巨大AI企業SenseTimeがビデオ技術のMoviebookへ$199Mの投資をリード、その戦略的意図は…

SenseTimeは、45億ドルあまりの評価額で6億2000万ドルを調達し、評価額が世界最高のAI企業として知られているようだが、同社はしかし投資家でもある。この中国企業は今週、オンラインのビデオサービスをサポートする技術を開発している北京のMoviebookへのシリーズD、13億6000万人民元(1億9900万ドル)のラウンドをリードした。

Moviebookはこの前2017年に、シリーズCで5億人民元(7500万ドル)を調達した。今回のシリーズDは、SB China Venture Capital(SBCVC)が、Qianhai Wutong, PAC Partners, Oriental Pearl, およびLang Sheng Investmentらと共に参加した。〔SB==Softbank〕

SenseTimeによると、同社は投資と共にMoviebookとのパートナーシップも契約し、二社がさまざまなAI技術で協力していく。たとえば、エンターテインメント産業におけるAIの利用増大をねらった拡張現実技術などだ。

SenseTime Group Ltd.のオブジェクト検出/追跡技術が、2018年4月4日に東京で行われたArtificial Intelligence Exhibition & Conference(人工知能エキシビション&カンファレンス)でデモされた。このAIエキスポは4月6日まで行われた。写真撮影: Kiyoshi Ota/Bloomberg

声明の中でSenseTimeの協同ファウンダーXu Bingは、両社は、放送やテレビとインターネットのストリーミングなどからの大量のビデオデータを利用して、未来の多様な商機を開拓していく、と述べている。彼はまた、AIなどの新しい技術をエンターテインメント産業に導入していくことの持つポテンシャルを、強調している。

このような戦略的投資をSenseTimeが行なうのはこれが初めてではないが、今回がいちばん重要だろう。同社はこれまで、51VR, Helian Health, そしてリテールの巨人SuningからのスピンアウトSuning Sportsなどに投資している。

SenseTime自身は投資家たちから16億ドルあまりを調達しており、その投資家はAlibaba, Tiger Global, Qualcomm, IDG Capital, Temasek, Silver Lake Partnersなど、きわめて多様だ。

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生産性ソフトではなくビジネスプロセスのレベルで中小企業のデジタル化を助けるTeamleaderが$22Mを調達

中小企業のデジタル化を助けるSaaS Teamleaderがこのほど、シリーズCで2200万ドルを調達した。ラウンドをリードしたのはロンドンのKeen Venture Partners、これにPMVと、これまでの投資家Fortino CapitalとSage Capitalが参加した。

6か国に計1万近い顧客(主に中小企業)がいる、という、本社をベルギーに置くTeamleaderは、SaaSベースのプラットホームにより中小企業のビジネスプロセスのデジタル化を推進している。そのサービスには、CRMや営業支援、プロジェクト管理、時間管理、請求事務などが含まれる。

また最近立ち上げたTeamleader Marketplaceは、今後の同社の成長の核となる、と見なされている。これは顧客が、自分たちの好きな地元のSaaSツールをTeamleaderに統合できる、というサービスだ。これまですでに1000の統合をサポートし、とくにローカライゼーションに力を入れている。

Teamleaderの協同ファウンダーでCEOのJeroen De Witは語る: “ヨーロッパ全域のデベロッパーのための100万ドルのファンドまで作った。彼らに、Teamleaderの統合をやってもらいたいのだ。かなり思い切ったアイデアだが、うまくいっている”。

“このマーケットプレースのすごいところは、ヨーロッパ中のSaaS選手たちがわれわれの成長に乗っかれることだ。たとえばベルギーのCumul.ioは今、このマーケットプレースを通じてスペインに顧客を見つけている。それは完璧に、わが社のビジョンにも合うことだ”。

より広い視野で見ると、中小企業はそろそろデジタル化を恐れなくなっている。そしてどんどん、いろんなビジネスソフトウェアを利用するようになっている。“これらのツールは、お互いに寄り添って一つになり、統合化されたシステムとして機能する必要がある。そうでなければ、中小企業がそこから最大の価値を得ることができない”、と彼は言う。

今回得られた資金は、Teamleader Marketplaceに投じられるほかに、国際化のなお一層の成長とプロダクトロードマップの加速に充てられる。その中には、同社の言う“マルチローカルなアプローチ”が含まれる。そしてそのためには、Teamleaderのプロダクトを各国のニーズに合わせて微調整していく必要がある。そう、同社はまさに、ヨーロッパ的なスタートアップだ。

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光造形3DプリンターのFormlabsが新たな資金調達ラウンドでユニコーンの仲間入り

光の力で樹脂を硬化するユニークな3Dプリンターで脚光を浴びたFormlabsが、ユニコーンになった。マサチューセッツに本社を置く同社はこのほど、1500万ドルの新たな資金調達を行った。これにより同社の調達総額は1億ドルになり、またハードウェアスタートアップにしては珍しく、評価額が10億ドルを超えた。その最新の資金調達は4月の3000万ドルの後続投資で、New Enterprise Associatesがリードした。

3Dプリンティング業界の現状から見ると、このマイルストーンは二重の意味で印象深い。3Dプリントは、最初に長年の誇大な期待があり、そしてバブルがはじけ、競争が激化した。しかし2012年にほそぼそとKickstarterで生まれたFormlabsは、デスクトップサイズの業務用3Dプリンターで最初から明確な差別化を図った。

その技術はたちまち、ハードウェアのプロトタイプを作っている連中に歓迎された。彼らは以前から、MakerBotなどでおなじみのプラスチック沈積型3Dプリンターよりも精細な3Dプリント技術を求めていた。近年同社は、デスクトップの製造技術をさらに強化し、同社の既存の技術と共に、製造業のための3Dプリントという、需要のきわめて多い世界に売り込みをかけている。

今回の資金調達と並行してFormlabsは、GEの元CEO Jeff Immeltを取締役会に迎えた。

Immeltはプレスリリースでこう述べている: “同社の重要な成熟期にFormlabsで仕事ができることは、きわめて喜ばしい。チームはこれまで傑出した進歩を示し、デスクトップ3Dプリンターの中では最良の製品を作り、エンジニアリングやヘルスケア、製造業などきわめて多様な業界で成功を収めている。同社は2011年の創業以来、競合他社を大きく抜き去り、3Dプリンティングにおけるリーダーになっている。今後さらに多くの業界から採用が増え、技術も前進していく中で、私は同社の次のフェーズを支援していきたい”。

Formlabsは現在、北米、ヨーロッパ、およびアジアに500名の社員を抱えている。

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ブラウザーメーカーのOperaがNASDAQで取引開始

Operaが上場企業になった。ノルウェー拠点の同社は1株当り12ドルでIPOを実施した。取引は1株当り14.34ドル、19.5%高で始まった。同社はこのIPOで1.15億ドルを調達した。

Opera Ltd.は、今月米国で上場申請した。現在同社はNASDAQでティッカーシンボルOPRAで取引されている。

読者がこの記事を読むために使っているのは、パソコンかAndroidならGoogle Chrome、iPhoneならSafariであいる可能性が高い。Operaの市場シェアはライバルと比べるとごくわずかだ。しかし、それでも売上が立つほどこの市場は巨大なのである。

F-1書類の中で同社は、2017年の売上が1.289億ドル、純利益が610万ドルだったと報告している。

Operaを巡る会社の歴史は少々複雑だ。数年前、Operaの株主らは中国企業のコンソーシアムにブラウザー事業を 売却した。アドテック事業はOtelloという別会社を作って運営している。

今回上場したOpera Ltd.には、いくつかの製品がある—— デスクトップ・ブラウザー、複数のモバイル・ブラウザーおよび、スタンドアロンのOpera Newsアプリ。全体では、毎月1.82億人がOpera製品を少なくとも1つ使っている。

Operaにとって主要な課題は、売上の大部分が2つの検索エンジン契約——GoogleおよびYandex——から成っていることだ。この2社はOpera製品のデフォルト検索エンジンになることに対して費用を支払っている。Yandexはロシアでのデフォルト、Googleはそれ以外の国々のデフォルトになっている。

同社は広告およびライセンシング契約によっても収益をあげている。Operaを初めてインストールすると、ブラウザーにはeBayやBooking.comなど、デフォルトで様々なサイトが登録されている。これらの企業はOperaに料金を支払っている。

Operaは今後、できるだけ多くのユーザーを集めてIT巨人らに対して意味のある存在であり続ける必要がある。Operaのビジネスモデルは、ユーザー基盤と直接相関している。Operaを使う人が増えれば、会社がGoogleやYandexや広告パートナーから手に入れる金額が増える。

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LightがSoftBankのリードで$121Mを調達、ユニークなカメラ技術をまずスマートフォンで実証へ

レンズが16あるカメラで独自の撮像技術に固執するLightが、SoftBankの大型ファンドVision FundからシリーズDで1億2100万ドルの巨額を調達することになった。

このラウンドをリードしたのがVision Fundで、およそ1億ドルをSoftBankが確保した。ほかに、カメラの名門Leica Camera AGが参加した。今日(米国時間7/18)の発表によると、Lightのこれまでの調達総額はほぼ1億8600万ドルになる。

Lightはその初めての製品L16を予価1950ドルで発表し、それを2017年に発売した。そのカメラは16個のレンズを使って52メガピクセルの画像を撮り、感動的な結果を作り出した。しかも、たぶんいちばんの注目は、L16がとても小さくてスマホなどの携帯端末やそのほかの携帯型の機器装置にぴったり便利であることだ。

サイズが小さいことと、スマートフォンの写真ブーム、両者が合わさるとこうなっても不思議ではない。製品の詳細は不明だが、Lightによると、同社のモバイル技術はOEMからのライセンスで、そこはLightのカメラを搭載したスマートフォンを9月に出す予定だ。

同社の声明は、こう言っている: “今の時代には、ポケットタイプの、インターネットに接続されたカメラが、世界を三次元の超人的な詳細さで再構築し、車はまわりの物をセンサー不要で感知でき、そしてロボットは針の小さな穴に自力で糸を通せる”。

今の、裏面に最大7つのカメラを載せられる同社のスマートフォンは、それが発売されたら“モバイル写真の概念を根底から揺るがす”そうだ。

そしてLeicaとのパートナーシップは、Lightの技術を利用した消費者向けカメラを共同開発するためだ。ただしこれについては、スマートフォンのカメラ以上に現状は漠然としている。

今度の新しい資金は、モバイルへ向かうものだろう。同社によると、最初は消費者製品に向けられた同社の技術は、今後セキュリティやロボット、自動車、航空機、工業画像技術などの分野に利用されていくだろう。

このような拡張意欲は、SoftBankのVision Fundのビジョンによく符合する。それは、世界のトップクラスのテクノロジー企業を糾合して、それらのシナジーを促進する、というビジョンだ。すでにチップメーカーのARMNvidiaもこのファンドに支援されているから、Lightもそういう集合体の仲間として多くの機会を望めるだろう。

下のビデオは、LightnのCEO Dave Grannanのインタビューだ。彼はCES 2016でL16を披露した。

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書評:『エンジェル投資家 』――Uberで場外満塁ホームランのジェイソン・カラカニスが投資の極意を説く

TechCrunch翻訳チームの同僚、高橋信夫さんとジェイソン・カラカニス(Jason Calacanis)の『エンジェル投資家』を翻訳したので書評かたがたご紹介したい。

ジェイソン・マッケイブ・カラカニスはUberが誰も知らないスタートアップだったときに2万5000ドルを投資した。それが今年は3億6000万ドルの評価額となったことで、多少のことには驚かないシリコンバレーもショックを受けているらしい。

この本を読んでいると知らず知らず自分もエンジェル投資家として起業の修羅場に出ているような気分になる。この迫力、説得力はジェイソン・カラカニスというベンチャー投資家として異色の人物の経歴と分かちがたいように思う。

ジェイソンはもともとインターネットのセレブだったが、初期のTechCrunchともいろいろ縁があった。2003年というインターネットの最初期にブログの将来性をいち早く認めてWeblogs. Incというスタートアップを立ち上げ、後にAOL(現在のTechCrunchの親会社でもある)に売却することに成功した。Weblogsという社名が時代を感じさせる。当時ウェブメディアはウェブログと呼ばれており、ブログはその短縮形として生まれた。ちなみにTechCrunchの姉妹ブログ、EngadgetもWeblogs出身だ。

ジェイソンはその後TechCrunchのファウンダー、マイケル・アリントンと共同でスタートアップによるプレゼンを中心とするカンファレンスを立ち上げた。これが現在のDisrupt SFの前身となる。

最初のカンファレンスはサンフランシスコのプラザホテルのボールルームで開催された。今から考えるとずいぶんこじんまりした会場だったが、当時のTechCrunchはまだ知名度の低いブログだったので取材してその盛況に驚いた。ジェイソンと初めて会ったのはこの時で、小柄ながら全身からエネルギーを発散して会場を仕切っていた(右写真)。

その後マイクと意見の相違があったらしくTechCrunchカンファレンスからは離れ、ロサンゼルス近郊に移ってMahaloという人力検索エンジンを立ち上げた。このコンセプトは今のQuoraに近いものでこれも先見の明があったと思うが、大ブレークするというところまではいかなかった。その後、最初期のスタートアップに少額の資金を提供する投資家になったと聞いたものの、当時ははっきり言ってその意味をあまりよく理解できていなかった。

ところがUberがアラジンの壜から出た魔神のようにあっという間に世界的大企業に成長するにつれ、ジェイソンがその最初期の投資家の1人だと聞くようになった。しかし翻訳にあたってAngel: How to Invest in Technology Startups(『エンジェル投資家』の原題)を読んで決して順風満帆でそこまで来たわけではないことを知った。

アメリカで成功した起業家はシアトルの有力弁護士の息子のビル・ゲイツ、大学教授の息子のラリー・ペイジとサーゲイ・ブリンなど上層中産階級出身が多い。マーク・ザッカーバーグもニューヨーク近郊の流行っている歯科医の家庭に生まれた。それにこの全員がハーバード、スタンフォードに行っている。ところがジェイソンはほとんど無一物からの叩き上げだった。

『エンジェル投資家』でジェイソンは「大学の夜学に通うために地下鉄に乗るときポケットには2ドルしかないのが普通だった」と書いている。ギリシャ系(カラカニス)の父はブルックリンでバーを経営していたが破産して差し押さえを受け、アイルランド系(マッケイブ)の母が看護師の仕事でなんとか一家を支えたという。

貧しい家に生まれ名門大学の出身者でもないジェイソンがどうやってIT投資で1万倍ものリターンを得るような成功を収めたのかといえば、本人も書いているとおり強運という要素があるだろう。エンジェル投資はいつもそんなにうまくいくとは限らない。しかしうまくいくこともあるというのはジェイソンが実証しているし、いわゆる「確実な投資」にも投資であるかぎり必ず大きなリスクが潜んでいるのは最近のニュースでもよくわかる。ジェイソンによれば、「当たり前のナンバーズくじでは7桁の数字を当てなければならないがこの本の方式によって投資するなら2つの数字を当てるだけでいい」という。

その正しいエンジェル投資のノウハウを解説するのがこの本のメインの目的だ。執筆の動機はスタートアップ・エコシステムの発展のためにエンジェル投資が不可欠の要素であり、具体的な役割やノウハウを広く知ってもらう必要があると考えたからだという。主としてアメリカの読者を想定しているのでそのまま日本の事情に移しかえるのが難しい点もある(「最大のチャンスはシリコンバレーにある」など)が、スタートアップを成功させる秘密を投資家、起業家両方の立場から非常にわかりやすく説明している。ベンチャー投資特有の用語についてもそのつど意味を書いているのでその面の予備知識はあまり必要ないだろう。

 

ただ「スタートアップ」だけはあまりに当たり前なコンセプトだったと見えて初出で定義していない(「スケーリング」を説明するところで触れている)。TechCrunchのほとんどの読者にはこれで違和感ないと思うが、一般読者にはまだ馴染みの薄い言葉だったかもしれない。逆に本書で「スタートアップ」というコンセプトとその必要性が広く認識されるきっかけになればいいと思う。

本書は32章に分かれており、それぞれ内容を要約するタイトルが付されている。章立てはおおむね、エンジェル投資の概要とメリット、実際の業務のノウハウ、注意すべき点、エグジット(現金化)、といった順序だ。ただし章は並列的なので読者は興味がある部分から読み始めることができる。

本書には日本を代表するベンチャー投資家の1人、孫泰蔵氏が序文を寄せている。たいへん率直かつ的確な内容紹介だと思うのでぜひご一読いただきたい。

ちなみにジェイソンは何度か来日している。左の写真は宝くじ売り場の招き猫の前でおどけているところ。左手を挙げている招き猫は「人を招く」縁起物だそうだ。ジェイソンはこの本で「私はどんなプロダクトが成功しそうかなどまったくわからないのだと気づいた。私は成功しそうだと思う人間に投資することにした」と書いているが、Uberを引き寄せたのは日本の招き猫の力もあったかもしれない。

エンジェル投資家 リスクを大胆に取り巨額のリターンを得る人は何を見抜くのか』(日経BP刊)は通常版に加えてKindle版も提供される。

画像:Umihiko Namekawa

ドラッグ&ドロップで簡単にAlexaのスキルを作れるStorylineが77万ドルを調達

Alexaに不満を感じたことは、ないですか? 冗談が通じないし、‘怖い話’をリクエストしても全然怖くない。そこで、会話のブロックをドラッグ&ドロップして積み上げ、誰もが簡単にAlexaのスキルを作れるサービスStorylineが、Boost VCがリードするラウンドで77万ドルを調達し、そのスキルビルダーのAPIをさらに充実させようとしている。

Alexaのような、複雑な音声認識ソフトウェアが動くスマートスピーカーとクリエイターの間には、“テクノロジー”という障壁がある。2017年にローンチしたStorylineが目指すのは、その障壁をなくすことだ。CEOで協同ファウンダーのVasili Shynkarenkaによると、チームとインタフェイスを拡充してGoogle HomeのようなAlexa以外のスマートスピーカーにも対応し、またそのインタフェイスには広告や他サービスへのリンクなど収益化の仕組みを導入したい、という。

Alexaとの対話をドラッグ&ドロップで組み立てられるStorylineのユーザーフレンドリーなインタフェイスは、「コマンド」と「応答」という対話的関係をまさに対話的に構築しカスタマイズできる。スキルやフラッシュブリーフィングを作るためのテンプレートも、いくつか用意されている。作ったスキルの音声認識やロジックを、ブラウザー上でテストできる。

これまで、12000名あまりのユーザーが、Alexa Skills Storeに2500のスキルを発表している。それは、このストアにあるスキルの6%に相当する。Alexa Skills Challenge: Kidsでグランプリを取った作品も、Storylineのインタフェイスを利用している。そして老舗のWebマガジンSlateも、Storylineを使っている。

Shynkarenkaによると、スマートフォンのアプリを作ることと、スマートスピーカーのスキルを作ることは、全然違う。

“Alexaを、スマートフォンやWebと同じようなソフトウェアプラットホームだと考える人が多いけど、そうではない”、と彼は言う。“Alexaで人気のスキルは、友だちとチャットできたり、ソーシャルネットワークを閲覧できるアプリではない。人気が高いのは、コンテンツのアプリだ。たとえば、夕食時に家族と楽しめる雑学クイズなんかだね”。

YouTubeにビデオのクリエイターが群がっているように、Shynkarenkaの構想ではStorylineが各種スマートスピーカー向けのコンテンツのホームになってほしい。同社にはすでに2500人のクリエイターのコミュニティがあり、コンテンツの制作や共有を楽しんでいる。

でも、テンプレートなどを使って簡単にスキルを作れるサービスは、ほかにもある。たとえばご本家のAmazonは、テンプレートからスキルを自作できるAmazon Blueprintsを、4月に立ち上げた。

スマートスピーカーも、それらのスキルの制作も、これからますます活発な世界になりそうだから、今のAlexaなどと違って、もっと完全にカスタマイズできる‘あなただけの’スマートスピーカーも、いずれ必ず登場するだろうね。

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Dell、まもなく(再び)上場へ

Dellは、2013年にIT業界最大級のレバレッジド・バイアウトで非上場会社になったが、このたびやや複雑な手順を経て 再び上場することを今日発表した。ファウンダーのMichael DellとSliver Lake Partnersが主に経営を司る。

Dellのレバレッジド・バイアウトは、かつてのTV CM “dude, you’re getting a Dell” に象徴される同社のPC供給業者としての歴史の最終ページを飾った。同社はその波にのって市場を支配するまでにいたったが、コンピューターがノートパソコンやモバイル端末へとシフトし、複雑な作業はAmazon Web Service、Azure、Google Cloudなどのクラウドサービスに分散されるようになるにつれ、Dellは複雑な環境の中を渡り歩きながら、PC時代の先を見越した大きな業務転換を迫られた。これでDellは気まぐれな公開市場に付き合わざるを得ず、会社に必要な早急な転換よりも短期的な悲観主義に悩まされることになる。

取引は同社のVMWareに連動する株式を売りに出すもので、その連動株式をDell Technologies株に転換することでDellが再び公開企業になる。それらの株式は最終的にNYSEで取引される。同社のファウンダーがSliver Lake Partnersとの約250億ドルの取引で非上場会社にしてから約5年になる。Sliver Lake Partnersは会社の約24%を保有し、一方Dell氏は72%を保有し引き続き同社のCEO・会長を務める。今回のやり方はIPO手続きを回避することで、投資家候補が会社を調べ上げる膨大な時間を排除できる。

Dellは、最近の四半期で売上214億ドル、対前年比19%増を達成し、過去1年間では売上824億ドル、純損失23億ドルだった。さらに同社は、2016年にEMCと合併して以来総額130億ドルの負債を返済したことも報告した。すべては、パソコンを売るだけではない新しいビジネスを探る同社の変遷の一部だが、オフィスに置かれるパソコンの需要は今も世界中に存在する。幅広いITサービスの提供者へと事業を拡大するにつれ、同社は自身を近代的エンタープライズツール提供会社と位置づけようとしているのかもしれない。そうすることで、公開市場で堅実に立ち振る舞うとともに、会社の価値を正しく評価する手段を投資家に提供できるだろう。

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ブラウザーのOperaが上場申請

ノルウェー拠点のブラウザーメーカー、Opera Ltd.が米国で上場申請した。提出されたF-1書類によると、同社は1.15億ドルの調達を目標としている。

2017年にOperaは1.289億ドルの経常利益を生み、純利益は610万ドルだった。

多くの人はウェブブラウザーのOperaに馴染みがあるだろうが、会社自身は激動の歴史を経験してきた。Operaの株主らは会社を2つの実体に分割した——ブラウザーメーカーと広告運営会社だ。

現在広告会社の部分はOtelloと呼ばれている。そして中国企業の共同体がウェブブラウザーと消費者向け製品とOperaブランドを買収した。今回上場するのは後者の部分だ。

現在Operaはデスクトップパソコン向けウェブブラウザー以外に、携帯電話向けウェブブラウザーをいくつか提供している。Androidでは、Opera、Opera Mini、およびOpera Touchをダウンロード可能だ。iOSで利用できるのはOpera Miniだけだ。最近同社は、スタンドアロンのOpera Newsアプリも公開した。

Operaには全体で1.82億人の月間アクティブユーザーがいる。デスクトップブラウザーの月間アクティブユーザーが5740万人、Opera Newsのユーザーがブラウザーとスタンドアロンアプリ合わせて9020万人いる。両社のユーザー基盤にはある程度重複がみられる。

また、Operaの収入源が3つしかないことは興味深い。主要な収入源は2つの検索エンジンとの契約から来ている。デフォルト検索エンジンは、ロシアではYandex、世界のそれ以外の場所ではGoogleだ。同社のユーザー基盤が増えるにつれ、パートナーはデフォルト検索エンジンのままでいようと、さらに高く払う。

「わずかな数のビジネスパートナーが、収益の大部分に寄与している」と同社はF-1書類に書いた。「2017年、上位2社のビジネスパートナーを合わせて経常利益の56.1%を占めた。Googleが43.2%、Yandexが12.9%だった。」

それ以外は広告とライセンス事業だ。OperaのスピードダイヤルにはBooking.comやeBayなど様々なウェブサイトが事前登録されていることに気づくだろう。これらが広告パートナーだ。一部のメーカーや通信会社は端末にOperaブラウザーをプレインストールしている。同社はそこからも収益を得ている。

ブラウザー市場は非常に競争が激しくOperaはGoogle、Apple、MicrosoftといったIT巨人らと戦っている。その一方で、人々は多くの時間をブラウザーで過ごしているので、おそらくOperaのような小さなブラウザー会社でも、入り込む余地があるということなのだろう。同社はNASDAQに上場しティッカーシンボル OPRA で呼ばれる。

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2017年誕生のKubernetesに特化したCI/CDプラットホームCodefreshが早くもシリーズBで$8Mを調達

Kubernetesのコンテナエコシステムのための継続的インテグレーションとデリバリーのプラットホームCodefreshが今日(米国時間6/27)、MicrosoftのベンチャーファンドM12がリードするシリーズBのラウンドで800万ドルを調達したことを発表した。Viola Ventures, Hillsven, そしてCEIFがこのラウンドに参加し、これで同社の調達総額は1510万ドルになった。

このところ、CI/CDプラットホームは毎日どこかで生まれているようだが、CodefreshはKubernetesへの特化で自己を差別化している。Kubernetesは今や必須かつデファクトスタンダードのコンテナオーケストレーションサービスで、その採用は急速に増えている。Codefreshがやることは、Kubernetesへのアプリケーションのデプロイを助けることによって、“開発時間を最大で24倍はやくする”ことだ。それはあまりにも楽観的な数字だが、Kubernetesを使うアプリケーションの開発にCI/CDが加われば、開発とデプロイの工程がスピードアップすることは確かだろう。

Codefreshの協同ファウンダーでCEOのRaziel Tabibは語る: “Kubernetesの採用が急激に増えているから、ツールチェーンがそれに対応していない。M12は、そのことをよく知っている。今回得られた資金により、弊社のロードマップを加速し、顧客ベースを拡大したい”。

Codefreshのプラットホームがデビューしたのは2017年で、同社によると現在のユーザーは約2万社だ。その中には、Giphyなどもいる。

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WordPress.comがAtavistの買収で支払い決済や有料購読制をサポートか

本誌TechCrunchのベースシステムであるブログプラットホームWordPressを作り、そのほかにもWooCommerce, Longreads, Simplenoteなどのプロダクトを提供しているAutomatticが、ブルックリンのスタートアップAtavistを買収する。

Atavistは、主に個人のブロガーやライターのための、コンテンツ管理システム(CMS)を提供している。AtavistのWebサイトから、誰もが簡単に、画像やビデオや地図など多様なメディアを含むストーリーを書いて公開できる。

そうやって自分のWebサイトを作るのなら、そもそもWordPress.com(AutomatticがホストするWordPress)でよいではないか。SquarespaceのようなWebサイトビルダーもある。でも、Atavistを使うとペイウォール(paywall, 支払い決済システム)を作れるし、購読などの有料会員制(サブスクリプション, subscriptions)のセットアップもできる。

多くのライターが、Webサイトの技術的な細部を自分で扱いたくない、と思っているから、そんな人たちのためにAtavistは便利なツールを用意し、ユーザーが自分のストーリーに集中できるようにしている。

Atavist自身にも、Atavist Magazineという刊行物がある。これ自身もやはり、Automatticの傘下になる。Longreadsの一部になるのか、独自性を維持するのか、それはまだ分からない。

AtavistのCMS本体はそのままではなく、WordPressに統合される、とAutomatticは言っている。これが、この買収ドラマのおもしろい部分だ。

CMSとしてはWordPressの方がたぶんAtavistより相当にしっかりしているが、Automatticはさらに、サブスクリプションとペイウォールの提供を開始したいのかもしれない。月額のサブスクリプションをネイティブで(本体機能として)提供するWordPress.comのWebサイトを想像できる。

今や、全Webサイトの30%がWordPress上だ、と言われる。自分のサーバーの上でオープンソースのWordPressを動かしているところもあるし、本誌TechCrunchのように、Automatticがホストし動かしているWordPress CMS、すなわちWordPress.comの上にブログなどを構築提供するところも少なくない。

このWordPress.comでサブスクリプションができるようになると、それはWebにとって良いニュースだ。Mediumはそのサブスクリプションプログラムを唐突にやめてしまい、個人の出版者の多くが途方に暮れた。購読の有料制を導入したい個人ライターは、もうMediumを信ずる気にならないだろう。

AutomatticはAtavistをベースに、複数の出版サイトのサブスクリプションを管理するシームレスなポータルを作れる。そして、広告のない優れたコンテンツが増えるだろう。

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オープンソースWebサーバーの雄NginxがシリーズCの$43Mでさらなる拡張を計画

オープンソースのWebサーバーNGINXを作っているNginxが今日(米国時間6/20)、Goldman Sachs Growth Equityが率いるシリーズC、4300万ドルの資金調達を発表した。

初期の投資家として取締役を送り込んでいるNEAも、このラウンドに参加した。今回はGoldman Sachs Merchant Banking DivisionのマネージングディレクターDavid Campbellが、同じくNginxの取締役会に加わる。同社によると、今回の投資でこれまでの調達総額は1億300万ドルになる。

このラウンドにおける同社の評価額は、公表されていない。

オープンソースのNGINXは評価が高く、著名な大手サイトも含め、全世界で4億のWebサイトを動かしている。一方、商用バージョンには1500の有料顧客がおり、同社は彼らに、サポートだけでなく、ロードバランシングやAPIゲートウェイ、アナリティクスなどの機能を提供している。

NginxのCEO Gus Robertsonは、名門の投資家たちから支持を得たことを喜んでいる。“NEAはシリコンバレーの最大のベンチャーキャピタリストのひとつであり、Goldman Sachsは世界最大の投資銀行のひとつだ。この両者が共同で今回のラウンドをリードしたことは、企業と技術とチームにとって、すばらしい評価だ”、と彼は述べている。

同社にはすでに、商用製品Nginx Plusを今後数週間かけて拡張する計画がある。“われわれには、イノベーションを継続して、われわれの顧客が分散アプリケーションやマイクロサービスベースのアプリケーションをデリバリするときの、複雑性を軽減する必要がある。そのために数週間後には、Controllerと呼ばれる新製品をリリースする。ControllerはNginx Plusの上のコントロールプレーンだ”、とRobertsonは説明する。Controllerは昨年の秋に、ベータでローンチした

しかし4300万ドルを得た今では、同社は向こう12-18か月でNginx Plusの本格的な‘増築’をしたい意向だ。また、世界各地にオフィスを開いて国際展開を本格化したいし、パートナーのエコシステムも大きくしたい。そしてこれらの取り組みの結果、年内に社員数を現在の220名から300名に増やしたい。

同社のオープンソースのプロダクトは最初、2002年にIgor Sysoevが作った。オープンソースのプロジェクトをベースに彼が商業的企業Nginx社を作ったのが、2011年だ。そしてその1年後に、RobertsonをCEOに迎えた。同社は2013年から今日まで、各年の前年比成長率100%を維持し、その軌道は2019年にも継続すると予想している。

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改造機のマーケットプレースBack Marketが$48Mを調達…スマートフォン市場の成熟で成長企業に

古いスマートフォンを改造機/改装機のWebサイトで売ろうとしたら、タブをたくさん開いて買い取り値段を比較することになるだろう。そこでフランスのBack Marketは、この断片化した産業をなんとかすべく、すべての改造機屋さんが集まれるマーケットプレースを作り、一箇所であらゆるニーズが満たせるようにした。

同社は今日、4800万ドルを調達した。投資家は、Groupe Arnault, Eurazeo, Aglaé Ventures, Daphniなどだ。

5月に取材したときは、同社に270あまりのファクトリーが登録している、と言った〔たぶん170の間違い〕。Back Marketが3年間に扱った商品総額は、1億1000万ドルを超えている。今サービスの供用地域はフランス、ドイツ、スペイン、そしてイタリアだ。アメリカにも、最近進出した。

協同ファウンダーでチーフクリエイティブオフィサーのVianney Vauteはこう言う: “改造機は一部のテクノロジーマニアのものだったけど、Back Market以降は一般消費者の一般的な代替機だ”。

複数のファクトリーとパートナーしていると、価格や故障率、品質保証などが良い方向へ揃っていく。選ぶパートナーは、その質で厳選している。このマーケットプレースに参加したいスタートアップは、消費者が信頼するブランドを築く必要がある。

いちばん突出している製品はスマートフォンとラップトップだが、ほかにゲーム機やテレビ、ヘッドホン、コーヒーマシンなども扱う。Apple自身が改修したApple製品も売っている。

今のスマートフォン市場は成熟市場なので、ぴかぴかの新品でなくてもよい、というお客は多い。昨年や一昨年の機種でも、十分に使えればそれでよい、という。そんな今の時代は、Back Marketにとっても、改造機産業にとっても、ビッグな機会だ。

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SoftBankのVision FundがCohesityのハイパーコンバージドデータプラットホームへのシリーズD$250Mの投資をリード

サンノゼのエンタープライズソフトウェア企業Cohesityが、SoftBankのVision Fundが率いる応募過多のシリーズDラウンドで2億5000万ドルを調達し、その調達総額が4億1000万ドルに達した。同社は、プロダクションアプリケーションの外に発生する二次的データをすべて保存し管理するための、ハイパーコンバージドデータプラットホームを顧客に提供している。

今日(米国時間6/11)のプレスリリースで同社は、SoftBankの巨大なVision Fundがエンタープライズソフトウェア企業に投資するのは今回でわずか二度目だ、と言っている。総サイズ約1000億ドルと言われるこのファンドは、今後の投資計画を除外して言えば、2017年の9月にエンタープライズメッセージング企業Slackへの同じく2億5000万ドルの投資をリードしている。

Cohesityはハイパーコンバージドセカンダリーストレージ を、パブリックおよびプライベートなクラウドにまたがる、エンタープライズのインフラストラクチャのもっと大きな変容を目指す第一歩として開拓した。SoftBank Investment AdvisersのシニアマネージメントパートナーDeep Nisharは、この投資を支持する声明の中で、こう述べている: “CohesityのWebスケールでGoogle的なアプローチと、クラウドネイティブなアーキテクチャ、そしてそのとてつもない単純性は、ITのビジネスを抜本的に変えようとしている”。

今回の投資にはCohesiveの既存の戦略的投資家たちも参加している。それらは、Cisco Investments, Hewlett Packard Enterprise(HPE), そしてMorgan Stanley Expansion Capital, 初期の投資家であるSequoia Capitalらも参加した。

同社によるとこの投資は同社の今後の“大規模なグローバル展開”に充てられ、同社プロダクトのコストメリットや、複数の別々の点的ソリューションを一点に統合することによる大きな節約効果を、もっと多くのエンタープライズに訴求していきたい、としている。顧客獲得のためのもうひとつの重要な訴求が、同社の戦略的投資家であるCiscoやHPEからのサポートがある、という点だ。

Cohesityによると、最前の二つの四半期で200社以上の新たなエンタープライズ顧客が増えた。それらは、Air Bud Entertainment, AutoNation, BC Oil and Gas Commission, Bungie, Harris Teeter, Hyatt, Kelly Services, LendingClub, Piedmont Healthcare, Schneider Electric, San Francisco Giants, TCF Bank, U.S. Department of Energy(合衆国エネルギー省), U.S. Air Force(アメリカ空軍), などだ。年商は、2016年から2017年にかけて600%増加した。

同社のファウンダーでCEOのMohit Aronは、こう述べている: “私のビジョンはつねに、エンタープライズにクラウドのような単純性を提供し、彼らの複雑に断片化しているアプリケーションやデータをシンプルに統一することだった。そうすれば、バックアップでもテストでも開発でもアナリティクスでも確実に同じデータが使われていることが保証され、IT全体の費用効率と質が向上する”*。〔*: これがハイパーコンバージド(超収束)のキモである。統一には、ハードウェアの統一も含まれる。参考記事。〕

“Cohesityは過去12か月で業績に大きな勢いがつき、マーケットシェアも伸びた。まだスタートしたばかりの企業なのに〔創業2013年〕”。

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ディープラーニング専用チップのHailoが$12.5Mを調達、従来型CPUの数倍の性能を達成

これまであまりにも長く、チップは退屈な話題だった。でもでディープラーニングというコンピューティングの革命のおかげで新しい市場が開け、スタートアップがディープラーニングとモデルの計算を加速する専用チップを作って、売ることができるようになった。イスラエルのHailoもそんなスタートアップのひとつで、同社は組み込みデバイス用のディープラーニングチップを作っている。同社は今日(米国時間6/5)、シリーズAで1200万ドルの資金を調達した。

投資家はイスラエルのクラウドファンディングプラットホームOurCrowdのほか, Maniv Mobility, Next Gear, それに複数のエンジェル投資家で、その中にはHailoの会長Zohar Zisapel, Delek MotorsのGil Agmonらがいる。

これでHailoの調達総額は1600万ドルになるが、資金はもっぱら今後のディープラーニングプロセッサーの開発に充てられる。同社の予測では、最初の製品のサンプルを市場に出せるのが2019年の前半だ。それらのチップは主に、ドローンや自動車、各種スマートホーム製品、カメラなど多様なデバイスの、組み込みAIアプリケーションを駆動する。

しかしHailoの主力市場は自動車産業だ。その意味では同社は、最近Intelが買収した同じくイスラエルのMobileyeの後を追う形だ。

HailoのCEO Orr Danonはこう述べる: “これまでのプロセッサーのアーキテクチャは70歳の老人で、今日のディープラーニングやAIの処理ニーズに適していない。Hailoはプロセッサーの革命的なアーキテクチャにより、ディープラーニングの処理を数倍速くする。われわれはコンピューターのアーキテクチャの基本要素であるメモリーとコントロールとコンピュートと、それらの間の関係を、完全に新しい設計にした”。

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デバッグをワークフローに統合してエラーの発見と修復を迅速化するSentryがS16Mを調達

デバッグを大幅に効率化し、その所要時間を“5時間から5分に短縮する”と自称するSentryが今日(米国時間5/24)、これまでの投資家NEAとAccelがリードするシリーズBのラウンドで1600万ドルを調達したことを発表した。NEAとAccelは、Sentryの2年前のシリーズAにも参加している。

協同ファウンダーでCEOのDavid Cramerによると、このラウンドでSentryの調達前評価額はおよそ1億ドルになった。同社が最近リリースしたSentry 9は、同社のそのほかのソフトウェアと同様、オープンソースだ。Sentry 9を使うとエラー修正をデベロッパーのワークフローに統合/一体化でき、コードの各部を担当しているデベロッパーに自動的に通知を送り、環境でフィルターする*ことによって、問題箇所の特定を助ける。またそれにより、複数のチーム間のコラボレーションも可能にする。同社によると、この方式ならバグフィックスに要する時間が“5時間から5分に短縮される”、という。〔*: 参考記事

同社は、とくにプロダクトのチームでは、“デベロッパーと彼らに隣接しているロールを重視する”、とCramerは語る。そこで同社が次に出す予定のツールは、単純なバグでなく、アプリケーションのパフォーマンス管理に関連したより深い疑問に答えるものだ。

“今の弊社のツールが答える疑問は、‘ここのこれが壊れているんだけど、なぜ?’というレベルの疑問だ。それをもっと拡張して、‘これら一連のものごとが同じ理由で壊れているのか?’というより深い洞察に取り組みたい。エラーでないものも、調べなければならない。たとえば、プロダクトのアップデートをデプロイしたら、サインアップフォームへのトラフィックがゼロになった。どこにもエラーはないが、相当深刻だ。…そんな例だ”、とCramerは述べる。

Sentryの技術は、ファウンダーのChris JenningsとCramerがDisqusにいたとき担当したDjanaアプリケーションの、例外(エクセプション)をログする社内的ツールがルーツだ。そのツールをオープンソースにしたら、たちまち、いろんなプログラミング言語用のフォークができてしまった。その需要に応えるべく、2012年にSentryはサービスをホストした。今では有料顧客が9000社(Airbnb, Dropbox, PayPal, Twitte, Uberなど)、計50万のエンジニアが利用し、1年に3600億件あまりのエラーを処理している。

プレス向けの声明でAccelのパートナーDan Levineが言っている: “Sentryの成長は、世界中どこでも、アプリケーションのユーザーが、バグやクラッシュのない完全なユーザー体験を求めていることの証(あかし)だ。お粗末なユーザー体験は、会社を殺す。迅速かつ継続的に前進できるためには、プロダクトのチームは、アプリケーションのアップデートの不具合で去る顧客はいないことを、知る必要がある。重要なのはソフトウェアの本体機能であり、その機能性だけは、エラーフリーでなければならない。Sentryは、デベロッパーがそんなソフトウェアを作れるようにしてくれる”。

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ドッグシッターのスタートアップ、Roverが1.55億ドルを調達

犬の散歩と預かりサービスのスタートアップで、昨年の今頃DogVacayと合併したRoverが、 1.55億ドルの大型資金調達ラウンドを実施する。

この分野ではライバルのWagが圧倒的勢力をもっているが、二番手となり、さらには巨額の資金をバックにWagを追い抜くチャンスもある。DogVacayとRoverはよく似たビジネスモデルで合併にいたり、Wagにとって大きなライバルとなった。 Wall Street JournalによるとRoverのラウンドの会社評価額は9.7億ドル。

Wagは今年、SoftBankのリードで3億ドルの巨大ラウンドを実施した。Softbankはスタートアップに次々と巨額を注ぎ込んでおり、ベンチャーキャピタルの構図を変えようとしている。そして、さまざまなドッグケアサービスに大きな関心をしめしており、Roverももちろんそのひとつだ。サンフランシスコの町を歩いているとすばらしい犬をたくさん見かけるし、犬の飼い主を相手にするビジネスに大きなチャンスがあることは間違いない。

Roverは、ドッグオーナーを、散歩、預かりその他のドッグケアをする人々に引き合わせる。ユーザーは地域内のドッグウォーカーやドッグシッターをアプリで予約する。これはWagがかつて多くの批判に直面した部分であり、劣悪なサービス(迷子を含む)についてBloombergに大きく取り上げられた。 なんであれ日常の仕事を第三者にまかせるUberのようなサービスには数々の試練が待ち受けているのは当然だ。

Roverはウェブサイトに、「シッター候補の20%以下しか採用していない」と明記している。これはWagをはじめとするこの業界全般に対する批判を和らげ、潜在顧客の心配を軽減するためだろう。Roverによると、現在北米全体で20万人のシッターが当路さされている。同社は以前のラウンドで1.56億ドル調達している。

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テクノロジー教育のPluralsight、IPO当日に30%以上の高値

Pluralsightは上々の市場デビューを飾った。株価はIPO後の初取引から30%以上値上がりした。

昨夜になって当初の目標価格を引き上げたPluralsightは、IPOの調達金額を減らすのではないかという議論も多少あった。12~14ドルの予定だったIPO価格を15ドルにしたことで、引受会社向けの追加株式と合わせて3.57億ドルを調達することが見込まれた。しかし今日の高値は同社への期待の高さを表すとともに、もっと多くの資金を集められた可能性も示唆している。

ともあれPluralsightのIPOは最近上場したzScalarやDropboxと並んでかなりの成功とされるだろう。Pluralsightは、他の多くのエンタープライズ向け企業と同じく、気まぐれな消費者の行動に惑わされず着実に方法的に成長するビジネスモデルを投資家に示している。Dropboxはどちらかといえばハイブリッドモデルだが、エンタープライズIPOとして大きく成功したと考えられており、zScalarをはじめとする今年上場した他の企業も同様だ。

Pluralsightは、企業向けに従業員が新しいソフトウェアエンジニアリングのスキルを身につけるためのコースを提供している。社員数が無秩序に増大する大企業にとって、競争の激しい業界から人材を探すかわりに、社内でスキル不足の労働力を育てる機会を得られることは重要だ。その結果ユタ州のIT業界にあらたなユニコーン・スタートアップが生まれ、既存投資家へのうれしいリターンとともにリスキーな早期IPOを求めている投資家にもチャンスを与えることができた。

Pluralsightは2004年の創立後、ほぼ自己資金のみで賄ってきたが、2013年に最初の調達ラウンドを実施して以来、上場までに2億ドル近くを調達した。こうしたIPOの成功は、社員のモラル向上や気前のよい報酬パッケージで人材を呼べるという副次効果もある。PluralsightのIPO後の高騰や現在の実績は同社の成功の指標であり、ウォール街の関心は良い投資先であることの証だ。

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AIを利用して神経障害を治療するBrainQが$5.3Mを調達、世界最大の脳波データベースを持つ

イスラエルのBrainQは、脳卒中の後遺症や脊髄の損傷などで障害を抱える人びとを、個人化された電磁療法で治療している。同社はこのほど、これまでの350万ドルに加えて新たに530万ドルを調達したことを、発表した。その投資家たちは、Qure Ventures、クラウドファンディングのOurCrowd.com、Norma Investments、IT-Farm、そしてValtech CardioのファウンダーでCEOのAmir Grossなど数名のエンジェル投資家たちだ。

本誌TechCrunchが今年の初めにBrainQを取材したときには、彼らはイスラエルの脳卒中患者を対象とする2件の臨床試験を行っていた。当時の同社は最初の資金調達ラウンドを完了したばかりで、GoogleのLaunchpad Acceleratorとの協働も開始していた。

BrainQは、患者の脳波を利用して、その人に合った治療計画を作る。AIは、どんなに優れたアルゴリズムでも、データがなければ何の役にも立たない。BrainQによると同社には、運動能力に関する世界最大の、Brain Computer InterfaceベースのEEGデータベース(脳波図/脳電図データベース)があり、それを利用して患者の脳波を解釈し、治療計画を作りだす。

BrainQの脳波読み取りデバイス

“今われわれは、新しい時代の入口に立っている。これからはAIをベースとする精密医療が神経障害の治療に使われていく。ただしまだ現状では、十分なソリューションが存在しない”、とBrainQのCEO Yotam Drechslerが今日の発表声明で述べている。“BrainQでは、神経障害の治療のためにこのビジョンが現実化していく機会に、喜びを感じている。短期的には、われわれはすでに相当量の成果を達成し、われわれの技術をさらに前進させ利用を拡大して行ける機会を目前にしている。それによりBrainQは、BCI(brain-computer interface)ベースの精密医療における世界的リーダーになるだろう”。

イスラエルのスタートアップによくあるように、同社のチームにも国の諜報部門の優秀な出身者が含まれ、またAIや神経科学の学者や研究者たちが顔を揃えている。

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複数のデータベースの統一クェリインタフェイスを提供するPrismaが$4.5Mのシードを獲得

ベルリンとサンフランシスコに拠を置くPrismaは、データクェリ言語GraphQLに大きく賭けている。それは最初Facebookが、アプリケーションのサーバーと対話するフロントエンドのコードを容易に書けるようにするために開発したシステムだ。それ専門で行こうと決めたPrismaはこのほど、450万ドルのシード資金を獲得した。

シリコンバレーのKleiner Perkinsがそのラウンドをリードし、多くのエンジェル投資家たちが参加した(後述)。その多くはデベロッパーやオープンソースの世界の人びとで、GraphQLそのものを作ったNick Schrockもその中に含まれる。

本誌TechCrunchが、KleinerがPrisma(元Graphcool)への投資を検討していることを知ったのは3月だった。そのときはまだ、契約は完結していなかった。昨日(米国時間5/14)になってPrismaの協同ファウンダーでCEOのJohannes Schicklingが投資を確認し、オープンソースをよく理解しているヨーロッパのVCよりもアメリカウェストコーストのVCと投資家を選んだ、と説明した。そして彼は、より広いデベロッパーコミュニティに製品が採用されるためには、ユーザーベースの拡大も資金調達もボトムアップ方式が重要だ、と述べた。

そのためにPrismaも、最初のより狭いBackend-as-a-Service(BaaS)のモデルからオープンソースに転向し、中核的製品として“Prisma 1.0”を世に問うた。それは、Apache 2のオープンソースライセンスに基づくスタンドアロンのインフラストラクチャコンポーネントとしてリリースされた。

同社の主力製品/サービスは、すべてのデータベースにGraphQLのデータレイヤを導入することだ。そのベースとなる基本認識は、現代のバックエンドが、Postgres, Elasticsearch, Redis, Neo4jなどなど、機能が専門化された複数のデータベースの組み合わせならびに相互接続であることだ。この構造はそれらのデータベースに対する複雑な“マッピングロジック”を必要とし、それは、Prismaのような専門サービスを必要とする難題になる。Prismaは、それら多様なデータベースの集合に、GraphQLの単一のクェリでアクセスできるようにしてくれる。

Schicklingによると、今回の資金はチームの増員に充てられる。今のベルリンに加えて、サンフランシスコにオフィスを開く。プロダクトのロードマップとしては、サポートするデータベースをもっと増やす。現在のPrismaはMySQLとPostgresに接続するが、今後はMongoDB, Elastic, Cassandraなども加えていきたい。

現状では、従来からのオープンソース製品に加えて、セキュリティを強化したPrisma Enterprise(コンプライアンス、アクセスコントロール、オーディットロギングなど)と、コラボレーションでデータベース管理を容易にするPrisma Cloudがある。

さきほど名前を挙げなかったPrismaのシード投資家は、Robin Vasan(HashiCorp, Couchbase, InfluxDataの取締役), John Komkov(Fathom Capital), Augusto Marietti(KongのCEO), Guillermo Rauch(ZeitのCEO), Spencer Kimball(CockroachDBのCEO), Nicholas Dessaigne(AlgoliaのCEO)などだ。

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