CookpadTVが三菱商事から40億円を調達、共同で新事業も予定

クックパッドの連結子会社であり、料理動画事業を展開するCookpadTVは8月23日、三菱商事を割当先とした第三者割当増資により40億円を調達することを明らかにした。

CookpadTVはクックパッドの料理動画事業を分社化する形で、2018年4月に設立。2017年12月スタートの大手流通チェーンと連動して実店舗で料理動画を配信する「cookpad storeTV」をはじめ、ユーザー投稿型の動画撮影スタジオ「cookpad studio」、ライブ配信を通じてプロの料理家や有名人から料理を学べる「cookpadTV」など料理×動画の軸で複数のサービスを運営してきた。

中でもcookpad storeTVは全国のスーパーマーケットからの要望が高く、独自開発した店頭サイネージ端末の設置台数はまもなく1万台を突破する予定。配信している料理動画の週間閲覧者数も350万人を超えたという。

今回CookpadTVがタッグを組む三菱商事は原料調達から小売まで、食のバリューチェーンごとに事業アセットを持ちグローバルで食品関連の事業を展開する。資本提携を通じて三菱商事のネットワークやノウハウを活用し、cookpad storeTVの成長スピードを加速させるのが狙い。国内だけでなく海外進出も視野にいれていくという。

また三菱商事がグループ企業と展開する流通企業向けのデータ分析事業と連携した広告商品の開発など、店頭での新サービスの提供にも取り組む。

CookpadTVでは調達した資金をもとに積極的なプロモーションを実施し、cookpad storeTV以外の事業も含めてさらなる成長を目指すとともに、両者の強みを生かした新規事業も「年内を目処に開始する予定」としている。

新ユニコーン誕生:Root Insuranceが評価額10億ドルで1億ドルを調達

オハイオ州拠点のテクノロジーを活用した自動車保険のスタートアップ、Root InsuranceがシリーズDラウンドで1億ドルを調達した。リードしたのはTiger Global Management。これで同社の会社評価額は10億ドルに跳ね上がった。

Redpoint Ventures、Ribbit Capital、およびScale Venture Partnersもラウンドに参加した。

2015年設立の自動車保険会社はこの資金を使って既存市場の拡大とともに、新しい州へも進出しエンジニアやアクチュアリー[保険数理士]、請求・カスタマーサービスなどを増員して規模の拡大に備える。

Rootはドライバー向けの自動車保険を提供している。必ずしも新しいコンセプトではない。しかし同社は、顧客の運転状況に基づき、その他の要素も加味してプレミアムユーザーを認定する。ドライバーはアプリをダウンロードして、通常2~3週間のテストドライブを行う。Rootはそれに基づき、優良な運転挙動に報いる見積もりを出し、顧客は保険契約を切り替えることができる。保険料の支払いや証券の管理はRootアプリを通じて行う。

Rootによるとこの方式によって優良ドライバーは従来の保険会社と比べて50%以上保険料を安くできる。

同社はAIアルゴリズムを使用してリスクを判定し、それに基づいてディスカウントを提供する。たとえば、同社が安全性を高めると認めた高度な運転支援システムを搭載した車には、さらに割引が適用される。

「Root Insuranceは米国の自動車保険のデジタル革新をリードしている」とTiger Global Managementのパートナー、Lee Fixelが声明で語った。「この業界は変革の時を迎えている。本物の成果を得るための専門性とビジョンと勢いを持つチームに投資できることを大いに喜んでいる。同社はRootとの協力関係を強め、彼らが全米にわたって拠点を広げていくことに協力できることを楽しみしている」

同社は地元オハイオ州からこの2年間で20州へと活動の場を拡大してきた。2019年末までには全50州およびワシントンDCに進出する計画だ。

Drive CapitalとSilicon Valley Bankも同社に投資している。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、5000以上のターゲティング項目を削除して差別広告防止へ

今日(米国時間8/21)午前Facebookは、民族や宗教などにもとづいて広告対象を差別あるいは排除する誤った使い方を防止するために、同サービスの広告ターゲティングシステムを改訂すると発表した。同社はFacebookプラットフォーム上から、誤用により差別的広告を配信する可能性があるターゲティングオプション5000項目以上を削除したと述べた。

このニュースは、ごく最近米国住居・都市開発省(HUD)がFacebookに対して新たな告発状を提出し、同サービスは家主や住居販売業者が公正住宅法に違反することを 助長していると糾弾したことを受けたものだ。同省はFacebookの広告設定は広告主が特定の層をターゲットすることを可能にすることで法を無視していると指摘した。

「Facebookが収集した膨大な個人データを使って広告主の差別を助長することは、人を門前払いするのと同じことだ」と住宅・都市開発省のAnna María Farías次官補(公正住宅・機会均等担当)は同省が発行した声明で言った。

Facebookはこれに対して、こうした行為は同サービスの広告ポリシーで禁止されており、今後もHUDと協力して苦情に対応していくと答えた。

そして本日Facebookは、誤用の恐れのあるターゲティングオプション5000項目以上を削除すると発表した。

「これらのオプションは、特定の商品やサービスに興味のある人々に広告を届ける正当な方法として使用されてきたが、濫用のリスクを最小限にすることの方が重要であると判断した」と同社のブログ記事は説明している。Facebookは、削除されたオプションの一覧を提供していないが、宗教および民族に関係する項目であることは明記している。

また同社は、Ads Managerツールを使って米国の広告主に対して新たな認定を行うことを発表した。このツールの下では、広告主が住宅、雇用あるいはあるいは貸付の広告を掲載する場合、Facebookの差別禁止ポリシーに従っていることを正しく登録しなければならない。広告主は認定を受けるためにポリシーを理解するとともに入力フォームを通じてポリシーに同意する必要がある。

Facebookはこの認定のしくみはいずれ他の国々にも適用され、他のツールやAPIを通じて利用できるようになると言った。

今年Facebookは、差別的広告を掲載前に見つけるためにシステムを改訂し、広告レビュワーを増やすとともに機械学習技術を利用すると 発表した。さらに、広告主がキャンペーンを作成する前に、差別禁止ポリシーに関する警告を表示する新しいプロンプトを導入した。

しかし、これはは単に広告主が一定のオプションを選んで広告対象者をターゲティングする、ということではない——問題は、ターゲティングを使って特定の対象者を排除していることだ。Facebookは4月に、数千個のカテゴリーを人種、民族、性的指向および宗教に関連する項目を使った排除ターゲティングの対象から外した。

しかし同社はその広告ターゲティングツールが悪用される可能性について数年来批判されてきた。

たとえば2016年にFacebookは、住宅、雇用および貸付関連の広告で「民族親和性」に関するターゲティングオプションを 停止した。これはProPublicaのレポートが、これらのツールは住宅および雇用の違法な差別的広告に利用される可能性があると指摘した後のことだった。後にFacebookは、より明確なメッセージを発信するとともに、広告ポリシーを改訂 し、違法広告を識別するツールのテストを開始した。

また同社は最近、広告主が政治的信条、性別、宗教などに関連する興味分野に基づいてユーザーをターゲットすることを許しているとして 非難の的となった。これらのカテゴリーは現行の欧州データ保護法の下で「機密情報」として取り扱われている。同社は当時、ユーザーが自らの広告嗜好を管理できることについて説明してこれに応じた。

本日Facebookは、今後数ヶ月かけて広告ターゲティングをさらに改訂し、ツールの精緻化を進めると語った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple、MacBook Airの新モデルを発売か

Bloombergの記事によると、Appleは複数のMacを準備中だ。中でも注目なのは、Appleが歳を重ねたMacBook Airに変わる新しいエントリーレベルのノートパソコンを発売する可能性があることだ。

MacBook Airがリフレッシュされる噂はこれが初めてではない。Appleは12インチのRetina MacBookをすでに発売しているが、価格はMacBook Airよりずっと高い。また、USB Type-Cポートを1つしか備えていないためAirより汎用性も低い。

ともあれMacBook Airが近年Appleで最も人気の高いデザインのノートパソコンであることは間違いない。多くのMacBook Airユーザーが今も信頼できるこのデバイスを使い続けており、現時点で明確な後継機は存在していない。Bloombergによると、新しいMacBook Airにはretinaディスプレイがつくらしい。その他の詳細は未だ不明だ。

Appleは2015年3月にMacBook Airを改訂した後、しばらくこのノートパソコンを放置してきた。2017年6月に改訂されたものの、ごく些細な変更でありあたかもMacBook Airは生命維持装置につながれたかのように思われた。

エントリーレベルの13インチMacBook Pro(Touch Barのないモデル)も12インチのMacBookも、MacBook Airほどには顧客の関心を引かなかったようだ。

BloombergはMac Miniの新型についても触れている。Mac Miniの物語もよく似ていて、この製品も数年来放置され続けてきた。Appleが最後にMac Miniを改訂したのは2014年10月——もう4年ちかくにもなる。

そしてAppleが2014年のMac Miniを未だに売り続けているというのは実に残念な事実である。もっと安くて小さくてパワフルな小型デスクトップパソコンはいくらでもある。もちろんmacOSは動かないが、それが唯一の欠点だ。

ノートパソコンがパソコン市場を席巻していることは明らかだ。デスクトップパソコンはニッチ市場になった。新しいMac Miniが、ホームサーバーは欲しいがRaspberry Piを弄り回したくはない、という人々に焦点を絞ることができるのはそのためだ。

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安全検査ロボットのGecko Roboticsが700万ドルを追加調達

Gecko Roboticsは、壁を登るロボットでこの国の発電所の人命を救うことを目的としている。これを継続するために、同社は700万ドルの資金を調達した。出資したのはFounders Fund、Mark Cuban、The Westly Group、Justin Kan、およびY Combinatorらの名だたる投資家だ。

ピッツバーグ拠点のこの会社を本誌が 最初に報じたのは、共同ファウンダーのJake LoosararianがTechCrunch TVスタジオを訪れ、彼のデバイスをカメラの前で披露したときだった。当時GeckoはY Combinatorの2016年春クラスにいて、いくつかの米国発電所と提携して黒字化を目指していた、とLoosararianは語った。

当時のインタビューはここで見られる。

Geckoが作るロボットは工場や発電所施設の安全を確保するうえで重要な役割を担っている。ロボットたちは人間に先行して潜在的危険の確認を行う。彼らは独自の磁気装置を使ってタンクやボイラー、パイプラインなどの工業機器に登り、超音波やレーザーなど様々なセンサーを使って構造の完全性を検査する、と会社のリリース文にかかれている。

安いものではないが——ロボットの価格は5万~10万ドル——もちろん人命と比べれば取るに足りない。

発電所の壁を登って安全検査をするGeckoロボット

Loosararianはさらに、彼のテクノロジーは現存する他者よりも速くて正確であり、それは「最も困難な問題のいくつかを解決するために」機械学習を用いているからだとTechCrunchに語った。

それは、何人かのベテラン投資家の注意を引くだけのユニークなアイデアでもあった。

「工業支援技術の分野では過去数十年間イノベーションはないのも同然だった」とFounding Fundのパートナー、Trae StephensがTechCrunc宛の声明で言った。「Geckoのロボットは施設の停止時間を大幅に削減するとともに、重要な性能データを収集して致命的事故を未然に防ぐ。彼らの作っているものの需要は膨大だ」

ロボットの動いているところを見たい人は下のビデオをご覧あれ:

Diesel_tank_A from Gecko Robotics, Inc on Vimeo.

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ベネズエラが暗号通貨を発行して通常通貨と連結、ブロックチェーンの専門家は詐欺と呼ぶ

ハイパーインフレやそのほかの経済問題と格闘しているベネズエラが、前例のない思い切った手段に出た。同国の通貨を大幅に減価して名前を変えただけでなく、国が発行する暗号通貨Petroに連結した。後者は原油価格に応じて変動するが、この措置が何をもたらすのか、まだ誰も知らない。

Petroは今年の初めから、プライベートのバイヤー、次いで一般バイヤーに段階的に提供され、外国政府や、おそらく一部のプライベートバイヤから30億ドルを調達した。トランプ大統領は、アメリカの関与を禁じた

それは原油価格を反映する流動資産と想定され、もちろんシステムを大まかに説明するホワイトペーパーもあるが、そこに技術的詳細は欠けている。議会は国が発行する暗号通貨を憲法違反とし、ブロックチェーンの専門家たちはそれを詐欺と呼び、またロシアの陰謀説も捨てきれないようだ。Bloombergはマドゥーロ大統領の談話などを含む良質なまとめ記事を載せている。

マドゥーロ大統領の政権が作り出したこの企画は、同国の通貨の信用と安定性に寄与することが目的のようだ。強かったボリバルは、最近の10年間でその価値を90%以上失い、sovereign bolivarと改名され、インフレ前の価値に人為的に戻された。つまり2012年に100ボリバルだった食パンは先週10万ボリバル、理論的にはそれが100に戻るのだ。実際にそうなるのかは、わからないし、ブラックマーケットのインフレ率はもっと大きいだろう。これも、結果を誰も知らない。

なお、ぼくは経済学者ではないし、そうなるつもりもない。でも、国の法定通貨が国が発行する暗号通貨に連結されたのはこれが初めてであり、その意味ではブロックチェーンの世界における歴史的瞬間だ。これは国際社会にとって、いろんな意味でおもしろいが、今回のベネズエラのやり方はとうてい、理想的なやり方とは言えない。

実際には、おもしろいとは名ばかりで、ベネズエラの多くの人びとにとって原油価格と結びついた暗号通貨よりも欲しいのは、瓶入りの水や、赤ちゃんのおむつ、そしてこの国から出るための列車の切符だ。今後の結果は、どんな結果であれ教訓的だと思うが、路上にあふれているのは人道的危機であることを、忘れないようにしよう。ここでも、助けになるのは寄付だ

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Apple、中国のApp Storeからギャンブルアプリを削除

Appleは中国で違法コンテンツの取締りを行い、「宝くじ」サービスを始めとするギャンブル関連アプリ数万点を削除した。

The Wall Street Journalによると、同社が削除したアプリは2万5000点に上る——この数字を最初に報じたのは国営放送のCCTV [リンク先は中国語]。Appleは削除したアプリの数についてコメントしていないが、行動を起こしたことは認めている。

「ギャンブルアプリは違法であり中国のApp Storeでは許されていない。当社はすでに多数のアプリを削除し、違法ギャンブルアプリApp Storeで配布しようとするデベロッパーを排除した。われわれはこうしたアプリを見つけだしApp Store上に存在させないために最善の努力を尽くしている」と広報担当者がTechCrunchに伝えた。

Appleは150万点以上のアプリを中国で提供している。中国、香港、台湾をあわせた大中華圏はAppleの世界で3番目のビジネス地域であり、最近の四半期に96億ドルを売り上げている。これは総売上の約18%にあたる。

削除措置が行われたのは、Appleがスパム、ギャンブル、ボルノなどの問題防止を怠り、アジアでのビジネス拡大に注力しているとの批判を、複数の国営メディアが報じてから数週間後のことだ。

そうした批判は、これらの問題を現在中国と米国の間で進行中の貿易戦争——その結果Qualcommは440億ドルのNXP買収を断念した——と関連付けているが、おそらく見当違いだろう。中国政府からコンテンツが不適切であるとして非難されているのはAppleだけではない。中国の数多くの有望スタートアップが圧力を受けている。

今年、意欲的なニューメディア企業、ByteDance——ニュースとビデオアプリを運営し、現在25~35億ドルの資金調達を求めて投資家と交渉中——が中国で運用していたパロディーアプリの中止を命じられた。さらに4件のニュースアプリとコンテンツアプリが、権力を冒涜しているとしてApp StoreとGoogle Playから削除された。ByteDanceはこれに呼応して、コンテンツ監視チームを倍増し、コンテンツをチェックする強力なシステムを開発している。

「一連のコンテンツは社会主義の中心的価値と一致しておらず、世論を良い方向に導くものではなかった。過去数年間、われわれはビジネスの拡大に資源を投入し、プラットフォームの監視に十分な対策を講じてこなかった」とファウンダー・CEOのZhang Yimingが、インターネット監視当局をなだめるためとおぼしき声明で語った。

一方Appleは、50件以上のVPNアプリをApp Storeから削除して中国政府にへつらっていることを批判されている。それらのアプリは中国のインターネット検閲システムを回避するために用いることができる。CEO Tim Cookは、中国の法律に則って削除したアプリがいずれ戻ってくると信じていると語ったが、それが起きるシナリオは考えにくい。

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金属3DプリンターのVelo3Dが最初の製品を発売へ

ここまで3年間、Volo3Dはステルスモードで活動してきた。サンフランシスコ・ベイエリア拠点のスタートアップは、2015年6月のスタート以来9000万ドルという魅力的な資金調達に成功しつつ秘密裏に動いてきた。しかし今日(米国時間8/19)、社員120名の会社はついに現在取り組んでいることを公にするべく、最初の製品の発売予定を発表した。

SapphireシステムはIntelligent Fusionという会社のテクノロジーを利用している。システムは粉末の塊をレーザーで焼結することによって、複雑な金属物体を3Dプリントする。プロセスは一般的な樹脂ベースの3Dプリンターとさほど変わらない。

このテクノロジーのさらに魅力的な特長のひとつが、幾何的に複雑な立体を、多くのシステムが必要とする支持構造を使うことなく作成できることだ。製品担当責任者のStefan Zschiegnerによると、完全な形になった作品を粉末の中から取り出せる。

同社の新しいマシンが他社と一線を画するのは、プロトタイピングだけでなく、積層造形に焦点を当てているところた。「Desktop MetalやHPなどはプロトタイピングに焦点を当てている」とZschiegnerライバルについて語る(ただしDestop Metalは生産システムを来年発売する予定)。「彼らの部品は最終生産プロセスには使えない」。

もちろん現在のテクノロジーでは本格的量産のためのスケーリングはできない。Velo3Dの早期クライアントには航空宇宙輸送関係の企業もあり、主に3D製造企業を通じて交渉している。フロリダ拠点の3Dプロトタイピング会社、3DMTはこのSapphireシステムを最初に導入する1社だ。Velo3Dは、Sapphireの初回成功率は90%だと言っている。ほかには、チタン製のカスタマイズされた医療用埋め込み器具への応用が考えられる。

正式な販売価格は発表されていないが、同社はほかの工業用金属プリンティングシステムと「競争できる価格」と言った。Veloはこの機を利用して、AutoDeskの元社長・CEO、Carl Brassが会長として取締役会に加わることも発表した。

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飲食店で余った料理とユーザーを繋ぎフードロス削減へ、「TABETE」のiOS版がリリース

廃棄されてしまう食品(食品廃棄物等)などのうち、本来であれば安全に食べられるにも関わらず捨てられてしまうものをさす「フードロス(食品ロス)」。環境省の発表によると平成27年度には日本で実に約646万トンのフードロスがあったという。

この問題を解決するためのひとつのアプローチとして、飲食店や惣菜店などで余ってしまった料理とユーザーをマッチングする“フードシェアリング”サービス「TABETE」を開発しているのがコークッキングだ。

2018年4月のWeb版リリースから現在までで約4万人のユーザー、約200店舗が登録するTABETE。より使い勝手のいいプロダクトを目指し、コークッキングでは8月20日に同サービスのiOS版をリリースした。

TABETEは閉店時間や食品の入れ替え時間などの問題で、まだ安全に食べられる料理を廃棄せざるを得なくなってしまった飲食店と、その「食べ手」を繋ぐサービスだ。

たとえば急なキャンセルなどで食事が余ってしまった場合、飲食店は任意の価格と引取期限を設けて食事の情報をTABETEに掲載する。ユーザーはTABETE上からエリアを検索し、自宅の最寄り駅周辺などで気になる店舗をリサーチ。オンライン上で決済を行い、期限までに店舗に行けば食事を受け取れる。

ビジネスモデルは食事が売買された際の手数料で、販売代金の35%がTABETEの収益となる仕組みだ。

ユーザーにとってのメリットは割引価格でお得にテイクアウトできること。中食ではパン屋や弁当屋、外食では焼き鳥屋やイタリアンなど様々なジャンルの店舗が登録されていて、コークッキングCOOの篠田沙織氏によると「料理をするのは疲れたけど、コンビニやスーパーにも飽きてきた」という女性の利用が特に多いそう。ユーザーの7割を20〜40代の働く女性が占めるという。

一方の店舗側にとっても、せっかく準備した食事を捨てずに済むことはもちろん、従来は捨ててしまっていたものを売って売上の一部を回収でき、新しい顧客との接点を作るチャンスにもなり得る。

コークッキングCEOの川越一磨氏は新卒でサッポロライオンに入社するなど、飲食店での現場経験のある人物。日本の飲食店が抱えるフードロスを削減するサービスを考えていたところ、フードシェアリングの仕組みに行き着いた。

この仕組みは欧州などでは広く浸透していて、TABETEのアイデアもデンマーク発の「Too Good to Go」がヒントになったそうだ。

コークッキングでは8月にSocial Entrepreneur2投資事業有限責任組合、伊藤忠テクノソリューションズ、SFCフォーラムファンド、NOW、オプティマ・ベンチャーズ、222パートナーシップから数千万円の資金調達も実施。

セールスや開発など組織体制を強化し、今回のiOS版アプリを皮切りに今後はエリアの拡大なども含めてプロダクトの拡充を図っていくという。

Google、データセンターの空調管理をAIに一任

データセンターの中は暑くてうるさい——そしてサーバーをオーバーヒートから守ることは運用コストの大きな部分を占めている。業界の大物、Facebook、Microsoft、Googleらがさまざまな方法で冷却コストの節減を目指しているのも当然だ。Facebookは可能な限り外部の空気を冷やす。Microsoftは水中データセンターを実験中。そしてGoogleは、同社のAIモデルを使っていっそうの節約を目論んでいる。

数年前、Googleは傘下のDeepMindを通じて、データセンターに最適な冷却方法を運用者に提供するために、機械学習の利用を探ってきた。しかし、当時はまだシステムは推奨するだけで実施するかどうかは人間のオペレーターが判断していた。今後その人たちは、午後の昼寝時間を長くとれるようになる。モデルが十分に進歩した結果、AIを備えたシステムに冷却システムの制御を任せられるとチームが判断したからだ。もちろん、オペレーターは今も介入できるが、AIが中止の決定をくださない限り、システムは無人運転を続ける。

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新しい冷却システムは現在複数のGoogleデータセンターに設置されている。5分毎に、システムがデータセンター内の数千個のセンサーから値を取得しその情報を元に最適な行動を選択する。もちろん、そこには様々な抑制と均衡が働いているので、Googleのデータセンターがこのために崩壊する可能性は低い。

多くの機械学習モデルと同じく、システムはデータを収集すればするほど賢くなる。現在、これまでのデータセンターのエネルギー利用と比べて平均30%のエネルギー節約を実現している。

ひとつ指摘しておくべきなのは、Googleはわずかな節約のためだけなく、これを自社の機械学習サービスの宣伝のひとつと考えていることだ。つまるところデータセンターでうまくいくなら、大きなオフィスビルディングにも適用できるはずだ。「長期的には、このテクノロジーをほかの環境にも適用し、より大規模な空調にも役立てる可能性があると考えている」、とDeepMind今日の発表文に書いている。

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キャンセルした宿泊権利を売却できる「Cansell」が2億円調達

ホテル予約の売買サービス「Cansell」を運営するCansellは8月20日、DGインキュベーション、DK Gate、マネックスベンチャーズおよび個人投資家から総額2億円を調達したと発表した。

Cansellは、ホテルの宿泊予約をした人がやむを得ずキャンセルしなければいけないとき、その宿泊権利を他のユーザーに売却できるサービスだ。売却するユーザーは、通常通りホテルに宿泊代金を支払うが、Cansellを使って宿泊権利を売却して代金を受け取ることで、トータルで見た場合の負担額を減らすことができる。また、購入者は通常より安い料金でホテルに泊まれるというメリットがある。

Cansellは2018年3月に宿泊施設向けのパートナープログラムを開始したほか、宿泊代金を他の予約サイトと比較できる機能を追加するなどサービスのリニューアルを続けてきた。今回の資金調達は、そうしたサービス改善によってCansellが新しいフェーズに突入したことを意味する。

代表取締役の山下恭平氏は「今回のリニューアルで、一旦サービスとしての形が整った。これからはマーケティング施策にどんどん投資していくフェーズ」だと語る。広告など通常のマーケティング施策はもちろん、キャンセルを申し込んできた宿泊者に対してホテルから「Cansellというサービスがある」と紹介してもらうなど、ホテル側を巻き込んだ施策も展開していくという。

Cansellは2016年1月の設立で、2017年1月にはシードラウンドにて4000万円を調達している。

Kindle VoyageがAmazonサイトから消えた

Kindle Voyageはもういない。現在このEリーダーはAmazon経由で入手できないことを 複数サイト伝えている。小売業者から再生品を買うことは可能だが、新モデルの説明には「この製品はサードパーティー販売者を通じてのみ入手可能」と書かれている。

TechCrunchが確認したところ、同製品はすでにAmazonでは入手不能であり、「Kindle Voyageに対する顧客の反応は驚くほど好調で、現在品切れ」とサイトに書かれている。Amazonはそれ以上の情報提供を拒んでいるが、増産の予定があるのなら、これまでの慣習からそのことを明記するはずだ。

これは新しいモデルの発売が間近なのか、あるいはもっと可能性が高いのは、Voyageが消えゆくことだ。このデバイスは2014年に、薄く、軽く、プレミアム感の高いKindleリーダーとして発売された。しかし、さらにハイエンドのOasisが2年後に出て以来、製品の位置づけが曖昧になってきた。

製品ラインの整理は少々遅すぎた感がある。Amazonは専用電書リーダーの圧倒的リーダーであり、Voyageを抜きにしても、この比較的狭い分野の中に十分な製品バラエティーを揃えている。

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米住宅・都市開発省、Facebook広告を公正住宅法違反で告発

米国時間8月17日、住宅・都市開発省(HUD)はFacebookが家主や住宅販売者の公正住宅法違反を助長しているとして告発状を提出した。同省の訴えによると、Facebookの広告設定は売り主が特定の利用者層をターゲットすることを可能にすることで法を無視できるようにしている。

HUDによると、Facebookの広告設定には、特定の人種、宗教、性別、出身国などさまざまなカテゴリーに属する個人を排除するしくみがあり、これは1968年の公民権法の一環で定められた規則に違反していることは明白であるという。

「公正住宅法は住宅差別を禁止しており、マウスのクリックひとつで居住の選択肢を制限あるいは拒否する行為もその一つだ」と住宅・都市開発省のAnna María Farías次官補(公正住宅・機会均等担当)が同省の発行した声明で言った。「Facebookが収集した膨大な個人データを使って広告主の差別を助長することは、人を門前払いするのと同じことだ」。

Facebookは速やかに苦情に反応した。同社はテクノロジーが誤って利用される可能性が残っていることを認めつつ、濫用を減らす努力を進めていると主張した。

「Facebookに差別の居場所はない。ポリシーが厳格に禁止している」、とFacebook to The Washington Postに送った声明で語った。「この数年、われわれは濫用の防止を強化してきた。告発内容は認識しており法廷で回答する。今後もHUDと直接協力して彼らの懸念事項に対応していく所存だ」

この告発は長年の念願だった。National Fair Housing Allianceなどの団体も、すでにこの件でFacebookと法廷で争っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

弁護士が作るAI契約書レビューサービス「LegalForce」のオープンβ版が公開

法律事務所や企業の法務部門が日々担っている契約書のレビュー業務。従来はアナログな側面が強かったこの業務を、テクノロジーを用いることでスマートにしようとしているスタートアップがある。

4月にTechCrunchでも一度紹介したLegalForceがまさにその1社だ。森・濱田松本法律事務所で働いていた2人の弁護士が立ち上げた同社では、AI活用の契約書レビュー支援サービス「LegalForce」を開発。8月20日よりオープンβ版の提供を始める。

現在のLegalForceでできるのは「契約書の自動レビュー支援」と「契約書データベースの作成」の大きく2つ。これらによって契約書のリスクや抜け漏れを自動でピックアップすることに加え、社内に眠るナレッジを有効活用できるような環境を提供する。

自動レビュー支援機能はLegalForce上に契約書のワードファイルをアップロードした後、契約類型と自社の立場を選択すれば、リスクを抽出したり条項の抜け漏れを検出したりするものだ。

たとえば秘密保持契約書において「その他のアドバイザーに対して秘密情報を開示できる」という旨の記載があった場合。秘密情報を渡す側からすると比較的広い範囲の相手に開示されてしまう可能性があるため、そのリスクを自動でコメントしてくれる。

またLegalForceでは記載のある内容についてレビューするだけでなく、“本来は入れておいた方が望ましいけれど、現時点では契約書内に含まれていない内容”も抽出する。

「情報の抜け漏れのチェックはコンピュータが得意なこと。人間が全てきちんと抽出しようとすると、チェックリストを頭の中にインプットしておくか、Excelなどでリストを作って突合作業をする必要があった。ソフトウェアなら瞬時にできるので、抜け漏れをなくすと同時に作業時間の短縮も見込める」(LegalForce代表取締役の角田望氏)

現在対応しているのは秘密保持契約書のみだが、今後はニーズの多いものから順に類型を広げていく方針。またレビュー結果も現状はcsvでダウンロードする仕組みになっているが、9月末を目処にブラウザ上でそのまま表示できるようにアップデートする予定だという。

そしてLegalForceにはもうひとつ、契約書のデータベース機能が搭載されている。これは社内に眠っている契約書ファイルをアップロードすることで、各社独自のデータベースを作成できるというものだ。

LegalForceにアップした契約書は自動で条単位に分割されるため、キーワード単位で過去の条項を参照することが可能。たとえば「損害賠償」と検索すると、これまで作成した契約書の中から損害賠償に関する条項のみを探し出せる。

「契約書を作成していると、過去に作った契約書の条項を参考にしたい時がある。これを探そうと思うとエクスプローラーなどに溜まっているファイルをキーワードで検索し、その上でファイルをひとつひとつ開いて確認しないといけなかった。この手間を無くし、ダイレクトに欲しい条項にアクセスできるのが特徴だ」(角田氏)

LegalForceは4月からクローズドβ版の提供を開始。花王やサントリー、電通を始めとした複数の大手企業をプロダクトパートナーに迎え、実証実験を重ねてきた。

角田氏によるとすでに約1.5万件の契約書を分析しているそうで、今後はこれらのナレッジを蓄積しつつ、レビューやデータベースの検索精度を上げていくフェーズ。今回のオープンβ版を経て、2019年1月には正式版をリリースする計画だという。

なおAIを活用した契約書レビューサービスと言えば、こちらも以前紹介した「AI-CON」などがある。ただしAI-CONがスタートアップやフリーランサーも含めたエンドユーザーの利用も想定しているのに対し、LegalForceのターゲットは契約書をチェックする立場の法律事務所や企業の法務部門だ(角田氏によると、今のところエンドユーザーへの提供は考えていないとのこと)。

定型的な契約書レビュー業務を効率化することで、弁護士や法務部の担当者の負担を減らし、より高度な仕事にチャレンジできるようにサポートしていきたいという。

AIでアパレル業界に変革を、ファッションポケットが2.6億円を調達

AIを用いたファッションコーデの解析技術を活用し、トレンド予測やアパレル企業向けの商品企画サービスを開発するファッションポケット。同社は8月17日、東京大学エッジキャピタルや千葉功太郎氏らを引受先とする第三者割当増資により約2.6億円を調達したことを明らかにした。

今回のラウンドは同社にとってシリーズAにあたるものであり、シードラウンドからの累計調達額は3.5億円になるという。

ファッションポケットは2018年1月の設立。画像・映像解析に関連するAI技術を核に、ファッション領域において複数の事業を開発しているスタートアップだ。

たとえば8月からアパレル企業数社に提供しているAI MD(AIを活用したファッション商品企画)サービスでは、500万枚以上のコーデのデータを解析し、色や着こなしなどのトレンドを予測。その結果を商品企画に活用する。

「大企業と言われる所でも、ごく数名の担当者が何千点何万点もの商品企画を担っていたりする。業界ではヒット的中率が約50%などもとも言われ、仮に100点出せば定価で売れるのは40〜50点ほど。残りは値引きで販売するか廃棄する。大きな課題があるものの、これまでの仕組みでは解決できなかった」(ファッションポケット代表取締役社長の重松路威氏)

重松氏によるとAI MDサービスを活用して作られた洋服が2019年から実際に店頭に並び、販売されるそうだ。

また法人向けには画像・映像解析技術を用いた実店舗の顧客分析サービスも開発中。内装を気にする店舗でも設置しやすいように特別なハードウェア(カメラ)を含めたサービスで、顧客の顔や洋服、店内での行動から「どういうタイプの顧客が、店舗内でどのような行動をしているか」を解析してアパレル企業やデベロッパーに提供する。

そのほか2019年には消費者向けのサービスとして、AIを活用した新たなファッションECモールをリリースする計画もある。

ファッションポケットの代表を務める重松氏は、前職のマッキンゼー時代から様々な産業においてAIやIoTの活用、事業化の支援をしてきた。AIを商用化することで人々のライフスタイルを良くしたいという思いから起業を決断。多くの人にとって影響が大きい分野を探した結果、生活の必需品でもあり楽しさにも直結する“衣服”の分野を選んだのだという。

この半年間はビジネスサイドの体制を整えながら、CTOの佐々木雄一とともに独自で学習データの収集・仕分けを行い、同社の基盤となるアルゴリズムの開発に従事(なお佐々木氏はスイスの研究所でデータ分析を学んだ後、マッキンゼーを経て前職ではディープラーニングを製造業に提供する会社で研究開発センター長を担っていた人物)。アジア諸国を中心にデータ収集のためのネットワークも培ってきた。

ファッションポケットでは今回調達した資金を基に開発人材を中心に組織体制を強化し、学習データの整備を進める。合わせて上述したようなAIサービスの拡販、商用化に向けてプロダクト開発を加速する計画だ。

Google、独自のスマートディスプレーを年内に発売か

今年1月のCESで、GoogleはAmazonのEcho ShowおよびSpotに対抗する新たな製品カテゴリーを大々的に発表した。LG、LenovoおよびJBLの3社は、それぞれの画面付きスマートスピーカーを披露しようと舞台袖で待っていた。,

一方でGoogle自身の不在が目についた。Amazonと対抗する大仕事はサードパーティーのハードウェアメーカーに任せているように見受けられた。しかし、 Nikkei Asian Reviewの最新記事によると、Googleは画面内蔵のHomeデバイスを年内に発売する計画だという。

LenovoのSmart Display(初期の3機種の中でいちばん見栄えが良い)は先月末に発売された。一方Googleは自社の独自製品を作るためにハードウェアメーカーを積極的に口説きまわった。そしてI/Oカンファレンスでは、プロトタイピング用キットを参加者に配布までした。

この戦略には少々驚かされた。なぜならGoogleは自社ブランドのHome製品で成功を収めてきたからだ。最近のCanalysの報告書によると、全世界売上が対前年比449%増で、Amazonを優に上回っている。しかし、メーカーを先行させたことで、GoogleはサードパーティーによるGoogle Assistantの利用を、Home製品ライン拡大後も継続させるという信頼を得ることができる。

Pixel 3の発売を10月に控え、Googleは新たなHome製品のための理想的プラットフォームをホリデーシーズンに間に合うように手にいれた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

無人小売店舗のスタートアップ、InokyoはAmazon Goに挑戦する

インディーズ版Amazon Goを目指すスタートアップのInokyoが、レジ係不要の無人小売店舗のプロトタイプをスタートした。商品を棚から取り出したり棚に戻したりするところをカメラで撮影し、客は店を出る前にアプリのQRコードをスキャンするだけで、購入した商品の代金が引き落とされる。

最初の店舗はカリフォルニア州マウンテンビューのカストロ通りにオープンし、 おしゃれなこんぶ茶やスナック、プロテインパウダーやバス用品などを販売している。陳列棚はまばらで少々戸惑うが、5年後の日常のショッピングらしき様子を垣間見ることかできる。本誌が撮ったデモビデオを参照されたい。

「レジ無し店舗は自動運転車が輸送業界に与えるのと同じレベルのインパクトを与えるだろう」と、Inokyoの共同ファウンダー、Tony Francisが私に言った。「これは小売の未来だ。店舗が無人化に進むことは避けられない」。

Inokyo(Tokyoと韻を踏む)はこのマウンテンビュー店舗を早期利用する ベータテスターを募集中だ。テストの目的は、将来の品揃えとビジネスモデルを考えるために必要なデータを収集することにある。Inokyoはこのテクノロジーをサービスとして他の小売店に販売するか、自社店舗を運用するか、ブランドと提携して製品のポジショニングを改善するかを、店内センサーのデータと顧客の行動に基づいて決定するつもりだ。

「このテクノロジーを実験室で研究しても成功しないことはわかっている。最初にシステムを提供してリアル世界で学習し、このテクノロジーをいち早く進化させたものが市場を席巻できると考えている」とFrancisは言う。InokyoはAmazonやWhole Foodsと競合できるような小売の巨人になれることはないかもしれない。しかし、その技術によって対等な戦いを実現し、小さな企業が巨人たちの独占を阻む可能性はある。

問題はレジ係が代わりに何をするかだ

「Amazonは私たちが思ったほど先行していない」とFrancisは指摘する。彼は共同ファウンダーのRameez Remsudeenと共にシアトルのAmazon Go店舗を見に行ってきた。米国でレジ係をカメラで置き換えた最初の店だ。そこで感じたのは「この体験は魔法のようにできるはずだ」ということだった。

ふたりはカーネギーメロン大学の機械学習の授業で知り合い、その後その知識をInstagramとUberで利用した。彼らは無人店舗の世界に今すぐ参入すればその方向性について発言権を得られると考えた。

来週Inokyoは彼らのシード資金を提供したY Combinatorのアクセラレーターを卒業する。6週間のプログラム期間中に、マウンテンビューの店舗スペースを見つけ、従来型店舗の顧客の行動を学習し、初期の商品群を揃え、ユーザーが棚から取り出したものを追跡するテクノロジーを開発した。

Inokyonストアのしくみはこうだ。まずアプリをタウンロードして支払い方法を登録するとQRコードが送られてくるので店に入る時にセンサーにかざす。天井のカメラが客の体型と服装をスキャンして顔認識をせずに店内での動きを追跡する。一方、棚に設置されたカメラは商品が取り出されたり戻されたりするところを追跡する。これらを組み合わせて、誰がどこで何を取り出したかを認識することでカート内の商品を決定する。店を出る時に再びQRコードをスキャンする。のちに詳細が書かれたレシートを受け取る。

実は当初Inokyoでは店を出る時のスキャンをしていなかったが、客からのフィードバックで、万引きしているような気分だと言われた。出口のスキャンは技術的に必要だったわけではなく、安心感を与えるためというわけだ。そこには「選んだ商品をInokyoが全部認識しなくても私の問題ではない」という不穏な楽しみもある。そして、もし過大に請求された場合はアプリ内のサポートボタンを押して払い戻しを受けることができる。

Inokyo co-founders (from left): Tony Francis and Rameez Remsudeen

私は商品を棚から何度も出したり入れ替えたりしてみたが、Inokyoの請求は正確だった。ただ、その時店内には3人くらいしか客がいなかった。この種のシステムにとって本当の課題は、客が大勢やってきて似たような外見の人をカメラが区別しなくてはならないときだ。精度が99%以上でなければ、システムは役にたつより面倒のタネになるだろう。しょっちゅう金額が多すぎたり少なすぎたりするくらいなら、昔ながらの店に行った方がいい。

無人小売店舗はレジ係不要だからといって、スタッフを置く可能性がないと言う意味ではない。コスト削減を最大化するために、客は略奪をしないと信じているだけだ。Inokyoは店内に目を配り、客が入店時にスキャンするのを確認したり、手続きの質問に答えたりすることを考えている。また、レジ係を配置転換して商品を薦めたり、客にあった商品を見つけるコンセルジェにする可能性もある。こうした店の評価はテクノロジーだけでなく体験全体の利便性できまる。少なくとも、レジ作業から解放された従業員が、商品補充や顧客対応、店舗のメンテナンスなどに従事できる機会があるはずだ。

The Amazon Go autonomous retail store in Seattle is equipped with tons of overhead cameras

Amazon GoはInokyoと同じような方法でカメラを利用しているが、さらに重量センサーを用いて商品を追跡している。レジ係不要の夢を追っている会社は他にもay to Inokyo, it also relies on weight sensors to track items. There areたくさんある。中国のBingoBoxは1億ドル近い資金を受けて300以上の店舗を展開している。ただし、技術的にはさほど高度ではないRFIDタグを使用している。Y Combinatorの同窓スタートアップ、 Standard Cognitionは500万ドルを調達して、従来型店舗に無人カメラ技術を付加している。AiFiも同じことをしているが、不審な動きを検出して万引きの可能性を報告できると言っている。

未来型店舗はますます現実味を帯びてきた。正確な追跡ソフトウェアと容易に設置できるハードウェアを開発し、買い物フロー全体を快適にできる会社が勝者となるだろう。もしこのテクノロジーが顧客を遠ざけることなくコストと行列を減らすことができれば、地元のリアル店舗はすぐにでも導入するだろう。この未来がやってくるのか、いつそうなるのかという以上に大きな問題は、レジ打ちで生計を立てている無数の人たちにとって、それがどんな意味を持つのかということだ。

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Teslaの内部告発者、破損バッテリーの証拠とされる写真をツイート

Teslaの元従業員で、同社を解雇された後に訴訟されているMartin Trippという人物が、破損しているとされるバッテリーの写真とTeslaのバッテリー工場の運用不備についてツイートした。CNBCが最初に報じた

自らの主張を裏付けるべく、Trippは破損した欠陥バッテリーセルを搭載した車両の識別番号の写真を投稿した。

「以前にも述べた通り、これらの主張は虚偽であり、Tripp氏は自ら発言した安全に関する主張の知識すら有していない」とTesla広報はメールでTechCrunchに伝えた。「破損したセルがModel 3で使用されたことはなく、掲載された識別番号の車両はすべて安全なバッテリーを搭載している。何よりも、Model 3でバッテリー問題は一度も起きていない」

あるツイートでTrippは、Teslaが廃棄物やスクラップをGigafactoryの屋外駐車場やトラックに保管しており、温度管理された倉庫で保管していないことの証拠だと主張する写真を載せている。

Teslaは6月にTrippに対して100万ドルの訴訟を起こし、TrippがTeslaおよびCEO Elon Muskを妨害する目的で情報を漏洩したと主張した。Trippはその後米国証券取引委員会に対して公式内部告発書を提出し、会社は投資家を欺き顧客を危険にさらしていると主張した。

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Google、政治広告の検索可能データベースを公開

透明性の向上と議会との約束を守る取り組みの一環として、Googleは政治広告のアーカイブを自らのプラットフォーム上で公開した。

Ad Libraryと名付けられたGoogleの新しいデータベースは、専用のウェブページで検索できる。誰でも検索や絞り込みが可能で、候補者名や広告主、費用、掲載期間日時、インプレッション数、広告タイプなどを見ることができる。最大予算や最大リーチ数の政治広告に興味のある人は、費用、イップレッション、日時でソーとすることもできる。Googleはこのデータに関するレポートも発行していて、州別の広告費を広告主、上位キーワード別に見ることができる。

同社は、最近の透明化への取り組みについて若干の説明を加えている:

今年当社は政治広告の透明性に関して重要な対策を講じた。新規広告主が米国内でGoogleに政治広告を出稿する場合の新たな条件を設定した —— 政府が発行したIDおよび、彼らが米国市民あるいは合法的永住者であることを証明する情報の提出を方に従って要求する。さらに、選挙広告には「費用負担元」を明記することも要求している。

検索機能は非常に便利だが、いくつか欠けている点もある。Googleのデータベースは米国内の候補者広告を収集しているが、”issue ad”と呼ばれる特定の政治的話題を周知させるための広範囲のキャンペーンや、州あるいは地方の広告は含まれていない。対象は米国内のみなので、海外の選挙広告も表示されない。Googleは、専門家と協力して広範囲の政治広告を収集するツールの開発を検討していると言ったが、具体的な日程は示さなかった。現在は、ツールで発見した広告は週ごとにまとめてライブラリーに追加されている。

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この2足歩行ロボットは頭がドローンでできている

2足ロボットを作るのは難しい。常に絶妙なバランスを保っている必要があり、驚くべき技をこなすATLASのようなロボットでさえ、時には転んでその電子の頭を強打してしまう。しかし、もしその頭がクワッドコプターならどうだろう?

東京大学で作られた意欲的ロボット、Aerial-Bipedはまさにそれだ。ロボットは完全な二本足ではないが、真に2本足で歩くための面倒な問題を回避しつつ、2足歩行ロボットのように行動する。歩く真似をしながら実際には歩かない操り人形の足を想像するとよいかもしれない。

目標は、2足歩行のように見せながら動的な移動能力をもつ、新しいビジュアル体験をあたえるロボットを作ることだ。このロボットはフラミンゴのような非常に細い足を使いながらも、移動能力を損なうことなく歩くことができる。このアプローチによって、専門知識がなくても二足ロボットの歩行を演出できるようになる。しかも、通常の二足歩行ロボットよりずっと安価に作れる、と研究チームはIEEEに語った。

このロボットは、 Balluという、浮遊する頭部とヒョロ長い足をもつ異様な外見の風船ロボットに似ている。もっともらしい歩き方は機械学習を通じて会得し、その結果実際には飛行システムでありながら、リアルな歩き方の印象を与えている。気の利いた小さなプロジェクトだが、巨大な2足歩行ロボットが倒れてくると危険なテーマパークのような環境で面白い使い方ができそうだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook