グーグルがタブレットや折りたたみスマホに最適化した「Android 12L」を正式発表、2022年中に対応機種に提供

Google(グーグル)は米国時間3月7日、Android OSの大画面端末向けに最適化したバージョンとなる「Android 12L」を正式発表した。2021年10月にプレビューが公開されていたこのAndroid 12Lでは、タブレット端末でAndroidをより使いやすくする機能が提供される。Googleによれば、このソフトウェアは2022年後半から、Samsung(サムスン)、Lenovo(レノボ)、Microsoft(マイクロソフト)の対応デバイスに提供が開始されるという。

Android 12Lの発想は、画面が600dp以上のタブレットや折りたたみ式デバイスのユーザー向けに、ユーザーインターフェースの最適化、マルチタスクの強化、互換性サポートの改善を行うことによって、より大きな画面のデバイスでアプリを実行したときに、デフォルトでより良い体験が得られるように、Androidを調整することだった。

例えば、Android 12Lでは、拡大されたスペースを活かし、通知シェードにクイック設定パネルと通知を2列に並べて表示できる。ロック画面でも2列のレイアウトで、通知と時計が表示される。設定画面も大きな画面に合わせて最適化されているので、それぞれのセクションに入ったり出たりすることなく、各種の変更を行うことができる。暗証番号の入力やロック画面のパターンも、手が届きやすいように画面の横に配置されるなど、いくつかの重要な操作も変更されている。

画像クレジット:Google

Android 12Lは折りたたみ式デバイスにも対応し、最適化されたホーム画面のグリッドと、折りたたみ時 / 展開時の洗練された移行により、ユーザーはたたんだ状態の外側画面から、開いた状態の大画面へ、シームレスに移動して使えると、Googleは述べている。

さらに12Lでは、新たにアプリを起動したり切り替えることができるタスクバーも、画面下部に追加された。これは画面長押しで、いつでも表示したり隠したりできる。ジェスチャーナビゲーションで最近使ったアプリをめくるようにすばやく切り替えたり、分割画面モードにしたり、上にスワイプしてホームに戻ったりすることもできる。

Android 12Lのユーザーは、直接タスクバーから別のアプリを画面にドラッグ&ドロップするか、概要で新たに加わった「分割」アクションを使うことで、分割画面を開始することが可能になった。つまり、例えばニュースを読みながらYouTube(ユーチューブ)の動画を見たり、Chrome(クローム)ブラウザでウェブ検索したり、Google Maps(グーグル マップ)を使ったりすることができるというわけだ(画面分割モード自体は目新しいものではないが、Android 12Lではよりアクセスしやすくなり、開発者がこのモードをサポートするためにオプトインする必要もなくなった)。

12Lでは、まだ大画面のデバイスに最適化されていないアプリのための互換モードでも、視覚および安定性が改善されている

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このアップデート版Androidは、Googleが近年、Androidタブレットに対して行ってきたいくつかの改良に続くものだ。2020年には、タブレットに子ども向けモードの「Kids Space(キッズスペース)」が追加された。2021年開始した「Entertainment Space(エンターテインメントスペース)」では、映画、テレビ番組、電子書籍、ゲーム、動画など、あらゆるコンテンツがまとめられ、すべてに一カ所から簡単にアクセスできるようになった。

Android 12Lは、タブレット所有者のニーズに対応することを目的とするという点で、Apple(アップル)のiPadOSと似ているが、アップルがiOSとiPadOSで行ったような、Androidを分岐させて別のOSにするという方法を、Googleは実際には取らなかった。

Android 12Lの公式発表と同時に、Googleは自社デバイスの「Pixel(ピクセル)」に新機能セットをもたらすアップデート「Pixel Feature Drop(ピクセル・フィーチャー・ドロップ)」の最新版も発表した。この10回目のFeature Dropでは、Snapchat(スナップチャット)がNight Sight(夜景)モードに対応したり、リアルタイムで話し声を文字起こしするLive Caption(ライブキャプション)が電話中でも使えるようになったり、リアルタイム翻訳機能のLive Translate(ライブトランスレート)で対応言語が拡張されたりなどの機能が追加されている。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

この後、午前3時からのアップル新デバイス発表会を「生」で観よう!

Apple(アップル)は今晩、新しいハードウェアを発表する予定だ。日本時間3月9日午前3時から(バーチャル)イベントを開催する。Appleのイベントは以下でライブで観ることができる。

噂によると、AppleはリフレッシュしたiPhone SEを発表するようだ。このスマートフォンは、iPhone 6/7/8/SEを象徴するデザインを維持しつつ、アップデートされたSoC(システム・オン・ア・チップ)を搭載し5Gに対応す可能性がある。

また、AppleはアップデートされたiPad Airを発表する可能性もある。今回も、内部のコンポーネントを一新する可能性が高いようだ。新iPad Airは、半年前に発売された最新のiPad miniと同じくらいスピーディになる可能性がある。

今回、より興味深いのはMacのラインナップだ。AppleはIntel CPUをApple製チップに置き換えるため、Macの全ラインアップを一新している途中だが、新しいMac ProやApple製パーツを搭載した新iMac Proなど、2022年もMacの大きなアップデートが予定されている。また、エントリーモデルの13インチMacBook Pro、Mac Mini、MacBook Airもアップデートされる可能性がある。

関連記事:今晩午前3時からのアップルイベントで期待される新製品、iPhone SE、MacBook、iPad Airそして新チップ

AppleはYouTubeでイベントを配信しているため、本ページでライブストリームを観ることもできる。

Apple TVを持っている場合は、TVアプリを開いて「Apple Special Event」の項目を探せばいい。また本日のイベントをストリーミングでみれるだけでなく以前のイベントを視聴することもできる。

また、Apple TVを持っておらず、YouTubeも使いたくないという人は、同社のウェブサイトApple Eventsのセクションからイベントのライブストリームを観ることもできる。この動画配信は、Safari、Mozilla Firefox、Microsoft Edge、Google Chromeといった主要ブラウザで動作するようになった。

Read more about the Apple March 2022 event on TechCrunch

画像クレジット:Jonathan Cherry / Bloomberg / Getty Images

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(文:Romain Dillet、翻訳:Katsuyuki Yasui)

ハッカー集団アノニマス、ロシア国営TVなどの配信チャンネル乗っ取りウクライナでの戦闘映像流す

ハッカー集団アノニマス、ロシア国営TVなどの配信チャンネル乗っ取りウクライナでの戦闘映像流す

ロシアがウクライナへの侵攻を開始した直後、AnonymousやCyber Partisanといった世界的ハッキンググループはロシアの銀行やニュースソース、ロシア軍が移動に利用したとされるベラルーシの鉄道網などにハッキング攻撃を仕掛けています。日本時間3月7日未明には、Anonymousがロシアの動画配信サービス「Wink」および「Ivi」さらにテレビ局の配信チャンネル 「Russia 24」 、「Channel One」、「Moscow 24」を乗っ取り、数十秒間ながらウクライナの現状の映像をロシア国民に向けて流しました。またロシアの通信衛星のハッキングも行い、フランス語圏に向けたRT(Russia Today)のチャンネルも映像を乗っ取られたとのこと。

ハッキング行為は直接的にはウクライナの危機を助けるものではありませんが、ハッキンググループはウクライナへの協力としてロシア政府の関係するサイバー部隊の動きを鈍らせることを意図してこうした攻撃をしていると主張しています。

ドイツ語圏のAnonymous分派グループは「DDoSだけでは体制を崩壊させることはできない」とブログに綴ったとIndependent紙は伝えていますが、それでも「民主主義に対してサイバー攻撃を仕掛けてきたプーチンはいま、しっぺ返しを食らっている」と述べていると伝えています。

なお、Anonymousは2月下旬以降、ロシア国防省やクレムリンなどを含む政府機関のウェブサイトを攻撃し、軍事的な通信内容の傍受などにも成功したと述べています。またテレビ放送の乗っ取りも2月末に一度行っており、やはりロシア以外の国における報道の様子をそのままロシア国民に向けて発信していました。

ただ、これで単純に「Anonymousすげー」と単純に称賛してしまってよいかといえば、そうではないでしょう。彼らは彼らにとっての正義に基づいて行動しているに過ぎません。過去には日本の財務省や最高裁判所といった官公庁のウェブサイトが、当時成立しようとしていた海賊版ダウンロード行為への罰則規定を含む改正著作権法に抗議するAnonymousに改ざんされたり閲覧不能にされる被害を受けています。

(Source:IndependentAnonyumousTV(Twitter)Engadget日本版より転載)

Google Pixel、最新アップデートで通話中に返事を入力できる機能など搭載

Google Pixelで、通話中に文字入力して話すことができるようになる機能を含むアップデートが配信される。このアップデートは、Pixel 3a~Pixel 5a 5G端末には本日、米国時間3月7日から、Pixel 6とPixel 6 Pro端末には2022年3月末から配信される予定だ。

最も注目すべき新機能は、通話中に話すことができない、あるいは話したくないという人に向けたものだとGoogleはいう。通話中に、相手が話していることの文字になったキャプションを見ることができ、相手側で読み上げられる返事を文字入力で行うことができるようになる。またこの際、独自のメッセージを入力するだけでなく、あらかじめ用意された返事を選ぶこともできる。このアップデートは、Googleのライブキャプション機能を拡張したもので、デバイス上の音声に自動的にキャプションを付けることができる。

画像クレジット:Google

またアップデートで、Snapchat向けの「Night Sight」という夜間撮影モードもPixelに追加される。この新モードは、フラッシュを使わなくても、光量の少ない写真や動画を簡単かつクリアに撮影できるようにするためのものだ。

Googleはさらに、これまでPixel 6専用だった「Direct My Call」と「Wait Times」機能を、Pixel 3a以降の機種でも利用できるようにすることも発表ている。Direct My Call機能は、企業に電話をかける際に複雑な電話網を切り抜けられるようにする機能だ。提示された多くの選択肢(例えば「営業時間と場所は1を押してください」など)を聞いておぼえなくても、Googleアシスタントが自動メッセージを翻訳してくれる。一方、Wait Times機能は、フリーダイヤルに電話をかけたときに、相手につながるまでの予測時間を表示する機能だ。

2022年2月に発売されたGalaxy S22に続き、Google Duoの共同視聴とライブ共有機能がPixel端末にも搭載される。この新機能により、友人や家族とビデオ通話でつながりやすくなり、YouTubeの視聴会を開いたり、アプリを共有したりといったことができるようになるという。

そして、Gboardは、言語が米国英語に設定されている場合、カスタムテキストを含むステッカーが提供されるようになる。

GoogleのプロダクトマネージャーChris Breithaupt氏はブログで「百聞は一見に如かず、です。ユーザーはメッセージングアプリで入力すると、Gboardはあなたの言葉を正確なテキストで構築されたカラフルなステッカーに変換することができます。絵文字やemoji kitchen、カスタムステッカーの提案をPixelに入力すると、自分の気持ちを正確に表現できます」と述べている。

画像クレジット:Google

またGoogleは、スマートフォンやPixel Budsなどの接続デバイスに関する最新情報を表示するためのPixelバッテリーウィジェットも新たに導入する。

Googleの通訳モードは対面での会話を翻訳するように設計されているが、スペイン語、イタリア語、フランス語もサポートするようになる。さらにPixel 6とPixel 6 Pro端末であれば、Recorderアプリがイタリア語とスペイン語を書き起こせるようになったことも発表している。アシスタントのクイックフレーズのサポートも、Pixel 6と6 Proでスペイン語、イタリア語、フランス語に対応する。

Pixelの最新機能は、大画面デバイス用に設計されたAndroid 12Lと同時にリリースされた。このソフトウェアは、2022年後半からSamsung(サムスン)、Lenovo(レノボ)、Microsoft(マイクロソフト)の対応デバイスで提供開始される予定だ。

画像クレジット:Google

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(文:Aisha Malik、翻訳:Katsuyuki Yasui)

バカンとウーマンズ、女性個室トイレを活用し女性特有の健康問題を啓発、ウェルビーイングチャンネルを共同開発・配信

バカンとウーマンズ、女性個室トイレを活用し女性特有の健康問題を啓発、「ウェルビーイングチャンネル」を共同開発・配信開始AIとIoTを活用してあらゆる空き情報を配信するバカンは3月7日、女性ヘルスケア市場専門の企業支援を行う「ウーマンズ」との協業を開始したと発表した。同提携により、女性トイレ利用者に向けた動画コンテンツを共同制作する。

コンテンツの内容は、女性特有の健康問題をトイレ個室から啓発するというもので、トイレの長時間利用抑止IoTサービス「VACAN AirKnock Ads」(エアーノック アッズ)を通して配信される。健康問題について日常的に知ることができる機会を創出することで、女性のエンパワーメントを目指す。女性のヘルスリテラシーを向上させ働きやすい環境や過ごしやすい社会の実現が期待されるという。バカンとウーマンズ、女性個室トイレを活用し女性特有の健康問題を啓発、「ウェルビーイングチャンネル」を共同開発・配信開始

今後の予定としては、毎月女性の健康に関するテーマをピックアップし、コンテンツを配信。4月は4月9日「子宮頸がんを予防する日」に合わせ、子宮頸がんに関するコンテンツを扱う予定。

配信予定コンテンツ

  • 2022年4月:子宮頸がんに関するコンテンツ(「子宮頸がんを予防する日」に絡めて実施)
  • 2022年5月:生理・PMSに関するコンテンツ(「月経衛生の日」に絡めて実施)
  • 2022年6月:性の健康に関するコンテンツ(「HIV検査普及週間」に絡めて実施)
  • 2022年7月以降:企画中

これまで、健康問題を未然に防ぐことを目的とした情報の収集は、個人の興味関心に依存することが多い状態だったが、バカンが提供する高い視認性・内容認識率をもつトイレ個室内のサイネージと、女性ヘルスケア市場に精通したウーマンズのノウハウを組み合わせることで、個人の自助努力に依存せずに健康問題に関する情報を学べる環境の構築に取り組む。

また同時に、混雑抑制に関するバカンの特許技術などを複数用いることで、動画を配信しつつトイレの長時間滞在も抑制する。

バカンは、独自のAIアルゴリズムとセンサー・カメラなどを組み合わせることで、レストラン街やカフェ・オフィス・トイレ・観光地・投票所といった日常空間から、避難所などの非日常空間まで多様な領域の空き情報を可視化、抑制するサービスを提供。その一環として、混雑を抑制し快適なトイレ空間を実現するために、トイレの長時間利用の抑止IoTサービス「AirKnock Ads」の提供を2020年末より開始している。

AirKnock Adsは、取得したトイレの混雑情報と利用時間を個室内壁面に設置したタブレットに表示することで、自主的な退室を促し、長時間利用を抑制するサービス(同サービスでは、タブレットのカメラ機能は利用していない)。また、個室内に設置されたタブレットを通して、動画広告や店舗からのお知らせなどを配信できる。

混雑具合に応じて広告の長さを自動で調整したり、滞在時間に応じて画面の表示を滞在抑制につながる表示に変更するといった、バカンが蓄積してきた技術やノウハウから生み出した特許技術(出願中含む)を多数用いることで、お手洗いの混雑抑制とメディア化を両立しているという。

ウーマンズは、⼥性ヘルスケア市場に特化した⽣活者分析・市場分析・法⼈ネットワークを強みに、コンサルティング・ビジネスメディア・イベント主催・イベントコラボを展開。多様な企業様と女性ヘルスケアに関するプロジェクトを推進している。

レストランなどの食品調理業向け在庫管理マーケットプレイスを提供するブラジルのCayena

ラテンアメリカでは、商店の品揃えは楽な仕事ではない。発注は今でも、紙の伝票や電話で行われることが多く、お店の主人が卸屋まで車を運転して品物を手に入れることもある。

Cayenaを創業したGabriel Sendacz(ガブリエル・センダツ)氏とPedro Carvalho(ペドロ・カルヴァーリョ)氏、そしてRaymond Shayo(レイモンド・シャヨ)氏は、材料の確保にテクノロジーを利用すれば、彼らの母国であるブラジルやその他の地域で、レストランやバー、ベーカリー、ホテル、そしてダークキッチンなどの食品調理調製業がもっと楽になると考えた。

「ラテンアメリカのB2Bは巨大な市場ですが、その需要と供給は細分化しています。私たちの顧客も、約90%が中小の家族経営の独立店です。供給の側も、何千もの流通業者が、それぞれいろいろな品物を扱っていますが、マーケットシェアが1%に満たないところばかりです」とシャヨ氏はいう。

対照的に米国には、SyscoやU.S. Foods、Gordon Food Serviceのような大きなフードサービス企業がそれぞれおよそ10%のマーケットシェアを握り、食品から洗剤に至るまでのあらゆるもののワンストップショップを提供している。

Cayenaの共同創業者。左からペドロ・カルヴァーリョ氏、ガブリエル・センダツ氏、レイモンド・シャヨ氏(画像クレジット:Cayena)

そこで、シャヨ氏によれば、いくつかの問題が生じる。まず、ベンダー20社ぐらいで同じ品目の価格が最大で40〜50%も違う。クレジットカードがレストランに払うために30日かかることもあるが、一方レストランは自分の原料等の注文に前金を支払うため、運転資本の問題が生じ、特にレストランは材料費が最大のコストなので資金繰りが苦しくなる。

つまり、ラテンアメリカではレストランが慢性的に経営難を抱えることになる。そこで同社はB2Bのマーケットプレイスを構築し、年商1000億ドル(約11兆5400億円)といわれるラテンアメリカの食品卸業界を狙った。それによりユーザーは原材料などを一度に複数のサプライヤーからまとめて仕入れることができ、翌日に配達してもらえる。また、後払い販売(BNPL)といった新たな金融サービスを提供することもできる。

ユーザーは必要な品目の卸価格を複数の卸店にわたって比較でき、その品目の現在の相場を知ることができる。Cayenaのアルゴリズムは、サプライヤーの在庫品目と価格、ユーザーの予算を比較対照して、ベストマッチをユーザーにアナウンスする。配達には直送方式を利用して、注文が成立したら、そのオーダーを顧客に配達するようサプライヤーに通知が届く。

このマーケットプレイスを立ち上げた2020年以降は、顧客数が1年で10倍に増え、レストランの原材料の調達が困難になるにともない1回の購入単位額は4倍になり、Cayenaでの顧客の平均購入回数は1カ月で5回になった。

この急速な成長で資金が必要になった同社は、2021年後期にPicus Capitalがリードする350万ドル(約4億円)のラウンドを調達し、それが、その前にCanaryのリードで調達した55万ドル(約6300万円)に追加されることになった。

事業は順調で9月のシードラウンドのすぐ後にCayenaはそれまでの倍に成長し、2カ月で倍増というペースが続いたため、年商1億レアル(約22億6000万円)のマイルストーンに達した。同社の現在の商圏は、サンパウロ州の50都市となる。

こうした加速度的な成長が投資家の関心を集め、同社はVine Venturesが主導し、MSA Capital、Picus Capital、Canaan Partners、Clocktower Ventures、FJ Labs、Femsa Ventures、Gilgamesh、Astella、EndeavorおよびGraoVCの参加も得て、1750万ドル(約22億2000万円)のシリーズA投資を先取りすることになった。これにより、Cayenaは総額2100万ドル(約24億2000万円)強の資金を調達したことになる。

「今のところ極めてホットな市場ですが、世界中の投資家が成長企業を探している現状ではそれは良いことです。数年前、私たちは比較の対象にもなりませんでしたが、今ではどこが新しいアプローチと戦略で成長しているのか、誰の目にも明らかです」とシャヨ氏はいう。

Cayenaのビジネスモデルでは、倉庫やトラックや流通への投資はなくテクノロジーのみであるため、資金の多くが雇用に使われる。シャヨ氏の予想では年内に社員数は倍増して60名になるという。また、プロダクトとテクノロジーにもフォーカスしており、新たな金融プロダクトを作り、サプライヤーの地理的範囲も広げたいとのこと。

また、創業者たちはラテンアメリカ全体が商機だと捉えており、トラックなど1台も所有することなく次のステップでまず1〜3年後にブラジルで最大のフードサービスサプライヤーに、その次のステップでラテンアメリカ全体への拡張を考えているという。

画像クレジット:Cayena

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

世界が再び動き出す中、Uberが第1四半期の利益見通しを上方修正

米国の配車サービス大手Uber(ウーバー)は、第1四半期の調整後収益見通しを引き上げ、需要急増により予想以上に楽観的な見通しを示した。

米国時間3月7日朝に提出されたばかりの8-K報告資料には、調整後EBITDA(株式報酬を含む多くのコストを控除した、大幅に修正された利益指標)は第1四半期に1億3000万〜1億5000万ドル(約150億〜173億円)になると予想しているとある。これは、2月の2021年第4四半期決算説明会で発表された1億ドル〜1億3000万ドル(約115億〜150億円)という以前の見通しから大幅に引き上げられている。

つまるところ、配車やフードデリバリーの需要が高まり、パンデミック以前の水準にほぼ戻っている。

配車面では、Uberは乗車の指標が2019年2月実績の90%まで回復し、利用総額は2019年2月実績比95%という強さに戻ったと同社は述べている。UberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は報告資料の中で「2月の空港利用総額は前月比で50%以上増加し、Uberは次の旅行シーズンが過去最高の1つとなるよう準備している」と付け加えた。

重要なのは、コスロシャヒ氏によると、配車の需要があらゆるユースケースに及んでいることで、乗車の増加には旅行、通勤、夜の外出のための移動が含まれていると同氏は指摘している。

同社はまた「モビリティとデリバリー部門の調整後EBITDAの両方が引き続き改善されている」と指摘している。総数が更新されたのに、なぜニュアンスを共有するのか? 同社は、配車事業(モビリティ)が回復している一方で、その業績向上がフードデリバリー事業(デリバリー)の犠牲になっていないことを強調したいのだ。

Uberのフードデリバリー事業は、パンデミックで人々が家から出なくなって配車事業が大混乱に陥った時、利用総額で大きなヘッジとなった。

配車とデリバリーは表裏一体で、2つが同時に表に出ることはないというのが市場の懸念だったが、Uberの最新の数字はそれが実際に可能であることを示唆している。米証券取引委員会への報告資料は、同社が予想以上に営業レバレッジを効かせていることを暗示している。

好調なスタートを切ったにもかかわらず、3月7日、Uberの株価は約1.8%下落した。世界的な市場低迷の中で、ハイテク株は全般的に苦戦している。

Lyft(リフト)は、第1四半期の業績について新たな見通しを発表していない。UberのライバルであるLyftの前回の決算報告では、乗車が回復していることが示されている。問題は、Lyftが2022年の最初の2カ月間を通じて、同じように乗車が増加しているかどうかだ。

注目すべきは、LyftがUberのようなフードデリバリー事業を展開していないことだろう。多角化特化の考え方にもよるが、Lyftの配車事業への一点集中は強みでもあり弱みでもある。

Uberが利益見通しを上方修正し、それでも日中の取引で評価額の減少をみたのはかなり2022年的だ。同社はここ数カ月でそのパンデミックゲインのすべてを戻した。実際、3月7日のUberの評価額は、パンデミックを乗り切り、デリバリー事業を拡大し、調整ベースとはいえ連続黒字を達成するずっと前の2019年半ばの評価額よりも低くなっている。

世の中はなかなか厳しい。

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(文:Alex Wilhelm、Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

【3月8日】掲載記事アクセスランキング・トップ5―NVIDIAのパスワード流出、2位はShiftallのメタバースを快適にする新製品

【3月8日】掲載記事アクセスランキング・トップ5―NVIDIAのパスワード流出、2位はShiftallのメタバースを快適にする新製品

掲載記事のうち、3月8日午前7時現在集計で最もアクセスのあった記事5本を紹介。

第1位:NVIDIA社員のパスワード数千件がネットに流出、ハッカー集団から奇妙な要求


半導体製造大手のNVIDIAから1テラバイト分のデータを奪ったと主張するランサムウェア集団は、一味のますます奇妙な要求に応じなければ、同社の「最も厳重に守られた秘密」をすぐにでも公開すると脅迫している。

第2位:ヘビーユーザーだからこそ生まれたメタバースでの時間をリッチにするShiftallの新製品


「ヘッドマウントディスプレイが重いから装着が面倒くさい、家族がいる環境でしゃべりづらいから無言にならざるを得ないといったような課題をなくしたい、もっと快適にメタバース内で生活したい」と岩佐氏はいう。そんなユーザー視点をもとに、Shiftallはメタバースでの生活を快適にする製品を生み出している。

第3位:近畿大学、大豆イソフラボンを与えチョウザメをすべてメスにすることに成功―キャビア生産の安全な効率化に期待


近畿大学は3月4日、大豆イソフラボンを含んだ飼料を与えることで、コチョウザメをすべてメスにすることに成功したと発表した。これにより、キャビアの生産の効率化と、オスの活用という問題が大きく改善される。

第4位:会社がなくても問題……ない?激化するスタートアップ企業への投資とVCのアイデア

これまで好調だった伝統的なベンチャー業界は転換期を迎えているのではないか、と思える理由はいくつもある。最も明白な兆候は、ここ数年、上場前に投資したVCが得た利益が非常に大きい一方で、公募された株式ではそれほど上手くいっていないということにある。

第5位:規制上のハードルをすべてクリアし、マイクロソフトが2.3兆円のNuance買収完了へ

Microsoftは2021年に、200億ドル(約2兆3000億円)でNuance Communicationsを買収すると発表した。Microsoftはヘルスケア分野への進出を実現しようとしたが、規制がますます厳しくなる中、確実に買収できるというわけではなかった。しかし、ようやく規制上のハードルをすべてクリアし、同社は米国3月4日、買収が成立したと発表した。

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ツイッター、ロシアでのサービス完全復旧を目指す

Twitter(ツイッター)のサービスは引き続きロシアで部分的にアクセス可能だが、同社は米国時間3月7日、同国のユーザーが同社のサービスに「ますますアクセスしにくくなっている」という報道を認識していることを認め、現在調査中で完全なアクセス回復に取り組んでいると明らかにした。

「ロシアでTwitterにアクセスしにくくなっているという報道を承知しています。調査を行っており、サービスへのアクセスを完全に回復するために取り組んでいます」とTwitterの広報担当者はTechCrunchに語った。

ロシア国内のある情報筋は、3月5日からTwitterのウェブサイトにアクセスできなくなったと語ったが、モバイルアプリはまだ使えるとも述べた。

プーチン政権がウクライナ侵攻をきっかけに情報の自由な流れを締め付け続けていて、Twitterのサービスがロシアの通信規制当局Roskomnadzorによってブロックされたとの報道が3月4日にあった。

しかしTwitterはその際、ウクライナ侵攻が始まって以来、そして一部のロシア人が街頭で戦争に抗議した後、同社のサービスに影響を与えているスロットルに対する大きな変化は見られないと述べた

Twitterのラインは現在、部分的なブロックの暗黙の確認に発展している。

ロシアがウクライナでの戦争に関して情報空間の掌握を強化しようとしているのは間違いない。

また3月4日にはロシア議会が、軍に関する「フェイク」情報を報道すると最高で15年の禁固刑に処するという、フリーのジャーナリストを標的にした強硬な新法を可決した

同日、ロシア政府はFacebook(フェイスブック)へのアクセスを遮断すると発表した。これに対しFacebook / Metaの社長であるNick Clegg(ニック・クレッグ)氏は、自社のソーシャルネットワークはむしろ「信頼できる情報」のプロバイダーだという考えを示した。

しかし、クレッグ氏の皮肉な主張は、Metaがプラットフォーム上で広がるロシアのプロパガンダを発見したと発表してわずか数日後に行われた。同社は2月28日、偽情報でウクライナの人々を狙うロシアから操作されるFacebookとInstagramの約40のアカウントページグループのネットワークを取り締まったと発表したが、まさに国家が支援する「協調的な不正な行動」(別名:偽情報)がFacebookでホストされた最新の事例だった。もちろん、白黒はっきりさせることはできない。

(特に悪名高い例として、2016年の米国の選挙を標的としたロシア政府による選挙干渉の大規模な拡散を可能にしたFacebookの広告ターゲットプラットフォームの役割も参照して欲しい)

ウクライナ侵攻後、Facebookはロシア国内で平和を求める人々の声を増幅するためにも利用されてきた。例えば、地元のITワーカーがFacebookを使って反戦の請願書を広め、同国のテックコミュニティから数千の署名を集めることに成功した。

ロシア国内の情報筋によると、ロシアでは3月7日現在、Facebookにまだアクセスすることができる。しかし、Facebookアプリ経由ではアクセスできるが、ウェブではできない。

ロシアのインターネットを世界のインターネットから技術的に切り離し、VPNなどへのアクセスをブロックする(あるいは、ロシア人が.ruドメイン以外にアクセスすることを違法とする)など、より思い切った措置を取らない限り、ロシアが欧米のソーシャルメディアへのアクセスを完全にブロックするというのは疑わしいように思われる。モバイルアプリやVPN、あるいはTorを使用するなど、ウェブドメイン上のブロックに対する回避策があるからだ。

数年前、ロシアのTelegram(テレグラム)アプリをブロックする試みはほとんど失敗に終わったが、これは、モバイルアプリをブロックすることの技術的な難しさの一端を示すものだ。

しかし、ロシア人が外部の情報源に容易にアクセスできる能力を低下させ、一方で電波を国家統制のプロパガンダで溢れさせることは、あまりにも多くの市民に同じような効果をもたらすかもしれない。

ロシア議会が3月4日に採択した強硬なコンテンツ法案は、別のソーシャルネットワークTikTok(ティクトック)が従業員とユーザーに対する懸念を理由に、同国のユーザーが新しいコンテンツを投稿する機能を迅速に停止させるきっかけにもなった。つまり、プーチン政権は、ネット上の物語をよりコントロールするために、複数の手段を用いている。

また、2015年以降、ロシアは国家的なインターネットを構築するプロジェクトに取り組んでいて、まだそれを実現できていないとしても、デジタル情報空間を完全にコントロールできるようにしたいという野心を持っていることがうかがえる。

ウクライナでの戦争は、ロシアが自立したデジタル「セグメント」を作る取り組みを強力に推し進める可能性がある。2019年にプーチン大統領が示したように、西側がロシアのグローバルインターネットへのアクセスを否定するリスクを議論している(ただし、内部の技術開発も西側の制裁で大きな打撃を受ける可能性がある)。

2022年になってプーチン大統領は、ロシア人が完全にコントロールできない西側のウェブセグメントにアクセスすることを否定しようとし、検閲の取り組みが強化され、戦争態勢に入った。

ここ数日、欧州もプーチン大統領のウクライナでの侵略戦争を受け、ロシアのプロパガンダに対する独自の対応策を強化している。EUの議員たちは、ロシア政府の支援を受けた国営メディア、Russia Today (RT)とSputnikを前例のない禁止措置とすることに同意した

この禁止令は、TwitterやFacebookなどのオンラインプラットフォームと、従来の放送メディア(衛星放送など)を対象としている。

EUは、RTとSputnikの禁止令はロシアがウクライナ戦争を続ける限り続くとし、プーチン大統領がEUとその加盟国に対するプロパガンダをやめるまで解除しないとも明記している。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

今晩午前3時からのアップルイベントで期待される新製品、iPhone SE、MacBook、iPad Airそして新チップ

一連のバーチャルイベントについていえることは、メーカーが我々に近づく確かな方法を手に入れたということだ。古き良き出張の時代、大きなショーの数週間前には、Palo Alto Travelodge(パロ・アルト・トラベロッジ)(良好のWi-Fiと、そうでもない朝食)の宿泊を予約したものだ。バーチャルへの移行は、企業が社員にパソコンの前で1時間過ごさせるために、スターの登場を約束する必要がなくなったことも意味している。

最近のニュースに流れる絶え間ないリークからは、Appleにとってかなり控えめなイベントが予想される。その予想は、会社の標準的リリース間隔によっていっそう増強される。Appleは2021年秋のイベントに、それはそれはたくさんの商品を詰め込んだ。そこにはiPhone 13、Apple Watch 7、iOS、そしてショーの人気をさらったいくつかのiPadがあった。半導体の遅れとホリデーシーズンが完璧に重なり合って、最近の記憶の中で最大のAppleイベントになった。

画像クレジット:TechCrunch

というわけで今週はiPhone 14もApple Watch 8もない。それでも新しいiPhoneは見られそうだ。Appleが新しいiPhone SEを出す期限を過ぎているというわけではない。なぜならこのお手頃端末のリリース間隔は、よくいって不定期だから。今回は、2016年と2020年に続くSE第3世代になる。お手頃iPhone(前世代は399ドル、日本では4万9800円からだった)は過去数年にわたって多くのファンを獲得し、その1人でもあるTechCrunchのDevin Coldewey(デビン・コールドウェイ)記者は、かつて同製品の「死」を悼んだこともあった。

このラインは、Appleの歴史的工業デザインの最後の痕跡を残す商品としてよく知られている。iPhoneがフルスクリーンになって切り欠きが付く前のデザインだ。長年のApple予言者であるMing-Chi Kuo(ミンチー・クオ)氏は、2年の空白の後にこの端末が戻ってくることをいち早く指摘した1人だ。同氏は、ほとんど変わらないデザイン、A15チップ、ストレージは64~256 GBと伝えている。しかし、ショウの呼び物は、入門レベル機種への5Gの追加だ。

iPadが再び話題をさらうかもしれない。第5世代のAir(エア)が予想されており、2021年のmini(ミニ)から多くの特徴を引き継ぐだろう。iPhone SEと同じく、この機種も2020年以来改定されていない。オプションの5G、A15チップ、カメラハードウェアとソフトウェアのアップグレードなどが噂されている。

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2021年は2020年版M1チップのスーパーチャージ版が2種類登場したが、2022年のどこかの時点でM2がやってくる可能性が高い(イベントのタイトル、Peek Performanceにあるパフォーマンスのチラ見せはこれのこと?)。Appleが新しいチップを発表するとすれば、まず間違いなく新しいMacハードウェアと一緒だ。2022年、噂の先頭を切っているのは、薄くて軽い長年の人気機種、MacBook Airの新バージョンだ。Mac Miniも、そして大きくてよりPro(プロ)ライクなiMacも期待されている。

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噂の最後を飾るのは27インチのAppleディスプレイだ。現在同社が販売している32インチPro Display XDRのハードルを下げるものだ。ここ数年で世界の大部分がリモートワークに移行していることから、この種の製品の需要が高まっていることをAppleは間違いなく知っている。しかし5000ドル(日本では58万2780円)という価格はどうみてもほとんどの人の手には届かない。

最後に、この種のハードウェア・イベントには、いくつかのOSアップデートが必ずついてくる。macOS、iOS、およびiPadOSのアップデートが予想される。

イベントは米国時間3月8日太平洋時刻午前10時、東海岸時刻午後1時(日本時間3月9日午前3時)に始まる。それでは現地でお会いしましょう。

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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple TV+が米ComcastのXfinityプラットフォームでロールアウト開始

Comcastは米国時間3月7日、Apple TV+が同社のXfinityプラットフォームで利用可能になったことを発表した。Apple TV+は本日よりXfinity X1、Xfinity Flex、XClass TVで展開され、今後数日ですべての対象デバイスで利用可能になる予定だ。

Xfinityの音声リモコンに「Apple TV+」と話しかけるか、ストリーミングサービスから観たい映画やテレビ番組の名前、例えば「Ted Lasso(テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく)」や「The Morning Show(ザ・モーニングショー)」などと話しかけることで、これからApple TV+にアクセスできる。

このロールアウトの一環として、Xfinityユーザーは3月15日から21日まで、トム・ハンクス主演の新作映画「Greyhound(グレイハウンド)」やいくつかのシリーズのファーストシーズンなど、同ストリーミングサービスのコンテンツの一部をサインアップやサインイン不要で試聴できるようになる。また、Comcastによると、現在Apple TV+に加入していないXfinityの顧客は、4月25日までにXfinityのデバイスからサインアップすると、Apple TV+の3カ月間の無料トライアルが受けられるという。

Appleのサービス担当副社長であるPeter Stern(ピーター・スターン)氏は、今回の発表についての声明の中でこう述べている。「Apple TV+は、世界中の優れたクリエイターによる最高品質の番組を提供しており、リビングルームの大きなテレビで観るのはそれを楽しむベストな方法の1つです。当社とComcastの提携により、何千万台もの新しいデバイスでこの体験が可能になり、多くのComcastのお客様がApple TV+で新しいお気に入り番組を楽しめるようになり、とてもうれしく思っています」。

ComcastがAppleのストリーミングサービスに対応する計画を最初に明らかにしたのは、2021年10月、ComcastのBrian Roberts(ブライアン・ロバーツ)CEOがApple TVアプリをComcastのプラットフォームで利用できるようにすると約束したときだった。

Apple TV+は、2019年11月にAppleの顧客向けにデビューし、その後、同年、Roku(ロク)デバイスAmazon(アマゾン)のFire TVプラットフォームなど、Apple以外のプラットフォームにも展開された。現在では、Samsung(サムスン)、LG、VIZIO(ビジオ)、Sony(ソニー)のさまざまなスマートテレビ、PlayStation(PS4およびPS5)、Xbox(One、Series X、Series S)などのゲームコンソール、およびウェブ経由でも利用できるようになっている。12月には、英国および欧州のSkyデバイス(Sky QおよびSky Glass)でもサービスを開始した。

今回のサービス拡充は、太平洋時間3月8日午前10時(日本時間3月9日午前3時)に予定されているAppleの次のビッグイベントの前日というタイミングで行われた。同社はこのイベントで、5G接続対応のリフレッシュされたiPhone SE、全体的にスペックが向上したiPad Airアップデート版、Appleシリコンを搭載した新しいMacモデルなどを発表する可能性がある。

画像クレジット:Comcast

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(文:Aisha Malik、翻訳:Den Nakano)

Alexa機器に不正コマンドをしゃべらせてドア解錠や不正注文させる攻撃「Alexa vs Alexa」が報告される―すでに対応済み

Alexa機器に不正コマンドをしゃべらせてドア解錠や不正注文させる攻撃「Alexa vs Alexa」が報告される―すでに対応済み

Engadget

Amazon Echo製品自らに音声コマンドをしゃべらせることで、ハッカーがドアの解錠や電話を掛けさせたり、意に沿わない発注や電子レンジなどスマート家電を乗っ取れる新たな攻撃方法が発見されたと報告されています。

この攻撃を報告したのは、ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ校とイタリア・カタニーナ大学の研究者らです。ざっくり言えば、Alexaの音声コマンドを含む音声ファイルをEcho機器のスピーカーで再生させるというもの。それにより近くに不審なスピーカーを置かなくとも、長時間にわたってEcho機器の制御を奪えるわけです。「Alexa vs Alexa」(AlexaによりAlexaを攻撃)ということで、「AVA」と名付けられています。

「AvA」は、攻撃者のデバイスが脆弱なEchoデバイスと接続されるところから始まります。それ以降、攻撃者は音声合成アプリなどを使ってEcho製品側のスピーカーにしゃべらせることで、任意の音声コマンドを実行できるとのこと。音声にウェイクワード(「アレクサ」など)が含まれ、その後に実行可能なコマンドが続くと実行され、口頭での確認を要求する場合でも、コマンドを発行してから約6秒後に「はい」という言葉を追加すれば、この措置をかんたんに回避できるそうです。Alexa機器に不正コマンドをしゃべらせてドア解錠や不正注文させる攻撃「Alexa vs Alexa」が報告される―すでに対応済み

次にあるのは、AvAが実際に動作している動画です。1:40~2:14の間にあるものを除き、あらゆるコマンドが実行できていることが確認できます。

また「FVV」(フルボイス脆弱性)と呼ばれる脆弱性を使うことで、自己発行コマンドの認識率を倍にして、追加のコマンドも実行しやすくなるとのこと。これはEcho機器がコマンドを聴き取るときの「デバイスの音量を一時的に下げる」動作をなくすと説明されています。

もっとも、この研究を受けてアマゾン側がセキュリティパッチを公開したため、論文で示された攻撃はできなくなっているそうです。研究者らは、この攻撃が第3世代および第4世代のEcho Dotデバイスに対して有効だったことを確認しています。

不正な買い物であればメールが送られてきますが、パスワードや個人情報を抜き取ったり、被害者が発言した内容をすべて傍受してデータベースに保存できる「マスク攻撃」という手口は気づくのが困難と思われます。

スマートライトは93%の成功率で制御でき、アマゾンへの不正注文は100%、リンクされたカレンダーは88%の確率で改ざんできたとのことです。実際に被害があったのかどうかは不明ですが、アマゾンが速やかに対応したのは不幸中の幸いと言えそうです。

(Source:Cornell University。Via Ars TechnicaEngadget日本版より転載)

ウェルビーイングがテーマの事業共創プログラム「Well-BeingX」をスクラムスタジオと異業種の大企業4社が開始

全世界的なデジタル化、そしてコロナ禍による社会が変化し健康意識が高まる現在「ウェルビーイング」に注目が集まっている。身体的なものだけでなく、精神的、社会的に良好な状態を意味するウェルビーイング。

近年では、1人ひとりのニーズに応じたウェルビーイングな社会の実現への関心が高まり、実現のための新たなテクノロジーやビジネスモデルが求められ、そのニーズと機会はさらに大きくなっていくと考えられている。

スクラムスタジオ住友生命保険東京建物日本たばこ産業をパートナー企業に、博報堂をサポーター企業に向かえ「多様なウェルビーイングの実現」をテーマに、世界中のスタートアップと連携・事業共創を行うグローバルオープンイノベーションプログラム「Well-BeingX」を開始すると発表した。

プログラムでは、異なる業種の企業間やスクラムベンチャーズグループのスタートアップ精査のノウハウなどを通じて、募集、選考される企業との事業共創に取り組み、1人ひとりのニーズに応じた価値の高い先進サービスやアプリの創出に取り組むとのことだ。

募集は本日、3月8日から開始(2022年5月31日まで)。募集するスタートアップの主要領域は「パーソナルケア&ウェルネス」「栄養&健康管理」「エイジング&介護」「保険&健康経営」「こころと体」の5つとなる。開催期間は2022年3月から2024年12月迄の3年間プログラム(1年目プログラムは、2022年3月から2022年12月迄を予定)となる。

パートナー企業の住友生命保険の上席執行役員兼新規ビジネス企画部長藤本宏樹氏は「住友生命は自治体・企業・さまざまなパートナーのみなさまと一緒に「WaaS(Well-being as a service)」エコシステムを構築することで、Well-beingな社会の実現を目指しています。『Well-BeingX』への参加が、その大きな一歩になることを期待しています」と述べる。

また、本プログラムにおいて地域課題の共有や実証プロジェクトなどで協力する先進自治体がオブザーバーを務めるが、その1つである東京都渋谷区のグローバル拠点都市推進室瀬野小枝子氏は「渋谷区では社会課題を解決するため、スタートアップ企業の実証実験事業「Innovation for New Normal」を実施し、多様な人々がそれぞれの想いを叶えられる社会を目指しています。今回のWell-beingXにおいても、困難をチャンスに変え、Well-beingの実現に向けて社会を豊かにする新しいイノベーション・カルチャーをともに作っていけたらと思っております」と語る。

応募はこちらのページから、プログラムや応募に関する詳細は公式ウェブサイトで。

YCが支援するBlocknomは「東南アジアのCoinbase Earn」を目指す

Y Combinator(Yコンビネーター)の2022年冬バッチに参加したBlocknom(ブロックノム)は「東南アジアのCoinbase Earn(コインベース・アーン)」になることを志す暗号資産稼ぎプラットフォームだ。同社は米国時間3月4日、Y Combinator、Number Capital(ナンバー・キャピタル)、Magic Fund(マジック・ファンド)からプレシード資金として50万ドル(約5800万円)を調達したと発表した。

Blocknomの共同設立者であるFransiskus Raymond(フランシスカス・レイモンド)氏とGhuniyu Fattah Rozaq(グニュ・ファタ・ロザク)氏によると、このアプリはユーザーに、年率最大13%の安定した高利回りの利息を得るための安全な方法を提供するという。同アプリは暗号資産インフラ企業のFireblocks(ファイアブロックス)と提携しており、ユーザーはいつでも手数料なしでお金を引き出すことができる。

2人の創業者は、新型コロナウイルス感染流行が始まった頃、2020年にオープンソースプロジェクトに取り組んでいるときに出会ったという。「ウイルス感染が流行している間に、私たちはインドネシアで暗号資産市場が活況であることに気づきました。その一方で、私たち2人はすでに暗号資産投資家でした」と、レイモンド氏はTechCrunchに語った。

「しかし、ユーザーと話してみると、誰もが取引でうまくいっているわけではないことがわかりました」。2人はDeFi(分散型金融)が安定的で高利回りの暗号資産による利得方法であることに気づいたものの、インドネシアには競合する製品がなかったため、自分たちで作ることにした。同社がDeFiで提携しているパートナーは、Compound(コンパウンド)、AAVE(アーベ)、Terra(テラ)、Cake(ケイク)などだ。

Blocknomにサインアップすると、銀行口座を持つユーザーはStablecoins(ステーブルコイン)を預金することができる。Stablecoinsは従来の銀行預金と最も同等であるため、新しい暗号資産ユーザーがアクセスしやすいように、同社の創業者たちが選んだ。

レイモンド氏によると、Blocknomが投資アプリと異なるのは、Stablecoinを保有して長期的に保持することを推奨している点であるという。

画像クレジット:DBenitostock / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

スペースXがさらに47基のスターリンク衛星打ち上げに成功

SpaceX(スペースX)は2022年に、過去のどの年よりも多くのロケットを打ち上げることを目指している。米国時間3月3日にStarlink(スターリンク)の打ち上げを成功させたことは、その目標達成に向けて順調に進んでいることを示している。

今回のStarlink 4-9ミッションは、米国東部標準時の午前9時25分にフロリダ州にあるケネディ宇宙センターの39A発射施設から打ち上げられた。これは、同社が2022年打ち上げを予定している52回のミッションのうち、9回目にあたる。この1週間に1回という驚異的なペースは、SpaceXのElon Musk(イーロン・マスク)CEOが力を入れている「迅速な再利用性」によるものだ。

今回のミッションでは「B1060」とナンバリングされたFalcon 9(ファルコン9)ブースター(1段目ロケット)が使われた。B1060は打ち上げから約9分後に、大西洋に浮かぶ「Just Read the Instructions(説明書を読め)」と名付けられた無人のドローン船に着地した。今回の打ち上げと着陸の成功により、B1060は2020年6月の初打ち上げ以来、SpaceXのロケット再利用回数で最多タイとなる11回の飛行を完了した。

B1060は今回、47基のStarlink衛星を軌道に乗せ、地球を周回している他の2000基を超える第一世代衛星群に加えることに成功した。これらの衛星コンステレーションは、地球の遠隔地にも高速・低遅延のインターネット接続サービスを提供することを目的としている。Starlinkの衛星は、現時点で1万2000基まで拡張することが承認されているが、SpaceXはさらに3万基の打ち上げを申請している。

4-9ミッションは、SpaceXによる2022年6回目のStarlinkの打ち上げだが、そのすべてのミッションが完全に成功したわけではない。2月3日の打ち上げでは、49基のStarlink衛星が打ち上げられたが、そのうち38基が地磁気嵐のために目的の軌道に到達できず、地球の大気圏に再突入した際に燃え尽きてしまった。SpaceXでは、この問題は大きな後退ではないと主張している。

同社は2月22日、Starlinkの持続可能性と安全性について発表した声明の中で「当社には1週間に最大45基の衛星を製造する能力があり、1カ月で最大240基の衛星を打ち上げています」と述べている。

というわけで、SpaceXによる次のStarlinkの打ち上げは、3月8日にケープカナベラル宇宙軍基地の第40発射施設でから予定されている。

画像クレジット:SpaceX / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Stefanie Waldek、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

インド通信大手AirtelがAxis Bankと提携クレジットカードの提供開始

Airtel(エアテル)はインド時間3月7日、クレジットカードの発行を開始すると発表した。これは、Google(グーグル)が投資するインドのテレコム事業者である同社が、世界2位のインターネット市場で提供するサービスを拡大するために、金融サービスへの進出を試みる最新の試みだ。

ビリオネアのSunil Mittal(スニル・ミタル)氏が経営する同ネットワークは、国内3位の民間銀行であるAxis Bank(アクシス銀行)と戦略的パートナーシップを結び、両社が「これまでに例のない試み」と謳うクレジットカードを共同発行すると発表した。

Airtel Axis Bankクレジットカードは、事前承認済みの即日融資やBNPL後払いサービスを顧客に提供し、Airtelサービスの請求書の支払いや、Airtelアプリでの取引に対してリワードを与えると両社は述べている。

このカードはAirtelの加入者のみに提供され、インドの小規模な市町村の顧客にリーチすることを目指しているとのこと。Airtelは、インドで3億4千万人以上の加入者を集めている。

このパートナーシップの一環として、Axis BankはAirtelのC-PaaSプラットフォーム(ストリーミング、通話マスキング、コンタクトセンターソリューションなどのサービスを含む製品スイート)、さらに「さまざまな」サイバーセキュリティサービスを利用開始する予定だという。また、両社はクラウドやデータセンターサービスでの協業も検討するとのこと。

Airtelが金融サービスへの参入を試みるのは今回が初めてではない。この急成長分野にはライバルの大富豪Mukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏のJio Platformsも注目し、同レベルの成功を収めたことがある。

Airtelはデジタル決済銀行を運営しているが、なかなか市場に浸透していない。同社は近年、ARPU(ユーザー1人当たりの平均売上高)を改善するためにプレミアムサービスの拡大も推し進めており、この件に詳しい3人の関係者によると、2年前にPaytm(ペイティーエム)に決済事業の売却を持ちかけたという。

インドのクレジットカード市場は、深刻なレベルでサービスが行き届いていない。同国には10億近い銀行口座が存在するにもかかわらず、クレジットカードを持つインド人は3000万人にも満たない。

Tiger Global(タイガー・グローバル)が支援するSlice(スライス)やSequoia Capital India(セコイアキャピタル・インド)が支援するOneCard(ワンカード)など数多くのスタートアップが、インドでより多くの人にクレジットカード機能を提供しようと試みている。Flipkart(フリップカート)やAmazon(アマゾン)、そしてライドヘイリングのスタートアップOlaなど多くの大企業も、それぞれの顧客向けに提携クレジットカードを立ち上げている。ちなみに2022年2月にTechCrunchが報じたように、OneCardは、シンガポールのTemasekから、プネに本社を置く同スタートアップの評価額が10億ドル(約1153億円)以上になると思われるラウンドで資金調達の交渉中であるとされる。

フィンテックのベテラン経営者であるHimanshu Gupta(ヒマンシュ・グプタ)氏はこう述べている。「このようなクレジットカードでの提携は、基本的にパートナーの流通を活用するもので、この場合、Airtelがそれにあたります。Airtelは大規模なプレミアムユーザーベースを抱えており、Viのシェア低下により、その力はさらに強まっています」。

「ユーザーがカードを取得した後、他の場所での買い物のほとんどをこの方法で支払うようになれば、インターチェンジや延滞料からも収益を上げる機会があります。ですから、これは成功する提携カードになると期待できます」。

しかし、その成功のためには、いくつかの課題に対処する必要があると彼はいう。

「Airtel-Axisのような銀行提携クレジットカードの課題は、銀行のクレジットカードスタックが比較的古く、若い世代のニーズにはあまり柔軟でないことです。また、Airtelは大きなユーザーベースを持っていますが、ほとんどのユーザーは3カ月に一度、プリペイドチャージをするためにAirtel Thanksアプリを利用していると思われるので、ユーザーの生活における表面積は非常に限られています」。

「そのため、現実には、Airtelがそのような商品をクロスセルする機会は限られています。最近の新しいフィンテックカードのスタートアップは、より消費者のニーズに合った製品を作ることができ、一般的に銀行やテレコム事業者が得意でないユーザー獲得のために、よりスマートなマーケティングを使うことができます」。

7日の発表は、Googleが2022年初めに、Airtelに10億ドル(約1153億円)もの投資を行い、キャリアである後者と協力して「革新的なアフォーダビリティプログラム」を開発し、スマートフォンメーカーとの提携を模索し、安価な携帯電話を生産するとした発表に続くものだ。

Bharti Airtel(インド・南アジア)の社長兼CEOであるGopal Vittal(ゴパール・ヴィッタル)氏は声明の中でこう述べた。「Airtelは、ワールドクラスのデジタルサービスを顧客に提供する努力の一環として、強力な金融サービスポートフォリオを構築しています」。

このエキサイティングな旅でAxis Bankと力を合わせることができ、大変うれしく思っています。このウィンウィンのテレコム事業者と銀行の提携により、Airtelのお客様はAxis Bankのワールドクラスの金融サービスポートフォリオと限定特典を利用でき、Axis BankはAirtelの強力なデジタル機能と深い販売網から利益を得ることができます」。

画像クレジット:Debarchan Chatterjee / NurPhoto / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Den Nakano)

トヨタが支援するロボタクシースタートアップ「Pony.ai」の評価額が約9775億円に急上昇

中国と米国を拠点とするPony.aiは米国時間3月7日、シリーズDの1回目のクローズ後に評価額が85億ドル(約9775億円)に急上昇したと発表した。自律走行車両が大量に投入されるにはまだ数年かかるこの分野を投資家が追いかけ続けていることの表れだ。

2016年に創業しトヨタが支援するPonyは、中国と米国の両方でテストと運用をしている一連のロボタクシースタートアップの1つで、同様の他のスタートアップにはWeRide、Deeproute、AutoXなどがある。Ponyの前回の評価額は2020年11月の53億ドル(約6095億円)だった。

Ponyがこの1年で直面した困難の数々を考えると、今回の評価額は驚きだ。同社ではトラック部門とロボタクシー部門を統合する経営判断が不評で、その後自律走行トラック部門の主要メンバー数人が退社し、ライバル企業数社のメンバーとなった。米国の同社トラック部門はその後解散したが、中国でのトラック事業は成長を続けている。

12月には衝突事故を受けてカリフォルニア州がPonyの無人運転テストの許可を一時停止した。

テック企業に対する中国当局の監視が厳しさを増す中、PonyはJPMorgan Chaseの幹部だった人物を最高財務責任者として迎えた直後に米国での上場計画をせざるを得なかったと報じられた

ロボタクシーの開発は費用がかかることで知られるが、Ponyは資金は潤沢だと述べている。一般に、自律走行車両スタートアップにとってはトラック事業はロボタクシーに比べると早く収益化できる手段とも見られている。同社はシリーズD-1の後に10億ドル(約1150円)近い「バランスシートの流動性」を有していると述べた。

同社は今回の調達金額を明らかにしていないが、ラウンド全体が完了したら詳しく発表するとしている。

グローバルで1000人以上の従業員を抱えるPonyは、自律走行車両を中国の主要4都市(北京、上海、広州、深セン)、そしてカリフォルニア州のフリーモントとアーバインでテストしている。同社のロボタクシーはBaidu(百度)の自律走行車両とともに、北京郊外の実験区域で乗客への課金を開始する許可も受けた。

資金の用途についてPonyの共同創業者でCEOのJames Peng(ジェームズ・ペン)氏は発表の中で次のように述べた。「我々の技術開発とバランスシートの強みの両方がそろうことで、2022年の採用を大幅に拡大し、新しい自律走行車両のテストと運用の拠点をグローバルで多数開設し、戦略的パートナーシップを進展して、車両を急速に展開します」。

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(文:Rita Liao、翻訳:Kaori Koyama)

【コラム】メタバースで優先されるべき課題は「責任あるAI」

最近のBloomberg Intelligence(ブルームバーグ・インテリジェンス)の調査によると、メタバースには8000億ドル(約92兆円)の市場規模があるそうだ。実際にメタバースとは何なのか、ということについては、多くの人が議論しているところではあるが、これだけの金と好奇心に取り巻かれているものだから、誰もが話題にしたがるのも当然だろう。

メタバースではAIが、特に私たちが他者とコミュニケーションを取る際に、重要な役割を果たすことは間違いない。私たちはこれまで以上に他者とつながりを持つようになるだろうが、政府や規範、倫理規定に縛られないAIは、邪悪な影響をもたらす可能性がある。元Google(グーグル)CEOのEric Schmidt(エリック・シュミット)氏が最近問いかけたように「誰がルールを決めるのか?」ということだ。

AIの影響を理解する

AIアルゴリズムは、偏向のある人間によって作られるため、作成者の思考パターンや偏見に従うように作られることがあり、しかも、それが増殖していくことがある。AIが性差別を生み出す、例えば、女性よりも男性に大きなクレジットカードの限度額が与えられたり特定の民族がより不当な差別を受ける傾向にあることは、我々がこれまで見てきたとおりだ。より公平な、繁栄するメタバースを作るためには、偏向を生み出し、それを永続させるダークなAIのパターンに対処する必要がある。しかし、誰がそれを決定するのだろう? そして、人間はどうやって偏向を回避できるのだろうか?

この「野放しのAI」を緩和するための解決策は、すべての組織で倫理基準を策定することだ。私たちの見解では、ダークAIのパターンは侵略的になる可能性が高い。ほとんどのAIは倫理的な監視なしに開発されているが、メタバースではこれを変えなければならない。

AIをメタバースにおけるメッセージの翻訳に活用する

私は、1人の熱心な語学学習者として、また、AIと人間を使って人々をグローバルにつなぐ会社の創設者として、誰もが複数の言語を話すスーパーポリグロットになれるという可能性に胸を踊らせている。だが、さらに興味があるのは、そのAIがどのように機能するかを理解することだ。

メタバースでは、多くのユーザーが各々の言語でコミュニケーションすることになるだろうが、AIによる言語翻訳が利用できる可能性もある。しかし、AIを使った言語テクノロジーは、我々が注意しなければ、偏向を永続させてしまうおそれがある。その言語AIが、倫理的であるようにきちんと訓練されていることも、確認する必要がある。

例えば、ジョーのアバターがミゲルのアバターと話したがっているが、ジョーとミゲルは同じ言語を話さないという状況を想像してみよう。AIは彼らのメッセージをどのように翻訳するのだろうか? そのまま言葉を直訳するのだろうか? それとも、文字通りに訳すのではなく、メッセージを受け取った人が理解できるように、その人の意図に沿った翻訳をするのだろうか?

人間と機械の境界線を曖昧にする

メタバースでは、いかに私たちが「人間的」かということが重要になるだろう。企業は言語テクノロジーを使って、会話を異なる言語にすばやく翻訳することで、オンラインコミュニティ、信頼、インクルージョンの創出に役立つことができる。

しかし、私たちが選ぶ言葉に気をつけなければ、テクノロジーは偏見を生み、不作法な行動を許すことにもなりかねない。どのようにかって?あなたは3歳児がAlexa(アレクサ)に話しかけているのを聞いたことがあるだろうか?それはとても「感じが良い」とは言えない。人は、自分がやり取りしている相手が本物の人間ではなくテクノロジーであるとわかると、礼儀正しくする必要を感じなくなる。だから顧客は、チャットボットやAmazon(アマゾン)のAlexa、電話の自動応答などに対して失礼な態度を取るのだ。それはさらにエスカレートしてしまう可能性がある。理想とする世界は、言語のためのAIが、人間を正確に表現するために必要なニュアンスや共感を捉えるようになり、それによってメタバースが人間とテクノロジーがともに栄える場所となることだ。

メタバースの非人間的なAIは、ネガティブにもなりかねない。適切な言語は、リアルで感情的なつながりと理解を生み出すことができる。AIを活用した言語運用によって、適切なメッセージはブランドを人間的に感じさせるために役立つ。ブランドが瞬時に多言語でコミュニケーションできるようにするための技術は、極めて重要なものになるだろう。顧客の信頼は母国語によって築かれると、私たちは考えている。しかし、ボーダーレスでバーチャルな社会は、どうやって母国語を持つことができるだろうか? そして、そんな環境は、どうやって信頼を生み出すことができるのだろうか?

先述したとおり、メタバースは企業にとって、バーチャルな世界で露出を増やすことができる大きな可能性を秘めている。人々はすでにバーチャル・ファッションにかなりの大金を投じるようになっており、この傾向は間違いなく続くだろう。ブランドは、実際に会って交流するよりも本物らしい、あるいはそれ以上に魅力を感じられるような、オンライン体験を作り出す方法を見つける必要がある。これは越えるのが大変な高いハードルだ。スマートな言語コミュニケーションは、そのために欠かせないものとなるだろう。

メタバースが最終的にどのようなものになるかは、誰にもわからない。しかし、AIがある集団に他より過度な影響を与えたり、AIが自社製品の人間性を失わせた、なんてことで記憶される企業には誰もなりたくないはずだ。AIは良い意味でパターンを予測する能力がどんどん向上するだろう。しかし、野放しにしておくと、AIはメタバースにおける私たちの「生き方」に深刻な影響を与える可能性がある。だからこそ、責任あるAI、倫理的なAIのための倫理が必要なのだ。

AIが、言語やチャットボット、あるいはブランドの仮想現実に多用されていくと、それによって顧客が信頼や人間らしさの感情を失う機会も増えるのだ。私たちがメタバースで平和に「生きる」ことができるように、AIの研究者や専門家が企業と協力して、責任あるAIの枠組みに解決を見出すことが求められている。

編集部注:本稿を執筆者Vasco Pedro(ヴァスコ・ペドロ)氏はAIを利用して人間が編集を行う翻訳プラットフォーム「Unbabel(アンバベル)」のCEO。

画像クレジット:japatino / Getty Images

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(文:Vasco Pedro、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

macOSのChromeがSafariより高速に、グーグルが発表

Google Chrome(グーグル・クローム)のバージョン100が数週間以内にローンチされるが、いまだにブラウザを高速化する余地はまだ残されている。Google(グーグル)が米国時間3月7日に発表したように、macOS上のChromeのバージョン99は、Apple(アップル)のWebKitチームが独自に開発したSpeedometerベンチマークで300点を獲得することに成功した。これは、これまでのブラウザの中で最速のパフォーマンスだと、Googleは指摘している。

Speedometer 2.0は応答性をテストするため、ユーザーエクスペリエンスの良い尺度となる。Mozilla(モジラ)のFirefox(ファイヤーフォックス)とAppleのWebKitベースのSafari(サファリ)を例外として、ほとんどのベンダーが同じChromiumコードベースでブラウザを構築している現在、ブラウザ市場の競争が速度に焦点を当ててからしばらく経つ。しかし、だからといって、さまざまな開発チームがユーザーエクスペリエンスを高速化する方法を考えるのをやめたわけではない。多くの成熟したテクノロジーと同様に、最近は大きなブレークスルーが見られないだけだ。Interop 2022の一環として、各社のブラウザをウェブ標準により適合させるために集まっていても、各ベンダーの競争がなくなったわけではない。

新しいチップが登場すれば、常に最適化の余地がある。元々、AppleのM1チップ上のChromeのパフォーマンスは合格点だったが、このArmベースのチップの発売から15カ月後、Chromeはこのチップ上で43%速く動作するようになったとGoogleは指摘し、さらにこの分野でのいくつかの新しい技術のおかげで、ブラウザのグラフィックパフォーマンスがSafariを15%上回ったと強調している。これは、Googleが2021年すでに発表した数多くの一般的なJavaScriptの最適化に加えて行われたものだ。

Windowsユーザーのためのニュースはないが、GoogleはAndroid上のChromeもまた、いくつかの改善がみられると述べている。同社は「ブラウザのユーザーインターフェイスのスレッドで重要なナビゲーションの瞬間」を優先するいくつかのナビゲーション最適化のおかげで、ページの読み込みが15%速くなるはずだと述べている。

このような変化に気づくだろうか?高速接続の最新ブラウザは、事実上どんなページでも瞬きする間にレンダリングする。しかし、ソフトウェアの応答性を感じるには、それほど多くの時間は必要ない。M1 Macの43%は、TikTok(ティックトック)の閲覧(あるいはJiraチケットの管理など、さまざまな場面)において、より生産的な感覚を覚えるだろう。

画像クレジット:Halil Sagirkaya / Anadolu Agency / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Yuta Kaminishi)

Netflix、PayPal、Adobe、Epic Games、任天堂もロシアでの事業停止

ロシアのウクライナ侵攻を受けて、ロシアでの事業を停止するハイテク企業のリストが増え続けている。この動きに最近加わった企業には、Netflix(ネットフリックス)、PayPal(ペイパル)、Mastercard(マスターカード)、Visa(ビザ)などの有名どころが含まれている。

Varietyが最初に報じたように、Netflixは米国時間3月6日、ロシアでのサービスを停止すると発表した。この措置は、同社が先週、ストリーミング配信会社にロシアの20のプロパガンダチャンネルホスティングを義務づけるロシアの新法に従わないと述べたことを受けたものだ。Netflixはまた、ロシアで制作を予定していた今後のすべてのプロジェクトを一時停止している。

Adobe(アドビ)も、ロシアにおける自社製品・サービスの新規販売をすべて停止すると発表した。同社は、自社の製品やサービスが「法律に反した戦争の支援に使用されない」ようにする責任があると信じている、と述べている。

PayPal(ペイパル)は、米国時間3月5日にロイターが最初に報じたように、ロシアでのサービスを停止すると発表した。ウクライナのMykhailo Fedorov(ミハイロ・フェドロフ)副首相はツイートで、PayPalのCEOであるDan Schulman(ダン・シュルマン)氏がこの措置を確認している書簡を公開した。

ロシアから撤退した決済企業はPayPalだけではない。Mastercardは米国時間3月5日、ロシアにおけるネットワークサービスを停止すると発表した。つまり、ロシアの銀行が発行したカードは、今後Mastercardのネットワークではサポートされなくなる。また、ロシア国外で発行されたすべてのカードは、ロシアの商店やATMで使用できなくなる。同社は、適切な時期に業務を復活させるとしている。

同様にVisaも同日、ロシアでの全業務を停止したと発表した。同社は、ロシア国内の顧客やパートナーと協力し、すべてのVisa取引を停止するとしている。ロシア国内で発行されたVisaカードでの取引はすべてロシア国外では機能しなくなり、ロシア国外の金融機関が発行したVisaカードはロシア国内で使えなくなる。

ゲーム会社もまた、テック業界の他の企業とともにロシア国内でのビジネスを終了する。Epic Games(エピックゲームズ)は米国時間3月5日、ゲームに関するロシアとの取引を停止すると発表した。しかし同社は「他のコミュニケーションツールがオンラインであるのと同じ理由で、アクセスをブロックしていない。自由な世界は、すべての対話をオープンにしておくべきだ」と述べた。

態度を明らかにしたゲーム会社はEpic Gamesだけではない。Activision Blizzard(アクティベーションブリザード)も同じ日にロシアの消費者へのゲーム販売を一時停止すると発表した。同社はまた、ロシアでのゲーム内購入の提供も停止する予定だ。

任天堂も、利用している決済サービスが「ルーブルでの決済処理を停止した」ため、ロシアのeショップを一時的にメンテナンスモードにし、同国でのデジタル販売を停止した。

Snapchat(スナップチャット)は先日、安全予防策としてウクライナで公開されているSnap Mapの「ヒートマップ」を無効化すると発表し、対応を拡大した。ヒートマップ機能は通常、人々が多数のSnapを共有した場所を目立たせる。この措置は、同社がその前にロシアで広告を一時停止していると発表したのに続くものだ。

また、TikTok(ティクトック)は米国時間3月6日、ロシアの新しい「フェイクニュース」法に対応して、ライブストリーミングと動画サービスの新コンテンツを停止すると発表した。この法律では、ロシア政府がウクライナ侵攻に関する偽情報と見なすものを公開した者は刑務所に入ることになる、と脅している。TikTokは、従業員とユーザーの安全を維持するために、同国での事業を停止することを決定した。

Samsung Electronics(サムスン電子)は「このところの地政学的な動きにより」ロシアへの全製品の出荷を停止すると発表した。出荷が停止された製品には、スマートフォン、半導体、家電製品などが含まれる。この動きは、デバイスメーカーのApple(アップル)やDell(デル)、チップメーカーのIntel(インテル)、ソフトウェア大手のMicrosoft(マイクロソフト)からの同様の発表に続くものだ。

GrubHub(グラブハブ)は、ロイターが最初に報じたように、ロシアのテック大手Yandex(ヤンデックス)との提携を終了すると発表した。複数年にわたるこの提携は、大学生に食事を配達するドライバーレスロボットに関するものだった。Grubhubは、欧州最大の食事宅配会社Just Eat Takeaway.com(ジャストイート・テイクアウェイ・ドットコム)の一部門だ。

ロシアに対抗する姿勢を示したこれらの最新の企業グループは、AppleやGoogleなどの仲間入りをしている。Appleは3月1日、ロシアでの製品販売を停止したことを認めた。また、App StoreからSputnikとRT Newsを削除し、同国でのApple Payサービスの一部を無効にしたGoogleはAppleに続き、自社のモバイルアプリストアからRT(ロシア・トゥデイ)とSputnikのアプリを削除した。Googleはロシアでの広告販売も一時停止した

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi