。この保証のもとでは、キャンペーンに何か問題が生じた際に、寄付者と資金調達をしている人の両方が、1000ドルから2万5000ドルの保証を請求することができる。なお、現状この保障制度はアメリカとカナダでしか利用できない。

しかしPayPalがクラウドファンディングに再び目を向け、もしかしたらこれまでよりも深く、真剣に関わってかもしれないのには理由がある。

まずGoFundMeは、利用者の目標や成果に対する資金を集めることに注力しており、キャンペーンの内容や資金使途については物議をかもすことがあったものの、寛容さや善意をもった人を惹きつける力を持った強力なプラットフォームだ。利用者からの人気も高く、”お金の印刷工場”と例えられることもあったほどだ。

また、PayPalは買収後もGoFundMeを別会社として存続させることができる。もっと戦略的なスタイルをとるとすれば、GoFundMeはPayPalの既存ビジネスを上手く補完できる力をもっている。既存ビジネスの例としては、現在も続いているeBayへのペイメントサービスの提供や、オフラインでの支払、Braintreeを経由したサードパーティーアプリでの支払、P2Pペイメントなどが挙げられる。

大人気のクラウドファンディングプラットフォームと連携すれば、PayPalは決済数を伸ばすための新たなチャンネルが獲得できる上、大量の新しいユーザーを呼ぶこむことができるかもしれない。

読者の方は恐らくFacebookのニュースフィード上で、感動的なものから趣味の悪い変なものまで、既にたくさんのGoFundMeキャンペーンを見たことがあろうだろう。GoFundMeによれば、すべてのキャンペーンを合わせると、2015年5月までに2500万人の寄付者から合計20億ドルが提供された。

他の商業プラットフォームと同様、GoFundMeは決済金額の5%を手数料として設定しており、その他にも少額のサービス料から収益をあげている。サイトは基本的にSNSのような形で運営されており、(現時点では)社外のペイメントプロバイダーを利用していることから、諸経費は低く抑えられている。このようなビジネスの粗利益はとても大きい可能性が高い。

そしてGoFundMeはPayPalと統合されることで、もっとその価値を高めることができるかもしれない。

追加レポート:Katie Roof

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

数ヶ月以内にGoogleはインデックスを分割する。モバイルユーザーにより良く、新鮮なコンテンツを届けるためだ。

以前からアイデアとしては聞かれていたものが、現実となりそうです。先日のPubcon(アメリカのラスベガスで開催されるWebマーケティングの大規模カンファレンス)にて、Googleのゲイリー・イリェーシュ氏がモバイル版のインデックスの情報を伝えたようです。”Mobile First Index”と呼ばれているようですが、詳細な内容も開始時期も明らかにしておりません。しかし、実際にその仕組が動く段階になれば、Googleが公式に発表するとも明言しています。そのため、何か対応を急ぐというよりも、Googleからの情報を待ちたいところですが、今後の情報については注意して収集していきたいと思います。– SEO Japan

現在のところ、Googleは検索に使用するためのインデックスを1種類しか持っていない。Googleのゲイリー・イリェーシュ氏は、モバイル検索用にインデックスを分離するプランを公表し、そして、そのインデックスが主要なものとなるようだ。

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Googleは数ヶ月以内に、モバイル用にインデックスを分割する予定だ。今後はこのインデックスが、検索エンジンがクエリへの返答に使うための、主要なインデックスとなるようだ。デスクトップ用のインデックスはそのまま保持されるが、モバイル用のインデックスほど更新されない(最新のものとならない)とされている。

このニュースは、本日行われたPubconで、GoogleのWebマスタートレンドアナリストである、ゲイリー・イリェーシュ氏のキーノートにて発表された。ゲイリー氏は、この件についてのスケジュールは言及していなかったが、Search Engine Landが後に問い合わせたところ、”数ヶ月”以内に起こりうることを認めた。

Googleはモバイル版のインデックスの考えに基づいた実験を行っていることを、昨年のSMX Eastで発表している。以降、Googleはモバイル版のインデックスは理にかなったものであり、この考えを進めていくことを決定したようだ。

この、モバイル版のインデックスがどのような仕組みになるのか、実際には不明点が多い。例えば、モバイル版のインデックスが”主要”となるようだが、デスクトップのクエリには使用されないのだろうか?モバイル版のインデックスには、”モバイルフレンドリー”のコンテンツしか含まれないのか?デスクトップ版のインデックスはどの位の頻度で更新されるのか?デスクトップの使用は、Googleのクエリの中の少数派となっているが、それでもその使用量は大きいはずだ。

最も重要な変更は、モバイル用にインデックスを分割することにより、Googleは、モバイルのランキングを決定するためにデスクトップのコンテンツからデータを引き出している既存のシステムと比べ、”純粋な”モバイルコンテンツにおける(既存のシステムとは)異なった方法でランキングアルゴリズムを用いることができるようになる、という点であろう。

