AIによる分散システム「Ray」を開発するAnyscaleが22億円超を調達

オープンソースは今や現代のソフトウェアの重要な要素だ。米国時間12月1日、新たなスタートアップがステルスを脱してオープンソースの新しい分野を商機にしようとしている。人工知能や複雑な科学計算など大規模なコンピューティングのプロジェクトで近年多く利用されている、分散アプリケーション環境の構築と管理という分野だ。

カリフォルニア大学バークレー校で分散プログラミングのフレームワークProject Rayを作ったRobert Nishihara(ロバート・ニシハラ)氏とPhilipp Moritz(フィリップ・モリッツ)氏、Ion Stoica(イオン、ストイカ)氏、そして教授のMichael I. Jordan(マイケル・I・ジョーダン)氏らのチームが今回創業したAnyscaleは、このほどAndreessen HorowitzがリードするシリーズAのラウンドで2060万ドル(約22億5500万円)を調達した。これには、NEA、Intel Capital、Ant Financial、Amplify Partners、11.2 Capital、そしてThe House Fundが参加した。

同社はこの資金を使って、初めての商用製品を作るつもりだ。その詳細はまだ明かされないが、一般化した言い方としては、コンピューティングのプロジェクトを1台のラップトップからマシンのクラスターへと容易にスケールアウトできる仕組み、そしてプロジェクトを管理するための一連のライブラリやアプリケーションが含まれるようだ。ローンチは来年を予定している。

ストイカ氏はインタビューで「現状ではRayをアプリケーション構築のスタンダードにすることに注力している。Rayのためのツールやランタイムプラットホームを作ることになるだろう。つまり、Anyscaleのその新しいプロダクトを利用すれば、Rayのアプリケーションを安全にハイパフォーマンスで動かせるというわけだ」と語る。

今回の投資の一部は、企業の戦略的投資でもある。たとえばIntel(インテル)は、AmazonやMicrosoft、Ant Financialなどと並んで自社のコンピューティングプロジェクトのためにRayを使ってきた大企業のひとつだ。

インテルのIT部門のエンタープライズ&プラットフォームグループでCTOを務めるMoty Fania(モティ・ファニア)氏は声明で「IntelのIT部門はRayを利用してPythonのワークロードをコードをほとんど書き換えずに大規模化している。Intelの生産と検査の工程に実装してわかったのは、個人化されたチップテストを作るために使うハイパーパラメータ選択のテクニックとオートモデリングの工程でRayがスピードとスケールを増大してくれることだ。それによって、コストを下げ、工程の容量と質を上げることができた」とコメントしている。

Rayのユーザーリストにはそうそうたる企業が名を連ねているが、でもAnyscaleの目的は何だろうか?ストイカ氏とニシハラ氏の説明では、Rayを実装するためのもっとシンプルで容易な方法を作ることが目的だ。それによってRayを、Amazonのような世界的企業でなく、もっと技術力の弱いほどほどの企業でも使えるようにしたい。

「エキスパートのエンジニアがいない企業では、それがとても重要なことだ」とストイカ氏は語る。Anyscaleが解決する問題は、未来の大規模で複雑なコンピューティングには必ずつきまとう。コンピューティングによる解を求める問題が目白押しで並んでいるが、その中には1台の大型計算機では扱えないものがある。たとえばAnyscaleが挙げるIDCの推計によると、2025年に生成され処理されるデータ量は175ZB(ゼタバイト、1ZB=1兆TB)に達する。

これだけのスケールでも、未来の量子コンピューターには平気かもしれないが、現在の現実的なオプションとしては、分散コンピューティングが妥当なソリューションだ。Rayは分散コンピューティング環境を実装するために用いるスタンダードとして考案されたが、でもそれ自身が技術的に相当高度で、使いこなせる人は限られている。

ニシハラ氏はこ「あなたが生物学者でも、シンプルなプログラムを書いて大きなスケールでそれを動かすことはできるだろう。でもそれがうまくいくためには、生物学の専門知識だけでなく、コンピューティングの専門知識も要る。そしてそれが、越えがたい高い障壁になる」と説明する。

AnyscaleやRayを作った人々は、過去にこれら以外にも優れた業績があり、今の大規模分散コンピューティングの問題解決にとって彼らは適任だ。例えばストイカ氏はDatabricksやConvivaの共同創業者であり、Apache Sparkの最初のデベロッパーの一人でもある。

Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)の共同創業者Ben Horowitz(ベン・ホロウィッツ)氏はインタビューで、「IonでDatabricksを扱い、それで縁ができた」と語る。Ionはバークレー校で生まれるプロジェクトに頻繁に投資していた。そしてRayとAnyscaleは、現在のコンピューティングのニーズによく応えていると感じた。「Rayはオープンソースである点が非常に魅力的だったが、それが解決しようとしている問題が重要だった」と彼は述べている。

「ムーアの法則は終わったとみんな嘆いているが、重要なのは人工知能のアプリケーションにとってはそんなの関係ないという点だ。必要とするコンピューティングパワーがますます増大しているから、今や一つのマシンの性能を云々する時代ではない。みんなが分散コンピューティングをマスターしなければならないが、でも今それが得意なのはGoogleぐらいで、ほかのみんなにとって分散コンピューティングは難しい。我々は、この問題の解を求めていたのだ」。

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(翻訳:iwatani、a.k.a.hiwa

自然言語理解APIを開発するヘルシンキの「Speechly」が2.4億円を調達

音声認識と「自然言語理解」の経験豊かな専門家チームを誇るヘルシンキのスタートアップ「Speechly」(スピーチリー)が、200万ユーロ(約2億4000万円)のシード資金を調達した。この資金で、開発者がプロダクトに音声UIを簡単に組み込めるようにしていく。

このラウンドはベルリンのCherry Venturesが主導し、Seedcamp、Quantum Angels、Joyance Partners、Social Starts、Tiny.vc、King.comにエグジットしたNonstop Gamesの共同創業者であるJuha Paananen(ジュハ・パーナネン)氏、Algoliaの創業者であるNicolas Dessaigne氏(ニコラス・デサイン)が参加した。Speechlyはこの資金を活用して、音声に関する専門家でなくても音声対応のアプリを作れるようにするためのAPIの開発をさらに進める。

Speechlyの共同創業者でCEOのOtto Söderlund(オットー・セーデルランド)氏はTechCrunchに対し、「ここ数年、音声の可能性は示されてきたが、キッチンタイマーをセットしたりSpotifyを再生したりする以上の真のブレイクスルーはまだ見られない。音声アシスタントプラットフォームが現在抱える根本的な問題は、ユーザーの複雑なリクエストやニーズに応えられないことだ」と語った。

セーデルランド氏によれば、Speechlyのソリューションは自然言語理解と音声認識を「革新的な方法」で組み合わせるもので、開発者は「極めて反応が早く、シームレスでマルチモーダルなユーザーエクスペリエンス」を作り、ユーザーが複雑な意図を表現したときに適切にガイドできるようになるという。

「友人にちょっと面倒なことを説明するのに、電話越しでは難しくても顔を合わせて話せばずっと簡単な場合がある。この違いは想像できるだろう」と同氏は語る。

Speechlyはこれを実現するために専用の音声認識技術を「イチから」設計し、既存のプロダクトよりずっと広範囲の音声関連ユーザーエクスペリエンスをサポートするという。

音声アプリが複雑な意図をもっと理解できるようにするだけではない。Speechlyは音声のビジネスケースに関する問題も解決しようとしている。同社は、アマゾンのAlexaやアップルのSiriといった現在の音声アシスタントプラットフォームは「他人のエコシステムの中で動作し」、貴重なユーザーデータを共有することを企業に対して強いていると主張する。

さらにSpeechlyは、現在のSDKとAPIは複雑すぎる、あるいは開発者はエンドユーザーのエクスペリエンスを十分に制御できないとも述べている。

さらにセーデルランド氏は次のように語った。「グーグル、アマゾン、マイクロソフト、アップルに加え、独自の音声言語理解(SLU)技術を開発している企業やスタートアップもいくつかある。我々も独自の技術を持っていて、独自のSLU技術を持っている企業が競合と考えている。しかし競合各社が主に提供しているプロダクトは、Siriがどんなものかを考えればわかるように、双方が順番に話す古典的な会話エージェントの比較的単純な延長線上にあるものだと我々は見ている。我々は音声UIの新しいビジョンを提供したい。それは、反応の良いマルチモーダルなフィードバックでユーザーをリアルタイムで「ガイド」し、もっと難しいタスクを解決するというものだ。我々のプロダクトで実現しようとしているこのビジョンは、ほかにはないと思う」。

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(翻訳:Kaori Koyama)

インドのアプリ市場を長年支配した中国製を抜き同国製アプリが初めてトップに

中国のデベロッパー製アプリは、インドで人気があった。2018年はインドで人気上位100のAndroidアプリのうち、44が中国製だった

しかし、2019年はインドのデベロッパーのがんばりにより、その様子が変わってきている。アプリの分析やマーケティングを行なっているAppsFlyerによると、全体的にインドのアプリが勢いを取り戻してきているという。

報告書によると、インドのGoogle Play StoreとApple App Storeの2019年Q2とQ3では、上位200アプリのうち2018年は38%がインドのデベロッパーや企業のものだったが、41%に上昇した。

調査会社App Annieのデータによると、「インド製アプリの上昇は中国製アプリのシェアを奪っている。2018年には中国製が43%でトップだったが、2019年は38%になりトップの座を譲った。中国製とインド製を合わせると、全体のほとんど4/5を占め、79%だ」と主張を裏付けている。

AppsFlyerによれば、この変化は2018年から2019年にかけて多くのインド企業が決済やゲーム、ニュース、エンターテインメントなどのアプリに進出してきたためだという。その結果、2019のQ2、Q3ではアプリのインストール数が65億に達した。

しかし同じ報告書で、中国のデベロッパーも依然としてがんばっており、どのカテゴリーでも強い、と述べている。

インドには4億5000万あまりのスマートフォンユーザーがいて、それほど厳しくない法律のおかげでオープンな市場が維持されている。そのため、インドは世界中のデベロッパーにとって魅力的な市場になっている。

Xiaomi(シャオミ)やByteDance(バイトダンス)といった中国企業の多くが、インドを彼らにとって最大の市場として挙げている。TikTokのインドユーザー2億を超えたインドのスマートフォン市場をリードしているXiaomiは、インドのユーザーのためのサービスのポートフォリオを急速に築いている。12月初めにはインドで貸付アプリをローンチした。

しかしインターネットを初めて使うユーザーは、それほど豊かでない人たちが多いこともあり、そんな人たちの人気を得ることは容易ではない。たとえば旅行アプリを作っているデベロッパーたちは、1インストールあたりのコストが約2.4ドル(約170インドルピー)かかっている。食べ物と飲み物のアプリは1インストールあたり1.9ドル(約135インドルピー)、一方ゲームはコストが13.5インドルピーだ。

[AppsFlyerのデータによると、2019年のアプリのインストール数はインド製が中国製を上回った。金融カテゴリーのアプリは人為的なインストール増大に費用を投じている(どれがそうなのかを当てるのはやさしい)。その結果、金融アプリの59%はインストール初日にアンインストールされている。]

このツイートで語られているように、マーケティングに大金をつぎ込んでも、これらアプリの定着率はインストール初日で23.4%だった。そしてその月の終わりには2.6%に落ち込んでいる。それでも2018年の、初日22.8%、30日後2.3%に比べると定着率は上がっている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

出会い系アプリPlenty of Fishからユーザー名や郵便番号が漏洩

出会い系アプリのPlenty of Fishが、ユーザーがプロフィールに「プライベート」として設定した情報を漏洩していたことが、セキュリティ研究者により発見された。この問題はすでに修正されている。

モバイルの専門家であるThe App Analystがブログに記載したアプリに関する調査によると、このアプリは常にユーザーのファーストネームと郵便番号を無許可で送信していたという。

流出したデータはすぐにはアプリのユーザーからは確認できず、またデータは読みにくくするためにスクランブル処理されていた。しかし、ネットワークのトラフィックを分析するツールを利用すれば、ユーザーのプロフィールがアプリに表示される際に、その情報を知ることが可能だという。

あるケースでは、特定のユーザーがどこに住んでいるかを特定するのに十分な情報を取得できたと、App AnalystはTechCrunchに伝えている。

親会社のIACによると、 「Plenty of Fish」 の登録ユーザーは1億5000万人を超えているという。またここ数年、Plenty of Fishのような出会い系アプリで一部の人々が直面している脅威について、法執行機関は警告を行っている。さらに、デートアプリを利用した性犯罪が過去5年間で増加しているとの報告もある。また、これらのアプリにおけるLGBTQ+コミュニティの人々は、個人と政府の両方から安全上の脅威に直面しており、Tinderのようなマッチングアプリは、同性のパートナーに対して制限的で抑圧的な法律が存在する地域や州を訪れる際に、LGBTQ+ユーザーに積極的に警告するようになっている。

今回の情報漏洩に関するバグは、今月の初めに修正されたという。Plenty of Fishの広報担当者は現在、コメントを出していない。

今年に入ってApp Analystは、ユーザーがアプリを操作している間、アプリの開発者が端末の画面を記録できるようにするサードパーティーのツールを多数発見しており、Apple(アップル)による取り締まりを促していた。

 

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

アップルがHomeKitの開発キットをオープンソース化

Apple(アップル)は、HomeKitアクセサリー開発キットのオープンソース版を公開した。開発者は誰でもGitHubでフォークしたり、Homeアプリを開発してスマートホーム機器を統合できるようになった。

本日のニュースは、先ごろ発表されたモノのインターネットのオープンソース標準を作る業界全体の取組みであるConnected Home over IPプロジェクトに関連している。Apple、Amazon、GoogleとZigbee Allianceやスマートホームメーカーが協力して各社の製品がどこでも動くようにすることを目的としたプロジェクトだ。

関連記事:アマゾンやアップル、グーグル、Zigbeeがスマートホームのオープン標準化で協力

アップルは「コネクテッドホーム」の分野への参入が早かったにもかかわらず、HomeKitは出遅れている。Amazon AlexaとGoogleアシスタントの周辺アクセサリーが数多く出回っているのに対して、HomeKitの普及が遅いために、Siriで制御できるアクセサリーはごくわずかだ。

HomeKitをオープンソース化することで、アップルはより多くのホーム機器メーカーがHomeKitを統合することを期待している。ソースはすべてApacheライセンス2.0の下で公開される。

ただし、Next INpactが指摘するように、HomeKit互換のアクセサリーを販売するには、アップルの認証を取得する必要がある。もちろん同社と直接仕事をすることで、メーカーはWWDCで発表される前に未公開機能の情報を得られる可能性がある。

一部の開発者は、Homebridgeプロジェクトを通じてHomeKitのリバースエンジニアリングを行い、HomeKit互換製品を開発している。今回のオープンソース化によって、iPhone、iPadをはじめとするアップル製品でもっと多くの「つながる機器」を制御できるようになるのか注目したい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

iPad版Photoshopが被写体だけをAIが自動選択する「被写体を選択」機能を搭載

iPad版のAdobe Photoshopは、デスクトップ版のファンが満足するようなものではなく、幸先のいいスタートではなかった。しかしAdobe(アドビ)はユーザーからのフィードバックを取り入れた機能を追加したアップデートを適宜リリースしているようだ。米国時間12月16日には、iPad版のPhotoshopに「被写体を選択」機能が追加された。この機能があれば、iPad上での写真の操作や合成がこれまでよりもずっと簡単に、そしてフレキシブルにできるようになる。

「被写体を選択」は昨年デスクトップ版に搭載された新機能で、画像を1回タップするだけで被写体を選択できる。手作業で選択する代わりに、アドビのAIエンジンであるAdobe Senseiが被写体を認識する機能だ。被写体の選択は、Photoshopユーザーがペンやフリーハンド、あるいはなげなわツール、自動選択、多角形選択ツールを組み合わせて手作業で行っている作業のひとつだ。どの方法もかなりの手間がかかる。

アドビによれば、2019年バージョンのiPadとデスクトップ版「被写体を選択」では、選択範囲の境界がより正確になり、iOSでもほぼ瞬時に選択されるという。この機能では対象の選択を行い、より正確に選択を調整し、自然な輪郭にするなど、多くの機械学習アルゴリズムが協調して使われている。その結果、極めて実用的なレベルで被写体の切り抜きや構図の変更、被写体と背景を別々に編集するといった作業があっという間にできる。手作業での調整はほとんど必要ない。

輪郭が明確で背景とのコントラストが強ければ正確にきちんと選択されるが、アドビは髪や毛皮などの「被写体を選択」が難しい対象でのパフォーマンス向上に取り組んでいるという。同社はクラウドドキュメントの機能も強化している。これはiPad版Photoshopの一般公開とともに導入されたもので、クラウドベースのストレージを利用してPSDファイルを異なるプラットフォーム間で共有できる。テキスト入力やレイヤー管理などのユーザーインターフェイスも改善している。

iPad版のPhotoshopがデスクトップ版と同様のフラッグシップ製品として認められるためにアドビがやるべきことは多いが、同社は適切な方向に進んでいる。2020年にはさらに多くの改善や向上が提供されるようであり、iPad版のIllustratorもリリースされる予定だ。

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(翻訳:Kaori Koyama)

GDPRなどの規制に企業が準拠できるよう手助けするHyperproof

多くの企業が、GDPR、ISO、Sarbanes Oxleyといった規制に準拠するにはどうすればいいのかを理解しようとしている。そして、それについて活動を始めようとするだけも、大きな課題に直面している。米国ワシントン州ベルビューにあるスタートアップ、Hyperproofは、より組織的な方法でコンプライアンスを達成できるようなワークフローを構築して、企業を手助けする新製品を発表した。

画像クレジット:TarikVision / Getty Images

同社の共同創立者兼CEOであるCraig Unger(クレイグ・ウンガー)氏は、ほとんどの企業がコンプライアンスの複雑さに手を焼いているという。そこには、多くの異なった種類の活動が含まれていて、多くの場合、通常はコンプライアンスに関与していない従業員の協力が必要となる。

Hyperproofは、企業がコンプライアンスに関する活動を1カ所に集約できるような場所を提供したいと考えている。「現実的には、コンプライアンス担当者が『ここが仕事をする場所です』と言えるような唯一の場所というものはありません。それは、CFOに対するSAPシステム、セールスまたはマーケティング責任者に対するCRMシステムのようなものです。Hyperproofが目指すのは、まさにそれなのです」とウンガー氏は説明した。

彼に言わせれば、現在のほとんどの企業は、かなりその場しのぎ的な方法でコンプライアンス対応を行っている。スプレッドシートなどのツールを利用してタスクを追跡し、電子メールによって必要な情報を要求しているのだ。Hyperproofは、そうした作業すべてを1つのプログラムにパッケージ化する。コンプライアンスのどの領域に対処するのかを指定すると、Hyperproofがそのコンプライアンスのフレームワークに必要なすべての要件を備えたワークスペースを構築してくれる。

ウンガー氏によれば、ここまでくれば、あとはすべてのタスクを1つのワークフローに入れ、このコンプライアンスのフレームワークに関する活動を単純化して整理するだけだという。また、スプレッドシートをインポートして、Hyperproof内にその情報を取り入れたり、そのプログラムの中で任意の言語によって要件を記述することも可能となっている。

「プログラムを定義して準備が整ったら、電子メールを送信することで、組織の他のメンバーとの共同作業を開始できます。返信は証拠として扱われ、このデータコレクションに関する追跡調査可能な変更不可の記録としてHyperproofに取り込まれます」とウンガー氏は説明する。もし監査を受けた場合には、監査人に仕事の内容を示す中心的な場となるわけだ。

同社はこれまで、こうしたワークフロー部分の構築に注力してきた。しかし今後は、自動化機能とAPIを追加して、他のシステムに直接接続し、多くの作業を自動化したいと考えている。最初のリリース時の目標は、企業にコンプライアンスのためのフレームワークのワークフローを提供すること。そして将来、その上に実績を重ねていくことを目指している。

同社は昨年設立され、彼らが拠点を置くシアトル地域の23人のエンジェル投資家から300万ドル(約3億2800万円)を調達した。実は、ウンガー氏は元マイクロソフトの社員であり、ワークフローを扱うスタートアップ、Azuquaの創立にも関わっている。Azuquaは、今年Oktaに5250万ドル(約57億4300万円)で売却した

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Fortniteにライトセーバーが登場 『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』のプロモーション

3部作(シークエル・トリロジー)の最終作は過去のスター・ウォーズ作品と比較しても、多くのクリエイティブなプロモーションが存在する。「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」の公開まで1週間を切ったこの時期に、J.J.Abrams(J・J・エイブラムス)は、人気のバトルロワイヤルゲームであるFortnite(フォートナイト)を訪れた。そして同監督は、Rey(レイ)やFinn(フィン)、Poe Dameron(ポエ・ダメロン)のおなじみの3人を起用。まもなく公開される映画の独占クリップを披露した。

これらのクリップやストームトルーパーの群れが踊るのを見るのはとてもいいのだが、楽しみはこれからだ。Fortniteの最新武器に、ライトセイバーが登場したのだ。

海外メディアのThe Vergeが指摘しているように、Fortniteにはプロモーションの一環としてほかにもたくさんのスターウォーズ関連のチャレンジが追加されているが、正直なところ興味を引かれたのはライトセーバーだけだ。このゲームでは、Kylo Ren(カイロ・レン)が新作映画で披露したようなクロスガード・バージョンをはじめとする、カイバー・クリスタルを動力とするライトセーバーがさまざまな色に変化する。

Fortniteと映画のコラボレーションとしては、ストームトルーパーのスキンや主人公のReyやFinn、TIEインターセプター風のグライダーなど、さまざまなスター・ウォーズ用アドオンが登場している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ウェブデザインから退屈な「調整」の繰り返しをなくすFigmaの「Auto Layout」機能

Index Ventures、Sequoia、Greylock、Kleiner Perkinsなどの投資家から、8300万ドル(約90億円)近くを調達したデザインツール開発会社のFigmaは、米国時間12月5日にデザイン作業から退屈な「調整」の繰り返しをなくす「Auto Layout」という新機能を発表した。

デザイナーなら、コンポーネントのコンテンツサイズを手動で変更しなければならない煩わしさを、嫌というほど味わっているだろう。例えばウェブページ用に新規でボタンを作成する場合、デザイナーはテキストがボタン内に収まるように手動でサイズ変更する必要がある。もしテキストやサイズが変わった場合、それに応じてすべてを調整しなければならない。この問題は、コンポーネントが多数ある場合には最悪のものとなる。そのすべてを手動で調整しなければならないからだ。

Autl Layoutの設定は、オンかオフか2択だ。オンにすれば、Figmaはデザイナーに代わってすべての調整を行い、コンテンツはコンポーネントの中央に配置される。また、もし新しいコンテンツが追加されたら、それに合わせてコンポーネントが自動調整される。フレーム内のアイテムのサイズが変更されたり、アイテム自体が変更されれば、周りにあるコンテンツはそれに合わせて動的に調整される。

Auto Layoutでは、リストに含まれるアイテムの向きをまとめて垂直から水平に変更したり、元に戻したりすることもできる。リストに含まれる個々のコンポーネントのサイズを調整したり、ワンクリックでリスト内のコンポーネントの順番を並び替えたりすることも可能だ。

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これは自動操縦でデザインするようなものだ。Auto Layoutは、コンポーネントシステム内でも機能するため、デザイナーは記号やコンテンツを切り離すことなく、元のデザインを微調整できる。その変更は他の部分のデザインにも反映される。

FigmaのCEODylan Field(ディラン・フィールド)氏は「この機能に対する顧客からの要望が非常に強かった、ユーザーテストなどに向けて、微妙な変更を繰り返す必要がある場合でも、この機能により作業が行われるようになればいい」と語る。

新機能の発表に加えて、Figmaは初めて社外取締役を迎えたことも明らかにした。Danny Rimer(ダニー・リマー)氏、John Lilly(ジョン・リリー)氏、Mamoon Hamid(マムーン・ハミド)氏、Andrew Reed(アンドリュー・リード)氏からなるFigma取締役会に、新たにLynn Vojvodich(リン・ヴォイヴォディッチ)氏が加わる。

ヴォイヴォディッチ氏は、IT業界の経営者として豊富な経験を持ち、Salesforce(セールスフォース)では、EVPおよびCMOを務めていた。彼女は名門VCのAndreesen Horowitzのパートナーだったこともあり、彼女自身の会社であるTake3を10年間経営してきた。また同氏は、Ford(フォード)、Looker、Dellといった大企業の取締役会にも参加している。

「私は素性がはっきりわかっていない投資家を招き入れたことはありません。これまでに成功した会社でも、そうではなかった会社でもです」とフィールド氏は言う。「優れた取締役会は会社を成長させますが、何か問題を抱えた取締役会は、会社の前進を妨げます」。

フィールド氏によれば、Vojvodich(ヴォイヴォディッチ)氏と話し合うたびに、経験から導き出された明確な回答と優れた洞察によって、彼女はチームにバリューを提供し続けているという。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

アドビは年間収益1.2兆円を突破して最強のソフトウェア企業の仲間入りを果たす

米国時間12月12日、Adobe(アドビ)は4四半期の収支報告書を公開した。結果は極めて良好だった。この第4四半期の収益はあと少しで30億ドルという29億9000万ドル(約3270億円)だったが、2019会計年度の収益は110億ドル(約1兆2000億円)を超え、これまでの最高額を記録した。

「2019会計年度は、収益が11億ドルを突破するという、アドビにとって驚きの年であり、輝かしい歴史を刻みました。2019年のこの記録的な収益と1株あたりの利益によって、アドビは世界で最も大きく、もっとも多角的な高収益ソフトウェア企業に仲間入りしました。2019会計年度のアドビの総収益は111億7000万ドル(約1兆2200億円)となり、これは24パーセントの年間成長率を示しています」と、アドビのCEO、Shantanu Narayen(シャンタヌ・ナラヤン)氏は同社の収支報告会の後、アナリストや報道陣に語った。

今年、アドビは重要なM&Aをいくつか実行している。それには、5月の17億ドル(約1860億円)でのMagento(マジェント)、9月の457000万ドル(約5000億円)でのMarketo(マルケト)の買収が含まれる。

関連記事:475000万ドルでMarketoを誘惑するAdobe(未訳)

これら2つの重要な企業の買収が、今年度の数字をここまで押し上げたのは明らかだ。それは、CFOのJohn Murphy(ジョン・マーフィー)氏も収支報告会で認めていた。

第4四半期の注目すべきハイライトには、Adobe Experience Manager(アドビ・エクスペリエンス・マネージャー)がもたらしたコンテント・アンド・コマースソリューションと、Magentoのクロスセルとアップセルの成功、私たちのデータ・アンド・インサイツソリューションに含まれるAdobe Experience Platform(アドビ・エクスペリエンス・プラットフォーム)、Audience Manager(オーディエンス・マネージャー)、Real-Time CDP(リアルタイム・カスタマーデータプラットフォーム)の導入が挙げられます。さらに、中堅企業向け市場区分への参入におけるMarketo事業の勢いが、私たちのカスタマー・ジャーニー・マネージメントソリューションの成長に油を注ぎました。

これらすべてが、デジタル・エクスペリエンス分野全般での成長をもたらしている。

しかしアドビは、単に新たなマーケットシェアを購入しただけではない。一連の製品の社内開発を継続することで、企業としての新しい収入源を育てようともしている。

「私たちは、カスタマーエクスペリエンスマネージメント(CXM)製品戦略を急速に進化させ、世代にまたがる技術プラットフォーム、核心的なサービス、市場をリードする私たちのアプリケーションの強化をお届けします。Adobe Experience Platformは、CXMに特化した業界初のプラットフォームです。リアルタイムのカスタマープロフィール、コンティニュアスインテリジェンス、そしてオープンで拡張可能なアーキテクチャーにより、Adobe Experience Platformは、個々のユーザーに合わせたエクスペリエンスの大きな規模での提供を実現します」とナラヤン氏は話していた。

もちろん、これらの事業は全体の一部に過ぎない。アドビの事業の大黒柱はクリエイティブツールであることに変わりはなく、クリエイティブツール群のこの第4四半期の収益は17億4000万ドル(約1900億円)あり、Document Cloud(ドキュメント・クラウド)がそれに3億3900万ドル(約42億6000万円)を上乗せしている。

アドビは、今回の企業買収の成果が現れ、デジタル・エクスペリエンス関連製品の大きな部分を占めるようになる2020年にも、強い自信を見せている。しかしナラヤン氏は、今年のデジタル・エクスペリエンスの成績にも気を良くしている。「今年の出来事を一歩下がって眺めてみると、そこで発生したイノベーションの数の多さに大変に満足を覚えます。もうひとつ、私がとても満足していることに、MagentoとMarketo、そして、統合的で足並みのそろった市場開拓という意味においてひと口に中核的なデジタルトランスフォーメーション事業と呼べるものが一列に揃い、良好な結果を招いたばかりでなく、その事業に関連する運営コストにも良い影響をもたらした点があります」。

どんなソフトウエア企業にとっても、年間110億ドルを超える収益を得るのは並大抵のことではない。1982年に創設され、1980年代にデスクトップパソコン用のソフトウェアを開発していたころのアドビを思えばなおさらだ。そのアドビが、ナラヤン氏の采配のもと、この5年で巨大なクラウドサービス企業に成長したのだ。
関連記事:アドビはソフトウェア界の次なる100億ドル企業になる(未訳)

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(翻訳:金井哲夫)

BMWがようやくAndroid Autoを採用へ

BMWは米国時間12月11日、ようやく2020年7月からAndroid Autoを同社の車に搭載することを発表した。これにより同社の車では、AppleのCarPlayと併せて利用できるようになる。

BMWによるAndroid Autoの最初のライブデモは、来月のCES 2020で行われる。その後、BMW OS 7.0を搭載した車で、20か国のドライバーに対するアップデートとして利用可能になる予定だ。ただし、BMWはAndroid Autoをワイヤレス接続でサポートするので、一般のものとまったく同じにはならない。

わずか2年前には、同社はAndroid Autoのサポートに興味がないと述べていた。当時、デジタルサービスおよびビジネスモデル担当の上級副社長だったDieter May(ディーター・メイ)氏は独占インタビューで「車内のインターフェイスを完全に掌握するため、自社の純正アプリにこだわっている」と語っていた。従って、BMWではAndroid Autoの採用に興味はないと。メイ氏はその後退社したが、Android Auto自体、その後の2年間で大幅に洗練されたものになったことも頭に入れておく必要があるだろう。

「Android Auto上でGoogleアシスタントを利用すれば、道順の検索も簡単で、人との連絡を保ち、生産性を維持できます。多くのお客様が、BMW独自の機能とサービスに加えて、Android Autoが車内で利用できるようになることの重要性を指摘しています。運転から気を散らすことなく安全に、多くの使い慣れたAndroidスマートフォンの機能が使えるようになるからです」と、BMWの製品管理担当の上級副社長であるPeter Henrich(ペーター・ヘンリッヒ)氏は、発表の場で述べた。

これによりBMWは、早くからAlexa、Cortana、そして独自にMicrosoft(マイクロソフト)のAIスタックの上に構築したBMW Assistantのサポートに手を出してきた後、ついにGoogleアシスタントもサポートすることになった。同社はずっと、一般に使われているデジタルアシスタントは、すべてサポートしたいと表明してきた。Googleアシスタントをサポートするには、少なくとも今のところ、Android Autoを利用するしかなかった。

BMWの場合、Android Autoは、BMWのInfo Displayと道順表示用のヘッドアップディスプレイに加えて、車のデジタルコックピットにも統合されることになる。これは非常に深い統合であり、現在ほとんどの自動車メーカーが実現しているものを超えている。

「BMWと協力して、来年には世界中のBMWのお客様に、ワイヤレスのAndroid Autoをお届けできることを楽しみにしています」と、Googleのエンジニアリング担当副社長であるPatrick Brady(パトリック・ブレイディ)氏は、述べている。「AndroidスマートフォンからBMWの車へのシームレスな接続により、お客様は、ご愛用のアプリやサービスへのアクセスを安全に維持したまま、車に乗り込んですぐに運転を始めることができるのです」。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Disrupt BerlinでのStartup Battlefieldファイナリスト5社が決定

現地時間12月11日、ドイツ・ベルリンで開催されたDisrupt Berlinのステージに14社のスタートアップが立ち、ライブのデモと彼らの起源とビジネスモデルに関するプレゼンテーションを行い、業界のエキスパートである審査員たちの質問に答えた。そこからTechCrunchは、審査員たちの意見も参考に、5社のファイナリストを選んだ。彼らの製品は、生産性ツールから大気汚染に至るまで実にさまざまだ。

これらのファイナリストたちは明日12月12日の決勝のステージで、新たな審査員を前に再びプレゼンを行う。その実況はTechCrunchのウェブサイトでも見られる。そして優勝チームは5000ドルの賞金と、由緒あるDisrupt Cupを1年間管理する権利を勝ち取る。以下が、そのファイナリストだ。

Gmelius


Gmeliusは、Gmailの中に作業スペースを作り、チームが次々と新しいソフトウェアを導入するのではなく、既存のさまざまなツールで仕事ができるようにする。GmeliusはGmailの作業スペースに、受信トレイの共有やヘルプデスク、アカウント管理、オートメーションツールなどさまざまな機能を加える。関連記事はこちら

Hawa Dawa

Hawa Dawaは、衛星や大気質監視ステーションなどからのデータを組み合わせて大気汚染のヒートマップを作り、そのマップをAPIのサブスクリプションとして都市や企業に売る。データの利用はハードウェアを特定しないが、同社は大気質センサーを装備していない企業や都市のために、独自のIoTセンサーを作って提供している。関連記事はこちら

Inovat

Inovatは、旅行者に対する付加価値税の還付手続きを容易にする。アプリとOCRと機械学習を併用してレシートを解釈し、取られすぎの税金を計算して、正しい形式の申告書類をオンラインで、または税関に直接提出する。関連記事はこちら

Scaled Robotics

Scaled Roboticsのロボットは、建築現場の3D進捗マップを数分で作る。精度は高く、梁の1〜2cmのずれでも見つける。現場監督はそのマップを見て細部の状況をチェックできる。現場に残された残骸が多すぎるという検知もできる。関連記事はこちら

Stable

Stableが提供するソリューションは自動車保険並にシンプルだ。同社は世界中の農家を、価格変動から護る。このスタートアップを利用して、小さなスムージーショップからコカコーラのような大企業に至るまで、何千種類もの農産物や包装資材、エネルギー製品などに保険を付けることができる。関連記事はこちら

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

数学嫌いはゲームアプリで克服できるのか?

銀行の入出金明細書を見て、いったい何が起こっているのかを理解しようとしたときの、独特の感覚というものがあるだろう。あるいは、税金の申告書類を書いているときにも似たような感覚に襲われるかもしれない。実はそうした感覚は、単になんとも言えない感覚というようなものではなく、科学的に認知された不安神経症のようなものだということが分かってきた。それは、MA(Mathematics Anxiety=数学不安症)であると、研究論文によって定義されている。日常生活だけでなく、教育現場でも、数学に対して抱かれる懸念、緊張、不安といったものだ。

そしてこれは、実際に世界中に広まっている問題であり、生涯にわたって悪影響を及ぼす可能性さえある。もし多くの人が、足し算や引き算をすることに怯えていれば、経済にもかなりの害が及ぶだろう。英国の約1700万人の成人(労働人工の49%)の計算能力は、小学生と同等のレベルだという。ある調査によれば、これにより英国経済に1年間で200億ポンド(約2兆8573億円)の損失が生じていると言われる。英国だけでもそれなら、他の国も合わせれば、いったいどんな数字になってしまうのか?

人の数学に対する不安感がこれほどのものでなれば、おそらくもっと多くの技術系の労働者がいるはずだ。算数に対する不安が大きい子どもの4分の3以上(77%)は、テストでは、履修課程の算数テストで、平均より上の成績を収めている。つまり、本当はSTEM(科学・技術・工学・数学)分野でもうまくやっていけるはずの生徒でも、このような不安が、そうした分野を選ぶことを妨げているのだ。

この問題は、恐怖に反応するのと同じ脳の部位、扁桃体にまで及ぶ。算数に対する不安が大きい子どもは、物理的な危険に対するのと同じようにストレスが高まり、攻撃・逃避反応さえ引き起こす

数学不安症の起源は、ほぼ6歳ころまでに蓄積された、否定的な数学学習体験の連続に根ざしている。したがって、子供たちを6歳までに数学に親しませることができれば、結局のところ経済や社会活動を促進することになるはずだ。

そこで、この問題に対処するため、数学が得意な2人の若い母親が、Funexpectedというスタートアップを共同設立し、この世界的な課題に取り組もうとしている。

彼女らが示した解決策は、学習に対する新たなアプローチを提供する「多感覚応用」のiOSアプリ。初期段階として大きな成功を収めている。リリースした最初の月に、Appleは、これを英国の「2019年9月のベストAppとゲーム」と「おすすめの新着App」として選んだ。さらに60を超える国々で、App Storeの子ども向けカテゴリの「おすすめApp」と「Awesome Kids Apps」に掲載されている。

今年の10月下旬には、このスタートアップはロンドン大学教育研究所(UCL Institute of Education)が主催するEDUCATEプログラムの教育技術イノベーターに選ばれた。同研究所は、教育技術に関して、英国における第1級の研究アクセラレーターであると広く認められている。また、先週の時点で、Apple Storesの実店舗のデモ機にも、Funexpectedのアプリが、Prisma、Alterlight、Headspace、その他の有名なアプリと並んで、インストールされる予定となっている。

さらに来年には、カリフォルニア大学バークレー校教育学部の認知と発達の教授、ドル・アブラハムソン(Dor Abrahamson)氏が、このアプリ用のゲームを作成することを計画している。

この自力で起業したスタートアップは、以前は投資銀行に勤めていたナタリア・ペレルディク(Natalia Pereldik)氏と、その友人のアレクサンドラ・カジロ(Alexandra Kazilo)氏が、共同で設立した。このアプリは、リリースから4週間で、世界50カ国以上で、3万5000以上のダウンロードを記録している。

それはどのようなアプリなのか?

アプリ自体は、日本、エジプト、グリーンランドなどの景色を背景にした、全部で11種のゲームを集めたもの。子どもは、画面にアニメーション表示されるオブジェクトをタップし、カットし、スライドさせ、つかみ、移動させて、ストーリーを先に進める。たとえば、あちこちの枝から取ってきたおいしそうな果物を、適切な量だけ猿に食べさせたり、正しい種類の魚を網で捕らえて、池に移すことで、論理的な思考を学ぶ。親も子どもといっしょに遊べる。このアプリはサブスク方式で、月額3.99ポンド(約570円)または年額31.99ポンド(約4560円)の料金が設定されている。

同社は大きな市場に取り組んでいる。世界のモバイル学習市場は、2016年に1093億ドルと評価され、2025年までに1792億ドル規模に達すると予測されている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Microsoft TeamsのLinux版が公開プレビューがダウンロード可能に

米国時間12月10日、Microsoft(マイクロソフト)は、Microsoft Teams for Linuxの公開プレビューを発表した。このオープンソースのオペレーティングシステム上で可利用になる初めてのOffice 365ツールだ。

プレビューの目的は言うまでもなく、一般公開の前にフィードバックをもらって製品を改良すること。リリースを発表する同社のブログ記事には「本日よりMicrosoft TeamsをLinuxユーザーは公開プレビューで利用できる。オープンソースコミュニティの職場や教育機関などで、高品質なコラボレーション体験が可能になる」と記載されている。

目標は実働プラットホームを増やして顧客を増やすことだ。ブログ記事には「顧客の多くがWindows 10とLinuxなど、複数種類のプラットホームの上で動く複数のデバイスを使っている。マイクロソフトは、同社のクラウドにおいても、生産性ソフトウェアにおいても、混成環境をサポートすることにコミットしており、今回の発表によりTeamsの使用体験をLinuxユーザーに広げられることは、とても喜ばしい」とコメントしている。

この発表は、2つの点で重要だ。まずMicrosoftは、CEOがSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏になってからオープンソースを受け入れるようになったとはいえ、その前までの長年はオープンソースとの仲が単純ではなかった。しかしこれからは、必要とするユーザーがいる限り、プラットホームやオペレーティングシステムの違いを超えてそのツールを積極的に提供する姿勢に変わったのだ。

第2に、これがLinux上の最初のOffice 365アプリケーションだから、フィードバックが良好なら今後ほかのアプリケーションにも門戸を開くかもしれない。

この発表の背景にはまた、エンタープライズ向けのコラボレーションプラットホームのユーザーをSlackと取り合いしているという事情がある。7月にマイクロソフトはTeamsの1日のアクティブユーザー数(DAU)を1300万人と発表したが、SlackのDAUは1200万人だ。Linux上ではすでに2年近く前からSlackを利用できる

関連記事:Slack comes to Linux as a snap(SlackがLinuxのアプリストアSnapに登場、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

D-WaveとNECがハイパフォーマンスコンピュータと量子システムのハイブリッドアプリを開発

D-Wave Systemsは米国時間12月10日、NECとのパートナーシップを発表した。NECのハイパフォーマンスコンピューター(HPC)とD-Waveの量子システムを組み合わせて「ハイブリッドアプリケーションとサービス」の開発を目的としている。

また、両社はNECがD-Waveへ1000万ドル(約10億900万円)を投資することも発表した。Crunchbaseのデータによると、D-Waveがこれまで獲得した資金調達総額は2億400万ドル(約222億)だ。

今週、1月1日付けで同社のCEOに就任すると発表されたD-Waveのプロダクト最高責任者でR&D担当執行副社長Alan Baratz(アラン・バラツ)氏によると、同社はすでに日本で多くのビジネスを行っており、今回の大きな契約によってその技術をさらに広めることができるという。声明中で彼は、「世界的にもパイオニアであるNECとのコラボレーションは、商用の量子アプリケーション研究における大きな節目だ」と述べている。

同社によると今回の契約は、量子ベンダーとNECほどの人員/業域規模の多国籍IT企業との協働、その最初期における例の1つだという。両社が最初に取り組むのは、NECのスーパーコンピューターやそのほかの伝統的システムと、D-Waveの量子技術を組み合わせたハイブリッドサービスの共同開発だ。古典的システムと量子システムを組み合わせることで、古典的システムだけだった場合よりも低いコストで高いパフォーマンスが得られるのではないかと期待されている。

また、両社はNECの顧客と共同で、このハイブリッド方式を活かせるアプリケーションを作る。さらにNECは、D-Waveが提供するクラウドサービスの公認再販業者になる。

1999年に世界で初めて量子ビットデバイスのデモをしたと主張するNECにとって、今回のパートナーシップは、商用の量子コンピューティングを前進させるための道を見つける努力のひとつだ。NEC Corporationの執行副社長でCTOの西原基夫氏は、「現在の最も複雑な問題の解決に取り組んでいるあらゆる業界の未来で、量子コンピューティングの開発は重要である。ハイブリッドアプリケーションと、量子システムへのアクセス増大により、真に商用利用できる量子ソリューションの実現が可能になるだろう」と述べている。

この度のパートナーシップ契約は、両社をそんな目標に向けて前進させるものになるだろう。

関連記事: D-Wave sticks with its approach to quantum computing(D-Waveは量子コンピューティングのアプローチを固持、未訳)

画像クレジット: D-Wave Systems

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

iPhoneの新ペアレンタルコントロールは通話やメッセージの相手と時間帯を制限可能に

米国時間12月10日に公開された iOSのアップデートによって、親は子供のiPhone中毒を緩和する新たなツールを手に入れた。iOS 13.3のリリースで、親は初めて子供が1日の特定の時間帯に電話をしたりメッセージをやり取りできる相手を制限できるようになった。対象となるのは通話、メッセージ、およびFaceTime。さらに、子供の利用が許されているスクリーンタイムと休止時間とで別々の制限を与えることができる。

設定アプリのスクリーンタイム項目に加わった「通信/通話の制限」セクションでは、連絡先に基づいて制限を設けることができる。許可されているスクリーンタイム中、ユーザーは誰からでも、あるいは連絡先に載っている人だけから受信するように設定できる。休止時間中は、誰からでも、あるいは指定した人からのみ受信するかを選択できる。

スクリーンタイムのペアレンタルコントロールで設定すれば、親は子供がいつ誰と連絡できるかを決められる。休止時間中については、子供がメッセージや通話できる相手を個別に指定可能だ。例えば、ママやパパとだけのように。

これにより親は、休止時間をスケジューリングすることで子供が深夜や投稿時間中に友達とメッセージ交換するのを事実上防ぐことができる。もちろん休止時間は「夜間」以外に設けられるので、アプリを使えたり、電話をかけられる時間を自由に設定できる。

新機能では、子供のiCloud連絡先をリモートで管理可能なので、子供に大切な電話番号を伝えるのに便利だ。ただしその場合、親が連絡先の全権限を持つので、親しか編集できなくなる。

新しい「通話/通信の制限」は昨年iOS 12で導入されたアップルのスクリーンタイムという大きな構想の一環だ。このシステムによってiPhoneユーザーは、画面から離れる時間帯を決めたり、アプリに制限時間を設定したり、利用時間やアクティビティレポートを見ることなどが可能になった。

多くの親たちはすでにこうした管理機能を使って、子供たちの利用方法を厳しく制限しするために、ゲームなどのブロックしたいアプリを個別に設定したり、「休止時間」をスケジューリングしたりしている。さらに、親は子供の端末を一切使えなくする時間を設定することもできる。

消費者のテクノロジーとの秩序を乱す関係に対応する方法を考え直しているIT企業は同社だけではない。Google(グーグル)も独自の「デジタル・ウェルビーイング」と呼ばれる機能をAndroidに導入している。FacebookとInstagramも、ソフトウェアのアルゴリズムを一部変更して「有意義な時間」などの新しい指標に取り組んでいる

アップルのスクリーンタイムは小さな子供たちには有効に働くだろうが、ティーンエージャーたちはたちまちに抜け穴を見つけてみんなで共有しているようなので、これからも親は頭を痛めることになるだろう。果たしてティーンが新しいペアレンタルコントロールシステムでiMessageを送る裏技を見つけられるかどうか、それは時間が経ってみないとわからない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google Pixelに着信の自動判別機能が加わる、後から背景をボカす撮影機能も

Google(グーグル)は米国時間12月9日の朝、初の「feature drop」の提供を発表した。これは同社が毎月定期的に機能を拡張するための配信で、最初のバージョンでは、すでに発表されていたものを含め、多くのアップグレードが行われる。

最も大きな変更点となるのが、通話を遮断する機能のアップデートだろう。米国のPixel 4ユーザーから利用できるこの機能は、知らない発信者や自動音声電話の発信を選別してくれる。スパムでない場合、ユーザーはメッセージをテキストとして通知で受け取ることが可能だ。Googleによると、機能は以下のように動作し、すべての情報はそのユーザーにしか通知されないという。

写真に関する機能もアップデートされた。たとえ撮影時に機能をオンにしていなくても、後から人物写真の背景をぼかせるようになる。

Pixel 4のビデオ通話アプリであるGoogle Duoは、一人でも二人でも人を中心にくるよう配置してくれる自動フレーミングが可能になるなど重要な改良が加えられている。この機能は同社のスマートホームディスプレイ、Google Nest Home Max(その前にはFacebookのスマートディスプレイ、Portalでも)に搭載されているズームインやズームアウトで人間をフレームに表示してくれる機能をより洗練させたもののようだ。

Google DuoとPixel 2〜4の組み合わせでは、通話中に背景をぼかすことができるようになった、Pixel4に採用されたスクロールとアニメーションの表示をなめらかにするスムーズディスプレイは、通信の接続が不安定な場合でもなめらかに再生されるように改善されている。

また、すでに発表されていたように、非常に便利な自動文字起こしアプリのRecorderが古いPixel端末にも配信されること。そしてリアルタイムで字幕を生成してくれるLive CaptionがPixel 3と3aに追加されたことも注目すべき点だろう。さらに、英国やカナダ、アイルランド、シンガポール、オーストラリアのユーザーには、まもなくGoogleアシスタントのアップデート版が提供される。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

中国が政府機関での外国製PCやOSの使用を禁止

伝えられたところによれば、中国は外国製のPCハードウェアやOSを3年以内に国産のものに切り替えるよう命じた。これは現在展開されているテック戦争をさらに激化させることになる。中国は以前、この手のものを中途半端に試みたことがあるが、今回は西洋のテック部門の影響を排除しようとかなり真剣だ。

中国のテックアナリストの話として報じたFinancial Timesのレポートによると、禁止命令は中国政府高官から今年初めに出された。単に米国や欧州のソフトウェアやOSを国産のものに切り替えるだけでなく、ハードウェアも対象となる。

中国は以前、西欧のソフトウェアの追放を命じた。しかしそれは特定のセキュリティ問題に限定されていた。また5年前にはAndroidやWindowsの排除を試みたが、結局それは失敗に終わった。

今回はまったく違うことになりそうだ。米国と中国の関係は、少なくとも特にテック業界では緊張状態にあり、2国はライバルという関係から敵対関係に変わった。米国は最近、ZTEやHuawei(ファーウェイ)のような中国大手ハードウェアメーカーの製品を米国のインフラに使用することを禁止する措置を取った。ちなみにファーウェイは、この禁止措置は「憲法違反」で、多方面の政策も亀裂を深めたと主張している。

中国側の今回の措置は驚きではない。2020年末までにコンピューターとソフトウェアの30%を国産のものに変え、2021年に追加で50%、そして残り20%の切り替えを2022年に実行する。

「3-5-2」の3カ年計画は野心的なものと言わざるを得ない。幾千万というデバイスを交換する必要があるが、HP製のものを中国で製造されたものに交換するほどにシンプルではない。部品やソフトウェアも中国製のものでなければならないのだ。つまりIntel(インテル)やAMDのプロセッサー、Nvidia(エヌビディア)のGPU、ARMのアーキテクチャ、ソニーのイメージプロセッサーなどは不可となる。

しかしこれはさほどショッキングなことではないのかもしれない。というのも、多くの中国企業が何年もこうした事態に備えてきたからだ。中国は、特に米国企業に頼らなくてもいいようにしたいと考えていて、政府が支援している多くの企業はすでに米国サプライヤーを使うことを許されていなかった。

たとえそうにしろ、WindowsやAndroidに似た中国製のプロダクトは成熟にはまだ遠く、問題なく交換できるというレベルには至っていない。また米国製プロダクト使用の禁止は、中国が描いていたAIのエコシステムの席巻など、他の取り組みを無にしてしまうかもしれない。もし中国政府が支援する研究者が世界の他の学者や民間研究者が使っているのと同じツールを使うことができなければ、その結果は厳しいものになることが予想される。

禁止措置の詳細はまだ明らかになっていないが、実行に移されるにともない漏れ出てくるはずだ。サプライヤーやデベロッパー、メーカーはこれまでとは異なるマーケットの誘導を学ぶことになり、禁止措置は業界を大きく変えるものになることが予想される。

画像クレジット: IvancoVlad / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

SpaceはSlackを超える開発者向け新プロジェクト管理プラットフォームになるか

ファイル共有、タイムトラッキング、電子メール統合、ガントチャート、予算管理などが、平均的なプロジェクト管理プラットフォームに最も求められる機能の一部だが、それでも何かを管理する問題に対して、さまざまなアプローチをとるツールが次々に生まれている。

今では技術者のほとんどが、Slack、Asana、Notion、Trello、Azure DevOps、GitLab、そしてGitHubになじんでいる。だが、この領域はまだ活気を見せている。先月にはMicrosoft Teamsのアクティブユーザー数は、7月の1300万人から増加して2000万人を超えた。Slackは、第2四半期には毎日1000万人以上のアクティブユーザーを数えたことを報告 した。アドビはコラボレーションツールを立ち上げたばかりで、Notionは人気沸騰中だ。そしてFrame.ioは5000万ドル(約54億円)を調達し、MicrosoftはFluidを提供する。WordPressでさえこの動きに参入してきている。

(ジャーナリストのために誰かが何かを作ってくれるのはいつだろう?いや、私たちは貧乏なんだった。忘れてたよ)。

それでも。そうそれでも、開発者向けのプロジェクト管理はいまでもスタートアップにとっての人気分野のままだ。ということで、またこの領域(スペース)向けの新製品が発表された。そして、それは実際にSpace(スペース)という名前だ。

Space は、メッセージング、チームおよびプロジェクト管理、内部ブログ、会議スケジューリング、ソフトウェア開発プロセスを1つのプラットフォームに載せた、統合チーム環境だと宣伝されている。

現在「Organizationプラン」が初期ユーザーに無償で提供されている。このプランには、1ユーザーあたり25GBのストレージ、月間1万回までのCI(継続的インテグレーション)クレジット、ユーザーあたり125GBのデータ転送量が含まれている。

Spaceを使用することで、チームが扱う必要があるすべてのデータが1カ所に保存され、ソフトウェア開発ツール(ソースコード管理、コードレビューとブラウジング、継続的インテグレーション、デリバリーとデプロイ、パッケージリポジトリ、課題トラッキング、計画ツール、プロジェクトドキュメント)がコミュニケーションとアイデンティティのサポートに統合される。

基本的な狙いは、新しい従業員の追加から、CI/CDパイプラインへの要求をマージするためのルールの構成まで、あらゆるワークフローを自動化できるようにするということだ(CIは継続的インテグレーション、CDは継続的デリバリーならびに継続的デプロイメント)。会議、プロジェクト、タスク、コミット、コードレビューなどをスケジューリングすることもできる。

Spaceは、Androidの半公式言語であるKotlinを支えるJetBrainsからの新製品だ。JavaはAndroid開発の公式言語だが、その学習曲線は急勾配だ。そのためJetBrainsがKotlinを開発したとき、それは大成功し二次的な「公式」Java言語となった。なので理論上は、彼らはそうした内容を熟知しているはずだ。

JetBrainsのCEOであるMaxim Shafirov(マキシム・シャフィロフ)氏は次のように語る、「ほとんどのデジタルコラボレーション環境は、開発ツールからタスク管理まで、さまざまな問題に対処するソリューションの単なる詰め合わせです。このためユーザーはツールやタブを切り替えながら、情報を手動でコピーすることになりますが、一般的に時間と創造的な流れを失いがちです。JetBrains Spaceはこれを変えて行きます。つまり、ソフトウェア開発を含む、創造的な仕事の基盤を変えて行くのです」。

JetBrains Spaceは、無料のサブスクリプションモデルを通じて始めることができるが、有料プランはアクティブユーザー1人あたり月額8ドルからのスタートとなる。Spaceの究極の目標は、デザイナー、マーケティング担当者、販売、経理などを含む幅広いクリエイティブチームに、拡張された統一的な全社プラットフォームを提供することだ。

Spaceが離陸し、Slackのような製品を締め上げ始めることになるかどうかは、時間が経てばわかるだろう。Slack嫌いの1人としては、そう願いたいものだ。

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(翻訳:sako)

まさに手首にTwitter、Apple Watch用の高速高機能Twitterアプリ「Chirp 2.0」

Chirpは、数十万人のApple Watchユーザーに愛用されるTwitter(ツィッター)クライアントアプリだ。昨年に登場して以来の最大のアップグレードが施された。この新バージョンのChirpは、watchOS 6用に設計し直され、以前よりもずっと高速に、しかも無限にスクロールできるタイムライン機能を装備した。また、iOS 13のダークモードのサポートやTwitterーのユーザー名に色を付ける機能なども追加されている。

当初このアプリは、2017年にTwitterが独自のApple Watchアプリの開発を中断し、代わりにApple Watchの通知機能を利用するようにしたことで生じた空白を、ちょうど埋めるように登場した。

Chirpは、Apple Watchの小さな画面から、本物のTwitterクライアントにアクセスすることも可能にしている。それにより、ホームタイムライン、トレンド、メンション、ダイレクトメッセージなども表示できるようになる。ただし、Apple Watchからダイレクトメッセージを送信したり、ツイートを記述したりするものなど、一部の機能は有料のChirp Proでのみ有効となる。

Chirp Proは、ユーザーにとって便利な「欲しい機能だけを買う」機能によって、4.99ドル、5.99ドル、7.99ドルのいずれかの金額を寄付することでアプリをアップグレードできる。サブスクリプションは不要だ。Sensor Towerのデータによると、Chirpはこれまでに、約20万件のインストールを獲得している。有料版ユーザーは、それよりずっと少ない。

新しいバージョンのChirp 2.0では、「手首にTwitter」というユーザー体験を強化して、より多くのユーザーがアップグレードしてくれることを期待している。そのために、以前よりも高速かつ安定して無限にスクロールが可能なタイムライン、強化されたビデオプレーヤー、画像のグリッド表示などを装備している。

「タイムラインを書き直すためのインスピレーションは、私が幸運にもスカラシップを獲得してWWDC 2019に参加したときに得たものです」と、Chirpの開発者であるWill Bishop(ウィル・ビショップ)氏は説明する。「基調講演で、Apple(アップル)はSwiftUIを発表しました。これまでよりずっと速く、デベロッパーがユーザーインターフェースを開発できるようにする新たなフレームワークです。しかも、動作も速くなるのです。それによって、Apple Watch用のアプリを開発する、まったく新しい方法が切り開かれたのです」と彼は続けた。

「SwiftUI以前は、Apple Watchのユーザーインターフェイスは、すべてドラッグ&ドロップで設計していました。これは便利ですが、いくつかの大きな欠点もあります。基調講演での発表からインスピレーションを得たので、私は会場を抜け出して、すぐにSwiftUIを使ってタイムラインの再実装に取り掛かりました」とビショップ氏は述べた。

  1. Compose

  2. Timeline-Colored-Username

  3. Timeline

  4. Messages

  5. Menu-Chinese

ダイレクトメッセージ機能も更新され、プライベートメッセージング機能で共有された画像やツイートを含めることができるようになった。

Chirp 2.0では、Apple Watch上で、ライブなコンプリケーションもサポートする。つまり、最近のツイートを文字盤上で直接見ることができ、それらをタップすることでChirpアプリに戻って返信したり、いいねを付けたり、リツイートすることができる。この機能は、Pro版のユーザーのみが使用可能だ。

他にも、Twitterのユーザー名をカラフルにすることで、ちょっとシャレた感じを醸し出す機能もある。これは、ユーザーからのリクエストに応えて実装したもの。アプリ内課金で購入できる。このオプションを有効にするための料金は、Proユーザーの場合は1ドル、そうでなければ2ドルだ。ビショップ氏の場合、そうした機能を実装するための自身の作業の負荷に応じて価格を決定している。そうしたオプションへの課金によって、Pro版の購入にお金を払いたくないという人からも、それなりの収入を得ることができるのだ。

ただしビショップ氏によれば、このオプションは6月のPride(プライド)月間には無料で利用できるため、誰でもユーザー名を虹色にすることができるという。

さらにChirp 2.0は、英語以外にも、中国語(簡体字)、デンマーク語、ドイツ語、ハンガリー語、イタリア語、日本語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語(ラテンアメリカ)といった言語でも利用できるようになった。アプリ自体は、iOSやApple WatchのApp Storeから無料でダウンロード可能だ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)