ゲイリー氏によるキーノートの参加者のツイートをたどればその内容が垣間見えることになるが、それでも全てが明らかになるというわけではない。

【画像内和訳】
Googleはモバイル用にインデックスを分割しようとしており、今後はこれが主要となる。デスクトップ版のインデックスは2次的なものとなり、更新頻度も下がる。

【画像内和訳】
モバイルサイトはデスクトップサイトと比べそれほど大きくないため、モバイル・ファースト・インデックスは多くのことに変化を与えるだろう。

【画像内和訳】
モバイル版インデックスは主要に、デスクトップ版インデックスは2次的なものに。自身のサイトのモバイルページとデスクトップページの大きな違いは何かを考えよう。

【画像内和訳】
Googleはデスクトップ版のインデックスを継続して保持する。モバイル版のインデックスほど更新されないようになるだけだ。

【画像内和訳】
サイズを考慮し、モバイルページからコンテンツと構造化データを除去しているサイトはある。

【画像内和訳】
モバイルページのコンテンツがデスクトップページのコンテンツと同一である場合は、問題はないだろう。

【画像内和訳】
モバイルにおいて、リンク数は少ない。単語も不足している。モバイルデバイスにはそれほど多くのコンテンツを載せないのだ。

【画像内和訳】
ゲイリー氏が”tokens(しるし)”と述べる場合、ページ内の言葉を指す場合が多い。

我々はGoogleに詳細を尋ねているが、詳細が明らかになるのはその変更が行われる時であろう。今後数ヶ月は待たされることになりそうだ。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「Within months, Google to divide its index, giving mobile users better & fresher content」を翻訳した内容です。


モバイル版のインデックスの構想については度々聞かれていましたが、実現するには色々と難しいという話しも聞いていました。今回、ゲイリー氏の口から、明確なプロジェクトについての言及がありましたが、これについては近い将来確実に実現すると考えたほうが良さそうですね。Webサイト側が何をすべきなのかが明らかになっていませんが、早めの報告を行うことで「心構えを持っておけ」、というメッセージかもしれません。モバイルフレンドリー・アルゴリズムの時もそうでしたが、細かい情報が徐々に明らかになる可能性もあるので、SEO Japanとしても注意して情報を集めたいと思います。– SEO Japan

Googleは事実確認タグを導入した、Facebookよ次は君の番だ

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先日Googleは、Google Newsにfact check(事実確認)タグを導入すると発表した。ニュースアイテムの隣に、事実に基づいた情報を含む記事を表示することが目的である。ということで、いまやFacebookにとっても、事実確認は真剣に取り組むべき課題になった。

Facebookは、現代の新聞であるという役割に足を踏み入れている:つまり、そこはサイトを訪れる人たちに膨大なニュースを選択して表示する目的地の1つなのだ。その通り。そうしたニュースは、個人的な写真、動画、ステータスの更新、および広告に埋もれて表示されているが、それでもFacebookは米国成人の約半数がニュースを得る場所なのだ。

ということで、Facebookには、このオーディエンスに対して何が本当にニュースなのかを知らせる際に、もの事をより良く行う責務がある:噂やデマ、そして陰謀説とは対照的に、何が事実確認済みなのか、報告されたのか、検証されたのか、正当なニュースなのかを伝える責務が。

Facebookが、公平性を保つ努力の中で、読者に何がトレンド(現在「トレンド」機能は英語インターフェイスの場合のみに表示されている)かをサイト上で知らせる基準を、アルゴリズムだけに従うことを決めて、人間のニュース編集者を解雇したことは解決になっていない。それ以来、週の初めにリリースされたワシントンポストのレポートによれば、Facebookは繰り返し偽のニュース記事をトレンドとして表示するようになっている。

同報道機関が、8月31日から9月22日までの平日に4アカウント全体にわたって全てのニュース記事を追跡したところ、Facebookは5本の「議論の余地なく偽物の記事」と「あまりにも不正確な記事」をトレンドとして掲載した。そしてそれは恒常的に、プレスリリース、ブログ投稿、およびiTunesなどのオンラインストアへのリンクも掲載していた – 言い換えれば、ニュースサイトを指していない「トレンド」だったということだ。

Facebookが9月に発表したのは、トレンドトピックの中の偽のストーリーに対する対抗技術を展開するというものだったが、明らかにそれはまだ展開されてはいないようだ ‐ あるいはそのテクノロジーは、やるべき仕事をこなせるレベルには達していないということか。

いずれにしても、Facebookはより良く行う必要がある。

同社にとってそのニュースフィードへの明らかなデマの出現を単に減らすだけでは十分ではない – サイト上で回覧される友人や家族による他の人達による沢山の投稿が、タイムラインを直接訪れれば見ることが出来るからだ。

さらに、より多くのアイテムが共有されるほど、それらが口コミ(バイラル)として広まってしまう可能性が増える。そして口コミのニュースは、トレンドニュースとなり、その地域内のすべてのFacebookのユーザーに表示されることになる。

これは重要なことだ。Facebookは、爆弾の敷設も含み9/11は内部犯行だったという説を、タブロイドニュースソースからトレンドへ取り込んだ。またFox NewsアンカーのMegyn Kellyについての偽ストーリーも流した。彼女が解雇されたというニュースである。これらはミスではない:意図的な虚偽なのだ。

Facebookは、上記の件について謝罪したが、偽のニュースのプラットフォームへの掲載が続いているという、ワシントンポストの新しい発見に関してはコメントを拒否した。

それに加えて、Facebookはそのトレンドニュースリンクの検証で失敗しているだけでなく、そのサイトを埋めているリンクに警告を設定する方法も持っていない。

トレンドニュースの外では、Facebookは相変わらず、不正確で不十分なソースの、あるいは完全に偽であるニュース、噂そしてデマで埋め続けられている。たぶん、ニュースフィードではそうしたものを見ることは少ないかもしれないが、イカれた友人があなたの投稿に、良く知られたデマサイトへのリンクをまるでニュースのようにコメントとして貼り付けることを防ぐことはできない。何のタグやラベルもなく、彼らは事実を共有しているつもりなのだ。

一方、自分自身の投稿に対してコメントを禁止する手段も提供されていない、たとえその中に「性的暴行の被害者は嘘つきである」といったものが含まれていたとしても(例えば、最近のこうしたストーリーとか)。

なぜならば、たとえそれがユーザーのトラウマの記憶を呼び起こすものだということを意味しているとしても、Facebookはサイトへの再訪を促す1つのメカニズムを変えるという考えを放棄しているからだ。

事実確認済み記事に基づいた記事と、擁護団体が資金を提供しているウェブサイトからの記事の間には違いがあるPolitifact(有名な事実確認サイト)と無名の個人ブログの間には違いがあるのだ。それでもFacebookは両者を公平に表示する:ヘッドライン、写真、概要テキストといった具合だ。

もちろん、こうした対処は単にソーシャルネットワーキングに注力してメディアビジネスに参入するために広告を売りたいだけの1企業にとっては難しいことだろう ‐ それが、Facebookが大声で「自分たちはメディア企業ではない」と言い立てる理由なのだが。

しかしもうそれは「メディア」なのだ。それが望んでいるかどうかにかかわらず、もうその役割を提供している。

少なくともGoogleは打席に立ち、解決策の発見に務めている。今度はFacebookの番だ。

Facebookは意図することなくメディアになっただけなのだろう、しかしそれはもうメディアそのものなのだ。そして、今は酷い仕事をしている。

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(翻訳:Sako)

AIが引き起こす破壊の波

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【編集部注】著者のRudina Seseri氏は、Glasswing Venturesの創業者でマネージング・パートナーであり、かつハーバード・ビジネス・スクールのアントレプレナー・イン・レジデンスと、ハーバード大学イノベーション・ラボのエグゼクティブ・イン・レジデンスも務める。

情報技術はディストラプション(破壊)の波を超えて進化する。最初はコンピューター、そしてウェブ、遂にはソーシャルネットワークとスマートフォン、全てが人びとの生き方や、ビジネスの回し方に革命を起こす力を持っていた。それらは適応に失敗した企業を破壊し、一方では成長するマーケットの新しい勝者を生み出して来た。

そうした波の到来のタイミングと形を正確に予測することは困難だが、それらがたどるパターンは認識しやすい。例えば、ウェブ/デジタルのディストラプションを考えてみよう:まず先行するテクノロジー(例えばTCP/IPや設置済のコンピューター群)の利点を活かした、テクノロジーのブレイクスルーがあり(例えばTim Berners-LeeのWWW)、そして一見緩やかに見えながら、実は爆発的に、既存の市場を破壊したり(例えばAmazon)創造したり(例えばGoogle)する、新しいアプリケーションとプラットフォームの勃興が導かれた。

そして今、新しい波のうねりが見え始めている。ウェブが既存の技術を利用したことと同様に、この新しい波は、コンピューティングハードウェアのコストの低下、クラウドの出現、企業システムのコンシューマライゼーション(専用機器ではなく消費者向けデバイスを利用すること)、そしてもちろん、モバイル革命などの動向に基いている。

更にスマートデバイスと「モノ」の急増と多様化は、定常的なコミュニケーションと共有を可能にし、一方ソーシャルネットワーキングネイティブたち(世界のSnapchatユーザーは団結する!)は常時共有と自己表現を「必需品」としている。この結果が、私たちが普遍接続性(pervasive connectivity)として作り出したものの出現だ。

普遍接続性はこれまで以上に豊かでパーソナライズされたデータの急増につながる、そしてそのことはデータを処理し、価値があり操作可能な洞察を引き出す方法への、完全に新しい機会を生み出すのだ。人工知能が、まさにそれを可能にする。

AIのもたらす機会 – なぜ今なのか、どうそれを活用するのか

AIは、より広い意味では、知性を発揮する機械の能力として定義され、ここ数年で劇的に改善された、学習、推論、プランニング、そして知覚といった、いくつかのコンポーネントで構成される。

機械学習(ML)は顕著なブレークスルーを達成し、それによりAIコンポーネント全体にわたるパフォーマンスの向上が促進された。こうしたことに最も貢献しているMLの2つの流れは、理解に関わる深層学習(ディープラーニング)と、特に意思決定に関わる強化学習(リインフォースラーニング)だ。

興味深いことだが、これらの進歩はアルゴリズムではなく、むしろ(高品質な注釈付の)データ(セット)の指数関数的成長によって促進されたことはほぼ間違いないだろう 。その結果は驚くべきものだ:ますます複雑になるタスクに対してしばしば人間のパフォーマンスを上回るよい結果が継続的に達成されている(例えばゲーム音声認識、そして画像認識の分野で)。

とはいえ、それはまだ黎明期であり、いくつかの課題が残されている:ほとんどのブレークスルーは「狭い」アプリケーションの領域で起きているものであり、(作成には高いコストのかかる)大量のラベル付データセットが必要な訓練手法を使っている。ほどんどのアルゴリズムは(いまでも単に)人間以下の能力を発揮できているのに過ぎず、その訓練にはかなりのコンピューティングリソースを必要とし、大部分のアプローチが理論的フレームワークを欠いた発見的手法に基いている。

AIは、既に自宅と職場の両方で、私たちの日常生活の多くの側面を変えている。しかし、これはほんの始まりに過ぎない。

これらの課題の多くは、おそらく中長期的には克服されるが、今日作成されている大部分のAI応用プロダクトは、こうしたことを考慮して置かなければならない。これが、AIを活用することを計画している企業が以下の事に気を配ることが重要である理由だ:柔軟なアプローチをとること(すなわち、最初は、良いパフォーマンスを出すためのMLアルゴリズム訓練データを集めることができるか、あるいは非AIアプローチをとるか)、(AI機能を開発しその性能を促進するための)「ラベル付けられたデータ」をユーザーから集める連続的な情報の流れを作り出すこと、そして十分に支援されていない、あるいは「人間が介在している」ユースケースに注力することだ。

現在多くの注目は、大規模テクノロジー企業(Google/DeepMindFacebookPinterestなど)に向けられているが、わたしはこの(もしくはこれに類似した)アプローチを使って、企業と消費者市場にAIディストラプションの波を起こすのは、スタートアップたちだろうと考えている。そして、既にいくつかのスタートアップはそれを始めているのだ。

企業内のAIディストラプション

企業内でAIは、企業が消費者とインタラクトするための新しい方法や、従業員同士が相互にコミュニケーションするための新しい方法、そしてそのITシステムと共に、より大きな収益と生産性の向上の両者を促進している。

マーケティングは、新技術の典型的なアーリーアダプターであり、それは既にAIを採用していて、セクター全体にわたって高い認識とコンバージョン指標が育っている。ソーシャルメディアでは、SocialFlow*などの企業が、キャンペーンの効果を向上させるための機械学習の使用を開拓してきている。ディープラーニングによって支えられる新しい画像認識技術は、Netraのようなスタートアップが、視覚に対する知性と検索性の改善をすることを可能とし、ユーザーエクスペリエンス全体を向上させている。電子商取引では、Infinite Analyticsが、より良いパーソナライゼーションを可能にするプロダクト群を作成することができている。

セールス分野では、営業チーム/見込み客とCRMの間のUIを再考した新しいプロダクトが、効率を大いに改善し、成約率を向上させている。Troops.aiは、セールスチームが現在自身の使っているプラットフォームを通して、CRMデータに簡単にアクセスすることを可能にする。Rollioは自然言語を介したCRM情報のアクセスおよび更新を可能にする。Conversicaは、より良いスクリーニングを行い、見込み客をフォローアップできる、セールスアシスタントを作成した。

普遍接続性の世界では、AIがデータのパワーを活用するための鍵である。

人事分野では、スタートアップは様々な活動にわたった効果と効率性の改善を行おうとしている。Tallaは、企業内のナレッジマネジメントの改革を目指している。一見単純な会話エージェントから始めて、最終的には本格的で先回りを行うナレッジエージェントへと向かうのだ。Wade & Wendyは採用時に使用するための両面会話エージェントを作った、目的は向かい合う両者の満足度のレベルを上げながら、全体の採用時間を短縮することである。

生産性という話では、x.aiのような企業たちが、スケジューリングに際しての苦痛を大幅に取り除き、シームレスなユーザーエクスペリエンスを生み出そうと努力している。

最後に、部門をまたがるアプリケーションを擁する広範なプラットフォームを作っている企業もある:Indicoは、アプリケーション間をまたがったアルゴリズムの訓練をかなり高速に行うために、学習転送を使っている;Receptivitiは、人びとのテキストやボイスメッセージを解析して、彼らの心理的かつ個人的な意思決定スタイルと感情をリアルタイムに明らかにする。

消費者市場におけるAIディストラプション

消費者市場で、おそらく最も私を興奮させるものは、AIが新しいプラットフォームを創造し、日々の生活の中の重要な空間で私たちが技術と対話する方法を再定義していくやり方である。

そのような重要な空間の1つが家だ。Jibo*は家庭の変革を目指す、フレンドリーでインテリジェントなソーシャルロボットだ。よりよいユーザーエクスペリエンスを生み出すために、それは人間臭いリアクションを採用している。一方、幅広いタスクにとても役に立つ働きをする、誰が話しているかによって調整を自動的に行うインテリジェントビデオコールから、料理をする際の材料の提案、そして子供向けの読み聞かせの手伝いまで、といった具合だ。

また別の重要な空間は車だ。nuTonomyはシンガポールにおける自動運転の導入で、テクノロジーを迅速に市場に持ち込み、現行勢力を飛び越えることができたスタートアップの良い例だ。

そしてどうなる?

ほとんどの人が、AIの仮説上の発展の、長期的な可能性と脅威に焦点を当てているが、いまのところ、新しいディスラプションの波を促しているのは、経験則に基づく、限界のある適用形態である。これまでの波のように、この変化は微妙で最小のもののように見えるが、ほどなくそれはひろく普及し、無視することができないものになる。

普遍接続性の世界では、AIがデータのパワーを活用するための鍵である。企業が生き残るためにはAIの利点を活かす必要がある ‐ Google、Facebook、Amazon、そして無数のスタートアップはそれを知っている。そして、あなたも知るべきなのだ。

AIは、既に自宅と職場の両方で、私たちの日常生活の多くの側面を変えている。しかし、これはほんの始まりに過ぎない。AIは、ゆっくりと、着実に、そして広範囲に、私たちとテクノロジーの関係を再定義している。そして人間の能力と、基本的には私たちの生き方を、向上させているのだ。

*Rudina Seseriの投資ポートフォリオには、SocialFlowとJiboが含まれている。

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(翻訳:Sako)

SalesforceがTwitter買収の可能性を正式に否定

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Salesforceは今回の件をハッキリさせたかった。「NO」、SalesforceはTwitterを買収しない。Salesforce CEOのMarc Benioffは、FTとのインタビューのなかでTwitter買収の可能性を正式に否定した。

「私たちは今回の件から手を引くことにしました。TwitterはSalesforceのビジネスにフィットしないのです」とBenioffはFTに語っている。明確な答えを求める人たちにとって、これほどハッキリとした発言はないだろう。

2週間前、Twitterを買収すると噂されていた企業たちは皆こぞってTwitterの買収にまったく興味がないことを明らかにした。もはや、Google、Apple、DisneyはTwitterを買収したいとは思っていない。そして残ったのはただ1つ、Salesforceだけだったのだ。

今回の騒動を利用して買収金額を引き下げることもできたはずだが、それを選ぶことはなかった。Benioffは集まった投資家たちを前に、TwitterはSalesforceのビジネスにフィットしないとすでに発言している。それだけでなく、「Jack(Dorsey)の幸運を祈る」とも最後に言い残している。

だが、BenioffがTwitterの買収にとても乗り気だと考えていた人も多い。何があったのだろうか?Salesforceの筆頭株主であるFidelity Investmentsはこの案件に反対していた。Salesforceの株式全体の14%をFidelityが保有していることを考えれば、株主総会でTwitter買収の承認を得ることは難しかったはずだ。Benioffにとって、これがもっとも賢い選択だったのだろう。

FTとのインタビューの後、Twitterの株価がまた暴落している。記事執筆時点での株価は前日比6.86%安の16.57ドルとなっている。時価総額は116億ドルだ。

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[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

スマートウォッチを完全に片手だけで操作するという難問に挑戦したダートマス大学のWristWhirlプロジェクト

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おかしいよね、スマートウォッチはスマートフォンよりもアクセス性が良いはずなのに、後者が片手で操作できるのにウォッチは両手を使う。幸いにも、ダートマス大学の研究者たちがこの問題に挑戦し、手首をジョイスティックのように使って、スマートウォッチを片手で使う方法を発明した。

それはとてもハッキングなプロジェクトで、Apple Watchの上でお行儀よく動くアプリではない。Xing-Dong Yangと彼の同僚たちはまず、ディスプレイが2インチのスマートウォッチを特製し、その腕輪に、赤外線近接センサーを1ダースつけた(下図)。そのWristWhirlと名付けた製品のプロトタイプはまだ、下図のように、あらゆる部品をガムテープでとめてある。

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近接センサーは、ユーザーの手の各部分がどれだけ離れているかをモニタし、その情報を総合してユーザーの手首の位置を判断する。そのデータが即、ウォッチに送られて、仮想カーソルを動かす。たとえば手を下に振ると、カーソルも下に行く。

一定のパターンで手を振ると、アプリを立ち上げたり切り替えたり、ゲームでスクロールアップ/ダウンしたり、それらを完全に片手だけで行う。しかもユーザーのジェスチャーは、ユーザーが望んだときだけ検出する。別のセンサーが親指と人差し指を鳴らした音を聞き取り、ジェスチャーの認識機能をon/offするのだ。

スマートウォッチにはジャイロや加速度計がすでにあるが、地図をズームしたいときにはウォッチを振るなど、かなりぎごちない。WristWhirlを実際に見たら、なおさら不満に思うだろう。

手首を振りながらウォッチを見ていると、変人と思われるだろうか? 思われる。でも、そんな傍観者もすぐに、この入力方式の便利さを理解し、やがて、だれもがふつうと思うようになるだろう。Bluetoothのヘッドセットも、最初は、それを使って話している人が変人に見えたものだ(今でもかなりそうだけど)。

大きな買い物を抱(かか)えていたりして、両手でスマートウォッチを使えないことを、不満に思わない人は少なくない(こんなおそろしいビデオもあるけどね)。しかしそれでも、こいつはお利口なソリューションだ。現状の姿はまるで時限爆弾みたいだけど、そのうち、見るに耐える形になるだろう。そして、もっとすっきりした形になったら、多くのデベロッパーが絶対に関心を示す。そんな、とても未来的なプロジェクトなのだ。

Yongと共著者のJun Gongが、来週行われる、ユーザーインタフェイス技術に関するACMのシンポジウムでプレゼンを行う。彼らのペーパーは、ここにある

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

AWSはVMwareとのパートナーシップでさらにリッチになる、ハイブリッドに本格進出

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VMwareは今年これまでに、MicrosoftGoogleIBMなどとパートナーして、ハイブリッドクラウド路線を強化してきたが、しかしなんと言っても、最大の話題になったのは、今週結ばれたAWSとのパートナーシップだ。

クラウドインフラストラクチャ(IaaS)の市場は現在、AWSのシェアが約1/3、残りがその他、という構造だ。Microsoftが約10%で次位につけている。上述のように、VMwareはメジャーな選手たちの多くと契約を交わしてきたが、AWSとの提携はクラウド市場でAWSがさらに力をつけることになる、という意味でも重要だ。

これまでのSE/ITベンダの多くが、MicrosoftやIBMと組んでハイブリッド方式を推進してきた。それは、大企業はレガシーのハードウェアやソフトウェアを多く抱えているから、外部クラウドへの完全な移行は無理、という理屈からだ。彼らの顧客ベースの現状を見るかぎり、それも当然と言える。

一方AWSは、未来はクラウドにあると主張し、顧客の選り好みはしないけれど、クラウドへ移行する企業や、最初からクラウドの企業を重視してきた。AWSはこのような、クラウド(パブリッククラウド)優先の姿勢を貫いて、今年は115億ドルの売上を達成した

しかしVMwareは、大手ITベンダーたちとの戦略的パートナーシップを重ねつつも、クラウド市場では苦戦していた。VMwareは、ほとんどすべてのデータセンターで使われていることを、誇りにしている。サーバーの仮想化といえば、今も今後もVMwareだ。しかしそれは、データセンターが主役の世界でうまくいっても、世界は今急速に変わりつつある。

VMwareがやってきたのは、単一のサーバーを複数の仮想マシンに分割して、リソースの利用効率を大幅に上げることだった。サーバーが高価だった2000年代の初期には、効率化が絶対的な目標であるITにとって、VMwareはとてもグレートな技術だった。

そんな状況を、クラウドは完全に変えた。仮想マシンはクラウド上にあるので、ユーザー企業はつねに、必要最小限のリソースだけを使えばよい。費用も単純に、使用するリソースの量に比例する。計算機資源を必要に応じて柔軟に増減できるこの方式は、データセンターモデルとVMwareが持っていたアドバンテージを、消し去った。

サーバー効率化の旗手だったVMwareの仮想マシンは、ハードウェアの量や性能によって増設に限界がある。しかもハードウェアとしてのサーバーは、簡単には増設できない。どの企業にも厳しい調達手順があるから、買って設置して動くようになるまで、数週間とか数か月かかる。しかしクラウドなら、必要になったその日に仮想マシンの新しいインスタンスを立ち上げられる。しかも、多くの場合、自動的に。

実際にはVMwareは、2010年ごろにクラウドを試行したことがある。その初期的なPaaSの試行はVMforceと呼ばれ、Salesforceが使う予定だった。そのころ同社は、パートナーシップにも色気を示し、Googleと組むことによって、新興勢力のMicrosoft Azureに対抗しようとした

同社は2013年にもハイブリッドクラウドをトライし、vCloud Hybrid Serviceというものを立ち上げた。オープンソースのプライベートクラウドプラットホームCloudFoundryも最初は同社が立ち上げ、その後Pivotalに移籍した。PivotalはEMC, VMwareおよびGEから2012年にスピンアウトした企業だ

しかし、AWS, Google, MicrosoftそしてIBMとの競合の中では、これらの試みはどれも成功せず、VMwareは群れを抜け出すことができなかった。そして、今日に行き着く。同社はハイブリッドモデルに新しいやり方で再び挑戦し、かつてのコンペティターたちと今や必死でパートナーしようとしている。

AWSとのパートナーシップがこれまでのパートナーシップと違うのは、AWSが市場のトップ企業であり、何度も失敗してきたVMwareのクラウドビジネスを、そしておそらくVMwareのビジネスの全体を、救出できることだ。

AWSとしては、これまで同社では影が薄かったハイブリッドクラウドに本格的に手を出せる。そうなるとMicrosoftやIBMの主力市場にも接近でき、マーケットシェアをさらに伸ばせるかもしれない。

人びとが騒ぐのは、これがVMwareにとってずば抜けて大きなパートナーシップであり、そしてAWSにとっては、そう、お金持ちがさらにお金持ちになれる路線だからだ。競合他社は、自分たちのテリトリーにAWSが侵入してきたと感じて、かなりナーバスになっているだろう。しかもよく見ると、その馬にはVMwareも乗っているではないか!

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

野球のピッチャーの肘や腕の酷使を検出し、手術以前に対策できるスポーツ・ウェアラブルZiel

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最近の数年間では、野球のプロからアマまでのあらゆるレベルで、トミー・ジョン手術(Tommy John Surgery)の施術件数が急増している。投手の内側側副靭帯を再建するこの手術は、昨シーズン発表された数字によると、メジャーリーグの現役ピッチャーの約1/4が行っており、マイナーリーグや大学野球、そして高校野球の選手でも、大きな問題になっている。

その問題とは? ピッチャーは、若いときから体を酷使する労働であること、だ。

Ziel、Google翻訳によるとドイツ語で“狙(ねら)い”を意味するこの製品を創ったのは、ライス大学(Rice University)の学生チームだ。それは投手が装着する袖カバー(上図)で、センサーの配列が動きを捉え、その計測数値により、選手とコーチに、大事に至る前の警告を提供する。

同社は数多くのプロトタイプをこれまで試作してきたが、今では完成製品M2スリーブユニット(sleeve unit)を2018年には発売できることを、目標にしている。Engadgetの記事によると、最初のバージョンは初めに高校をターゲットにする。それは、問題のある投球を早めに見つけ、その問題を蕾(つぼみ)のうちに摘み取るためだ。

このスリーブユニットは250ドルとかなり高く、またそのデータを分析して結果を報告するソフトウェアは、月額10ドルの料金を払う。たしかに、一見安くはないけど、でもトミー・ジョン手術を受けることに比べればとっても安い。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

モバイル・マーケティングのmParticleが1750万ドルを調達

本日、モバイル・マーケティングのmParticleがシリーズBにて1750万ドルを調達したことを発表した。

ニューヨークを拠点とする同社が展開するのは、マーケッターが各種Webサービスからユーザー・データを集め、そのデータを他のマーケティング分析ツールに落しこむとができるというサービスだ。共同創業者兼CEOのMichael Katzは、複数のツールを統合するうえで生じる問題や技術的な問題をこのサービスによって解決できるだけでなく、より統一されたユーザーの全体像を把握することが可能になると話す。

既存のタグマネジメントやデータマネジメント・ツールとの違いについて、Katzは「今私たちが住んでいるのは、消費者が企業とマルチスクリーンに交流する時代です。そして、モバイル・ファーストかつアプリ中心の時代です。昨日私たちがマーケットに送り出したツールを利用すれば、その時代ならではの問題を解決することができ、このツールがなければマルチスクリーン・アプリの環境に適応するのが困難になるか、もしくは、まったく適応できないということになりかねないでしょう」。

今回のラウンドはBain Capitalによってリードされ、Social Capital(今年はじめにmParticleが1500万ドルを調達したシリーズAのリード投資家)も出資に参加している。

mParticleによれば、同社サービスでは毎月10億人のモバイルユーザーに関するデータを管理しており、Jet、Hulu、Foursquare、Postmates、Chick-Fil-Aなどの企業が新たに同サービスを利用し始めたという。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Appleが日本にもR&Dセンターを開設、建物の完成は年内か

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Appleは今、R&Dの拡大に力を入れている。過去数か月で発表された新設のR&Dセンターは数知れず、同社の研究開発費は急増している新華社の報道によると、AppleのCEO Timは、最近の東京訪問時に、日本に新たなセンターを開設する計画だ、と発表した。

日本の新しいR&Dセンターの話は、これが初めてではない。以前の報道は、Appleが2016年または2017年をめどに新たなR&Dセンターを建築中、と述べている。

Cookは日本の総理大臣Shinzo Abeと会談して、Appleと日本に関するあらゆることを議論した。その後の記者会見で、官房長官Yoshihide Sugaが、AppleのR&Dセンターは12月に落成する、と報告した。

横浜に作られるそのR&Dセンターは、Panasonicの工場として使われていた建物を、Appleが入手して改築し、R&Dセンターとして使うことにしたものだ。

これにより、日本人の優秀な技術者を雇用しやすくなるが、彼らの担当部門はまだ不明だ。

Appleは今後、日本だけでなく、深圳やイスラエル、イギリス、フランス、スウェーデンなどにも新しいR&Dセンターを作る予定だ。これからは、Appleのどの製品にも、“designed by Apple in Cupertino and many other countries”(クパチーノとそのほかの多くの国々で設計された)、と表示されるのだろう。

出典: Apple Insider

〔訳注: 業界ではすでに周知の横浜綱島の建物の件が、Cookと総理の会談を機に、一般のニュースのレベルでも取り上げられるようになった、ということのよう。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

返品代金の即日返還サービスReturnlyが320万ドルを調達

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オンラインで買った物を返品するという行為は、本質的に顧客の不満足を表すものだ。しかし一部の賢いショップオーナたちはある事を学んだ。それは、返品の要望に対して守りに入ってしまうのではなく、逆にその不満足さの表現を広い心で受け入れた方が良いのだということだ。なぜなら、スムーズに返品プロセスを完了させることができれば、その不幸な出来事のあとに顧客がリピーターになってくれる可能性が高いことが分かったからだ。

サンフランシスコ北部の街を拠点とするReturnlyは、返品にともなって顧客とショップとの間に張り詰める緊張の糸をほぐしてくれるスタートアップだ。創業者兼CEOのEduardo Vilarが目指すのは、データの力を駆使することで返品によって一度失った収入をもう一度ショップの元に戻すことなのだ。

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Returnly創業者のEduardo Vilar。サンフランシスコのミッション地区にて。

それを実現するため、Returnlyはショップと消費者との間に立ち、よりスムーズな返品プロセスを提供している。それは、商品を返品してから代金が返還されるまでの恐ろしい待ち時間を省略するというサービスだ。

先日、同社はシードラウンドにて320万ドルの調達に成功した。リード投資家はIndex Venturesが務め、他にもSV Angel、FJ Labs、Mundiventures、そしてエンジェル投資家のAriel Polerも出資に参加している。

Returnlyのサービスでは返品代金が同社から消費者へと前払いされ、その代金はまず、同じショップの商品の購入のみに利用できるオンライン・ウォレットに返還される。そして、ショップが返品された商品を受け取った後には、最終的に返品代金が消費者の銀行口座に振り込まれるという仕組みだ。このオンライン・ウォレットのことを、子犬のような目で「また当店でお買い物してください」と訴えるお金だと思っていただいても差し支えないだろう。

このようなシチュエーションでは様々な行動経済学の原理が働くことになる。だが、このサービスを利用すれば再購買の確率がぐんと上がることは言うまでもない。

また、VilarはGlassdoor出身のサイエンティストを数名雇い、ショップオーナーにA/Bテストを提供して前払いされた代金が再購入に使われる確率の違いを視覚化するということも行っている。

SV AngelのパートナーであるBrian Pokornyによれば、この有名なVCがReturnlyへの出資に踏み切ったのは、同社のサービスを利用するショップオーナーとの会話がきかっけだったと語っている。

ショップオーナーたちはReturnlyから実にざまざまな利点を得ている。Returnlyの収益は返金前の商品代金をもとに計算される手数料収入だ。この他にもサービスの導入時には初期料金も発生する。しかし、FanaticsCotopaxiなどの企業は、これらのコストを合わせたとしてもReturnlyは低いリスクかつ利点の多いサービスだと判断した。

Vilarは数学と保険数理学のバックグランドを持っており、この知識が同社の初期段階のビジネスを支えたという。将来的には、彼が創りあげた金融ビジネスは予測可能であるだけでなく、利益を生むものなのだと機関投資家に示したいとVilarは語る。

返還されたお金をすぐに他のショップで使うことができないことに苛立つ消費者もいることだろう。しかし、覚えておかねばならないのは、Returnlyのサービスがなければ最大で21日ものあいだ代金が返還されないこともあるということなのだ。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter